(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】放電の位置の感知及び制御
(51)【国際特許分類】
F27B 3/28 20060101AFI20230807BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
F27B3/28
F27D21/00 A
(21)【出願番号】P 2020537503
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(86)【国際出願番号】 US2018063950
(87)【国際公開番号】W WO2019139695
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-11-29
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519103207
【氏名又は名称】ケーダブリュ アソシエイツ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】KW Associates LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シブラ,マシュー,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】モトリー,ジョシュア,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ウッドサイド,シー.,リゲル
(72)【発明者】
【氏名】キング,ポール,イー.
【審査官】櫛引 明佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04149024(US,A)
【文献】米国特許第04227031(US,A)
【文献】米国特許第04495625(US,A)
【文献】特開平03-140791(JP,A)
【文献】特開平09-079752(JP,A)
【文献】特開2013-228169(JP,A)
【文献】特開2013-245354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 1/00-3/28
F27D 17/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の磁界センサと、1つ又は複数の磁界ソースと、コンピュータシステムを含む制御及びデータ取得システムと、を備える装置において、
(a)前記1つ又は複数の磁界センサが、(i)電流包含体内で端と端に配置され、放電ギャップにより分離される第1の及び第2の縦型導電体の少なくとも一部を通して、(ii)前記放電ギャップにまたがり、前記第1の及び第2の導電体間の前記放電ギャップ内の2つの横方向次元内で移動可能な1つ又は複数の一次放電として、一次電流が主に縦方向に流れる前記電流包含体の側表面の周りに配列され、
(b)前記1つ又は複数の磁界センサのうちの各1つが、(i)前記制御及び取得システムに動作可能に連結され、(ii)前記電流包含体の前記側表面の周りに配列される対応センサ位置に配置され、(iii)1つ又は複数の対応センサ校正パラメータによって特徴付けられ、(iv)2以上の次元で磁界成分を測定するように配列され、
(c)前記1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つが、(i)前記制御及び取得システムに動作可能に連結され、(ii)前記電流包含体の前記側表面の周りに配列される対応ソース位置に配置され、(iii)1つ又は複数のソース校正パラメータによって特徴付けられ、(iv)対応制御信号に応答して、前記放電ギャップを含む前記電流包含体の少なくとも一部を横断する方向の対応非ゼロ成分を有する対応する印加磁界を印加するように配列され、
(d)前記コンピュータシステムが、1つ又は複数の電子プロセッサと、前記電子プロセッサに連結される1つ又は複数のデジタル記憶媒体を含み、(i)前記放電ギャップ内の前記1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置を計算し、計算が、1つ若しくは複数の対応センサ位置又はセンサ校正パラメータと共に測定された
前記磁界成分の2つ以上の少なくとも一部に基づき、(ii)結果として生じる前記印加磁界が、選択された放電横軌道又は選択された放電横分布に従って前記
一次放電の推定位置を制御又は変更するように、1つ若しくは複数の対応ソース位置又はソース校正パラメータと共に前記1つ又は複数の一次放電の前記推定横方向位置に少なくとも一部基づいて、前記対応制御信号を生成し、前記1つ又は複数の磁界ソースに送信するように構築され、接続され、プログラムされる、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記1つ又は複数の一次放電の前記推定横方向位置が、前記1つ又は複数の一次放電の総電流密度の重心の推定横方向位置を含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記1つ又は複数の一次放電の前記推定横方向位置が、複数の一次放電の各1つの対応する推定横方向位置を含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記選択された放電横軌道が、ラスタパターン、1つ若しくは複数の円形経路、1つ若しくは複数の楕円経路、螺旋経路、1つ若しくは複数の線形経路、又は不規則経路を含むことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記選択された放電分布が、略一様分布、ガウス分布、頂点が平坦なガウス分布、又はドーナツ分布を含み得ることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記装置が、前記対応する印加磁界が前記放電ギャップを含む前記電流包含体の少なくとも一部を横断する方向の対応非ゼロ成分を有し、前記対応する非ゼロ横方向磁界成分が互いに平行ではないように配列され、それによって2つの横方向次元において前記
一次放電の前記推定位置を制御又は変更することを可能にする、前記磁界ソースのうちの2つ以上を含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記対応する印加磁界が、前記放電ギャップ内で実質的に均一の非ゼロ振幅を有し、前記放電ギャップを実質的に横断する方向に向けられるように、前記1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つが配列されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つが、
導電コイルの対応する対を含み、前記導電コイルの対応する対は、(i)実質的に同一直線上にあり、実質的に横方向に向けられた対応コイル軸を有して前記電流包含体の反対側の側面に配列され、(ii)前記制御及び取得システムによって提供される電流が前記
導電コイルを通って流れ、前記対応する印加磁界を発生させるように前記制御及び取得システムに接続され
ることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、前記放電ギャップが、前記電流包含体内で縦方向に移動可能であり、印加磁界が、前記放電ギャップが位置し得る前記電流包含体の全ての部分を横切る非ゼロ横方向成分を有するように、前記1つ又は複数の磁界ソースが配列されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記対応する印加磁界が前記放電ギャップから縦方向に変位される前記電流包含体の少なくとも一部において
ゼロ振幅のみを有するように、前記1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つが配列されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、(i)前記放電ギャップが、前記電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)前記1つ又は複数の磁界ソースの少なくとも1つが、前記電流包含体に対して縦方向に移動可能であるように配列され、(iii)前記制御及び取得システムが、前記放電ギャップの縦方向移動に応答して前記少なくとも1つの移動可能な磁界ソースの縦方向移動をもたらすように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置において、(i)前記放電ギャップが、前記電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)前記1つ又は複数の磁界ソースのうちの少なくとも1つの前記電流包含体に沿った対応する縦方向位置が、前記1つ又は複数の磁界ソースの他の少なくとも1つの前記電流包含体に沿った対応する縦方向位置とは異なり、(iii)前記制御及び取得システムが、前記放電ギャップの縦方向移動に応答して前記1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つの選択的なアクティブ化又は非アクティブ化をもたらすように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、(i)前記放電ギャップが、前記電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)1つ又は複数の磁気センサのうちの少なくとも1つが、前記電流包含体に対して縦方向に移動可能であるように配列され、(iii)前記制御及び取得システムが、前記放電ギャップ又は少なくとも1つの移動可能な磁界ソースの縦方向移動に応答して、少なくとも1つの移動可能な磁界センサの縦方向移動をもたらすように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記制御及び取得システムが、1つ又は複数の以前送信された制御信号、及び前記以前送信された制御信号の結果として印加される前記対応する磁界からもたらされる前記
一次放電の前記推定横方向位置に少なくとも一部基づいて、前記1つ又は複数の磁界ソースの少なくとも1つについて前記1つ又は複数のソース校正パラメータを更新するように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、(i)前記放電ギャップが、前記電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)前記1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することが、前記放電ギャップの観測された縦方向移動を考慮するように1つ又は複数の校正パラメータを修正すること又は置換することを含むことを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置において、前記1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することが、前記印加磁界の方向に対する前記
一次放電の前記推定位置の観測された移動方向の反転を考慮するように1つ又は複数の校正パラメータを修正すること又は置換することを含むことを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置において、(i)前記ソース校正パラメータが、前記1つ又は複数の磁界ソースに以前送信された対応制御信号の関数として、前記
一次放電の以前の推定位置の表を含み、(ii)前記1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することが、現在の推定位置と制御信号の所与の値又は範囲に対応する以前の推定位置との間
の偏差を観測すると、制御信号の所与の値又は範囲に対応する、前記現在の推定位置を含めるように前記表を更新することを含むことを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項14に記載の装置において、(i)前記ソース校正パラメータが、前記
一次放電の前記推定位置に応答して前記1つ又は複数の磁界ソースを制御するための1つ又は複数の対応するフィードバック係数を含み、(ii)前記1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することが、前記1つ又は複数の対応するフィードバック係数を更新することを含むことを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、前記制御及び取得システムが、前記
一次放電の現在の推定位置及び対応する現在送信される制御信号に応答して前記フィードバック係数を更新するように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項18に記載の装置において、(i)各対応制御信号が、重畳された振動ディザー信号を含み、(ii)前記制御及び取得システムが、前記磁界センサの1つ又は複数によって測定される前記磁界成分のうちの1つ又は複数の振動成分を検出し、対応する更新済みフィードバック係数を前記振動成分から計算するように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項18に記載の装置において、更新済み
の前記フィードバック係数のうちの1つ又は複数が、対応する以前のフィードバック係数と反対の符号を有することを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置において、前記装置が、前記磁界センサのうちの2つ以上を含み、前記センサ位置が、前記電流包含体に沿った2つ以上の別個の縦方向位置の中に、又は前記電流包含体の前記側表面の周りの2つ以上の別個の円周方向位置の中に配列されることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置において、前記装置が、前記磁界センサのうちの2つ以上を含み、前記センサ位置が、前記電流包含体に沿った2つ以上の別個の縦方向位置の中に、且つ前記電流包含体の前記側表面の周りの2つ以上の別個の円周方向位置の中に配列されることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項1に記載の装置において、各センサが、2つの実質的に横方向の次元又は3次元において磁界成分を測定するように配列されることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項1に記載の装置において、(i)前記放電ギャップが、前記電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)前記センサ校正パラメータが、前記放電ギャップの縦方向移動に従って変化することを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置において、前記
一次放電の前記推定位置を計算することが、(i)前記電流包含体内へ前記一次電流を搬送し、若しくは前記電流包含体からリターン電流を搬送する外部導電体、(ii)電流搬送体が入っている外部磁界、(iii)前記1つ若しくは複数の磁界ソースによって印加される前記磁界、又は(iv)前記ソースに電流を搬送する外部導電体(もしあれば)から生じる磁界成分についての補正を含むことを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項1に記載の装置において、前記電流包含体が、前記電流包含体の前記側表面を定義するチャンバ内に封入され、前記センサ及びソースの位置が、前記チャンバ外に位置することを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置において、前記チャンバをさらに備え、前記チャンバが電気アーク炉を含み、前記第1の導電体が、前記炉の電極を含み、前記第2の導電体が、前記炉内に形成されるインゴットを含み、前記一次電流が溶融期間中に流れるときに前記放電ギャップが前記炉を通って縦方向に移動するように前記炉が配列され、前記電極を溶融及び収縮させ、前記インゴットを成長させることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置において、前記制御及び取得システムが、前記一次電流が前記溶融期間中に流れるときに溶融時間と共に変化する推定放電ギャップの縦方向位置を計算するように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の装置を用いて、第1の及び第2の縦型導電体の間の放電ギャップ内で1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置を制御又は変更する方法において、
(A)1つ又は複数の磁界センサを用いて、各対応センサ位置において2以上の次元で対応する磁界成分を測定することと、
(B)コンピュータシステムを用いて、前記放電ギャップ内の前記1つ又は複数の一次放電の前記推定横方向位置を計算することと、
(C)前記コンピュータシステムを用いて、対応制御信号を生成し1つ又は複数の磁界ソースに送信することと、
(D)前記1つ又は複数の磁界ソースを用いて、前記対応制御信号に応答して対応する印加磁界を印加し、それによって、前記1つ又は複数の一次放電の前記推定横方向位置を制御すること又は変更することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、(E)前記コンピュータシステムを用いて、1つ又は複数の以前送信された制御信号、及び前記以前送信された制御信号の結果として印加される前記対応する磁界からもたらされる前記
一次放電の前記推定横方向位置に少なくとも一部基づいて、前記1つ又は複数の磁界ソースの少なくとも1つについて1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、
(E)電流包含体が、前記電流包含体の側表面を定義する電気アーク炉内に封入され、前記センサ及びソースの位置が、前記炉の外部に位置し、
(F)前記第1の導電体が、前記炉の電極を含み、前記第2の導電体が、前記炉内に形成されるインゴットを含み、一次電流が溶融期間中に流れるときに前記放電ギャップが前記炉を通って縦方向に移動するように前記炉が配列され、前記電極を溶融及び収縮させ、前記インゴットを成長させ、
(G)(A)~(D)の部分が、前記溶融期間中に実行されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する優先権主張
本出願は、(i)2018年1月12日にMatthew A.Cibula、Joshua R.Motley、C.Rigel Woodside、及びPaul E.Kingの名義で出願された「Vacuum Arc Control using Arc Position Sensing and Induced Magnetic Fields」と題する米国仮特許出願第62/617,036号明細書、(ii)2018年3月28日にMatthew A.Cibula、Joshua R.Motley、C.Rigel Woodside、及びPaul E.Kingの名義で出願された「Sensing and control of position of an electrical discharge」と題する米国仮特許出願第62/649,570号明細書、及び(iii)2018年12月3月4日にMatthew A.Cibula、Joshua R.Motley、C.Rigel Woodside、及びPaul E.Kingの名義で出願された「Sensing and control of position of an electrical discharge」と題する米国非仮出願第16/209,943号明細書の優先権を主張する。上記仮出願及び非仮出願のそれぞれが、本明細書に完全に明記されているように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の技術分野は、電気アーク又は他の放電などの、自由空間電流の位置を感知すること及び制御することに関する。特に、自由空間電流によって発生する磁界を感知することに基づいて計算される推定位置に応答して、自由空間電流の推定位置を変更するために磁界を印加することを含む、装置及び方法が、本明細書に開示されている。
【背景技術】
【0003】
電気アーク又は他の放電などの、自由空間電流の位置を制御又は推定するための以前の取り組みのいくつかの例が、以下に開示されている。
-1955年12月20日にBoyerに発行された「Titanium furnace」と題する米国特許第2,727,936号明細書
-1955年12月20日にBoyerに発行された「High-vacuum titanium furnace」と題する米国特許第2,727,937号明細書
-1960年9月6日にYeomansらに発行された「Method of operating an electric arc furnace」と題する米国特許第2,951,890号明細書
-1961年2月21日にWroeに発行された「Stabilisation of low pressure D.C.arc discharges」と題する米国特許第2,972,695号明細書
-1961年4月4日にGruberらに発行された「Magnetic field coil for concentrating the arc in a vacuum arc furnace」と題する米国特許第2,978,525号明細書
-1968年8月20日にDe Corsoに発行された「Non-consumable arc electrode」と題する米国特許第3,398,229号明細書
-1970年12月8日にDe Corsoに発行された「Non-consumable electrode vacuum arc furnaces for steel,zirconium,titanium and other metals and processes for working said metals」と題する米国特許第3,546,348号明細書
-1971年12月21日にBruningに発行された「Electric arc vacuum remelting processes」と題する米国特許第3,628,948号明細書
-1972年8月1日にDe Corsoに発行された「Non-consumable electrode vacuum arc furnaces for steel,zirconium,titanium and other metals and processes for working said metals」と題する米国特許第3,680,163号明細書
-1973年1月2日にDe Corsoに発行された「Process of refining metal in a vacuum with coaxially mounted non-consumable electrodes」と題する米国特許第3,708,279号明細書
-1978年10月24日にKarinskyに発行された「Electric arc heating vacuum apparatus」と題する米国特許第4,122,292号明細書
-1986年4月8日にMathewsらに発行された「Electric arc melting apparatus and associated method」と題する米国特許第4,581,745明細書
-1988年8月9日にOginoらに発行された「Arc melting and casting method and apparatus thereof」と題する米国特許第4,762,165明細書
-1994年12月13日にZannerらに発行された「Metals purification by improved vacuum arc remelting」と題する米国特許第5,373,529号明細書
-2012年2月7日にKingらに発行された「Electrical current locator」と題する米国特許第8,111,059号明細書
-2018年3月29日にCibulaら名義で公表された「Estimation of arc location in three dimensions」と題する米国特許出願公開第2018/0088164号明細書
-2018年12月3月4日にMatthew A.Cibula、Joshua R.Motley、C.Rigel Woodside、及びPaul E.Kingの名義で出願された「Sensing and control of position of an electrical discharge」と題する米国非仮出願第16/209,943号明細書
-1985年5月2日に株式会社神戸製鋼所名義で公表された「Manufacture of ingot by vacuum-arc remelting」と題する特開昭60-077939号公報
-1991年12月5日に大同特殊鋼株式会社名義で公表された「Vacuum arc melting」と題する特開平3-274382号公報
-Zanner et al;Observations of melt rate as a function of...during vacuum consumable arc remelting of...;Metallurgical & Materials Transactions B v15 p117(1984)
-Zanner et al;On the Origin of Defects in VAR Ingots;International Symposium on Liquid Metal Processing and Casting,Santa Fe,NM,USA,p13(2005)
-WARD et al;Ensemble Arc Motion & Solidification During the Vacuum Arc Remelting of a Nickel-based Superalloy;Int’l Symp on Liquid Metal Processing & Casting;p49(2005)
-Woodside;Investigating arc behavior in a DC vacuum arc remelting furnace using magnetic flux density measurements;masters thesis,Oregon State University;(2008)
-Woodside;Arc Distribution and Motion During the Vacuum Arc Remelting Process As Detected with a Magnetostatic Approach;PhD dissertation,Oregon State University(2010)
-Woodside et al;A Measurement System for Determining the Positions of Arcs During Vacuum Arc Remelting;IEEE Int’l Instrumentation & Measurement Tech Conf;p452(2010)
-Woodside et al: Characterizing Arc Motion and Distribution During Vacuum Arc Remelting;Int’l Symp on Liquid Metal Processing & Casting;v75(2009)
-Woodside et al;Arc Distribution During the Vacuum Arc Remelting of Ti-6Al-4V;Metallurgical & Materials Transactions B v44 n1 p154(2012)
【0004】
上記特許、出願、及び公報のそれぞれが、本明細書に完全に明記されているように参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0005】
発明の装置は、1つ又は複数の磁界センサと、1つ又は複数の磁界ソースと、コンピュータシステムを含む制御及びデータ取得システムと、を備える。1つ又は複数の磁界センサは、一次電流が主に縦方向に流れる電流包含体の側表面の周りに配列される。一次電流は、電流包含体内で端と端に配置され、放電ギャップにより分離される第1の及び第2の縦型導電体の少なくとも一部を通して流れ、1つ又は複数の一次放電として放電ギャップを横切って導電体間を流れる。1つ又は複数の一次放電は、放電ギャップにまたがり、第1の及び第2の導電体間の放電ギャップ内の2つの横方向次元内で移動可能である。
【0006】
1つ又は複数の磁界センサのうちの各1つが、(i)制御及び取得システムに動作可能に連結され、(ii)電流包含体の側表面の周りに配列される対応センサ位置に配置され、(iii)1つ又は複数の対応センサ校正パラメータによって特徴付けられ、(iv)2以上の次元で磁界成分を測定するように配列される。1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つが、(i)制御及び取得システムに動作可能に連結され、(ii)電流包含体の側表面の周りに配列される対応ソース位置に配置され、(iii)1つ又は複数のソース校正パラメータによって特徴付けられ、(iv)対応制御信号に応答して、放電ギャップを含む電流包含体の少なくとも一部を横断する方向の対応非ゼロ成分を有する対応する印加磁界を印加するように配列される。
【0007】
コンピュータシステムは、1つ又は複数の電子プロセッサと、電子プロセッサに連結される1つ又は複数のデジタル記憶媒体を含み、放電ギャップ内の1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置を計算するように、且つ対応制御信号を生成し、1つ又は複数の磁界ソースに送信するように構築され、接続され、プログラムされる。推定放電位置の計算は、1つ若しくは複数の対応センサ位置又はセンサ校正パラメータと共に測定された磁界成分のうちの2つ以上に少なくとも一部基づく。制御信号の生成は、1つ若しくは複数の対応ソース位置又はソース校正パラメータと共に1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置に少なくとも一部基づく。結果として生じる印加磁界は、選択された放電横軌道又は選択された放電横分布に従って放電の推定位置を制御又は変更する。
【0008】
電気アーク又は他の放電などの、自由空間電流の位置を感知すること及び制御することに関する目的及び利点は、図面に示され、且つ以下に記載された説明又は添付の特許請求の範囲に開示される例としての実施形態を参照すると、明らかとなり得る。
【0009】
この発明の概要は、発明を実施するための形態においてさらに後述される概念の抜粋を、簡潔な形式で導入するために提供される。この発明の概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を判断する際の補助として用いられることを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1A、
図1B、及び
図1Cは、制御及びデータ取得システムに連結された磁気センサ及びソースの例としての発明的配列の概略等角図、上面図、及び側面図である。
【
図2】
図2は、磁気センサ及びソースの例としての発明的配列を有し、一次電流が電極間の放電ギャップを横切って一次放電として流れる、アーク炉の概略縦方向断面図である。
【
図3】
図3は、印加磁界がある(右)及び印加磁界がない(左)放電横方向プロファイルを示す。
【
図4】
図4は、変化する印加磁界から生じる放電横方向プロファイルの時系列、プロファイルの時間平均から生じる放電横分布(右上)、及び印加磁界のない放電横分布(右下)を示す。
【
図5】
図5は、磁気センサ及びソースの別の例としての発明的配列の概略側面図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、磁気センサ及びソースの別の例としての発明的配列の概略側面図である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、磁気センサ及びソースの別の例としての発明的配列の概略側面図である。
【
図8】
図8は、磁気センサ及びソースの別の例としての発明的配列の概略側面図である。
【
図9】
図9は、制御及びデータ取得システムに連結される磁気センサの例としての配列の概略等角図である。
【
図10】
図10は、磁気センサの例としての配列を有し、一次電流が電極間の放電ギャップを横切って一次放電として流れる、アーク炉の概略縦方向断面図である。
【0011】
図示される実施形態は、概略的にのみ示され、全ての特徴は、最大限詳細に、又は適正な比率で示されなくともよく、ある特徴又は構造が、明確にするために他と比較して誇張されてもよく、図面は、一定の縮尺であると見なされるべきではない。示される実施形態は、単なる例であり、本開示の範囲又は添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示される主題は、(i)2018年1月12日にCibulaらの名義で出願された「Vacuum Arc Control using Arc Position Sensing and Induced Magnetic Fields」と題する米国仮特許出願第62/617,036号明細書(以下では’036出願と呼ばれる)、(ii)2018年3月28日にCibulaらの名義で出願された「Sensing and control of position of an electrical discharge」と題する米国仮特許出願第62/649,570号明細書、(iii)2012年2月7日にKingらに発行された「Electric current locator」と題する米国特許第8,111,059号明細書(以下では’059特許と呼ばれる)、及び(iv)2017年9月25日にCibulaら名義で出願された「Estimation of arc location in three dimensions」と題する米国非仮出願第15/715,018号明細書(以下では’018出願と呼ばれ、2018年3月29日に米国特許出願公開第2018/0088164号として公表されている)に開示された主題に関する。上記特許及び上記出願は、本明細書に完全に明記されているように参照により組み込まれる。
【0013】
’059特許及び’018出願は、電気アーク又は他の放電の位置を推定するための様々な装置及び方法を開示する。’018出願からの例は、
図9及び
図10に概略的に示されている。このようなシステムは、複数の磁界センサ200のセット、及び磁界センサ200に動作可能に連結され、コンピュータシステムを含むデータ取得システム299を含む。
図9及び
図10は、電流包含体10の側表面の周りの複数の磁界センサ200の例としての配列を概略的に示している。いくつかの例(例えば、
図10のような)において、電流包含体10は、電気アーク炉100などのチャンバの内部容積であり、電流包含体10の側表面を定義するその壁によって境界が形成されている。「側表面の周囲」又は「周辺部の周り」は、電流包含体の側方境界のちょうど上のセンサ位置、又はその側方境界の内側若しくは外側のセンサ位置を示し得る。いくつかの例において、センサ位置は、電流包含体10に対して複数の別個の円周方向の位置又は複数の別個の縦方向の位置に及び得る(しかし必ずしも完全に電流包含体10を囲まない)。多くの例(例えば、
図10のような)において、アーク炉100の壁は、内部の導電性坩堝101(銅製であることが多い)、外壁102、及びそれらの間の冷却水ジャケット103を含む。このような例において、センサ200は、典型的には、外壁102の外表面上に配置される。このような例は、’018出願及び本開示の焦点であるが、本明細書に開示される装置及び方法は、他の種類又は配列の電流搬送体10内で使用されてもよく、その場合でも本開示の範囲又は添付の特許請求の範囲内に存続している。
【0014】
一次電流20は、概して、電流搬送体10を通って縦方向に流れる。本明細書で使用される「縦方向」及び「横方向」という用語は、一次電流20の流れの所望の方向に関して定義される。横方向の電流包含体10の境界は、側方境界又は側表面と呼ばれる。電流包含体10が電気アーク炉100内に含まれる例について、炉100の長軸が、縦方向又は次元(例えば
図10の垂直方向)を定義し、その炉の軸に垂直な方向が、横方向又は次元(例えば、
図10の水平方向)であり、アーク炉100の側壁が、アーク炉100内の電流包含体10の側表面を定義する。縦方向又は次元は、いくつかの事例においてz方向若しくはz次元、又は垂直方向若しくは次元と呼ばれてもよく、このような事例において、横方向又は次元は、x及びy方向若しくはx及びy次元、又は水平方向若しくは次元と呼ばれ得る。それらの追加の呼称又は記述子は任意であり、説明の便宜上でのみ行われ、本開示の範囲又は添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0015】
第1の及び第2の縦型導電体110及び120はそれぞれ、電流包含体10内で端と端に配置され、放電ギャップ115によって分離される。電流包含体10がアーク炉100の内部にある例において、第1の縦型導電体110は、炉100の電極110を含んでもよく、第2の縦型導電体120は、炉100内に形成されるインゴット120を含んでもよい。炉100の動作中、インゴット120は、典型的には、その上面において(炉100がその典型的な向きで動作され、その長軸が実質的に垂直に向けられ、電極110がインゴット120の上に位置する)溶融金属のプール(即ち、いわゆる溶融プール122)を含む。一次電流20は、第1の導電体110を通って流れ、放電ギャップ115にまたがる1つ又は複数の一次放電30として導電体110/120の間を流れ、第2の導電体120を通って流れる。1つ又は複数の一次放電30は、放電ギャップ115にまたがる1つ又は複数の電気アークの形態であることが多い。アーク炉の例では、一次電流20は、電極110を通って流れ、放電ギャップ115にまたがる1つ又は複数の一次放電30として電極110とインゴット120との間を流れ、インゴット120の少なくとも一部を通って流れる。アーク炉の例では、一次電流20は、インゴット120から坩堝101の側壁内に流れ、坩堝壁の少なくとも一部を通ってリターン電流24として流れる。一次電流20は、(図中のように)リターン電流24として流れる前に主にインゴット120の上面付近から坩堝101の側壁内に流れると、典型的には推測される。一次電流20の少なくとも一部が、リターン電流24として流れる前に、インゴット120に沿って坩堝壁のどこか他の場所に、又はインゴット120の底面において流れることもあり得る。本開示の範囲及び添付の特許請求の範囲は、それらの代替手段のそれぞれ及びそれらの代替手段のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせを包含するものとする。
【0016】
電気アーク炉は、真空アーク再溶融のために動作されることが多く、そこでは電極110が、高価値金属又は合金でできており、(例えば、巨視的又は微細構造体又は合成物の均質性改善、不純物の減少などによって)材料の品質を改善することが望ましい。真空条件下(例えば、約1mmHg未満又は約0.1mmHg未満)で、大電流(例えば、数キロアンペア)が、坩堝101の底面において少量のシード材料に対してアーク30を当てるように電極110を通って駆動される。一次放電30として流れる一次電流20(1つ又は複数の局所化電気アークの形態であることが多い)が、電極110を放電ギャップ115において溶融させ、溶融プール122を形成させる。溶融された材料の凝固が、インゴット120を形成し成長させる。再溶融プロセスが進むにつれて、インゴット120は成長し、電極110は縮小し、放電ギャップ115は、アーク炉100を通って上方に移動する。坩堝101の周りの水ジャケット103は、インゴット材料の所望の特性をもたらすように凝固速度及び条件を制御するために使用される。電極110は、電極110から坩堝101の壁への電流を防止するために、坩堝101(及びしたがって、形成されるインゴット120)より小さな直径を有する。このため、電極110は、電極110が溶融してなくなりインゴット120が成長するときに放電ギャップ115(即ち、電極110とインゴット120との間の距離)の正しい高さを維持するために、炉の動作中正しい速度で下方に移動しなければならない。アーク炉100は、任意の適当な又は望ましい長さであってもよく、多くの例では、100インチを超える長さ、若しくは200インチを超える長さであり、又はそれ以上の長さですらある。
【0017】
電極110の直径は、1つ又は複数の局所化電気アークの形態の一次放電30の横方向の範囲よりも大きいことが多い(かなり大きいこともある)。それによって、一次放電30が、電極110とインゴット120との間の放電ギャップ115の範囲内で2つの横方向の次元において移動することを可能にする。いくつかの事例において、1つ又は複数の局所化電気アークの代わりに、一次放電30は、放電ギャップ115のより大きな横方向領域にわたって広がる拡散アーク又は放電であってもよいが、典型的には、やはり放電ギャップ115内で横方向に移動し得る。電極110の典型的な横方向次元(例えば、円筒電極110の直径)は、約12インチから約36インチの典型的な直径を含んでもよく、直径が約2インチくらいに小さいか、又は直径が50インチくらいに大きいかそれ以上であってもよい。坩堝の横方向寸法は、典型的には、電極寸法よりもやや大きい(例えば、約1インチ大きい、又は約2~4インチ大きいなど、他の適当な差が使用されてもよい)。一方、一次放電30は、典型的にはわずか数ミリメートルの幅であり(例えば、1つ又は複数の電気アークのうちの各電気アーク)、一次放電30が、放電ギャップ115の横方向次元を比較的自由に横切って移動することを可能にする。より拡散した放電30は、直径が数インチであってもよいが、電極直径が十分に大きい場合、やはり放電ギャップ115の範囲内で移動し得る。一次放電30の横方向移動は、インゴット120を形成する材料の品質に影響を及ぼし得る。一次放電30の横方向位置の推定を、インゴット120に沿った縦位置の関数として(又は等価的には、放電ギャップ115の炉100内の縦方向位置の関数として)提供することが望ましい。このような一次放電の横方向位置の推定は、様々な形態を取ってもよく、様々な目的に使用されてもよい。いくつかの例では、一次放電30の推定位置の詳細な軌道が生成され、記憶され得る。他の例では、一次放電30が特定の横方向位置にあったという相対的確率密度を反映する分布関数が、生成され得る。その密度は、任意の適当な、又は望ましい時間スケール、例えば、1秒、10秒、100秒、又は他の適当な間隔にわたって平均され得る。推定されるアークの横方向位置は、炉が動作されるときにリアルタイムで生成されてもよく、又はいわゆるオフライン処理において後で生成されてもよい。
【0018】
’059特許及び’018出願は、放電30の横方向位置を推定するための様々な装置及び方法を開示する。それらの装置及び方法の詳細は、ここで繰り返す必要はない。’059特許及び’018出願は、参照により本開示に組み込まれる。溶融時間の関数としての横方向の放電位置、放電ギャップ115の縦方向位置、又は他の類似の測定値を表すデータが、インゴット120の品質を評価するため、又は検出した品質問題を診断するために使用され得る。
【0019】
本開示の装置及び方法は、再溶融プロセス(例えば、エネルギー分布、エネルギー効率、エネルギー最適化など)又はインゴット120が形成されるときのインゴット120の品質(例えば、インゴット密度、インゴット均一性、空隙又は欠陥の密度など)に対するある程度の制御を達成するために、再溶融プロセス中の放電の横方向位置の能動的な制御又は変更を含む。放電の横方向位置の制御又は変更は、推定される放電横方向位置によってガイドされ、及び推定される放電横方向位置に応答して実行される。そのケイパビリティは、本開示及び添付の特許請求の範囲によって包含される新たな、有用な結果である。背景技術において上記で列挙した文献のいくつかは、インゴットの品質を改善するためにアーク炉内の放電30の位置を制御しようとしている。しかしながら、それらの前述の例のうちのいくつかは、安定した電極形状を有する非消耗電極にのみ適用可能であり(例えば、Bruningに対する特許第3,628,948号又はDe Corsoに対する特許第3,708,279号)、したがって、電極形状が一定でなく、再溶融プロセス中に十分特徴付けされ得ないアーク再溶融炉には適していない。それらの前述の例の中のその他は、放電の横方向位置の正確な推定ができない欠点があるか、又は印加磁界の影響下における放電の横方向移動の性質の根拠のない推定に依存している(例えば、Mathewsらに対する特許第4,581,745号又はOginoらに対する特許第4,762,165号)。
【0020】
本開示の発明的装置は、1つ又は複数の磁界センサ200、1つ又は複数の磁界ソース300、及びコンピュータシステムを含む制御及びデータ取得システム299を含む。様々な例が、
図1A~1C、
図2、
図5、
図6A/6B、及び
図7A/7Bに概略的に示されている。磁界センサ200は、任意の適当な種類又は構造のものであってもよく、電流包含体10の側表面の周りに配列される。動作中、一次電流20は、第1の及び第2の縦型導電体110及び120の少なくとも一部を通り、電流包含体10を通って主に縦方向に流れる。第1の及び第2の縦型導電体110及び120は、電流包含体10内で端と端に配置され、放電ギャップ115によって分離される。電極110及び120は、明確にするために
図1A~1C、
図5、
図6A/6B、及び
図7A/7Bからは省略されているが、
図2では真空アーク炉100の状況において示されている。本開示の装置及び方法は、同様に他の状況においても使用されてもよく、アーク炉と併せた使用のみに限定されない。1つ又は複数の一次放電30は、放電ギャップ115にまたがり、放電ギャップ115を横切って一次電流20を搬送し、第1の導電体110と第2の導電体120との間の放電ギャップ115内の2つの横方向次元において移動可能である。
【0021】
磁界センサ200は、任意の適当な種類のもの(例えば、ホールセンサ)であってもよく、制御及び取得システム299に動作可能に連結される。各センサ200は、電流包含体の側表面の周り、典型的には、電流包含体10の側表面の外側に配列される対応センサ位置に配置される。典型的には、複数のセンサ200は、電流包含体10の側表面の周りの2つ以上の別個の円周方向位置、若しくは2つ以上の別個の縦方向位置、又はその両方のうちに配列される。各センサ200は、1つ又は複数の対応センサ校正パラメータによって特徴付けられ、2以上の次元で磁界成分を測定するように配列される。1つ又は複数の磁界ソース(まとめてソース300と呼ばれる)は、任意の適当な種類のもの(例えば、ペアコイル)であってもよく、また、制御及び取得システム299に動作可能に連結される。ソース300は、電流包含体10の側表面の周り、典型的には、電流包含体10の側表面の外側に配列される対応ソース位置に配置される。2つのソース(対向するコイル300x及び300yの対)は、図面内の例において具体的に示されており、ソース300の他の適当な数又は配列が使用され得る。各ソース300は、1つ又は複数のソース校正パラメータによって特徴付けられ、対応制御信号に応答して、対応する印加磁界を印加するように配列される。それによって印加される各磁界は、放電ギャップ115を含む電流包含体10の少なくとも一部を横断する方向の対応非ゼロ成分を有する。
【0022】
制御及びデータ取得システム299は、コンピュータシステムを含み、コンピュータシステムは、一方1つ又は複数の電子プロセッサ及びそれに連結される1つ又は複数のデジタル記憶媒体を含む。制御及び取得システム299は、典型的には、1つ若しくは複数のアナログデジタル変換器(A/D)又は1つ若しくは複数のデジタルアナログ変換器(D/A)を含み得る。コンピュータシステムは、放電ギャップ115内の1つ又は複数の一次放電30の推定横方向位置を計算し、対応制御信号を生成するように構築され、接続され、プログラムされる。放電30の推定横方向位置の計算は、1つ若しくは複数の対応センサ位置又はセンサ校正パラメータと共に、測定された磁界成分のうちの2つ以上に少なくとも一部基づく。制御信号は、1つ若しくは複数の対応ソース位置又はソース校正パラメータと共に、1つ又は複数の一次放電30の計算された横方向位置推定に少なくとも一部基づいて生成される。生成された制御信号は、制御及びデータ取得システム299を介して、対応する磁界ソース300に送信される。結果として生じる印加磁界(例えば、磁界Bx及びBy)は、選択された放電横軌道又は選択された放電横分布(以下でさらに説明する)に従って放電30の推定位置を制御又は変更する。
【0023】
放電30の「横方向位置」は、任意の適当なやり方で定義され得る。1つ又は複数の一次放電30の推定横方向位置の1つの共通定義は、1つ又は複数の一次放電の総電流密度の重心の推定横方向位置を含む。推定横方向位置の定義は、任意の適当な又は所望のやり方(例えば、最大半量における全幅、二次モーメント、又は統計分布を特徴付けるために使用されるものなどの他の幅パラメータ)で定義される、総電流密度の2次元の幅をさらに含み得る。いくつかの例では、放電30は、複数の別個の放電として扱われてもよく、それぞれが対応する位置及び幅によって特徴付けられる。他の適当な特徴付け又はパラメータ化方式が使用されてもよい。
【0024】
「放電横軌道」は、一次電流20が電流包含体10を通り、放電ギャップ115を横切って流れる間に、放電ギャップ115内の放電30が後に続く横方向の2次元経路を指すものとする。使用され得る放電横軌道の例は、ラスタパターン、単一の円形経路若しくは複数の同心円経路、楕円経路若しくは複数の同焦点円形経路、螺旋経路、1つ若しくは複数の平行若しくは非平行線形経路、又は不規則経路を含むが、これらに限定されない。経路の空間的変形に追加して、横経路も同様に制御又は変更され得るような放電30の横速度、及びそのような制御又は変更が、例えば選択された放電横分布(後述する)を達成するために使用され得る。例えば、速度は、時間と共に実質的に一定のままであってもよく、又は時間と共に正弦的に変化してもよく、又は何らかの他の適当なやり方で変化してもよい。任意の適当な速度変化は、任意の適当な横軌道と組み合わせてもよい(例えば、円形軌道に沿った一定速度、又はラスタ経路に沿った正弦的に変化する速度)。いくつかの例において、軌道は、電極表面のトポロジによって抑制され、又は変更され得る。例えば、並んで溶接された複数のロッドから形成される電極は、互いから分離される電極表面の複数の別個の領域を有してもよく、多極電極をもたらす。そのような例における放電軌道は、電極表面の個別領域について複数の対応する共通部分のない軌道を含み得る。
【0025】
「放電横分布」は、ある指定された時間間隔にわたって平均される放電の横方向位置を示すものとする。横分布は、典型的には、移動の軌道及び速度、放電の大きさ及び形状、並びに放電の数の組み合わせに依存する。それらのうちの1つ又は複数の変形が、横分布の無数の異なる例をもたらし得る。1つの特定の例では、ラスタ軌道に沿った一定速度は、略一様分布をもたらし得る。別の特定の例では、単一の円形経路に沿った一定速度は、(円形経路の半径に対する放電30の幅に依存して)頂点が平坦なガウス分布、又はドーナツ分布をもたらし得る。
【0026】
図3は、放電横方向プロファイルの例としての挙動を示す。左側のパネルでは、磁界が印加されておらず、右側のパネルでは、磁界がx軸に平行に印加され、y軸に沿って放電の予期した移動が生じている。印加磁界が存在するときに、放電横分布が狭くなり、y軸に沿って位置を変えている。
図4では、印加磁界が8秒にわたって180度回転されるときの、一連の8つの放電横方向プロファイルが1秒間隔で示されている。プロファイルは、電極の周囲を中間近くまで(即ち、概して円形軌道に沿って)回転することが分かる。最も右側の2つのパネルは、8秒の期間全体にわたって平均された分布(上)に対して磁界が印加されない分布(下)を示している。印加磁界が電極表面上の周りの放電を移動させるために回転されるにつれて、平均された分布の均一性がより大きくなることに留意されたい。
【0027】
いくつかの例では、磁界ソース300は、放電30の横方向位置を制御又は変更するために、ほぼ連続的に(例えば、アーク再溶融プロセスの全期間中)動作され得る。他の例では、磁界ソース300は、断続的にのみ、例えば、磁気センサ200並びに制御及び取得システム299によってある条件が観測又は検出されるときにのみ、動作される。1つのそのような例では、放電30は、ソース300を動作させることなく、アーク再溶融プロセスの大半の間自由に転々と動き回ることが可能であり得る。しかしながら、望ましくない条件が検出される場合、制御及び取得システム299は、望ましくない条件を緩和するために限定された期間の間、1つ又は複数のソース300をアクティブ化し得る。その後、ソース300は、非アクティブ化され得る。ソース300の断続的なアクティブ化によって緩和され得る望ましくない条件の例は、電極110と坩堝101との間のいわゆるサイドアーク、収縮したアーク、又は固定位置でのアークのいわゆるピンニングを含み得るが、これらに限定されない。
【0028】
放電30の横方向移動が、放電に対する印加磁界により及ぼされるローレンツ力の単純計算によって予期される横方向運動(本明細書において放電の正常運動と呼ばれる、予期される運動)に必ずしも対応しないことが、観測されている。その代わりに、予期される方向と反対方向の放電30の横方向移動が、いくつかの事例において発生することが分かっている(本明細書において放電の異常運動と呼ばれる)。完全に平坦で、完全に平行な、欠陥のない電極表面について、計算されるローレンツ力が、放電の移動を正確に予測するが、電極表面の不規則性、欠陥、又は誤整列が、放電のそのような異常移動の事例をもたらし得ると推測される。アーク圧力の変更、インゴット120上の溶融プール122内のスラグ粒子の存在、又は他の未知の機構などの他の機構が、適用可能であってもよい。真空アーク再溶融の状況では、完全な電極条件の可能性は極めて小さい。電極110は、典型的には、比較的低品質のものであり(したがって再融解プロセスの必要性)、したがって、含有物、空隙、又は他の欠陥を含む可能性が高く、放電ギャップにおいて滑らかに仕上げされた表面を有する可能性が低い。電極110が最初はそのような表面を有する場合であっても、再溶融プロセス自体が、放電の位置に局所化され(したがって、横方向位置の制御の必要性)、再溶融プロセスが進行すると、電極110の表面品質が劣化する可能性が高い。
【0029】
印加磁界に応答して時々観測される放電の異常移動を起こす仕組みに関わらず、そのような異常移動は、本発明の装置及び方法において検出され、考慮されるべきである。例えば、単純なネガティブフィードバック構成が、放電横方向位置を制御するために使用された場合、放電の正常移動から異常移動への切り替えが、安定したネガティブフィードバック構成を不安定なポジティブフィードバック構成に有効に変更する。予期された運動が逆転しない場合であっても、電極表面が劣化するにつれて、又は(例えば、再溶融プロセス中に)それが縦方向に移動するにつれて、印加磁界に対する放電移動の大きさが変化し得る。それに応じて、制御及び取得システム299は、放電移動の正常から異常及びその逆の遷移を考慮するために、1つ又は複数の磁界ソース300のうちの少なくとも1つについて1つ又は複数のソース校正パラメータを更新するように構築され、プログラムされ、接続され得る。このようなソース校正パラメータの更新は、1つ又は複数の以前送信された制御信号、及びそれらの以前送信された制御信号の結果として印加される対応磁界からもたらされる放電の推定横方向位置に少なくとも一部基づき得る。言い換えると、各制御信号が印加されるとき、結果として生じる推定放電横方向位置が、電流校正パラメータに基づいて予期されるものと比較される。実質的な一致がある場合、変更が行われる必要はない。大きさ又は方向において機能的に著しい不一致がある場合(例えば、放電ギャップ115の縦方向移動又は電極表面の変化若しくは劣化に起因して)、適当な校正パラメータが、最新の観測された移動に合致するように更新されてもよく、別の不整合が検出されるまで更新済みパラメータが後続の移動に使用され、更新プロセスが繰り返される。
【0030】
一例では、ソース校正パラメータは、1つ又は複数の磁界ソースに以前送信された対応制御信号の関数として、以前推定された放電位置の表を含む。言い換えると、印加磁界に対する放電横方向位置の履歴が、保持される。1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することは、したがって、現在の推定位置と制御信号の所与の値又は範囲に対応する以前の推定位置との間に著しい偏差を観測すると、制御信号の所与の値又は範囲に対応して現在の推定位置を含むように表を更新することを含む。言い換えると、制御及びデータ取得システム299は、磁界履歴に対する最新位置に従って動作し、以前の履歴が置き換えられるとそれを無視する。
【0031】
別の例では、ソース校正パラメータは、放電の推定位置に応答して1つ又は複数の磁界ソースを制御するための1つ又は複数の対応するフィードバック係数を含む。このような例では、1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することが、1つ又は複数の対応するフィードバック係数(大きさ及び/又は符号、符号の変化が、正常運動から異常運動又はその逆への遷移を示している)を更新することを含む。フィードバック係数は、放電の現在の推定位置及び対応する現在送信される制御信号に応答して更新され得る。代替的に、各対応制御信号が、重畳された振動ディザー信号を含み得る。位相感応性検出又は他の適当な技術が、磁界センサのうちの1つ又は複数によって測定される磁界成分のうちの1つ又は複数の振動成分を検出するために使用されてもよく、対応する更新済みフィードバック係数がそこから計算され得る。
【0032】
印加磁界に応答して放電の2次元横方向移動を十分にもたらすために、装置は、対応する印加磁界が、それらの対応する横方向磁界成分が互いに平行でない放電ギャップ115を横断する方向の対応非ゼロ成分を有するように配列される磁界ソース300のうちの2つ以上を含み得る。いくつかの例では、それらの磁界成分は、概して直交する(例えば
図1A~1Cにおいて、ソース300xは、x軸に概して平行な方向の磁界Bxを生じさせ、ソース300yは、y軸に概して平行な方向の磁界Byを生じさせる)。そのような非平行又は直交配列は、放電ギャップ115の中で2つの横方向次元における放電30の推定横方向位置を制御すること又は変更することを可能にする。
【0033】
いくつかの例において、対応する印加磁界が、放電ギャップ115内で実質的に均一の非ゼロ振幅を有し、放電ギャップ115を実質的に横断する方向に向けられるように、1つ又は複数の磁界ソース300のうちの各1つが配列される。いくつかの例において、1つ又は複数の磁界ソース300の各1つが、電流包含体の反対側の側面上に配列された伝導性コイルの対応する対を含み、対応するコイル軸は実質的に同一線上にあり、実質的に横方向に向いている。図面の例において、ソース300xは、コイルの対向する対を含み、ソース300yも同様である。制御及び取得システム299によって提供される対応電流が、コイルの対を通って流れ、対応コイル軸に概して沿った方向の対応する印加磁界を生成するように、それぞれのそのようなコイルの対が、制御及び取得システム299に接続される。
【0034】
上述のように、いくつかの例では、放電ギャップ115は、アーク再溶融プロセスの間などに、電流包含体内で縦方向に移動可能である。それらの例のうちのいくつかにおいて、対応する印加磁界が、放電ギャップ115が位置し得る電流包含体10の全ての部分を横切る非ゼロ横方向成分を有するように、1つ又は複数の磁界ソース300の各1つが配列され得る。そのような配列は、例えば、縦方向に沿って延長されるコイル300の対を用いることによって(例えば、
図5の例のように)、放電ギャップ115が位置し得る電流包含体10の長さ全体(又は少なくともそれに近い)に沿ってコイル300の対が延びるように、実現され得る。代替的には、複数の磁界ソース300は、電流包含体10に沿った異なる縦方向位置に配置され得る(例えば、
図8の例のように、電流包含体10に沿った4つの対応する異なる縦方向位置におけるソース300x/300yの4つのセットを示している)。いくつかの事例において、対応する印加磁界が、放電ギャップ115が位置し得る電流包含体10の全ての部分を横切る非ゼロ横方向成分を有するように(
図5の例としての配列を用いて達成される結果と同様の結果)、それらの磁界ソース300の全てが同時に動作され得る。他の事例では、ソース300の様々なサブセットが、放電ギャップ115の推定位置に基づいて選択的に動作されてもよく、残りのソース300は非アクティブである。放電ギャップ115が、電流包含体10に沿って縦方向に移動するとき、異なるソース300が、連続してアクティブ化又は非アクティブ化され得る。したがって、比較的高い横方向の印加磁界の領域が、電流搬送体10に沿って縦方向に進行し、それによって、それが移動するにつれてその領域と放電ギャップ115とのオーバラップが実質的に存在する。そのような事例において、制御及び取得システム299は、放電ギャップ115の縦方向移動に応答して複数の磁界ソース300の選択的アクティブ化又は非アクティブ化をもたらすように構築され、プログラムされ、接続され得る。
【0035】
代替的に、放電ギャップ115が電流包含体10に沿って移動可能である他の例では、1つ又は複数の磁界ソース300の少なくとも1つが、電流包含体10に対して縦方向に移動可能であるように配列され得る(例えば、
図6A及び
図6Bの例のように、電流継続体10に沿って異なる縦方向位置におけるソース300x/300yを示している)。そのような例において、制御及び取得システム299は、放電ギャップ115の縦方向移動に応答して移動可能な磁界ソース300の縦方向移動をもたらすように構築され、プログラムされ、接続され得る。それらの例では、それは、典型的には、移動可能な磁界ソース300が、放電ギャップ115から縦方向に変位される電流包含体10の少なくとも一部において微小な印加磁界振幅のみを生じる場合である。コイルが小さいほどコイルを通る所与の電流についてより高い磁界振幅をもたらすため、コイルが磁界ソース300として使用されるときに、それは有利であり得る。その同じ利点が、上述した
図8の例において実現され得る。移動可能なソース300を有するいくつかの例において、磁気センサ200のうちの少なくとも1つは、電流包含体10に対して縦方向に移動可能であるように配列され得る(例えば、
図7A及び
図7Bの例のように、電流包含体10に沿って異なる縦方向位置にソース300x/300y及びセンサ200を示している)。それらの例において、制御及び取得システム299は、放電ギャップ155又は移動可能な磁界ソース300の縦方向移動に応答して移動可能な磁界センサ200の縦方向移動をもたらすように構築され、プログラムされ、接続され得る。1つ又は複数の縦方向位置における静止型センサ200は、1つ若しくは複数の縦方向位置にある静止型ソース300と組み合わせて、又は縦方向に移動する1つ若しくは複数のソース300と組み合わせて使用され得ることに留意されたい。同様に、縦方向に移動するセンサ200は、1つ若しくは複数の縦方向位置にある静止型ソース300と組み合わせて、又は縦方向に移動する1つ若しくは複数のソース300と組み合わせて使用され得る。
【0036】
図1A~1C及び
図7A/7Bの例において、複数のセンサ200が、類似の縦方向のセンサ位置において電流包含体10の周りに配列される。
図2、
図5、
図6A/6B、及び
図8の例において、センサは、電流包含体10に沿った2つ以上の別個の縦方向位置、及び電流包含体10の側表面の周囲の2つ以上の別個の円周方向位置のうちに配列される。いくつかの例において、各センサ200は、2つの実質的に横方向の次元又は3次元において磁界成分を測定するように配列され得る。放電ギャップ115が電流包含体10内で縦方向に移動可能である例において、センサ校正パラメータは、放電ギャップ115の縦方向移動に従って変化し得る。
【0037】
センサ200は、(i)電流包含体10内へ一次電流20を搬送し、若しくは電流包含体10からリターン電流24を搬送する外部導電体、(ii)電流搬送体10が入っている外部磁界、(iii)1つ若しくは複数の磁界ソース300によって印加される磁界、又は(iv)ソース300に電流を搬送する外部導電体(もしあれば)、から生じる磁界成分を含む、存在する全ての磁界を測定する。したがって、放電30の推定位置を計算することが、それらの追加の磁界成分のうちの1つ又は複数についての補正を含み得る。
【0038】
上述のように、発明の装置は、アーク再溶融プロセスをモニタリングし、制御又は変更するために通常使用される。したがって、いくつかの例において、電流包含体10は、電流包含体10の側表面を定義するチャンバ(例えば、真空アーク炉100)内に封入され得る。このような例では、センサ及びソースの位置が、チャンバの外側に位置してもよく、且つ位置することが多い。真空アーク炉100の例では、第1の導電体110が、炉100の電極を含み、第2の導電体120が、炉100内に形成されるインゴットを含み、一次電流20が溶融期間中に流れると放電ギャップ115が炉を通って縦方向に移動するように炉が配列され、電極110を溶融及び収縮させ、インゴット120を成長させる。制御及び取得システム299は、一次電流20が溶融期間中に流れると溶融時間と共に変化する推定放電ギャップの縦方向位置を計算するように構築され、プログラムされ、接続され得る。
【0039】
開示される発明の装置のいずれかを使用する発明の方法は、(A)1つ又は複数の磁界センサ200を用いて、各対応センサ位置において2以上の次元で対応する磁界成分を測定することと、(B)コンピュータシステムを用いて、放電ギャップ115内の1つ又は複数の一次放電30の推定横方向位置を計算することと、(C)コンピュータシステムを用いて、対応制御信号を生成し1つ又は複数の磁界ソース300に送信することと、(D)1つ又は複数の磁界ソース200を用いて、対応制御信号に応答して対応する印加磁界を印加し、それによって、1つ又は複数の一次放電30の推定横方向位置を制御すること又は変更することと、を含む。
【0040】
発明の方法の別の例は、コンピュータシステムを用いて、1つ又は複数の以前送信された制御信号、及び以前送信された制御信号の結果として印加される対応する磁界からもたらされる放電30の推定横方向位置に少なくとも一部基づいて、1つ又は複数の磁界ソース300の少なくとも1つについて1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することをさらに含み得る。
【0041】
発明の方法の別の例において、(E)電流包含体10が、電流包含体10の側表面を定義する電気アーク炉100内に封入され、センサ及びソースの位置が、炉の外部に位置し、(F)第1の導電体110が、炉100の電極を含み、第2の導電体120が、炉100内に形成されるインゴットを含み、一次電流20が溶融期間中に流れると放電ギャップ115が炉100を通って縦方向に移動するように炉100が配列され、電極110を溶融及び収縮させ、インゴット120を成長させ、(G)(A)~(D)の部分が、溶融期間中に実行される。
【0042】
センサ200並びに制御及びデータ取得システム299のさらなる詳細は、上記で組み込まれた’059特許及び’018出願に開示され、ここで繰り返される必要はない。
【0043】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、汎用若しくは専用コンピュータ若しくはサーバ、又はソフトウェアを通してプログラムされた他のプログラマブルハードウェアデバイスとして、又は用いて実施されてもよく、或いはハード配線を通して「プログラムされた」ハードウェア若しくは機器又は2つの組み合わせとして実施されてもよい。「コンピュータ」又は「サーバ」は、単一の機械を含んでもよく、又は(単一の場所若しくは複数の離れた場所に位置する)複数の対話する機械を含んでもよい。コンピュータプログラム又は他のソフトウェアコードは、もし使用される場合、マイクロコード、機械コード、RAM、ROM、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、DVD-ROM、DVD±R、DVD±R/W、ハードドライブ、サムドライブ、フラッシュメモリ、光学媒体、磁気媒体、半導体媒体、又は任意の将来のコンピュータ可読記憶装置の代替手段を共に動作させるネットワークベースの又はウェブベースの又は分散型のソフトウェアモジュールにおいてプログラミングすることを含むことなどによって、有形で非一過性の、一時的又は永久的な記憶又は置換可能媒体において実施され得る。
【0044】
前述したものに加えて、以下の例は、本開示の範囲又は特許請求の範囲内に入る。
【0045】
例1.1つ又は複数の磁界センサと、1つ又は複数の磁界ソースと、コンピュータシステムを含む制御及びデータ取得システムと、を備える装置において、(a)1つ又は複数の磁界センサが、(i)電流包含体内で端と端に配置され、放電ギャップにより分離される第1の及び第2の縦型導電体の少なくとも一部を通して、(ii)放電ギャップにまたがり、第1の及び第2の導電体間の放電ギャップ内の2つの横方向次元内で移動可能な1つ又は複数の一次放電として、一次電流が主に縦方向に流れる電流包含体の側表面の周りに配列され、(b)1つ又は複数の磁界センサのうちの各1つが、(i)制御及び取得システムに動作可能に連結され、(ii)電流包含体の側表面の周りに配列される対応センサ位置に配置され、(iii)1つ又は複数の対応センサ校正パラメータによって特徴付けられ、(iv)2以上の次元で磁界成分を測定するように配列され、(c)1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つが、(i)制御及び取得システムに動作可能に連結され、(ii)電流包含体の側表面の周りに配列される対応ソース位置に配置され、(iii)1つ又は複数のソース校正パラメータによって特徴付けられ、(iv)対応制御信号に応答して、放電ギャップを含む電流包含体の少なくとも一部を横断する方向の対応非ゼロ成分を有する対応する印加磁界を印加するように配列され、(d)コンピュータシステムが、1つ又は複数の電子プロセッサと、電子プロセッサに連結される1つ又は複数のデジタル記憶媒体を含み、(i)放電ギャップ内の1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置を計算し、計算が、1つ若しくは複数の対応センサ位置又はセンサ校正パラメータと共に測定された磁界成分の2つ以上の少なくとも一部に基づき、(ii)結果として生じる印加磁界が、選択された放電横軌道又は選択された放電横分布に従って放電の推定位置を制御又は変更するように、1つ若しくは複数の対応ソース位置又はソース校正パラメータと共に1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置に少なくとも一部基づいて、対応制御信号を生成し、1つ又は複数の磁界ソースに送信するように構築され、接続され、プログラムされる、ことを特徴とする装置。
【0046】
例2.例1に記載の装置において、1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置が、1つ又は複数の一次放電の総電流密度の重心の推定横方向位置を含むことを特徴とする装置。
【0047】
例3.例1に記載の装置において、1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置が、複数の一次放電の各1つの対応する推定横方向位置を含むことを特徴とする装置。
【0048】
例4.例1~3のいずれか1つに記載の装置において、選択された放電横軌道が、ラスタパターン、1つ若しくは複数の円形経路、1つ若しくは複数の楕円経路、螺旋経路、1つ若しくは複数の線形経路、又は不規則経路を含むことを特徴とする装置。
【0049】
例5.例1~4のいずれか1つに記載の装置において、選択された放電分布が、略一様分布、ガウス分布、頂点が平坦なガウス分布、又はドーナツ分布を含み得ることを特徴とする装置。
【0050】
例6.例1~5のいずれか1つに記載の装置において、装置が、対応する印加磁界が放電ギャップを含む電流包含体の少なくとも一部を横断する方向の対応非ゼロ成分を有し、対応する非ゼロ横方向磁界成分が互いに平行ではないように配列され、それによって2つの横方向次元において放電の推定位置を制御又は変更することを可能にする、磁界ソースのうちの2つ以上を含むことを特徴とする装置。
【0051】
例7.例1~6のいずれか1つに記載の装置において、対応する印加磁界が、放電ギャップ内で実質的に均一の非ゼロ振幅を有し、放電ギャップを実質的に横断する方向に向けられるように、1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つが配列されることを特徴とする装置。
【0052】
例8.例1~7のいずれか1つに記載の装置において、1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つが、(i)実質的に同一直線上にあり、実質的に横方向に向けられた対応コイル軸を有して電流包含体の反対側の側面に配列され、(ii)制御及び取得システムによって提供される電流がコイルを通って流れ、対応する印加磁界を発生させるように制御及び取得システムに接続される、導電コイルの対応する対を含むことを特徴とする装置。
【0053】
例9.例1~8のいずれか1つに記載の装置において、放電ギャップが、電流包含体内で縦方向に移動可能であり、印加磁界が、放電ギャップが位置し得る電流包含体の全ての部分を横切る非ゼロ横方向成分を有するように、1つ又は複数の磁界ソースが配列されることを特徴とする装置。
【0054】
例10.例1~8のいずれか1つに記載の装置において、対応する印加磁界が放電ギャップから縦方向に変位される電流包含体の少なくとも一部において微小な振幅のみを有するように、1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つが配列されることを特徴とする装置。
【0055】
例11.例10に記載の装置において、(i)放電ギャップが、電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)1つ又は複数の磁界ソースの少なくとも1つが、電流包含体に対して縦方向に移動可能であるように配列され、(iii)制御及び取得システムが、放電ギャップの縦方向移動に応答して少なくとも1つの移動可能な磁界ソースの縦方向移動をもたらすように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【0056】
例12.例10に記載の装置において、(i)放電ギャップが、電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)1つ又は複数の磁界ソースのうちの少なくとも1つの電流包含体に沿った対応する縦方向位置が、1つ又は複数の磁界ソースの他の少なくとも1つの電流包含体に沿った対応する縦方向位置とは異なり、(iii)制御及び取得システムが、放電ギャップの縦方向移動に応答して1つ又は複数の磁界ソースのうちの各1つの選択的なアクティブ化又は非アクティブ化をもたらすように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【0057】
例13.例1~12のいずれか1つに記載の装置において、(i)放電ギャップが、電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)1つ又は複数の磁気センサのうちの少なくとも1つが、電流包含体に対して縦方向に移動可能であるように配列され、(iii)制御及び取得システムが、放電ギャップ又は少なくとも1つの移動可能な磁界ソースの縦方向移動に応答して、少なくとも1つの移動可能な磁界センサの縦方向移動をもたらすように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【0058】
例14.例1~13のいずれか1つに記載の装置において、制御及び取得システムが、1つ又は複数の以前送信された制御信号、及び以前送信された制御信号の結果として印加される対応する磁界からもたらされる放電の推定横方向位置に少なくとも一部基づいて、1つ又は複数の磁界ソースの少なくとも1つについて1つ又は複数のソース校正パラメータを更新するように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【0059】
例15.例14に記載の装置において、(i)放電ギャップが、電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することが、放電ギャップの観測された縦方向移動を考慮するように1つ又は複数の校正パラメータを修正すること又は置換することを含むことを特徴とする装置。
【0060】
例16.例14又は15のいずれか1つに記載の装置において、1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することが、印加磁界の方向に対する放電の推定位置の観測された移動方向の反転を考慮するように1つ又は複数の校正パラメータを修正すること又は置換することを含むことを特徴とする装置。
【0061】
例17.例14~16のいずれか1つに記載の装置において、(i)ソース校正パラメータが、1つ又は複数の磁界ソースに以前送信された対応制御信号の関数として、放電の以前の推定位置の表を含み、(ii)1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することが、現在の推定位置と制御信号の所与の値又は範囲に対応する以前の推定位置との間の大きな偏差を観測すると、制御信号の所与の値又は範囲に対応する、現在の推定位置を含めるように表を更新することを含むことを特徴とする装置。
【0062】
例18.例14~16のいずれか1つに記載の装置において、(i)ソース校正パラメータが、放電の推定位置に応答して1つ又は複数の磁界ソースを制御するための1つ又は複数の対応するフィードバック係数を含み、(ii)1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することが、1つ又は複数の対応するフィードバック係数を更新することを含むことを特徴とする装置。
【0063】
例19.例18に記載の装置において、制御及び取得システムが、放電の現在の推定位置及び対応する現在送信される制御信号に応答してフィードバック係数を更新するように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【0064】
例20.例18又は19のいずれか1つに記載の装置において、(i)各対応制御信号が、重畳された振動ディザー信号を含み、(ii)制御及び取得システムが、磁界センサの1つ又は複数によって測定される磁界成分のうちの1つ又は複数の振動成分を検出し、対応する更新済みフィードバック係数を振動成分から計算するように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【0065】
例21.例18~20のいずれか1つに記載の装置において、更新済みフィードバック係数のうちの1つ又は複数が、対応する以前のフィードバック係数と反対の符号を有することを特徴とする装置。
【0066】
例22.例1~21のいずれか1つに記載の装置において、装置が、磁界センサのうちの2つ以上を含み、センサ位置が、電流包含体に沿った2つ以上の別個の縦方向位置の中に、又は電流包含体の側表面の周りの2つ以上の別個の円周方向位置の中に配列されることを特徴とする装置。
【0067】
例23.例1~22のいずれか1つに記載の装置において、装置が、磁界センサのうちの2つ以上を含み、センサ位置が、電流包含体に沿った2つ以上の別個の縦方向位置の中に、且つ電流包含体の側表面の周りの2つ以上の別個の円周方向位置の中に配列されることを特徴とする装置。
【0068】
例24.例1~23のいずれか1つに記載の装置において、各センサが、2つの実質的に横方向の次元又は3次元において磁界成分を測定するように配列されることを特徴とする装置。
【0069】
例25.例1~24のいずれか1つに記載の装置において、(i)放電ギャップが、電流包含体内で縦方向に移動可能であり、(ii)センサ校正パラメータが、放電ギャップの縦方向移動に従って変化することを特徴とする装置。
【0070】
例26.例1~25のいずれか1つに記載の装置において、放電の推定位置を計算することが、(i)電流包含体内へ一次電流を搬送し、若しくは電流包含体からリターン電流を搬送する外部導電体、(ii)電流搬送体が入っている外部磁界、(iii)1つ若しくは複数の磁界ソースによって印加される磁界、又は(iv)ソースに電流を搬送する外部導電体(もしあれば)から生じる磁界成分についての補正を含むことを特徴とする装置。
【0071】
例27.例1~26のいずれか1つに記載の装置において、電流包含体が、電流包含体の側表面を定義するチャンバ内に封入され、センサ及びソースの位置が、チャンバ外に位置することを特徴とする装置。
【0072】
例28.例27に記載の装置において、チャンバをさらに備え、チャンバが電気アーク炉を含み、第1の導電体が、炉の電極を含み、第2の導電体が、炉内に形成されるインゴットを含み、一次電流が溶融期間中に流れると放電ギャップが炉を通って縦方向に移動するように炉が配列され、電極を溶融及び収縮させ、インゴットを成長させることを特徴とする装置。
【0073】
例29.例28に記載の装置において、制御及び取得システムが、一次電流が溶融期間中に流れると溶融時間と共に変化する推定放電ギャップの縦方向位置を計算するように構築され、プログラムされ、接続されることを特徴とする装置。
【0074】
例30.例1~29のいずれか1つに記載の装置を用いて、第1の及び第2の縦型導電体の間の放電ギャップ内で1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置を制御又は変更する方法において、(A)1つ又は複数の磁界センサを用いて、各対応センサ位置において2以上の次元で対応する磁界成分を測定することと、(B)コンピュータシステムを用いて、放電ギャップ内の1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置を計算することと、(C)コンピュータシステムを用いて、対応制御信号を生成し1つ又は複数の磁界ソースに送信することと、(D)1つ又は複数の磁界ソースを用いて、対応制御信号に応答して対応する印加磁界を印加し、それによって、1つ又は複数の一次放電の推定横方向位置を制御すること又は変更することと、を含むことを特徴とする方法。
【0075】
例31.例30に記載の方法において、(E)コンピュータシステムを用いて、1つ又は複数の以前送信された制御信号、及び以前送信された制御信号の結果として印加される対応する磁界からもたらされる放電の推定横方向位置に少なくとも一部基づいて、1つ又は複数の磁界ソースの少なくとも1つについて1つ又は複数のソース校正パラメータを更新することをさらに含むことを特徴とする方法。
【0076】
例32.例30又は31のいずれか1つに記載の方法において、(E)電流包含体が、電流包含体の側表面を定義する電気アーク炉内に封入され、センサ及びソースの位置が、炉の外部に位置し、(F)第1の導電体が、炉の電極を含み、第2の導電体が、炉内に形成されるインゴットを含み、一次電流が溶融期間中に流れるときに放電ギャップが炉を通って縦方向に移動するように炉が配列され、電極を溶融及び収縮させ、インゴットを成長させ、(G)(A)~(D)の部分が、溶融期間中に実行されることを特徴とする方法。
【0077】
開示される例としての実施形態及び方法の均等物が、本開示の範囲又は添付の特許請求の範囲内にあるものとすると意図するものである。開示される例としての実施形態及び方法、並びにその均等物は、本開示の範囲又は添付の特許請求の範囲内に存続しつつ、修正され得ると意図するものである。
【0078】
前述の発明を実施するための形態において、様々な特徴が、開示を能率化する目的で、複数の例としての実施形態において共にグループ化され得る。開示のこの方法は、任意の特許請求された実施形態が対応する請求項に明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するとして解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された例としての実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にあってもよい。したがって、本開示は、1つ又は複数の特徴の任意の適当なセットを有する任意の実施形態を暗示的に開示するとして解釈されるものとする。その特徴は、本明細書において明示的に開示されない場合があるそれらのセットを含み、本出願に示され、説明され、又は特許請求される。特徴の「適当な」セットは、セットの任意の他の特徴に対して矛盾がなく、相互に排他的でもない特徴のみを含む。したがって、添付の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、個々の開示された実施形態として自立している。さらに、発明を実施するための形態への特許請求の範囲の上記組み込みによる開示のみのために、添付の従属項のそれぞれが、複数従属形式で書かれ、それが矛盾しない全ての先行請求項に従属しているように解釈されるものとする。添付の特許請求の範囲は、本出願に開示される主題の全体を包含し得るが、必ずしも包含しないことにさらに留意すべきである。
【0079】
本開示及び添付の特許請求の範囲について、接続詞「又は(or)」は、(i)例えば、「...又は...のいずれか」、「のうちの1つだけ」、若しくは類似する言葉を用いることにより明示的にそうでない旨の記載がある場合、又は(ii)列挙される代替手段のうちの2つ以上が、特定の文脈内で相互に排他的であり、その場合に、「又は」が非相互排他的な代替手段に関係するそれらの組み合わせのみを包含する場合を除いて、包含的に解釈されるものとする(例えば、「犬又は猫」は、「犬、又は猫、又はその両方」として解釈され、例えば、「犬、猫、又はネズミ」は、「犬、又は猫、又はネズミ、又はいずれか2つ、又は3つ全て」と解釈される)。本開示及び添付の特許請求の範囲について、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という語、及びその変形は、それらが出現する場合はいつでも、明示的に特段の記載がある場合を除いて、「少なくとも」という語句がそれらの各事例の後に出現した場合と同一の意味を有する、開放型の用語として解釈されるものとする。本開示又は添付の特許請求の範囲について、「ほぼ等しい」、「実質的に等しい」、「約...より大きい」「約...より小さい」などの用語が、数量に関連して使用されるとき、異なる解釈が明示的に述べられる場合を除いて、測定精度及び有効桁に関する標準規定が適用されるものとする。「実質的に防止される」「実質的にない」「実質的に除去される」「0にほぼ等しい」「微少な」などの語句によって説明されるヌル量について、そのような語句のそれぞれが、問題の量が、開示又は特許請求された装置又は方法の意図した動作又は使用の文脈における実用的な目的で、装置又は方法の挙動又は実行全体が、ヌル量が実際に完全に削除された、正確にゼロに等しい、又は正確にヌルになった場合に発生したものと変わらない程度まで低下され、又は減少されている場合を示すものとする。
【0080】
本開示及び添付の特許請求について、実施形態、例、又は請求項の要素、ステップ、限定、又は他の部分の任意のラベル付け(例えば、第1の、第2のなど、(a)、(b)、(c)など、又は(i)、(ii)、(iii)など)は、明確にするためだけのものであり、そのようにラベル付けされた部分の任意の種類の順序又は優先を示唆すると解釈されないものとする。任意のそのような順序又は優先が意図される場合、それは実施形態、例、若しくは請求項に明示的に列挙され、又はいくつかの事例では、それは、実施形態、例、又は請求項の特定の内容に基づいて暗示され、若しくは固有である。添付の特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)の規定が、装置の請求項において実施されるように要求される場合、「手段(means)」という語が、その装置の請求項に現れる。それらの規定が、方法の請求項において実施されるように要求される場合、「のためのステップ(a step for)」という語が、その方法の請求項に現れる。一方、「手段」又は「のためのステップ」という語が請求項中に現れない場合、米国特許法第112条(f)の規定は、その請求項に対して実施されることを意図しない。
【0081】
任意の1つ又は複数の開示が、参照により本明細書に組み込まれ、そのような組み込まれた開示が、本開示と部分的若しくは全体的に抵触する場合、又は本開示とは範囲が異なる場合に、抵触、より広範囲の開示、又はより広範囲の用語定義の範囲まで、本開示が制御する。そのような組み込まれた開示が、互いに部分的又は全体的に抵触する場合、抵触の範囲内まで、日付が後の開示が制御する。
【0082】
要約書は、特許文献の中で特定の主題について検索する人への補助として要求されるように提供される。しかしながら、要約書は、その中に列挙された任意の要素、特徴、又は限定が、任意の特定の請求項によって必ず包含されると示唆することを意図しない。各請求項によって包含される主題の範囲は、その請求項のみの列挙によって決定されるものとする。