IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-乾燥装置および乾燥方法 図1
  • 特許-乾燥装置および乾燥方法 図2
  • 特許-乾燥装置および乾燥方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】乾燥装置および乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/20 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
F26B17/20 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019167161
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021042938
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】今井 正
(72)【発明者】
【氏名】安部 裕宣
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 秀臣
(72)【発明者】
【氏名】井手 勝記
(72)【発明者】
【氏名】今 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】田村 大
(72)【発明者】
【氏名】牛流 智範
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094267(JP,A)
【文献】特開2007-263439(JP,A)
【文献】特開2017-094268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 1/00-25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物を投入口から排出口まで搬送しながら間接加熱により乾燥させる乾燥機と、
前記投入口と前記排出口との間の搬送経路上の所定位置に設けられ、搬送途中の前記被乾燥物を前記乾燥機内から取り出す取出部と、を備え
前記乾燥機は、
前記投入口よりも前記排出口に近い側に設けられ、搬送される前記被乾燥物を堰き止める堰と、
前記堰を乗り越えた前記被乾燥物の量を検出するセンサと、を有し、
前記排出口は、前記堰を乗り越えた前記被乾燥物を排出し、
前記取出部は、前記センサの検出結果に基づいて、取り出す前記被乾燥物の量を調整する、乾燥装置。
【請求項2】
前記取出部は、
前記乾燥機から取り出した前記被乾燥物を下方に落下させる落下部と、
前記落下部にて落下された前記被乾燥物を搬送する搬送部と、を有する、請求項に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記落下部は、フッ素コーティングされた内壁面を有する、請求項に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記取出部は、前記堰を乗り越えて前記排出口から排出される前記被乾燥物の量よりも多い量の前記被乾燥物を前記乾燥機から取り出す、請求項から請求項のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記乾燥機内の前記投入口より前記排出口に近い側から前記被乾燥物を取り出して前記投入口に返流する返流部をさらに備え、
前記乾燥機は、前記返流部により返流される前記被乾燥物を前記投入口から投入された前記被乾燥物と混合させながら搬送する、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、乾燥装置および乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含水率50%~80%程度の有機物の乾燥を行う場合、熱風などの熱媒体と有機物とを直接接触させて加熱する直接加熱式乾燥法と、熱媒体と有機物とを伝熱壁等を介して間接的に加熱させる間接加熱式乾燥法とが用いられる。間接加熱式乾燥法では、有機物を伝熱壁等に接触させる必要があるため、可動式の伝熱壁等で有機物を攪拌する。このとき、有機物に粘性物質(例えば油分など)が混入していると、水分の蒸発と共に粘度が高まり、有機物が伝熱壁に付着して攪拌困難となる場合がある。この場合、乾燥が進まなくなることがある。通常、粘性は成分によるが含水率50%~60%ぐらいがピークとなる。このため、伝熱壁に付着しやすい汚泥の場合、事前に固形分を混入させて含水率を低下させるなどの措置が必要となる。具体的には、乾燥した有機物を返流させて用いることが多い。
【0003】
ここで、乾燥の進行とともに含水率が低下していくが、有機物の含有成分によっては含水率が低下すると、かさ密度が変化することがある。例えば、有機物がセルロースなどの植物繊維を含む場合、乾燥の進行につれて綿埃状となり膨張して、内部に多くの空気を含む結果、かさ密度が低下する。
【0004】
含水率によってかさ密度が変化する有機物を乾燥する場合、乾燥後の含水率調整が必要となる。例えば、含水率10%~15%程度でかさ密度が変化する場合、乾燥後の含水率を15%以上、または10%以下に調整する必要がある。例えば、15%以上で調整していたにもかかわらず含水率が低下してしまうと、乾燥機内部の有機物が膨張して乾燥機内が有機物で閉塞する危険性がある。一方、10%以下で調整していたにもかかわらず含水率が上昇してしまうと、乾燥機内部の有機物が収縮し乾燥機内部での撹拌・輸送に影響を与えるといった弊害が生じる。また、乾燥機内部の有機物体積と伝熱性能に相関がある場合、内部で有機物が膨張・収縮すると伝熱特性が変化し、過乾燥あるいは乾燥不良となってしまう。
【0005】
また、上記のように含水率が低下するとかさ密度が低く(単位容積当たりの重量が低く)なる有機物の場合、乾燥しすぎると軽くなるために輸送性が低下したり、あるいは飛散性が増したりして、利用が困難になる場合もある。
【0006】
このため、乾燥物の含水率を調整する手段として、例えば、特許文献1のように、乾燥物を一時的に貯留槽に流入させて重量を計測し、当該重量が一定となるよう乾燥条件を調整する手段等が知られている。しかし、特許文献1の手段では、貯留槽や重量計測手段、容積式のコンベヤの設置など、大掛かりな装置が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-225958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、乾燥機から所望の含水率の被乾燥物を取り出すことができる乾燥装置および乾燥方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態による乾燥装置は、乾燥機と、取り出し部と、を備える。乾燥機は、被乾燥物を投入口から排出口まで搬送しながら間接加熱により乾燥させる。取出部は、投入口と排出口との間の搬送経路上の所定位置に設けられ、搬送途中の被乾燥物を乾燥機内から取り出す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態による乾燥装置の構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態による乾燥装置の動作を示すフロー図。
図3】第2実施形態による乾燥装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による乾燥装置100の構成を示すブロック図である。乾燥装置100は、乾燥機1と、返流部2と、取出部3と、を備える。
【0013】
乾燥機1は、被乾燥物(有機物)OMを投入口11から排出口12まで搬送しながら間接加熱により乾燥させる。有機物OMは、例えば、下水汚泥などの汚泥である。下水汚泥は、例えば、乾燥後に炭化され、燃料として用いられる。投入口11は、高含水率の有機物OMを乾燥機1内に投入する。排出口12は、乾燥により含水率が低下した有機物OMを乾燥機1外に排出する。含水率とは、物質に含まれる水分の割合である。また、乾燥機1は、略円筒形状である。乾燥機1の寸法は、例えば、直径1m~2m、長さ5m~10mである。搬送される有機物OMの進行方向は、図1の左から右の方向である。
【0014】
乾燥機1は、回転軸13と、可動式伝熱壁14と、を有する。回転軸13は、乾燥機1を貫通するように設けられ、電動機等(図示せず)により回転する。また、回転軸13は、回転軸13の一端から他端に、熱源となる熱媒体を内部に流通可能である。熱媒体は、例えば、高温の蒸気や空気、窒素等である。可動式伝熱壁14は、回転軸13に設けられ、回転軸13の回転により有機物OMを攪拌しながら搬送する。可動式伝熱壁14の内部は、回転軸13の内部と接続され、蒸気等の熱媒体が流通可能である。従って、可動式伝熱壁14は、蒸気との間接的な熱交換により、有機物OMを乾燥させる。可動式伝熱壁14の形状は、例えば、パドルやディスク等の伝熱面積が大きくなる形状である。乾燥機1は、蒸気等の熱媒体の温度や回転軸13の回転の制御により、有機物OMの含水率を調整する。
【0015】
また、乾燥機1は、堰15をさらに有する。堰15は、投入口11よりも排出口12に近い側に設けられ、搬送される有機物OMを堰き止める。図1に示すように、堰15は、乾燥機内の下部に設けられる。堰き止められる有機物OMは、堰15の手前(図1の左方向)において或る程度の高さで溜まり、可動式伝熱壁14との接触面積が維持される。堰15の手前付近、すなわち、排出口12付近では、有機物OMの含水率は、例えば、5%~10%になる。また、排出口12は、堰15を乗り越える有機物OMを排出する。
【0016】
返流部2は、乾燥機1内の投入口11より排出口12に近い側から有機物OMを取り出して投入口11に返流する。返流部2は、返流落下部21と、返流コンベヤ22と、を有する。返流落下部21は、乾燥機1内の有機物を下方に落下させる。返流落下部21は、例えば、乾燥機1の下部、かつ、堰15の手前に設けられる管である。返流搬送部としての返流コンベヤ22は、返流落下部21にて落下された有機物OMを投入口11に搬送する。返流コンベヤ22は、搬送速度を変化させることにより、返流する有機物OMの量を調整する。
【0017】
有機物に粘性物質(例えば、油分など)が混入していると、水分の蒸発とともに粘度が高まる。この場合、有機物OMが可動式伝熱壁14に付着しやすくなり、攪拌が困難になる可能性がある。通常、投入口11から投入される、乾燥前の有機物の含水率は、70%~80%である。例えば、含水率が50%~60%に減少すると、有機物OMの粘性はピークになる。そこで、返流部2は、乾燥前の有機物OMを、含水率が低い有機物OMと混ぜて50%~60%よりも低い含水率(例えば、30%)にする。これにより、乾燥機1の運転を安定しやすくすることができる。例えば、投入口11は投入する有機物OMの量を調整し、または、返流部2は返流する有機物OMの量を調整する。尚、返流部2は、堰15の手前の有機物に限られず、堰15を乗り越えた有機物の一部を返流してもよい。
【0018】
また、乾燥機1は、返流部2により返流される有機物OMを投入口11から投入された有機物OMと混合させながら搬送する。図2に示す例では、返流部2は、投入口11の手前に有機物OMを投入する。尚、返流される有機物OMと投入される有機物OMとを混合するミキサが備えられていてもよい。
【0019】
取出部3は、投入口11と排出口12との間の搬送経路上の所定位置に設けられ、搬送途中の有機物OMを乾燥機1内から取り出す。これにより、乾燥機1から所望の含水率の有機物OMを取り出すことができる。取出部3は、落下部31と、取出コンベヤ32と、を有する。
【0020】
落下部31は、乾燥機1から取り出した有機物OMを下方に落下させる。落下部31は、例えば、乾燥機1の下部、かつ、所定位置に設けられる管である。落下部31は、重力落下を用いるため、可動式伝熱壁14と干渉することなく有機物OMを取り出すことができる。図1に示す例では、1つの落下部31が示されている。しかし、落下部31は、搬送経路上に複数設けることもできる。この場合、複数の落下部31は、開閉により、有機物OMを取り出す所定位置を変更する。
【0021】
搬送部としての取出コンベヤ32は、落下部31にて落下された有機物OMを搬送する。図1に示す例では、取出コンベヤ32は、排出口12と接続され、有機物OMを排出口12に搬送する。取出コンベヤ32は、搬送速度を変化させることにより、取り出す有機物OMの量を調整する。
【0022】
例えば、下水汚泥等の有機物OMは、セルロースなどの植物繊維を含む場合がある。この場合、有機物OMは、乾燥が進むにつれ綿埃状になり、内部に多くの空気を含むためにかさ密度が低下する。例えば、含水率が20%以上である場合、攪拌されても或る程度の形状(例えば、粒状)を保つ。しかし、含水率が10%~15%になると、有機物は、形状を維持できずに崩れやすくなり、さらに、急激に膨張して比重が小さくなる。この場合、有機物OMを輸送しづらくなり、また、有機物OMが飛散しやすくなるため、有機物OMの扱いが困難になる。従って、取出部3は、乾燥が進み、かつ、扱いやすい約20%の含水率の有機物OMを取り出すことが好ましい。
【0023】
そこで、取出部3は、投入口11に投入される有機物OMの含水率と、排出口12から排出される有機物OMの含水率と、所定位置と、に応じた含水率の有機物OMを取り出す。上記のように、投入口11での有機物OMの含水率が約30%であり、堰15の手前(排出口12付近)の有機物OMの含水率が5%~10%であれば、投入口11と堰15との中央付近の有機物OMの含水率は、約20%である。この中央付近を所定位置とすることにより、取出部3は、扱いやすい含水率20%の有機物OMを選んで取り出すことができる。また、所定位置を変更することにより、取り出すことができる有機物OMの含水率を調整することができる。
【0024】
また、取出部3は、堰15を乗り越えて排出口12から排出される有機物OMの量よりも多い量の有機物OMを乾燥機1から取り出す。投入口11から投入される有機物OMの量(投入量)が取り出される有機物OMの量(取出量)よりも多い場合、有機物OMは、堰15を乗り越えて排出口12から排出される。これにより、乾燥機1内で有機物OMが閉塞することを抑制することができる。しかし、図1に示す例では、取り出された有機物OMは、排出口12に搬送される。この場合、取り出された有機物OMは、堰15を乗り越えた有機物OMと混ざり、含水率が約20%よりも低くなってしまう可能性がある。従って、有機物OMは堰15を乗り越えず、排出される有機物OMのほぼ全てが取出部3により取り出されることが好ましい。そこで、取出部3は、例えば、投入量とほぼ等しい量の有機物OMを取り出す。これにより、排出される有機物OMの含水率を安定しやすくすることができる。尚、投入量および取出量は、単位時間あたりの量である。
【0025】
次に、図2を参照して、乾燥方法について説明する。
【0026】
図2は、第1実施形態による乾燥装置100の動作を示すフロー図である。
【0027】
まず、乾燥機1は、有機物OMの搬送および乾燥を開始する(S10)。また、投入口11は、有機物OMの投入を開始する。次に、返流部2は、有機物OMを投入口11に返流させる(S20)。次に、乾燥機1は、返流される有機物OMを、投入される有機物OMと混合させながら搬送する(S30)。また、乾燥機1および返流部2は、継続して動作する。従って、有機物OMは、乾燥機1内で溜まり続ける。
【0028】
次に、取出部3は、搬送途中の有機物OMを取り出す(S40)。例えば、乾燥機1および返流部2の運転が継続すると、乾燥機1内の有機物OMの含水率が安定する。すなわち、投入口11付近の有機物OMは含水率30%となるように調整され、排出口12付近の有機物OMの含水率は5%~10%となるように調整される。搬送経路上の有機物OMの含水率は、投入口11から排出口12にかけて、徐々に減少する。乾燥機1内の有機物OMの含水率が安定した後、取出部3は、所望の含水率となる位置の有機物OMを取り出し始める。取出部3も、乾燥機1および返流部2と同様に、継続して動作する。
【0029】
以上のように、第1実施形態によれば、取出部3は、投入口11と排出口12との間の搬送経路上の所定位置に設けられ、搬送途中の有機物OMを乾燥機1内から取り出す。乾燥機1は有機物OMを搬送しながら乾燥させるため、乾燥途中の所望の含水率の有機物OMを取り出すことができる。
【0030】
もし、取出部3が設けられない場合、乾燥機1は、排出口12付近の有機物OMの含水率が20%になるように調整する必要がある。この場合、含水率が減少(変動)して20%を下回り10%~15%になってしまうと、有機物OMは急激に膨張してしまう。乾燥機1内の有機物OMが膨張すると、有機物OMが乾燥機1内で閉塞し、乾燥機1が正常に運転することができなくなる可能性がある。従って、作業者は乾燥機1内を監視し続ける必要がある。
【0031】
これに対して、第1実施形態による乾燥機1は、排出口12付近の有機物OMの含水率が5%~10%になるように調整する。5%~10%は、間接加熱により可能な含水率の下限である。含水率は、低いほど減少しづらくなり、安定しやすくなる。これは、含水率が低くなるほど、綿埃状となった有機物OM内に空気が入り、間接加熱による熱が有機物OM内部まで伝わりづらくなるためである。従って、排出口12付近の有機物OMの含水率を低くすることにより、乾燥機1内の有機物OMの含水率を安定しやすくすることができる。これにより、かさ密度が変化する含水率が所望の含水率に近い場合であっても、所望の含水率の有機物OMをより安定して取り出すことができる。さらに、乾燥機1内を監視し続ける必要がなく、手間を省くことができる。
【0032】
また、返流部2は、混合後の含水率を30%にするため、投入される70%~80%の含水率の有機物OMよりも多い量の有機物OMを返流する。返流部2は、例えば、投入される有機物OMに対して、重量比で約5倍の有機物OMを返流する。従って、投入口11では、すでに膨張した有機物OMの体積比が大きい。また、有機物OMは完全には混合されないため、膨張した有機物OMの一部は、膨張したままである。これにより、乾燥機1内の有機物OMが含水率の低下により膨張しても、有機物OM全体の体積変化を抑制することができる。この結果、乾燥機1の運転が不安定になることを抑制することができる。
【0033】
尚、乾燥装置100は、かさ密度に限られず、或る含水率で性状が急激に変化する被乾燥物の乾燥に用いられてもよい。
【0034】
また、図1に示す例では、取出部3で取り出された有機物OMは、排出口12を通じて、堰15を乗り越える有機物OMとともに排出される。しかし、これに限られず、取出部3は、排出口12とは別に有機物OMを排出してもよい。
【0035】
また、返流部2が設けられていなくてもよい。この場合、排出口11付近の有機物OMの含水率は70%である。従って、取出部3は、取り出す有機物OMの含水率が20%となるように、所定位置を変更すればよい。
【0036】
(変形例)
第1実施形態の変形例は、落下部31に処理が施される点で、第1実施形態と異なる。
【0037】
落下部31は、フッ素コーティングされた内壁面を有する。落下部31は、内壁と有機物OMとの摩擦力が重力よりも弱いため、有機物OMを落下させることができる。しかし、例えば、取出コンベヤ32の速度が遅かったり、有機物OMの粘性が高くなったりすると、摩擦力が重力よりも大きくなる場合がある。この場合、有機物OMは、落下せずに落下部31において閉塞する可能性がある。そこで、フッ素コーティングにより、摩擦力を減少させ、落下部31における有機物OMの閉塞を抑制することができる。尚、フッ素コーティングに限られず、内壁面の摩擦係数を下げることができればよい。
【0038】
変形例による乾燥装置100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態による乾燥装置100の構成を示すブロック図である。第2実施形態は、センサ4が設けられる点で、第1実施形態と異なる。
【0040】
乾燥装置100は、センサ4をさらに備える。センサ4は、堰15を乗り越える有機物OMの量を検出する。図3に示す例では、センサ4は、排出口12の上部に設けられる。センサ4は、例えば、光散乱を用いて粉塵濃度を検出する。
【0041】
取出部3は、センサ4の検出結果に基づいて、取り出す有機物OMの量を調整する。
【0042】
第2実施形態による乾燥装置100のその他の構成は、第1実施形態による乾燥装置100の対応する構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0043】
第1実施形態において説明したように、投入量とほぼ等しい量の有機物OMを取り出すことができれば、有機物OMが堰15を乗り越えないようにすることができる。しかし、取り出し時と投入時とでは含水率が異なるため、取出量の設定には、複雑な計測や演算等が必要である。取出量の設定が適切でない場合、有機物OMが堰15を乗り越えてしまう、または、乾燥機1内の有機物OMが少なくなり過ぎる可能性がある。従って、作業者は乾燥機1内を監視し続ける必要がある。
【0044】
そこで、第2実施形態では、取出部3は、略一定量の有機物OMが堰15を乗り越えるように、取り出す有機物OMの量を調整する。また、投入口11は、略一定量の有機物OMを投入する。この場合、投入量と堰15を乗り越える有機物OMの量が略一定になるため、取出量も略一定になる。例えば、堰15を乗り越える有機物OMの量と、取出量と、の比率は、1:9である。これにより、取出量を容易に設定することができる。また、乾燥機1内の有機物OMの量が安定しやすくなり、乾燥機1内を監視する必要がなくなり、手間を省くことができる。さらに、排出される有機物OMの含水率および量を安定しやすくすることができる。
【0045】
また、取出部3は、乗り越える有機物OMの量よりも多い量の有機物OMを乾燥機1から取り出すことが好ましい。これは、第1実施形態において説明したように、取り出された有機物OMは、堰15を乗り越えた有機物OMと混ざり、含水率が低下してしまうためである。
【0046】
第2実施形態による乾燥装置100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
本実施形態による乾燥装置および乾燥方法の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、乾燥装置および乾燥方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、乾燥装置および乾燥方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
100 乾燥装置、1 乾燥機、11 投入口、12 排出口、15 堰、2 返流部、21 返流落下部、22 返流コンベヤ、3 取出部、31 落下部、32 取出コンベヤ、4 センサ、OM 有機物
図1
図2
図3