(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】偏向可能な医療用プローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2020556352
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2018060307
(87)【国際公開番号】W WO2019135138
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2018-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表平05-507212(JP,A)
【文献】特表平10-500334(JP,A)
【文献】特開2013-244413(JP,A)
【文献】米国特許第05242441(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/005 - A61B 1/01
A61B 18/14
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブであって、
患者身体内でのナビゲーションのためのシャフトであって、前記シャフトは、可撓性区分及びバネで終端し、これに剛性遠位先端が続き、前記剛性遠位先端は、前記剛性遠位先端に連結された1つ以上の医療用装置を有する、シャフトと、
前記可撓性区分を前記シャフトに対して偏向させるように構成されている、第1の偏向機構
であって、
前記可撓性区分に連結された1つ以上のワイヤを含む、第1の偏向機構と、
前記バネを使用することによって、前記
剛性遠位先端を前
記可撓性区分に対して偏向させるように構成されている、第2の偏向機構と、を備え、
前記可撓性区分、前記バネ、及び、前記剛性遠位先端は、遠位端アセンブリを形成し、
前記バネは、前記遠位端アセンブリの長手軸に沿って、前記バネの遠位端で前記剛性遠位先端に結合され、前記バネの近位端で前記可撓性区分に結合される、医療用プローブ。
【請求項2】
前記患者身体の外部にある装置を備え、前記ワイヤは、前記可撓性区分と前記装置との間に延び、前記装置は、前記ワイヤのうちの少なくとも1つに力を加えることによって、前記可撓性区分を前記シャフトに対して偏向させるように構成されている、請求項
1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
前記力は、引っ張り力を含む、請求項
2に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
前記第2の偏向機構は、前記
剛性遠位先端に連結された1つ以上の他のワイヤを含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
前記患者身体の外部にある装置を備え、前記他のワイヤは、前記
剛性遠位先端と前記装置との間に延び、前記装置は、前記他のワイヤのうちの少なくとも1つに力を加えることによって、前記
剛性遠位先端を前記可撓性区分に対して偏向させるように構成されている、請求項
4に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
前記力は、引っ張り力を含む、請求項
5に記載の医療用プローブ。
【請求項7】
ハンドルを備え、前記ハンドルは、前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構のうちの少なくとも1つに連結され、前記ハンドルは、前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構のうちの1つ以上をそれぞれ使用して、前記
剛性遠位先端及び前記可撓性区分のうちの少なくとも1つを偏向させるように構成されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項8】
医療用プローブを製造するための方法であって、前記方法は、
シャフトを組み立てることであって、前記シャフトは、可撓性区分及びバネで終端し、これに剛性遠位先端が続き、前記剛性遠位先端は、前記剛性遠位先端に連結された1つ以上の医療用装置を有
し、
前記可撓性区分、前記バネ、及び、前記剛性遠位先端は、遠位端アセンブリを形成し、前記バネは、前記遠位端アセンブリの長手軸に沿って、前記バネの遠位端で前記剛性遠位先端に結合され、前記バネの近位端で前記可撓性区分に結合されることと、
前記医療用プローブに、第1の偏向機構及び第2の偏向機構を接続することであって、前記第1の偏向機構は、前記可撓性区分を前記シャフトに対して偏向させ、前記第2の偏向機構は、前記
剛性遠位先端を前
記可撓性区分に対して偏向させる、ことと、を含
み、
前記第1の偏向機構は、前記可撓性区分に連結された1つ以上のワイヤを含む、方法。
【請求項9】
前記医療用プローブに、前記可撓性区分を前記シャフトに対して偏向させるための装置を連結することと、前記可撓性区分と前記装置との間に前記ワイヤを延ばすことと、を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の偏向機構は、前記
剛性遠位先端に連結された1つ以上の他のワイヤを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記医療用プローブに、前記
剛性遠位先端を前記可撓性区分に対して偏向させるための装置を連結することと、前記
剛性遠位先端と前記装置との間に前記他のワイヤを延ばすことと、を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構のうちの1つ以上をそれぞれ使用して、前記
剛性遠位先端及び前記可撓性区分のうちの少なくとも1つを偏向させるために、前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構のうちの少なくとも1つにハンドルを連結することを含む、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に医療用プローブに関し、特に、医療用プローブ遠位先端を偏向させるための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
偏向可能なカテーテルなどの医療用プローブは、いくつかの医療用途で使用される。様々な種類の偏向可能なカテーテルは、当該技術分野で周知である。
【0003】
例えば、米国特許第5,431,168号は、細長いカテーテル本体と、先端部分と、を備える操舵可能なカテーテルを記載している。第1の内腔及び第2の内腔は、カテーテル本体及び先端部分を通って延びる。第1の内腔は、カテーテルの遠位先端で開口している。第2の内腔は、軸外にある。
【0004】
米国特許第5,242,441号は、心室(ventridular)心腔をナビゲートかつ探査するために特に適合された高度に可撓性の管状遠位セグメントを有する心不整脈アブレーションカテーテルを記載している。
【0005】
米国特許出願公開第2002/0077590号は、カテーテル本体と、先端区分と、先端区分の偏向に作用するための制御ハンドルと、を備える偏向可能なカテーテルを記載している。先端区分は、近位端部及び遠位先端を有する可撓性導管と、可撓性導管を通って延びる少なくとも2つの内腔と、を備える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載されている本発明の一実施形態は、患者身体内でのナビゲーションのためのシャフトと、第1の偏向機構及び第2の偏向機構と、を含む医療用プローブを提供する。シャフトは、可撓性区分及びバネで終端し、これに剛性遠位先端が続き、剛性遠位先端は、可撓性区分及びバネに連結された1つ以上の医療用装置を有する。第1の偏向機構は、可撓性区分をシャフトに対して偏向させるように構成されている。第2の偏向機構は、バネを使用することによって、遠位先端を第1の可撓性区分に対して偏向させるように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の偏向機構は、可撓性区分に連結された1つ以上のワイヤを含む。他の実施形態では、医療用プローブは、患者身体の外部にある装置を含み、ワイヤは、可撓性区分と装置との間に延び、装置は、ワイヤのうちの少なくとも1つに力を加えることによって、可撓性区分をシャフトに対して偏向させるように構成されている。更に他の実施形態では、力は、引っ張り力を含む。
【0008】
一実施形態では、第2の偏向機構は、遠位先端に連結された1つ以上の他のワイヤを含む。別の実施形態では、医療用プローブは、患者身体の外部にある装置を含み、他のワイヤは、遠位先端と装置との間に延び、装置は、他のワイヤのうちの少なくとも1つに力を加えることによって、遠位先端を可撓性区分に対して偏向させるように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、力は、引っ張り力を含む。他の実施形態では、医療用プローブは、第1の偏向機構及び第2の偏向機構のうちの少なくとも1つに連結され、第1の偏向機構及び第2の偏向機構のうちの1つ以上をそれぞれ使用して、遠位先端及び可撓性区分のうちの少なくとも1つを偏向させるように構成されている、ハンドルを含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、医療用プローブを製造するための方法が追加的に提供され、本方法は、可撓性区分及びバネで終端し、これに剛性遠位先端が続き、剛性遠位先端に連結された1つ以上の医療装置を有するシャフトを組み立てることを含む。第1の偏向機構及び第2の偏向機構は、医療用プローブに接続され、第1の偏向機構は、可撓性区分をシャフトに対して偏向させ、第2の偏向機構は、遠位先端を第1の可撓性区分に対して偏向させる。
【0011】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による、カテーテル法システムの概略描画図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、カテーテルの偏向可能な遠位先端アセンブリの概略描画図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概論
心臓電気生理学(EP)及び副鼻腔形成術などのいくつかの医療処置は、患者の器官内の標的位置に医療用プローブをナビゲートすることを伴ってもよい。症例によっては、処置を実行する医師は、問題の器官内へプローブをナビゲートし、標的位置にプローブをセッティングする際の課題に直面する場合がある。例えば、カテーテルを患者身体内に押し込むと、器官組織への損傷を引き起こすおそれがある。更に、いくつかの処置では、プローブを所望の角度から接近させ、プローブと組織との間の適切な物理的接触を標的位置で行うことが重要である。
【0014】
本発明の実施形態は、プローブの長手方向軸線に沿って連結された複数の偏向可能な区分を備える可撓性遠位先端アセンブリを有する医療用プローブを提供することによって、これらの課題に対処し、それぞれの区分は、異なる偏向機構を使用して、他の区分とは独立して偏向するように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、プローブは、遠位先端の外側表面に連結された、検出電極などの1つ以上の医療用装置を有する剛性遠位先端を備える。一実施形態では、遠位先端は、電極に連結されたリード線の通過を可能にするように、中空プロファイルを有してもよい。リード線は、電極とプローブの近位端部に連結されたコンピュータとの間で電気信号を伝導するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、プローブは、患者身体内でプローブをナビゲートするためのシャフトを備える。シャフトは、中空可撓性区分及びバネで終端し、これに遠位先端が続く。可撓性区分は、例えば、プローブの近位端部に位置するマニピュレータ装置を使用して、可撓性区分に加えられる曲げ力に応答していくらかのたわみを可能にする、ある程度の固有の可撓性を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、バネは、医療用プローブの長手方向軸線に沿って遠位先端と可撓性区分との間を接続する。可撓性区分に加えられる曲げ力に応答して、バネは、遠位先端をプローブの可撓性区分に対して偏向させるように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、医療用プローブは、それぞれ対応する連結位置において、中空遠位先端及び可撓性区分の内側表面に連結された1つ以上の引っ張りワイヤを備える。引っ張りワイヤは、医師によって引っ張られると、シャフトに対する可撓性区分の偏向及び可撓性区分に対する遠位先端の偏向を誘発する曲げ力を加えるように適合されている。医師は、引っ張りワイヤのそれぞれに加えられる引っ張り力を制御することによって、偏向の程度を制御してもよい。
【0019】
典型的には、遠位先端は、1つ以上の引っ張りワイヤの1つのセットに連結され、可撓性区分は、1つ以上の引っ張りワイヤの別のセットに連結されるため、遠位先端及び可撓性区分は、互いに独立して偏向することができることに留意されたい。
【0020】
いくつかの実施形態では、引っ張りワイヤは、単一のマニピュレータ装置を使用して遠位先端及び可撓性区分に生じる偏向のレベルを制御するように、医療用装置の近位端部に連結されている、本明細書ではハンドルとも称するマニピュレータ装置に連結されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、プローブは、遠位先端及び可撓性区分の偏向の角度及びレベルを制御するように、任意の好適な構成で内側表面に連結された任意の好適な数の引っ張りワイヤを備えてもよい。
【0022】
開示される技術は、遠位先端アセンブリの改善された可撓性、及びプローブの長手方向軸線に沿った複数の区分の独立操作を可能にすることによって、医療用カテーテルの操作性及び機能性を高める。
【0023】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、カテーテル法システム20の概略描写図である。システム20は、本実施例では心カテーテル22であるプローブと、制御コンソール24と、を含む。
【0024】
本明細書に記載される実施形態では、カテーテル22は、電位信号を検出するため、又は患者28の心臓26内の組織をアブレーションするためなど、任意の好適な治療目的及び/又は診断目的で使用されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、コンソール24は、カテーテル22からの信号を受信するのに好適であり、かつ本明細書に記載のシステム20の他の構成要素を制御するのに好適である、フロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ34を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、コンソール24は、メモリ48と、患者28の心臓26の少なくとも一部の画像44などのデータを表示するように構成されているディスプレイ46と、を更に含む。いくつかの実施形態では、画像44は、コンピュータ断層撮影(CT)又はX線透視撮像などの任意の好適な解剖学的撮像システムを使用して取得されてもよい。
【0027】
医師30は、テーブル29上に横たわった患者28の脈管系を通してカテーテル22を挿入する。
【0028】
ここで、挿入
図38を参照する。いくつかの実施形態では、カテーテル22は、患者身体内でカテーテルをナビゲートするためのシャフト23を備える。いくつかの実施形態では、シャフト23又はカテーテル22の任意の他の好適な構成要素は、以下の
図2に詳細に示される遠位先端アセンブリ40に連結されている。医師30は、カテーテル22の近位端部付近に連結されたマニピュレータ32を使用してカテーテル22のシャフト23を操作することによって、心臓26内の標的領域の近傍にアセンブリ40を移動させる。カテーテル22の近位端部は、プロセッサ34のインターフェース回路に接続されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、心臓腔内の遠位先端アセンブリ40の位置は、典型的には、位置検出技術を使用して測定される。この位置検出方法は、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)が製造するCARTO(商標)システムにおいて実現されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、それらの開示は全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
いくつかの実施形態では、コンソール24は、患者28の外側の既知の位置、例えば、患者の胴体の下方に配置された磁場発生器36を駆動する、駆動回路42を更に含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、本明細書に記載される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替的に若しくは付加的に、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供及び/若しくは記憶されてもよい。
【0032】
医療用プローブの遠位先端アセンブリの偏向
図2は、本発明の一実施形態による、遠位先端アセンブリ40の概略描画図である。いくつかの実施形態では、遠位先端アセンブリ40は、金属又はプラスチックなどの任意の好適な剛性材料から作製された剛性遠位先端50を備える。
【0033】
いくつかの実施形態では、遠位先端50は、遠位先端50の外側表面に連結され、カテーテル22を介して、コンソール24と心臓26の組織との間で電気信号を交換するように構成された1つ以上の電極(図示せず)を備える。電極は、心臓26からの信号を検出するために、及び/又は心臓26の組織をアブレーションするためのアブレーション信号を印加するために使用されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、遠位先端50は、コンソール24と電極との間で電気信号を伝導するように構成された電気リード線の通過を可能にするように、中空であってもよい。他の実施形態では、遠位先端50は、可撓性基板、例えば、可撓性プリント回路基板(PCB)を含んでもよく、先端50の中実プロファイルの周りに巻き付けられてもよい。これらの実施形態では、PCBは、PCB上に形成されたリード線、並びにPCB上に形成された、かつ/又は取り付けられた電極を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、遠位先端50は、
図2に示すような管状形状、又はバルーン形状、ラッソーカテーテル、若しくはバスケットカテーテルなどの任意の他の好適な形状を有してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、遠位先端アセンブリ40は、中空可撓性区分66を備え、中空可撓性区分66は、以下で説明するように、アセンブリ40の長手方向軸線55に沿ってカテーテル22のシャフト23に連結され、曲げ力に応答してシャフト23に対して偏向するように構成されている。非偏向位置では(例えば、アセンブリ40が患者28の身体内に挿入されるとき)、可撓性区分66は、典型的には、遠位先端50と整列され、長手方向軸線55に沿ってシャフト23と整列されることに留意されたい。
【0037】
いくつかの実施形態では、遠位先端アセンブリ40は、バネ60を備え、バネ60は、長手方向軸線55に沿って、バネの一方の端部において遠位先端50に連結され、バネの反対側の端部で可撓性区分66に連結されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、バネ60は、可撓性区分66に対する遠位先端50の偏向を可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、可撓性区分66及びバネ60は、カテーテル22と遠位先端50との間の電気リード線の通過を可能にするように中空である。
【0039】
いくつかの実施形態では、遠位先端アセンブリ40は、一対の引っ張りワイヤ53及び54、並びに一対の引っ張りワイヤ63及び64を備える。それぞれの対は、典型的には独立した偏向機構として機能する。これらの実施形態では、ワイヤ53及び54は、遠位先端50を可撓性区分66に対して偏向させるように適合されることにより、一方の偏向機構として機能するが、ワイヤ63及び64は、可撓性区分66をシャフト23に対して偏向させるように適合されることにより、異なる偏向機構として機能する。
図2の実施例では、ワイヤ53及び63は、アセンブリ40の内側表面の一方の区分(本明細書では「右側区分」と称する)に連結され、ワイヤ54及び64は、アセンブリ40の内側表面の反対側の区分(本明細書では「左側区分」と称する)に連結されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、システム20は、ワイヤ53、54、63及び64を引っ張るために、一緒に又は別個にそれぞれ連結されている、1つ以上の機械式制御アセンブリ及び/又は電気式制御アセンブリ(図示せず)を備えてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、制御アセンブリは、2つの別個の制御ノブ、例えば、遠位先端50用の一方、及び可撓性区分66用の他方として、マニピュレータ32に連結されてもよい。これらの実施形態では、医師30は、制御ノブを使用して、遠位先端50及び可撓性区分66の偏向のそれぞれの方向及びレベルを制御してもよい。他の実施形態では、マニピュレータ32は、制御機構の任意の他の好適な構成を備えてもよい。追加的に又は代替的に、制御アセンブリは、例えば、制御コンソール24内のプロセッサ34によって実行される好適なソフトウェアを使用して制御されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、ワイヤ53は、連結点51において遠位先端50の右側区分の内側表面に連結される。同様に、ワイヤ54は、連結点51に面する連結点52において遠位先端50の左側区分の内側表面に連結される。
【0043】
いくつかの実施形態では、医師30は、ワイヤ53及び54の中から選択されたワイヤを引っ張ることによって遠位先端50を所望の側に偏向させることができる。
図2の実施例では、医師30は、それぞれ対応する制御ノブを適用してワイヤ53を引っ張り、遠位先端50に曲げ力を加えることにより、アセンブリ40を所望の空間角度に偏向させる。
【0044】
ここで、遠位先端50の断面上面
図AAを示す挿入
図58を参照する。
【0045】
図2の構成では、遠位先端50は、矢印59A及び59Bの方向によって示される2次元で偏向可能である。いくつかの実施形態では、医師30は、矢印69によって示される、軸線55を中心に遠位先端アセンブリ40を回転させることと、ワイヤ53又は54を引っ張ることと、の両方を含む組み合わせ操作によって、アセンブリ40を軸線55に対して他の方向に偏向させてもよい。
【0046】
他の実施形態では、アセンブリ40は、先端50の内側表面にそれぞれ対応する位置で連結された任意の追加のワイヤを備えてもよい。例えば、遠位先端アセンブリ40は、連結点56及び57において遠位先端50の内側表面に連結された2本の追加の引っ張りワイヤ(図示せず)を備えることにより、それぞれ対応する矢印67A及び67Bによって示される方向への偏向を可能にしてもよい。
【0047】
この構成では、医師30は、例えば、矢印59A及び67Bによって示される力のベクトルの合計である矢印68によって示される異なる方向に遠位先端を偏向させるように、連結点52及び57において遠位先端50に連結された2つ以上のワイヤを引っ張ってもよい。
【0048】
代替的な実施形態では、任意の他の好適な数のワイヤが、任意の好適な構成で遠位先端50の内側表面に連結されてもよい。例えば、プローブは、単一の引っ張りワイヤと、軸線55を中心とする回転機能と、を備えてもよい。引っ張りワイヤは、同じ断面スライス(例えば、切断面AA)で、又はアセンブリ40の遠位縁部から異なる距離で連結されてもよいことに留意されたい。
【0049】
いくつかの実施形態では、遠位先端アセンブリ40は、それぞれ対応する連結点61及び62において可撓性区分66に連結されたワイヤ63及び64などの追加の引っ張りワイヤを更に備える。ワイヤ63又は64を引っ張ることにより、医師は、矢印59B及び59Aによってそれぞれ示される方向に可撓性区分66を偏向させることができる。
【0050】
可撓性区分66は、典型的には、可撓性区分66の偏向レベルが遠位先端50の偏向レベルと比較してより低くなるように、バネ60よりも可撓性が低いことに留意されたい。
【0051】
他の実施形態では、ワイヤ63及び64の代わりに又はそれに加えて、任意の好適な数の引っ張りワイヤが、可撓性区分66の内側表面に、任意の他の好適な位置及び角度で連結されてもよい。
【0052】
代替的な実施形態では、ワイヤ53及び54並びにワイヤ63及び64は、それぞれ遠位先端50及び可撓性区分66の外側表面に、又は任意の他の好適な位置で連結されてもよい。
【0053】
他の実施形態では、遠位先端アセンブリ40は、引っ張りワイヤのうちのいくつかに加えて又はその代わりに、1つ以上の剛性ワイヤを備えてもよい。剛性ワイヤは、例えば、上記の引っ張り力の代わりに又はそれに加えて、押す力を加えることによって、遠位先端50を可撓性区分66に対して偏向させ、可撓性区分66をシャフト23に対して偏向させるために使用されてもよい。
【0054】
図2に示したアセンブリ40の構成は、概念を明確化する目的でのみ選ばれた構成の一例である。代替的な実施形態では、任意の他の好適な構成もまた用いることができる。
【0055】
例えば、アセンブリ40は、任意の好適な構成でカテーテル22の長手方向軸線に沿って連結された、遠位先端50及び可撓性区分66などの任意の好適な数の区分を備えてもよい。区分は、任意の好適な可撓性度を有する、任意の好適な数及び種類の可撓性要素を使用して互いに結合されてもよい。
【0056】
本明細書に記述される実施形態は主として心臓での処置に関するものであるが、本明細書に記載される方法及びシステムはまた、例えば、副鼻腔形成術、手術、内視鏡、耳鼻咽喉学及び神経学などの他の用途で用いることもできる。
【0057】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部と見なすものとする。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
患者身体内でのナビゲーションのためのシャフトであって、前記シャフトは、可撓性区分及びバネで終端し、これに剛性遠位先端が続き、前記剛性遠位先端は、前記剛性遠位先端に連結された1つ以上の医療用装置を有する、シャフトと、
前記可撓性区分を前記シャフトに対して偏向させるように構成されている、第1の偏向機構と、
前記バネを使用することによって、前記遠位先端を前記第1の可撓性区分に対して偏向させるように構成されている、第2の偏向機構と、を備える、医療用プローブ。
(2) 前記第1の偏向機構は、前記可撓性区分に連結された1つ以上のワイヤを含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記患者身体の外部にある装置を備え、前記ワイヤは、前記可撓性区分と前記装置との間に延び、前記装置は、前記ワイヤのうちの少なくとも1つに力を加えることによって、前記可撓性区分を前記シャフトに対して偏向させるように構成されている、実施態様2に記載の医療用プローブ。
(4) 前記力は、引っ張り力を含む、実施態様3に記載の医療用プローブ。
(5) 前記第2の偏向機構は、前記遠位先端に連結された1つ以上の他のワイヤを含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0059】
(6) 前記患者身体の外部にある装置を備え、前記他のワイヤは、前記遠位先端と前記装置との間に延び、前記装置は、前記他のワイヤのうちの少なくとも1つに力を加えることによって、前記遠位先端を前記可撓性区分に対して偏向させるように構成されている、実施態様5に記載の医療用プローブ。
(7) 前記力は、引っ張り力を含む、実施態様6に記載の医療用プローブ。
(8) ハンドルを備え、前記ハンドルは、前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構のうちの少なくとも1つに連結され、前記ハンドルは、前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構のうちの1つ以上をそれぞれ使用して、前記遠位先端及び前記可撓性区分のうちの少なくとも1つを偏向させるように構成されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(9) 医療用プローブを製造するための方法であって、前記方法は、
シャフトを組み立てることであって、前記シャフトは、可撓性区分及びバネで終端し、これに剛性遠位先端が続き、前記剛性遠位先端は、前記剛性遠位先端に連結された1つ以上の医療用装置を有する、ことと、
前記医療用プローブに、第1の偏向機構及び第2の偏向機構を接続することであって、前記第1の偏向機構は、前記可撓性区分を前記シャフトに対して偏向させ、前記第2の偏向機構は、前記遠位先端を前記第1の可撓性区分に対して偏向させる、ことと、を含む、方法。
(10) 前記第1の偏向機構は、前記可撓性区分に連結された1つ以上のワイヤを含む、実施態様9に記載の方法。
【0060】
(11) 前記医療用プローブに、前記可撓性区分を前記シャフトに対して偏向させるための装置を連結することと、前記可撓性区分と前記装置との間に前記ワイヤを延ばすことと、を含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記第2の偏向機構は、前記遠位先端に連結された1つ以上の他のワイヤを含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記医療用プローブに、前記遠位先端を前記可撓性区分に対して偏向させるための装置を連結することと、前記遠位先端と前記装置との間に前記他のワイヤを延ばすことと、を含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構のうちの1つ以上をそれぞれ使用して、前記遠位先端及び前記可撓性区分のうちの少なくとも1つを偏向させるために、前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構のうちの少なくとも1つにハンドルを連結することを含む、実施態様9に記載の方法。