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特許7325933無人車両の管理装置及び無人車両の管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】無人車両の管理装置及び無人車両の管理方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230807BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018015936
(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公開番号】P2019133473
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小橋 裕司
(72)【発明者】
【氏名】藤 紘至
(72)【発明者】
【氏名】平中 貴士
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080555(WO,A1)
【文献】特開2006-213294(JP,A)
【文献】国際公開第2004/037623(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/045398(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下り坂の傾斜角度に基づいて設定された前記下り坂における無人車両の走行速度の上限値を記憶する上限速度記憶部と、
入力装置により入力された入力値を取得する入力速度取得部と、
前記傾斜角度と前記上限値との関係を示す上限速度データと、前記入力値に基づいて生成された入力速度データとを、出力装置に出力させる出力制御部と、
前記入力値が前記上限値以下か否かを判定する上限値判定部と、
前記上限値と前記上限値判定部により前記上限値以下と判定された前記入力値とに基づいて、前記下り坂における前記無人車両の走行速度の目標値を決定する目標速度決定部と、
前記入力値について規定されたルールを記憶するルール記憶部と、
前記入力値が前記ルールに違反しているか否かを判定するルール判定部と、を備え、
前記入力値は、前記傾斜角度に対して入力された前記下り坂における前記無人車両の走行速度の入力値を含み、
前記出力制御部は、前記傾斜角度と前記入力値との関係を示す前記入力速度データを前記出力装置に出力させ、前記ルール判定部により前記入力値が前記ルールに違反していると判定されたときに前記出力装置に警告データを出力させる、
無人車両の管理装置。
【請求項2】
前記目標速度決定部は、前記上限値と前記入力値とを比較して、前記上限値及び前記入力値のうち小さい方の値を前記傾斜角度における前記目標値として決定する、
請求項1に記載の無人車両の管理装置。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記上限速度データと前記入力速度データとを、前記出力装置に並べて出力させる、
請求項1又は請求項2に記載の無人車両の管理装置。
【請求項4】
コンピュータシステムが、下り坂の傾斜角度と前記傾斜角度に基づいて設定された前記下り坂における無人車両の走行速度の上限値との関係を示す上限速度データと、入力装置により入力された入力値に基づいて生成された入力速度データとを、出力装置に出力させることと、
前記入力値が前記上限値以下か否かを判定することと、
前記上限値と前記上限値以下と判定された前記入力値とに基づいて、前記下り坂における前記無人車両の走行速度の目標値を決定することと、
前記入力値が前記入力値について規定されたルールに違反しているか否かを判定することと、を含み、
前記入力値は、前記傾斜角度に対して入力された前記下り坂における前記無人車両の走行速度の入力値を含み、
前記傾斜角度と前記入力値との関係を示す前記入力速度データを前記出力装置に出力させ、前記入力値が前記ルールに違反していると判定されたときに前記出力装置に警告データを出力させる、
無人車両の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人車両の管理装置、無人車両の管理方法、及び管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉱山のような広域の作業現場において無人車両が使用される場合がある。無人車両は、走行条件データに基づいて作業現場の走行路を走行する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-323675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行路の状態は、例えば作業現場によって異なったり経時的に変化したりする可能性が高い。そのため、作業現場によっては、例えば無人車両の出荷時に設定された走行速度の上限値よりも低い制限速度を設けて無人車両を走行させたいという要望がある。したがって、無人車両の目標走行速度を作業現場の走行路の状態に基づいて柔軟に調整できる技術が要望される。
【0005】
本発明の態様は、無人車両の目標走行速度を柔軟に調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、下り坂の傾斜角度に基づいて設定された前記下り坂における無人車両の走行速度の上限値を記憶する上限速度記憶部と、入力装置により入力された入力値を取得する入力速度取得部と、前記傾斜角度と前記上限値との関係を示す上限速度データと、前記入力値に基づいて生成された入力速度データとを、出力装置に出力させる出力制御部と、を備える無人車両の管理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、無人車両の目標走行速度を柔軟に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る管理システム及び無人車両の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る無人車両及び走行路を模式的に示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る管理装置を示す機能ブロック図である。
図4図4は、本実施形態に係る無人車両の制御装置を示す機能ブロック図である。
図5図5は、本実施形態に係る管理装置による管理方法を示すフローチャートである。
図6図6は、本実施形態に係る表示装置に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。
図7図7は、本実施形態に係る表示装置に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。
図8図8は、本実施形態に係る表示装置に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。
図9図9は、本実施形態に係るルールに違反している入力値の一例を模式的に示す図である。
図10図10は、本実施形態に係る表示装置に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。
図11図11は、本実施形態に係る表示装置に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。
図12図12は、本実施形態に係る表示装置に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。
図13図13は、本実施形態に係る入力速度データの一例を模式的に示す図である。
図14図14は、本実施形態に係る制御装置による制御方法を示すフローチャートである。
図15図15は、コンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[管理システム]
図1は、本実施形態に係る管理システム1及び無人車両2の一例を模式的に示す図である。無人車両2とは、運転者による運転操作によらずに、無人で走行する車両をいう。無人車両2は、管理システム1からの走行条件データに基づいて走行する。なお、無人車両2は、遠隔操作により走行してもよいし、自律走行してもよい。無人車両2は、作業現場において稼働する。本実施形態において、作業現場は、鉱山又は採石場である。無人車両2は、作業現場を走行して積荷を運搬するダンプトラックである。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。採石場とは、石材を採掘する場所又は事業所をいう。無人車両2に運搬される積荷として、鉱山又は採石場において掘削された鉱石又は土砂が例示される。
【0011】
管理システム1は、管理装置10と、通信システム4とを備える。管理装置10は、コンピュータシステムを含み、作業現場の管制施設5に設置される。管制施設5に管理者が存在する。通信システム4は、管理装置10と無人車両2との間で通信を実施する。管理装置10に無線通信機6が接続される。通信システム4は、無線通信機6を含む。管理装置10と無人車両2とは、通信システム4を介して無線通信する。無人車両2は、管理装置10から送信された走行条件データに基づいて、作業現場の走行路を走行する。
【0012】
[無人車両]
無人車両2は、車両本体21と、車両本体21に支持されるダンプボディ22と、車両本体21を支持する走行装置23と、車両本体21に接続されるサスペンションシリンダ28と、重量センサ29と、位置検出装置30と、無線通信機31と、制御装置40とを備える。
【0013】
車両本体21は、車体フレームを含み、ダンプボディ22を支持する。ダンプボディ22は、積荷が積み込まれる部材である。
【0014】
走行装置23は、車輪27を含み、走行路を走行する。車輪27は、前輪27Fと後輪27Rとを含む。車輪27にタイヤが装着される。走行装置23は、駆動装置23Aと、ブレーキ装置23Bと、操舵装置23Cとを有する。
【0015】
駆動装置23Aは、無人車両2を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置23Aは、ディーゼルエンジンのような内燃機関を含む。なお、駆動装置23Aは、電動機を含んでもよい。駆動装置23Aで発生した駆動力が後輪27Rに伝達され、後輪27Rが回転する。後輪27Rが回転することにより、無人車両2は自走する。
【0016】
ブレーキ装置23Bは、無人車両2を減速又は停止させるための制動力を発生する。
【0017】
操舵装置23Cは、無人車両2の走行方向を調整可能である。無人車両2の走行方向は、車両本体21の前部の向きを含む。操舵装置23Cは、前輪27Fを操舵することによって、無人車両2の走行方向を調整する。
【0018】
サスペンションシリンダ28は、走行装置23を介して走行路から車両本体21に作用する衝撃を緩和する。サスペンションシリンダ28は、車輪27と車両本体21との間に配置される。車両本体21の重量及びダンプボディ22の重量による負荷が、サスペンションシリンダ28を介して車輪27に作用する。
【0019】
重量センサ29は、ダンプボディ22の重量、ダンプボディ22における積荷の有無、及びダンプボディ22に積載された積荷の重量の少なくとも一つを検出する。本実施形態において、重量センサ29は、サスペンションシリンダ28の内部空間の作動油の圧力を検出する圧力センサを含む。
【0020】
位置検出装置30は、無人車両2の位置を検出する。無人車両2の位置は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される無人車両2の絶対位置を検出する。全地球航法衛星システムにより、グローバル座標系において規定される無人車両2の位置が検出される。グローバル座標系とは、地球に固定された座標系をいう。位置検出装置30は、GPS受信機を含み、無人車両2の絶対位置(座標)を検出する。
【0021】
無線通信機31は、管理装置10に接続された無線通信機6と無線通信する。通信システム4は、無線通信機31を含む。
【0022】
制御装置40は、コンピュータシステムを含み、車両本体21に配置される。制御装置40は、駆動装置23Aを作動するためのアクセル指令、ブレーキ装置23Bを作動するためのブレーキ指令、及び操舵装置23Cを作動するためのステアリング指令を含む運転指令を出力する。駆動装置23Aは、制御装置40から出力されたアクセル指令に基づいて、無人車両2を加速させるための駆動力を発生する。ブレーキ装置23Bは、制御装置40から出力されたブレーキ指令に基づいて、無人車両2を減速又は停止させるための制動力を発生する。操舵装置23Cは、制御装置40から出力されたステアリング指令に基づいて、無人車両2を直進又は旋回させるために前輪27Fの向きを変えるための旋回力を発生する。
【0023】
[下り坂における走行制御]
図2は、本実施形態に係る無人車両2及び走行路を模式的に示す図である。図2は、無人車両2が作業現場の走行路の下り坂を走行している例を示す。管理装置10は、走行路における無人車両2の走行条件を設定する。無人車両2は、管理装置10から送信された走行条件を示す走行条件データに基づいて、走行路を走行する。
【0024】
走行条件データは、無人車両2の目標走行速度及び目標走行経路を含む。図2に示すように、走行条件データは、走行路に間隔をあけて設定された複数のポイントPIを含む。ポイントPIは、ローカル座標系において規定される無人車両2の目標位置を示す。ポイントPIの位置は、グローバル座標系において規定されてもよい。
【0025】
本実施形態においては、走行路の三次元形状が測量調査によって取得される。ローカル座標系における走行路の座標データは、走行路の測量データに基づいて規定される。なお、走行路の三次元形状がドローンのような飛行体に搭載された三次元計測装置によって計測され、ローカル座標系における走行路の座標データが、三次元計測装置の計測データに基づいて規定されてもよい。
【0026】
複数のポイントPIは、走行路に規定される。目標走行速度は、複数のポイントPIのそれぞれに設定される。目標走行経路は、複数のポイントPIを結ぶ線によって規定される。下り坂の傾斜角度は、隣り合うポイントPIの高度差によって規定される。なお、下り坂の傾斜角度は、無人車両2の走行データに基づいて算出されてもよい。
【0027】
無人車両2の制御装置40は、位置検出装置30の検出データに基づいて、無人車両2が目標走行経路に従って走行するように、走行装置23を制御する。すなわち、制御装置40は、位置検出装置30の検出データとポイントPIの座標データとを照合して、位置検出装置30の検出データとポイントPIの座標データとの差が許容値以下になるように、走行装置23を制御する。
【0028】
本実施形態においては、走行路の下り坂における無人車両2の走行速度の上限値が、下り坂の傾斜角度に基づいて設定される。走行速度の上限値は、無人車両2に許容される走行速度の許容値を含む。走行速度の上限値は、例えばブレーキ装置23Bのブレーキ性能のような無人車両2の性能に基づいて決定される。また、本実施形態においては、走行速度の上限値を超えない範囲において、管制施設5の管理者が、下り坂における無人車両2の走行速度を任意に設定することができる。
【0029】
[管理装置]
図3は、本実施形態に係る管理装置10を示す機能ブロック図である。管理装置10は、通信システム4を介して制御装置40と通信可能である。
【0030】
管理装置10は、入力装置11、表示装置12、及び認証装置13のそれぞれと接続される。入力装置11、表示装置12、及び認証装置13は、管制施設5に配置される。
【0031】
入力装置11は、管制施設5の管理者に操作されることにより、入力データを生成する。入力装置11で生成された入力データは、管理装置10に出力される。管理装置10は、入力装置11から入力データを取得する。入力装置11として、コンピュータ用キーボード、マウス、タッチパネル、操作スイッチ、及び操作ボタンのような、管理者の手によって操作される接触式入力装置が例示される。なお、入力装置11は、管理者の音声によって操作される音声入力装置でもよい。
【0032】
表示装置12は、表示データを表示する表示画面を有する。表示装置12として、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイが例示される。管制施設5の管理者は、表示装置12に表示された表示データを見ることができる。表示装置12は、表示データを出力する出力装置として機能する。
【0033】
認証装置13は、入力装置11を操作する管理者を認証する。認証装置13により認証された管理者だけが、入力装置11を操作することができる。認証装置13は、管理者を認証するための認証データを取得する。認証装置13に入力される認証データとして、指紋データ、顔データ、ユーザ名、及びパスワードの少なくとも一つが例示される。
【0034】
管理装置10は、認証部101と、入力速度取得部102と、入力速度記憶部102Mと、上限速度記憶部103と、上限値判定部104と、ルール記憶部105、ルール判定部106と、目標速度決定部107と、走行条件生成部108と、通信部109と、表示データ生成部110と、表示制御部111とを有する。
【0035】
認証部101は、認証装置13により入力された認証データを認証する。認証部101は、認証装置13により入力された認証データと予め登録されている登録データとを照合して、管理者を認証する。認証装置13が指紋認証装置である場合、認証部101は、指紋認証装置により入力された指紋データと登録されている指紋データとを照合して、管理者を認証する。認証装置13が顔認証装置である場合、認証部101は、顔認証装置により入力された顔データと登録されている顔データとを照合して、管理者を認証する。認証データがユーザ名又はパスワードである場合、認証部101は、認証装置13により入力されたユーザ名又はパスワードと登録されているユーザ名又はパスワードとを照合して、管理者を認証する。
【0036】
入力速度取得部102は、入力装置11により生成された入力データを取得する。上述のように、本実施形態においては、認証装置13により認証された管理者だけが、入力装置11を操作することができる。入力速度取得部102は、認証部101による認証後に入力された入力データを取得する、すなわち、認証部101が管理者を認証した後、入力速度取得部102は、入力データを取得する。一方、認証部101が管理者を認証しないとき、入力速度取得部102は、入力データの取得を拒否する。
【0037】
本実施形態において、管理者は、入力装置11を操作して、走行路の下り坂を走行する無人車両2の走行速度を設定することができる。入力速度取得部102は、入力データとして、入力装置11により下り坂の傾斜角度に対して入力された、下り坂における無人車両2の走行速度の入力値を取得する。入力速度取得部102は、認証部101による認証後に入力された走行速度の入力値を取得する。管理者により入力装置11が操作されることによって、管理装置10は、複数のポイントPIのそれぞれに設定された傾斜角度に対して無人車両2の走行速度を設定する。なお、管理者は、入力装置11を操作して、複数のポイントPIのそれぞれに対して無人車両2の走行速度を入力してもよい。
【0038】
入力速度記憶部102Mは、入力速度取得部102により取得された無人車両2の走行速度の入力値を記憶する。入力速度記憶部102Mは、下り坂の傾斜角度と、下り坂の傾斜角度に対して入力された走行速度の入力値とを対応付けて記憶する。
【0039】
上限速度記憶部103は、走行路の下り坂の傾斜角度に基づいて設定された、下り坂における無人車両2の走行速度の上限値を記憶する。走行速度の上限値は、例えばブレーキ装置23Bのブレーキ性能のような無人車両2の性能に基づいて決定される。下り坂における無人車両2の走行速度の上限値は、例えば無人車両2の出荷時に、無人車両2の仕様に基づいて上限速度記憶部103に記憶される。
【0040】
上限値判定部104は、入力速度取得部102により取得された走行速度の入力値が、上限速度記憶部103に記憶されている走行速度の上限値以下か否かを判定する。
【0041】
ルール記憶部105は、入力装置11により入力された走行速度の入力値について規定されたルールを記憶する。管理者は、入力装置11を操作して、下り坂における無人車両2の走行速度を入力することができる。ルールは、下り坂の複数の傾斜角度のそれぞれに対して入力された走行速度の入力値が、傾斜角度が大きくなるほど小さくなる降順であることを示す第1ルールを含む。また、ルールは、一定の間隔で規定された複数の傾斜角度のうち隣り合う傾斜角度のそれぞれに対して入力された走行速度の入力値の差が予め規定されている閾値以下であることを示す第2ルールを含む。
【0042】
また、後述する図6に示すように、本実施形態においては、走行速度の最高値Vmax及び走行速度の最低値Vminが規定される。走行速度の最高値Vmaxは、走行速度の上限値よりも大きい値である。走行速度の最低値Vminは、ゼロよりも大きい値である。ルールは、走行速度の入力値が、最高値Vmaxよりも小さいことを示す第3ルール、及び最低値Vminよりも大きいことを示す第4ルールを含む。
【0043】
走行速度の最高値Vmax及び走行速度の最低値Vminは、無人車両2を安全に運用するために設定される値である。最高値Vmaxは、無人車両2の車体性能に基づいて定められる最大走行速度である。無人車両2は、最高値Vmax以上の走行速度で走行することができない。最低値Vminは、無人車両2を制御するために必要な最低走行速度である。
【0044】
なお、ルールは、第1ルールのみでもよいし、第2ルールのみでもよいし、第3ルールのみでもよいし、第4ルールのみでもよい。また、ルールは、第1ルール、第2ルール、第3ルール、及び第4ルールに限定されず、無人車両2の走行速度を適切に設定するためのルールであればよい。ルールは予め規定され、例えば無人車両2の出荷時にルール記憶部105に記憶される。
【0045】
ルール判定部106は、入力装置11により入力された走行速度の入力値がルール記憶部105に記憶されているルールに違反しているか否かを判定する。
【0046】
目標速度決定部107は、上限速度記憶部103に記憶されている走行速度の上限値と、上限値判定部104により上限値以下と判定された走行速度の入力値とに基づいて、下り坂における無人車両2の走行速度の目標値を決定する。
【0047】
本実施形態において、管制施設5の管理者は、入力装置11を操作して、下り坂における無人車両2の走行速度を任意に設定することができる。目標速度決定部107は、走行速度の上限値と走行速度の入力値とを比較して、上限値及び入力値のうち小さい方の値を傾斜角度における目標値として決定する。
【0048】
走行条件生成部108は、目標速度決定部107により決定された走行速度の目標値に基づいて、無人車両2の走行条件を示す走行条件データを生成する。走行速度の目標値は、複数のポイントPIのそれぞれに設定される。走行条件生成部108は、無人車両2の目標走行速度及び目標走行経路を含む走行条件データを生成する。走行条件データは、下り坂の傾斜角度と下り坂に設定される無人車両2の走行速度の目標値との関係を示す目標速度データを含む。
【0049】
通信部109は、目標速度データを含む走行条件データを無人車両2に送信する。無人車両2の制御装置40は、通信部109から送信された走行条件データを、通信システム4を介して取得する。
【0050】
表示データ生成部110は、上限速度記憶部103に記憶されている走行速度の上限値と、入力速度取得部102により取得された走行速度の入力値とに基づいて、表示装置12に表示させる表示データを生成する。
【0051】
表示データは、下り坂の傾斜角度と走行速度の上限値との関係を示す上限速度データ、及び走行速度の入力値に基づいて生成された入力速度データを含む。本実施形態において、表示データは、下り坂の傾斜角度と走行速度の上限値との関係を示す上限速度データ、及び下り坂の傾斜角度と走行速度の入力値との関係を示す入力速度データを含む。
【0052】
また、本実施形態において、表示データは、下り坂の傾斜角度と走行速度の目標値との関係を示す目標速度データを含む。
【0053】
また、本実施形態において、表示データは、ルール判定部106により走行速度の入力値がルールに違反していると判定されたときの警告データを含む。
【0054】
表示制御部111は、表示装置12を制御して、表示データ生成部110で生成された表示データを表示装置12に表示させる。表示制御部111は、表示装置12に表示データを出力させる出力制御部として機能する。
【0055】
本実施形態において、表示制御部111は、下り坂の傾斜角度と走行速度の上限値との関係を示す上限速度データと下り坂の傾斜角度と走行速度の入力値との関係を示す入力速度データとを表示装置12に並べて表示させる。
【0056】
また、表示制御部111は、下り坂の傾斜角度と走行速度の目標値との関係を示す目標速度データを表示装置12に表示させる。表示制御部111は、上限速度データと入力速度データと目標速度データとを表示装置12に並べて表示させる。
【0057】
上限速度データ、入力速度データ、及び目標速度データは、例えば横軸を傾斜角度とし、縦軸を走行速度とするグラフによって表される。表示制御部111は、後述する図6に示すように、上限速度データを示すライン及び入力速度データを示すラインの2つのラインを表示装置12に並べて表示させることができる。また、表示制御部111は、後述する図12に示すように、上限速度データを示すライン、入力速度データを示すライン、及び目標速度データを示すラインの3つのラインを表示装置12に並べて表示させることができる。
【0058】
また、表示制御部111は、ルール判定部106により走行速度の入力値がルールに違反していると判定されたときに、表示装置12に警告データを表示させる。
【0059】
[制御装置]
図4は、本実施形態に係る無人車両2の制御装置40を示す機能ブロック図である。制御装置40は、通信システム4を介して管理装置10と通信可能である。
【0060】
制御装置40は、通信部41と、走行条件取得部42と、重量データ取得部43と、積荷判定部44と、走行条件決定部45と、走行制御部46とを有する。
【0061】
走行条件取得部42は、管理装置10から送信された走行条件データを、通信部41を介して取得する。
【0062】
重量データ取得部43は、重量センサ29により検出された重量データを取得する。重量センサ29により検出される重量データは、ダンプボディ22の重量データ、及びダンプボディ22に積載された積荷の重量データを含む。
【0063】
積荷判定部44は、重量データ取得部43により取得された重量データに基づいて、ダンプボディ22に積荷が積み込まれているか否かを判定する。すなわち、積荷判定部44は、重量データに基づいて、ダンプボディ22に積荷が積み込まれている積荷状態か又はダンプボディ22に積荷が積み込まれていない空荷状態かを判定する。
【0064】
走行条件決定部45は、走行条件取得部42により取得された走行条件データと、積荷判定部44による判定データとに基づいて、無人車両2の走行条件を決定する。本実施形態において、管理装置10は、積荷状態のときの走行条件データと空荷状態のときの走行条件データとを生成し、制御装置40に送信する。走行条件決定部45は、積荷判定部44による判定データに基づいて、走行条件取得部42に取得された積荷状態のときの走行条件データ及び空荷状態のときの走行条件データの一方を選択し、選択した走行条件データを、走行制御部46に出力する走行条件データとして決定する。
【0065】
なお、無人車両2が積荷状態であるか空荷状態であるかを管理装置10が判定し、積荷状態であると判定した無人車両2に積荷状態のときの走行条件データを送信し、空荷状態であると判定した無人車両2に空荷状態のときの走行条件データを送信してもよい。
【0066】
走行制御部46は、走行条件決定部45により決定された走行条件データに基づいて、走行装置23を制御する。走行制御部46は、位置検出装置30の検出データに基づいて、無人車両2が複数のポイントPIによって規定される目標走行経路に従って走行するように、走行装置23を制御する。
【0067】
[管理方法]
図5は、本実施形態に係る管理装置10による管理方法の一例を示すフローチャートである。
【0068】
管理者は、認証装置13に認証データを入力する。認証装置13は、入力された認証データを管理装置10に出力する。管理装置10の認証部101は、認証データを取得する(ステップS10)。
【0069】
認証部101は、認証データと登録データとを照合して、認証装置13に認証データを入力した管理者が、入力装置11の操作を許可されている特定の管理者か否かを判定する(ステップS20)。
【0070】
ステップS20において、特定の管理者ではないと判定された場合(ステップS20:No)、処理は終了する。ステップS20において、特定の管理者であると判定された場合(ステップS20:Yes)、管理者による入力装置11の操作が許可される。
【0071】
入力装置11の操作が許可されると、表示制御部111は、メニュー選択画面を表示装置12に表示させる。管理者は、入力装置11を操作して、メニュー選択画面に表示されたメニューの中から特定のメニューを選択することにより、選択されたメニューに対応する表示データを表示装置12に表示させることができる。
【0072】
図6は、本実施形態に係る表示装置12に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。入力装置11の操作が許可され、メニュー選択画面に基づいて特定のメニューが選択されると、表示制御部111は、上限速度記憶部103に記憶されている走行速度の上限値を表示装置12に表示させる。
【0073】
図6に示すグラフにおいて、縦軸は走行速度の上限値を示し、横軸は下り坂の傾斜角度を示す。なお、本実施形態においては、傾斜角度を[%]で表記し、走行速度を[km/h]で表記する。例えば、水平方向に100[m]前進したときに10[m]下降する傾斜角度は-10[%]である。なお、傾斜角度は[°]で表記されてもよいし、走行速度は[mph]で表記されてもよい。
【0074】
本実施形態において、上限速度記憶部103には、下り坂の傾斜角度と走行速度の上限値との関係を示す上限速度データが2種類記憶されている。図6において、ラインLdeは、空荷状態の上限速度データを示し、ラインLdcは、積荷状態の上限速度データを示す。以下の説明においては、空荷状態の上限速度データを適宜、空荷上限速度データLde、と称し、積荷状態の上限速度データを適宜、積荷上限速度データLdc、と称する。また、空荷上限速度データLdeと積荷上限速度データLdcとを区別しないときには、空荷上限速度データLde及び積荷上限速度データLdcを適宜、上限速度データLd、と総称する。
【0075】
図6に示すように、ある傾斜角度において、空荷上限速度データLdeは、積荷上限速度データLdcよりも高い。すなわち、空荷状態の無人車両2は、積荷状態の無人車両2よりも高速で走行することが許容される。空荷状態の無人車両2と積荷状態の無人車両2とが同一条件で走行し、同一条件で制動したとき、空荷状態の無人車両2の制動距離は、積荷状態の無人車両2の制動距離よりも短い。したがって、空荷状態の無人車両2は、積荷状態の無人車両2よりも高速で走行することが許容される。
【0076】
また、図6に示すように、下り坂の傾斜角度が大きくなるほど、無人車両2の走行速度の上限値は小さくなる。すなわち、勾配が急な下り坂ほど低速で走行するように、無人車両2の走行速度の上限値が設定される。
【0077】
本実施形態において、管制施設5の管理者は、入力装置11を操作して、下り坂における無人車両2の走行速度を任意に設定することができる。入力装置11の操作が許可され、上限速度データLdが表示装置12に表示された後、表示制御部111は、走行速度の入力を促す表示データを表示装置12に表示させる。管理者は、入力装置11を操作して、下り坂における無人車両2の走行速度を入力する。
【0078】
上述のように、走行速度の上限値は、ブレーキ装置23Bのブレーキ性能のような無人車両2の性能に基づいて決定される。図6に示すように、本実施形態においては、ラインLmaで示す走行速度の最高値Vmax、及びラインLmiで示す走行速度の最低値Vminが規定される。走行速度の最高値Vmaxは、走行速度の上限値以上の値である。走行速度の最低値Vminは、ゼロよりも大きい値である。管理者は、最高値Vmaxと最低値Vminとの間において、走行速度の入力値を入力することができる。なお、ラインLma及びラインLmiは表示装置12に表示されなくてもよい。
【0079】
図7は、本実施形態に係る表示装置12に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。管理者は、入力装置11を操作して、メニュー選択画面に表示されたメニューの中から特定のメニューを選択することにより、図7に示すような、走行速度の入力を促す表示データを表示装置12に表示させることができる。
【0080】
図7に示すように、表示制御部111は、下り坂の複数の傾斜角度と、複数の傾斜角度のそれぞれに対応する空荷状態における走行速度の上限値と、複数の傾斜角度のそれぞれに対応する積荷状態における走行速度の上限値との関係を示すテーブルデータを表示装置12に表示させる。また、表示制御部111は、走行速度の入力を促す表示データとして、下り坂の複数の傾斜角度のそれぞれに対応する走行速度の入力値を入力させる空欄を表示装置12に表示させる。
【0081】
管理者は、入力装置11を操作して、空荷状態における走行速度の入力値、及び積荷状態における走行速度の入力値を、複数の傾斜角度のそれぞれに対して入力する。
【0082】
入力速度取得部102は、入力装置11により複数の傾斜角度のそれぞれに対して入力された、下り坂における無人車両2の走行速度の入力値を取得する(ステップS30)。
【0083】
入力装置11により入力された走行速度の入力値は、入力速度記憶部102Mに記憶される。入力速度記憶部102Mは、下り坂の傾斜角度と、下り坂の傾斜角度に対して入力された走行速度の入力値とを対応付けて記憶する。なお、新たな走行速度の入力値が入力装置11により入力されると、入力速度記憶部102Mに記憶されている走行速度の入力値は、新たな走行速度の入力値に更新される。
【0084】
入力速度取得部102は、走行速度の入力値の入力が終了したか否かを判定する(ステップS40)。
【0085】
ステップS40において、走行速度の入力値の入力が終了していないと判定された場合(ステップS40:No)、ステップS30の処理が実施される。
【0086】
本実施形態においては、-10[%]、-9[%]、-8[%]、-7[%]、-6[%]、-5[%]、-4[%]、-3[%]、-2[%]、-1[%]、0[%]のそれぞれの傾斜角度に対して、走行速度の入力値が入力される。走行速度の入力値の入力が終了するまで、ステップS30及びステップS40の処理が実施される。
【0087】
図8は、本実施形態に係る表示装置12に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。図8に示すように、走行速度の入力値の入力が終了すると、表示制御部111は、入力速度取得部102により取得された走行速度の入力値に基づいて、下り坂の複数の傾斜角度と、複数の傾斜角度のそれぞれに対応する空荷状態における走行速度の上限値と、複数の傾斜角度のそれぞれに対応する積荷状態における走行速度の上限値と、複数の傾斜角度のそれぞれに対応する空荷状態における走行速度の入力値と、複数の傾斜角度のそれぞれに対応する積荷状態における走行速度の入力値との関係を示すテーブルデータを表示装置12に表示させる。
【0088】
ステップS40において、入力値の入力が終了したと判定された場合(ステップS40:Yes)、ルール判定部106は、走行速度の入力値がルール記憶部105に記憶されているルールに違反しているか否かを判定する(ステップS70)。
【0089】
ルールは、下り坂の複数の傾斜角度のそれぞれに対して入力された走行速度の入力値が、傾斜角度が大きくなるほど小さくなる降順であることを示す第1ルールを含む。また、ルールは、一定の間隔で規定された複数の傾斜角度のうち隣り合う傾斜角度のそれぞれに対して入力された走行速度の入力値の差が予め規定されている閾値以下であることを示す第2ルールを含む。また、ルールは、走行速度の入力値が最高値(図6のラインLma参照)よりも小さいことを示す第3ルールを含む。また、ルールは、走行速度の入力値が最低値(図6のラインLmi参照)よりも大きいことを示す第4ルールを含む。
【0090】
図9は、本実施形態に係るルールに違反している入力値の一例を模式的に示す図である。下り坂について規定される無人車両2の走行速度は、下り坂の傾斜角度が大きくなるほど漸次低くなることが好ましい。図9(A)に示すように、例えば管理者の入力ミスに起因して、-5[%]に対して入力された走行速度の入力値が、-4[%]に対して入力された走行速度の入力値よりも大きい場合、ルール判定部106は、第1ルールに違反すると判定する。また、図9(B)に示すように、走行速度の入力値は降順であるものの、ある傾斜角度に対して入力された走行速度の入力値が極端に低く、その隣の傾斜角度に対して入力された走行速度の入力値との差が閾値よりも大きい場合、ルール判定部106は、第2ルールに違反すると判定する。図9(B)に示す例では、-5[%]に対して入力された走行速度の入力値が極端に低く、その隣の-4[%]に対して入力された走行速度の入力値との差が閾値よりも大きい例を示す。
【0091】
ルール判定部106は、走行速度の入力値が図9に示したような状態になっているか否か、すなわち、走行速度の入力値がルール記憶部105に記憶されているルールに違反しているか否かを判定する。
【0092】
ステップS70において、入力値がルールに違反していると判定された場合(ステップS70:Yes)、表示制御部111は、警告データを表示装置12に表示させる(ステップS50)。
【0093】
図10は、本実施形態に係る表示装置12に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。図10に示すように、表示制御部111は、入力値がルールに違反していることを示す警告データを表示装置12に表示させる。図10に示す例では、警告データとして文字データが表示される。なお、図10に示す警告データは一例である。警告データとして、入力値はルールに違反していることが示す音声データが出力されてもよい。
【0094】
なお、走行速度の入力値が上限値と最高値との間の値である場合、警告データは出力されなくてもよい。
【0095】
入力速度取得部102は、ルールに違反すると判定された入力値をリセットする(ステップS60)。例えば、図9に示した例では、-5[%]の傾斜角度に対する走行速度の入力値がルールに違反しているため、入力速度取得部102は、-5[%]の傾斜角度に対して入力された入力値をリセットする。入力値がリセットされた後、ステップS30の処理が実施される。管理者は、リセットされた傾斜角度に対して走行速度の入力値を再入力する。
【0096】
なお、ステップS60の処理は無くてもよい。すなわち、走行速度の入力値がルールに違反する場合、その入力値はリセットされずに警告データが出力されるだけでもよい。
【0097】
走行速度の入力値がルールに違反しなくなるまで、ステップS30からステップS70の処理が実施される。
【0098】
ステップS70において、入力値がルールに違反していないと判定された場合(ステップS70:No)、表示制御部111は、傾斜角度と走行速度の上限値との関係を示す上限速度データと、傾斜角度と走行速度の入力値との関係を示す入力速度データとを、表示装置12に並べて表示させる(ステップS80)。
【0099】
図11は、本実施形態に係る表示装置12に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。図11に示すように、表示制御部111は、下り坂の傾斜角度と走行速度の入力値との関係を示す2種類の入力速度データを表示装置12に表示させる。図11において、ラインLceは、空荷状態における入力速度データを示し、ラインLccは、積荷状態における入力速度データを示す。以下の説明においては、空荷状態における入力速度データを適宜、空荷入力速度データLce、と称し、積荷状態における入力速度データを適宜、積荷入力速度データLcc、と称する。また、空荷入力速度データLceと積荷入力速度データLccとを区別しないときには、空荷入力速度データLce及び積荷入力速度データLccを適宜、入力速度データLc、と総称する。
【0100】
図11に示すように、表示制御部111は、1つのグラフにおいて、空荷上限速度データLdeと、空荷入力速度データLceと、積荷上限速度データLdcと、積荷入力速度データLccとを、表示装置12に並べて表示させる。
【0101】
表示装置12において、上限速度データLdと入力速度データLcとが表示装置12と並べて表示されるため、管理者は、表示装置12を見て、上限速度データLdと入力速度データLcとの相対関係を直感的に認識することができる。
【0102】
上限速度データLd及び入力速度データLcが表示装置12に表示された後、表示制御部111は、走行速度の再入力を促す表示データを表示装置12に表示させる。走行速度の再入力を促す表示データとして、文字データが表示装置12に表示される。
【0103】
管理者は、走行速度の再入力を促す表示データを見て、再入力すると判断した場合、入力装置11を操作して、再入力することを示す指令データを入力する。一方、再入力しないと判断した場合、入力装置11を操作して、再入力しないことを示す指令データを入力する。
【0104】
なお、全ての入力値が入力された後に、走行速度の再入力を促す表示データが表示装置12に表示されてもよい。
【0105】
入力速度取得部102は、指令データに基づいて、走行速度の入力値を再度取得するか否かを判定する(ステップS90)。
【0106】
ステップS90において、再入力することを示す指令データが入力され、走行速度の入力値を再度取得すると判定された場合(ステップS90:Yes)、表示制御部111は、走行速度の入力を促す表示データを表示装置12に表示させる。管理者は、入力装置11を操作して、下り坂における無人車両2の走行速度を再入力する。
【0107】
入力速度取得部102は、入力装置11により再入力された、下り坂における無人車両2の走行速度の入力値を取得する(ステップS30)。
【0108】
管理装置10は、ステップS90において入力値を再度取得しないと判定されるまで、ステップS30からステップS90の処理を実施する。
【0109】
ステップS90において、再入力しないことを示す指令データが入力され、走行速度の入力値を再度取得しないと判定された場合(ステップS90:No)、目標速度決定部107は、上限速度データと入力速度データとに基づいて、下り坂における無人車両2の走行速度の目標値を決定する(ステップS100)。
【0110】
なお、ステップS90の処理は無くてもよい。
【0111】
上限値判定部104は、複数の傾斜角度のそれぞれにおいて、走行速度の入力値が走行速度の上限値以下か否かを判定する。目標速度決定部107は、走行速度の上限値と、上限値判定部104により上限値以下と判定された走行速度の入力値とに基づいて、下り坂における無人車両2の走行速度の目標値を決定する。すなわち、目標速度決定部107は、複数の傾斜角度のそれぞれにおいて、走行速度の上限値と走行速度の入力値とを比較して、上限値及び入力値のうち小さい方の値を、その傾斜角度における走行速度の目標値として決定する。
【0112】
表示制御部111は、下り坂の傾斜角度と走行速度の目標値との関係を示す目標速度データを表示装置12に表示させる(ステップS110)。
【0113】
図12は、本実施形態に係る表示装置12に表示される表示データの一例を模式的に示す図である。図12に示すように、表示制御部111は、下り坂の傾斜角度と走行速度の目標値との関係を示す2種類の目標速度データを表示装置12に表示させる。図12において、ラインLreは、空荷状態における目標速度データを示し、ラインLrcは、積荷状態における目標速度データを示す。以下の説明においては、空荷状態における目標速度データを適宜、空荷入力速度データLre、と称し、積荷状態における目標速度データを適宜、積荷目標速度データLrc、と称する。また、空荷目標速度データLreと積荷目標速度データLrcとを区別しないときには、空荷目標速度データLre及び積荷目標速度データLrcを適宜、目標速度データLr、と総称する。
【0114】
なお、表示制御部111は、空荷上限速度データLdeを示すラインと積荷上限速度データLdcを示すラインと空荷入力速度データLceを示すラインと積荷入力速度データLccを示すラインと空荷目標速度データLreを示すラインと積荷目標速度データLrcを示すラインとを異なる表示形態(線種、色など)で表示装置12に表示させてもよい。これにより、管理者はそれぞれのラインを区別し易くなる。
【0115】
図12に示すように、空荷入力速度データLceが空荷上限速度データLdeよりも大きい傾斜角度の範囲においては、空荷目標速度データLreは、空荷上限速度データLdeによって規定される。空荷入力速度データLceが空荷上限速度データLde以下の傾斜角度の範囲においては、空荷目標速度データLreは、空荷入力速度データLceによって規定される。同様に、積荷入力速度データLccが積荷上限速度データLdcよりも大きい傾斜角度の範囲においては、積荷目標速度データLrcは、積荷上限速度データLdcによって規定される。積荷入力速度データLccが積荷上限速度データLdc以下の傾斜角度の範囲においては、積荷目標速度データLrcは、積荷入力速度データLccによって規定される。
【0116】
すなわち、入力速度データLcが上限速度データLdよりも大きい傾斜角度の範囲においては、目標速度データLrは、上限速度データLdによって規定される。入力速度データLcが上限速度データLd以下の傾斜角度の範囲においては、目標速度データLrは、入力速度データLcによって規定される。このように、走行速度の入力値が走行速度の上限値を超えない傾斜角度の範囲においては、走行速度の目標値は、走行速度の入力値によって規定される。
【0117】
走行条件生成部108は、目標速度決定部107により決定された目標速度データに基づいて、走行条件データを生成する。通信部108は、目標速度データを含む走行条件データを無人車両2の制御装置40に送信する(ステップS120)。
【0118】
なお、本実施形態においては、図7及び図8を参照して説明したように、-10[%]から0[%]までのそれぞれの傾斜角度に対して、走行速度の入力値が入力されることとした。-10[%]から0[%]までの一部の傾斜角度に対して、走行速度が入力されてもよい。また、-10[%]から0[%]までの傾斜角度は一例であり、任意の傾斜角度に対して走行速度の入力値が入力されてもよい。
【0119】
また、入力値として上限値からのシフト量が入力されてもよい。図13は、本実施形態に係る入力速度データLcの一例を模式的に示す図である。図13に示すように、下り坂の傾斜角度と走行速度の上限値との関係を示す上限速度データLdが設定されている場合において、管理者は、入力装置11を操作して、入力値として上限値からのシフト量を入力してもよい。シフト量は上限値を低減させる値である。入力速度取得部102は、シフト量を取得し、取得したシフト量に基づいて、走行速度の上限値を傾斜角度毎に低減させる。すなわち、入力速度取得部102は、入力値であるシフト量に基づいて、図13に示す上限速度データLdを下方にシフト(平行移動)させて、下り坂の傾斜角度と走行速度の入力値との関係を示す入力速度データLcを生成してもよい。
【0120】
[制御方法]
図14は、本実施形態に係る制御装置40による制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0121】
走行条件取得部42は、管理装置10から送信された走行条件データを、通信部41を介して取得する(ステップS200)。
【0122】
管理装置10は、2種類の走行条件データを制御装置40に送信する。管理装置10から制御装置40に送信される走行条件データは、空荷目標速度データLreを含む空荷走行条件データと、積荷目標速度データLrcを含む積荷走行条件データとを含む。
【0123】
重量データ取得部43は、重量センサ29から重量データを取得する(ステップS210)。
【0124】
積荷判定部44は、重量データ取得部43により取得された重量データに基づいて、無人車両2が空荷状態か否かを判定する(ステップS220)。
【0125】
ステップS220において、無人車両2は空荷状態であると判定された場合(ステップS220:Yes)、走行条件決定部45は、2種類の走行条件データのうち、空荷目標速度データLreを含む空荷走行条件データを走行条件データとして決定する(ステップS230)。
【0126】
ステップS220において、無人車両2は積荷状態であると判定された場合(ステップS220:No)、走行条件決定部45は、2種類の走行条件データのうち、積荷目標速度データLrcを含む積荷走行条件データを走行条件データとして決定する(ステップS240)。
【0127】
走行制御部46は、走行条件決定部45により決定された走行条件データ(目標速度データ)に基づいて、走行装置23を制御する(ステップS250)。
【0128】
走行制御部46は、位置検出装置30の検出データと走行条件データとを照合して、走行路の下り坂において目標速度データに従って走行するように、走行装置23を制御する。無人車両2が空荷状態においては、走行制御部46は、空荷走行条件データに基づいて、走行装置23を制御する。無人車両2が積荷状態においては、走行制御部46は、積荷走行条件データに基づいて、走行装置23を制御する。
【0129】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、管制施設5の管理者は、入力装置11を操作して、下り坂における無人車両2の走行速度を任意に設定することができる。これにより、管理者は、無人車両2の目標走行速度を、作業現場の走行路の状態に基づいて柔軟に調整することができる。例えば、雨水により走行路がぬかるんでいる場合、管理者は、入力装置11を操作して、無人車両2の走行速度を低い値に抑えることができる。また、走行路の状態が良好な場合、管理者は、入力装置11を操作して、無人車両2の走行速度を、最高値又は上限値を超えない範囲において高い値に調整することができる。走行路の状態が例えば作業現場によって異なったり経時的に変化したりしても、無人車両2の目標走行速度を作業現場の走行路の状態に基づいて柔軟に調整できる。
【0130】
また、本実施形態によれば、無人車両2の目標走行速度を複数の無人車両2のそれぞれについて設定することができる。
【0131】
また、本実施形態においては、図11に示したように、予め規定されている上限速度データと、入力装置11の操作により入力された入力速度データとが、表示装置12に並べて表示される。上限速度データLdと入力速度データLcとが表示装置12と並べて表示されるため、管理者は、表示装置12を見て、上限速度データLdと入力速度データLcとの相対関係を直感的に認識しながら、走行速度の入力値を入力することができる。これにより、適切な入力速度データLcが生成される。
【0132】
また、管理装置10は、入力値が上限値以下か否かを判定する上限値判定部104と、上限値と上限値判定部104により上限値以下と判定された入力値とに基づいて、下り坂における無人車両2の走行速度の目標値を決定する目標速度決定部107を有する。すなわち、入力速度データLcが上限速度データLdよりも大きい傾斜角度の範囲においては、目標速度データLrは、上限速度データLdによって規定される。入力速度データLcが上限速度データLd以下の傾斜角度の範囲においては、目標速度データLrは、目標速度データLcによって規定される。走行速度の目標値が上限値以下に抑えられるため、無人車両2が過度に高速で走行することが抑制される。
【0133】
また、図12に示したように、上限速度データLdと、入力速度データLcと、目標速度データLrとが、表示装置12に並べて表示される。これにより、管理者は、表示装置12を見て、上限速度データLdと入力速度データLcと目標速度データLrとの相対関係を直感的に認識することができる。
【0134】
また、入力値についてルールが規定され、入力値がルールに違反していると判定されたときには、図10に示したように、表示装置12に警告データが表示される。ルールに違反している入力値に基づいて目標速度データが設定されると、無人車両2は、ある傾斜角度の下り坂において過度に高速で走行してしまったり、不必要に加速又は減速したりする可能性がある。入力値がルールに違反していないか否かが判定され、ルールに違反していると判定されたときに表示装置12に警告データが表示されることにより、管理者は、適切な入力値を再入力することができる。
【0135】
また、管理装置10は、認証部101を有する。これにより、入力値の入力を許可された特定の管理者だけが、無人車両2の走行速度を調整することができる。
【0136】
[コンピュータシステム]
図15は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の管理装置10及び制御装置40のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の管理装置10の機能及び制御装置40の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0137】
なお、上述の実施形態において、無人車両2の制御装置40の機能の少なくとも一部が管理装置10に設けられてもよいし、管理装置10の機能の少なくとも一部が制御装置40に設けられてもよい。
【0138】
例えば、上述の実施形態においては、管理装置10が目標速度データLr(Lre,Lrc)を含む走行条件データを生成し、制御装置40に送信することとした。管理装置10から制御装置40に上限速度データLd(Lde,Ldc)及び入力速度データLc(Lce,Lcc)が送信され、制御装置40が目標速度データ(Lre,Lrc)を算出してもよい。
【0139】
管理装置10及び制御装置40の少なくとも一方を含むコンピュータシステム1000は、下り坂の傾斜角度と傾斜角度に基づいて設定された下り坂における無人車両2の走行速度の上限値との関係を示す上限速度データと、傾斜角度と入力装置11により傾斜角度に対して入力された下り坂における無人車両2の走行速度の入力値との関係を示す入力速度データとを、表示装置12に表示させることができる。
【0140】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、図12に示したように、目標速度データLr(Lre,Lrc)が表示装置12に表示されることとした。目標速度データLrは、表示装置12に表示されなくてもよい。
【0141】
上述の実施形態において、制御装置40の走行制御部46が、上限速度データと入力速度データとに基づいて無人車両2の走行装置23を制御してもよい。例えば、管理装置10の上限速度記憶部103に記憶されている上限値及び入力装置11により管理装置10に入力された入力値が、通信システム4を介して無人車両2の制御装置40に送信される。制御装置40は、管理装置10から送信された上限値と入力値とに基づいて、走行条件データを生成することができる。走行条件データは、下り坂の傾斜角度と走行速度の上限値との関係を示す上限速度データ、及び下り坂の傾斜角度と走行速度の入力値との関係を示す入力速度データを含む。走行制御部46は、生成された走行条件データに基づいて、走行装置23を制御することができる。この場合、表示装置12には、上限速度データ及び入力速度データは表示されなくてもよい。無人車両2の目標走行速度が柔軟に調整されるため、走行路の状態が作業現場によって異なったり経時的に変化したりしても、無人車両2は、作業現場の走行路の状態に基づいて適切な走行速度で走行することができる。
【0142】
なお、上述の実施形態においては、下り坂の傾斜角度に基づいて、走行速度の上限値が設定されたり、走行速度の入力値が入力されたり、走行速度の目標値が設定されたりすることとした。上り坂の傾斜角度に基づいて走行速度の上限値が設定されたり、走行速度の入力値が入力されたり、走行速度の目標値が設定されたりしてもよい。
【0143】
なお、上述の実施形態において、上限速度データ及び入力速度データを表示データとして出力する出力装置が表示装置12であることとした。出力装置は例えば印刷装置でもよい。印刷装置は、上限速度データ及び入力速度データを印刷データとして出力することができる。
【0144】
なお、上述の実施形態においては、無人車両2が運搬車両の一種であるダンプトラックであることとした。無人車両2は、例えば油圧ショベル又はブルドーザのような作業機を備える作業機械でもよい。
【符号の説明】
【0145】
1…管理システム、2…無人車両、4…通信システム、5…管制施設、6…無線通信機、10…管理装置、11…入力装置、12…表示装置(出力装置)、13…認証装置、21…車両本体、22…ダンプボディ、23…走行装置、23A…駆動装置、23B…ブレーキ装置、23C…操舵装置、27…車輪、27F…前輪、27R…後輪、28…サスペンションシリンダ、29…重量センサ、30…位置検出装置、31…無線通信機、40…制御装置、41…通信部、42…走行条件取得部、43…重量データ取得部、44…積荷判定部、45…走行条件決定部、46…走行制御部、101…認証部、102…入力速度取得部、102M…入力速度記憶部、103…上限速度記憶部、104…上限値判定部、105…ルール記憶部、106…ルール判定部、107…目標速度決定部、108…走行条件生成部、109…通信部、110…表示データ生成部、111…表示制御部(出力制御部)、Lc…入力速度データ、Lce…空荷入力速度データ、Lcc…積荷入力速度データ、Ld…上限速度データ、Lde…空荷上限速度データ、Ldc…積荷上限速度データ、Lma…ライン、Lmi…ライン、Lr…目標速度データ、Lre…空荷目標速度データ、Lrc…積荷目標速度データ、PI…ポイント。
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