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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】圃場の水路開閉装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/00 20060101AFI20230807BHJP
   E02B 11/00 20060101ALI20230807BHJP
   F16K 17/36 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A01G25/00 501B
E02B11/00 302
F16K17/36 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020037729
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021136925
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】加納 一啓
(72)【発明者】
【氏名】白石 宗士
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165692(JP,A)
【文献】特開平10-195856(JP,A)
【文献】特開平09-023766(JP,A)
【文献】特開平09-000089(JP,A)
【文献】特開平02-117328(JP,A)
【文献】特開2005-113549(JP,A)
【文献】特開2006-314249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0276015(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2003-0056713(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
E02B 11/00
F16K 17/36 - 17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場への給水路または圃場からの排水路を形成する水路形成部材に接続される弁体ユニットと、前記圃場に設置されてその圃場内の水位が所定水位になったことを検知する水位計ユニットとを、備え、
前記弁体ユニットは、前記給水路または排水路と通じる流水路を内側に有する本体と、前記流水路を開閉する弁体とを備え、
前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとの間に、前記水位計ユニットによる所定水位の検知を前記弁体ユニットに伝達して、前記流水路を開放する開位置から閉鎖する閉位置への前記弁体の移動を許可する伝達体が設けられ、
前記弁体ユニットは、前記伝達体を接続可能な接続部を有し、かつ、
前記接続部への前記伝達体の接続方向を変更可能となるよう、前記接続部として、異なる側を向く複数の接続部が設けられ、
前記複数の接続部のうちの任意の接続部に接続された前記伝達体の許可により、前記弁体が、前記開位置から前記閉位置に移動する、圃場の水路開閉装置。
【請求項2】
前記弁体ユニットは、前記弁体を、前記開位置と前記閉位置との間のいずれの位置においても、前記開位置から前記閉位置に向かう閉方向に付勢する、付勢部を備える、請求項1に記載の圃場の水路開閉装置。
【請求項3】
前記接続部は、前記本体の、前記流水路を挟む両側部に設けられる、請求項1または2に記載の圃場の水路開閉装置。
【請求項4】
前記本体は、一端が前記流水路の上流側流入口となり他端が前記流水路の下流側流出口となる筒状を成し、
前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支され、
前記弁体を軸支するための軸部は、前記流水路と直交する方向に延びて、前記弁体は、前記閉位置から前記開位置への移動方向が前記流水路の下流から上流に向かう方向となっている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の圃場の水路開閉装置。
【請求項5】
前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支され、かつ、前記弁体は、その弁体を軸支するための軸部を構成する軸部構成部を有し、
前記弁体ユニットは、前記弁体の前記回動移動にあわせて回動し前記弁体を開閉させる操作ハンドルを備え、
前記操作ハンドルは、前記軸部構成部の両端のいずれにも連結可能であり、
前記接続部は、前記軸部の延びる方向にあって前記本体の両側に設けられる、請求項1または2に記載の圃場の水路開閉装置。
【請求項6】
前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支され、
前記弁体ユニットは、前記弁体の前記回動移動にあわせて回動し前記弁体を開閉させる操作ハンドルを備え、かつ、
前記伝達体による、前記弁体の前記開位置から前記閉位置への移動の許可は、前記弁体が前記開位置にあるときの前記操作ハンドルをその開弁姿勢の位置に維持する維持手段を解除することでなされる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の圃場の水路開閉装置。
【請求項7】
前記伝達体は、アウターチューブ内に配されたインナーワイヤーを備え、
前記インナーワイヤーは、前記水位計ユニットによる所定水位の検知によりその水位計ユニット側に引き込まれるように作動し、
前記維持手段は、前記伝達体に設けられ、その維持手段は、突出状態で前記操作ハンドルを係止してその操作ハンドルをその開弁姿勢の位置に維持する出没体を有し、
前記出没体は、前記インナーワイヤーと連動して作動し、そのインナーワイヤーが前記水位計ユニット側に引き込まれたときに、前記出没体が、前記突出状態から引き下がって、その出没体による前記操作ハンドルへの係止が外れることで、前記維持手段が解除されて、前記弁体の前記開位置から前記閉位置への移動が許可される、請求項6に記載の圃場の水路開閉装置。
【請求項8】
前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支され、
前記弁体ユニットは、前記弁体の前記回動移動にあわせて回動し前記弁体を開閉させる操作ハンドルを備え、かつ、
前記弁体ユニットは、規制壁を有して手で回動可能な回動体を備え、
前記回動体は、第1回動位置にあるとき、前記弁体を前記開位置に維持するよう、その弁体が前記開位置にあるときの前記操作ハンドルに対し、前記規制壁が、前記操作ハンドルの回動経路側でその操作ハンドルに当接してその操作ハンドルを保持し、第2回動位置にあるとき、前記規制壁が、前記操作ハンドルの回動経路から外れる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の圃場の水路開閉装置。
【請求項9】
前記操作ハンドルは、前記弁体を軸支するための軸部側から前記本体の外面に沿って延びるように形成され、
前記操作ハンドルと前記回動体とは、前記本体の、前記流路を挟む一方の側部に設けられ、
前記回動体は、前記軸部と平行な軸心回りに回動可能であって、前記第1回動位置にて、前記規制壁が前記操作ハンドルの先端部分に当接してその操作ハンドルを保持する、請求項8に記載の圃場の水路開閉装置。
【請求項10】
前記弁体ユニットは、前記弁体の移動に連動して作動してその弁体が前記開位置にあるか前記閉位置にあるかを示す表示体を備える、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の圃場の水路開閉装置。
【請求項11】
前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支され、
前記弁体ユニットは、前記弁体の前記回動移動にあわせて回動し前記弁体を開閉させる操作ハンドルを備え、かつ、
前記弁体ユニットは、前記操作ハンドルに取り付けられて前記弁体が前記開位置にあるか前記閉位置にあるかを示す表示体を備え、
前記表示体は、基端側が前記操作ハンドルに固定される棒状の表示体本体と、その表示体本体の先端側に設けられた表示部とを有し、
前記表示体が、前記操作ハンドルの回動にあわせて、前記表示体本体が伏した姿勢と、起立した姿勢とに変位することで、前記弁体が前記開位置にあるか前記閉位置にあるかを示す、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の圃場の水路開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場への給水路とか圃場からの排水路を開閉する、圃場の水路開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場への給水路を自動で遮断する給水自動遮断装置があった(例えば、特許文献1参照)。図34に示すように、この給水自動遮断装置53は、圃場51に設置されてその圃場51内の水位の所定水位までの上昇を検知する水位計ユニット54と、圃場51への給水路52に設置される弁体ユニット55とを備えていた。ここで、弁体ユニット55は、給水路52を開閉する弁体と、その弁体を、開位置から閉位置へと移動させる閉位置移動手段55aとを備えていた。そして、水位計ユニット54には、その水位計ユニット54による所定水位の検知を伝達する伝達体56が取り付けられていた。そして、この伝達体56の先端には、作動指示体57が設けられ、その作動指示体57が、弁体ユニット55の被連結部55bに連結されていた。そこで、作動指示体57が、伝達される所定水位の検知に基づいて閉位置移動手段55aを作動させて、給水路52を閉鎖した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-165692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の給水自動遮断装置53においては、伝達体56の配索上、水位計ユニット54の設置位置に制限があり、水位計ユニット54の設置場所として好ましい場所への設置が困難となる場合があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、水位計ユニットの設置場所を広く選ぶことができる、圃場の水路開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る圃場の水路開閉装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、圃場への給水路または圃場からの排水路を形成する水路形成部材に接続される弁体ユニットと、前記圃場に設置されてその圃場内の水位が所定水位になったことを検知する水位計ユニットとを、備える。ここで、前記弁体ユニットは、前記給水路または排水路と通じる流水路を内側に有する本体と、前記流水路を開閉する弁体とを備える。そして、前記水位計ユニットと前記弁体ユニットとの間に、前記水位計ユニットによる所定水位の検知を前記弁体ユニットに伝達して、前記流水路を開放する開位置から閉鎖する閉位置への前記弁体の移動を許可する伝達体が設けられる。また、前記弁体ユニットは、前記伝達体を接続可能な接続部を有し、かつ、前記接続部への前記伝達体の接続方向を変更可能となるよう、前記接続部として、異なる側を向く複数の接続部が設けられる。そして、前記複数の接続部のうちの任意の接続部に接続された前記伝達体の許可により、前記弁体が、前記開位置から前記閉位置に移動する。
【0007】
この水路開閉装置によると、弁体ユニットが、圃場への給水路または圃場からの排水路を形成する水路形成部材に接続され、水位計ユニットが、圃場に設置される。そして、水位計ユニットと弁体ユニットとの間に、伝達体が設けられる。そこで、圃場内の水位が所定水位になると、水位計ユニットがその所定水位になったことを検知し、伝達体が、その所定水位の検知を弁体ユニットに伝達して、弁体の開位置から閉位置への移動を許可する。ここで、伝達体は、弁体ユニットにおける異なる方向を向く複数の接続部のうちの任意の接続部に接続可能であり、選択された接続部に接続された伝達体の許可により、弁体が、開位置から閉位置に移動し、弁体ユニットの流水路、ひいては、給水路または排水路を閉鎖する。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項1に記載の水路開閉装置において、前記弁体ユニットは、前記弁体を、前記開位置と前記閉位置との間のいずれの位置においても、前記開位置から前記閉位置に向かう閉方向に付勢する、付勢部を備える。この付勢部を設けることで、伝達体の許可を受けると、付勢部が作用して、弁体は、確実に、開位置から閉位置へと移動する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項1または2に記載の水路開閉装置において、前記接続部は、前記本体の、前記流水路を挟む両側部に設けられる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水路開閉装置において、前記本体は、一端が前記流水路の上流側流入口となり他端が前記流水路の下流側流出口となる筒状を成している。そして、前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支される。そこで、前記弁体を軸支するための軸部は、前記流水路と直交する方向に延びて、前記弁体は、前記閉位置から前記開位置への移動方向が前記流水路の下流から上流に向かう方向となっている。このように、弁体の回動方向を定めることで、弁体の開位置から閉位置への回動移動に、流水路の水の流れを利用することができ、また、弁体が閉位置に回動移動して流水路を閉鎖した後には、水の圧力が、その閉位置の維持に寄与する。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項1または2に記載の水路開閉装置において、前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支される。そこで、前記弁体は、その弁体を軸支するための軸部を構成する軸部構成部を有する。また、前記弁体ユニットは、前記弁体の前記回動移動にあわせて回動し前記弁体を開閉させる操作ハンドルを備え、この操作ハンドルは、前記軸部構成部の両端のいずれにも連結可能となっている。そして、前記接続部は、前記軸部の延びる方向にあって前記本体の両側に設けられる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水路開閉装置において、前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支される。前記弁体ユニットは、前記弁体の前記回動移動にあわせて回動し前記弁体を開閉させる操作ハンドルを備える。そして、前記伝達体による、前記弁体の前記開位置から前記閉位置への移動の許可は、前記弁体が前記開位置にあるときの前記操作ハンドルをその開弁姿勢の位置に維持する維持手段を解除することでなされる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項6に記載の水路開閉装置において、前記伝達体は、アウターチューブ内に配されたインナーワイヤーを備える。このインナーワイヤーは、前記水位計ユニットによる所定水位の検知によりその水位計ユニット側に引き込まれるように作動する。一方、前記維持手段は、前記伝達体に設けられ、その維持手段は、突出状態で前記操作ハンドルを係止してその操作ハンドルをその開弁姿勢の位置に維持する出没体を有する。そこで、前記出没体は、前記インナーワイヤーと連動して作動し、そのインナーワイヤーが前記水位計ユニット側に引き込まれたときに、前記出没体が、前記突出状態から引き下がって、その出没体による前記操作ハンドルへの係止が外れることで、前記維持手段が解除されて、前記弁体の前記開位置から前記閉位置への移動が許可される。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水路開閉装置において、前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支される。前記弁体ユニットは、前記弁体の前記回動移動にあわせて回動し前記弁体を開閉させる操作ハンドルを備える。そして、前記弁体ユニットは、規制壁を有して手で回動可能な回動体を備える。この回動体は、第1回動位置にあるとき、前記弁体を前記開位置に維持するよう、その弁体が前記開位置にあるときの前記操作ハンドルに対し、前記規制壁が、前記操作ハンドルの回動経路側でその操作ハンドルに当接してその操作ハンドルを保持し、第2回動位置にあるとき、前記規制壁が、前記操作ハンドルの回動経路から外れる。弁体ユニットに、操作ハンドルと回動体とを設けて、回動体を第1回動位置にすることで、回動体が有する規制壁により、操作ハンドルを保持して弁体を開位置に維持することができる。そして、回動体を第2回動位置にすると、規制壁が、操作ハンドルの回動経路から外れることから、操作ハンドルの回動とともに弁体を閉位置に回動移動させることができる。
【0015】
また、請求項9に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項8に記載の水路開閉装置において、前記操作ハンドルは、前記弁体を軸支するための軸部側から前記本体の外面に沿って延びるように形成される。そして、前記操作ハンドルと前記回動体とは、前記本体の、前記流路を挟む一方の側部に設けられる。前記回動体は、前記軸部と平行な軸心回りに回動可能であって、前記第1回動位置にて、前記規制壁が前記操作ハンドルの先端部分に当接してその操作ハンドルを保持する。
【0016】
また、請求項10に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の水路開閉装置において、前記弁体ユニットは、前記弁体の移動に連動して作動してその弁体が前記開位置にあるか前記閉位置にあるかを示す表示体を備える。
【0017】
また、請求項11に記載の発明に係る圃場の水路開閉装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水路開閉装置において、前記弁体は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、前記本体に軸支される。前記弁体ユニットは、前記弁体の前記回動移動にあわせて回動し前記弁体を開閉させる操作ハンドルを備える。そして、前記弁体ユニットは、前記操作ハンドルに取り付けられて前記弁体が前記開位置にあるか前記閉位置にあるかを示す表示体を備える。この表示体は、基端側が前記操作ハンドルに固定される棒状の表示体本体と、その表示体本体の先端側に設けられた表示部とを有する。そこで、前記表示体が、前記操作ハンドルの回動にあわせて、前記表示体本体が伏した姿勢と、起立した姿勢とに変位することで、前記弁体が前記開位置にあるか前記閉位置にあるかを示す。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る圃場の水路開閉装置によれば、接続部として、異なる方向を向く複数の接続部を設けることで、水位計ユニットの設置場所に応じて、伝達体の配索に無理のない接続部を選択することが可能となり、その結果、水位計ユニットの設置場所を広く選ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の一実施の形態の、水路開閉装置の斜視図である。
図2】弁体ユニットの、正面側からの斜視図である。
図3】同じく、背面側からの斜視図である。
図4】同じく、裏面側からの斜視図である。
図5】同じく、正面図である。
図6】同じく、平面図である。
図7】同じく、縦断面図である。
図8図5におけるA-A線による断面図である。
図9図5におけるB-B線による断面図である。
図10】第1弁体ケースの、斜視図である。
図11】第2弁体ケースの、斜視図である。
図12】同じく、正面図である。
図13】同じく、背面図である。
図14】取付筒部の、斜視図である。
図15】同じく、正面図である。
図16】同じく、縦断面図である。
図17】弁体の、表側からの斜視図である。
図18】同じく、裏側からの斜視図である。
図19】操作ハンドルを示し、(a)は、斜視図、(b)は、断面図である。
図20】回動体を示し、(a)は、表側からの斜視図、(b)は、裏側からの斜視図である。
図21】弁体が開位置にあるときの弁体ユニットの、斜視図である。
図22】同じく、縦断面図である。
図23】作動指示体における出没体が前進位置にあって操作ハンドルを係止して、弁体が開位置にある、図9相当図である。
図24】作動指示体における出没体が後退位置にあって操作ハンドルへの出没体の係止が外れて、弁体が閉位置にある、図9相当図である。
図25】回動体が第1回動位置にあって操作ハンドルを保持して、弁体が開位置にある、弁体ユニットの正面図である。
図26図25におけるC-C線による断面図である。
図27】水位計ユニットの、上からの斜視図である。
図28】同じく、下からの斜視図である。
図29】同じく、フロートが上昇する前の縦断面図である。
図30】同じく、フロートが上昇したときの縦断面図である。
図31】フロートの斜視図である。
図32】作動指示体における出没体の斜視図である。
図33】操作ハンドルと回動体(接続補助部材)を、本体の下流側流出口の側から見て右側に設けたときの、図6相当図である。
図34】従来の給水自動遮断装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明に係る圃場の水路開閉装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1図33は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、水田等の圃場を示す。2は、前記圃場1への給水路を示す。3は、圃場の水路開閉装置を示す。
【0022】
水路開閉装置3は、圃場1への給水路2を形成する水路形成部材201(例えば、給水パイプ)に接続される弁体ユニット4と、圃場1に設置されてその圃場1内の水位が所定水位になったことを検知する水位計ユニット5とを、備える。弁体ユニット4は、給水路2と通じる流水路26aを内側に有する本体26と、流水路26aを開閉する弁体27とを備える。そして、水位計ユニット5と弁体ユニット4との間に、水位計ユニット5による所定水位の検知を弁体ユニット4に伝達して、流水路26aを開放する開位置(図22図23参照)から閉鎖する閉位置(図7図24参照)への弁体27の移動を許可する伝達体13が設けられる。弁体ユニット4は、伝達体13を接続可能な接続部29を有する。ここにおいて、接続部29への伝達体13の接続方向を変更可能となるよう、接続部29として、異なる側を向く複数の接続部が設けられる。そこで、前記複数の接続部29、29のうちの任意の接続部29に接続された伝達体13の許可により、弁体27が、前記開位置から前記閉位置に移動する。
【0023】
ここで、弁体ユニット4は、弁体27を、前記開位置と前記閉位置との間のいずれの位置においても、開位置から閉位置に向かう閉方向に付勢する、付勢部30を備える。また、接続部29は、本体26の、流水路26aを挟む両側部に設けられる。そこで、それら接続部29、29は、流水路26aに直交するようにして本体26から離れる側を向いている。
【0024】
弁体27は、前記開位置と前記閉位置との間を回動移動するよう、本体26に軸支される。この弁体27を軸支するための軸部31は、流水路26aと直交する方向に延びており、弁体27は、前記閉位置から前記開位置への移動方向が流水路26aの下流から上流に向かう方向となっている。
【0025】
また、弁体ユニット4は、弁体27の回動移動にあわせて回動し弁体27を開閉させる操作ハンドル32を備える。一方、弁体27は、前記軸部31を構成する軸部構成部27aを有しており、操作ハンドル32は、軸部構成部27aの両端のいずれにも連結可能となっている。そして、前記接続部29は、軸部31の延びる方向にあって本体26の両側に設けられる。また、前記伝達体13による、弁体27の前記開位置から前記閉位置への移動の許可は、弁体27が前記開位置にあるときの操作ハンドル32をその開弁姿勢の位置に維持する維持手段33を解除することでなされる。
【0026】
詳細には、伝達体13は、アウターチューブ13a内に配されたインナーワイヤー13bを備えている。このインナーワイヤー13bは、水位計ユニット5による所定水位の検知によりその水位計ユニット5側に引き込まれるように作動する。そして、前記維持手段33は、伝達体13に設けられ、その維持手段33は、突出状態で操作ハンドル32を係止してその操作ハンドル32をその開弁姿勢の位置に維持する出没体19を有している。この出没体19は、インナーワイヤー13bと連動して作動し、そのインナーワイヤー13bが水位計ユニット5側に引き込まれたときに、出没体19が、前記突出状態から引き下がって、その出没体19による操作ハンドル32への係止が外れることで、前記維持手段33が解除されて、弁体27の前記開位置から前記閉位置への移動が許可される。
【0027】
また、弁体ユニット4は、規制壁34aを有して手で回動可能な回動体34を備える。この回動体34は、第1回動位置にあるとき、弁体27を前記開位置に維持するよう、その弁体27が開位置にあるときの操作ハンドル32に対し、前記規制壁34aが、操作ハンドル32の回動経路側でその操作ハンドル32に当接してその操作ハンドル32を保持し(図25図26参照)、第2回動位置にあるとき、前記規制壁34aが、操作ハンドル32の回動経路から外れるようになっている(図5図9参照)。詳細には、操作ハンドル32は、前記軸部31側から本体26の外面に沿って延びるように形成される。そして、操作ハンドル32と回動体34とは、前記本体26の、前記流水路26aを挟む一方の側部に設けられる。そこで、回動体34は、前記軸部31と平行な軸心34b回りに回動可能であって、前記第1回動位置にて、規制壁34aが操作ハンドル32の先端部分に当接して操作ハンドル32を保持する。
【0028】
また、弁体ユニット4は、弁体27の移動に連動して作動してその弁体27が前記開位置にあるか前記閉位置にあるかを示す表示体35を備える。詳細には、表示体35は、操作ハンドル32に取り付けられる。この表示体35は、基端側が操作ハンドル32に固定される棒状の表示体本体35aと、その表示体本体35aの先端側に設けられた表示部35bとを有する。そこで、表示体35が、操作ハンドル32の回動にあわせて、表示体本体35aが伏した姿勢と、起立した姿勢とに変位することで、弁体27が前記開位置にあるか前記閉位置にあるかを示す。
【0029】
具体的には、弁体ユニット4においては、前記本体26は、一端が流水路26aの上流側流入口26bとなり他端が流水路26aの下流側流出口26cとなる筒状を成して、この本体26内に、前記弁体27が配置される。この本体26は、内部に弁体27が配置される筒状の弁体ケース26dと、前記水路形成部材201に接続される取付筒部26eとを備えており、それら弁体ケース26dと取付筒部26eとが、着脱可能に組み付けられる。そして、弁体ケース26dは、流水路26aの下流寄りの部分が膨出して(詳しくは、概略方形状に膨出して)形成されており、その膨出部26fの部分で分割された、第1弁体ケース261と第2弁体ケース262とからなって、それら第1および第2弁体ケース261、262が、ビス36により一体化されている。そして、第2弁体ケース262は、膨出部26fに続く上側部分が膨出して(詳しくは、概略方形状に膨出して)形成された、上側膨出部26gとなっている。ここで、第1弁体ケース261は、流水路26aの下流側に位置し、第2弁体ケース262は、流水路26aの上流側に位置する。そして、第2弁体ケース262に、前記取付筒部26eが組み付けられる。そこで、取付筒部26eが、流水路26aの上流側にあって、その取付筒部26eの先端部分が、前記上流側流入口26bとなり、第1弁体ケース261の先端部分が、前記下流側流出口26cとなる。すなわち、この弁体ユニット4は、給水路2を形成する水路形成部材201の下流側に接続される。そして、第1弁体ケース261の内面において、下流側流出口26cから膨出部26fに移るコーナー部が、弁体27(詳しくは、後述する弁本体27b)が当接する弁座26hとなる。
【0030】
取付筒部26eは、自身を水路形成部材201に固定するための取付孔26iを有している。そこで、取付筒部26eは、取付孔26iを通って水路形成部材201にねじ込まれたり打ち込まれたりするビス等の固着具(図示せず)により、水路形成部材201に固定され、ひいては、弁体ユニット4が水路形成部材201に接続される。もっとも、取付筒部26eは、水路形成部材201に、ビス等の固着具を用いることなく接着によって固定されてもよく、また、ビス等の固着具に加えて接着によって固定されてもよい。
【0031】
弁体ケース26dと取付筒部26eとの組み付けにおいては、取付筒部26eの一部が、弁体ケース26d(詳しくは、第2弁体ケース262)の端部に挿入される。ここで、取付筒部26eには、弁体ケース26dに挿入される部分の外周面に、ガイド溝26jが形成されている。このガイド溝26jは、取付筒部26eの先端から斜め方向に延びる第1ガイド溝26kと、その第1ガイド溝26kに続いて周方向に延びる第2ガイド溝26mとを備えている。一方、弁体ケース26d(詳しくは、第2弁体ケース262)の内周面には、ガイド溝26jに係合する突部(図示せず)が設けられている。そこで、取付筒部26eが弁体ケース26dに挿入されるように、弁体ケース26dを押し進め、前記突部が第1ガイド溝26kに進入したところで、弁体ケース26dを回動(図示実施の形態においては、時計回り方向に回動)すると、前記突部が第1ガイド溝26kに案内されて、弁体ケース26dは、取付筒部26e側に引き込まれる。そして、さらに弁体ケース26dを回動(図示実施の形態においては、時計回り方向に回動)することで、前記突部が第2ガイド溝26m内を移動する。
【0032】
そして、取付筒部26eには、固定部材26pが設けられる。この固定部材26pは、取付筒部26eに、その軸心方向にスライド可能に取り付けられている。詳細には、固定部材26pは、断面コ字状に形成され、取付筒部26eの外周面に形成された支持突起26qを覆うように嵌められて、先端部分が、弁体ケース26d側に突出する第1位置(図7参照)と、弁体ケース26dから控えた第2位置(図示せず)との間を、スライド可能となっている。一方、弁体ケース26dの外周面には、係合突起26rが形成されている。そこで、取付筒部26eに対し弁体ケース26dを回動し終えた状態で、固定部材26pを前記第2位置から前記第1位置にスライドすると、その固定部材26pが、係合突起26rを覆うようにしてその係合突起26rに係合する。これにより、弁体ケース26dは、自身の回動が阻止されて、その弁体ケース26dは、取付筒部26eに取付け固定される。また、弁体ケース26dが取付筒部26eに固定された状態から、固定部材26pを前記第1位置から前記第2位置にスライドすることで、係合突起26rへの固定部材26pの係合が解除され、さらに、弁体ケース26dを回動(図示実施の形態においては、反時計回り方向に回動)することで、ガイド溝26jへの突部26nの係合が解除されて、弁体ケース26dを取付筒部26eから取り外すことができる。
【0033】
弁体ケース26d(本体26)は、弁体27を軸支するための軸部31を支持する軸受け部26sを有する。この軸受け部26sは、弁体ケース26dの内外を貫通する孔からなり、弁体ケース26dの、前記流水路26aを挟む両側部(詳しくは、第1弁体ケース261の、流水路26aを挟む両側部の上部部分)に設けられる。
【0034】
弁体27は、弁本体27bと、前述の軸部構成部27aとを備え、それら弁本体27bと軸部構成部27aとが繋ぎ部27cによって繋がっている。弁本体27bは、円板状に形成される。そして、弁本体27bの周縁側が斜めに折れ曲がって形成され、その折れ曲がった部分が、弁座26hに当接することで、流水路26aを閉鎖する(図7参照)。
【0035】
軸部構成部27aは、弁体ケース26d(詳しくは、第1弁体ケース261)の内側において、各端が、軸受け部26sと対向位置する。そして、軸部構成部27aの各端には、孔27dがあけられている。そこで、弁体27は、前記閉位置においては、下流側流出口26cに一部が掛かるようにして膨出部26fに配置され、前記開位置においては、膨出部26fから上側膨出部26gに渡る上部部分に収容される。また、軸部構成部27aには、中央位置に棒状の芯材27eが設けられる。そこで、この芯材27eの外周には、前述の付勢部30となるトーションスプリング30aが、装着される。このトーションスプリング30aは、一端が、弁体27の裏面(詳しくは、弁本体27bの裏面に設けられたスプリング受け27f)に支えられ、他端が、弁体ケース26d(詳しくは、第1弁体ケース261)の天面に支えられて、弁体27を、前記開位置から前記閉位置に向かう閉方向に付勢する。
【0036】
操作ハンドル32は、円錐台形状の基部32aと、その裏面から突出して前記軸部31の一部となる第1軸部分32bと、基部32aの側面から延設されたハンドル部32cとを備える。図8に示すように、この操作ハンドル32は、第1軸部分32bが、弁体ケース26dの一方の軸受け部26sに挿入されて、弁体27の軸部構成部27aの一端に取付け固定され、こうして、操作ハンドル32は、軸部構成部27aの一端(ひいては、弁体27)に連結される。軸部構成部27aの他端においては、前記軸部31の一部となる第2軸部分37aを有する軸部材37が、弁体ケース26dの他方の軸受け部26sに挿入されて、軸部構成部27aの他端に取付け固定される。こうして、弁体27と操作ハンドル32(図示実施の形態においては、加えて、軸部材37)とは、一体化されて、操作ハンドル32は、弁体27の回動移動にあわせて回動し、弁体27が閉位置にあるとき、ハンドル部32cが下方を向く閉弁姿勢となり、弁体27が開位置にあるとき、ハンドル部32cが水平方向を向く開弁姿勢となる。
【0037】
ここで、前述したように、操作ハンドル32は、軸部構成部27aの両端のいずれにも連結可能である(つまり、左右の取り付け位置を選択できる)。図1図9および図21図26は、操作ハンドル32を、本体26の下流側流出口26cの側から見て、左側に設けた例を示し、図33は、右側に設けた例を示す。また、操作ハンドル32は、弁体27(詳しくは、軸部構成部27a)に対し、着脱可能となっており、軸部材37は、弁体27(詳しくは、軸部構成部27a)に対し、着脱可能となっている。そこで、操作ハンドル32と軸部材37とを軸部構成部27aに取り付けた後においても、必要に応じて、それらを置き換えて取り付けることができる。
【0038】
詳細には、操作ハンドル32においては、基部32aおよび第1軸部分32bには、基部32a側から第1大径孔32dがあけられ、第1軸部分32b側から第2大径孔32eがあけられ、さらに、内部には、第1大径孔32dと第2大径孔32eとを連通するように小径孔32fがあけられている。そこで、ビス38が、第1大径孔32dと小径孔32fとを通り、第2大径孔32eに挿入された軸部構成部27aの一端の孔27dにねじ込まれることで、第1軸部分32bは、軸部構成部27aの一端に取付け固定されて、操作ハンドル32は、軸部構成部27aの一端(ひいては、弁体27)に連結される。そして、軸部材37においては、おもて面側から第1大径孔37bがあけられ、うら面側から第2大径孔37cがあけられ、さらに、内部には、第1大径孔37bと第2大径孔37cとを連通するように小径孔37dがあけられている。そこで、ビス39が、第1大径孔37bと小径孔37dとを通り、第2大径孔37cに挿入された軸部構成部27aの他端の孔27dにねじ込まれることで、第2軸部分37a(軸部材37)は、軸部構成部27aの他端に取付け固定される。
【0039】
また、操作ハンドル32は、ハンドル部32cの延設方向が、第1軸部分32bの突出方向と直交する方向となっており、そのハンドル部32cの先端部分、つまりは操作ハンドル32の先端部分は、第1軸部分32bの突出方向に位置ずれして偏平状に形成されている。そして、その先端部分には、被係止孔32gがあけられている。
【0040】
接続部29は、前述したように、本体26の、流水路26aを挟む両側部に設けられるが、詳細には、第2弁体ケース262の上側膨出部26gの、流水路26aを挟む両側部において、軸受け部26s(ひいては、操作ハンドル32の基部32a)と同じ高さ位置に突出して形成され、その接続部29には、孔29aがあけられている。図示実施の形態においては、この接続部29に、伝達体13が、接続補助部材40を介して接続される。つまり、接続部29に、接続補助部材40が取り付けられ、その接続補助部材40に、伝達体13が連結(詳しくは、着脱可能に連結)される。そして、一方の接続部29に接続補助部材40が取り付けられると、他方の接続部29には、キャップ41が取り付けられる。ここで、図1図9および図21図26は、接続補助部材40を、本体26の下流側流出口26cの側から見て、左側に設けた例を示し、図33は、右側に設けた例を示す。また、接続補助部材40およびキャップ41は、接続部29に対し、着脱可能となっている。そこで、接続補助部材40とキャップ41とを接続部29、29に取り付けた後においても、必要に応じて、それらを置き換えて取り付けることができる。
【0041】
図示実施の形態においては、前述の回動体34が、接続補助部材40を兼ねている。この回動体34(接続補助部材40)には、取付孔34cがあけられており、ビス42が、その取付孔34cを通り、接続部29に設けられた孔29aにねじ込まれることで、回動体34は、接続部29に取り付けられる。同様に、キャップ41には、取付孔41aがあけられており、ビス43が、その取付孔41aを通り、接続部29に設けられた孔29aにねじ込まれることで、キャップ41は、接続部29に取り付けられる。
【0042】
また、このように、回動体34(接続補助部材40)は、取付孔34cを通るビス42によって接続部29に取り付けられるが、そのビス42の軸心が前記軸心34bとなって、回動可能となる。この回動体34は、弁体27が開位置にあるときの操作ハンドル32(詳しくは、操作ハンドル32の先端部分)を受け入れる受入れ凹部34dを有する。詳細には、回動体34は、略円柱状の回動体本体34eと、その回動体本体34eの先端から突出する略円筒状の筒部34fとを備え、前記受入れ凹部34dは、筒部34fの後方であって前記回動体本体34eに設けられる。
【0043】
ここで、回動体本体34eに、前記受入れ凹部34dが、前記軸心34bを囲む側面からその軸心34bと直交する方向に穿設されるように設けられ、穿設されることなくその受入れ凹部34dを周方向に囲む部分が、前述の規制壁34aとなる。前記取付孔34cは、裏面から受入れ凹部34dに貫通するように設けられる。そして、受入れ凹部34dには、取付孔34cと交差するように、溝34gが設けられ、この溝34gに、ビス42の頭部が嵌まり込む。また、回動体本体34e(回動体34)には、その裏面から突出する突起34hが設けられる。そして、回動体本体34e(回動体34)には、その裏面に、弾性変形可能な撓み片34iが設けられ、その撓み片34iには、凸部34jが形成されている。一方、接続部29には、突起34hが嵌まる円弧状の溝孔29bと、凸部34jが係合する凹部29c、29cが設けられている。そこで、これら突起34hと溝孔29bにより、回動体34の回動範囲が、前記第1回動位置と前記第2回動位置との間に制限される。そして、凸部34jと凹部29cとの係合により、回動体34は、第1回動位置と第2回動位置に保持される。筒部34fは、伝達体13(詳しくは、後述する作動指示体14)が連結される被連結部となるものであり、その内周面には、雌ねじ34kが形成されている。そして、筒部34f内と受入れ凹部34dとを連通するように孔34mがあけられている。
【0044】
表示体35は、図示実施の形態においては、弁体27(詳しくは、弁体27および操作ハンドル32)と一体となって回動する。この表示体35は、前述したように、表示体本体35aと、表示部35bとを有するが、図示実施の形態においては、表示部35bは、旗からなる。そして、表示体本体35aは、操作ハンドル32における基部32aに固定される。詳細には、表示体本体35aは、ハンドル部32cとは反対側に設けられる。そこで、弁体27が前記開位置にあると、表示体本体35aは、伏した姿勢となり、また、弁体27が前記閉位置にあると、表示体本体35aは、起立した姿勢となる。こうして表示体本体35aの姿勢が変化することで、表示部35bの見え方が変わり、弁体27が開位置にあるか閉位置にあるかを、遠方からでも認識することができる。
【0045】
水位計ユニット5は、圃場1内の水位の所定水位までの上昇を検知するものである。詳細には、水位計ユニット5は、水位計本体6と、圃場1内の水面に浮くフロート7と、圃場1内の土壌面1aからの水位計本体6の高さを位置決めする(詳しくは、水位計本体6の高さを調節可能に位置決めする)位置決め部8とを備えて、その位置決め部8により位置決めされた水位計本体6は、圃場1内の水位の上昇によるフロート7の上昇を受けて、圃場1内の水位の所定水位までの上昇を検知する(図29は、フロート7が上昇する前の水位計ユニット5を示し、図30は、フロート7が上昇したときの水位計ユニット5を示す)。さらに、水位計ユニット5は、打込み面1bに打ち込まれて固定される固定杭9と、位置決めされた水位計本体6を固定杭9に固定する固定手段10とを備える。
【0046】
水位計本体6は、水位計ケース61と、その水位計ケース61に収容された検知部材62とを備える。この検知部材62は、水位計ケース61内において横方向(図29および図30において、左右方向)にスライド可能に支持される。そして、図29および図30に示すように、検知部材62には、長孔からなってその長手方向が傾斜する案内孔62aがあけられている。また、この検知部材62は、水位計ケース61内に引き入れられたインナーワイヤー13bが接続されるワイヤー接続部62bを有する。なお、アウターチューブ13aは、水位計ケース61に支持される。
【0047】
フロート7は、発泡体7aと、その発泡体7aを覆うカバー7bとを備えており、水位計本体6の下側に配置される。このフロート7は、上方に突出する一対の支持腕7c、7cを備え(図31参照)、それら支持腕7c、7cは、水位計ケース61の底壁61aにあけられた孔を貫通して水位計ケース61内に進入する。そして、一対の支持腕7c、7cは、検知部材62を挟むように位置し、一対の支持腕7c、7c間に、案内ピン7dが、案内孔62aを通って架け渡される。そこで、水位計本体6に対してフロート7が上下動すると、案内ピン7dと案内孔62aとの係合(カム機構あるいはリンク機構)により、検知部材62は、横方向(図29および図30において、左右方向)にスライドする。
【0048】
また、フロート7には、中央位置に、上下に貫通する貫通孔7eがあけられている。この貫通孔7eは、上側の大径孔7fと下側の小径孔7gとを備える段付き孔であって、大径孔7fの底面7hから前記支持腕7cが突出形成される。
【0049】
位置決め部8は、水位計本体6から下方に延びる軸部81と、その軸部81の下端側に設けられて圃場1の土壌面1aに当接する板状部82とを備える。詳細には、板状部82は、軸部81に対し、その軸方向に沿う高さ位置を調節可能であって、その板状部82の高さ位置を調節することで、土壌面1aからの水位計本体6の高さが調節される。そして、軸部81の下端は、土壌面1aに容易に突き刺さるよう尖って形成される。
【0050】
固定手段10は、水位計本体6(詳しくは、水位計ケース61)に設けられる。この固定手段10は、水位計ケース61にあけられて前記固定杭9が挿入される固定孔10aと、その固定孔10aの内周面から外面に通ずるねじ孔10b(図示実施の形態においては、ナットの雌ねじ孔)と、そのねじ孔10bにねじ込まれて固定杭9を押圧する固定ねじ10cとを備える。そこで、位置決め部8によりその高さが位置決めされた水位計本体6と、圃場1の打込み面1bに打ち込まれて固定された固定杭9において、固定杭9が固定孔10aを通るようにして、その固定杭9を固定ねじ10cで押圧することで、水位計本体6は、その高さが位置決めされた位置で固定杭9に固定され、ひいては圃場1に固定される。なお、図示実施の形態においては、固定杭9は、フロート7に設けられた通孔7iを通り、板状部82の切欠き82aを通って打込み面1bに打ち込まれる。
【0051】
伝達体13においては、その先端に、前述の維持手段33となる作動指示体14が設けられる。この作動指示体14は、前述の出没体19と、その出没体19をスライド可能に収容するとともに弁体ユニット4に着脱可能に取り付けられる指示体ケース20とを備える。詳細には、指示体ケース20は、その外周面に雄ねじ20aが設けられており、その雄ねじ20aを回動体34(接続補助部材40)の雌ねじ34kにねじ込むことで、作動指示体14(伝達体13)は、回動体34(接続補助部材40)に連結され、ひいては、弁体ユニット4の接続部29に接続される。
【0052】
出没体19は、前記スライドにより、先端に備わる係止部19aが、指示体ケース20(詳しくは、指示体ケース20の前壁20bにあけられた孔20c)から突出して(図29参照)、回動体34(接続補助部材40)に設けられた孔34mを通り、操作ハンドル32に設けられた被係止孔32gに進入する。
【0053】
また、出没体19は、後端側に前記インナーワイヤー13bが接続されるワイヤー接続部19bを有して、インナーワイヤー13bが水位計ユニット5側に引き込まれることで、出没体19が、突出状態となる前進位置から引き下がった後退位置に移動して、操作ハンドル32(詳しくは、被係止孔32g)への出没体(詳しくは、係止部19a)の係止が外れて、付勢部30(詳しくは、トーションスプリング30a)の付勢により、操作ハンドル32に連動する弁体27が開位置(図23参照)から閉位置(図24参照)に移動する。なお、図示実施の形態においては、出没体19が、指示体ケース20に収容されることから、インナーワイヤー13bは、指示体ケース20の後壁20dにあけられた孔20eを通って指示体ケース20内に引き入れられて、出没体19のワイヤー接続部19bに接続される。そして、アウターチューブ13aは、指示体ケース20に支持される。
【0054】
詳細には、出没体19は、図32に示すように、前記係止部19aを有する係止部材19cと、ワイヤー接続部19bを有する接続部材19dと、第1の付勢手段としての第1のコイルスプリング19eとを備える。そこで、係止部材19cは、接続部材19dに対し、出没体19のスライド方向と同一方向にスライド可能であり、第1のコイルスプリング19eは、接続部材19dに対し、係止部材19cを突出側へと(つまり、前方に向かって)付勢する。そして、接続部材19dに対して突出側へと移動した係止部材19cの、接続部材19dからの抜け出を阻止するよう、係止部材19cには、被対向面19fが設けられ、接続部材19dには、被対向面19fに当接する対向面19gが設けられる。
【0055】
より詳細には、係止部材19cは、柱状に形成された前記係止部19aと、その係止部19aの後方に形成された鍔部19hとを備えて、その鍔部19hの前面が、前記被対向面19fとなる。接続部材19dは、柱状に形成された前記ワイヤー接続部19bと、そのワイヤー接続部19bの前方に形成された鍔部19iと、その鍔部19iよりも前方に離れて位置するリング部19jと、鍔部19iとリング部19jとを繋ぐ帯状の連結片19k、19kとを備える。そこで、リング部19jの後面が、前記対向面19gとなる。すなわち、係止部材19cは、その係止部19aが、リング部19jに後方から前方に向かって挿入されて、係止部材19cの鍔部19hにおける被対向面19fと接続部材19dのリング部19jにおける対向面19gとが対向する。そして、第1のコイルスプリング19eは、係止部材19cの鍔部19hと接続部材19dの鍔部19iとの間に嵌められ、それらを離間するように付勢(詳しくは、弾性付勢)する。
【0056】
また、作動指示体14は、指示体ケース20に対し、出没体19を突出側へと(つまり、前方に向かって)付勢する第2の付勢手段としての第2のコイルスプリング21を備える。つまり、この第2のコイルスプリング21は、インナーワイヤー13bを、出没体19の突出側へと付勢するものであって、この付勢により、アウターチューブ13a内に配されたインナーワイヤー13bの遊びを取り除くことができる。この第2のコイルスプリング21は、指示体ケース20における、後壁20dと接続部材19dにおける鍔部19iとの間に収容されて、それらを離間するように付勢(詳しくは、弾性付勢)する。そして、前記第1のコイルスプリング19eの付勢力が、この第2のコイルスプリング21の付勢力よりも大となるように、両者の付勢力が設定されている。
【0057】
次に、以上の構成からなる水路開閉装置3の作用効果について説明する。この水路開閉装置3によると、弁体ユニット4が、圃場1への給水路2を形成する水路形成部材201に接続され、水位計ユニット5が、圃場1に設置される。そして、水位計ユニット5と弁体ユニット4との間に、伝達体13が設けられる。そこで、圃場1内の水位が所定水位になると、水位計ユニット5がその所定水位になったことを検知し、伝達体13が、その所定水位の検知を弁体ユニット4に伝達して、弁体27の開位置から閉位置への移動を許可する。この際、弁体ユニット4には、操作ハンドル32を保持する回動体34が設けられていることから、この回動体34による操作ハンドル32の保持が機能しないよう、回動体34を第2回動位置にしておく。ここで、伝達体13は、弁体ユニット4における異なる方向を向く複数の接続部29、29のうちの任意の接続部29に接続可能であり、選択された接続部29に接続された伝達体13の許可により、弁体27が、開位置から閉位置に移動し、弁体ユニット4の流水路26a、ひいては、給水路2を閉鎖する。すなわち、この水路開閉装置3によれば、接続部29として、異なる方向を向く複数の接続部を設けることで、水位計ユニット5の設置場所に応じて、伝達体13の配索に無理のない接続部29を選択することが可能となり、その結果、水位計ユニット5の設置場所を広く選ぶことができる。
【0058】
また、弁体27は、閉位置から開位置への移動方向が流水路26aの下流から上流に向かう方向となっている。このように、弁体27の回動方向を定めることで、弁体27の開位置から閉位置への回動移動に、流水路26aの水の流れを利用することができ、また、弁体27が閉位置に回動移動して流水路26aを閉鎖した後には、弁体27を押す水の圧力が、その閉位置の維持に寄与する。
【0059】
また、弁体ユニット4において、弁体27を開位置から閉位置に向かう閉方向に付勢する付勢部30を設けることで、伝達体13の許可を受けると、付勢部30が作用して、弁体27は、確実に、開位置から閉位置へと移動する。すなわち、付勢部30を用いることなく、流水路26aを流れる水の勢いを利用したり、弁体27そのものの自重を利用したりすることもできるが、付勢部30を用いることで、弁体27の開位置から閉位置への移動が確実になされる。さらに、弁体27が閉位置にあるときに、弁体ユニット4内の水位よりも下流側の水位が高くなったような場合には、水圧で弁体27が開位置側に移動して水が逆流する虞があるが、付勢部30を設けることで、弁体27を閉位置に保って逆流を防ぐことが可能となる。
【0060】
また、弁体ユニット4に、操作ハンドル32と回動体34とを設けて、回動体34を第1回動位置にすることで、回動体34が有する規制壁34aにより、操作ハンドル32を保持して弁体27を開位置に維持することができる。そして、回動体34を第2回動位置にすると、規制壁34aが、操作ハンドル32の回動経路から外れることから、操作ハンドル32の回動とともに弁体27を閉位置に回動移動させることができる。すなわち、水位計ユニット5や伝達体13を用いる場合の他に、それら水位計ユニット5や伝達体13を用いることなく、回動体34によって、手動で、弁体27を開位置に維持したり、閉位置に回動移動させたりすることができる。
【0061】
また、弁体ユニット4は、取付筒部26eを備えており、水路形成部材201に接続された弁体ユニット4を取り外す場合に、取付筒部26eを水路形成部材201側に残して、取付筒部26eを除く部分を取り外して保管するなどすることができる。
【0062】
また、弁体ユニット4に設けられる表示体35によって、弁体27が開位置にあるか閉位置にあるかを把握することができる。このため、弁体27が閉位置となって圃場1への水の供給が終了したことが、すぐにわかる。そして、圃場1への水の供給が終了したら、次の圃場に水路開閉装置3を運んで設置し、その圃場への給水路の上流側にある用水路の堰き止め板を撤去することで、その圃場への水の供給を開始することができる。また、何らかの不具合で弁体27が作動してしまった場合にも、そのことを、表示体35により早めに気付くことができる。また、表示体本体35aは、操作ハンドル32よりも長く形成されるのがよく、これにより、表示体35をすばやく見つけることができる。
【0063】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、弁体ユニット4は、圃場1への給水路2を形成する水路形成部材201に接続されるものでなくても、圃場1からの排水路を形成する水路形成部材(例えば、排水パイプ)に接続されて、弁体ユニット4の本体26内側の流水路26aが前記排水路に通じるものであってもよい。この場合にも、水位計ユニット5は、圃場1内の水位が所定水位になったことを検知するが、例えば、検知部材62における案内孔62aの傾斜の向きを逆にするなどして、圃場1内の水位の所定水位までの下降を検知するものとする。そして、弁体ユニット4は、第2弁体ケース262に組み付けられる取付筒部26eが流水路26aの上流側となるように、排水路を形成する水路形成部材の下流側に接続される。もっとも、この弁体ユニット4を、排水路を形成する水路形成部材の上流側に接続する場合には、弁体ケース26dを反転して、第1弁体ケース261を取付筒部26eに組み付け得るような構成にしてもよい。
【0064】
また、弁体ユニット4において、弁体27は、回動することで、開位置と閉位置との間を移動するが、他に、一方向にスライドすることで、開位置と閉位置との間を移動するものであってもよい。
【0065】
また、弁体ユニット4において、一方の接続部29には、接続補助部材40を兼ねた回動体34が取り付けられ、他方の接続部29には、キャップ41が取り付けられるが、両方の接続部29に、この回動体34を取り付けておいてもよい。同様に、弁体27の軸部構成部27aの一端に、操作ハンドル32が取り付けられ、他端に、軸部材37が取り付けられるが、軸部構成部27aの両端に、操作ハンドル32を取り付けておいてもよい。このように、回動体34とか操作ハンドル32を、本体26の両側に取り付けておくこともできるが、片側のみに取り付けることで、障害物があっても弁体ユニット4をギリギリまで寄せることができる。
【0066】
また、弁体27を開位置に維持するために、出没体19とか回動体34で操作ハンドルを係止したり保持するが、弁体27に直接作用させたり、別の機構に変更したりして、弁体27を開位置に維持してもよい。
【0067】
また、弁体ユニット4における回動体34は、なくてもよい。すなわち、図示実施の形態においては、回動体34が、第2回動位置に固定されて、接続補助部材40としてのみ機能するようにしてもよい。
【0068】
また、表示体35において、表示体本体35aは、弁体27が開位置にあるとき伏した姿勢となり、弁体27が閉位置にあるとき起立した姿勢となるが、反対に、弁体27が開位置にあるとき起立した姿勢となり、弁体27が閉位置にあるとき伏した姿勢となるように、操作ハンドル32に取り付けられてもよい。
【0069】
また、弁体ユニット4には、弁体27を閉方向に付勢する付勢部30として、トーションスプリング30aが設けられるが、このトーションスプリング30aに替えて、おもりとか磁石等が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 圃場
2 給水路
201 水路形成部材
3 水路開閉装置
4 弁体ユニット
5 水位計ユニット
13 伝達体
13a アウターチューブ
13b インナーワイヤー
19 出没体
26 本体
26a 流水路
26b 上流側流入口
26c 下流側流出口
27 弁体
27a 軸部構成部
29 接続部
30 付勢部
31 軸部
32 操作ハンドル
33 維持手段
34 回動体
34a 規制壁
34b 軸心
35 表示体
35a 表示体本体
35b 表示部
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