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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】サポート用引掛ベース具
(51)【国際特許分類】
   E04G 25/00 20060101AFI20230807BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
E04G25/00 B
E04G21/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019214537
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021085215
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】高草木 正彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 崇志
(72)【発明者】
【氏名】小倉 優子
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-027457(JP,A)
【文献】実公昭47-003973(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3205904(JP,U)
【文献】特開平07-082886(JP,A)
【文献】特開2013-007200(JP,A)
【文献】実開昭60-045917(JP,U)
【文献】特開2008-037344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 9/00-25/08
E04G 21/14-21/22
F16B 45/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの物体の間に配置されてこれらの物体を連結するサポートの長さ方向端部に設けられているフック部を引っ掛けるために、前記2つの物体のうちの少なくとも1つの物体に止着されるサポート用引掛ベース具であって、
前記物体に止着具により止着される底部と、前記フック部が引っ掛けられる引掛部と、長さ方向の一方の端部が前記底部に接続され、他方の端部が前記引掛部に接続されていることにより、これらの底部と引掛部を連結しているとともに、前記底部に対して鋭角の角度をなしている連結部と、を含んで構成されているサポート用引掛ベース具において、
前記底部と前記連結部との間に、これらの底部と連結部とを接続している接続部が設けられており、
前記接続部は、前記連結部の前記長さ方向の幅寸法を有する壁部となっており、
前記壁部は、この壁部の厚さ方向のうち、少なくとも一方の側に膨出した補強部を備えたものとなっていることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【請求項2】
請求項1に記載のサポート用引掛ベース具において、前記補強部は、前記引掛部側から前記底部側へ向かって斜めに延びるものとなっていることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサポート用引掛ベース具において、前記壁部の前記幅寸法は、前記連結部の長さ全長に渡る寸法となっていることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のサポート用引掛ベース具において、前記補強部は、前記壁部の厚さ方向両側に設けられていることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のサポート用引掛ベース具において、前記壁部のうち、前記引掛部側の一部は、この引掛部から前記底部まで達している支え部となっていることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【請求項6】
請求項5に記載のサポート用引掛ベース具において、前記支え部は、前記底部に対して鋭角の角度をなして前記引掛部から前記底部に向かって延びており、この鋭角の角度は、前記底部に対する前記連結部の前記鋭角の角度よりも大きくなっていることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【請求項7】
2つの物体の間に配置されてこれらの物体を連結するサポートの長さ方向端部に設けられているフック部を引っ掛けるために、前記2つの物体のうちの少なくとも1つの物体に止着されるサポート用引掛ベース具であって、
前記物体に止着具により止着される底部と、前記フック部が引っ掛けられる引掛部と、長さ方向の一方の端部が前記底部に接続され、他方の端部が前記引掛部に接続されていることにより、これらの底部と引掛部を連結しているとともに、前記底部に対して鋭角の角度をなしている連結部と、を含んで構成されているサポート用引掛ベース具において、
前記底部と前記連結部との間に、これらの底部と連結部とを接続している接続部が設けられており、
前記連結部は前記引掛部の両側に2個あり、この引掛部には、前記2個の連結部側となっている両側に対して前記引掛部の内部方向に窪んでいる窪み部が設けられ、この窪み部に前記サポートの前記フック部が引っ掛けられることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【請求項8】
2つの物体の間に配置されてこれらの物体を連結するサポートの長さ方向端部に設けられているフック部を引っ掛けるために、前記2つの物体のうちの少なくとも1つの物体に止着されるサポート用引掛ベース具であって、
前記物体に止着具により止着される底部と、前記フック部が引っ掛けられる引掛部と、長さ方向の一方の端部が前記底部に接続され、他方の端部が前記引掛部に接続されていることにより、これらの底部と引掛部を連結しているとともに、前記底部に対して鋭角の角度をなしている連結部と、を含んで構成されているサポート用引掛ベース具において、
前記底部と前記連結部との間に、これらの底部と連結部とを接続している接続部が設けられており、
前記止着具はボルトであり、前記底部にはこのボルトの軸部を挿入するための孔が形成され、この孔は、直径が異なる複数個が設けられていることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【請求項9】
請求項8に記載のサポート用引掛ベース具において、前記複数個の孔は、前記連結部の長さ方向に離間して前記底部に形成されていることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のサポート用引掛ベース具において、全体が一体となっている鍛造品で形成されていることを特徴とするサポート用引掛ベース具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、床スラブにコンクリート版を建て込む作業のように、2つの物体をサポートにより連結して行われる作業の際に、サポートの長さ方向端部に設けられているフック部を引っ掛けるために物体に止着されるサポート用引掛ベース具に係り、サポートによる物体の建て込み作業や、建て直し作業、連結作業等に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、床スラブにコンクリート版を建て込む作業のために、これらの床スラブとコンクリート版を連結するサポートを床スラブとコンクリート版の間に斜めにして配置し、サポートの長さ方向両端部に設けられているフック部を、床スラブとコンクリート版に止着されたサポート用引掛ベース具に引っ掛けることが示されている。
【0003】
特許文献1に示されているこのサポート用引掛ベース具は、サポートによって連結される物体となっている床スラブとコンクリート版に止着具により止着される底部と、サポートの長さ方向端部に設けられているフック部が引っ掛けられる引掛部と、長さ方向の一方の端部が底部に接続され、他方の端部が引掛部に接続されていることにより、これらの底部と引掛部を連結しているとともに、底部に対して鋭角の角度をなしている連結部と、を含んで構成されたものとなっている。一層具体的に説明すると、このサポート用引掛ベース具では、金属板で形成された底部に、U字状に折り曲げられた金属棒材の両端部を溶接等で結合することにより、この金属棒材により上述の引掛部と連結部を形成するとともに、底部に対する金属棒材の結合角度の設定により、底部に対する連結部の角度を鋭角の角度としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-27457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように底部に対する連結部の角度を鋭角の角度としている理由は、床スラブにコンクリート版を直立状態で設置する建て込み作業では、サポートにより連結される床スラブとコンクリート版に対してこのサポートは鋭角の角度をなして配置されるため、サポートに引っ張り力や圧縮力の荷重が作用しても、サポート用引掛ベース具が変形等することなくこの荷重を有効に支持できるようにするためである。しかし、サポートは各種用途で用いられ、用途によっては、サポートが、このサポートで連結される2つの物体に対して鋭角の角度をなして配置されず、例えば、0度(平行)や90度(直角)等の各種角度をなして配置される場合があり、また、それぞれ異なる鋭角の角度をなして配置される場合もあり、このため、サポートがこのような使用態様で用いられても、サポートと物体の間で伝達される荷重の支持を有効に行えるようになるサポート用引掛ベース具が求められる。
【0006】
本発明の目的は、サポートを、このサポートにより連結される2つの物体に対して各種の角度をなして配置することができるようになるサポート用引掛ベース具を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るサポート用引掛ベース具は、2つの物体の間に配置されてこれらの物体を連結するサポートの長さ方向端部に設けられているフック部を引っ掛けるために、前記2つの物体のうちの少なくとも1つの物体に止着されるサポート用引掛ベース具であって、前記物体に止着具により止着される底部と、前記フック部が引っ掛けられる引掛部と、長さ方向の一方の端部が前記底部に接続され、他方の端部が前記引掛部に接続されていることにより、これらの底部と引掛部を連結しているとともに、前記底部に対して鋭角の角度をなしている連結部と、を含んで構成されているサポート用引掛ベース具において、前記底部と前記連結部との間に、これらの底部と連結部とを接続している接続部が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
このように本発明に係るサポート用引掛ベース具では、底部と連結部との間には、これらの底部と連結部とを接続する接続部が設けられているため、サポートにより連結される2つの物体に対してこのサポートが、鋭角や、0度、90度等の各種角度をなして配置されるそれぞれの使用態様で用いられても、底部に対する角度が鋭角となっている連結部が、物体とサポートの間で作用する荷重により変形等することは上記接続部により防止されて、この荷重の支持をサポートと物体の間で有効に行えることになり、これにより、サポートを、このサポートにより連結される2つの物体に対して各種の角度をなして用いることができるようになる。
【0009】
以上の本発明に係るサポート用引掛ベース具において、底部と連結部とを接続する接続部は、棒状のものでもよく、あるいは、連結部の長さ方向の幅寸法を有する壁状のもの、これを言い換えると、壁部でもよい。
【0010】
これらのうち、底部と連結部とを接続する接続部を、連結部の長さ方向の幅寸法を有する壁部とすると、この壁部についての連結部の長さ方向の幅寸法により、底部と連結部との接続強度を大きくすることができ、このため、物体とサポートの間での荷重の支持を一層有効に行えるようになる。
【0011】
また、上述のように底部と連結部とを接続する接続部を、連結部の長さ方向の幅寸法を有する壁部とする場合においては、この壁部の幅寸法を、連結部の長さ全長のうちの一部だけの寸法としてもよく、あるいは、連結部の長さ全長に渡る寸法としてもよい。
【0012】
これらのうち、壁部の幅寸法を、連結部の長さ全長に渡る寸法にすると、それだけ壁部による底部と連結部との接続強度を大きくすることができるため、物体とサポートの間での荷重の支持をさらに一層有効に行えるようになる。
【0013】
また、以上の本発明に係るサポート用引掛ベース具において、底部と連結部とを接続する接続部となっている壁部を、この壁部の厚さ方向のうち、少なくとも一方の側に膨出した補強部を備えたものとしてもよい。
【0014】
これによると、壁部の厚さ寸法は、補強部が設けられた箇所では、補強部の分だけ大きくなるため、壁部の強度も大きくなり、これにより、物体とサポートの間で作用する荷重を壁部によって有効に受けることができる。
【0015】
なお、壁部に設ける補強部は、この壁部の厚さ方向のうちの一方の側だけに膨出したものでもよく、あるいは、壁部の厚さ方向の両側に膨出したものでもよく、補強部を、壁部の厚さ方向の両側に設けると、これらの補強部により壁部の強度を一層大きくすることができる。
【0016】
また、本発明に係るサポート用引掛ベース具において、前述した連結部を引掛部の両側2個に設けてもよく、このように連結部を引掛部の両側に2個設ける場合には、この引掛部に、2個の連結部側となっている両側に対して引掛部の内部方向に窪んでいる窪み部を設け、この窪み部に前述したサポートの長さ方向端部に設けられているフック部を引っ掛けるようにしてもよい。
【0017】
これによると、フック部は、サポート用引掛ベース具に設けられている引掛部のうち、2個の連結部側となっている両側に対して引掛部の内部方向に窪んでいる窪み部に引っ掛けられるため、フック部が窪み部に対して2個の連結部側のずれ移動することは、窪み部の両側に形成されている引掛部の内外方向の段差部により阻止されるため、フック部を窪み部に安定させて引っ掛けておくことができる。
【0018】
また、以上の本発明に係るサポート用引掛ベース具において、底部を物体に止着するための前述の止着具をボルトとする場合であって、底部にこのボルトの軸部を挿入するための孔を形成する場合には、直径が異なる複数個の孔を底部に設けてもよい。
【0019】
これによると、軸部の直径が異なる各種のボルトを、サポートによって連結される2つの物体の厚さ寸法や重量等に応じて、選択的に用いることができるようになる。
【0020】
また、以上の本発明に係るサポート用引掛ベース具は、任意の材料や部材を用いて任意の方法より製造することができ、その一例は、底部を形成する部材と、引掛部及び連結部を形成する部材と、接続部を形成する部材とを溶接等で結合することによりサポート用引掛ベース具を製造することであり、また、他の例は、底部を形成する部材と、引掛部を形成する部材と、連結部を形成する部材と、接続部を形成する部材とを溶接等で結合することによりサポート用引掛ベース具を製造することであり、さらに他の例は、底部と引掛部と連結部と接続部とを含むサポート用引掛ベース具の全体を鍛造法により製造することである。
【0021】
これらのうち、サポート用引掛ベース具の全体を鍛造法により製造すると、本発明に係るサポート用引掛ベース具は、全体が一体となった鍛造品で形成されることになる。これによると、全体の強度が充分に大きくなったサポート用引掛ベース具を得られるようになる。
【0022】
なお、本発明に係るサポート用引掛ベース具を、全体が一体となった鋳造品で形成してもよい。
【0023】
また、本発明に係るサポート用引掛ベース具は、サポートによって連結される2つの物体のうち、一方の物体だけに止着される引掛ベース具として用いてもよく、あるいは、これらの物体の両方に止着される引掛ベース具として用いてもよい。すなわち、本発明に係るサポート用引掛ベース具は、サポートによって連結される2つの物体のうち、一方の物体だけに止着される引掛ベース具でもよく、あるいは、これらの物体の両方に止着される引掛ベース具でもよい。
【0024】
なお、以上の本発明において、2つの物体をこれらの物体の間に配置されるサポートにより連結することは、例えば、2つの物体のうち、一方の物体を他方の物体に結合する作業を実施するために行うものでもよく、あるいは、2つの物体のうち、一方の物体を他方の物体以外の物体に結合する作業を実施するために行うものでもよく、サポートと、本発明に係るサポート用引掛ベース具は、任意の作業のために用いることができる。
【0025】
また、本発明において、サポートにより連結される2つの物体のうち、少なくとも1つの物体は、コンクリート版のように、他の物体等に結合される以前は独立状態となっているものでもよく、あるいは、床スラブのように、建物等の構造物の一部となっているものでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、サポートを、このサポートにより連結される2つの物体に対して各種の角度をなして配置できるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る引掛ベース具とサポートとを用いて2つの物体である床スラブとコンクリート版とを連結した状態を示す斜視図である。
図2図2は、サポートの正面図である。
図3図3は、伸縮可能となっているサポートの長さ寸法を短くしたときを示す図2と同様の図である。
図4図4は、サポートの一部を示す半裁断面図である。
図5図5は、サポートの長さ方向端部に結合されているフック部材と、このフック部材に嵌合されるリング部材との分解斜視図である。
図6図6は、フック部材にリング部材を嵌合したときを示す図であって、本発明の一実施形態に係る引掛ベース具の引掛部を二点鎖線で示した図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る引掛ベース具の全体を示す斜視図である。
図8図8は、引掛ベース具の平面図である。
図9図9は、引掛ベース具の底面図である。
図10図10は、引掛ベース具の正面図である。
図11図11は、引掛ベース具の背面図である。
図12図12は、引掛ベース具の右側面図である。
図13図13は、引掛ベース具の左側面図である。
図14図14は、図8のS14-S14線断面図である。
図15図15は、図1の正面図である。
図16図16は、図1及び図15とは異なっている2つの物体を引掛ベース具とサポートとにより連結した場合を示す図15と同様の図である。
図17図17は、さらに図1及び図15とは異なっている2つの物体を引掛ベース具とサポートとにより連結した場合を示す図15と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、建築中の建物の床スラブ1と、この床スラブ1の上に外壁等として建て込まれるプレキャストコンクリート版2とを、これらの床スラブ1とコンクリート版2に止着された本実施形態に係るサポート用引掛ベース具10と、これらのサポート用引掛ベース具10に引っ掛けられるフック部が長さ方向両端部に設けられているサポート11とにより連結したときの状態が斜視図として示されており、複数本のサポート11により連結される床スラブ1とコンクリート版2は、本実施形態での2つの物体となっており、引掛ベース具10とサポート11は、床スラブ1にコンクリート版2を結合するための作業が終了するまで用いられる。
【0029】
サポート11は、床スラブ1とコンクリート版2を連結するため、これらの床スラブ1とコンクリート版2の間に斜めに配置され、本実施形態のサポート11は、回転操作される回転操作部材12と、この回転操作部材12の長さ方向両側のうち、回転操作部材12からコンクリート版2側へ延びている第1棒状部材13と、回転操作部材12から床スラブ1側へ延びている第2棒状部材14とを含んで構成された本体15を有するものとなっている。図2には、サポート11だけが示され、図4には、サポート11の本体15における回転操作部材12の部分及びその周辺部の構造が半裁断面図として示されている。
【0030】
この図4に示されているように、回転操作部材12は、内周面に雌ねじ部12Aが形成された筒状部材であり、長寸の筒状部材となっている第1棒状部材13における回転操作部材12側の端部13Aには、雌ねじ部12Aに螺合した雄ねじ部16Aが外周面に設けられている短寸の筒状部材16が嵌合されて溶接等で結合されている。このため、作業者が回転操作部材12を直接回転操作することにより、あるいは、回転操作部材12に取り付けられているハンドル部材17の孔17Aに挿入したバー部材によって回転操作部材12を回転操作することにより、第1棒状部材13は回転操作部材12に対してサポート11の長さ方向に移動するため、回転操作部材12の回転方向に応じてサポート11の本体15の長さ寸法は伸縮する。なお、回転操作部材12の長さ方向における第1棒状部材13側の端部には、筒状部材16が回転操作部材12から抜け出すことを防止するためのストッパとなっているビス19が螺入されている。
【0031】
また、図4に示されているように、回転操作部材12の長さ方向における第1棒状部材13側とは反対側の端面には、筒状となっている案内部材20の端部に設けられたフランジ部20Aが当接し、このフランジ部20Aは、回転操作部材12に溶接等で結合されたキャップ部材21のフランジ部21Aによって回転操作部材12の上記端面に固定されている。案内部材20の内部には、第2棒状部材14の長さ方向における回転操作部材12側の端部14Aがスライド自在に挿入され、案内部材20には、回転操作部材12にワイヤー等の紐状部材22で繋がれているピン23が挿入可能となっている孔24が形成されているとともに、第2棒状部材14にもピン23が挿入可能となっている孔25が形成され、この孔25は、図2に示されているように、第2棒状部材14の長さ方向に間隔をあけて複数個設けられている。
【0032】
このため、ピン23が孔24,25に挿入されていないときに、第2棒状部材14を案内部材20のガイド作用で回転操作部材12に対して挿抜する方向にスライドさせた後に、案内部材20の孔24の位置と、第2棒状部材14に複数個設けられている孔25のうち、1個の孔25の位置とを一致させ、これらの孔24と孔25とにピン23を挿入することにより、第2棒状部材14を回転操作部材12に対してスライド移動させた分だけサポート11の本体15の長さ寸法を伸縮させることができる。
【0033】
以上のように構成されているサポート11では、回転操作部材12の回転操作によって行われる第1棒状部材13の回転操作部材12に対する移動が、サポート11の長さを少しずつ伸縮させるための微調整作業となり、また、第2棒状部材14を回転操作部材12に対して行うスライド移動が、サポート11の長さを大きく伸縮させるための粗調整作業となる。
【0034】
なお、図4の二点鎖線で示されているように、第2棒状部材14の外径は第1棒状部材13の内径よりも小さいため、サポート11の長さを大きく伸縮させるための上述の粗調整作業は、第2棒状部材14を第1棒状部材13の内部に挿入して行うことができる。図3には、第2棒状部材14を第1棒状部材13の内部に挿入して行った粗調整作業により、サポート11の長さ寸法を短縮したときの状態が示されている。
【0035】
図2及び図3に示されているように、サポート11の本体15の長さ方向の両端部には、これを言い換えると、第1及び第2棒状部材13,14における回転操作部材12側とは反対側の端部には、鉤状のフック部30Aを備えたフック部材30が取り付けられており、図5には、このフック部材30が示されている。フック部材30は、第1及び第2棒状部材13,14における回転操作部材12側とは反対側の端面に溶接等で結合されたベース部30Bと、このベース部30Bから第1及び第2棒状部材13,14の長さ方向に立ち上がった厚板状の首部30Cと、この首部30Cの先端部に設けられた円盤状のガイド部30Dとを有し、このガイド部30Dにフック部30Aの基端部が接続されており、首部30Cには、第1及び第2棒状部材13,14の外径方向への突出量を有する突起部30Eが形成されている。
【0036】
フック部材30のガイド部30Dの外周には、図6に示されているように、リング部材31が嵌合される。図5でも示されているこのリング部材31における第1及び第2棒状部材13,14側の端面31Aには、第1及び第2棒状部材13,14側とは反対側へ窪んだ窪み部31Bが形成されているとともに、この端面31Aは、第1及び第2棒状部材13,14の円周方向へ延びるにしたがって第1及び第2棒状部材13,14の長さ方向へ変位する螺旋状端面となっており、この螺旋状端面31Aにおける第1及び第2棒状部材13,14の長さ方向の段差が生じる箇所に、上記窪み部31Bが設けられている。
【0037】
フック部材30のガイド部30Dの外周にリング部材31を嵌合するときには、図6に示されているように、リング部材31の窪み部31Bの内部にフック部材30の突起部30Eを挿入し、次いで、リング部材31をフック部材30のガイド部30Dで案内させて第1及び第2棒状部材13,14の長さ方向外側に移動させた後に、リング部材31に設けられている操作部31Cによりリング部材31を、図5で示されている矢印Aの方向に回転させると、突起部30Eが接触した螺旋状端面31Aの螺旋状案内作用により、リング部材31を、図6の二点鎖線31’で示されているように第1及び第2棒状部材13,14の長さ方向外側へ移動させることができる。
【0038】
図7図14には、図1で示した本実施形態に係るサポート用引掛ベース具10が示されている。図7は、この引掛ベース具10の斜視図、図8図9は、引掛ベース具10の平面図と底面図、図10図11は、引掛ベース具10の正面図と背面図、図12図13は、引掛ベース具10の右側面図と左側面図、図14は、図8のS14-S14線断面図である。前述したように引掛ベース具10は、図1の床スラブ1とコンクリート版2に止着されるものであって、サポート11の長さ方向の両端部に設けられているフック部材30のフック部30Aが引っ掛けられることにより、床スラブ1と、この床スラブ1の上に建て込まれたコンクリート版2とが、2個の引掛ベース具10と1本のサポート11とによって連結されて、床スラブ1の上にコンクリート版2を立設結合するための作業を実施できることになる。本実施形態に係る引掛ベース具10は、全体が鍛造法により製造されたものであり、したがって、この引掛ベース具10は、全体が一体となっている中実の鍛造品で形成されたものとなっている。
【0039】
図7に示されているように、引掛ベース具10は、床スラブ1やコンクリート版2によって形成される物体に止着される底部40と、サポート11のフック部材30のフック部30Aが引っ掛けられる引掛部41と、この引掛部41の両側に2個設けられ、それぞれの長さ方向の一方の端部が底部40に接続されていて、他方の端部が引掛部41に接続されていることにより、これらの底部40と引掛部41を連結している連結部42とを含んで構成されたものとなっており、また、引掛部41の両側に2個設けられている連結部42は、図10及び図11に示されているように、板状となっている底部40に対して45度等の鋭角の角度αをなしている。
【0040】
また、図7図10及び図11に示されているように、底部40と連結部42との間は空間となっておらず、底部40と連結部42との間は、これらの底部40と連結部42とを接続する接続部となっている壁部43になっており、この壁部43についての連結部42の長さ方向の幅寸法は、連結部42の長さ全長に渡る寸法となっている。そして、壁部43のうち、引掛部41側の一部は、この引掛部41から底部40まで達している支え部43Aとなっており、この支え部43Aは、底部40に対して鋭角の角度βをなして引掛部41から底部40に向かって延びており、この角度βは、上述の角度αよりも大きい。
【0041】
さらに、図7及び図8に示されているように、2個の連結部42のそれぞれごとに設けられている壁部43は、壁部43の厚さ方向に膨出した補強部44を備えたものとなっており、この補強部44には、壁部43の厚さ方向のうち、一方の側、すなわち、引掛ベース具10の内側に膨出した内側補強部44Aと、壁部43の厚さ方向のうち、他方の側、すなわち、引掛ベース具10の外側に膨出した外側補強部44Bとがあるため、補強部44は、それぞれの壁部43の厚さ方向の両側に設けられている。これらの補強部44は、図10図11及び図14に示されているように、引掛部41側から底部40側へ向かって斜めに延びるものとなっており、それぞれの補強部44が底部40に対してなす角度は、上記角度αよりも大きく、かつ上記角度βよりも小さい鋭角の角度γとなっている。
【0042】
図8に示されているように、引掛部41の全体形状は、底部40を上から見た平面視では、2個の連結部42側とは反対側へ湾曲突出した湾曲形状となっており、この引掛部41の中央部には、引掛部41における2個の連結部42側の箇所において、引掛部41の内部方向に窪んでいる窪み部45が設けられている。このため、この窪み部45の両側は、引掛部41の内外方向の段差部46となっており、これらの段差部46は、引掛部41における2個の連結部42側の箇所において、壁部43の厚さ方向両側となっている窪み部45の両側に設けられ、これを言い換えると、2個の段差部46の間が窪み部45となっている。
【0043】
図7及び図8に示されているように、底部40には孔47が形成され、この孔47は、直径が異なるものとして複数個、本実施形態では、2個47A,47B設けられている。図14に示されているように、孔47には、本実施形態の2つの物体となっている床スラブ1やコンクリート版2に引掛ベース具10を止着するための止着具となっているボルト48の軸部48Aが挿入され、この軸部48Aが床スラブ1やコンクリート版2の内部に埋設されている長寸ナット49に螺入されることにより、引掛ベース具10は、底部40において、床スラブ1やコンクリート版2に止着される。
【0044】
このようにして引掛ベース具10を床スラブ1とコンクリート版2に止着した後に、前述したサポート11の長さ方向両端部に設けられている図5のフック部材30のフック部30Aを、引掛ベース具10の引掛部41の窪み部45に引っ掛ける作業を行い、フック部30Aを窪み部45に引っ掛けたときの状態は、引掛部41と窪み部45を二点鎖線で示している図6に示されている。
【0045】
なお、このようにフック部30Aを窪み部45に引っ掛けるときには、前述したリング部材31を、図6の実線で示されているように、第1及び第2棒状部材13,14の長さ方向内側へ移動させておき、さらに、サポート11の全体長さ寸法を、前述した粗調整作業と微調整作業とにより、床スラブ1とコンクリート版2に止着された2個の引掛ベース具10の間隔と対応する適正な寸法に調整しておき、この後に、サポート11の長さ方向両端部のフック部30Aを、2個の引掛ベース具10の引掛部41の窪み部45に引っ掛ける作業を行い、次いで、リング部材31を回転操作することにより、前述したように、フック部材30に設けられている突起部30Eに接触したリング部材31の螺旋状端面31Aの螺旋状案内作用により、リング部材31を、図6の二点鎖線31’で示されているように第1及び第2棒状部材13,14の長さ方向外側へ移動させ、このリング部材31を引掛ベース具10の引掛部41に当接させることにより、フック部30Aが引掛部41の窪み部45から脱出することを阻止する。
【0046】
なお、2個の引掛ベース具10の引掛部41に設けられている窪み部45にサポート11の長さ方向両端部の2個のフック部30Aを引っ掛ける作業を先に行い、この後に、これらの引掛ベース具10を床スラブ1とコンクリート版2にボルト48により止着してもよい。
【0047】
以上により、床スラブ1の上に建て込まれたコンクリート版2は、図15に示されているように、床スラブ1とコンクリート版2の間に斜めの姿勢で配置されたサポート11により、床スラブ1に連結されて支持されることになり、これにより、コンクリート版2を床スラブ1に結合された外壁等とするための所定の作業を実施することができる。
【0048】
この作業を実施しているときには、サポート11のフック部30Aは、引掛ベース具10の引掛部41に設けられた窪み部45に引っ掛けられており、この窪み部45の両側は、図6に示されているように、引掛部41の内外方向の段差部46となっているため、フック部30Aが窪み部45の両側の方向にずれることは段差部46で阻止され、このため、フック部30Aが引掛部41の所定位置に引っ掛けられた状態を維持させて、上記作業を実施することができる。
【0049】
図15で示されているサポート11の使用態様は、このサポート11で連結される2つの物体となっている床スラブ1とコンクリート版2における引掛ベース具10を止着している面となっている床スラブ1の上面とコンクリート版2の側面に対してサポート11が、45度の角度をなしているため、サポート11が2つの物体に対して鋭角の角度をなして配置されている態様であり、この鋭角の角度は、図10及び図11で示した引掛ベース具10において、底部40に対して連結部42がなしている前述の角度αと同じ又は略同じ角度である。
【0050】
図16及び図17には、サポート11で連結される2つの物体に対してこのサポート11が、上記鋭角の角度とは異なる角度をなして配置されている態様が示されている。
【0051】
図16には、建物の屋上近くの梁等の箇所を形成するプレキャストコンクリートブロック3と、このコンクリートブロック3の真上に配置されるプレキャストコンクリート製のパラペット4とを、これらのコンクリートブロック3とパラペット4とに止着された引掛ベース具10に長さ方向の両端部のフック部30Aが引っ掛けられたサポート11と、図示されていない控えサポートとにより連結し、これにより、コンクリートブロック3とサポート11と控えサポートとにより支持されたパラペット4を屋上に固定する作業が終了するまで、パラペット4の上下方向位置を一定としている状態が示されている。このパラペット4の固定作業が行われるときのサポート11は、コンクリートブロック3とパラペット4における引掛ベース具10が止着されている面となっているコンクリートブロック3の側面とパラペット4の側面に対して平行となっているため、コンクリートブロック3とパラペット4に対してサポート11がなす角度は0度となっている。
【0052】
また、図17には、建物の屋上に配置されたH形鋼5と、このH形鋼5の真横に配置されたパラペット4とを、これらのH形鋼5とパラペット4とに止着された引掛ベース具10に長さ方向の両端部のフック部30Aが引っ掛けられたサポート11により連結し、これにより、パラペット4を屋上に固定する作業が終了するまで、パラペット4の横方向位置を一定としている状態が示されている。このパラペット4の固定作業が行われるときのサポート11は、H形鋼5における引掛ベース具10が止着されている面となっているH形鋼5の上面に対して平行となっているため、H形鋼5に対してサポート11がなす角度は0度となっており、また、サポート11は、パラペット4における引掛ベース具10が止着されている面となっているパラペット4の側面に対しては直角となっているため、パラペット4に対してサポート11がなす角度は90度となっている。
【0053】
なお、この図17では、H形鋼5の上面に引掛ベース具10を止着するために、この引掛ベース具10の底部40に設けられている孔47に図14のボルト48の軸部48Aを挿入し、H形鋼5に形成されている孔にも挿入されたこの軸部48Aにナット48Bを螺合することにより、H形鋼5の上面に引掛ベース具10を止着している。
【0054】
以上のように、床スラブ1とコンクリート版2や、コンクリートブロック3とパラペット4、H形鋼5とパラペット4のような2つの物体の間にサポート11を配置し、このサポートにより2つの物体を連結し、2つの物体のうち、少なくとも一方の物体についての作業を行うときには、サポート11には、このサポート11の長さ方向の軸力となっている引っ張り力や圧縮力の荷重が作用し、この荷重は、サポート11の長さ方向の端部に設けられたフック部30Aと、物体に止着された引掛ベース具10との間で伝達されることになる。
【0055】
本実施形態に係る引掛ベース具10は、前述したように、物体に止着具であるボルト48により止着される底部40と、フック部30Aが引っ掛けられる引掛部41と、長さ方向の一方の端部が底部40に接続され、他方の端部が引掛部41に接続されていることにより、これらの底部40と引掛部41を連結しているとともに、底部40に対して鋭角の角度αをなしている連結部42と、を含んで構成されており、また、底部40と連結部42との間には、これらの底部40と連結部42とを接続している接続部となっている壁部43が設けられている。
【0056】
このため、引掛ベース具10が止着されている物体の面に対してサポート11がなす角度が、図15で示されているように、鋭角の角度となっていても、また、図16と、図17のH形鋼5側の箇所とで示されているように、0度の角度となっていても、さらに、図17のパラペット4側の箇所で示されているように、90度の角度となっていても、サポート11のフック部30Aと、物体に止着された引掛ベース具10との間で伝達される荷重は、引掛ベース具10における底部40と引掛部41の間では、これらの底部40と引掛部41とを連結している連結部42と、この連結部42と底部40とを接続している壁部43とにより有効に受けられることになり、このため、壁部43が存在していない場合と異なり、荷重によって連結部42が変形等することはない。
【0057】
このため、本実施形態に係る引掛ベース具10によると、サポート11と、引掛ベース具10が止着されている物体との間で荷重が伝達されるときに、この荷重の支持を、サポート11と物体の間で有効に行えることになり、これにより、サポート11を、このサポート11により連結される2つの物体に対して鋭角の角度や、0度の角度、90度の角度等の各種の角度をなして用いることができるようになり、サポート11の有用性を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る引掛ベース具10によると、底部40と連結部42とを接続する接続部は、連結部42の長さ方向の幅寸法を有する壁部43となっているため、この壁部43についての連結部42の長さ方向の幅寸法により、底部40と連結部42との接続強度を大きくすることができ、このため、サポート11と物体の間での荷重の支持を一層有効に行えるようになる。
【0059】
また、壁部43の幅寸法は、連結部42の長さ全長に渡る寸法となっているため、それだけ壁部43による底部40と連結部42との接続強度を一層大きくすることができるため、サポート11と物体の間での荷重の支持をさらに一層有効に行える。
【0060】
また、前述したように、壁部43のうち、引掛部41側の一部は、この引掛部41から底部40まで達している支え部43Aとなっているため、引掛部41から連結部42に作用する引っ張り力の荷重は、この支え部43Aによって支持されることになり、このため、大きな引っ張り力の荷重を有効に支持できる。
【0061】
さらに、支え部43Aは、底部40に対して鋭角の角度βをなして引掛部41から底部40に向かって延びており、この鋭角の角度βは、底部40に対して連結部42がなす鋭角の角度αよりも大きいため、支え部43Aは、大きな引っ張り力の荷重を有効に支持できる引掛ベース具10における箇所になっているとともに、鋭角の角度βの向きは、鋭角の角度αの向きと同じであるため、底部40の面積が大きくならず、このため、引掛ベース具10を、この引掛ベース具10が止着される物体の任意の位置に取り付けことが可能となる。
【0062】
また、本実施形態に係る引掛ベース具10では、底部40と連結部42とを接続する接続部となっている壁部43は、この壁部43の厚さ方向に膨出した補強部44を備えたものとなっているため、補強部44の分だけ壁部43の強度も大きくなり、これにより、サポート11と物体の間で作用する引っ張り力や圧縮力の荷重を壁部43によって一層有効に受けることができる。
【0063】
また、補強部44には、壁部43の厚さ方向の両側に膨出した内側補強部44Aと外側補強部44Bとがあるため、これらの補強部44A,44Bにより、壁部43の強度をさらに一層大きくすることができる。
【0064】
さらに、これらの補強部44A,44Bは、前述したように底部40に対して鋭角の角度γをなしており、この角度γは、底部40に対して連結部42がなす鋭角の角度αよりも大きく、また、角度γの向きは角度αの向きと同じであるため、サポート11が、このサポート11により連結される2つの物体のうち、引掛ベース具10が止着されている物体の面に対して角度αよりも大きい鋭角をなして配置されても、これらのサポート11と物体の間で作用する引っ張り力や圧縮力の荷重を補強部44A,44Bにより有効に支持することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る引掛ベース具10の底部40には、この底部40を、サポート11で連結される2つの物体に止着する止着具となっているボルト48の軸部48Aが挿入される孔47が形成されているとともに、この孔47は、直径が異なる複数個47A,47B設けられているため、サポート11により連結される2つの物体の厚さ寸法や重量等に応じて、軸部48Aの大きさが異なる複数のボルト48を選択して使用できる。
【0066】
さらに、サポート11のフック部材30のフック部30Aが引っ掛けられるベース具10の引掛部41における窪み部45部分の断面形状は、図14に示されているように、円形又は略円形となっているため、サポート11が、このサポート11により連結される2つの物体に対して鋭角の角度や、0度の角度、90度の角度等の各種の角度をなして用いられても、フック部30Aを引掛部41の窪み部45に同じ又は略同じ状態で引っ掛けることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る引掛ベース具10は、全体が一体となった鍛造品で形成されているため、全体の強度を充分に大きくすることができる。なお、底部40に設ける孔47は、鍛造法で引掛ベース具10を製造する際に形成してもよく、あるいは、後加工として行う孔開け加工により形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば、床スラブにコンクリート版を設置等する作業のように、物体の建て込み作業や、建て直し作業、連結作業等において、2つの物体を連結するサポートの長さ方向端部に設けられたフック部を引っ掛けるために利用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 物体である床スラブ
2 物体であるコンクリート版
3 物体であるコンクリートブロック
4 物体であるパラペット
5 物体であるH形鋼
10 サポート用引掛ベース具
11 サポート
30 フック部材
30A フック部
40 底部
41 引掛部
42 連結部
43 接続部である壁部
43A 支え部
44,44A,44B 補強部
45 窪み部
46 段差部
47,47A,47B 孔
48 止着具であるボルト
48A ボルトの軸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
図17