(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】セリウム系粒子
(51)【国際特許分類】
C01F 17/241 20200101AFI20230807BHJP
C01F 17/10 20200101ALI20230807BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20230807BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20230807BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20230807BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
C01F17/241
C01F17/10
B24B37/00 H
C09G1/02
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
H01L21/304 622B
H01L21/304 622D
(21)【出願番号】P 2019568323
(86)(22)【出願日】2018-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2018065380
(87)【国際公開番号】W WO2018229005
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-11
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】須田 栄作
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 学
(72)【発明者】
【氏名】トス, レカ
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-027045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 17/10,17/224,17/241
C09K 3/14
C09G 1/02
B24B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリウムとランタンとの混合酸化物の粒子であって、
- モル比La/(La+Ce)が0.01~0.15、より具体的には0.01~0.12の間に含まれ;
- 比表面積(BET)が3~14m
2/g、より具体的には7~13m
2/g、さらに具体的には8~12m
2/gであり;
- 実質的に立方体である;
ことを特徴とする粒子。
【請求項2】
セリウムとランタンとの混合酸化物の粒子であって、
- モル比La/(La+Ce)が0.01~0.15、より具体的には0.01~0.12の間に含まれ;
- 比表面積(BET)が3~14m
2/g、より具体的には7~13m
2/g、さらに具体的には8~12m
2/gであり;
- SEMにより得られる粒子画像が実質的に同じ長さを有する4つの
辺を示し、これら4つの
辺の
うちの隣接する
辺が
88°~92°の角度を形成する;
ことを特徴とする粒子。
【請求項3】
前記モル比La/(La+Ce)が、0.01~0.04、より具体的には0.02~0.03;又は0.08~0.12、より具体的には0.09~0.11に含まれる、請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項4】
前記混合酸化物が固溶体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項5】
前記粒子が、その表面にヒドロキシル基(OH基)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項6】
100nm~1000nm、より具体的には100nm~500nm、さらに具体的には100nm~250nm、さらに具体的には150nm~250nmに含まれる、動的光散乱によって決定される流体力学的平均直径Dhによって特徴付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項7】
100nm~700nm、より具体的には100nm~200nmに含まれる、レーザー回折によって決定されるメジアン径D50によって特徴付けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項8】
80nm~400nm、より具体的には80nm~150nmに含まれる、レーザー回折によって決定される直径D10によって特徴付けられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項9】
150nm~1200nm、より具体的には150nm~300nm、さらに具体的には200nm~300nmに含まれる、レーザー回折によって決定される直径D90によって特徴付けられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項10】
150nm~3000nm、より具体的には200nm~2000nm、さらに具体的には200nm~1800nmに含まれる、レーザー回折によって決定される直径D99によって特徴付けられる、請求項1~9のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項11】
0.60未満、より具体的には0.30未満の分散指数σ/mによって特徴付けられ、σ/m=(D90-D10)/2D50であり、D10、D50、及びD90はレーザー回折により決定される、請求項1~10のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項12】
比D90/D50が1.30~2.00に含まれることによって特徴付けられ、D50及びD90がレーザー回折により決定される、請求項1~11のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項13】
表面上に吸着している硝酸塩を含む、
請求項1~12のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の粒子の、液体媒体中の分散液。
【請求項15】
300μS/cm未満、より具体的には150μS/cm未満、さらに具体的には100μS/cm又は50μS/cm未満の導電率を示す、
請求項14に記載の分散液。
【請求項16】
研磨組成物、より具体的にはCMP組成物の調製のための、
請求項1~13のいずれか1項に記載の粒子又は
請求項14若しくは15に記載の分散液の使用。
【請求項17】
請求項1~13のいずれか1項に記載の粒子を含む研磨組成物。
【請求項18】
以下の成分:
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の粒子以外の研磨粒子;及び/又は
- pH調整剤;及び/又は
- 界面活性剤;及び/又は
- レオロジー調整剤;及び/又は
- カルボン酸モノマー、スルホン化モノマー、又はホスホン酸化モノマーと、アクリレート、ポリビニルピロリドン、又はポリビニルアルコールとのアニオン性コポリマー;ポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコールである非イオン性ポリマー;アミノシラン、ウレイドシラン、又はグリシジルシランであるシラン;官能化されたピリジンのN-オキシド;デンプン;シクロデキストリン;及びこれらの組み合わせから選択される添加剤;
のうちの1種以上をさらに含む、
請求項17に記載の研磨組成物。
【請求項19】
前記レオロジー調整剤が粘度向上剤又は凝固剤である、
請求項18に記載の研磨組成物。
【請求項20】
前記アニオン性コポリマーが2-ヒドロキシエチルメタクリル酸とメタクリル酸とのコポリマーである、
請求項18又は19に記載の研磨組成物。
【請求項21】
前記N-オキシドがピコリン酸N-オキシドである、
請求項18~20のいずれか1項に記載の研磨組成物。
【請求項22】
前記シクロデキストリンがα-シクロデキストリン又はβ-シクロデキストリンである、
請求項18~21のいずれか1項に記載の研磨組成物。
【請求項23】
以下の工程:
(a)不活性雰囲気下で、塩基の水溶液と、NO
3-、Ce
III、Ce
IV、及びLa
3+を含む水溶液とを接触させる工程であって、Ce
IV/総Ceのモル比が1/500000~1/4000に含まれる工程;
(b)工程(a)で得られた混合物を不活性雰囲気下で熱処理する工程;
(c)工程(b)の終わりに得られた混合物は、任意選択的に酸性化されてもよい;
(d)工程(b)又は工程(c)の終わりに得られた固体材料を水で洗浄する工程:;
(e)粒子を解凝集するために、工程(d)の終わりに得られた前記固体材料に対して、任意選択的に機械的処理が行われてもよい;
を含む、
請求項1~13のいずれか1項に記載の粒子の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セリウム系粒子、及び研磨用組成物、特にCMP組成物の成分としてのそれらの使用に関する。本発明は、セリウム系粒子の調製方法にも関する。本出願は、2017年6月15日出願の欧州特許出願公開第17176255.2号に対する優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
技術的課題
セリウム系粒子は、その優れた研磨特性により、ガラスなどの無機表面又は電子産業で使用される表面の研磨に使用される研磨剤配合物の成分であることが知られている。研磨剤配合物は、表面から物質を高度に除去しなければならず、これは研磨能力を反映する。これらは、できるだけ低い欠陥性も有さなければならない。用語「欠陥性」は、特に、配合物で処理された後の表面が示す擦り傷の量を意味することが意図されている。
【0003】
セリウム系粒子は、通常、分散液の形態で商品化されている。分散液は通常粒子から構成され、そのサイズは300nm未満である。細かすぎる粒子の存在は粒子の研磨能力を低下させ、大きすぎる粒子は欠陥の増加の一因になる可能性がある。
【0004】
改善された研磨特性を有するセリウム系粒子が依然として必要とされている。本発明のセリウム系粒子は、この技術的課題に対処することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、セリウムとランタンとの混合酸化物の粒子であって、
- モル比La/(La+Ce)が0.01~0.15、より具体的には0.01~0.12の間に含まれ;
- 比表面積(BET)が3~14m2/g、より具体的には7~13m2/g、さらに具体的には8~12m2/gであり;
- 実質的に立方体である
ことを特徴とするセリウムとランタンとの混合酸化物の粒子に関する。
【0006】
本発明は、
- モル比La/(La+Ce)が0.01~0.15、より具体的には0.01~0.12の間に含まれ;
- 比表面積(BET)が3~14m2/g、より具体的には7~13m2/g、さらに具体的には8~12m2/gであり;
- SEMにより得られる粒子画像が実質的に同じ長さを有する4つの辺を示し、これら4つの辺のうちの隣接する辺が実質的に90°に等しい角度を形成する
ことを特徴とする、セリウムとランタンとの混合酸化物の粒子にも関する。
【0007】
本発明は、上に開示した粒子の、液体媒体中の分散液にも関する。
【背景技術】
【0008】
国際公開第2015/091495号パンフレットには、セリウム酸化物粒子の懸濁液が開示されている。セリウムとランタンとの混合酸化物でできている立方体粒子についての記述は存在しない。
【0009】
国際公開第2015/197656号パンフレットには、金属がドープされたセリウム酸化物粒子が開示されている。ドープ元素Mは、ランタンを含む多くの元素の中で選択される。300℃での焼成後の比表面積は20~100m2/gに含まれ、これは新鮮な製品の比表面積が20m2/gよりも大きい可能性が高いことを意味する。比表面積(BET)が3~14m2/gの立方体粒子については言及されていない。この調製方法は、CeIV/Ceの合計比が大きいため、本発明の方法とは異なる。さらに、エージング工程の条件は示されていない。
【0010】
国際公開第08043703号パンフレットには、液相中のセリウム酸化物粒子の懸濁液が開示されており、前記粒子は、最大200nmの平均サイズを有する二次粒子であり、前記二次粒子は、平均サイズが最大100nmである一次粒子を含み、前記一次粒子の前記平均サイズの値の最大30%の標準偏差である。粒子はセリウム酸化物のみに基づいている。
【0011】
国際公開第2013/067696号パンフレットには、セリウム系粒子、ポリアクリレート塩、酸エステル、消泡剤、及び任意選択的な液体媒体を含有する研磨組成物が開示されている。セリウム系粒子は、セリウム酸化物、ランタン-セリウム酸化物、ランタン-セリウム-プラセオジム酸化物、ランタン-セリウム-プラセオジム-ネオジム酸化物、又は他のドープされたセリウム酸化物に基づいている。粒子のサイズについての言及はない。
【0012】
国際公開第2015/091495号パンフレットには、液相中のセリウム酸化物粒子の懸濁液が開示されており、前記粒子は、一次粒子を含む二次粒子を含み、前記二次粒子は、105~1000nmに含まれる平均サイズD50を有し、標準偏差は前記二次粒子の前記平均サイズの値の10~50%の間に含まれ;前記一次粒子は、100~300nmに含まれる平均サイズD50を有し、標準偏差は前記一次粒子の前記平均サイズの値の10~30%に含まれる。粒子はセリウム酸化物のみに基づいている。セリウム酸化物粒子の調製プロセスは、CeIII/CeIVの比が1/10000~1/500000であるCIII及びCeIVと塩基とを含む溶液を使用する析出工程と、熱処理工程とに基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図A】セリウムとランタンとの混合酸化物でできている本発明の粒子を示す。
【
図B】本発明に対応しないセリウムとLa以外の元素との粒子を示す。
【
図1-5】比較例1~3及び実施例1~2の粒子の写真に対応する。これらの図の全ての写真はHitachi High-Technologies CorporationのSEM S-5500を用いて得た。
【
図6】実施例3及び5の分散液のレーザー回折で得られたサイズ分布に対応する。見られるように、分布は単峰性である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、0.01~0.15、より具体的には0.01~0.12に含まれるモル比La/(La+Ce)を有し、比表面積(BET)が3~14m2/g、より具体的には7~13m2/g、さらに具体的には8~12m2/gであることを特徴とする、セリウムとランタンとの混合酸化物の粒子に関する。
【0015】
本発明の粒子は、以降の行で詳細に説明されるその形状によって特徴付けられる。
【0016】
粒子は、実質的に立方体として説明することができる。
【0017】
粒子は、SEM(走査型電子顕微鏡)で得た写真で観察することができる。写真の観察は、粒子の形状を明確に識別できる大きさと装置で行われなければならない。したがって、粒子を個別に明確に識別することが好ましい。観察に使用される倍率は、例えば40000倍~500000倍の範囲であってもよい。Hitachi High-Technologies Corporationの電界放出型SEM S-5500を使用することができる。
【0018】
セリウム系粒子のSEMにより得られる画像は、実質的に同じ長さを有する4つの辺を示す。さらに、画像は、これらの4つの辺のうちの隣接する辺が実質的に90°に等しい角度を形成するような画像である。これら4つの辺のうちの隣接する辺によって形成される角度は、88°~92°、又は89°~91°に含まれていてもよい。
【0019】
SEMによる観察は、統計分析を行うことができるように、好ましくは多数の粒子に対して行われる。これは通常、セリウム系粒子の同じサンプルの2枚以上の写真で行われる。観察のための粒子の数は、好ましくは200個より多くてもよい。保持される粒子は、それらの画像が写真上でよく見えるようなものである。より具体的には、実質的に同じ長さを有する4つの
辺を示し、これら4つの
辺のうちのの隣接する
辺が実質的に90°に等しい角度を形成する保持される粒子の数は、粒子の少なくとも80.0%、より具体的には少なくとも90.0%、さらに具体的には少なくとも95.0%に相当する。粒子の一部は、表面及び/又は角の1つのいずれかに若干の欠陥を示す場合がある(
図Aを参照)。しかし、これらの粒子は統計分析で保持することができる。
【0020】
本発明の粒子は、具体的な組成によっても特徴付けられる。セリウム系粒子は、セリウムとランタンとの混合酸化物でできている。混合酸化物は、元素Ce及びLaを含むが、これは追加的に若干の不純物も含んでいてもよい。不純物は、混合酸化物の調製プロセスで使用される原材料又は出発材料に由来する場合がある。不純物の合計割合は、通常、混合酸化物に対して0.2重量%未満である。この用途では、残留硝酸塩は不純物とはみなされない。
【0021】
ランタンは、立方体の形状の粒子を得ることを可能にする(セリウムとランタンとの混合酸化物でできている
図Aの粒子と、セリウムとLa以外の元素との混合酸化物でできている
図Bの粒子を参照)。モル比La/(La+Ce)は、0.01~0.15、より具体的には0.01~0.12に含まれる。この比は、0.01~0.04、より具体的には0.02~0.03に含まれていてもよい。これは、0.08~0.12、より具体的には0.09~0.11に含まれていてもよい。
【0022】
混合酸化物は固溶体であってもよい。その場合、ランタン原子はセリウム酸化物の結晶構造の中に細部まで拡散する。固溶体は対称的なXRDパターンを示し、27.0°~29.0°の間の2θに位置するピークの反射は、純粋なセリアよりも小さい角度にシフトする。固溶体は、エージングサブ工程(ii)の温度が60℃を超える場合に得られる。したがって、本発明において使用される「固溶体」という用語は、XRDが、個々のピークのシフトの有無にかかわらず、セリウム酸化物結晶構造のXRDパターンのみを示すが、他の相の存在を示す追加のピークが存在しないことを意味する。
【0023】
セリウム系粒子は、その表面にヒドロキシル基(OH基)も含む。OH/RE
表面のモル比は、0.100~0.600に含まれ得る。
- OHは、2.7重量%の割合のセリウム系粒子を有するセリウム系粒子の分散液を、pH5.0~pH9.0に中和するために必要なNaOHのモル数である。セリウム系粒子の重量はmである。
- RE
表面は以下の式により決定される:
・ m:セリウム系粒子の重量;
・ NA:6.0×10
23に等しいアボガドロ数
・ 結晶メッシュの表面積=29.16Å
2。
【0024】
表面に存在するヒドロキシル基は、単座(pKa=24.0)、二座(pKa=14.8)、又は三座(pKa=5.5)の異なるタイプのものであってもよい。セリウム系粒子は、三座基を含んでいてもよい。三座基の量は、少なくとも2.0×10-5mol/m2であってもよい。これは、6.0×10-5mol/m2より少なくてもよい。
【0025】
セリウム系粒子は、3~14m2/g、より具体的には7~13m2/g、さらに具体的には8~12m2/gに含まれる比表面積を示す。比表面積は、Brunauer-Emmett-Teller法(BET法)による窒素の吸着により粉末上で決定される。この方法は、規格ASTM D3663-03(2015年再承認)に開示されている。この方法は、定期刊行物“The Journal of the American Chemical Society,60,309(1938)”にも記載されている。比表面積は、製造者のガイドラインに従って、Micromeriticsの装置TriStar3000で自動的に決定される。測定の前に、粉末形態のサンプルは、吸着されている種を除去するために最大210℃の温度で加熱することにより静的空気下で脱気される。
【0026】
セリウム系粒子は、以下で開示される粒子のサイズ分布に関連する様々なパラメータによって特徴付けることもできる。前記パラメータは数ではなく体積による分布に基づく。
【0027】
セリウム系粒子は、100nm~1000nm、より具体的には100nm~500nm、さらに具体的には100nm~250nm、さらに具体的には150nm~250nmに含まれる流体力学的平均直径Dhを示し得る。Dhは、好ましくは150nmよりも大きく、より具体的には200nmよりも大きくてもよい。Dhは動的光散乱(DLS)によって決定され、メジアン径(d50)に相当する。この手法により、値が粒子の凝集体の存在によって影響を受ける固体物質の流体力学的直径Dhを測定することができる。測定は通常、粒子の水分散液で行われる。Dhは、製造者のガイドラインに従って、Marvernの装置Zetasizer Nano-ZSを用いて決定される。サンプルは、通常、脱イオン水で希釈する必要がある。1,000,000倍の希釈係数を適用することができる。
【0028】
セリウム系粒子を特徴付けるためにレーザー回折を使用することもできる。Horiba LA-910などのレーザー粒径分析計を、製造者のガイドラインに従って使用することができる。測定には1.7の相対屈折率が使用される。レーザー回折で得られた分布から、D10、D50、D90、D99、及びσ/mなどの統計で通常使用される様々なパラメータを差し引くことができる。
【0029】
セリウム系粒子は、100nm~700nm、より具体的には100nm~200nmに含まれるD50を示し得る。D50は、100nm~150nm、又は150nm~200nmに含まれていてもよい。D50は、レーザー回折によって得られる分布から決定されるメジアン径である。
【0030】
通常、得られる分布は単峰性(分布に1つのピークのみ)である。
【0031】
セリウム系粒子は、80nm~400nm、より具体的には80nm~150nmに含まれるD10を示し得る。D10は通常130nm未満であってもよい。D10は、好ましくは100nmよりも大きくてもよい。D10は、粒子の10%がD10より小さい直径を有する、レーザー回折により得られる分布から決定される直径である。
【0032】
セリウム系粒子は、150nm~1200nm、より具体的には150nm~300nm、さらに具体的には200nm~300nmに含まれるD90を示してもよい。D90は、粒子の90%がD90より小さい直径を有する、レーザー回折により得られる分布から決定される直径である。解凝集の機械的処理を受けたセリウム系粒子については、D90は300nm未満である。
【0033】
セリウム系粒子は、低い分散指数を示し得る。「分散指数」は以下の式σ/m=(D90-D10)/2D50により定義される。σ/mは、0.60未満、より具体的には0.30未満であってもよい。解凝集の機械的処理を受けたセリウム系粒子は、0.30未満の分散指数を示し得る。
【0034】
さらに、D90/D50は通常1.30~2.00に含まれる。
【0035】
セリウム系粒子は、150nm~3000nm、より具体的には200nm~2000nm、さらに具体的には200nm~1800nmに含まれるD99を示し得る。D99は、好ましくは600nm未満、より具体的には500nm未満、さらに具体的には400nm未満であってもよい。D99は、粒子の99%がD99より小さい直径を有する、レーザー回折により得られる分布から決定される直径である。解凝集の機械的処理を受けたセリウム系粒子については、D99は600nm未満、より具体的には500nm未満、さらに具体的には400nm未満である。
【0036】
本特許出願の実施例では、Dh、D10、D50、D90、D99の最小値がそれぞれ選択される場合がある。本特許出願の実施例では、Dh、D10、D50、D90、D99の最大値がそれぞれ選択される場合がある。
【0037】
セリウム系粒子の調製方法について
セリウム系粒子の調製方法は、セリウムとランタンの硝酸塩の析出に基づく。方法は、以下の工程を含む:
(a)不活性雰囲気下で、塩基の水溶液と、NO3-、CeIII、CeIV、及びLa3+を含む水溶液とを接触させる工程であって、CeIV/総Ceのモル比が1/500000~1/4000に含まれる工程;
(b)工程(a)で得られた混合物を不活性雰囲気下で熱処理する工程;
(c)工程(b)の終わりに得られた混合物は、任意選択的に酸性化されてもよい;
(d)工程(b)又は工程(c)の終わりに得られた固体材料を水で洗浄する工程;
(e)粒子を解凝集するために、工程(d)の終わりに得られた固体材料に対して、任意選択的に機械的処理が行われる。
【0038】
工程(a)で使用される出発溶液は、セリウムとランタンの硝酸塩の水溶液を混合することによって調製される。水溶液は、NO3-、Ce3+、Ce4+、及びLa3+を含み、1/500000~1/4000に含まれるCeIV/総Ceのモル比によって特徴付けられる。このモル比は、通常1/90000~1/100000であってもよい。実施例で使用されるCeIV/総Ceのモル比を使用することができる。
【0039】
高純度の塩及び成分を使用することが有利である。塩の純度は、少なくとも99.5重量%、より具体的には少なくとも99.9重量%であってもよい。
【0040】
硝酸と水和酸化セリウムとの反応により得られる硝酸セリウム水溶液を調製方法において使用してもよい。酸化セリウムは、CeIIIカチオンをCeIVカチオンへと変換するための、過酸化水素水溶液の存在下でのセリウム塩溶液とアンモニア水溶液との反応により従来通りに調製される。特に、仏国特許第2570087号明細書に開示された通りの硝酸セリウム溶液の電気化学的酸化の方法によって得られる硝酸セリウム溶液を使用することも有利である。仏国特許第2570087号明細書の教示によって得られる硝酸セリウムの溶液は、ほぼ0.6Nの酸性度を示し得る。
【0041】
セリウムIVは、硝酸セリウムIV又は硝酸セリウムアンモニウムであってもよい塩により供給される。
【0042】
NO3-/CeIIIモル比によって表される、工程(a)で使用される水溶液中の硝酸イオンの量は、通常1/3~5/1である。工程(a)で使用される水溶液の酸性度は、好ましくは0.8N~12.0Nに含まれる。
【0043】
出発溶液中の遊離酸素の量は、注意深く制御し、最小限に抑えるべきである。この目的のために、不活性ガスを吹き込むことによって出発溶液を脱気してもよい。用語「不活性ガス」又は「不活性雰囲気」は、酸素を含まない雰囲気又はガスを意味することを意図しており、ガスは、例えば窒素又はアルゴンであることが可能である。
【0044】
工程(a)は、水溶液を塩基の水溶液と反応させることからなる。特に塩基として水酸化物型の製品を使用することができる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物及び水性アンモニアを挙げることができる。二級、三級、又は四級アミンも使用することができる。塩基の水溶液は、不活性ガスを吹き込むことによって予め脱気されてもよい。工程(a)は、水溶液を塩基の水溶液に入れることによって行うことができる。工程(a)は、好ましくは不活性雰囲気下で、特に閉鎖型反応器の中で又は不活性ガスでスイープしながら半閉鎖型反応器の中で行われる。接触は、通常は撹拌されている反応器の中で行われる。塩基/(Ce+La)のモル比で表される、工程(a)で使用される塩基の量は、好ましくは8.0~30.0に含まれる。この比は好ましくは9.0よりも大きくてもよい。
【0045】
工程(a)は、通常5℃~50℃に含まれる温度で行われる。この温度は20~25℃であってもよい。
【0046】
工程(b)は、前の工程の最後に得られた反応媒体の熱処理である。これは、(i)加熱サブ工程と(ii)エージングサブ工程とで構成される。加熱サブ工程(i)は、通常75℃~95℃、より具体的には80℃~90℃、さらに具体的には85℃~90℃に含まれる温度で媒体を加熱することからなる。
【0047】
エージングサブ工程(ii)は、媒体を75℃~95℃、より具体的には80℃~90℃、さらに具体的には85℃~90℃に含まれる温度に維持することからなる。エージングサブ工程(ii)の継続時間は2時間~20時間である。経験則として、エージング工程の温度が高いほど、エージングサブ工程の継続時間は短くなる。例えば、エージングサブ工程の温度が85℃~90℃の場合、例えば88℃の場合、エージングサブ工程の継続時間は2時間~15時間、より具体的には4時間~15時間であってもよい。エージングサブ工程の温度が75℃~85℃の場合、例えば80℃の場合、エージングサブ工程の継続時間は15時間~30時間であってもよい。
【0048】
工程(b)中に、CeIIIのCeIVへの酸化が生じる。この工程は、不活性雰囲気下で行うこともでき、工程(a)のこの雰囲気に関する説明はここでも同様に適用される。同様に、熱処理は撹拌されている反応器の中で行うことができる。
【0049】
工程(c)において、工程(b)の最後に得られる混合物は任意選択的に酸性化されていてもよい。この工程(c)は、硝酸を使用することにより行うことができる。反応混合物は、HNO3により3.0より低いpH、より具体的には1.5~2.5に含まれるpHに酸性化されてもよい。
【0050】
工程(d)において、工程(b)又は工程(c)の最後に得られる固体材料は、水、好ましくは脱イオン水で洗浄される。この操作により、分散液中の残留硝酸塩の量を減らし、目標の導電率を得ることができる。この工程は、混合物から固体を濾過し、固体を水に再分散させることによって行うことができる。必要に応じて、濾過と再分散を複数回行ってもよい。
【0051】
工程(e)において、粒子を解凝集するために、工程(d)の終わりに得られた固体材料に対して機械的処理を行ってもよい。この工程は、ダブルジェット処理又は超音波解凝集によって行われてもよい。この工程は、通常、シャープな粒径分布及び大きな凝集粒子の数の減少をもたらす。一実施形態によれば、セリウム系粒子は解凝集の機械的処理を受けたものである。別の実施形態によれば、セリウム系粒子は解凝集の機械的処理を受けていないものである。
【0052】
工程(e)の後、固体材料を乾燥させて、粉末形態のセリウム系粒子を得ることができる。工程(e)の後、水又は水と混和性液体有機化合物との混合物を添加することで、液体媒体中のセリウム系粒子の分散液を得てもよい。
【0053】
本発明の粒子の具体的な形状は、La以外の元素では得られないことが観察された(
図Bを参照)。セリウム系粒子は、そのように開示された調製方法で得られた。この方法は、低いCe
IV/総Ce比、75℃~90℃のエージングサブ工程(ii)の温度、及び2時間~20時間のエージングサブ工程(ii)の継続時間間の組み合わせに基づくものである。エージングサブ工程の所定の温度でセリウム系粒子が得られない場合、エージングサブ工程の継続時間を長くすることができる。セリウム系粒子がまだ得られない場合、エージングサブ工程の温度及び/又は塩基/REモル比を上げることができる。当業者は、この後に開示される実施例おいても適切な教示を見出すことができる。
【0054】
セリウム系粒子の分散液について
分散液は、本発明のセリウム系粒子と液体媒体を含む。液体媒体は、水又は水と水混和性有機液体との混合物であってもよい。水混和性有機液体は、粒子を析出又は凝集させない必要がある。水混和性有機液体は、例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、1-プロパノール、メタノール、1-ヘキサノールのようなアルコール;アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトンのようなケトン;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸エチルのようなエステルであってもよい。水/有機液体の比率は、80/20~99/1(wt/wt)であってもよい。
【0055】
分散液中のセリウム系粒子の割合は、1.0重量%~40.0重量%に含まれていてもよく、この割合は、分散液の総重量に対するセリウム系粒子の重量として表される。この割合は、10.0重量%~35.0重量%に含まれていてもよい。
【0056】
分散液は、300μS/cm未満、より具体的には150μS/cm未満、さらに具体的には100μS/cm又は50μS/cm未満の導電率も示し得る。導電率は、HORIBA,Ltd.の導電率計9382-10Dを用いて測定される。
【0057】
分散液は少量の残留硝酸塩を含んでいてもよい。硝酸塩は、液体媒体中に存在していてもよい、及び/又はセリウム系粒子の表面に吸着されていてもよい。硝酸塩の存在は、いくらかの優れた研磨特性を得るのに役立ち得る。粒子表面に吸着した残留硝酸塩の存在は、intrared分光法によって確認することができる。セリウム系粒子は、0.20重量%未満の、表面に吸着された残留硝酸塩の量を含んでいてもよく、この量は粒子の総重量に対する硝酸塩の重量として表されるように表される。この量は、0.01重量%~0.20重量%に含まれる。これは次の方法で測定することができる:分散液の液体媒体中の硝酸塩の量(量A)を、遠心分離機を用いて濾過することにより分散液から粒子を除去した後に測定する。pH=11.0まで分散液にNaOHを添加し、混合物を一晩放置して粒子表面から吸着された硝酸塩を除去し、液体中の硝酸塩の量(量B)を測定する。その後、吸着された残留硝酸塩の量が決定され、これは量Aと量Bの差に相当する。
【0058】
セリウム系粒子又は分散液の使用について
本発明のセリウム系粒子又は本発明の分散液は、研磨組成物、より具体的にはCMP組成物を調製するために使用することができる。これらは、研磨組成物、より具体的にはCMP組成物の成分として使用される。
【0059】
CMP組成物(又は化学的-機械的研磨組成物)は、基板の表面から物質を選択的に除去するために使用される研磨組成物である。これは、集積回路及びその他の電子デバイスの分野で使用されている。実際には、集積回路及びその他の電子デバイスの製造においては、導電性、半導体性、及び誘電性の材料の複数の層が基板の表面で堆積又は除去される。材料の層が逐次的に基板上に堆積されて基板から除去されると、基板の最上面が非平面になり、平坦化が必要になる場合がある。表面の平坦化(又は「研磨」)とは、基板の表面から材料を除去して、概して滑らかで平らな表面を形成するプロセスである。平坦化は、粗い表面、凝集した材料、結晶格子損傷、擦り傷、及び汚染された層又は材料などの望ましくない表面トポグラフィ及び表面欠陥を除去するのに有用である。平坦化は、フィーチャを埋めるために使用される余分な堆積材料を除去し、メタライゼーションと処理の後続の水平面に均一な表面を提供することにより、基板上にフィーチャを形成するのにも有用である。
【0060】
研磨組成物又はCMP組成物で研磨することができる基板は、例えば、二酸化ケイ素タイプの基板、ガラス、半導体、又はウェハであってもよい。
【0061】
研磨組成物又はCMP組成物は、通常、セリウム系粒子以外の異なる成分を含む。研磨組成物は、以下の成分のうちの1種以上を含んでいてもよい:
- セリウム系粒子以外の研磨粒子(本明細書では「追加の研磨粒子」と呼ぶ);及び/又は
- pH調整剤;及び/又は
- 界面活性剤;及び/又は
- 粘度向上剤及び凝固剤などのレオロジー調整剤;及び/又は
- カルボン酸モノマー、スルホン化モノマー、又はホスホン酸化モノマーと、アクリレート、ポリビニルピロリドン、又はポリビニルアルコールとのアニオン性コポリマー(例えば2-ヒドロキシエチルメタクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー);ポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコールである非イオン性ポリマー;アミノシラン、ウレイドシラン、又はグリシジルシランであるシラン;官能化されたピリジンのN-オキシド(例えばピコリン酸N-オキシド);デンプン;シクロデキストリン(例えばα-シクロデキストリン又はβ-シクロデキストリン);及びこれらの組み合わせから選択される添加剤。
【0062】
研磨組成物のpHは、通常1~6である。典型的には、研磨組成物は3.0以上のpHを有する。また、研磨組成物のpHは典型的には6.0以下である。
【0063】
本発明のセリウム系粒子は、以下の文献に開示されている研磨組成物において使用することができる:国際公開第2013/067696号パンフレット;国際公開第2016/140968号パンフレット;国際公開第2016/141259号パンフレット;国際公開第2016/141260号パンフレット;国際公開第2016/047725号パンフレット;国際公開第2016/006553号パンフレット。
【実施例】
【0064】
実施例6のセリウム系粒子を除いた実施例と比較例のセリウム系粒子全てに対して、粒子を解凝集するために機械的処理を行った。使用した装置は、二重衝撃ジェット処理装置であった。
【0065】
実施例1:粒子Ce/La 97.5/2.5(本発明)
3Mの三価硝酸セリウム溶液13.1kg、3Mの硝酸ランタン溶液0.3kg、68%のHNO3溶液2.0kg、脱イオン水0.5kg、及び比CeIV/Ce合計=1/81050に対応する硝酸セリウム(IV)を添加することによって希釈硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を半閉鎖型の20Lの容器の中に入れてから、撹拌及び窒素吹き込みを行いながら脱気した。
【0066】
脱イオン水75kgと25%アンモニア水溶液13.1kg(NH4OH/(La+Ce)=9.0)を添加することにより、希釈アンモニア水溶液を調製する。この溶液を半閉鎖型の100Lのジャケット付反応器の中に入れてから、撹拌及び窒素の吹き込みを行う。
【0067】
次いで、同じ撹拌及び窒素スイープ下で、希釈アンモニア水溶液に希釈硝酸セリウム溶液を周囲温度で添加する。その後、反応混合物の温度を80℃に上げてからこの温度で18時間維持する。この熱処理の終わりに、反応混合物を放冷し、68%HNO3を添加することによりpH2に酸性化する。
【0068】
反応混合物を濾過し、脱イオン水で洗浄した。洗浄液の導電率が0.04mS/cm未満になった場合に洗浄を繰り返した。最終的に得られた懸濁液を10%のCeO2に調整した。
【0069】
窒素吸着によって決定されたBET比表面積は11.3m2/gであった。
【0070】
二次粒径は、レーザー粒径分析計(Horiba LA-910)により水中のCeO2の相対屈折率1.7で測定した。メジアン径D50は129nmであり、標準偏差は平均粒径の24%に相当する31nmであった。
【0071】
D10、D50、及びD90は、それぞれ103、129、及び174nmであった。計算された分散σ/mは0.28であった。
【0072】
実施例2:粒子Ce/La 90/10(本発明)
3Mの三価硝酸セリウム溶液11.5kg、3Mの硝酸ランタン溶液1.3kg、68%のHNO3溶液1.8kg、脱イオン水0.5kg、及びCeIV/Ce合計=1/80235に対応する硝酸セリウム(IV)を添加することによって希釈硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を半閉鎖型の20Lの容器の中に入れてから、撹拌及び窒素吹き込みを行いながら脱気した。
【0073】
脱イオン水70kgと25%アンモニア水溶液14.0kg(NH4OH/(La+Ce)=10.0)を添加することにより、希釈アンモニア水溶液を調製する。この溶液を半閉鎖型の100Lのジャケット付反応器の中に入れてから、撹拌及び窒素の吹き込みを行う。
【0074】
次いで、同じ撹拌及び窒素スイープ下で、希釈アンモニア水溶液に希釈硝酸セリウム溶液を周囲温度で添加する。その後、反応混合物の温度を88℃に上げてからこの温度で13.5時間維持する。この熱処理の終わりに、反応混合物を放冷し、68%HNO3を添加することによりpH2に酸性化する。
【0075】
反応混合物を濾過し、脱イオン水で洗浄した。洗浄液の導電率が0.04mS/cm未満になった場合に洗浄を繰り返した。最終的に得られた懸濁液を10%のCeO2に調整した。
【0076】
窒素吸着によって決定されたBET比表面積は8.4m2/gであった。
【0077】
懸濁液をTEMによって観察した。一次粒子は単分散であった。懸濁液を代表する約1000個の粒子について、各粒子をカウントして測定した。平均粒径は156nmであり、標準偏差は平均粒径の25%に相当する39nmであった。
【0078】
二次粒径は、レーザー粒径分析計(Horiba LA-910)により水中のCeO2の相対屈折率1.7で測定した。メジアン径D50は166nmであり、標準偏差は平均粒径の42%に相当する69nmであった。D10、D50、及びD90は、それぞれ116、166、及び267nmであった。計算された分散σ/mは0.45であった。
【0079】
実施例3:粒子Ce/La(97.5/2.5)
実施例1と同様の条件下で粒子を得た。以下のパラメータを使用した:CeIV/Ce合計=1/79799;NH4OH/RE=8.0;エージングサブ工程の温度:88℃;エージングサブ工程の継続時間:2時間。
【0080】
実施例4:粒子Ce/La(90/10)
実施例1と同様の条件下で粒子を得た。以下のパラメータを使用した:CeIV/Ce合計=1/82293;NH4OH/RE=9.0;エージングサブ工程の温度:80℃;エージングサブ工程の継続時間:22時間。
【0081】
実施例5:粒子Ce/La(90/10)
実施例1と同様の条件下で粒子を得た。以下のパラメータを使用した:CeIV/Ce合計=1/4982;NH4OH/RE=8.0;エージングサブ工程の温度:88℃;エージングサブ工程の継続時間:8時間。
【0082】
実施例6:粒子Ce/La(97.5/2.5)
実施例1と同様の条件下で粒子を得た。以下のパラメータを使用した:NH4OH/RE=8.0;エージングサブ工程の温度:88℃;エージングサブ工程の継続時間:4時間。
【0083】
比較例1(純粋なセリア)
3Mの三価硝酸セリウム13.5kg、68%のHNO3 2.2kg、及び脱イオン水0.7kgを混合することにより、硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を20Lの半閉鎖型容器の中に入れた。
【0084】
15.5kgの25%アンモニア水及び73kgの脱イオン水を添加することによりアンモニア水溶液を調製した。続いて、1/80000のセリウムIV/総セリウムモル比(CeIV/Ce合計=1/80000)に相当する硝酸セリウム(IV)を添加した。この溶液をジャケット付きの100L半閉鎖型反応器の中に入れ、撹拌しながら1時間N2ガスを吹き込んだ。
【0085】
上述した硝酸セリウム溶液を、撹拌及びN2吹き込みの同じ条件で約30分間アンモニア水溶液と混合した。反応混合物を約1時間で85℃まで加熱し、N2吹き込みなしの同じ撹拌条件でこの温度で約20時間維持した。
【0086】
反応混合物を冷却し、68%のHNO3でpH2.0に酸性化した。反応混合物を濾過し、脱イオン水で洗浄した。洗浄液の導電率が0.04mS/cm未満になった場合に洗浄を繰り返した。最終的に得られた懸濁液を解凝集し、30%のCeO2に調整した。
【0087】
窒素吸着によって決定されたBET比表面積は8m2/gであった。
【0088】
懸濁液をTEMによって観察した。一次粒子は単分散であった。懸濁液を代表する約150個の粒子について、各粒子をカウントして測定した。平均粒径は165nmであり、標準偏差は平均粒径の15%に相当する25nmであった。
【0089】
二次粒径は、レーザー粒径分析計(Horiba LA-910)により水中のCeO2の相対屈折率1.7で測定した。メジアン径D50は137nmであり、標準偏差は平均粒径の26%に相当する36nmであった。D10、D50、及びD90は、それぞれ106、137、及び192nmであった。計算された分散σ/mは1.40であった。
【0090】
比較例2:粒子Ce/La(97.5/2.5)
3Mの三価硝酸セリウム溶液13.1kg、3Mの硝酸ランタン溶液0.3kg、68%のHNO3溶液2.0kg、脱イオン水0.5kg、及び1/5000のセリウムIV/総セリウムモル比(CeIV/Ce合計=1/5000)に相当する硝酸セリウム(IV)を添加することによって希釈硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を半閉鎖型の20Lの容器の中に入れてから、撹拌及び窒素吹き込みを行いながら脱気した。
【0091】
脱イオン水80kgと25%のアンモニア水溶液9.8kgを添加することにより希釈アンモニア水溶液を調製する。この溶液をジャケット付きの100L半閉鎖型反応器の中に入れ、撹拌し、窒素を吹き込む。
【0092】
次いで、同じ撹拌及び窒素スイープ下で、希釈アンモニア水溶液に希釈硝酸セリウム溶液を周囲温度で添加する。次いで、反応混合物の温度を80℃まで上げ、その後この温度で8時間維持する。この熱処理の終わりに、反応混合物を放冷し、68%HNO3を添加することによりpH2に酸性化する。
【0093】
反応混合物を濾過し、脱イオン水で洗浄した。洗浄液の導電率が0.04mS/cm未満になった場合に洗浄を繰り返した。最終的に得られた懸濁液を10%のCeO2に調整した。
【0094】
窒素吸着によって決定されたBET比表面積は15.3m2/gであった。
【0095】
二次粒径は、レーザー粒径分析計(Horiba LA-910)により水中のCeO2の相対屈折率1.7で測定した。メジアン径D50は99nmであり、標準偏差は平均粒径の17%に相当する17nmであった。D10、D50、及びD90は、それぞれ80、99、及び121nmであった。計算された分散σ/mは0.22であった。
【0096】
比較例3:粒子(Ce/La 90/10)
3Mの三価硝酸セリウム溶液11.5kg、3Mの硝酸ランタン溶液1.3kg、68%のHNO3溶液1.8kg、脱イオン水0.5kg、及び1/5000のセリウムIV/総セリウムモル比に相当する硝酸セリウム(IV)を添加することによって希釈硝酸セリウム溶液を調製した。この溶液を半閉鎖型の20Lの容器の中に入れてから、撹拌及び窒素吹き込みを行いながら脱気した。
【0097】
脱イオン水80kgと25%のアンモニア水溶液8.8kgを添加することにより希釈アンモニア水溶液を調製する。この溶液をジャケット付きの100L半閉鎖型反応器の中に入れ、撹拌し、窒素を吹き込む。
【0098】
次いで、同じ撹拌及び窒素スイープ下で、希釈アンモニア水溶液に希釈硝酸セリウム溶液を周囲温度で添加する。次いで、反応混合物の温度を80℃まで上げ、その後この温度で5時間維持する。この熱処理の終わりに、反応混合物を放冷し、68%HNO3を添加することによりpH2.0に酸性化する。
【0099】
反応混合物を濾過し、脱イオン水で洗浄した。洗浄液の導電率が0.04mS/cm未満になった場合に洗浄を繰り返した。最終的に得られた懸濁液を10%のCeO2に調整した。
【0100】
窒素吸着によって決定されたBET比表面積は19.0m2/gであった。
【0101】
懸濁液をTEMによって観察した。一次粒子は単分散であった。懸濁液を代表する約1000個の粒子について、各粒子をカウントして測定した。平均粒径は65nmであり、標準偏差は平均粒径の28%に相当する18nmであった。
【0102】
二次粒径は、レーザー粒径分析計(Horiba LA-910)により水中のCeO2の相対屈折率1.7で測定した。メジアン径D50は86nmであり、標準偏差は平均粒径の13%に相当する11nmであった。D10、D50、及びD90は、それぞれ70、86、及び98nmであった。計算された分散σ/mは0.16であった。
【0103】
研磨に使用される条件
セリウム系粒子の水分散液を、以下の条件下で試験した。使用される研磨機は、自製の研磨ヘッドを備えたStruers Labopol5である。研磨される表面はアモルファスシリカ製である。分散液は、制御された流量で研磨される表面に導入される。
・ ヘッドにかけられる圧力:40kPa;
・ 回転速度:150rpm;
・ パッド:ネオプレン(MD-Chem)-試験される分散液ごとに新しいパッド;
・ 分散液の流量:60mL/分;
・ 分散液:セリウム系粒子の量は1重量%である;
・ 分散液のpHは4.6~4.8である。
【0104】
基板の重量損失を記録する。その後、nm/分で表される除去率(RR)を以下の通りに計算する:
式中、
・ Δmは、基板の重量損失であり;
・ Rは、基板の半径であり;
・ ρは、基板の密度であり;
・ Δtは、研磨時間である。
【0105】
表Iに詳述されている結果から分かるように、本発明の粒子は、比較例2の粒子と比較して除去率の改善を示す。
【0106】