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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ボリュームの画像処理
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20230807BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20230807BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20230807BHJP
   A61B 18/08 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B34/20
A61B17/00 700
A61B18/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020544528
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2019051198
(87)【国際公開番号】W WO2019162809
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/634,581
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518312426
【氏名又は名称】バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、アンドリュー
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0137156(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0224426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/10
A61B 34/20
A61B 17/00
A61B 18/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シミュレートされたアブレーション治療が患者の組織のボリュームに望ましい影響を与えるか否かをユーザが決定できるように、アブレーション治療を実行する前にアブレーション治療を計画するためのアブレーションシステムであって、該アブレーションシステムは、
処理システムが、前記患者の組織のボリュームを表すボリューム画像データを受信し、前記ボリューム画像データはボリューム画像スキャナから直接的に又は間接的に得られる患者の組織の一連の二次元画像から構築されるとともに仮想針を含み、前記一連の二次元画像のそれぞれは前記処理システムに含まれる視覚化システムに基づいて生成されており、前記視覚化システムは前記仮想針を通って延びる長手軸と患者組織のボリュームを表すボリューム画像データとに基づいて前記一連の二次元画像を生成するように構成されており、
前記処理システムが、前記仮想針が前記ボリュームを通って延びる前記長手軸を規定するように、前記ボリューム画像データ内で前記仮想針をセグメント化し、
前記処理システムが、前記仮想針によって規定される前記長手軸が線状に存在する第1の平面であって前記ボリュームを通る前記第1の平面を示す、前記ボリュームの第1の断面である二次元画像を生成し、
前記処理システムが、前記第1の断面である二次元画像をディスプレイに表示し、
前記処理システムが、前記仮想針によって規定される前記長手軸が線状に存在する第2の平面であって前記ボリュームを通り、前記第1の平面とは異なる前記第2の平面を示す、前記ボリュームの第2の断面である二次元画像を生成して前記ディスプレイに表示する、
ように構成されるアブレーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のアブレーションシステムにおいて、前記第1の断面である二次元画像と前記第2の断面である二次元画像とが、それぞれ、前記第1及び第2の平面の斜視図を含んでなるアブレーションシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアブレーションシステムにおいて、
前記第1の断面である二次元画像は複数のピクセルからなり、
前記第2の断面である二次元画像は、複数のピクセルからなり、
前記仮想針に対応する、前記第1の断面である二次元画像におけるピクセルは、前記第2の断面である二次元画像における前記仮想針にも対応するアブレーションシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアブレーションシステムにおいて、前記第2の断面である二次元画像を生成することは、前記仮想針によって規定される長手軸周りに前記ボリューム画像データを回転することを備え、
前記長手軸周りに前記ボリューム画像データを回転することは、ユーザインタフェイスを介して受信された命令に応答して実行されるアブレーションシステム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアブレーションシステムにおいて、前記処理システムが、前記ボリューム内の前記仮想針の場所を受信するようにさらに構成されるアブレーションシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のアブレーションシステムにおいて、表示された前記第1の断面である二次元画像と表示された前記第2の断面である二次元画像の少なくともいずれか一方は、前記ボリューム内の前記仮想針の場所の表示されたセクションを含み、
前記表示されたセクションは、前記仮想針の先端の位置を示すものであり
前記表示されたセクションは、前記仮想針の長手軸の位置を示すものであるアブレーションシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のアブレーションシステムにおいて、前記処理システムが、前記ボリューム画像データから病変をセグメント化するようにさらに構成され、
前記第1の断面である二次元画像及び前記第2の断面である二次元画像の少なくともいずれか一方は、前記病変の断面の輪郭を備えるアブレーションシステム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のアブレーションシステムにおいて、
前記処理システムが、アブレーション治療のための1つ以上の入力パラメータを受信し、
前記処理システムが、受信した1つ以上の入力パラメータに基づいて治療ボリュームを決定する
ようにさらに構成され、
前記1つ以上の入力パラメータは、アブレーション電力とアブレーション期間の少なくともいずれか一方を備え、
前記第1の断面である二次元画像及び前記第2の断面である二次元画像の少なくともいずれか一方は、治療ボリュームの断面の輪郭を備えるアブレーションシステム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のアブレーションシステムにおいて、
前記処理システムが、前記ボリューム画像データから病変をセグメント化し、
前記処理システムが、アブレーション治療のための1つ以上の入力パラメータを受信し、
前記処理システムが、受信した1つ以上の入力パラメータに基づいて治療ボリュームを決定し、
前記処理システムが、決定された治療ボリュームと病変ボリュームとを比較する、
ようにさらに構成され、
前記第1の断面である二次元画像及び前記第2の断面である二次元画像の少なくともいずれか一方は、前記治療ボリュームと前記病変ボリュームの少なくともいずれか一方の断面の輪郭を備えるアブレーションシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のアブレーションシステムにおいて、前記処理システムが、前記治療ボリュームと前記病変ボリュームとに関連する治療マージンを決定し、前記処理システムが、前記ディスプレイに表示するようにさらに構成されるアブレーションシステム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のアブレーションシステムにおいて、前記仮想針は、第1の仮想針であり、本アブレーションシステムは、前記処理システムが、前記ボリュームに第2の仮想針を追加し、前記処理システムが、前記第2の仮想針が前記ボリュームを通って延びる長手軸を規定するように前記第2の仮想針をセグメント化するようにさらに構成されるアブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボリュームの画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな外科的アブレーション療法が利用可能である。これらは、例えば、凍結融解、マイクロ波アブレーション、無線周波アブレーション及びエレクトロポレーション療法を含む。
【0003】
冷凍アブレーションでは、凍結プローブ又は凍結針が、アブレーションされる組織の中又は近くに配置され、標的組織を凍結するために、プローブ先端の温度が極低温に下げられる。組織の凍結及び解凍の1つ以上のサイクルは、組織のアブレーションをもたらす。
【0004】
凍結手術システムは、1つ以上の凍結流体源に接続された1つ以上の凍結プローブを備える。このようなシステムは、共通に譲渡された特許である特許文献1に記載されている。特許文献2及び公開された出願では、米国公開とその開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのような凍結手術システムでは、凍結流体は、凍結流体源から1つ以上の凍結プローブに送達することが可能である。凍結流体が膨張する結果として凍結プローブを冷却することができ、それによって凍結プローブの先端の近くの組織を凍結する。そのようないくつかのシステムは、凍結プローブの除去を容易にするために凍結後に組織を解凍するために各凍結プローブのプローブシャフト内に配置された(高抵抗ワイヤで具体化された)電気ヒータを含む。
【0005】
マイクロ波アブレーションシステムは、典型的にはプローブ先端に近いマイクロ波アンテナを有する、マイクロ波プローブを含む。アンテナに供給されたエネルギーは、組織を加熱してアブレーションを引き起こすために使用される。そのようなシステムは、典型的には、アブレーションを実行するためのマイクロ波エネルギー発生器と1つ以上のマイクロ波針すなわちプローブとを含む。
【0006】
高周波アブレーション(RFA:Raidofrequency Ablation)においては、2つの電極間の組織を通過する交流電流から発生する熱を使用して組織がアブレーションされる。これらの電極の少なくとも1つは、典型的には、アブレーションされる組織内又はその近くに配置される針又は他のプローブに担持され、針周りの組織は、生成された熱によってアブレーションされる。
【0007】
エレクトロポレーションアブレーション療法では、プローブが標的組織の中又は周囲に配置され、プローブ間にパルス電界が生成される。これは、細胞死を引き起こす細胞膜の透過性を高める。
【0008】
カテーテルベースと同様に経皮的アプローチが利用可能であり、この技術は、とりわけ、癌の治療における腫瘍組織、不整脈の制御のための心臓組織、及びとりわけ疼痛の制御のための神経組織をアブレーションするために広く使用されている。
【0009】
例えばCTスキャンの患者の組織のボリュームの画像処理は、複数の平行な断面スライスとして実行される。典型的には、治療計画及び分析のためのスキャンの視覚化する間に、いくつかの関心のあるスライスが、関心のある領域(例えば、患者の病変)に近接して観察される。そのようなスライスは、例えば、臨床医が治療装置を患者に挿入するのを支援するために、及び/又は治療の効果を観察するために、可視化できる。
【0010】
しかしながら、スライスは一般に平行な平面を表すので、平面に対してある角度で組織に挿入された治療針等、ある角度で平面と交差する画像内のオブジェクトは、観察するのが難しい場合がある。例えば、針の一部が断面スライスで観察できる場合があるが、針の向き(例えば、平面に対して上向きか下向きか)を決定するのが難しい場合がある。同様に、適切に方向付けられない可能性のある画像の平行な平面に依存している間、治療装置及び/又は治療された領域の場所を分析及び解釈することは困難であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第8,066,697号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0256620号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明の諸態様は、一般に、アブレーション治療等の治療を計画及び/又は実行するためのシステム及び方法を対象とする。典型的には、そのような治療は、少なくとも1つのアブレーションプローブ又は針の使用と連関する。いくつかの例において、方法は、患者の組織のボリュームを表すボリューム画像データを受信することを含むことができ、該ボリューム画像データは、患者の組織の一連の二次元画像から構築され、仮想針を含む。仮想針は、例えば、システムユーザによって配置することが可能である。
【0013】
本方法は、仮想針がボリュームを通って延びる長手軸を規定するようにボリューム画像データ内で仮想針をセグメント化することと、第1の断面であるボリュームの二次元画像を生成することとを含むことができ、当該第1の断面であるボリュームの二次元画像は、仮想針によって規定される軸があるボリュームを通る第1平面を示す。第1の断面である二次元画像は、ディスプレイに表示できる。同様に、本方法は、第2の断面であるボリュームの二次元画像を生成するとともに表示することと含むことができ、当該第2の断面であるボリュームの二次元画像は、仮想針によって規定される長手軸があるボリュームを通る第2平面を示し、第2平面は第1平面と異なる。このように、いくつかの例において、第1及び第2の断面である二次元画像は、針軸を含むことができる。
【0014】
いくつかの例において、第1の断面である二次元画像と第2の断面である二次元画像の変更は、ボリュームの画像を調整するために仮想針によって規定された長手軸周りにボリュームを回転する命令を受信する結果となることができる。
【0015】
本発明の態様は、ボリュームに挿入される針に連関するブレーション治療を実行する前に、アブレーション治療を計画するための方法を含むことができる。いくつかのそのような方法は、ボリューム内の針の場所を表すデータを含むボリューム画像データを受信することと、ボリューム内の針の位置を決定することを含む、ボリューム画像データ内の針のセグメント化することを含み得る。方法は、ボリュームの第1の断面である二次元画像を生成し表示することと、ボリュームの第2の断面である二次元画像を生成し表示することとを含むことができ、第1の断面図は、針のあるボリュームを通る第1の平面を示す。第2の断面図は、針のあるボリュームを通る第2の平面を示すことができ、第2の平面は、第1の平面とは異なり得る。
【0016】
本発明の態様はまた、アブレーション針が患者の組織のボリュームに挿入された後にアブレーション治療を実行するための方法を含み得る。いくつかのそのような方法は、アブレーション針を含む患者の組織のボリュームを表すボリューム画像データを受信することと、アブレーション針をボリューム画像データ内でセグメント化することとを含むことができる。セグメント化は、ボリューム内のアブレーション針の場所を決定することを含むことができるとともに、アブレーション針は、ボリュームを通って延びる軸を規定することが可能である。
【0017】
方法は、さらに、ボリュームの第1の断面図を生成し表示することと、ボリュームの第2の断面図を生成し表示することとを含むことができ、第1の断面の画像は、アブレーション針によって規定される軸があるボリュームを通る第1の平面を示す。第2の断面図は、アブレーション針によって規定される軸があるボリュームを通る第2の平面を示すことができ、第2の平面は第1の平面とは異なる。
【0018】
そのような様々な方法において、追加的な特徴、すなわち、識別された病変、治療ボリューム(例えば、アブレーションされた組織、アイスボールのボリューム)、シミュレートされた治療ボリューム、等温線、シミュレートされた等温線、臓器の境界等は、同様にセグメント化され、様々な断面図に表示される。本発明のいくつかの態様は、1つ以上のプログラム可能なプロセッサに1つ以上のそのような方法を実行させるための実行可能な命令を備える非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。
【0019】
本発明のいくつかの態様は、システム、つまり、アブレーションシステムであって、アブレーション針や他のアブレーションプローブを含むもの、画像システム、ディスプレイ、及び処理システムを含むものを含む。処理システムは、患者の組織の複数の二次元画像を受信し、受信した複数の二次元画像に基づいて患者の組織のボリューム画像データを生成するように構成することが可能である。処理システムは、患者の組織のボリューム画像データ内でアブレーション針をさらにセグメント化することが可能である。
【0020】
アブレーションプロセスの間、処理システムは、アブレーション針が近接する患者の組織の温度プロファイルを予測し、予測された温度プロファイルに基づいて1つ以上のボリュームの等温線境界を識別するように構成できる。いくつかのそのようなシステムにおいて、処理システムは、ディスプレイ上にボリューム画像データの断面画像を表示するように構成可能であり、断面画像は、アブレーション針によって規定された軸を含むとともに、該針と1つ以上の識別されたボリュームの等温線境界の1つ以上とを含む平面を示す。
【0021】
本発明において、冷凍アブレーションがアブレーション療法の例として使用されているが、本発明は、ある組織のボリュームがアブレーションされるあらゆるアブレーション療法に等しく適用可能である。そのような療法は、熱アブレーション療法(アブレーションを実行するために組織温度が上昇するもの、つまり、高周波アブレーションやマイクロ波アブレーション、冷凍アブレーション等)や、他の療法を含み、他の療法はエレクトロポレーション療法を含み、エレクトロポレーション療法は不可逆的エレクトロポレーションや超音波ベースの療法等を含み、超音波ベースの療法は高強度の集束超音波アブレーション等を含む。「針」は本明細書を通して言及されるが、本発明はそのように限定されず、他のアブレーションプローブも使用され得る。そのようなプローブは、鈍い先端であるか、又は鋭い先端を有すること等によって組織を通って延びるように適合され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】非限定的な例示的実施形態による、ボリュームの画像処理誘導凍結手術システム10の概略図。
図1B】処理システムと他のシステム部品構成要素との間の例示的な概略の通信インタフェイスを示す図。
図2】例示的な凍結プローブの正面図。
図3図2の凍結プローブの断面正面図。
図4】例示的なボリュームの画像処理プロセスを示す単純な幾何学的スケッチを示す図。
図5A】患者と患者に挿入された針(例えば、凍結針)の例示的な断面画像を示す図。
図5B】見やすくするために図5Aの反転色バージョンを示す。
図6図4と同様の例示的なボリュームを示す単純な幾何学的表現。
図7A】ボリュームを通って延びる軸によって規定され得るボリューム内の例示的な平面を示す図。
図7B】ボリュームを通って延びる軸によって規定され得るボリューム内の例示的な平面を示す図。
図8A図7Aの平面714の例示的な断面図。
図8B図7Aの平面714の例示的な断面図。
図8C図7Aの平面714の例示的な断面図。
図9A図7Bの平面724の例示的な断面図。
図9B図7Bの平面724の例示的な断面図。
図9C図7Bの平面724の例示的な断面図。
図10A】その中に挿入された一対の針を含む、組織のあるボリュームの例示的な断面画像を示す図。
図10B】画像のセグメント化された部分が強調されている図10Aの断面画像を示す図。
図10C】アイスボール等の追加的にセグメント化されたオブジェクトを含む図10Bの断面図。
図11】ボリューム画像データを表示するための例示的なプロセスを示すプロセスフローチャート。
図12】ボリューム画像データ分析に基づいて治療を制御するための例示的な制御方法を示すプロセスフローチャート。
図13A】例えば、ボリューム画像スキャナから得られた例示的なボリューム画像データの断面図。
図13B】セグメント化されたボリューム画像データの断面図を示す図。
図13C】仮想針及び模擬治療処置の結果を示す例示的な断面画像。
図14A】単一の針によって形成されたアイスボールを示す図。
図14B】一対の凍結針によって形成されたアイスボールを示す図。
図14C】3つの凍結針によって形成されたアイスボールを示す図。
図15】疑似治療計画を生成及び表示するための例示的なプロセスを示すプロセスフローチャート。
図16】ボリューム画像データにおいてセグメント化された針を使用して仮想の治療ボリュームを生成するための例示的な方法を示すプロセスフローチャート。
図17】治療を計画及び実行するための例示的なプロセスを示すプロセスフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
凍結手術システムは、標的組織(腫瘍等)の冷凍アブレーションに使用できる。通常、このようなシステムには、1つ以上の凍結プローブ、1つ以上の凍結流体源、及び制御システムが含まれる。凍結流体源は、アルゴン、窒素、空気、クリプトン、CO、CF、キセノン、及び約1000psi(約6894.8KPa)を超える圧力から膨張したときに極低温(190ケルビン(-83.15℃)未満の温度等)に到達できる様々なガスを供給できる。本明細書で使用される場合、「凍結流体」は、約1000psi(約6894.8KPa)を超える圧力(例えば、典型的には約3500psi(約24131.66KPa))から膨張したときに低温(例えば、190ケルビン(-83.15℃)未満)に達するあらゆる流体を指すことができる。凍結手術システムはまた、センサ、流量計、タイマ、アナログ/デジタル変換器、有線又は無線通信モジュール等の1つ以上を有する制御システムを含み得る。加えて、制御システムは、凍結プローブに供給される凍結流体の流量、温度、及び圧力を調整することもできる。
【0024】
凍結手術の間、例えば外科医は、凍結プローブを患者の解剖学的構造の標的エリア又はその近傍に配置することによって患者の解剖学的構造の標的領域を冷凍アブレーションするために、1つ以上の凍結プローブを留置し得る。一例において、凍結プローブはジュールトムソン効果を利用して冷却又は加熱を行う。そのような場合、凍結流体は、凍結プローブ内でより高い圧力からより低い圧力に膨張する。凍結流体の膨張は、凍結プローブの先端付近の組織を冷凍アブレーションするために必要な温度以下の温度をもたらす。拡張した凍結流体と凍結プローブの外壁の間の熱伝達を使用して、アイスボールを形成し、その結果、組織を冷凍アブレーションすることが可能である。
【0025】
図1Aは、非限定的な例示的実施形態による、ボリュームの画像処理誘導凍結手術システム10の概略図である。このシステムは、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)走査システムや磁気共鳴画像法(MRI)システム等の患者20を収容するように構成することができるボリューム画像スキャナ14を含む。
【0026】
いくつかの例において、ボリュームの画像処理システムは、1つ以上の外科用ツール34を挿入する前に患者を画像化して、腫瘍又は患者の空洞等の患者の関心領域を視覚化することが可能である。さらに、外科用ツールを患者の内部の意図された場所に誘導するために、挿入中に撮像を行い得る。加えて、画像化は、挿入後に、手術中に、同じく手術後に実行され得る。
【0027】
システム10は、例えばコネクタインタフェイス30を介して通信し、かつ、外科用ツール34の操作を容易にするように構成された制御システム40を含むことができる。外科用ツール34の操作を容易にするために、制御システム40と外科用ツール34との間に様々な電気的接続及び流体接続が存在し得る。例示的な実施形態では、制御システム40は、第1の電気接続54を介してジャンクションボックス52に電気的に接続することが可能である。さらに、ジャンクションボックス52は、電気画像機器57(画像ルータ及び電気フィルタ等)に接続するための第2の電気接続56を含むことができる。第3の電気接続58は、電気画像機器57をコネクタインタフェイス30及び/又は移動カート50に接続し得る。ジャンクションボックス52は、様々な構成要素間の取り外し可能な電気接続を可能にすることが可能である。
【0028】
再び図1Aを参照すると、いくつかの例において、システムは、多種類の外科的治療を実行するために使用され得るものであり、そのため、本明細書で開示されるシステム及び方法は、凍結手術的処置等のいずれか1つの種類の外科的処置に限定したものと解釈されるべきではない。
【0029】
特定の例において、外科システムは、冷凍アブレーションシステム等の凍結手術システムであり得る。従って、いくつかの例において、システムは、例えば、制御システム40の制御下にある、1つ以上の凍結流体源60を含むことができる。例えば、制御システム40は、ポンプ及び/又はバルブ等の1つ以上の構成要素と通信して、凍結流体を凍結流体源60からシステム内の様々な場所、例えば外科用ツール34に送ることができる。凍結流体源は、液体又は気体の容器であり得る。
【0030】
凍結流体は、極低温及び圧力で外科用ツール34(例えば、凍結プローブ)に送達され得る。凍結流体源は、アルゴン、窒素、空気、クリプトン、CF、キセノン、NO等の冷却ガスにすることが可能である。
【0031】
制御システムは、患者の組織を冷却及び/又は凍結するための極低温で凍結流体を凍結プローブに送達するように構成され得るとともに、凍結プローブ若しくは一部若しくはその構成要素の一部を冷却するための非極低温で凍結流体を凍結プローブに送達するように構成され得る。いくつかの凍結プローブにおいて、凍結流体は、本明細書の随所で説明されるように、凍結流体供給部に送達することが可能である。様々な実施形態において、様々な構成要素間での例示的な接続及び/又は通信は、例えば、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み入れられる2017年11月13日に出願の「磁気共鳴画像化検出を伴う冷凍アブレーションシステム」と題された仮特許出願第62/585,262号明細書に記載されているように、採用することが可能である。
【0032】
図1Aを再び参照すると、システムはまた、視覚化システム86を含み、該視覚化システム86は、ボリューム画像スキャナ14に動作可能に接続されるものであり、該ボリューム画像スキャナ14は、CTスキャナ等、例えば、手術中に外科医にガイダンスを提供する場合に、患者20の解剖学的特徴を表す画像を生成及び/又は表示するためのものである。視覚化システム86は、当該視覚化された情報をシステムユーザに提示するように構成された1つ以上のディスプレイを含むことができ、或いは、そうでない場合には通信することができ、さらに、ユーザからの入力を受信するインタフェイスを含むことができる。
【0033】
様々な例において、視覚化システム86と制御システム40とは、独立して動作することができ、又は一緒に動作することが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、視覚化システム86と制御システム40とは、互いに中継し合うことが可能であり、及び/又は互いに同様の機能を実行することが可能である。そのような構成は、システムのユーザによるシステム制御(例えば、外科用ツール34の制御)と、視覚化(例えば、システム全体の動作条件及び/又はシステム全体によって生成されるデータに関する情報の視覚化)との両方を容易にし得る。そのような場合、視覚化システム86は、例えば、外科的プロセスの進行、ガイダンスに関する画像及び/又は1つ以上の外科用ツール34に関する現在の情報を監視するために、外科医が所望の画像を選択することを可能ならしめ得る。
【0034】
いくつかの例において、視覚化システム86及び/又は制御システム40は、処理システム90に含めることができる。いくつかの実施形態において、処理システム90は、概して、視覚化システム86及び/又は制御システム40に関して説明された1つ以上の動作を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含むことができる。例えば、処理システム90は、外科的治療を実行するための外科用ツール34、及び、ボリューム画像データを受信するためのボリューム画像スキャナと中継するように構成することが可能である。いくつかの例において、処理システムは、分離された視覚化システム86と制御システム40の部分とを含み、これらの部分は、別個の分散された構成要素であり得る。他の例において、視覚化システム86と制御システム40の両方は、単一の構成要素として実施することが可能である。
【0035】
一般に、処理システムは、1つ以上のプロセッサを含むか又は1つ以上のプロセッサとして具現化されることができ、該プロセッサは、(例えば、ボリューム画像スキャナ14からの)ボリューム画像データ等の情報を処理するように構成されるとともに、例えば、1つ以上の命令に応答して、外科用ツール34やボリューム画像スキャナ14等の1つ以上のシステムツールの動作を制御するように構成されている。
【0036】
プロセスを処理及び/又は制御するように構成された1つ以上のプロセッサは、スタンドアロンのコンピュータで実施することが可能である。いくつかのそのような実施形態では、そのようなスタンドアロンコンピュータは、ボリューム画像スキャナから直接、又はボリューム画像データのアップロード又はダウンロードを介して、当該ボリューム画像データを受信するように構成することが可能である。追加的に又は代替的に、そのようなスタンドアロンコンピュータは、ボリューム画像スキャナ14及び/又は外科用ツール34等の1つ以上のシステムの構成要素の動作を制御するように構成することが可能である。
【0037】
様々な例において、処理システムにおける1つ以上のプロセッサは、設置場所(例えば、ボリューム画像スキャナ14及び外科用ツール34と同じ場所に)に配置された1つ以上の構成要素として実施することが可能である。このような構成要素には、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はデータの受信と処理が可能なその他の適切な構造が含まれるが、これらに限定されない。追加的に又は代替的に、1つ以上のプロセッサをネットワーク全体に分散させて、本明細書で説明するボリューム画像データを受信して処理し、システムの動作を遠隔地から制御するように構成することが可能である。例えば、いくつかの例において、プロセッサにクラウドベースのコンピューティング機能を含めることができる。
【0038】
図1Bは、処理システムと他のシステム部品構成要素との間の例示的な概略通信インタフェイスを示す図である。図示の例において、処理システム90は、外科用ツール34、ボリューム画像スキャナ14、及びユーザインタフェイス92と通信している。いくつかの実施形態において、処理システム90は、例えば、外科用ツール34に対する電力、凍結流体、又は他のリソースの印加を制御することによって、外科用ツール34の動作を制御するように構成され得る。いくつかの例において、処理システム90は、外科用ツール34の動作を開始、停止、又は調整するように構成され得る。本明細書の随所で説明しているように、いくつかの例において、処理システム90は、外科用ツール34を制御するように構成された制御システム40を含む。
【0039】
図示されているように、処理システム90はさらに、ボリューム画像スキャナ14と通信している。様々な例において、処理システム90は、例えば、(例えば、患者の)ボリューム画像スキャンを開始することにより、ボリューム画像スキャナ14の動作を制御するように構成することが可能である。ボリューム画像スキャナ14の制御は、例えば、処理システム90の制御システム40によって開始することが可能である。図示の例において、処理システム90は、ボリューム画像スキャナ14と通信する視覚化システム86を含む。視覚化システム86は、ボリューム画像スキャナ14からボリューム画像データを受信し、受信したボリューム画像データをディスプレイ上での表示のために処理するように構成することが可能である。
【0040】
処理システム90は、処理システム90とユーザとの間の通信を可能にすることができるユーザインタフェイス92と通信する。例えば、様々な実施形態では、ユーザは、ユーザインタフェイス92によって、外科用ツール34の1つ以上の動作パラメータを制御し得る。追加的に又は代替的に、ユーザインタフェイス92は、例えばディスプレイによって、処理システム90からユーザに情報を伝達するために使用し得る。様々な例において、ユーザインタフェイス92は、(例えば、標準のマウスやキーボードによる)入力及び(例えば、ディスプレイによって)出力の両方をシステムに提供する(例えば、制御システム40及び/又は視覚化システム86を含む)コンピュータワークステーションとして実施することが可能である。追加的に又は代替的に、ユーザインタフェイス92は、ユーザをシステム10に中継することを可能にするスマートフォン又はタブレットインタフェイス等のリモート装置を含むことができる。システムと相互作用するために、一般に、ユーザインタフェイス92は、他のシステム構成要素と通信(例えば、有線又は無線通信)する1つ以上の構成要素を含むことができる。
【0041】
本明細書の随所で説明しているように、非限定的な例示的な実施形態では、外科用ツールは凍結プローブ100であり得る。図2は、そのような凍結プローブ100の1つの正面図であり、図3は、図2の凍結プローブ100の断面正面図である。図2及び図3を参照すると、凍結プローブ100は、長尺状本体を含むことができる。凍結プローブ100の構成要素は、プローブシャフト102内に配置され得る。凍結プローブは、場合によっては、凍結針であり得る。プローブシャフト102は、留置している間に患者20の組織を通って延びるために、凍結プローブ100の遠位部106に配置された遠位操作先端104内で終端することが可能である。凍結プローブが凍結針として構成される実施形態では、遠位操作先端104は、患者の皮膚を通って延びることができる。代替の実施形態では、凍結プローブは、可撓性プローブであり得るものであり、カテーテルを介して挿入され得る。近位カプラ108は、凍結プローブ100のコネクタインタフェイス30への接続、制御システム40への接続、及び/又は、凍結流体源への接続を容易にすることが可能である。
【0042】
プローブシャフト102は、患者20の組織における留置を可能にするために、概ね薄い横断面のものであり得る。一例において、凍結プローブは、約2.1ミリメートルのプローブシャフト102の外径を有する凍結針とすることが可能である。プローブシャフト102の他の寸法も想定される。例えば、プローブシャフト102は、約1.5ミリメートルから約2.4ミリメートルまでの間の外径を有することが可能である。加えて、凍結プローブが凍結針である実施形態では、遠位操作先端104は、軟組織を通って延びるために(例えば、凍結プローブ100の近位部分に対して)フレキシブルであるように柔軟な材料から作製され得る。代替的に、凍結プローブの大部分は、一般にフレキシブルであり得るものであり、そして患者の皮膚を穿刺し得ず、そして所望の角度でその中心軸周りでフレキシブル(屈曲可能)であり得る。
【0043】
図3に見られるように、凍結プローブ100は、遠位操作先端104に高圧凍結流体を提供するために、その長さに沿って概ね延びる凍結流体供給部112を含む。凍結流体供給源112は、プローブシャフト102内に同軸/同心に配置することが可能である。凍結流体供給部112は、遠位部106に被さってプローブシャフト102の外面上に(例えば、例示的な図2に103として示される)アイスボールを形成するための凍結流体を供給するように構成され得る。場合によっては、凍結流体供給源112は、毛細管であり得る。
【0044】
図3を引き続き参照すると、いくつかの例において、凍結プローブ100は、凍結クーラを含む。例えば、図示の例において、凍結流体供給源112は、ジュールトムソンオリフィス114で終端することが可能である。ジュールトムソンオリフィス114は、当該ジュールトムソンオリフィス114を出る凍結流体が膨張チャンバ内に膨張することを可能にするように、遠位操作先端104の近くに配置することが可能である。従って、凍結流体供給源112によって供給された高圧凍結流体は、ジュールトムソンオリフィス114を通って出て、膨張チャンバ内で膨張する。凍結流体が膨張チャンバ内で膨張するに連れて、当該凍結流体は急速に冷却され、遠位操作先端104の外面上に異なる形状及び/又は寸法のアイスボールを形成する。凍結流体の膨張は、膨張した場合に、入ってくる凍結流体よりも当該凍結流体が冷たくなるような仕方にすることが可能である。ジュールトムソンオリフィス114等の例示的な凍結クーラが示されてはいるが、他の種類の凍結クーラ、つまり、極低温デュワー、スターリングタイプのクーラ、パルス管凍結機(PTR)、ギフォードマクマホン(GM)クーラ等が、本発明の範囲内で想定される。さらに、簡単に既述したように、冷却に使用し得る凍結流体には、アルゴン、液体窒素、空気、クリプトン、CF、キセノン、又はNOが含まれる。
【0045】
例示の目的で再び図3を参照すると、いくつかの例において、ヒータ116は、組織の解凍及び/又は焼灼を容易にするために、プローブシャフト102内に追加的に提供され得る。いくつかのそのような例において、ヒータ116は、凍結した組織から凍結プローブ100の分離を容易にするために、凍結した組織を解凍するべく、冷却後、及び、アイスボール形成後に作動し得る。この例示的な実施形態に示されるように、凍結プローブ100の遠位部106の加熱を容易にするために、電気ヒータ116を凍結流体供給源112及びプローブシャフト102と同軸に設けることができる。代替的に、電気ヒータ116は、凍結プローブ100の遠位部分106を加熱するために、凍結プローブ100の別の場所に配置され得る。電気ヒータ116は、抵抗ヒータ116であることができ、それを通る電流の流れ及び電気ヒータ116の電気抵抗に比例する熱を発生させることができる螺旋状に巻かれた電線を含むことができる。そのような場合、既に言及したように、(図2に示す)制御システム40は、凍結プローブ100内の電気ヒータ116に電流を供給及び/又は調整することが可能である。
【0046】
いくつかのシステムでは、制御システムは、外科用ツール若しくはその構成要素の温度を測定するように構成された1つ以上の温度センサを備えており、或いは、そうでなければそれと通信する。例えば、制御システムは、凍結プローブ100の遠位部106の温度、凍結プローブシャフトの温度、電子チップの温度、又は電気ヒータの温度を測るための温度センサを含むことができ、或いは、それと通信することが可能である。温度測定は、プローブの温度又はその構成要素の温度を監視するために、患者の体内に配置する前、配置中、又は配置後に実行でき、例えば、測定は、システムがセットアップされる前、若しくは使用準備中に行われる一方、配置中、及び/又は、外科的治療(たとえば、解凍治療又は焼灼治療)中に行われる場合がある。一例において、温度センサは、その温度が変化すると電気抵抗が変化する可能性がある抵抗材料(例えば、正の温度係数材料)を備えることができる。抵抗の変化は制御システム40によって測定することができ、その結果、温度変化は、特定のタイプの材料の抵抗と温度との間の既知の相関に基づいて制御システム40によって決定される。同様に、電気ヒータの温度もこの方法で決定することが可能である。
【0047】
本明細書の随所で説明しているように、凍結プローブ100は電気ヒータ116を備える。従って、特定の有利な実施形態では、電気ヒータ116(ヒータ116ワイヤ等)の材料は、電流が流れるときにプローブシャフト102を抵抗加熱し、プローブ加熱中に制御システム40に温度フィードバックを提供するという二重の機能を果たすことができる。電気ヒータはまた、針加熱要素故障検出回路を備えることができる。そのような回路は、故障検出の目的で制御システムに動作可能に接続することが可能である。制御システムは、本明細書でさらに説明されるように、動作中のMRIシステムの存在下でこの故障検出回路からの信号を「ブランク」にする、すなわち無視するように構成され得る。
【0048】
いくつかの有利な例において、図1Aに戻って参照すると、外科用ツール34は、コネクタインタフェイス30及び/又は移動カート50に接続されたときに当該外科用ツールの識別を可能にする電子構成要素を含み得る。一例において、外科用ツールは、図2及び図3に示されるような凍結プローブ100である。凍結プローブ100は、ツールの近位部分(例えば、近位コネクタの近く)に配置され得る電子チップ120を含み得る。しかしながら、様々な例において、外科用ツールは、その本体に沿ったいずれかに電子チップ120を含むことができる。電子チップ120は、機械可読であり得る非一時的データ記憶媒体を含み得る。コネクタインタフェイス30及び/若しくは移動カート50と制御システム40との間の電気的接続は、制御システム40が電子チップ120の読み取り/書き込みアクセスを有することを可能にし得る。
【0049】
電子チップ120は、複数の外科用ツールが移動カート50に接続されているとき、外科用ツールの識別を可能にすることが可能である。例えば、各電子チップ120は、そのメモリに一意の外科用ツール識別子を格納することができ、それにより、コネクタインタフェイス30の特定のコネクタポートに接続された外科用ツールの識別を可能にすることが可能である。加えて、電子チップ120は、特定の外科的治療が行われた期間、外科用ツールが使用された総時間等、他の情報を格納することが可能である。さらに、そのような情報は、(例えば、電気接続によって)制御システム40に送信され得る。
【0050】
実施形態では、ボリュームの画像処理システムは、例えば、MRIイメージング及び凍結手術治療に関し、参照により組み込まれる仮特許出願第62/585,262号に記載されているように、凍結手術中の様々な時点で同時に、又は定期的に使用され得る。一般に、多くの異なるボリュームの画像処理技術を使用し得る。既述のように、ボリュームの画像処理技術は、治療の前、最中、及び/又は後に画像情報を取得するために使用することが可能である。しかしながら、従来の画像処理プロセスは、ユーザに提供される情報に制限される場合があり、ボリューム画像データからでも所望の情報を得るためには専門家の知識及び/又は前提が必要である。
【0051】
図4は、例示的なボリュームの画像処理プロセスを示す単純な幾何学的スケッチを示す図である。図示の例において、ボリューム410は、その中に含まれるオブジェクト420を含む。平面412は、ボリューム410を通って延び、オブジェクト420と交差するように示されている。例示的なボリュームの画像処理プロセスにおいて、ボリューム410は、平面412等の複数の平行な二次元スライスを含むスタックによって表される。従って、各画像は、ボリューム410内の異なる「深度」に対応する。ボリューム画像内のオブジェクトの表示は、しばしば、そのようなスライスの1つを選択すること、及び、その深度における断面画像の表示、すなわち、異なる断面を表示するために異なる深度でボリューム内を上下に移動することに対応する。
【0052】
しかしながら、各断面スライスが他のものと概ね平行である場合、主として見ることができる画像スライスに対してある角度で関心のある特徴(たとえば、最長寸法及び/又は断面平面)を有するオブジェクトを見ることが難しい場合がある。例えば、図4のボリューム410内のオブジェクト420は正方形のピラミッドであり、オブジェクト420との平面412の交差面はほぼ正方形である。しかも、平面412に平行な平面で取られたオブジェクト420の各々の断面(例えば、二次元スライス)も、ほぼ正方形の断面を示す。従って、ボリューム410のおおよその形状を推定するために、いくつかの平面で撮られたいくつかのそのような画像を表示する必要がある。
【0053】
例示的な治療プロセスの間、そのような制限された表示能力は、ボリューム内の構造(例えば、オブジェクト420)を観察する能力を制限するだけでなく、例えば治療プロセスのためにボリューム内にあり得る様々な付随的な特徴を観察する能力を阻害する可能性がある。図5は、患者と患者に挿入された針(例えば、凍結針)の例示的な断面画像を示す。
【0054】
図5に示す例において、断面画像500は、例えば、病変506に関して1つ以上のプロセスを実行するために(例えば、生体検査又は病変506への加療)、患者のボリューム504に挿入された針502を示す。断面図500において、針502の像は、第1のセクション512及び第2のセクション522を含む。第1のセクション512は色が暗いように見え、第2のセクション522は明るい色に見える。第1のセクション512と第2のセクション522との間の色の違いは、断面画像500の撮像面に出入りする針502の部分に対応する。すなわち、例示的な図では、針502の第1のセクション512は、断面画像500の平面内にある。しかしながら、針502の第2のセクション522は、平面の外側にあり、従って、平面内にある針502の第1のセクション512とは異なって見える。
【0055】
このように、断面画像500を見るとき、システムユーザ(例えば、臨床医)は、針502がボリュームのどこで終了するか、例えば、針の先端が画像の平面の上にあるのか又は下にあるかを知ることができない場合がある。これは、針502を使用して所望の操作(例えば、生体検査、組織破壊プロセス等)を実行する能力を低下させる可能性がある。異なる断面図の間の遷移(例えば、ボリューム内で上下)は、針502が上向き又は下向きのどちらにあるか等、ユーザがより多くの情報を理解するのに役立つが、一部のそのような例において、針502が撮像面に平行でない場合、ユーザは断面画像内で針全体を見ることができない。図5Bは、見やすくするために図5Aの反転色バージョンを示す。
【0056】
図6は、図4と同様の例示的なボリュームを示す単純な幾何学的表現である。図6の図示の例において、ボリューム610は、その中に含まれるオブジェクト620を含む。軸602は、ボリューム610を通って延び、オブジェクト620と交差する。いくつかの例において、ボリュームが平行な平面(例えば、図4におけるボリューム410及び平面412と平行な面)によってセグメント化されるのではなく、軸602がボリューム610内の多くの平面(例えば、軸602周りの軸602のある平面)を規定することが可能である。様々なボリュームの画像処理において、軸602は、仮想的に規定することができ、又は、患者内の針等、撮像されたボリューム内のオブジェクトに基づいて規定することが可能である。
【0057】
図7A及び図7Bは、ボリュームを通って延びる軸によって規定することができるボリューム内の例示的な平面を示す。図7Aは、ピラミッド形状を有する三次元オブジェクト712を通って延びる軸701を示す。説明したように、ボリュームを通って延びる軸は、ボリューム内の複数の平面を規定できる。図7Aの例において、軸701は平面714にあり、平面714は交差面722でオブジェクト712と交差する。
【0058】
ボリュームの画像処理のコンテキストにおいて、特に医療環境において、針702は軸701に沿って位置する。針702は、ボリューム内に配置された仮想の針であり得るか、又は患者の撮像された組織内にある物理的な針であり得る。仮想針702の場合、いくつかの例において、仮想針702は、手動又は自動でボリューム内の場所に配置することができ、配置された針702の場所は、軸701を規定することが可能である。撮像された物理的針702の場合、画像(例えば、ボリューム画像)処理技術を使用して、針702が沿って延びる軸701を識別するために、画像データ内の針702を識別及びセグメント化することが可能である。
【0059】
上記のように、軸701は、例えば、矢印703によって示されるように、軸701周りに平面714を回転させることによって、軸701がある複数の平面を規定することが可能である。図7Aの図示された例において、平面714は、交差722においてボリュームオブジェクト712と交差する。この例において、平面714とオブジェクト712との交差の形状は三角形であり、軸701は三角形の交差722を通って延び、針702は三角形の交差722内に延びる。
【0060】
図7Bの例において、針は、図7Aに関して示され、既述したように、軸701に沿ってボリュームオブジェクト712内に延びる。しかしながら、図7Aとは対照的に、図7Bの例において、軸701及び針702を含む異なる平面(平面724)が、オブジェクト712と交差して示されている。図7Bのオブジェクト712は、図7Aに示されているのと同じピラミッド形状であるが、平面724とオブジェクト712との交差732は正方形である。すなわち、図7Bの平面724で撮られた断面画像は、正方形の形状を有するオブジェクト712を示し、一方、図7Aの平面714で取られた断面画像は、三角形の形状を有するオブジェクト712を示す。しかしながら、平面は軸701、従って針702を含むように規定されているので、針の全長は平面(414、724)及び任意の対応する断面画像内にある。
【0061】
図7A図7Bとの間で画面を切り替えることにより、針自体の外観を維持しながら、様々な視点から針702を囲繞するボリュームを見ることが可能になる。図示の例において、図7A及び図7Bの断面画像を見るユーザは、針702を囲繞するボリュームを表示する情報が提供され、該情報は、従来の平行な断面像を見ることからは解釈が難しく、或いは、ボリューム画像を見て分析する相当な専門知識が要求されるオブジェクト712のボリューム形状が含まれる。
【0062】
本明細書の随所で説明されるように、いくつかの例において、処理システム(例えば、視覚化システム86を含む)は、例えば、ボリューム画像スキャナ14によって生成されるボリューム画像データを処理するように構成される1つ以上のプロセッサを含み得る。いくつかの例において、ボリューム画像データを処理することは、ボリューム画像データを複数の個々の二次元画像スライスではなく、データのボリュームとして扱うことを備える。例えば、ボリューム画像データ処理は、ボリューム画像データの一部のカスタム二次元視覚化を構築するために、複数の平面のいずれかでボリューム画像データを断面化する等のステップを含むことができる。ボリューム画像処理はさらに、ボリューム画像データ内の特徴(例えば、特徴の境界)を識別し、かつ、そのような特徴のセグメント化(例えば、ボリューム画像データ内のどのボクセルが所与の特徴に属するかを決定する)等のステップを含むことができる。様々な例において、特徴の識別は、様々な特徴/境界検出画像処理技法のいずれか等の1つ以上の技法を使用して実行することが可能である。いくつかの例において、ユーザは、ボリューム画像データ内の1つ以上の特徴を手動で識別することが可能である。
【0063】
例えば、図7A及び図7Bに関して、視覚化システムは、オブジェクト712、針702、並びに平面714及び平面724を含むボリュームのボリューム画像データを受信することが可能である。いくつかの実施形態において、視覚化システムは、ボリューム画像データを分析するとともに、針702、オブジェクト712等といった、その中の1つ以上のオブジェクトをセグメント化するように構成することが可能である。いくつかの例において、視覚化システムは、針702をセグメント化するとともに、針702の長手方向の寸法に近似するボリュームを通って延びる軸701を識別することが可能である。そのようないくつかの例において、完全に真っ直ぐな針702は軸701に沿って直接延びることができるが、針702がわずかに曲がっている場合、例えば挿入中に曲がっている場合、針702の長手方向に近似する軸701が識別され得る。
【0064】
いくつかの例において、視覚化システムは、規定された軸701がある画像データの平面を示すボリュームの二次元断面を生成するように構成することが可能である。例えば、図7Aを参照すると、視覚化システムは、軸701を識別するように構成することができるとともに、軸701及び針702が位置する平面714を示す断面画像を生成することが可能である。同様に、視覚化システムは、軸701を識別するように構成することができるとともに、軸701及び針702も位置する平面724を示す断面画像を生成することが可能である。さらに別の例において、視覚化システムは、識別された軸701がある平面を選択することによって、ユーザが表示された断面画像を操作し得るインタフェイス(例えば、ユーザインタフェイス92)を含むか又は該インタフェイスと通信する。例えば、例示的な具現化において、ユーザは、軸701がある新しい断面画像を選択するために、矢印703によって反映されるような軸701周りに、画像を効果的に回転させることができる。
【0065】
図7A及び図7Bを参照すると、ユーザは、平面714から平面724に画像を回転させることにより、平面714を示す図7Aの断面図から平面716を示す図7Bの断面図に遷移することが可能である。ボリュームがオブジェクト712を含む図7A及び図7Bの場合、画像平面714から画像平面724への遷移は、オブジェクト712の平面714との交差722からオブジェクト712の平面724との交差732への変化を観察する結果となる。
【0066】
いくつかの実施形態において、視覚化システムは、平面画像、透視画像等を含む様々な方法で軸を含む断面画像を表示することが可能である。いくつかの例において、ユーザは、断面画像の視点の向き及び仰角を調整することが可能である。図8A図8Cは、図7Aの平面714の例示的な断面図を示す。断面図800a、800b、及び800cはそれぞれ、オブジェクト712及び平面714の針702及び交差722を示す。様々な実施形態では、視覚化システムは、デフォルトの画像(例えば、画像800a~800cのうちの1つ)を提示するように構成することができ、又は画像を(例えば、利用可能な画像のリストから)選択するようにユーザに促すことができる。
【0067】
同様に、図9A図9Cは、図7Bの平面724の例示的な断面図を示す。断面図900a、900b、及び900cはそれぞれ、針702と、オブジェクト712及び平面724の交差732とを示す。動作中、ユーザは、例えば、画像800aから画像900aに遷移するために、(例えば、図7A及び図7Bの矢印703で示すように)断面を回転することを選択し得る。両方の画像(800a、900a)は、断面画像の平面視を示し、針702及びオブジェクト712の断面図を含む。しかしながら、画像800a及び900aのための断面は、異なる平面(それぞれ714、724)で取られているので、オブジェクト712の断面形状は、画像800aと900aとの間で異なって見える。この例において、オブジェクトは画像800aでは三角形に見えるが、画像900aでは正方形に見える。このように、図800aと900aとの間で変更することにより、ボリューム内及びオブジェクトに対する針の場所を完全に観察するために、画像内の針702を維持しながら、ユーザはボリューム内のオブジェクト712を異なる視点から見ることができる。
【0068】
説明したように、(例えば、平面714から平面724への)断面平面の回転は、針がある軸周りで起こり得る。例えば、針が挿入された患者のボリューム画像データは、ボリューム画像データ内で針をセグメント化し、平面回転が実行され得る針軸を規定するために処理され得る。針軸周りのボリューム画像データの回転は、断面画像で針が完全に又はほぼ完全に見える可能性を高めるとともに、平面が回転している間、針をほぼ固定位置に維持する。このような画像処理と操作により、通常のイメージングシステムのように(例えば、画像のスタックから)単純に平行な平面スライスを表示する場合と比較して、ユーザがボリューム内のどこに針があるのかを識別するとともに、ボリューム内の針の周囲を理解して解釈することが容易になる。
【0069】
図1図3に関して説明したように、いくつかの例において、視覚化システムは、例えば、針(例えば、702)が、組織を凍結して患者内でアイスボールを形成するように構成された凍結針からなる凍結手術システムや、或いは、他のアブレーション針若しくはプローブが、代替のアブレーション療法によって組織をアブレーションするように構成される凍結手術システムに組み込むことができる。凍結手術治療中(例えば冷凍アブレーション又は他のアブレーション)にリアルタイムで使用する際に、視覚化システムは、針を囲繞するアイスボールが形成された若しくは形成されつつある断面の範囲、アブレーションされた組織の範囲、組織死が予測される組織のボリュームの範囲を視覚化するために用いることができる。
【0070】
例えば、平面724での断面に関して、画像900a~900cは、画像データ内に、例示的なアイスボールの輪郭750を含む。これは、アブレーションされた組織の範囲、又は組織死が予測される組織のボリュームの範囲を表すこともある。
【0071】
平面724での断面において、アイスボール750はオブジェクト712を囲繞している。従って、オブジェクト712が病変である場合、平面724における断面図900a~900cは、アイスボール750によって病変が被覆されていることを示すであろう。しかしながら、平面714において画像800a~800cのいずれかを示すようにアイスボールが回転されたとき、アイスボール750は、平面714においてオブジェクト712全体を囲繞してはいない。すなわち、オブジェクト712及び/又はアイスボール750の異なる寸法における異なる寸法のために、アイスボール750は、ある平面(例えば、724)ではオブジェクト712を囲繞し得るが、別の平面(例えば、714)では囲繞しない。従って、リアルタイム凍結手術を観察するユーザは、オブジェクト712(例えば、病変)の寸法を複数の次元におけるアイスボール750の寸法と比較するために、複数の画像(例えば、800a~800c、900a~900c)を通して断面を有利に回転させることができる。次に、ユーザは、所望の大きさのオブジェクト712がアイスボール750によって、いつ囲繞されたかに関して、例えば、凍結手術治療を終了するか継続するかを決定するために、情報に基づいた決定を行うことができる。
【0072】
他のアブレーション療法におけるアブレーションの進行は、患者の組織のボリューム内に形成されるアブレーションされた組織のボリュームを監視及び表示することにより、追加的にリアルタイムで、同様に追跡することが可能である。アブレーションされた組織のボリュームは、例えば、超音波又はサーモグラフィによって、マイクロ波又はRFアブレーションで追跡され得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、視覚化システムを使用して、ボリューム画像データ内の追加のアイテムをセグメント化することが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、視覚化システムを使用して、(例えば、オブジェクトに対応するボリューム画像データ内のボクセルを識別するために)患者の組織内の病変及び/又は臓器の境界等のオブジェクトをセグメント化することが可能である。追加的に又は代替的に、いくつかの例では単一の針を組み込むものとして示されているが、様々なプロセスは、様々な操作(例えば、アブレーション治療、例えば冷凍アブレーション)によって影響を受ける組織を調整するために患者の組織内に複数の針(例:凍結針、マイクロ波又はRFプローブ、超音波プローブ又はエレクトロポレーションプローブ)を配置することを含み得る。視覚化システムを使用して、複数の針又はプローブのそれぞれを(例えば、自動又は手動の選択によって)セグメント化することが可能である。いくつかのそのような例において、ユーザは、選択された針が近傍にある平面を示す様々な断面図を確立するべく、ボリューム画像を回転できる針軸を規定するために、複数の針のいずれを使用するかを選択し得る。さらに、いくつかの例において、ユーザは、複数の針から次に選択される針によって規定される針軸に基づいて追加の断面画像を見るべく、回転軸を調整するために選択される針を変更し得る。
【0074】
図10Aは、その中に挿入された一対の針を含む、組織のあるボリュームの例示的な断面画像を示す。図10Aの画像1000aは、第1の針1002a、第2の針1002b、及び組織内の病変1006を示す。本明細書の随所で説明しているように、視覚化システムは、組織内の構造をセグメント化するように構成でき、例えば、ボリューム画像データにおけるどのボクセルがこのような構造に対応するか、及び/又は、ボリューム画像データからの断面画像(例えば、1000a)におけるどのピクセルがこのような構造に対応するかを識別するように構成できる。
【0075】
図10Bは、画像のセグメント化された部分が強調されている図10Aの断面画像を示す図である。例えば、図10Bは、ボリューム内の針1002a及び1002b、並びに病変1006がボリューム画像データにおいてセグメント化されている断面画像1000bを示す。いくつかの実施形態において、視覚化システムは、セグメント化されたオブジェクトを、コントラスト色等といった他のボリューム画像データとは対照的なコントラスト表示モードで表示することが可能である。図示の例において、断面画像1000b内で針1002a全体が見えるが、針1002bは部分的にしか見えない。これは、針1002bが断面画像1000b内にはないが、針1002aはあることを示唆している。このように、いくつかの実施形態によれば、針1002aは、断面画像1000bを生成するための断面を選択するために使用される、選択された(例えば、自動又は手動で)針軸を規定する。本明細書の随所で説明されるように、ユーザは、断面画像データを生成するための追加的な又は代替的な平面を選択するために、例えば矢印1003によって示されるように、ボリューム画像データを針軸周りに回転させ得る。
【0076】
ボリューム画像データ内でセグメント化できる他のオブジェクトには、アイスボール等の追加的にセグメント化されたオブジェクトが含まれる図10Bの断面図である図10Cが示す、あらゆる療法によってもたらされる、組織内で形成された及び/若しくは形成中のアイスボール、又はアブレーションされた組織の発生量、又は組織死が予測される組織の量が含まれるが、これは、例えば、実際の若しくは予測された温度に基づいて、又はモデルに基づいて、アブレーションされた組織量又は組織死が予測される組織量と等しくてもよい。図10Cの例において、例えば、針1002a、1002bによって形成される治療領域1050が、断面画像1000c内に形成されるように示されている。いくつかの実施形態において、視覚化システムは、ボリューム内の治療領域1050を識別するとともに、断面画像(例えば、1000c)においてコントラスト色で治療領域1050を提示するように構成することが可能である。
【0077】
いくつかの実施形態において、治療1050の提示は、複数の領域(例えば、1052、1054)を含むことができ、これは、ユーザに追加情報を示すために使用することが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、治療領域は、セグメント化されたアイスボール、又はアブレーションされた組織のセグメント化されたボリューム、すなわち、組織死が予測されるセグメント化されたボリューム1054と、アイスボール若しくは組織のボリューム1054を囲繞するマージン1052のアウトラインを含む。様々な例において、識別されたマージン1052は、アイスボール若しくはアブレーションされた組織のボリューム、すなわち組織死が予測される組織のボリューム1054の輪郭を囲繞する固定された距離に配置され得る。例えば、いくつかのそのような実施形態では、視覚化システムは、ボリューム画像内の物理的寸法を識別するとともに、マージン1052を決定するために、セグメント化されたアイスボール又はセグメント化された組織のボリューム1054の周囲から予め設定された距離を測定するように構成できる。いくつかの実施形態において、アイスボール又は組織のボリューム1054から離間するマージン1052の周囲は、例えば、ユーザインタフェイスによって、ユーザによって調整され得る。
【0078】
追加的に又は代替的に、本明細書の他の箇所で述べたように、システムは、針又はその近傍に配置された1つ以上の温度センサ、又は針に近い組織の温度を表す温度情報を提供できるプローブ(例えば、凍結針)を含み得る。従って、いくつかの実施形態において、治療領域1050は、ボリューム内の温度を識別する1つ以上の等温線又は他の温度表現を含むことができる。例示的な実施形態では、アイスボール1054は、-10℃以下のボリューム領域を表すことができ、マージン1052は、-10℃~0℃のボリューム領域を表すことができる。アブレーションをもたらすために温度が上昇する療法において、等温線は組織の死が予測される組織のボリュームの境界を表し得る一方、マージンは、完全なアブレーション又は死が予期されない、又は蓋然性が低い可能性がある温度を表す可能性がある。いくつかのアプローチでは、等温線は組織死の蓋然性がある領域の境界を表し、たとえば、75%、80%、90%、又は100%の等温線内における組織死の蓋然性は、従って、75%から80%、80~90%、又は90~100%である。一般に、処理システム(例えば、視覚化システム及び/又は制御システム)は、断面画像(例えば、1000c)の温度値及び/又は範囲を視覚的に表すべく複数のボクセル(例えば、針l002a、l002bに近接するボクセル)の温度データを確立するために、ボリュームの温度情報を受信及び/又は決定するように構成することが可能である。いくつかの実施形態において、視覚化システムによって表示される温度値及び/又は範囲、及び/又はそのような温度情報が表示されるコントラスト配色は、ユーザによって選択可能であり得る。例えば、例示的な実施形態では、ユーザは、組織内の温度値を表すさまざまな等温線を表示することを望む場合があり、これは、文字通りのアイスボール、アブレーションされたある組織のボリューム、又は組織死が予測されるある組織のボリュームを含む場合も含まない場合もある。別の例では、視覚化システムは、アイスボール又は組織のボリュームをセグメント化し、アイスボール又は組織のボリュームを1つの配色(例えば、特定のコントラスト色)で表示し、選択された温度値(例えば、等温線)を別の配色でさらに提示することが可能である。様々な例において、便利な等温線は、60℃(例えば、熱アブレーション治療システムにおいて)、0℃、-20℃、及び/又は-40℃の1つ以上を含むことができる。いくつかの例では、例えば、特定の温度/時間での所与の組織生存といった、例えばモデルに基づいて、等温線は、組織死が予測されるボリュームの範囲を表すことができる。これは、冷凍アブレーションに係るもの又は例えば、マイクロ波やRF等のシステムの場合もある。
【0079】
いくつかの実施形態において、処理システムは、ボリューム内の温度値を表す温度データを決定するために、可視化された組織(例えば、針1002a、1002b上又はその近傍)に挿入された1つ以上の温度プローブから温度値を受信することが可能である。いくつかのそのような例において、処理システムは、1つ以上の場所での温度値を示すそのようなプローブから受信した温度値を使用するとともに、温度が測定される領域に最も近い領域の予想温度値を計算するように構成できる。そのような計算された温度は、例えば、温度プローブが配置されていない場所での組織の熱挙動を推定するために使用することができるボリューム組織データに基づくことができる。
【0080】
追加的に又は代替的に、ボリューム画像データ内の複数のボクセルの温度データは、温度プローブを使用して物理的に温度を測定することなく計算することが可能である。いくつかの実施形態において、1つ以上の外科用ツールの操作データ、例えば、1つ以上の凍結針によって消費される電力を表す電力データを使用して、外科用ツールに近接するおおよその温度値を決定することが可能である。さらに、いくつかの例において、ボリューム画像データをそのような操作データと組み合わせて使用して、周辺組織の熱挙動を予測し、ボリュームの温度プロファイルを推定することが可能である。
【0081】
いくつかの実施形態において、視覚化システムは、そのような領域の重複を決定するために、ボリューム画像データ内の様々なセグメント化された領域を分析するように構成することが可能である。例えば、図10Cに関して、図10Bに表示されるような病変1006は、病変1006と治療領域1050との重複に基づいて、第1の領域1016、第2の領域1026、及び第3の領域1036の3つの領域に分解される。図示の例において、病変1006の第1の領域1016は識別された治療領域1050と重複しておらず、病変1006の第2の領域1026は治療領域1050のマージン1052部分と重複し、病変1006の第3の領域1036は治療領域1050のアイスボール1054セクション重複する。図10Cの例に示されるように、病変1006のそのような領域(1016、1026、1036)は、断面画像1000cにおいて視覚的に区別され得るものであり、その結果、ユーザは、セグメント化された病変1006に対する治療のボリュームの範囲(治療ボリューム1050)を迅速かつ容易に識別し得る。例えば、ユーザは、アイスボール、アブレーションされた組織のボリューム、又は組織死が予測される組織のボリューム(例えば、1054)が病変1006を十分に囲繞しているかどうかを迅速に視覚化することができる場合がある。
【0082】
例えば図7A図7B図8A図8C、及び図9A図9Cに関して本明細書の随所で説明したように、様々な実施形態において、視覚化システムは、軸(例えば、針軸)周りに断面の回転を容易にするように構成され得る。例えば、図10A図10Cは、針1002aがある断面画像(1000a~1000c)を示す。図10B図10Cに示されるように、視覚化システムは、ボリューム画像データ内で針1002aをセグメント化することができ、針がある平面を示す断面画像1000a~1000cを確立することが可能である。本明細書の随所で説明しているように、例えば、針1002aの場所を同じ位置に維持しながら針1002a周りのボリューム画像を回転させることにより、針が位置する1つ以上の追加平面に画像を回転させることができる。すなわち、いくつかの実施形態において、ボリューム画像データが針軸周りに回転すると(例えば、第1の断面図から第2の断面図へ)、第1の断面図と第2の断面とにおける針のピクセル座標断面図はほぼ同じである。
【0083】
断面画像の画像を回転させることにより、ユーザは、例えば図10Cに表示された様々な情報を複数の視点から見ることができる。例えば、矢印1003に従って画像を回転させると、ユーザは、治療領域1050と病変1006の重なりを複数の平面で、複数の視点から見ることができる。これは、病変1006の範囲に対する治療ボリューム1050の範囲のより完全な決定を可能にすることが可能である。例えば、図8A図8C及び図9A図9Cの簡略化された例に関して、いくつかの画像(例えば、900a~900c)では、アイスボール750は、オブジェクト712の輪郭732全体を囲繞する。しかしながら、他の画像(例えば、800a~800c)では、アイスボール750は、オブジェクト712の輪郭722全体を囲繞していない。このように、異なる視点は、治療領域1050と病変1006との間の関係を表すより完全な情報を提供することが可能である。
【0084】
これは、病変1006全体が全方向で適切な治療を受ける可能性を高めるのに役立つとともに、単一の画像又は少数の複数の平行な画像のみに基づく不十分な治療の可能性を低減することが可能である。同様に、そのようなボリュームを様々な平面で見ることにより、ユーザは、患者の他の解剖学的特徴に対する治療ボリューム1050(たとえば、アイスボールを囲繞するマージン1052、アブレーションされた組織のボリューム、又は組織死が予測される組織のボリューム1054)の場所を見ることができる。例えば、一例では、ユーザは、(例えば、加療中に)増大する治療ボリュームを観察するとともに、臓器の境界等、治療によって望ましくない影響を受ける可能性がある患者の解剖学的構造に治療ボリュームが近すぎる(例えば、アイスボール又はボリュームマージン1052の中)場合、治療処置を停止又は調整することを選択することが可能である。
【0085】
図11は、ボリューム画像データを表示するための例示的なプロセスを示すプロセスフローチャートである。図11の方法は、例えば、ボリューム画像スキャナ(例えば、CT走査システム)から、ボリュームを表すボリューム画像データ(1100)を受信することを含む。ボリューム内の異なる構造に対応するボリューム位置(例えば、ボクセル座標)を決定するために、ボリューム画像データをセグメント化(1102)することが可能である。視覚化システムは、(例えば、ステップ1102からの)セグメント化された針に基づく針軸を含む第1の平面を示すことができる第1の断面図(1104)を表示するように構成することが可能である。視覚化システムは、コントラストのある表示配色(1106)においてディスプレイ上に1つ以上のセグメント化された特徴を表示するようにさらに構成され得る。例えば、セグメント化された針、病変、臓器等は、白黒若しくはグレースケールの断面画像における着色されたセグメントのオブジェクトのように、従来のボリューム画像データの表示配色に対してコントラストのある1つ以上の色で表示できる。追加的に又は代替的に、コントラストのある表示配色は、点滅する境界/領域、強調された輪郭等を含むことができる。
【0086】
この方法はさらに、ボリューム画像データを針軸周りに回転させるステップ(1108)と、針軸を含む更新された平面を示す更新された断面図を表示するステップ(1110)とを含む。例えば、図7A及び図7Bに関して、視覚化システムは、例えば、ボリューム画像データを軸701周りに回転させることにより、第1の平面714を示す第1の断面図を、更新された平面724を示す更新された断面図に回転させることができる。更新された断面図に回転した後、1つ以上のセグメント化された特徴は、本明細書の随所で説明されるように、視覚的にコントラストのある表示配色で表示され得る(1106)。様々な例において、ボリューム画像データを回転させ(1108)、更新された断面図を表示するステップ(1110)は、例えば、ユーザが複数の視点からボリューム画像データを分析するときに、必要なだけ何度でも実行できる。
【0087】
様々な例において、図11に示される方法のいくつかのステップは、ユーザによって手動で実行され得るか、処理システムによって自動的に実行され得るか、又はユーザと処理システムとの間で分割され得る。例えば、いくつかの実施形態において、処理システムは、分析のために、例えば、ボリューム画像スキャナからボリューム画像データを(例えば、視覚化システムによって)自動的に受信することが可能である。他の例において、ユーザは、分析のためにボリューム画像データを処理システムに手動でアップロードし得る。いくつかの例において、ボリューム画像データのセグメント化は自動的に実行することができ、又は1つ以上の手動入力に基づくことができる。例えば、いくつかの例において、ユーザは、自動的にセグメント化されたボリュームにラベル(例えば、「病変」)を貼付して、セグメント化プロセスを支援することが可能である。様々な例において、針軸周りのボリューム画像データの回転(1108)は、例えば、ユーザがユーザインタフェイスを介して画像を回転させることにより、手動で実行され得る。追加的に又は代替的に、処理システムは(例えば、視覚化システムによって)、例えば、プログラム可能な回転速度(例えば、角度/秒)で、軸周りにボリューム画像データを自動的に回転させるように構成することが可能である。
【0088】
いくつかのそのような実施形態では、1つ以上の外科用ツールの動作を制御するために、例えば、図10Cに示され、論じられるような、セグメント化されたボリューム画像データ及び関連する分析を使用することが可能である。例示的な実施形態では、処理システムは(例えば、視覚化システムによって)、凍結手術中等の操作中にほぼリアルタイムでボリューム画像データ内のアイテムをセグメント化するように構成することが可能である。処理システムは、1つ以上の演算結果(例えば、アイスボールの寸法、アブレーションされた組織のボリューム、又は組織死が予測される組織のボリューム、又は1つ以上の等温線等)をボリューム画像データ内のセグメント化された病変の寸法と自動的に比較するように構成することが可能である。そのようないくつかの例では、処理システムは、(例えば、制御システムによって)治療ボリューム(例えば、アイスボール、アブレーションされた組織、若しくは予測された組織死ボリューム、又はアイスボール若しくはそれぞれの組織のマージンボリューム等)が病変の寸法に対して予め設定された寸法に達したときに外科手術(例えば、凍結アブレーション又は他のアブレーション)を自動的に停止するように構成することが可能である。
【0089】
例えば、例示的な実施形態では、例えば、アイスボール又は組織のボリュームが病変のボリューム境界全体を囲繞した場合のように、アイスボール、アブレーションされた組織のボリューム、又は組織死が予測される組織のボリュームが、セグメント化された病変に対して予め設定された寸法に達した場合には、治療を自動的に停止することが可能である。様々な例において、処理システムは、処理プロセスをいつ停止すべきかを決定する等、様々なシステム動作を開始するために使用できる1つ以上の分析を実行するための命令でプログラムすることが可能である。いくつかのそのような例において、そのような命令は、例えば、ユーザインタフェイスを介して、ユーザによってプログラムされた命令に基づくことができる。例えば、例示的な実施形態では、ユーザは、達成したときにシステムにアブレーション(例えば冷凍アブレーション)を(例えば、制御システム40によって)停止させる、アイスボール、アブレーションされた組織、又は予測された組織死ボリュームと病変ボリュームとの間の関係を規定することが可能である。追加又は代替として、ユーザは、アイスボールのアブレーションされた組織のボリューム、又は予測された組織死ボリュームの境界又はマージンと、満たされたときにシステムにアブレーションプロセス(例えば、冷凍アブレーション)を(例えば、制御システム40によって)停止させる臓器の境界との間の関係を規定することが可能である。
【0090】
図12は、ボリューム画像データ分析に基づいて治療を制御するための例示的な制御方法を示すプロセスフローチャートである。この方法は、ボリューム画像データを受信するステップ(1200)と、例えば1つ以上の治療ボリューム、病変、器官等のボリューム画像データ(1202)内の特徴をセグメント化するステップとを含む。この方法は、1つ以上のセグメント化された特徴の寸法及び/又は境界位置を比較するステップ(1204)と、1つ以上の予め設定された条件が満たされるかどうか、例えば比較に基づいて決定するステップ(1206)とを含むことができる。そうでない場合、治療を実行することができ(例えば、治療がまだ開始されていない場合)、又は継続することができ(例えば、治療中に条件が決定された場合)(1208)、プロセスを繰り返すことができる。しかしながら、予め設定された条件が満たされる場合(例えば、1206で)、治療(例えば、外科的治療)は停止され得る。
【0091】
様々な例において、そのような予め設定された条件は、他のものに対する1つ以上のセグメント化された特徴の相対的な寸法及び/又は境界位置に関連し得る。例示的な実施形態では、予め設定された条件が満たされるかどうかを決定することは、アイスボール、アブレーションされた組織のボリューム、又は予測された組織死ボリュームの境界が病変の境界と完全に重なるかどうかを決定することを備える。追加的に又は代替的に、予め設定された条件が満たされるかどうかを決定することは、アイスボール、アブレーションされた組織のボリューム又は予測された組織死ボリュームを囲繞するマージンが患者の臓器の境界と重なるかどうかを決定することを備える。一般に、1つ以上の予め設定された条件は、例えば、外科的治療(例えば、凍結手術)中に、十分な治療が行われ、望ましくない害がなされないことを確実にするために実施され得る。いくつかの例において、予め設定された条件は、異なる条件(例えば、条件A及び条件B)の1つ以上のブール組み合わせ等の複数の条件を含むことができる。いくつかの実施形態において、複数の予め設定された条件をメモリに保存することができ、及び/又はユーザがカスタマイズすることが可能である。
【0092】
様々な実施形態では、図12の方法の特定のステップは、システムによって(例えば、処理システムによって)自動的に、ユーザによって手動で、又はシステムとユーザの組み合わせによって実行することが可能である。例えば、本明細書の随所で説明しているように、いくつかの実施形態において、視覚化システムは、ボリューム画像データを(例えば、ボリューム画像スキャナから)自動的に受信し、及び/又は手動アップロードによってボリューム画像データを受信することが可能である。さらに、システムは、ボリューム画像データ内の特徴を自動的にセグメント化することが可能であり得るか、又は本明細書の随所で説明されるように、ユーザからの入力を用いてそれを行い得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、処理システムは、例えば、アイスボール、アブレーションされた組織のボリューム、又は予測された組織死ボリューム境界が病変境界を囲繞しているかどうか、といったように、予め設定された条件が満たされているかどうかを自動的に検出するように構成され得る。他の例において、処理システムは、ユーザのために、視覚化されたボリューム画像データに基づいて予め設定された状態を満たすかどうかを識別するために、本明細書の随所で説明したように、セグメント化されたアイスボール、アブレーションされた組織のボリューム若しくは予測された組織死ボリューム、並びにセグメント化された病変を1つ以上の断面図で表示し得る。ユーザは、予め設定された条件が満たされているかどうかを識別した場合、治療を開始したり、治療を続行したり、又は治療を停止したりできる。処理システムは、1つ以上の予め設定された条件が満たされていることを識別した場合、治療を開始したり、治療を続行したり、治療を停止したり、ユーザが適切なアクションを実行できるように予め設定された条件をユーザに警告したりできる。ユーザに警告することは、例えば、視覚的警告、音声警告等によって、予め設定された状態をユーザに通知することを含むことができる。処理システムは、予め設定された条件が満たされた、又は満たされていないという警報をユーザに提示し、及び/又は、満たされた、又は満たされていない条件に照らして、1つ以上の提案された動作をユーザに提示することが可能である。
【0094】
様々な例において、そのようなプロセスは、患者の組織の任意のボリューム内での針の配置を分析し、及び/又はシミュレートするために使用され得る。加えて、患者の組織に挿入された針を含むボリューム画像データのセグメント化に関していくつかの機能をここで説明したが、患者の体内で器具を誘導する際に、CT又はMRI画像を使用して支援する内視鏡プロセスなど、他の領域でも同様の手法を使用できる。追加的に又は代替的に、いくつかの例において、システムは、患者の治療(アブレーション、例えば、冷凍アブレーション治療)を計画するために、本明細書に記載されているものと同様の技法を実行することが可能である。
【0095】
図13Aは、例えば、ボリューム画像スキャナから得られた例示的なボリューム画像データの断面図である。本明細書の随所で説明されるように、いくつかの実施形態において、処理システムを使用して(例えば、視覚化システムによって)、ボリューム画像データをセグメント化することが可能である。図13Bは、セグメント化されたボリューム画像データの断面図を示す。図13Bの断面図1300bは、セグメント化された病変1306を含む。セグメント化されたオブジェクト(例えば、病変1306)は、他のボリューム画像データとコントラストのある表示配色で表示することが可能である。いくつかの実施形態において、視覚化システムは、ボリューム画像データ内に仮想針1322を配置するように構成することが可能である。仮想針1322は、ユーザによって手動で配置することができ、又は、例えば、システムが推奨する場所に自動的に配置することが可能である。いくつかの例において、ユーザは、ボリューム画像データ内の仮想針1322の位置をリアルタイムで調整することが可能である。
【0096】
セグメント化された針/プローブ(例えば、凍結針)に関して本明細書の随所で説明されるプロセスと同様に、仮想針1322は、ボリューム画像データを通って延びる仮想針軸を規定することが可能である。図13Bの断面画像1300bは、仮想針1322によって規定される仮想針軸がある平面で撮られることができる。いくつかの例において、ボリューム画像データは、本明細書の随所で説明されるプロセスと同様に、矢印1303で示されるように仮想針軸周りに回転させることができる。これは、病変1306を含む、ボリューム画像データの異なる断面図を可能にすることが可能である。
【0097】
いくつかの実施形態において、処理システムは、治療(アブレーション、例えば、冷凍アブレーション)をシミュレートし、シミュレートされた治療の結果を表示するようにさらに構成され得る。例えば、冷凍アブレーションプロセス又は他のアブレーションプロセスに関して、処理システムは(例えば、視覚化システムによって)、仮想針の位置に基づいて、アイスボールの成長、アブレーションされた組織のボリューム若しくは予測される組織死ボリューム、及び/又は仮想針1322に近接するボリュームの温度変化をシミュレーションするように構成され得る。いくつかの例において、そのようなシミュレートされた治療結果は、入力電力、治療期間、入力電力対時間曲線等のような、1つ以上の追加的な入力パラメータに基づくことができる。
【0098】
図13Cは、仮想針及び模擬治療処置の結果を示す例示的な断面画像である。図示の例において、仮想針1322は、セグメント化された病変1306に近接する患者の組織のボリューム画像データ内に配置される。図示のように、仮想治療領域1350は、仮想針1322に近接して示される。説明したように、仮想治療領域1350は、針の位置、針の動作電力、動作時間等の複数の入力の関数であり得る。
【0099】
仮想治療領域1350は、第1の領域1352と第2の治療領域1354とを含む。いくつかの例において、第1の領域1352は、仮想のアイスボールを囲繞する仮想のマージンに対応することができ、又は第2の領域1354によって表される仮想のアブレーションされた組織のボリュームに対応することが可能である。追加的に又は代替的に、領域1352、1354は、ボリューム内の仮想等温線及び/又は温度範囲を表すことができる。
【0100】
図10Cに関して説明したのと同様に、視覚化システムは、実際のボリューム画像データ(例えば、病変、臓器の境界等)内のセグメント化されたオブジェクトの位置に関して1つ以上の仮想治療領域(例えば、アイスボール、仮想の組織アブレーションボリューム、マージン等)の位置を分析するように構成することが可能である。視覚化システムは、そのような領域間の重なりを識別するとともに、仮想の治療ボリュームと重なり合うそのようなセグメント化された特徴の部分を視覚的に示すように構成することが可能である。
【0101】
図13Cの例において、3つの領域を有する病変1306が示されている。第1の領域1316は治療領域のいずれとも重ならず、第2の領域1326は治療ボリューム1350の第1の領域1352と重なり、第3の領域1336は治療ボリューム1350の第2の領域と重なり合う。このように、シミュレーションされた治療が病変1306に及ぼす影響は、シミュレーションの結果を見ているユーザによって容易に観察することが可能である。さらに、仮想治療がボリューム画像データに対して実行されると、断面図は、例えば、矢印1303によって示されるように、軸(例えば、仮想針1302によって規定される仮想針軸)周りに回転され得る。本明細書の随所で説明しているように、これは、それぞれが仮想針1322を含む複数の平面における様々な特徴(例えば、病変1306、仮想治療領域1350)の断面範囲の視覚化を可能にする。
【0102】
例えば、異なる期間及び/又は適用される電力や周波数の量を変える等して加療する(例えば、冷凍アブレーション若しくは他のアブレーション治療)場合、ユーザは、1つ以上の仮想治療パラメータを調整して、このような調整への影響を視覚化できる。加えて、単一の仮想針1322が示されているが、仮想治療に影響を与えるために、複数の仮想針がボリュームに挿入され得ることが理解されよう。図14A図14Cは、複数の針構成の例示的なアイスボール形成及び熱勾配を示しているが、この例は、アブレーションされた組織のボリューム又は予測された組織死のボリュームの形成に等しく適用可能である。
【0103】
図14Aは、単一の針1402によって形成されたアイスボール1450を示す。図14Aの例において、アイスボール1450は、針周りでほぼ対称的に成長する。アイスボール1450は、例えば、異なる温度範囲に対応する、1452、1454、1456の3つの領域を含む。例示的な実施形態では、領域1452は-20℃と0℃の間の温度に対応し、領域1454は-40と-20℃の間の温度に対応し、領域1456は-40℃未満の温度に対応する。
【0104】
図14Bは、一対の凍結針1412a、1412bによって形成されたアイスボール1460を示す。図14Aのアイスボール1450と同様に、アイスボール1460は、例えば、異なる温度範囲に対応する3つの領域1462、1464、1466を含む。例示的な実施形態では、領域1462は、-20℃から0℃までの間の温度に対応し、領域1464は、-40から-20℃までの間の温度に対応し、領域1466は、-40℃未満の温度に対応する。しかしながら、図14Bの1460と領域1462、1464、1466の形状は、1つ(1402)ではなく2つの針(14l2a、14l2b)がアイスボールの形成に寄与するため、アイスボール1450並びに領域1452、1454、1456とは異なる。
【0105】
図14Cは、3つの凍結針1422a、1422b、1422cによって形成されたアイスボール1470を示す。図14Aのアイスボール1450と同様に、アイスボール1470は、例えば、異なる温度範囲に対応することができる3つの領域1472、1474、1476を含む。例示的な実施形態では、領域1472は、-20℃から0℃までの間の温度に対応し、領域1474は、-40から-20℃までの間の温度に対応し、領域1476は、-40℃未満の温度に対応する。しかしながら、図14Cの1470と領域1472、1474、1476の形状は、1つ(1402)ではなく3つの針(1422a、1422b、1422c)がアイスボールの形成に寄与するため、アイスボール1450並びに領域1452、1454、1456とは異なる。
【0106】
図14A図14Cの異なるアイスボール形状/温度分布によって示されるように、治療針(例えば、凍結針)の数及び/又は場所を調整することは、治療によって影響を受けるボリュームに影響を与える可能性がある。このように、いくつかの例では、図13Cに関して説明した仮想治療を実行する際に、ユーザ(又は特定の治療を推奨するように構成されたシステム)は、アブレーション療法の治療計画をシミュレートするために、ボリューム組織データに複数の仮想針を配置することが可能である。
【0107】
図15は、疑似治療計画を生成及び表示するための例示的なプロセスを示すプロセスフローチャートである。図15の方法は、例えば、ボリューム画像スキャナから、又は画像データが格納されているメモリから、ボリューム画像データを受信すること(1500)を含む。この方法は、1つ以上の仮想針をボリューム画像データに配置するとともに(1502)、ボリューム画像データ内の特徴をセグメント化するステップ(1504)を含む。
【0108】
この方法は、仮想針に基づいて仮想針軸を含む平面で断面図を表示することを含む(1506)。いくつかの場合において、例えば、ステップ1502において挿入された複数の仮想針の場合、針軸は、複数の仮想針のうちの選択された1つに基づくことができる。この方法は、1つ以上の動作パラメータ(1508)、たとえば、動作電力又は周波数又は治療期間などの治療の動作パラメータを受信するステップと、断面図上に治療ボリュームを生成して表示する(1510)ステップとを含む。いくつかの例において、生成された治療ボリュームは、受信した1つ以上の動作パラメータに基づくことができる。そのような仮想治療ボリュームを使用して、治療ボリュームの特定のセクションがセグメント化された病変と完全に重なるかどうかなど、(例えば、ステップ1506からの1つ以上の受信パラメータに基づく)シミュレートされた治療がボリュームに望ましい影響を与えるかどうかを決定できる。
【0109】
様々な例において、生成された仮想治療ボリュームを含む断面図を作成して、様々な部分を、コントラスト色等のコントラストのある表示配色で表示することが可能である。例えば、仮想治療ボリュームと同様に、病変、臓器の境界等の1つ以上のセグメント化された特徴は、断面図において示される他のボリューム画像からコントラストのある1つ以上の色彩で表示することが可能である。追加的に又は代替的に、例えば図13Cに示すように、1つ以上のそのような領域の間の重なり合う領域を、コントラストのある表示配色で表示することが可能である。いくつかの実施形態において、ユーザは、どの特徴がコントラストのある表示配色に表わされるかを手動で選択することができ、いくつかのそのような例において、そのような特徴の1つ以上がどのように表示されるかを選択することが可能である。
【0110】
いくつかの実施形態において、仮想治療ボリュームを表示した後、方法は、例えば、仮想治療ボリュームを更新するために、1つ以上の動作パラメータを受信すること(1508)を含むことができる。例えば、例示的な実施形態では、ユーザは、仮想治療ボリュームをセグメント化された病変及び/又は臓器の境界とともに見ることができるとともに、仮想治療ボリュームに寄与する1つ以上の動作パラメータを調整したい場合がある。そのようなパラメータ調整は、所望の治療ボリュームに到達し、さらにいくつかの例において、治療ボリューム特性(例えば、等温線等)に到達するべく、仮想治療を微調整するために使用ことができる。
【0111】
図15の方法は、ボリューム画像データの断面図を更新するステップ(1512)をさらに含む。いくつかの例において、断面図を更新することは、本明細書の随所で説明されているように、仮想針軸周りにボリューム画像データを回転すること(1514)を備える。追加的に又は代替的に、複数の仮想針がボリュームに挿入されるプロセスにおいて、断面図を更新すること(1512)は、新しい仮想針を選択するとともに断面に含まれる仮想針軸を変更すること(1516)を含むことができる。どちらの場合でも、断面図を更新した後、方法は、選択した(場合によっては更新された)仮想針に基づいて、仮想針軸を含む平面に断面図を表示するステップに戻ることができる。
【0112】
様々な実施形態では、図15の例示的な方法のステップが省略又は順序を変えてもよく、追加のステップが含まれてもよいことが理解されよう。例えば、別の例示的な実施形態では、1つ以上の仮想針をボリューム画像データ内に配置するステップと、ボリューム画像データ内の特徴をセグメント化するステップとを入れ替えてもよく、その場合、特徴は1つ以上の仮想針を配置する前にセグメント化される。プロセスは、ボリューム画像データ内の仮想針の配置及び/又は数を調整するステップを含むことができる。
【0113】
治療計画プロセスに加えて、例えば、実際の環境のボリューム画像データで仮想針と仮想治療ボリュームを視覚化すること、及び、治療監視プロセス、例えば、ボリューム画像データにおける実際の針と実際の治療ボリュームとを視覚化すること、いくつかの例において、これらのようなプロセスを組み合わせることができる。例えば、いくつかの実施形態において、ボリューム内において針の位置が与えられた場合の治療プロセスの起こりそうな進行に基づいて仮想治療ボリュームを生成するために、ボリューム画像データにおいてセグメント化された実際の針を使用するようにシステムを構成できる。
【0114】
図16は、ボリューム画像データにおいてセグメント化された針を使用して仮想の治療ボリュームを生成するための例示的な方法を示すプロセスフローチャートである。この方法は、ボリューム画像データを受信すること(1600)と、1つ以上の針を含むボリューム画像データ内の特徴をセグメント化すること(1602)とを含む。方法は、本明細書の随所で説明されるような、1つ以上のセグメント化針の1つ(例えば、選択されたもの)に基づく針軸を含む第1の断面図を表示すること(1604)をさらに含む。
【0115】
この方法は、例えば、動作電力、動作時間等の1つ以上の動作パラメータを受信するステップ(1606)と、断面図に仮想治療ボリュームを生成して表示するステップ(1608)とを含む。仮想治療ボリュームは、受信した1つ以上の動作パラメータ、及びいくつかの実施形態において、ボリューム画像データ自体に基づくことができる。例えば、1つ以上のセグメント化された特徴(例えば、臓器の境界、血管構造等)は、受信した動作パラメータに加えて、仮想治療ボリュームに影響を与えることができる。場合によっては、そのようなセグメント化された特徴は、セグメント化された針に近接する組織の熱特性に影響を与える可能性があり、従って、近接組織に対する針の熱効果に影響を与える可能性がある。
【0116】
図16の方法は、ボリューム画像データの断面図を更新するステップ(1610)をさらに含み、例えば、ボリューム画像データを針軸周りに回転させることによって(1612)更新された断面図を表示する(1604)。例えば、針軸を規定するために複数の針の異なる1つを選択し、それによって新しい針軸を含めるために断面画像の平面を調整する等、他のプロセスを使用して断面図を更新することが可能である。
【0117】
ボリューム画像データのセグメント化すること、及び(例えば、実際の又は仮想の)針軸周りに前記ボリューム画像データを回転することを含む、本明細書に記載の視覚化技法は、1つ以上の凍結針を使用する冷凍アブレーションプロセス等の操作を計画及び/又は実行する際に有用であり得る。いくつかの例において、本明細書で説明される様々な技法を連続して実行して、治療の計画及び実行を支援することが可能である。
【0118】
図17は、治療を計画及び実行するための例示的なプロセスを示すプロセスフローチャートである。この方法は、ボリューム画像データを受信すること(1700)、ボリューム画像データ内に1つ以上の仮想針を配置すること(1702)、及び1つ以上の動作パラメータを受信すること(1704)を含む。この方法はさらに、例えば、仮想針の位置と数、及び/又は、受け取った1つ以上の動作パラメータに基づくことのできる、仮想治療ボリュームを生成すること(1706)を含む。本明細書の随所で説明しているように、仮想治療ボリュームを含むボリューム画像データの断面図を生成し、表示すること(1708)ができる。同様に、針の数と位置、及び/又は動作パラメータが(例えば、ユーザを介して)調整される場合、断面図を更新することが可能である。
【0119】
いくつかの実装形態では、仮想治療ボリュームを含む断面画像を使用して、システムオペレータはボリューム画像データと組み合わせて治療ボリュームを見ることができ、治療処置を計画することが可能である。本明細書の随所で説明しているように、いくつかの例では、様々な特徴(例えば、1つ以上の病変、臓器の境界等)を仮想治療ボリュームにセグメント化でき、そのようなセグメント化された特徴、及び/又は、仮想治療領域をボリューム画像データ内のコントラストのある表示配色で提示できる。断面表示は、仮想針の位置、及び/又は、仮想治療ボリュームを生成するために使用される動作パラメータの分析を容易にするために使用できる。さらに、説明したように、断面図は、いくつかの例において、当該断面図の中の1つ以上のセグメント化された特徴、例えば、ボリューム画像データに対する仮想治療ボリュームの相対位置及び寸法を観察するために、例えば、仮想針の軸周りに回転され得る。
【0120】
図17の方法は、1つ以上の針をボリュームに、例えば、ボリューム画像データによって表される患者の組織に挿入するステップ(1710)をさらに含む。場合によっては、1つ以上の針は、(例えば、ステップ1702で)1つ以上の仮想針が配置されたボリューム内のほぼ位置に挿入することが可能である。仮想針の位置に基づく仮想治療ボリュームは、従って、挿入された1つ以上の実際の針によって行われた治療の結果の予測を提供することが可能である。
【0121】
この方法は、1つ以上の針を含む更新されたボリューム画像データを受信すること(1712)と、更新されたボリューム画像データ内の挿入された針をセグメント化すること(1714)とをさらに含む。様々な実施形態では、仮想針は、ボリューム画像データから削除されてもよく、又はセグメント化された針と組み合わせてボリューム画像データに残ってもよい。そのようないくつかの例において、システムは、ボリューム内のセグメント化された針とコントラストのある表示配色で残りの仮想針を提示することが可能である。
【0122】
一部の例において、方法は、1つ以上の動作パラメータを受信するステップ(1716)と、仮想治療ボリュームを生成するステップ(1718)とを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1716における1つ以上の動作パラメータは、ステップ1704において受信したものと同じであり、しかも、仮想治療ボリュームを生成する(1718)ために、挿入された針の数及び/又は位置を組合せて使用することが可能である。そのようないくつかの例において、ステップ1706において生成された治療ボリュームとステップ1718において生成された治療ボリュームとのあらゆる差異は、ステップ1710において挿入された実際の針の数及び/又は位置が、ステップ1702において配置された仮想針の数及び/又は位置と異なることによる。
【0123】
この方法は、仮想治療ボリュームを含むボリューム画像データの断面図を生成し、更新するステップ(1720)を含むことができる。このようないくつかの例において、ボリューム画像データの断面図は、ボリューム画像データから1つ以上のセグメント化された、挿入された針及び/又は追加的にセグメント化された特徴を含む。場合によっては、そのような断面図を使用してボリュームに挿入された針の位置によって期待される治療の結果を確認できる。同様に、ユーザは、挿入された1つ以上の針の位置に基づいて治療ボリュームを見得るものであるとともに、所望の治療を達成し、かつ、好ましくない治療結果を防ぐために、針の位置をどのように調整すべきか、決定し得る。本明細書に随所に説明されているように、断面図は、例えば、複数の画面における仮想治療ボリュームの断面を見るために、1つ以上の挿入された針によって規定される針軸周りに当該ボリューム画像データを回転させることにより、更新できる。
【0124】
仮想治療ボリュームが満足のいくものである場合、本方法は、冷凍アブレーション等の治療処置を実行するステップ(1722)と、例えば、治療ボリュームを識別し、及び/又はセグメント化するステップ(1724)と、さらに治療ボリュームを含むボリューム画像データの断面図を生成し、更新するステップ(1726)とを含むことができる。このように、例示的な実装では、凍結針等の外科用装置を操作するユーザは、例えば、(従前に見た仮想治療ボリュームに基づいて)十分な治療が施されているか否か、及び/又は、治療が期待通りに進んでいるか否かを決定するために、ボリューム画像データ内の治療ボリュームを観察することが可能である。
【0125】
図11図15、及び図16に示される方法に関して説明したように、図17の方法における様々なステップは省略又は並び替えてもよく、及び/又は様々な追加的なステップが加えられてもよい。追加的に又は代替的に、図17の方法の様々なステップは、手動又は自動で実行されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、処理システムは(例えば、制御システムによって)、アブレーションプローブ、アブレーション針等の1つ以上の外科用ツールの動作を制御するように構成でき、治療ボリューム(例えば、アイスボール、アブレーションされた組織のボリューム、組織死ボリューム、アイスボール若しくは他のもののそれぞれのマージン、1つ以上の等温線領域等)が1つ以上の条件(例えば、セグメント化された病変への十分な重なり等)を満たすまで治療(例えば、冷凍アブレーション又は他のアブレーション治療)を実行し続けることができる。
【0126】
いくつかの例では、システムは、追加的に又は代替的に、ボリューム内の1つ以上の針(例えば、仮想針)の配置又は移動を自動化し、及び/又は、治療計画手順等で1つ以上の治療(例えば、冷凍アブレーション又は他のアブレーション)パラメータを調整するように構成できる。例えば、いくつかの実施形態において、システムは、模擬治療のための1つ以上の針の最適化位置及び/又は1つ以上の治療パラメータ(例えば、アブレーションの電力、周波数、持続時間等)を決定するように構成され得る。最適化された位置及び/又はパラメータは、望ましくない組織破壊等の望ましくない結果を最小限にしながら、効果的な治療をもたらすパラメータに対応している可能性がある。
【0127】
本明細書の随所で説明しているように、(例えば、仮想針及び/又は実際の針を用いながらの)治療シミュレーションプロセス及び/又は治療プロセス(例えば、冷凍アブレーションプロセスによるアイスボールの生成)のいくつかのステップは、システムによって、例えば、処理システム90によって、自動的に実行することが可能である。制御システム及び視覚化システムを参照して様々なステップについて論じているが、様々な実施形態では、そのようなシステムステップは、単一のプロセッサ又はプロセッサ(例えば、処理システムによる)の分散ネットワークによって実行できることが理解されよう。すなわち、視覚化システム及び制御システムは、別個の又は区別可能なエンティティである必要はない。一方、いくつかの例において、視覚化システム及び制御システムは、別個のコンピュータワークステーション等、別個のスタンドアロン構成要素で実施することが可能である。いくつかのそのような実施形態では、そのようなシステムは、例えば分析された画像データに応答して制御プロセス(例えば、冷凍アブレーション又は他のアブレーションの開始又は停止)を実行するために、互いに又は共通の処理構成要素と通信することが可能である。
【0128】
さらに、冷凍アブレーションに関して説明されることが多いが、本明細書で説明される様々なプロセスは、様々なシステムで利用することが可能である。例えば、他の組織破壊プロセス(例えば、熱アブレーション)は、アブレーションされた組織のボリューム又は組織死が起こると予測された組織のボリューム等の、ボリューム画像データ内の識別可能な治療ボリュームをもたらし得る。そのような治療ボリュームは、治療の進行の視覚的な分析を容易にするために、本明細書に記載されるようにセグメント化され得る。同様に、仮想治療ボリュームは、治療計画を支援するために、本明細書に記載されるように生成され得る。いくつかの場合において、本明細書に記載されるような様々なプロセスは、超音波療法、又は複数の方向からの視覚化が有益であり得る他のプロセス等の他の用途に使用され得る。
【0129】
加えて、本明細書に記載した視覚化技法(たとえば、針軸の識別、針軸を含む平面での断面の取得、断面図を針軸周りに回転させる等)は、種々の観点からデータを視覚化するために使用することが可能である。これにより、(例えば治療の間に)十分な治療が確実に行われ、(例えば治療計画の間に)処方された治療が効果的である可能性が高くなり、不注意で損傷したり、望ましくない組織(例えば、病変の近傍の組織)に悪影響を及ぼしたりするリスクを減らすことができる。
【0130】
様々な例が説明されてきた。本明細書の図及び説明は本質的に例示であり、決して本発明の範囲を限定するものではない。むしろ、そのような例は、以下の特許請求の範囲内で考えられるさまざまな構成と実装を示すために提供される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17