(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】医用画像診断システム及びパラメータ選択方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
A61B6/03 330A
A61B6/03 331
(21)【出願番号】P 2018199084
(22)【出願日】2018-10-23
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 良亮
(72)【発明者】
【氏名】潟山 一樹
(72)【発明者】
【氏名】森野 克人
(72)【発明者】
【氏名】石田 克彦
(72)【発明者】
【氏名】安田 寿
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-215189(JP,A)
【文献】特開2007-215642(JP,A)
【文献】特開2018-050664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスキャンパラメータセットを記憶する記憶部と、
被検体の切り替え指示から位置決めスキャンの開始時までの期間において位置情報を取得し、前記位置情報は、前記被検体又は前記被検体をスキャンするスキャン部の移動に伴う、前記被検体と前記スキャン部との位置関係に相関し、前記位置決めスキャンの開始端を表す、取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記複数のスキャンパラメータセットの中から、前記位置情報に対応する撮影部位に関する少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する選択部と、
を具備する医用画像診断システム。
【請求項2】
前記位置情報は、前記被検体が載置される天板の位置、前記スキャン部の位置又は前記被検体の位置に関する情報を含む、請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項3】
前記選択部は、前記位置情報に加え、前記被検体の向きを示す情報及び前記被検体の体格を示す情報のうち少なくとも1つに基づいて、前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する、請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項4】
前記被検体又は前記スキャン部の移動中又は移動完了時に前記位置情報を自動的に取得する取得部を更に備える、請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項5】
前記スキャン部を更に備え、
前記スキャン部は、前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットが選択されたことを契機に、前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットに従って、撮影の準備を開始する、
請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項6】
前記スキャン部は、
X線管及びX線検出器が設けられたフレームを、開口部を中心に回転可能に支持する架台を有し、
前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットが選択されたことを契機に、前記準備として、前記フレームの回転を開始する、
請求項5記載の医用画像診断システム。
【請求項7】
前記スキャン部は、前記準備の期間中に開始指示がされた場合、前記準備の完了後、自動的に撮影を開始する、請求項5記載の医用画像診断システム。
【請求項8】
前記選択部が選択した少なくとも1つのスキャンパラメータセットを表示部に表示させ、前記複数のスキャンパラメータセットのうちの前記選択部が選択した少なくとも1つのスキャンパラメータセットとは異なるスキャンパラメータセットを前記表示部に表示させない表示制御部を更に備える、請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項9】
前記選択部が選択した少なくとも1つのスキャンパラメータセットを第1の表示態様で表示部に表示させ、前記選択部が選択した少なくとも1つのスキャンパラメータセットとは異なるスキャンパラメータセットを、前記第1の表示態様と異なる第2の表示態様で前記表示部に表示させる表示制御部を更に備える、請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項10】
前記選択部は、前記スキャン部による位置決めスキャンの開始時における前記位置情報に基づいて前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する、請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項11】
前記記憶部は、前記複数のスキャンパラメータセットの各々について、当該スキャンパラメータセットが過去に選択されたときの位置情報を関連付け、
前記選択部は、前記位置情報と前記複数のスキャンパラメータセットの各々に関連付けられた過去の位置情報との差に基づいて前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する、
請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項12】
前記選択部は、
前記複数のスキャンパラメータセットの中から、前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットとして第1のスキャンパラメータセットを選択し、
前記スキャン部は、
前記第1のスキャンパラメータセットの予測実行確率が閾値よりも高い場合、前記第1のスキャンパラメータセットに従いスキャンを実行する、
請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項13】
前記選択部は、前記位置情報に加え、架台チルト角度、天板左右位置、天板上下位置、架台操作ボタンの操作の有無、心電波形入力の有無、呼吸トリガー入力の有無及びインジェクター接続の有無のうちの少なくとも1つを利用して前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する、請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項14】
較正部は、自装置の寝台又はスキャン部の移動範囲に関する機械的制約に基づいて前記複数のスキャンパラメータセット各々に関連付けられた位置情報を較正する、請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項15】
複数のスキャンパラメータセットを記憶する記憶部と、
被検体又は前記被検体をスキャンするスキャン部の移動に伴い取得された、前記被検体と前記スキャン部との位置関係に相関する位置情報に基づいて、前記複数のスキャンパラメータセットの中から少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する選択部と、を具備し、
前記記憶部は、前記複数のスキャンパラメータセットの各々について、当該スキャンパラメータセットが過去に選択されたときの位置情報を関連付け、
前記選択部は、前記位置情報と前記複数のスキャンパラメータセットの各々に関連付けられた過去の位置情報との差に基づいて前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する、
医用画像診断システム。
【請求項16】
医用画像診断システムによる被検体に対する医用撮影に使用するスキャンパラメータセットを選択するパラメータ選択方法であって、
前記被検体の切り替え指示から位置決めスキャンの開始時までの期間において位置情報を取得し、前記位置情報は、前記被検体又は前記被検体をスキャンするスキャン部の移動に伴う、前記被検体と前記スキャン部との位置関係に相関し、前記位置決めスキャンの開始端を表す、工程と、
前記位置情報に基づいて、複数のスキャンパラメータセットの中から、前記位置情報に対応する撮影部位に関する少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する工程と、
を具備するパラメータ選択方法。
【請求項17】
医用画像診断システムによる被検体に対する医用撮影に使用するスキャンパラメータセットを選択するパラメータ選択方法であって、
複数のスキャンパラメータセットを記憶部に記憶する工程と、
前記被検体又は前記被検体をスキャンするスキャン部の移動に伴い取得された、前記被検体と前記スキャン部との位置関係に相関する位置情報に基づいて、複数のスキャンパラメータセットの中から少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する工程と、を具備し、
前記記憶する工程は、前記複数のスキャンパラメータセットの各々について、当該スキャンパラメータセットが過去に選択されたときの位置情報を関連付け、
前記選択する工程は、前記位置情報と前記複数のスキャンパラメータセットの各々に関連付けられた過去の位置情報との差に基づいて前記少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する、
パラメータ選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断システム及びパラメータ選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影では、患者の寝台への誘導や撮影位置へのセットアップ、患者情報の入力、オプションユニットのセットアップ等、撮影に関する多様な準備が必要である。これら準備が終了してからスキャンプランの選択が行われ、その後、装置セットアップが行われ、ようやく撮影が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平03-70547号公報
【文献】特開2007-167634号公報
【文献】特開2009-60939号公報
【文献】特開平11-235334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、医用撮影に係る操作者の準備の負担を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る医用画像診断システムは、複数のスキャンパラメータセットを記憶する記憶部と、被検体又は前記被検体をスキャンするスキャン部の移動に伴い取得された、前記被検体と前記スキャン部との位置関係に相関する位置情報に基づいて、前記複数のスキャンパラメータセットの中から少なくとも1つのスキャンパラメータセットを選択する選択部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るX線CTシステムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1のX線CTシステムに係るCT検査のワークフローを示す図である。
【
図4】
図4は、スキャンプランテーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、天板位置とスキャンプランとの関係を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、
図3のステップS5において処理回路により実行されるスキャンプランの選択処理に係る一連の処理の典型的な流れを示す図である。
【
図7】
図7は、
図6のステップSA2において行われるスキャンプラン候補の選択処理を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、デフォルトのスキャンプラン選択画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図6のステップSA3において表示されるスキャンプラン選択画面を示す図である。
【
図10】
図10は、
図6のステップSA3において表示される他のスキャンプラン選択画面を示す図である。
【
図11】
図11は、
図6のステップSA3において表示される他のスキャンプラン選択画面を示す図である。
【
図12】
図12は、
図6のステップSA3において表示される他のスキャンプラン選択画面を示す図である。
【
図13】
図13は、天板に荷物を置かない医療施設における頭部撮影のときの天板位置を示す図である。
【
図14】
図14は、天板に荷物を置く医療施設における頭部撮影のときの天板位置を示す図である。
【
図15】
図15は、本実施形態の変形例1に係る処理回路によるスキャンプランの選択から撮影までの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医用画像診断システムを説明する。
【0008】
本実施形態に係る医用画像診断システムは、医用画像を生成する医用画像診断装置に係るシステムである。医用画像診断装置としては、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置及び核医学診断装置等が利用可能である。以下、説明を具体的に行うため、医用画像診断システムとして、X線コンピュータ断層撮影装置に係るシステム(以下、X線CTシステムと呼ぶ)を例に挙げて説明する。
【0009】
図1は、X線CTシステム1の構成を示す図である。なお、
図1には説明の都合のため複数の架台10が描画されているが、典型的にはX線CTシステム1が装備する架台10は1台である。
【0010】
図1に示すように、X線CTシステム1は、架台10、寝台30及びコンソール40を有する。架台10は、被検体PをX線CT撮影するための構成を有するスキャン装置である。寝台30は、X線CT撮影の対象となる被検体Pを載置し、被検体Pを位置決めするための搬送装置である。コンソール40は、架台10を制御するコンピュータである。例えば、架台10及び寝台30は検査室に設置され、コンソール40は検査室に隣接する操作室に設置される。架台10、寝台30及びコンソール40は互いに通信可能に有線または無線で接続されている。架台10は、スキャン部の一例である。
【0011】
図1に示すように、架台10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路(DAS:Data Acquisition System)18を有する。
【0012】
X線管11は、X線を発生する。具体的には、X線管11は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極と、陰極と陽極とを保持する真空管とを含む。X線管11は、高圧ケーブルを介してX線高電圧装置14に接続されている。陰極には、X線高電圧装置14によりフィラメント電流が供給される。フィラメント電流の供給により陰極から熱電子が発生する。陰極と陽極との間には、X線高電圧装置14により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔して陽極に衝突し、X線が発生する。発生されたX線は、被検体Pに照射される。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより管電流が流れる。
【0013】
X線検出器12は、X線管11から発生され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応した電気信号をDAS18に出力する。X線検出器12は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向)に複数配列された構造を有する。X線検出器12は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドは、コリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれることもある。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する。光センサとしては、例えば、フォトダイオードが用いられる。
【0014】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを回転軸Z回りに回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持する。回転フレーム13は、固定フレーム(図示せず)に回転軸Z回りに回転可能に支持される。制御装置15により回転フレーム13が回転軸Z回りに回転することによりX線管11とX線検出器12とを回転軸Z回りに回転させる。回転フレーム13の開口部19には、画像視野(FOV:Field Of View)が設定される。
【0015】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台30の天板33の長手方向をZ方向、Z方向に直交し床面に対し水平である方向をX方向、Z方向に直交し床面に対し垂直である方向をY方向と定義する。
【0016】
X線高電圧装置14は、高電圧発生装置とX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御装置は、X線管11に印加する高電圧とX線管11に供給フィラメント電流とを制御する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置14は、架台10内の回転フレーム13に設けられてもよいし、架台10内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
【0017】
ウェッジ16は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるようにX線を減衰する。例えば、ウェッジ16としては、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)等、アルミニウム等の金属が加工されることにより形成された金属フィルタである。これらウェッジ16は、所定のターゲット角度や所定の厚みを有するように加工される。
【0018】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ17は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。なお、コリメータ17は、X線絞りとも呼ばれる。
【0019】
DAS18は、X線検出器12により検出されたX線の線量に応じた電気信号をX線検出器12から読み出し、読み出した電気信号を増幅し、ビュー期間に亘り電気信号を積分することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有する検出データを収集する。検出データは、投影データとも呼ばれる。DAS18は、例えば、投影データを生成可能な回路素子を搭載した特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)により実現される。DAS18により生成された投影データ(検出データ)は、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台10の非回転部(例えば、固定フレーム)に設けられた発光ダイオード(LED)を有する受信機に送信され、受信機からコンソール40に伝送される。なお、回転フレーム13から架台10の非回転部への投影データの送信方式は、前述の光通信に限定されず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式であっても良い。
【0020】
寝台30は、基台31、支持フレーム32、天板33及び寝台駆動装置34を備える。基台31は、床面に設置される。基台31は、支持フレーム32を、床面に対して垂直方向(Y方向)に移動可能に支持する構造体である。支持フレーム32は、基台31の上部に設けられるフレームである。支持フレーム32は、天板33を中心軸Zに沿ってスライド可能に支持する。天板33は、被検体Pが載置される柔軟性を有する板状構造体である。
【0021】
寝台駆動装置34は、寝台30に収容される。寝台駆動装置34は、被検体Pが載置された天板33を移動させるための動力を発生するモータ又はアクチュエータである。寝台駆動装置34は、コンソール40等による制御に従い作動する。
【0022】
制御装置15は、コンソール40の処理回路44による撮影制御機能441に従いX線CT撮影を実行するためにX線高電圧装置14、DAS18及び寝台30を制御する。制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動装置とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPU等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。制御装置15は、例えば、コンソール40、架台10及び寝台30等に設けられた入力インターフェース43からの操作信号に従い架台10及び寝台30を制御する。例えば、制御装置15は、回転フレーム13の回転、架台10のチルト、天板33及び寝台30の動作を制御する。
【0023】
コンソール40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を有する。メモリ41とディスプレイ42と入力インターフェース43と処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール40は、架台10とは別体であるとして説明するが、架台10にコンソール40の全構成要素又は一部の構成要素が含まれても良い。
【0024】
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線CTシステム1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。メモリ41は、具体的には、複数のスキャンパラメータセットを記憶する。スキャンパラメータセットは、複数種類のスキャンパラメータの値の組合せである。スキャンパラメータセットは、スキャンプラン(エキスパートプラン)と同義である。複数のスキャンパラメータセットは、例えば、LUT(look Up Table)形式で記憶される。このLUTをスキャンプランテーブルと呼ぶことにする。
【0025】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。また、ディスプレイ42は、架台10に設けられても良い。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でも良いし、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等に含まれるタブレット型でも良い。
【0026】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜使用可能である。なお、本実施形態において入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。また、入力インターフェース43は、架台10に設けられても良い。また、入力インターフェース43は、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等に含まれても良い。
【0027】
処理回路44は、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じてX線CTシステム1の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行することにより、撮影制御機能441、再構成機能442、画像処理機能443、情報取得機能444、スキャン計画機能445、表示制御機能446及び較正機能447等を実行する。なお、各機能441~447は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能441~447を実現するものとしても構わない。
【0028】
撮影制御機能441において処理回路44は、X線CT撮影を行うためX線高電圧装置14と制御装置15とDAS18とを制御する。処理回路44は、スキャン計画機能445により決定された撮影条件に従いX線高電圧装置14と制御装置15とDAS18とを制御する。
【0029】
再構成機能442において処理回路44は、DAS18から出力された投影データに基づいてCT画像を生成する。具体的には、処理回路44は、DAS18から出力された投影データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施す。そして処理回路44は、前処理後の投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を施しCT画像を生成する。
【0030】
画像処理機能443において処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能442によって生成されたCT画像を、任意断面の断層像やボリュームレンダリング画像に変換する。
【0031】
情報取得機能444において処理回路44は、被検体P又は被検体Pをスキャンする架台10の移動に伴い、被検体Pと架台10との位置関係に相関する位置情報を取得する。
【0032】
スキャン計画機能445において処理回路44は、自動的に又は入力インターフェース43等を介して入力された操作者からの指示に従いスキャン計画を立案する。スキャン計画において処理回路44は、情報取得機能444により取得された位置情報に基づいて、メモリ41に記憶された複数のスキャンパラメータセット(換言すれば、スキャンプランテーブル)の中から1又は複数のスキャンパラメータセットを選択する。処理回路44は、複数のスキャンパラメータセットが選択された場合、自動的又は入力インターフェース43を介して手動的に1つのスキャンパラメータセットを選択する。
【0033】
表示制御機能446において処理回路44は、種々の情報をディスプレイ42に表示する。例えば、種々の情報として、選択された1又は複数のスキャンパラメータセットが表示される。また、種々の情報として、CT画像等が表示される。
【0034】
較正機能447において処理回路44は、自装置の寝台30又は架台10の移動範囲に関する機械的制約に基づいてスキャンプランテーブルを較正する。
【0035】
以下、X線CTシステム1に係る動作について説明する。
【0036】
図2は、架台10及び寝台30の外観を示す図である。
図2に示すように、架台10は、略円筒形の開口部19が形成された架台本体23を有する。架台本体23は、床面に設置された固定部25によりチルト軸AT回りにチルト可能に支持されている。チルト軸ATは、開口部19の中心軸(回転軸)ARに水平に直交する。架台10の前方には寝台30が設置されている。
図2に示すように、天板33の長軸A1が開口部19の中心軸ARに平行するように寝台30が配置される。
【0037】
支持フレーム32は、天板33を長軸A1に沿ってスライド可能に支持する。基台31は、天板33を長軸A1に鉛直に直交する鉛直軸A2に沿って昇降可能に支持している。鉛直軸A2は、床面に対して垂直を向く。以下、天板33の長軸A1に平行する方向を長軸方向又はZ方向、鉛直軸A2に平行する方向を垂直方向又はY方向と呼ぶことにする。また、寝台30が架台10に接近する方向を+Z方向、寝台30が架台10から離れる方向を-Z方向、寝台30が上昇する方向を+Y方向、寝台30が下降する方向を-Y方向とする。また、+Z方向側の天板33の限界到達位置はIN-LIMITと呼ばれ、-Z方向側の天板33の限界到達位置はOUT-LIMITと呼ばれる。
【0038】
次に、
図3を参照しながら、本実施形態に係るX線CTシステム1に係るCT検査のワークフローについて説明する。
図3の左欄は、架台10と寝台30とが設置された検査室において行われる作業を示し、
図3の右欄は、コンソール40が設置された操作室において行われる作業を示す。
【0039】
図3に示すように、まず、操作室のコンソール40において次患者への切り替えが行われる(ステップS1)。例えば、ディスプレイ42に表示された「次患者」ボタンが、医師や技師等の操作者により入力インターフェース43を介して押下された場合、処理回路44は、システムの処理対象の患者を次患者(現検査対象の患者)に切り替える。次患者への切り替えにより、現検査対象の患者に関する検査オーダ情報が、RIS(Radiology Information System)等のネットワークシステムからコンソール40に供給される。検査オーダ情報には、現検査対象の患者に関する患者基本情報が含まれる。患者基本情報は、現検査対象の患者に関する氏名や患者ID、生年月日等の基本的な情報を含む。以下、次患者又は現検査対象の患者を単に患者と呼ぶこともある。
【0040】
ステップS1が行われると操作者は、検査室に移動し、患者を寝台30にセットアップする(ステップS2)。ステップS2においては、患者を寝台30の天板33に寝かせる。
【0041】
ステップS2が行われると操作者は、操作室に移動し、コンソール40に現検査対象の患者に関する患者情報を入力する(ステップS3)。ステップS3において処理回路44は、操作者により入力インターフェース43を介して患者情報を入力する。入力される患者情報としては、検査オーダに含まれない患者情報、例えば、撮影部位や体位に関する情報が含まれる。
【0042】
ステップS3が行われると操作者は、検査室に移動し、患者位置のセットアップを行う(ステップS4)。ステップS4において操作者は、患者の撮影部位が画像視野に位置するため、架台10に設けられた操作パネル又は寝台30に設けられたスイッチを操作する。当該操作に従い制御装置15は、天板33をZ軸に沿って移動させることによりボア19内に天板33を進入させ、患者の撮影部位を撮像視野に配置する。具体的には、架台10に内蔵されたX線管11からX線検出器12へのX線パスが、患者の撮影範囲の両端部のうちの架台10側の端部に位置するように天板33が移動される。この撮影範囲は、ステップS8のX線CT撮影において初めに実行されるX線CT撮影の撮影範囲を意味する。例えば、ステップS8のX線CT撮影において位置決めスキャン(スキャノ撮影)及び本スキャンの順番でX線CT撮影が行われる場合、位置決めスキャンの撮影範囲の端部がX線パスに位置するように天板33が移動される。
【0043】
ステップS4が行われると操作者は、操作室に移動し、スキャンプランの選択を行う(ステップS5)。ステップS5において処理回路44は、スキャン計画機能445の実現により、被検体Pと架台10との位置関係に相関する位置情報に基づいてスキャンプランを選択する。ステップS5の処理については後述する。
【0044】
ステップS5が行われると操作者は、コンソール40を介して装置セットアップを行う(ステップS6)。装置セットアップは、架台10が即時にX線CT撮影を実行する事が可能な状態に移行すること、すなわち、X線CT撮影の準備を意味する。装置セットアップとしては、X線管11の加熱(ヒートアップ)や回転フレーム13の回転等が行われる。
【0045】
ステップS4及びステップS6が行われると操作者は、患者位置セットアップと装置セットアップとの双方が完了する事を待機する(ステップS7)。
【0046】
患者位置セットアップと装置セットアップとの双方が完了すると操作者は、入力インターフェース43を介して撮影開始指示を入力する。撮影開始指示が入力されたことを契機として処理回路44は、撮影制御機能441により架台10を制御してX線CT撮影を実行する。架台10は、回転フレーム13を回転させながらX線管11からのX線の照射とX線検出器12によるX線の検出とを行い、DAS18を介して患者に関する投影データをビュー毎に収集する。コンソール40の処理回路44は、再構成機能442の実現により、投影データに基づいてCT画像を再構成する。CT画像は、ディスプレイ42等に表示され、操作者等による読影等に供される。X線CT撮影後、患者が検査室から退出される。
【0047】
以上により、現検査対象の患者に関するCT検査が終了する。
【0048】
次に、
図3のステップS5におけるスキャンプランの選択について詳細に説明する。上記の通り、ステップS5において処理回路44は、被検体Pと架台10との位置関係に相関する位置情報に基づいてスキャンプランを選択する。被検体Pと架台10との位置関係に相関する位置情報は、被検体Pの位置、架台10の位置又は天板33の位置に規定される。架台10の位置は、床面にZ軸に沿って設けられたレールを介して架台10がZ軸方向に関して移動可能な構成を有する場合に利用される。本実施形態において架台10は床面に固定されているものとする。
【0049】
まずは、スキャンプランの選択において利用されるスキャンプランテーブルについて説明する。
【0050】
図4は、スキャンプランテーブルの一例を示す図である。
図4に示すように、スキャンプランテーブルは、複数のスキャンプラン各々について、被検体Pと架台10との位置関係に相関する位置情報として、天板33の位置(以下、天板位置と呼ぶ)に関する情報を関連付けている。天板位置は、Z軸方向に関する天板33の位置に規定される。例えば、天板33がOUT-LIMITに位置しているとき、天板位置が0mmに設定される。スキャンプランは、複数種類のスキャンパラメータの値の組合せである。スキャンプランを構成するスキャンパラメータとしては、管電圧[kV]や管電流[mA]、Z軸方向に関する撮影範囲[mm]、FOVのサイズ、撮影部位等が含まれる。スキャンパラメータは、架台10のチルト角や造影剤の有無、スキャン種別、再構成手法、再構成関数の種別等、その他の情報が含まれてもよい。スキャンプランテーブルは、メモリ41に記憶されている。なお、スキャンプランテーブルは、コンソール40内のメモリ41ではなく、架台10に設けられたメモリに記憶されていてもよいし、外部サーバの記憶領域に記憶されてもよい。
【0051】
スキャンプランテーブルは、処理回路44等により予め作成される。具体的には、スキャンプランテーブルに記録されるスキャンプランと天板位置との組合せは、実際に実行されたスキャンプランと、当該スキャンプランが選択されたときの天板位置との組合せである。処理回路44は、実際にスキャンプランが選択されたときの天板位置を特定し、実際に実行されたスキャンプランを特定し、特定された天板位置とスキャンプランとの組合せをスキャンプランテーブルに記録する。
【0052】
図5は、天板位置とスキャンプランとの関係を模式的に示す図である。
図5に示すように、天板位置とスキャンプランとの間には関係性が存在する。すなわち、撮影部位に応じて天板位置がおおよそ決定され、また、撮影部位に応じて管電圧[kV]や管電流[mA]、Z軸方向に関する撮影範囲[mm]、FOVのサイズ等のスキャンパラメータがおおよそ決定される。例えば、
図5の上段は、スキャンプラン1を示し、撮影部位が頭部であるとき天板位置が300mmである。
図5の中段は、スキャンプラン2を示し、撮影部位がスキャンプラン2の胸部であるとき天板位置が1000mmである。
図5の下段は、スキャンプラン3を示し、撮影部位がスキャンプラン3の下肢であるとき天板位置が600mmである。
【0053】
図6は、
図3のステップS5において処理回路44により実行されるスキャンプランの選択処理に係る一連の処理の典型的な流れを示す図である。
図6の処理は、
図3に示すステップS4(患者位置セットアップ)に並行して行われる。
【0054】
図6に示すように、処理回路44は、情報取得機能444の実現により、現在の天板位置に関する情報を繰り返し取得する(ステップSA1)。例えば、処理回路44は、患者切り替え(ステップS1)から撮影(ステップS8)までの期間において天板位置に関する情報を繰り返し取得する。例えば、寝台駆動装置34には天板33のZ軸方向に関する天板位置を表す信号を出力するロータリーエンコーダが設けられる。ロータリーエンコーダからの出力信号はコンソール40に供給される。処理回路44は、天板33の移動中又は移動完了時において、ロータリーエンコーダからの出力信号を、天板位置に関する情報として自動的に取得する。この天板位置は、現在の天板位置を表している。
【0055】
ステップSA1が行われると処理回路44は、スキャン計画機能445の実現により、現在の天板位置に基づいてスキャンプランの候補を選択する(ステップSA2)。ステップSA2において処理回路44は、ステップS1において取得された現在の天板位置を、スキャンプランテーブルに登録された各スキャンプランの天板位置との間で照合する。そして処理回路44は、現在の天板位置に近似する天板位置に関連付けられた少なくとも1つのスキャンプランを候補として選択する。具体的には、処理回路44は、現在の天板位置とスキャンプランテーブルに登録された各スキャンプランの天板位置との差分を算出し、算出された差分を閾値に対して比較する。処理回路44は、差分が閾値よりも小さい天板位置に関連付けられたスキャンプランを候補として選択する。
【0056】
図7は、ステップSA2において行われるスキャンプラン候補の選択処理を模式的に示す図である。
図7の左側に示すように、スキャンプランテーブルにおいて、スキャンプラン1(撮影部位:頭部、天板位置:300mm)、スキャンプラン2(撮影部位:胸部、天板位置:1000mm)、スキャンプラン3(撮影部位:下肢、天板位置:600mm)が登録されているとする。また、例えば、現在の天板位置が250mmであるとする。この場合、スキャンプラン1の天板位置と現在の天板位置との差分は50mm、スキャンプラン2の天板位置と現在の天板位置との差分は750mm、スキャンプラン3の天板位置と現在の天板位置との差分は350mmである。例えば、閾値が100mmである場合、スキャンプラン1が候補として選択される。すなわち、現在の天板位置から、頭部のスキャンプランであるスキャンプラン1が選択されることとなる。
【0057】
なお、同一の部位を撮影する場合であっても、天板33における被検体Pの向きや被検体Pの体格に応じて天板位置が異なる場合がある。処理回路44は、天板位置の他、被検体Pの向きを示す情報及び被検体Pの体格を示す情報のうち少なくとも一つに基づいて、スキャンプランの候補を選択してもよい。被検体Pの向きを示す情報は、天板33における被検体Pの向きを示す情報である。被検体Pの向きを示す情報としては、具体的には、被検体Pの頭部を架台10に向けるヘッド・ファースト、被検体Pの脚を架台10に向けるフット・ファースト等がある。被検体Pの体格を示す情報は、被検体Pの体格に影響する種々の情報であり、具体的には、被検体Pの体重や身長、年齢、性別(男性/女性)である。年齢としては、年齢を示す数値でもよいし、子供や大人のようなクラスでもよい。また、被検体Pの体格を示す情報は、小型、標準又が大型等の被検体Pのおおよその体格を示すクラスでもよい。
【0058】
例えば、処理回路44は、被検体Pの向きを示す情報に基づいて、現在の天板位置又はスキャンプランテーブルの各スキャンパラメータに関連付けられた天板位置を補正し、補正後の天板位置を利用してスキャンパラメータの候補を選択する。これにより、被検体Pの向きの違いによる天板位置のばらつきを補正することができる。また、処理回路44は、被検体Pの体格を示す情報に基づいて、現在の天板位置又はスキャンプランテーブルの各スキャンパラメータに関連付けられた天板位置を補正し、補正後の天板位置を利用してスキャンパラメータの候補を選択する。これにより、被検体Pの体格の違いによる天板位置のばらつきを補正することができる。
【0059】
ステップSA2が行われると処理回路44は、スキャンプランの候補を表示する(ステップSA3)。ステップSA3において処理回路44は、表示制御機能446の実現により、ステップSA2において選択されたスキャンプランの候補を、ディスプレイ42に表示する。
【0060】
図8は、デフォルトのスキャンプラン選択画面IS1の一例を示す図である。スキャンプラン選択画面IS1には、複数のスキャンプランPn(nは整数)が一覧で表示される。スキャンプランPnは、例えば、スキャンプランの名称と当該スキャンプランを構成するスキャンパラメータの値を示す数字及び文字とで表示される。例えば、スキャンプランP2は、名称が「頭部2」であり、スキャンパラメータは管電圧「120kV」、管電流「400mA」、撮影範囲「100mm」、FOVサイズ「S」である。スキャンプランPnは、入力インターフェース43を介して選択可能に表示される。スキャンプラン選択画面IS1は、ステップSA3におけるスキャンプランの候補の選択前に表示される。
【0061】
図9は、ステップSA3において表示されるスキャンプラン選択画面IS2を示す図である。なお、
図9においては、撮影部位「胸部」に関するスキャンプランP3及びP4が候補として選択された場合を想定する。
図9に示すように、候補として選択されたスキャンプランP3及びP4は、他のスキャンプランP1、P2及びP5と異なる態様で表示される。表示態様としては、例えば、候補として選択されたスキャンプランP3及びP4は、他のスキャンプランP1、P2及びP5と異なる色で表示されてもよいし、太い線で表示されてもよいし、点滅されてもよい。このように、候補として選択されたスキャンプランP3及びP4と、他のスキャンプランP1、P2及びP5とが異なる態様で表示されることにより、操作者は、候補を容易に認識することができる。
【0062】
図10は、ステップSA3において表示される他のスキャンプラン選択画面IS3を示す図である。
図10に示すように、候補として選択されたスキャンプランP3及びP4は、他のスキャンプランP1、P2及びP5よりも画面上部に表示される。このような表示態様によれば、操作者は、候補を容易に認識することができる。
【0063】
なお、
図8、
図9及び
図10のスキャンプラン選択画面において各スキャンプランPnに対する入力インターフェース43を介した選択は有効である。非候補スキャンプランP1、P2及びP5が選択された場合、処理回路44は、患者の位置決めの誤り(ポジショニングミス)を、ディスプレイ42又はスピーカを介して通知してもよい。これにより、スキャンプランの選択の誤り又は患者の位置決めの誤りを防止することができる。
【0064】
図11は、ステップSA3において表示される他のスキャンプラン選択画面IS4を示す図である。
図11に示すように、候補として選択されたスキャンプランP3及びP4は、
図9と同様、他のスキャンプランP1、P2及びP5と異なる態様で表示される。そして、候補として選択されたスキャンプランP3及びP4は、入力インターフェース43等を介して選択可能に表示されるが、他のスキャンプランP1、P2及びP5は、選択不能に表示される。換言すれば、処理回路44は、ステップSA2において候補が選択された場合、候補として選択されなかったスキャンプランP1、P2及びP5を選択可から選択不可に設定する。このように、非候補のスキャンプランP1、P2及びP5が選択不能に表示されることにより、操作者により非候補が選択されることを防止することができる。
【0065】
図12は、ステップSA3において表示される他のスキャンプラン選択画面IS5を示す図である。
図12に示すように、候補スキャンプランP3及びP4が表示され、非候補スキャンプランP1、P2及びP5が表示されない。このように、候補スキャンプランP3及びP4のみが限定的に表示されることにより、操作者は、候補のみを認識することができる。
【0066】
ステップSA3が行われると処理回路44は、候補スキャンプランから一のスキャンプランが選択されることを待機する(ステップSA4)。例えば、操作者は、ステップSA3において表示された候補スキャンプランの中から、撮影に利用する任意のスキャンプランを、入力インターフェース43を介して選択する。候補スキャンプランが選択されない場合(ステップSA4:NO)、処理回路44は、再びステップSA1に戻り、ステップSA1、SA2、SA3及びSA4を繰り返す。ステップSA1、SA2、SA3及びSA4は、
図3の患者位置セットアップが行われている期間、換言すれば、患者切り替え(ステップS1)から撮影(ステップS8)までの期間において繰り返し行われる。天板33の移動前や移動中においては、スキャンプランの選択が行われないことが予期される。この期間においては、変化している天板位置に応じてリアルタイムで候補スキャンプランが変更されることとなる。ステップSA4において選択されるスキャンプランは、実際には、天板33の移動完了後における天板位置である。例えば、一番初めの撮影がスキャノ撮影の場合、天板33は、Z軸方向に関するスキャノ撮影の撮影範囲の両端のうちの一端(開始端)に天板位置が一致するように配置される。この場合、処理回路44は、スキャノ撮影の開始端に関する天板位置に適したスキャンプランの候補を選択することとなる。
【0067】
ステップSA4において一のスキャンプランが選択された場合(ステップSA4:YES)、処理回路44は、
図6に示すスキャンプランの選択処理を終了する。
【0068】
上記の通り、スキャンプランの選択処理において処理回路44は、現在の天板位置を、過去に実際に採用されたスキャンプランと天板位置との組合せを登録したスキャンプランテーブルとの間で照合して、スキャンプランの候補を操作者に提示する。スキャンプランテーブルが病院等の医療施設毎に生成されることにより、医療施設毎の撮影方針の差異に関係なく、適切な候補を提示することができる。
【0069】
図13及び
図14は、医療施設毎の撮影方針の差異に起因する、頭部撮影のときの天板位置の差異を模式的に示す図である。
図13は、天板に荷物を置かない医療施設における頭部撮影のときの天板位置を示し、
図14は、天板に荷物を置く医療施設における頭部撮影のときの天板位置を示す。
図14に示すように、天板を治療用の薬品やガーゼ等の置き場として利用する場合がある。このとき、撮影部位が同一であっても、天板に荷物を置く場合と置かない場合とで天板位置に差異が生じることとなる。スキャンプランテーブルは、医療施設毎に作成され、過去に実際にその医療施設で採用されたスキャンプランと天板位置との組合せを登録したものである。このようなスキャンプランテーブルを使用することにより、処理回路44は、医療施設毎の撮影方針を考慮したスキャンプランを選択し提示することができる。
【0070】
(変形例1)
なお、上記
図6に示す処理の流れは一例であり、種々の変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、スキャンプランの候補を選択し提示するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。変形例1に係る処理回路44は、一のスキャンプランを自動的に選択してもよい。
【0071】
図15は、本実施形態の変形例1に係る処理回路44によるスキャンプランの選択から撮影までの流れを示す図である。
図15に示す処理は、
図3に示すステップS4、S5、S6、S7及びS8の他の例である。
図15に示すステップSB1は、
図3に示すステップS4に並行して開始される。
【0072】
図15に示すように、処理回路44は、情報取得機能444の実現により、現在の天板位置に関する情報を取得する(ステップSB1)。ステップSB1において処理回路44は、例えば、天板33の移動の完了後、自動的に又は操作者による入力インターフェース43を介した指示を受けて天板位置に関する情報を取得する。
【0073】
ステップSB1が行われると処理回路44は、スキャン計画機能445の実現により、現在の天板位置に基づいて一のスキャンプランを選択する(ステップSB2)。ステップSB2において処理回路44は、まず、
図6のステップSA2と同様、スキャンプランテーブルを利用して、現在の天板位置からスキャンプランの候補を選択する。次に処理回路44は、各候補について予測実行確率を計算する。予測実行確率は、当該スキャンプランが実行されると予測される確率である。予測実行確率は、例えば、スキャンプランテーブルにおいて各スキャンプランに関連付けられた実行回数と提示回数とに基づいて計算される。実行回数は、当該スキャンプランが実際に実行された回数である。提示回数は、当該スキャンプランが候補として選択された回数である。提示回数に対する実行回数の割合が予測実行確率に規定される。なお、予測実行確率は、他の方法により計算されてもよい。そして処理回路44は、予測実行確率が最も高い一のスキャンプランを選択する。
【0074】
ステップSB2が行われると処理回路44は、スキャン計画機能445の実現により、ステップSB2において選択された一のスキャンプランの予測実行確率が閾値を超えているか否かを判定する(ステップSB3)。閾値は、任意の値に設定されればよい。一のスキャンプランの予測実行確率が閾値以下であると判定された場合(ステップSB3:NO)、ステップSB1における天板位置に関する情報取得から再度同様の処理を、再実行が許可されている時間範囲において繰り返し行う。すなわち、一のスキャンプランの予測実行確率が閾値以下であると判定された場合(ステップSB3:NO)、処理回路44は、自動スキャンプラン選択のタイムアウト時間内であるか否かを判定する(ステップSB4)。タイムアウト時間は、例えば、
図15の処理の開始から1分以内等に設定されてもよい。あるいは、処理回路44は、再実行回数を計数し、当該再実行回数を、タイムアウト時間である閾値(例えば、3回)に対して比較してもよい。処理回路44は、タイムアウト時間内にあると判定した場合(ステップSB4:YES)、ステップSB1からステップSB3を繰り返す。タイムアウト時間内にないと判定した場合(ステップSB4:NO)、すなわち、タイムアウト時間内に、閾値を上回る予測実行確率となるスキャンプランが選択されなかった場合(ステップSB3:NO)、処理回路44は、操作者の判断により、スキャンプランを選択する必要があるため、
図6に示すステップSA1に進む。
【0075】
一のスキャンプランの予測実行確率が閾値を超えていると判定された場合(ステップSB3:YES)、処理回路44は、撮影制御機能441の実現により、撮影の準備を開始する(ステップSB5)。撮影の準備としては、回転フレーム13の回転やX線管11の予熱が行われる。より詳細には、処理回路44は、制御装置15に回転フレーム13の回転とX線管11の予熱との開始指令を行う。開始指令を受けて制御装置15は、回転フレーム13を所定の速度で回転する。所定の速度は、ステップSB2において選択されたスキャンプランに対応する回転速度でもよいし、操作者による回転速度の変更に対処するため、ステップSB2において選択されたスキャンプランに対応する回転速度よりも低い速度でもよい。回転フレーム13の回転に並行して制御装置15は、予熱用の電流をX線管11の陰極に供給する。これにより、X線管11から即座にX線を照射することが可能な状態に移行することができる。なお、X線管11の予熱は、制御装置15による制御ではなく、処理回路44による制御により行われてもよい。また、撮影の準備として処理回路44は、メモリ41における投影データの保存領域を確保するため、メモリ41に記憶されているデータを削除又は移行してもよい。
【0076】
ステップSB5が行われると処理回路44は、撮影の準備の完了を待機する(ステップSB6)。撮影の準備が完了した場合(ステップSB6:YES)、処理回路44は、撮影開始指示がなされたか否かを判定する(ステップSB7)。例えば、処理回路44は、撮影の準備を開始してから撮影開始指示を受け付けている。撮影開始指示は、操作者により入力インターフェース43を介して行われる。
【0077】
撮影開始指示が行われた場合(ステップSB7:YES)、処理回路44は、撮影制御機能441の実現により、ステップSB2において選択されたスキャンプランに従いX線CT撮影を行う(ステップSB8)。処理回路44は、撮影制御機能441により架台10を制御してX線CT撮影を実行する。架台10は、回転フレーム13を回転させながらX線管11からのX線の照射とX線検出器12によるX線の検出とを行い、DAS18を介して患者に関する投影データをビュー毎に収集する。コンソール40の処理回路44は、再構成機能442の実現により、投影データに基づいてCT画像を再構成する。CT画像は、ディスプレイ42等に表示され、操作者等による読影等に供される。
【0078】
以上により、変形例1に係る処理回路44によるスキャンプランの選択から撮影までの処理が終了する。
【0079】
なお、
図15に示す処理の流れは一例であり、これに限定されない。例えば、処理回路44は、操作者により一のスキャンプランが選択されたことを契機として自動的に撮影の準備(ステップSB5)以後の処理を実行してもよい。
【0080】
上記の通り、変形例1によれば、現在の天板位置に適合した一のスキャンプランを自動的に選択することができる。この構成によれば、操作者は、検査室において患者位置セットアップを行った後、操作室に戻ってスキャンプランを選択する必要がない。また、変形例1によれば、架台10は、スキャンプランが選択されたことを契機に、当該選択されたスキャンプランに従い撮影の準備を行う。よって、処理回路44は、操作者による装置セットアップの指示を待つ必要がない。また、一例として、架台10は、
図15に示すように、撮影の準備の期間中に撮影開始指示がなされた場合、準備の完了後、自動的に撮影を開始する。よってCT検査のワークフローが向上する。
【0081】
(変形例2)
上記の実施形態においてスキャンプランテーブルは、複数のスキャンパラメータ各々に天板位置を関連付けているものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。変形例2に係るスキャンプランテーブルは、複数のスキャンパラメータ各々に、天板位置の他、天板位置に影響を与える因子(以下、影響因子と呼ぶ)に関する情報を関連付けている。
【0082】
影響因子としては、架台チルト角度、天板左右位置、天板上下位置、架台操作ボタンの操作の有無、心電波形入力の有無、呼吸トリガー入力の有無及びインジェクター接続の有無が用いられる。頭部撮影や嚥下撮影においては架台10がチルトされるので、架台チルト角度に関する情報によれば、頭部撮影か嚥下撮影かを判定できる。天板上下位置に関する情報は、被検体Pの体厚の差によって頭部撮影か腹部撮影を判定できる。天板左右位置に関する情報は、患者正中線上にない臓器である心臓等の特定の臓器を対象とする撮影や下肢撮影を判定できる。架台操作ボタンの操作の有無に関する情報によれば、患者が天板33に寝ている向きを判定できる。架台10には寝台30の基部31に面する側と面しない側との両方に天板33の動作用のスイッチが設けられている。例えば、基部31に面しない側にあるスイッチを操作されていれば、患者がヘッド・ファースト(Head First)で天板33に寝ていることなどが判定できる。心電波形入力の有無、呼吸トリガー入力の有無及びインジェクター接続の有無は、システムに接続されるオプションの有無に関係する。心電波形入力、呼吸トリガー入力及びインジェクター接続を要する場合、それらを利用する特定のスキャンプランの選択に有用である。
【0083】
処理回路44は、現在の天板位置と現在の影響因子とを取得し、スキャンプランテーブルを利用して、現在の天板位置と現在の影響因子との組合せからスキャンプランの候補を選択する。この際、処理回路44は、現在の天板位置と現在の影響因子との組合せに完全に一致する、天板位置と影響因子との組合せに関連付けられたスキャンプランを選択してもよい。また、処理回路44は、現在の天板位置と現在の影響因子との組合せに基づく複合的な評価関数に基づいて、スキャンプランテーブルからスキャンプランを選択してもよい。
【0084】
このほか、処理回路44は、患者名登録時に体位情報や撮影部位情報が予め分かっている場合、この情報を利用してスキャンプランを選択してもよい。呼吸練習などが先に行われる場合、処理回路44は、言語種や呼吸練習内容の情報も利用してスキャンプランを選択してもよい。特に、患者予約システムなどと接続されている場合、処理回路44は、予め登録された情報に基づいてスキャンプランを選択してもよい。
【0085】
変形例2によれば、天板位置の他に、天板位置に影響を与える因子を利用してスキャンプランの候補をより正確に選択し提示することができる。
【0086】
(変形例3)
上記の実施形態においてスキャンプランテーブルは、医療施設毎に作成及び利用されることとした。他の医療施設で利用されているX線CTシステムと、自己の医療施設のX線CTシステムとでは、装置のジオメトリの差異等により、寝台33や架台10等の移動範囲に関する機械的制約が異なる場合がある。この場合、自己の医療施設と他の医療施設とで同一の撮影部位を撮影するときであっても天板位置が異なるおそれがある。変形例3に係る処理回路44は、較正機能447の実現により、他の医療施設で作成されたスキャンプランテーブルを、自己の医療施設で利用するため、当該スキャンプランテーブルを較正する。以下、変形例3に係るX線CTシステム1について説明する。
【0087】
変形例3に係るメモリ41には、他の医療施設で作成されたスキャンプランテーブルが記憶される。処理回路44は、自装置の架台10又は寝台30の移動範囲に関する機械的制約に基づいてスキャンプランテーブルを較正する、例えば、他の医療施設において利用されているX線CTシステムの天板の移動範囲と、自己の医療施設において利用されているX線CTシステム1の天板33の移動範囲との割合に応じて、複数のスキャンパラメータ各々に関連付けられた天板位置を較正する。これにより、自己の医療施設においても他の医療施設において作成されたスキャンプランテーブルを使用することができるので、スキャンプランテーブルの作成の手間を削減することができる。
【0088】
(変形例4)
上記の実施形態において処理回路44は、位置情報として、ロータリーエンコーダからの出力に基づく天板位置に関する情報を取得するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。変形例4に係る処理回路44は、光学カメラの映像解析により位置情報を取得する。
【0089】
例えば、架台10又は検査室の天井や壁面等の、天板33の基準点が撮影視野に含まれる位置に光学カメラが設置される。天板33の基準点は、天板33の端部や天板33に設けられた目印を意味する。天板の基準点は、天板33に被検体Pが載置される状態においても光学カメラにより撮影可能な位置に設けられる。光学カメラにより天板33の基準点が描出された光学画像が生成される。光学画像は処理回路44に伝送される。処理回路44は、光学画像に画像処理を施して光学画像における天板33の基準点の位置座標を特定し、特定された位置座標を、光学カメラの設置位置及び設置角度に基づいて検査室の座標系における位置座標に変換する。画像処理としては、例えば、閾値処理等が利用される。検査室の座標系における位置座標は、天板位置として利用される。
【0090】
なお、上記の実施形態において位置情報は、天板位置であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。位置情報は、被検体Pと架台10との位置関係に相関する情報であれば如何なる情報であってもよい。例えば、位置情報は、被検体Pの位置(以下、被検体位置と呼ぶ)に関する情報であってもよい。被検体位置についても光学画像を画像処理することにより特定されてもよい。
【0091】
例えば、架台10又は検査室の天井や壁面等の、被検体Pの基準点が撮影視野に含まれる位置に光学カメラが設置される。被検体Pの基準点は、被検体Pの頭頂部や他の特徴点、被検体Pに取り付けられた目印を意味する。光学カメラにより被検体Pの基準点が描出された光学画像が生成される。光学画像は処理回路44に伝送される。処理回路44は、光学画像に画像処理を施して光学画像における被検体Pの基準点の位置座標を特定し、特定された位置座標を、光学カメラの設置位置及び設置角度に基づいて検査室の座標系における位置座標に変換する。画像処理としては、例えば、閾値処理等が利用される。検査室の座標系における位置座標は、被検体位置として利用される。
【0092】
このように変形例4によれば、光学カメラを利用して、被検体Pと架台10との位置関係に相関する位置情報を取得することが可能になる。
【0093】
(変形例5)
上記の実施形態において被検体Pを架台10のX線パスに対して位置合わせするために、寝台30の天板33をZ軸等に沿って移動するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、寝台30の基台31がZ軸等に沿って移動可能に設けられてもよい。Z軸等に沿って移動可能な基台31は、例えば、車輪を有する自走式の基台31により実現されてもよいし、Z軸等に沿って床面に設けられたレールに沿って移動する基台31により実現されてもよい。
【0094】
(変形例6)
上記の実施形態において被検体Pを架台10のX線パスに対して位置合わせするために、寝台30の天板33をZ軸等に沿って移動するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、床面に設けられたレールに沿って架台10がZ軸等に沿って移動可能に設けられてもよい。また、X線CTシステムは一台の寝台を共有するX線CT装置とX線診断装置とを有する複合システムであってもよい。変形例5に係る処理回路44は、架台10の位置が被検体Pと架台10との位置関係に相関するので、位置情報として、架台10の位置情報を取得すればよい。
【0095】
(変形例7)
上記の実施形態において被検体Pを架台10のX線パスに対して位置合わせするために、寝台30の天板33をZ軸等に沿って移動するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、X線CTシステム1は、回転軸がY軸に平行する姿勢で架台10をY軸に沿って上下動させる支柱を有する立位式でもよい。この場合、架台10の位置が被検体Pと架台10との位置関係に相関するので、処理回路44は、位置情報として、架台10の位置情報を取得すればよい。
【0096】
(その他の例)
コンソール40は、必ずしも操作室に設置されなくてもよい。例えば、コンソール40は、架台10及び寝台30とともに同一の部屋に設置されてもよい。また、コンソール40が架台10に組み込まれても良い。また、コンソール40のメモリ41等の一部要素は、コンソール40とは物理的に独立であり、ネットワークを介して接続されたハードウェアに実装されてもよい。
【0097】
また、上記実施形態において、X線CTシステム1は、いわゆる第3世代であるとした。すなわち、X線CTシステム1は、X線管とX線検出器とが一体となって回転軸の周囲を回転する回転/回転型(Rotate/Rotate-Type)であるとした。しかしながら、本実施形態に係るX線CTシステム1は、それのみに限定されない。例えば、X線CTシステム1は、リング状に配列された多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが回転軸の周囲を回転する固定/回転型(Stationary/Rotate-Type)でもよい。また、X線CTシステム1は、リング状に配列された多数のX線検出素子が固定され、リング状に陽極が配置され、電磁偏向により電子ビームを陽極にリング状に照射させる第5世代でもよい。
【0098】
上記の説明において本実施形態に係るX線CTシステム1は、一管球型であるとしたが、いわゆる多管球型にも適用可能である。
【0099】
(総括)
上記の少なくとも1つの実施形態によれば、本実施形態に係る医用画像診断システムは、メモリ41と処理回路44とを有する。メモリ41は、複数のスキャンパラメータセット(スキャンプラン)を記憶する。複数のスキャンパラメータセット各々は複数種類のスキャンパラメータの値の組合せに関する。処理回路44は、被検体P又は被検体Pをスキャンする架台10の移動に伴い取得された、被検体Pと架台10との位置関係に相関する位置情報に基づいて、複数のスキャンプランの中から少なくとも1つのスキャンプランを選択する。
【0100】
上記の構成によれば、位置情報に基づいて、撮影準備開始時におけるスキャンプランの選択及び設定が自動で行えるようになる。これにより、
図3に示す通り、CT検査のワークフローは改善し、操作者の負担は軽減される。この結果、操作者は、被検体Pへの対応など他に行うべき業務に注力することができるようになる。
【0101】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、医用撮影に係る操作者の準備の負担を軽減することができる。
【0102】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現しても良い。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1及び
図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
1 X線CTシステム
10 架台
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置
16 ウェッジ
17 コリメータ
18 データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)
19 開口部
23 架台本体
25 固定部
30 寝台
31 基台
32 支持フレーム
33 天板
34 寝台駆動装置
40 コンソール
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44 処理回路
441 撮像制御機能
442 再構成処理機能
443 画像処理機能
444 情報取得機能
445 スキャン計画機能
446 表示制御機能
447 較正機能