(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】受け口漏水防止用の受け口金具(受け口栓)
(51)【国際特許分類】
F16L 19/03 20060101AFI20230807BHJP
F16L 33/00 20060101ALI20230807BHJP
F16L 37/12 20060101ALI20230807BHJP
A62C 33/00 20060101ALI20230807BHJP
A62C 35/20 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
F16L19/03
F16L33/00 A
F16L37/12
A62C33/00 C
A62C35/20
(21)【出願番号】P 2019135895
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-05-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年3月22日に敦賀市役所上水道課への出荷
(73)【特許権者】
【識別番号】595042601
【氏名又は名称】株式会社北川鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】北川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小栗 大志
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-252540(JP,A)
【文献】実開平04-095383(JP,U)
【文献】特開2018-013185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/03
F16L 33/00
F16L 37/12
A62C 33/00
A62C 35/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の本体と、前記本体の筒部より内方に延設した突条(101)とを有する受け金具を備え、
前記本体にはつめ座とつめとを備え、
前記筒部には、筒体のホルダーを付設し、
前記突条(101)には、前記ホルダーの突条(5)を係止し、
前記ホルダーの外周壁面に組付け一体化されるロックリングを備え、
前記受け金具に設けた第1螺子は、前記ロックリングに内設した第2螺子に螺合
する、
消火栓、給水栓の出口に取付けられる受け口金具において、
前記受け金具の本体の内室に、嵌合、取付け、又は差込み支持される前記消火栓
、給水栓、又はホースの差込み口に設けた押輪若しくは受けリングに取付けられる接続金物と、前記接続金物の開口リング面
と前記ホルダーの前記開口リング面に対向する面との間に設けた止水手段と、を更に備える、
受け口漏水防止用の受け口金具。
【請求項2】
前記止水手段を、Oリングとする構成とした請求項1に記載の受け口漏水防止用の受け口金具。
【請求項3】
前記Oリングを、前記ホルダーの端部の環状溝に差込み支持する構成とした請求項2に記載の受け口漏水防止用の受け口金具。
【請求項4】
前記受け金具と、前記ロックリングには、それぞれ第1ハンドル、又は第2ハンドルを備える構成とした請求項1から3のいずれか一項に記載の受け口漏水防止用の受け口金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火栓、給水車、その他の給水管と、押輪、受けリング、その他の金具の何れかの接続金物を取付けられた、ホース、その他の給水栓等の何れかの受け口との接続における、その受け口漏水防止用の受け口金具(受け口栓、以下省略)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緊急用応急給水栓の受け口(受け金具)に関し、町野式カップリングが重宝されている。この町野式カップリングの利用とか、改良に関する文献として、下記のものが挙げられる。
【0003】
先ず、特開2015-178750公報(文献1)において、この発明は、災害時等で、水道施設が損傷して通常の給水ができない場合に、給水車から一般家庭等への給水を可能とする水道用三方弁並びに該三方弁を備えた水道配管構造及びメータユニットに関する。
【0004】
また、実用新案登録第3114874号公報(文献2)において、地下式消火栓、或いは地上式消火栓の給水口に接続金具を使って分岐管を結合する構造が開示されている。即ち、この考案は、剛性の主管と、主管の下端に取付けられた、消火栓の給水口に結合固定するための接続金具と、主管の上端に、ユニオンを介して連結された剛性の分岐管と、分岐管に取付けられた複数の単水栓でなる構造に関する。
【0005】
【文献】特開2015-178750公報
【文献】実用新案登録第3114874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の文献1・2を始めとして、市井では、本発明が意図する、少なくとも、給水車に受け口金具を取付け、この受け口金具に、一本又は複数本の蛇口、又はホースを備えた緊急用の給水管を接続し、かつ漏水の心配がない漏水防止用受け口金具に関しては、望ましい構造が提供されていないと考えられる。
【0007】
理由として、町野式受け口金具においては、差込み連結部の止水を、水圧により行う構造であるが、例えば、給水車からの水圧では、止水のための十分な水圧が得られず、漏水の危険性があって、緊急時に必要とする貴重な水が漏水することが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、1) 低圧で、例えば、給水車の差込み口に嵌合し、使用しても漏れない、ハンドル締込みを用いた止水手段を利用する受け口金具、即ち、漏水防止用受け口金具の提供と、2) 給水車、消火栓等への取付けですぐに使用可能な、漏水防止用受け口金具の提供と、にある。
【0009】
上記に鑑み、次の請求項1~請求項5の好ましい各一例の提供である。
【0010】
請求項1において、
環状の本体と、前記本体の筒部より内方に延設した突条(101)とを有する受け金具を備え、
前記本体にはつめ座とつめとを備え、
前記筒部には、筒体のホルダーを付設し、
前記突条(101)には、前記ホルダーの突条(5)を係止し、
前記ホルダーの外周壁面に組付け一体化されるロックリングを備え、
前記受け金具に設けた第1螺子は、前記ロックリングに内設した第2螺子に螺合する、
消火栓、給水栓の出口に取付けられる受け口金具において、
前記受け金具の本体の内室に、嵌合、取付け、又は差込み支持される前記消火栓、給水栓、又はホースの差込み口に設けた押輪若しくは受けリングに取付けられる接続金物と、前記接続金物の開口リング面と前記ホルダーの前記開口リング面に対向する面との間に設けた止水手段と、を更に備える、
受け口漏水防止用の受け口金具とした。
【0011】
請求項2においては、
前記止水手段を、Oリングとする受け口漏水防止用の受け口金具とした。
【0012】
請求項3においては、
前記Oリングを、前記ホルダーの端部の環状溝に差込み支持する受け口漏水防止用の受け口金具とした。
【0013】
請求項4においては、
前記受け金具と、前記ロックリングには、それぞれ第1ハンドル、又は第2ハンドルを備える受け口漏水防止用の受け口金具とした。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1-1】受け口漏水防止用の受け口金具の一部を断面視した拡大平面図
【
図1-3】
図1から受け金具とホルダーを締め付けた状態の一部を示した拡大参考平面図
【
図2-1】消火栓に取付けた状態の一例を示した参考斜視図
【
図2-2】給水車に取付けた状態の一例を示した参考斜視図
【
図3-1】受け口漏水防止用の受け口金具と給水管、及び給水栓の関係を示した平面図
【
図4-1】受け口漏水防止用の受け口金具の操作方法であって、差込み状況の拡大俯瞰図
【
図4-2】
図4-1の差込み後の締付け状態の俯瞰図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を説明する。この一実施例は、好ましい一例であり、後述する説明、添付した図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【0017】
図1-1と
図1-2において、図中1は消火栓Fか、給水車C等の給水口金Bに嵌合される受け金具で、この受け金具1の内室100(受け口)の開口壁面22には、内室100内に突出するつめ2と、このつめ2に隣設するつめ座3とが複数個設けられている。
【0018】
そして、受け金具1は、環状の本体1aと、この本体1aより延設した薄肉筒部1bとでなり、この筒部1bの先端には内向きの突条101を備えている。この本体1aの外周壁面には、第1ハンドル6が設けられている。また、筒部1bの外周壁面には、第1螺子7が設けられている。
【0019】
尚、受け金具1には第1ハンドル6を設ける。また、受け金具1に外嵌(例えば螺着)したカバー(図示しない)に、第1ハンドル6を設けることも、本発明の範疇内である。この実施形態では、ハンドル付きの新規の受け金具1を製造しなくても、既存の受け金具(図示しない)を流用して第1ハンドル(6)を装備することが可能になり、材料費の節約や、材料の有効利用の点で有利である。
【0020】
また、
図1-1と
図1-2において、図中10は前記受け金具1の内室100の筒部1bの開口先部に挿設される環状筒体のホルダーで、このホルダー10の下端外周壁面には、前記受け金具1に設けた突条101が係止される突条5が膨出形成されている。そして、この突条5には、止水用のOリング11(止水手段)が挿設される溝12が囲繞するように形成されている。Oリング11は溝12に設けられており、適宜の加圧力で挿設されているが、接着剤等の他の好適な方法で固定することも当然可能である。そして、受け金具1の内室100に、ホースA等の差込み口に設けた(備わった)押輪、受けリング、その他の金具の何れかの接続金物13が差し込まれた状態で、この接続金物13の開口リング面1300(差込み金具)はOリング11に接触、かつ圧接される(後述する)構造である。即ち、開口リング面1300とOリング11は、止水手段として機能する。また、ホルダー10の外周壁面の一方には第3螺子1000が刻設されている。前記ホルダー10の突条5は、溝12を形成するための領域確保と、ホルダー10の突条5による受け金具1の突条101の留置き、かつ受け金具1とホルダー10の連繋確保等にある。尚、Оリング11はゴム製、樹脂製、又は金属製の何れでも対応可能であり、例えば、ゴム製が理想である。また、Оリング11の代替として、例えば、uリング、vリング、デルタリング、略コの字形パッキンとか、その他の形状のパッキン、シール(シール機能を備えた止水手段)でも可能である。
【0021】
そして、このホルダー10の外周壁面の他方(一方に続いた箇所)には、環状筒体のロックリング14が組付け一体化されており、かつロックリング14の内周壁面には第2螺子1400が形成されている。この第2螺子1400は前記第1螺子7に噛合する。また、このロックリング14の外周壁面には第2ハンドル15を備える。図中16はキーで、このキー16を利用して、ホルダー10とロックリング14を固定する。
【0022】
次に本発明の作用を説明すると、
図1-1と
図1-2と、
図2-1並びに
図2-2とか、
図4-1、
図4-2において、受け金具1を消火栓Fの給水口金B(接続金物13に相当)に取付ける。この給水口金Bは、内室100に差し込まれるとともに、給水口金Bのフランジがつめ2を押し込み、押し込み終了時に、つめ2が復帰し、フランジをロックする。この所作で、図示のように、消火栓F等の給水口金Bには、本発明の受け口漏水防止用の受け口金具が取付けられる。また、ホルダー10を、緊急用の給水管20の本管2000を取付けるには、本管2000の接続口2001の螺子部2002に、ホルダー10の第3螺子1000を螺合する。この操作で、消火栓F(
図2-1参照)や給水車C(
図2-2参照)と、本管2000とが、本発明の受け口漏水防止用の受け口金具を介して接続される。
【0023】
前述した受け金具2の消火栓Fの給水口金B(接続金物13に相当)への取付けと、ホルダー10を、緊急用の給水栓20への取付ける操作で、消火栓F(
図2-1参照)や給水車C(
図2-2参照)と、給水栓20とが、本発明の受け口漏水防止用の受け口金具を介して接続される。
【0024】
この取付け後の所作(作業)は、
図4-1、及び
図4-2の一例がある。例えば、
図4-1のように、消火栓Fに対して、第1ハンドル6を右側(時計方向)に回し、第2ハンドル15を左側(反時計方向)に回し(異方向に回転し)、第1螺子7と第2螺子1400との噛み合わせの最初の位置(
図1-2参照)である。換言すると、第1ハンドル6と、第2ハンドル15の弛緩状態で、受け金具1とホルダー10を、所定の間隔とした状態、例えば、受け金具1と、ホルダー10が、互いに反対峙方向(
図4-1の矢視X・Y方向「異方向」)に移動する。即ち、受け金具1とホルダー10が、所定の間隔となった状態である。そこで、受け金具1を、消火栓Fの差込み金具(図示しない)に差し込むと、差込み金具は、つめ2とつめ座3に嵌合支持されて固止される。一方、ロックリング14を介して、ホルダー10の第3螺子1000が、緊急給水管20の螺子部2000に螺合し始める。
【0025】
そこで、例えば、
図4-2のように、第1ハンドル6を、左側(反時計方向)に回し、第2ハンドル15を右側(時計方向)に回し(異方向に回転し)、第1螺子7と第2螺子1400との噛み合わせが進んだ位置(
図1-3参照)である。換言すると、第1ハンドル6と、第2ハンドル15の緊張状態で、受け金具1の途上とホルダー10を、縮んだ間隔とした状態において(受け金具1の突条101とホルダー10の突条5が離間した状態で、例えば、受け金具1と、ホルダー10が、互いに対峙方向(
図4-2の矢視Y・X方向)に、それぞれ前進し、例えば、Оリング10は、接続金物13の開口リング面1300に圧接される。この圧接が止水手段である。また、つめ2により、差込み金具との強固な係止が図れる。尚、この止水状態では、例えば、一例として、この
図2-2の如く、給水車Cに取付けた状態において、従来、問題となっている漏水の危険性が回避される。例えば、一例として、この
図1-3と、
図4-1、
図4-2が特徴である。
【符号の説明】
【0026】
1 受け金具
1a 本体
1b 筒部
100 内室
101 突条
2 つめ
3 つめ座
5 突条
6 第1ハンドル
7 第1螺子
10 ホルダー
1000 第3螺子
11 Oリング
12 溝
13 接続金物
1300 開口リング面
14 ロックリング
1400 第2螺子
15 第2ハンドル
16 キー
20 給水管
2000 本管
2001 接続口
2002 螺子部
22 開口壁面
F 消火栓
A ホース
B 給水口金
C 給水車