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  • 特許-眼科手術用患者インタフェース 図1A-B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】眼科手術用患者インタフェース
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/009 20060101AFI20230807BHJP
   A61F 9/008 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61F9/009
A61F9/008 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020528285
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2018059684
(87)【国際公開番号】W WO2019116173
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】62/597,779
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス レーナー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター リーデル
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0041354(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257929(US,A1)
【文献】米国特許第06436113(US,B1)
【文献】特表2013-536741(JP,A)
【文献】特表2013-500063(JP,A)
【文献】特表2008-531103(JP,A)
【文献】国際公開第2017/081557(WO,A1)
【文献】特開2016-193028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/009
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術用の患者インタフェース装置であって、
外側、前記外側に対向する内側、先端側及び前記先端側に対向する基端側を有する環状部材であって、
前記内側が、レーザビームが反射も屈折もなしに眼球の治療領域に達するのを可能にする開口部を画定し、
前記基端側が、
前記眼球の表面に貼り付くような形状の接触面と、
前記眼球の前記表面と吸引チャンバを画定する溝と、
を有する、環状部材と、
前記吸引チャンバと流体連通することができる排気導管であって、前記排気導管は、前記吸引チャンバから離れるように流体を誘導して前記接触面を前記眼球の前記表面に貼り付けるように構成されており、前記排気導管は、前記環状部材の前記先端側に連結され、前記環状部材の前記先端側から延び、前記排気導管は、使用者が前記患者インターフェース装置を握ることを可能にする剛性ハンドルを形成する、排気導管と、
前記環状部材の前記先端側から外向きに配置された円錐体であって、該円錐体は内面および外面を有し、前記円錐体の前記外面は、前記剛性ハンドルの全長に沿って前記剛性ハンドルの表面に接触する、円錐体と、
を備える患者インタフェース装置。
【請求項2】
前記環状部材の前記外側から外向きに配置された変形可能シールをさらに備える、請求項1に記載の患者インタフェース装置。
【請求項3】
前記排気導管が、吸引装置に取り付けられるように構成された導管カプラを備える、請求項1に記載の患者インタフェース装置。
【請求項4】
前記排気導管が、レーザ装置に取り付けられるように構成された導管カプラを備える、請求項1に記載の患者インタフェース装置。
【請求項5】
前記排気導管が、前記環状部材に固定されている、請求項1に記載の患者インタフェース装置。
【請求項6】
前記円錐体が、レーザシステムに取り付けられるように構成された円錐体カプラを有する、請求項に記載の患者インタフェース装置。
【請求項7】
前記円錐体が前記排気導管を備える、請求項に記載の患者インタフェース装置。
【請求項8】
前記環状部材の前記先端側が、前記円錐体を前記環状部材に取外し可能に結合するように前記円錐体を受け入れるような形状である、請求項に記載の患者インタフェース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、眼科手術装置に関し、より具体的には、眼科手術用の患者インタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の眼科手術では、レーザがパルス状レーザビームを発生させて、外科処置を実施する、たとえば、角膜に角膜実質内切開を行うか又は角膜から組織を焼灼する。いくつかの場合では、レーザビームは、角膜に光切断をもたらし、それにより、たとえば除去するために組織を分離することができる。角膜におけるビームの焦点は、たとえば、x、y及びz方向において5マイクロメートル(μm)未満の範囲内で正確に決定しなければならない。処置中、眼球を適所に保持するために、通常、患者インタフェースが使用される。患者インタフェースは、通常、吸引によって眼球に貼り付けられて、眼球を適所に固定する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの実施形態では、眼科手術用の患者インタフェース装置は、環状部材と排気導管とを備える。環状部材は、外側、内側、先端側及び基端側を有する。内側は、レーザビームが反射も屈折もなしに眼球の治療領域に達するのを可能にする開口部を画定する。基端側は、眼球の表面に貼り付くような形状の接触面と、眼球の表面と吸引チャンバを画定する溝とを有する。排気導管は、吸引チャンバと流体連通することができ、吸引チャンバから離れるように流体を誘導して接触面を眼球の表面に貼り付ける。
【0004】
いくつかの実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。患者インタフェース装置は、外側円形側面から外向きに配置された変形可能シールを含むことができる。排気導管は、吸引装置に取り付けられる導管カプラを含むことができる。排気導管は、レーザ装置に取り付けられる導管カプラを含むことができる。排気導管は、環状部材に固定することができる。患者インタフェース装置は、環状部材の先端側から外向きに配置された円錐体を含むことができる。円錐体は、レーザシステムに取り付けられる円錐体カプラを有することができる。円錐体は排気導管を含むことができる。環状部材の先端側は、円錐体を環状部材に取外し可能に結合するように円錐体を受け入れるような形状であり得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、眼科手術用のシステムは、測定装置とレーザシステムとを備える。測定装置は、眼球の変形していない治療領域を測定し、眼球は、治療領域を変形しないままにする患者インタフェースに結合される。レーザシステムは、治療領域の測定値に従って治療領域において切開パターンを位置合わせし、患者インタフェースを通して治療領域の方にレーザビームを向け、治療領域において切開パターンを作成するようにレーザビームの焦点を制御する。
【0006】
いくつかの実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。レーザシステムは、治療領域の測定値から治療領域の非変形特徴部(feature)を特定し、非変形特徴部に対して切開パターンを位置合わせすることにより、切開パターンを位置合わせすることができる。測定装置は、眼球の移動を追跡することができ、レーザシステムは、眼球の移動に従って残りの切開パターンの作成を調整することができる。非変形特徴部は、角膜表面特徴部又は角膜厚さ特徴部であり得る。
【0007】
本開示の実施形態について、添付の図を参照して例としてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A-B】図示するように結合されたレーザシステムと患者インタフェースとを含むシステムの実施形態を示す。
図2】排気導管が環状部材に固定されている患者インタフェースの実施形態を示す。
図3】円錐体が環状部材及び排気導管に取り付けられている患者インタフェースの実施形態を示す。
図4】円錐体が、環状部材及び排気導管に取外し可能に結合されている患者インタフェースの実施形態を示す。
図5図1のシステムによって実施することができる角膜実質内切開部を作成する方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで説明及び図面を参照すると、開示する装置、システム及び方法の実施形態例が詳細に示されている。当業者には明らかであるように、開示する実施形態は例示的なものであり、すべてのあり得る実施形態を網羅するものではない。
【0010】
図1A及び図1Bは、図示するように結合されたレーザシステム12と患者インタフェース14とを含むシステム10の実施形態を示す。図1Bは、患者インタフェース14の上面図を示し、インタフェース14を横切る線A-Aを含み、図1Aは、線A-Aに沿った患者インタフェース14の切取図を示す。実施形態では、レーザシステム12は、ヒト患者の眼球18の治療領域において処置を実施するようにレーザビーム16を放出し、処置が実施されている間、患者インタフェース14は眼球18を適所に固定する。患者インタフェース14は、眼球18の治療領域を変形させず、レーザビーム16が反射も屈折もなしに治療領域に達するのを可能にする。眼球18の治療領域が変形しないため、レーザシステム12は、頂点等、変形していない眼球の、本来の特徴部(又は「非変形特徴部」)の上に治療計画の中心を置くことができる。
【0011】
レーザシステム12は、眼球18の組織を切開又は形成する任意の好適な眼科処置を、眼球18に対して実施することができる。こうした処置の例としては、眼科治療処置、たとえば、生体内レーザ角膜切開手術(レーザー角膜内切削形成術)(laser assisted in situ Keratomileusis)(LASIK)(フラップ形成を含む)、屈折角膜片(レンチクル)摘出術(refractive lenticule extraction)(ReLEx)、小切開角膜片(レンチクル)摘出術(Small Incision Lenticule Extraction)(SMILE)、レーザ屈折矯正角膜切除術(レーザ角膜切除屈折手術、角膜表層切開術)(photorefractive keratectomy)(PRK)、レーザ角膜上皮切除術(レーザ上皮細胞屈折矯正術)(laser assisted sub-epithelium keratomileusis)(LASEK)、角膜実質内移植片挿入(intrastromal implant insertion)又は角膜移植術が挙げられる。
【0012】
レーザシステム12は、図示するように結合された測定装置22と、レーザ装置24と、吸引装置26と、コンピュータ28とを含む。測定装置22は、概して、手術処置中にレーザビーム16が適用される領域である、眼球18の治療領域を測定する。いくつかの実施形態では、治療領域は角膜であり、測定装置22は、角膜の表面形状(topography)及び/又は角膜の厚さを測定する。いくつかの実施形態では、測定装置22は、たとえば角膜の表面形状及び/又は厚さを用いて眼球の位置及び移動を測定するアイトラッカを備えることができる。測定装置22の例としては、角膜形状解析装置、OCT、シャインプルーク(Scheimpflug)式装置、及び投影パターンシーケンス(たとえば、ストライプ)装置が挙げられる。眼球18の治療領域が変形していない場合、角膜は、その本来の形状及び厚さを有し、それにより、測定装置22は、眼球18の本来の(すなわち、非変形)特徴部を測定することができる。こうした非変形特徴部の例としては、非変形眼球18の形状的特徴部、たとえば、非変形眼球18の頂点が挙げられる。こうした非変形特徴部の他の例としては、非変形眼球18の角膜厚さ、たとえば、非変形眼球18の角膜が最も薄いか又は最も厚い等、特定の特徴部を有する場所が挙げられる。
【0013】
レーザ装置24は、xyz座標系を画定することができるレーザビーム16を発生させる。レーザビーム16の軸17は、xy平面に対して垂直であるz軸を画定する。レーザ24の例としては、フェムト秒レーザ、赤外線又は紫外線波長域の光を放出することができる超短パルスレーザが挙げられる。フェムト秒レーザは、たとえば、角膜組織に角膜実質内切開部を作成するために、レーザ誘起光学破壊(laser-induced optical breakdown)(LIOB)をもたらすことができるレーザビームを発生させる。レーザ装置24は、制御ビーム40を制御する他の構成要素、たとえば、スキャナ、光学素子及び集光用対物レンズを含むことができる。
【0014】
吸引装置26は、患者インタフェース14のチャンバ56(後述する)から空気を引き出してチャンバ56内の気圧を低下させて、患者インタフェース14を眼球18に貼り付ける吸引力をもたらす。気圧は、任意の好適な値、たとえば、以下の範囲500~600、600~700又は700~800ミリバール(mbar)のうちの1つの値等、300~500、500~800、800~1000mbarの範囲の値まで、低下させることができる。たとえば、いくつかの場合では、設定値はおよそ650mbarであり得るが、任意の好適な設定値(たとえば、前述の範囲のうちの1つの設定値)を用いることができる。吸引装置26の例としては、空気ポンプが挙げられる。
【0015】
コンピュータ28は、レーザシステム12の動作を制御し、プロセッサ34及びメモリ36を含む。プロセッサ34は、メモリ36に格納されている命令38に従って動作を実行する。コンピュータ28は、任意の好適な動作を実行することができる。たとえば、コンピュータ28は、測定装置22から治療領域の測定値を受信し、その測定値に従って角膜実質内切開パターンを位置合わせする(たとえば、パターンを眼球18のリアルタイム画像と整列させる)ことができる。角膜実質内切開パターン(又は「切開パターン」)は、眼球18に角膜実質内切開を行うべき場所をレーザビーム16に指示する。場合により、パターンは、眼球18における所望の屈折補正をもたらすように計算される。こうしたパターンを用いる処置の例としては、小切開角膜片摘出術(SMILE)、ReLEx(登録商標)(Refractive LEnticule Extraction)及び放射状角膜切開術が挙げられる。他の場合では、パターンは、特定の目的で切開をもたらすように設計される。こうしたパターンからもたらされる切開の例としては、LASIK処置の場合のフラップ、角膜移植、ドナー角膜移植摘出の場合のポケット、又は角膜移植片を受け入れる領域が挙げられる。測定値から非変形特徴部を特定し、非変形特徴部に対して切開パターンを位置合わせすることによって、切開パターンを位置合わせすることができる。たとえば、切開パターンは、特徴部の上に直接中心を置くことができる。別の例として、切開パターンは、瞳孔中心の方向等、任意の好適な方向において特徴部から所定距離離れて中心を置くことができる。パターンを位置合わせした後、コンピュータ28は、患者インタフェース14を通して治療領域の方にレーザビーム16を向けるようにレーザ装置24に指示し、レーザビーム16の焦点を制御して切開パターンを作成する。
【0016】
患者インタフェース14は、図示するように結合された環状部材30、排気導管32及びシール33を含む。環状部材30は、眼球18の前面と接触するように設計された環形状を有し、排気導管32は、吸引装置26が環状部材30のチャンバ56から空気を引き出して環状部材30を前面に貼り付けることができるように設計された、導管である。シール33は、環状部材30を眼球18により確実に貼り付けるために、環状部材30と眼球18との間で空気が漏れないようにする。
【0017】
環状部材30は、外側40、内側42、先端側44及び基端側48を有する。外側40は、環状部材30の外側円形側面であり、任意の好適な直径do、たとえば、15~18、18~20(たとえば、およそ19ミリメートル(mm))又は20~21mmの範囲の値等、10~15、15~21又は21~30mmの範囲の値を有することができる。内側42は、環状部材30の内側円形側面であり、任意の好適な直径di、たとえば、9~10、10~12(たとえば、およそ11mm)又は12~15mmの範囲の値等、5~9、9~15又は15~20mmの範囲の値を有することができる。先端側44は、環状部材30の、眼球18から離れる方向に配置される側であり、基端側48は、環状部材30の、眼球18に向かう方向に配置され且つ眼球と接触する側である。環状部材30は、概して平面49を画定し、たとえば、外側40が基端側48とぶつかる点によって形成された円が、概して平面49を画定する。
【0018】
図示する実施形態では、内側42は、レーザビーム16が治療領域に達することができるようにする開口部50を画定する。開口部50により、レーザビーム16は、反射も屈折もなしにレーザシステム12から治療領域の表面まで進むことができる。すなわち、患者インタフェース14におけるいずれも、ビーム16を反射せず、屈折させず、且つ他の方法でビーム16に干渉しない。さらに、開口部50は、眼球18の治療領域を変形させず、すなわちその本来の形状を変化させず、それにより、眼球18の本来の形状及び/又は角膜厚さを測定することができる。
【0019】
基端側48は、接触面52及び溝54を有する。接触面52は、眼球18の表面に貼り付くような形状である。すなわち、接触面52の形状は、接触面52が接触する眼球18の前方部分の形状に一致するように湾曲している。溝54は、接触面52が表面と接触すると、眼球18の表面と吸引チャンバ56を画定する。溝54は、概して、環状部材30によって画定される円形経路をたどり、任意の好適なサイズ及び形状の断面を有する。たとえば、断面は、z方向に0.1~0.5、0.5~4又は4~8mm(0.5~1、1~3又は3~4mmの範囲の値等を含む)であり、環状部材30によって画定される円形経路の半径に対して平行な方向において0.1~0.5、0.5~2又は2~5mm(0.5~0.8、0.8~1.2又は1.2~2mmの範囲の値等を含む)であり得る。
【0020】
接触面52及び溝54は、吸引装置26によって提供される吸引とともに、患者インタフェース14が処置のために眼球18に貼り付くのを可能にする。他の患者インタフェースは、レーザシステム12と治療領域との間に追加のバリア(たとえば、接触プレート)を有する。しかしながら、追加のバリアは、ビーム16を反射し且つ/又は屈折させ、場合により、眼球18を変形させる。
【0021】
排気導管32は、吸引チャンバ56と流体連通しており、吸引チャンバ56から離れる方向に(液体又は気体であり得る)流体を誘導して、接触面を眼球の表面に貼り付けるように構成されている。排気導管32は、チューブのような形状とすることができ、そこでは、チューブの長手方向軸は、排気導管32の軸60を画定する。軸60は、平面49に対して任意の好適な角度、たとえば、45~90、90~180又は180~200度の範囲の値(90~120、120~160、160~170又は170~180度の範囲の値等)を有することができる。軸60は、導管32が環状部材30に接続する外側40の接線に対して、任意の好適な角度B、たとえば、0~180又は180~270度(0~40、40~80、80~100、100~140又は140~180度の範囲の値等)を有することができる。いくつかの実施形態では、排気導管32は、レーザシステム12の構成要素に取り付けられるような形状である導管カプラ62を有することができる。たとえば、導管カプラ62は、吸引装置26に又はレーザ装置24に取り付けられるような形状とすることができる。
【0022】
シール33は、外側40から外向きに配置されており、環状部材30を眼球18により確実に貼り付けるために、空気が環状部材30と眼球18との間で漏れないように封止を形成する。シール33は、任意の好適な変形可能材料、たとえば、変形可能な、生体適合性の滅菌可能な材料を含むことができる。
【0023】
図2図4は、患者インタフェース14の実施形態を示す。図2は、排気導管32が環状部材30に固定されている患者インタフェース14の実施形態を示す。排気導管32は、任意の好適な寸法を有することができる。たとえば、長さl及び幅wは、5~10、10~50又は50~100mmの範囲内等の長さl及び2~5、5~10又は10~20mmの範囲内の幅w等、使用者がインタフェース14を把持することができるようにする好都合なハンドルを形成するように選択することができる。軸60は、平面49に対して任意の好適な角度A、たとえば、好都合なハンドルをもたらす角度を有することができる。導管カプラ62は、任意の好適な方法でレーザシステム12に取り付けることができる。たとえば、カプラ62は、レーザシステム12の構成要素(たとえば、吸引装置26又はレーザ装置24)とかみ合う形状を有することができる。
【0024】
図3及び図4は、円錐体66を備える患者インタフェース14の実施形態を示す。円錐体66は、基端側68、先端側70及び円錐体カプラ72を有する。基端側68は、眼球18に近い方に配置され、先端側70は、眼球18から離れる方向に配置される。基端側68は、環状部材30の先端側から外向きに配置されるように設計されており、環状部材30の直径とおよそ同じである直径を有することができる。先端側70は、基端側68の直径より大きいか又はそれと等しいものであり得る任意の好適な直径を有することができる。たとえば、先端側70の直径は、円錐体66をシステム12で好都合に使用することができるようにするサイズとすることができ、たとえば、円錐体66がシステム12に結合されるのを可能にするようなサイズとすることができる。円錐体カプラ72は、先端側70に配置することができ、レーザ装置24に取り付けられるような形状とすることができる。たとえば、円錐体カプラ72は、レーザ装置24がビーム16を放出する構成要素とかみ合うような形状とすることができる。
【0025】
図3は、円錐体66が環状部材30及び排気導管32に取り付けられている患者インタフェース14の実施形態を示す。この実施形態では、円錐体66の基端側68は、環状部材30の先端側に取り付けられている。排気導管32は、円錐体66に取り付けることができ、又は、円錐体66の側面内に形成することができる。
【0026】
図4は、円錐体66が環状部材30及び排気導管32に取外し可能に結合される患者インタフェース14の実施形態を示す。この実施形態では、環状部材30の先端側は、円錐体66の基端側68を受け入れるような形状である。
【0027】
図5は、図1のシステムによって実施することができる角膜実質内切開部を作成する方法の例を示す。この例では、眼球18を変形させない患者インタフェース14、そのため、レーザシステム12は、眼球18の非変形特徴部を用いて切開パターンを位置合わせすることができる。方法はステップ100で開始し、そこで、測定装置22は、眼球18の治療領域を測定する。眼球18は、治療領域を変形されないままにする患者インタフェース14に結合される。
【0028】
ステップ102及び104において、レーザシステム12のコンピュータ28は、測定値に従って治療領域において切開パターンを位置合わせする。コンピュータ28は、ステップ102において、測定値から治療領域の非変形特徴部を特定し、ステップ104において、その非変形特徴部に対して切開パターンを位置合わせする。たとえば、コンピュータ28は、眼球18の頂点を特定し、頂点に又はその近くに切開パターンの中心を置く。別の例として、コンピュータ28は、眼球18の角膜が最も薄い場所を特定し、その場所に又はその近くに切開パターンの中心を置く。ステップ106において、レーザ装置24は、患者インタフェース14を通して治療領域の方にレーザビーム16を向け、レーザビーム16の焦点を制御して治療領域において切開パターンを作成する。
【0029】
ステップ110において、測定装置22は眼球18の移動を追跡する。たとえば、測定装置22は、頂点がxy平面において特定の方向に距離d内で移動したと判断する。コンピュータ28は、眼球の移動に従って残りの切開パターンの作成を調整する。たとえば、コンピュータ28は、頂点の移動に従って切開パターンを再調整する。そして、方法は終了する。
【0030】
本明細書で開示したシステム及び装置の構成要素は、インタフェース、ロジック、メモリ及び/又は他の好適な要素を含むことができ、それらのうちのいずれも、ハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。インタフェースは、入力を受け取り、出力を提供し、入力及び/又は出力を処理し、且つ/又は他の好適な動作を実行する。ロジックは、構成要素の動作を実行し、たとえば、入力から出力を生成するように命令を実行する。ロジックは、メモリに符号化することができ、コンピュータによって実行されると動作を実行することができる。ロジックは、1つ若しくは複数のコンピュータ、1つ若しくは複数のマイクロプロセッサ、1つ若しくは複数のアプリケーション及び/又は他のロジック等、プロセッサであり得る。メモリは、情報を格納することができ、1つ若しくは複数の有形の、コンピュータ可読の且つ/又はコンピュータ実行可能な記憶媒体を含むことができる。メモリの例としては、コンピュータメモリ(たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)若しくはリードオンリメモリ(ROM))、大容量記憶媒体(たとえば、ハードディスク)、リームバブル記憶媒体(たとえば、コンパクトディスク(CD)若しくはデジタルビデオディスク(DVD))、データベース及び/若しくはネットワークストレージ(たとえば、サーバ)並びに/又は他のコンピュータ可読媒体が挙げられる。特定の実施形態では、実施形態の動作は、コンピュータプログラム、ソフトウェア及び/又は他のコンピュータ実行可能命令を格納し且つ/又はそれらによって符号化される1つ若しくは複数のコンピュータ可読媒体によって実施することができる。
【0031】
本開示は、いくつかの実施形態に関して説明したが、それらの実施形態の変更形態(置換形態、追加、省略及び/又は他の変更形態)が、当業者には明らかとなろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態に対する変更を行うことができる。たとえば、本明細書で開示するシステム及び装置に対して変更を行うことができる。システム及び装置の構成要素は、統合することも分離することもでき、システム及び装置の動作は、より多くの、より少ない又は他の構成要素によって実施することができる。別の例として、本明細書で開示した方法に対して変更を行うことができる。方法は、より多くの、より少ない又は他のステップを含むことができ、それらのステップは任意の好適な順序で実施することができる。
なお、本開示の態様には以下のものも含まれる。
〔態様1〕
眼科手術用の患者インタフェース装置であって、
外側、内側、先端側及び基端側を有する環状部材であって、
前記内側が、レーザビームが反射も屈折もなしに眼球の治療領域に達するのを可能にする開口部を画定し、
前記基端側が、
前記眼球の表面に貼り付くような形状の接触面と、
前記眼球の前記表面と吸引チャンバを画定する溝と、
を有する、環状部材と、
前記吸引チャンバと流体連通することができる排気導管であって、前記吸引チャンバから離れるように流体を誘導して前記接触面を前記眼球の前記表面に貼り付けるように構成されている排気導管と、
を備える患者インタフェース装置。
〔態様2〕
前記外側円形側面から外向きに配置された変形可能シールをさらに備える、態様1に記載の患者インタフェース装置。
〔態様3〕
前記排気導管が、吸引装置に取り付けられるように構成された導管カプラを備える、態様1に記載の患者インタフェース装置。
〔態様4〕
前記排気導管が、レーザ装置に取り付けられるように構成された導管カプラを備える、態様1に記載の患者インタフェース装置。
〔態様5〕
前記排気導管が、前記環状部材に固定されている、態様1に記載の患者インタフェース装置。
〔態様6〕
前記環状部材の前記先端側から外向きに配置された円錐体をさらに備える、態様1に記載の患者インタフェース装置。
〔態様7〕
前記円錐体が、レーザシステムに取り付けられるように構成された円錐体カプラを有する、態様6に記載の患者インタフェース装置。
〔態様8〕
前記円錐体が前記排気導管を備える、態様6に記載の患者インタフェース装置。
〔態様9〕
前記環状部材の前記先端側が、前記円錐体を前記環状部材に取外し可能に結合するように前記円錐体を受け入れるような形状である、態様6に記載の患者インタフェース装置。
〔態様10〕
眼科手術用のシステムであって、
眼球の変形していない治療領域を測定するように構成された測定装置であって、前記眼球が、前記治療領域を変形しないままにする患者インタフェースに結合される、測定装置と、
レーザシステムであって、
前記治療領域の測定値に従って前記治療領域において切開パターンを位置合わせし、
前記患者インタフェースを通して前記治療領域の方にレーザビームを向け、
前記治療領域において前記切開パターンを作成するように前記レーザビームの焦点を制御する
ように構成されたレーザシステムと、
を備えるシステム。
〔態様11〕
前記レーザシステムが、
前記治療領域の前記測定値から前記治療領域の非変形特徴部を特定し、
前記非変形特徴部に対して前記切開パターンを位置合わせする
ことにより、前記切開パターンを位置合わせするようにさらに構成されている、態様10に記載のシステム。
〔態様12〕
前記測定装置が、前記眼球の移動を追跡するようにさらに構成され、
前記レーザシステムが、前記眼球の前記移動に従って残りの切開パターンの作成を調整するようにさらに構成されている、態様10に記載のシステム。
〔態様13〕
前記非変形特徴部が角膜表面特徴部を含む、態様10に記載のシステム。
〔態様14〕
前記非変形特徴部が角膜厚さ特徴部を含む、態様10に記載のシステム。
図1A-B】
図2
図3
図4
図5