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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】昇降支柱用のスライダー装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 9/20 20060101AFI20230807BHJP
   A47B 9/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A47B9/20
A47B9/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020560437
(86)(22)【出願日】2019-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 DK2019000153
(87)【国際公開番号】W WO2019210917
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】PA201800193
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】594167956
【氏名又は名称】リナック エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ランドロフ、ミカエル リンデキルデ
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01250866(EP,A1)
【文献】米国特許第05022768(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02372172(EP,A1)
【文献】特開2008-029562(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00913108(EP,A1)
【文献】米国特許第09629452(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 9/20
A47B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに入れ子式に配置された第1形材(10)及び第2形材(11)を有する昇降支柱に用いられるとともに、前記両形材の間に少なくとも1つのスライダーが配置されたスライダー装置であって、第1スライダー(2)及び第2スライダー(3)を有しており、両部材の間に破断用ライン(4)が形成されていることを特徴とするスライダー装置(1)。
【請求項2】
前記第1及び第2のスライダー(2、3)は、互いに連続配置されているとともに、前記破断用ライン(4)は、両スライダー(2、3)における互いに隣接する端部間に位置することを特徴とする、請求項1に記載のスライダー装置。
【請求項3】
前記破断用ライン(4)は、一方のスライダー(2)の端部に形成されたピン状部を、他方のスライダー(3)の端部に形成された2つのピン状部の間に配置し、これらのピン状部をストリングで繋いで構成されることを特徴とする、請求項2に記載のスライダー装置。
【請求項4】
各スライダー(2、3)は、摺動面(7)を有する隆起部(6)が形成されたベース部材(5)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のスライダー装置。
【請求項5】
前記第1スライダー(2)は、前記ベース部材(5)の外面から外方に所与の角度で突出する舌片である少なくとも1つの弾性要素(8)を各側に有することを特徴とする、請求項に記載のスライダー装置。
【請求項6】
前記第2スライダー(3)は、前記ベース部材(5)の内面に少なくとも1つのスタッド(9)を有することを特徴とする、請求項に記載のスライダー装置。
【請求項7】
前記第2スライダー(3)の下端に配置された前記スタッド(9)は、前記スライダー装置の取り付け状態において、前記第1形材(10)の内面を内側から把持するよう構成された舌片(9b)を有することを特徴とする、請求項6に記載のスライダー装置。
【請求項8】
前記スライダー装置の外面には、外側に配置される前記第2形材(11)の長手方向に延びる溝(26)と協働する長手リブ(25)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスライダー装置。
【請求項9】
前記スライダー装置の内面側、即ち、対応する前記第1形材(10)を向く側には、前記スライダー装置の位置決め用に、前記第1形材(10)に設けられた凹部に嵌合するよう構成された少なくとも1つのスタッド(9a)が設けられていることを特徴とする、請求項7に記載のスライダー装置。
【請求項10】
前記リブ(25)の反対側に、スタッド(9a)が配置されていることを特徴とする、請求項8に記載のスライダー装置。
【請求項11】
少なくとも1つのスタッド(9a)は、前記スライダー装置が取り付けられた形材の中空部(30a、33a)内に突出するとともに、当該形材の端部片(30、33)の凹部に嵌合して、当該端部片を固定するように、延長された突出長さを有することを特徴とする、請求項9に記載のスライダー装置。
【請求項12】
形材に被せて挿入するための円筒状に構成されているとともに、所定数の第1及び第2のスライダー(2、3)を含むことを特徴とする、 請求項1~11のいずれかに記載のスライダー装置。
【請求項13】
互いに入れ子式に配置されて一体化形材(1)を構成する少なくとも2つの形材(10、11)としての外側形材(11)、及び前記外側形材(11)の中に挿入するための内側形材(10)と、請求項1~10のいずれか1つに記載の少なくとも1つのスライダー装置(1)と、を含む昇降支柱。
【請求項14】
前記内側形材(10)の側面には、前記スライダー装置の前記第2スライダー(3)に形成したスタッド(9)に対応する凹部(12)が設けられており、前記外側形材の内面には、前記第1スライダー(2)から突出する弾性要素(8)を収容するための窪み部(13)が設けられていることを特徴とする、請求項13に記載の昇降支柱。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1つに記載のスライダー装置を、請求項13又は14に記載の昇降支柱に取り付けるための方法であって、前記第2スライダー(3)のスタッド(9)を内側形材(10)の貫通孔(12)に押し込むことで、前記スライダー装置(1)を前記内側形材の外面に取り付けることと、次いで、前記スライダー装置(1)が取り付けられた前記内側形材(10)を外側形材(11)の中空内部に案内し、これにより、前記第1スライダー(2)の側面の弾性要素(8)を、前記外側形材(11)の内面の窪み部(13)にスナップ係合させることと、を含み、前記2つの形材(10、11)をさらに収縮移動させることにより、前記第1及び第2のスライダー(2、3)の間の破断用ライン(4)が破断し、これにより、前記第1及び第2のスライダーを、それぞれ前記形材(10、11)の一方に取り付けられた別個の2つのスライダーに分離することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13又は14に記載の1つ以上の昇降支柱を備える机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、高さ調節が可能な机に用いられる昇降支柱用のスライダー装置(slider element)に関する。当該昇降支柱は、互いに入れ子式に配置された少なくとも2つの形材(profile)から成り、これら2つの形材の間には、一方の形材に固定された少なくとも1つのスライダー(slider)が配置されている。本発明は、さらに、前記スライダー装置の取り付け方法に関する。本発明は、さらに、前記スライダー装置を備える昇降支柱、及び前記昇降支柱を備える机に関する。
【背景技術】
【0002】
高さ調節可能な机に用いられる昇降支柱は、通常、鋼管又は押出しアルミニウム管から構成される。昇降支柱は、互いに隣接する形材の間に、一般的に合成材料で形成された複数のタイル状の形態のスライダーが設けられている。また、例えば、ブシュ又は軸方向に延在する条片の形態のスライダーもある。スライダーの例としては、Heinrich J Kessebohmer KGによるEP1479963号A2公報、及びRol Ergonomic ABによるWO02/063996号A1公報により公知のものがある。これらのスライダーの取り付けは、個別に行われ、かなりの手間を要する。Oelschlager Metalltechnik GmbHによるWO2017/148467号A2公報には、スライダーをダイカストによって2つの形材の間に直接設ける方法が開示されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、取り付けが容易なスライダーを提供することを目的とする。
【0004】
本発明の目的は、破断用ライン(designated breaking line)を間に挟んで配置された第1スライダー及び第2スライダーを有するスライダー装置によって達成することができる。
【0005】
本スライダー装置は、第1スライダーと第2スライダーを、例えば、互いに隣接させたり、ずらしたり、又は、異なる態様にするなど、様々な相対配置で構成することができる。好適な一実施形態では、スライダー装置は、第1スライダーと第2スライダーとが互いに連続するとともに、両部材における互いに隣接する端部間に破断用ラインが配置されて構成される。この構成によれば、ほとんどの場合において、スライダー装置の最適な製造と取り付けを実現することができる。
【0006】
2つのスライダーの間の破断用ラインは、様々な方法で形成することができる。例えば、破断用ラインは、打ち抜き穴(perforation)でもよいし、又は材料を脆弱化(weakening)した部位でもよい。特定の実施形態では、破断用ラインは、一方のスライダーの端部に形成されたピン状部を、他方のスライダーの端部に形成された2つのピン状部の間に配置し、これらのピン状部をストリング(string)で繋いで構成される。この実施形態によれば、破断用ラインを容易に破断させることができるとともに、ピン状部を繋ぐストリングの破断後に、各スライダーにピン状部が残っていても、外観及び機能面には影響しない。
【0007】
一実施形態のスライダー装置において、各スライダーは、摺動面を有する隆起部が形成されたベース部材を含む。したがって、ベース部材を比較的薄く構成することができ、これにより形材と形材の間の隙間を小さくできる。また、ベース部材が薄いことにより、前記スライダー装置の可撓性を比較的高くすることができ、取り付けが容易になる。
【0008】
前記第1スライダーは、例えば、スタッド(stud)や突出部などの様々な種類の保持手段を備えるように構成できる。特定の実施形態では、前記保持手段は、前記ベース部材の平面に対して所定の角度で外側に突出する舌片である弾性要素として構成できる。前記弾性要素は、好ましくは、各側に設けられる。前記弾性要素を備えることにより、対応する形材には、外側から見えないように、側壁に窪み部を設けるだけでよいという利点が得られる。前記窪み部は、当然ながら貫通孔であってもよく、この構成が望ましい場合には、前記保持手段は、スタッド又は他の種類の突出部であってもよい。
【0009】
同様に、第2スライダーも、例えば、スナップロック又は接着剤などの様々な種類の保持手段を設けることができる。一実施形態では、前記第2スライダーは、ベース部材の内面にスタッドを有する。このスタッドは、前記形材の貫通孔に挿入可能な位置に配置することができる。前記スタッド及び前記貫通孔は、スライダー装置を回転不可能に保持するために、長手形状であることが多い。
【0010】
本発明は、さらに、請求項13~14に記載の昇降支柱に関する。前記昇降支柱は、互いに入れ子式に配置されて一体化形材を構成する少なくとも2つの形材である、外側形材及び当該外側形材の中に挿入するための内側形材と、請求項1~12のうちのいずれか1つに記載の少なくとも1つのスライダー装置と、を備える。
【0011】
前記昇降支柱の一実施形態では、内側形材の側面に、スライダー装置の第2スライダーのスタッドに対応した貫通孔が設けられる。外側形材については、その内面側に、第1スライダーの突出弾性要素を収容する窪み部を設けるだけでよいので、前記昇降支柱の外面側には、加工を施す必要がない。換言すると、前記昇降支柱の表面は、穴やスタッドなど、目に見えるスライダーの痕跡が無い、滑らかな外観を有する。
【0012】
さらに別の実施形態では、前記スライダー装置のスタッドのうちの少なくとも1つは、前記昇降支柱の形材に端部片を固定するために利用できるように、突出長さが延長されている。当該スタッドの突出長さは、取り付け先である形材の窪み部から突出して、当該形材に取り付けられた端部片の凹部に嵌合して、これを固定するような長さになっている。少なくとも前記スタッドの周辺領域は、適切な可撓性を有しており、前記端部片が前記形材に押し込まれると、前記スタッドが撓んで、対応する凹部にスナップ係合するよう構成されている。前記凹部は、前記スタッドに対向して配置される場合は、溝部であってもよい。
【0013】
特定の実施形態では、本発明によるスライダー装置は、形材に被せて挿入するための円筒状に構成されており、所定数の第1スライダーと第2スライダーを含み、例えば、4組のスライダーを含む。この実施形態においても、1つの装置を取り付けるだけでよいので、取り付けが容易であることは言うまでもない。
【0014】
本発明は、さらに、請求項1~12のいずれか1つに記載のスライダー装置を、請求項13~14のいずれか1つに記載の昇降支柱に取り付けるための方法に関する。前記スライダー装置は、前記第2スライダーの前記スタッドを前記内側形材の貫通孔に押し込むことで、前記内側形材の外面に取り付けられる。次いで、前記スライダー装置が取り付けられた前記内側形材を、前記外側形材の中空内部に案内し、これにより、前記第1スライダーの側部に設けられた前記弾性要素を、前記外側形材の内面の窪み部にスナップ係合させる。前記2つの形材をさらに収縮移動させると、前記第1及び第2のスライダーの間の破断用ラインが破断し、これにより、前記第1及び第2のスライダーは、それぞれが前記形材の一方に取り付けられた、別個の2つのスライダーに分離される。
【0015】
本発明は、さらに、請求項13~14の1つ以上に記載の1つ以上の昇降支柱を備える机に関する。前記昇降支柱は、当該机の高さを調節する脚として使用可能であり、加えて、当該机は、コンピュータの画面又はその他の機器を当該机の天板に対して昇降するための1つ以上の昇降支柱をさらに備えてもよい。
【0016】
本発明は、好ましくは、安定性に優れた筒状の形材、例えば、閉断面を有する形材で構成された部材に関して使用される。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、押出しアルミニウム管又は屈曲させた鋼板で構成された、開断面を有する形材から成る部材にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下に、添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0018】
図1】スライダー装置の正面図である。
図2】スライダー装置の背面図である。
図3】スライダー装置を上端から見た図である。
図4】入れ子式の2つの形材の端部を示す図である。
図5】入れ子式の2つの形材の端部と、そこに取り付けられたスライダー装置を示す図である。
図6】スライダー装置が取り付けられており、収縮状態にされた入れ子式の内側形材及び外側形材を、外側形材を透過して示す図である。
図7】外側形材及び内側形材の角部を示す断面図である。
図8】机の斜視図である。
図9図8の机の最大伸長状態を側方から見た図である。
図10】平坦面に取り付けるためのスライダー装置を上から見た図である。
図11】円形断面を有する内側形材の端部に、スライダー装置が取り付けられた状態を示す図である。
図12】スライダー装置を表側から見た図である。
図13図12のスライダー装置を裏側から見た図である。
図14】内側形材の下端及び当該形材に取り付け途中のスライダー装置を示す断面図である。
図15】3つの部材からなる昇降支柱の端部であって、中間形材が見えるように外側形材を省略して示す図である。
図16図15の昇降支柱の端部を示す断面図である。
図17図15の中間形材に端部部材を取り付ける準備ができた状態を示す断面図である。
図18図17に示す形材に端部部材が取り付けられた状態を示す断面図である。
図19】昇降支柱の形材に被せて挿入する円筒状に構成されたスライダー装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図3は、本発明による、方形又は矩形の断面を有する昇降支柱用のスライダー装置1の実施形態を示す。図1は、当該スライダー装置の正面図であり、図2は、当該スライダー装置の背面図であり、図3は、当該スライダー装置を上端から見た図である。
【0020】
スライダー装置1は、ワンピースに構成されており、第1スライダー2及び第2スライダー3を含み、両スライダーの間には、破断用ライン4が形成されている。各スライダー2、3は、ベース部材5を含み、当該ベース部材には、摺動面7を有する隆起部6が形成されている。第1スライダー2は、各側に、ベース部材5の外面から外側に向かって、つまり、スライダー装置が形材に取り付けられたときに、周りを囲む形材の内面に向かって、所与の角度で突出する舌片である弾性要素8を有する。第2スライダー3は、ベース部材5の内面に、即ち、当該第2スライダーが取り付けられた形材の外面に対向する面に、スタッド9を備える。この例では、スタッド9は、スライダーの長手方向に延びる矩形の部材であって、当該スライダーを適切な位置に確実に位置決めすることを可能にする。
【0021】
図4及び図5は、2つの入れ子式形材それぞれの端部を示しており、一方の形材である内側形材10が、他方の形材である外側形材11に挿入されるよう構成されている。これら2つの形材は、図面からもわかるように、矩形の断面を有する。内側形材10の側面には、スライダー装置の第2スライダー3に設けられたスタッド9に対応する凹部12が形成されている。この例では、当該凹部として貫通孔が形成されており、よって、前記スタッドの高さを最大にして、確実に固定できるような構成にできる。外側形材11の内側には、第1スライダー2において突出する弾性要素8を収納するための窪み部13が形成されている。
【0022】
スライダー装置1は、第2スライダー3のスタッド9を内側形材10の凹部12に押し込むことで、当該形材の外面に取り付けられる。スライダー装置を取り付けた状態の内側形材は、次いで、形材11の中空内部に案内され、これにより、第1スライダー2の側面に設けられた弾性要素8が、外側形材11の内面に設けられた窪み部13にスナップ係合する。これら2つの形材10、11をさらに収縮移動させると、第1スライダー2と第2スライダー3の間の破断用ライン4が破断する。これにより、第2スライダー3は、内側形材10の端部外面に取り付けられたまま残り、第1スライダー2は、外側形材の端部内面に取り付けられた状態になる。この結果、外側形材11を透過して示す図6の状態になる。図7は、外側形材11及び内側形材10の角部を示す断面図であり、第1スライダー2の弾性要素8が、外側形材11の内側の窪み部13に入り込んでいる様子が示されている。
【0023】
破断用ライン4は、この例では、ストリングで繋がれたピン状部で構成される。2つのスライダー2、3の対向する端部において、第1スライダー2の端部に設けられたピン状部21は、第2スライダー3に設けられた2つのピン状部22、23の間に突出するよう配置されている。ピン状部21は、他の2つのピン状部22、23に、互いに隣接するピン状部の側縁の間を延びるストリング24で繋がれている。形材の組み立て時において、スライダー2、3に互いに逆向きの軸力が作用すると、ピン状部22、23の間のストリング24が破断する。これにより、2つのスライダー2、3は、上述したように、別個の2つのスライダーに分離される。破断用ラインは、当該破断用ラインを破断させるに足る力では、第1スライダー2の弾性要素8又は第2スライダー3のスタッドに不当な負荷が作用せず、よって、係合の解除、又は何らかの損傷を生じさせないよう構成する必要がある。
【0024】
図示のように、入れ子式形材10、11が組み立てられると、スライダー2、3は見えなくなり、これら形材の外観は、スライダーの穴及び要素によって損なわれず、すっきりと滑らかな状態を呈する。
【0025】
図8及び図9に示す机は、各側に昇降支柱を有する。これらの昇降支柱は、互いに入れ子式に構成された3つの形材15、16、17から成り、外側形材17の下端を足部18に固定して取り付けられている。前記昇降支柱の上端には、天板19が取り付けられている。支柱14は、組み込み式のリニアアクチュエータに含まれるスピンドル/スピンドルナット部が、電源付き制御ボックスに接続された電動モータによってギアを介して駆動されることで作動する。また、制御ボックスは、机の前縁に配置された制御パネル20によって制御される制御装置を含む。
【0026】
昇降支柱14の3つの形材15、16、17が組み立てられた状態では、外側形材17と中間形材16は、図1図7を参照して説明した内側形材10と外側形材11に相当する。内側形材15と中間形材16が組み立てられた状態では、両形材は、図1図7を参照して説明した内側形材10及び外側形材11に相当する。
【0027】
この実施形態は、矩形の断面を有する昇降支柱に関し、スライダー装置は、当該形材の角部に沿って配置できるように、角のある形状を有する。しかしながら、本発明は、異なる断面形状、例えば、方形、六角形、丸形、楕円形などの断面形状を有する昇降支柱にも適用可能である。図10は、平坦面に装着するためのスライダー装置を上から見た図である。ただし、スライダー装置は、円形又は楕円形の断面を有する昇降支柱に取り付け可能な曲率に設計されていることは理解されよう。
【0028】
図11図14は、円形断面を有する昇降支柱に用いることを特に意図したスライダー装置の例を示す。既に説明した構成要素と同様の機能を有する要素には、同一の参照符号が用いられている。スライダー装置1は、ワンピースに構成されており、第1スライダー2及び第2スライダー3を含み、両スライダーの間に、破断用ラインが形成されている。各スライダー2、3は、摺動面7を有する隆起部6が形成されたベース部材5を含む。第1スライダー2は、その取り付けのために、ベース部材5の上側において所与の角度で突出する舌片である弾性要素8を有する。第2スライダー3は、その取り付けのために、ベース部材5の内面の端部に沿って配置されたスタッド9を有する。ベース部材5の下端に設けられた2つのスタッドは、スライダー3の取り付け状態において、形材10を内側から把持する舌片9bを備える。残りのスタッドは、剛性(firm)である。外側形材11の取り付け時には、スライダー3の下端が形材10の外面に密着している必要があるが、舌片9bによって、この状態が確保される。これにより、スライダーの下端が外側に傾むくことがないので、形材の組み立てが煩雑になることを防止できる。スタッド9は、スライダー3の端部に沿って2列で配置されており、この例では、これら2列のスタッドにおける剛性のスタッドは、互いにずらして配置されている。これにより、スライダー装置の位置決めを正確に行うことができる。
【0029】
スライダー装置1は、第2スライダー3のスタッド9を内側形材10の対応する穴12に押し込むことで、当該形材の外面に取り付けられる。上述したように、スライダー装置を取り付けた状態の内側形材は、次いで、外側形材の中空内部に案内され、これにより、第1スライダー2の側面に設けられた弾性要素8が、外側形材の内面に設けられた窪み部にスナップ係合する。これら2つの形材をさらに収縮移動させると、第1スライダー2と第2スライダー3の間の破断用ライン4が破断する。これにより、第2スライダー3は、内側形材10の端部外面に取り付けられたまま残り、第1スライダー2は、外側形材の端部内面に取り付けられた状態になる。
【0030】
上述した実施形態と同様に、破断用ライン4は、ストリングで繋がれたピン状部で構成される。2つのスライダー2、3の対向する端部において、第1スライダーの端部に設けられたピン状部21は、第2スライダー3に設けられた2つのピン状部22、23の間に突出するよう配置されている。ピン状部21は、他の2つのピン状部22、23に、互いに隣接するピン状部の側縁の間を延びるストリング24で繋がれている。形材の組み立て時において、スライダー2、3に互いに逆向きの軸力が作用すると、ピン状部22、23の間のストリング24が破断する。これにより、2つのスライダー2、3は、上述したように、別個の2つのスライダーに分離される。
【0031】
円形断面を有する形材である円管で構成される昇降支柱に関し、このような形材が長手方向軸周りに回転すると、昇降支柱の製造不良に至るような問題が発生する可能性がある。これを防止するために、スライダー装置1の外面に長手リブ25が設けられている。第1スライダー2と第2スライダー3が分離されると、それぞれがリブ25a、25bを備える構成になる。リブ25a、25bは、周りを囲む外側形材に設けられた長手溝26に突入する。図11から分かるように、形材11の内面に長手溝26が設けられており、当該形材に挿入される別の形材のスライダーのリブと協働するよう構成されている。
【0032】
図11に示す形材は、実際には、昇降支柱を構成する3つの入れ子式形材のうちの中間形材であるが、当該形材は、この文脈では、上述した内側形材として扱われ、また、昇降支柱における内側形材に対しては、外側形材として扱われる。図9の高さ調節可能な机の概要を参照のこと。
【0033】
組み立て時にスライダー装置1の、ひいては、スライダー3のより正確な位置決めを可能にするために、スライダー装置の下端には、リブ25の反対側に相当する位置に、他のスタッドと同様に、形材に設けられた対応する凹部に押し込まれる追加スタッド(extra stud)9aが設けられている。
【0034】
図15及び図16は、スライダー2、3を取り付けて組み立てられた内側形材10及び外側形材11を示しており、外側に位置する外側形材11にも、さらに別の形材を取り付けるためのスライダー2、3が設けられている。内側形材10には、中空スピンドル32に対応するスピンドルナット31を備える端部片30が取り付けられている。また、外側形材11の端部には、中空スピンドル32の端部に取り付けられたスピンドルナット35に係合する中実スピンドル34の端部を収容するための端部片33が取り付けられている。端部片30、33をそれぞれの形材10、11に取り付けるために、各スライダー3に設けられた追加スタッド9aは、当該スタッドの端部が対応する形材の中空部内に突出して、端部片の側面に設けられた凹部30a、33aに嵌合するように、突出長さが延長されている。端部片30、33は、形材10、11(図17及び図18)の中に押し込まれると、各スライダー3のスタッド9aに当接して、当該スライダーを外方に押圧する。各スライダーの端部に設けられた舌片9bは、形材によって押圧されたスライダーを保持し、端部片30、33が所定の位置に配置されたときには、スタッド9aが弾性戻り(spring back)して、端部片30、33をスタッド9aの下側でより正確に固定することができる。これにより各端部片30、33の端壁30a’、33a’を、スタッド9aの下側に保持することができる。端部片30、33の上部には、対応する形材の端部に係合する円形カラー30b、33bが設けられている。このようにして、端部片は、形材の端部とスタッドの下側との間に固定される。
【0035】
なお、この解決手段は、昇降支柱の形材が方形又はその他の任意の非円形断面を有する場合でも、同様に利用可能であることは理解されよう。これにより、昇降支柱が伸長状態又は収縮状態であるかに関わらず、形材がいずれの側にも撓まないようにできる。
【0036】
図19は、円形断面を有する形材である円管で構成された昇降支柱に用いられるスライダー装置のさらに別の実施形態を示す。この構成は、スライダー装置1の断面が円形であり、内部が中空である点を顕著な特徴とし、これにより、形材の上から被せて挿入することが可能になる。当該装置1は、4組のスライダーを含み、そのうちの第1スライダー2は、長状の第2スライダー3の間に配置されている。各第1スライダー2は、よりタイル形状に近く、全体部分であるスライダー装置1の上端側に配置されて、円形リング2aと接続されている。当該円形リングは、内側形材と外側形材が組み立てられたときに、両形材の間の隙間を閉塞して、内部に埃が入り込むことを防止する。埃が入り込むと、例えば、形材の表面の摩擦が大きくなったり、損傷したりするなどして、形材の動作が妨げられる可能性がある。さらに、リング2aが2つの形材の間の隙間を塞ぐことにより、視覚的な装飾効果も得られる。第2スライダー3は、帯状部(band)3aによって下端が互いに接続されており、また、第1スライダー2の下縁のすぐ下側でも、別の帯状部によって互いに接続されている。第1スライダー2は、隣接する第2スライダー3に、当該第2スライダー3の側面に設けられたストリング24によって接続されている。この例では、第2スライダー3は、内側形材の凹部に係合するスタッド9、9aが設けられている。また、第1スライダー2の外面には、外側形材の内面の凹部に係合するスタッド8aが設けられている。外側形材と内側形材が連結されると、第1スライダー2と第2スライダー3の間のストリング24が破断して、両スライダーは、内側形材に取り付けられた第2スライダー3と、外側形材に取り付けられた第1スライダー2に分離される。上述した実施形態とは異なり、この例のスライダー2、3は、互いに側方にずらして配置されているので、必要であれば、長状のスライダーを構成することができる。或いは、スライダー装置1を全体として短く構成して、最長のスライダーの長さがそのまま全体の長さになるような構成でもよい。
【0037】
なお、この解決手段は、昇降支柱の形材が方形又はその他の任意の非円形断面を有する場合でも、同様に利用可能であることは理解されよう。
【0038】
当然ながら、本発明は、2つ以上の部材から成る昇降支柱にも、また、机以外の他の用途にも利用可能なことは理解されよう。他の例をいくつか挙げると、前記支柱は、調節可能なベッド又は椅子に利用可能である。また、前記支柱は、アルミニウム製又はスチール製の形材で構成されたものでもよいし、そのような形材を組み合わせたものでもよい。
【0039】
本発明は、特に電動の昇降支柱に用いられることを意図しており、そのための駆動部は、限定するものではないが、支柱の一部として一体的に構成されてもよいし、別個の装置として構成されてもよい。
図1
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図5
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図7
図8
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図10
図11
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図15
図16
図17
図18
図19