(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ポペット弁システム及び方法
(51)【国際特許分類】
F16K 1/38 20060101AFI20230807BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20230807BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20230807BHJP
F02C 9/18 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
F16K1/38 C
F16K31/06 305L
F01D25/00 D
F02C9/18
(21)【出願番号】P 2020546286
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(86)【国際出願番号】 US2018062040
(87)【国際公開番号】W WO2019104051
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520177781
【氏名又は名称】デュークス エアロスペース インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ビジャヌエバ カルロス
(72)【発明者】
【氏名】フレミング チャド
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-053996(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0237915(US,A1)
【文献】特開2009-180263(JP,A)
【文献】特開2009-002361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00- 1/54
F16K 31/06-31/11
F01D 25/00
F02C 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規制された流体流を供給する弁であって、
弁ハウジングであって、前記弁ハウジングは、流体を受け入れる入口端部における入口と、規制された流体流を供給する出口端部における出口と、を有し、前記弁ハウジングの構造は弁チャンバを規定する、前記弁ハウジングと、
前記弁の前記入口と前記出口との間に配置される弁座であって、前記弁座は、座開口寸法によって規定される座開口を有し、前記弁座は、前記弁ハウジングに関して固定される、前記弁座と、
前記弁の前記弁座と前記出口
端部との間に配置されるポペットであって、前記ポペットは、前記弁座と対向する座面と、前記出口端部と対向する出口面とを有し、前記座面は、前記
出口端部に向かって配置される前記座開口寸法よりも大きなポペット大寸法から
、前記
入口端部に向かって配置される前記座開口寸法よりも小さいポペット小寸法まで先細になっており、前記ポペットは、前記弁ハウジングに関して移動可能であるように構成される、前記ポペットと、
前記ポペットと作動的に結合されたプランジャであって、前記プランジャは、前記入口端部に向かって配置され、前記プランジャは、前記弁ハウジングに関して移動可能である、前記プランジャと、
前記プランジャと作動的に結合された前記弁チャンバ内のソレノイドであって、前記ソレノイドは少なくとも前記プランジャ上に変位力を供給する、前記ソレノイドとを備え
、
前記ポペットは、前記弁座から前記ソレノイドの作動に基づいて可変な距離までオフセットされるように形成されており、
前記可変な距離は、通常の作動モードを規定する第1の距離と、前記第1の距離より大きく、外来の異物のデブリを取り除くためのクリーニング作動モードを規定する第2の距離を有する、弁。
【請求項2】
前記ポペットは、円錐形面を備え、前記弁座は円錐形面を備え、これらの円錐形面は、一方が他方に対してかみ合うように形成されている、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記ポペットは、前記弁座から汚染物のサイズよりも大きな量までオフセットされるように形成されている、請求項1に記載の弁。
【請求項4】
前記ポペットは、前記弁座から
0.0127cm(0.005インチ
)よりも大きな量までオフセットされるように形成されている、請求項3に記載の弁。
【請求項5】
請求項1に記載の前記弁を備える弁システムであって、
さらに、タービンからの抽気分配を制御する抽気弁を備え、前記弁は前記抽気弁の作動を制御する、弁システム
【請求項6】
方法であって、
弁座、ポペット及びアクチュエータを含む弁を準備するステップであって、前記弁座は前記弁の入口と出口との間に配置され、前記弁座は座開口寸法によって規定される座開口を有し、前記弁座は前記弁に対して固定され、前記ポペットは、前記弁座と対向する座面と前記出口に向かって配置される出口面とを有し、前記座面は、前記
出口に向かって配置される前記座開口寸法よりも大きなポペット大寸法から、前記
入口に向かって配置される前記座開口寸法よりも小さなポペット小寸法まで先細にされ、前記ポペットは弁ハウジングに対して移動可能であり、前記アクチュエータは、前記ポペットと作動的に結合される、前記準備するステップと、
タービンからの抽気の分配を制御する抽気弁をさらに設けるステップと、
前記抽気弁の位置を制御するように前記弁の位置を制御するステップと
前記ポペットの前記座面を、開作動中に前記弁座から少なくとも
第1のオフセット距離動かさせることにより前記弁を開くように、前記アクチュエータを作動させるステップと
、
前記ポペットの前記座面を、クリーニング作動中に前記弁座から外来の異物のデブリを取り除くための少なくとも第2のオフセット距離動かさせることにより前記弁を開くように、前記アクチュエータを作動させるステップとを備える、方法。
【請求項7】
前記ポペットを前記弁座から可変な距離だけオフセットさせるように、前記アクチュエータを制御するようにコントローラを実行させるステップと、
前記ポペットの前記座面を、閉動作中に少なくともオフセット距離だけ前記弁座に戻させることにより前記弁を閉じるように、前記アクチュエータの作動を弱めるステップをさらに備える、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
弁の故障を検出するように構成されたセンサを提供するステップと、
前記アクチュエータと前記ポペットとの間でプローブを提供するステップをさらに備える、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記プローブは、前記ポペットに関して固定されて
おり、
前記センサは、前記弁座からオフセットした前記ポペットの位置を決定するように構成された位置センサ、及び、前記ポペットが前記弁座からオフセットしていることを示す前記ポペットを通過するフローを決定するように構成されたフローセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記弁ハウジングは、前記入口と前記出口とのまわりに弁チャンバを規定
し、
前記ポペットは、円錐形面を備え、前記弁座は円錐形面を備え、これらの円錐形面は、一方が他方に対してかみ合うように形成されている、請求項
6に記載の方法。
【請求項11】
規制された流体流を供給する弁システムであって、
システムハウジングであって、システム入口端部において加圧流体を受け入れるシステム入口と、システム出口端部において規制された流体流を提供するシステム出口とを有する、前記システムハウジングと、
前記システムハウジング内に配置されキャビティを有するピストンアセンブリであって、前記キャビティはベントへの流体連通を有し、前記ピストンアセンブリは、流体流を規制するように構成された、前記ピストンアセンブリと、
前記流体連通を制御すると共に前記ピストンアセンブリの位置を制御する弁であって、前記弁は、
弁ハウジングであって、前記弁ハウジングは、流体を受け入れる第1端部における弁入口と、規制された流体流を供給する第2端部における弁出口と、を有し、前記弁ハウジングの構造は弁チャンバを規定する、前記弁ハウジングと、
前記弁入口と前記弁出口との間に配置される弁座であって、前記弁座は、座開口寸法によって規定される座開口を有し、前記弁座は、前記弁ハウジングに関して固定される、前記弁座と、
前記弁座と前記弁出口との間に配置されるポペットであって、前記ポペットは、前記弁座と対向する座面と、弁出口端部と対向する出口面とを有し、前記座面は、弁
出口端部に向かって配置される前記座開口寸法よりも大きなポペット大寸法から、
弁入口端部に向かって配置される前記座開口寸法よりも小さいポペット小寸法まで先細になっており、前記ポペットは、前記弁ハウジングに関して移動可能である、前記ポペットと、
前記ポペットと作動的に結合されたプランジャであって、前記プランジャは、前記弁入口端部に向かって配置され、前記プランジャは、前記弁ハウジングに関して移動可能である、前記プランジャと、
前記プランジャと作動的に結合された前記弁チャンバ内のソレノイドであって、前記ソレノイドは少なくとも前記プランジャ上に変位力を供給する、前記ソレノイドとを備え
、
前記ポペットは、前記弁座から前記ソレノイドの作動に基づいて可変な距離までオフセットされるように形成されており、
前記可変な距離は、通常の作動モードを規定する第1の距離と、前記第1の距離より大きく、外来の異物のデブリを取り除くためのクリーニング作動モードを規定する第2の距離を有する、弁システム。
【請求項12】
前記ポペットを前記弁座から可変な距離だけオフセットさせるように前記ソレノイドの作動を制御するように構成されたコントローラをさらに備え、
前記ポペットは、円錐形面を備え、前記弁座は円錐形面を備え、これらの円錐形面は、一方が他方に対してかみ合うように形成されており、
前記プランジャは、前記ポペットに関して固定されている、請求項
11に記載の弁システム。
【請求項13】
前記弁座からオフセットした前記ポペットの位置を検出するように構成されたセンサを更に備える、請求項
11に記載の弁システム。
【請求項14】
弁の故障を検出するように構成されたセンサを更に備え、
前記ポペットは、前記弁座から
0.0127cm(0.005インチ
)よりも大きな量までオフセットされるように形成されている、請求項
13に記載の弁システム。
【請求項15】
前記ポペットは、円錐形面を備え、前記弁座は円錐形面を備え、これらの円錐形面は、一方が他方に対してかみ合うように形成されている、請求項
11に記載の弁システム。
【請求項16】
弁の故障を検出するように構成されたセンサを更に備え、
前記センサは、前記弁座からオフセットした前記ポペットの位置を決定するように構成された位置センサ、及び、前記ポペットが前記弁座からオフセットしていることを示す前記ポペットを通過するフローを決定するように構成されたフローセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項
11に記載の弁システム。
【請求項17】
前記弁座からオフセットした前記ポペットの位置を検出するように構成されたセンサを更に備え、
前記ポペットは、前記弁座から前記ソレノイドの作動に基づいて可変な距離までオフセットされるように形成されている、請求項
11に記載の弁システム。
【請求項18】
さらに、少なくとも1つのリリーフ弁を備える、請求項
11に記載の弁システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2017年11月21日に出願された米国仮特許出願第62/589,200号に優先権を主張し、この米国仮特許出願の全体の開示が、この明細書に完全に記載されているかのように、全ての目的のために完全に援用され組込まれる。
【0002】
本開示は、概して、ポペット弁システムを実施するための装置及び方法に関する。具体的には、本開示は、より大きなクリアランス寸法を提供する方法で開くように構成されたポペット弁システム及び方法に関する。 さらに、本開示は、弁システムの制御のためにより大きなクリアランス寸法を提供する方法で開くように構成されたポペット弁システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
圧力調整弁は、加圧流体を使用して空気圧システムを駆動する幅広いさまざまな領域で多くの用途がある。 これらのシステムは通常、遠隔操作を可能にするために電子システムを通じて制御される1つ以上の圧力調整バルブを必要とする。これらの圧力調整弁の1つの用途は、例えば、タービンエンジンを利用する航空機システムにおけるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの圧力調整弁は、エンジンカウルの除氷等、航空機に不可欠な機能で使用されるため、故障に対してより耐性のある弁を圧力調整弁として導入することが重要である。このような故障の1つには、弁可動部品間に異物のデブリ等の汚染物質が存在するために弁が閉じないか、適切に着座できない再着座故障が含まれる。このような汚染物質は、オープン環境で動作しているシステムに簡単に導入される可能性がある。
【0005】
したがって、故障への耐性がありつつも、コンパクトで且つ軽量である圧力調整弁システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本明細書の詳細な説明がよりよく理解されることができ、さらに、技術分野への現在の貢献がよりよく理解されることができるように、開示の特定の態様がさらに広く概説されている。もちろん、以下で記載される本開示の追加の態様があり、これも本願に添付された特許請求の範囲の主題を形成する。
【0007】
一態様においては、ポペット弁は、流体を受け入れる入口端部における入口と、規制された流体流を供給する出口端部における出口と、を有している弁ハウジングとを含む。弁ハウジングの構造は少なくとも弁チャンバを規定する。弁座は、前記弁の入口と出口との間に配置され、座開口寸法によって規定される座開口を有している。弁座は、弁ハウジングに関して固定される。前記弁は、さらに、前記弁の前記弁座と前記出口との間に配置されるポペットを備えている。前記ポペットは、前記弁座と対向する座面と、前記出口端部と対向する出口面とを有している。前記座面は、前記入口端部に向かって配置される前記座開口寸法よりも大きなポペット大寸法から、前記出口端部に向かって配置される前記座開口寸法よりも小さいポペット小寸法まで先細になっている。前記ポペットは、前記弁ハウジングに関して移動可能である。前記弁は、さらに、前記ポペットと作動的に結合されたプランジャを備えている。前記プランジャは、前記入口端部に向かって配置され、前記プランジャは、前記弁ハウジングに関して移動可能である。前記弁は、さらに、前記プランジャと作動的に結合された前記弁チャンバ内のソレノイドを備え、前記ソレノイドは少なくとも前記プランジャ上に変位力を供給する。
【0008】
他の一態様においては、弁を使用するための方法は、弁座、ポペット及びアクチュエータを含む弁を準備するステップを備える。前記弁座は前記弁の入口と出口との間に配置され、座開口寸法によって規定される座開口を有している。前記弁座は前記弁に対して固定されている。前記ポペットは、前記弁座と対向する座面と前記出口に向かって配置される出口面とを有している。前記座面は、前記入口端部に向かって配置される前記座開口寸法よりも大きなポペット大寸法から、前記出口に向かって配置される前記座開口寸法よりも小さなポペット小寸法まで先細にされる。前記ポペットは弁ハウジングに対して移動可能である。前記アクチュエータは、前記ポペットと作動的に結合される。前記方法は、さらに、前記ポペットの前記座面を、開口作動中に前記弁座から少なくともオフセット距離動かせることにより前記弁を開くように、前記アクチュエータを作動させる(起動させる動作エネルギを与える)ステップを備える。
【0009】
いくつかの態様においては、記載されているようなポペット弁は、規制された流体流を提供する弁システムと共に使用されることができる。そのようなシステムは、本明細書に開示されたポペット弁を含む弁によって制御されるピストン組立体を含むことができる。
【0010】
さらなる態様においては、記載されているようなポペット弁は、規制された流体流を提供する冗長系の弁システムと共に使用されることができる。そのような冗長系の弁システムは、本明細書に開示されている1つ又は複数のポペット弁を含む弁によって制御される2つ又は3つ以上のピストン組立体を含むことができる。
【0011】
この点について、本開示の少なくとも1つの態様を詳細に説明する前に、本開示は、その応用において、以下の詳細な説明に記載され又は図面に図示された、構造の詳細及び構成要素の配置に限定されることなく、理解されるべきである。本開示は、記載されたものに加えた態様のものとでき、様々な方法で実践および実行されることができる。また、本明細書ならびに要約に用いられた表現及び用語は、詳細な説明の記載を目的としたものであり、限定する目的と見なされるべきではない。
【0012】
従って、当業者は、本開示の基礎となる概念が、本開示のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、およびシステムの設計の基礎として容易に利用できることを認識する。従って、本開示の精神および範囲から逸脱しない限り、請求項はそのような均等な構成を含むものとして見なされることが重要である。
【0013】
従って、本明細書における詳細な説明がよりよく理解できるように、及び、技術への本貢献をよりよく認識できるように、本開示の特定の態様がいくぶん広く概説されている。もちろん、本開示のさらなる態様が以下に記載されており、この本開示のさらなる態様は、本願に添付される特許請求の範囲の主題を形成している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図2は、本開示によるポペット弁の部分断面図を示している。
【
図3】
図3は、閉位置にある
図2のポペット弁の部分断面図を示している。
【
図4】
図4は、開位置にある
図2のポペット弁の部分断面図を示している。
【
図5】
図5は、本開示の一態様において、抽気がタービンエンジンからサイフォンにより吸い上げられている状態のタービンエンジンの概略図を示している。
【
図6】
図6は、本開示の一態様において、下流弁が規制されたり開いたりする冗長系の弁システムの断面図を示している。
【
図7】
図7は、本開示による単一系の弁システムの断面図を示している。
【
図8】
図7の単一系の弁システムの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
圧力調整弁は、加圧流体を使用して空気圧システムを駆動させるさまざまな分野で多くの用途を有している。これらのシステムは一般的には、遠隔操作を可能にするために電子システムを通じて制御される1つ又は2つ以上の圧力調整弁を必要とする。これらの圧力調整弁についての1つの用途は、タービンエンジンを利用する航空機システムにおけるものである。
【0016】
飛行中の寒冷な環境条件により、航空機は、エンジンカウル、翼等の航空機の外装部の除氷を行うために、タービンエンジンからの抽気をしばしば使用する。この抽気は、キャビンの与圧を維持し、窓の除氷を行い、キャビンと荷物区画の温度の維持、エジェクターシートの機能の補助、吹き出しフラップへの空気の供給、風防ガラス吹き出し機構への空気の供給等にも使用できる。例えば、エンジンカウルの除氷には、通常、スロットル設定や着氷条件等の変動を補償するように抽気を規制するため、このシステムを自動的に又は航空機のコックピットから制御できるようにする圧力調整弁が必要とされる。いくつかの態様では、自動制御は、集中保守システム、飛行警告システム、飛行管理システム、コンピュータシステム、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コントローラ、マイクロプロセッサ等からなることができる。
【0017】
これらの弁は、性能の信頼性が高く、軽量で、コンパクトなサイズである必要がある。一態様では、この弁は自己動力式である。 一態様では、弁は、弁を作動させるためのエネルギーを供給するために、システム自体の内部で生成された圧力を使用して動力を供給される。
【0018】
本明細書における「一態様」、「一つの態様」、「他の態様」、「一つ又は複数の態様」等への言及は、その態様に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が、開示の少なくとも一つの態様に含まれることを意味している。例えば、明細書内の様々な箇所における「一つの態様内」の出現は、必ずしもすべて同じ態様を指しているわけではなく、また、他の態様と相互に排他的な別個のまたは代替の態様を指しているわけでもない。さらに、様々な特徴が記載され、これらはいくつかの態様によって示されることができ且つ他の態様によって示されないことができる。同様に、様々な要件が記載され、これらはいくつかの態様に要求され且つ他の態様に要求されないことができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「作動的に結合された」という語句は、協調して作動するが、物理的に接触している必要はない構成要素を述べている。作動的に結合されたコンポーネントは、相補的な方法で作動することができ、又は、互いに直接に作動する又は個々の動作を通じて一定の距離で作動することができる。作動的に結合された別個の構成要素は、特定の動作条件中には一定の距離で配置され、他の動作条件中に接触させられてもよいので、そのような配置もまた除外されていない。
【0020】
図1は、ボール弁(ボールバルブ)の一例を示している。特に、
図1は、ボール弁1を使用する例示的なシステムの一部を示している。ボール弁1は、例えば、ベント(通気孔)2を通る流体の流れを許容する又は制限するように規制する及び開くようになっている。ボール弁1は、ソレノイド作動弁又は別の類似の弁であってもよい。関連する弁システムを通過する流体の流れを規制するようにボール弁1が使用されない場合、ボール8はベント2への連通部4をブロックする。ボール弁1が作動しているとき、ボール8は、ボール弁1によって作動され、ボール8をボール弁1内で延伸させ、連通部4を通って流れる流体がベント2まで通って移動することを可能にする。
【0021】
図1に示されるようなボール弁システムの1つの欠点は、閉じたときにボール8がその上に静置される弁座6からボール8への距離が変位することである。いくつかの態様では、ボール8は、閉じたときにボール8がその上に静置される弁座から
0.0127cm(0.005インチ
)だけの変位とできる。そのような実施態様では、粒子状物質の小さな小片がボール8と弁座6との間にくさび止めされた状態になり、ボール8が閉位置に戻るのを妨げる可能性がある。言い換えれば、ボール8は、弁座6に完全に戻ることができず、ボール弁1の完全な閉止が妨げられる。ボール8の動きの範囲が限られているため、連通部4を通して噴出されたデブリ(又はボール弁1が閉じているときにベント2を通して蓄積する可能性があるデブリ)が故障のリスクを生じさせる。
【0022】
図2は、本開示によるポペット弁の部分断面図を示す。
図3は、閉位置にある
図2のポペット弁の部分断面図を示し、
図4は、開位置にある
図2のポペット弁の部分断面図を示す。特に、
図2、
図3、及び
図4は、ポペット240を使用する代替弁200を示している。より具体的には、代替弁200は、少なくとも弁室214を規定する弁ハウジング202を含む。弁ハウジング202は、入口端部206における入口208と、出口端部210におけるベント212とを含むことができる。弁ハウジング202は、概ね円筒形であり、金属材料、合成材料、又は他の材料から構成されることができる。弁ハウジング202は、流体(加圧又は非加圧)が弁200を通って流れることを選択的に可能にするように形成され、流体の流れは、弁200によって規制(調整)されることができる。弁座204は、弁ハウジング202と一体であるか、又はこれと連結され、弁200を通る流体の流れの経路に沿って入口208とベント212との間に配置されることができる。
【0023】
弁200はまた、ポペット240を弁座204に向かって、又は弁座204から離れるように移動させることによって弁200を開閉させるためのアクチュエータ250を含むことができる。アクチュエータ250は、シャフト260などを通って、ポペット240上に直接作用できる。さまざまな態様では、アクチュエータ250は、ソレノイド252である。ソレノイド252は、可動スラグ256又は類似の構造の周りに巻かれ得る電磁誘導コイル254を含むことができる電気機械式ソレノイドであってもよい。可動スラグ256は、鋼、鉄などで形成できる。ソレノイド252は、固定コア258をさらに含むことができる。最後に、ソレノイド252は、ポペット240が閉位置にあることを可能にする位置にシャフト260を付勢するように形成されたコアスプリング262をさらに含んでもよい。ソレノイド252の他の実施態様も同様に想定される。さらに、ソレノイド252の代わりに他のタイプのアクチュエータが利用されてもよい。
【0024】
弁200は、
図2に示されるように、ポペット240を閉位置に付勢するようにポペット240の背面に係合するばね270をさらに含んでもよい。特に、ばね270は、ポペット240に力を加えて、ポペット240を閉位置に向かって付勢できる。
図3に示すように、弁座204は、座開口寸法216によって規定される座開口を有することができ、座開口寸法は、弁室214の少なくとも1つの寸法を表している。ポペット240は、弁200が閉じているときに弁座204と接触する座面242を含むことができる。ポペット240はまた、座面242と反対側の弁面244を含むことができる。ポペット240は、概ね円錐形の構造であり、弁座204は、対応する円錐形の表面を有することができる。しかしながら、他の形状の表面も同様に想定される。座面242は、座開口寸法216よりも大きなポペット大寸法246によって規定されてもよい。いくつかの態様では、座面242は、その断面をポペット小寸法248まで先細に形成させる、段状に形成される、さもなければ別の方法で減少させることができ、ポペット小寸法248は座開口寸法216よりも小さく、従って、座開口寸法216に対して低干渉又は無干渉の相対移動が可能とできる。これに関して、ポペット240は、弁ハウジング202に対して移動可能であり、ポペット240は、弁座204から離れて弁200を開き(
図4参照)、ポペット240は、ついで、戻って弁200を閉じる(
図3参照)。これに関して、
図3は、弁座204上に着座したポペット240を示している。
図4は、弁座204からオフセット距離218だけ動かされたポペット240を示している。
【0025】
いくつかの態様では、シャフト260は、入口端部206及び/又はポペット小寸法248に向けられてポペット240と結合されてもよい。シャフト260は、例えば、プランジャ、プローブ、又は構成要素を通してリンク又は延びるための他の適切な構造とできる。シャフト260は、弁ハウジング202に対して移動可能とでき、ポペット240に対して移動可能又は固定されることができる。いくつかの態様では、シャフト260は、作動されたときのみポペット240と係合する分離構造であってもよい。他の態様では、シャフト260は、ポペット240と一体であってもよく、したがって常に取り付けられていてもよい。
【0026】
特定の態様では、シャフト260は、作動状態に基づいて弁200内でのその動きを促進させるような方法でポペット240と作動的に結合されてもよい。連続した作動中に、アクチュエータ250が作動されてもよく、ポペット240がその弁座204から適切に変位され、所望の流れを可能にすることができる。例えば、所望の流れを提供するために、主弁ピストン(例えば、以下で論じられるピストンアセンブリ546)を適切に配置する。これは、通常の作動モードとして規定できる。作動が(例えば、外来の異物のデブリによって)中断されるとき、主弁が閉止されることができ、アクチュエータ250が係合されて、ポペット240をその弁座204からさらに(例えば、シャフト260を介して)押し離して、連続した作動に戻る前に(例えば、外来の異物のデブリを取り除くように空間と圧力を作り出すように)流れを増加させることができる。これは、クリーニング作動モードとして規定できる。
【0027】
アクチュエータ250(及び/又は他の構成要素)は、ポペット240を弁座204から移動させて弁200を開弁させ、オフセット距離218によって少なくとも部分的に規定される流れる流体のための空間を作り出し、この作り出される空間は、ポペット240が押される変位距離220(
図4に図示される)によって決まる。ポペット240の動きは、平均的な汚染物質又はありうる最大の汚染物質が通って流れることを可能にするのに十分なオフセット距離218までの一定レベルのクリアランスを提供するように制御されることができる。これに関して、「平均的な汚染物質のサイズ」は、例えば作動環境におけるダスト、炭素、砂、泥、又は他の物質の平均的なサイズ等、弁200の特定の用途における粒子状物質の平均的なサイズとすることができる。これは実験的に決定してもよく、又はアプリケーションプログラムに基づいて見積もられてもよい。
最大の許容される汚染物質のサイズは、座面242の上流の最小のクリアランスのサイズよりも小さい又は等しいサイズであり、最大の許容される汚染物質のサイズは、例えば、弁室214(ポペット240の包含がその中で干渉をもたらすかそうでないか)、入口208、より大きな汚染物質が座面242に到達したり、弁座204から離れてポペット240が詰まって動かなくなるリスクを防ぐであろう他の構成要素、の寸法の大きさによって規定される。いくつかの態様では、ポペット240は、弁座204から
0.0127cm(0.005インチ
)(
図1のようなボール弁によって通常提供されるクリアランス)よりも大きな値までオフセットされる(例えば、オフセット距離218を作り出すために移動される)ように構成できる。
代替の態様又は補足的な態様では、ポペット240は、弁座204からほぼ
0.1016cm(0.04インチ
)又は任意の他の距離までオフセットされるように構成されることができる。いくつかの態様では、変位距離220(及びそれに応じたオフセット距離218)は、アクチュエータ250に基づいて可変とでき、オフセット距離218の増加又は減少を可能にする。
【0028】
特定の態様では、弁200は、センサを含むか、又はセンサと作動的に結合されることができる。一態様では、センサは、ポペット240の位置を測定するための位置センサであり得る。これに関して、位置センサは、ポペット240が閉じられるべきときのポペット240の実際の位置を測定し、その測定位置をポペット240の所望の閉じた位置を示す値と比較することができる。実際の位置が所望の閉じた位置と同じでない場合、又は閾値内にない場合は、センサーとコントローラーを組合せて弁の故障の可能性を判断できる。位置センサーは、容量性トランスデューサー、容量性変位センサー、渦電流センサー、格子センサー、ホール効果センサー、誘導型非接触位置センサー、線形可変差動変圧器(LVDT)、多軸変位トランスデューサー、フォトダイオードアレイ、圧電トランスデューサー(圧電素子)、電位差計、近接センサー(光学式)、ロータリーエンコーダー(角度式)、ストリングポテンショメーター等の1つ又は2つ以上であってもよい。
【0029】
一態様では、センサは、ポペット240の位置を測定するためのフローセンサであってもよい。これに関して、フローセンサは、ポペット240が閉じられるべきときに、ポペット240の実際の流量を測定し、その測定した値をポペット240が所望の閉じられた状態にある流量を示す値と比較することができる。実際の流量がポペットが所望の閉じた状態にあるときの流量と同じでない場合、又は閾値内にない場合は、センサーとコントローラーとを組合わせて、弁の故障の可能性を判断できる。
【0030】
他のタイプのセンサが、アクチュエータ250が押す動作を停止した場合のポペット240の再着座に対する抵抗等の弁の故障を判定するために利用できる。これに応答して、コントローラは、弁200、特にアクチュエータ250を操作して、オフセット距離218を増加又は減少させて、検出された詰まり又は汚染物質を取り除くことができる。一態様では、コントローラは、センサに応答して、クリーニング作動モードで作動できる。このような方法では、通常の作動モードで第1オフセット距離を使用したり、クリーニング作動モード(例えば、デブリ取り除きモード)において第1オフセット距離よりも大きな第2オフセット距離に移行する等、異なる作動モードを用いることができる。
【0031】
図2~
図4におけるような態様は、対称性又は均等性を示唆する2次元の方法で示されているが、ポペット240、弁室214、及び他の構成要素の代替の配置及び形状が、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく用いられることできることが理解される。
【0032】
図5は、本開示の一態様により、抽気がタービンエンジンからサイフォン作用により吸い上げられているタービンエンジンの概略図を示している。これに関して、上記に開示されているポペット弁は、様々な異なるシステム及び技術において用いられることができる。一例を提供するため、
図5は、タービンエンジン302及び流体接続を含むことができるシステム300を示し、このシステム300においてタービンエンジン302からの抽気がサイフォン作用により吸い出されて他の目的のために利用されている。タービンエンジン302は、ターボジェットエンジン、ターボプロップエンジン、ターボシャフトエンジン、プロップファンエンジン、又は当技術分野で知られている他の空気吸入ジェットエンジンであってもよい。空気がファン308でタービンエンジン302に入ると、空気は圧縮機314を通って移動し、圧縮機314で空気は例えば約1250°Fの温度及び約350psiの圧力まで加熱及び加圧された状態となる。圧縮機314を通過する空気の一部は、出口332及び/又は出口334においてサイフォンにより吸い出されることができる。
【0033】
タービンエンジン302は、導管336に沿って第1逆止弁306と流体連通することができる。続いて、圧縮機314からの空気及び/又は導管338によって供給されるファン308からの空気により抽気の一部を冷却するための予冷器304があってもよい。続いて、抽気は、弁システムに入り、弁システムは、圧力に基づいて抽気の流量を規制すると共に、出口316及び/又は出口318においてエンジンカウル、ウイング等の除氷などの他の目的のために抽気を導く。抽気はまた、出口320を通じて供給されてもよい。この抽気は、キャビンの気圧の維持、ウィンドウの除氷、キャビンと荷物室の温度の維持、エジェクターシートの機能の補助、ウインドシールドからの雨水の吹き飛ばし、フラップを風で動かす等にも使用できる。この弁システムは、
図7及び
図8に示されるような単一の弁システム500、又は
図6に示されるような冗長系(二重系)の弁システム400であってもよい。これに関して、本開示では、冗長系の弁システム400のような弁システムについて述べる。しかしながら、本開示は、単一の弁システム500を含む他のタイプの弁システムにおいても同様に適用できる。
【0034】
冗長系の弁システム400は、予冷器304の下流にあるように
図5に示されているが、いくつかの応用では、予冷器304は必須でなくてもよく、冗長系の弁システム400は、タービンエンジン302に直接連結されて、圧縮機314によって加圧された空気をサイフォンにより吸い上げてもよい。
【0035】
システム300は、さらに、エンジンスターター324、高圧遮断弁326、プレクーラーエキゾースト328、及びファン空気弁322を含んでもよい。システム300は、制御モジュール340として実装されるコントローラをさらに含むことができる。
【0036】
制御モジュール340は、温度センサー330からの温度を検知でき、冗長系の弁システム400の多数の領域の圧力を検知でき、冗長系の弁システム400の多数の領域の温度を検知でき、冗長系の弁システム400の構成要素の位置を検知でき、ファン空気弁322を制御でき、高圧遮断弁326を制御できる。制御モジュール340は、冗長系の弁システム400、単一弁システム500、及び/又は代替弁200をさらに制御してもよい。制御モジュール340は、本明細書で規定されているような専用ハードウェアにより実行されてもよく、また、システム構成要素を制御してもよく、及び/又は制御ライン344によりセンサー入力を受信してもよい。制御モジュール340は、冗長系の弁システム400の弁が故障した場合にこれを検知し、さらに冗長系の弁システム400の第2の弁を制御することができる。制御モジュール340は、中央処理装置(CPU)、メモリ、及び通信ユニットを含んでもよい。CPUは、例えば、適切にプログラムされた汎用マイクロプロセッサ、専用マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、プログラム可能マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)等の、既知の又は便利な形式のプロセッサ及び/又はコントローラを含んでもよく、又はそのような装置の2つ又は3つ以上の組合せであってもよい。一態様では、制御モジュール340は、弁200のコントローラの機能を実行できるようにしてもよい。
【0037】
図6は、本開示の一態様による、下流側弁が規制したり開いたりする冗長系の弁システムの断面図を示している。特に、
図6は、冗長系の弁システム400をより詳細に示し、本明細書に開示されるポペット弁のより具体的であるが非限定的な実施例を示している。混乱を避けるために、ポペット弁の構成要素と同様の名前を有する冗長系の弁システムの構成要素は、冗長系の弁システムの構成要素に言及するとき、「システム」の構成要素と称されることがある。同様に、ポペット弁の構成要素は、冗長系の弁システムの図、他の文脈又は他の態様のいずれに含まれているかによらず、「弁」の構成要素と称されることができる。
【0038】
本開示の態様による冗長系の弁システム400においては、弁200は、規制できると共に開くことができる。冗長系の弁システム400は、入口410及び出口426を有するハウジング432を含むことができる。続いて、出口426は、出口316及び/又は出口318に連結できる。ハウジング432の入口410の端部に向けられてその近くに、第1ピストンアセンブリ434が設けられる。第1ピストンアセンブリ434は、ハウジング432の中心線に沿って長手方向に移動できる。第1ピストンアセンブリ434は、第1キャビティ440を有することができ、第1キャビティ440は、出口426と流体連通している。第1キャビティ440は、連結部425、調整器サーボ414、調整器ベローズ412、及び連結部424を介して出口426と流体的に連結されてもよい。第1ピストンアセンブリ434は、また、制御オリフィス430を含むことができ、制御オリフィス430は、第1ピストンアセンブリ434の入口410と第1キャビティ440との間に空気式の連結部を提供する。
【0039】
連結部425に沿って、上流側弁402が設けられてもよい。上流側弁402は、ソレノイド作動弁又は技術的に知られている他の同様の弁であってもよい。上流側弁402は、ボール416がボールキャビティ444内に静止し、連結部425をブロックしないように作動されることができる。上流側弁402は、また、ボール416が連結部425を通って下降移動し、連結部425をブロックして上流側弁402を閉じるように作動されてもよい。
【0040】
代替の態様では、上流側弁402は、
図2に示されるポペット240及び弁座204と同様の構造を有するポペット及び対応する弁座で実施されてもよい。
【0041】
冗長系の弁システム400は、また、冗長系の弁システム400の出口426の端部に向けられてその近くに第2ピストンアセンブリ446を含むことができる。第2ピストンアセンブリ446は、ハウジング432の中心線に沿って長手方向に移動できる。第2ピストンアセンブリ446は、入口オリフィス408を通して抽気の流れを受け入れることができる。第2ピストンアセンブリ446は、第2キャビティ452ならびに内面448及び外面450を有することができる。第2キャビティ452は、連結部454を介してベント212と流体連通している。ベント212は、大気圧状態にベントを行う。ベント212は、弁200によって制御されてもよい。
【0042】
弁200が、冗長系の弁システム400を通る抽気を調整するために使用されない場合、ポペット240は、第2キャビティ452からベント212への連通部分を遮断する。弁200が作動している場合、ポペット240は弁200によって作動され、ポペット240を延伸させ、第2キャビティ452を連結部454を介してベント212までベントさせる。ポペット240は、デブリ又は汚染物がポペット240及びベント212から離れて吹き飛ぶのを可能にするのに十分な量だけ弁座から変位でき、それにより、作動中にポペット240を動かなくさせる干渉を防ぐことができる。いくつかの態様では、ポペット240は、弁座から0.0127cm(0.005インチ)より大きなオフセット距離まで変位できる。代替の又は補足的な態様においては、関連する弁座からのポペット240のオフセット距離は、約0.1016cm(0.04インチ)とできる。代替又は補足的な態様では、ポペット240のオフセット距離は、ポペット240と作動的に結合されたアクチュエータの作動又はこのアクチュエータへの信号に応じて可変とできる。
【0043】
通常の作動下では、弁200は、冗長系の弁システム400を通る抽気の流れを遮断するか又は他の方法で制御するために使用されることができる。冗長系の弁システム400は、入口410で調整されていない抽気を受け入れ、出口426で調整された抽気の流れを供給できる。抽気の流れを遮断するか又は他の方法で制御するために弁200が使用される場合、上流側弁402は、ボール416がボールキャビティ444内に静止するように作動される。入口で受け入れられた抽気は、一般的には、例えば約350psiの圧力で約1250°Fの温度を有することができる。抽気が入口410から入るとき、抽気は制御オリフィス430を通って流れる。抽気からの圧力は、第1ピストンアセンブリ434の第1面436及び第2面438に作用する。
【0044】
ボール416が連結部425をブロックしないように、上流側弁402が作動される場合、連結部425、調整器サーボ414、調整器ベローズ412、及び連結部424を介して入口410と出口426との間に流体連通がなされる。出口426は入口410よりも低圧であるため、第1面436上の圧力は、第2面438上且つ第1ピストンアセンブリ434の第1キャビティ440の内側の圧力よりも大きくなり得る。この圧力の差により、第1ピストンアセンブリ434は、冗長系の弁システム400の出口426に向かって作動され、通路442を作り出す。抽気は、入口410を通り、通路442を通って第2ピストンアセンブリ446に向かって流れることができる。
【0045】
抽気を出口426から排出させることが望まれる場合、ポペット240がベント212をブロックするように弁200が作動される。そうでなければ抽気は大気圧状態まで排出されるであろう。連結部454を介する第2キャビティ452とベント212との間の流体連通は、閉鎖される。入口410からの抽気は、入口オリフィス408を通って第2のピストンアセンブリ446の第2キャビティ452内に流入する。内面448への圧力は、外面450への圧力よりも大きく、第2のピストンアセンブリ446を出口426に向けて作動させる。これにより、エントランス462に抽気用の通路が作られる。これにより、抽気が通路460を通り、エントランス462を通って流れ、出口426から外に出ることが可能となる。
【0046】
入口410と出口426との間の流体連通はまた、冗長系の弁システム400を通る抽気の流れを制御するためのフィードバック機構として作動することができる。これは、第2のピストンアセンブリ446が開いた状態でロックされている場合、又は仮に通路460を通る空気の流れをリリーフ弁406によって設定されたリリーフ圧力より下に規制することができない場合、に望ましい場合がある。冗長系の弁システム400から流出する抽気の流れが増加する場合、出口426での圧力も増加する。連結部424及び425は、第1キャビティ440へのフィードバック通路を作り出している。出口426での圧力の増加は、第1キャビティ440内側の圧力を増加させ、第1ピストンアセンブリ434の第2面438上に進行を遅らせる力(抑制力)を生成する。第1ピストンアセンブリ434は、入口に向かって作動され、通路442を通る抽気の流れを制限することができる。
【0047】
調整器サーボ414及び調整器ベローズ412は、また、第1キャビティ440内のフィードバック圧力を制御するために使用されてもよい。調整器サーボ414は、制御モジュール340から調整器ベローズ412を作動させるためのアナログ又はデジタル入力信号を受信する電気流体サーボ弁であり得る。調整器ベローズ412は、出口426から連結部424及び425を介してフィードバック圧力を調整する際に調整器サーボ414を制御するために使用されてもよい。調整器ベローズ412は、冗長系の弁システム400を通る抽気の所望の流れに応じて、出口426からのフィードバック圧力を減少又は増加させるように作動されることができる。
【0048】
弁200が抽気の流れを緩和するように使用され、出口426を通る抽気の流れを止めることが望まれるとき、ポペット240が弁200に向けて作動され、第2キャビティ452とベント212との間の流体連通を開くように、弁200が作動される。ベント212は大気圧に排出するので、第2キャビティ452の内部の圧力は、出口426の圧力よりも低くなる。第2ピストンアセンブリ446の外面450への圧力は、第2のピストンアセンブリ446の内面448への圧力よりも大きくなる。第2のピストンアセンブリ446は、冗長系の弁システム400の入口410の端部に向かって作動される。これにより、エントランス462が閉止され、第2ピストンアセンブリ446を通過する抽気の流れが規制される。
【0049】
先のいくつかの設計では、第1キャビティ440と、第1ピストンアセンブリ434と第2ピストンアセンブリ446との間のハウジング432に沿ったポイントとの間に流体連通があった。この状況では、第1キャビティ440へのフィードバック抽気の圧力は比較的高くなる。これにより、第1ピストンアセンブリ434を閉止させ、入口410における抽気の流れを停止させる。次に、これにより、流体接続ポイントにおける圧力を低下させることとなり、第1ピストンアセンブリ434を再び開くようにさせることとなる。このプロセスは、第1ピストンアセンブリ434の開放/閉止において振動を引き起こすことを繰り返させ、このような振動が、システムに余分な摩耗や摩滅を不必要にもたらすこととなる。連結部424及び425を介して出口426との流体連通を確立することにより、出口426の圧力は、入口410における圧力よりも著しく低いままとなる。これにより、第1キャビティ440内の圧力により第1ピストンアセンブリ434が不必要に開いたり閉じたりすることを防止する。
【0050】
第2のピストンアセンブリ446が故障した事象においては、第2のピストンアセンブリ446は開いた状態とならなくなる。通路460は、第2ピストンアセンブリ446を通過する抽気の流れを可能にできる。第1キャビティ440と出口426との間の流体連通のため、第1キャビティ440内の圧力は、入口410での圧力と比較して低くなる。第1面436への圧力は、第2の面438への圧力よりも大きく、これにより、第1ピストンアセンブリ434を開位置へと作動させる。これにより、抽気を通路442を通って流すことが可能になる。抽気は、通路460を通って第2のピストンアセンブリ446を通り越し、出口426から出続ける。
【0051】
出口426から流出する抽気の流れを規制することが望ましい場合、上流側弁402が作動され、ボール416により連結部425をブロックさせることができる。連結部425をブロックすることにより、第1キャビティ440と出口426との間の流体連通を閉止することができる。ここで、抽気が入口410から制御オリフィス430を通って第1キャビティ440内に流入する場合、第1キャビティ440内部の圧力は、入口410における圧力とおおよそ同等になる。第1面436に対する圧力は、第2面438に対する圧力におおよそ等しい。第2面438のより大きな表面積のために、第1ピストンアセンブリ434は、入口に向かって作動でき、通路442をシール(密封)できる。通路442をシールすることにより、入口410から冗長系の弁システム400を通る抽気の流れが停止される。
【0052】
図7は、本開示による単一の弁システムの断面図を示す。
図8は、
図7の単一弁システムの斜視図を示している。特に、
図7は、本開示による例示的な単一弁システム500を示している。弁システム500は、弁200と作動的に結合されたピストンアセンブリ546を含んでいる。ピストンアセンブリ546は、ハウジング532の一端部に入口510を含み、反対側の端部に出口526を含む。ピストンアセンブリ546は、通路560及びエントランス562に隣接するキャビティ552の境界を定める内面548及び内面550を有する。キャビティ552は、その反対側において、入口オリフィス508と作動的に結合されている。連結部554は、キャビティ552を、ポペット240及びベント212を含む弁200に連結させる。
図7に関して説明された上記の構造のすべては、
図6に関して上述された明細書の記載に関連する関連構造と一貫する方法で作動させてもよい。
【0053】
従って、遮断に対して抵抗性があるが、コンパクト且つ軽量であり、単一弁システム、冗長系の弁システム、及び他の応用用途で利用できる、圧力調整弁システムが開示されている。圧力調整弁システムによって制御された抽気は、カウルの除氷、キャビンの気圧の維持、ウィンドウの除氷、キャビンと荷物室の温度の維持、エジェクターシートの機能の補助、吹き出しフラップ用の空気の供給、ウインドシールドのブロー機構用の空気の供給等に使用できる。開示された弁は、動作の信頼性が高く、軽量で、コンパクトなサイズである。これらの弁は、弁を作動させるためのエネルギーを供給するためにシステム自身の内部で生成された圧力を使用することにより、自己に動力供給できる。
【0054】
さらに、本開示の様々な態様によれば、本明細書で記載されている方法は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、PC、半導体、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ、クラウドコンピューティングデバイス、及び本明細書で記載された方法を実行するように構成された他のハードウェアデバイス、を含むがこれらに限定されない特定用途ハードウェアの実施による作動を想定している。
【0055】
上述のシステムに加えて、弁を操作するための方法等、様々な方法が本明細書において開示されている。一態様では、方法は、弁座、ポペット、及びアクチュエータを含む弁を提供するステップを備えることができる。弁座は、弁の入口と出口との間に配置されることができ、弁座は、座開口寸法によって規定される座開口を有することができる。弁座は弁に対して固定される。ポペットは、弁座に対向する座面と出口端部に対向する出口面を含み、座面は、入口端部に向かって配置された座開口部寸法よりも大きいポペット大寸法から、出口端部に向かって配置された座開口寸法より小さいポペット小寸法に向けて先細となっている。ポペットは、弁ハウジングに対して移動可能であり、アクチュエータは、ポペットと作動可能に連結されている。いったんこの構造又は類似の構造が提供されると、方法は、さらに、開き動作中にポペットの座面を弁座から少なくともオフセット距離だけ移動させることによって弁を開くようにアクチュエータを付勢させることを含む。いくつかの態様では、方法は、閉じ動作中にポペットの座面を少なくともオフセット距離だけ弁座に戻させることにより、弁を閉じるアクチュエータへの付勢を解消させることをさらに備えることができる。代替又は補足的な態様は、アクチュエータとポペットとの間にプローブを提供することを含んでもよい。
【0056】
本開示の多くの特徴及び利点は詳細な説明から明らかであり、したがって、本開示の真の精神及び範囲に含まれる本開示の全てのこのような特徴及び利点は、特許請求の範囲によってカバーされる。さらに、本開示には、本譲受人に譲渡された2016年2月12日に出願された米国特許出願第15/042,644号の全体が援用により組み込まれている。さらに、多数の修正及び変形が当業者には容易に思い浮かぶため、本開示を図示及び記載されたまさにその構造及び動作に限定することは望ましくなく、したがって、すべての適切な修正及び均等物が、本開示の範囲内にあるものとして参照されることができる。