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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】円盤体送出装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
G07D1/00 Z GBL
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020132043
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028557
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167081
【弁理士】
【氏名又は名称】本谷 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】安倍 寛
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 元晴
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-040742(JP,A)
【文献】特開2005-190213(JP,A)
【文献】特開2018-013864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00 - 3/16,
9/00 - 13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離部(125)によって円盤体(C)を一つずつ分離すると共に、分離した円盤体(C)を半径方向へ押動する回転ディスク(110)と、
前記回転ディスク(110)の側方に配置され、前記半径方向へ押動された円盤体(C)を弾き出す固定案内体(114)と弾出ローラー(116)を含み、
前記弾出ローラー(116)は、揺動軸(164)に回動自在に支持されると共に、前記固定案内体(114)側へ近づくように弾性的に付勢された揺動レバー(166)に取り付けられ、
前記揺動レバー(166)の当接片(211)は、ストッパ支持片(184)に固定状態に設けられたストッパ(172)の被打撃部(176)によって係止され、前記弾出ローラー(116)と前記固定案内体(114)の間隔が規制され、前記回転ディスク(110)において一つずつ分離された前記円盤体(C)を、前記固定案内体(114)と前記弾出ローラー(116)で挟んで一つずつ弾き出す円盤体送出装置であって、
前記ストッパ(172)は、実質的に加水分解しないエンジニアリングプラスチックによって所定の厚みを有すると共に、前記厚みの方向に貫通する貫通孔(218)が構成されることによって、前記貫通孔(218)の一の開口の周りに位置する前記ストッパ支持片(184)に接する面と、前記ストッパ支持片(184)に接する面に相対すると共に、前記貫通孔(218)の他の開口の周りに位置する前記当接片(211)に面接触する面を有し、前記当接片(211)に面接触する面が前記被打撃部(176)であり、
前記貫通孔(218)は、前記当接片(211)に面接触する面側に形成された円錐形孔(218C)と前記ストッパ支持片(184)に接する面側に形成された円柱形孔(218P)により形成され、
前記ストッパ(172)は、前記貫通孔(218)及び前記ストッパ支持片(184)に形成された装着孔(224)を貫通し、ネジ頭部(222H)の円錐形面(222C)が前記円錐形孔(218C)の円錐面に圧接される皿ネジ体(222)によって、前記ストッパ支持片(184)に接する面が前記ストッパ支持片(184)に接した状態で取り付けられ、
前記当接片(211)は、前記円錐形孔(218C)の開口の全体に相対し、及び前記被打撃部(176)に面接触するように構成され、
前記皿ネジ体(222)は、前記当接片(211)が前記被打撃部(176)に面接触した場合、前記当接片(211)との間に所定の間隔を形成するように配置され、
前記当接片(211)が前記ストッパ(172)に係止される際、前記当接片(211)は前記円錐形孔(218C)の前記開口の全体と相対すると共に、前記被打撃部(176)と面接触する
ことを特徴とする円盤体送出装置。
【請求項2】
前記エンジニアリングプラスチックは、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、又は超高分子量ポリエチレン樹脂のうちの何れか1つである
ことを特徴とする請求項1に記載した円盤体送出装置。
【請求項3】
前記ストッパ(172)はリング型である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載した円盤体送出装置。
【請求項4】
前記ストッパ(172)は円形リング型である
ことを特徴とする請求項3に記載した円盤体送出装置。
【請求項5】
前記ストッパ(172)は、前記円錐形孔(218C)及び前記円柱形孔(218P)を貫通する前記皿ネジ体(222)によって、前記回転ディスクが回転可能に支持された基盤(106)に対し固定状態に設けられた前記ストッパ支持片(184)に固定される
ことを特徴とする請求項に記載した円盤体送出装置。
【請求項6】
前記ストッパ(172)は、前記弾出ローラー(116)が回動自在に支持された前記揺動レバー(166)の揺動軸(164)が固定され、かつ前記基盤(106)に固定されたブラケット(162)に設けられた前記ストッパ支持片(184)に固定されている
ことを特徴とする請求項5に記載の円盤体送出装置。
【請求項7】
前記ストッパ(172)は、前記ストッパ(172)に形成された前記円柱形孔と(218P)前記円錐形孔(218C)、及び前記装着孔(224)を貫通する前記皿ネジ体(222)の先端部に螺合されたナット(226)によって前記ストッパ支持片(184)に固定される
ことを特徴とする請求項6に記載の円盤体送出装置。
【請求項8】
基盤(106)の表側に配置され、分離部(125)によって円盤体(C)を一つずつ分離すると共に、分離した円盤体(C)を半径方向へ押動する回転ディスク(110)と、
前記基盤(106)の表側であって、かつ前記回転ディスク(110)の側方に配置され、前記半径方向へ押動された円盤体(C)を弾き出す固定案内体(114)と弾出ローラー(116)を含み、
前記基盤(106)の裏面側に固定されたブラケット(162)から下向きに突出形成された揺動軸(164)、前記揺動軸(164)に回動自在に支持され、前記固定案内体(114)側へ近づくように弾性的に付勢された揺動レバー(166)、前記揺動レバー(166)から上向きに突出された支軸(212)に回転自在に取り付けられた前記弾出ローラー(116)と、
前記弾出ローラー(116)を前記固定案内体(114)側へ近づくように弾性的に付勢するスプリング(168)と、
前記揺動レバー(166)の当接片(211)を係止し、前記弾出ローラー(116)と前記固定案内体(114)との間隔を所定の間隔に規定し、前記ブラケット(162)から下向きに突出するストッパ支持片(184)に固定状態に取り付けられ、被打撃部(176)が形成されたストッパ(172)を含み、
前記回転ディスク(110)において一つずつ分離された前記円盤体(C)を、前記固定案内体(114)と前記弾出ローラー(116)で挟んで一つずつ弾き出す円盤体送出装置であって、
前記ストッパ(172)は、実質的に加水分解しないエンジニアリングプラスチックによって所定の厚みを有すると共に、前記厚みの方向に貫通する貫通孔(218)が構成されることによって、前記貫通孔(218)の一の開口の周りに位置する前記ストッパ支持片(184)に接する面と、前記ストッパ支持片(184)に接する面に相対すると共に、前記貫通孔(218)の他の開口の周りに位置する前記当接片(211)に面接触する面を有し、前記当接片(211)に面接触する面が前記被打撃部(176)であり、
前記貫通孔(218)は、前記当接片(211)に面接触する面側に形成された円錐形孔(218C)と前記ストッパ支持片(184)に接する面側に形成された円柱形孔(218P)により形成され、
前記ストッパ(172)は、前記貫通孔(218)及び前記ストッパ支持片(184)に形成された装着孔(224)を貫通し、ネジ頭部(222H)の円錐形面(222C)が前記円錐形孔(218C)の円錐面に圧接される皿ネジ体(222)によって、前記ストッパ支持片(184)に接する面が前記ストッパ支持片(184)に接した状態で取り付けられ、
前記当接片(211)は、前記円錐形孔(218C)の開口の全体に相対し、及び前記被打撃部(176)に面接触するように構成され、
前記皿ネジ体(222)は、前記当接片(211)が前記被打撃部(176)に面接触した場合、前記当接片(211)との間に所定の間隔を形成するように配置され、
前記当接片(211)が前記ストッパ(172)に係止される際、前記当接片(211)は前記円錐形孔(218C)の前記開口の全体と相対すると共に、前記被打撃部(176)と面接触する
ことを特徴とする円盤体送出装置。
【請求項9】
前記ストッパ(172)は円形リング型である、
ことを特徴とする請求項8に記載した円盤体送出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円盤体を一つずつ弾き出す円盤体送出装置に関する。
詳しくは、本発明は、円盤体を一つずつ弾き出す弾出ローラーを所定位置において規制するストッパを備えた円盤体送出装置に関する。
さらに詳しくは、本発明は、円盤体を一つずつ弾き出す弾出ローラーを所定位置において規制する樹脂製ストッパを備えた円盤体送出装置に関する。
なお、本明細書において、円盤体とは、所定の厚みを有する円形状体をいい、例えば、硬貨、ゲーム用メダルが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
円盤体送出装置として、以下の従来技術が知られている。
第1の従来技術として、多数の硬貨を収容する保留タンクから硬貨が導入される硬貨導入口が複数設けられ、導入された硬貨を回転しながら外周側に押し出す円盤状の払出しローターと、該払出しローターの下側に配設され、前記硬貨導入口に導入された硬貨を上面で受けるベースと、前記払出しローターから押し出された硬貨を払出しローターの外側で受けて払出し口の方向へ案内する案内部材と、前記払出しローターの内側で前記案内部材と対向する位置に設けられ、前記硬貨を内側から払出し口の方向へ案内するガイドピンと、前記払出しローターの外側で前記案内部材と対向する位置に設けられ、前記案内部材との間に前記硬貨を挟んでから投げ出す払出しローラーとを有する払出し部を具えた硬貨払出し装置であって、前記払出しローラーは、アーム軸を中心にして揺動自在な払出しアームの先端部に設け、前記アーム軸を前記払出しローターの外側に位置させ、前記払出しローラーを前記アーム軸より内側で、かつ、前記アーム軸より払出しローターの回転方向下流側に位置させるようにし、前記払出しアームは、バネにより前記案内部材と払出しローラーとで硬貨を挟持する方向に付勢されるようにし、前記払出しアームのバネ付勢方向と反対側に、弾性体よりなるストッパを設けたことを特徴とする硬貨払出し装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
第2の従来技術として、回転ディスクによってディスクを一つずつ送り出してガイド通路において一列に整列し、前位のディスクを後位のディスクによって順次押し出し、固定部材と、支軸を支点に揺動可能に設けられ、かつ、スプリングにより所定方向回りに付勢された揺動レバーの先端部に取り付けられたローラーとの間に挟んで弾き飛ばすと共に、前記スプリングの弾発力調整装置を有するディスク放出装置において、
前記ガイド通路は、細長板状の固定スペーサの直状の第1案内面と、前記固定スペーサの長手に対し直角方向に位置調整可能に設けられた前記固定部材としての細長板状の可動スペーサの直状の第2案内面によって前記ディスクの左右の周面を案内するように構成され、前記揺動レバーは前記固定スペーサに対し交差方向に延在する支軸にピボット運動可能に取り付けられ、前記ローラーは待機位置及び前記ディスクの弾出直前位置において前記支軸よりも前記第2案内面に近い前記ガイド通路に位置するように設定されることにより前記ディスクを直状の前記第2案内面と前記ローラーとの間に挟んで弾き飛ばし、前記支軸の中心と前記ローラーの中心との距離が前記ディスクの直径の二倍以上であり、前記弾発力調整装置は、前記スプリングの一端が前記揺動レバーに係止され、前記スプリングの他端はネジ体に係止され、前記ネジ体はネジ台にねじ込まれて前記ネジ台に対して相対回転自在に設けられ、前記ネジ台と前記ネジ体との相対回転により前記スプリングの弾発力を調整し、前記揺動レバーは、ストッパによって待機位置において保持されることを特徴とするディスク放出装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
第3の従来技術として、硬貨の一面を支持するベースと、前記ベース上に配置された、一部が開口された円形の収納穴を形成する硬貨案内壁と、前記収納穴内において回転軸線の回りに回転可能であって、前記回転軸線から偏心した位置において周方向に沿って配置された複数の通孔が形成され、且つ、裏面側において隣接する前記通孔間に配置されると共に前記ベース側に突出する押動体を有する回転ディスクと、前記ベース上における前記収納穴の外方であって前記開口の一端側に配置された、前記ベースに実質的に固定された固定ローラーと、前記ベース上における前記収納穴の外方において前記固定ローラーと所定間隔を置いて配置され、前記固定ローラーに近づくよう弾性的に付勢された弾出ローラーと、を備え、前記回転ディスクの回転により前記ベース上の前記硬貨を前記硬貨案内壁によって案内しつつ前記押動体の前記回転ディスクの回転方向側に位置する押動前面で押動することにより、前記硬貨が前記開口を介して前記収納穴から前記固定ローラー及び前記弾出ローラーの間に移動された後に前記弾出ローラーの弾性作用によって弾き出される硬貨払出装置において、前記硬貨の弾き出し方向下流において前記固定ローラーに隣接して前記ベース上に固定ガイドが配置され、前記固定ガイドと前記弾出ローラーとの間に前記硬貨が挟まれた状態が生起され、前記固定ガイドと前記弾出ローラーとの間に前記硬貨が挟まれた状態において、前記硬貨が前記固定ローラーと前記固定ガイドとに跨って接触するよう前記固定ガイドの形状が設定されることを特徴とする硬貨払出装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
第4の従来技術として、硬貨の一面を支持すると共に、当該硬貨が搬送される略円形の第1搬送経路が構成されるスライド面を有するベース体と、前記スライド面上に支持された前記硬貨の周面を押動し、前記第1搬送経路に沿って前記硬貨を搬送する押動体と、前記第1搬送経路から分岐し、前記硬貨が搬送される略直線状に延伸する第2搬送経路が構成される払出通路と、前記払出通路に配置された第1ガイドと、前記払出通路を挟んで前記第1ガイドと対向する位置に配置された第2ガイドと、を備え、前記第2ガイドは、前記ベース体の下面側において前記ベース体のスライド面に垂直な第1揺動軸に揺動可能に支持された第1可動部材と、前記ベース体のスライド面に垂直かつ前記第1可動部材に固定された第2揺動軸に揺動可能に支持された第2可動部材と、前記第2可動部材に固定され、第1可動部材に形成された第1弧状孔及びベース体に形成された第2弧状孔を通ってベース体のスライド面から突出する支軸と、前記支軸の先端に回転可能に支持されたローラーと、を有し、前記第1ガイドと前記ローラーとの間の間隔を前記硬貨の直径よりも小さく保つように、前記第2可動部材が前記第1可動部材との間に掛け渡された第1弾性部材によって付勢され、かつ、前記第1可動部材が前記ベース体に固定された掛止部との間に掛け渡された第2弾性部材によって付勢され、第1の硬貨が前記第1ガイド及び前記ローラーに挟まれることにより前記ローラーが移動して前記間隔が所定の大きさ未満の場合は、前記第1可動部材は揺動せずに、前記第2可動部材のみが前記第1弾性部材の付勢力に抗して揺動し、前記第1の硬貨より径大の第2の硬貨が前記第1ガイド及び前記ローラーに挟まれることにより前記ローラーが移動して前記間隔が所定の大きさ以上の場合は、前記第1可動部材が前記第2弾性部材の付勢力に抗して揺動する硬貨払出装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-134800(図1図3、段落0011、0012)
【文献】特開2010-131122(図1図11、段落0007)
【文献】特開2014-174720(図1図17、段落0007)
【文献】特開2018-012864(図1図20、段落0014、0068)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の従来技術において、硬貨は、案内部材とバネによって付勢されたアームに取り付けられた払出ローラーの間に挟まれて弾き出され、アームはストッパによって移動を阻止され、払出ローラーと案内部材との間に所定の間隔が保たれる。ストッパはゴム等の弾性体によって構成され、当接した際の衝撃が緩和されるようにしたものである。
第2の従来技術において、ディスクを弾き出すローラーが取り付けられ、スプリングによって回動力を付与された揺動レバーは、固定状態に設けられたストッパによって回動が停止され、当該ストッパはウレタンゴム等の弾性体によって構成され、衝撃が緩和されるようにしたものである。
第3の従来技術において、硬貨は、第1固定ガイドとバネによって付勢された第2揺動レバーに取り付けられた弾出ローラーの間に挟まれて弾き出され、第2揺動レバーは第2ストッパによって移動を阻止され、第1固定ガイドと弾出ローラーとの間に所定の間隔が保たれる。ストッパの材質については言及がない。
第4の従来技術において、硬貨は、固定部材と弾性部材によって付勢された第2可動部材に取り付けられたローラーの間に挟まれて弾き出され、第2可動部材は当接体によって移動を阻止され、固定部材とローラーの間に所定の間隔が保たれる。当接体の材質については言及がない。
【0005】
円盤体送出装置における、硬貨等の円盤体を弾き出す弾出ローラーが取り付けられる揺動レバーは、ストッパとしての弾性体に当接されることにより、打撃音の低減と耐久性向上を計っている。弾性体としては、耐久性、入手性、及びコストを勘案し、通常、ゴムよりも機械的特性に優れる、換言すれば耐久性があるウレタンゴムが用いられる。ウレタンゴムには、エーテル系とエステル系がある。
エーテル系ウレタンゴムは、加水分解を起こさないが、機械的強度がエステル系ウレタンゴムよりも劣るため、換言すれば、耐久性が劣るため、数百万回以上打撃される、円媒体送出装置における弾出ローラーの衝撃を受けるストッパには不適である。
エステル系ウレタンゴムは、機械的強度に優れるため、耐久性に富み、エーテル系ウレタンゴムよりも適している。しかしながら、エステル系ウレタンゴムは加水分解をすることから、高湿度雰囲気における長時間使用には不適である。その理由を以下に説明する。
円盤体送出装置は、通常、自動販売機や両替機内に設置され、硬貨払出装置として用いられるため、厳しい自然環境下において用いられる。例えば、我が国における夏期においては、高湿度条件下において用いられ、また、自動販売機等の筐体内に侵入した水分は筐体内から漏出し難いため、加水分解が促進する恐れがある。
前述したように、エステル系ウレタンゴムは加水分解することから、高湿度条件下において使用した場合、当該加水分解によって粘着性が生じ、ベタ付きが発生する恐れがある。このストッパのベタ付きが円盤体送出装置のストッパに発生した場合、円盤体の円滑な送出しをすることができない懸念がある。
【0006】
この懸念を、図16を参照しつつ説明する。
図16において、Cは円盤体、12は平板状の基盤、14は円盤体Cを1枚ずつ分離すると共に、下面に突出する押動片16(内側押動片16i、外側押動片16e)によって周方向又は半径方向へ押動する回転ディスク、18は内側押動片16i、外側押動片16eによって押動される円盤体Cの周面を案内するC形の周面案内体、20は周面案内体18の一部周面を開放した送出開口、22は出口開口20の一端部に実質的に固定状態に保持された固定案内体、24は弾出ローラーである。弾出ローラー24は、基盤12の裏面側に突出する支軸26を中心に回動自在に設けられた揺動レバー28の先端部から基盤12に形成された弧状長穴(図示せず)を経由して基盤12の表面側に突出する軸30の先端に回転自在に支持されている。揺動レバー28は、弾性体たるスプリング32によって固定案内体22側へ近づくように付勢されている。基盤12の裏面から下方へ突出するストッパ片34の揺動レバー28側には、ウレタンゴムにより形成されたストッパ38が固定されている。揺動レバー28の当接部40は、ストッパ38によって移動を規制されている。すなわち、弾出ローラー24は、ストッパ38によって移動を阻止され、固定案内体22との間の距離を円盤体Cの直径よりも小さい所定の距離以上近づくことはできない。
したがって、円盤体Cを送り出さない場合、揺動レバー28の当接部40はストッパ38に、スプリング32の弾発力によって、所定の力で押し付けられている。
【0007】
円盤体Cが送り出される場合、円盤体Cは回転ディスク14の回転によって透孔(図示せず)を通って押動片16の間に落下して1枚ずつに分離され、周面案内体18に案内されつつ出口開口20へ達する。
円盤体Cは、当初、進行方向前側の後位側円弧面の一側を固定案内体22に、他側を弾出ローラー24に案内されつつ回転ディスク14の半径方向へ押動片16によって押動される。これにより、弾出ローラー24は固定案内体22から離れるように移動される。この弾出ローラー24の移動によって、揺動レバー28は図16において、時計方向へ回動されることから、当接部40がストッパ38から離される。そして、固定案内体22と弾出ローラー24が円盤体Cの進行方向前側円弧面と接している場合、弾出ローラー24に対するスプリング32によって付与される弾発力によって円盤体Cに作用する固定案内体22と弾出ローラー24からの合力は、円盤体Cを回転ディスク14の中心方向へ戻す方向である。しかし、円盤体Cの中心が、円盤体Cと固定案内体22との接点、及び円盤体Cと弾出ローラー24の接点を結ぶ直線を通過した直後、固定案内体22と弾出ローラー24は円盤体Cの後位側円弧面と接触するので、固定案内体22と弾出ローラー24のから円盤体Cに作用する合力は、回転ディスク14から離れる方向へ作用することから、スプリング32の弾発力によって、揺動レバー28が固定案内体22側へ引き寄せられ、弾出ローラー24が円盤体Cの後位側周面を押して一定の方向へ勢いよく弾き出す。弾き出された円盤体Cは、金属センサ42によって検出される。
ストッパ38にベタ付きがない場合、弾出ローラー24の移動に伴って、揺動レバー28も回動することができる。よって、スプリング32の弾発力によって固定案内体22側へ所定の速度で近づけられ、円盤体Cの送出しが毎回所定の速度、所定タイミングによって行われる。
【0008】
しかし、ストッパ38に加水分解によってベタ付きが発生した場合、当接部40はストッパ38の粘着力によって、直ぐには離れることができない。換言すれば、円盤体Cの進行方向前側円弧面が弾出ローラー24に接した場合、ストッパ38のベタ付きによる粘着力によって、揺動レバー28(当接部40)は直ぐさまストッパ38から離れることができず、スプリング32の弾発力が所定値以上になるまで当接部40がストッパ38に貼着されている。そして、スプリング32の弾発力が所定値以上になると瞬間的に当接部40(揺動レバー28)がストッパ38から離れる。これによって、揺動レバー28と弾出ローラー24の慣性力が増加し、例えば、揺動レバー28は正常な回動位置よりもオーバーランして回動した後、固定案内体22へ近づくように移動される。揺動レバー28が通常よりも大きく回動されることから、スプリング32は通常よりも引き延ばされる。これにより、スプリング32の弾発力が増加し、弾出ローラー24は固定案内体22側へ、通常よりも高速度で移動される。これにより、円盤体Cの弾き出し速度が高速化され、金属センサ42において十分な検知時間幅を取ることが出来ずに誤検知をする恐れがある。また、弾出ローラー24が通常よりも高速度で移動されることによって、円盤体Cの弾き出し方向が通常時と異なる方向になり、弾き出し不良を生じる恐れもある。
【0009】
自動販売機等における円盤体送出装置は、提供商品、設置場所、金額設定等によって、その稼働環境及び稼働状態は極めて多様である。例えば、頻繁に操作される場合、ストッパ38に加水分解が発生した場合であっても、当接部40とストッパ38との間の粘着度が高まるまでの時間を経過する前に離隔されるので、前述した懸念が現実に発生することは希である。一方、自動販売機等の設置場所によっては円盤体送出装置の作動頻度が少ない場合、例えば一日以上作動しないこともある。
そうすると、当接部40がストッパ38に長時間圧接されるので、ストッパ38が加水分解した場合、ストッパ38のベタ付きにより密着度が増し、前述の誤検知、又は弾き出し不良が生じる恐れがある。
なお、短時間であっても、加水分解が進んでいる場合には、前記不良が発生する恐れがある。
【0010】
本発明の目的は、実質的に加水分解せず、かつ当接片の当接時の衝撃及び打音を低減できるストッパを有する円盤体送出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、請求項1に係る第1の発明は以下のように構成されている。
分離部によって円盤体を一つずつ分離すると共に、分離した円盤体を半径方向へ押動する回転ディスクと、 前記回転ディスクの側方に配置され、前記半径方向へ押動された円盤体を弾き出す固定案内体と弾出ローラーを含み、前記弾出ローラーは、揺動軸に回動自在に支持されると共に、前記固定案内体側へ近づくように弾性的に付勢された揺動レバーに取り付けられ、前記揺動レバーは固定状態に設けられたストッパによって係止され、前記弾出ローラーと前記固定案内体の間隔が規制され、前記回転ディスクにおいて一つずつ分離された前記円盤体を、前記固定案内体と前記弾出ローラーで挟んで一つずつ弾き出す円盤体送出装置であって、前記ストッパは、実質的に加水分解しない樹脂によって構成されていることを特徴とする円盤体送出装置である。
【0012】
この目的を達成するため、請求項2に係る第2の発明は以下のように構成されている。
前記樹脂はエンジニアリングプラスチックであることを特徴とする第1の発明の円盤体送出装置である。
【0013】
この目的を達成するため、請求項3に係る第3の発明は以下のように構成されている。
前記エンジニアリングプラスチックはポリアセタール樹脂であることを特徴とする第2の発明の円盤体送出装置である。
【0014】
この目的を達成するため、請求項4に係る第4の発明は以下のように構成されている。
前記ストッパはリング型であることを特徴とする第1~3の発明の円盤体送出装置である。
【0015】
この目的を達成するため、請求項5に係る第5の発明は以下のように構成されている。
前記ストッパは、円柱形孔と、当該円柱形孔の打撃受面側に連続して形成された円錐形孔によってリング型に構成されることを特徴とする第4の発明の円盤体送出装置である。
【0016】
この目的を達成するため、請求項6に係る第6の発明は以下のように構成されている。
前記ストッパは、前記円錐形孔及び前記円柱形孔を貫通する皿ネジ体によって、前記回転ディスクが回転可能に支持された基盤側に設けられたストッパ支持片に固定されることを特徴とする第5の発明の円盤体送出装置である。
【0017】
この目的を達成するため、請求項7に係る第7の発明は以下のように構成されている。
前記ストッパは、前記弾出ローラーが回動自在に支持された前記揺動レバーの揺動軸が固定され、かつ前記基盤に固定されたブラケットに設けられたストッパ支持片に固定されていることを特徴とする第6の発明の円盤体送出装置である。
【0018】
この目的を達成するため、請求項8に係る第8の発明は以下のように構成されている。
前記ストッパ支持片には装着孔が形成され、前記ストッパに形成された前記円柱形孔と前記円錐形孔、及び前記装着孔を貫通する皿ネジ体によって前記ストッパ支持片に固定されることを特徴とする第7の発明の円盤体送出装置である。
【0019】
この目的を達成するため、請求項9に係る第9の発明は以下のように構成されている。
基盤の表側に配置され、分離部によって円盤体を一つずつ分離すると共に、分離した円盤体を半径方向へ押動する回転ディスクと、前記基盤の表側であって、かつ前記回転ディスクの側方に配置され、前記半径方向へ押動された円盤体を弾き出す固定案内体と弾出ローラーを含み、前記基盤の裏面側に固定されたブラケットから下向きに突出形成された揺動軸、前記揺動軸に回動自在に支持された揺動レバー、前記揺動レバーから上向きに突出された支軸に回転自在に取り付けられた前記弾出ローラーと、前記弾出ローラーを前記固定案内体側へ近づくように弾性的に付勢するスプリングと、
前記揺動レバーを係止し、前記弾出ローラーと前記固定案内体との間隔を所定の間隔に規定し、前記ブラケットから下向きに突出するストッパ支持片に取り付けられたストッパを含み、前記回転ディスクにおいて一つずつ分離された前記円盤体を、前記固定案内体と前記弾出ローラーで挟んで一つずつ弾き出す円盤体送出装置であって、前記ストッパは、実質的に加水分解しない樹脂によって構成されていることを特徴とする円盤体送出装置である。
【0020】
この目的を達成するため、請求項10に係る第10の発明は以下のように構成されている。
前記ストッパは、円柱形孔と、当該円柱形孔の被打撃部側に連続して形成された円錐形孔によってリング型に構成され、前記円錐形孔及び前記円柱形孔を貫通する皿ネジによって、前記ストッパ支持片(184)に固定されることを特徴とする第9の発明の円盤体送出装置である。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明において、回転ディスクの回転によって、円盤体が一つずつ分離され、当該回転ディスクの回転と共に同方向へ押動され、出口開口において当該回転ディスクの半径方向へ押動される。
弾出ローラーは、揺動レバーに回転自在に取り付けられ、揺動レバーは弾性体の弾発力によって、固定案内体側へ付勢され、揺動レバーはストッパに係止され、弾出ローラーは固定案内体との間に円盤体の直径よりも短い所定の隙間が設けられる。
出口開口へ押動された円盤体は、固定案内体と弾出ローラーとの間へ押し込まれ、弾出ローラーに作用する弾性体の弾発力によって弾き出される。
弾出ローラーが取り付けられた揺動レバーは、ストッパに当接し、所定位置において静止される。当該ストッパは、実質的に加水分解しない樹脂によって構成されている。
したがって、高湿度雰囲気において円盤体送出装置を使用しても、誤検出、送出不良を生じることがなく、本発明の目的を達成できる。
【0022】
第2の発明によれば、第1の発明と基本的構成が共通するので、第一の発明と同様に、本発明の目的を達成することができる。さらに、第2の発明によれば、エンジニアリングプラスチックであるので、特に衝撃強さに優れることから、円盤体送出装置における揺動レバーの衝撃を受け止めるストッパに適する。
なお、本明細書において、エンジニアリングプラスチックとは、常温において、50MPa以上の抗張力と、2.4GPa以上の曲げ弾性率を保持したものをいい、ポリアセタールの他、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、超高分子量ポリエチレンがある。
【0023】
第3の発明によれば、第1の発明と基本的構成が共通するので、第一の発明と同様に、本発明の目的を達成することができる。さらに、第2の発明によれば、エンジニアリングプラスチックはポリアセタール樹脂である。
ポリアセタール樹脂は、衝撃強さが大きく、疲労しにくく、耐薬品性を有しているため、円盤体送出装置の揺動レバーのストッパに用いた場合、耐久性に富み、またメンテナンス時の薬品使用の配慮も不要である利点を有する。
【0024】
第4の発明によれば、第1の発明と基本的構成が共通するので、第一の発明と同様に、本発明の目的を達成することができる。さらに、第2の発明によれば、ストッパはリング型であるため、機械加工面積が少なく、短時間で安価に製造できる利点を有する。
【0025】
第5の発明において、第1の発明と基本的構成が共通するので、第一の発明と同様に、本発明の目的を達成することができる。さらに、第5の発明によれば、ストッパは、円柱形孔と、当該円柱形孔の被打撃部側に連続して形成された円錐形孔によってリング型に構成されている。リング型であるので、当接部との被打撃部を平滑に形成すればよいので、機械加工面積が少なく、短時間で安価に製造できる利点を有する。また、円錐形孔は、ストッパの被打撃部と円柱形孔は円錐形孔を介して接続されることから、被打撃部と円錐形孔とは鈍角にて接続され、当該鈍角の角部から発生する割れを防止することができる利点がある。
【0026】
第6の発明において、第1の発明と基本的構成が共通するので、第一の発明と同様に、本発明の目的を達成することができる。さらに、第6の発明において、ストッパは、前記円錐形孔及び円柱形孔を貫通する皿ネジ体によって、前記回転ディスクが回転可能に支持された基盤側に設けられたストッパ支持片に固定される。円錐形孔の円錘形面に皿ネジの円錐形外面が密着して固定される。円錐形孔の円錐形面の反力によって、皿ネジのネジ部に軸線方向のスラスト力が作用する。これによって、皿ネジの雄ネジ部とナットの雌ネジ部との間に回り止め効果が生じ、緩みにくい利点がある。
【0027】
第7の発明において、第1の発明と基本的構成が共通するので、第一の発明と同様に、本発明の目的を達成することができる。さらに、第7の発明において、ストッパは、前記弾出ローラーが回動自在に支持された揺動レバーの揺動軸が固定され、かつ前記基盤に固定されたブラケットに設けられたストッパ支持片に固定されている。これによって、弾出ローラーの固定案内体との位置関係を変更した場合であっても、揺動レバーとストッパとの位置関係は変更されない。換言すれば、弾出ローラーの位置関係を変更しても、ストッパの位置関係を変更する必要がない利点を有する。
【0028】
第8の発明において、第1の発明と基本的構成が共通するので、第一の発明と同様に、本発明の目的を達成することができる。さらに、第8の発明において、ストッパ支持片には装着孔が形成され、前記ストッパに形成された前記円柱形孔と前記円錐形孔、及び前記装着孔を貫通する皿ネジ体によって前記ストッパ支持片に固定される。円錐形面の反力によって、皿ネジ体のネジ部に軸線方向にスラスト力が作用する。これによって、皿ネジ体のネジ部とナットのネジ部との間に回り止め効果が生じ、緩みにくい利点がある。
【0029】
第9の発明によれば、回転ディスクの回転によって、円盤体が一つずつ分離され、当該回転ディスクの回転と共に同方向へ押動され、出口開口において当該回転ディスクの半径方向へ押動される。
弾出ローラーは、揺動レバーに回転自在に取り付けられ、揺動レバーはスプリングの弾発力によって、固定案内体側へ付勢され、揺動レバーの当接部はブラケットから突出するストッパ支持片に取り付けられたストッパに係止され、弾出ローラーは固定案内体との間に、円盤体の直径よりも小さい所定の隙間が設けられている。
出口開口において回転ディスクによって押動された円盤体は、固定案内体と弾出ローラーとの間へ押し込まれ、弾出ローラーに作用するスプリングの弾発力によって弾き出される。弾出ローラーの固定案内体側への移動の途中において、揺動レバーの当接部はストッパに当接し、移動を停止される。当該ストッパは、実質的に加水分解しない樹脂によって構成されている。
したがって、高湿度雰囲気において円盤体送出装置を使用しても、誤検出、送出不良を生じることがなく、本発明の目的を達成できる。
【0030】
第10の発明において、第9の発明と基本的構成が共通するので、第9の発明と同様に、本発明の目的を達成することができる。さらに、第10の発明において、ストッパは、円柱形孔と、当該円柱形孔の被打撃部側に連続して形成された円錐形孔によってリング型に構成され、
前記円錐形孔及び円柱形孔を貫通する皿ネジ体によって、前記ストッパ支持片に固定される。円錐形面の反力によって、皿ネジ体のネジ部に軸線方向のスラスト力が作用する。これによって、皿ネジ体のネジ部とナットのネジとの間に回り止め効果が生じ、緩みしにくい利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置の分解斜視図である。
図2図2は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置の円盤体保留容器を取り外した状態における、基盤に対し直角上方からの平面図である。
図3図3は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置の基盤に対し平行な面における周面案内体の断面図である。
図4図4は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置の基盤に対し平行な面における周面案内体の断面図を用いた作用説明図である。
図5図5は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置の基盤の裏面図である。
図6図6は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置の弾出装置の斜視図であり、(A)斜め上方からの斜視図、(B)は裏面下方からの斜視図である。
図7図7は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置の弾出装置の分解斜視図である。
図8図8は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置の弾出装置であり、(A)は平面図(B)は裏面図、(C)は正面図、(D)は背面図、(E)は左側面図、(F)は右側面図である。
図9図9は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置の弾出装置に用いるストッパであって、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は背面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)底面図、(G)はG-G線断面図である。
図10図10は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置のストッパであり、(A)は正面図、(B)はB-B線断面図である。
図11図11は、本発明にかかる実施例1の円盤体送出装置のストッパの製造説明図であり、(A)は樹脂引抜丸棒の斜視図、(B)は円柱形孔形成の説明図、(C)は円錐形孔形成の説明図、(D)はストッパの切り離し説明図である。
図12図12は、本発明にかかる実施例2の円盤体送出装置のストッパであり、(A)は平面図、(B)はB-B線断面図である。
図13図13は、本発明にかかる実施例3の円盤体送出装置のストッパであり、(A)は平面図、(B)はB-B線の断面図である。
図14図14は、本発明にかかる実施例4の円盤体送出装置のストッパの断面図である。
図15図15は、本発明にかかる実施例5の円盤体送出装置のストッパの断面図である。
図16図16は、従来の円盤体送出装置を説明するための、基盤と平行な面において切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る円盤体送出装置は、分離部によって円盤体を一つずつ分離すると共に、分離した円盤体を半径方向へ押動する回転ディスクと、前記回転ディスクの側方に配置され、前記半径方向へ押動された円盤体を弾き出す固定案内体と弾出ローラーを含み、前記弾出ローラーは、揺動軸に回動自在に支持されると共に、前記固定案内体側へ近づくように弾性的に付勢された揺動レバーに取り付けられ、前記揺動レバーは固定状態に設けられたストッパによって係止され、前記弾出ローラーと前記固定案内体の間隔が規制され、前記回転ディスクにおいて一つずつ分離された前記円盤体を、前記固定案内体と前記弾出ローラーで挟んで一つずつ弾き出す円盤体送出装置であって、前記ストッパは、実質的に加水分解しない樹脂によって構成されていることが好ましい
また、前記樹脂はエンジニアリングプラスチックであることが好ましい。
さらに、前記エンジニアリングプラスチックはポリアセタール樹脂であることが好ましい。
さらにまた、前記ストッパはリング型であることが好ましい。
また、前記ストッパは、円柱形孔と、当該円柱形孔の打撃受面側に連続して形成された円錐形孔によってリング型に構成されることが好ましい。
さらに、前記ストッパは、前記円錐形孔及び前記円柱形孔を貫通する皿ネジ体によって、前記回転ディスクが回転可能に支持された基盤側に設けられたストッパ支持片に固定されることが好ましい。
更にまた、前記ストッパは、前記弾出ローラーが回動自在に支持された前記揺動レバーの揺動軸が固定され、かつ前記基盤に固定されたブラケットに設けられたストッパ支持片に固定されていることが好ましい。
また、前記ストッパ支持片には装着孔が形成され、前記ストッパに形成された前記円柱形孔と前記円錐形孔、及び前記装着孔を貫通する皿ネジ体によって前記ストッパ支持片に固定されることが好ましい。
さらに、基盤の表側に配置され、分離部によって円盤体を一つずつ分離すると共に、分離した円盤体を半径方向へ押動する回転ディスクと、前記基盤の表側であって、かつ前記回転ディスクの側方に配置され、前記半径方向へ押動された円盤体を弾き出す固定案内体と弾出ローラーを含み、前記基盤の裏面側に固定されたブラケットから下向きに突出形成された揺動軸、前記揺動軸に回動自在に支持された揺動レバー、前記揺動レバーから上向きに突出された支軸に回転自在に取り付けられた前記弾出ローラーと、前記弾出ローラーを前記固定案内体側へ近づくように弾性的に付勢するスプリングと、前記揺動レバーを係止し、前記弾出ローラーと前記固定案内体との間隔を所定の間隔に規定し、前記ブラケットから下向きに突出するストッパ支持片に取り付けられたストッパを含み、前記回転ディスクにおいて一つずつ分離された前記円盤体を、前記固定案内体と前記弾出ローラーで挟んで一つずつ弾き出す円盤体送出装置であって、前記ストッパは、実質的に加水分解しない樹脂によって構成されていることを特徴とする円盤体送出装置であることが好ましい。
さらにまた、前記ストッパは、円柱形孔と、当該円柱形孔の被打撃部側に連続して形成された円錐形孔によってリング型に構成され、前記円錐形孔及び前記円柱形孔を貫通する皿ネジ体によって、前記ストッパ支持片に固定されることが好ましい。
【実施例1】
【0033】
図1を参照して、本発明の実施例1にかかる円盤体送出装置100の概要を説明する。
円盤体送出装置100の概要を図1を参照して説明する。
円盤体送出装置100は、バラ積み状態の円盤体Cを1つずつ区分けして払い出す機能を有している。本実施例1において円盤体送出装置100は、硬貨保留容器102、基台104、基盤106、周面案内体108(図2参照)、回転ディスク110、規正体112(図2参照)、弾出装置113(固定案内体114、弾出ローラー116他)を主要な構成としている。
しかし、本発明における円盤体送出装置100は、少なくとも、硬貨保留容器102、基盤106、周面案内体108、回転ディスク110、規正体112、弾出装置113を含んでいれば良く、実質的に同様の作用・効果を有する各種の変形が可能である。
【0034】
まず硬貨保留容器102を説明する。
硬貨保留容器102は、受け入れた円盤体Cをバラ積み状態で保留する機能を有し、本実施例1においては、縦向きの大凡筒形をし、上部102Uが矩形に、下部102Lが円形に、中間部102Mは上部102Uと下部102Lを接続する斜面に形成され、下端部には取り付け用の矩形のフランジ102Fが形成されている。
下部102Lには、回転ディスク110の直径よりも僅かに大きい直径を有する円形の容器底孔117が形成されている。
【0035】
次ぎに、基台104を説明する。
基台104は、基盤106が天井のように取付けられると共に、回転ディスク110の回転駆動装置や制御部を内蔵する機能を有し、本実施例1においては、前側Fが低く、後側Rが高い、側面視台形状をしたチャンネル型であり、結果として上面104Uは後側Rから前側Fへ向かって前下がりの斜面に形成されている。しかし、上面104Uは水平に形成することもできる。
【0036】
次ぎに、基盤106を図1及び図2を参照して説明する。
基盤106は、少なくとも回転ディスク110によって連れ回りされる円盤体Cの下面を案内する機能を有する。本実施例1において基盤106は、基台104の前下がりに傾斜する上面104Uに固定された、所定の厚みを有する矩形の平板である。本実施例1においては、回転ディスク110によって押動される円盤体Cを案内するため、及び、固定案内体114、弾出ローラー116を配置するため、縦長矩形に形成されている。しかし、基盤106は同様の機能を有すれば、その形状等の如何を問わない。
【0037】
次ぎに周面案内体108を図2を参照して説明する。
周面案内体108は、回転ディスク110によって、基盤106上を摺動しつつ移動される円盤体Cの周面を案内する機能を有し、使用が想定される最厚円盤体Cの厚みよりも僅かに厚い板厚を有する。本実施例1においては、例えば、1円硬貨が円盤体Cである場合、円盤体Cの厚み1.5ミリメートよりも僅かに厚い2.0ミリメートの板厚を有し、矩形板状体の中央に所定直径、すなわち、回転ディスク110の直径よりも僅かに大径の周面案内壁118が形成されている。
周面案内壁118が円盤体Cの案内面であり、周面案内壁118の一部が円盤体Cの直径以上の長さで開放され、出口開口122を構成している。したがって周面案内体108は、全体としてC字型に形成されている。
【0038】
次ぎに周面案内壁118を説明する。
周面案内壁118は、回転ディスク110の押動部128(図2)によって、詳しくは内側押動部128i(図3)によって押動される円盤体Cを案内する機能を有し、周面案内体108を上側から下側へ貫通するように形成された円形の孔であり、その深さは使用が想定される最厚円盤体Cの厚みよりも僅かに深く形成されている。周面案内壁118の直径は、回転ディスク110の直径とほぼ同一に形成される。したがって、周面案内壁118は押動部128の外側に配置された円形の孔である。
【0039】
次に出口開口122を主に図2を参照しつつ説明する。
本実施例1の出口開口122は、周面案内壁118における基盤106の傾斜方向の下方側が所定の長さで開放され、その左側端部118Lと右側端部118Rによって間隔dが形成されている。本実施例1において、左側端部118Lと右側端部118Rの間隔dは、送り出す円盤体Cの直径の大凡2倍である。しかしながら、間隔dの長さは、円盤体Cが通過でき、弾出装置113によって弾き出すことができ大きさであれば良い。
回転ディスク110の回転軸線CSと、周面案内壁118の中心軸線と硬貨保留容器102の容器底孔117の中心軸線とは同一である。
【0040】
次ぎに回転ディスク110を主に図2及び図3を参照して説明する。
回転ディスク110は、円盤体Cを1つずつ分離した後、当該回転ディスク110と共につれ回りさせ、更に回転ディスク110の半径方向へ押動する機能を有し、本実施例1においては、少なくとも、円盤状の円盤本体124、当該円盤本体124の偏心部に形成した分離部125たる透孔126(126A~126E)、及び、裏面に形成した押動部128(128A~128E)を含んでいる。
【0041】
まず円盤本体124を説明する。
円盤本体124は、金属又は耐摩耗性樹脂等の一体成形によって形成され、基盤106に対して垂立する回転軸130の先端部に固定されることによって、少なくともその厚み方向の上部は、硬貨保留容器102の容器底孔117に配置され、下端部の押動部128は、周面案内壁118の内側において所定の速度で回転される。本実施例1において、回転軸130は基盤106の裏面側に取り付けられた電気モーター131によって減速機133を介して回転される。したがって、回転軸130及び回転ディスク110の軸心も軸心CSと一致する。また、押動部128の外側に周面案内壁118が位置する。回転軸130が基盤106に対し垂立するので、回転ディスク110も前下がりに傾斜し、基盤106と平行をなす平面内において回転される。換言すれば、基盤106と回転ディスク110とは所定の隙間を空けて平行に配置されている。前記隙間は、回転ディスク110(円盤本体124)の裏面に形成された押動部128の下端と基盤106の上面との間隔であり、押動部128の下端と基盤106とは接触せず、使用が想定される最厚円盤体Cが基盤106上をスライドする場合、当該円盤体Cの上面と円盤本体124の裏面との間には僅かな隙間が形成される。
【0042】
円盤本体124の上面側の回転軸130の周囲には、錘形の攪拌部132が形成され、回転ディスク110の回転時に硬貨保留容器102内にバラ積みされた円盤体Cを攪拌する。
円盤本体124の裏面側の回転軸130の周囲に円柱形に下向きに突出された隙間規制部134が形成され、押動部128の下端が基盤106に対し最薄円盤体Cの厚みの二分の一以下の間隔を保って回転するように規制する。なお、隙間規制部134の下端面と基盤106との間には、摩擦抵抗を軽減するため低摩擦体からなるシートを介在させることができる。
【0043】
次ぎに分離部125たる透孔126を説明する。
分離部125は、硬貨保留容器102にばら積みされている円盤体Cを一つずつ分離する機能を有する。本実施例1において、分離部125は、円盤本体124の偏心位置において当該円盤本体124を上下に貫通する円形の透孔126である。本実施例1においては、5個の透孔126(126A~126E)が形成されているので、便宜的に数字の126にA~Eのアルファベットを付して表示し、個別に説明する場合は数字とアルファベットの組合せを用い、個別の説明が不要である場合、総称として数字の126のみを用いる。
透孔126は、硬貨保留容器102内にバラ積みされた円盤体Cを攪拌して1つずつ当該透孔126に落下させ、もって、円盤体Cを一つずつ分離する機能を有する。本実施例1においては、円盤本体124の偏心位置に等間隔で形成された円形の5つの透孔126A~126Eである。透孔126の直径は、2以上の複数の円盤体Cに対応可能なように、最大径の対象円盤体Cが円滑に落下できる直径に設定しても良いし、特定の円盤体Cが最も円滑に落下し、処理される専用の直径としても良い。
このように形成した場合、隙間規制部134の縁は花びら型になる。
円盤本体124の隣接する透孔126A~126Eの間の裏面には、周縁側へ延在する後退翼形の押動部128(128A~128E)が形成されている。
【0044】
次ぎに押動部128を説明する。
押動部128は、回転ディスク110の回転によって、各透孔126A~126Eに落下した円盤体Cを隙間規制部134と周面案内壁118との間に形成されるリング形の硬貨通路136(図3)を押動する機能を有する。本実施例1において押動部128は、円盤本体124の下面において、下向きに突出する突起であり、硬貨通路136を半径方向に横断するように透孔126毎に形成されている。以下の説明において、5個の押動部128 (128A~128E)が形成されているので、便宜的に数字の128にA~Eのアルファベットを付して表示し、個別に説明する場合は数字とアルファベットの組合せを用い、個別の説明が不要である場合、総称として数字の128のみを用いる。各押動部128A~128Eの構成は全て同一であるので押動部128Aを代表して図4を参照しつつ説明する。
【0045】
押動部128Aは、少なくとも外側押動部128eと内側押動部128iの2つによって構成されている。しかしながら、押動部128Eは外側押動部128eと内側押動部128iとの間に中間押動部を形成することができる。この場合、外側押動部128eに対しては中間押動部が内側押動部128iになることがあり、内側押動部128iに対しては中間押動部が外側押動部128eになることがある。
【0046】
まず、外側押動部128eを説明する。
外側押動部128eは、円盤体Cを固定案内体114と弾出ローラー116との間に押し込む機能を有し、本実施例1においては円盤本体124の裏面であって、回転ディスク110における内側押動部128iよりも軸心SCから半径方向に離れた位置に形成された下向きの突起によって構成され、裏面視において、弧状に形成され、対応する透孔126Eの外側周縁に沿って弧状に延在する突条である。
【0047】
外側押動部128eの外側端部は、回転ディスク110の周縁に位置する。
外側押動部128eの正回転方向における後端部である外側後端140Aは、回転ディスク110が逆転される場合、円盤体Cを押動する機能を有し、本実施例1においては円盤本体124の最外縁に形成され、先尖り状に形成されている。円盤体Cを可及的に周面案内壁118内に引き入れるためである。
外側押動部128eは、軸心CSから遠ざかるにしたがって回転ディスク110の正回転方向の後位側に位置するよう形成された後退翼形状に形成されている。これによって、内側押動部128iによって押動され、内側規正体112iと外側規正体112eによって出口開口122へ案内された円盤体Cは、固定案内体114と弾出ローラー116間へ押し込まれる。次いで、外側押動部128eによって、さらに固定案内体114と弾出ローラー116間へ押し込まれた後、弾出ローラー116に付与される弾発力によって弾き出される。
【0048】
円盤体Cが出口開口122において、外側押動部128eによって押動される場合、円盤体Cは外側押動部128eから回転ディスク110の半径方向へ向かう力を受けつつ固定案内体114と弾出ローラー116の間へ押し込まれる。
なお回転ディスク110の正回転方向とは、円盤体Cを払い出すことができる回転ディスク110の回転方向をいう(図4において、反時計方向)。
【0049】
次ぎに内側押動部128iを説明する。
内側押動部128iは円盤本体124の下面から下向きに突出する突起であり、本実施例1においては、裏面視台形状をし、回転ディスク110の正回転方向前側が内側前面を構成し、正回転方向後側が内側後端を構成する。したがって、外側押動部128eと内側押動部128iの間には回転ディスク110の軸心CSを中心とする弧状の外側逃溝138eが、外側規正体112eが通過可能に形成されている。
内側押動部128iの回転ディスク110の正回転方向後端は、透孔126Bの周縁と面一に形成することが好ましい。透孔126Aに落下した円盤体Cの移動量を可及的に抑制することにより、円盤体Cの暴れ(不規則な動き)を防止し、結果として不測のトラブルを防止するためである。
さらに、内側押動部128iの前面は軸心SCから半径方向に延在するように形成される。円盤体Cが周面案内壁118に接触して案内されつつ連れ回りされる場合、円盤体Cは内側押動部128iによって押動される。
【0050】
次ぎに隙間規制部134を説明する。
隙間規制部134は、回転ディスク110を基盤106に対して所定の間隔で位置させる機能を有し、本実施例1においては、円盤本体124の中央部下面において、下方に突出する突起であり、透孔126の周縁と面一に形成された外向面と押動部128の根本部の下側に位置する弧状の凸面によって形成され、全体として花びら型に形成されている。
隙間規制部134と内側押動部128iとの間には、内側規正体112iを通過可能にするための内側逃溝138iが形成されている。
【0051】
次に規正体112を図3及び図4を参照しつつ説明する。
規正体112は、内側押動部128iによって硬貨通路136を押動される円盤体Cを、回転ディスク110の半径方向へ案内する機能を有する。本実施例1において規正体112は、硬貨通路136における出口開口122に相対する位置において、基盤106から上向きに突出する一対の、内側規正体112iと、外側規正体112eにより構成されている。内側規正体112iと外側規正体112eは、隙間規制部134と固定案内体114との間において、ほぼ等間隔に配置されており、その先端部はそれぞれ外側逃溝138e又は内側逃溝138iを通過することができる。内側規正体112iと外側規正体112eとは同一構成であるので、主に外側規正体112eを代表して説明する。
外側規正体112eは、一端を基盤106の裏面に固定された板バネ142の自由端に固定される。板バネ142は、バネ鋼、バネ性を有する複合構造体又は樹脂等によって製造されている。
【0052】
板バネ142は、平板状であり、その一端はスクリュウ(図示せず)によって基盤106の裏面に固定され、他端部の孔に外側規正体112eの下端部を挿入し、かしめられて立設されている。
本実施例1において、内側規正体112i及び外側規正体112eは、金属等によって構成されている。
【0053】
次に弾出装置113を説明する。
弾出装置113は、回転ディスク110によって押動されてきた円盤体Cを所定の方向へ弾き出す機能を有し、少なくとも、出口開口122に配置された固定案内体114、及び弾出ローラー116を含んでいる。
【0054】
次に固定案内体114を主に図4を参照しつつ説明する。
固定案内体114は、円盤体Cが規正体112によって案内された後、押動部128(外側押動部128e)によって押動される円盤体Cを案内する機能を有し、出口開口122における回転ディスク110の正回転方向の前位側に配置され、基盤106に対し実質的に固定状態に取付けられている。換言すれば、円盤体Cが押動部128によって通常状態において押動される力では移動しないが、さらに大きな力で押された場合、退避動するよう弾性的に支持されている。本実施例1において、固定案内体114は、回転ディスク110の周縁に近接した位置に配置されているが、回転ディスク110の周縁の下方に位置してもよい。
本実施例1において、固定案内体114は、基盤106の裏面から下向きに突出する固定軸144に回動自在に支持されたレバー146の一端部から上向きに突出し、基盤106に形成された円穴148を貫通して上面側に突出する固定案内体支軸150に回転自在に取り付けられている。レバー146の先端部から下方へ突出された係止突部152と基盤106の裏面から下方へ突出された止めねじ154の間に引張スプリング156を係止することにより、図5において、反時計方向へ回動力を付与され、基盤106の裏面から下向きに突出する係止突起158に当接されて回動を制止されている。図3を参照して説明すれば、固定案内体114は、引張スプリング156によって弾出ローラー116の側へ回動可能なように付勢されているが、係止突起158によって、図3に示す静止位置SPに保持されている。更に換言すれば、固定案内体114は、図3において左方へ引張スプリング156の弾発力に反して移動可能であるが、反対方向へは移動することができない。引張スプリング156は、後述するスプリング168の弾発力よりも大幅に大きく、通常の円盤体Cの送出し時は実質的に固定状態に維持される。しかし、過大な力によって押された場合、移動されることができ、回転ディスク110に過度な力が作用しないようにしている。
【0055】
次に弾出ローラー116を主に図6図10を参照しつつ説明する。
弾出ローラー116は、円盤体Cを固定案内体114との間に挟んで弾き出す機能を有する。本実施例1において、弾出ローラー116はユニット化され、弾出ローラーユニット160として構成されている。
弾出ローラーユニット160は、弾出ローラー116を基盤106の所定位置に取り付けると共に、固定案内体114との位置関係を調節できると共に、当該位置調整を行っても、付勢力が変更されないようにする機能を有する。本実施例1において、弾出ローラーユニット160は、ブラケット162、揺動軸164、揺動レバー166、スプリング168、ストッパ172、及び位置調整部174を含んでいる。
【0056】
まずブラケット162を説明する。
ブラケット162は、揺動軸164、揺動レバー166、スプリング168、ストッパ172が取り付けられ、及び位置調整部174が構成される機能を有する。本実施例1においてブラケット162は、板金加工によって形成される。ブラケット162は、平板状であって、平面視大凡台形状の基盤部分178、当該基盤部分178から下向きに突出された弾出スプリング受け突起182、及びストッパ支持片184が一体に形成されている。更に、ブラケット162の一辺近くに形成された円形のレバー軸孔186、レバー軸孔186の軸心を中心として形成された位置調整部174の一部を構成する円弧長孔188、及びレバー軸孔186に対し反対側に形成された大凡四角形の弾出ローラー孔192が形成されている。
【0057】
次に揺動軸164を説明する。
揺動軸164は、揺動レバー166を回動自在に支持する機能を有する。
本実施例1において、揺動軸164は、基盤部分178の一辺近くに形成されたレバー軸孔186に一端部を挿入された後、カシメによって固定された、下向きの軸である。揺動軸164のカシメられた側の端部には、所定の深さを有する円形の位置決め穴194が形成されている。位置決め穴194には、基盤106から下向きに突出する位置決め軸200が挿入される。位置決め軸200は、基盤部分178に螺合したネジ等によって代用することができる。
【0058】
次に揺動レバー166を説明する。
揺動レバー166は弾出ローラー116を回転自在に支持する機能を有する。本実施例1において揺動レバー166は、細長平板状の板金によって構成され、一端部に下方に突出する円筒形の軸受196が固定されている。詳細には、軸受196の上端部が揺動レバー166の一端部に形成された円形の装着孔170に挿入された状態で固定されている。軸受196は、揺動軸164に玉軸受198によって回転自在に支持されている。
【0059】
軸受196内には複数の第一玉軸受198A、第二玉軸受198Bが内蔵され、第一玉軸受198Aの上側にはカラー202が配置され、その上側には樹脂製のリング型スペーサ204が配置される。
下側の第二玉軸受198Bの下方には樹脂製のリング型スペーサ206が配置され、揺動軸164の先端(下端)部に係止したスナップリング208によって、揺動軸164から脱落しないように支持されている。
換言すれば、揺動レバー166は、玉軸受198によって揺動軸164に回動自在に支持されている。
【0060】
揺動レバー166の他端部から下向きにスプリング係止部210が突出形成されている。スプリング係止部210の側方から上向きに突出する支軸212(以下便宜的に「弾出ローラー支軸212」という。)が固定されている。
弾出ローラー支軸212は、下部の大径部212Lと上部の小径部212Sによって構成され、弾出ローラー116は小径部212Sに玉軸受(図示せず)を介して回転自在に取り付けられ、弾出ローラー116の上側に配置したリング型スペーサ214の上方に配置され、小径部212Sの上端部に係止されたスナップリング216によって、脱落しないようにスラスト方向の移動を制限されている。揺動レバー166がブラケット162に組み付けられた場合、弾出ローラー116は弾出ローラー孔192を通過し、ブラケット162の上方に配置される。
【0061】
揺動レバー166のスプリング係止部210に対し反対側であって、揺動軸164に近い部位から下向きに、大凡矩形の当接片211が形成されている。当接片211は、スプリング168によって揺動レバー166が回動された場合、ストッパ172に当接し、移動を制限される機能を有する。したがって、当接片211は揺動レバー166の一部であってもよい。
【0062】
弾出ローラー孔192の弾出スプリング受け突起182側の端部から下向きにブラケット162に対し直角に突出するストッパ支持片184にはストッパ172が固定される。ストッパ172については後述する。
【0063】
次にスプリング168を説明する。
スプリング168は、揺動レバー166を所定の方向へ所定の力で付勢する機能を有する。具体的には、弾出ローラー116を固定案内体114に対し反対側へ付勢する機能を有する。スプリング168は、ゴム、ガススプリング等の同様の機能を含む部材を含む概念である。
本実施例1において、スプリング168は弾出スプリング受け突起182に一端部を、他端部をスプリング係止部210に係止され、最終的に弾出ローラー116を固定案内体114へ近づく方向へ回動力を付勢されている。スプリング168は、引張スプリング156の弾発力に対し小さく設定されており、通常の円盤体送出装置100の作動時は、引張スプリング156の弾発力によって、円盤体Cは弾き出される。
【0064】
次にストッパ172を説明する。
ストッパ172は、揺動レバー166のスプリング168による回動を制止し、弾出ローラー116の固定案内体114との距離を所定の距離に規制する機能を有する。換言すれば、ストッパ172は、当接片211を面接触によって緩衝しつつ受け止め、所定の位置において静止させる機能を有する。
本実施例1においてストッパ172は、実質的に加水分解しない樹脂によってリング型に形成されている。樹脂としては、エンジニアリングプラスチックが好ましい。
エンジニアリングプラスチックは、機械的強度、例えば、衝撃に優れることから、繰り返し揺動レバー166の当接片211から受ける打撃に対する耐久性が高く、また、曲げ弾性率も高いため当接片211に対する衝撃吸収性が高いので、跳ね返り量も少ない利点があることから、円盤体送出装置100における揺動レバー166の衝撃を受け止めるストッパに適する。
なお、本明細書において、エンジニアリングプラスチックとは、常温で50MPa以上の引張強さと、常温で2.4GPa以上の曲げ弾性率を保持し、本発明においては更に実質的に加水分解性を有しない必要がある。具体的には、本発明において用いることができる実質的に加水分解しない樹脂としては、ポリアセタール樹脂の他、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、又は超高分子量ポリエチレン樹脂が想定される。実質的に加水分解性を有しないとは、高湿度中において使用してもベトつかないことである。
【0065】
次にストッパ172を主に図9及び図10を参照しつつ説明する。
本実施例1において、ストッパ172は、ポリアセタール樹脂によって所定の厚み、例えば1mmであって、所定の直径、例えば8mmを有し、中央に貫通孔218が形成され、全体として円形リング状に形成されている。貫通孔218は、円柱形孔218Pと、当該円柱形孔218Pに連なる円錐形孔218Cによって形成されている。円柱形孔218Pは、直径約4mmであり、円錐形孔218Cは、中心線CLに対し左右に45度の角度で傾斜する90度の角度Aを有する円錐孔である。
【0066】
次にポリアセタール製のストッパ172の一試験例を説明する。
試験は、試料に対し高温高湿状態と低温低湿状態とを繰り返す温湿度サイクル試験を行い、各サイクル毎に試料の硬度測定、及び外観観察を行い、評価した。
温湿度サイクル試験とは、次の高温高湿環境と低温低湿環境を繰り返し行い、試料における結露状態と乾燥状態を正確に生じさせ、加水分解の加速的評価を行う試験である。
具体的な温湿度サイクル試験の内容は、試験室内に試料を設置し、下記1~4の手順を一サイクルとして繰り返した。
1、高温高湿環境は温度60℃、湿度90%の環境に3時間放置する。
2、高温高湿環境から、低温低湿環境への切り換え迄1時間放置する。
3、低温低湿環境は温度-20℃、湿度0%の環境に3時間放置する。
4、低温低湿環境から、高温高湿環境への切り換え迄1時間放置する。
試験に用いた試料の形状は、図9に示す形状である。比較例1の試料の材質は、主鎖にエステル結合を含むエステル系ウレタンゴムである。比較例2の試料の材質は、主鎖にエーテル結合を含むエーテル系ウレタンゴムを用いた。実施例の試料の材質はポリアセタール樹脂である。
比較例1:エステル系ウレタンゴム、初期の硬度80
比較例2:エーテル系ウレタンゴム、初期の硬度80
実施例1:ポリアセタール樹脂、初期の硬度90
硬度の評価方法は、JIS K 6253に規定された計測器の条件を満足しているタイプAデュロメータで硬度を測定し、初期の値に対しての変化率を求めた。
外観観察は、ストッパの外観を観察し、表面状態、例えば、粘性物の有無、ひび割れの有無、凹みの復元性、角部の崩落の有無を観察した。
下記表1が試験結果である。
【表1】
表1において、一部のサイクルにおける評価を省略してあり、当該サイクルにおける評価は、前回の評価に対し、変化がない状態である。
評価「○」は、外観観察において、試料の表面に異常が見られない状態である。表面に異常が見られない状態とは、粘性物も無く、復元性も良く、ひび割れや崩落がない状態である。この場合の硬度を測定したところ、初期と比べ100~75%の範囲内にあった。試験が進めば、劣化が進行するが、硬度が初期値に比べて75%以上であれば、試料は、外観的にも機能的に問題が生じなかった。粘性物とは、試料が水と反応し、加水分解される過程で生成される中間生成物や加水分解後の生成物であり、粘性のある物質である。復元性が良い状態とは、デュロメータで試料を押した場合、押し跡が残らない状態である。
評価「△」は、外観観察において、試料の表面に粘性物があるか、又は、デュロメータのピンで押した跡が残る等の異常が見える状態である。この場合の硬度を測定したところ、初期と比べ74~58%の範囲内にあった。試料の劣化が進み、硬度がこの範囲にあれば、試料は外観的に問題が生じ、また機能的に問題が生じる恐れがある。ピンで押した跡が残る状態とは、デュロメータで試料を押した場合、押し跡が直ぐさま戻らずに痕が残る状態である。
評価「×」は、外観観察において、表面に異常がある状態である。試料の表面に異常がある状態とは、例えば、表面にひび割れが表れ、又は角部に崩壊が見られる等の状態である。この場合の硬度を測定したところ、初期と比べ57~43%の範囲内にあった。試料の劣化が進み、試料は外観的、機能的に問題が生じる。硬度が初期と比べ57%以下になると問題が生じる。
比較例1のサイクル9の外観観察において、試料の表面に粘性物が観察されたため、評価を「△」にした。
比較例1のサイクル12において、試料の表面に粘性物が観察され、試料表面と当接片211を当接させた場合に試料に当接片211が粘着し、引きはがすために負荷が生じたため、評価を「×」にした。
比較例2のサイクル15の外観観察において、ピンで押した跡が残ったため、復元性が悪くなり、機械的強度の劣化が生じていると判断し、評価を「△」にした。エーテル系ウレタンゴムはエステル結合が無いので、加水分解されにくいと考えられるが、劣化が少しずつ進み、強度が低下している。定かではないが、ウレタン結合の開裂、ウレタン結合における加水分解などの原因が考えられる。
また、試料がストッパ172として使用できるか否かを判断すると、下記の様になる。
評価「○」の場合は、好適に、使用できる。
評価「△」の場合は、問題を起こす場合があるので、使用できない。
評価「×」の場合は、問題を起こすので、使用できない。
上記より、実施例1における、ポリアセタール樹脂によって製造したストッパ172が加水分解による悪影響が長期に亘り生じないので最も適した材料であると言える。
【0067】
ストッパ172は皿ネジ体222によって、ストッパ支持片184に固定される。ストッパ172は、円柱形孔218P側の端面をストッパ支持片184にあてがわれ、皿ネジ体222のネジ部222Sを円錐形孔218Cから円柱形孔218P、そしてストッパ支持片184に形成された装着孔224を貫通させ、皿ネジ体222のネジ部に螺合したナット226によって固定されている。ナット226を締め付けることによって、ネジ部222Sが軸線方向に移動され、皿ネジ体222のネジ頭部222Hの円錐形面222Cが円錐形孔218Cに圧接される。これにより、ストッパ172において、揺動レバー166の当接片211が当接する被打撃部176は、円形リング型の面に形成される。ストッパ172をリング型にすることにより、被打撃部176がリング型の面になるので、面積が減少し、製造が容易になる。ストッパ172は樹脂によって構成され、所定の弾力を有しているので、ナット226によって締め付けられた反力によって、円錐形孔218Cの円錐面から皿ネジ体222の円錐形面222Cへ力が作用し、皿ネジ体222の軸線方向に力が作用する。これによって、ナット226の雌ネジとネジ部222Sの雄ネジとの間にスラスト方向の力が作用し、ナット226の緩み止め効果が得られる。
【0068】
次に位置調整部174を説明する。
位置調整部174は、弾出ローラー116の固定案内体114に対する位置を調整する機能を有する。本実施例1において、位置調整部174は、レバー軸孔186の軸心を中心とする円弧長孔188と止めねじ228によって構成されている。止めねじ228は円弧長孔188を貫通されて基盤106の裏面にねじ込まれることにより、ブラケット162を摩擦力によって固定状態に保持する機能を有する。
【0069】
次に弾出装置113の基盤106の裏面への取付方法を説明する。
弾出装置113は、位置決め穴194に基盤106の裏面から突出する位置決め軸200を挿入し、ブラケット162の上面を基盤106の裏面に密着させ、止めねじ228を基盤106に螺合することにより、所定の位置に固定される。所定の位置とは、弾出ローラー116と固定案内体114の間隔を円盤体Cの直径に適した位置にすることである。弾出ローラー116の位置を調整する場合、止めねじ228を緩めた後、ブラケット162を位置決め軸200回りに回動させ、適当な位置において再度止めねじ228を締め付けることにより行う。
【0070】
ストッパ172は、毎回、当接片211によって極めて多数回の打撃を受けることから、割れなどの不具合が生じない高耐久性が必要である。そこで、本実施例1におけるストッパ172の製造方法の一例を図11を参照しつつ説明する。
同図(A)に図示するように、本実施例1において、ストッパ172の素材は、ポリアセタール樹脂を規格化された所定直径に引き抜き加工された丸棒素材234である。エンジニアリングプラスチックは、汎用樹脂よりも射出成形が難しく金型の温度管理が必要であり、温度管理不良等によって、樹脂の合流部において樹脂どうしが密着せずに境界が発生する(ウエルド)場合があり、当該境界を起点に割れを生じる場合がある。しかしながら、丸棒引き抜き材は、そのような境界を生じることがなく、境界からの割れを生じる恐れがないため好ましい。換言すれば、規格化された外径及び長さを有するポリアセタール樹脂製の丸棒素材234を用いることが好ましい。
次に同図(B)に示すように、丸棒素材234を旋盤のチャックに装着し、丸棒素材234の端面に小径ドリル236を宛がい、中心部に円柱形孔218Pとなる円形穴238を穿孔する。
次に同図(C)に示すように、大径ドリル242を円形穴238の端面に宛がって、皿孔加工し、円錐形孔218Cとなる所定の深さの円錐孔244を形成する。
次に同図(D)に示すように、丸棒素材234の端面から所定の長さLS(ストッパ172の厚みに相当)において、突っ切りバイト240によって丸棒素材234を切断し、ストッパ172を構成する。
【0071】
次ぎに円盤体センサ230を主に図2又は図3を参照しつつ説明する。
円盤体センサ230は固定案内体114と弾出ローラー116によって弾き出された円盤体Cを検知する機能を有し、弾き出された円盤体Cの移動経路に関連して配置され、光電式センサ、金属センサ等を採用することができる。本実施例1においては金属センサが用いられる。円盤体センサ230は、例えば、センサブラケット246、コ字型のセンサ本体248、及びセンサコイル250及び検知回路(図示せず)を含んでいる。
センサ本体248は所定の間隔で上下に配置した上側横木248Uと下側横木248L、及び当該上側横木248Uと下側横木248Lの一端部を接続する柱248Pによってコ字型に形成され、上側横木248Uと下側横木248Lとの間の隙間252を、固定案内体114と弾出ローラー116によって弾き出された円盤体Cがセンサコイル250部を通過するようになっている。金属製の円盤体Cによるセンサコイル250を流れる電流の変化を検知し、円盤体Cの弾き出しが検知される。センサ本体248は、センサブラケット246によって、基盤106に固定されている。
【0072】
次に本実施例1の作用を説明する。
硬貨保留容器102内に保留された円盤体Cは、回転ディスク110の回転によって攪拌されて様々な姿勢になることから、透孔126(126A~126E)に1つずつ落下する。透孔126に落下した円盤体Cは、基盤106に面接触すると共に、内側押動部128iによって押動され、外側周面を周面案内壁118に案内されつつ回転ディスク110によって硬貨通路136を連れ回りされる(図3)。
円盤体Cが規正体112へ押動された場合、まず内側規正体112iによって、出口開口122側、換言すれば、回転ディスク110の半径方向へ案内され(図3)、次いで、外側規正体112eによって回転ディスク110の半径方向へ案内される(図4)。
【0073】
これによって、円盤体Cの円弧周面の一部が固定案内体114に当接して案内され、円盤体Cは全体として弾出ローラー116側へ案内され、他側の円弧周面が弾出ローラー116と接触する。この過程において、円盤体Cの押動部128は、内側押動部128iから外側押動部128eに移り変わる。円盤体Cは、外側押動部128eによって、さらに回転ディスク110の半径方向へ押動されるので、弾出ローラー116は固定案内体114から離される。弾出ローラー116が円盤体Cによって移動される迄は、固定案内体114に対し円盤体Cの直径以下の所定の間隔をおいて静止状態に保たれると共に、揺動レバー166の当接片211は、スプリング168の弾発力によって、ストッパ172の被打撃部176に面接触し、圧接されている。
弾出ローラー116が円盤体Cによって移動される際、スプリング168の弾発力に抗して、揺動レバー166は図4において時計方向へ回動される。この揺動レバー166の時計方向への回動によって、当接片211はストッパ172(被打撃部176)から離れる。
【0074】
円盤体Cが外側押動部128eによって固定案内体114と弾出ローラー116の間に押し込まれた場合、弾出ローラー116はスプリング168の弾発力に反して固定案内体114から離れる方向へ移動された後、図4に示すように、円盤体Cの中心が、円盤体Cと固定案内体114との接点P1と、円盤体Cと弾出ローラー116との接点P2を結ぶ直線Lを越えた直後に、固定案内体114と弾出ローラー116はそれぞれ、円盤体Cの進行方向後位側の円弧面に接触するため、スプリング168の弾発力によって、弾出ローラー116が固定案内体114側へ移動され、回転ディスク110から遠ざかる方向へ弾き出される。弾出ローラー116が固定案内体114側へ移動によって、揺動レバー166は図4において半時計方向へ回動され、当接片211がストッパ172の被打撃部176に面で衝突して回動を制止され、静止状態になる。樹脂は金属に比べ硬度が低いため、跳ね返りによる微振動が早期に収束する。また、密度が金属に比し大幅に低いため、打撃音も大幅に低減する。また、実質的に加水分解しない樹脂であるため、高湿度条件下において使用された場合であっても、ベトつかず、誤検知、又は弾き出し不良を生じない利点がある。
【実施例2】
【0075】
次ぎに図12を参照しつつ実施例2を説明する。
実施例2は、実施例1におけるストッパ172の耐久性を高める構成を追加した例である。実施例1と同一部位には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。
ストッパ172の外周を囲うように、変形防止リング256を設けた例である。実施例2の変形防止リング256は、内周面がストッパ172の外周表面に密着し、ストッパ172の半径方向の変形を防止する機能を有する。本実施例2における変形防止リング256(以下便宜的に「第2変形防止リング2562」という。)は、所定の直径及び高さを有する円筒状のリング体である。また、第2変形防止リング2562の高さH2は、ストッパ172の高さ(厚み)H3よりも低く設定されている。これにより、当接片211がストッパ172の被打撃部176に当接し、当接片211による多数回打撃によるストッパ172の半径方向への変形を抑制し、耐久性を向上することができる。また、第2変形防止リング2562の高さH2は皿ネジ体222のネジ頭部222Hの高さH1よりも高く設定することが好ましい。これにより、ストッパ172が変形して高さH3が低下した場合であっても、当接片211は変形防止リング256に当接することから、皿ネジ体222の頭部の打撃を防止することができるからである。第2変形防止リング2562は、ストッパ支持片184に固定し、又はストッパ172に圧入することができる。第2変形防止リング2562は、樹脂に対し、機械的性質が優れている金属製であることが好ましい。
【実施例3】
【0076】
次ぎに図13を参照しつつ実施例3を説明する。
実施例3は、実施例2における変形防止リング256(第2変形防止リング2562)に変え、ストッパ支持片184に変形防止リング256(以下便宜的に「第3変形防止リング2563」という。)を形成した例である。実施例1と同一部位には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。
第3変形防止リング2563は、ストッパ支持片184に絞り加工等によって、円形リング状であって、断面を山形に形成した円形リング状の盛り上げ部であり、第3変形防止リング2563に囲われた部位が円形の平坦部258に形成される。ストッパ172の下面が平坦部258に面接され、皿ネジ体222によって固定されている。これにより、ストッパ172の下端部が第3変形防止リング2563内に嵌め込まれる。したがって、ストッパ172の下端部が膨らむように変形する場合、第3変形防止リング2563によって制限されることから、ストッパ172の変形が抑制される利点がある。第3変形防止リング2563は、リング体をストッパ支持片184にろう付け等によって固定しても良い。
【実施例4】
【0077】
次ぎに図14を参照しつつ実施例4を説明する。
実施例4は、実施例2において説明した変形防止リング256の変形例である。実施例2と同一部位には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。実施例4の変形防止リング256(以下便宜的に「第4変形防止リング2564」という。)は、所定の高さを有する円形リング部262と当該円形リング部262の底部に連続したリング状の底部264を有し、円形リング部262よりも小径の所定直径の底孔266を有する有底平鍋型に形成されている。ストッパ172は第4変形防止リング2564の形状に合わせ、円錐形孔218C側が大径であって、円柱形孔218P側が小径に形成された段付き円筒形状に形成されている。これによって、樹脂製のストッパ172を円形リング部262に圧入して、ストッパ172と第4変形防止リング2564を一体化できるので、実施例2と同様に耐久性が向上すると共に、取扱性が向上する利点がある。
【実施例5】
【0078】
次ぎに図15を参照して実施例5を説明する。
実施例5は、実施例2において説明した変形防止リング256の変形例である。実施例2と同一部位には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。実施例5の変形防止リング256(以下便宜的に「第5変形防止リング2565」という。)は、円形リング部262と、当該円形リング部262の下端部から周方向へ延在する円形のフランジ部268によって構成されている。ストッパ172は、実施例1で説明したリング形状であっても良いし、図15に示すように円盤形状であっても良い。ストッパ172の下端部は円形リング部262に圧入されて固定されている。第5変形防止リング2565は、フランジ部268を貫通する複数のネジ270とワッシャ272、及びナット274によってストッパ支持片184に固定されている。ストッパ172の底面はストッパ支持片184の表面に面接触されている。
本実施例5においても、ストッパ172のベタ付きを防止することができる。
【符号の説明】
【0079】
106 基盤
110 回転ディスク
114 固定案内体
116 弾出ローラー
125 分離部
162 ブラケット
164 揺動軸
166 揺動レバー
168 スプリング
172 ストッパ
176 被打撃部
184 ストッパ支持片
212 支軸
218P 円柱形孔
218C 円錐形孔
222 皿ネジ体
224 装着孔
C 円盤体
図1
図2
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図16