(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】粒子を処理するための排出低減装置、および同排出低減装置を使用する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 8/12 20060101AFI20230807BHJP
C04B 7/38 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
B01J8/12
C04B7/38
(21)【出願番号】P 2020560737
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 IB2019053935
(87)【国際公開番号】W WO2019220309
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-11-10
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510001021
【氏名又は名称】エフ・エル・スミス・エー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】スミト,イーバ・ブランケンベア
(72)【発明者】
【氏名】イェンスン,ラース・スコーロプ
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-501127(JP,A)
【文献】国際公開第2017/125579(WO,A1)
【文献】特開昭49-099123(JP,A)
【文献】特開2000-086309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00- 8/46、
4/00- 7/02
C04B 2/00-32/02、
40/00-40/06
F27B 11/00-15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント製造装置であって、前記セメント製造装置が:
か焼器へのセメント原料ミールを予加熱するための、前記か焼器に接続された予熱器であって、前記予熱器が:
第1のセパレータデバイスと;
第2のセパレータデバイスと;
前記第1のセパレータデバイスと前記第2のセパレータデバイスとの間に配置され、セメント原料ミールから水銀、アンモニア、SO
2、HClおよび/または有機炭素総量(TOC)の排出を低減するための排出低減装置であって、前記排出低減装置が:
第1の端部、前記第1の端部の反対側にある第2の端部、および前記第1の端部と前記第2の端部との間にある少なくとも1つのミドル部分を有する反応器であって;
前記反応器の前記第1の端部がセメント原料ミール導管に接続され、その結果、前記第1のセパレータデバイスから産出されるセメント原料ミールが前記反応器の前記第1の端部に供給可能となり;
前記反応器の前記第2の端部が燃焼排ガス導管に接続され、その結果、前記反応器を通過する前記セメント原料ミールが前記反応器の前記第2の端部から前記燃焼排ガス導管まで通過可能となり、その結果、前記セメント原料ミールが前記燃焼排ガス導管を介して前記第2のセパレータデバイスまで誘導され;
前記反応器の前記少なくとも1つのミドル部分が反応ガスの供給源に接続可能であり、前記反応ガスの供給源からの反応ガスを複数のパルスとして前記反応器の前記ミドル部分の中に供給可能である、
反応器
を備える、排出低減装置と
を備える、予熱器
を備える、セメント製造装置。
【請求項2】
前記反応器の前記少なくとも1つのミドル部分が、前記反応器の前記第1の端部と前記反応器の前記第2の端部との間にある、前記反応器の中間セクションから構成され、前記反応器の前記ミドル部分が前記反応器の前記第1の端部の下方にあり、前記反応器の前記第2の端部の下方にある、請求項1に記載のセメント製造装置。
【請求項3】
前記排出低減装置が更に、反応ガス流れ制御機構に接続された制御装置を有する、請求項1または2に記載のセメント製造装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記反応ガス流れ制御機構が前記反応ガスの前記複数のパルスを提供するように構成され、これにより各パルスが予め選択されるパルス時間を有することになるようになり、前記パルス時間において、前記反応ガスが前記反応器の前記ミドル部分の中に供給され、前記予め選択されるパルス時間の直後に、中断時間において、前記反応ガスが前記反応器の前記ミドル部分の中に供給されるのを停止され、前記中断時間が、前記予め選択されるパルス時間の終了の直後に開始される、請求項3に記載のセメント製造装置。
【請求項5】
前記制御装置が、最大、0.01秒、1マイクロ秒、1ミリ秒、5ミリ秒、10ミリ秒、または1秒である予め選択されるパルス時間を有するパルスを提供するようになっている、請求項4に記載のセメント製造装置。
【請求項6】
前記反応器の前記少なくとも1つのミドル部分が輸送ガス供給源に接続され、その結果、輸送ガスが複数のパルスとして前記反応器の前記ミドル部分の中に供給可能となり、その結果、前記輸送ガスが前記反応器の前記ミドル部分から前記反応器の前記第2の端部まで通過可能となる、請求項2に記載のセメント製造装置。
【請求項7】
前記反応器の前記少なくとも1つのミドル部分が前記反応ガスの供給源に接続され、その結果、前記反応ガスが前記反応器の前記ミドル部分から前記反応器の前記第1の端部まで通過することになる、請求項6に記載のセメント製造装置。
【請求項8】
前記反応器が全体的にU形または全体的にV形を有し、
前記ミドル部分が前記反応器の中央セクションである、
請求項2に記載のセメント製造装置。
【請求項9】
前記反応器が更に、前記反応器の第1端から第2端に延びるバイパス通路を有し、前記バイパス通路は前記反応器の前記ミドル部分の上方に配置される、請求項1から8のいずれかに記載のセメント製造装置。
【請求項10】
前記セメント原料ミールから取り除かれた構成要素を有する前記輸送ガスを出すためのガス導管が前記バイパス通路に接続されている、請求項9
で引用する請求項6に記載のセメント製造装置。
【請求項11】
セメント製造プラントの予熱器に、セメント原料ミールから水銀、アンモニア、SO
2、HClおよび/または有機炭素総量(TOC)の排出を低減するための少なくとも1つの排出低減装置を追加設置する方法であって、前記方法が:
前記予熱器の中の第1のセパレータデバイスと第2のセパレータデバイスとの間に排出低減装置を配置するステップであって、前記排出低減装置が:
第1の端部、および前記第1の端部の反対側にある第2の端部を有する反応器であって、
前記反応器の前記第1の端部がセメント原料ミール導管に接続可能であり、その結果、前記第1のセパレータデバイスから産出されるセメント原料ミールが前記反応器の前記第1の端部に供給可能となり、
前記反応器の前記第2の端部が燃焼排ガス導管に接続可能であり、その結果、前記反応器を通過する前記セメント原料ミールが前記反応器の前記第2の端部から前記燃焼排ガス導管まで通過可能となり、その結果、前記セメント原料ミールが前記燃焼排ガス導管を介して前記第2のセパレータデバイスまで誘導され、
前記反応器が第1の反応器ステージから構成され、前記第1の反応器ステージが、前記反応器の前記第1の端部と前記第2の端部との間にあるミドル部分を有し、前記第1の反応器ステージの前記ミドル部分が反応ガスの供給源に接続可能であり、その結果、前記反応ガスの供給源からの反応ガスが複数のパルスとして前記反応器の前記ミドル部分の中に供給可能となる;
反応器
を備える、ステップと;
前記反応器を通るようにセメント原料ミールを通過させるために前記第1のセパレータデバイスから前記反応器の前記第1の端部までセメント原料ミールを供給するステップと;
前記セメント原料ミールが前記反応器を通過させられるときに前記第1の反応器ステージの前記ミドル部分の中への前記反応ガスを複数のパルスとするようにパルス化するステップであって、その結果、前記セメント原料ミールが前記反応器の前記第1の端部から前記反応器の前記ミドル部分まで移動するときに前記セメント原料ミールが前記パルス化された反応ガスに接触することになる、ステップと;
前記反応器の前記ミドル部分を介して前記セメント原料ミールが前記パルス化された反応ガスに接触した後で前記反応器の前記第2の端部から前記燃焼排ガス導管まで前記セメント原料ミールを産出するステップと
を含む
方法。
【請求項12】
前記第1の反応器ステージの前記ミドル部分が、前記反応器の前記第1の端部と前記反応器の前記第2の端部との間にある、前記第1の反応器ステージの中間セクションであり、前記第1の反応器ステージの前記ミドル部分が前記反応器の前記第1の端部の下方にある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応ガスの前記複数のパルスが各パルスが予め選択されるパルス時間を有することになるように構成され、前記パルス時間において、前記反応ガスが前記反応器の前記ミドル部分の中に供給され、前記予め選択されるパルス時間の直後に、中断時間において、前記反応ガスが前記反応器の前記ミドル部分の中に供給されるのを停止され、前記中断時間が、前記予め選択されるパルス時間の終了の直後に開始される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の反応器ステージの前記ミドル部分が輸送ガス供給源に接続可能であり、その結果、輸送ガスが前記第1の反応器ステージの前記ミドル部分の中に供給可能となり、前記方法が:
前記反応器の前記ミドル部分から前記反応器の前記第2の端部まで前記輸送ガスを通過させるために前記輸送ガスを前記第1の反応器ステージの前記ミドル部分の中にパルスとして供給するステップ
をさらに含む
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記セメント原料ミールが前記反応器を通過させられるときに前記反応器の第2の反応器ステージのミドル部分の中への前記反応ガスを複数のパルスとするようにパルス化することであって、その結果、前記セメント原料ミールが前記反応器の前記第1の端部から前記反応器の前記第2の端部まで移動するときに前記セメント原料ミールが前記パルス化された反応ガスに接触することになる、ステップ
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の反応器ステージが全体的にU形または全体的にV形を有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術革新は固体粒子の処理に関する。このような処理は、例えば、セメント製造およびセメント原料ミール(cement raw meal)または原料ミールの処理で行われ得る。例えば、本技術革新の実施形態は、セメントクリンカの生産における原料ミールの処理に関連して望ましくない構成物の排出を低減するのを補助するように構成される装置と、セメント製造プラント内にある1つまたは複数の装置の構成と、少なくとも1つのこのような装置を有するようにセメント製造プラントをアップグレードするためのキットと、同装置を作って使用する方法と、を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
セメント工場またはセメントプラントはしばしばセメントミールダスト(cement meal dust)を処理する。セメント製造工場またはセメント製造プラントの例は、米国特許第4,997,363号、米国特許第5,800,610号、米国特許第5,954,499号、米国特許第6,000,937号、米国特許第7,052,274号、米国特許第7,390,357号、米国特許第7,972,419号、米国特許第8,163,082号、および米国特許第8,474,387号、米国特許出願公開第2010/0180803号、ならびに国際公開WO2004/031092、WO2014/04843、WO2017/060369、およびWO2017/125579から確認され得る。このようなセメント製造は、しばしば、一連のサイクロンを利用する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書では、排出低減装置と、少なくとも1つの排出低減装置を有するセメント製造装置と、少なくとも1つの排出低減装置を有するように予熱器に対して追加設置を行うためのキットと、同排出低減装置を作って使用する方法とが提供される。実施形態が、環境へのガス排出の改善される制御をさらに可能にするようなオペレーションの改善される運用を促進するように構成され得る。
【0004】
例えば、セメント製造装置の実施形態が、か焼器へのセメント原料ミールを予加熱するための、か焼器に接続された予熱器を有することができる。予熱器が、第1のセパレータデバイスと、第2のセパレータデバイスと、第1のセパレータデバイスと第2のセパレータデバイスとの間に配置される排出低減装置とを有することができる。排出低減装置が、第1の端部と、第1の端部の反対側にある第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間にあるミドル部分とを有する反応器を有することができる。反応器の第1の端部がセメント原料ミール導管に接続され得、その結果、第1のセパレータデバイスから産出されるセメント原料ミールが反応器の第1の端部に供給可能である。反応器の第2の端部が燃焼排ガス導管に接続され得、その結果、反応器を通過するセメント原料ミールが反応器の第2の端部から燃焼排ガス導管まで通過可能であり、その結果、セメント原料ミールが燃焼排ガス導管を介して第2のセパレータデバイスまで誘導される。反応器のミドル部分が反応ガスの供給源に接続可能となり得、その結果、反応ガスの供給源からの反応ガスが、複数のパルスとして反応器のミドル部分の中へ供給可能となる。
【0005】
反応器のミドル部分が、反応器の第1の端部と反応器の第2の端部との間にある、反応器の中間セクションであってよい。ミドル部分は反応器の中央部分にある必要はないが、いくつかの実施形態では、反応器の中央部分内に位置してもよい。
【0006】
セメント製造装置のいくつかの実施形態では、反応器のミドル部分が反応器の第1の端部の下方にあり、反応器の第2の端部の下方にある。複数のステージを有する反応器の場合、各ステージが、そこで輸送ガスおよび/または反応ガスが供給可能となるようなそれ自体のそれぞれの中間部分を有することができ、ここでは、ミドル部分がこのステージの両端部の間にある。このような実施形態では、各ステージのミドル部分が、ステージのインテイク端部と産出端部の下方に配置され得る。このような例示の反応器のミドル部分が、反応器ステージのこれらのミドル部分のうちのいずれかのミドル部分であってよい。複数のステージを利用する実施形態の場合、ステージが直列に配置され得、その結果、第1のステージが処理された原料ミールを第2のステージに供給し、第2のステージが、処理された原料ミールを、第2のステージの下流にある別のステージ(例えば、第3のステージ)に産出するか、または原料ミールを第2のステージの下流にある別のステージに送る。セメント原料ミールを上流のステージからすぐ隣の下流のステージまで直接に誘導するために、および最後のステージにより、処理されたセメント原料ミールを産出するために、直列に配置される任意の数のステージが存在してよい。
【0007】
反応ガスの複数のパルスが各パルスが予め選択されるパルス時間を有することになるように構成され得、このパルス時間において、反応ガスが反応器のミドル部分の中に供給され、この予め選択されるパルス時間の直後に、中断時間において、反応ガスが反応器のミドル部分の中に供給されるのを停止され、この中断時間が、予め選択されるパルス時間の終了の直後に開始される。予め選択されるパルス時間が、最大、0.01秒、1マイクロ秒、1ミリ秒、5ミリ秒、10ミリ秒、または1秒、あるいは別の予め選択される時間であってよい。中断ピリオドがパルスの間に休止時間を画定するようにパルスを分けることができ、その結果、各パルスが流体の離散的な流れであり、複数のパルスが流体の連続的な流れではない。各中断ピリオドが等しい時間であってよいかまたは異なる時間であってよい。例えば、中断時間が、特定のパルスの後の予め選択される中断時間であってよい。例示の中断時間は、最大1マイクロ秒、最大1ミリ秒、最大0.0001秒、最大0.01秒、最大5ミリ秒、最大10ミリ秒、最大0.5秒、最大1秒、最大2秒、最大25秒、最大1分、などであってよい。特定のパルスの後の中断時間が、バルブに接続される制御装置によって実装されるかまたは反応器の中への反応ガスの供給を促進する他の反応ガス流れ制御機構に接続される制御装置によって実装される制御ループによって画定され得る。制御ループが、異なる運転状態のために、またはセンサおよびこれらのセンサに接続される制御装置によって監視され得る別のパラメータのために、パルス時間および中断時間の変化量を画定することができる。第1の反応器のための制御ループの設定値が、予熱器内に存在していてよい他の反応器(例えば、第2の反応器および/または第3の反応器)のための制御ループの設定値と異なっていてよく、それにより特定のセットの動作目的を満たすことを目的として異なる反応器の位置での異なる条件に対応する。したがって、いくつかの実施形態では、各反応器が、独自のパルス時間の設定値および独自の中断時間の設置値を有することができる。加えて、これらのパルス時間および中断時間を変化させるのを可能にする手法も、反応器の位置に応じて異なっていてよいか、または特定のセットの動作目的を満たすために等しくなるように構成されてもよい。
【0008】
反応器のミドル部分が輸送ガス供給源に接続され得、その結果、輸送ガスが複数のパルスとして反応器のミドル部分の中に供給可能となり、その結果、輸送ガスが反応器のミドル部分から反応器の第2の端部まで通過可能となる。反応器のミドル部分がさらに、反応ガスの供給源に接続され得、その結果、反応ガスが反応器のミドル部分から反応器の第1の端部まで通過することになる。反応ガスが同様にパルスとして反応器の中に供給され得る。これらのパルスは輸送ガスのパルスに同期にされていてもまたは輸送ガスのパルスに同期されていなくてもよい。他の実施形態では、反応ガスが、パルスを介して反応器の中にガスが供給される前に、輸送ガスと予混合されていてよい。いくつかの実施形態では、一定の割合の輸送ガスおよび/または反応ガスが一定の流量で供給され得ることが企図される。このような実施形態の場合、輸送ガスおよび/または反応ガスのパルスが同様に反応器の中に供給され得、それによりパルスとしてのこのようなガスの流れを増やすことができる。したがって、ガスの増大した流量のパルスを提供することを目的としてガスの一定の流れを補完するために、反応ガスおよび/または輸送ガスのパルス化が行われ得る。
【0009】
反応器が特定の種類の形状を有するように構成され得る。例えば、反応器は、全体的にW状の形状、全体的にU形状、または全体的にV形状を有するように構成され得る。
排出低減装置の実施形態が、第1の端部と、第1の端部の反対側にある第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間にあるミドル部分とを有する反応器を有することができる。反応器の第1の端部が固体粒子導管に接続されるように構成され得、固体粒子導管を通して固体粒子が反応器に供給され得る。反応器の第2の端部がガス導管に接続されるように構成され得、その結果、反応器を通過する固体粒子がガス導管まで通過可能となる。反応器のミドル部分が反応ガスの供給源に接続可能であってよく、その結果、反応ガスの供給源からの反応ガスが複数のパルスとして反応器のミドル部分の中に供給可能となる。
【0010】
反応器のミドル部分が、反応器の第1の端部と反応器の第2の端部との間にある、反応器の中間セクションであってよい。反応器のミドル部分が反応器の中央セクションであってよいか、または反応器の別の中間セクションであってもよい(例えば、第1の端部と第2の端部との間において第1の端部の方に接近しているかまたは第2の端部の方に接近している、など)。反応器のミドル部分が反応器の第1の端部の下方に配置され得、さらに反応器の第2の端部の下方にあってよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、排出低減装置の反応器のミドル部分が反応器の第1の端部の下方にあってよく、さらに反応器の第2の端部の下方にあってよい。複数のステージを有する反応器の場合、各ステージが、そこで輸送ガスおよび/または反応ガスが供給可能となるようなそれ自体のそれぞれのミドル部分を有することができ、ここでは、ミドル部分がこのステージの両端部の間にある。このような実施形態では、各ステージのミドル部分が、ステージのインテイク端部および産出端部の下方に配置され得る。このような例示の反応器のミドル部分が、反応器ステージのこれらのミドル部分のうちのいずれかのミドル部分であってよい。
【0012】
反応ガスの複数のパルスが各パルスが予め選択されるパルス時間を有することになるように構成され得、このパルス時間において、反応ガスが反応器のミドル部分の中に供給され、この予め選択されるパルス時間の直後に、中断時間において、反応ガスが反応器のミドル部分の中に供給されるのを停止され、この中断時間が、予め選択されるパルス時間の終了の直後に開始される。予め選択されるパルス時間が、特定のセットの設計基準を満たすように選択される予め選択される任意の時間であってよい。例えば、予め選択されるパルス時間が、最大、0.01秒、1マイクロ秒、1ミリ秒、5ミリ秒、10ミリ秒、または1秒であってよい。中断時間が、同様に、特定のセットの設計基準を満たすように選択される予め選択される任意の時間であってよい。例えば、予め選択される中断時間が、最大、0.01秒、1マイクロ秒、1ミリ秒、5ミリ秒、10ミリ秒、または1秒であってよい。パルス時間および中断時間が、反応器の位置およびその反応器のための動作目的に応じて、異なる反応器ごとに異なっていてよい。また、パルス時間および中断時間が、予熱器の動作パラメータに対応することを目的としてまたは特定のセットの動作目的を満たすことを目的として、運転中に変化させられてもよい。いくつかの実施形態では、一定の割合の反応ガスが一定の流量で供給され得ることが企図される。このような実施形態の場合、反応ガスのパルスが同様に反応器の中に供給され得、それによりパルスとしての反応ガスの流れを増やすことができる。したがって、反応ガスの増大した流量のパルスを提供することを目的として反応ガスの一定の流れを補完するために、反応ガスのパルス化が行われ得る。
【0013】
反応器のミドル部分がさらに、輸送ガス供給源に接続されるように構成され得、その結果、輸送ガスが複数のパルスとして反応器のミドル部分の中へ供給可能となり、その結果、輸送ガスが反応器のミドル部分から反応器の第2の端部まで通過可能となる。反応器のミドル部分がさらに、反応ガスの供給源に接続可能であってよく、その結果、反応ガスが反応器のミドル部分から反応器の第1の端部まで通過するようになる。いくつかの実施形態では、輸送ガスが、反応器の中にガスが供給される前に、反応ガスと予混合されていてよい。他の実施形態では、輸送ガスおよび反応ガスが同期パルスまたは非同期パルスとして反応器の中へ別個に供給され得る(例えば、同じパルス継続時間を有する同じパルスにおいて同じタイミングで、異なるパルス継続時間を有する異なるパルスにおいて同じタイミングで、あるいは同じ種類のパルスまたは異なるパルスを使用して異なるタイミングで)。
【0014】
反応器が全体的にU形または全体的にV形を有することができる。他の実施形態では、反応器がW状の形状または他の形状を有することができる。他の実施形態では、排出低減装置が、直列に配置される複数の反応器を有するものとみなされてよい。
【0015】
例えば、排出低減装置のいくつかの実施形態が、第1の端部と、第1の端部の反対側にある第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間にあるミドル部分とを有する第1の反応器を有することができる。第1の反応器の第1の端部が固体粒子導管に接続されるように構成され得、固体粒子導管を通して固定粒子が反応器に供給可能である。第1の反応器の第2の端部が第2の反応器の第1の端部に接続されるように構成され得る。第2の反応器が、第2の反応器の第1の端部と第1の反応器の第2の端部との間の接続部を介して第1の反応器から固体粒子を受け取ることができる。第2の反応器が、第2の端部と、第2の反応器の第1の端部と第2の反応器の第2の端部との間にあるミドル部分とを有することができる。第2の反応器の第2の端部がガス導管に接続可能であってよく、その結果、第2の反応器を通過する(第1の反応器も通過した後の)固定粒子がガス導管まで通過可能となる。第1の反応器のミドル部分が反応ガスの供給源に接続可能であってよく、その結果、反応ガスの供給源からの反応ガスが複数のパルスとして第1の反応器のミドル部分の中に供給可能となる。さらに、第2の反応器のミドル部分が反応ガスの供給源(第1の反応器のミドル部分と同じ反応ガスの供給源、または反応ガスの別の供給源)に接続可能となり得、その結果、反応ガスの供給源からの反応ガスが、複数のパルスとして第2の反応器のミドル部分の中へ供給可能となる。
【0016】
直列の反応器を有する排出低減装置のいくつかの実施形態では、排出低減装置が、2重のU状の形状、3重のU状の形状、または他の種類の形状(例えば、2重のV状の形状、など)を有するものとみなされてよい。排出低減装置のいくつかの実施形態が、直列に位置合わせされる複数の反応器を有するものとみなされる代わりに、単一の反応器を画定するように直列に配置される第1および第2の反応器ステージを有するものとみなされてよい。
【0017】
第1および/または第2の反応器に供給される反応ガスが輸送ガスと予混合されていてよい。別法として、少なくとも1つの輸送ガス供給源が第1の反応器に接続され得、少なくとも1つの輸送ガス供給源が第2の反応器に接続され得、それにより輸送ガスを反応器に供給する。輸送ガスが、中に供給される反応ガスと同期されるかまたは中に供給される反応ガスと同期されないパルスとして反応器の中に供給され得る。
【0018】
セメント製造プラントの予熱器に少なくとも1つの排出低減装置を追加設置する方法が、予熱器の中の第1のセパレータデバイスと第2のセパレータデバイスとの間に排出低減装置を配置することを含むことができる。排出低減装置が、第1の端部と、第1の端部の反対側にある第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間にあるミドル部分とを有する反応器を有することができる。反応器の第1の端部がセメント原料ミール導管に接続可能となり得、その結果、第1のセパレータデバイスから産出されるセメント原料ミールが反応器の第1の端部に供給可能となる。反応器の第2の端部が燃焼排ガス導管に接続可能となり得、その結果、反応器を通過するセメント原料ミールが反応器の第2の端部から燃焼排ガス導管まで通過可能であり、その結果、セメント原料ミールが燃焼排ガス導管を介して第2のセパレータデバイスまで誘導される。反応器のミドル部分が反応ガスの供給源に接続可能となり得、その結果、反応ガスの供給源からの反応ガスが、複数のパルスとして反応器のミドル部分の中へ供給可能となる。この方法が、反応器を通るようにセメント原料ミールを通過させるために第1のセパレータデバイスから反応器の第1の端部までセメント原料ミールを供給することと、セメント原料ミールが反応器を通過させられるときに反応器のミドル部分の中への反応ガスを複数のパルスとするようにパルス化することであって、その結果、セメント原料ミールが反応器の第1の端部から反応器のミドル部分まで移動するときにセメント原料ミールがパルス化された反応ガスに接触することになる、ことと、反応器のミドル部分を介してセメント原料ミールがパルス化された反応ガスに接触した後で反応器の第2の端部から燃焼排ガス導管までセメント原料ミールを産出することと、をさらに含むことができる。
【0019】
この方法の実施形態では、排出低減装置の反応器のミドル部分が、反応器の第1の端部と反応器の第2の端部との間にある、反応器の中間セクションであってよい。例えば、反応器のミドル部分が反応器の中央セクションであってよいか、または、反応器の中央セクションではなく、反応器の第1の端部と第2の端部との間にある部分であってもよい。いくつかの実施形態では、反応器のミドル部分が反応器の第1の端部の下方にあってよく、さらに反応器の第2の端部の下方にあってよい。
【0020】
この方法のいくつかの実施形態では、排出低減装置の反応器のミドル部分が反応器の第1の端部の下方にあってよく、さらに反応器の第2の端部の下方にあってよい。複数のステージを有する反応器の場合、各ステージが、そこで輸送ガスおよび/または反応ガスが供給可能となるようなそれ自体のそれぞれのミドル部分を有することができ、ここでは、ミドル部分がこのステージの両端部の間にある。このような実施形態では、各ステージのミドル部分が、ステージのインテイク端部および産出端部の下方に配置され得る。このような例示の反応器のミドル部分が、反応器ステージのこれらのミドル部分のうちのいずれかのミドル部分であってよい。反応ガスが反応器の各ステージの各ミドルセクションの中にパルスとして供給され得る。例えば、方法が、セメント原料ミールが反応器を通過させられるときに第1の反応器ステージのミドル部分の中への反応ガスを複数のパルスとするようにパルス化することであって、その結果、セメント原料ミールが反応器の第1の端部から反応器の第2の端部まで移動するときにセメント原料ミールがパルス化された反応ガスに接触することになる、ことと、セメント原料ミールが反応器を通過させられるときに第2の反応器ステージのミドル部分の中への反応ガスを複数のパルスとするようにパルス化することであって、その結果、セメント原料ミールが反応器の第1の端部から反応器の第2の端部まで移動するときにセメント原料ミールがパルス化された反応ガスに接触することになる、ことと、含むことができる。
【0021】
複数のステージを利用する排出低減装置の実施形態の場合、ステージが直列に配置され得、その結果、第1のステージが処理された原料ミールを第2のステージに供給し、第2のステージが、処理された原料ミールを、第2のステージの下流にある別のステージ(例えば、第3のステージ)に産出するか、または原料ミールを第2のステージの下流にある別のステージに送る。セメント原料ミールを上流のステージからすぐ隣の下流のステージまで直接に誘導するために、および最後のステージにより、処理されたセメント原料ミールを産出するために、直列に配置される任意の数のステージが存在してよい。
【0022】
反応ガスの複数のパルスが各パルスが予め選択されるパルス時間を有することになるように構成され得、このパルス時間において、反応ガスが反応器のミドル部分の中に供給され、この予め選択されるパルス時間の直後に、中断時間において、反応ガスが反応器のミドル部分の中に供給されるのを停止され、この中断時間が、予め選択されるパルス時間の終了の直後に開始される。予め選択されるパルス時間が、特定のセットの設計基準を満たすように選択される予め選択される任意の時間であってよい。例えば、予め選択されるパルス時間が、最大、0.01秒、1マイクロ秒、1ミリ秒、5ミリ秒、10ミリ秒、または1秒であってよい。中断時間が、同様に、特定のセットの設計基準を満たすように選択される予め選択される任意の時間であってよい。例えば、予め選択される中断時間が、最大、0.01秒、1マイクロ秒、1ミリ秒、5ミリ秒、10ミリ秒、または1秒であってよい。パルス時間および中断時間が、反応器の位置およびその反応器のための動作目的に応じて、異なる反応器ごとに異なっていてよい。また、パルス時間および中断時間が、予熱器の動作パラメータに対応することを目的としてまたは特定のセットの動作目的を満たすことを目的として、運転中に変化させられてもよい。いくつかの実施形態では、一定の割合の反応ガスが一定の流量で供給され得ることが企図される。本方法のこのような実施形態の場合、反応ガスのパルスが同様に反応器の中に供給され得、それによりパルスとしての反応ガスの流れを増やすことができる。したがって、反応ガスの増大した流量のパルスを提供することを目的として反応ガスの一定の流れを補完するために、反応ガスのパルス化が行われ得る。
【0023】
反応器のミドル部分が輸送ガス供給源に接続可能となり得、その結果、輸送ガスが反応器のミドル部分の中へ供給可能となる。このような実施形態の場合、この方法が、反応器のミドル部分から反応器の第2の端部まで輸送ガスを通過させるために輸送ガスを反応器のミドル部分の中にパルスとして供給することをさらに含むことができる。輸送ガスがパルスとして反応器のミドル部分の中に供給され得、その結果、輸送ガスが反応ガスと同期でまたは反応ガスと非同期で供給される。本方法のいくつかの実施形態では、一定の割合の輸送ガスが一定の流量で供給され得ることが企図される。本方法のこのような実施形態の場合、輸送ガスのパルスが同様に反応器の中に供給され得、それによりパルスとしての輸送ガスの流れを増やすことができる。したがって、輸送ガスの増大した流量のパルスを提供することを目的として輸送ガスの一定の流れを補完するために、輸送ガスのパルス化が行われ得る。
【0024】
本方法のいくつかの実施形態では、排出低減装置が直列に配置される複数の反応器を有することができるか、または直列に位置決めされる複数の反応器ステージを有する反応器を有することができる。このような反応器のいくつかの実施形態が、2重のU状の形状、3重のU状の形状、または他の種類の形状(例えば、2重のV状の形状、W状の形状、など)を有するように構成され得る。
【0025】
排出低減装置と、セメント製造プラントと、プラントに少なくとも1つの排出低減装置を追加設置するためのキットと、このようなプラントのための予熱器に少なくとも1つの排出低減装置を追加設置するためのキットと、同排出低減装置を作って使用する方法と、の他の詳細、対象、および利点が、その特定の例示の実施形態の以下の説明が進むにつれて明らかとなる。
【0026】
排出低減装置と、セメント製造プラントと、プラントに少なくとも1つの排出低減装置を追加設置するためのキットと、セメントクリンカの生産プロセスにおいてセメント原料ミールを処理するセメント製造プラント内で使用されるための排出低減装置と、同排出低減装置を作って使用する方法と、の例示の実施形態が添付図面に示される。図面で使用される同様の参照符号が同様の構成要素を示していてよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】セメント製造プラントの第1の例示の実施形態を示す概略図である。
【
図2】セメント製造プラントの第1の例示の実施形態に含まれ得る例示の排出低減装置を示す概略部分図である。
【
図3】セメント製造プラントの第1の例示の実施形態に含まれ得る例示の排出低減装置を示す概略部分図である。
【
図4】セメント製造プラントの第1の例示の実施形態に含まれ得る例示の排出低減装置を示す概略部分図である。
【
図5】セメント製造プラントの第1の例示の実施形態に含まれ得る例示の排出低減装置を示す概略部分図である。
【
図6】セメントクリンカ生産プロセスにおいて原料ミールを処理するための例示の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~6を参照すると、セメント製造プラント100が、燃料を燃焼するものであるかまたは燃料を燃焼させる燃焼器からの高温ガスを利用するものであるか焼器(または、キルン)を有することができる。燃焼器または高温ガスを排出する他のプロセス要素からのエグゾーストガスまたは燃焼排ガスが、セメント原料ミールをか焼器または他の処理デバイスに供給する前にセメント原料ミール材料(例えば、セメントの形成のための処理で使用される固体粒子)を予加熱するための予熱器2を通過させられ得る。いくつかの実施形態では、か焼器および/またはキルン内で処理されるセメント原料ミールがキルンまたはか焼器からクリンカクーラ4まで産出され得る。
【0029】
セメント原料ミールは、例えば石灰石などの原料材料を粉砕することにより得られる粒子であってよく、粉砕された材料に追加され得る添加物などの他の材料(例えば、予熱器2に供給されるセメント原料ミールのための所望の構成物を提供するのを補助することができるような、粘土、砂、鉄鉱石、または他の添加物)をさらに含むことができる。セメント原料ミールは、小さいサイズ範囲を有する固体粒子(例えば、固体粒子の粉末など)であってよい。セメント原料ミールのための例示のサイズ範囲は、100~50マイクロメートルの範囲、150~25マイクロメートルの範囲、または他の小さいサイズ範囲であってよい。
【0030】
予熱器2が一連のセパレータデバイス3を有することができる。各セパレータデバイスが、粒子を混入させているガスから固体粒子を分離するように構成され得る。含まれるセパレータデバイス3の数は、予め選択される設計基準のセットによって決定される。例えば、一連のセパレータデバイス3が、第1のセパレータデバイスと、第2のセパレータデバイスと、第3のセパレータデバイスと、第4のセパレータデバイスと、第5のセパレータデバイスとを含むことができる複数のセパレータデバイス3を有することができる。例えば、頂部側のセパレータデバイス3、底部側のセパレータデバイス3、および頂部側のセパレータデバイス3と底部側のセパレータデバイス3との間にある1つまたは複数の中間のセパレータデバイス3が存在してよい。セパレータデバイスが、いくつかの実施形態では、サイクロンまたはサイクロンセパレータとして構成され得る。燃焼排ガスが、か焼器を接続しているところの燃焼器から底部側のセパレータデバイス3まで通過することができ、次いで予熱器2内の底部側のセパレータデバイス3の上方に配置される1つまたは複数の中間のセパレータデバイス3を通過し、次いで予熱器2の頂部側のセパレータデバイス3を通過する。
【0031】
図1に示される例示の実施形態から分かるように、セメント原料ミールが頂部側のセパレータデバイス3を介して予熱器2の中に供給され得る。供給導管17または他の種類の供給機構が、セメント原料ミールを頂部側のセパレータデバイス3の中に供給するのを促進することができる。
図1で分かるように、頂部側のセパレータデバイス3による処理のためにセメント原料ミールを供給するための2つ以上のこのような供給導管17が存在してよい。例えば、いくらかの量のセメント原料ミールが、下側のセパレータデバイス3から頂部側のセパレータデバイス3まで通過する燃焼排ガスの中にセメント原料ミールを導入する供給導管17を介して頂部側のセパレータデバイス3の中に供給され得(例えば、燃焼排ガスをセパレータデバイスの中に供給することができる燃焼排ガス導管7の中で)、対して別の供給導管がセメント原料ミールを頂部側のセパレータデバイス3に提供する。頂部側のセパレータデバイス3の中で加熱されるセメント原料ミールが、上側のセパレータデバイス3から燃焼排ガス導管7まで延在することができるセメント原料ミール出口導管18を介して別の下側のステージのセパレータデバイス3まで移送され得、ここでは燃焼排ガス導管7が燃焼排ガスを下側のステージのセパレータデバイス3に供給するものであり、その結果、セメント原料ミールが燃焼排ガスに相互混合され、その後、下側のステージのセパレータデバイス3の中に供給され、それにより燃焼排ガスから分離され、別の下側のステージのセパレータデバイス3に産出される。
【0032】
セメント原料ミールが、燃焼排ガスの逆流としてセパレータのうちの1つまたは複数のセパレータを通過することができ、か焼器4に対しての供給のために、セパレータデバイス3から出て焼器4に向かって通過するときに燃焼排ガスから熱を吸収することができる。加熱されたセメント原料ミールがセパレータデバイス3の底部側の出口または他の出口から出る形で通過することができ、それによりセメント原料ミール導管18(例えば、固定粒子導管の1つの種類)を介して別の予熱器要素まで移送される。燃焼排ガスが、予熱器の1つのセパレータデバイス3から別のセパレータデバイス3まで延在することができる燃焼排ガス導管7に流体連通される燃焼排ガス排出口または燃焼排ガス出口5のところにあるセパレータデバイス3の頂部領域または上側領域の近くで、セパレータデバイス3から出る形で通過することができる。
【0033】
各セパレータデバイス3が、セメント原料ミール出口導管18ならびに燃焼排ガス入口6および燃焼排ガス出口5に流体連通される内側チャンバを画定するボディを有することができ、その結果、入口および出口がセパレータデバイスのボディによって画定される内側チャンバに連通され、それにより燃焼排ガスの進入および脱出ならびにセメント原料ミールの受け取りおよび産出を促進する。ボディが、セパレータデバイスのボディ内で燃焼排ガスをセメント原料ミールに混合させるように構成され得、その結果、固体粒子のセメント原料ミールが燃焼排ガスによって加熱され、底部側のまたは下側のセメント原料ミール出口導管18を通過する粒子および上側の燃焼排ガス出口5の導管を通って燃焼排ガス導管7まで通過する燃焼排ガス(高温の燃焼排ガスおよび低温のセメント原料ミールからの熱伝達のために燃焼排ガスに相互混合される固体粒子を有さない)により燃焼排ガスから分離される。
【0034】
セメント原料ミール導管18がセパレータデバイスのセメント原料ミール出口から燃焼排ガス導管7まで延在することができ、ここでは燃焼排ガス導管7が下側のセパレータデバイス3の燃焼排ガス出口5から上側のセパレータデバイスの燃焼排ガス入口6まで延在する。最も底側のセパレータデバイス3が、最も底側のセパレータデバイス3のセメント原料ミール出口から産出されるセメント原料ミールをか焼器4に供給するための導管に接続され得る。予熱器2が、少なくとも1つの排出低減装置21をさらに有することができる。
【0035】
例えば、いくつかの実施形態では、第1の排出低減装置21が頂部側のセパレータデバイスと上から2番目のセパレータデバイスとの間に(例えば、第1のステージのセパレータデバイス3と第2のステージのセパレータデバイス3との間に)配置され得る。他の実施形態では、
図1において破線で示されるように、第1の排出低減装置21が、第2のステージのセパレータデバイス3と、第2のステージのセパレータデバイス3の下方にある第3のステージのセパレータデイバス3との間に設けられ得る。他の実施形態では、予熱器2が、異なるセパレータデバイスのステージの間に位置する複数の排出低減装置21を有することができる(例えば、
図1において実線で示されるような、第1のセパレータのステージと第2のセパレータのステージとの間にある第1の排出低減装置21、および
図1において破線で示されるような、第2のステージと第3のステージとの間にある第2の排出低減装置21、の両方を含む、など)。1つまたは複数の排出低減装置21を有する実施形態の場合、セパレータデバイス3から産出されるセメント原料ミールが処理のためにセメント原料ミール導管18を介して排出低減装置21まで運ばれ得、その後、処理されたセメント原料ミールが下側のステージのセパレータデバイスの燃焼排ガス導管7まで供給され、ここでは燃焼排ガス導管7がこのセパレータデバイス3の燃焼排ガス入口6を介して下側のステージのセパレータデバイス3まで燃焼排ガスを供給する。セメント原料ミールから望ましくない構成物質を取り除くことを目的として排出低減装置21を介してセメント原料ミールを処理するのに利用され得るプロセスガスが、排出低減装置21からトリートメントデバイス31またはセメント原料ミール供給導管に産出され得、トリートメントデバイス31またはセメント原料ミール供給導管が予熱器2の頂部側のセパレータデバイス3または第1のステージのセパレータデバイス3にセメント原料ミールを供給する。
【0036】
図2を参照すると、第1および第2のステージのセパレータデバイス3の間に配置される排出低減装置21を有するセメント製造プラント100の第1の例示の実施形態が、排出低減装置21のための例示の構成をより良好に例示するために示されている。頂部側のセパレータデバイス3内で分離されるセメント原料ミールが、セメント原料ミール導管18を介して、排出低減装置21の反応器21に産出される。反応器21aが、反応器21aの中に供給される少なくとも1つの反応ガスとのセメント原料ミールの所望の反応を促進することを目的として、予め選択される形状(例えば、U形プロフィール、V形プロフィール、V状形状のプロフィール、U状形状のプロフィール、など)を有する管状の構造または導管タイプの構造として構成され得る。
図2に示される反応器21aのボディが、セメント原料ミール導管18に結合される第1の端部21bから第2の端部21cまで延在する管状の構造(例えば、セメント原料ミールをそこを通して通過可能にするところの内側チャンバを画定するパイプ、管、多角形形状の導管、など)を有することができる。反応器21aの第2の端部21cが、燃焼排ガス導管7に結合される反応器セメント原料ミール出口導管22に接続され得る。反応器21aがその第1の端部21bと第2の端部21cとの間を延在することができ、その結果、反応器21aの管状の構造が全体的にU状の形状または全体的にV状の形状を有する。もちろん、反応器21aのボディが、C形、Y形、J形、または他の種類の形状(例えば、
図4および5に示されるW状の形状、など)、などの他の形状を有することもできる。
【0037】
いくつかの実施形態では、反応器21の形状が、第1の端部21bと第2の端部21cとの間の高さの差を比較的小さくするように、構成され得る。このような特徴により、反応器21aのための高さプロフィールの要求条件による予熱器の高さの要求条件に対しての影響を最小にすることが可能となる。
【0038】
反応器21aが、その第1の端部21bとその第2の端部21cとの間にあるミドル部分21dを有することができる。いくつかの構成では、ミドル部分21dが反応器21aの底部分であってよく、セメント原料ミールが反応器21aを通過するときにセメント原料ミールの粒子がこの底部分に集まることができる。反応ガスのパルスが、反応ガス供給源33から、底部分またはミドル部分21dにおいて、反応器の中へと通過させられ得る。反応ガス供給源33からの反応ガスの流量および流れの継続時間が、反応ガス供給源33と反応器21aとの間にあるバルブを介して制御され得、ここでは反応器21が反応ガス供給源供給導管に接続されており、この反応ガス供給源供給導管を通過する反応ガスが反応ガス供給源33から反応器21aに供給されることになる。さらに、反応器のミドル部分21d内にある反応ガス供給入口のところにあるバルブまたはノズルを制御することにより反応ガスの流れが制御され得、反応器のミドル部分21dのところで、反応ガスが、反応器21aを通過するセメント原料ミールに接触するために反応器21aの中へ通過させられる。反応ガスのパルス化は、特定のインターバルでパルスを発生させるように制御され得る。例えば、反応ガスの各パルスは、予め選択されるパルス時間にわたって継続的に反応器21aの中へガスを通過させるように発生させられ得、この予め選択されるパルス時間が終了すると、予め選択される中断時間にわたって反応ガスが反応器の中に流れることが防止される。パルスはポンプまたはファンの動作を始動させるかまたは修正することによって制御され得、ここでは、反応ガスを反応器21aの中に供給するときの入口圧力が変更され、その結果、増大した反応ガス流れのパルスが反応器の中の供給されることになるかまたは反応ガスの他のパルスが反応器の中に供給されることになる(例えば、反応ガスのパルスの間で継続する中断時間では反応ガスが反応器の中に供給されないようにするために反応ガスのパルスが供給される)。加えて(または、別法として)、反応器の中に供給される反応ガスの流量を調整するために移動可能であるバルブおよび/またはノズルが、反応器の中への反応ガスのパルスの供給を制御するのにも使用され得る。ポンプ、ファン、または他の種類の流体入口圧力制御機構の使用が、反応器21aの中に供給される反応ガスのパルスを提供するためのバルブ、ノズル、および/または他の流れ制御要素の利用との組み合わせで、またはそれに対しての別法として、利用され得る、ことを理解されたい。
【0039】
パルス化は繰り返し行われ得、パルスの継続時間および中断時間の継続時間が予熱器の特定の設計目的または動作条件(例えば、燃焼排ガスおよびセメント原料ミールの流量、温度条件、圧力条件、予熱器の始動フェーズ、予熱器の停止動作フェーズ、など)を満たすように調整または変更され得る。
【0040】
反応ガスのパルスを提供するために利用可能となり得るバルブ、ノズル、ポンプ、ブロア、またはファン要素の制御が制御装置によって実現され得る。制御装置が、非一時的メモリおよび少なくとも1つの送受信機に接続されるプロセッサを有するハードウェアを有するコンピュータデバイスであってよい。制御装置が反応ガス流れ制御要素(例えば、ファン、ブロア、ポンプ、バルブ、ノズル、流れセンサ、温度センサ、圧力センサ、など)に通信可能に接続され得、それにより、反応器21aのミドル部分21dの中に反応ガスをパルスとして供給するために、これらの要素と通信し、および/またはこれらの要素を制御する。
【0041】
例示のパルス時間が、反応器21aのミドル部分21d(例えば、底部分)の中に供給されている反応ガスのマイクロ秒またはミリ秒のパルスを促進するように構成され得る。もちろん、特定の設計目的を満たすために他のパルス時間が使用されてもよい。例示のパルス時間には、例えば、最大1マイクロ秒、最大1ミリ秒、最大0.0001秒、最大0.5秒、最大1秒、最大2秒、最大25秒、最大1分、最大0.01秒、最大5ミリ秒、最大10ミリ秒、などが含まれ得る。例示の中断時間が、パルス時間に一致するような、または、例えば、最大1マイクロ秒、最大1ミリ秒、最大0.0001秒、最大0.01秒、最大5ミリ秒、最大10ミリ秒、最大0.5秒、最大1秒、最大2秒、最大25秒、最大1分などの、別の時間に一致するような、時間となるように構成され得る。
【0042】
パルス時間および中断時間が、予熱器2内の反応器の位置およびその反応器のための動作目的に応じて、各反応器で変更され得、さらには特定の予熱器内の異なる反応器ごとに変更され得る。例えば、パルス時間および中断時間は、予熱器の動作パラメータに対応することを目的としてまたは特定のセットの動作目的を満たすことを目的として運転中に変更され得る。いくつかの実施形態では、一定の割合の輸送ガスが一定の流量で供給され得ることが企図される。このような実施形態の場合、反応ガスのパルスが同様に反応器の中に供給され得、それによりパルスとしての輸送ガスの流れを増やすことができる。反応ガスの増大した流量のパルスを提供することを目的として反応ガスの一定の流れを補完するために、反応ガスのパルス化が行われ得る。
【0043】
予熱器の各反応器21aにおいて、パルスの間の中断時間の継続時間、およびパルス時間が、運転中に変更され得る。特定のセットの動作目的を満たすことを目的として予熱器の検出される動作パラメータに対応するために、このような時間の変更が行われ得る。反応ガス(および/または、輸送ガス)の拍動の制御が、制御装置によって動作させられる制御ループによって画定され得る。制御ループの動作によりパルス時間および中断時間の変更が行われ得る。このような時間の変更は、制御ループを画定する手法、および特定のセットの予め画定される動作目的を満たすことを目的として反応器の中に供給されるパルスを調整するための制御ループにおいて画定される感知される状態に起因するものとなり得る。予熱器内の異なる反応器内において供給される反応ガスおよび/または輸送ガスのパルスを制御するために異なる制御ループが利用されてよいことを理解されたい。例えば、反応器の位置決め、および予熱器内の反応器の異なる位置に起因して存在すると予期される動作条件に対応することを目的として、異なる反応器21aのために使用される異なる制御ループのために異なるパルスパラメータが利用され得る。異なる制御装置がこれらの異なる制御ループを動作させることができるか、または単一の制御装置が予熱器内の異なる反応器に割り当てられる複数の制御ループを実装することができる。
【0044】
セメント原料ミールのための例示のサイズ範囲は、100~1マイクロメートルの範囲、150~0マイクロメートルの範囲、または他の小さいサイズ範囲であってよい。このような小さい粒子サイズを有する粉末が一体に凝集することができ、一般にはGeldart Group Cの粒子と分類される。これにより、粒子凝集によって生じ得るチャネリングを原因として、大量の下向きの粒子流量を有するような、またガス/固体の接触を低減するような、粉末ベッドを通るガスの流れが得られることが確認された。このような要因により、粒子がガスと相互接触することが最小になることで、熱伝達または質量移動が低減される可能性がある。ガスのパルスを使用することにより粒子凝集およびチャネリングの形成が防止され得ることが確認された。これにより、粒子流量を大幅に改善することおよびガス/固体の接触を改善することを提供するのを補助することができ、それにより熱伝達および質量移動を大幅により効率的にすることが可能となり得る。反応器21aのための全体的にU形またはV形のタイプの構造との組み合わせでガスのパルスを使用することにより(ここでは、反応器のミドル部分21dが反応器の底部である)、チャネリングの低減(排除とは言わないまでも)および下向きの粒子流量の大幅な改善に寄与するのを補助することもでき、その結果、反応ガスとセメント原料ミールとの間で起こる熱伝達および質量移動のための固体/ガスの接触時間が大幅に改善される。このような特徴は、反応ガスとセメント原料ミールとの間の相互作用を改善するのに大きく寄与することができ、その結果、反応ガスがセメント原料ミールからの要素を効果的に吸収することができ、それにより予熱器および/またはプラントからの望ましくない排出を低減することができる。
【0045】
反応器の底部を画定するかまたは反応器の底部である反応器21aのミドル部分21dは、第1の端部21bと第2の端部21cとの間の任意の中間部分であってよい。いくつかの実施形態では、反応器21aの底部である反応器のミドル部分21dが第1の端部21bと第2の端部21cとの間の反応器21aの中央部分であってよい。したがって、このように配置することにより、反応ガス/セメント原料ミールの接触のための所望の流れプロフィールを提供することが補助され得る。他の実施形態では、ミドル部分21dが、反応器の第1の端部21bと第2の端部21bとの間の反応器21aの中心を外れた中間部分であってよい。
【0046】
反応器21を通過するセメント原料ミールの流れは、水銀(Hg)、アンモニアなどの、望ましくない種々の構成元素を含む可能性がある。反応ガスは、このような望ましくない要素を取り除くかまたは低減するように選択または構成され得る。例えば、反応ガスの構成物および温度ならびに反応器21を通してパルス化される反応ガスの流量は、1つまたは複数の望ましくない要素の低減のための特定のセットの設計基準を満たす多数の適切な値のうちの任意の値であってよい。例えば、反応ガス供給源33が、原料ミール中の水銀(Hg)を酸化するように構成されるハロゲン化物を含む反応ガスを提供することができ、その結果、反応器21aを通過するセメント原料ミールに水銀が結合され、その結果、予熱器2から外へ排出される(例えば、降下管などを介して)ガスの中に水銀が存在しなくなる。
【0047】
加えて(または別法として)、反応ガス供給源33を介して供給される反応ガスが、反応器21aを通過するセメント原料ミールからの望ましくない構成物の要素を取り除くことを目的としてまたはそれらを他の形で低減することを試みることを目的として、セメント原料ミールを処理するための1つまたは複数の他の構成物質を含むことができる。例えば、反応ガス供給源33の反応ガスが、セメント原料ミール中に存在する有機窒素の化学種の熱変換からの反応生成物をアンモニア(NH3)から亜酸化窒素(NOX)へとシフトするように構成され得る圧縮空気または酸素(O2)富化圧縮空気を含むことができる。このような処理がNH3の排出を低減することができ、他方でNOXの排出をわずかにのみ増大させる可能性がある。許容されるNHXの排出レベルはしばしば許容されるNH3の排出レベルより高いことから、排出の構成物質のこのような変化が、プラントおよび/または予熱器2からの排出の排出レベルを大幅に向上させることができる。加えて(または別法として)、反応ガス供給源33からの反応ガスが、二酸化硫黄(SO2)の排出(黄鉄鉱の硫化物を含むセメント原料ミールの場合に有意である可能性がある)、塩化水素(HCl)の排出を軽減するのを促進するように、有機炭素総量(TOC)の排出を低減するのを補助するように、および/または他の要素の排出を低減するのを補助するように、構成される構成物および温度を有することができる。
【0048】
セメント原料ミールに接触するためにミドル部分21dのところにおいて反応器21aを通過する反応ガスが第1の端部21bの方に向かうように反応器21aを通過させられ得、それにより反応ガス出口導管23を介して産出される。反応ガス出口導管23が、利用された反応ガスを産出するために、頂部側のセパレータデバイス3に接続される降下管に接続され得る。反応器21aから燃焼排ガス導管7の中に供給される処理された原料ミールが、燃焼排ガス導管7を通過する燃焼排ガスを介して、別のセパレータデバイス3に供給され得、その結果、セメント原料ミールがさらに予加熱され得、次いで燃焼排ガスから分離され得る。
【0049】
さらに、輸送ガス供給源35(
図2において破線で示される)が反応器21bのミドル部分21dに接続され得、それにより、反応器21aを通した反応ガスの移送を促進するのを補助し、十分な流量で反応ガスをパルス化するのを促進するのを補助し、および/または反応器21aを通るセメント原料ミールの所望される流量を促進するのを補助する。さらに、輸送ガスが、反応器を通過するセメント原料ミールから要素を切り離すこと、および反応器21a内でセメント原料ミールが反応ガスと反応した後で輸送ガスから取り除かれ得るセメント原料ミールから望ましくない構成物質を取り除くこと、を補助するように機能することができる。輸送ガスが、空気、圧縮空気、窒素(N
2)、または予め選択される設計基準を満たす別の適切なガスなどの、任意適切なガスであってよい。輸送ガスを反応器21aに供給するときの流量およびパルス継続時間が、反応ガスの流れを制御するときと同じ手法で制御され得る(例えば、バルブ、ポンプ、ファン、制御装置、および/または他の要素を使用する)。
【0050】
例えば、輸送ガスのパルスを提供するために利用可能となり得るバルブ、ノズル、ポンプ、ブロア、またはファン要素の制御が制御装置によって実現され得る。制御装置が、非一時的メモリおよび少なくとも1つの送受信機に接続されるプロセッサを有するハードウェアを有するコンピュータデバイスであってよい。制御装置が輸送ガス流れ制御要素(例えば、ファン、ブロア、ポンプ、バルブ、ノズル、流れセンサ、温度センサ、圧力センサ、など)に通信可能に接続され得、それにより、反応器21aのミドル部分21dの中に輸送ガスをパルスとして供給するために、これらの要素と通信し、および/またはこれらの要素を制御する。輸送ガスの制御のために利用される制御装置は、反応ガスのパルス化を制御するために使用され得るのと同じ制御装置であってよいかまたは別個の制御装置であってよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、さらに、一定の割合の輸送ガスが一定の流量で供給され得ることが企図される。このような実施形態の場合、輸送ガスのパルスが同様に反応器の中に供給され得、それによりパルスとしての輸送ガスの流れを増やすことができる。さらに、反応ガスの増大した流量のパルスを提供することを目的として輸送ガスの一定の流れを補完するために、輸送ガスのパルス化が行われ得る。
【0052】
パルスを介して反応ガスおよび輸送ガスの両方が反応器に供給されるような実施形態では、反応ガスが底部側のミドル部分21dのところにおいて反応器の中に供給され得、その結果、反応ガスがミドル部分21dから反応器21aの第1の端部21bまで移動することになる。U状のまたはV状の形状を有する反応器形状の場合、反応ガスのこのような上方の流れが、第1の端部21bからミドル部分21dまで通過するセメント原料ミールに接触した後で反応ガス出口導管23の方に移動させるように反応ガスを動かすことができる。輸送ガスがパルスを介して輸送ガス供給源(例えば、圧縮空気、反応器21まで空気を動かすための周囲空気に流体連通されるファン、など)から供給され得、その結果、輸送ガスが反応器のミドル部分21dから反応器の第2の端部21cまで通過する。輸送ガスのこの動きが、存在する可能性がある望ましくない化学種をセメント原料ミールから切り離すように機能することができ、その結果、このような望ましくない化学種が、予熱器2を通過させられることになる燃焼排ガスと混合される。さらに、パルス化された輸送ガスが、燃焼排ガス導管7の中への供給のために反応器21aの第2の端部21cまでセメント原料ミールを動かすのを補助することができ、それにより、処理されたセメント原料ミールを、燃焼排ガスからの分離のためのさらには予加熱のための下流のセパレータデバイス3の方に誘導する。
【0053】
図3を参照すると、排出制御装置21が予熱器2の上側のセパレータデバイス3と下側のセパレータデバイス3との間に配置され得、それにより、このセパレータデバイス3のセメント原料ミール出口に接続されるセメント原料ミール導管18を介して上側のセパレータデバイス3から産出されるセメント原料ミールを受け取る。いくつかの実施形態では、上側のセパレータデバイス3が、頂部側のセパレータデバイスまたは上から2番目のセパレータデバイス3(例えば、第2のステージのセパレータデバイス)であってよい。下側のセパレータデバイス3が下側のステージのセパレータデバイス3(例えば、上側のセパレータデバイスが第1のステージのデバイスである場合は、第2のステージのセパレータデバイスであり、上側のセパレータデバイスが第2のステージのデバイスである場合は、第3のステージのセパレータデバイスである、など)であってよい。
【0054】
セメント原料ミールが反応器21aの第1の端部21bを通過することができ、反応器21aの第2の端部21cの方に移動させられ得る。反応ガス供給源33および輸送ガス供給源35からの反応ガスおよび輸送ガスのパルスが反応器のミドル部分21dに供給され得、それにより所望の動作パラメータの範囲内で特定の望ましくない排出(例えば、水銀、アンモニア、など)を所望の割合で低減することを試みることを目的として原料ミールを処理する。いくつかの実施形態では、反応ガスが反応器21aの中に供給され得、その結果、反応ガスが反応器のミドル部分21dから反応器の第1の端部21bまで通過してそれにより反応器21aの最初の脚部または通路内でセメント原料ミールに接触し、その後、トリートメントデバイスに結合されるガス産出導管27を介して産出され、それにより使用された反応ガスをトリートメントデバイス31まで移送する。トリートメントデバイス31は、予熱器2から離れたところにあるデバイスであってよいかあるいは予熱器2の上にまたは予熱器2に隣接するところに配置されるデバイスであってよい。トリートメントデバイス31が、使用された反応ガス中のNOXの構成物を低減するように、使用された反応ガス中のNH3を低減するように、または反応器21aの通過時にセメント原料ミールから反応ガスが吸収した望ましくない構成元素を取り除くことを目的として使用された反応ガスを他の形で処理するように、構成され得る。トリートメントデバイス31が、例えば、ガス流れに対しての液体洗浄を実現することができる洗浄ユニット、ガスから特定の構成元素を濾過することができる濾過デバイス、および/またはプラント100から最終的に排出されるガスから望ましくない構成物質を低減するように構成される他のトリートメント機構を有することができる。
【0055】
輸送ガスが、反応器21aのミドル部分21dに流体連通される輸送ガス供給源35を介して反応器21aの中に供給され得る。さらに、輸送ガスがパルスを介して反応器21aの中に供給され得る。輸送ガスが反応器21aの中に誘導され得、ここでは、輸送ガスが、反応器のミドル部分21dから反応器21aの第2の端部21cまでにおいて反応器21aを通してパルス化されるストリッピングガス(stripping gas)として機能することになる。輸送ガスが、セメント原料ミールから望ましくない化学種を取り除くのを補助するために十分な温度を有してよく、またこれを行うための構成物であってよく、その結果、望ましくない要素が輸送ガス中で吸収されることになる。次いで、輸送ガスが、反応器の第2の端部21cを接続しているところの燃焼排ガス導管7内で燃焼排ガスと混合され得、その結果、輸送ガスによってセメント原料ミールから切り離された望ましくない化学種が予熱器を通過させられて降下管まで誘導され、プラント100から排出される、および/または他の処理を受ける。
【0056】
図4および5を参照すると、排出低減装置21のいくつかの実施形態が、W状の形状を有する反応器などの、直列の複数の反応器21aとして構成される反応器21aを有するように構成され得、または直列に配置される複数の反応器を有する排出低減装置21とみなされ得る。W状の形状を有する反応器が角度のついた垂直方向のセグメントを有する必要があるというわけではないことを理解されたい。垂直方向のセグメントがある角度をつけられて延在するのではなく、完全に垂直であってもよく、その結果、セグメントが垂直方向および水平方向に延在することになる。例えば、W状の形状は、「W」形状の構成および/または「VV」タイプの構成の他に、「UU」タイプの構成を有してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の反応器21aがその第1の端部21bを介してセメント原料ミールを受けることができ、その第2の端部21cから第2の反応器21aの第1の端部21bの中へセメント原料ミールを直接に供給することができる。他の実施形態では、第3の反応器が、第1および第2の反応器と直列となるように第2の反応器の下流に配置され得、それにより第2の反応器からセメント原料ミールを直接に受け取る。他の実施形態では、排出低減装置21が2つの反応器のみを有してもよいか、または4つ以上の反応器を有してもよい。直列に位置合わせされる複数の反応器21aを有する排出低減装置21の実施形態の場合、排出低減装置21が、加えて(または別法として)、直列に配置される複数の反応器ステージ21kを有する単一の反応器として構成されるものとして見なされてもよい(例えば、第1の反応器が第1の反応器ステージとみなされてよく、第2の反応器が第2の反応器ステージとみなされてよく、(存在する場合の)第3の反応器が第3の反応器ステージとみなされてよい、などである)。各反応器ステージ21kのミドル部分21dが、このような排出低減装置21のための単一の反応器のミドル部分であってよい。
【0058】
複数の反応器ステージ21kまたは複数の反応器21cを有するように構成され得る排出低減装置21のいくつかの実施形態では、排出低減装置21が、装置21内で原料ミールを処理するためにセメント原料ミールのための流れ経路を画定するのを補助するように構成され得る。例えば、第1の反応器21a(または第1の反応器ステージ21o)が、セメント原料ミール出口導管18からセメント原料ミールを受け取る第1の端部21bを有することができる。第1の反応器21a(または反応器ステージ21o)が全体的にU状の形状またはV状の形状を有するように構成され得、その結果、セメント原料ミールがこのステージの第1の端部21bから第2の端部21cの方に通過することになり、その結果、セメントミールが、第1の端部21bより下側にあってさらに第2の端部21cより下側にある下側のミドル部分21dを通過することになる。このミドル部分の流れ経路が、第1のステージ21oの第1の端部21bと上側出口端部21rとの間に位置する第1のミドル部分21gであってよい。
【0059】
第1の反応器ステージ21oの出口端部21rが第2の反応器ステージ21pの第1の端部21sに流体連通され得、その結果、第1の反応器ステージ21oからのセメント原料ミールが、第1の反応器ステージ21oから第2の反応器ステージ21pに、直接に供給され得る。第2の反応器ステージ21pが、その第1の端部21sからその第2の端部21zまでの通路を画定するボディを有することができ、その結果、セメント原料ミールが、第1の端部21sと第2の端部21zとの間で第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hを通過することができる。第2の反応器ステージ21pが、第1の端部21sから第2の端部21zまで延在するバイパス通路21yをさらに有することができ、その結果、流体が、第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hの領域を通過することなく、第2の反応器ステージ21pを通過させられ得る。このバイパス通路21yが第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hの上方に配置され得、さらに第2の反応器ステージ21pの第1の端部21sと第2の端部21zとの間を線形的に延在することができる。いくらかの量のセメント原料ミールが、第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hを通って流れるのではなく、バイパス通路21yを通過することが可能であることも可能である。
【0060】
バルブまたは他の要素が、バイパス通路を通過可能となり得るセメント原料ミールの量を調整することを目的としてバイパス通路21yの各端部(または、少なくとも、第2の反応器ステージ21pの上側の第1の端部21sに流体連通される上側の端部21v)のところに位置していてよい(例えば、バルブが、セメント原料ミールまたは流体が通路を通過するのを防止するために閉じられたり、異なる複数の開位置(例えば、完全な開位置、実質的な開位置、部分的な開位置、および閉位置との間)まで開けられたりされ得、それにより第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hを迂回するように、ある程度の量の流体およびある程度の量のセメント原料ミールが通路を通過することが可能となる)。
【0061】
第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hが第1の反応器ステージ21oのミドル部分21gの下方に配置され得る。下側の位置は、第2の反応器ステージ21pの第1の端部21sから第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hまで延在する通路21tの長さによって画定され得る。この通路21tの長さは、第1の反応器ステージ21oのミドル部分21gから、第2の反応器ステージ21pの第1の端部21sの口部分に流体連通される第1の端部21rの口部分まで延在する第1の反応器ステージ21oの通路の長さの2倍~5倍(例えば、3倍または3.73倍など)であってよい。
【0062】
第1の反応器ステージ21oおよび第2の反応器ステージ21pの寸法は異なっていてもまたは等しくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の反応器ステージ21oのための反応器通路が、第2の反応器ステージ21pの対応する通路と比較して、より小さい直径または幅、およびより小さい長さを有することができる。第2の反応器ステージ21pの通路がより幅広のまたはより大きい直径を有することができ、さらに、より長い通路セグメントを有することができる。例えば、第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hから第2の反応器ステージ21pの第1の端部21sの入口の口部分まで延在する第2の反応器21pの通路の長さおよび幅の両方が、第1の端部21bの入口の口部分から第1の反応器ステージ21oのミドル部分21gまで延在する第1の反応器21oの対応する通路の長さおよび幅より大きくてよい。別の実施例として、第2の反応器21pのミドル部分21hから第2の端部21zの出口の口部分まで延在する第2の反応器21pの産出通路21xの長さが、第1の反応器ステージ21oのミドル部分21gから第1の反応器ステージ21oの第2の端部21rの出口の口部分まで延在する第1の反応器ステージ21oの対応する出口通路より大きくてよい。さらに、第2の反応器ステージ21pの通路の内径または幅が第1の反応器ステージ21oの通路の内径または幅より大きくてよい。
【0063】
第3の反応器ステージが含まれるような他の実施形態では、対応する通路の長さおよびこの通路の内径または幅が第2の反応器ステージ21pの通路より大きくてよいかまたは小さくてよい。他の実施形態では、第1の反応器ステージ21oが、より大きい長さならびに/あるいはより大きい内側の幅または内径を有する第2の反応器ステージ21pの通路に対応する通路を有することができることが企図される。
【0064】
第1の反応器ステージ21oのミドル部分21gが、反応ガスの供給源33および輸送ガスの供給源35に接続され得る。さらに、第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hが、反応ガスの供給源33および輸送ガスの供給源35に接続され得る。第2の反応器ステージ21pが、第1の反応器ステージ21oと同じ反応ガスおよび輸送ガスの供給源に接続され得るか、または追加の供給源に接続され得る。反応ガスのパルスが、反応ガス供給源33から、底部分21gまたはミドル部分21hのところで反応器ステージ21kの中まで通過させられ得る。反応ガス供給源33から第1の反応器ステージ21oまでの反応ガスの流れの流量および継続時間が、反応ガス供給源33と反応器21aとの間にあるバルブを介して制御され得、ここでは反応器21aが反応ガス供給源供給導管に接続されており、この反応ガス供給源供給導管を通過する反応ガスが反応ガス供給源33から第1の反応器ステージ21oのミドル部分21gまで供給されることになる。加えて(または別法として)、ポンプ、ファン、または他の種類の流体入口圧力制御機構が、第1の反応器ステージ21oの中に供給される反応ガスのパルスを提供することを目的として、第1の反応器ステージ21oの中に供給されている反応ガスの入口圧力を変化させるように異なる設定で動作することができる。
【0065】
さらに、反応ガス供給源33から第2の反応器ステージ21pまでの反応ガスの流れの流量および継続時間が、反応ガス供給源33と反応器ステージ21pとの間にあるバルブを介して制御され得、ここでは反応器ステージ21pが反応ガス供給源供給導管に接続されており、この反応ガス供給源供給導管を通過する反応ガスが反応ガス供給源33から第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hまで供給されることになる。さらに、反応器のミドル部分21d内にある反応ガス供給入口のところにあるバルブまたはノズルを制御することにより反応ガスの流れが制御され得、反応器のミドル部分21dのところで、反応ガスが、反応器を通過するセメント原料ミールに接触するために反応器の中へ通過させられる。加えて(または別法として)、ポンプ、ファン、または他の種類の流体入口圧力制御機構が、第2の反応器ステージ21pの中に供給される反応ガスのパルスを提供することを目的として、第2の反応器ステージ21pの中に供給されている反応ガスの入口圧力を変化させるように異なる設定で動作することができる。
【0066】
反応ガスのパルス化は、特定のインターバルでパルスを発生させるように制御され得る。例えば、反応ガスの各パルスは、予め選択されるパルス時間にわたって継続的に第1の反応器ステージ21oの中へガスを通過させるように発生させられ得、この予め選択されるパルス時間が終了すると、予め選択される中断時間にわたって反応ガスが反応器の中に流れることが防止される。別の実施例として、反応ガスの各パルスは、予め選択されるパルス時間にわたって継続的に第2の反応器ステージ21pの中へガスを通過させるように発生させられ得、この予め選択されるパルス時間が終了すると、予め選択される中断時間にわたって反応ガスが反応器の中に流れることが防止される。パルス化は繰り返し行われ得、パルスの継続時間および中断時間の継続時間が予熱器の特定の設計目的または動作条件(例えば、燃焼排ガスおよびセメント原料ミールの流量、温度条件、圧力条件、予熱器の始動フェーズ、予熱器の停止動作フェーズ、など)を満たすように調整または変更され得る。第1の反応器ステージ21oおよび第2の反応器ステージ21pの中へ反応ガスが供給されるときの拍動は同期(例えば、同じタイミングかつ等しいパルス継続時間)であってもまたは非同期(例えば、異なるタイミング、または異なるタイミングかつ異なるパルス継続時間)であってもよい。
【0067】
すべての実施形態において、反応ガスのパルスを提供するために利用可能となり得るバルブ、ノズル、ポンプ、ブロア、またはファン要素の制御が制御装置によって実現され得る。制御装置が、非一時的メモリおよび少なくとも1つの送受信機に接続されるプロセッサを有するハードウェアを有するコンピュータデバイスであってよい。制御装置が反応ガス流れ制御要素(例えば、ファン、ブロア、ポンプ、バルブ、ノズル、流れセンサ、温度センサ、圧力センサ、など)に通信可能に接続され得、それにより、反応器21aのミドル部分21dの中に反応ガスをパルスとして供給するために、これらの要素と通信し、および/またはこれらの要素を制御する。
【0068】
さらに、輸送ガス供給源35(
図2において破線で示される)が反応器21bのミドル部分21dに接続され得、それにより、反応器21aを通した反応ガスの移送を促進するのを補助し、十分な流量で反応ガスをパルス化するのを促進するのを補助し、および/または反応器21aを通るセメント原料ミールの所望される流量を促進するのを補助する。さらに、輸送ガスが、反応器を通過するセメント原料ミールから要素を切り離すこと、および反応器21a内でセメント原料ミールが反応ガスと反応した後で輸送ガスから取り除かれ得るセメント原料ミールから望ましくない構成物質を取り除くこと、を補助するように機能することができる。輸送ガスが、空気、圧縮空気、窒素(N
2)、または予め選択される設計基準を満たす別の適切なガスなどの、任意適切なガスであってよい。輸送ガスを反応器21aに供給するときの流量およびパルス継続時間が、反応ガスの流れを制御するときと同じ手法で制御され得る(例えば、バルブ、ポンプ、ファン、制御装置、および/または他の要素を使用する)。
【0069】
例えば、輸送ガスのパルスを提供するために利用可能となり得るバルブ、ノズル、ポンプ、ブロア、またはファン要素の制御が制御装置によって実現され得る。制御装置が、非一時的メモリおよび少なくとも1つの送受信機に接続されるプロセッサを有するハードウェアを有するコンピュータデバイスであってよい。制御装置が輸送ガス流れ制御要素(例えば、ファン、ブロア、ポンプ、バルブ、ノズル、流れセンサ、温度センサ、圧力センサ、など)に通信可能に接続され得、それにより、反応器21aのミドル部分21dの中に輸送ガスをパルスとして供給するために、これらの要素と通信し、および/またはこれらの要素を制御する。輸送ガスの制御のために利用される制御装置は、反応ガスのパルス化を制御するために使用され得るのと同じ制御装置であってよいかまたは別個の制御装置であってよい。
【0070】
輸送ガスが、パルスを介して輸送ガスおよび反応ガスの両方が反応器に供給されるような形で、排出低減装置21の各反応器ステージの中に供給され得、その結果、反応ガスが、反応器21aのミドル部分21dから第1の端部21bまで反応ガスが移動する。U状のまたはV状の形状を有する反応器形状の場合、反応ガスのこのような上方の流れが、第1の端部21bから第1の反応器ステージ21oのミドル部分21gまでまたは第2の反応器ステージ21pの第1の端部21sから第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hまで通過するセメント原料ミールに接触した後で、反応器の第1の端部21bに流体連通される反応ガス出口導管23の方に移動させるように反応ガスを動かすことができる。輸送ガスがパルスを介して輸送ガス供給源35(例えば、圧縮空気、反応器21aまで空気を動かすための周囲空気に流体連通されるファン、など)から供給され得、その結果、輸送ガスが第1の反応器ステージ21oのミドル部分21gから反応器の第2の端部21cまで通過し、輸送ガスが、第2の反応器ステージ21pの中で、第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hに隣接するところに供給され、それにより第2の反応器ステージ21pのミドル部分21hから反応器の第2の端部21cの方に向かうセメント原料ミールの移送が促進される。さらに、輸送ガスの供給、およびこのガスの動きが、存在する可能性がある望ましくない化学種をセメント原料ミールから切り離すように機能することができ、その結果、このような望ましくない化学種が、予熱器2を通過させられることになる燃焼排ガスと混合される。さらに、パルス化された輸送ガスが、燃焼排ガス導管7の中への供給のために反応器21aの第2の端部21cまでセメント原料ミールを動かすのを補助することができ、それにより、処理されたセメント原料ミールを、燃焼排ガスからの分離のためのさらには予加熱のための下流のセパレータデバイス3の方に誘導する。パルス化される輸送ガスはまた、バイパス通路21yを通過させるために輸送ガスの少なくとも一部をバイパス通路21yまで動かすように、パルス化され得る。セメント原料ミールから切り離される任意の要素と共に輸送ガスを産出するためのガス導管が、このガスを降下管まで産出するためのバイパス通路、燃焼排ガス導管、トリートメントデバイス31までガスを移送するための導管、またはセメント原料ミール製造設備の他の要素、に接続され得る。
【0071】
例示のパルス時間が、反応器のミドル部分21d(例えば、第1の反応器ステージ21oのミドル部分21g、および第2の反応器ステージ21pのミドル部分21h)の中に供給されている反応ガスのマイクロ秒またはミリ秒のパルスを促進するように構成され得る。もちろん、特定の設計目的を満たすために他のパルス時間が使用されてもよい。例示のパルス時間には、例えば、最大1マイクロ秒、最大1ミリ秒、最大0.0001秒、最大0.5秒、最大1秒、最大2秒、最大25秒、最大1分、最大0.01秒、最大5ミリ秒、最大10ミリ秒、などが含まれ得る。例示の中断時間が、パルス時間に一致するような、または、例えば、最大1マイクロ秒、最大1ミリ秒、最大0.0001秒、最大0.01秒、最大5ミリ秒、最大10ミリ秒、最大0.5秒、最大1秒、最大2秒、最大25秒、最大1分などの、別の時間に一致するような、時間となるように構成され得る。
【0072】
パルス時間および中断時間が、予熱器2内の反応器の位置およびその反応器のための動作目的に応じて、各反応器で変更され得、さらには特定の予熱器内の異なる反応器ごとに変更され得る。例えば、パルス時間および中断時間は、予熱器の動作パラメータに対応することを目的としてまたは特定のセットの動作目的を満たすことを目的として運転中に変更され得る。いくつかの実施形態では、一定の割合の反応ガスが一定の流量で供給され得ることが企図される。このような実施形態の場合、反応ガスのパルスが同様に反応器の中に供給され得、それによりパルスとしての反応ガスの流れを増やすことができる。反応ガスの増大した流量のパルスを提供することを目的として反応ガスの一定の流れを補完するために、反応ガスのパルス化が行われ得る。いくつかの実施形態では、さらに、一定の割合の輸送ガスが一定の流量で供給され得ることが企図される。このような実施形態の場合、輸送ガスのパルスが同様に反応器の中に供給され得、それによりパルスとしての輸送ガスの流れを増やすことができる。さらに、反応ガスの増大した流量のパルスを提供することを目的として輸送ガスの一定の流れを補完するために、輸送ガスのパルス化が行われ得る。他の実施形態では、反応器の中に供給されるガスの一定の流れが常に存在するわけではないという形で、パルスが反応器の中に供給され得、その結果、パルスの中断時間中、反応器21または反応器ステージ21kの中に供給されるガスの流れが存在しない。例えば、反応ガスのパルスの中断時間中、この中断時間において反応器ステージの中に供給される反応ガスの流れが一切存在しない可能性があり、輸送ガスのパルスの中断時間中、この中断時間において反応器ステージの中に供給される輸送ガスの流れが一切存在しない可能性がある。
【0073】
図6を参照すると、予め存在するプラントに1つまたは複数の排出低減装置21を追加設置して、次いでプラントを稼働させるための例示の方法が、ステップS101~S105に提示されている。これらのステップには、セメントクリンカ生産プロセスにおいて原料ミールを処理するセメント製造設備の中に少なくとも1つの排出低減機構を設置する、というS101が含まれる。この方法がS102をさらに含むことができ、ここでは、セメント原料ミールが導管を介して第1のセパレータデバイス3から第2のセパレータデバイスまで通過させられ、その結果、セメント原料ミールが第1のセパレータデバイス3から第2のセパレータデバイス3まで移動するとき、セメント原料ミールが反応器を通過させられることになる。ステップS103では、ガスがパルスとして反応器の中に導入され得る(例えば、反応ガス、反応ガスおよび輸送ガス、など)。ガスのパルスは、反応器21aの中へのガスの供給サイクルの離間される継続時間であってよく、ここでは、ガスの継続的な流れが予め選択される流量で反応器21aの中まで通過させられ、次いでパルス時間の終了の直後に開始される中断時間においてガスの流れが停止される。中断時間およびパルス時間は、各々、0.5~5ミリ秒の範囲、または本明細書で考察される何らかの他の時間範囲(例えば、マイクロ秒のパルス範囲、ミリ秒のパルス範囲、100分の1秒のパルス範囲、など)であってよく、本明細書で考察されるように制御され得る。ステップS104で、セメント原料ミール(セメント原料ミールから望ましくない化学種を切り離すのに使用されるパルス化された任意の輸送ガスと共に)が反応器21aから燃焼排ガス供給導管7を介して第2のセパレータデバイス3に産出され得、ここでは第2のセパレータデバイス3に反応器21aが接続されている(例えば、セメント原料ミール出口導管22を介して)。セメント原料ミールから望ましくない化学種を取り除くために反応器21aを通過させられるパルス化された反応ガスが、反応器21aの第1の端部21bから、さらなる処理のためにおよび/または周囲空気に排出されるためにトリートメントデバイス31または降下管に産出され得る。反応器21aの第2の端部21cから産出されるセメント原料ミールが予熱器2の別のセパレータデバイス3を通過させられ得、その後、ステップS105に示されるように、か焼器またはキルンに供給され得る。反応器21aから産出されるセメント原料ミールはさらに、予加熱されたり、1つまたは複数の他のセパレータデバイス3を介して燃焼排ガスから分離されたりされ得るが、いくつかの実施形態では、反応器の第2の端部21cから産出されるセメント原料ミールが他のセパレーデバイスタを一切通過させらずに代わりにか焼器4に直接に供給されてもよいことも企図される。
【0074】
少なくとも1つの排出低減装置21を設置するのを容易にするためにキットが提供され得る。このキットが少なくとも1つの反応器21aを有することができる。このキットが、導管、バルブ、センサ、少なくとも1つの制御装置、design plan、設置具、および/または設置ツールなどの、他の要素をさらに有することができる。このキットは、販売のために提供され得、ならびに/あるいは1つまたは複数の排出低減装置21を有させるように従来のプラントまたは予熱器に追加設置を行うために使用され得る。例えば、このキットの実施形態が、プラント100において、または粉末状であるサイズ範囲などの比較的小さいサイズを有する固体粒子材料(例えば、その後の処理のための材料を提供することができる破砕回路または粉砕回路からの微粉状材料のストリームと一体である包含物)の流れを利用することができる別の種類の機構において、少なくとも1つの排出低減装置21を予熱器2の中に設置するのに利用され得る。
【0075】
反応器21aのサイズおよび形状は、予め存在する予熱器2の高さのいかなる変化も最小にすることを試みるように、および/またはコンパクトな予熱器2で特定のセットの設計基準に対応するのを可能にするように、構成され得る。これは追加設置を行うのに特に有用である。その理由は、特定の形状の反応器21aの使用が、予め存在する予熱器2の中への嵌め込みを行うように設計され得るからである。例えば、入口の高さおよび出口の高さ(例えば、第1の端部21bおよび第2の端部21cの高さ)を比較的小さい範囲でオフセットすることができるU形またはV形の反応器または他の形状の反応器は、予熱器2の構造を有意に変化させることなく、または少なくとも1つの排出低減装置21を追加設置されることになる予熱器2の高さを変更するのを必要とすることなく、セメント原料ミールに接触するガスにより排出低減装置21を提供するのを可能にすることができる。
【0076】
排出低減装置21の反応器21aの実施形態が効率的な機構を提供するように構成され得、この効率的な機構を用いることにより、セメント原料ミールから1つまたは複数の望ましくない化学種を取り除くことを目的としてセメント原料ミールを取り扱うために、反応ガスが、エネルギー損失を有意に犠牲することなく、予熱器の高さを増大させるのを必要とすることなく、過剰量の反応物質を使用するのを必要とすることなく、および反応器21を通過させる過剰なガス流れを必要とすることなく、粉末(例えば、比較的小さい粉末状のサイズを有するセメント原料ミールサイズの粒子)に接触させられ得る。このような利点により、性能を向上させるような、ならびにプラント100および/または予熱器2からの排出を改善するような、コスト効率の高い実装形態が可能となる。このような動作上の利点に加えて、排出低減装置の実施形態が、予熱器の高さに対して(影響を与えるにしても)無視できる程度の影響しか与えないような比較的小さい設置面積を有することができ、それにより、予熱器にこの装置を含めることに付随する資本コストを比較的低く抑えるのを補助することができる。したがって、排出低減装置21の実施形態が、予熱器および/またはプラント100からの排出をコスト効率の高い形で改善するためのコスト効率の高い手段を提供することができる。排出低減装置21の実施形態が、SO2の排出(例えば、セメント原料ミール材料中に存在する黄鉄鉱の硫化物からの)、NH3の排出、Hgの排出、HClの排出、および/または原料ミール中に存在する有機物質に起因し得るTOCの排出、を軽減するように構成され得る。
【0077】
セメント製造プラント100の多様な実施形態および排出低減機構の多様な実施形態が特定のセットの設計基準を満たすために多様な構成を利用することができることを認識されたい。例えば、各セパレータデバイス3の幾何形状、高さ、幅(または直径)が特定の設計目的を満たすようにサイズ決定され得る(例えば、プラント100または予熱器2の予め存在する支持構造に対応すること、所望の処理能力に対応すること、などのために)。別の実施例として、セパレータデバイス3の数が特定のセットの設計基準によって決定され得る。いくつかの実施形態では、1つのセパレータデバイス3のみが必要となる可能性があるかまたは底部側のおよび頂部側のセパレータデバイスのみが必要となり得ることが企図される。他の実施形態では、3つのセパレータデバイス3が使用され得るかまたは5つ以上のセパレータデバイスが使用されてもよい(例えば、5つ、6つ、7つ、など)。各ボディの幾何形状および形状が、特定のセットの設計基準を満たす任意の特定の構成であってよい。別の実施例として、実施形態が以下のことを目的として構成され得る:予熱器2、特定のセパレーションデバイス3、および予熱器2に含まれる他の要素の動作のための、および/またはか焼器の動作のための、流量、所望の温度範囲、および所望の圧力範囲を満たすように、供給導管、燃焼排ガス導管、または他の導管のサイズおよび構成を構成する。別の実施例として、反応ガスの種類、反応ガスの温度、および反応ガスの流量が、特定のセットの設計基準(例えば、予熱器2またはプラント100の運転プロフィール、特定の種類の元素(例えば、Hg、NH3、SO2、HCl、TOC、およびこれらの組み合わせ、など)を低減するためにセメント原料ミールから取り除かれるべき化学種、など)に対応するための任意適切なおよび任意適切な構成物を有することができる。
【0078】
別の実施例として、反応ガスおよび/または輸送ガスのパルス化、ならびにこのようなパルス化の手法が、特定のセットの設計基準を満たすように制御および/または調整される。多様な構成および/または組み合わせの、バルブ、ノズル、ポンプ、ブロア、ファン、および/または他の流れ制御要素が、予め選択されるセットの動作目的を満たすことを目的として所望の反応器ベッドの状態を実現するようなパルスを提供するのに使用され得る。運転中、特定のセットの動作目的を満たすために、これらの要素を介して、反応ガスの入口圧力、パルス時間、パルスの間の中断時間、構成物、および/または輸送ガスの構成物が変えられ得る。このような変化は、いくつかの実施形態では、これらの要素の動作を制御することを目的として、1つまたは複数の制御装置によって動作させられる1つまたは複数の制御ループによって画定され得る。いくつかの実施形態では、このような制御装置の各々が、多様な制御装置の設定値または制御ループの設定値を調整するときに操作者が使用することができるプロセス制御プログラムを実行するワークステーションに通信可能に接続され得る。このワークステーションがさらに、センサ、バルブ、ポンプ、ファン、または他のプロセス要素に通信可能に接続され得る。
【0079】
別の実施例として、排出低減装置21の実施形態が微粉状材料のストリームと協働するように含まれ得る。このストリームは、(例えば、予熱器2に供給される前、などで)別のプラントプロセスに供給されることになる材料を処理することができる摩鉱回路または破砕回路を介して提供され得る。いくつかの実施形態では、排出低減装置21が、例えば、セメント原料ミールを予熱器2に供給する前にセメント原料ミールを取り扱うために予熱器2の上流に配置され得る。このような排出低減装置21の反応器21aが、セメント原料ミールのハロゲン化物を取り扱うように、および/またはセメント原料ミール中に存在する可能性がある水銀を酸化するように、構成され得、その結果、酸化水銀が、予加熱されたセメント原料ミールから切り離されたり煙道ガス(セメント原料ミールが予熱器2を通過するときに加熱されることの結果として発生し得る)中に排出されたりする代わりにセメント原料ミールに結合され得る。
【0080】
他の実施形態では、排出低減装置21が、この粉末材料を取り扱うのに、粉末状のサイズを有する材料の微粉状の固体粒子の流れが利用されるような、他のプラントまたはプロセスでも利用され得ることが企図される。したがって、排出低減装置21がセメント原料ミールの処理と併せた使用のみに限定されないことを理解されたい。(セメント原料ミールに加えてまたはセメント原料ミールの代わりとして)他の固体粒子材料が排出低減装置21と協働する形で取り扱われ得る(例えば、排出低減装置が、プラントまたは設備で利用される固体粒子材料の流れを取り扱うために、他の種類のプラントまたは設備内で利用され得る)。
【0081】
また、いくつかの構成要素、特徴、および/または構成が1つの特定の実施形態のみに関連させて説明され得るが、これらの同じ構成要素、特徴、および/または構成が多くの他の実施形態に適用され得るかまたはそのような多くの他の実施形態と共に使用され得、したがって、特に明記されない限り、あるいはこれらの構成要素、特徴、および/または構成を他の実施形態と共に使用することが技術的に不可能ではない限り、他の実施形態に適用可能であるとみなされるべきである、ということを認識されたい。したがって、種々の実施形態の構成要素、特徴、および/または構成が任意の手法で一体に組み合わせされ得、このような組み合わせは本言及により明示的に企図および開示されるものとする。
【0082】
したがって、上記において、排出低減装置、セメント製造プラント、プラントに少なくとも1つの排出低減装置を追加設置するためのキット、および同排出低減装置を作って使用する方法、の特定の例示の実施形態を示して説明してきたが、本発明がこれらの特定の例示の実施形態のみに限定されず、以下の特許請求の範囲内で多様な形で具現化および実施され得ることが明確に理解されよう。