(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】紫外線屈曲型殺菌機
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
A61L2/10
(21)【出願番号】P 2020566519
(86)(22)【出願日】2019-02-18
(86)【国際出願番号】 KR2019001897
(87)【国際公開番号】W WO2019160382
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0019417
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520308824
【氏名又は名称】エフエイチアイ コリア カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】シン,サン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】バク,ヨン ウ
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0012971(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0069994(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0340760(US,A1)
【文献】実開昭58-077749(JP,U)
【文献】特表2015-509031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電源を収容する空間が形成され、上端部に床面と垂直な方向に支持部が形成されたベース部と、
屈曲状中央反射部(20)の中央を中心として一方の端と他方の端とが前記支持部から同じ角度で傾斜しており、前記支持部に固定されている複数の屈曲状中央反射部(20)と、
石英ガラス材質で形成され、前記屈曲状中央反射部に外側に向かって紫外線を照射するように設けられた中央紫外線ランプと、
収容空間が形成され、前記支持部の上端に固設される上端反射部と、
前記上端反射部の前記収容空間に設けられ、外側に向かって紫外線を照射する上端紫外線ランプと、
を含み、
前記中央紫外線ランプの両端に設けられるホルダーと一方の側が連結され、他方の側が前記屈曲状中央反射部に連結されて、前記屈曲状中央反射部からの前記ホルダーの角度調整を可能にするホルダーアングルを含み、中央紫外線ランプが前記ホルダーアングルに対して「<」形態または「>」形態に組み立てられ、使用できる
紫外線屈曲型殺菌機。
【請求項2】
複数の前記屈曲状中央反射部は、外側に設けられた前記中央紫外線ランプが照射する紫外線の一部が重畳するように、前記支持部に一定の間隔で設けられる、請求項1に記載の紫外線屈曲型殺菌機。
【請求項3】
前記ベース部は、側面に一定の間隔で設けられ、物体の動きを感知する動作感知センサーと、前記ベース部及び前記支持部に設けられ、電源供給装置から発生する熱を外部に放出する通気口と、を含む、請求項1に記載の紫外線屈曲型殺菌機。
【請求項4】
前記動作感知センサーは、前記電源供給装置と連結されており、前記動作感知センサーが動作を感知したときに前記電源供給装置をターンオフさせ、前記動作感知センサーがオフされた状態でも前記電源供給装置をターンオンさせることができる、請求項3に記載の紫外線屈曲型殺菌機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線屈曲型殺菌機に係り、さらに詳しくは、特定の領域に紫外線を360度全方向に重畳照射することにより殺菌効果を高める紫外線屈曲型殺菌機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細粉塵、自動車排出ガス及び粉塵など各種公害が多く発生している。人々は様々な公害に曝されて病気に簡単に感染してしまう。病気にかかったほとんどの人は、病気を治療するために病院を訪れる。
【0003】
しかし、多くの患者が検査や治療のために病院にやって来るので、意図せず、治療装置および患者が使用する公共施設などにウイルスが伝染してしまう。
【0004】
そこで、患者は、治療を受けるために訪れた病院で2次的なウイルス感染環境に曝される恐れがある。
【0005】
かかる問題を解決するために、病院の設備及び空間に設けられた物品を殺菌する装置の開発が盛んに進んでいる。
【0006】
開発されている装置の一例として、移動式紫外線殺菌機がある。しかし、移動式紫外線殺菌機をはじめとする、現在開発されている紫外線殺菌機は移動式であり、一部の領域しか殺菌することができない。さらに、このような紫外線殺菌機は、紫外線の照射角度が広くないという問題がある。
【0007】
また、公衆トイレをはじめ湿気の多い地下室などの公共の場所を清潔に保つために有害な化学薬品を使用することで安全事故が発生したりする。
【0008】
このような問題を解決するために、薬品の代わりに紫外線殺菌機を用いて清潔を保持できる装置が必要となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題は、広い領域(360度方向及び天井、床面)に紫外線を照射でき、一部領域、すなわち、人間の手や汚染された物質および装置が最も多く接触するところに、光の光学的特性を用いて紫外線を全方向に重ね合わせることにより、一部領域の殺菌効果を高められる紫外線屈曲型殺菌機を提供することである。
【0010】
本発明の技術的課題は、以上で言及した課題に限定されるものではなく、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術的課題を達成するための本発明の紫外線屈曲型殺菌機は、
内部に電源を収容する空間が形成され、上端部に床面と垂直な方向に支持部が形成されたベース部と、
長さの中央を中心として一方の端と他方の端とが前記支持部から同じ角度で傾斜しており、前記支持部に固定されており、中央紫外線ランプ(屈曲型及び直線型、以下、「中央紫外線ランプ」と称する)の紫外線を四方に重畳反射させて殺菌効果を高められる面を有する複数の屈曲状中央反射部と、
石英ガラス材質で形成され、前記屈曲状中央反射部に外側に向かって紫外線を照射するように設けられた中央紫外線ランプと、
紫外線ランプを収容する空間が形成され、上端紫外線ランプの紫外線を上端に向かって反射させて天井部分の殺菌効果を高められる面を有し、前記支持部の上端に固設される上端反射部と、
前記上端反射部の収容空間に設けられ、外側(天井)に向かって紫外線を照射する上端紫外線ランプと、を含む。
【0012】
複数の前記屈曲状中央反射部は、外側に設けられた前記中央紫外線ランプが照射する紫外線の一部が重畳するように、前記支持部に一定の間隔で設けられてもよい。
【0013】
前記屈曲状中央反射部は、前記支持部から鋭角に傾斜しており、前記中央紫外線ランプは、前記屈曲状中央反射部の傾斜に対応しており、前記中央紫外線ランプは、屈曲型及び直線型を有する様々な形態の特徴をさらに備えてもよい。
【0014】
前記紫外線屈曲型殺菌機は、前記中央紫外線ランプの両端に設けられるホルダーと一方の側が連結され、他方の側が屈曲状中央反射部に連結されて、前記屈曲状中央反射部からの前記ホルダーの角度調整を可能にするホルダーアングルを含み、前記ホルダーアングルに前記中央紫外線ランプを組み立てる場合には、「<」の形または「>」の形に変形して使用してもよい。
【0015】
前記ベース部は、側面に一定の間隔で設けられ、物体の動きを感知する動作感知センサーと、前記ベース部及び支持部に設けられ、電源供給装置から発生する熱を外部に放出する通気口と、を含んでもよい。
【0016】
前記動作感知センサーは、前記電源供給装置と連結されており、前記動作感知センサーが動作を感知したときに前記電源供給装置がターンオフさせ、前記動作感知センサーがオフされた状態でも前記電源供給装置をターンオンさせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る紫外線屈曲型殺菌機は、広範な領域を効果的に殺菌して二次感染を短時間で遮断することができる。さらに、細菌が繁殖しやすい箇所、奥まった箇所や湿った箇所を含めて360度全方位的に殺菌効果があり、特に人の手が触れる箇所には紫外線を重畳照射することにより殺菌効果を最大限に高めることができる。
【0018】
なお、本発明の紫外線屈曲型殺菌機は、殺菌する細菌に応じて強度を調整することにより最適な殺菌効果を発揮することができ、人が近づいたときに自動的に紫外線照射を停止することにより、強い紫外線に人がさらされるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機の斜視図である。
【
図2】
図1の紫外線屈曲型殺菌機の分解斜視図である。
【
図3】
図2のホルダーアングルの作動状態を示す作動図である。
【
図4】
図1の紫外線屈曲型殺菌機の作動に応じて紫外線が重なる領域を示す図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機の斜視図である。
【
図6】
図5の(d)の正面状態及び上端面状態を示す写真である。
【
図7】
図5の紫外線屈曲型殺菌機から照射される紫外線の重畳分布状態を示す図である。
【
図8】本発明の紫外線屈曲型殺菌機の照射量と従来の紫外線殺菌機の照射量とを示すデータである。
【
図9】本発明の紫外線屈曲型殺菌機の殺菌性能を立証する資料データである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の利点及び特徴並びにこれらを達成する方法は、添付図面と結び付けて詳細に後述する実施形態を参照すれば明らかになるであろう。しかしながら、本発明は、後述する実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に実現可能である。
【0021】
但し、本実施形態は、本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求の範囲によってのみ定義される。
【0022】
以下、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機について概括的に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機の斜視図である。本発明の紫外線屈曲型殺菌機1は、中央紫外線ランプ30を直線状または屈曲状に形成して適用した形態とすることができる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機1は、支持部12には屈曲状中央反射部20が設けられ、屈曲状中央反射部20には中央紫外線ランプ30が設けられ、支持部の上端には上端紫外線ランプ70が設けられているので、屈曲型殺菌機1を中心として紫外線を上下左右に重畳照射して殺菌する。
【0025】
特に、本発明の紫外線屈曲型殺菌機1は、中央反射部20が、一方の端と他方の端とが長さの中心を基準として鋭角に屈曲するように形成されているため、設けられた中央紫外線ランプ30から放出される紫外線を広角に重畳照射する。また、6つの中央紫外線ランプが広角に紫外線を照射すると、それぞれの屈曲状中央反射部20は、光の光学特性により紫外線を360度全方向に重畳反射照射させる。
【0026】
これにより、紫外線屈曲型殺菌機1は、紫外線が重畳する箇所の殺菌力を高めることができる。特に、人の手が頻繁に触れる箇所に紫外線が重畳するように設計されているので、床面まで360度全方位方向に照射殺菌できるようになっている。したがって、殺菌効率を最大化することができる。
【0027】
また、本発明の紫外線屈曲型殺菌機1は、電源供給装置11と連結された制御部18を含み、制御部18を介して中央紫外線ランプ30及び上端紫外線ランプ70から様々な強度の紫外線を放出することができる。
【0028】
したがって、紫外線屈曲型殺菌機1は、殺菌領域および紫外線照射可能時間に対応して紫外線強度を調整することにより、殺菌したい箇所を効果的に殺菌することができる。
【0029】
また、紫外線屈曲型殺菌機1は、電源供給装置11と連動して物体の動きを感知する動作感知センサー13を含み、動作感知センサー13の感知機能の使用有無に対応して電源供給装置11が独立して作動し、紫外線放射を制御することができる。
【0030】
紫外線屈曲型殺菌機1は、紫外線の強度を調整する特徴及び紫外線の放出有無を制御する特徴により、人体に害を与えることなく殺菌効果を高めることができる。
【0031】
このような紫外線屈曲型殺菌機1は、ベース部10、屈曲状中央反射部20、中央紫外線ランプ30、上端反射部60および上端紫外線ランプ70を含む。
【0032】
さらに、本発明の紫外線屈曲型殺菌機1は、ベース部10にホイールバー151及びボルト152を介して着脱自在に設けられる車輪15、動きを感知する動作感知センサー13、及びランプ寿命緊急状態を表示する緊急表示灯16などを含み、また、ベース部10の支持部12を露出させないメッシュ網シリンダー50、及び使用者が把持して移動するためのハンドル部40を含んでいてもよい。
【0033】
以下、
図2乃至
図4を参照して、紫外線屈曲型殺菌機1に含まれる構成要素および紫外線屈曲型殺菌機1の作動について具体的に説明する。
【0034】
図2は、
図1の紫外線屈曲型殺菌機の分解斜視図であり、
図3は、
図2のホルダーアングルの作動状態を示す作動図であり、
図4の(a)は、
図1の紫外線屈曲型殺菌機の作動により一つのランプにおいて紫外線が重畳する領域を示す図であり、
図4の(b)は、
図1の紫外線屈曲型殺菌機の作動によりすべてのランプにおいて紫外線が重畳する領域を示す図である。
【0035】
ベース部10は、紫外線屈曲型殺菌機1の台座となる。ベース部10は、内部空間に設けられた電源供給装置11を含み、外側面に設けられる制御部18を含み得る。
【0036】
また、ベース部10は、上端面の電源供給装置11と、中央紫外線ランプ30の寿命と関連して緊急状態を表示する緊急表示灯16とを含み得る。
【0037】
制御部18は、電源供給装置11と連結されて使用者および設定によって電源供給装置11の作動を制御することができる。例えば、制御部18は、使用者の操作により電源供給装置11に異なる信号を送信し、中央紫外線ランプ30または上端紫外線ランプ70の作動を制御することができる。そして、電源供給装置11に異常が生じて、安定した電源供給ができない場合、緊急表示灯16に信号を送信して、緊急表示灯16を点灯させることで、使用者が電源供給装置11または中央紫外線ランプ30に異常があると認識できるようにする。
【0038】
また、ベース部10は、上端部に床面と垂直な方向に設けられた支持部12を含み、側面部または下端部に貫通した通気口14を含む。このとき、通気口14は、側面部に長方形状に穿孔されており、外部からの空気が流入したり、電源供給装置11から発生する熱を外部に放出したりすることができる。さらに、通気口14には通気口網17が設けられており、通気口網17により、外部からベース部10の内部、すなわち電源供給装置11に異物が流入することを防止することができる。
【0039】
さらに、ベース部10の上面の中央には、円筒状の支持部12が設けられている。支持部12の外周面には、複数の屈曲状中央反射部20が設けられている。
【0040】
支持部12には、支持部12と垂直な方向、すなわち、ベース部10と平行な方向に突出する支持バー121が形成されてもよい。
【0041】
支持バー121は、複数本で形成されており、屈曲状中央反射部20が支持部12に強固に固定されるようにする。支持バー121は、支持部12の外周面に60度間隔で設けられ、角度が様々に変更されることがある。
【0042】
すなわち、支持部12の外周面に6本の支持バー121が設けられてもよい。このような支持バー121の一端には、ボルトが挿入される穴にタップ(Tap)が形成されていて、中央反射部20が穴にボルト・ナットで固定される。
【0043】
このとき、支持バー121を中央反射部20の中心部に位置させて、組み立てると、中央反射部20の下側面がベース部10の上端面に当接して固定される。各屈曲状中央反射部20をベース部10に当接させることで、支持部12の揺れを防止し、バランスを取りながら装置の安定性を確保することができる。
【0044】
屈曲状中央反射部20は、支持バー121によって固定され、ベース部10に垂直な方向に設けられてもよい。
【0045】
屈曲状中央反射部20は、一側面に中央紫外線ランプ30が設けられており、中央紫外線ランプ30から出力された紫外線を屈曲状反射部で反射する。すなわち、屈曲状中央反射部20は、中央紫外線ランプ30から出力されるビームの照射角度を広げて重ね合わせるので、ランプから放射される紫外線により滅菌効果を最大限に高める屈曲状反射笠である。
【0046】
屈曲状中央反射部20は、長さの中央を中心として一方の側と他方の側が支持部12から同じ角度で傾斜しており、中央紫外線ランプ30から出力される紫外線を広角に拡張反射させることができる。このとき、屈曲状中央反射部20は、支持部12から鋭角に傾斜した屈曲形状に形成されていてもよい。
【0047】
例えば、
図5において、屈曲状中央反射部20は、一方の端と他方の端が支持部12に向かってθ1度屈曲して、断面がトロフィータイプの一部形状に形成されてもよく、または、支持部12からθ2度屈曲して、断面がダイヤモンドタイプの一部形状に形成されてもよい。
【0048】
このような屈曲状中央反射部20の屈曲形状に応じた中央紫外線ランプの作動及び作動効果についての内容は、
図5から
図7に基づいて説明する。
【0049】
屈曲状中央反射部20の外側には、使用者が紫外線屈曲型殺菌機1を移動させるために把持するハンドル部40が設けられてもよい。
【0050】
ハンドル部40は、ベース部10の上面に固定される垂直棒42と、垂直棒42と垂直棒42とを連結する把持部41と、把持部41と把持部41とを連結する水平棒43とからなっている。このとき、ハンドル部40は、中央紫外線ランプの高さ以上に形成されてもよい。
【0051】
使用者は、ハンドル部40を用いて、腰を曲げることなく楽な姿勢で紫外線屈曲型殺菌機1を移動させることができる。
【0052】
さらに、ハンドル部40は、内側に中央紫外線ランプ30、屈曲状中央反射部20、メッシュ網シリンダー50、支持バー121の順に配置されているため、装置を保護する役割も果たす。
【0053】
メッシュ網シリンダー50は、屈曲状中央反射部20と支持部12との間に設けられてもよい。メッシュ網シリンダー50は、中空形状に形成されて内部に支持部12を収容することで、支持部12が外部から見えないようにし、支持部12及び内部配線を保護し、廃熱を排出しやすくする。
【0054】
また、メッシュ網シリンダー50の上端部には、木粉、アセトン、植物油およびその他の添加物が練り込まれて形成された木製パネル51が装着されてもよい。木製パネル51は、メッシュ網シリンダーの直径以下のドーナツ状に形成され、メッシュ網シリンダー50の上端に固定される。木製パネル51は、一方の面に上 端反射部60が安定して固定できるようにする。
【0055】
また、メッシュ網シリンダー50の外周面には、複数の穿孔が形成されており、穿孔を介して、中央紫外線ランプ30が設けられた屈曲状中央反射部20が支持バー121に連結される。
【0056】
中央紫外線ランプ30は、紫外線を放出する。本明細において、中央紫外線ランプ30は、紫外線の中でも殺菌力の高い波長200nm~280nmの紫外線、すなわち、UV-Cを放出するランプとなっている。特に、最も効果的な殺菌効果を有する波長254nmのランプを使用する。
【0057】
中央紫外線ランプ30は、石英ガラス材質で形成され、屈曲状中央反射部20の屈曲形状に対応して変形されてもよい。本発明の一実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機1の中央紫外線ランプ30は、屈曲型ランプである。但し、中央紫外線ランプ30は、屈曲状に限らず、直線状に形成されてもよい。
【0058】
図3に示すように、中央紫外線ランプ30は、中央紫外線ランプの一方の端および他方の端にそれぞれ設けられるホルダー31と、ホルダー31に組み付けられたホルダーアングル32とを介して中央反射部20に固定される。
【0059】
ホルダー31は、中央紫外線ランプ30を屈曲状中央反射部20に固定する役割をし、中央紫外線ランプ30に出力される紫外線の反射光から中央紫外線ランプ30コネクタや、中央紫外線ランプ30から伸びた電線などを保護する役割もする。
【0060】
ホルダーアングル32は、ホルダー31に螺合されるもので、ねじを締め付けたり緩めたりしながら、直線状または屈曲状の中央紫外線ランプ30の形態に合わせて位置を調整して固定することができる。すなわち、ホルダーアングル32とホルダー31とは、ホルダー31の位置角度を調整可能なように連結されている。
【0061】
したがって、ホルダーアングル32とホルダー31との間のねじを緩めてホルダー31の角度を一方から他方に調整した後、再度ねじを締めることでホルダー31の位置角度を調整することができる。特に屈曲型ランプの適用に応じて、紫外線屈曲型殺菌機1の外形も変えることができる。
【0062】
図4(a)に示すように、紫外線屈曲型殺菌機1は、特定の空間に配置されており、中央紫外線ランプ30の一つの領域から上下に照射して重畳範囲を有する(一部の領域のみを表示)。
図4(b)に示すように、すべての中央紫外線ランプ30の重畳領域を全体表示すると、紫外線を360度全方位及び床面まで隅々まで照射することができる。
【0063】
特に、紫外線屈曲型殺菌機1は、支持部12の上端に固設された上端反射部60と、上端反射部60の収容空間に設けられ、外側に向かって紫外線を照射する上端紫外線ランプ70とを介して、特定空間の天井面に紫外線を照射することができる。また、紫外線屈曲型殺菌機1は、屈曲状中央反射部20を介して、一つの中央紫外線ランプ30aと隣接した他の中央紫外線ランプ30bからの紫外線が、部分的に重畳して床面まで照射することができる。
【0064】
このとき、紫外線屈曲型殺菌機1は、ベース部10の一側面に形成された通気口14を介して空気を流入させ、電源供給装置11から発生する熱を、煙突の役割をする支持部12を介して外部に排出させることにより、電源供給装置11を安定的に駆動できるようにする。さらにこれにより、中央紫外線ランプ30及び上端紫外線ランプ70を安全的に作動できるようにする。
【0065】
なお、紫外線屈曲型殺菌機1には、物体の動きを感知する動作感知センサー13がベース部10の一側面に一定の間隔で設けられて、紫外線屈曲型殺菌機1が物体や人の動きを感知したとき、中央紫外線ランプ30及び上端紫外線ランプ70から紫外線が放出されないようにする。
【0066】
例えば、中央紫外線ランプ30及び上端紫外線ランプ70から紫外線を放出しているとき、動作感知センサー13が人の動きを感知すると、動作感知センサー13は、制御部18に信号を送信する。その後、制御部18は、電源供給装置11の作動を止め、中央紫外線ランプ30及び上端紫外線ランプ70から紫外線放出を防ぐために電源を遮断することができる。
【0067】
以下、
図5から
図7を参照して、本発明の他の実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機について説明する。
【0068】
図5は、本発明の他の実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機の斜視図であり、
図6は、
図5の(d)の正面写真及び上端面写真を示す図である。また、
図7は、
図5の紫外線屈曲型殺菌機から照射される紫外線の重畳分布状態を示す図である。
【0069】
まず、
図5の(a)は、屈曲型ランプトロフィータイプ1-1であり、
図5の(b)は、屈曲型ランプダイヤモンドタイプ1-2であり、
図5の(c)は、直線型ランプトロフィータイプ1-3であり、
図5の(d)は、直線型ランプ六角形トロフィータイプ1-4である。また、
図6の(a)は、
図5の(d)の正面状態を示す写真であり、
図6の(b)は、
図5の(d)の上端面状態を示す写真である。
【0070】
図7は、
図5の紫外線屈曲型殺菌機の二種類の製品から照射される紫外線の重畳分布状態を示す図である。トロフィータイプ及びダイヤモンドタイプは、現在市販の従来品よりも多くの重畳領域を有する。特に、トロフィータイプは、多くの重畳領域を形成するので、他の製品よりも滅菌効果が高い場合がある。
【0071】
本発明の他の実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機では、中央紫外線ランプ及び屈曲状中央反射部を除いた他の構成要素は、本発明の一実施形態の紫外線屈曲型殺菌機と実質的に同一である。
【0072】
したがって、本発明の他の実施形態の説明を簡略化するために、本発明の一実施形態と重複する構成要素についての説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。
【0073】
図5の(a)に示す紫外線屈曲型殺菌機1-1は、屈曲状中央反射部20-1の屈曲形状に対応して屈曲した中央紫外線ランプ30-1を含む。
【0074】
中央紫外線ランプ30-1は、屈曲状中央反射部20-1を介して紫外線を広角に散乱させ、
図7の(a)に示すように、広い領域で紫外線を重畳させて広い紫外線重畳領域S1を形成することができる。
【0075】
このような紫外線重畳領域S1は、上端紫外線ランプ70の紫外線領域と一部重畳しており、天井の隅部の殺菌効果を高めることができる。
【0076】
図5の(b)に示す紫外線屈曲型殺菌機1-2は、
図5の(a)に示す屈曲状中央反射部20-1の屈曲形状とは異なり、屈曲状中央反射部20-2の一方の端と他方の端が支持部12の内側方向にθ2度の角度で傾斜している形状、すなわち、ダイヤモンドタイプの一部であってもよい。このとき、θ2は、前述のθ1と同じ角度であってもよい。
【0077】
図7の(b)に示すように、中央紫外線ランプ30-2は、外側に突出した形状であるため、複数の中央紫外線ランプ30-2の間で紫外線重畳領域がトロフィータイプに比べて多少狭くなるという欠点があるが、天井部では紫外線重畳領域が多少増える。紫外線重畳領域S1が同じ方式で存在するため、前記二つの方式は両方とも、実生活で人の手が最も接触しやすい領域に紫外線を集中的に照射できる構造である。
【0078】
図5の(c)に示す紫外線屈曲型殺菌機1-3は、従来の直線型中央紫外線ランプ30を適用した例である。
図5の(c)は、直線型ランプトロフィータイプである。トロフィータイプでは、ランプの形状を様々に変形することができる。
【0079】
図5の(d)に示す紫外線屈曲型殺菌機1-4は、従来の直線型中央紫外線ランプ30を適用した例である。
図5の(d)は、直線型ランプ六角形(任意角形)トロフィータイプであり、様々な方向への変形が可能である。
【0080】
図6の(a)及び
図6の(b)は、
図5の(d)直線型ランプを適用した紫外線屈曲型殺菌機1-4を作動させた際に紫外線が分布及び重畳する正面写真及び上端面写真である。
【0081】
ここで、
図6の(a)の正面写真を見ると、反射鏡により、1つのランプによる光源が3つのランプが照射しているように見え、重畳して放射しているように見える。
図6の(b)の上端面写真を見ると、前述の紫外線重畳部分が床面でも鮮明に表れている。
【0082】
一方、既存の製品は、天井を含めて床の隅などを殺菌することが困難であり、しかも、人の手が多く触れる部分に紫外線重畳領域がほとんどない構造であるため、殺菌するためには長時間使用する必要があるという欠点がある。
【0083】
以下、
図8及び
図9のデータを参照して、本発明の紫外線屈曲型殺菌機の照射量データと、従来の紫外線殺菌機の照射量のデータとを比較分析して、本発明の紫外線屈曲型殺菌機の殺菌効果について詳細に説明する。
【0084】
図8は、本発明の紫外線屈曲型殺菌機の照射量と従来紫外線殺菌機の照射量とを示すデータであり、
図9は、本発明の紫外線屈曲型殺菌機の殺菌性能を立証する資料データである。
【0085】
データに記載されているFHI UV-Cは、本発明の一実施形態および他の実施形態に係る紫外線屈曲型殺菌機である。また、UV-Cは従来の紫外線殺菌機である。
【0086】
本実験のデータは、2つの直線型ランプを用いて実験した結果である。
【0087】
本発明の紫外線屈曲型殺菌機(FHI UV-C)は、照射面から1m離れている場合、上面の1cm2当たり約319μW、壁面の1cm2当たり約420μW、および床面の1cm2当たり約320μWの紫外線を照射することができる。このとき、紫外線屈曲型殺菌機(FHI UV-C)の直線型中央紫外線ランプ30は、長さ1m、直径20mmに形成され、127Wattを出力するランプである。
【0088】
このような形状及び機能を備えた2つの直線型中央紫外線ランプ30を含む紫外線屈曲型殺菌機(FHI UV-C)は、5分間、上面に累積照射量95700μWs/cm2、壁面に126000μWs/cm2、床面に96000μWs/cm2の紫外線を照射することができる。
【0089】
そして、紫外線をさらに5分間照射すると、上面に187500μWs/cm2、壁面に247800μWs/cm2、床面に185400μWs/cm2を照射することができ、紫外線をまたさらに5分間照射すると、上面に279300μWs/cm2、壁面に367200μWs/cm2、床面に277800μWs/cm2を照射することができる。ここで、6つの中央紫外線ランプを使用する場合は、上に列挙された値よりも高い値が得られる可能性がある。
【0090】
一方、中央紫外線ランプと同じランプが設けられた従来の紫外線殺菌機UV-Cは、照射面から1m離れている場合、上面の1cm2当たり約255μW、壁面の1cm2当たり約378μW、および床面の1cm2当たり約266μWの紫外線を照射することができる。
【0091】
そこで、従来の紫外線殺菌機(UV-C)は、5分間、上面に76500μWs/cm2、壁面に113400μWs/cm2、床面に79800μWs/cm2の紫外線を照射することができ、紫外線をさらに5分間照射すると、上面に152400μWs/cm2、壁面に221400μWs/cm2、床面に157800μWs/cm2を照射することができ、紫外線をさらにまた10分間照射すると、上面に228300μWs/cm2、壁面に329400μWs/cm2、床面に235500μWs/cm2を照射することができる。
【0092】
本発明の紫外線屈曲型殺菌機(FHI UV-C)は、従来の紫外線屈曲型殺菌機(UV-C)に比べて、上面では20%以上、壁面では10%以上、および床面では15%以上の紫外線照射量を高めることができる。6つの中央紫外線ランプ30を使用する場合は、上に列挙された効率よりも高い効率が得られる可能性がある。
【0093】
このような紫外線屈曲型殺菌機(FHI UV-C)は、高められた紫外線照射量により、6600μWs/cm2で滅菌されているバクテリオファージ(Baoteriophage)、8000μWs/cm2で滅菌されている肝炎ウイルス(hepatitis virus)、6600μWs/cm2で滅菌されているインフルエンザウイルスなどを完全かつ迅速に除去し得る。
【0094】
図9は、本発明の紫外線屈曲型殺菌機の殺菌性能を立証する資料データである。
【0095】
図9の資料データは、0.27m×0.30m×0.3mの小さなチャンバーにおいて波長253.7nmのUV-Cランプを用いて120μW/cm
2の強度で約5分間照射し、Room Humid(RH)55%の状態で行われた実験からのデータである。
図9に示す各サンプルのウイルスは、各種ウイルスの中で代表的なものである。
【0096】
図9のグラフからわかるように、X軸照射量30,000μWs/cm
2ほどの照射量であれば、すべてのウイルスは、Y軸生存率0.001%以下の生存率を示す。これは0.3mの距離で得られた結果であるが、
図8のFHI UV-Cと比較すると、4mの距離で15分間照射した量と類似し、1mの距離では約3分間照射した量と類似している。
【0097】
換言すれば、それは、すべての種類のウイルスが、最大半径4mで短時間に生き残ることができないことを意味する。
【0098】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が、その技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施され得るということを理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。