(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 41/127 20060101AFI20230807BHJP
A01F 12/60 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A01D41/127 120
A01F12/60
(21)【出願番号】P 2019185835
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石田 健之
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦
(72)【発明者】
【氏名】石橋 俊之
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-11545(JP,A)
【文献】特開2002-45030(JP,A)
【文献】実開昭58-152850(JP,U)
【文献】実開昭59-88036(JP,U)
【文献】特開2006-82963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/127
A01F 12/60
B65D 88/26
B65D 88/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部によって脱粒させた穀粒を上部に設ける供給口から取込んで満杯になると下部に横設する横ラセンを駆動して機外に排出するグレンタンクに、そのタンク内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段と、
直管で構成する、或いは直管の先端寄りを折り曲げて回転方向に後退角度を取って構成する均平体を、上下方向に所定の間隔を空けて複数設ける回転軸と、この回転軸を駆動して複数の均平体を回転軸を中心に水平方向に回転させる動力源によって構成する均平手段を設け、係る均平手段によって
タンク内に貯留する穀粒の表層を平らに均した穀粒の堆積高さを、前記高さ検出手段によって検出してグレンタンク内の穀粒の貯留量を計測手段によって算出することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記グレンタンクは、略直方体状に形成する上部側の貯留部の下方に、その底部に設ける横ラセンを左右方向の中心から外方側に所定量ずらして横設する略倒三角柱状に形成する樋部を備えて箱状のタンクに構成すると共に、前記均平手段の回転軸を横ラセンを避けたタンクの前後及び左右方向の略中心部に設けることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記回転軸をタンクの天板と樋部の傾斜する側板に軸支すると共に、係る回転軸に複数の均平体を着脱自在に取付けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記タンク内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段は、そのフレームに複数の籾センサを上下方向に並べて設けて構成すると共に、係る検出手段を均平手段に近接させてタンク内に設けることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用型や自脱型等のコンバインに係り、詳しくは、脱穀部によって脱粒させた穀粒を一時的に貯留するグレンタンクの穀粒貯留量を、その穀粒の堆積高さを検出して算出するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、汎用コンバインは、走行装置を備える機体に操縦部と脱穀部とグレンタンクを設けると共に、機体の前方に掻込リール、刈刃、オーガ、及びフィーダからなるヘッダ部を設ける。そして、コンバインは、ヘッダ部によって刈取った穀稈をフィーダによって脱穀部に搬送し、脱穀部は扱胴と受網等によって穀稈から穀粒を脱粒させ、また、揺動選別体等を用いて選別した後、穀粒をグレンタンクに移送する。
【0003】
さらに、グレンタンクは移送されてきた穀粒を一時的に貯留し、タンク内に穀粒が満杯になると収穫作業を中断して、タンク内の穀粒を排出オーガを作動させて例えば、トラックの荷台等に設けるコンテナ等に排出した後、収穫作業を再開する。そして、このような収穫作業において、グレンタンクに穀粒が満杯になったことを知らずに作業を続けると、グレンタンクに穀粒を移送する搬送装置等に詰まりを生じさせたり、穀粒をグレンタンクから機外にオーバーフローさせて穀粒の損失を生じさせるから、グレンタンクに籾センサ等を設けて満杯等を作業者にブザー等を用いて報知する。
【0004】
また、近年では穀粒の乾燥施設と収穫作業を行う圃場との間を運搬のために往復するトラックの到着待ち時間を短縮して作業の稼働率を上げるために、或いは乾燥施設の能力や乾燥機の空き状況によって収穫した穀粒の受入を断られることがあるから、グレンタンク内の貯留量から満杯になるまでの時間を推定してトラックの到着時間を指定したり、収穫作業の終了タイミングを見極めることが多くなってきており、これに対応するためにグレンタンクに複数の籾センサを設けたり(特許文献1参照)、ロードセルと水分計(食味センサ)を設けて(特許文献2参照)、貯留量を把握できるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-19669号公報
【文献】特開平2018-9号公報
【文献】実開昭58-152850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のようにグレンタンクの穀粒の貯留量(体積)を把握することができれば、作業者はこの情報(貯留量)に基づいて以後の作業計画を立てることができるので有用である。しかし、脱穀部から移送された穀粒はスパイラルシャフトの終端部に設ける掻出板等によってグレンタンクの上部からタンク内に放出され、この放出方向を適切に設定するものの放出された穀粒はグレンタンク内の中央部に山積みするように堆積し、グレンタンク内の隅々まで行渡って平らに堆積させることは困難であった。
【0007】
そのため、特許文献1のようにグレンタンク内に籾センサを上下方向に所定の間隔を隔てて複数設け、この籾センサの検出状態からタンク内の穀粒の堆積高さを得て貯留量を推定(算出)しようとする場合、タンク内の全域に亘って多数の籾センサを分散配置して穀粒の堆積高さを平面的に得ることはグレンタンクの穀粒の収納容積を減らし、また、非常に多数の籾センサを必要としてコスト上からも困難となるから、タンク内の1箇所に複数の籾センサを纏めて配置することになって、その配置箇所によって堆積高さの検出にバラツキを生じて正確な貯留量を得られないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2のようにロードセルと水分計によってグレンタンク内に貯留する穀粒の重量と含水率を得て穀粒の貯留量を推定する場合、走行振動や機体の傾斜等によって重量の計測に誤りを生じたり、サンプリング周期を長くすると含水率を正確に得られないから、このものでも正確な貯留量を得られないという問題がある。
【0009】
なお、グレンタンク内の穀粒の山積みを防止するために、グレンタンクの上部に散乱翼を設けて、一定以上穀粒が貯留されたとき、この散乱翼を回転駆動させることが特許文献3に記載されている。しかし、このものではタンク内の上部に散乱翼を設けるだけであるから、散乱翼に達しない穀粒の山は崩すことはできず、タンク内の貯留量を計測する際のヒントとはなってもそのままでは役立たない。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、脱穀部によって脱粒させた穀粒を一時的に貯留するグレンタンクの穀粒貯留量を、収穫作業中(走行中)であっても、その穀粒の堆積高さを検出して正確に算出することができるコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のコンバインは、上記課題を解決するため第1に、脱穀部によって脱粒させた穀粒を上部に設ける供給口から取込んで満杯になると下部に横設する横ラセンを駆動して機外に排出するグレンタンクに、そのタンク内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段と、直管で構成する、或いは直管の先端寄りを折り曲げて回転方向に後退角度を取って構成する均平体を、上下方向に所定の間隔を空けて複数設ける回転軸と、この回転軸を駆動して複数の均平体を回転軸を中心に水平方向に回転させる動力源によって構成する均平手段を設け、係る均平手段によってタンク内に貯留する穀粒の表層を平らに均した穀粒の堆積高さを、前記高さ検出手段によって検出してグレンタンク内の穀粒の貯留量を計測手段によって算出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は第2に、前記グレンタンクは、略直方体状に形成する上部側の貯留部の下方に、その底部に設ける横ラセンを左右方向の中心から外方側に所定量ずらして横設する略倒三角柱状に形成する樋部を備えて箱状のタンクに構成すると共に、前記均平手段の回転軸を横ラセンを避けたタンクの前後及び左右方向の略中心部に設けることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明は第3に、前記回転軸をタンクの天板と樋部の傾斜する側板に軸支すると共に、係る回転軸に複数の均平体を着脱自在に取付けることを特徴とする。
【0015】
そして、本発明は第4に、前記タンク内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段は、そのフレームに複数の籾センサを上下方向に並べて設けて構成すると共に、係る検出手段を均平手段に近接させてタンク内に設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコンバインによれば、脱穀部によって脱粒させた穀粒を上部に設ける供給口から取込んで満杯になると下部に横設する横ラセンを駆動して機外に排出するグレンタンクに、そのタンク内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段と、同じくタンク内に貯留する穀粒に作用して穀粒の表層を平らにならす均平手段を設け、係る均平手段によって均した穀粒の堆積高さを、前記高さ検出手段によって検出してグレンタンク内の穀粒の貯留量を計測手段によって算出するから、グレンタンクの穀粒貯留量を収穫作業中であっても正確に検出することができる。
【0017】
また、前記均平手段は、グレンタンク内に上下方向に所定の間隔を空けて設ける複数の均平体を備える回転軸と、この回転軸を駆動して回転させる動力源によって構成すると、グレンタンク内に山積み状態で堆積しようとする穀粒の表層を均平体の回転によって山を崩しながら平らにならすことができる。また、この均平体はタンク内に上下方向に所定の間隔を空けて複数設けるから、徐々に堆積して高くなる表層を下方に設ける均平体からその上方に設ける均平体というように順次、表層に作用させる均平体を変更して堆積高さの高低に拘わらずその表層を均すことができる。
【0018】
さらに、前記グレンタンクは、略直方体状に形成する上部側の貯留部の下方に、その底部に設ける横ラセンを左右方向の中心から外方側に所定量ずらして横設する略倒三角柱状に形成する樋部を備えて箱状のタンクに構成すると共に、前記均平手段の回転軸を横ラセンを避けたタンクの前後及び左右方向の中心部に設けると、均平体の回転半径を大きくして穀粒の表層を広く均すことができ、穀粒貯留量の算出精度を上げることができる。
【0019】
そして、前記回転軸をタンクの天板と樋部の傾斜する側板に軸支すると共に、係る回転軸に複数の均平体を着脱自在に取付けると、回転軸をタンクの天板と樋部の傾斜する側板に強固に軸支することができ、最下部の均平体をタンクの底部に、また、最上部の均平体をタンクの上部に設けて穀粒表層を均す高さ範囲を広げて、穀粒貯留量の正確な計測範囲を広げることができる。さらに、均平体を回転軸から着脱して均平体の交換や修理を行うことができる。
【0020】
そのうえ、前記タンク内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段は、そのフレームに複数の籾センサを上下方向に並べて設けて構成すると共に、係る検出手段を均平手段に近接させてタンク内に設けると、コストダウンを図りながら高さ検出手段による穀粒の堆積高さの検出精度が向上し、また、計測手段は穀粒の貯留量を離散型として作業者に客観的に分り易い形で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明を適用する汎用コンバインの右側面図である。
【
図4】グレンタンクの内部構造を示す背面図である。
【
図5】グレンタンクの内部構造を示す側面図である。
【
図6】グレンタンクの内部構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至
図3に示すように稲や麦或いは大豆等を刈取ってその穀物(穀粒)を収穫する汎用コンバインは、左右のクローラ式走行装置1と、走行装置1のトラックフレーム2の上方に設ける四角枠形状の機体フレーム3によって機体を構成し、この機体フレーム3に対して左右の走行装置1は、図示しない姿勢制御用の油圧シリンダによって昇降自在に取付ける。また、機体フレーム3の前進方向左側には作物の脱穀及び選別処理を行う脱穀部(脱穀装置)4を設け、右側には操縦部5と穀粒を貯留するグレンタンク6を前後に設ける。
【0023】
さらに、脱穀部4と操縦部5の前方には作物を刈取って脱穀部4に搬送するヘッダ部(刈取部)7を設ける。なお、操縦部5の下方からグレンタンク6の前方にかけてエンジン8、ラジエータ、エアクリーナ等で構成する原動部9を設け、この内、エンジン8は、クローラ式走行装置1、脱穀部4、グレンタンク6、ヘッダ部7等を駆動する動力源となる。また、脱穀部4の後方には排藁等を切断して圃場に拡散するチョッパスプレッダ10を設け、さらに、グレンタンク6の後方には穀粒を機外に排出する穀粒排出オーガ11の縦ラセン12と排出ラセン13を設ける。
【0024】
ここで、各部の構成を説明すると、機体の前方側に設けるヘッダ部7は、フィーダハウス14とオーガーフレーム15とリールフレーム16を一体的に連結して構成する。この内、オーガーフレーム15には、鋼鈑を湾曲させて形成するプラットホーム17を設け、このプラットホーム17上には、螺旋18aを有するドラム18bとドラム18bの外周に突出するフィンガー18cを備える左右方向に延びるプラットホームオーガ18を回転駆動可能に軸架する。また、オーガーフレーム15の前部には、左右のデバイダ19とレシプロ式の刈刃20を設ける。
【0025】
さらに、箱枠状に形成したフィーダハウス14内には、駆動軸21に取付けた後部の駆動スプロケット22と前部のドラム23間に左右の搬送チェン24を巻回すると共に、左右の搬送チェン24間に所定間隔を有して複数のスラット25を横架したフィーダ26を設ける。また、リールフレーム16には、掻込リール27を設けており、この掻込リール27はリールフレーム16の左右先端部に回転自在に軸支した駆動軸と、この駆動軸と一体回転する側面視多角形状(実施形態においては6角形状)の左右の回転支持体28とを備える。
【0026】
また、左右の回転支持体28の頂点部には、左右方向に伸延する複数のタイン取付杆29を回転自在に架設し、各タイン取付杆29には所定間隔毎にバネ式のタイン30を垂下状に取付ける。そして、上記回転支持体28の一方の横外側には、駆動軸の軸芯とは偏倚した軸芯廻りに回転する姿勢保持用回転体31を設け、姿勢保持用回転体31の各頂点に設けた枢支体32とタイン取付杆29の一側端とをリンクを介して連結することにより、タイン30が回転支持体28の回転にかかわらず常時下方を向くようにその姿勢を保持する。
【0027】
なお、リールフレーム16は、オーガーフレーム15の上部に回動自在に枢支した左右の揺動アーム33の先端に後部を回動自在に枢支し、フィーダハウス14に一端を取付けた前後移動用の電動油圧シリンダ34を伸縮作動させることによって、掻込リール27を揺動アーム33を介してオーガーフレーム15に対して前後に位置調節することができる。また、リールフレーム16の中ほどとオーガーフレーム15との間には、昇降用の油圧シリンダ35を設け、この油圧シリンダ35を伸縮作動させることによって、掻込リール27をオーガーフレーム15に対して上下に高さ調節することができる。
【0028】
そして、以上のように構成するヘッダ部7は、機体フレーム3の前部に立設した脱穀部4の前部フレームにホルダを介して回動自在に支承すると共に、フィーダハウス14と機体フレーム3との間に設けた昇降用油圧シリンダ36の伸縮作動によって、ヘッダ部7の前部側を下降させた状態と上昇させた状態に姿勢変更することができる。なお、フィーダ26の駆動軸21は、上記ヘッダ部7の回動中心と同芯上に設けてあり、ヘッダ部7の掻込リール27、刈刃20、プラットホームオーガ18、及びフィーダ26は、エンジン動力によって駆動する。
【0029】
従って、ヘッダ部7を下降させた状態として機体を走行させると、圃場の植立穀稈(作物)が左右のデバイダ19によって刈取対象と非刈取対象とに分草され、その内、刈取対象の植立穀稈が掻込リール27によってプラットホーム17内に掻き込まれながら刈刃20で刈取られる。また、プラットホーム17内に掻き込まれた穀稈は、プラットホームオーガ18によってフィーダハウス14の前方に横送りされ、さらに、フィーダハウス14の前方に横送りされた穀稈は、フィーダ26によってフィーダハウス14に掻き上げられて、搬送チェン24に取付けたスラット25に係止されながらフィーダハウス14の下部を通過して、刈取られた穀稈の全体が脱穀部4に投入される。
【0030】
なお、ヘッダ部7には、リールフレーム16の前端に前照灯37を取付けると共に、方向指示器38とバックミラー39をオーガーフレーム15から立設したステー40に取付ける。また、41はプラットホーム17の側方を覆うカバー、42は掻込リール27の伝動部を覆うカバーである。さらに、フィーダハウス14の後部側の側方には、機体フレーム3からメンテナンス用のハシゴ43を立設する。
【0031】
次に、脱穀部4について説明すると、脱穀部4はヒンジを介して上方に開閉自在なロータカバー44と、側方に開閉自在なロータサイドカバー45と、着脱自在な脱穀カバー(前カバー46、後カバー47)によって上方及び左側方を覆い、後方にはチョッパスプレッダ10を連設する。また、脱穀部4はフィーダ26によって搬送されてきた穀稈が投入される扱室48と、扱室48の下方に形成する選別室49とを備える。この内、扱室48内には機体の前後方向軸芯周りに回転する扱胴50を軸架する。
【0032】
この扱胴50は、その前部が円錐状で後部が円筒状に形成したロータ51と、ロータ51の外周に取付けた螺旋状になしたスクリュー52と、スクリュー52の外周に所定ピッチで取付けた複数の超硬扱歯53と、ロータ51の終端部外周に取付けた送塵体54を備える。また、扱胴50の下方には、フィーダ26によって搬送されてきた穀稈を受け入れる入口受板に引き続いて、扱胴50の下部周辺を覆うように円弧状の受網を周設する。そして、扱室48に投入された穀稈は、スクリュー52とロータカバー44に枢着した送塵弁によって機体後方側に揉み解しながら搬送し、また、スクリュー52と超硬扱歯53によってロータ51の外周上を周回する間に受網に擦り付けて脱粒処理を行う。
【0033】
一方、扱室48の下方に形成する選別室49には揺動選別体55を設け、この揺動選別体55は、その前後をリンクと駆動リンク等で構成する揺動機構によって前後揺動自在に支持し、揺動選別体55が前後に揺動することで処理物を篩選別する。また、揺動選別体55の下方には、揺動選別体55に向かう選別風を発生させる唐箕ファン56とターボファン57を設け、これらのファン56、57によって生成された選別風によって処理物を揺動選別体55において風選する。そして、網からなるグレンシーブ58を漏下した穀粒は、一番流板に流下案内させて一番物として一番螺旋59上に落下させる。また、二番物は二番流板に流下案内させて二番螺旋60上に落下させる。
【0034】
さらに、揺動選別体55の終端まで移送した切れ藁等の塵埃は、扱室48の受網の後端部まで搬送した排藁等と共に後部の排出口からチョッパスプレッダ10に受け渡して、チョッパスプレッダ10はこれらを細断して圃場に拡散する。また、一番螺旋59によって横送りした穀粒は、バケットコンベア61とその上部に設ける横螺旋62によってグレンタンク6内に揚送すると共に、二番螺旋60によって横送りした二番物は、二番還元装置を構成するスラットコンベア63と還元横螺旋によって扱室48の前部に還元して再度脱粒処理を行うか、又は還元横螺旋筒の中途に設けた蓋を開いて、二番物を揺動選別体55上に再び落下させて再選別処理を行う。
【0035】
次に、前述の脱穀部4によって脱粒させた穀粒(生籾)を上部に設ける供給口から取込んで満杯になると下部に横設する横ラセンを駆動して機外に排出するグレンタンク6について説明する。
図4乃至
図7に示すように原動部9後方の機体フレーム3に設けるグレンタンク6は、鋼鈑によって形成する平板を結合して前壁64aと後壁64bと右側壁64cと左側壁64dと天井壁64eで略直方体状に形成する上部側の貯留部64と、この貯留部64の下方にあって前壁65aと後壁65bと左右の傾斜する側壁65c、65dで略三角柱を横に倒したように(略倒三角柱状に)形成する下部側の樋部65を設ける箱状のタンクに構成する。
【0036】
そして、グレンタンク6は、その貯留部64の左側壁64dの上部寄りに前述の横螺旋62を嵌挿する開口を設けて穀粒の供給口66を構成し、横螺旋62が回転駆動されるとその終端に設ける掻出板62aは、脱穀部4によって脱粒させた穀粒をタンク6の前部上方から後方に向けて放出する。また、タンク6の樋部65の底部に前後方向となる横ラセン67をグレンタンク6の左右方向の中心から外方側に所定量ずらして横設し、この横ラセン67の前部側は前壁65aに取付けるブラケット68にベアリングを介して軸支し、横ラセン67の前端には従動プーリ69を取付ける。
【0037】
一方、エンジンの動力は機体フレーム3の中央部に設けるカウンタケースに伝動ベルトを介して伝達し、次いでカウンタケースに軸支する駆動軸に設ける駆動プーリと、前述の従動プーリ69とに亘って伝動ベルトを巻き掛ける。また、この伝動ベルトに張力を与えるテンションローラを、前壁64aに取付ける穀粒排出クラッチモータ(ギヤードモータ)88の正逆駆動によってクラッチワイヤを介して作動させて、エンジン動力を断続可能なベルトテンテンションクラッチ構造になす。
【0038】
また、前述の横ラセン67の後部側は後壁65bの後方に設ける第1ギヤケース70に軸支し、この横ラセン67を上述のベルトテンテンションクラッチ構造によって回転させるとタンク6内に貯留する穀粒を、第1ギヤケース70に軸支する縦ラセン12に向けて移送する。さらに、穀粒排出オーガ11の縦ラセン12は横ラセン67とベベルギヤで結合して回転し、横ラセン67から送られてきた穀粒を縦ラセン12の上方側に向けて送る。そして、縦ラセン12は機体フレーム3に回動自在に支持した縦パイプ12aに内装すると共に、縦ラセン12の上端部に結合する中継ラセンと排出ラセン13を介して排出ラセン13の先端に設ける放出口13bから穀粒を機外に排出する。
【0039】
なお、縦ラセン12を内装する縦パイプ12aの上部には第2ギヤケース71を設け、この第2ギヤケース71には中継ラセンを内装する。また、第2ギヤケース71は、排出ラセン13を内装する排出パイプ13aを油圧シリンダ72によって起伏自在に支持し、さらに、縦パイプ12aは、第2ギヤケース71及び排出パイプ13aとともに縦ラセン12の軸を中心に電動モータによって旋回可能になす。
【0040】
また、グレンタンク6は、樋部65の後壁65bを第1ギヤケース70に取付ける一方、貯留部64の後壁64bを縦パイプ12aに回動自在に取付け、さらに、第1ギヤケース70と縦パイプ12aは機体フレーム3に縦ラセン12の軸を中心に回動自在に取付けるから、グレンタンク6は全体として、後部側の縦ラセン12の軸を中心に機体外方側に回動させることができる。そして、グレンタンク6を回動させる際には、穀粒を排出してグレンタンク6を空にした状態でグレンタンク6の後部カバー73を開き下部カバー74を取外す。
【0041】
また、駆動プーリと従動プーリ69とに亘って巻き掛けた伝動ベルトを取外したうえで、タンク固定レバーを操作してグレンタンク6と機体フレーム3に立設するステーとの間に設けるロック装置を解除し、更にブラケット68に設けるタンク回動レバーを引き上げてそのローラを機体フレーム3の底板上に下降させ、そのままタンク回動レバーを持ち上げながら引っ張るとグレンタンク6を、穀粒の収容位置から機体外方に向けて大きく回動させたメンテナンス位置になすことができる。
【0042】
以上、グレンタンク6に合わせて穀粒排出オーガ11の構造について説明したが、次に本発明の特徴とするグレンタンク6内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段と、同じくタンク内に貯留する穀粒に作用して穀粒の表層を平らにならす均平手段について説明する。先ず、
図8及び
図9にも示すように穀粒の表層を平らにならす均平手段は、グレンタンク6内に上下方向に所定の間隔を空けて設ける複数(実施形態においては6体)の均平体73を備える回転軸74と、この回転軸74を駆動して回転させる電動モータ(動力源)75によって構成する。
【0043】
そして、この内、均平手段を構成する回転軸74は、グレンタンク6の樋部65の底部に横設する横ラセン67を避けたタンク6の前後及び左右方向の略中心部に上下方向(鉛直方向)として設け、回転軸74の上端寄りと下端をグレンタンク6の貯留部64の天井壁64eを構成する天板76と樋部65の傾斜する左側壁を構成する側板65dに軸受を介して回転自在に軸支する。また、回転軸74の上端部に従動歯車77を取付ける。
【0044】
一方、電動モータ75は下部に減速歯車装置を備えるギヤードモータによって構成し、天板76にブラケット78を介して取付ける。そして、電動モータ75の出力軸に設ける駆動歯車79を回転軸74の上端部に設ける従動歯車77に噛合わせて、回転軸74を回転駆動する。なお、矩形状に形成する天板76は天井壁64eを構成する周囲の天板に上方からその周縁を重合させてボルトで取付け、次に説明する均平体73を回転軸74に取付けた状態で電動モータ75と共にグレンタンク6の上方から吊り下してグレンタンク6に取付ける。
【0045】
また、回転軸74はその本体を鋼管によって構成し、この本体に穴を穿ち同じく鋼管で構成する小径の複数のホルダー74aを貫通させて溶接する。そして、係る複数のホルダー74aの夫々に小径の鋼管で構成する均平体73を通して、その均平体73の基部寄りをボルトで着脱自在に取付ける。これによって均平体73は回転軸74の長手方向に直交し、タンク内に上下方向に設ける回転軸74が電動モータ75によって回転すると、複数の均平体73は回転軸74を中心に水平方向に回転し、グレンタンク6内に放出されて山積み状態で堆積しようとする穀粒に作用して穀粒の表層を平らにならす。
【0046】
つまり、穀粒の表層に局所的に山が生ずると均平体73はその水平回転によって山を崩して表層の窪みに穀粒を移動させて、或いはタンクの隅々まで穀粒を押しやって隅々に空き空間が生じないように均す。また、タンク内に穀粒は徐々に堆積し、その表層は徐々に高くなる。そのため、表層から下に埋まった均平体73は、穀粒を多少動かして山を崩すが深く埋まるとその役目を終える。しかし、この均平体73は上下方向に所定の間隔を空けて複数設けるから、下位に位置する均平体73から徐々に上位に位置する均平体73が穀粒の表層に作用して、タンク内に穀粒が満杯近くなるまでその均平作用を継続する。
【0047】
なお、均平体73は各取付位置において、その先端部がグレンタンク6の左右側壁、或いは前壁や後壁に当たることがない長さになした直管で構成する。しかし、水分の多い穀粒であれば直管で構成する均平体73が回転しただけでは穀粒の周囲への移動が少ない場合がある。そこで、
図9に示すように直管の先端寄りを折り曲げて回転方向に後退角度を取って穀粒を外周側に押しやり易くした均平体73’を用いたり、薄板を用いて穀粒の表層を多少押下げて均し易くした均平体73を用いたり、その収穫する作物や品種、或いは水分量等に応じて適切な均平体85を選択して交換することができるようになす。
【0048】
また、前述のように表層から下に深く埋まった均平体73はその役目を終え、その均平体73を回転させ続けると電動モータ75に高負荷を与える。そこで、均平体73が堆積する穀粒から所定以上の反力を受けた際に、その均平体73の回転を停止させるように構成してもよく、例えば、回転軸74に摩擦式等のトルクリミッタを装着すると共に、このトルクリミッタの従動回転体に均平体73を取付け、均平体73が堆積する穀粒から所定以上の反力を受けた際に従動回転体がこの高トルクによって回転を停止するように構成したり、駆動側回転軸と従動側回転軸との間にトルクリミッタを介装しながら複数連結して長尺な回転軸74となし、また、その従動側となる回転軸の各々に均平体73を取付けて、下位となる従動側の回転軸に設ける均平体73から順次、トルクリミッタを作動させて回転を停止するように構成してもよい。
【0049】
次に、グレンタンク6内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段について説明すると、高さ検出手段は複数(実施形態においては25個)の籾センサ80によって構成し、この籾センサ80は堆積する穀粒によって押圧されるダイヤフラムがリミットスイッチを作動させる形態のセンサを用いる。また、この複数の籾センサ80をグレンタンク6の壁面にその高さを異ならせて取付けて高さ検出手段に構成してもよいが、実施形態においては長尺なセンサフレーム81の決められた位置に籾センサ80を千鳥足状に2列に分けて取付ける。なお、センサフレーム81はその後面側を覆うカバー82を備え、このカバー82によって籾センサ80から引き出した配線を纏めて覆う。
【0050】
そして、この籾センサ80を複数取付けたセンサフレーム81を回転軸74と同様に、その上端と下端をグレンタンク6の貯留部64の天井壁64eを構成する天板83と樋部65の傾斜する左側壁を構成する側板65dに取付けて固定する。なお、籾センサ80及びカバー82を取付けたセンサフレーム81は、天板83に穿ち設ける矩形穴の上方から吊り下して、その上部の取付板81aを矩形穴の周縁に重合させてボルトで取付ける。また、この場合の具体的なセンサフレーム81の取付位置は、センサフレーム81等が均平体73の回転を妨げず、また、グレンタンク6内に設ける補強用の連結部材を避けて設ける必要がある。
【0051】
さらに、脱穀部4からタンク6内に排出された穀粒が直接、籾センサ80のダイヤフラムに当たって、そのリミットスイッチが作動して籾センサ80が誤った検出を行うことがなく、なお且つ、均平体73によって表層が平らにならされた穀粒によって籾センサ80が堆積高さを正確に検出することができるように籾センサ80を均平体73の先端になるべく近づけて設ける必要があり、例えばタンク6内の前壁寄りの左右方向の中心部にセンサフレーム81を立設する。
【0052】
なお、実施形態においては穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段を、前述のように複数の籾センサ80によって構成するが、例えばグレンタンク6の天板83に超音波センサの送受信機を取付け、タンク6内に堆積する穀粒との間の距離を超音波の反射時間によって取得してグレンタンク6内の穀粒の堆積高さを非接触で検出するように構成してもよく、この場合は超音波センサが脱穀部4からタンク6内に排出中の穀粒や回転する均平体73を誤って検出しないように穀粒排出範囲や均平体73の回動範囲をその検出エリアから外しながら、出来るだけ均平体73の先端に近づくように設けると良い。また、高さ検出手段として静電容量形の近接センサ等を用いてもよい。
【0053】
以上、グレンタンク6内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段と、同じくタンク内に貯留する穀粒に作用して穀粒の表層を平らにならす均平手段について説明したが、次に係る高さ検出手段と均平手段を用いて、グレンタンク6内に貯留する穀粒量(体積)を算出する計測手段について説明する。
図10に示すように計測手段は、主にマイクロコンピュータユニットを用いた電子制御ユニット(ECU)84によってグレンタンク6内に貯留する穀粒量を算出し、算出した穀粒量は操縦部5に設ける液晶モニタ等に表示して作業者に視認できるようにする。
【0054】
より詳細に説明すると、ECU84のデジタル入力ポートには、脱穀部4とヘッダ部7にエンジン動力を夫々伝えるクラッチを断続させる電動モータ(パワークラッチモータ)85に対して断続指令を出すパワークラッチスイッチ86、前述の籾センサ80の複数を纏めた籾センサユニット87、ベルトテンテンションクラッチで構成する穀粒排出クラッチを断続させる穀粒排出クラッチモータ88に対して断続指令を出すオーガリモコンに設ける穀粒排出スイッチ89、グレンタンク6の天板(64e)に設ける穀粒のオーバーフロー口からの穀粒の流出を検出するオーバーフローセンサ90を、また、グレンタンク6内に設ける穀粒の水分計91からの出力をアナログ入力ポートに接続する。
【0055】
さらに、ECU84のドライブ回路に液晶モニタ92とブザー93と均平モータ75とパワークラッチモータ85と穀粒排出クラッチモータ88を接続する。そして、以上のように構成するECU84は、前述のグレンタンク6内に貯留する穀粒量を算出する場合、次のようなステップを踏む。先ず、エンジン8が始動して電源が供給されるとECU84は初期化を行った後、パワークラッチスイッチ86の指令に基づきパワークラッチモータ85を作動させて脱穀部4、或いは脱穀部4とヘッダ部7を駆動する。
【0056】
また、ECU84は脱穀部4を駆動すると同時に均平モータ75を作動させて、回転軸74に備える複数の均平体73を回転させる。なお、均平体73の回転は、籾センサユニット87の最上位に設ける籾センサ80、或いは天井壁64eに取付ける専用の籾センサ94によってグレンタンク6に穀粒が満杯近くになったことが検出された場合、或いはオーバーフローセンサ90によってグレンタンク6からの穀粒の流出が検出された場合を除いて、脱穀部4の駆動が停止されるまで継続して回転させる。
【0057】
さらに、ECU84は電源が供給されている間、グレンタンク6内に貯留する穀粒の堆積高さを複数の籾センサ80によって検出しており、その穀粒の堆積高さは収穫作業によって脱穀部4から放出されてグレンタンク6の底部から徐々に貯まる穀粒に押圧されて作動する籾センサ80の状態から判断する。例えば、籾センサ80の全てが作動していなければ「0」、最下位の籾センサ80のみが作動(オン)していれば「1」、最上位の籾センサ80以下の全てが作動していれば「25」というように数値化して堆積高さを検出する。
【0058】
そして、ECU84はグレンタンク6内に貯留する穀粒の堆積高さに基づいて穀粒の貯留量を算出し、この場合、穀粒の貯留量は堆積高さに相当するグレンタンク6の容積によって求め、また、グレンタンク6の容積は堆積高さ毎にテーブルに予め保持しておき、このテーブルを参照することによって即座に穀粒の貯留量を取得することができる。なお、グレンタンク6内に穀粒を堆積させて得られる実測値に基づいてテーブルを作成することもでき、このように実測値を用いれば収穫する作物に応じた正確な貯留量を得ることができる。
【0059】
また、グレンタンク6内に設ける穀粒の水分計91は、脱穀部4からグレンタンク6内に放出される穀粒の含水率をサンプリングして検出しており、ECU84はこの水分計91から出力される穀粒の含水率と予め用意する穀粒の比重と前述の貯留量を使用して、グレンタンク6内に貯留する穀粒の重量を算出する。なお、穀粒の比重は作物や品種等によって異なり、ここでも実測した比重を使用すれば正確な穀粒の重量が得られることは云うまでもない。
【0060】
さらに、ECU84は穀粒の重量と含水率から例えば、稲籾であれば15パーセントに乾燥させた際の乾燥重量を算出する。また、収穫作業の開始後の穀粒排出時間や休憩時間を除いた実刈取作業時間や、グレンタンク6内の穀粒を機外に排出した後からの実刈取作業時間を算出し、また、その間の穀粒の総貯留量から単位時間当たりの穀粒の収穫量を求め、さらに、グレンタンク6の貯留可能な最大容積から現在の貯留量を差し引いた空き容積から満杯となる予測時間を算出する。
【0061】
そして、ECU84はこれらの取得した情報を操縦部5に設ける液晶モニタ92にリアルタイムで表示する(なお、貯留量は液晶モニタ92において10段階に区分けする図表示を行う)。また、ECU84は圃場当たりの総収穫量や作業時間等を不揮発性メモリに記憶し、この情報を取り出して今後の作業管理に役立てたり、或いはリアルタイムキネマティック(RTK:Real Time Kinematic)による全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation SatelliteSystem)等を採用して作業軌跡を取得するものであれば、圃場における各領域の収穫量等をマップとして纏めることができ、精密農業を行う上で役立たせることができる。
【0062】
さらに、ECU84と携帯通信端末とを近距離通信させて、また、携帯通信端末と乾燥施設や管理センターとを遠距離通信させて情報のやり取りを行えば、乾燥機の空き状態やトラックの配車手配をシステム化することができる。また、ECU84は、籾センサ80やオーバーフローセンサ90に基づいてグレンタンク6が満杯になったことやオーバーフローしていることをブザー93を作動させて警報したり、特に穀粒がオーバーフローしていればエンジンECUに指令してエンジン8を停止させて収穫作業を即座に中止する。
【0063】
そして、作業者はグレンタンク6に穀粒が満杯になったり収穫作業を終える際には、収穫作業を中断又は中止してトラックの停車位置までコンバイン1を移動走行させる。そして、オーガリモコンによって穀粒排出オーガ11の放出口13bがトラックの荷台に設けるコンテナ上に臨むように操作し、その後、穀粒排出スイッチ89を押すとECU84は、穀粒排出クラッチモータ88を作動させる。
【0064】
そして、ベルトテンテンションクラッチが入りになると横ラセン67、縦ラセン12、中継ラセン、及び排出ラセン13がエンジン動力によって回転駆動され、グレンタンク6内の穀粒がコンテナに放出されて機外に排出することができる。なお、この穀粒の排出作業に合わせて均平モータ75を作動させ、複数の均平体73を回転させると、グレンタンク6内にブリッジ現象によって留まった穀粒を均平体73によって掻き落とし、全量機外に排出できるように構成することもプログラムを変更するだけで簡単に行うことができる。
【0065】
以上、計測手段としての電子制御ユニット84の役割について説明したが、ここで本発明の特徴するグレンタンク6内の穀粒の貯留量を計測手段によって算出する際の作用乃至効果を纏めると、既に発明の効果欄に記載する通り、本発明のコンバイン1は、脱穀部4によって脱粒させた穀粒を上部に設ける供給口66から取込んで満杯になると下部に横設する横ラセン67を駆動して機外に排出するグレンタンク6に、そのタンク6内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段87(80)と、同じくタンク6内に貯留する穀粒に作用して穀粒の表層を平らにならす均平手段73、74、75を設け、係る均平手段によって均した穀粒の堆積高さを、前記高さ検出手段によって検出してグレンタンク6内の穀粒の貯留量を計測手段84によって算出する。
【0066】
そのため、グレンタンク6内に放出されて山積み状態で堆積しようとする穀粒は、均平手段73、74、75によって山を崩して表層の窪みに穀粒を移動させ、或いはタンク6の隅々まで穀粒を押しやって隅々に空き空間が生じないように均す。そして、この均平手段によって均した穀粒の堆積高さを高さ検出手段87(80)によって検出すると共に、計測手段84が穀粒の貯留量を算出するから、例えば、収穫作業中に機体が傾いたり振動してもグレンタンク6内に貯留する穀粒の表層は、均平手段によって均されてそれらの影響をほとんど受けないため、グレンタンク6の穀粒貯留量を収穫作業中であっても正確に検出することができる。
【0067】
また、均平手段は、グレンタンク6内に上下方向に所定の間隔を空けて設ける複数の均平体73を備える回転軸74と、この回転軸74を駆動して回転させる動力源75によって構成するから、グレンタンク6内に山積み状態で堆積しようとする穀粒の表層を均平体73の回転によって山を崩しながら平らにならすことができる。また、この均平体73はタンク6内に上下方向に所定の間隔を空けて複数設けるから、徐々に堆積して高くなる表層を下方に設ける均平体73からその上方に設ける均平体73というように順次、表層に作用させる均平体73を変更して堆積高さの高低に拘わらずその表層を均すことができる。
【0068】
さらに、グレンタンク6は、略直方体状に形成する上部側の貯留部64の下方に、その底部に設ける横ラセン67を左右方向の中心から外方側に所定量ずらして横設する略倒三角柱状に形成する樋部65を備えて箱状のタンクに構成すると共に、均平手段の回転軸74を横ラセン67を避けたタンク6の前後及び左右方向の中心部に設けると、均平体73の回転半径を大きくして穀粒の表層を広く均すことができ、穀粒貯留量の算出精度を上げることができる。なお、係る均平手段73、74、75をグレンタンク6内に複数設ければ、個々の均平体73の回転半径は少なくなるとしても、複数の均平体73によって同時にならすことができる面積を広げることができて、グレンタンク6の隅々まで均等に穀粒を均すことができる。
【0069】
そして、回転軸74をタンク6の天板76と樋部65の傾斜する側板65dに軸支すると共に、係る回転軸74に複数の均平体73を着脱自在に取付けると、回転軸74をタンク6の天板と樋部の傾斜する側板に強固に軸支して振れ止めすることができ、最下部の均平体73をタンク6の底部に、また、最上部の均平体73をタンク6の上部に設けて穀粒表層を均す高さ範囲を広げて、穀粒貯留量の正確な計測範囲を広げることができる。さらに、均平体73を回転軸74から着脱して均平体73、73’の交換や修理を行うことができる。
【0070】
そのうえ、タンク6内に貯留する穀粒の堆積高さを検出する高さ検出手段は、そのセンサフレーム81に複数の籾センサ80を上下方向に並べて設けて構成すると共に、係る検出手段を均平手段73、74、75に近接させてタンク6内に設けると、コストダウンを図りながら高さ検出手段による穀粒の堆積高さの検出精度が向上し、また、計測手段84は複数の籾センサ80の検出結果に基づいて穀粒の貯留量をデジタル値に変換して、「0、1・・9」といった離散型として作業者に客観的に分り易い形で提供することができる。
【0071】
なお、以上説明した実施形態では、均平モータ75を電動モータによって構成するが、このモータを油圧モータとしたり、或いは、エンジン8からクラッチを介して均平体73を回転させてもよく、均平手段の動力源としては種々変更することができる。また、均平体73を軽量なアルミパイプやプラスチックパイプ、更には回転数を上げて索条で構成してもよく、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
4 脱穀部
6 グレンタンク
64 貯留部
65 樋部
66 供給口
67 横ラセン
73 均平体(均平手段)
74 回転軸(均平手段)
75 均平モータ(動力源、均平手段)
80 籾センサ(高さ検出手段)
81 センサフレーム
84 電子制御ユニット(計測手段)