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特許7326171コールドスプレー堆積によって、丸いプリフォームを生産するための製法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】コールドスプレー堆積によって、丸いプリフォームを生産するための製法
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/04 20060101AFI20230807BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
C23C24/04
B22F3/16
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020005020
(22)【出願日】2020-01-16
(62)【分割の表示】P 2016563077の分割
【原出願日】2015-04-13
(65)【公開番号】P2020073730
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2020-01-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】2014901373
(32)【優先日】2014-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】317002869
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】キング,ピーター・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】グリジア,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】アーバン,アンドリュー・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,ジョン・エドワード
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】池渕 立
【審判官】土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0241570(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0050041(US,A1)
【文献】特開2013-142176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0201228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C4/00-6/00
C23C24/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールドスプレー堆積によって、丸いプリフォームを生産するための製法において、
プリフォームの回転軸の回りに、開始基板を供給するステップであって、前記開始基板は平らな堆積表面を有する少なくとも1つの軸端を有する、供給するステップと、
前記プリフォームの回転軸の回りに前記開始基板を回転させるステップと
製品堆積表面を形成するために、コールドスプレー堆積を用いて前記開始基板の前記堆積表面上に材料を堆積するステップであって、コールドスプレー堆積製法は、前記材料が通って前記堆積表面上にスプレーされるコールドスプレーアプリケータを有する、堆積するステップと、
前記材料の連続した堆積層を形成するために、コールドスプレー堆積を用いて、それぞれの最上の製品堆積表面上に材料を連続的に堆積するステップと、
前記コールドスプレーアプリケータと前記最上の製品堆積表面との間に一定の間隔を維持するために、前記コールドスプレーアプリケータ、または前記開始基板およびプリフォームのうちの少なくとも一方を他方に対して前記プリフォームの回転軸に沿って軸方向に動かすステップであって、その動かすことによって、選択された長さの前記プリフォームの回転軸の回りに丸いプリフォームを形成する、動かすステップとを含み、
前記コールドスプレーアプリケータが、前記プリフォームの回転軸に垂直な平面内で動かされることによって、前記開始基板の各堆積表面または前記プリフォームの製品堆積表面上に、平らな面として材料を堆積させ、
堆積材料の前記平らな面が、コールドスプレーアプリケータの軸方向及び前記プリフォームの回転軸に垂直な平面内の両方において制御された動きを通して維持され、
前記コールドスプレーアプリケータの動きは、前記堆積表面に相対的な前記コールドスプレーアプリケータの瞬間速度が、前記コールドスプレーアプリケータが前記プリフォームの回転軸に対する半径方向の間隔に反比例するように制御され、
前記コールドスプレーアプリケータの前記動きが前記プリフォームの回転軸を通る平行なパスから半径方向のずれを有するように構成された、製法。
【請求項2】
前記制御された動きが少なくとも2つの点の間の直線的で周期的な動きを含む請求項1に記載の製法。
【請求項3】
前記制御された動きが、
点Aは前記プリフォームの製品堆積表面上の端にあり、点Bは前記プリフォームの製品堆積表面上の中心近くまたは中心にある、または、
点A及び点Bは前記プリフォームの製品堆積表面上の端にあり、前記プリフォームの製品堆積表面上の反対端に位置する、
のうちの少なくとも1つから選択された、点Aおよび点Bである2つの点の間の直線的で周期的な動きを含む請求項2に記載の製法。
【請求項4】
前記ずれが0.1から15mmである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製法。
【請求項5】
前記プリフォームの製品堆積表面上の点A、B、C、及びDが、長方形の頂点を規定し、前記制御された動きが、前記点A、B、C、及びDを長方形形状たどる請求項に記載の製法。
【請求項6】
前記長方形の短辺が0.1から15mmの長さを有する請求項に記載の製法。
【請求項7】
前記コールドスプレーアプリケータの動きが多軸ロボットアームによって制御される請求項1からの何れか1項に記載の製法。
【請求項8】
前記コールドスプレーアプリケータが、堆積材料がそれを通してスプレーされる出口開口を有するノズルを有し、前記ノズルは、前記スプレーされた堆積材料を所望の方向に向ける請求項1からの何れか1項に記載の製法。
【請求項9】
前記ノズルが、動きの間、前記プリフォームの回転軸に揃えられているかまたは平行である請求項に記載の製法。
【請求項10】
前記ノズルが、前記プリフォームの外側の端にまたは近くにあるときに、前記ノズルの動きが前記プリフォームの前記外側の端に近づくときに、前記プリフォームの回転軸の中心に向かって、角度をつけて向けられる請求項またはに記載の製法。
【請求項11】
形成された前記プリフォームを前記開始基板から取り除くステップをさらに含む請求項1から10の何れか1項に記載の製法。
【請求項12】
前記開始基板が開始プリフォームを有する請求項1から11の何れか1項に記載の製法。
【請求項13】
前記開始プリフォームがコールドスプレー法によって作られた請求項12に記載の製法。
【請求項14】
前記開始基板が前記プリフォームと少なくとも同じ直径をもつ請求項1から13の何れか1項に記載の製法。
【請求項15】
前記開始基板の前記軸端面が前記プリフォーム回転軸に垂直で、平らな表面を含む請求項1から14の何れか1項に記載の製法。
【請求項16】
前記開始基板が、クランプまたはチャックを備えた取付け構造を用いて、前記プリフォームの回転軸の回りに保持される請求項1から15の何れか1項に記載の製法。
【請求項17】
前記取付け構造が、少なくとも、台、軸受けまたはローラを含む請求項16に記載の製法。
【請求項18】
前記取付け構造が、前記プリフォームの回転軸の回りに前記開始基板を保持する前記取付け構造の少なくとも部分の回転を駆動する、前記プリフォームの回転軸の回りの駆動アームに動作可能なように接続されている請求項16または17に記載の製法。
【請求項19】
前記取付け構造が、前記プリフォームの回転軸に沿って軸方向に前記開始基板を保持する前記取付け構造の少なくとも部分の動きを作動させる駆動アームに動作可能なように接続されている請求項16から18の何れか1項に記載の製法。
【請求項20】
前記堆積される材料が、チタン、銅、アルミニウム、鉄またはその合金のうちの少なくとも1つから選択された金属またはその合金を含む請求項1から19の何れか1項に記載の製法。
【請求項21】
前記堆積される材料が、Ti-6Al-4Vを含む請求項20に記載の製法。
【請求項22】
前記丸いプリフォームは、中実であり、その長手方向中心軸の回りに湾曲しているかまたは丸い断面形状を有する形状を含む請求項1から19の何れか1項に記載の製法。
【請求項23】
前記丸いプリフォームは、その長手方向中心軸の回りの回転対称を有する丸い断面形状を有する請求項22に記載の製法。
【請求項24】
前記丸いプリフォームは、円板、棒、ポール、竿、杖、シリンダ、円柱、マスト、シャフト、合わせ釘、または長い棒のうちの少なくとも1つを含む請求項1から19の何れか1項に記載の製法。
【請求項25】
前記丸いプリフォームは、その直径よりも大きな長さを有する長い棒、または中実で丸い長い棒の少なくとも1つを含む請求項1から19の何れか1項に記載の製法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、一般的には、コールドスプレー堆積技術を用いてプリフォームを生産
するための製法に関する。本発明は、特に、丸い断面を有するプリフォーム、さらに特には丸いチタンまたはチタン合金プリフォームを生産するために応用可能であり、以下に模範的な応用と共に本発明を開示することが好都合であろう。しかし、本発明は、この応用に限定されるべきではなく、そして、いくつかの材料、特に、銅、アルミニウム、合金鉄、セラミック、合金系複合材料等の、金属材料のプリフォームを生産するために用いることができることを理解されたい。
【背景技術】
【0002】
[002]背景技術の以下の考察は、本発明の理解を容易にすることが意図されている。し
かし、この考察は、本出願の優先日に言及されている任意の材料も、公表され、知られ、または常識の一部であったことの認知または承認ではないことを理解されたい。
【0003】
[003]チタンまたはその合金は、高い酸素親和性を有し、それゆえに、制御された雰囲
気を用いる、真空アークやコールドハースメルティングのような製法が必要とされるため、生産するのは高価である。チタンの部分または製品を直接に製造する1つの代わりの方法はコールドスプレー技術の使用によるものである。コールドスプレー製法において、固体状態の小さい粒子が、超高速ガスジェットで、高速度(通常500m/sを超える)に加速されて、基板材料に堆積される。これらの粒子の運動エネルギは、基板との衝撃の際の塑性変形による結合を達成するために利用される。酸化の非存在は、粉末から形作られたチタン製品のニアネットシェイプ(near net shape)製造のためにコールドスプレー技術が用いられることを可能とする。
【0004】
[004]1つの特定の応用では、コールドスプレー技術が、継ぎ目なし中空パイプを生産
することに用いられている。国際公開WO2009109016A1は、継ぎ目なしパイプが、心棒とモールドを有する開始基板(starter substrate)であって、その心棒の外面がパイプの内面を規定し、そのモールドの内面がパイプの外面を規定する開始基板上に、粒子をコールドダイナミックスプレーすることを用いて生産されるそのような1つの製法を記載している。パイプは、次に、開始基板から分離される。この製法は、国際公開WO2011017752A1において、形成されたパイプに相対的に垂直に動かされて開始基板から形成されたパイプを漸進的に分離することができる移動可能な開始基板の使用によって、改良されている。この改良は、継ぎ目なしのチタンのまたはチタン合金の所望の長さのパイプの形成を可能とする。
【0005】
[005]中空製品を形成するためには有用である一方、これらのパイプを形成する製法は
、各パイプを形成する方法が形成される製品を支持し形作るための開始基板の使用に依存しているため、もっぱらスプレー堆積された材料からなる棒や長い棒のような中実な形状を形成するために用いられることはできない。
【0006】
[006]中実なスプレー堆積部品は、所望のスプレーパターンに層の漸進的堆積によって形成され得る。しかし、従来のコールドスプレー法を用いて形成された中実な形状は、大きい速度を達成しそして粒子のいくらかの熱的軟化を可能とする、加速するガスの加熱の必要性に起因する困難性を有し得る。例えば、低ポロシティをもつチタン合金のコールドスプレーは、典型的には700から1100℃の範囲の予熱が必要である。これは、必然的に、ガスジェットが動き去る度に、堆積に対してかなりの熱伝達の結果となる。加熱はコールドスプレーが依然として進行している間でも、大きな堆積におけるき裂または堆積が基板から分離することの原因となる熱応力を引き起こす。表面温度が十分に高い場
合には、酸化さえ起こり得る。
【0007】
[007]この問題を緩和するために、コールドスプレーノズルが、何れの1つの場所にお
ける熱を次のノズルの通過の前に消散させるように、通常表面に亘って速くスキャンする。例えば、正方形断面の長い棒またはビレットのような、材料の大きな堆積が、各パスの終わりで180度方向転換を有する詰まったラスターパターンで、静止した堆積表面(deposition surface)に亘って、0.5m/s以上で、大きなコールドスプレーガンが動かされるラスタースプレー法を用いるコールドスプレーによって、生産され得る。ラスタースプレー法は、ガンを動かすロボットアームによって必要とされる大きな速度に加えて、コールドスプレーガンを動かすロボットアームにかなりの負担もかけ、堆積の均一性に影響を与える、スプレーガンとホースにおける振動の原因となる。そのうえ、粉末供給機から供給変動があることがある。超音速ジェット内の乱れは、それが堆積表面上でおよび堆積表面を離れて繰り返し動くせいで、この効果をさらに悪化させる。堆積の厚みが2、3mmまたはそれより小さいのみである場合は、これらの面の不規則性は小さく、しばしば単に無視される。しかし、堆積が成長するにつれて、不規則性は、ますます拡大されるようになる傾向がある。斜面上への粒子の影響は、衝撃度の法線成分を減少させ、ガスジェットの流れは、深い隆起または窪みに制限される。結果として、その面は、とびとびに平らに形作られることになるが、これは、材料と時間を浪費する。
【0008】
[008]よって、コールドスプレー技術を用いてプリフォームを生産するための代わりの
方法を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
[009]本発明は、コールドスプレー堆積によって、プリフォームを生産するための製法
であって、
プリフォームの回転軸の回りに、開始基板を供給するステップであって、開始基板は実質的に平らな堆積表面を有する少なくとも1つの軸端を有する、供給するステップと、
プリフォームの回転軸の回りに開始基板を回転させるステップと、
製品堆積表面を形成するために、コールドスプレー堆積を用いて開始基板の堆積表面上に材料を堆積するステップであって、コールドスプレー製法は、材料がそれを通して堆積表面上にスプレーされるコールドスプレーアプリケータ(cold spray applicator)を有する、堆積するステップと、
材料の連続した堆積層を形成するために、コールドスプレー堆積を用いて、それぞれの最上の製品堆積表面上に材料を連続的に堆積するステップと、
コールドスプレーアプリケータと最上の製品堆積表面との間に一定の間隔を維持するために、プリフォームの回転軸に沿って軸方向に他に相対的に、コールドスプレーアプリケータ、または開始基板およびプリフォーム製品のうちの少なくとも1つを動かすステップであって、その動かすことによって、選択された長さのプリフォーム製品を形成する、動かすステップとを含み、
コールドスプレーアプリケータが、プリフォームの回転軸に垂直な平面内で動かされることによって、開始基板の各堆積表面またはプリフォーム製品の製品堆積表面上に、実質的に平らな面として材料を堆積する製法を提供する。
【0010】
[010]本発明の製法は、各層が形成された後のプリフォームの軸上の動きを通して、所
望の長さの、チタン、チタン合金または他の材料のプリフォーム製品の形成を可能にする。本発明は、コールドスプレーノズルの動きがプリフォーム回転軸に対し垂直な面における制御された動きをもっている間、プリフォーム回転軸の回りに、加工中の製品が回転させられるという動きの組合せを採用することによって、従来技術のコールドスプレー堆積法の問題に対処する。回転は、ノズルと加工中の製品との間の相対的な動きが速いことを確実にし、一方、ノズルとガンとを制御し動かすロボットまたは他の装置は、高速度を達成することまたは高速の方向転換を行うことが要求されない。
【0011】
[011]そのうえ、本発明のプリフォーム製品は、構成する粉末粒子がコールドスプレー
製法において溶融させられないため、インゴットに見られる微細偏析や他の溶融に関連する欠陥なしに、実質的に一様な微細構造をすみからすみまで有利に維持する。
【0012】
[012]本発明は、プリフォーム回転軸の回りにプリフォーム製品を生産する。よって、
プリフォームは、丸いプリフォームとして典型的には形成される。用語「round preform(丸いプリフォーム)」は、ここでは、中実であり、その長手方向中心軸の回りに湾曲しているかまたは丸い断面形状を有する形状を意味するように用いられていることを理解されたい。丸い断面形状は、円形、楕円等の、任意の丸い形状も含み得る。いくつかの実施形態では、丸い断面形状は、軸方向中心軸の回りの回転対称を有する。他の実施形態では、丸い断面形状は、例えば、楕円等の、その軸方向中心軸の回りに非対称である。
【0013】
[013]よって、本発明の製法から形成されたプリフォームは、円板、棒、ポール、竿、
杖、シリンダ、円柱、マスト、シャフト、合わせ釘等のうちの少なくとも1つを含み得る(ただし、限定されない)。いくつかの実施形態では、プリフォームは、その直径よりも、例えば、その直径の少なくも2倍よりも、大きい長さを有することが理解される、長い棒を含む。かなり大きな直径のプリフォームが、本発明によって生産され得、入手可能な装置のサイズによってのみ限定される。他の実施形態では、プリフォームは中空でありまたは1つまたは複数の隙間を有する。
【0014】
[014]いくつかの実施形態では、プリフォームは、プリフォームの長さに沿って、一定
な直径を有する。他の実施形態では、プリフォームは、プリフォームの長さに沿って、変化するまたは一定ではない直径で形成される。一定ではない直径を有するプリフォームは、円錐形状、円錐断面、階段またはテーパ(大きい直径から小さい直径へ)を有する形状等を含む。一実施形態では、直径は、プリフォームの長さのすみからすみまでまたはこれに沿って一定に変化する。
【0015】
[015]用語「top product deposition surface(最上
の製品堆積表面)」は、プリフォーム製品の外側のまたは最も新しい、コールドスプレーアプリケータに軸方向で最も近い堆積層の堆積表面であることも、また理解されたい。
【0016】
[016]コールドスプレーアプリケータは、プリフォーム回転軸に垂直な平面内で動かさ
れて、開始基板の各堆積表面かまたはプリフォーム製品の製品堆積表面上に、実質的に平らな平面として、材料を堆積する。この平面は、プリフォーム回転軸にそれぞれ垂直な2つの軸(XとY)によって規定され、製品プリフォームを形成するために材料をスプレーするときに、その平面内でこれらの軸に相対的に、コールドスプレーアプリケータの堆積動作が動く。以下に記載されているように、この動きは、開始基板のそれぞれの堆積表面またはプリフォーム製品の製品堆積表面上に、材料の各層を堆積するために、その平面内で、直線的である、多角形または他のパスでたどり得る。
【0017】
[017]上述の通り、実質的に平らな堆積表面を維持して、堆積された材料における欠陥
または他の不規則性、したがってその微細構造を緩和することが、より好ましくは実質的に回避することが重要である。実質的に平らな堆積表面は、典型的には平面状の表面好ましくはプリフォーム回転軸に対して垂直に向けられたものを含む。よって、堆積材料の平らな表面は、コールドスプレーアプリケータの制御された動きを通じて好ましく維持され
る。
【0018】
[018]いくつかの実施形態では、これは、コールドスプレーアプリケータの動きの制御
によって達成され得るため、堆積表面に相対的なコールドスプレーアプリケータの瞬間速度が、コールドスプレーアプリケータがプリフォーム回転軸に対する半径方向の間隔に反比例する。好ましくは、開始基板と付着された製品プリフォームの回転速度は、実質的に一定である。
【0019】
[019]コールドスプレーアプリケータと堆積表面の相対的な速度を変化させるために、
開始基板と付着した製品プリフォームの回転速度もまた制御されて変化させられ得ることに留意されたい。さらに、堆積表面に相対的なコールドスプレーアプリケータの瞬間速度は、コールドスプレーアプリケータがプリフォーム回転軸に対する半径方向の間隔に反比例するように制御され得、この実施形態では、開始基板と付着された製品プリフォームの回転速度における変化の主要因でもある。
【0020】
[020]いくつかの実施形態では、コールドスプレーアプリケータは、一定の速度に制御
され得るし、プリフォーム回転軸X-Xの回りの、開始基板と製品プリフォーム(形成されているときは)の回転速度は、プリフォーム回転軸からの、コールドスプレーアプリケータの関数として制御され得る。理解されるように、これは、また、コールドスプレーアプリケータと堆積表面との間の瞬間速度を変化させる。
【0021】
[021]堆積パターンとスプレーアプリケータの関連する動きとは、また、材料の堆積層
の形態に影響を与え得る。よって、堆積パターンとスプレーアプリケータの関連する動きとは、また、好ましくは制御される。いくつかの実施形態では、制御された動きは、少なくとも2つの点の間で直線的で周期的な運動を含む。例えば、制御された動きは、2つの点、点Aと点Bとの間の直線的で周期的な運動を含み得る。
【0022】
[022]第1のスプレー法(スプレー法1)では、点Aは、プリフォーム製品の堆積表面
の端にあり、点Bは、それぞれの堆積表面の中心近くまたは中心にある。このように、スプレー法1では、ノズルは、点Aと点Bとの間の、プリフォーム回転軸に垂直な平面において、直線的に行ったり来たり動かされる。ノズル速度は、点A近くのノズル速度に相対的に、点B近くで大きい。
【0023】
[023]第2のスプレー法(スプレー法2)では、点Aと点Bとは、それぞれの堆積表面
の端にまたは隣接しており、好ましくは、堆積表面の反対の側に位置している。スプレー法2では、ノズルは、プリフォームの端で、点Aと点Bとの間のプリフォーム回転軸に垂直な平面内で直線的に行ったり来たり動かされる。点Aから点Bに向かってまたは点Bから点Aに向かって動いている間、ノズル速度は、始め増加し、プリフォーム回転軸に最も近い点(点C、これは点Aと点Bとから等距離である)で最大に達し、そして、減少する。
【0024】
[024]理解されるように、プリフォーム回転軸への半径方向の間隔に対するスプレーア
プリケータ速度の反比例関係は、プリフォームの中心(プリフォーム回転軸)において無限大の速度で、スプレーアプリケータが動くことを、原理的には要求する。したがって、いくつかの実施形態では、スプレーアプリケータの動きは、プリフォーム回転軸を通る平行なパスからの半径方向のずれを有するように構成される。このずれは、典型的には小さい距離で、例えば0.1から15mm、好ましくは0.5から10mmである。小さいずれは、依然として、スプレービームの端の粒子がプリフォームの中心部分を「fill in(埋める)」ことを可能にする。スプレービームが、ノズル設計に主として依存する幾分のビームの開きを一般的に示すため、これが可能である。例えば、円形断面をもつノ
ズルを有するスプレーアプリケータは、基板表面上に、円形スポットパターンを生成する。
【0025】
[025]さらなるスプレー法(スプレー法3)では、制御された動きは、点A、B、C、
D、4つの点の間での直線的で周期的な運動を含む。好ましい実施形態では、点A、B、C、Dは、正多角形、好ましくは正方形または長方形の頂点を規定し、制御された動きは、それぞれの点の間で多角形をたどる、プリフォーム回転軸に垂直な平面内の直線的な動きを含む。いくつかの実施形態では、正多角形は、0.1から15mm、好ましくは0.5から10mmの高さを有する長方形を含む。
【0026】
[026]このように、4つの点、点A、B、C、及びDは、スプレー法3において用いら
れ、ノズルは、これらの点の回りの長方形または正方形をたどる。好ましくは、点A及びBは、点C及びDに対し、それぞれの堆積表面/プリフォームの反対端にある。いくつかの実施形態では、点Bから点Aを離す、例えば0.5から10mmの小さい間隔、そして、点Dから点Cを離す同等に小さい間隔である。点Aから点Bへ動く際、同様に点Cから点Dに動く際、コールドスプレーアプリケータの、堆積表面に相対的な瞬間速度は、コールドスプレーアプリケータのプリフォーム回転軸に対する半径方向の間隔に反比例するように制御され得る。点Bから点Cに動く際および点Dから点Aに動く際、相対的に速いノズルの動きが好ましくは用いられる。
【0027】
[027]さらに、他の実施形態では、コールドスプレーアプリケータは、堆積表面に対し
て螺旋パターンで動かされる。
[028]これらのおよび他のスプレーパターンを用いて、円形の断面が、開始基板と形成
されたプリフォーム製品の回転およびそれぞれの堆積表面についてのコールドスプレーアプリケータの対応する動きを通した本発明の製法を用いて作られ得ることを理解されたい。楕円形状のような非対称形状が、開始基板と形成されたプリフォーム製品の回転の動きをコールドスプレーアプリケータの横の動きと同期することによって、生成され得ることを理解されたい。
【0028】
[029]コールドスプレーアプリケータの動きは、任意の適切な手段にもよることができ
る。一実施形態では、コールドスプレーアプリケータの動きは、多軸ロボットアームによって制御される。他の実施形態では、コールドスプレーアプリケータの動きは、リニアアクチュエータによって制御される。
【0029】
[030]コールドスプレー装置は、典型的にはノズルをもつコールドスプレーガンの形態
のコールドスプレーアプリケータを含む。ノズルは、堆積材料がそれを通してスプレーされる出口開口を典型的には含み、ノズルは、スプレーされた堆積材料を所望の方向に向ける。使用において、ノズルは、動きの間、好ましくは、プリフォーム回転軸に実質的に一直線に揃えられているかまたは平行である。しかし、いくつかの実施形態では、ノズルは、堆積表面の外側の端または近くのときにプリフォーム回転軸の中心に向かって、角度をつけて向けられ得る。ノズルは、好ましくは、ノズルの動きが堆積表面の外側の端(プリフォーム製品の端に対応する)に近づくときに、この角度に動かされる。この実施形態では、コールドスプレーノズルは、方向転換させられることによって、ノズルがプリフォームの端に近づく度に、プリフォームの中心に向かって、内方に角度を決められる。この技術は、プリフォームの端の成長を制御するために用いられ得るため、プリフォームは、一定の直径を維持する。
【0030】
[031]開始基板は、プリフォーム製品の形成のための始動または開始表面として用いら
れる。開始基板は、
・調和する材料属性をもつ基板、または
・非類似の材料で作られた基板
のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0031】
[032]理解されるように、開始基板の材料は、堆積材料がその上に付着する材料である
ことが、好ましい。したがって、調和する属性をもつ材料、そして、より好ましくは同じかまたは実質的に類似する材料が、堆積されたコールドスプレー材料はそのような材料と結合するであろうから、好ましい。いくつかの実施形態では、開始基板は、コールドスプレー法によって作られる。いくつかの実施形態では、開始基板は開始プリフォームを有し、より好ましくは、本発明の製法を用いて形成されたプリフォームを有する。
【0032】
[033]開始基板は、任意の適切な寸法も有し得る。いくつかの実施形態では、開始基板
は、プリフォーム製品と少なくとも同じ直径を有し、好ましくは、プリフォーム製品よりも大きい直径を有する。
【0033】
[034]プリフォーム製品が形成されたなら、特に、開始プリフォームがプリフォーム製
品と同一の材料成分を有しない場合、プリフォーム製品から開始プリフォームを分離することが望ましいこともあり得る。よって、本発明の製法は、開始基板からプリフォーム製品を取り除くステップをさらに含み得る。これは、プリフォームを形成するコールドスプレー堆積製法の終いでまたは後に、典型的には起こる。プリフォーム製品の開始基板からの分離は、切断、割断、切断、破断、剪断、切断等の機械的なものを含む、任意の適切な手段によって、または、開始基板の溶解、溶融、蒸発等を含む他の手段によって、達成され得る。
【0034】
[035]粒子でコートされる開始基板の軸端面は、生産されるプリフォームの対応する表
面の特性に影響を与えるであろう。望ましくは、コートされるべき開始基板の軸端面は、滑らかで欠陥がない。コートされるべき開始基板の軸端面が滑らかで欠陥(例えば、かき傷、へこみ、窪み、隙間、小さい穴、異物、押し潰し等)のないものであるとき、プリフォーム製品もまた、滑らかで欠陥がないであろう。上述したように、開始基板の軸端面は、好ましくは、実質的に平ら(実質的に平面の)である。いくつかの実施形態では、開始基板の軸端面は、プリフォーム回転軸に相対的に半径方向に平らな表面を有する。
【0035】
[036]堆積される材料は、任意の適切な材料、好ましくは、任意の適切な金属またはそ
の合金を含み得る。いくつかの実施形態では、材料は、チタン、銅、アルミニウム、鉄またはその合金のうちの少なくとも1つを含む。着目した1つの特定の金属合金は、合金Ti-6Al-4Vである。この材料は、好ましくは、本発明の製法を用いたプリフォームとして、生産される。プリフォーム製品は、好ましくは、生産されて、少なくとも80%の密度、好ましくは少なくとも90%の密度、より好ましくは95%の密度を有する。生産されたときのプリフォームの密度は、ある程度材料依存であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、材料は、セラミックまたはガラスを含む。他の実施形態では、少なくとも2つの異なる金属の合成物からなる、または少なくとも1つの金属と少なくとも1つのセラミックの混合物からなるプリフォームが作られ得る。例えば、2つ以上の異なる粉末の混合のまたは混成の粒子(2つ以上の材料からなる粒子)が、供給材料として用いられ得る。
【0036】
[037]いくつかの実施形態では、コールドスプレーすることによって加えられる合成物
は、生産されるプリフォームの長さに沿って変化させられ得る。これは、製品特性の面でフレキシビリティを提供し得る。例えば、反対の軸端で異なる溶接特性をもつ、長い棒や棒のような金属のプリフォームは、それらの異なる端の間で合成物を変化させることによって生産され得る。あるいは、プリフォーム属性(例えば、熱膨張係数)における変化は、プリフォームの長さに沿うのが望まれ、プリフォーム合成物は、それに従って変化させられ得る。このように、プリフォームは、異なる材料の個別の長さを含み得、または、プリフォームの合成物は、プリフォームの長さに沿って徐々に変化させられ得、または、プリフォームは、これらの配合の組合せを含み得る。
【0037】
[038]プリフォームが複数の材料から製造される場合は、異なる材料の適合性が考慮さ
れなければならない。2つ以上の提案された材料が、どこか(例えば、整合性/結合性)不適合であるなら、相互に適合する材料の1つまたは複数の領域によって不適合な材料を分離する必要がある場合もある。あるいは、プリフォームは、使用される材料の間での任意の不適合問題を軽減するために1つの材料から次への合成物における徐々の変化があるように、製造され得る。
【0038】
[039]いかなる適切な粒子/粉末も、本発明の製法に用いられ得る。使用される粉末/
粒子およびその属性は、特定のプリフォーム製品のための、所望の属性、合成物および/または経済性を満たすように、典型的には選択されるであろう。典型的には、コールドスプレーすることによって加えられる粒子の大きさは、15から30ミクロンの優位性のある粒子サイズを含む5から45ミクロンである。しかし、粒子サイズは、使用される粉末の供給源や仕様に依存して変化し得ることを理解されたい。同様に、より大きな粒子もまた、例えば約150ミクロンにも及ぶ粒子サイズが、いくつかの応用において使用され得る。当業者は、粉末の形態および形成されるべきプリフォームの特性に基づいて、使用すべき最適な粒子サイズまたは粒子サイズ分布を決定することができるであろう。本発明において使用に適する粒子は、商業的に入手可能である。
【0039】
[040]コールドスプレーされる粒子の平均のサイズは、材料の結果として生ずる層堆積
の密度に影響を与え、したがって形成されるプリフォームの密度に影響を与えそうであることを理解されたい。好ましくは、堆積は、均一な密度で、欠陥、接続したミクロボイド(リーク)等がない、なぜなら、そのような存在は、結果として生ずるプリフォームの品質に有害であり得るからである。いくつかの実施形態では、ビレットは、一般的にはスプレーされた粒子と同じスケールである孔を有する。孔は、好ましくは、プリフォーム全体に亘って均一な集中度である。
【0040】
[041]本発明の方法の実施のために用いられる装置は、従来の形態でありそうであり、
そのような装置は、商業的に入手可能かまたは個々に構築される。大まかに言えば、コールドスプレーすることに用いられる装置の基礎は、その内容はこの引用によって本明細書に組み入れられていることが理解されるが、米国特許第5,302,414号に記載され図示されている。いくつかの商業的に入手可能なコールドスプレー装置が、入手可能である。本発明は、1つのまたはある特定の型式のコールドスプレーシステムまたは装置に限定されず、広範なコールドスプレーシステムおよび装置を使用することによって実施され得ることを理解されたい。
【0041】
[042]コールドスプレーアプリケータおよびそれを備えるコールドスプレー装置は、い
くつかの要素を含み得る。いくつかの実施形態では、開始基板は、例えばフィードスルーチャックのような、クランプチャック等を含む取付け構造を用いてプリフォーム回転軸の回りに保持される。取付け構造は、また、動作中に開始基板および/または製品プリフォームがその上に係合するかまたはそうでなければ支持され得る、少なくとも1つの台、ベアリングまたはローラを好ましくは含む。取付け構造は、また、プリフォーム回転軸の回りに開始基板を保持する取付け構造の少なくとも部分の回転を駆動するプリフォーム回転軸の回りで駆動アームに動作可能なように接続され得る。いくつかの実施形態では、取付け構造は、また、プリフォーム回転軸に沿って軸方向に開始基板を保持する取付け構造の少なくとも部分の動きを作動させる駆動アームに動作可能に接続される。例えば、開始基板は、チャックまたは他の標準的クランプ装置を用いて適当な位置に係止され得、そして、旋盤は、開始基板の端面でチャックの回転の軸に相対的に半径方向に動かされる堆積と共にチャックを回転させるために用いられ得る。この場合、ノズルの半径方向の動きと組み合わされたチャックの回転が、プリフォームを生産するために開始基板の軸端面上の堆積の形成に関与している。複数のノズルが、かなりの長さおよび/または直径のコールドスプレーするプリフォームのためのタンデムに使用され得る。複数のノズルの使用は、また、製造プロセスを高速度化し得る。
【0042】
[043]コールドスプレーする製法のための作動パラメータが、所望の特性(密度、表面
仕上げ等)をもつプリフォームを達成するために操作され得る。このように、温度、圧力、スタンドオフ(コールドスプレーするノズルとコートされるべき開始基板表面との間の間隔)、粉末送り込み速度および開始基板とコールドスプレーするノズルの相対的動きのようなパラメータは、必要に応じて調整され得る。一般的に、粒子のサイズと分布が小さいほど、開始基板の表面に形成される層がより高密度である。より大きな粒子速度とより高密度な微細構造を達成するために、より高い圧力とより高い温度が用いられることを可能とする、または粒子を予熱することを可能とするために用いられるコールドスプレー装置を適合させることが適切であることがある。
【0043】
[044]本発明の製法は、チタン粉末の、丸い棒またはプリフォームの形状の金属体への
直接変換を可能とする。よって、安価なチタン粉末の出現で、本発明の製法は、ビレットのような主要なミルプロダクト(mill products)、この場合、円板、長い棒または棒のようなプリフォームの形状で、生産するための経済的な魅力的選択肢を提供し得る。
【0044】
[045]本発明は、また、微細粒子、好ましくは大規模に超微細粒子化された材料を生産
するための実際的な方法を提供する。この際、スプレーされた粒子の微細構造は、コールドスプレー製法を通して実質的に維持されおよび/または洗練される。したがって、プリフォームは、微細から超微細粒子を含む微細構造を有し得る。そのような微細構造は、それがそのプリフォームの望ましい属性を伝達するため、プリフォーム材料において望ましい。
【0045】
[046]本発明は、本発明の特定の好ましい実施形態を表す、添付の図面の図を参照して
以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】[047]本発明のコールドスプレー製法の一実施形態の開始の概略図である。
図2】[048]開始基板上に堆積されたプリフォーム製品を有する、図1に示されたコールドスプレー製法の一実施形態の概略図である。
図3】[049]本発明の一実施形態に基づく、2つの点を用いてプリフォームを形成するために用いられるコールドスプレー堆積パターンの概略図であり(A)、そのパターンで動くときの瞬間ノズル速度の図である(B)。
図4】[050]さらなる、本発明のある一実施形態に基づく、2つの点を用いてプリフォームを形成するために用いられるコールドスプレー堆積パターンの概略図であり(A)、そのパターンで動くときの瞬間ノズル速度の図である(B)。
図5】[051]本発明の一実施形態に基づく、4つの点を用いてプリフォームを形成するために用いられるコールドスプレー堆積パターンの概略図であり(A)、そのパターンで動くときの瞬間ノズル速度の図である(B)。
図6】[052]本発明に基づくスプレー法を用いて作られた開始基板に付着されたTi-6Al-4Vプリフォームの写真を提供する。
図7】[053]本発明に基づくスプレー法を用いて作られたチタン合金Ti-6Al-4Vプリフォームの写真を提供する。開始基板は、プリフォームの底から切断され最上の面が機械加工されている。
図8】[054]純チタンプリフォームの光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[055]本発明は、コールドスプレー技術を用いて、材料の円板、長い棒、棒、円錐のよ
うなプリフォームを形成するための製法を提供する。
[056]コールドスプレーすることは、表面にコーティングを加えるために用いられてい
るよく知られた製法である。大まかに言えば、この製法は、粒子(金属および/または非金属)を、その後このガスを超音速の速度に加速させる収束/転換ノズルを通過させられる高圧力ガスの流れの中に送り込むこと、または、粒子をノズルスロートの後超音速ガス流の中に送り込むことを伴う。そして、粒子は、堆積されるべき表面に向けられる。製法は、基板表面上の粒子の衝突の結果形成されるコーティングを用いて、基板および堆積されるべき粒子の溶融点より低い、比較的に低い温度で実施される。製法は、比較的に低い温度で起こることによって、コーティングされている表面およびコーティングを作り上げる粒子への、熱力学的、熱的および/または化学的効果を、減少させまたは回避させることを可能とする。これは、粒子の始めの構成または属性が、そうでなければ、プラズマ、HVOF、アーク、ガスフレームスプレーまたは他の溶射製法のような高温コーティング製法に関連付けられ得る、相転換等なしに、保存され得ることを意味する。コールドスプレーの基礎原理、装置および方法は、例えば、米国特許第5,302,414号に記載され、その内容はこの参照によって本明細書に組み込まれることが理解される。
【0048】
[057]本発明において、コールドスプレー技術は、開始基板の軸端面上にプリフォーム
構造を形成するために用いられる。そして、開始基板は、初期プリフォーム製品を生産するために、取り除かれ得る。
【0049】
[058]図1は、本発明に基づくプリフォームを形成するための1つの装置100の基本
的な概略図を表す。この実施形態では、開始する基板は、開始基板130の形状で、その上に製品プリフォーム132(図2)がスプレーされる表面を提供するために始めに用いられる。ここに表された開始基板130は、生産されているプリフォーム132の所望の外側直径とおおよそ同じである外側直径をもつ丸い棒である。しかし、開始基板は、任意の適切な、形状、構成または直径、そして特に生産されているプリフォーム製品132の直径と少なくとも同じ直径であり得ることを理解されたい。開始基板130は、その上に動作の間コールドスプレー材料が堆積される、実質的に平らな堆積表面136をもつ軸上の堆積端135を有する。
【0050】
[059]開始基板130は、取付け構造134を用いて、装置100内に、プリフォーム
回転軸X-Xの回りに据え付けられ保持される。図1または図2に詳細には示されていないけれども、この取付け構造134は、適切なクランプまたはチャック型構造、これらのいくつかが現在商業的に入手可能であり得る。模範的な実施形態では、開始基板130は、プリフォーム回転軸X-Xチャック、好ましくはフィードスルーチャックの回りに保持される。図には表されてはいないけれども、取付け構造134は、また、装置100の動作の間、その上に開始基板130および/または製品プリフォーム132が係止する、運ぶまたはさもなければ支持され得る1つまたは複数の台、ベアリングまたはローラを含む。
【0051】
[060]取付け構造134の少なくとも部分は、矢印Rの方向に軸X-Xの回りに開始基
板130の回転を次々に駆動する、プリフォーム回転軸X-Xの回りに動作可能なように駆動される。駆動輪、ターンテーブル、旋盤配置等を含むが限定されない、いくつかの取付け回転構造が、可能である。一実施形態では、開始基板130は、旋盤に装着されたチャックおよびそのチャックを回転するために用いられるその旋盤を用いて正しい場所に係止され得る。
【0052】
[061]開始基板130が取付け構造に据え付けられると、開始基板130は、プリフォ
ーム回転軸X-Xの回りに回転させられる。コールドスプレーアプリケータが、この場合コールドスプレーガン140が、開始基板130の堆積表面136上に所望の材料をスプレーするために用いられる。理解されるように、コールドスプレーガン140は、それを通して材料がスプレーされ堆積表面136上にスプレービーム144で向けられるノズル142を有する。コールドスプレーガン140は、不活性キャリアガスと材料送り込み粒子の供給源をノズル142に供する。コールドスプレーガン140と装着されたノズル142は、従来の形態でありそうであり、大まかに言えば、装置の基礎は、米国特許第5,302,414号に記載され図示されているようなものである。材料粒子は、キャリアガスに乗せられ、キャリアガスと粒子は、音速の速度に加速される。したがって、ノズル142を出たスプレー144は、キャリアガスのジェットと乗せられた材料粒子を含む。
【0053】
[062]コールドスプレーガン140と関連付けられたコールドスプレーシステムは、こ
の製法に一般的なガス、例えば窒素または空気、の何れかを用いて動作され得る。ヘリウムは、より大きな粒子の加速を提供するため、時々用いられる。例えば、受け入れ可能な結果は、窒素を用いてチタンとその合金によって達成され得る。しかし、粒子を用いた可能な反応が関心事である場合、アルゴンが有用な代替であり得る。
【0054】
[063]コールドスプレーガン140は、ロボットアーム146によって、3次元軸(X
、YとZ軸それぞれ)の回りに動くように制御される。しかし、コールドスプレーガン140は、リニアアクチュエータまたは他の手段を含む、任意の適切な手段によって、動かされ得ることが理解される。スプレー印加に先立って、ノズル142の端148は、堆積表面136から適切な堆積距離Dにもってこられる。堆積距離は、堆積表面136上の所望の堆積パターンを提供するために、好ましくは、10から50mm、より好ましくは20から30mm(コールドスプレーガン140に依存して)である。
【0055】
[064]ノズル142からの材料粒子のスプレーすることは、ノズル142が堆積表面1
36から要求される堆積距離Dに位置決めされたときに、開始される。ロボットアーム146は、開始基板130の堆積表面136上に材料をコールドスプレーするために、プリフォーム回転軸X-Xに相対的に、コールドスプレーガン140とノズル142を(図1図2に示されたXとY軸の回りに)半径方向に動かすために用いられる。この場合、ノズル142の半径方向の動きと組み合わされた開始基板130の回転は、開始基板130の堆積表面136上の堆積の形成のための主要因である。図2に示されたように、いくつかのスプレーパターンが、製品プリフォーム132を形成する材料の各堆積層137を形成するために用いられ得る。いくつかの適切なスプレーパターンの例は、以下にさらに詳しく記載されている。
【0056】
[065]コールドスプレーガン140とノズル142は、開始基板130の堆積表面13
6上の最初の堆積層をスプレーするために用いられる。堆積表面136上のスプレーされた粒子は、堆積表面136の一部の上に結合する。開始基板130の位置は、ノズル148の端と軸上の堆積端135の最上のスプレー層137との間の一定の間隔Dを維持するために、開始基板を軸X-Xまたはノズル142に沿ってまたは双方に沿って動かす何れかによって、プリフォーム回転軸X-Xに沿って、ノズル142に相対的に、動かされる。そして、スプレーガン140は、軸上の堆積端135上の材料の最上のスプレー層137上に材料の他の層を堆積して製品プリフォーム132の長さを延ばすように、動作させられる。
【0057】
[066]いくつかの実施形態では、開始基板130と製品プリフォーム132は、軸X-
Xに沿う縦の方向に、コールドスプレーノズル142から離れて、フィードスルーチャックを通してゆっくりと送り込まれることによって、プリフォームが成長するとき、ノズル端148とプリフォームの平らな表面(堆積表面136)との間で、一定の間隔が維持される。他の実施形態では、スプレーガン140とノズル142は、軸X-Xに沿って縦の方向に、製品プリフォーム132の軸上の堆積端135と開始基板130から離れて、動かされる。さらに他の実施形態では、上述した2つの動きの組合せが用いられる。
【0058】
[067]矢印S(図2)の方向におけるプリフォーム132および/または矢印T(図2
)の方向におけるスプレーガン140の動きは、製品プリフォーム132の各層を形成するために要求される粒子の速度に等しい遅い速度で連続的に実行される。このように、製品プリフォーム132は、連続的に形成され、任意の所望の長さにも形成され得る。
【0059】
[068]新たに堆積された材料は、製品プリフォーム132が全断面領域に亘って一定の
速度で成長するようにするために、軸上の堆積端135上の材料の最上の層137上の各コールドスプレー堆積の間、実質的に平らな表面を絶えず維持するべきである。この平らな表面は、以下に記載された、スプレーパターンと方法を用いて維持される。
【0060】
[069]形成されたプリフォーム132の所望の長さに達したとき、開始基板130は、
形成されたプリフォーム132の残材から取り除かれる。開始基板130からのプリフォーム132の分離は、切断、割断、切断、破断、剪断、切断等のような機械的なものを含む、任意の適切な手段によって、または、開始基板の溶解、溶融、蒸発等を含む、他の手段によって、達成され得る。
【0061】
[070]前述の通り、製品プリフォーム132は、軸上の堆積端135上の材料の最上の
層137上の各コールドスプレー堆積の間、新たに堆積される材料が平らな表面を維持するために、全断面領域に亘って一定の速度で成長すべきである。この平らな表面は、プリフォーム回転軸X-Xから任意の半径方向の距離でのコールドスプレーノズル142によって費やされる時間の量が、ノズル142(ノズル142の軸N-N(図1と2)に沿って半径方向の中心としてとられた)からプリフォーム回転軸X-Xまでの半径方向の間隔に比例するスプレーパターンを用いて、維持される。これらのスプレーパターンにおいて、ノズル142を通した粉末/粒子の送り込み速度は、実質的に一定であり、開始基板の回転速度と付着された製品プリフォームの回転速度は、実質的に一定である。
【0062】
[071]この上記の条件は、無数の異なるスプレー法によって、満たされ得る。以下の3
つのスプレーパターンは、上記条件に適合し得るスプレーパターンの非制限的な例を提供する。しかし、本発明は、これらのスプレーパターンに限定されないこと、そして、さまざまな他のスプレーパターンが可能であることを理解されたい。各例では、ノズル142の動きは、多軸ロボットアームによって制御され得る。
【0063】
スプレー法1
[072]図3(A)に示されているように、スプレー法1では、ノズル142は、2つの
点、点Aと点B1との間で行ったり来たり動かされる。点Aは、プリフォーム132の端にあり、点B1は、プリフォーム132の中央に近くかまたはプリフォーム132の中央にある。端135に亘って動くノズル142の瞬間速度は、ノズル142の端143からプリフォーム回転軸X-Xまでの間隔に反比例するように制御される。図3(B)に示されているように、ノズル142の速度は、このゆえに、点A近くでのノズルの速度に相対的に、点B1近くで大きい。
【0064】
スプレー法2
[073]図4(A)に示されているように、スプレー法2で、ノズル142は、2つの点
、点Aと点B2との間で行ったり来たり動かされる。点Aと点B2の双方は、プリフォーム132の端に、通常反対側にある。端135に亘って動くノズル142の瞬間速度は、ノズル142からプリフォーム回転軸X-Xまでの間隔に反比例するように制御される。図4(B)に示されているように、点Aから点B2に向かってまたは点B2から点Aに向かって動くとき、ノズル142の速度は、始め増加し、プリフォーム回転軸X-Xに最も近い点(点C、これは、点Aと点Bから等距離である)で最大に達し、そして減少する。
【0065】
スプレー法3
[074]図5(A)に示されているように、スプレー法3では、4つの点、点A、B、C
とDが用いられ、ノズル142は、これらの間で長方形パスをたどる。点AとBは、点CとDに対してプリフォーム132の反対端にある。例えば0.5から10mmの、点Aから点Bを隔てる小さい距離があり、そして、点Cを点Dから隔てる同等に小さい距離がある。点Aから点Bに、そして同様に点Cから点Dに動く際、端135に亘って動くノズル142の瞬間速度は、ノズル142の端143からプリフォーム回転軸X-Xまでの間隔に反比例するように制御される。相対的に速いノズルの動きが、点Bから点Cへの動きの際におよび点Dから点Aの動きの際に、用いられ得る。
【0066】
[075]厳密に言えば、瞬間ノズル速度は、プリフォーム回転軸X-Xへの間隔に反比例
する場合、ノズル142は、無限大の速度でプリフォーム回転軸X-Xを交差するしかないであろうことを、理解されたい。実際は、最大速度を制限することが許容可能であることわかるため、プリフォーム132の中央での堆積速度は、より大きい直径におけるよりも実質的により大きくない。いくつかの実施形態では、図3(A)、図4(A)と図5(A)に示されているように例えば0.5から10mmの、小さい距離だけノズル142の動きをずれさせることによって、ノズル142がプリフォーム回転軸X-Xを横切ることを防ぐことが、好ましいこともある。スプレービームは、ノズル設計に主として依存する幾分のビームに開きを一般的に示す。例えば、円形の断面をもつノズル142は、基板表面上に円形のスポットパターンを生成する。したがって、スプレービーム144の端での粒子は、このゆえに、プリフォーム132の中央部分を「fill in(埋める)」はずである。
【0067】
[076]ノズル142は、通常プリフォーム回転軸X-Xに平行かまたはおおよそ平行に
揃えられる。いくつかの実施形態では、ノズル142がプリフォーム132の端150(図3図4)に近づく度に、プリフォーム回転軸X-Xに対してノズル142の角度を変化させることがまた必要であることもある。ここで、コールドスプレーノズル142は、方向転換させられるため、プリフォーム回転軸X-X(およびプリフォーム132の中央)に向かって、内側に揃えられる。この技術は、プリフォーム132の端150の成長を制御するために用いられるため、それは、一定の直径を維持する。
【0068】
スプレー法4
[077]図示はされていないが、第4のスプレー法は、開始基板130がプリフォーム軸
X-Xの回りに回転している間の螺旋パターンでのノズル142の動きを含む。この実施形態では、ノズル142は、いくつかの実施形態では、ロボットによって、実質的に一定の速度で、動かされ得る。
【0069】
スプレー法5
[078]スプレー法1、2または3の何れかおよび他の追加の方法が、改変され得るため
、プリフォーム回転軸X-Xに対する間隔に反比例するノズル速度に替えて、プリフォーム回転軸X-Xの回りの開始基板130と製品プリフォーム132の回転速度が、ノズル142の、回転軸X-Xからの半径方向の間隔の関数として変化する。理解されるように、これは、また、ノズル148と堆積表面136との間の瞬間速度も変化させる。そのような実施形態では、ロボットによって動かされるようなノズル142の動きの速度は、実質的に一定に保持され得る。
【0070】

[079]以下の例における本発明の実施形態の記載は、チタン合金粒子から丸いチタン合
金プリフォームを生産することにおいてのものである。しかし、本発明は、さまざまな金属とその合金のプリフォームの生産を可能とし、この記載は、この実施形態を、チタン合金プリフォームのみを生産することに限定するように解釈されるべきではない。
【0071】
例1
[080]上に記載され表された装置100は、Ti-6Al-4V合金プリフォームを作
るために用いられた。用いられたコールドスプレーシステムと条件は、次のようなものであった。
・コールドスプレー装置:CGT Kinetiks 4000システム
・コールドスプレーガンの動きを制御するためのロボットアーム:ABB IRB2600
・超音速ノズルの数:1
・回転据え付け:回転ヘッドをもつ旋盤
・旋盤速度1000rpm
・スタンドオフ:30mm
・スプレー角度:全てのときにおいて、表面に垂直
・ガス:窒素
・ガスよどみ点温度:800℃
・ガスよどみ点圧力:3.5MPa
・粉末送り込み速度:21.4g/分
・ロボット移動速度範囲:7~163mm/秒
【0072】
[081]供給材料粉末は、ガス噴霧によって製造されたTi-6Al-4Vである。開始
基板は、アルミニウム円板であった。
【0073】
[082]Ti-6Al-4Vプリフォームは、上記のようにスプレー法3を用いて作られ
た。プリフォームを導入する際、スプレーガン140のノズル142の端144と端135の最上の層137との間の間隔Dは、図5に示されたパスの各繰り返しに対し開始基板から0.3mm離してスプレーする間、矢印T(図2)の方向に後方に向かってスプレーガン140をゆっくり動かすことによって、維持され、堆積の成長を可能とした。スプレー堆積が終了させられると、開始プリフォームは、生産された丸い円板の端から切り離された。
【0074】
[083]図6は、装着されたアルミニウム開始基板を用いてスプレーした後のTi-6A
l-4Vプリフォームと開始基板の写真を示す。
例2
[084]上に記載され表された装置100は、Ti-6Al-4V合金プリフォームを作
るために用いられた。用いたコールドスプレーシステムと条件は、次のようなものであった。
・コールドスプレー装置:Plasma Giken PCS-1000
・コールドスプレーガンの動きを制御するためのロボットアーム:ABB IRB4600
・超音速ノズルの数:1
・回転据え付け:回転ヘッドをもつ旋盤
・旋盤速度500rpm
・Stand-off:20mm
・スプレー角度:全てのときにおいて表面に垂直
・ガス:窒素
・ガスよどみ点温度:900℃
・ガスよどみ点圧力:5.0MPa
・粉末送り込み速度:41.3g/分
・ロボット移動速度範囲:2~63mm/秒
【0075】
[085]供給材料粉末は、ガス噴霧によって製造されたTi-6Al-4Vである。開始
基板は、アルミニウム円板であった。
【0076】
[086]例1と同様に、Ti-6Al-4Vプリフォームは、上記のようにスプレー法3
を用いて作られた。プリフォームを導入する際、スプレーガン140のノズル142の端144と端135の最上の層137との間の間隔Dは、図5に示されたパスの各繰り返しに対し開始基板から1.0mm離してスプレーする間、矢印T(図2)の方向に後方に向かってスプレーガン140をゆっくり動かすことによって、維持され、堆積の成長を可能とした。
【0077】
[087]コールドスプレーに続いて、チタン堆積が、旋盤において切断することによって
アルミニウム開始円板から切り離された。表面の粗い材料は、機械加工によって取り除かれ、図7に示された形状となった。このプリフォームの機械加工された面(図7)から、中実な金属プリフォームが作られたことは、明白である。
【0078】
例3
[088]上に記載され表された装置は、さらに短い純チタンプリフォームを作るために用
いられた。装置とスプレー条件は、以下を除いて例1と同じであった。
・旋盤速度500rpm
・粉末送り込み速度:13.9g/分
・ロボット移動速度範囲:2~80mm/秒
・ノズルは、図5に示されたパスの各繰り返しに対し開始基板から0.7mm離れて動かされて堆積の成長を可能とした。
【0079】
[089]この例では、供給材料粉末は、水素化脱水素製法(hydride-dehyd
ride process)によって製造された工業用純チタン粉末であった。さらに、円板形状のチタンプリフォームは、図6図7に示されたプリフォームと同様の構成をもって作られた。
【0080】
[090]コールドスプレーに続いて、チタン堆積が、旋盤において切断によってアルミニ
ウム開始円板から切り離された。表面の粗い材料は、機械加工によって取り除かれ、直径73.9mmで厚さ8.6mmの円板となった。そして、切片が、この円板から切り取られ、そして、この薄片は、さらに、断面され、エポキシ樹脂にコールドマウントされて、標準金属技術(standard metallographic techniques)を用いて研磨された。
【0081】
[091]図8は、光学顕微鏡を用いて撮られた写真からエッチングされていない微細構造
を示す。孔は、粒子(図8における黒)の間に見られることができる。孔の集中と分布は、円板のすみからすみまで非常に均一であった。ポロシティが、図8のような顕微鏡写真のデジタル画像分析によって、円板の中心からの一連の半径方向の間隔において、測定された。各間隔において、測定は、統計的平均を得るために5つの顕微鏡写真からとられた。結果は、表1に示されているが、ポロシティの範囲がすみからすみまで4.6~7.0
%であることを示している。
【0082】
[092]表1:代表的なTiプリフォームサンプルに対するポロシティ測定
【0083】
【表1】
【0084】
例4
[093]上に記載され表された装置100は、銅の、円板形状のプリフォームを作るため
に用いられた。純、<200メッシュ銅粉末が、供給材料として用いられた。開始基板は、アルミニウム円板であった。用いられたコールドスプレーシステムと条件は、以下を除いて例1と同じであった。
【0085】
・旋盤速度500rpm
・ガスよどみ点温度:600℃
・ガスよどみ点圧力:3.5MPa
・粉末送り込み速度:52.4g/分
・ロボット移動速度範囲:2~60mm/秒
[094]スプレーの直前直後の粉末送り込み機の重さ測定から、885gの粉末が使われ
たと決定された。銅堆積によって開始円板に加えられた重さは、823gであった。これらの2つの値から、堆積効率は93.1%であったと結論づけられ得る。
【0086】
[095]コールドスプレーに続いて、直径82.3mmで厚さ11.7mmをもつ丸い円
板が、機械加工された。円板の重さは、551.43gであった、これは、8.86g/cmの密度、または銅の理論的密度の98.9%を与える。
【0087】
[096]例および付随する記載は、円形の断面をもつプリフォームのみを示しているが、
楕円のような非対称の円形形状が、開始基板と形成されたプリフォーム製品の回転の動きをスプレーノズルの水平の動きと同期させることによって、生成されることが、理解される。同様に、材料が堆積されていない、隙間または中空もまた、コールドスプレーアプリケータのスプレーパターンにおいて非堆積の領域またはゾーンをビレットに導入することによって、導入されることも、理解される。
【0088】
[097]同様に、例および付随する記載は、実質的に一定の断面をもつプリフォームのみ
を示しているが、プリフォームはまた、円錐形状、円錐断面または階段またはテーパ(より大きい直径からより小さい直径に)の形状のような、変化するまたは一定ではない直径をもって、形成されることもできることが、理解される。
【0089】
[098]当業者は、ここに記載された本発明が、特に記載された変形や改変以外の変形や
改変が可能であることを、理解するであろう。本発明は、本発明の趣旨および範囲内に入る全てのそのような変形や改変を含むことが理解される。
【0090】
[099]この明細書(特許請求の範囲を含む)において、用語「comprise(含む、有する)」、「comprises」、「comprised」または「comprising」が使われているところでは、これらは、述べられている特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を特定するように解釈されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、要素またはそのグループの存在を排除しない。
(項目1)
コールドスプレー堆積によって、プリフォームを生産するための製法において、
プリフォームの回転軸の回りに、開始基板を供給するステップであって、前記開始基板は実質的に平らな堆積表面を有する少なくとも1つの軸端を有する、供給するステップと、
前記プリフォームの回転軸の回りに前記開始基板を回転させるステップと、
製品堆積表面を形成するために、コールドスプレー堆積を用いて前記開始基板の前記堆積表面上に材料を堆積するステップであって、コールドスプレー堆積製法は、前記材料が通って前記堆積表面上にスプレーされるコールドスプレーアプリケータを有する、堆積するステップと、
前記材料の連続した堆積層を形成するために、コールドスプレー堆積を用いて、それぞれの最上の製品堆積表面上に材料を連続的に堆積するステップと、
前記コールドスプレーアプリケータと前記最上の製品堆積表面との間に一定の間隔を維持するために、前記プリフォームの回転軸に沿って軸方向に他に相対的に、前記コールドスプレーアプリケータ、または前記開始基板およびプリフォーム製品のうちの少なくとも1つを動かすステップであって、その動かすことによって、選択された長さのプリフォーム製品を形成する、動かすステップとを含み、
前記コールドスプレーアプリケータが、前記プリフォームの回転軸に垂直な平面内で動かされることによって、前記開始基板の各堆積表面または前記プリフォーム製品の製品堆積表面上に、実質的に平らな面として材料を堆積する製法。
(項目2)
前記堆積材料の平らな面が、コールドスプレーアプリケータの制御された動きを通して維持される項目1に記載の製法。
(項目3)
前記コールドスプレーアプリケータの前記堆積表面に相対的な瞬間速度が、前記コールドスプレーアプリケータが前記プリフォームの回転軸に対する半径方向の間隔に反比例するように前記コールドスプレーアプリケータの動きが制御される項目2に記載の製法。
(項目4)
前記制御された動きが少なくとも2つの点の間の直線的で周期的な動きを含む項目2または3に記載の製法。
(項目5)
前記制御された動きが、
点Aは前記プリフォーム製品の端にあり、点Bは前記プリフォーム製品の中心近くまたは中心にある、または、
点A及び点Bは前記プリフォーム製品の端にあり、好ましくは前記プリフォーム製品の反対端に位置する、
のうちの少なくとも1つから選択された、点Aおよび点Bである2つの点の間の直線的で周期的な動きを含む項目4に記載の製法。
(項目6)
前記スプレーアプリケータの前記動きが前記プリフォームの回転軸を通る平行なパスから半径方向のずれを有するように構成された項目2から5の何れか1項に記載の製法。
(項目7)
前記ずれが0.1から15mm、好ましくは0.5から10mmを含む項目6に記載の製法。
(項目8)
前記制御された動きが4つの点、点A、B、C、及びDの点の間の直線的で周期的な動きを含む項目2、3、6または7の何れか1項に記載の製法。
(項目9)
点A、B、C、及びDが、正多角形、好ましくは正方形または長方形の頂点を規定し、前記制御された動きが、それぞれの前記点の間で前記多角形形状をたどる直線的な動きを含む項目8に記載の製法。
(項目10)
前記正多角形が0.1から15mm、好ましくは0.5から10mmの高さを有する長方形を含む項目9に記載の製法。
(項目11)
前記コールドスプレーアプリケータの動きが多軸ロボットアームによって制御される項目1から10の何れか1項に記載の製法。
(項目12)
前記コールドスプレーアプリケータが、堆積材料がそれを通してスプレーされる出口開口を有するノズルを有し、前記ノズルは、前記スプレーされた堆積材料を所望の方向に向ける項目1から11の何れか1項に記載の製法。
(項目13)
前記ノズルが、動きの間、前記プリフォームの回転軸に実質的に揃えられているかまたは平行である項目12に記載の製法。
(項目14)
前記ノズルが、前記プリフォーム製品の外側の端にまたは近くにあるときに、好ましくは前記ノズルの動きが前記プリフォーム製品の前記外側の端に近づくときに、前記プリフォームの回転軸の中心に向かって、角度をつけて向けられる項目12または13に記載の製法。
(項目15)
前記開始基板から前記プリフォーム製品を取り除くステップをさらに含む項目1から14の何れか1項に記載の製法。
(項目16)
前記開始基板が、
調和する材料属性を有する基板、または、
非類似の材料で作られた基板
のうちの少なくとも1つを含む項目1から15の何れか1項に記載の製法。
(項目17)
前記開始基板が開始プリフォームを有する項目1から16の何れか1項に記載の製法。
(項目18)
前記開始プリフォームがコールドスプレー法、好ましくは項目1から17の何れか1項に記載の製法によって作られた項目17に記載の製法。
(項目19)
前記開始基板が前記プリフォーム製品と少なくとも同じ直径をもつ項目1から18の何れか1項に記載の製法。
(項目20)
前記開始基板の前記軸端面が前記プリフォーム回転軸と比べて半径方向に平らな表面を含む項目1から19の何れか1項に記載の製法。
(項目21)
前記開始基板が、クランプまたはチャック、好ましくはフィードスルーチャックを備えた取付け構造を用いて、前記プリフォームの回転軸の回りに保持される項目1から20の何れか1項に記載の製法。
(項目22)
前記取付け構造が、少なくとも、台、軸受けまたはローラを含む項目21に記載の製法。
(項目23)
前記取付け構造が、前記プリフォームの回転軸の回りに前記開始基板を保持する前記取付け構造の少なくとも部分の回転を駆動する、前記プリフォームの回転軸の回りの駆動アームに動作可能なように接続されている項目21または22に記載の製法。
(項目24)
前記取付け構造が、前記プリフォームの回転軸に沿って軸方向に前記開始基板を保持する前記取付け構造の少なくとも部分の動きを作動させる駆動アームに動作可能なように接続されている項目21、22または23に記載の製法。
(項目25)
前記堆積される材料が、金属またはその合金、好ましくはチタン、銅、アルミニウム、鉄またはその合金のうちの少なくとも1つを含む項目1から24の何れか1項に記載の製法。
(項目26)
前記堆積される材料が、Ti-6Al-4Vを含む項目25に記載の製法。
(項目27)
項目1から26の何れか1項に記載の製法から形成されたプリフォーム、好ましくは丸いプリフォーム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8