IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クレア・アイピー・ビー.ブイ.の特許一覧

特許7326268外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ
<>
  • 特許-外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ 図1
  • 特許-外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ 図2
  • 特許-外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ 図3
  • 特許-外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ 図4A
  • 特許-外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ 図4B
  • 特許-外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ 図5A
  • 特許-外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ 図5B
  • 特許-外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】外科用カセットのためのフロート式の流体レベルインジケータ
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20230807BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61F9/007 130G
A61M1/00 135
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020526012
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 NL2018050700
(87)【国際公開番号】W WO2019093881
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】2019886
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518007625
【氏名又は名称】クレア・アイピー・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】CREA IP B.V.
【住所又は居所原語表記】Seggelant-Noord2, 3237 MG Vierpolders,The Netherlands
(74)【復代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ダム-ユイスマン、アドリアーンチェ・コリーネ
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-149148(JP,A)
【文献】特開平09-126880(JP,A)
【文献】実開平05-094724(JP,U)
【文献】特表2015-531651(JP,A)
【文献】特開昭55-080019(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0065847(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61M 1/00
G01F 23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術で使用するための洗浄及び/又は吸引システム内の流体レベルを示すための流体レベルインジケータ装置であって、前記流体レベルインジケータ装置は、
流体(F)を保持するように構成されたチャンバ(10)と、ここで、前記チャンバ(10)は、
少なくとも1つの流体ポート(72;74)と、
圧力源(20)に接続するための圧力ポート(71)とを備え、
前記チャンバ(10)から延在するチャネル(140)と、
前記チャンバ(10)内に配設されたフロート本体(162)と、
前記フロート本体(162)から延在し、かつ前記チャンバ(10)から延在する前記チャネル(140)内に少なくとも部分的に配設されたフロートステム(164)と、
ここにおいて、前記フロート本体(162)及び/又は前記フロートステム(164)は、1つ又は複数の径方向に延びる突起(172,174)を備える、
を備えるフロート(160)と
を備える、流体レベルインジケータ装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流体ポートは、第1の流体導管及び第2の流体導管に接続されるように構成された単一の流体ポートを備える、請求項1に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの流体ポートは、第1の流体導管に接続されるように構成された第1の流体ポート(72)と、第2の流体導管に接続されるように構成された第2の流体ポート(74)とを備える、請求項1に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項4】
外科用カセット(8)に含まれる、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項5】
前記チャンバ(10)は、基部(150)と、少なくとも1つの側壁(152)と、上壁(154)とを備え、前記チャネル(140)は、前記チャンバ(10)の前記上壁(154)から延在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項6】
前記チャネル(140)及び/又は前記フロートステム(164)は、前記チャネル(140)に対する前記フロートステム(164)の回転を防止するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項7】
前記フロートステム(164)は、前記フロート本体(162)と比較して比較的狭く、前記チャネル(140)は、前記チャンバ(10)と比較して比較的狭い、請求項1~のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項8】
前記チャンバ(10)は、少なくとも1つのガイド機構(170)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのガイド機構(170)は、前記フロート本体(162)を前記流体ポート(72;74)の上方の前記チャンバ(10)内に位置付ける、請求項に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項10】
前記チャンバ(10)は、流体レベル検出との干渉を最小限にするために、結露が前記チャンバ(10)内には形成されるが、チャネル(140)には形成されないように配置されることを可能にする、請求項1~のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項11】
前記圧力ポート(71)は、前記チャネル(140)を介して前記チャンバ(10)と流体連通している、請求項1~10のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項12】
前記フロートステム(164)は、少なくとも1つのマーカ(176)を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
【請求項13】
眼科手術処置中に使用するための洗浄システムであって、前記洗浄システムは、
請求項1~12のいずれか一項に記載の前記流体レベルインジケータ装置と、
前記圧力ポート(71)と流体連通する可変圧力源(20)と、
前記少なくとも1つの流体ポート(72;74)と流体連通する洗浄導管(214)と、
前記少なくとも1つの流体ポート(72;74)と連通する注入導管(218)と
を備える、洗浄システム。
【請求項14】
眼科手術処置中に使用するための吸引システムであって、前記吸引システムは、
請求項1~12のいずれか一項に記載の前記流体レベルインジケータ装置と、
前記圧力ポート(71)と流体連通する可変圧力源(20)と、
前記少なくとも1つの流体ポート(72;74)と流体連通する排出導管(118)と、
前記流体ポート(72;74)と流体連通する吸引導管(116)と
を備える、吸引システム。
【請求項15】
前記チャネル(140)内の前記フロートステム(164)の位置を検出するための1つ又は複数のセンサ(182)を有する位置感知システムを更に備える、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記位置感知システムは、前記チャネル(140)の第1の側に配置された光源(181)と、前記チャネル(140)の反対側に配置された少なくとも1つの光センサ(182)とを備える光感知システム(180)であり、
前記チャネル(140)は、透明材料から形成され、
マーカ(176)は、前記光源からの光がそこを通過して前記少なくとも1つの光センサ(182)に衝突することを可能にするように構成された開口を備える、
請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロート式の流体レベルインジケータ、特に、外科用カセット、例えば、(眼科)手術で使用するための洗浄又は吸引カセット用のフロート式の流体レベルインジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科手術の間、流体は通常、眼に注入され、そこから吸引される。このような手術を行うためのシステムは、一般に、眼に又は眼から送達されるべき流体の量を保持するための吸引及び/又は洗浄チャンバを備える。チャンバ内に保持される流体の量は、圧力発生手段によって引き起こされる変動を緩衝する。チャンバが効率的に動作するためには、チャンバ内の流体レベルが監視されなければならず、チャンバは、完全に満たされても、完全に空であってもならない。このため、吸引/洗浄カセットは、一般に、チャンバ内の流体レベルを測定するシステムを備える。
【0003】
米国特許第5,747,824(A1)号は、外科用カセットリザーバ内の流体のレベルを感知するための装置及び方法を記載している。このシステムは、赤外線LEDのアレイと、各LED及びフォトトランジスタが光バッフルの内側に取り付けられた4つのフォトトランジスタレシーバのアレイとを備える。各LEDからの光は、液体/空気界面によって遮断されない限り、対応するレシーバに衝突する。したがって、流体/空気界面の位置(したがって、リザーバ内の流体レベル)を決定することができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、流体レベルの遠隔感知、すなわち流体/空気界面から離れた遠隔感知を可能にする、外科用カセットのチャンバ内の流体レベルを示すための改善された装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、洗浄及び/又は吸引装置、より具体的には眼科用洗浄及び/又は吸引装置における流体レベルを示すための流体レベルインジケータが提供される。インジケータは、流体を保持するように構成されたチャンバを備え、チャンバは、少なくとも1つの流体ポートと、圧力源に接続するための圧力制御ポートとを備える。チャネルがチャンバから延在する。フロートは、チャンバ内に配設されたフロート本体と、フロート本体から延在し、かつチャンバから延在するチャネル内に少なくとも部分的に配設されたフロートステムとを備える。フロート本体は、チャンバ内の流体のレベルと共に移動するように構成され、それによって、チャンバから延在するチャネルに沿ってフロートステムを移動させる。
【0006】
本発明のフロート式の流体レベルインジケータは、有利には、流体表面から離れた流体レベル検出を可能にし、それによって、チャンバ内の液体特性の変化、例えば、血液、眼組織、油、及びペルフルオロカーボン液(PFCL)によるチャンバ内の流体の汚れに対して一般に影響されないシステムを提供する。
【0007】
さらなる実施形態が、添付の特許請求の範囲に記載されている。
本発明は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、眼科手術処置中に眼から流体及び眼球物質を吸引するための吸引システムを示す。
図2図2は、眼科手術処置中に眼を洗浄するための洗浄システムを示す。
図3図3は、図1及び図2のシステムで用いられるコントローラの概略図を示す。
図4A図4Aは、本発明の実施形態による、外科用洗浄システム又は外科用吸引システムのチャンバ内の流体のレベルを示すためのフロート式の流体レベルインジケータを示す。
図4B図4Bは、本発明の実施形態による、外科用洗浄システム又は外科用吸引システムのチャンバ内の流体のレベルを示すためのフロート式の流体レベルインジケータを示す。
図5A図5Aは、本発明の実施形態による流体レベルインジケータと共に使用するための感知システムを示す。
図5B図5Bは、本発明の実施形態による流体レベルインジケータと共に使用するための感知システムを示す。
図6図6は、洗浄及び吸引処置での使用に適した多目的外科用カセットに提供されるフロート式の流体レベルインジケータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。当業者であれば、本明細書に記載の装置及び方法が非限定的な例示的実施形態であり、保護の範囲が特許請求の範囲によって定義されることを理解するであろう。例えば、本発明は、眼科吸引及び/又は洗浄処置に関して記載されるが、当業者は、本発明が、他の用途、例えば、他の吸引及び/又は洗浄システム、例えば、細針吸引処置において使用され得ることを理解するであろう。当業者はまた、1つの例示的な実施形態に関連して図示又は説明された特徴が、他の例示的な実施形態において説明された特徴と組み合わせられ得ることを理解するであろう。そのような修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれる。
【0010】
本発明は、図1に示されるような吸引システム、又は図2に示されるような洗浄システムにおいて用いられ得る。図1及び図2に示すように、本発明の実施形態による吸引システム100及び洗浄システム200は各々、チャンバ10の下部に流体Fを、チャンバ10の上部の残りの空間に空気Aを収容するように構成されたチャンバ10を有するカセット8を備える。チャンバ10は、流体入口ポート72と、流体出口ポート74と、圧力ポート71とを備える。流体レベルインジケータ装置50は、チャンバ10内の流体Fのレベルを示すように構成される。可変圧力源20は、チャンバ10内の圧力、したがってチャンバ10と眼1との間の流体の流れを制御するために、圧力ポート71を介してチャンバ10に結合される。ポンプ212は、必要に応じて流体をチャンバ10に出し入れする。
【0011】
図1に示す吸引システム100では、可変圧力源20は少なくとも1つの流体ポート72、74を通してチャンバ10内に流体を引き込むための負圧源として構成される。少なくとも1つの流体ポート72、74は、眼1からチャンバ10に流体を送達するための吸引導管116と、チャンバ10からドレイン120に流体Fを送達するための排出導管118と流体連通している。流体は、ポンプ212を使用してチャンバ10からドレイン120に移動する。吸引システム100において、流体Fは、図1の矢印F1の方向に移動する。
【0012】
洗浄システム200において、圧力源20は、チャンバ10から眼1に流体Fを送達するように適合された正圧源として構成される。これらの実施形態では、少なくとも1つの流体ポート72、74は、流体を注入源210からチャンバ10に送達するための注入導管218と流体連通している。少なくとも1つの流体ポート72、74はまた、チャンバ10から眼1に流体Fを送達するための洗浄導管214と流体連通している。流体は、ポンプ212を使用して、注入源210からチャンバ10に移動する。洗浄システム200において、流体は、図2の矢印2の方向に移動する。
【0013】
可変圧力源20は、チャンバ10に正圧及び負圧を加えるように構成されることができる。この装置は、有利には、多用途であり、洗浄処置及び吸引処置の両方において使用され得る。例示的な実施形態では、カセット8は、チャンバ10内の圧力を測定するためにチャンバ10と流体連通して提供された、圧力センサ30を更に備え得る。
【0014】
圧力センサ30及び流体レベルインジケータ50と連通するコントローラ40は、チャンバ10内の圧力及び流体レベルを制御するように構成される。
【0015】
さらなる実施形態では、流体入口ポート72及び流体出口ポート74は、チャンバ10に直接接続された単一の流体ポートとして組み合わせられる。次いで、流体ポート72;74は、第1の導管(図1の実施形態における吸引導管116又は図2の実施形態における注入導管218など)への入力接続と、第2の導管(図1の実施形態における排出導管118又は図2の実施形態における洗浄導管214)への出力接続とに分かれる。これは、チャンバ10が圧力制御によって流体ポート72;74への又はそこからの流体の流れを制御しているために可能である。
【0016】
ここで図3を参照すると、コントローラ40は、チャンバ10内の流体レベルを所望の範囲に維持するための流体レベルコントローラ43と、チャンバ10内の所望の圧力(例えば、洗浄圧力又は吸引圧力)を維持するための圧力コントローラ42とを備える。
【0017】
流体レベルコントローラ43は、流体レベルインジケータ50から流体レベル情報を受け取り、チャンバ10内の流体レベルを所望の範囲内に維持するようポンプ212を制御する速度コントローラ220に設定点を提供する。吸引用途では、速度コントローラ220は、流体Fがチャンバ10からドレイン120に排出される速さを制御する。コントローラ40が、流体レベルインジケータ50からのフィードバックに基づいて、チャンバ10内の流体レベルが高すぎると決定した場合、コントローラ40は、ポンプ212が流体Fをチャンバ10からドレイン120に移動させる速度を増加させるために、速度コントローラ220の設定点を調整する。
【0018】
吸引用途では、速度コントローラ220は、流体Fが注入ボトル210からチャンバ10に入る速さを制御する。流体レベルインジケータ50からのフィードバックに基づいて、コントローラ40が、チャンバ10内の流体レベルが低すぎると決定した場合、コントローラ40は、ポンプ212が洗浄流体を注入ボトル210からチャンバ10に送達する速さを増加させるために、速度コントローラ220の設定点を調整する。ポンプ212は、当技術分野で知られているタイプの蠕動ポンプであり得る。
【0019】
圧力コントローラ42は、圧力センサ30から圧力情報を受け取り、チャンバ10内の圧力を所望のレベルに維持するように、可変圧力源20によって送達される圧力を調整する。
【0020】
有利には、図3に示すコントローラ40は、吸引ライン116又は洗浄ライン214内の流量センサを必要とせずに、眼1への及び眼1からの流量の計算も可能にすることができる。これは、眼科用手術システムが一般に、狭いゲージの洗浄/吸引ラインを備えており、それを横切る流れ感知が困難であり得るため、有利である。しかしながら、上述のシステムでは、コントローラ40は、以下の既知の量:チャンバ内の流体レベル(流体レベルインジケータ50によって測定される)、チャンバ10内の圧力(圧力センサ30によって測定される)、及びポンプ212によってチャンバ10に出入りするように指示された流量、使用中に眼への/眼からの流れの圧力損失に関連するシステムパラメータ(例えば、管ならびに針の長さ及び直径)のうちの全て又はいくつかに基づいて、眼に出入りする流量を計算することができる。
【0021】
図3の上記の説明は、圧力動作モードに関するものであり、ユーザは、所望の圧力の設定点を圧力コントローラ42に入力することができる。これは、本発明の実施形態が眼への洗浄を制御するために、及び眼からの吸引を制御するために使用されるときの両方に適用され得る。吸引目的に特に適したさらなる実施形態では、本発明の実施形態は、流量制御モードで動作する。流量制御モードでは、所望の吸引流量の設定点が、排水ポンプ212の速度を制御するために、速度コントローラ220に入力される。流体レベルコントローラ43は、後に内部の規定された設定点に流体レベルが制御されることを保証するように可変圧力源20を制御する圧力コントローラ42に圧力設定点を提供するために、流体レベルインジケータ50からの入力を使用する。
【0022】
システムが効率的に動作するためには、チャンバ10は完全に満たされていても完全に空であってもならないことが理解されよう。これは、チャンバ10内の流体Fが、圧力源20、ポンプ212、及び吸引又は洗浄ラインの閉塞によって、送達される圧力及び流体(液体)の流れの変動に対してバッファを提供するからである。したがって、流体レベルインジケータ装置50は、チャンバ内の流体レベルの正確な感知が可能でなければならない。
【0023】
図4Aに示すように、カセット8は、(眼科用)洗浄及び/又は吸引システム内の流体レベルを示すためのフロート式の流体レベルインジケータ装置50を含む。流体レベルインジケータ50は、チャンバ10内に提供され、(上述のように)少なくとも1つの流体ポート72;74と、圧力源20に接続するように構成された圧力ポート71とを備える。図4Aに示す例示的な実施形態では、流体ポートは、第1の導管(例えば、吸引ライン116又は注入ライン218)に接続するための流体入口ポート72と、第2の導管(例えば、排水導管118又は洗浄導管214)に接続するための流体出口ポート74とを備える。チャネル140は、チャンバ10から延在する。チャンバ10内には、チャンバ10内の流体レベルWと共に上昇及び下降するように構成された少なくとも1つのフロート160が配設されている。フロート160は、チャンバ10内に配設されたフロート本体162と、フロート本体から延在し、かつチャンバ10から延在するチャネル140内に少なくとも部分的に配設されたフロートステム164とを備える。
【0024】
フロート本体162及びフロートステム164は、流体レベルWが上昇及び下降するときに、それぞれチャンバ10及びチャネル140内で自由に移動するように配置される。言い換えれば、フロート本体162は、チャンバ10内の流体のレベルと共に移動するように構成され、それによって、チャンバ10から延在するチャネル140に沿ってフロートステム164を移動させる。カセット8は、チャネル140内のフロートステム164の位置が、チャネル140内のフロートステム164の位置を検出する感知システムによって測定されることができるように構成される。したがって、チャンバ内の流体レベルWは、チャネル140内のフロートステム164の位置を測定することによって決定されることができる。チャネル140内のフロートステム164の位置を測定することによって、チャンバ10内の流体Fのレベルは、間接的に、すなわち、チャンバ10内の空気/液体界面Wから離れて生成されることができる。これは、そのような測定が、液体表面に影響を及ぼし得るチャンバ10内の液体特性の変化、例えば、血液、眼組織、油、及びペルフルオロカーボン液(PFCL)による流体Fの汚れに一般に影響されないため、有利である。
【0025】
上述のように、流体ポート72;74は、第1の流体導管及び第2の流体導管に接続されるように構成された単一の流体ポートを備えることができる。あるいは、少なくとも1つの流体ポートは、第1の流体導管に接続されるように構成された第1の流体ポート72と、第2の流体導管に接続されるように構成された第2の流体ポート74とを備えることができる。いずれの場合も、第1及び第2の導管は、それぞれ、チャンバ10に向かう流体の流れ及びそこから離れる流体の流れを提供する。
【0026】
フロートステム164は、フロート160の一部であり、単一の方向に(図1図2、4A、図5A及び図6に示す実施形態では上下に)沿ってフロート160を誘導することを含むがこれに限定されない、いくつかの目的を果たす。フロートステム164はまた、チャンバ10内の水位の遠隔測定を可能にするように機能し、このために、フロートステム164は、長く薄い要素として具現化されることができる。これはまた、液体レベルの上のフロート160の部分の重量を低減し、チャンバ10内の液体レベルの迅速かつ高度に動的な測定を可能にする。フロートステム164はまた、圧力ポート71とチャンバ10との間の空気の容量をできるだけ小さくし、フロート160の適切かつ確実な誘導を可能にするために、チャネル140の寸法を最小限にすることを可能にする。図4Bを参照して以下に説明されるように、フロートステム164及びチャネル140はまた、チャンバ10及びチャネル140内でのフロート160の回転を防止するように配置され得る。
【0027】
図4Aに示すように、チャンバ10は、基部150と、少なくとも1つの側壁152と、上壁154とを備える。チャネル140は、チャンバ10の上壁154から延在し、示される実施形態では、チャネル140は、したがって、垂直方向に延在する。
【0028】
チャンバ10の基部150は、少なくとも1つのガイド機構170を更に備えることができ、その1つの機能は、フロート本体162をチャンバ10内の所定の所在位置に誘導することである。例えば、少なくとも1つのガイド機構170は、フロートステム164がチャネル140内の中心に位置するように、フロート本体162をチャンバ10内に位置付け得る。本発明の代替の実施形態では、ガイド機構170は、チャンバ10の側壁152に提供されることができる。ガイド機構170は、少なくともフロート本体162がチャンバ10の下部に位置付けられたときに、フロート160をチャンバ10の中央領域に閉じ込める、チャンバ10内に延在する一連の又はリブ又はガイド部材の形態をとることができる。図4Aに示すように、ガイド機構170は、流体レベルWがチャンバ10の下部にあるときにフロート162がチャンバ内の中央に固定されるように、チャンバ10の基部150からチャンバの上壁154の途中まで垂直に延在してもよい。しかしながら、当業者は、いくつかの実施形態では、ガイド機構170が、チャンバの基部150と上壁154との間に延在し得ることを理解するであろう。
【0029】
上述のガイド機構170は、例えば、フロートステム164をチャネル140内の中心に置くために、さらなる機能において有利に利用され得る。これは、不正確な又は遅延した流体レベル測定につながり得る、フロートステム164がチャネル140内で詰まるリスクを最小限にする。ガイド手段170はまた、有利には、例えばチャンバ10に入る粘性流体による毛細管力又は粘着力によって、フロート本体160がチャンバの側壁152に張り付くのを防止することができる。
【0030】
チャンバ10の下部のガイド機構170は、流体入口ポート72又は流体出口ポート74のいずれか又は両方がチャンバ10の下部に提供されるときに特に有利であり得る。そのような実施形態では、少なくとも1つのガイド機構170は、流体入口ポート72及び/又は流体出口ポート74の閉塞が防止されるように、流体ポート72;74の上方のチャンバ10内にフロート本体162を位置付けることができる。更に、そのような装置はまた、ガイド機構170の周りの流体の流れが減衰されることを保証し、乱流を防止する(したがって、チャンバ10の底部において流体中に存在する可能性のあるデブリを維持する)。
【0031】
図4Bは、本発明の一実施形態によるフロート160の上面図を示す。図4Bに示されるように、フロート本体162及びフロートステム164のうちの少なくとも1つは、1つ又は複数の突起172、174を備えることができ、それは、その縦軸に対してチャンバ10内にフロート160を位置決めすることを可能にする(例えば、フロート160を中心に保つ、又はフロート160を一定の中心から外れた位置に保つ)。図4Bに示される実施形態では、フロート本体162は、フロート本体162の円周の周りに半径方向に延在する突起172を備える。突起172は、チャンバ10内でのフロート本体162の横方向の移動を制限し、フロート本体162がチャンバ10の側壁と密着するのを防止するように構成される。突起172は、フロート160がチャンバ10内で傾くのを防止し、かつ流体レベルWの上昇及び下降に伴ってフロート160の移動を妨げることによるフロート160とチャンバ10の内面又はチャネル140との間の毛細管力のリスクを最小限にするので、フロート式の流体レベルインジケータ50の感度を向上させる。当業者であれば、流体入口ポート72及び/又は流体出口ポート74の閉塞が防止されるように、突起172が、フロート本体162をチャンバ10内の中心に位置付けるのにも役立ち得ることを理解するであろう。当業者であれば、この目的を達成するために、突起172及びガイド機構170が単独で又は互いに組み合わせて使用され得ることを理解するであろう。
【0032】
フロート本体162上に提供された突起172に加えて又は代替として、フロート160は、ステム164上に突起174を備え得る。突起174は、チャネル140内でのフロートステム164の横方向移動を制限し、フロートステム164とチャネル140との間の望ましくない毛細管力(流体がチャネル140に入る場合)を防止し、チャンバ10内の流体レベルWとチャネル140内のステム164の位置との間の堅固な結合を維持し、それによって、流体レベルインジケータ50の感度を改善する。更に、突起174は、フロート160のその3つの回転軸の周りの回転が制限されることを保証する。
【0033】
流体レベルインジケータ50は、カセット8内のフロート160の回転を防止するように構成されることができる。例えば、ガイド手段170は、フロート160のその縦軸の周りの回転を制限するために、フロート160の本体162上の突起172と協働することができる。
【0034】
加えて又は代替として、チャネル140及び/又はステム164は、チャネル140内でのフロートステム164の回転を防止するように構成され得る。さらなる実施形態では、これは、3つの(垂直な)回転軸全てにおける回転を防止し、フロート160の縦軸に沿った上下運動のみを可能にすることにも関連し得る。例えば、チャネル140は、チャネル140内のフロートステム164の回転を制限するために、突起174と協働するリブ又は溝を備えてもよい。これは、位置測定を容易にするためにチャネル140内でフロートステム164を正確に配向するのに有用であり得る(図5A及びBを参照して更に説明される)。当業者は、フロートステム164が他の方法においてチャネル140内で配向されてもよいことを理解するであろう。例えば、チャネル140及びフロートステム164は、チャネル140内でのフロートステム164の回転を防止する非円形断面で形成されてもよい。当業者であれば、チャンバ10内の流体レベルとフロート160との間に剛性結合を形成するために、フロート160、突起172、174、及びチャンバ10の幾何学的形状が互いに対して最適化されることができることを理解するであろう。これは、チャンバ10内のフロート160の傾斜を防止し、流体レベルインジケータ50の感度を最大化する。
【0035】
図4Bに示すように、フロートステム164は、フロート本体162と比較して比較的狭く、チャネル140は、チャンバ10と比較して比較的狭い。言い換えると、ステム164の断面(縦方向に垂直な断面)は、フロート本体162の断面よりも小さく、チャネル140の直径は、チャンバ10の直径よりも小さい。これは、チャネル140とチャンバ10とを組み合わせた容量を有利に最小限にし、チャンバ10内の迅速な圧力制御を提供する。代替の実施形態では、チャンバ10及びチャネル140は、実質的に同様の断面寸法を有してもよい。
【0036】
図4Bに示す実施形態では、フロートステム164は多角形の形状を有する。更に別の実施形態では、チャネル140及びフロートステム164は、円筒形、楕円形、正方形、長方形などの対応する断面形状を有する。
【0037】
本明細書に記載の全ての実施形態に関連して、フロート160及びチャンバ10の形状が最適化され得る。より具体的には、フロート160の断面積(液体-空気界面における部分)と、フロート160とチャンバ10の内壁との間の「開水域」エリアとの間のアスペクト比が、可能な限り高くなるように選択される。フロートエリア対開水域エリアの比が大きいほど、フロート160は剛性に関してより良好に機能する(すなわち、フロート160はチャンバ10内の実際の液体レベルをより良好に示す(より小さい液体量変化が測定され得る))。しかしながら、フロート160がチャンバ10の内壁に近い場合、毛細管力が顕在化し、フロート160を内壁に向かって引き付け、フロート160の上下運動のための摩擦力の増大をもたらす。したがって、フロート160とチャンバ10の内壁との間に、例えば少なくとも1mm又は少なくとも2mmの間隙が設けられる。
【0038】
更に、チャンバ10のより小さい総容積は、流体レベルセンサ50の感度を増加させる(すなわち、小さい液体容積変化は、高いフロート位置変化をもたらす)が、ここでは、可能な流れ変動及び利用可能な流体レベル測定範囲に関してトレードオフが行われなければならない。例えば、動作中のユーザが液体を吸引するが、吸引をオンにしたまま、眼から針を突然引き出して空気中に保つ場合、(空気の粘度は吸引流体の粘度の約50分の1であるので)流量の急速な増加が起こり、結果として、フロート160は急速に上方に移動する。
【0039】
いくつかの実施形態では、チャンバ10は、少ない空気量(すなわち、10cc未満)を有する。しかしながら、当業者は、チャンバ10が、制御が必要とされる任意の空気量を有し得ることを理解する。空気量は、通常動作中、すなわちチャンバ10が目標範囲内の流体で満たされているときのチャンバ10内の空気の量であることに留意されたい。流体の目標量は、10~15ccであってもよい。これは、高速プライミング(すなわち、カセット8及び全ての接続ラインを流体で満たすこと)を依然として可能にし、高い動的応答を維持する。動作中のチャンバ10内の流体の量の変動は、例えば約3ccであり、これはまた、流体レベルインジケータ50を使用して適切かつ正確なレベル検知を依然として可能にする。例示的な実施形態では、チャンバ10の全内部容積は約25~30ccである。
【0040】
本発明の例示的な実施形態では、チャンバ10は、結露がチャンバ10内には形成されるが、チャネル140には形成されないように配置されることを可能にする。これは、(例えば、チャネル140内でのフロート160の粘着に起因して、及び/又はチャネル140内でのステム164の位置の測定を妨害する、チャネル140内で形成する液滴に起因して)流体レベル測定に影響を及ぼす結露のリスクを最小限にする。例えば、チャンバ10は、結露が、液体-空気界面付近のチャンバ10内の別個の領域上に局在化されるが、チャネル140内では最小限にされるように、修正されることができる。これは、特定の(局所的な)環境制御(圧力及び温度)を使用することによっても達成されることができる。平衡状態では、チャンバ10の上部の湿気レベルは高い(100%)。圧力を増加させることによって、結露は、主に、チャンバ10の上端(チャネル140内ではない)で生じ、温度を低下させることによって、結露は、流体レベルの真上で生じ、したがって、チャネル140内では生じない。
【0041】
圧力ポート71のロケーションは、チャンバ10内の絶対圧力が増加される必要がある場合、追加の空気がチャネル140を介してチャンバ10内に入るようなものである。既に(チャネル140内にも)存在し、高い相対湿度を有する空気は、チャンバ10内に押し込まれる/変位する。従って、この高湿度空気の圧縮は、結果的に結露が起こるチャンバ10内で行われる。((より)低い相対湿度を有する)追加された空気は、チャネル部分140内に挿入され、結露しない(それは、より高い絶対圧力にある可変圧力源から生じるので、相対湿度は常に低くなる)。
【0042】
カセット8内の温度勾配は、チャンバ10内(液体-空気界面付近)の温度が、好ましくはチャネル140などの他のセクション内の空気温度よりも低くなるように、最小限にされる及び/又は設計される。これは、(図5A及びBを参照して後述するような)位置感知システムの本発明の実施形態、例えば、チャネル140内の温度を上昇させる、フロートステム164の位置検出に使用される光源を使用して達成され得ることに留意されたい。
【0043】
本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態では、チャネル140は、可変圧力源20と圧力センサ30とチャンバ10との間に流体連通を提供することができる。
【0044】
図4Aに示すように、チャネル140は、チャンバ10と圧力ポート71との間に導管を提供する。圧力ポート71は、チャンバ10と圧力制御ポート71a及び圧力感知ポート71bとの間の流体連通を提供する。圧力制御ポート71aは、チャンバ10を加圧するために可変圧力源20に流体接続される。圧力感知ポート71bは、チャンバ10内の圧力を感知する圧力センサ30に接続される。この装置は、チャンバ10内で必要とされるポートの数を減少させるので、有利である。しかしながら、当業者は、圧力制御ポート71a及び/又は圧力感知ポート71bが、チャネル140に依存せず、代わりにチャンバ10内に直接開口する1つまたは複数の専用導管を介してチャンバ10と流体連通し得ることを理解するであろう。
【0045】
チャンバ10内の圧力がチャネル140を介して制御される実施形態では、フロートステム164もフロート本体162もチャネル140を遮断できないことが理解されよう。したがって、フロートステム164及びチャネル140は、空気がチャネル140内でフロートステム164を通過することを可能にするように構成される。これは、上述したように、チャネル140の壁とフロートステム164との間に空隙を維持するために、フロートステム164又はチャネル140の壁上に提供された突起174によって達成され得る。
【0046】
圧力ポート71とチャンバ10との間の流体連通は、理想的には、フロート160の位置にかかわらず維持される。したがって、図4Aに示す実施形態では、フロート160とチャネル140への入口との間に形成される封止を防止する、フロート本体162又はチャンバ10の上壁154上の表面特徴を提供することが有利である。複数のリブ又はチャネル(図示せず)は、フロート本体162がチャンバ10の上壁154に当接しても、流体(すなわち、空気)がフロート本体162とチャンバ壁との間のチャネル140内に通過することができることを保証するために、チャンバ10の上壁154又はフロート本体162の上面のいずれかに形成され得る。これは、例えば、チャネル140内の負圧によってフロート160がチャンバのチャネル140を封止することを防止することができる。
【0047】
図5A及び図5Bに示すように、上述の流体レベルインジケータ50は、チャネル140内のフロートステム164の位置を検出するための1つ又は複数のセンサを備える自動流体レベル感知システムと組み合わせられ得る。
【0048】
図5Bに示すように、位置感知システムは、フロートステム164上に設けられたマーカ(例えば、スリット)の位置を検出するように構成され、チャンバ10内の液体レベルWをその中の液体表面から遠隔で感知することを可能にする。
【0049】
図5A及び図5Bに例示する例示的な感知システムでは、位置感知システムは、マーカ176の位置を測定するように構成された光感知システム180を備える。光感知システム180は、チャネル140の第1の側に配置された光源181(例えば、コリメート光源)と、チャネル140の反対側に配置された少なくとも1つの光センサ182(例えば、位置感知センサ又は「PSD」)とを備える。チャネル140は、光源181とPSD182とを分離し、透明材料から形成される。マーカ176は、例えば、光源からの光がそこを通過してチャネルの反対側の少なくとも1つの光センサ182に衝突することを可能にするように構成された開口(図5Bに示されるようなスリットの形態、又は代替的に、フロートステム164の上縁の形態のいずれか)を備える。有利には、スリットは、水平スリット(すなわち、ステム164の縦軸に対して垂直)であり得、それは、開口として、又は他の不透明なステム内の透明材料の領域として形成される。
【0050】
PSD182及び光源181は、光源181からのコリメート光がカセット8及びチャネル140を通過してPSD182に衝突するように配置される。しかしながら、不透明なステム164は、光源181からのコリメート光がスリット176の領域を除いてPSDに衝突することを防止する。スリット176のみが、光源181からステム164を通ってPSD182上への光の透16過を可能にするので、較正後、PSDからの電気信号が、スリット176の正確な位置、したがってチャネル140内のフロートステム164の位置を示すために使用されることができる。フロートのフロートステム164と流体表面Wとの間の堅固な結合により、これは、チャンバ10内の流体レベルの正確な決定を提供する。
【0051】
上に示すように、コリメート光源181は、レンズ186と組み合わせたLEDによって提供されることができる。しかしながら、当業者は、他の光源が提供され得ることを理解するであろう。同様に、上述の光感知システム180は、単一のPSD182を備える。しかしながら、当業者は、チャネル140内のマーカ176の位置を正確に検出するために、複数のセンサが提供され得ることを理解するであろう。
【0052】
更に、当業者は、上述した光感知システム180に本発明が限定されないことを理解するであろう。例えば、マーカ176及び感知システム180は、チャネル140内のフロートステム164の位置を検出するための磁気的、電気的及び音響的方法に適合され得る。いくつかの実施形態では、マーカ176が省略されてもよく、チャネル140内のフロートステム164の位置が、フロートステム164の遠位先端又はエッジの位置を決定することによって決定されてもよいことも、当業者には明らかであろう。
【0053】
上述の光感知システム180は、カセット8に組み込まれ得る。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、位置感知システム180は、より広範な洗浄及び/又は吸引装置の一部を形成し、カセット8は使い捨てであることが想定される。これらの実施形態では、カセット8は、上述した流体レベルインジケータ装置を含み、これは、より広範な洗浄及び吸引システムに組み込まれた感知手段と共に利用され得る。上述のフロート式の流体レベルインジケータ装置は、カセット8のチャンバ10内の流体レベルを確実に表示する安価な構成要素を備えるため、使い捨てカセット用途に特に適している。
【0054】
そのような実施形態では、カセット8は、有利には、カセット8(したがって、チャネル140及びステム164)を感知手段(例えば、光源181及びPSD182)に対して所定の位置に固定するための1つ又は複数のロケーション機構(図示せず)を備えることができる。これは、感知手段の較正を繰り返す必要性を制限又は排除することができる。改善された精度及び迅速な反応時間に加えて、フロート式の流体レベルインジケータはまた、チャンバ10内の流体レベルを示すために必要とされる部品を低コストにするために、使い捨てカセットの実施形態に特に適している。
【0055】
チャンバ10の目視検査を可能にし、上述のフロート式の流体レベル指示システムを介した流体レベルの光感知を容易にするために、カセット8は、透明プラスチック材料から作られ得る。しかしながら、当業者は、チャネル140を備えるカセットの部分が光源181によって放射される光の波長に対して透明である限り、カセット8が不透明又は半透明の材料から形成され得ることを理解するであろう。
【0056】
ここで図6を参照すると、本発明によるフロート式の流体レベルインジケータ装置50は、吸引及び洗浄処置の両方で使用するのに適した例示的な多機能カセット18で利用され得る。カセット18は、上述のカセット8とほぼ同様であり、上述のように、チャンバ10と、チャネル140と、フロート160と、チャンバ10を可変圧力源20及び圧力センサ30に流体接続するための少なくとも1つの圧力ポート71とを含む。
【0057】
カセット18は、図1及び図2を参照して上述したように、チャンバ10を流体ラインに接続するための3つの流体ポートも備える。医師は、所望の用途、例えば洗浄又は吸引に応じて、流体ポートを選択的に接続することができる。
【0058】
例示的な実施形態では、第1の流体ポート192は、吸引システム(図1参照)内の吸引ライン116又は洗浄システム(図2参照)内の注入ライン218に接続するように構成される。第2の流体ポート194は、吸引システム(図1参照)内の排水ライン118に接続するように構成される。第3の流体ポート196は、例えば、吸引システムの容易かつ迅速なプライミングのために、任意で存在し、洗浄システム(図2参照)への接続のために構成され得る。第2及び第3の流体ポート194、196は各々、使用されていないときにポートを閉じるための弁(図示せず)を備えてもよい。
【0059】
外科用吸引システム(図1に示す)で使用するために、第1の流体ポート192は吸引ライン116に接続され、第2の流体ポート194は排水ライン118に接続される。第3の流体ポート196は、通常動作中に弁(図示せず)によって閉じられる。その後、カセット18は、図1を参照して説明したように動作する。
【0060】
図2に示すような)外科用洗浄システムで使用するために、第1の流体ポート192は注入ライン218に接続され、第3の流体ポート196は洗浄ライン214に接続される。第2の流体ポート194は、弁(図示せず)によって閉じられる。その後、カセット18は、図2を参照して説明したように動作する。
【0061】
上述したように、多機能カセット18は、洗浄及び吸引処置の両方に使用されることができる。これは、眼科処置を実行するために必要とされる構成要素のアレイを単純化し、より高い柔軟性を医師に提供する。
【0062】
上述の例示的な実施形態では、流体レベルインジケータ装置50は、外科用カセット8に含まれる。しかしながら、当業者であれば、本発明による流体レベルインジケータ装置50は、吸引/洗浄装置内に一体化されてもよく、すなわち、チャンバ及び流体レベル感知部が洗浄/吸引装置の一部を形成し、取り外し可能ではないようなものであることを理解するであろう。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 洗浄及び/又は吸引システム内の流体レベルを示すための流体レベルインジケータ装置であって、前記流体レベルインジケータ装置は、
流体(F)を保持するように構成されたチャンバ(10)と、ここで、前記チャンバ(10)は、
少なくとも1つの流体ポート(72;74)と、
圧力源(20)に接続するための圧力ポート(71)とを備え、
前記チャンバ(10)から延在するチャネル(140)と、
前記チャンバ(10)内に配設されたフロート本体(162)と、
前記フロート本体(162)から延在し、かつ前記チャンバ(10)から延在する前記チャネル(140)内に少なくとも部分的に配設されたフロートステム(164)と
を備えるフロート(160)と
を備える、流体レベルインジケータ装置。
[2] 前記少なくとも1つの流体ポートは、第1の流体導管及び第2の流体導管に接続されるように構成された単一の流体ポートを備える、[1]に記載の流体レベルインジケータ装置。
[3] 前記少なくとも1つの流体ポートは、第1の流体導管に接続されるように構成された第1の流体ポート(72)と、第2の流体導管に接続されるように構成された第2の流体ポート(74)とを備える、[1]に記載の流体レベルインジケータ装置。
[4] 外科用カセット(8)に含まれる、[1]、[2]又は[3]のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
[5] 前記チャンバ(10)は、基部(150)と、少なくとも1つの側壁(152)と、上壁(154)とを備え、前記チャネル(140)は、前記チャンバ(10)の前記上壁(154)から延在する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
[6] 前記フロート本体(162)及び/又は前記フロートステム(164)は、1つ又は複数の突起(172,174)を備える、[1]~[5]のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
[7] 前記チャネル(140)及び/又は前記フロートステム(164)は、前記チャネル(140)に対する前記フロートステム(164)の回転を防止するように構成される、[1]~[6]のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
[8] 前記フロートステム(164)は、前記フロート本体(162)と比較して比較的狭く、前記チャネル(140)は、前記チャンバ(10)と比較して比較的狭い、[1]~[7]のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
[9] 前記チャンバ(10)は、少なくとも1つのガイド機構(170)を備える、[1]~[8]のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
[10] 前記少なくとも1つのガイド機構(170)は、前記フロート本体(162)を前記流体ポート(72;74)の上方の前記チャンバ(10)内に位置付ける、[9]に記載の流体レベルインジケータ装置。
[11] 前記チャンバ(10)は、流体レベル検出との干渉を最小限にするために、結露が前記チャンバ(10)内には形成されるが、チャネル(140)には形成されないように配置されることを可能にする、[1]~[10]のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
[12] 前記圧力ポート(71)は、前記チャネル(140)を介して前記チャンバ(10)と流体連通している、[1]~[11]のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
[13] 前記フロートステム(164)は、少なくとも1つのマーカ(176)を備える、[1]~[12]のいずれか一項に記載の流体レベルインジケータ装置。
[14] 眼科手術処置中に使用するための洗浄システムであって、前記洗浄システムは、
[1]~[13]のいずれか一項に記載の前記流体レベルインジケータ装置と、
前記圧力ポート(71)と流体連通する可変圧力源(20)と、
前記少なくとも1つの流体ポート(72;74)と流体連通する洗浄導管(214)と、
前記少なくとも1つの流体ポート(72;74)と連通する注入導管(218)と
を備える、洗浄システム。
[15] 眼科手術処置中に使用するための吸引システムであって、前記吸引システムは、
[1]~[13]のいずれか一項に記載の前記流体レベルインジケータ装置と、
前記圧力ポート(71)と流体連通する可変圧力源(20)と、
前記少なくとも1つの流体ポート(72;74)と流体連通する排出導管(118)と、
前記流体ポート(72;74)と流体連通する吸引導管(116)と
を備える、吸引システム。
[16] 前記チャネル(140)内の前記フロートステム(164)の位置を検出するための1つ又は複数のセンサ(182)を有する位置感知システムを更に備える、[14]又は[15]に記載のシステム。
[17] 前記位置感知システムは、前記チャネル(140)の第1の側に配置された光源(181)と、前記チャネル(140)の反対側に配置された少なくとも1つの光センサ(182)とを備える光感知システム(180)であり、
前記チャネル(140)は、透明材料から形成され、
マーカ(176)は、前記光源からの光がそこを通過して前記少なくとも1つの光センサ(182)に衝突することを可能にするように構成された開口を備える、
[16]に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6