(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】肺における空気漏れのモデリング
(51)【国際特許分類】
G09B 23/28 20060101AFI20230807BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B9/00 Z
(21)【出願番号】P 2020530960
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(86)【国際出願番号】 IB2018059665
(87)【国際公開番号】W WO2019111174
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-10
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エッカート・チャド・イー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・ジョーダン・ビー
(72)【発明者】
【氏名】クラッセン・チャールズ・シー
(72)【発明者】
【氏名】オットー・ハラルド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503762(JP,A)
【文献】特開平07-260541(JP,A)
【文献】特開昭49-086081(JP,A)
【文献】特表2011-511000(JP,A)
【文献】特表2016-505264(JP,A)
【文献】米国特許第04167070(US,A)
【文献】米国特許第06874501(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用空気漏れモデリングシステムであって、
液密及び気密である第1のチャンバであって、内部に液体を有し、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された肺を有するように構成された、第1のチャンバと、
液密及び気密である第2のチャンバと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを接続して、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間で液体が循環することを可能にする管と、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間で流体を循環させるように構成された第1のポンプと、
前記第2のチャンバ内の液体充填レベルを感知するように構成されたセンサと、
前記センサに動作可能に連結された制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記センサが前記充填レベルの閾値変化量を感知することに応じて、第2のポンプを作動させて、前記第2のポンプに前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへ液体を圧送させるように構成されている、制御ユニットと、を備える、システム。
【請求項2】
前記流体が、液体及び空気を含み、前記第2のポンプが、蠕動ポンプであり、前記制御ユニットが、前記第1のポンプによって前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへ移動される空気量の決定において、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへと前記流体を圧送する際の前記蠕動ポンプの回転量を使用するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬されるように構成されたバルーンを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のチャンバの外側に位置し、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺を膨張及び収縮させるように構成された圧力機構を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記圧力機構が、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺に振動正圧を提供するように構成されたベンチレータを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記圧力機構が、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺に負圧を提供するように構成されたピストンを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬されるように構成されたバルーンを更に備え、前記バルーンは、前記肺が膨張することに応じて、既定の膨張状態から収縮するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のチャンバの頂壁が、前記頂壁と前記第1のチャンバ内の前記液体の上部との間の空気の収集を可能にするドーム形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ドーム形状の頂部にあるポートと、前記ポート及び前記第2のチャンバに接続された第2の管と、を更に備え、
前記ドーム形状が、前記頂壁の唯一のドーム形部分であり、前記第1のポンプが、前記第2の管を通じて前記流体を循環させるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ドーム形状が、前記頂壁における複数のドーム形状を含み、前記ドーム形状の各々が、その頂部にポートを有し、前記第1のポンプが、前記ポートのうちの選択された1つを通じて前記流体を循環させるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のチャンバの壁に気管ポートを更に備え、前記気管ポートは、前記肺に動作可能に連結されて、液体が前記肺から流出し、前記気管ポートを通って前記第1のチャンバから流出することを可能にするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
第2の管が、前記第1のチャンバの外側の前記気管ポートから延在し、
ピンチバルブが、前記第2の管に沿って位置し、
前記ピンチバルブは、前記ピンチバルブが前記第2の管を通る流れを妨害しない開放位置と、前記ピンチバルブが前記第2の管を通る流れを妨害する閉鎖位置との間で選択的に移動するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のチャンバに動作可能に連結され、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺を加熱するように構成されたヒータを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記充填レベルが所定の充填レベルに実質的に等しいことを前記センサが感知することに応じて、前記制御ユニットが、前記第2のポンプを停止させて前記第2のポンプを止めて前記第2のチャンバからの空気除去を終了するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のチャンバの壁は、前記第1のチャンバの外側から前記第1のチャンバ内の前記肺を見ることを可能にするために透明である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
医療用空気漏れモデリングシステムであって、
液密及び気密であるチャンバであって、
前記チャンバが、液体を内部に有するように構成され、肺が前記チャンバの底壁に隣接して前記液体中に浸漬され、
前記チャンバの頂壁が、前記頂壁と前記チャンバ内の前記液体の上部との間での空気の収集を可能にするドーム形部分を含み、
前記ドーム形部分の頂部は、収集された前記空気が通って出ることを可能にするように構成されたポートを前記頂部に有する、チャンバと、
前記チャンバの外側に位置し、前記チャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺を膨張及び収縮させるように構成された圧力機構と、を備え、前記膨張及び収縮に応じて、前記肺内に存在する漏れが、前記肺から液体へと、次いで前記ドーム形部分内へと空気を放出する、システム。
【請求項17】
前記チャンバ内の前記液体に浸漬されるように構成されたバルーンを更に備え、前記バルーンは、前記肺が膨張することに応じて、既定の膨張状態から収縮するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記圧力機構が、
前記チャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺に振動正圧を提供するように構成されたベンチレータと、
前記チャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺に負圧を提供するように構成されたピストンと、のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記チャンバと流体連通し、液密及び気密である第2のチャンバと、
前記ポートを通じて前記第2のチャンバ内に流体を圧送するように構成された第1のポンプと、
前記第2のチャンバ内の液体の液体充填レベルを感知するように構成されたセンサと、
前記センサに動作可能に連結された制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記センサが前記充填レベルの閾値変化量を感知することに応じて、第2のポンプを作動させて、前記第2のポンプに
前記チャンバから前記第2のチャンバへ液体を圧送させるように構成されている、制御ユニットと、を更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
医療用空気漏れモデリング方法であって、
液密及び気密であり、液体中に浸漬されている肺を内部に有する第1のチャンバ、及び、液密及び気密である第2のチャンバ間で流体を循環させることと、
センサを用いて前記第2のチャンバ内の液体充填レベルを感知することと、
前記センサが前記充填レベルの閾値変化量を感知することに応じて、蠕動ポンプを作動させて、前記ポンプに、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへ液体を圧送させることと、
前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに前記空気を圧送する際に前記蠕動ポンプの回転量を使用して、前記流体の循環中に前記肺から漏れた空気量を決定することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年12月6日出願の「Ex Vivo Modeling of Perioperative Air Leaks in Porcine Lungs」と題する米国特許仮出願第62/595,284号の優先権を主張し、この米国特許仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、肺における空気漏れのモデリングに関する。
【背景技術】
【0003】
長期空気漏れ(prolonged air leak、PAL)は、肺切除後の最も一般的な合併症のうちの1つである。ほとんどのPALは、外科的切除の直後、又は術後の最初の日に発症する。いくつかの研究により、空気漏れ(特にPAL)は、膿胸、アテレシタス、肺炎、及び死亡率のリスクの増加など、様々な術後合併症と関連することが示されている。米国胸部外科学会(The Society of Thoracic Surgeons、STS)は、PALを、空気漏れがない場合に必要な在院日数を延長する空気漏れと定義している。小葉切除術の場合は、在院日数は、異なる分類に基づいて、術後4日目、5日目、6日目になり得る。空気漏れは、長期化する胸腔ドレナージ及び入院による患者の不快感の増加、並びに入院及び外来患者のリソースの使用の増加による医療費の増加を伴う。
【0004】
多数のリスク因子が、胸部手術後の空気漏れに関連するとして提唱されている。これらの因子は多様であり、患者の性別、癒着の存在、気胸又は不完全な亀裂の存在、上葉切除術、解剖学的切除の実施、慢性閉塞性肺疾患の存在、術前のステロイドの使用、脆弱又は老化した肺実質、肺の動員を必要とする癒着、体格指数、外科技法、外科医の経験、術後の胸管管理(吸引対水封)、及び既存の水疱の破裂を含む。残念ながら、このような因子は、完全な予測因子ではない。加えて、標準的なケアでは、多くの場合、漏れが解消するのを待つこと伴うため、外科医がPALに対処するために再手術を行うことはほとんどなく、したがって、漏れの病因についての知識が更に限定されている。PALの病因のより深い理解は、PALの治療及びケアにおけるイノベーションを促進するのに役立ち得、最終的に、それらの発生を低減及び防止し得る。
【0005】
今日までに、手術及び卓上モデルは、PALの理解と対処の進展を妨げる制限に苦しんできた。空気漏れは、インビボ及びエックスビボモデルでシミュレートされてきたが、空気漏れの発生源を示したり、空気漏れの量及び/又は頻度を定量化したり、生理学的に関連する機構及び疾患状態での空気漏れを調査したりする研究が不足している。インビボモデルは、多くの場合、疾患がなく、一般に漏れのリスクが高くない、若年の健康な動物の使用に制限される。これらのモデルは、適切な肺機構を厳密に反映するが、漏れ部位の直接的な観察又は漏れ率の定量化を可能にしない。既存のエックスビボモデルは、漏れ部位を直接見ることを可能にし、漏れ率をより容易に定量化することができるが、多くの場合、生理学的呼吸と同じ換気機構を有さないベンチレータ支援呼吸下で行われる。咳又は生理学的な深息などの空気漏れにつながる可能性のあるストレス因子の調査には、どちらの方法も厳密には使用されていない。
【0006】
より低いコスト、非専用の動物組織を使用する能力、並びに漏れを直接見ること及び定量化する能力を考慮すると、エックスビボ単離された肺モデルは、制御された体系的な方法での機能的及び生物学的試験の可能性を提供する。このような単離された肺モデルは、少なくとも1989年から使用されており、より最近の反復により、生理学的状態の定量化及び制御が進められている。しかしながら、生理学的な複製を達成すること(より具体的には周術期の状態と様々な換気モダリティ)は、困難であることが証明されている。これに多少関連して、エックスビボ肺灌流(ex vivo lung perfusion、EVLP)プロトコルが、移植前に肺を評価及び再調整する技術として開発されており、改善されたエックスビボ肺モデルに興味深い拡張機能を提供することができる。EVLP中、dO2、dCO2、グルコース、及び他のパラメータを含む肺機能がリアルタイムで監視され、これにより、細胞の健康及び全体的な組織機能の定量的評価が提供される。高度に洗練されているにもかかわらず、現行のEVLPシステムでは、胸膜腔の生理機能を模倣することは試みられていない。その代わりに、肺を空気に曝露し、正圧を用いて換気するものである。それでも、EVLPは、エックスビボで肺を数時間換気し、数時間灌流して、生理学的機能を観察し、組織の健康を評価し、(ある程度)ブタ及びヒト肺の両方において損傷を修復することができることを示す原理の非常に優れた証拠を提供している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、肺における空気漏れの改善されたモデリングが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概して、肺における空気漏れをモデリングするためのシステム、方法、及び装置が提供される。
【0009】
一態様では、医療用空気漏れモデリングシステムが提供され、一実施形態では、第1の液密及び気密チャンバであって、内部に液体を有し、第1のチャンバ内の液体に浸漬された肺を有するように構成された、第1の液密及び気密チャンバと、第2の液密及び気密チャンバと、第1のチャンバと第2のチャンバとを接続して、第1のチャンバと第2のチャンバとの間で液体が循環することを可能にする管と、第1のチャンバと第2のチャンバとの間で流体を循環させるように構成された第1のポンプと、第2のチャンバ内の液体充填レベルを感知するように構成されたセンサと、センサに動作可能に連結された制御ユニットと、を含む。制御ユニットは、センサが充填レベルの閾値変化量を感知することに応じて、第2のポンプを作動させて、ポンプに、第1のチャンバから第2のチャンバへ液体を圧送させるように構成される。
【0010】
このシステムは、諸々のやり方で変えることができる。例えば、流体は、液体及び空気を含み得、第2のポンプは、蠕動ポンプであり得、制御ユニットは、第1のポンプによって第1のチャンバから第2のチャンバへ移動される空気量の決定において、第1のチャンバから第2のチャンバへと液体を圧送する際の蠕動ポンプの回転量を使用するように構成され得る。別の例では、システムは、第1のチャンバ内の液体に浸漬されるように構成されたバルーンを含むことができる。
【0011】
別の例では、システムは、第1のチャンバの外側に位置し、第1のチャンバ内の液体に浸漬された肺を膨張及び収縮させるように構成された圧力機構を含むことができる。少なくともいくつかの実施形態において、圧力機構は、第1のチャンバ内の液体に浸漬された肺に振動正圧を提供するように構成されたベンチレータと、及び/又は第1のチャンバ内の液体に浸漬された肺に負圧を提供するように構成されたピストンと、を含むことができる。少なくともいくつかの実施形態において、システムは、第1のチャンバ内の液体に浸漬されるように構成されたバルーンを含むことができ、バルーンは、肺が膨張することに応じて、既定の初期膨張状態から収縮するように構成され得る。
【0012】
更に別の例では、第1のチャンバの頂壁は、頂壁と第1のチャンバ内の液体の上部との間での空気の収集を可能にするドーム形状を有する。少なくともいくつかの実施形態では、システムは、ドーム形状の上部にあるポートを含むことができ、システムは、ポート及び第2のチャンバに接続された第2の管を含むことができ、ドーム形状は、頂壁の唯一のドーム形部分であってもよく、第1のポンプは、第2の管を通じて流体を循環させるように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、ドーム形状は、頂壁における複数のドーム形状を含むことができ、ドーム形状の各々は、その頂部にポートを有することができ、第1のポンプは、ポートのうちの選択された1つを通じて流体を循環させるように構成され得る。
【0013】
更に別の例では、システムは、第1のチャンバの壁内に気管カニューレ挿入ポートを含むことができ、気管ポートは、肺に動作可能に連結されて、液体が肺から流出し、気管ポートを通って第1のチャンバから流出することを可能にするように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、第2の管は、第1のチャンバの外側の気管ポートから延在することができ、ピンチバルブは、第2の管に沿って位置することができ、ピンチバルブは、ピンチバルブが第2の管を通る流れを妨害しない開放位置と、ピンチバルブが第2の管を通る流れを妨害する閉鎖位置との間で選択的に移動するように構成され得る。
【0014】
別の例では、システムは、第1のチャンバに動作可能に連結され、第1のチャンバ内の液体に浸漬された肺を加熱するように構成されたヒータを含むことができる。更に別の例では、制御ユニットは、センサが所定の充填レベルに実質的に等しい充填レベルを感知することに応じて、第2のポンプを停止させて第2のチャンバからの空気除去を終了するように構成され得る。更に別の例では、第1のチャンバの壁は透明であり得、そのため、第1のチャンバ内の肺を第1のチャンバの外側から見ることができる。
【0015】
別の実施形態では、医療用空気漏れモデリングシステムは、液密及び気密チャンバを含む。チャンバは、チャンバの底壁に隣接する液体に肺が浸漬された液体を内部に有するように構成され、チャンバの頂壁は、頂壁と第1のチャンバ内の液体の上部との間での空気の収集を可能にするドーム形部分を含み、ドーム形部分の頂部は、収集された空気が通って出ることを可能にするように構成されたポートを頂部に有する。システムはまた、チャンバの外側に位置し、チャンバ内の液体に浸漬された肺を膨張及び収縮させるように構成された圧力機構を含む。膨張及び収縮に応じて、肺内に存在する漏れは、肺から液体へと空気を放出し、次いでドーム形部分に放出される。
【0016】
このシステムは、諸々のやり方で変えることができる。例えば、システムは、チャンバ内の液体に浸漬されるように構成されたバルーンを含むことができ、バルーンは、肺が膨張することに応じて、既定の初期膨張状態から収縮するように構成され得る。更に別の例では、圧力機構は、チャンバ内の液体に浸漬された肺に振動正圧を提供するように構成されたベンチレータと、第1のチャンバ内の液体に浸漬された肺に負圧を提供するように構成されたピストンと、のうちの少なくとも1つを含むことができる。更に別の例では、システムは、第1のチャンバと流体連通する第2の液密及び気密チャンバと、ポートを通じて第2のチャンバ内に流体を圧送するように構成された第1のポンプと、第2のチャンバ内の液体の液体充填レベルを感知するように構成されたセンサと、センサに動作可能に連結され、センサが充填レベルの閾値変化量を感知することに応じて、第2のポンプを作動させて、第2のポンプに第1のチャンバから第2のチャンバへ液体を圧送させるように構成されている、制御ユニットと、を含むことができる。
【0017】
別の態様では、医療用空気漏れモデリング方法が提供され、一実施形態では、第1の液密及び気密チャンバと第2の液密及び気密チャンバとの間で流体を循環させることを含む。第1のチャンバは、内部に液体に浸漬された肺を有する。この方法はまた、センサを用いて第2のチャンバ内の液体充填レベルを感知することと、センサが充填レベルの閾値変化量を感知することに応じて、蠕動ポンプを作動させて、ポンプに、第1のチャンバから第2のチャンバへ液体を圧送することと、を含む。この方法はまた、第1のチャンバから第2のチャンバに空気を圧送する際の蠕動ポンプの回転量を使用して、流体の循環中に肺から漏れた空気量を決定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
【
図1】肺における空気漏れをモデリングするためのモデルの一実施形態の概略図である。
【
図3】
図1のモデルの第1のチャンバ内の肺の上面図である。
【
図4】
図1のモデルの第1のチャンバ内の圧縮部材の上面図である。
【
図7】
図1の第1のチャンバの頂壁の概略上面図である。
【
図8】肺における空気漏れをモデリングするためのモデルの第1のチャンバの頂壁の別の実施形態の概略斜視図である。
【
図10】肺における空気漏れをモデリングするためのモデルの第1のチャンバの頂壁の別の実施形態の概略上面図である。
【
図11】肺における空気漏れをモデリングするためのモデルの第1のチャンバの頂壁の更に別の実施形態の概略斜視図である。
【
図15】
図1のモデルの更に別の部分の斜視図である。
【
図16】
図1のモデルの更に別の部分の概略図である。
【
図19】
図1のモデルのアクチュエータの斜視図である。
【
図20】肺における空気漏れをモデリングするためのモデルの別の実施形態の一部分の斜視図である。
【
図21】コンピュータシステムの一実施形態の概略図である。
【
図22】閉胸チャンバ及び気管圧力対時間を示すグラフである。
【
図23】抜管後チャンバ及び気管圧力対時間を示すグラフである。
【
図24】閉胸(気管)の平均流量ループを示すプロットである。
【
図25】閉胸(気管)の平均容積圧力ループを示すプロットである。
【
図26】抜管後の平均流量ループ(気管)を示すプロットである。
【
図27】抜管後の平均容積圧力ループ(チャンバ)を示すプロットである。
【
図28】抜管後(気管)の平均容積圧力ループを示すプロットである。
【
図29】平均測定容積対正規化時間を示すグラフである。
【
図30】正規化された平均漏れ率を示すプロットである。
【
図31】電気インピーダンストモグラフィ(electrical impedance tomography、EIT)ピーク吸息を示す画像である。
【
図32】右肺と左肺との間の一回換気量の割合を示すグラフである。
【
図33】全インピーダンス変化量の時間を示すグラフである。
【
図34】灌流ガス分析対灌流時間を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願で開示する装置、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示される装置、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0020】
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符合を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の参照符合を付した各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、装置、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができることが認識されるであろう。当業者は、寸法が正確な値ではなくても、製作公差及び測定機器の感度などの諸々の要因により、その値に近い値であると考えられることを理解するであろう。システム及び装置、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及び装置が内部で用いられる対象の解剖学的構造、システム及び装置が一緒に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び手順に依存し得る。
【0021】
概して、肺における空気漏れをモデリングするためのシステム、方法、及び装置が提供される。本明細書に記載されるシステム、方法、及び装置の実施形態は、エックスビボ灌流及び肺の換気を可能にし得る。本明細書に記載されるシステム、方法、及び装置は、将来の長期空気漏れ(PAL)研究のための実行可能な試験方法として機能し得る。例示的な実施形態では、PAL病因モデルの臨床的に関連する調査が、大型動物肺(例えば、ブタなど)及びヒト肺などの肺のインビボ肺機構及び生理機能をシミュレートするように構成される。モデルは、肺機能を維持する能力を有する術中及び術後の段階にわたるシミュレートされた外科手術の影響の評価を可能にし得る。モデルの様々な特徴により、この評価を容易にすることができ、この特徴は、肺を直接見ることができ、肺の空気漏れを捕捉及び定量化する能力を含み、機械的(正圧)及び生理学的(負圧)換気の両方を行い、咳をシミュレートする能力を含む。
【0022】
図1及び
図2は、肺における空気漏れのモデリングを可能にするように構成されたモデル10の一実施形態を示す。モデル10は、内部にエックスビボで配設された肺14を有するように構成された第1のチャンバ12を含む。この例示された実施形態における第1のチャンバ12の頂壁の壁は、肺14が第1のチャンバ12内に配設され、第1のチャンバ12から除去されることを可能にするように、除去可能かつ交換可能であるように構成されている。この例示された実施形態における肺14は、
図2及び
図3に示すように、1対の肺であり、典型的な患者の解剖学的構造を正確に反映する。モデル10はまた、第1のチャンバ12と流体連通する第2のチャンバ16と、呼吸をシミュレートするように構成された圧力機構と、モデル10の様々な要素を制御し、肺14内の空気漏れの識別及び分析を容易にするように構成された、様々な電子構成要素を内部に収容する電子モジュール26と、を含む。1つ又は2つ以上の圧力機構を使用することができる。例示的な実施形態では、以下で更に考察されるように、モデル10は、機械的に補助された呼吸、例えば、患者が手術室で外科手術を受けているときのようなベンチレータ呼吸をシミュレートするために、肺14に正圧を提供するように構成された第1の圧力機構18を含み、モデル10は、生理学的な、自然な、非機械的な補助呼吸をシミュレートするために、肺14に負圧を提供するように構成された第2の圧力機構20を含む。他の実施形態では、モデルは、第1の圧力機構及び第2の圧力機構のうちの1つのみを含むことができる。
【0023】
第1及び第2のチャンバ12、16の各々は、内部に液体、例えば生理食塩水又は他の液体を有するように構成される。肺14は、肺14が液体中に完全に浸漬されるように、第1のチャンバ14内の液体に浸漬される。第1及び第2のチャンバ12、16の各々は、第1及び第2のチャンバ12、16が閉鎖流体システムを画定するように、液密かつ気密となる。閉鎖流体システムを提供することは、第1及び第2のチャンバ12、16内の制御された圧力条件下での肺14内の空気漏れの隔離、収集、及び定量化を可能にすることによって、肺14内の空気漏れの検出を容易にすることができる。以下で更に考察されるように、管は、第1のチャンバ12と第2のチャンバ16との間に延在して、第1のチャンバ12と第2のチャンバ16との間の流体の循環を可能にする。
【0024】
第1のチャンバ12は透明であり、例えば、透明な壁を有し、第1のチャンバ12内に配設された肺14を見ることを容易にし、第1のチャンバ12内の液体中の気泡を見ること、例えば、肺14内の漏れを通じて漏れ出る空気を見ることを容易にする。透明な壁には、ポリカーボネート又は他の材料などの様々な材料のいずれかを使用することができる。第2のチャンバ16も透明であり、第2のチャンバ16内の液体を見ることを容易にする。以下で更に考察されるように、第2のチャンバ16内の液体の充填レベルは、例えば、レベルセンサ30を使用して感知され、肺14内の空気漏れの存在を検出する際に電子機器モジュール20内の電子機器によって使用され得る。第2のチャンバ16内の液体レベルを見ることで、第2のチャンバ16内の液体レベルのユーザ観察及び/又はユーザ検証が可能となり得る。
【0025】
第1のチャンバ12は、第1のチャンバ12内の液体に浸漬されるコンプライアンス部材28が内部に配設されるように構成されている。コンプライアンス部材28は、圧縮(収縮)及び圧縮解除(膨張)するように構成されたバルーン、又は圧縮(収縮)及び圧縮解除(膨張)するように構成されたベローズなどの様々な構成を有することができる。この図示した実施形態では、
図4に最も明確に示すように、コンプライアンス部材28は、第1及び第2のバルーン28a、28bを含むバルーンであるが、任意の数のコンプライアンス部材28(1つ又は2つ以上)を使用することができる。
【0026】
概して、コンプライアンス部材28は、第1及び第2のチャンバ12、14によって画定される閉鎖システム内の圧力変化に応じて圧縮及び圧縮解除するように構成された弾性要素である。このように、コンプライアンス部材28は、肺14が膨張するときにはコンプライアンス部材が圧縮し、肺14が収縮するときにはコンプライアンス部材が圧縮解除することにより、肺14が第1のチャンバ12内で膨張及び収縮するときには第1のチャンバ12内の圧力の変化に対応することができる。したがって、コンプライアンス部材28は、コンプライアンス部材28が肺14の最大膨張及び最大収縮を完全に補うことができるように、シミュレートされた呼吸時に肺14の内外に移動する空気容量以上の容積を有する。
【0027】
コンプライアンス部材28はまた、肺14がインビボで受ける胸部壁のコンプライアンスをシミュレートするのに役立ち得る。
【0028】
コンプライアンス部材28は、第1のチャンバ12の肺14の下方、例えば、肺14が第1のチャンバの底壁に近接しているよりも第1のチャンバ12の底壁に近接して位置する。肺14に対するコンプライアンス部材28のこの位置は、第1のチャンバ12内でコンプライアンス部材28の上方に静水圧がかかることを可能にする。したがって、第1のチャンバ12は、肺14及びコンプライアンス部材28を内部に包含するのに十分な大きさを有し、肺14及びコンプライアンス部材28を完全に浸漬するのに十分な液体を包含するのに十分な大きさを有する。この例示的な実施形態では、第1のチャンバ12は約15Lであるが、他のサイズを使用することもできる。当業者は、特定のパラメータが正確な数値ではなくても、製作公差及び測定機器の感度などの1つ又は2つ以上の要因により、その特定の数値が「約」であると考えられることを理解するであろう。第1のチャンバ12は、肺14及びコンプライアンス部材28の各々を着座させるための棚を有することができる。
【0029】
コンプライアンス部材28は、様々な材料のうちのいずれかから形成することができる。コンプライアンス部材28を形成する材料は、肺の膨張及び収縮に応じて、コンプライアンス部材28が圧縮及び圧縮解除することができるのに十分に適合しなければならない。
【0030】
コンプライアンス部材28は、肺の膨張及び収縮に応じて、コンプライアンス部材28の圧縮及び圧縮解除を容易にする。モデル10は、コンプライアンス部材28内の設定圧力を維持するように構成された設定圧力システムを含む。設定圧力は、モデリングされている臨床シナリオに基づいて異なり得、例えば、切除後胸膜腔、気胸、及び病理学的胸部コンプライアンスに使用される異なる設定圧力を有する。
図1、
図2及び
図5に示すように、空気制御バルブ32と、コンプライアンス部材28に実質的に一定の圧力を提供するように構成された空気コンプレッサ34と、空気コンプレッサ34を湿潤させるように構成されたリザーバ30と、を含む。この図示した実施形態では、空気制御バルブ32は、空気コンプレッサ及びPEEPバルブを含むが、他のバルブを使用することもできる。
図5に示す管の矢印は、その中の空気流方向を示す。
【0031】
第1のチャンバ12は、第1のチャンバ12の外側の設定圧力システムから第1のチャンバ12内のコンプライアンス部材28へ空気が流れることを可能にするポート40をその壁に有する。ポート40は、第1のチャンバ12の前側壁にあるが、ポート40は、第1のチャンバ12の別の壁にあってもよい。管42は、ポート40に接続され、ポート40とリザーバ30との間に延在して、リザーバ30とポート40との間の空気流を容易にする。別の管44は、第1のチャンバ12内に位置し、ポート40と第1のチャンバ12内のコンプライアンス部材28との間に延在する。第1のチャンバ12の外側の管42は、ポンプがそこに選択的に連結されることを可能にする、それに連結されたポンプアタッチメント46を有する。ポンプアタッチメント46に取り付けられたポンプは、設定圧力システムからの空気をコンプライアンス部材28に圧送するように構成されている。
【0032】
第1のチャンバ12の外側、及び設定圧力システムからコンプライアンス部材28への流路に沿った圧力センサ48は、流路内の圧力、例えば、コンプライアンス部材28内の圧力に対応する第1のチャンバ12の外側の管42内の圧力を感知するように構成されている。
【0033】
第1のチャンバ12の外側に位置する三方バルブ36は、設定圧力システムとコンプライアンス部材28との間に連結される。三方バルブ36は、設定圧力システムがコンプライアンス部材28から隔離又は切断されることを可能にし、その結果、空気は、設定圧力システムからコンプライアンス部材28に流れることができない。空気が管42を通って設定圧力システムからコンプライアンス部材28に流入していないとき、コンプライアンス部材28は、圧力機構が第1のチャンバ12内の肺14を膨張及び収縮させるために使用されている間に、設定圧力システムによって事前に内部に設定された圧力を維持することができる。
図5に示すように、三方バルブのバルブ開口部のうちの2つは、設定圧力システムをコンプライアンス部材28に接続する管42に連結されている。三方バルブ36の第3のバルブは、大気に開放されている。
【0034】
この図示した実施形態と同様に、手動で操作可能なコンプライアンス部材38(例えば、バルーン、ベローズなど)は、リザーバ30に動作可能に連結され得る。手動で操作可能なコンプライアンス部材38は、リザーバ30から第1のチャンバ12内のコンプライアンス部材28への空気を手動で付勢してコンプライアンス部材28を膨張させるために、ユーザによって手動で圧縮、例えば(絞り、押し付けなど)の操作を行うように構成されている。手動で操作可能なコンプライアンス部材38の解放により、第1のチャンバ12内のコンプライアンス部材28を収縮することが可能となる。ユーザが第1のチャンバ12内のコンプライアンス部材28を手動で圧縮及び圧縮解除することを可能にすることにより、ユーザは、手術室(operating room、OR)又は肺が不規則に圧縮及び圧縮解除される他の環境において肺が発生し得る様々な処置及び状況をシミュレートすることが可能になる。
【0035】
図1、
図2及び
図6に示される第1及び第2のポンプ50、54は、モデル10内の液体及び空気の移動を容易にするように構成される。本明細書で流体ポンプとも称される第1のポンプ50は、第1のチャンバ12と流体ポンプ50との間に延在する管52、第1のチャンバ12と第2のチャンバ16との間に延在する管52、及び第2のチャンバ16と流体ポンプ50との間に延在する管52を介して、第1のチャンバ12と第2のチャンバ16との間に流体を循環させるように構成されている。肺14から空気が漏れていないとき、流体ポンプ50は、第1のチャンバ12と第2のチャンバ14との間でのみ循環する液体である。
図6に最も明確に示すように、流体ポンプ50は、第1のチャンバ12の頂壁のポート64を介して第1のチャンバ12から、第2のチャンバ16の底壁のポート58を介して第2のチャンバ16に流体を圧送し、第2のチャンバ16の底壁の第2のポート60を介して第2のチャンバ16から流体を圧送し、第1のチャンバ12の頂壁の第2のポート66を介して第1のチャンバ12に流体を圧送するように構成されている。第1のチャンバ12の頂壁にある第1のチャンバのポート64、66は、肺14から漏れ、第1のチャンバ12内の液体を通って気泡として上昇する任意の空気がポート64、66に向かって移動することを確実にするのに役立つ。第2のチャンバ16の底壁にある第2のチャンバのポート58、60は、液体が第2のポート60から引き出され、第1のポート60を通って第2のチャンバ16に入る任意の空気が、第2のチャンバ16の頂壁に向かって上昇することを確実にするのに役立つ。
【0036】
空気が肺14から漏れたとき、漏れた空気は、第1のチャンバ12から第2のチャンバ16へと液体と共に圧送される。本明細書で空気除去ポンプとも称される第2のポンプ54は、第1のチャンバ12から第2のチャンバ14内に液体を圧送することによって、第2のチャンバ16から空気を除去するように構成されている。
図6に最も明確に示すように、空気除去ポンプ54は、第2のチャンバ16の頂壁のポート62を通して液体を第2のチャンバ16内に圧送するように構成されている。
【0037】
例示的な実施形態では、ポンプ50、54の各々は蠕動ポンプである。それぞれのポンプ50、54の管の少なくとも部分は、ポンプ50、54が各々、それぞれの管に対して回転して流れを促す蠕動ポンプであるために、そこを通る流れを容易にするために可撓性を有している。
【0038】
上述したように、第2のチャンバ16に動作可能に連結されたレベルセンサ30、例えば超音波レベルセンサ(UM12l Sick、Minneapolis、MN)等は、第2のチャンバ16内の液体の充填レベル16Lを感知するように構成されている。第2のチャンバ16は、事前設定された充填レベルまで液体で充填される。事前設定された充填レベルは変化し得る。一例として、約400mlの容積を有する第2のチャンバ16の場合、事前設定された充填レベルは、50~100mlの範囲内で選択される値であり得る。第2のチャンバ16は、事前設定された充填レベルが満たされるまで第2のチャンバ16から圧送される空気などによって、事前設定された充填レベルに充填され得る。
【0039】
閉鎖システムを画定する第1及び第2のチャンバ12、16に起因して、流体ポンプ50は、第1のチャンバ12と第2のチャンバ16との間で流体を循環させることにより、循環流体が液体に加えて空気を含むときのみ、第2のチャンバ16内の液体の充填レベル16Lを変化させる。したがって、レベルセンサ30は、液体のみが第1のチャンバ12と第2のチャンバ16との間で循環されているときに、充填レベル16Lの変化を感知しない。しかしながら、流体ポンプ50が流体の循環中に第1のチャンバ12から第2のチャンバ16内へ空気を圧送すると、第2のチャンバ16に入る空気は、第2のチャンバ16内の液体に取って代わり、充填レベル16Lの変化を生じさせることにより、充填レベル16Lが第2のチャンバ16内で降下又は減少する。したがって、レベルセンサ30は、空気が第1のチャンバ12から第2のチャンバ16に入ると、充填レベル16Lの変化を感知する。第1のチャンバ12から第2のチャンバ16に入る空気は、第2のチャンバ16内の液体を通って頂部ポート62に向かって気泡として上昇する。第1及び第2のチャンバ12、16は閉鎖システムを画定しているため、空気が第1のチャンバ12から第2のチャンバ16に入ることは、肺14における空気漏れを示し、例えば、肺14が第1のチャンバ12内の液体に空気を漏らしたことを示す。センサ30が充填レベル変化を感知したことに応じて、第2のポンプ54は、例えば、センサ30及び第2のポンプ54に動作可能に接続された電子モジュール26内のコントローラからの命令に応じて、第1のチャンバ12から第2のチャンバ16へと液体を供給して、第2のチャンバ16内の液体を事前設定された充填レベルに戻すために、作動又は回転され得る。空気除去ポンプ54は、充填レベル16Lが最初の事前設定された充填レベルになったことをレベルセンサ30が検出し、それによって、第1のチャンバ12から第2のチャンバ16に入った全ての空気が第2のチャンバ16から除去されたことを示すまで、オン状態を維持するように構成される。次いで、空気除去ポンプ54は、例えば、空気除去ポンプ54がオフ状態になるように指示するコントローラによって、停止又はオフにすることができる。
【0040】
第1のチャンバ12から除去された空気量は、例えば、コントローラによって、その動作中に蠕動空気除去ポンプ54の回転量を使用して、第2のチャンバ16内に液体を圧送することによって決定され得る。空気除去ポンプ54によって係合される管のサイズは、既知の値である。空気除去ポンプの毎分回転(rotations per minute、RPM)もまた、既知の値、例えば6~600RPMの範囲の既知の設定値である。したがって、空気除去ポンプ54が、流体ポンプの流体循環中に第1のチャンバ12から第2のチャンバ16に入った空気量であるときに空気除去ポンプのRPMを測定することにより、管の既知の大きさ及び測定されたRPMを使用する単純な計算によって決定することができる。また、肺のモデル使用時における空気漏れの経時平均値及び総漏れ量は、例えば、コントローラによって簡単に計算することができる。コントローラは、その回転中に空気除去ポンプ54からRPMを自動的に受信するように構成することができ、電子機器モジュール26内のメモリに予めプログラムされ、コントローラに動作可能に連結された管サイズを有することができる。
【0041】
モデル10は、肺14の膨張/収縮中に肺換気を測定するように構成され得る。肺換気は、電気インピーダンス、キセノンガスコントラスト強化CT、又は超分極キセノン又はヘリウムガス強化MRIスキャンを使用することなどによって、様々な方法のいずれかで測定することができる。
図1に示すように、肺換気の測定を容易にするために、モデル10は、リング形状の電気インピーダンストモグラフィ(EIT)アレイ57を含む。EITアレイ57は、この図示した実施形態では32個の電極を含むが、別の数の電極を使用することができる。当業者に理解されるように、EITアレイ57は、肺の膨張及び収縮中の肺14内の空気分布のリアルタイム撮像を可能にするように構成されている。EITアレイ57は、電子機器モジュール26のコントローラに動作可能に接続されて、コントローラがEITアレイからの信号を受信及び分析して、リアルタイム撮像を提供することを可能にする。リアルタイム画像は、ディスプレイ55などのディスプレイ上に表示することができる。
【0042】
例示的な実施形態では、第1のチャンバ12は、肺14から漏れた空気が流体ポンプ50によって第1のチャンバ12から引き出されるのを支援するために、その上部で空気の収集を容易にするように構成される。第1のチャンバ12が地面に対して水平であることは、第1のチャンバ12の頂部に気泡を方向付けるのに役立つ。他の実施形態では、第1のチャンバ12は、第1のチャンバ12内の特定の標的領域に気泡を方向付けるのを支援するために、例えば、地面に対して水平でない場合がある。
【0043】
第1のチャンバ12の頂壁は、第1のチャンバ12の内部頂壁が湾曲した凹部形状を有するように、その内部表面にドーム状の形状を有しており、例えば、上方にドーム状の表面を有する。したがって、第1のチャンバ12の容積内の最上領域は、第1のチャンバの頂壁内のドーム形状のピークによって画定される。肺14から漏れるいかなる空気も、第1のチャンバ12内の液体を通って、ドーム形状のピークである第1のチャンバ12の容積内の最上領域に向かって気泡として上昇する。液体及び空気が第1のチャンバ12から圧送されるポート64は、ドーム形状上に位置し、例示的な実施形態ではドーム形状のピークに位置する。したがって、漏れた空気は、ポート64に向かって自然に上昇し、ポート64に近接する気泡に起因して、第1のポンプ50によって第1のチャンバ12から吸引される可能性が高くなる。
図7は、ドーム形状12d上に位置するポート64、66を有する第1のチャンバの頂壁のドーム形状12dを示す。
【0044】
図8及び
図9は、その内部表面にドーム形状102を内部に有する第1のチャンバの頂壁100の別の実施形態を示す。ドーム形状102は、
図1の第1のチャンバ12の頂壁内のドーム形状と同様に上方にドーム状に形成された湾曲した凹部形状である。
図8及び
図9のドーム形状102は、その上に位置する3つのポート104、106、108を有する。ポート104、106、108のうちの2つのみが、
図1の第1及び第2のチャンバ12、16と同様に、第1のチャンバとそれに流体的に連結された第2のチャンバとの間の流体循環のためにそれに接続された管と共に「活性」であってもよい。ポート104、106、108のうちの第3の「不活性」の1つは、第1のチャンバの気密性、液密性を維持するために閉鎖又は封止される。液体及び空気が第1のチャンバから第2のチャンバに圧送される管は、ポート104、106、108のうちの1つからポート104、106、108のうちの別のポートへと移動することができる。この移動は、モデルの使用中に起こり得、これにより、例えば、第1のチャンバの透明性を通して肺の空気漏れを見ることができる位置、例えば、肺から気泡が上昇している場所を見ることに基づいて、肺の空気漏れに最も近いポート104、106、108を選択することを可能にし得る。したがって、漏れた空気は、気泡が第1のチャンバの頂部に上昇する場所に、より密接に位置することによって、第1のチャンバからより効率的に圧送され得る。
【0045】
第1のチャンバ内に配設された肺は、肺内のステープルラインに沿ったような、肺上の予想される位置での空気漏れとは対照的に、肺採取又は輸送中に引き起こされた予期せぬ、意図しない空気漏れを内部に有し得る。肺採取又は輸送中に引き起こされた空気漏れは、通常、研究のための関心対象ではない。
図8及び
図9の複数のポート104、106、108などの複数のポートを有する頂壁を提供することにより、液体及び空気が第1のチャンバから第2のチャンバに圧送される管は、対象となる空気漏れに関係しない空気の収集及び除去を回避するのを支援するために、空気漏れの予想される位置(モデルの使用前又は使用中)に最も近いポートに位置付けることができる。管は、予想される空気漏れの識別及び分析においてその空気が考慮されることを回避するために、第1のチャンバからの漏れた空気を収集及び除去するための、予想外の意図しない空気漏れに最も近いポートに位置付けることができる。
【0046】
図10は、その内部表面にドーム形状112を内部に有する第1のチャンバの頂壁110の別の実施形態を示す。ドーム形状112は、
図1の第1のチャンバ12の頂壁内のドーム形状と同様に上方にドーム状に形成された湾曲した凹部形状である。
図10のドーム形状112は、その上に位置する9つのポート114a、114bを有する。ポート114aのうちの4つはドーム形状112上に部分的に位置し、ポート114bのうちの5つは、
図7のポート64、66と同様にドーム形状112上に完全に位置し、
図9のポート104、106、108は、それらのそれぞれのドーム形状上に完全に位置する。
図8及び
図9に関連して上で考察されたものと同様に、ポート114a、114bのうちの2つのみが任意の時点で「活性」であってもよく、その管を通って液体及び空気が第1のチャンバから第2のチャンバへと圧送される管は、例えば、気泡が頂壁110に向かって上昇していることがわかる場合に基づいて、ポート114a、114bのうちの1つからポート114a、114bのうちの別の1つに移動可能である。
【0047】
あるいは、ポート114a、114bのうちの2つを同時に「活性」とすることができる。ポート114a、114bのうちの2つは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の流体循環に使用することができ、一方、ポート104、106、108の他の2つは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間で流体を循環させるために使用される流体ポンプと同様の別の流体ポンプを使用して、第1のチャンバと第3のチャンバとの間の流体循環に使用することができる。第3のチャンバは、第2のチャンバと同様に構成される。したがって、第3のチャンバは、第2のチャンバと同様に、第1のチャンバ内の肺から漏れた空気を受容するように構成され、第2のチャンバに関して本明細書で考察されたものと同様の空気漏れを識別及び分析するために使用され得る。2つ以上のポート114a、114bを通して第1のチャンバから圧送することは、肺内の複数の空気漏れの事象において、第1のチャンバ内の肺から漏れた空気の効率的な収集及び除去を容易にしてもよく、かつ/又は、ユーザが、頂壁110を含むモデルの使用中にポート114a、114b間の管を手動で移動させることを防止することができる。
図10に図示した実施形態のように、頂壁で十分なポートが利用可能であることを提供すると、第2及び第3のチャンバに加えて1つ又は2つ以上のチャンバが、第2及び第3のチャンバと同様に第1のチャンバに動作可能に接続され得る。
【0048】
図7、
図9及び
図10の第1のチャンバの頂壁は各々、内部に単一のドーム形状を有する。他の実施形態では、第1のチャンバの頂壁は、内部に複数のドーム形状を有することができる。複数のドーム形状の各々は、
図1の第1のチャンバ12の頂壁内のドーム形状と同様に上方にドーム状に形成された湾曲した凹部形状を有し得る。複数のドーム形状の各々は、その上に位置する少なくとも1つのポートを有することができる。頂壁に複数のドーム形状を設けることによって、第1のチャンバ内の肺からの空気漏れは、漏れに最も近いドーム形状の上部に向かって自然に上昇する。したがって、肺から漏れた空気は、第1のチャンバからより効率的に収集され、除去され得る。
【0049】
図11~
図13は、その内部表面に複数のドーム形状118を有する頂壁116の一実施形態を示す。頂壁116は、この図示した実施形態では4つのドーム形状118を有するが、任意の複数のドーム形状を使用することができる。ドーム形状18は各々、
図1の第1のチャンバ12の頂壁内のドーム形状と同様に上方にドーム状に形成された湾曲した凹部形状である。ドーム形状118の各々は、その上に位置するポート120を有する。ポート120は各々、この図示された実施形態では、それぞれのドーム形状118のピークにある。頂壁116はまた、ドーム形状118のいずれ上にも位置していない、そこに形成されたポート122を内部に有する。ポート122は、頂壁116上の中央に位置する。中央に位置するポート122を提供することは、空気が第1のチャンバの頂壁116において中央に集まる傾向があり得るため、第1のチャンバ内の肺から漏れた空気の効率的な収集を容易にすることができる。上で考察されたものと同様に、ポート120、122のうちの2つのみが、任意の時点で「活性」であってもよく、あるいは、ポート120、122のうちの2つ以上を任意の時点で「活性」であってもよい。
【0050】
流体が流れる第1のチャンバ内のポートは、各々保護部材に連結され得る。保護部材は、流体がそこを通って流れることを可能にするように構成されており、そのため、流体はポートに入るか、又はポートから出ることができる。保護部材はまた、組織がそこを通過することを防止して、ポートがポートに入った組織を保護し、別のチャンバに移動させる(又は他のチャンバへの途中で管に詰まる)ように構成されている。したがって、保護部材は、第1のチャンバ内に配設された肺、又は肺から偶発的に放出された任意の組織若しくは他の物質がポートを通って別のチャンバに吸引されることを防止するのに役立ち得る。
【0051】
図14は、保護部材の一実施形態を示す。第1のチャンバ12のポート64、66の各々は、そこに連結された保護部材68、70を有する。保護部材68、70は、篩又はストレーナと同様に、内部に複数の小孔を有するカップであり、より大きな物質がそこを通過するのを防止しながら、そこを通過する流体の流れを可能にするように構成されている。
【0052】
モデルは、肺がモデルの第1のチャンバ内でエックスビボであるとき、肺内のインビボ血流をシミュレートするように構成された灌流システムを含むことができる。概して、灌流システムは、肺の自然な解剖学的構造を使用して、肺を通して液体を循環させるように構成されている。灌流システムは、灌流システムがモデル内に存在しなかったか、又は特定の肺に存在するが未使用である場合よりも長い期間、モデリング用途にエックスビボ肺を実行可能に維持するのに役立ち得る。
【0053】
灌流システムの一実施形態を、
図1のモデル10に関して
図1~
図3及び
図15に示す。灌流システムは、灌流流体リザーバ72と、灌流流体ポンプ74と、湿潤ユニット76と、を含む。概して、灌流流体は、リザーバ72から湿潤ユニット76を通って肺14を通って流れ、リザーバ72に戻るように構成される。灌流流体は、生理食塩水などの様々な流体のうちのいずれかであり得る。
【0054】
リザーバ72は、肺14内で循環するために内部に流体を貯蔵するように構成されている。リザーバ72は、流体を内部で加熱するように構成された加熱要素に連結される。当業者によって理解されるように、加熱要素は、加熱コイル、正の温度係数(positive temperature coefficient、PTC)ケーブル、加熱ラップなどの、任意の様々な構成を有することができる。温度センサ73、例えば熱電対などは、灌流流体の温度を感知するように構成されている。センサ73によって感知された流体の温度は、安全性のために、かつ/又はモデリング条件の監視のために、コントローラによって監視されることができる。
【0055】
ポンプ74は、リザーバ72から湿潤ユニット76に向かって流体を圧送するように構成されている。ポンプ74は、この例示の実施形態における蠕動ポンプであり、これは、第2のチャンバ16から圧送される空気の定量化に関して上で考察されたものと同様に、肺14を通って循環される灌流流体の量の定量化を可能にし得る。第1のチャンバ12内の肺14の膨張及び収縮は、肺14から外に灌流流体を付勢し、リザーバ72に戻る。灌流流体ポンプ74はまた、リザーバ72への灌流流体の付勢に寄与し得る。
【0056】
湿潤ユニット76は、灌流流体に対するポンプ74の脈動効果を減衰させるように構成され、これは、肺14への外傷を低減するのに役立ち得、かつ/又は灌流流体が肺14を通る血流をより正確に模倣するのに役立ち得る。この図示された実施形態における湿潤ユニット76は、灌流流体がジャーに入る入口と、灌流流体がジャーを出る出口とを有するジャーである。湿潤ユニット76が、湿潤ユニット76を出る前に灌流流体が収集する容積を有することは、灌流流体を湿潤させるのに役立つ。したがって、湿潤ユニット76内に空気容量が存在し、湿潤を容易にする。
【0057】
第1のチャンバ12は、その右側壁に灌流流入ポート78及び灌流流出ポート80を含むが、灌流ポート78、80は、第1のチャンバ12の別の壁に位置され得る。灌流流入ポート78は、第1のチャンバ12の外側に位置する管82を介して湿潤ユニット76に連結される。灌流流出ポート80は、第1のチャンバ12の外側に位置する別の管84を介してリザーバ72に連結される。圧力センサ86は、肺14に流入する灌流流体の圧力を感知するために流入管82に沿って位置し、別の圧力センサ88は、肺14から流出する灌流流体の圧力を感知するために流出管84に沿って位置する。圧力センサ86、88の各々は、ルアーロックポートでキャップされて、そこへの注射器の取り付けを可能にし得る。注射器は、その流れ中に灌流流体を除去するために使用されてもよく、そのサンプリングを可能にし、かつ/又は管82、84を切断するか、又は第1のチャンバ12を開放する必要なく、管82、84内から空気を除去するために使用することができる。
【0058】
第1のチャンバ12内に位置する流入カニューレ90は、流入ポート78に連結され、第1のチャンバ12内に位置する流出カニューレ92は、流出ポート80に連結される。流入カニューレ90は、肺動脈をシミュレートし、肺14に連結されて、肺14への血流をシミュレートするために肺14への流体の流れを可能にする。流出カニューレ92は左心房をシミュレートし、肺14に連結されて、流入カニューレ90を通って肺14に入った流体が肺14から出ることを可能にする。カニューレ90、92は、モデル10の使用中にカニューレ90、92を定位置に維持するのを支援するために、臍テープ又は他の固定機構によって肺14に固定され得る。
【0059】
モデルは、内部に配設された肺を有するように構成されたチャンバ、例えば、モデル10の第1のチャンバ12を加熱するように構成されたチャンバ加熱システムを含むことができる。チャンバ加熱システムは、インビボ条件をより良好にシミュレートするように、エックスビボ肺を体温に維持するのに役立ち得、かつ/又は、チャンバ加熱システムがモデル内に存在しなかったか、又は特定の肺では存在しないが、未使用である場合よりも長い期間にわたって、エックスビボ肺をより実行可能に長期間維持するのに役立ち得る。チャンバ加熱システムは、様々な構成を有することができる。
【0060】
図1の実施形態は、チャンバ加熱システムを含む。第1のチャンバ12は、ジャケット状の壁、例えば、その間に空間を有する2つの壁を有し、第1のチャンバ12の壁内で加熱流体を循環させることによって、第1のチャンバ12及び液体及び内部に配設された肺14を加熱する。第1のチャンバ12の4つの側壁のみがジャケット状であるが、チャンバの壁のいずれかがジャケット状であってもよい。モデル10は、壁の間の空間と通信する加熱流体リザーバと、加熱流体リザーバと第1のチャンバ12との間で加熱流体を循環させるように構成されたポンプとを含む。コントローラは、加熱流体の循環を制御するためにポンプを制御するように構成され得る。
【0061】
モデルは、肺14内の空気漏れが存在する前又は後のいずれかで、肺14上の咳の効果の評価を可能にするために、咳をシミュレートするように構成され得る。
図1の実施形態のモデル10では、モデル10は、ピンチバルブ94、例えばピンチバルブソレノイド(EPK-1502-NO、高砂電気、名古屋、日本)などを使用して咳をシミュレートするように構成される。咳のシミュレーションは、負圧換気中、例えば第2の圧力機構20の使用中にのみ提供され、正圧換気中、例えば第1の圧力機構18の使用中には提供されないように構成される。
【0062】
第1のチャンバ12は、その後方側壁に気管ポート96を含むが、気管ポート96は、第1のチャンバ12の別の壁に位置され得る。気管ポート96は、その一方の側(第1のチャンバ12内)上に、肺14に連結するように構成された気管カニューレ97に連結され、インビボで肺14から延在する気管を模倣するように構成されている。気管カニューレ97は、モデル10の使用中に気管カニューレ97を定位置に維持するのを支援するために、臍テープ又は他の固定機構によって肺14に固定され得る。気管ポート96の反対側(第1のチャンバの外側)上では、気管ポート96は、ピンチバルブ94につながる管98に連結されている。管98は、ピンチバルブ94を通ってドリップジャー99まで延在する。ドリップジャー99は、過剰な液体を収集するように構成されている。ドロップジャー99から延在する管98aは、大気又はベンチレータまで延在することができる。
【0063】
圧力センサ95は、管98に沿って位置し、そこを通って流れる流体の圧力を感知する。センサ95によって感知された圧力は、コントローラがシミュレートされた咳の強度を測定するのに役立ち得る。
【0064】
既定状態では、ピンチバルブ94は開いており、管98を挟持しない。
図17は、管98を挟持しないその開放状態にあるピンチバルブ94を示す。したがって、気管ポート96を通って肺14に入る空気によって、肺14によって空気が「呼吸」され得る。咳のシミュレーションを開始するために、ピンチバルブ94は閉鎖され(手動又はコントローラなどの電子制御を介して)、管98を挟持し、そこを通る流体の流れを妨害する。したがって、空気は、挟持された流路に起因して、気管ポート96を通って肺14に入ることができない。したがって、空気は通常「吸入」され得ないため、圧力は、肺14の外側の第1のチャンバ12内に蓄積する。ピンチバルブ94を閉鎖状態から開放状態に移動させると、第1のチャンバ12内の圧力の蓄積により、気管ポート96を介して肺14内に空気が噴出する。肺14内へのこの空気の噴出は、咳をシミュレートしたものである。ピンチバルブ94は、圧力センサ95が所定の咳圧力値以上の圧力を感知することに応じて自動的に開放するように構成されている。瞬時の「呼吸」段階の終了前に、圧力が所定の咳圧力値以上であると感知されない場合、ピンチバルブ94は、次の「呼吸」段階が正常に進行することを可能にするように、段階の終了時に自動的に開放するように構成される。他の実施形態では、逆のことは、咳をシミュレートするために、肺14から空気を噴出させるピンチバルブ94の開口部を用いて行うことができる。
【0065】
上述したように、モデル10の圧力機構は、肺14内に漏れが存在する場合、シミュレートされた呼吸時に肺14から空気が流出するので、呼吸時に肺機能をシミュレートすることによって空気漏れ検出を容易にするために、第1のチャンバ12内の肺14を膨張及び収縮させるように構成される。同様に上述したように、この例示された実施形態におけるモデル10は、正圧機構(第1の圧力機構18)及び負圧機構(第2の圧力機構20)の2つの圧力機構を含み、これにより、異なる呼吸モダリティのモデリングを可能にする。異なる呼吸モダリティをシミュレートすることが可能であることにより、モデル10が、肺14内の空気漏れが生じるか又は悪化する異なるシナリオを識別することを可能にし、それに応じて、かかる空気漏れを防止又は修正するための解決策を開発することを可能にし得る。第1の圧力機構18による機械的に補助された呼吸のシミュレーションを可能にすることにより、肺14内の空気漏れの位置及び/又は肺14内の空気漏れが外科手術中に発生するタイミングを含む、外科手術の実行中に発生する空気漏れの識別を容易にすることができる。例えば、モデル10は、外科手術の実行中に肺のモデリングを容易にすることができ、外科手術中に患者の呼吸を支援するためにベンチレータが使用される。モデル10は、肺14内の空気漏れがステープルラインに沿って生じる場所、及び/又はステープルラインの形成後に肺14内で空気漏れが発生するタイミングの識別を容易にし得る。第2の圧力機構20による非機械的に補助された呼吸のシミュレーションを可能にすることにより、肺14内の空気漏れの位置及び/又は肺14内の空気漏れが外科手術中に発生するタイミングを含む、外科手術の実行後に発生する肺14内の空気漏れの識別を容易にすることができる。例えば、モデル10は、肺が外科的にステープル留めされ、外科手術が終了した後に機械的補助なしに患者が自然に呼吸される外科手術の実行後の肺のモデリングを容易にすることができる。使用中、圧力機構18、20のうちの1つのみが、一度にオン状態又は活性となる。
【0066】
概して、第1の圧力機構18は、上で考察されたように、コンプライアンス部材28の容積変化を補償することを可能にしながら、肺14内に空気を押し込むように構成されている。第1の圧力機構18は、気管ポート96に動作可能に連結されて、肺14に空気を供給するように構成されている。第1の圧力機構18は、この動作可能な接続を気管ポート96に容易にするために、ドリップジャー99(
図16を参照)から延在する管19に連結することができる。第1の圧力機構18は、第1のチャンバ12内の液体に浸漬された肺14に振動正圧を提供するように構成されたベンチレータを含む。Respironics Trilogy 200(Respironics、Murraysville、PA)又は他の外部臨床ベンチレータなどの様々なベンチレータを使用することができる。
図2は、当業者によって理解されるように、第1の圧力機構18の使用を容易にするカート24上に取り付けられたディスプレイ22を示す。
【0067】
概して、第2の圧力機構20は、肺14に伝達し、それによって肺14内に空気を引き込む第1のチャンバ12内の液体の容積変化を誘発するように構成されている。このようにして、第2の圧力機構20は、インビボ肺との隔膜の相互作用を模倣する。第2の圧力機構20は、気管ポート96に動作可能に連結されて、肺14に空気を供給するように構成されている。第2の圧力機構20は、この動作可能な接続を気管ポート96に容易にするために、ドリップジャー99(
図16を参照)から延在する管19に連結することができる。
図3に示すように、第1のチャンバ12内の3つのカニューレ(咳のシミュレーション管98(
図16参照)に動作可能に接続された1つのカニューレ、第1の圧力機構18に動作可能に接続された1つのカニューレ、及び第2の圧力機構20に動作可能に接続された1つのカニューレ)は、気管ポート96から肺14に延在する。したがって、気管ポート96は、
図3及び
図17に示すように、3つのカニューレのうちの1つに接続するように各々構成された3つの別個のポートを含み得る。
【0068】
図1及び
図2に示すように、第2の圧力機構20は、ピストン20a(
図18も参照)と、ピストン20aの移動、例えば振動を駆動するように構成されたアクチュエータ20b(
図19も参照)とを含む。ピストン20aの移動は、第1のチャンバ12内の液体の容積変化を誘発するように構成されている。アクチュエータ20bは、単軸アクチュエータ及びサーボ駆動コントローラ(Tolomatic、Hamel、MN)などのピストン20aの移動を引き起こすように構成された、様々なモータ又は他の駆動機構のいずれかを含むことができる。図示した実施形態における第2の圧力機構20によって誘発される容積変化は、約4~570ml/秒の範囲にわたって1mlステップで制御される最大2750mlであるが、他の容積変化も可能である。アクチュエータ20bは、コントローラがアクチュエータ20bの作動(例えば、オン状態にする)及び停止(例えば、オフ状態にする)を制御し、それによって肺14の膨張/収縮を制御することができるように、電子モジュール26内のコントローラに動作可能に連結されるように構成されている。
【0069】
コンプライアンス部材28は、第1の圧力機構18と同様に肺14に空気が押し込まれるのではなく、例えば肺14から空気が引き出されるので、第2の圧力機構20が使用されているときに、負圧が誘発されて圧縮/圧縮解除することはない。コンプライアンス部材28は、第2の圧力機構20が使用されているときに収縮される。
【0070】
モデル10は、第2の圧力機構20の安全機能としての自動遮断機構を含むことができる。自動遮断機構は、ピストン20aが所定の圧力閾値を上回る圧力、例えば、200mmHg、15~930psiなどの範囲から選択される圧力値を生成するピストン20aに応じて、ピストンの動きを止めるようにアクチュエータ20bをオフにするように構成され得る。自動遮断機構は、圧力センサによって感知された圧力に応じてアクチュエータ20bをオフにするように構成されているコントローラなどの様々な方法で実施することができる。第2の圧力機構20に関連する自動遮断機構は、第2の圧力機構20に関連付けられた自動遮断機構と同様であるが、第1のチャンバ12内の圧力が圧力の所定の閾値と等しいかそれ以上の値で感知されることに応じて、いずれかの圧力機構18、20を遮断するように構成されたチャンバ圧力自動遮断機構に加えて提供され得る。
【0071】
図1、
図2及び
図17の実施形態におけるピストン20aは、肺14が水平位置にある第1のチャンバ12に対して垂直位置にある。他の実施形態では、ピストンは、ピストンが動作可能に連結される第1のチャンバに対して水平位置にあり得る。ピストンは、第1のチャンバに対して水平位置にあることにより、モデルの全体的なプロファイルを低減することができ、モデルの設定及び/又は携帯性を容易にすることができる。
【0072】
図20は、ピストン120aが動作可能に連結される第1のチャンバ112に対して、第2の圧力機構のピストン120aが水平位置にある一実施形態を示す。
図20はまた、ピストン120aの移動を駆動するように構成されたアクチュエータ120b、第1のチャンバ112の頂壁の3つのポート122、第1のチャンバ112内の2つのコンプライアンス部材114、及び第1のチャンバ112内のコンプライアンス部材114の上に位置し、その上に肺を着座させるように構成された棚116を示す。
【0073】
図20はまた、チャンバ加熱システムの別の構成を示す。この図示された実施形態では、液体が流れて第1のチャンバに流入する各ポートは、それに動作可能に連結された加熱コイルを有する。加熱コイルは、その関連するポートを通って流れる液体を加熱するように構成されている。液体が第1のチャンバから出る各ポート、液体が第2のチャンバに入る各ポート、及び/又は液体が第2のチャンバから出る各ポートはまた、それに動作可能に連結された加熱コイルを有してもよく、液体の循環経路を通る液体の加熱を容易にするのに役立つ。コントローラは、加熱コイルの作動及び停止を制御するように構成することができる。
【0074】
図20はまた、電子機器モジュールが、モデルの液体循環部分、例えば、第1及び第2のチャンバ及び関連する管と同じカート上に位置しない実施形態も示す。その代わりに、電子機器モジュールは、それ自体のカート上又は別の便利な場所に位置する。モデルの液体循環部分と同じカート上に位置していない電子機器モジュールは、モジュールの電子機器が不注意に液体と接触することから保護するのに役立ち得、アップグレードを含む電子機器のメンテナンスを容易にし得、電子モジュールが第1のチャンバの下のカート上にある必要がないので、第1のチャンバがより低く、よりユーザがアクセスしやすいレベルにあることを可能に得、かつ/又は、電子モジュールがモデルの液体循環部分と同じカート上にある場合とは異なり、液体循環モジュールから離れて位置する電子モジュールを消毒する必要がないので、必要とされる消毒の量を減らし得る。
【0075】
図1及び
図2に示すように、モデル10のこの例示された実施形態における電子モジュール26は、モデル10の液体循環部分、例えば、第1及び第2のチャンバ12、16及び関連する管と同じカート27上に位置する。モデル10の液体循環部分と同じカート27上にある電子モジュール26は、モデル10の設定を容易にすることができ、かつ/又はモデル10が試験空間内で必要に応じて動き回ることができるため、様々な環境でモデル10の使用を容易にすることができる。
【0076】
電子機器モジュール26は、コントローラ及びメモリを含むコンピュータシステムなどの様々な電子機器を含むことができる。本明細書に記載される主題の1つ又は2つ以上の態様又は特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組み合わせで実現することができる。これらの様々な態様又は特徴は、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステム上で実行可能及び/又は解釈可能である1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムの実行を含み得、そのプロセッサは、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、それらへデータ及び命令を送信するように接続された専用又は汎用プロセッサとすることができる。プログラム可能なシステム又はコンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含んでもよい。クライアント及びサーバは、一般に、互いに隔たっており、典型的には、通信ネットワークを介して相互作用する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、かつ互いにクライアントサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0077】
図21は、コンピュータシステム200の1つの例示的実施形態を示す。図示されるように、コンピュータシステム200は、コンピュータシステム200の動作を制御することができる、1つ又は2つ以上のプロセッサ202を含む。「プロセッサ」はまた、本明細書では「コントローラ」とも呼ばれる。プロセッサ202は、プログラム可能な汎用若しくは専用マイクロプロセッサ、及び/又は様々な専用若しくは市販の単一若しくはマルチプロセッサシステムのうちのいずれか1つを含む、任意の種類のマイクロプロセッサ若しくは中央処理装置(central processing unit、CPU)を含むことができる。コンピュータシステム200はまた、1つ又は2つ以上のメモリ204も含むことができ、それらは、プロセッサ202によって実行されるコードのための、あるいは1つ又は2つ以上のユーザ、記憶装置、及び/又はデータベースから得られたデータのための一時記憶装置を提供することができる。メモリ204は、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、フラッシュメモリ、1つ又は2つ以上の様々なランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)(例えば、スタティックRAM(static RAM、SRAM)、ダイナミックRAM(dynamic RAM、DRAM)、若しくはシンクロナスDRAM(synchronous DRAN、SDRAM)、及び/又はメモリ技術の組み合わせを含むことができる。
【0078】
コンピュータシステム200の様々な要素は、バスシステム212に連結することができる。図示されたバスシステム212は、適切なブリッジ、アダプタ、及び/又はコントローラによって接続された、任意の1つ又は2つ以上の別個の物理的バス、通信ライン/インターフェース、及び/又はマルチドロップ若しくはポイントツーポイント接続を表す抽象化したものである。コンピュータシステム200はまた、コンピュータシステム200が遠隔装置、例えば、外科用装置又はロボット外科用システム内に位置する駆動システムに連結されたモータと通信することを可能にする1つ又は2つ以上のネットワークインターフェース206、コンピュータシステム200を他の電子機器、例えばモータ上に位置するセンサなどに接続するための1つ又は2つ以上のインターフェースコンポーネントを含むことができる1つ又は以上の入出力(input/output、IO)インターフェース208、及び1つ又は以上の記憶装置210を含むことができる。記憶装置210は、不揮発性及び/又は非過渡的な方法でデータを記憶するための任意の従来式媒体を含むことができる。したがって、記憶装置210は、永続的状態でデータ及び/又は命令を保つことができ、すなわち、その値は、コンピュータシステム200への電力の中断にもかかわらず保持される。
【0079】
コンピュータシステムはまた、非限定的な例として、オペレーティングシステム及びデータベース管理システムを含む、様々な他のソフトウェア及び/又はハードウェア構成要素のいずれかを含むこともできる。本明細書には例示的なコンピュータシステムが図示及び説明されているが、これは一般概念及び便宜のためであることが理解されるであろう。他の実施形態では、コンピュータシステムは、本明細書に示され説明されるものとは、アーキテクチャ及び動作が異なる場合がある。
【実施例】
【0080】
図1の空気漏れ定量化システムの精度は、600ml較正注射器(Biopac、San Diego、CA)を使用して実施されたn=18のトライアルの漏れ除去試験で評価され、その後、漏れチャンバに循環された空気のボーラスが注入され、除去され、平均36秒の持続期間にわたって定量化した。各トライアルについて空気送達速度が可変であるため、各データセットを、定期的に正規化された間隔(0、0.1、0.2など)での時間及び漏れ量によって正規化した。
【0081】
プロトコルは、臨床手技を模倣するためのベースライン試験ルーチンとして機能するように設計された。ブタ肺を、表1に示すように、以下の段階で、80分間にわたってシミュレートされた術中処置を通して行い、ここでVCは容積制御モードであり、SIMVは同期間欠換気であり、CPAPは、一定の正の気道圧力である。肺は、ベンチレータ(正圧)又はピストン(負圧)を使用して、容積制御下で実行した。完全な正から完全な負の換気への遷移中に、圧力制御されたSIMVを使用した(表1)。漏れ率は、シミュレートされた手順の持続期間にわたって測定された。気管流量、気管容積、空気漏れ率、組織温度、灌流温度、経肺圧、チャンバ圧力、気管圧力、動脈及び静脈灌流圧、並びに血管抵抗(灌流中)を試験中に20Hzで収集した。
【0082】
【0083】
9匹のブタ肺(Midwest Research Swine、Gibbon、MN)を採取し、ヘパリン化生理食塩水で洗い流し、システム内で試験するために湿った氷上に一晩輸送した。肺動脈(pulmonary artery、PA)及び左心房(left atrium、LA)カニューレを、市販のPerfadexと同様に内製調合した灌流液を使用して、取り付け、脱気した。気管カニューレを頭側ローブ気道分岐部の近位に取り付けた。肺を水浴中でゆっくり加温し、肺が動員されるまで気管カニューレに取り付けられたAmbuバッグを使用して徐々に膨張させた。動員すると、20ゲージの針を使用して、各肺の右頭側ローブに、0.5mmの深さ欠損を作成し、100-250ml/分のおよその漏れを生じた。生理食塩水を37℃に維持した部分的に充填されたチャンバ内に肺を配置した。チャンバの蓋が開いている状態で、試験は、開胸/機械的換気段階で10分間進行した。約5分間のチャンバ閉鎖段階(胸部の外科的閉鎖をシミュレーションする)を行った後、10分間の閉胸/機械的換気段階を行った。麻痺/麻酔からの覚醒(完全な機械的支持を伴う浅い負圧換気)及び自発換気(完全な機械的支持を伴う完全な負圧換気)を各々10分間シミュレートし、抜管後(機械的支持を伴わない完全な負圧換気)を、15分間シミュレートした。次いで、5分間の間欠咳段階(5咳/分)をシミュレートし、続いて5分間の深息段階(150%ベースライン容積)を行った。漏れ率は標本間の変動性を示すことができるため、以下の等式によって記載されるように、所与の標本の最大(xmax)及び最小(xmin)漏れ率値に基づいて正規化値(xnorm)を計算した。試験プロトコル全体にわたる各標本に対してxmax及びxminが見出された(これらの最大値及び最小値は、各試験肺について全ての試験段階にわたる最大及び最小を表す)。
【0084】
【0085】
電気インピーダンストモグラフィ(EIT)を用いて、換気を検査中にモニターし、特に右頭側ローブ(欠損部位)の換気が十分に行われるようにした。インピーダンスデータを10フレーム/秒で記録し、EIDORSソフトウェアにインポートした。約10回の呼吸サイクルをデータファイル全体から切り抜いて、単回サイクル分析を容易にした。Matlab内のマスキングツールを使用して、所与のサイクルのピークインピーダンスマップから右と左の肺の境界を手で選択した。単一サイクルのインピーダンス波形、右及び左の象限インピーダンス波形、及びピークインピーダンス(一回換気量の%として表される)を出力した。灌流を、1Hz正弦波波形を用いて250ml/分に維持して、心臓出力をシミュレートした。5、10、及び15分間隔の灌流ベースライン試料及びLA流出試料を6つの肺から収集して、pCO2、pO2、及びpHなどの電解質及び血液ガス、並びにグルコースを監視した。i-STATハンドヘルド血液分析器(Abbott、Illinois USA)及びCG8+カートリッジ(グルコース、pH、pCO2、pO2、及びHC03を含む一般的な血液ガスパネル分析)を利用して分析を行った。
【0086】
換気流、容積、及び圧力を、試験肺における全ての段階を通して連続的に記録した。
図22及び
図23に示すように、気管、チャンバ(胸膜腔)、PA、LA、及び胸部コンプライアンスバルーンからの代表的な圧力データ点を、閉胸(正圧換気)及び抜管後(負圧換気)段階の複数の呼吸サイクルの過程でプロットした。
図22は、閉胸段階(正圧換気)中に収集された時間に対する気管及びチャンバ圧力の代表的なプロットを示す。
図23は、抜管後段階(負圧換気)中に収集された時間に対する気管及びチャンバ圧力の代表的なプロットを示す。正圧(閉胸、完全な機械的換気)及び負圧(抜管後)段階からのサイクルを、各試験肺について平均化した。
【0087】
図24及び
図25は、それぞれ、正圧換気(閉胸段階)下の平均流量及び平均圧力容積ループを示す。圧力及び流量を、気管ポートで測定した。
図26及び
図27は、チャンバポートで測定された圧力(気管ポートで測定された流れ)を除いて、負圧換気下(抜管後段階)で類似のデータを表示する。
図28は、負圧下の平均圧力容積を示すが、圧力は気管ポートで測定されている。
図24~
図28の全てのサブプロットにおいて、容積を気管ポートで測定した流れから計算した。
図24~
図28中の線及びラベルは、ループの吸息部分及び呼気部分を示し、矢印はループに沿った方向を示す。以下の表2に、各試験肺の平均最大気管圧力(正圧)、平均最小チャンバ圧力(負圧)、及び最大肺容積(気管圧力に基づく)、並びに全ての肺のプールされた値をまとめている。表2は、各試験肺からの、正圧(閉胸)及び負圧(抜管後)換気からの最大吸息容積、気管圧力、及び漏れ率の平均及び標準偏差の概要を提供する。負圧換気からの最小チャンバ圧力もまた、表2に提供される。表2の平均+/-標準偏差は、所与の試験段階内の全てのサイクルからのものである。9匹全ての動物からの平均及びプールされた標準偏差は、表2の最も右側のカラムに提供される。
【0088】
【0089】
18回の注射器検証トライアルにおける正規化時間に対する漏れ量(ml)の平均+/-標準偏差を
図29に示す。容積は、各正規化時間において、±6.5ml又は約1%以内で正確であった。測定された容積は、試験の大部分を通じて実際の注入容積からの乖離は最小限であり、最大の乖離(注入容積の+/-6.5%)は試験の開始時及び終了時に観察された。各換気段階及び各肺セットの空気漏れデータを収集し、試験段階の過程で平均正規化漏れ率(%)の棒グラフとしてプロットした(
図30)。
図30の四分位の範囲のボックスは、データの50%を示し、ウィスカーは分布の上部及び下部25%を表す。
図30のアスタリスクは、上部四分位及び下部四分位の外側のデータを示す。負圧換気が導入されると(戻し、覚醒、自発)、漏れ率は、閉胸段階(完全な正圧)の場合よりも高くなることに留意されたい。完全な負圧(抜管後)に切り替えると、平均漏れ率は実質的に増加し、咳、深息、及び灌流段階中に維持される。閉胸は、平均正規化漏れ率(7.66%+/-6.46%)を示し、漏れ率は、戻し、覚醒、及び自発的(完全な機械的支持を伴う負圧)段階を経て徐々に増加した。自発(24.7%+/-11.1%)と抜管後段階(63.3%+/-20.0%)との間で急激な増加が観察され、これは、完全な負のみの圧力換気の開始を示した。咳及び深息段階は、漏れ率に及ぼす影響は最小限であった。肺の灌流(n=3標本の平均)は、わずかに抜管後からの漏れ率(36.8%+/-12.2%)をわずかに排出したが、依然として正圧段階よりも大きかった。
【0090】
EITデータの代表的な分析を
図31~
図33に示す。
図31は、白色に示される肺の大まかな輪郭を有する単一サイクルのピーク吸息からのEIT画像を示し、
図32は、各肺の象限からの一回換気量の割合を表す有色バーを有する右肺と左肺との間の一回換気量割合の分布を示す。EITリング内のピークインピーダンス(
図31)は、肺のセットの輪郭のものと適合する。右/左肺セット分布は、頭側領域及び尾側領域における同様の一回換気量分布を示す象限に更に区別して、ほぼ均等に分割された(
図32)。中央象限の違いは明らかであるが、下部中央象限の付属ローブ(右肺)の存在に起因し得る。個々の象限インピーダンス対時間(
図32)及び総インピーダンス変化対時間(
図33)は、システムの所定の容積対時間波形に続く規則的なパターンを表示した。
図32では、両側から各象限に対する一回換気量の割合対時間をプロットしている。尾側象限及び頭側象限における右肺と左肺との間の、同様の一回換気量分布に留意されたい。中央象限における分布間の差は、心臓の位置(インピーダンスを低下させる)及び付属ローブの存在に起因し得る。
図33では、肺セットの全体のための一回換気量が、4サイクルにわたって提示される。
【0091】
灌流分析からの概要データを以下の表3に示す。表3のベースライン(0分)データは、肺内で循環する前の、灌流の単一試料分析からのものである。灌流試料をLA圧力変換器ポートから採取した。表3では、BEは塩基過剰、iCaはイオン化カルシウム、sO2は酸素飽和度を表す。全ての電解質/血液ガスが各時間間隔でi-stat装置によって測定されたわけではないが、合計6つの肺セットが灌流された。したがって、平均及び標準偏差を計算するために使用される試料の数も同様に提示される。PH、pCO
2、pO
2、及びHCO
3の平均+/-標準偏差を
図34に示す。換気中、pO
2は、室温で125-132mm Hgに維持された。PC0
2は、7.4~10.4mm Hgの灌流全体にわたって増加し、一方、pHは7.40~6.83に低下した。グルコースは、換気中に92mg/dl(ベースライン)から65~68mg/dlまで減少した。重炭酸イオン濃度(HCO
3)は、10.3mmol/L(ベースライン)から2.8mmol/Lまで低下し、次いで1.8mmol/Lに徐々に減少した。ナトリウム及びカリウムイオンは、ベースラインから実質的に変化しなかった。初期灌流中、pH、pO2、及びpCO2は低下し、pHの低下は酸性症の示唆であり、HCO
3の低下は代謝原因の示唆である。グルコースデータ(表3に示す)は、代謝酸性症を支持する。継続的な灌用により、pO2は安定化され、93%飽和度を超えたままであった。
【0092】
【0093】
概要の表に示すように、n=9の試験肺間で、小さな標準偏差によって証明されたように、気管及びチャンバ圧力は一貫していた。最大吸息容積は、肺内及び肺間の両方で幾分変化した。これらの試験は圧力制限容積制御モード下で実行されたため、圧力限界に達した場合(40cm H20圧力)、容量設定点の前に吸息が停止され得る。したがって、容積の一部の変動がもたらされ得る。加えて、漏れの存在(特に負圧下)は、最大吸息容積に影響を与える可能性があり、正常な動物間変動は、個々の肺間の容積差に寄与し得る。全体的に、変動源を考慮すると、肺容積の標準偏差は小さくなった。最小チャンバ圧力(負圧)及び漏れ率は、各肺内及び全ての試験肺間で一貫していた。
【0094】
空気漏れ定量化システムの検証では試験の最初と最後の約4秒間にわずかな過小評価/過大評価が観察されたが、これは除去ポンプを作動させた(流体レベルを設定点に戻すために)超音波センサの利得定数が選択されたためである可能性が高い。全体的に、予想される値からの乖離は、例外的に小さいものであり、漏れ収集及び定量化システムにおける信頼性が構築された。
【0095】
上記の結果は、術中及び術後の環境における様々な呼吸モダリティを模倣するモデルの能力、並びに空気漏れを捕捉及び定量化する能力を実証するものである。モデルは、容積変化を誘発するための圧力勾配の適用とは対照的に、肺を伸張させるためにチャンバの制御された容積伸張を伴う浸漬された肺モデルを採用することによって、単離された肺の負圧換気の先行モデルを超えるステップを表す。負圧を誘発するために容積変化を使用することにより、モデルは、呼吸速度及び一回換気量の両方を同時に制御し、高度に制御された生理学的呼吸機構を可能にする。
【0096】
平均流量(QV)ループは、臨床的に容積制御された機械的換気及び患者のスピロメトリ曲線のような換気条件の同じ一般的な進行を呈した。機械的換気下での典型的なQVループのように、流れの急激な増加、続いてプラトーが吸息中に観察された。ゼロマークされた呼気に漸進的に戻る流れの急激な減少である。吸息速度は、通常の気道抵抗下で典型的である呼気速度よりもわずかに小さい。負圧換気下のQVループでは、通常の呼吸スピロメトリ曲線と同様に、吸入開始時の流れの急激な増加、続いてピークの一回換気量が達成されるにつれて徐々に漸減する。QVスピロメトリ曲線のわずかな鈍化によって示されるように、換気システムにおいていくらかの流量制限が観察された。これは、気管カニューレ挿入、呼吸流量計、ソレノイド、及び管によって生成されている可能性が高い。同様に、挿管された患者も、モデルに示されているものと同様の血流制限に直面する。
【0097】
機械的換気下の圧力容積(pressure-volume、PV)ループは、臨床患者ループと同様の特徴を有し、ピーク容積に向かって圧力が広い。これらの実験では、約5~7cmのH20のPEEPが維持され、容積制御換気モード(容積800mLに設定)は、40cmH20の圧力限界を有した。呼気時には、曲線は、圧力減少と共に容積の変化を最小限に抑え、これはコンプライアンスの増加を示唆した。肺欠損は、呼気曲線の形状の変化に寄与し得る。肺の各々が漏れているため、吸息空気容積は、呼気の開始時に漏れ部位を優先的に出してから、十分に低い気管圧力が、気管から残りの容積を引き込むまで、漏れ部位を優先的に出すことができる。
【0098】
負圧換気下では、気管PVループは、小さなCPAPが適用された自然呼吸の肺で予想されるように、圧力の変化が最小限である一回換気量の変化を示した。負圧PVループは、チャンバ圧力で胸膜内圧力を近似することにより、正圧換気と同様のパターンを示し、吸息時の圧力変化(この場合は負)に伴って容積が着実に増加し、圧力がゼロに戻るにつれて容積がより急速に減少する。この場合もやはり、コンプライアンスの増加及び空気漏れの存在は、PV曲線の形状に寄与し得る。
【0099】
肺内に欠陥を意図的に導入して、空気漏れを誘発し、様々なシミュレートされた術中及び術後の呼吸段階を介して漏れを監視することにより、漏れ率の驚くべき結果が生じた。換気モードが完全な機械的支持(正圧)から自発呼吸(間欠的な正圧と完全な負圧換気)へと変化するにつれて、漏れ率のわずかな増加が観察された。興味深いことに、漏れ率の急激な上昇は、抜管後段階(完全な負圧呼吸)において明らかとなった。正圧換気と負圧換気との間のこの遷移は、漏れ率の大きさを決定する際の重要な要因を表すように見える。肺(咳、深息)の更なるストレスは、漏れ率に有意な影響を及ぼさなかった。圧力モダリティと漏れ率のこの明らかな顕著な差を引き起こす根本的な機構は、このエックスビボ肺システムを使用した将来の試験における更なる探査の重要なトピックになる可能性が高い。観察された差の1つの仮説は、圧力モダリティが組織とどのように相互作用するかと基本的に異なることである。正圧の場合、空気は大きな気道に押し込まれ、気道抵抗が増加して肺胞に到達する。肺胞圧が胸膜圧を超える(及び組織弾性を超える)と、肺は膨張する。負圧下では、肺の胸膜表面全体が作用され、圧力が肺を開放する。胸膜圧が肺胞圧より低下すると、圧力勾配は肺を開放するように作用する。このような力は組織の変形に直接影響を及ぼすため、既存の肺の損傷/穴は、負圧対正圧下で、より伸張しやすい場合がある。本研究のPV曲線で観察されるように、同等の一回換気量を有する負圧(約-18cm H2O)と比較して、正圧換気(約40cm H2O)中にはるかに大きな圧力勾配が生成され、これは、負圧換気が正圧換気よりも肺の膨張に効率的であることを示唆している。加えて、正圧換気中に漏れを圧縮し得る周囲肺セグメントの質量効果は、負の換気中に低減又は除去され、それによって漏れを悪化させることができる。
【0100】
この研究におけるEITの使用により、換気中の肺内のガス分布の評価が可能になる。キセノンガス造影CT及び超分極キセノン又はヘリウムガス強化MRIスキャンのような他の技術が存在するが、これらのシステムをモデル内に実装することは困難であり、今回の研究では現実的ではなかった。EITにより、肺全体の換気、並びに肺の側面及び領域(各側の象限)内の換気の比較を識別することに成功したことが証明された。全体として、データは、肺が、漏れ部位付近の領域で観察された高インピーダンス(換気を示す)を有する、両側間で均等に換気された肺を示唆するものである。インピーダンス曲線に続いて、気管圧力曲線の曲線が続く。低インピーダンスの領域(特に、リングの中心)は、心臓の近似位置(空気よりも低いインピーダンスを有する)と一致している。
【0101】
灌流分析の結果は、グルコース代謝に対する公開データと一致し、器官の生存可能性を示す。観察された軽度の酸性症及び電解質の変化は、24時間の低温虚血時間を伴う肺の組織灌流及び虚血再灌流損傷のものと一致する。測定された肺静脈(pulmonary venous、LA)酸素及び二酸化炭素分圧は、組織換気及び灌流を表すものであり、長期単離された肺培養上の先行のデータと類似しており、モデル内の機能的肺に向けて推進する重要な観察結果である。
【0102】
試験は、急性の80分間の時間枠に限定された。PALは多くの場合、手術の1~2日後に発現するため、今回の試験において観察されなかった漏れ率の重大な変化が存在する可能性がある。最後に、生理食塩水浴の使用は、漏れを捕捉及び定量化するために必須であったが、肺への静水圧の付加は、非生理学的変形を誘発した可能性がある。このリスクは、チャンバの上部付近に存在する肺の腹面への漏れを制限することによって軽減され、漏れ部位における静水圧ヘッドを大幅に最小化し、これにより、試験試料間の変動を最小限に抑えることができた。
【0103】
このモデルを用いた将来の研究では、異なる圧力モダリティの下で結果として生じる漏れを評価するためのステープリング装置と同様に、組織の取り扱いに関連した肺切除術からの漏れを再現することに焦点を当てることができる。加えて、移植拒絶されたヒト組織を臨床的に患者を代表する病理学的状態で使用する可能性があれば、特に外科領域に適用されるように、漏れの病因をめぐる科学の理解を大幅に深めるであろう。最後に、PALが発現する術後の期間(最大2日間)をより良くアプローチするために試験段階を延長することで、臨床的に関連する期間における漏れの変化について新たな知見を加え得る。
【0104】
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。本明細書において引用されている全ての刊行物及び参照文献は、それらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0105】
〔実施の態様〕
(1) 医療用空気漏れモデリングシステムであって、
第1の液密及び気密チャンバであって、内部に液体を有し、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された肺を有するように構成された、第1の液密及び気密チャンバと、
第2の液密及び気密チャンバと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを接続して、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間で液体が循環することを可能にする管と、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間で流体を循環させるように構成された第1のポンプと、
前記第2のチャンバ内の液体充填レベルを感知するように構成されたセンサと、
前記センサに動作可能に連結された制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記センサが前記充填レベルの閾値変化量を感知することに応じて、第2のポンプを作動させて、前記第2のポンプに前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへ液体を圧送させるように構成されている、制御ユニットと、を備える、システム。
(2) 前記流体が、液体及び空気を含み、前記第2のポンプが、蠕動ポンプであり、前記制御ユニットが、前記第1のポンプによって前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへ移動される空気量の決定において、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへと前記流体を圧送する際の前記蠕動ポンプの回転量を使用するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬されるように構成されたバルーンを更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記第1のチャンバの外側に位置し、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺を膨張及び収縮させるように構成された圧力機構を更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記圧力機構が、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺に振動正圧を提供するように構成されたベンチレータを含む、実施態様4に記載のシステム。
【0106】
(6) 前記圧力機構が、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺に負圧を提供するように構成されたピストンを含む、実施態様4に記載のシステム。
(7) 前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬されるように構成されたバルーンを更に備え、前記バルーンは、前記肺が膨張することに応じて、既定の膨張状態から収縮するように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
(8) 前記第1のチャンバの頂壁が、前記頂壁と前記第1のチャンバ内の前記液体の上部との間の空気の収集を可能にするドーム形状を有する、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記ドーム形状の頂部にあるポートと、前記ポート及び前記第2のチャンバに接続された第2の管と、を更に備え、
前記ドーム形状が、前記頂壁の唯一のドーム形部分であり、前記第1のポンプが、前記第2の管を通じて前記流体を循環させるように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記ドーム形状が、前記頂壁における複数のドーム形状を含み、前記ドーム形状の各々が、その頂部にポートを有し、前記第1のポンプが、前記ポートのうちの選択された1つを通じて前記流体を循環させるように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
【0107】
(11) 前記第1のチャンバの壁に気管ポートを更に備え、前記気管ポートは、前記肺に動作可能に連結されて、液体が前記肺から流出し、前記気管ポートを通って前記第1のチャンバから流出することを可能にするように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(12) 第2の管が、前記第1のチャンバの外側の前記気管ポートから延在し、
ピンチバルブが、前記第2の管に沿って位置し、
前記ピンチバルブは、前記ピンチバルブが前記第2の管を通る流れを妨害しない開放位置と、前記ピンチバルブが前記第2の管を通る流れを妨害する閉鎖位置との間で選択的に移動するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記第1のチャンバに動作可能に連結され、前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺を加熱するように構成されたヒータを更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(14) 前記充填レベルが所定の充填レベルに実質的に等しいことを前記センサが感知することに応じて、前記制御ユニットが、前記第2のポンプを停止させて前記第2のポンプを止めて前記第2のチャンバからの空気除去を終了するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(15) 前記第1のチャンバの壁は、前記第1のチャンバの外側から前記第1のチャンバ内の前記肺を見ることを可能にするために透明である、実施態様1に記載のシステム。
【0108】
(16) 医療用空気漏れモデリングシステムであって、
液密及び気密チャンバであって、
前記チャンバが、液体を内部に有するように構成され、肺が前記チャンバの底壁に隣接して前記液体中に浸漬され、
前記チャンバの頂壁が、前記頂壁と前記第1のチャンバ内の前記液体の上部との間での空気の収集を可能にするドーム形部分を含み、
前記ドーム形部分の頂部は、収集された前記空気が通って出ることを可能にするように構成されたポートを前記頂部に有する、液密及び気密チャンバと、
前記チャンバの外側に位置し、前記チャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺を膨張及び収縮させるように構成された圧力機構と、を備え、前記膨張及び収縮に応じて、前記肺内に存在する漏れが、前記肺から液体へと、次いで前記ドーム形部分内へと空気を放出する、システム。
(17) 前記チャンバ内の前記液体に浸漬されるように構成されたバルーンを更に備え、前記バルーンは、前記肺が膨張することに応じて、既定の膨張状態から収縮するように構成されている、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記圧力機構が、
前記チャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺に振動正圧を提供するように構成されたベンチレータと、
前記第1のチャンバ内の前記液体に浸漬された前記肺に負圧を提供するように構成されたピストンと、のうちの少なくとも1つを含む、実施態様16に記載のシステム。
(19) 前記第1のチャンバと流体連通する第2の液密及び気密チャンバと、
前記ポートを通じて前記第2のチャンバ内に流体を圧送するように構成された第1のポンプと、
前記第2のチャンバ内の液体の液体充填レベルを感知するように構成されたセンサと、
前記センサに動作可能に連結された制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記センサが前記充填レベルの閾値変化量を感知することに応じて、第2のポンプを作動させて、前記第2のポンプに前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへ液体を圧送させるように構成されている、制御ユニットと、を更に備える、実施態様16に記載のシステム。
(20) 医療用空気漏れモデリング方法であって、
第1の液密及び気密チャンバと第2の液密及び気密チャンバとの間で流体を循環させることであって、前記第1のチャンバが、液体中に浸漬されている肺を内部に有する、循環させることと、
センサを用いて前記第2のチャンバ内の液体充填レベルを感知することと、
前記センサが前記充填レベルの閾値変化量を感知することに応じて、蠕動ポンプを作動させて、前記ポンプに、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへ液体を圧送させることと、
前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに前記空気を圧送する際に前記蠕動ポンプの回転量を使用して、前記流体の循環中に前記肺から漏れた空気量を決定することと、を含む、方法。