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特許7326111カルシウムの抽出方法、カルシウムの回収方法及び二酸化炭素の固定化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】カルシウムの抽出方法、カルシウムの回収方法及び二酸化炭素の固定化方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 11/18 20060101AFI20230807BHJP
   B01D 11/02 20060101ALI20230807BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20230807BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20230807BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
C01F11/18 B ZAB
B01D11/02 A
B01D53/62
B01D53/78
B01D53/14 210
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019197210
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021070599
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 達弥
(72)【発明者】
【氏名】小林 宣裕
(72)【発明者】
【氏名】井田 徹
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-139020(JP,A)
【文献】特開平11-157833(JP,A)
【文献】特表2016-508476(JP,A)
【文献】特表2011-501726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 11/18
B01D 11/02
B01D 53/62
B01D 53/78
B01D 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化カルシウムを含む材料からカルシウムを抽出する方法であって、
抽出されるカルシウムが、二酸化炭素が供給されるためのものであり、
上記材料にポリオール化合物を接触させる工程を備えるカルシウムの抽出方法。
【請求項2】
上記ポリオール化合物が、ジオール化合物又はトリオール化合物である請求項1に記載のカルシウムの抽出方法。
【請求項3】
上記ジオール化合物が、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールよりなる群から選択される1又は2以上のものである請求項2に記載のカルシウムの抽出方法。
【請求項4】
酸化カルシウムを含む材料からカルシウムを回収する方法であって、
上記材料にポリオール化合物を接触させる工程と、
上記接触工程後の材料とポリオール化合物との混合物に水を添加する工程と、
上記接触工程後の材料とポリオール化合物との混合物に二酸化炭素を供給する工程と
を備え、
上記添加工程を上記供給工程後に行うカルシウムの回収方法。
【請求項5】
酸化カルシウムを含む材料を用いて二酸化炭素を固定化する方法であって、
上記材料にポリオール化合物を接触させる工程と、
上記接触工程後の材料とポリオール化合物との混合物に水を添加する工程と、
上記接触工程後の材料とポリオール化合物との混合物に二酸化炭素を供給する工程と
を備え、
上記添加工程を上記供給工程後に行う二酸化炭素の固定化方法。
【請求項6】
酸化カルシウムを含む材料からカルシウムを回収する方法であって、
上記材料にポリオール化合物を接触させる工程と、
上記接触工程後の材料とポリオール化合物との混合物から、PVDF製で孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて吸引ろ過して溶液を分離する工程と、
上記分離工程後の溶液に水を添加する工程と、
上記分離工程後の溶液に二酸化炭素を供給する工程と
を備えるカルシウムの回収方法。
【請求項7】
上記添加工程を上記供給工程後に行う請求項6に記載のカルシウムの回収方法。
【請求項8】
酸化カルシウムを含む材料を用いて二酸化炭素を固定化する方法であって、
上記材料にポリオール化合物を接触させる工程と、
上記接触工程後の材料とポリオール化合物との混合物から、PVDF製で孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて吸引ろ過して溶液を分離する工程と、
上記分離工程後の溶液に水を添加する工程と、
上記分離工程後の溶液に二酸化炭素を供給する工程と
を備える二酸化炭素の固定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウムの抽出方法、カルシウムの回収方法及び二酸化炭素の固定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化による気候変動が問題となっている。二酸化炭素(気体の二酸化炭素は炭酸ガスとも呼ばれる)は温室効果ガスの一つであり、地球温暖化の主要因とされている。このため、二酸化炭素の排出削減、大気中の二酸化炭素濃度の低減等が必要とされており、そのためには、二酸化炭素の回収・貯留方法の確立が不可欠である。
【0003】
このような二酸化炭素を回収・貯留する方法として、例えば、産業廃棄物中に含まれるCaO及び/又はMgOを水と接触させてCaイオン及び/又はMgイオンを水中に溶出させ、この液とCOガスとを接触させてCaCO及び/又はMgCOを生成させることによりCOを固定化する方法が提案されている(特開平7-265688号公報参照)。
【0004】
例えば、高炉スラグ、アルカリ及び水を混合した水溶液に二酸化炭素を供給し、供給した二酸化炭素と高炉スラグから溶出したカルシウムとを反応させてCaCOを生成することにより二酸化炭素を固定化する方法も提案されている(特開2017-214262号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-265688号公報
【文献】特開2017-214262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の方法は、水へのカルシウムの溶解度を考慮すると、カルシウムの抽出効率が十分に高いとはいい難い。よって、カルシウムを用いる二酸化炭素の固定化効率も十分に高いとはいい難い。
【0007】
上記特許文献2の方法は、高炉スラグからカルシウムを抽出するためにアルカリ水溶液を用いている。しかし、一般的に、アルカリ溶液環境下ではカルシウムの溶解度がpH12.5程度で飽和するため、この方法は、カルシウムの抽出効率が十分に高いとはいい難い。よって、カルシウムを用いる二酸化炭素の固定化効率も十分に高いとはいい難い。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、カルシウムを含む材料からカルシウムを効率的に抽出し得るカルシウムの抽出方法、上記材料からカルシウムを効率的に回収し得るカルシウムの回収方法、及び二酸化炭素を効率的に固定化し得る二酸化炭素の固定化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意研究したところ、以下の知見を得た。すなわち、カルシウム(Ca)を含む材料からカルシウムを抽出するためにポリオール化合物を用いることで、水を用いる場合よりも多くのカルシウムをカルシウムイオンとして抽出し得ること、すなわちカルシウムを効率的に抽出し得ることを見出した。
【0010】
一方、抽出したカルシウムイオンとポリオール化合物との混合物に二酸化炭素を供給しても、カルシウムイオンを二酸化炭素と反応させて炭酸カルシウム(CaCO)として析出させることが困難であることを見出した。この理由としては、二酸化炭素はポリオール化合物にCOの状態で溶解しており、上記混合物中で炭酸イオン(CO 2-)が生成していないからと考えられる。
【0011】
これらの知見に基づき、本発明者らがさらに鋭意研究したところ、二酸化炭素をイオン化(炭酸イオン化)するためにはプロトン(H)が必要であり、このプロトンの供給源として水を用いることが有効であることを見出した。
【0012】
加えて、上記カルシウムイオンとポリオール化合物との混合物に水及び二酸化炭素を添加すると、カルシウムイオンが水に移行(拡散)し、この水に二酸化炭素が炭酸イオン(CO 2-)として溶解し、その結果、この水を反応の場としてカルシウムイオンと炭酸イオンとが反応し、炭酸カルシウムとして析出することを見出した。
【0013】
すなわち、触媒的に水を使用することにより、より多くのカルシウムイオンとより多くの炭酸イオンとを反応させ、より多くの炭酸カルシウムを生成することができることを見出した。
【0014】
そして、この炭酸カルシウムの生成により、カルシウムを回収すると共に二酸化炭素を固定化し得ることを見出して本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、カルシウムを含む材料からカルシウムを抽出する方法であって、抽出されるカルシウムが、二酸化炭素が供給されるためのものであり、上記材料にポリオール化合物を接触させる工程を備えるカルシウムの抽出方法である。
【0016】
当該カルシウムの抽出方法は、上記材料からの上記カルシウムの抽出にポリオール化合物を用いることで、水を用いる場合よりも多くのカルシウムをカルシウムイオンとして抽出することができる。また、アルカリ水溶液を用いないため、抽出にpHの制限を受け難い。従って、当該カルシウムの抽出方法によれば、カルシウムを効率的に抽出することができる。
【0017】
上記ポリオール化合物としては、ジオール化合物又はトリオール化合物が好ましい。
【0018】
このように、上記ポリオール化合物がジオール化合物又はトリオール化合物であることで、上記材料からカルシウムを、カルシウムイオンとしてより確実に抽出することができる。
【0019】
上記ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールよりなる群から選択される1又は2以上のものが好ましい。
【0020】
このように、上記ジオール化合物が上記群から選択される1又は2以上のものであることで、上記材料からカルシウムを、カルシウムイオンとしてより確実に抽出することができる。
【0021】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、カルシウムを含む材料からカルシウムを回収する方法であって、上記材料にポリオール化合物を接触させる工程と、上記接触工程後の材料に水を添加する工程と、上記接触工程後の材料に二酸化炭素を供給する工程とを備えるカルシウムの回収方法である。
【0022】
当該カルシウムの回収方法は、上記接触工程を備えることで、上述したように、効率的にカルシウムを抽出することができる。加えて、当該カルシウムの回収方法は、上記添加工程と上記供給工程とを備えることで、上記のように効率的に抽出されたカルシウムイオンを、水の存在下で効率的に炭酸イオンと反応させ、炭酸カルシウムとして析出させることができる。従って、当該カルシウムの回収方法は、上記材料からカルシウムを効率的に回収することができる。
【0023】
上記添加工程を上記供給工程後に行うとよい。
【0024】
上記添加工程を上記供給工程後に行うと、まず添加工程にて、二酸化炭素が(炭酸イオンとしてではなくCOとして)ポリオール化合物に一旦溶解する。次いで添加工程にて、ポリオール化合物に溶解しているカルシウムイオンが、水に移行すると共に、このポリオール中に溶解している二酸化炭素が水に炭酸イオンとして溶解し、この水中でカルシウムイオンと炭酸イオンとが反応する。
【0025】
ここで、二酸化炭素を供給する前に水を供給する場合には、カルシウムイオンと水とが反応して消石灰(水酸化カルシウム、Ca(OH))が生成するおそれがある。消石灰が生成すると、その分、炭酸イオンとの反応に使用されるカルシウムイオンの量が減少し、炭酸カルシウムの生成量が減少するおそれがある。
【0026】
これに対し、水を添加する前に二酸化炭素を供給することで、上記消石灰の生成を抑制し、炭酸カルシウムの生成効率の低下を抑制することができる。
【0027】
従って、上記添加工程を上記供給工程後に行うことで、より効率的に上記材料からカルシウムを回収することができる。
【0028】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、カルシウムを含む材料を用いて二酸化炭素を固定化する方法であって、上記材料にポリオール化合物を接触させる工程と、上記接触工程後の材料に水を添加する工程と、上記接触工程後の材料に二酸化炭素を供給する工程とを備える二酸化炭素の固定化方法である。
【0029】
当該二酸化炭素の固定化方法は、上記接触工程を備えることで、上述したように、効率的にカルシウムを抽出することができる。加えて、当該二酸化炭素の固定化方法は、上述したように、上記添加工程と上記供給工程とを備えることで、上記のように効率的に抽出されたカルシウムイオンを、水の存在下で効率的に炭酸イオンと反応させ、炭酸カルシウムとして析出させることができる。この反応により、二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化することができる。従って、当該二酸化炭素の固定化方法は、二酸化炭素を効率的に固定することができる。
【0030】
ここで、「ポリオール化合物」とは、複数のアルコール性水酸基(脂肪族炭化水素の水素原子をヒドロキシ基(-OH)で置換した基)を有する有機化合物をいう。同様に、「ジオール化合物」とは、2の上記アルコール性水酸基を有する有機化合物をいい、「トリオール化合物」とは、3の上記アルコール性水酸基を有する有機化合物をいう。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明のカルシウムの抽出方法を用いることで、カルシウムを含む材料からカルシウムを効率的に抽出することができる。本発明のカルシウムの回収方法を用いることで、上記材料からカルシウムを効率的に回収することができる。本発明の二酸化炭素の固定方法を用いることで、二酸化炭素を効率的に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明のカルシウムの抽出方法、カルシウムの回収方法及び二酸化炭素の固定方法の実施形態について詳説する。なお、本明細書では、任意の事項について記載された複数の上限値のうちの1つと複数の下限値のうちの1つとを適宜組み合わせることができる。このように組み合わせることで、組み合わされた上限値と下限値との間の数値範囲が上記任意の事項の好適な数値範囲として本明細書中に記載されているものとする。ここで、上記した上限値と下限値との間の数値範囲は上限値から下限値までの数値範囲、及び下限値から上限値までの数値範囲を含む。
【0033】
<カルシウムの抽出方法>
当該カルシウムの抽出方法は、カルシウムを含む材料からカルシウムを抽出する方法であって、抽出されるカルシウムが、二酸化炭素が供給されるためのものであり、上記材料にポリオール化合物を接触させる工程(接触工程)を備える。本実施形態では、抽出されるカルシウムに二酸化炭素が供給される。このように、本実施形態においては、当該カルシウムの抽出方法が、二酸化炭素が供給されるためのものである。より具体的には、抽出されるカルシウムが、イオン化した二酸化炭素(炭酸イオン)と反応させるためのものである。
【0034】
(カルシウムを含む材料)
上記カルシウムを含む材料としては、例えば高炉スラグ、製鋼スラグといったスラグ、セメント、コンクリート廃材、ガラス廃材、石炭灰、汚泥焼却灰等が挙げられる。上記物質においてカルシウムは例えば酸化カルシウム(CaO)の形態で存在している。上記高炉スラグは、製銑の過程で生じる製銑スラグであってカルシウムを含有するものである。上記製鋼スラグは、転炉スラグ又は電気炉スラグといった製鋼の過程で生じるスラグであってカルシウムを含有するものである。
【0035】
(ポリオール化合物)
上記ポリオール化合物は、上記材料からカルシウムを抽出するための媒体である。上記ポリオール化合物は、複数のアルコール性水酸基を有する有機化合物である。上述の通り、アルコール性水酸基は、脂肪族炭化水素の水素原子を置換したヒドロキシ基であり、芳香環を構成する炭化水素の水素原子を置換したヒドロキシ基(例えばフェノールのヒドロキシ基)は含まれない。
【0036】
上記ポリオール化合物としては、複数の上記アルコール性水酸基を有する有機化合物であればよく、特に限定されないが、例えばジオール化合物又はトリオール化合物が好ましい。これらジオール化合物及びトリオール化合物は、常温常圧で、通常、液状であるため、上記材料と接触させ易い。
【0037】
上記ジオール化合物としては、2の上記アルコール性水酸基を有する有機化合物であれば特に限定されない。例えば上記ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ジエタノールアミン等が挙げられる。上記ジオール化合物としては、これらのうち、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールよりなる群から選択される1又は2以上のものが好ましい。
【0038】
例えばエチレングリコールに対するカルシウムの溶解度は水に対する溶解度の10倍程度であることが一般に知られている。このことから分かるように、ジオール化合物に対するカルシウムの溶解度は水に対する溶解度よりも遥かに大きい。よって、ジオール化合物が上記群から選択される1又は2以上のものであることで、上記物質からカルシウムをより効率的に抽出することができる。
【0039】
上記トリオール化合物としては、3の上記アルコール性水酸基を有する有機化合物であればよく、特に限定されない。上記トリオールとしては、例えばグリセリンが好ましい。
【0040】
[接触工程]
上記接触工程では、上記材料にポリオール化合物を接触させる。このように接触させる方法としては、上記材料からカルシウムをカルシウムイオンとして抽出し得る方法であればよく、特に限定されない。例えば、ポリオール化合物がジオール化合物、トリオール化合物といった液状のポリオール化合物である場合には、上記材料にポリオール化合物を添加して混合することができる。この混合、従来公知の攪拌装置を用いてもよい。混合時の温度、混合時間は特に限定されず、適宜設定され得る。
【0041】
上記接触工程で使用されるポリオール化合物の量は、特に限定されず、上記材料の使用量、上記材料中のカルシウムの含有量等に応じて適宜設定し得る。例えば、ポリオール化合物の使用量の下限としては、上記材料に含まれるカルシウム100質量部に対して1質量部が好ましい。上記下限が上記範囲に満たないと、上記材料からカルシウムを十分に抽出できず、抽出操作を何度も繰り返す必要が生じるおそれがある。一方、ポリオール化合物の使用量の上限としては、上記材料に含まれるカルシウム100質量部に対して10000質量部が好ましい。上記上限が上記範囲を超えると、カルシウムを抽出するための機械的エネルギーが高くなり過ぎ、経済的な不利益が生じるおそれがある。
【0042】
上記接触工程には、ポリオール化合物と共に不可避的な不純物が混入する態様も包含される。例えば、ポリオール化合物以外の溶媒がポリオール化合物と共に上記材料と接触することも包含される。この場合、例えば不純物の量の上限としては、ポリオール化合物及び不純物の全量を基準として0.1質量%程度である。
【0043】
[利点]
当該カルシウムの抽出方法は、上記材料からのカルシウムの抽出にポリオール化合物を用いることで、水を用いる場合よりも多くのカルシウムをカルシウムイオンとして抽出することができる。また、従来技術のようにアルカリ水溶液を用いないため、抽出にpHの制限を受け難い。よって、当該カルシウムの抽出方法によれば、カルシウムを効率的に抽出することができる。
【0044】
<カルシウムの回収方法>
当該カルシウムの回収方法は、カルシウムを含む材料からカルシウムを回収する方法であって、上記材料にポリオール化合物を接触させる工程(接触工程)と、上記接触工程後の材料に水を添加する工程(添加工程)と、上記接触工程後の材料に二酸化炭素を供給する工程(供給工程)とを備える。
【0045】
(カルシウム含む材料)
上記カルシウムを含む材料としては、上述したカルシウムの抽出方法にて説明したカルシウムを含む材料と同じ材料を用いることができる。
【0046】
(ポリオール化合物)
ポリオール化合物としては、上述したカルシウムの抽出方法にて説明したポリオール化合物と同じ化合物を用いることができる。
【0047】
(水)
水としては、上述したように二酸化炭素を炭酸イオンとして溶解させ、この炭酸イオンとカルシウムイオンとの反応の場を提供するものであれば特に限定されない。この水としては、例えば純水が挙げられる。
【0048】
(二酸化炭素)
二酸化炭素としては、工場の排ガスに含まれる二酸化炭素等が挙げられる。上記供給工程では、二酸化炭素が他の気体との混合ガスとして添加されてもよい。この場合、上記混合ガス中の二酸化炭素の濃度は特に限定されない。例えば、上記混合ガス中の二酸化炭素の濃度としては、大気中の二酸化炭素の濃度と同様な濃度であってもよく、上記排ガス中の二酸化炭素濃度と同様な濃度であってもよく、これらが適宜希釈又は濃縮された濃度であってもよい。
【0049】
[接触工程]
上記接触工程としては、上述したカルシウムの抽出方法にて説明した接触工程と同じ工程を採用することができる。すなわち、本実施形態のカルシウムの回収方法は、上記接触工程として、本実施形態のカルシムの抽出方法を採用する。
【0050】
[添加工程]
上記添加工程では、上記接触工程後の上記材料に水を添加する。この添加工程では、例えば、上記接触工程後の混合物に水を添加し、混合する。この混合では、従来公知の攪拌装置を用いることができる。混合時の温度、混合時間は特に限定されず、適宜設定され得る。
【0051】
上述したように、上記接触工程で得られた混合物には、上記材料から溶出したカルシウムイオンと、上記ポリオール化合物とが含まれている。一方、上記ポリオール化合物に二酸化炭素を供給しても、二酸化炭素は炭酸イオン化せず、この炭酸イオン化にはプロトン(H)が必要である。そこで、プロトンの供給源として水を添加する。この水には、上記混合物中のカルシウムイオンが移行する。また、この水に二酸化炭素が炭酸イオンとして溶解する。よって、この水を反応の場として、カルシウムイオンと炭酸イオンとが反応して、炭酸カルシウムとして析出する。
【0052】
上記添加工程は、上記供給工程の前に行ってもよく、上記供給工程の後に行ってもよく、上記供給工程を行いながら行ってもよく、その順序は特に限定されない。このうち、上記添加工程を上記供給工程の後に行うことが好ましい。
【0053】
上述したように、上記添加工程を上記供給工程後に行うと、まず添加工程にて、二酸化炭素が(炭酸イオンとしてではなくCOとして)ポリオール化合物に一旦溶解する。次いで添加工程にて、ポリオール化合物に溶解しているカルシウムイオンが、水に移行すると共に、このポリオール中に溶解している二酸化炭素が水に炭酸イオンとして溶解し、この水中でカルシウムイオンと炭酸イオンとが反応する。
【0054】
ここで、二酸化炭素を供給する前に水を供給する場合には、カルシウムイオンと水とが反応して消石灰(水酸化カルシウム、Ca(OH))が生成するおそれがある。消石灰が生成すると、その分、炭酸イオンとの反応に使用されるカルシウムイオンの量が減少し、炭酸カルシウムの生成量が減少するおそれがある。
【0055】
しかし、水を添加する前に二酸化炭素を供給することで、上記消石灰の生成を抑制し、炭酸カルシウムの生成効率の低下を抑制することができる。
【0056】
従って、上記添加工程を上記供給工程後に行うことで、より効率的に上記材料からカルシウムを回収することができる。
【0057】
上記添加工程での水の使用量は、特に限定されず、適宜設定され得る。上述したように、この水は、カルシウムイオンと炭酸イオンとの反応の場であり、この水中でカルシウムイオンと炭酸イオンとの反応で炭酸カルシウムが析出すると、その分、水中での両イオンの濃度が低下し、いずれか一方のイオンが消失するまで上記反応が続くと考えられる。この点を考慮し、水の使用量は、上記反応が生じ得る程度の量に設定し得る。
【0058】
例えば、上記添加工程での水の使用量が少な過ぎると、カルシウムイオンと炭酸イオンとを反応させることが困難になるおそれがある。一方、上記添加工程での水の使用量が多過ぎると、水の使用量に比して得られる炭酸カルシウムの量が少なくなり、資源の無駄に繋がる。また、ポリオール化合物を再利用する際には、蒸留等で水を除去する必要があるが、その除去に多大なエネルギーが必要になるおそれがある。
【0059】
従って、例えばこのような観点から、上記添加工程での水の使用量を適宜設定することができる。例えば、上記接触工程のポリオール化合物と上記供給工程の水との合計質量を基準とする上記ポリオール化合物の質量の比率の上限が、好ましくは0.93であり、より好ましくは0.90であり、さらに好ましくは0.89であるように、上記水の使用量を設定することができる。上記比率の上限が上記範囲を超えると、水が少な過ぎるため、カルシウムイオンと炭酸イオンとの反応が困難になるおそれがある。
【0060】
一方、上記比率の下限が、好ましくは0.2であるように、上記水の使用量を設定することができる。上記比率の下限が上記範囲に満たないと、水の使用量に比して炭酸カルシウムの生成量が少なくなり、経済的に不利になるおそれがある。また、ポリオール化合物を繰り返し上記接触工程で使用するためには、蒸留等によって水を除去する必要があるが、その際に多大なエネルギーが必要となるおそれもある。
【0061】
[供給工程]
上記供給工程では、上記接触工程後の上記材料に二酸化炭素を供給する。
【0062】
上記供給工程と上述した上記添加工程とが組み合わされると、上述したように、上記接触工程で抽出されたカルシウムイオンが水に移行し、この水に二酸化炭素が炭酸イオンとして溶解し、この水中にて、カルシウムイオンと炭酸イオンとが反応し、炭酸カルシウムとして析出する。このように、炭酸カルシウムとしてカルシウムが回収される。
【0063】
上述した通り、上記供給工程は、上記添加工程の前に行っても、上記添加工程の後に行っても、上記添加工程を行いながら行ってもよく、その順序は特に限定されない。
【0064】
例えば、上記添加工程の前に上記供給工程を行う場合には、上記接触工程後(かつ添加工程前)の混合物に二酸化炭素を供給し、混合する。その後、上記添加工程を行う。
【0065】
例えば、上記添加工程の後に上記供給工程を行う場合には、上記添加工程後の混合物に二酸化炭素を供給し、混合する。
【0066】
例えば、上記添加工程を行いながら上記供給工程を行う場合には、上記接触工程後の混合物に水を添加しながら二酸化炭素を供給し、混合する。
【0067】
これらのうち、上述したように、上記供給工程を上記添加工程の前に行うことが好ましい。
【0068】
上記した混合においては、従来公知の攪拌装置を用いることができる。混合時の温度、混合時間は特に限定されず、適宜設定され得る。
【0069】
二酸化炭素を供給する方法は、特に限定されず、供給前の混合物の状態等に応じて適宜設定することができる。上記供給工程では、二酸化炭素は、気体(炭酸ガス)として添加される。このように二酸化炭素を供給する方法としては、曝気が挙げられる。この曝気とは、二酸化炭素を気体として混合液に供給することである。この二酸化炭素の供給には、例えば従来公知のガス吹き込み装置等を用いることができる。二酸化炭素の供給流量は特に限定されず、適宜設定され得る。
【0070】
<利点>
当該カルシウムの回収方法は、上記接触工程を備えることで、上述したように効率的にカルシウムを抽出することができる。加えて、当該カルシウムの回収方法は、上記添加工程と上記供給工程とを備えることで、上記のように効率的に抽出されたカルシウムイオンを、水の存在下で効率的に炭酸イオンと反応させ、炭酸カルシウムとして析出させることができる。従って、当該カルシウムの回収方法は、上記材料からカルシウムを効率的に回収することができる。
【0071】
<二酸化炭素の固定方法>
当該二酸化炭素の固定化方法は、カルシウムを含む材料を用いて二酸化炭素を固定化する方法であって、上記材料にポリオール化合物を接触させる工程(接触工程)と、上記接触工程後の材料に水を添加する工程(添加工程)と、上記接触工程後の材料に二酸化炭素を供給する工程(供給工程)とを備える二酸化炭素の固定化方法である。
【0072】
(カルシウム含む材料)
上記カルシウムを含む材料としては、上述したカルシウムの抽出方法にて説明したカルシウムを含む材料と同じ材料を用いることができる。
【0073】
(ポリオール化合物)
上記ポリオール化合物としては、上述したカルシウムの抽出方法にて説明したポリオール化合物と同じ化合物を用いることができる。
【0074】
(水)
水としては、上述したカルシウムの回収方法にて説明した水と同じものを用いることができる。
【0075】
(二酸化炭素)
上記二酸化炭素としては、上述したカルシウムの回収方法にて説明した二酸化炭素と同じものを用いることができる。
【0076】
[接触工程]
上記接触工程としては、上述したカルシウムの回収方法にて説明した接触工程と同じ工程を用いることができる。すなわち、本実施形態のカルシウムの回収方法は、上記接触工程として、本実施形態のカルシムの抽出方法を採用する。
【0077】
[添加工程]
上記添加工程としては、上述したカルシウムの回収方法で説明した添加工程と同じ工程を用いることができる。
【0078】
[供給工程]
上記供給工程としては、上述したカルシウムの回収方法で説明した供給工程と同じ工程を用いることができる。
【0079】
<利点>
当該二酸化炭素の固定化方法は、上記接触工程を備えることで、上述したように、効率的にカルシウムを抽出することができる。加えて、当該二酸化炭素の固定化方法は、上述したように、上記添加工程と上記供給工程とを備えることで、上記のように効率的に抽出されたカルシウムイオンを、水の存在下で効率的に炭酸イオンと反応させ、炭酸カルシウムとして析出させることができる。この反応により、二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化することができる。従って、当該二酸化炭素の固定化方法は、二酸化炭素を効率的に固定することができる。
【0080】
[その他の実施形態]
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では添加工程において水を添加する態様について説明したが、その他、水とポリオール化合物以外の他の溶媒とを含む混合液を用いてもよい。このような他の溶媒としては、親水性溶媒が好ましい。この親水性溶媒としては、エタノール、メタノール等が挙げられる。また、添加工程では、溶媒以外の添加剤を水に溶解させた水溶液を用いてもよい。
【実施例
【0081】
[使用材料]
カルシウムを含有する材料として、下記表1に示すA材料を用いた。A材料は、酸化カルシウム(関東化学社製の試薬(純度:99.9質量%))である。
【0082】
上記A材料からカルシウムを抽出するための液として、下記表2に示す溶媒I(B溶媒)を用いた。B溶媒は、エチレングリコール(富士フィルム和光純薬社製の試薬(純度:min99.5質量%))である。
【0083】
二酸化炭素を炭酸イオンとして溶解させるための液であって、上記A材料から抽出したカルシウムイオンと炭酸イオンとを反応させるための液として、下記表2に示す溶媒II(C溶媒)を用いた。溶媒Cは、純水である。この純水は、超純水製造装置(メルクミリポア社製のEliX(登録商標)Essential10(UV)及びMilli-Q(登録商標)Reference)を用いて製造した。
【0084】
カルシウムの抽出後に吹き込むガスとして、下記表3に示すDガス及びEガスを用いた。Dガスは、窒素(N)である。この窒素として、住友精化社製のNガス(純度:>99.999質量%)を用いた。Eガスは、二酸化炭素(CO)である。この二酸化炭素として、住友精化社製の炭酸ガス(純度:>99.9質量%)を用いた。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
[試験例1]
(実験例1)
下記表4に示す配合量で、容器内に、カルシウムを含む材料としてA材料、及びカルシウムム抽出溶媒(溶媒I)としてB液を添加し、Dガスを0.5L/minで吹き込みながら、攪拌機を用いて350rpmで約60分間攪拌して、カルシウムの抽出操作を行った。このようにDガスを用いたのは、混合液中のカルシウムイオンがガスと反応することを抑制し、カルシウムイオン濃度を精度良く測定するためである。抽出操作後、得られた混合液をPVDF製で孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて吸引ろ過した。得られたろ液に対し、JIS K 0121(2006)記載のフレーム原子吸光法記載のフレーム原子吸光法を用いてカルシウムイオン濃度を測定した。なお、測定装置として、VARIAN社製のAA240FSを用いた。測定結果を表4に示す。
【0089】
【表4】
【0090】
表4に示すように、エチレングリコールで抽出されたカルシウムイオンの濃度は、9.9g/Lであった。ここで、水を用いるカルシウムイオンの抽出については、例えば以下の論文に示されている。すなわち、日本大学の笠井らの論文は、水におけるCaOの溶解度を示しており、その値は20℃で約1.25g/Lである(生石灰の水和機構-生石灰液相組成の過飽和現象について、Gypsum&Lime No.108(1970)、URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/mukimate1953/1970/108/1970_108_205/_pdf)。このCaOの濃度をカルシウムイオン(Ca2+)濃度に換算すると、約0.9g/L程度になる。このように、水で抽出されたカルシウムイオンの濃度は、0.9g/L程度であることが知られている。従って、ポリオール化合物の方が水よりもカルシウムイオンの抽出効率が高いといえる。
【0091】
[試験例2]
(実験例2~実験例4)
下記表5に示す添加量で溶媒I(B液)を添加すること以外は実験例1と同様にして、カルシウムの抽出操作及び吸引ろ過を行った。得られたろ液を、容器内に投入し、Eガスを0.5L/minで吹き込みつつ、攪拌機を用いて350rpmで攪拌しながら、吹き込み開始から10分経過時点で混合液を10mL採取した後、直ちに10mLのC液を添加した。C液は、二酸化炭素を炭酸イオンとして溶解させると共にカルシウムイオンと炭酸イオンとの反応を提供するための溶媒(溶媒II)である。その後、20分経過時点で混合液を9mL採取した後、直ちに9mLのC液を添加した。その後、60分経過時点で混合液を10mL採取した。
【0092】
10分経過時点での混合液を実験例2とした。この実験例2の混合液中には、下記表5に示すように、B液が含まれているが、C液は含まれていない。20分経過時点での混合液を実験例3とした。この実験例3の混合液中には、下記表5に示すように、170mLのB液と、10mLのC液とが含まれている。60分経過時点での混合液を実験例4とした。この実験例4の混合液には、下記表5に示すように、161mLのB液と19mLのC液とが含まれている。
【0093】
各時点で採取した混合液をPVDF製で孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて吸引ろ過した。得られたろ液に対し、JIS K 0121(2006)記載のフレーム原子吸光法記載のフレーム原子吸光法を用いてカルシウムイオン濃度を測定した。なお、測定装置としては、VARIAN社製のAA240FSを用いた。測定結果を表5に示す。
【0094】
上記実験例2~4にて上記吸引ろ過で分離された残差(固形分)を、リガク社製 Thermo plus EVO II 差動型示唆熱天秤を用い、下記の条件にてアルゴンガス雰囲気下で測定した。その結果、いずれの実験例においても、570℃~830℃において炭酸カルシウムの脱炭酸現象が確認された。よって、上記各残渣は炭酸カルシウムであると判断した。この結果、実験例2~4のカルシウムイオン濃度が実験例1よりも減少していれば、その分、炭酸カルシウム(CaCO)が生成したと判断し得ることがわかった。
【0095】
【表5】
【0096】
表5の結果、実験例2、3では炭酸カルシウム(CaCO)が析出されないため、Ca溶出量は実験例1と誤算範囲で変わらないのに対し、(B+C)量に対する(B)量の比率:B/(B+C)が0.90以下である実験例4ではCaCOが析出し、カルシウムイオンの濃度が大きく低下した。
【0097】
このカルシウムイオン濃度の低下を二酸化炭素の固定化量として考えると、実験例1のCa(原子量:40)溶出量が9.9g/Lであるのに対し、実験例4では3.7g/Lとなっているので、その差分である6.2g/LのCaが回収されることになる。すなわち、溶液1L当たりに換算して、CaCO(分子量:100)として15.5g/L回収可能であり、CO固定化量としては、CO(分子量:44)換算で6.8gと計算される。
【0098】
これに対し、水で抽出し、その後、二酸化炭素で回収した場合については、例えば以下の文献に示されている。すなわち、日本大学の遠山らの文献は、二酸化炭素共存下での25℃の水におけるカルシウムイオン濃度を報告しており、この値は、0.4g/Lである(二酸化炭素を利用した鉄鋼スラグからのリン酸回収プロセスの開発、公益財団法人JFE21世紀財団、2017年度技術研究報告書、URL:http://www.jfe-21st-cf.or.jp/furtherance/pdf_hokoku/2017/02.pdf)。この値と、上述の日本大学の笠井らが示すCa濃度約0.9g/Lとの差を算出すると、その差分がカルシウムの回収量に相当する。この差分は、0.5g/Lのカルシウム(原子量40として計算)である。よって、溶液1L当たり、CaCO(原子量100とした)として1.25gのカルシウムを回収することが可能となる。二酸化炭素の固定化量としては、CO換算で0.55gである。従って、実験例4の二酸化炭素の固定化効率は、従来技術(水で抽出、水で固定)を1とすると、12.4倍程度(6.8/0.55=12.4)になる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上説明したように、本発明のカルシウムの抽出方法を用いることで、カルシウムを含む材料からカルシウムを効率的に抽出することができる。本発明のカルシウムの回収方法を用いることで、上記材料からカルシウムを効率的に回収することができる。本発明の二酸化炭素の固定方法を用いることで、二酸化炭素を効率的に固定することができる。従って、本発明のカルシウムの抽出方法、カルシウムの回収方法及び二酸化炭素の固定化方法は、地球温暖化の抑制に寄与しつつ、カルシウムを含む材料を有効に利用することが可能となる。