(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】交通安全管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20230807BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230807BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20230807BHJP
E01F 9/00 20160101ALI20230807BHJP
G08G 1/00 20060101ALN20230807BHJP
【FI】
G06Q50/26
G09B29/00 F
G06Q10/04
E01F9/00
G08G1/00 A
(21)【出願番号】P 2022028506
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2022-09-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000101477
【氏名又は名称】アトミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】矢部 健司
(72)【発明者】
【氏名】古市 圭介
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-115306(JP,A)
【文献】特開2003-193439(JP,A)
【文献】特開2002-133042(JP,A)
【文献】特開2002-310680(JP,A)
【文献】特開2003-123185(JP,A)
【文献】特開2021-182189(JP,A)
【文献】友金幸浩,ビッグデータ・オープンデータの活用 杉並区のビッグデータを活用した安全対策の取組み,月刊J-LIS,日本,地方公共団体情報システム機構,2017年07月01日,第4巻,第4号,第10-13頁,ISSN:2188-4943
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G09B 29/00
E01F 9/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通規制情報と、交通事故情報と、車両の実走行データを示す走行情報を含む外部ビッグデータと、前記交通規制情報に対応している交通安全施設情報と、
前記交通事故情報に対応する危険度を示す第一基準値と、前記走行情報に対応する危険度を示す第二基準値と、前記交通安全施設情報に対応する危険対策度を示す第三基準値と、を記憶する記憶部と、
ユーザによって、地図上で交通危険箇所を特定したい範囲を示す位置情報である出力範囲情報を入力するための入力部と、
前記記憶部に記憶された情報のうち、
前記交通事故情報と前記第一基準値を照らし合わせて決定された第一数値および前記走行情報と前記第二基準値を照らし合わせて決定された第二数値に基づく危険度の数値データと、前記交通安全施設情報と前記第三基準値を照らし合わせて決定された危険対策度の数値データに基づいて、前記交通危険箇所を特定するための交通危険箇所判定値を算出し、前記交通危険箇所判定値を前記位置情報に対応させることで交通危険箇所を特定する分析部と、
前記分析部の分析結果に基づいて前記交通危険箇所を表示させるための表示データを生成する表示制御部と、を備える、交通安全管理システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記交通危険箇所判定値毎に異なる視覚態様で、前記交通危険箇所を地図上に表示させるための前記表示データを生成する、請求項1に記載の交通安全管理システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記交通危険箇所を前記交通危険箇所判定値とともに表示させるための前記表示データを生成する、請求項1に記載の交通安全管理システム。
【請求項4】
前記分析部は、前記交通危険箇所に仮の安全対策を設定することが可能であり、
前記分析部は、少なくとも前記仮の安全対策に基づいて交通危険箇所判定値を再計算し、
前記分析部は、再計算された前記交通危険箇所判定値に基づいて、前記仮の安全対策が設定された後の交通危険箇所を再特定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の交通安全管理システム。
【請求項5】
前記分析部は、前記交通危険箇所を特定するための交通危険箇所判定値を算出し、算出した前記交通危険箇所判定値に応じて複数の危険段階に分類する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の交通安全管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交通安全管理システムに関する。
【0002】
特許文献1は、交通規制(速度制限に関する規制等)に関するデータと、交通安全施設(信号器、道路標識、道路標示等)に関するデータと、道路地図データと、を含むデータベース(以下、単にDBともいう。)を作成することによって、各種情報を一元的に管理することができる交通安全管理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る交通安全管理システムは、交通規制や交通安全施設に関する情報を有しているにも関わらず、将来の交通安全を実現するための対策を検討することには利用されていなかった。
【0005】
本開示は、将来の交通安全を実現するための対策検討を支援することが可能な交通安全管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための一態様に係る交通安全管理システムは、
交通規制情報と、交通事故情報と、車両の実走行データを含む外部ビッグデータと、を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された情報のうち、少なくとも一部を抽出し、交通危険箇所を特定する分析部と、
前記分析部の分析結果に基づいて前記交通危険箇所を表示させるための表示データを生成する表示制御部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、従来の交通安全管理システムが有している交通規制情報、交通事故情報に加えて、車両の実走行データを含む外部ビッグデータを分析に用いて交通危険箇所を精度よく特定できる。また、特定した交通危険箇所を表示できることにより、複数の交通危険箇所同士の比較を容易にし、適切な対策の提案を可能にする。すなわち、将来の交通安全を実現するための対策検討を支援することが可能な交通安全管理システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、将来の交通安全を実現するための対策検討を支援することが可能な交通安全管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の一態様に係る交通安全管理システムのシステム構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の一態様に係る交通安全管理システムが実行する処理のフローチャート図である。
【
図3】
図3は、表示部に表示される画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、表示部に表示される画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、表示部に表示される画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、表示部に表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
(交通安全管理システムの基本構成)
はじめに、
図1を参照しつつ、本実施形態に係る交通安全管理システム1の基本構成について説明する。以降における交通安全施設とは、交通の安全と円滑、および交通公害の防止等を実現するための施設である。交通安全施設は、例えば、道路標識、道路標示、信号機等である。また、交通安全管理システム1は、例えば、閉じられたネットワーク領域内で利用されうる。閉じられたネットワーク領域とは、例えば、警察内のネットワーク領域等である。
【0012】
図1に例示するように、交通安全管理システム1は、サーバ2と、端末装置3と、を備えている。サーバ2および端末装置3は、LANケーブル等の通信線4を介して互いに通信可能に接続されている。サーバ2は、取得部21と、記憶部22と、処理部23を備えている。取得部21と、記憶部22と、処理部23は、バス24を介して互いに通信可能に接続されている。端末装置3は、入力部31と、記憶部32と、表示部33と、出力部34と、を備えている。端末装置3は、例えば、サーバ2の記憶部22に記憶された各種情報や処理部23が生成した各種情報および各種データを取得するための出力範囲情報をサーバ2に送信する。サーバ2は、端末装置3から当該出力範囲情報を受信すると、受信した出力範囲情報に対応する情報やデータを端末装置3に送信する。
【0013】
交通安全管理システム1は、例えば、LANケーブル等の通信線7により、外部装置5に通信可能に接続されている。外部装置5は、交通安全管理システム1から独立した装置である。外部装置5は、例えば、プリンタ等である。
【0014】
取得部21は、例えば、端末装置3から、各種情報を取得する。取得部21は、例えば、端末装置3が外部記憶媒体6に記憶された各種情報を取得し、当該各種情報を取得部21に送信することで、当該各種情報を取得する。外部記憶媒体6は、例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、磁気テープ、不揮発性メモリカード等である。取得部21が端末装置3から取得する情報としては、例えば、警察等から提供される交通事故情報等である。取得部21は、取得した各種情報を記憶部22に送信する。
【0015】
記憶部22は、例えば、HDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)等の記憶媒体により構成されている。記憶部22は、分析部23Bによって実行されるコンピュータプログラム(コンピュータ可読命令)、サーバ2が端末装置3や外部装置5等から受信した各種情報等を記憶する。記憶部22は、例えば、記憶部22に記憶されている情報とは異なる情報や記憶部22に記憶されていない情報を取得部21から受信すると、当該受信した情報を記憶する。
【0016】
記憶部22は、地
図DB(Data Base)22Aと、交通規制DB22Bと、標識DB22Cと、標示DB22Dと、信号機DB22Eと、事故DB22Fと、走行DB22Gと、システムコントロールファイル22Iと、を含む。地
図DB22Aと、交通規制DB22Bと、標識DB22Cと、標示DB22Dと、信号機DB22Eと、事故DB22Fと、走行DB22Gと、は、データベースリンク8を介して、相互に電気的に接続されている。
【0017】
地
図DB22Aには、住所情報等を含む地図情報が記憶されている。住所情報とは、建造物が建っている位置を示す情報等である。
【0018】
交通規制DB22Bには、道路毎または地域毎に施行される交通規制に関する交通規制情報が記憶されている。交通規制情報は、交通規制が施行される位置に関する施行位置情報および交通規制の内容に関する規制内容情報を含む。交通規制の内容とは、例えば、一時停止、一方通行、右折禁止、通行禁止、駐車禁止、速度制限30km/h等である。交通規制の施行位置は、一地点であってもよいし、複数の地点を含む領域であってもよい。
【0019】
標識DB22Cには、各道路標識(交通安全施設の一例)に関する道路標識情報(交通安全施設情報の一例)が記憶されている。道路標識とは、道路の近傍または上空に設けられ、道路を利用する者(車両の運転者等)に必要な情報を提供するための表示板である。道路標識としては、例えば、制限速度を示す標識、車両の停止を促す標識等である。道路標識情報は、各標識の設置位置、設置時期、種類、色、大きさ等の各種情報を含む。
【0020】
標示DB22Dには、各道路標示(交通安全施設の一例)に関する道路標示情報(交通安全施設情報の一例)が記憶されている。道路標示とは、道路に描かれる標示であって、交通に関する規制または指示を表示する標示である。道路標示としては、例えば、車線区画線、停止線、車両停止を促すマーク(例えば、「止まれ」のマーク)、横断歩道を示す線等である。道路標示情報は、各標示の設置位置、設置時期、種類、大きさ等の各種情報を含む。
【0021】
信号機DB22Eには、各信号機(交通安全施設の一例)に関する信号機情報(交通安全施設情報の一例)が記憶されている。信号機情報は、各信号機の設置位置、設置時期、種類等の各種情報を含む。
【0022】
交通規制と交通安全施設は、関連性を有する。例えば、ある場所に一時停止を内容とする交通規制が施行される場合、当該場所には一時停止を示す標識及び標示(交通安全施設)が設置される。このように、交通規制は交通安全施設に対応しており、交通安全施設もまた交通規制に対応している。
【0023】
事故DB22Fには、交通事故情報が記憶されている。交通事故情報は、交通事故の件数に関する件数情報、交通事故の発生位置に関する発生位置情報、交通事故の発生時刻に関する発生時刻情報、交通事故の被害者数や被害内容に関する被害情報、交通事故の発生位置を管轄する警察署等に関する管轄情報等を含む。
【0024】
走行DB22Gには、各車両の走行経路情報、走行速度情報(平均速度情報等)、ブレーキの作動情報、走行時の天候情報等、各道路における車両の通行台数情報、ABS(Anti-lock Breake System)が作動した車両の台数、時刻、場所等を示すABS発生情報、急発進した車両の台数、時刻、場所等を示す急発進発生情報、ワイパーを作動させた車両の台数、時刻、場所等を示すワイパー発生情報、ヘッドランプが点灯した車両の台数、時刻、場所等を示すヘッドランプ発生情報を含む外部ビッグデータが記憶されている。
【0025】
地
図DB22A、交通規制DB22B、標識DB22C、標示DB22D、信号機DB22E、事故DB22F、および走行DB22Gに記憶されている情報は、適宜更新、追加または削除されうる。
【0026】
システムコントロールファイル22Iには、交通安全管理システム1を動作させるためのコンピュータプログラム、交通安全施設に関する法令情報、および事故データ、走行データ等の危険度及び、安全施設、安全対策等の危険対策度の基準値が記憶されている。システムコントロールファイル22Iに記憶されているコンピュータプログラム、法令情報および基準値は、適宜更新、追加または削除されうる。
【0027】
法令情報は、道路交通法、道路標識令等の交通関連の法令に関する情報である。法令情報は、交通安全施設の設置基準に関する交通規制基準情報を含む。交通規制基準情報は、例えば標識の設置間隔、標識の設置数量等に関する情報等である。標識の設置間隔や標識の設置数量は、道路交通法、道路標識令等の法令により、交通安全施設ごとに予め定められている。
【0028】
危険度の基準値は、事故DBや走行DBに記録されている、事故や走行情報等の交通危険情報に対応する数値データである。交通危険情報は一件ごとにその被害情報等から判断される危険度に応じた数値が割り当てられる。交通危険情報の数値の割り当てはユーザによって一件ごとに設定されてもよいし、所定のアルゴリズムに従って自動的に設定してもよい。
【0029】
危険対策度の基準値は、交通規制DB、標識DB、標示DB、信号機DBに記録されている、取り締まりや最高速度設定等の安全施設情報に対応する数値データである。安全施設情報は一件ごとにその影響力等から判断される危険対策度に応じた数値が割り当てられる。安全施設情報への数値の割り当てはユーザによって一件ごとに設定されてもよいし、所定のアルゴリズムに従って自動的に設定してもよい。
【0030】
処理部23は、記憶部に記憶されている情報や、端末装置3からの情報を処理する。処理部は、検索部23A、分析部23B、表示制御部23Cを有する。処理部23は、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、集積回路(ハードウェア資源)を含むその他電子回路を含んでもよい。
【0031】
検索部23Aは、端末装置3で入力された出力範囲情報に基づいて、記憶部内の情報を検索し、数値の比較を行う。記憶部内の情報は例えば事故DB22Fや走行DB22G、システムコントロールファイル22I内の情報である。
【0032】
分析部23Bは、記憶部22に記憶された情報と端末装置3で入力された出力範囲情報に基づいて、交通危険箇所を特定する。出力範囲情報とは、ユーザが指定する、地図上で交通危険箇所を特定したい範囲を示す位置情報である。分析部23Bは交通危険箇所を特定し、分析結果として出力する。
【0033】
表示制御部23Cは、分析部23Bで特定された交通危険箇所の分析結果を基に、表示データを作成する。表示データは、例えば地図上に表示するための地図表示データであってもよいし、表形式で表示させるための表表示データであってもよい。表示制御部23Cは表示データを端末装置3に送信する。
【0034】
端末装置3は、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等の電子装置である。
【0035】
入力部31は、端末装置3を操作するユーザの入力操作を受け付けると共に、当該入力操作に対応する指示信号を生成するように構成されている。入力部31は、例えば、端末装置3の表示部33上に重ねて配置されたタッチパネル、端末装置3の筐体に取り付けられた操作ボタン等である。入力部31には、例えば、出力範囲情報等が入力される。
【0036】
記憶部32のハードウェア構成は、例えば、サーバ2の記憶部22と同様のハードウェア構成であってもよい。記憶部32は、端末装置3によって実行されるコンピュータプログラム、端末装置3がサーバ2等から受信した各種情報等を記憶する。
【0037】
表示部33は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のタッチスクリーン型のディスプレイ等である。表示部33は、画像を表示するように構成されている。
【0038】
出力部34は、表示制御部23Cによって生成された表示データを外部装置5に出力することができる。
【0039】
次に
図2~
図6を参照しつつ、本発明に係る実施例において、交通安全管理システム1が実行する処理について説明する。具体的には本実施例では、ユーザが地図上で指定した範囲内において交通危険箇所を特定する際の、交通安全管理システム1が実行する処理について説明する。なお、記憶部22には、コンピュータプログラム及び各種情報があらかじめ記憶されているものとして説明する。
【0040】
はじめに、
図2に例示するように、ユーザは、端末装置3の入力部31に出力範囲情報を入力する(STEP1)。本実施例では、ユーザは、ユーザが地図上で交通危険箇所を特定したい範囲を出力範囲情報として入力部31に入力する。出力範囲情報は範囲としての位置情報である。出力範囲情報が入力部31に入力されると、入力部31は、入力された出力範囲情報をサーバ2に送信する。
【0041】
ユーザが端末装置3の入力部に出力範囲情報を入力する方法は、端末装置3の態様によって異なる。入力方法は、例えば住所を入力しても、緯度経度を入力しても、マウス操作によって範囲を指定しても、タッチパネル上で触覚的に範囲を指定してもよい。
【0042】
図2に例示するように、サーバ2の検索部23Aは端末装置3から受信した出力範囲情報を基に、事故DBから、指定された出力範囲情報内の事故情報を検索する(STEP2)。検索部23Aは出力範囲情報で指定された地図上の範囲の被害者数や被害内容等の事故情報を事故DB22Fから検索し、システムコントロールファイル22Iに記憶されている交通危険度の基準値と照らし合わせて事故一件ごとの危険度を数値として決定する。
【0043】
図2に例示するように、サーバ2の検索部23Aは、出力範囲情報を基に、走行DBから指定された位置情報範囲内の車の走行情報を検索する(STEP3)。検索部23Aは出力範囲情報で指定された地図上の範囲の位置情報範囲内の速度超過情報や急ブレーキ情報等の走行情報を走行DBから検索し、システムコントロールファイル22Iに記録されている交通危険度の基準値と照らし合わせて走行データ一件ごとの危険度を数値として決定する。
【0044】
図2に例示するように、サーバ2の検索部23Aは端末装置3から受信した出力範囲情報を基に、交通規制DB22B、標識DB22C、表示DB22D、信号機DB22Eから、指定された出力範囲情報内の既存の安全施設、対策を検索する(STEP4)。検索部23Aは出力範囲情報で指定された地図上の範囲の位置情報範囲内の安全対策や対策等の情報を走行DBから検索し、システムコントロールファイル22Iに記録されている基準値と照らし合わせて安全施設データ一件ごとの危険対策度を数値として決定する。
【0045】
図2に例示するように、分析部23Bは、検索部で検索した事故情報、走行情報及び交通安全施設情報を用いて決定された危険度と危険対策度の数値データを基に、所定のプログラム、アルゴリズムを用いて交通危険箇所判定値の計算を行い、計算結果を位置情報と対応させることによって、交通危険箇所を特定する(STEP5)。交通危険箇所判定値はある地点が交通事故の観点からどの程度危険かを数値によって定量的に示したものであり、危険度と危険対策度の数値データより算出される。仮に、危険度のみによって、交通危険箇所判定値を算出した場合に比べて、危険対策度を交通危険箇所判定値の算出に加えた場合、危険対策度の値に応じて交通危険箇所判定値が低く算出される。
分析部23Bは、交通危険箇所の位置情報と交通危険箇所判定値を出力する。分析部23Bは上記データを出力する際、出力するデータを一時保存するメモリ機能を有する。
【0046】
図2に例示するように、表示制御部23Cは、分析部23Bで特定された交通危険箇所を基に、表示データを生成する。本実施形態において表示データは、分析部23Bで計算された交通危険箇所判定値を基に、値に応じて複数の段階に分類される。本実施形態では、交通危険箇所判定値の値に応じて、交通危険箇所を危険段階1から危険段階5までの5段階に分類している。表示制御部23Cは生成した表示データを端末装置3に出力する。
【0047】
図2に例示するように、端末装置3は表示制御部23Cから表示データを受け取り、表示部23に表示させる(STEP6)。表示形態を
図3、
図4に例示する。表示部23における交通危険箇所の表示形式は、交通危険箇所を複数同時に視認できるように一覧表示であることが望ましく、
図3のように地図上にグリッド形式で表示されても、
図4のように表形式で表示されても、その他の表示形式をとってもよい。
【0048】
図3に例示するように、本実施形態で交通危険箇所を地図上にグリッド形式で表示する場合、交通危険箇所は表示制御部23Cにて段階的に分類された危険段階に応じて着色され、表示される。この時危険度が、ユーザがあらかじめ設定した閾値と比べ、低い箇所に関しては着色しなくてもよい。
【0049】
図4に例示するように、本実施形態で交通危険箇所を表形式で表示する場合、危険箇所は危険度が高い順に上から並び替えることができる。また、ユーザが任意に設定した基準で並び替えることもできる。
【0050】
図4に例示するように、表形式で表示した際は、危険箇所の住所の詳細、事故件数、当該危険箇所の交通規制情報などを表示してもよい。
【0051】
図2に戻り、STEP7について説明する。STEP7では、端末装置3の入力部31に仮の安全対策が入力されたかどうかの判断が行われる。STEP6が実施された後、ユーザが端末装置3の入力部31に仮の安全対策を入力すると(STEP7においてYES)、STEP5に戻る。なお、安全対策とは、安全施設の設置や安全教育、取り締まり等のことを指す。一方で、端末装置3の入力部31に仮の安全対策が入力されない場合(STEP7においてNO)、交通安全管理システム1は処理を終了させる。
【0052】
本実施例では、ユーザは、ユーザが地図上で仮の安全対策を設定したい範囲を入力範囲情報として入力部31に入力する。
図5において点線で表示された範囲Pが仮の安全対策設置範囲である。
図5においては、範囲P内に交通危険箇所P1、P2、P3があり、交通危険箇所P3と連続ではあるものの、範囲Pの外にある交通危険箇所P4がある。入力範囲情報は所定範囲の位置情報と安全対策区別情報で構成される。安全対策区別情報は、仮に設定する安全対策の種類と危険対策度を特定する情報である。入力範囲情報が入力部31に入力されると、入力部31は、入力された入力範囲情報をサーバ2に送信する。
【0053】
入力された入力範囲情報を基に、分析部23BはSTEP6で出力した位置情報と数値データに、入力範囲情報を加えて、STEP1にて指定された地図上の範囲における、危険度を再計算し、第二交通危険箇所を特定する。特定のプロセスはSTEP5~STEP7に記載の方法と同様である。
【0054】
入力範囲情報を基に再計算され、特定された第二交通危険箇所を
図6に示す。
図6は、再計算後の範囲P内の危険段階が、交通危険箇所P1、P2、P3すべて一段階下がったことを表している。また、再計算前に範囲Pの外にあった交通危険箇所P4に関しては危険段階が変わらなかったことも表している。第二交通危険箇所を特定した後、さらに第三、第四の交通危険箇所の特定を行ってもよい。
【0055】
上記の実施例において、検索部は事故DBと走行DBから検索を行ったが、交通規制DBや標識DB等から検索を行ってもよい。交通規制DBから検索を行う例としては、表示制御部23Cが端末装置3の表示部に表形式で表示させる際、備考欄に記入させる等の例がある。
【0056】
上記の実施例において、STEP2とSTEP3は順序が入れ替わってもよい。
【0057】
上記構成に係る交通安全管理システム1によれば、従来の交通安全管理システムが有している交通規制情報、交通事故情報に加えて、車両の実走行データを含む外部ビッグデータを分析に用いて交通危険箇所を精度よく特定できる(STEP5参照)。また、特定した交通危険箇所を一覧表示できることにより(STEP6参照)、複数の交通危険箇所同士の比較を容易にし、適切な対策の提案を可能にする。すなわち、将来の交通安全を実現するための対策検討を支援することが可能な交通安全管理システムを提供することができる。
【0058】
上記構成に係る交通安全管理システム1によれば、交通危険箇所を危険段階毎に異なる視覚態様で表示するための表示データを生成する。
図3に示したように、表示データを地図上で一覧表示で視認することにより、交通危険箇所ごとの危険度の比較が容易になり、危険度に応じた対策の検討を行いやすくなる。
【0059】
上記構成に係る交通安全管理システム1によれば、交通危険箇所と危険段階を一覧表に表示するための表示データを生成する。
図4に示したように、表示データを表で一覧表示で視認することにより、交通危険箇所ごとの危険度の比較が容易になり、危険度に応じた対策の検討を行いやすくなる。
【0060】
上記構成に係る交通安全管理システム1によれば、
図5および
図6に示したように、交通安全の管理者は、同一交通危険箇所における、仮の安全対策を設置する前と後の危険度を比較することができ、さらに、危険度に応じた対策の検討を行いやすくなる。
【要約】
【課題】将来の交通安全を実現するための対策検討を支援することが可能な交通安全管理システムを提供する。
【解決手段】交通規制情報と、交通事故情報と、車両の実走行データを含む外部ビッグデータと、を記憶する記憶部22と、記憶部22に記憶された情報のうち、少なくとも一部を抽出し、交通危険箇所を特定する分析部23Bと、分析部23Bの分析結果に基づいて前記交通危険箇所を表示させるための表示データを生成する表示制御部23Cと、を備える交通安全管理システム1。
【選択図】
図1