(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
E04H1/02
(21)【出願番号】P 2019077436
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】初山 恵莉
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-241350(JP,A)
【文献】特開2015-200121(JP,A)
【文献】特開2018-066490(JP,A)
【文献】特開2000-213185(JP,A)
【文献】特開2014-190666(JP,A)
【文献】特開2018-178623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
F24F 5/00
F24F 7/00-7/10
F24F 11/00-11/89
F24F 13/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関ホール部から出入り可能な位置に設けられ、衣類を収納可能な収納空間と、
前記玄関ホール部から居室空間へ通じるとともに前記収納空間を通過する経路である移動経路と、を備える住宅であって、
前記収納空間の脇には、周囲の空気を吸い込んで空調空気を生成し、その空調空気により住宅内の空調を行う空調装置が設けられ、
前記空調装置は、前記収納空間に隣接する設置スペースに設けられ、
前記設置スペースは、前記収納空間に開口した開口部を有し、
前記開口部には、扉部が設けられ、
前記扉部のアンダーカット部分により、前記設置スペースと前記収納空間とを通気可能に連通する通気部が形成され、
前記空調装置による空気の吸い込みに伴い、
前記収納空間から前記設置スペースに前記通気部を通じて空気が取り込まれるとともに、その取り込みに伴い前記移動経路において前記空調装置へ向かう空気の流れが生じるようになっており、
前記収納空間では、前記玄関ホール側の出入口にドアが設けられている一方、前記居室空間側の出入口にはドアが設けられていないことを特徴とする住宅。
【請求項2】
前記空調装置は、生成した空調空気を前記居室空間へ供給し当該居室空間の空調を行うものであり、
前記空調装置には、吸い込んだ空気に含まれる異物を除去するフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記移動経路の途中に洗面台が設けられていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、玄関に隣接して、衣類を収納可能なクロゼットルームが設けられた住宅が開示されている。この住宅では、玄関からクロゼットルームへ出入りするための出入口と、クロゼットルームから居室側へ出入りするための出入口とが設けられている。この特許文献1の住宅によれば、居住者が帰宅した際、クロゼットルームに入って屋内用の衣類に着替え、その後居室へ入ることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の住宅では、玄関に隣接してクロゼットルームが設けられているため、居住者が帰宅した際、玄関側から埃や花粉等の異物がクロゼットルームに入って、その異物がクロゼットルームに溜まってしまうことが考えられる。
【0005】
また、上記特許文献1の住宅では、玄関からクロゼットルームを経由して居室へ通じる移動経路が構築されているため、その移動経路を通じて埃や花粉等の異物が居室へ入り込むことも考えられる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、玄関ホール部に隣接して衣類を収納可能な収納空間が設けられている住宅において、その収納空間に埃や花粉等の異物が溜まるのを抑制するとともに、居室空間へ異物が入り込むのを抑制することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の住宅は、玄関ホール部から出入り可能な位置に設けられ、衣類を収納可能な収納空間と、前記玄関ホール部から居室空間へ通じる移動経路と、を備える住宅であって、前記移動経路の脇には、周囲の空気を吸い込んで空調空気を生成し、その空調空気により住宅内の空調を行う空調装置が設けられ、前記空調装置による空気の吸い込みに伴い、前記移動経路において前記空調装置へ向かう空気の流れが生じるようになっていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、玄関ホール部から居室空間へ通じる移動経路の脇に空調装置が設けられ、その空調装置による空気の吸い込みに伴い、移動経路において空調装置へ向かう空気の流れが生じるようになっている。この場合、玄関ホール部側から移動経路を通じて居室空間へ埃や花粉等の異物が流れ込むのを抑制することができる。また、玄関ホール部から出入り可能な収納空間に異物が溜まるのを抑制することができる。
【0009】
第2の発明の住宅は、第1の発明において、前記空調装置は、生成した空調空気を前記居室空間へ供給し当該居室空間の空調を行うものであり、前記空調装置には、吸い込んだ空気に含まれる異物を除去するフィルタが設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、空調装置に異物除去用のフィルタが設けられているため、空調装置に吸い込まれる空気に含まれる埃や花粉等の異物がフィルタにより除去される。この場合、その異物が除去された空気をもとに空調空気が生成され、その空調空気により居室空間の空調が行われるため、空調空気とともに異物が居室空間に流れ込むのを防止することができる。
【0011】
第3の発明の住宅は、第1又は第2の発明において、前記移動経路は、前記収納空間を通過する経路となっており、前記空調装置は、前記収納空間の脇に設置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、収納空間が移動経路の途中に設けられているため、居住者は帰宅した際、玄関ホール部から居室空間へ移動する途中で収納空間において屋内用の衣類に着替えることができる。これにより、居住者が帰宅してから屋内用の衣類に着替えて居室空間に入るまでの動線を効率化することができる。また、空調装置が収納空間の脇に設置されているため、収納空間の空気は空調装置に直接吸い込まれる。これにより、収納空間に埃や花粉等の異物が溜まるのを好適に抑制することができる。
【0013】
第4の発明の住宅は、第3の発明において、前記収納空間では、前記玄関ホール側の出入口にドアが設けられている一方、前記居室空間側の出入口にはドアが設けられていないことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、収納空間において、玄関ホール側の出入口にドアが設けられている一方、居室空間側の出入口にはドアが設けられていない。これにより、居住者が玄関ホールから収納空間を通って居室空間へ移動する際、移動し易くすることができる。また、居室空間側の出入口が開放されているため、移動経路において居室空間側から収納空間へ向けた空気の流れが生じ易くなっている。これにより、移動経路を通じて埃や花粉等の異物が居室空間に流れ込むのをより一層抑制することができる。
【0015】
第5の発明の住宅は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記移動経路の途中に洗面台が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、移動経路の途中に洗面台が設けられているため、居住者が帰宅した際、居室空間に入る前に手洗いを済ませることができる。これにより、居室空間に埃や花粉等の異物が持ち込まれるのをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態における住宅の一階部分の間取りを示す平面図。
【
図3】第2の実施形態における住宅の一階部分の間取りを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、住宅が二階建てとされており、
図1はその住宅の一階部分の間取りを示す平面図である。以下、この
図1に基づいて、住宅10の一階部分の間取りについて説明する。なお、
図1では、その上下方向が南北方向となっており、その左右方向が東西方向となっている。
【0019】
図1に示すように、住宅10の一階部分には、屋内空間として、玄関11と、ホール12と、LDK13(リビングダイニングキッチン)と、和室14と、洗面室15と、浴室16と、トイレ17とが設けられている。玄関11は、住宅10の南西の角部に設けられ、その玄関11には玄関口21が設けられている。玄関口21は、南向きに開口しており、その玄関口21には玄関ドア22が設けられている。また、玄関11の北側にはホール12が連続して設けられている。この場合、玄関11とホール12との連続空間が玄関ホール部に相当する。また、ホール12には洗面台19が設けられている。
【0020】
LDK13は、玄関11及びホール12の東側に隣接して設けられている。LDK13は、リビング13aとダイニング13bとキッチン13cとが連続した連続空間とされている。LDK13では、南側にリビング13aが設けられ、北側にダイニング13b及びキッチン13cが設けられている。また、リビング13aの南側にはテラス24が設けられている。なお、LDK13が居室空間に相当する。
【0021】
LDK13(詳しくはダイニング13b)とホール12との間には出入口25が設けられている。この出入口25を通じてホール12からLDK13への出入りが可能となっている。また、出入口25には引き戸からなるドア26が設けられている。
【0022】
LDK13の北側には、和室14と洗面室15と浴室16とが設けられている。洗面室15はキッチン13cの北側に隣接しており、その洗面室15の北側に浴室16が隣接して設けられている。洗面室15からキッチン13cへは出入口28を介して出入り可能となっている。
【0023】
ホール12の北側には衣類を収納可能な収納空間31が隣接して設けられている。以下、この収納空間31周辺の構成について
図2を用いながら説明する。
図2は、収納空間31周辺を拡大して示す平面図である。
【0024】
図2に示すように、収納空間31とホール12との間には出入口33が設けられている。収納空間31にはこの出入口33を通じてホール12から出入りが可能となっている。また、出入口33には開き戸からなるドア34が設けられている。なお、ドア34は引き戸であってもよい。
【0025】
収納空間31の北側には廊下36が隣接して設けられている。収納空間31と廊下36との間には出入口37が設けられ、この出入口37を通じて収納空間31から廊下36へ出入りすることが可能となっている。また、出入口37は収納空間31を挟んで出入口33と対向して配置されている。これにより、本住宅10では、ホール12から廊下36へ収納空間31を通じて行き来することが可能とされている。したがって、収納空間31は、いわゆるウォークスルークローゼットとなっている。また、ホール12側の出入口33には上述したようにドア34が設けられているが、廊下36側の出入口37にはドアが設けられていない。このため、出入口37は常時開放された状態となっている。
【0026】
収納空間31は、各出入口33,37の間に設けられた通路スペース31aと、衣類を収納可能な収納スペース31bとを有する。収納スペース31bには、衣類を吊り下げ可能な吊り下げ棒41が設けられている。これにより、この吊り下げ棒41に外出用の上着等を吊り下げておくことが可能となっている。また、収納スペース31bに衣類を収納可能な収納棚を設けてもよい。なお、通路スペース31aと収納スペース31bとの間には収納扉等の建具が設けられておらず、そのため、収納スペース31bは通路スペース31aに開放された開放スペースなっている。
【0027】
図1に示すように、廊下36は、東西方向に延びており、LDK13詳しくはダイニング13bに通じている。これにより、本住宅10では、玄関11からホール12と収納空間31と廊下36とを経由してLDK13へと至る移動経路Rが設けられている。本住宅10では、居住者が帰宅した際、居住者がその移動経路Rを通って玄関11からLDK13へと移動する(入る)ようになっている。
【0028】
ここで、居住者が帰宅した際の流れについて説明すると、居住者は帰宅後まずホール12の洗面台19で手洗いやうがいを行う。その後、居住者は収納空間31へ入り、その収納空間31で外出用の衣類から屋内用の衣類に着替える。したがって、収納空間31は居住者の着替えスペースとして利用されるようになっている。その後、居住者は廊下36を通ってLDK13へ移動する。これにより、本住宅10では、居住者が帰宅してからLDK13に入るまでに、手洗いや着替えを済ませることが可能となっている。
【0029】
なお、本住宅10では、居住者が外出する際には、居住者がLDK13から玄関11へ移動経路Rを通って移動するようになっている。また、本住宅10には、玄関11からLDK13への移動経路として、上記移動経路Rの他に、玄関11→ホール12→LDK13と移動する移動経路がある。この移動経路は、ホール12から出入口25を通じてLDK13へ入る経路である。この移動経路は、来客があった場合に客をLDK13へ招き入れる際に利用される来客用の経路となっている。
【0030】
廊下36は、LDK13だけでなく、和室14と洗面室15とにも通じている。和室14は、廊下36の北側に隣接しており、廊下36から出入口44を通じて出入りが可能とされている。また、廊下36は、その東側において洗面室15に通じている。廊下36から洗面室15には出入口46を通じて出入りが可能とされている。また、廊下36を挟んで出入口37とは反対側には、二階部分へ通じる階段48が設けられている。
【0031】
ここで、本住宅10には、全館式の空調設備50が設けられている。以下、この空調設備50について説明する。
【0032】
図2に示すように、空調設備50は、空調空気(冷気又は暖気)を生成する空調装置51を備える。空調装置51は、収納空間31の脇に設置されている。詳しくは、収納空間31には、通路スペース31aを挟んで収納スペース31bとは反対側に空調装置51の設置スペース53が設けられている。この場合、通路スペース31a、収納スペース31b及び設置スペース53は各出入口33,37が対向する方向と直交する方向に並んでいる。
【0033】
設置スペース53は、通路スペース31aに開口した開口部54を有している。この開口部54は空調装置51を通路スペース31a側からメンテナンスする際に利用されるメンテナンス開口部となっている。この開口部54には、観音開き式の扉部55が設けられている。この扉部55は、その下端部が床面から上方に離間されることでアンダーカットされ、そのアンダーカット部分により設置スペース53と通路スペース31aとを通気可能に連通する通気部57が形成されている。
【0034】
空調装置51は、設置スペース53内の空気を吸い込むための吸込部51aを有している。空調装置51は、その吸込部51aにより吸い込んだ空気を温度調整することで空調空気(冷気又は暖気)を生成する。また、吸込部51aにはフィルタ51bが設けられている。このフィルタ51bにより吸込部51aにより吸い込まれた空気に含まれる異物が除去されるようになっている。
【0035】
空調装置51には空調ダクト58が接続されている。空調ダクト58は設置スペース53から床下に入り込み、その床下においてLDK13及び廊下36へ向けて延びている。空調ダクト58はLDK13及び廊下36の床部に設けられた吹出口59に接続されている。空調装置51により生成された空調空気は空調ダクト58を通じて各吹出口59に供給され、それら各吹出口59よりLDK13及び廊下36に吹き出される。これにより、それら吹き出された空調空気によりLDK13及び廊下36の空調(冷房又は暖房)が行われる。
【0036】
各吹出口59よりLDK13及び廊下36に吹き出された空調空気は空調装置51が設置された設置スペース53へ還気として還流する(戻る)。そして、空調装置51は、その還気を吸込部51aにより吸い込み、その吸い込んだ還気をもとに空調空気を生成する。
【0037】
ここで、空調装置51の吸込部51aによる空気の吸い込みに伴い、移動経路Rでは、空調装置51へ向かう空気の流れが生じる。
図2では、その空気の流れを点線矢印で示している。空調装置51の吸込部51aにより設置スペース53内の空気が吸い込まれると、それに伴い、収納空間31の空気が通気部57を通じて設置スペース53に取り込まれる。そして、さらにそれに伴い、移動経路Rにおいて収納空間31へ向けた空気の流れが生じる。この際、LDK13側から廊下36を通じて収納空間31へ流れ込む空気の流れと、玄関11側からホール12を通じて収納空間31へ流れ込む空気の流れとが生じる。
【0038】
本住宅10では、移動経路Rにおいて上記のような空気の流れが生じることで、居住者が帰宅した際に、埃や花粉等の異物が移動経路Rを通じてLDK13まで流れ込むのを抑制することが可能となる。また、収納空間31の空気が空調装置51へ吸い込まれる空気の流れが生じるため、収納空間31に異物が溜まるのを抑制することが可能となる。
【0039】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0040】
空調装置51に異物除去用のフィルタ51bが設けられているため、空調装置51に吸い込まれる空気に含まれる埃や花粉等の異物がフィルタ51bにより除去される。この場合、その異物が除去された空気をもとに空調空気が生成され、その空調空気によりLDK13の空調が行われるため、空調空気とともに異物がLDK13に流れ込むのを防止することができる。
【0041】
衣類を収納する収納空間31が移動経路Rの途中に設けられているため、居住者は帰宅した際、玄関11からLDK13へ移動する途中で収納空間31において屋内用の衣類に着替えることができる。これにより、居住者が帰宅してから屋内用の衣類に着替えてLDK13に入るまでの動線を効率化することができる。また、空調装置51が収納空間31の脇に設置されているため、収納空間31の空気は空調装置に直接吸い込まれる。これにより、収納空間31に埃や花粉等の異物が溜まるのを好適に抑制することができる。
【0042】
収納空間31では、ホール12側の出入口33にドア34が設けられている一方、LDK13側(廊下36側)の出入口37にはドアが設けられていない。これにより、居住者が玄関11側から収納空間31を通ってLDK13へ移動する際、移動し易くすることができる。また、LDK13側の出入口37が開放されているため、移動経路RにおいてLDK13側から収納空間31へ向けた空気の流れが生じ易くなっている。これにより、移動経路Rを通じて埃や花粉等の異物がLDK13に流れ込むのをより一層抑制することができる。
【0043】
移動経路Rを構成している玄関11、ホール12、収納空間31及び廊下36は南北方向に直線状に並んでおり、換言すると収納空間31の各出入口33,37が対向する方向に直線状に並んでいる。これにより、居住者が帰宅した際、玄関11から移動経路Rを通ってLDK13へ移動し易くなっている。
【0044】
移動経路Rの途中であるホール12に洗面台19が設けられているため、居住者が帰宅した際、LDK13に入る前に手洗いを済ませることができる。これにより、LDK13に埃や花粉等の異物が持ち込まれるのをより一層抑制することができる。また、洗面台19は、移動経路Rにおいて収納空間31よりも玄関11側(玄関ホール側)に設けられているため、居住者が収納空間31に入る前に手洗いを済ませることができる。そのため、収納空間31に埃や花粉等の異物が持ち込まれるのを防止することもできる。
【0045】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態について説明する。
図3は本実施形態における住宅70の一階部分71の間取りを示す平面図であり、
図4は二階部分72の間取りを示す平面図である。なお、
図3及び
図3ではいずれも、その上下方向が南北方向となっており、その左右方向が東西方向となっている。
【0046】
まず、
図3に基づいて、住宅70の一階部分71の間取りについて説明する。
図3に示すように、住宅70の一階部分71には、屋内空間として、玄関73と、廊下74と、寝室75~77と、収納室78とが設けられている。玄関73は北側に設けられ、その玄関73に連続して廊下74が設けられている。この場合、玄関73と廊下74との連続スペースが玄関ホール部に相当する。廊下74は東西に延びており、その突き当たりから二階部分72に通じる階段79が設けられている。
【0047】
各寝室75~77はいずれも一階部分71の南側に設けられている。各寝室75~77のうち、寝室75は両親の寝室であり、各寝室76,77は子供の寝室である。収納室78は、衣類を収納するための収納空間である。収納室78は、廊下74に隣接して設けられ、廊下74から出入口82を通じて出入り可能となっている。したがって、収納室78はいわゆるウォークインクローゼットとなっている。これにより、本住宅70では、居住者が帰宅した際、収納室78で着替え等することが可能となっている。また、出入口82には引き戸からなるドア83が設けられている。
【0048】
収納室78には洗面台85が設けられている。これにより、居住者が帰宅した際、洗面台85で手洗いやうがい等をすることが可能となっている。したがって、本住宅70では、居住者が帰宅した際、収納室78において着替えと手洗いを済ませることが可能となっている。
【0049】
続いて、二階部分72の間取りについて
図4に基づいて説明する。
【0050】
図4に示すように、住宅70の二階部分72には、屋内空間として、LDK91と、洗面室92と、浴室93とが設けられている。LDK91は、リビング91aとダイニング91bとキッチン91cとが連続する連続空間とされ、二階部分72の南側に設けられている。LDK91は、階段79に通じている。また、洗面室92及び浴室93は二階部分72の北側に設けられている。
【0051】
本住宅70では、LDK91が居室空間に相当する。また、玄関73から廊下74及び階段79を経由してLDK91に至る経路が移動経路Lとなっている。
【0052】
次に、一階部分71に設けられた全館式の空調設備100について
図3を用いながら説明する。
【0053】
図3に示すように、空調設備100は、空調装置101を備える。空調装置101は廊下74に隣接して設けられた機械室87に設置されている。したがって、空調装置101は廊下74の脇に設置されているといえる。機械室87は、廊下74における玄関73側とは反対側の突き当たり位置で廊下74と隣接しており、その廊下74を挟んで階段79とは反対側に配置されている。廊下74と機械室87との間には空調装置101をメンテナンスする際に用いられるメンテナンス用の開口部88が設けられ、その開口部88には観音開き式の扉部89が設けられている。扉部89は、その下端部がアンダーカットされ、そのアンダーカット部分により廊下74と機械室87とを通気可能に連通する通気部95が設けられている。
【0054】
空調装置101は機械室87の空気を吸い込んで空調空気を生成し、その空調空気を空調ダクト(図示略)を介して各寝室75~77に供給する。これにより、各寝室75~77の空調が行われる。また、各寝室75~77に吹き出された空調空気は機械室87へ還流する。
【0055】
空調装置101により機械室87の空気が吸い込まれると、それに伴い、廊下74から通気部95を通じて機械室87へ空気が流れ込む。そして、それに伴い、移動経路Lにおいて、機械室87へと向かう空気の流れが生じる。
図3では、その空気の流れを点線矢印で示している。この場合、移動経路Lでは、玄関73側から機械室87へと向かう空気の流れと、階段79側から機械室87へと向かう空気の流れとが生じる。
【0056】
本住宅70では、移動経路Lにおいて上記のような空気の流れが生じることで、居住者が帰宅した際、玄関73側から埃や花粉等の異物が移動経路Lを通じてLDK91に流れ込むのを抑制することができる。また、移動経路Lにおいて空気の流れが生じることで移動経路Lから収納室78に異物が入り込むのを抑制することができ、その結果、収納室78に異物が溜まるのを抑制することができる。
【0057】
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0058】
・上記第1の実施形態では、ホール12に隣接させて収納空間31を設けたが、これを変更して、玄関11に隣接させて収納空間31を設けてもよい。この場合、玄関11から収納空間31へ出入り可能とすることができる。また、これと同様に、上記第2の実施形態において、玄関73に隣接させて収納室78を設けるようにしてもよい。
【0059】
・上記第1の実施形態では、空調装置51を収納空間31の脇に設置したが、例えば空調装置51をホール12の脇に設置してもよい。この場合にも、空調装置51が移動経路Rの脇に設置されるため、移動経路Rでは、空調装置51の吸込部51aによる空気の吸いこみに伴い、移動経路Rへと向かう空気の流れが生じる。このため、移動経路Rを通じてLDK13へ埃や花粉等の異物が流れ込むのを抑制できるとともに、収納空間31に異物が溜まるのを抑制することができる。
【0060】
・上記第1の実施形態では、収納空間31の各出入口33,37のうち、出入口33にのみドア34を設けたが、出入口37にもドアを設けるようにしてもよい。
【0061】
・上記各実施形態では、移動経路R,Lを通じた移動先となる居室空間がLDK13,91となっていたが、かかる居室空間はリビングや和室等であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…住宅、13…居室空間としてのLDK、19…洗面台、31…収納空間、33…出入口、34…ドア、37…出入口、51…空調装置、51b…フィルタ、70…住宅、78…収納空間としての収納室、101…空調装置、L…移動経路、R…移動経路。