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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】係合具
(51)【国際特許分類】
   A44B 99/00 20100101AFI20230807BHJP
   A45C 13/10 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A44B99/00 611G
A45C13/10 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019115621
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2021000271
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390022482
【氏名又は名称】株式会社エムアンドケイヨコヤ
(74)【代理人】
【識別番号】230100022
【弁護士】
【氏名又は名称】山田 勝重
(74)【代理人】
【識別番号】100084319
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 智重
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】横谷 晶明
(72)【発明者】
【氏名】横谷 忠明
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-029440(JP,A)
【文献】特開2012-095786(JP,A)
【文献】特開2007-068746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B99/00
A45C13/10
A44B13/00
A44B17/00
A44B1/38
A44B1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ホックを雌ホックの内部空間に係入して前記雄ホックと前記雌ホックとを互いに係合する係合具であって、
前記雄ホックは、全体略凸条体からなり、略円柱形状をなす先頭部の外周部が後方周部よりも放射方向で外方に張り出すように形成され、
前記雌ホックの上面には、前記内部空間にそれぞれ通じる、挿入孔、保持孔、及び連接孔が設けられ、前記保持孔は、前記挿入孔よりも開口径が小さく設定され、前記挿入孔と前記保持孔は前記連接孔によって互いに連接され、
前記挿入孔の内径をD1、前記保持孔の幅をD2、前記先頭部の外径をD3、前記後方周部の外径をD4としたとき、以下の関係式(1)が成り立ち、
D4<D2<D3<D1 (1)
前記内部空間のうち前記保持孔に対応する位置には、開口部を除いて環状をなす形状を有する保持リングが配置され、
前記保持リングは、前記開口部が前記挿入孔側に向くように配置され、
前記先頭部を前記挿入孔から前記内部空間内へ挿入し、前記保持孔の位置まで前記雄ホックを移動させることで、前記後方周部が延びる軸方向における前記先頭部の移動を規制した状態とすることによって前記雄ホックを前記雌ホックに係合させ、
前記内部空間内の前記先頭部を前記保持孔の位置から前記挿入孔の位置まで移動させ、前記挿入孔から取り出すことによって、前記雄ホックと前記雌ホックとの係合を解除し、
前記内部空間内へ挿入した前記先頭部を前記保持孔の位置まで移動させたときに、前記先頭部は、前記軸方向において、前記保持リングと前記内部空間の内面とに当接挟持され、これにより、前記軸方向、及び、前記保持孔から前記挿入孔へ向かう方向における移動が規制され
前記保持リングは、平面視において、前記開口部を除いて円形状となる環状部を有し、前記環状部の下面からは外延に沿った突縁部が延出しており、
外力を加えていない初期状態の前記保持リングは、平面視における、前記開口部の開口幅D5、前記突縁部の内径D6、及び、前記環状部の外径D7が以下の関係式(2)を満たすことを特徴とする係合具。
D5<D4≦D6<D2<D7 (2)
【請求項2】
前記保持リングは、前記開口部を拡径させつつ前記後方周部を押入することができ、かつ、前記後方周部が前記保持リングの内部に収容されたときに、前記開口部が前記初期状態の口径に回復可能な可撓性を有する請求項1に記載の係合具。
【請求項3】
前記保持リングはポリアセタールを有する請求項2に記載の係合具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバッグなどに使用され、止着する先頭部と被係合部間の係合を行うための係合具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッグなどにおいて使用される係合具としては、例えば特許文献1に示すように、係合具の一方の係合中心に永久磁石にて形成される吸着部を備えることとし、他方の被係合中心にも吸着部と吸着する永久磁石により形成される被吸着部を備えることとし、被吸着部と吸着部との相互吸引により、確実かつ位置合わせ可能に係合部と被係合部間の係合を可能とした係合具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3849113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の係合具は、少しの外力で係合部と被係合部の係合が解除されやすいという問題がある。さらに、永久磁石を設ける必要があるため、部品コストが高くなるとともに、製造工程が複雑化してしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、こうした従来の不具合に着目してなされたものであり、簡単な構成で、部品コストを抑えることができ、かつ、操作性に優れた係合具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の係合具は、雄ホックを雌ホックの内部空間に係入して雄ホックと雌ホックとを互いに係合する係合具であって、雄ホックは、全体略凸条体からなり、略円柱形状をなす先頭部の外周部が後方周部よりも放射方向で外方に張り出すように形成され、雌ホックの上面には、内部空間にそれぞれ通じる、挿入孔、保持孔、及び連接孔が設けられ、保持孔は、挿入孔よりも開口径が小さく設定され、挿入孔と保持孔は連接孔によって互いに連接され、挿入孔の内径をD1、保持孔の幅をD2、先頭部の外径をD3、後方周部の外径をD4としたとき、以下の関係式(1)が成り立ち、
D4<D2<D3<D1 (1)
内部空間のうち保持孔に対応する位置には、開口部を除いて環状をなす形状を有する保持リングが配置され、保持リングは、開口部が挿入孔側に向くように配置され、
先頭部を挿入孔から内部空間内へ挿入し、保持孔の位置まで雄ホックを移動させることで、後方周部が延びる軸方向における先頭部の移動を規制した状態とすることによって雄ホックを雌ホックに係合させ、内部空間内の先頭部を保持孔の位置から挿入孔の位置まで移動させ、挿入孔から取り出すことによって、雄ホックと雌ホックとの係合を解除し、内部空間内へ挿入した先頭部を保持孔の位置まで移動させたときに、先頭部は、軸方向において、保持リングと内部空間の内面とに当接挟持され、これにより、軸方向、及び、保持孔から挿入孔へ向かう方向における移動が規制されることを特徴としている。
【0007】
本発明の係合具において、保持リングは、平面視において、開口部を除いた円形状をなし、外力を加えていない初期状態の保持リングは、平面視における、開口部の開口幅D5、突縁部の内径D6、及び、環状部の外径D7が以下の関係式(2)が満たすことが好ましい。
D5<D4≦D6<D2<D7 (2)
【0008】
本発明の係合具において、保持リングは、開口部を拡径させつつ後方周部を押入することができ、かつ、後方周部が保持リングの内部に収容されたときに、開口部が初期状態の口径に回復可能な可撓性を有することが好ましい。
【0009】
本発明の係合具において、保持リングはポリアセタールを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、簡単な構成で、部品コストを抑えることができ、かつ、操作性に優れた係合具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る係合具を用いたバッグの外観構成を示す斜視図である。
図2図1に示すバッグの折り返し蓋の一部を開いた状態を示す斜視図である。
図3図2のA部分の拡大図である。
図4】本発明の実施形態における、雄ホックと雌ホックの構成を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態における雄ホックのバッグへの取り付け状態を示す分解斜視図である。
図6】本発明の実施形態における雌ホックのバッグへの取り付け状態を示す分解斜視図である。
図7】(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態における、雄ホック、雌ホック、及び、保持リングの構成をそれぞれ示す斜視図である。
図8】(a)は雄ホックを雌ホック内へ係入する前の状態を示し、(b)は雄ホックを内部空間内へ係入した状態を示す図である。
図9】(a)は雄ホックを雌ホック内へ係入する前の状態を示し、(b)は雄ホックを内部空間内へ係入した状態を示し、(c)は(b)の状態の雄ホックを雌ホックの保持孔の位置まで移動させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る係合具について図面を参照しつつ詳しく説明する。図1は本実施形態の係合具を用いたバッグ10の外観構成を示す斜視図、図2は、図1に示すバッグ10の折り返し蓋12の一部を開いた状態を示す斜視図、図3は、図2のA部分の拡大図である。図4は、雄ホック20と雌ホック30の構成を示す斜視図、図5は、雄ホック20のバッグ10への取り付け状態を示す分解斜視図、図6は、雌ホック30のバッグ10への取り付け状態を示す分解斜視図である。図7(a)、(b)、(c)は、雄ホック20、雌ホック30、及び、保持リング40の構成をそれぞれ示す斜視図である。図8(a)、(b)は、図4のB-B’線に沿った断面図であって、(a)は雄ホック20を雌ホック30内へ係入する前の状態を示し、(b)は雄ホック20を内部空間35内へ係入した状態を示す図である。図9(a)、(b)、(c)は、図4のC-C’線に沿った断面図であって、(a)は雄ホック20を雌ホック30内へ係入する前の状態を示し、(b)は雄ホック20を内部空間35内へ係入した状態を示し、(c)は(b)の状態の雄ホック20を雌ホック30の保持孔33の位置まで移動させた状態を示す図である。図8(a)と図9(a)は雌ホック30内に雄ホック20を係入する前の状態を違う方向から見た図であり、図8(b)と図9(b)は雌ホック30内に雄ホック20を係入した状態を違う方向から見た図である。
【0013】
図1から図9に示す実施形態に係る係合具は、例えば図1図2に示すバッグ10において、開口部11を覆う折り返し蓋12の内側に雄ホック20を、折り返し蓋12が係合される表片13の表面に雌ホック30を配設するようにして形成される(図2図3参照)。
【0014】
雄ホック20は、図3又は図4に示すように全体略凸条体からなり、先頭部23及び基端部21は略円柱形状又は略円板形状とされ、これらは円柱軸状の後方周部22によって接続されている。基端部21、後方周部22、及び、先頭部23は、軸AXを共通の中心軸として設けられ、先頭部23は、その外周部が、軸状の後方周部22よりも放射方向で外方に張り出すように形成されている(図4参照)。
なお、先頭部23の形状は、その外周部又は外縁部が後方周部22よりも放射方向で外方に張り出していれば、軸方向に沿って見た平面視において円形以外の形状とすることもできる。
【0015】
図5に示すように、雄ホック20は、折り返し蓋12を構成する2枚の係合面材12A、12Bのうち、外側の係合面材12Bに設けられた止めネジ25を、座金24を介して、内側の係合面材12Aに挿通させ、この止めネジ25を基端部21に設けたネジ孔(不図示)に螺合し、折り返し蓋12の内側の係合面材12Aに雄ホック20を止着させている(図8図9参照)。これにより、折り返し蓋12の内側に、雄ホック20が先頭部23を露出する状態で位置決めされる(図2参照)。
なお、2つの係合面材12A、12Bは相互に縫合され、折り返し蓋12を構成している。
【0016】
図2又は図3に示すように、雌ホック30は、表片13を正面から見たときに外形が略楕円形状の基体31を備えており、その上面31aに設けた挿入孔32(図4参照)に対して、雄ホック20の先頭部23が、図3図4の矢印D方向に向けて係入可能とされている。
なお、雌ホック30の基体31の外形形状は略楕円形状に限定されず、例えば円形や角形状とすることもできる。
【0017】
図6に示すように、雌ホック30の基体31は、表片13を構成する2枚の係合面材13A、13Bのうち、外側の係合面材13Aに設けられたプレート材51の4つの丸孔53に対して不図示のリベッティング又はネジによって固定される。このプレート材51からは2本の脚部51a、51bが延出しており、これらの脚部51a、51bを係合面材13Aにそれぞれ貫通させ、内側の係合面材13Bに設けた固定板52の2つの取り付け孔52a、52bにそれぞれ挿通して面方向に沿って折り曲げることで、基体31は表片13に固定される(図8(a)、(b)、図9(a)~(c)参照)。ここで、2つの係合面材13A、13Bは相互に縫合され、表片13を構成している。
【0018】
図4に示すように、雌ホック30の基体31の上面31aには、挿入孔32の上側(図2図4のZ1方向)に、挿入孔32の内径よりも開口幅が小さく設定された保持孔33が設けられ、挿入孔32と保持孔33は連接孔34によって互いに連接されている。すなわち、基体31の上面31aにおいて、下側(図2図4のZ2方向)から上側へ一連に連なる、挿入孔32、連接孔34、及び、保持孔33が形成され、これらはそれぞれ基体31の内部空間35へ通じている。内部空間35は、基体31の内面とプレート材51によって囲まれるように形成されている(図8(a)、図9(a)参照)。挿入孔32は、保持孔33に通じる連接孔34を除くと、雌ホック30の厚み方向に沿ってみた平面視において略円形をなしている。これに対し、保持孔33は、挿入孔32から上方向に沿って延びる長孔状をなしている。
なお、挿入孔32は、先頭部23を係入可能であれば、上記略円形以外の平面形状にすることもできる。
【0019】
図6に示すように、基体31の内部であって保持孔33を囲む取り付け位置36には、保持リング40が配置される。図7(c)に示すように、保持リング40は、その厚み方向に沿って見た平面視で、開口部44を除いて円形状となる環状部41を有している。環状部41の下面からは、外縁に沿った突縁部47が厚み方向において下側へ延びている。突縁部47のうち、上記平面視において開口部44に対向する位置には、厚み方向に沿ってさらに下方に延出し、所定の幅を有する舌片42が形成されている。
【0020】
図6に示すように、舌片42を、プレート材51の係合孔51cに圧入すると、舌片42が所定の幅を有するために、プレート材51上に、所定の向きで配置される。さらに保持リング40が固定されたプレート材51に対して基体31を取り付けると、保持リング40は、基体31内の取り付け位置36に配置される。このとき、保持リング40は、開口部44が挿入孔32側を向くように配置され、その上面45は基体31の内面に当接し、突縁部47の底面46はプレート材51に当接する(図8図9参照)。また、保持リング40は、雌ホック30と保持リング40の厚み方向に沿って見た平面視において、その平面形状である円の中心が雌ホック30の保持孔33の幅方向の中心線上に位置するように配置される。
なお、保持リング40の平面形状は、円形状に限定されず、雌ホック30の保持孔33と同様の楕円形状、矩形状などとすることも可能である。また、保持リング40の厚みは、雌ホック30の内部空間35の深さと同じ又はそれより小さく設定されている。
【0021】
プレート材51に対して雌ホック30及び保持リング40を固定すると、図8(a)、図9(a)に示すように、雌ホック30とプレート材51との間に内部空間35が形成されることに加えて、内部空間35内において、保持リング40の内部とプレート材51で囲まれた収容空間48が形成される。ここで、図7(c)に示すように、保持リング40の突縁部47は、上面45における環状部41の開口よりも大きな内径を有しているため、収容空間48の内面には段差が形成される。この段差は、雄ホック20の後方周部22と先頭部23の径方向の段差形状に対応していることから、収容空間48内に先頭部23が収容されると、先頭部23が収容空間48の内面に当接する。このため、後方周部22と先頭部23に共通の中心軸AXの方向へ雄ホック20が移動することが規制される。
【0022】
保持リング40は、雌ホック30の内部空間35内に係入された雄ホック20との接触に対する耐久性と、環状部41の拡径を可能とする可撓性を有する材料、例えば可撓性合成樹脂で構成される。このような可撓性合成樹脂としては、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、フッ素樹脂が挙げられる。これに対して、雄ホック20と雌ホック30は、内部空間35内への雄ホック20の係入や内部空間35内での雄ホック20の移動に対する耐久性や、美的外観などの観点から硬性を有する金属材料で構成することが好ましい。
【0023】
保持リング40の環状部41の内周面には、外周面には至らない2つの切り欠き部43が設けられている。保持リング40に切り欠き部43を設け、かつ、可撓性の材料で構成することにより、外力を加えることで開口部44を拡径させることができ、かつ、外力を除くと、外力を加える前の初期状態の口径に回復させることができる。
なお、切り欠き部43の数、形状、及び、位置は、保持リング40に用いる材料の弾性や、雄ホック20の後方周部22の形状などを勘案して任意に定めることができる。切り欠き部43は、環状部41の内周面と外周面のいずれに設けることもできる。
【0024】
雄ホック20と雌ホック30の各部については、以下の関係式(1)が成り立つ。
D4<D2<D3<D1 (1)
ここで、挿入孔32の内径をD1、保持孔33及び連接孔34の幅をD2、先頭部23の外径をD3、後方周部22の外径をD4としている。挿入孔32の内径は、幅方向(図2図4のX1-X2方向)における直径、保持孔33の幅(開口径)は、幅方向における長さである。
なお、挿入孔32を略円形以外の形状とした場合、上記D1は最小の開口幅とすることが好ましい。
【0025】
さらに、保持リング40と、雄ホック20と雌ホック30の各部については、以下の関係式(2)が成り立つ。
D5<D4≦D6<D2<D7 (2)
ここで、保持リング40に外力を加えていない初期状態において、保持リング40の厚み方向に沿って見た平面視において、開口部44の開口幅をD5、保持リング40の突縁部47の内径をD6、環状部41の外径をD7としている。
【0026】
以上の構成の係合具においては、図8(a)と図9(a)に示すように挿入孔32に先頭部23を正対させ、後方周部22と先頭部23の中心軸AXの方向(図8(a)、(b)、図9(a)~(c)参照)に沿って雄ホック20を雌ホック30内へ係入する。内部空間35内へ係入された先頭部23は、図8(b)と図9(b)に示すように、先端面がプレート材51の表面に接触する位置で停止する。この状態から雄ホック20を保持孔33の位置まで移動させると、先頭部23は、保持リング40の収容空間48内に係入され、雄ホック20と雌ホック30が係合された状態となる(図9(c)に示す状態)。
【0027】
雄ホック20と雌ホック30の係合を解除する場合は、保持孔33の位置にある雄ホック20を挿入孔32側へ移動させ、上記中心軸AXの方向に沿って、挿入孔32から雄ホック20を引き出す操作を行う。
【0028】
上記関係式(1)が成り立つように雄ホック20と雌ホック30の各部が形成されているため、雄ホック20の先頭部23は、挿入孔32のみから内部空間35内へ係入可能となり、係入後においては、雄ホック20は挿入孔32から保持孔33まで移動可能となる。雄ホック20を保持孔33の位置まで移動させた状態においては、後方周部22が延びる中心軸AXに沿った軸方向において、先頭部23は雌ホック30の基体31に突き当たるため移動が規制され、雄ホック20と雌ホック30は互いに係合された状態が維持される。
【0029】
バッグ10においては、下側(図1図2のZ2側)に位置する挿入孔32から雄ホック20の先頭部23を係入し、雄ホック20を備えた折り返し蓋12を上側(図1図2のZ1側)へ移動させ、又は、自重によって表片13側が下降することによって、雄ホック20が雌ホック30の保持孔33の位置まで移動し、雄ホック20が内部空間35内で移動を規制された状態となり、折り返し蓋12を持ち上げるだけでは雌ホック30から雄ホック20を脱離させることはできないため、閉じた状態が確実に維持される。
【0030】
これに対して、雄ホック20を下側(図1図2のZ2側)へ、挿入孔32の位置に至るまで移動させることにより、内部空間35内にあった先頭部23を雌ホック30の挿入孔32から取り出すことで、雄ホック20と雌ホック30の係合の解除操作を簡便に行うことができる。
【0031】
さらに、上記関係式(2)が成り立つように雄ホック20、雌ホック30、及び保持リング40の各部の形状が設定され、かつ、保持リング40を可撓性材料で形成しているため、後方周部22は、開口部44を拡径しつつ環状部41内に押入され、収容された後方周部22は、後方周部22よりも開口幅が狭い開口部44によって挿入孔32側への移動が規制される。また、環状部41と突縁部47の段差構造によって、先頭部23が保持リング40の内壁に当接し、これに挟持され、収容空間48内に保持されているため、先頭部23が中心軸AXに沿った方向、及び、保持孔33から挿入孔32へ向かう方向に移動することも規制される。
【0032】
これに対して、バッグ10の利用者が所定以上の力で雄ホック20を保持孔33から挿入孔32側へ移動させる力を加えた場合には、後方周部22によって開口部44が拡径され、雄ホック20を挿入孔32側へ移動させることができ、挿入孔32から先頭部23を引き出すことで雄ホック20と雌ホック30の係合を解除することができる。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的又は本発明の思想の範囲内において改良又は変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明に係る係合具は、簡単な構成で、部品コストを抑えることができ、かつ、操作性に優れている点で有用である。
【符号の説明】
【0034】
10 バッグ
11 開口部
12 折り返し蓋
12A、12B 係合面材
13 表片
13A、13B係合面材
20 雄ホック
21 基端部
22 後方周部
23 先頭部
24 座金
25 止めネジ
30 雌ホック
31 基体
32 挿入孔
33 保持孔
34 連接孔
35 内部空間
36 取り付け位置
40 保持リング
41 環状部
42 舌片
43 切り欠き部
44 開口部
45 上面
46 底面
47 突縁部
48 収容空間
51 プレート材
52 固定板
53 丸孔
D1 挿入孔の内径
D2 保持孔の幅
D3 先頭部の外径
D4 後方周部の外径
D5 開口部の開口幅
D6 保持リングの内径
D7 保持リングの外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9