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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】樹脂サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20230807BHJP
   E06B 1/32 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/32
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020091765
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021188285
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】米道 貴広
(72)【発明者】
【氏名】大西 久夫
(72)【発明者】
【氏名】草開 常徳
(72)【発明者】
【氏名】穴井 伊知郎
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-60070(JP,A)
【文献】特開2014-122470(JP,A)
【文献】特開2015-197008(JP,A)
【文献】特開2016-108909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の枠体と、樹脂製の障子とを備え、
枠体は、竪枠の内周面に金属材料からなる補強部材を有し、
補強部材は、障子の閉鎖時に、内障子の戸先框の外周面から室内側面に対向する見込壁及び室内側見付壁を有する樹脂サッシ。
【請求項2】
樹脂製の枠体と、樹脂製の障子とを備え、
枠体は、竪枠の内周面に金属材料からなる補強部材を有し、
補強部材は、障子の閉鎖時に、外障子の戸先框の外周面から室外側面に対向する見込壁及び室外側見付壁を有する樹脂サッシ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される樹脂サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製の枠材と樹脂製の框材を有し、建物開口部に配置される樹脂サッシが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-108909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記文献1に記載されているような樹脂サッシにおいても、防火性が求められている。
【0005】
本発明は、建物開口部に配置される樹脂サッシにおいて、火災時に枠材が溶融することで障子が落下することを抑制して、防火性能を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、樹脂製の枠体と、樹脂製の障子とを備え、枠体は、竪枠の内周面に金属材料からなる補強部材を有し、補強部材は、障子の閉鎖時に、内障子の戸先框の外周面から室内側面に対向する見込壁及び室内側見付壁を有する樹脂サッシである。
また、一実施形態は、樹脂製の枠体と、樹脂製の障子とを備え、枠体は、竪枠の内周面に金属材料からなる補強部材を有し、補強部材は、障子の閉鎖時に、外障子の戸先框の外周面から室外側面に対向する見込壁及び室外側見付壁を有する樹脂サッシである。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、建物開口部に配置される樹脂サッシにおいて、火災時に枠材が溶融することによる障子の落下を防止するなどして、防火性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の樹脂サッシの内観図である。
図2】一実施形態の樹脂サッシの竪断面図である。
図3】一実施形態の樹脂サッシの横断面図である。
図4】一実施形態の樹脂サッシの竪枠部分の図であり、(a)は補強部材の横断面図であり、(b)は補強部材を固定した右竪枠の横断面図であり、(c)は他の補強部材の横断面図である。
図5】一実施形態の樹脂サッシの補強部材の図であり、(a)(b)は補強部材の斜視図である。
図6】他の実施形態の樹脂サッシの補強部材の図であり、(a)(b)は補強部材の斜視図である。
図7】他の実施形態の樹脂サッシの右竪枠の斜視図である。
図8】他の実施形態の樹脂サッシの補強部材の図であり、(a)(b)は補強部材の斜視図である。
図9】他の実施形態の樹脂サッシの右竪枠の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態の樹脂サッシについて、図面を参考にして説明する。
本実施形態の樹脂サッシは、図1に示すように、建物開口部に配置される枠体1と、枠体1に対して摺動自在に配置される内障子2及び外障子3を備えている。
【0010】
本実施形態のサッシの枠体1は、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14を有しており、各枠材は枠組されることなく、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14がそれぞれ建物開口部の内周面にビス等の固定手段によって固定されることで建物開口部の四周に亘る枠体1が形成されている。
【0011】
本実施形態のサッシの内障子2は、上框21、下框22、左竪框(召合框)23及び右竪框(戸先框)24を四周に組んで、その内周にパネル体25を取り付けて形成されており、外障子3は、上框31、下框32、左竪框(戸先框)33及び右竪框(召合框)34を四周に組んで、その内周にパネル体35を取り付けて形成されている。
そして、内、外障子2,3の召合せ部には、内、外障子2,3を閉鎖状態でロックする複数のクレセント6,6が設けられている。
【0012】
(枠体の構成)
枠体1の上枠11は、図2に示すように、樹脂材料からなる略平板状の上枠本体111と、アルミ合金等の金属材料からなり上枠本体111の内周面(下面)に配置された上レール部材112を有している。
上枠本体111と上レール部材112は、ビス等の固定手段bにより、建物開口部の内周面(下面)に共締め固定されている。
【0013】
上枠本体111は、建物開口部の内周面に配置される上枠本体部111aと、上枠本体部111aの室内側端から垂下する室内側壁部111bを有している。
【0014】
上レール部材112は、上枠本体111と共に建物開口部に固定される上レール固定部112aと、上レール固定部112aの室内側より下方に垂設される上内レール112bと、上レール固定部112aの室外側より下方に垂設される上外レール112cを有している。
【0015】
上内レール112bと上外レール112cとの間であって、内障子2及び外障子3の召合框23,34の上方位置にはヒレ状の風止め部を有する風止め部材41が配置されている。
【0016】
枠体1の下枠12は、図2に示すように、樹脂材料からなる略平板状の下枠本体121と、アルミ合金等の金属材料からなり下枠本体121の内周面(上面)に配置された下レール部材122を有している。
下枠本体121と下レール部材122は、ビス等の固定手段bにより、建物開口部の内周面(上面)に共締め固定されている。
【0017】
下枠本体121は、建物開口部に固定される下枠本体部121aと、下枠本体部121aの室内側端から上方に立設する室内側壁部121bを有している。
【0018】
下レール部材122は、下枠本体121と共に建物開口部に固定される下レール固定部122aと、下レール固定部122aの室内側より上方に立設する下内レール122bと、下レール固定部122aの室外側より上方に立設する下外レール122cを有している。
【0019】
下枠12の下内レール122bと下外レール122cとの間であって、内障子2及び外障子3の召合框23,34の下方位置にはヒレ状の風止め部を有する風止め部材42が配置されている。
【0020】
枠体1の左、右竪枠13,14は、図3に示すように、ほぼ同様の構成をしているので、ここでは主に、右竪枠14ついて説明する。
なお、図面には、左竪枠の対応する部位に適宜符号を付与しておく。
【0021】
右竪枠14は、樹脂材料からなり、略平板状に形成された右竪枠本体部141aと、右竪枠本体部141aの見込み方向略中央位置から内周方向に突設される中央壁部141bと、右竪枠本体部141aの室内側端から内周方向に突設される室内側壁部141cと、右竪枠本体部141aの室外側端から内周方向に突設される室外側壁部141dを有し、ビス等の固定手段によって建物開口部の内周面に固定されている。
【0022】
中央壁部141bは、内周端に室内外両側に延びるヒレ状の気密片を有している。ヒレ状の気密片は、障子の閉鎖時において、内障子2の戸先框24に当接して内障子2と右竪枠14との気密をはかっている。
【0023】
右竪枠14は、右竪枠本体部141aの内周側であって中央壁部141bの室内側に、アルミ合金やスチール等の金属材料からなり断面略L字状もしくは断面略U字状の補強部材8を有しており、補強部材8の内周面に、内障子2の戸先框24に対向するように加熱膨張材が配置されている。
【0024】
なお、左竪枠13は、左竪枠本体部131aの内周側であって中央壁部131bの室外側にアルミ合金やスチール等の金属材料からなり断面略L字状もしくは断面略U字状の補強部材8を有しており、補強部材8の内周面に、外障子3の戸先框33に対向するように加熱膨張材が配置されている点で右竪枠14と異なっている。
【0025】
本実施形態のサッシの枠体1を建物開口部に固定するに際しては、例えば、左竪枠13→下枠12→右竪枠14→上枠11の順番で建物開口部の四周に配置、固定することで、枠体10を建物開口部の四周に対して配置することができる。
【0026】
このとき、建物開口部の四隅において、横枠(上枠11,下枠12)の少なくとも上内レール112b、上外レール112c及び下内レール122b、下外レール122cの一部、もしくは、竪枠(左竪枠13,右竪枠14)の中央壁部131b,141bの一部を切欠くこと等によって、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14同士が取付けに際して干渉することを防止することができる。
【0027】
(内障子の構成)
内障子2の上框21は、図2に示すように、樹脂材料からなる上框本体211と、アルミ合金等の金属材料からなり上框本体211に内装される補強芯材212を有している。
上框本体211は、パネル体25を保持するためのパネル間口部211aと、パネル間口部211aの外周側に形成され上内レール112bに案内される開口部211bを有し、開口部211b内に補強芯材212が配置されている。
【0028】
パネル間口部211a内には、スチール等の金属材料からなる補強部材213が配置されており、パネル体25が、補強部材213及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部211aに保持されている。
開口部211bを構成する室内、外側壁の上端には上内レール112bに当接もしくは近接する気密片が設けられている。
【0029】
補強芯材212は、開口部211bの底部に沿って配置される底壁部212aと、底壁部212aの室内側端部に連続して開口部211bの室内壁に沿って延びる室内壁部212bと、底壁部212aの室外側端部に連続して開口部211bの外側壁に沿って延びる室外壁部212cを有している。
【0030】
底壁部212aの上面には、スチール等の薄板からなる補強部材214が配置されており、開口部211bに配置された補強芯材212と薄板からなる補強部材214は、パネル間口部211aに配置された補強部材213に対して開口部211bの底壁を間に挟んで連結手段により連結されている。
【0031】
補強芯材212の室内壁部212bと室外壁部212cの内側面上方部位と、薄板の補強部材214の上面と、パネル間口部211aに配置された補強部材213には、必要に応じて加熱膨張材が配置されている。
【0032】
内障子20の下框22は、図2に示すように、樹脂材料からなる下框本体221と、アルミ合金等の金属材料からなり下框本体221に内装される第1補強芯材222及び第2補強芯材223を有している。
下框本体221は、内周側のパネル間口部221aと、パネル間口部221aの外周に配置される中空部221bと、外周側の開口部221cとを有している。
【0033】
第1補強芯材222は、断面略矩形の中空形状をなしており、下框本体221の中空部221b内に配置されている。第2補強芯材223は、矩形中空部と下方に開口する開口部を備える断面形状をなしており、下框本体221の開口部221cの開口内に配置されている。
【0034】
第1補強芯材222の中空部内には、スチール等からなる断面略U字状の第1補強部材224が外周方向に開口するように配置され、第2補強芯材223の中空部内及び開口部内には、断面略U字状の第2補強部材225及び第3補強部材226がそれぞれ室内方向に開口するように配置されている。
【0035】
パネル間口部221a内には、スチール等の金属材料からなる第4補強部材227が配置されており、パネル体25が、第4補強部材227及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部221aに保持されている。
【0036】
第4補強部材227と第1補強芯材222及び第1補強部材224は、パネル間口部221aの底壁を挟んで連結手段を介して連結されている。
また、第1補強芯材222と第2補強芯材223及び第2補強部材225は、下框本体221の中空部221bの底壁を挟んで連結手段により連結されており、第2補強部材225と第3補強部材226は、第2補強芯材223の中間壁を間に挟んで連結手段により連結されている。
下框本体221の開口部221cの所定位置には、下内レール122b上を走行する車輪92が配置され、下内レール122b上を走行自在に配置されている。
【0037】
内障子20の右竪框(戸先框)24は、図3に示すように、樹脂材料からなり、断面略矩形の中空部を有する右竪框本体部241bと、右竪框本体部241bの内周側に形成されパネル体25を保持するためのパネル間口部241aを有している。
【0038】
右竪框本体部241bの中空部内には、スチール等の金属材料からなり外周側に向けて開口する断面略U字状の第1補強部材242が配置されている。パネル間口部241a内には、金属材料からなり内周側に向けて開口する断面略U字状の第2補強部材243が配置されており、パネル体25が、第2補強部材243及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部241aに保持されている。
第1補強部材242と第2補強部材243とは、右竪框本体部241bの内周側の壁部を挟んで連結手段により連結されている。
なお、右竪框本体部241bの中空部内に配置される第1補強部材242は、略U字状の断面形状に限らず、例えば、断面略矩形のホロー構造等でもよい。
【0039】
内障子2の左竪框(召合框)23は、樹脂材料からなり、図3に示すように、中空部を有する左竪框本体部231bと左竪框本体部231bの室外側内周に形成されるパネル間口部231aを有している。
【0040】
左竪框23の内周側端には、室外側に延びる当接片231cが形成されており、外障子3の右竪框(召合框)34の外周側端の室内側に設けられた気密材sが当接している。
左竪框23の外周面には例えば防火性能を有するクレセント錠61が取り付けられている。
【0041】
左竪框本体部231bの中空部内には、スチール等の金属材料からなりパネル間口部231aの底壁に沿う見込面部232aと左竪框本体部231bの室外側面に沿う見付面部232bと外周側の見込面部を有する第1補強部材232が配置されている。
【0042】
パネル間口部231a内には、内周側に向けて開口する断面略U字状の第3補強部材234が配置されており、パネル体25が、第3補強部材234及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部231aに保持されている。
【0043】
第1補強部材232と第3補強部材234は、左竪框本体部231bの内周側の壁及び加熱膨張材を間に挟んで連結手段により連結されている。
内障子20に使用されるパネル体25は、耐火性、耐熱性を有するガラス、例えば、結晶化ガラスにより形成されている。
【0044】
(外障子の構成)
以下に、外障子3について説明するが、外障子3と内障子2とは、上下枠および戸先框について基本的にその構成を同じくするものであるから、ここでは、特に外障子3の右竪框(召合框)34について説明し、内障子2の構成と同様の構成については、その説明を省略する。
【0045】
外障子3の右竪框(召合框)34は、樹脂材料からなり、図3に示すように、中空部を有する右竪框本体部341bと右竪框本体部341bの内周側に形成されるパネル間口部341aを有している。
【0046】
右竪框34の右竪框本体部341bの中空部内には、見込壁342aと室内側見付壁342bと室外側見付壁342cを有し外周方向に開口する断面略U字状の第1補強部材342が配置されており、パネル間口部341a内には、内周側に向けて開口する断面略U字状の第2補強部材343が配置されている。
【0047】
第1補強部材342と第2補強部材343は、右竪框本体部341bの内周側の壁を間に挟んで連結手段により連結されており、パネル体35が、第2補強部材343及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口部341aに保持されている。
第1補強部材342には、必要に応じて、火災時の加熱により膨張する加熱膨張材が配置されている。
【0048】
右竪框34の内周側端には、室内側に延びる当接片341cが形成されており、内障子2の左竪框(召合框)23の外周側端の室外側に設けられた気密材sが当接している。
内障子2の左竪框23と外障子3の右竪框34との間には、開き止め部材7が設けられており、右竪框(召合框)34の室内側面に、防火性能を有するクレセント受62が設けられている。
【0049】
以上、本実施形態の樹脂サッシは、上下左右の枠体が略平板状の部材と上下のレール部材等により構成されているので、略平板状の部材を建物開口部に順次配置して固定し、上、下枠体の内周面に上、下レール部材を配置して、ビス等の固定手段によって建物開口部に固定して施工することができるので、例えば、室外側に建具が既に施工されている建物の開口部に対しても、後付けで簡単に施工することができ、また、施工後の開口面積の減少を少なく抑えることができる。
【0050】
-竪枠補強構造-
樹脂サッシにおいては、火災初期において、熱によって竪枠が溶融することで障子の保持ができなくなり、枠体から障子が脱落して延焼を早める危険性があった。
そこで、本実施形態の樹脂サッシは、竪枠に、障子の室内側及び室外側への落下を防止する補強部材8,8を配置することで、火災時に障子の脱落を抑制して防火性能を高めている。
【0051】
以下、本実施形態の樹脂サッシの竪枠補強構造について、右竪枠14の補強部材8を用いて、図面を参考にして説明する。
【0052】
-第1の実施形態-
本実施形態の補強部材8は、スチールやステンレス等の金属材料からなり、図4(a),図5(a)に示すように、右竪枠14の内周面に配置される中央側部材81と、面外側部材82を有している。
【0053】
なお、面外側部材82とは、竪枠14において、内障子2の戸先框24が当接する室内側内周面において、見込み方向で室内側(面外方向で外側)に配置される部材であり、中央側部材81とは、同室内側内周面において、見込み方向で反室内側(中央側)に配置される部材である。
例えば、内障子2が当接する右竪枠14であれば、補強部材8は、室外側に配置される中央側部材81と室内側に配置される面外側部材82を有している。反対に、外障子3が当接する左竪枠13であれば、補強部材8は、室内側に配置される中央側部材81と室外側に配置される面外側部材82を有している。
【0054】
中央側部材81は、右竪枠14の長手方向ほぼ全長に亘る長さ寸法を有する長尺部材であり、右竪枠14の内周面に配置される見込壁81aと、見込壁81aの室外側(中央側)端が内周側に屈曲してなる室外側(中央側)見付壁81bを有している。
【0055】
面外側部材82は、例えば20cm程度の長さ寸法を有する長尺部材であり、右竪枠14の内周面に配置される見込壁82aと、見込壁81aの室内側端が内周側に屈曲してなる室内側(面外側)見付壁82bを有している。
【0056】
中央側部材81はビス孔81dを有し、面外側部材82はビス長孔82dを有しており、面外側部材82を中央側部材81の長手方向中央付近に位置するように固定することで、全体として断面略U字状の補強部材8を構成している。
なお、面外側部材82のビス孔がビス長孔82dであるので、補強部材8の見込幅を調節することができる。
【0057】
そして、図4(b)に示すように、面外側部材82の見込壁82aを外周側にして面外側部材82の見込壁82aと中央側部材81の見込壁81aを重ねて右竪枠14の中央壁部141bの室内側に配置して、右竪枠本体部141aとともにビス等の固定手段によって建物開口部に固定されている。
【0058】
右竪枠14の内周面には、内障子2の戸先框24との間の気密ラインを形成する気密片141eが形成されているが、気密片(気密部)141eは、面外側部材82が配置される部位が切欠き等によって削除されている。
【0059】
なお、補強部材8は、図4(c),図5(b)に示すように、室外側の長手方向の寸法が長く室内側の寸法が短く段状に連続する見込壁83aと、見込壁83aの室外側(中央側)端が内周側に屈曲してなる室外側(中央側)見付壁83bと、見込壁83aの室内側(面外側)端が内周側に屈曲してなる室内側(面外側)見付壁83cを一体的に形成した補強部材83であってもよい。
【0060】
補強部材83の適宜位置には、ビス孔83d,83dが設けられており、右竪枠14の本体部141aとともにビス等の固定手段によって建物開口部に固定される。
【0061】
右竪枠14に固定された中央側部材81もしくは補強部材83には、図4(b)に示すように、見込壁81a,83aの室外側及び室外側(中央側)見付壁81b,83bに火災時の加熱により膨張する加熱膨張材fを配置してもよい。
【0062】
本実施形態の補強部材8によれば、火災時に右竪枠14が溶融した場合であっても、右竪枠14の内周に内障子2の戸先框24の室内側面及び室外側面に対向するように室内側(面外側)見付壁82b及び室外側(中央側)見付壁81bが残存することとなるので、内障子2の室内側及び室外側(特に室内側)への脱落を防止することができる。
【0063】
そして、補強部材8の室内側(面外側)室内側部分を右竪枠14の全長に亘って設けるのではなく、右竪枠14の長手方向で一部分の領域にのみ形成することで、右竪枠14と内障子2の右竪框24との間を気密する気密ラインは補強部材を除くほとんどの部分が維持され、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0064】
-第2の実施形態-
本実施形態の補強部材8は、スチールやステンレス等の金属材料からなり、図6(a),(b)に示すように、中央側部材81と、面外側部材82を有している点で、第1の実施形態の補強部材8と共通している。
そして、本実施形態の補強部材8は、右竪枠14の内周に配置された際に、右竪枠14と内障子2の戸先框24との間に設けられた気密ライン(気密片141e)に連続する気密部が設けられている点で第1の実施形態と異なっている。
【0065】
具体的には、本実施形態の補強部材8は、面外側部材82の見込壁82aの室内側に両面テープ等によってスポンジ部材が張り付けられて気密部85aが形成されている。
【0066】
そして、右竪枠14にビスb,bによって固定された補強部材8は、図7に示すように、気密部85aが、右竪枠14の気密片(気密部)141eに連続して、気密ラインを維持することができる。
なお、本実施形態においても、補強部材8は、中央側部材81と面外側部材82を一体形成した補強部材83でもよい。
【0067】
-第3の実施形態-
本実施形態の補強部材8は、スチールやステンレス等の金属材料からなり、図8(a)に示すように、中央側部材81と、面外側部材82を有している点で、第1の実施形態の補強部材8と共通しており、さらに、気密部85aを有する点で第2の実施形態の補強部材8と共通している。
【0068】
そして、本実施形態の補強部材8は、右竪枠14の内周に配置された際に、右竪枠14と内障子2の戸先框24との間に設けられた気密部(気密ライン)に連続する気密部がモヘア部材で形成されている点で第2の実施形態と異なっている。
【0069】
具体的には、本実施形態の補強部材8は、面外側部材82の見込壁82aの室内側に両面テープ等によってモヘア部材が張り付けられて気密部85aが形成されている。
なお、本実施形態においても、補強部材8は、図8(b)に示すように、中央側部材81と面外側部材82を一体形成した補強部材83でもよい。
【0070】
そして、右竪枠14にビスb,bによって固定された補強部材83は、図9に示すように、気密部85aが、右竪枠14の気密片(気密部)141eに連続して、気密ラインを維持することができる。
【0071】
以上のように、本実施形態にかかる樹脂サッシは、竪枠の内周に障子の戸先框の室内側面及び室外側面に対向する室内側見付壁及び室外側見付壁を有する補強部材が配置されているので、火災時に竪枠の樹脂製部分が溶融しても障子が室内側及び室外側に脱落することを抑制することができる。
【0072】
また、補強部材において、竪枠と竪框との気密ラインを含む領域を竪枠の長手方向に比較的短く形成することによって、大部分の気密ラインを維持することができ、断熱性能の低下を抑制することができる。
【0073】
さらに、補強部材の気密ラインに沿う部位に気密部を形成することで、竪枠と竪框との気密ラインを維持することができ、防火性能を向上させながら、断熱性能を維持することができる。
【0074】
なお、本実施形態の樹脂サッシの竪枠の補強部材は、右竪枠に配置する補強部材を用いて説明しているが、補強部材は左竪枠の内周に設けるものでもよい。
その際には、補強部材は、左竪枠13の中央壁部131bの室外側に設けられて外障子3の戸先框33の室内側面及び室外側面に対向する室内側見付壁及び室外側見付壁を有する補強部材を配置するようにすればよく、右竪枠14に配置した補強部材に対して点対称となるように配置すればよい。
【0075】
その他、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0076】
8 :補強部材
14 :右竪枠
141e :気密片(気密部)
24 :右竪框(戸先框)
81 :室外側部材
81a :見込壁
81b :室外側見付壁
82 :室内側部材
82a :見込壁
82b :室内側見付壁
83 :補強部材
83a :見込壁
83b :室外側見付壁
83c :室内側見付壁
85a :気密部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9