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特許7326350ドライ型A.M.D.(加齢黄斑変性)を治療する組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ドライ型A.M.D.(加齢黄斑変性)を治療する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/573 20060101AFI20230807BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20230807BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230807BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61K31/573
A61K31/58
A61K38/17
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K45/06
A61P27/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020568005
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 AU2019000023
(87)【国際公開番号】W WO2019161434
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】2018900607
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520326552
【氏名又は名称】アイ シーオー ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペンフォルド フィリップ レスリー
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/089559(WO,A1)
【文献】特表2008-500282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者において地図状萎縮を治療するための医薬組成物であって、治療的有効量のフルドロコルチゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、又はフルドロコルチゾンアセトニドを含む、医薬組成物
【請求項2】
薬的に許容される担体、希釈液、又は医薬添加物を更に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記フルドロコルチゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、又はフルドロコルチゾンアセトニドは、ミネラルコルチコイド受容体とグルココルチコイド受容体の両方の作用を修飾することができる、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
トリアムシノロン、又はトリアムシノロンアセトニドを更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記トリアムシノロン、又はトリアムシノロンアセトニドは、3.0から5.0mg/mlの濃度で含まれる、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
種以上のミネラルコルチコイド、及び/又は1種以上のグルココルチコイドを更に含む、請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物が眼に注射されるものである、請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物が、単位投与処方物として提供される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物は防腐剤を含まない、請求項8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記フルドロコルチゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、もしくはフルドロコルチゾンアセトニド、又は医薬組成物は、滅菌されたものである、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の追加薬剤を更に含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記追加薬剤は、抗VEGF(血管内皮膚増殖因子)を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記抗VEGFは、ラニビズマブ(商標名Lucentis(登録商標))、アフリベルセプト(商標名Eylea(登録商標))、ベバシズマブ(商標名Avastin(登録商標))、及びOPT-302のうちの1つ以上を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記治療は予防治療を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライ型加齢黄斑変性(Age Related Macular Degeneration,A.M.D又はAMD)の治療のための組成物及び方法に関する。より具体的には、本発明は、1種以上の抗炎症剤を含む、ドライ型AMDを治療するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライ型AMDに対する内科的又は外科的治療が存在しないことは広く認識されている。
【0003】
アルナ・ゴルスプディ(Aruna Gorusupudi)、ケリー・ネルソン(Kelly Nelson)、及びポール・エス・バーンスタイン(Paul S Bernstein)は、鉱物、ビタミン、v-3(n-3)脂肪酸、及び各種のカロチノイド等、幅広い種類の栄養素がAMDのリスク低減に関連があることを示した。これらの論文執筆者は、加齢性眼疾患研究(Age-Related Eye Disease Study,AREDS)の結果によって、抗酸化剤(βカロチン、ビタミンC,E)及び亜鉛の補給がAMDの進行リスク低減に関与することが示されたと記すと共に、初期の配合を改良するために企画されたAREDS2フォローアップ研究において、ルテイン、ゼアキサンチン、及びv-3脂肪酸の添加を試したと記している。
【0004】
ただし、シン(Singh)は、AREDSにおいて、ビタミン補給が地図状萎縮(Geographic Atrophy,GA)の進行を抑制することは示されていないと述べている。GAは、AMDの進行形態であり、進行性の不可逆的網膜萎縮(光受容体、網膜色素上皮(Retinal Pigment Epithelium,RPE)、脈絡毛細管の萎縮)に至り得る。GAの病因は、多元的なもので、RPEの再生成を低下させる内因性及び外因性のストレッサによって誘発されると考えられる。萎縮領域は地図のように見え、このことから「地図状」の用語が理解される。GAの用語は、「ドライ型AMD」という用語と同義に用いられ、置き換え可能である。AREDS2において、肺癌のリスクを低減するためにβカロチンをルテイン/ゼアキサンチンと入れ替えたときにも、新しい配合によるGA進行の抑制は示されなかった。シンは、クリーブランドクリニック(Cleveland Clinic)のコールアイインスティチュート(Cole Eye Institute)において進行中の臨床研究に言及して、ドライ型AMDのメカニズムを更に解明及び解釈すると共に、進行を遅らせることを目指した新しい治療法を評価している。GAの治療に関して、2つの大規模な第III相の研究が進行している。フィリー(FILLY)の研究は、GAを有する患者へのAPL2(アペリスファーマシューティカルズ(Apellis Pharmaceuticals))の複数回の硝子体内(Intravitreal,IVT)注射の作用の安全性、忍容性、及び証拠を評価するものである。2つ目は、多施設での無作為抽出式二重マスク法による対照群を用いた(Sham-controlled)研究で、GAを有する患者へのランパリズマブ(lampalizumab)のIVT注射を調査するものである。
【0005】
また、シンは、補体調節不全とAMDの対応付けに至る、ドルーゼン内の補体副産物の発見から派生した別の領域の研究にも言及している。現在、複数の研究者が、非新生血管AMDの臨床治療対象として補体カスケードを評定しているところである。D因子は、補体H因子に関連した副経路の初期成分と考えられている。開発中の抗炎症剤としては、ランパリズマブ、フルオシノロン、グラチラマー酢酸塩、シロリムス、エクリズマブ、及びARC-1905が挙げられる。
【0006】
高輝度連続照明(Bright Continuous Light,BCL)への24時間露光は、古典経路とレクチン経路の成分、調節遺伝子、及び受容体を含む一連の補体系遺伝子の差次的発現を誘導することが判明している。C1qr1,MCP,Daf1,C1qTNF6は全て、光受容体の細胞死及びAP-1の発現に同調して変化し、この変化は24時間の露光でピークに達した。C1s及びC4aの発現がピークに達したのは露光の3日後であるが、C3,C3ar1,C5r1は最も遅れて露光から7日後であった。網膜血管内、視神経乳頭内、及び網膜下空間内、特に、発現している病変の辺縁におけるED1陽性及びIBA1陽性のミクログリア/マクロファージにC3のmRNAが検出された。この研究は、BCLがある範囲の補体遺伝子の長期的発現を誘導することを示した。加齢黄斑変性(AMD)における補体の病因的役割は、遺伝子対応付けの研究によって明らかになった。これらの研究は、AMD14-17の発生と共に、C2、C18、C19、CFB18、CFB19等の補体経路遺伝子における他の罹患性変異体とを有する、調節遺伝子補体H因子(CFH)における配列変異体Y402Hと中心成分C320-24との重要な対応関係を特定している。これらの研究成果は、AMDの発症と進行に影響を与える要因として補体の活性化及び炎症を立証すると言われていた(ルター(Rutar)他)。
【0007】
IL-1βは、網膜内のマイクログリアとマクロファージによって生成され、網膜変性においてミュラー細胞及びRPEによるケモカイン発現を促進する。AMD等の網膜ジストロフィにおけるケモカイン媒介炎症を広範に抑制する際に、IL-1βを対象とすることが提案されている(ネイトリ(Natoli)他)。
【0008】
網膜内のマイクログリア/マクロファージによって局所的に生成されるC3は、網膜変性を生じる原因に関与することが指摘されている。したがって、C3を対象とする遺伝子治療がAMDの進行を遅らせることに有用であると判明し得ることが示唆されている(ネイリ他、b)。
【0009】
シンも、視覚サイクル阻害物質は、後段の発達におけるもので、フェンレチニド、ACU-4429、及びALK-001を含むことを記述している。これらの化合物は、視覚サイクルをダウンレギュレートして、網膜代謝の有害廃棄生成物の蓄積を低減する。ドルーゼンにアミロイドβが見つかっており、アミロイドβの蓄積を調節するためのRN6G及びGSK933776が開発されている。
【0010】
シンによって記述された他の部類の治療法として神経保護薬があるが、この方法は現在開発中で、UF-021、毛様体神経栄養因子、ブリモニジン酒石酸塩の硝子体内移植を含む。MC-1101等の局所剤を用いて脈絡膜灌流を増やすことでAMDを遅滞させることが試みられている。HuCNS-SC及びMA09-hRPEを含む幹細胞治療も、GAの潜在的治療法として研究されている。
【0011】
ジョン(John)及びカレン・レピン(Karen Repine)によるEP0819003号明細書(特許文献1)には、黄斑変性の発症若しくは進行を治療又は予防する方法が記載されている。この方法は、グルタチオン(GSH)増強剤を単独で、又は抗酸化剤と抗炎症療法の少なくとも一方と組み合わせて周期的に投与することを含み、可能であれば、前述した対症療法を追加することを含む。
【0012】
イザーナセラピューティクス社(Isarna Therapeutics Gmbh)によるPCT/EP2014/056222号明細書(特許文献2)には、TGF-β1、TGF-β2、又はTGF-β3の核酸配列の選択領域の10から20のヌクレオチドから成るオリゴヌクレオチドが記載されており、このオリゴヌクレオチドは、LNA、ENA、ポリアルキレンオキシド-、2’-フルオロ、2’-O-メトキシ等の修飾ヌクレオチド、及び/又は2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。化合物又はオリゴヌクレオチドは、緑内障、後嚢混濁、ドライアイ、マルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群、リボブラストーマ(riboblastoma)、脈絡膜癌腫、加齢黄斑変性などの黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、又は、白内障を予防及び/又は治療する方法に用いられた。
【0013】
ヴィトリーザ・セラテューピクス社(Vitrisa Therapeutics Inc.)によるPCT/US2017/014458号明細書(特許文献3)には、補体D因子の阻害するアプタマを使用すること、及びドライ型加齢黄斑変性、地図状萎縮、ウェット型加齢黄斑変性、又はスターガルト病を治療するアプタマを使用することを含む方法及び組成が開示されている。
【0014】
ジェネンテックインコーポレイテッド(GENENTECH INC.)の特開2015-083609号明細書(特許文献4)には、D因子、プロペルジン、B因子、Ba因子、及びBb因子等の副補体経路、並びにC3a、C5、C5a、C5b、C6、C7、C8、C9、及びC5b-9等の古典補体経路を阻害するものを含む、眼に関連する状態又は疾患を治療する補体阻害剤が記載されている。眼に関連する状態又は疾患としては、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、眼球血管形成(脈絡膜、角膜、又は網膜の組織に影響を与える眼球血管新生等)、及び補体活性化を伴う他の眼球病態等が挙げられる。
【0015】
ユニバーシティオブフロリダリサーチファンデーションインコーポレイテッド(UNIVERSITY OF FLORIDA RESEARCH FOUNDATION,INC)によるPCT/US2015/020001号明細書(特許文献5)には、炎症の1つ以上の症状を予防、治療、及び/又は改善する方法及び組成が記載されており、炎症は、AMD、関節炎、ベーチェット病、ベスト病黄斑ジストロフィ、角膜炎症、糖尿病性網膜症、ドルーゼン形成、ドライ型AMD、ドライアイ、地図状萎縮、緑内障眼球血管新生、紅斑性狼瘡、黄斑変性、マラティアレベンチーヌ/ダインハニカム網膜ジストロフィ、腎炎、高眼圧症、網膜炎症、再発性ブドウ膜炎、ソースビー眼底変性症、脈管炎、硝子体網膜症、ウェット型AMD、又は関連疾患を含む。医薬組成物は、分泌性で細胞透過性のM013プロテイン又はペプチドを送達する組換えウィルスベクターを含む。
【0016】
デゥヴァシ・ジーブ(Dvashi Zeev)及びポーラック・アヤラ(Pollack Ayala)によるPCT/IL2015/051174号明細書(特許文献6)には、アルツハイマー病、及び/又は、AMD等の眼及び網膜の変性症の治療に用いる組成物が記載されている。記載された組成物は、有効量のH-Leu-Leu-Ome塩酸塩若しくは臭化水素酸塩、又はその機能性誘導体を含む。
【0017】
本明細書における従来技術に対する参照は、その従来技術が技術常識の一部を形成することについての容認又は何らかの形の示唆ではなく、そのような容認又は示唆として認識されてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】欧州特許第0819003号明細書
【文献】国際特許出願公開第2014/154836号パンフレット
【文献】国際特許出願公開第2017/127761号パンフレット
【文献】特開2015-083609号公報
【文献】国際特許出願公開第2015/138628号パンフレット
【文献】国際特許出願公開第2016/088125号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の実施形態は、概して、ドライ型加齢黄斑変性(AMD)を治療する組成物及び方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
広い形式において、本発明は、ドライ型AMDの治療に1種以上の抗炎症剤を使用することに関する。特定の実施形態において、1種以上の抗炎症剤は、1種以上のグルココルチコイド及び/又はミネラルコルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医薬的に許容される塩、若しくは抱合体を含む。
【0021】
一態様において、必ずしも唯一又は実際の最も広範な形式である必要はないが、本発明は、被検者においてドライ型AMDを治療する方法を提供し、本方法は、治療有効量の抗炎症剤を被検体に投与して、ドライ型AMDを治療することを含む。治療有効量の抗炎症剤は医薬組成物に含まれてよい。
【0022】
第2の態様において、本発明は、治療有効量の1種以上の抗炎症剤と、ドライ型AMDの治療に用いられる際の医薬的に許容される担体、希釈液、又は医薬添加物と、を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
第3の態様において、本発明は、ドライ型AMDの治療用薬剤の調製に、1種以上の抗炎症剤を含む医薬組成物を使用することを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の理解を容易にして実施可能とするために、付属の図面を参照しながら本発明の実施形態に言及する。図において、同じ参照番号は同じ要素を表す。図面は、単なる例としてのみ提示される。
【0025】
図1】in vivo(生体内)の実験結果を示す図で、コルチコイドステロイド治療(左側:TA、右側:FA)を行った場合、又は行わなかった場合(ケナログ(Kenelog)賦形剤のみ)について、細胞死の測定値(ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニックエンドラベリング(Terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labelling,TUNEL)法)、マクロファージ漸増(IBA1)、及び光酸化損傷後の機能(網膜電位図(ERG))を示す図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る、提案されたフルドロコルチゾン注射のための第1次スクリーニングで被験者から収集されたデータを示す図である。図2A及び図2Bに、被験者(FCA-001)の左右の眼の写真を示す。
図2B図2A及び図2Bに、被験者(FCA-001)の左右の眼の写真を示す。
図2C】同眼のレチノグラフを示す。
図2D】同眼のレチノグラフを示す。
図2E図2E図2Jに、同眼のトラッキングレーザートモグラフィ:OS(Oculus Sinister(左眼);左目)、FA 0:40.32 30°[HR](図2E)を示す。
図2F図2E図2Jに、同眼のトラッキングレーザートモグラフィ:OS,FA 0:54.38 30°ART[HR](図2F)を示す。
図2G図2E図2Jに、同眼のトラッキングレーザートモグラフィ:OD(Oculus Dextrus(右眼);右目)、FA 1:08.69 30°ART[HR](図2G)を示す。
図2H図2E図2Jに、同眼のトラッキングレーザートモグラフィ:OS,FA 3:15.35 30°ART[HR](図2H)を示す。
図2I図2E図2Jに、同眼のトラッキングレーザートモグラフィ:OD,FA 5:02.44 30°ART[HR](図2I)を示す。
図2J図2E図2Jに、同眼のトラッキングレーザートモグラフィ:OS,FA 10:09.49 30°ART[HR](図2J)を示す。
図2K図2K及び図2Lに、更なるトラッキングトモグラフィ:OS,BAF 30°ART[HR](図2K)を示す。
図2L図2K及び図2Lに、更なるトラッキングトモグラフィ:OD,BAF 30°ART[HR](図2L)を示す。
図2M図2M図2Rに、同眼の厚さマップ:OD IR 30°ART[HR](図2M及び図2N)を示す。
図2N図2M図2Rに、同眼の厚さマップ:OD IR 30°ART[HR](図2M及び図2N)を示す。
図2O図2M図2Rに、同眼の厚さマップ:OD OCT 20°(5.9mm)ART(14)A:27[HR](図2O)を示す。
図2P図2M図2Rに、同眼の厚さマップ:OS IR30°ART[HR](図2P及び図2Q)を示す。
図2Q図2M図2Rに、同眼の厚さマップ:OS IR30°ART[HR](図2P及び図2Q)を示す。
図2R図2M図2Rに、同眼の厚さマップ:OS OCT 20°(5.5mm)ART(16)Q:26[HR](図2R)を示す。
図3A】第0日、すなわち治療前に同被験者から収集されたデータを示す図である。図3A図3Fに、トラッキングレーザートモグラフィ:OD IR 30°ART[HR](図3A及び図3B)を示す。
図3B図3A図3Fに、トラッキングレーザートモグラフィ:OD IR 30°ART[HR](図3A及び図3B)を示す。
図3C図3A図3Fに、トラッキングレーザートモグラフィ:OD OCT 20°(5.9mm)ART(16)Q:25[HR](図3C)を示す。
図3D図3A図3Fに、トラッキングレーザートモグラフィ:OS IR 30°ART[HR](図3D及び図3E)を示す。
図3E図3A図3Fに、トラッキングレーザートモグラフィ:OS IR 30°ART[HR](図3D及び図3E)を示す。
図3F図3A図3Fに、トラッキングレーザートモグラフィ:OS OCT 20°(5.5mm)ART(16)Q:29[HR](図3F)を示す。
図3G】同眼のトラッキングトモグラフィ:OS,BAF 30°ART[HR](図3G)を示す。
図3H】同眼のトラッキングトモグラフィ:OD,BAF 30°ART[HR](図3H)を示す。
図4A】第1日、すなわち本発明の一実施形態に係るフルドロコルチゾンの注射後に同被験者から収集されたデータを示す図である。図4A及び図4Bに、視力検査値(スネレン(Snellan)指標)を示す。
図4B図4A及び図4Bに、視力検査値(スネレン(Snellan)指標)を示す。
図4C図4C及び図4Dに、トラッキングレーザートモグラフィ画像:OS IR 30°ART[HR](図4C)を示す。
図4D図4C及び図4Dに、トラッキングレーザートモグラフィ画像:OS BAF 30°ART[HR](図4D)を示す。
図4E図4E図4Gに、トラッキングレーザートモグラフィ:OS IR 30°ART[HR](図4E及び図4F)を示す。
図4F図4E図4Gに、トラッキングレーザートモグラフィ:OS IR 30°ART[HR](図4E及び図4F)を示す。
図4G図4E図4Gに、トラッキングレーザートモグラフィ:OCT 20°(5.5mm)ART(16)Q:32[HR](図4G)を示す。
図5A】第14日に同被験者から収集されたデータを示す図である。図5A及び図5Bに、トラッキングレーザートモグラフィ:OS,BAF 30°ART[HR](図5A)を示す。
図5B図5A及び図5Bに、トラッキングレーザートモグラフィ:OD,BAF 30°ART[HR](図5B)を示す。
図5C図5C図5Hに、更なるレーザートモグラフィ画像:OD IR 30ART[HR](図5C及び図5D)を示す。
図5D図5C図5Hに、更なるレーザートモグラフィ画像:OD IR 30ART[HR](図5C及び図5D)を示す。
図5E図5C図5Hに、更なるレーザートモグラフィ画像:OD OCT 20°(5.9mm)ART(16)Q:30[HR](図5E)を示す。
図5F図5C図5Hに、更なるレーザートモグラフィ画像:OS IR 30°ART[HR](図5F及び図5G)を示す。
図5G図5C図5Hに、更なるレーザートモグラフィ画像:OS IR 30°ART[HR](図5F及び図5G)を示す。
図5H図5C図5Hに、更なるレーザートモグラフィ画像:OS OCT 20°(5.5mm)ART(16):Q31[HR](図5H)を示す。
図5I】視力検査値(スネレン指標)を示す。
図5J】視力検査値(スネレン指標)を示す。
図6A】第28日に同被験者から収集されたデータを示す図である。図6A図6Hに、トラッキングレーザートモグラフィ結果:OD IR 30°ART[HR](図6A及び図6B)を示す。
図6B図6A図6Hに、トラッキングレーザートモグラフィ結果:OD IR 30°ART[HR](図6A及び図6B)を示す。
図6C図6A図6Hに、トラッキングレーザートモグラフィ結果:OD OCT 20°(5.9mm)ART(16)Q:28[HR](図6C)を示す。
図6D図6A図6Hに、トラッキングレーザートモグラフィ結果:OS IR 30°ART[HR](図6D及び図6E)を示す。
図6E図6A図6Hに、トラッキングレーザートモグラフィ結果:OS IR 30°ART[HR](図6D及び図6E)を示す。
図6F図6A図6Hに、トラッキングレーザートモグラフィ結果:OCT 20°(5.5mm)ART(16)Q:29[HR](図6F)を示す。
図6G図6A図6Hに、トラッキングレーザートモグラフィ結果:OD,BAF 30°ART[HR](図6G)を示す。
図6H図6A図6Hに、トラッキングレーザートモグラフィ結果:OS,BAF 30°ART[HR](図6H)を示す。
図6I】視力検査値(スネレン指標)を示す。
図6J】視力検査値(スネレン指標)を示す。
【0026】
熟練した読み手であれば、図中の要素は簡略化されて明瞭化されており、必ずしも実際と同じ縮尺ではないことを理解されよう。例えば、図中の一部の要素の相対寸法は、本発明の実施形態の理解の向上のために変更されている可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
前述した態様の一実施形態において、1種以上の抗炎症剤は、COX阻害物質、1種以上のミネラルコルチコイド又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医薬的に許容される塩、若しくは抱合体、1種以上のグルココルチコイド又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医薬的に許容される塩、若しくは抱合体、抗ロイコトリエン、及び/又はロイコトリエン受容体拮抗剤のうちの1つ以上を含む。COX阻害物質は、COX-1及びCOX-2の一方又は両方を阻害してよい。COX阻害物質は、非ステロイド系抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug,NSAID)を含んでよい。NSAIDは、イブプロフェン、銅イブプロフェネート(copper ibuprofenate)、インドメタシン、銅インドメタシン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、及び/又はセレコキシブを含んでよい。
【0028】
前述したいずれかの態様によれば、1種以上の抗炎症剤は、例えば、アセクロフェナク、アセメタシン、アセチルサリチル酸、5-アミノ-アセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナク、ベンダザック、ベルモプロフェン、α-ビサボロール、ブロムフェナク、ブロモサリゲニン、ブクロキス酸、ブチブフェン、カルプロフェン、シンメタシン、クリダナック、クロピラック、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサール、ジタゾール、エンフェナム酸、エトドラク、エトフェナマート、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロジン酸、フェンドサール、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール、フルフェナム酸、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、グルカメタシン、サルチル酸グリコール、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラック、イソキセパック、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラック、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、メチアジン酸、モフェゾラク、ナプロキセン、ニフルム酸、オキサセプロール、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パルサルミド、ペリソキサール、アセチルサリチル酸フェニル、オルサラジン、ピラゾラック(pyrazolac)、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、サラセタミド、サリチルアミド(salicilamide)-O-酢酸、サリチル硫酸(salicylsulphuric acid)、サルサラート、スリンダク、スプロフェン、スキシブゾン、テノキシカム、チアプロフェン酸、チアラミド、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、トロペシン、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラク、トモキシプロール、及びスリンダクのうちの1つ以上を含んでよい。
【0029】
前述した態様のいずれかの特定の一実施形態において、1種以上の抗炎症剤は、1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含んでよい。
【0030】
1種以上のミネラルコルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、11-デオキシコルチソン(11-DC);フルドロコルチゾン;フルドロコルチゾン酢酸エステル(FA);フルドロコルチゾンアセトニド(fludrocortisone acetonide);酢酸デオキシコルチコステロン(DA);デオキシコルチコステロン(DS);アルドステロン;又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体のうちの1つ以上を含んでよい。
【0031】
1種以上のグルココルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体のうちの1つ以上を含んでよい。
【0032】
1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、1種以上の二重作用化合物を含んでよく、各二重作用化合物は、ミネラルコルチコイド受容体とグルココルチコイド受容体の両方の作用を修飾することができる。
【0033】
二重作用化合物は、トリアムシノロン;トリアムシノロンアセトニド;コルチゾール;コルチゾン;プレドニゾン;プレドニゾロン;メチルプレドニゾロン;フルドロコルチゾン;フルドロコルチゾン酢酸エステル;フルドロコルチゾンアセトニド;又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体の1つ以上を含んでよい。
【0034】
特定の実施形態において、1種以上のミネラルコルチコイド、1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、フルドロコルチゾン又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含む。前述した治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、又は抱合体は、酢酸フルドロコルチゾン及びフルドロコルチゾンアセトニドのうちの1つ以上を含んでよい。
【0035】
フルドロコルチゾン、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体。
【0036】
前述した態様のいずれかの特定の一実施形態において、1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、トリアムシノロンアセトニド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含む。
【0037】
1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体がトリアムシノロンアセトニドを含む場合、その濃度は、3.0~5.0mg/mlであってよい。特定の一実施形態において、濃度は、4.0mg/mlであってよい。
【0038】
前述した態様のいずれかの他の特定の実施形態において、1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、トリアムシノロン及びフルドロコルチゾン、又はこれらのいずれか一方の治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含む。前述した治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、又は抱合体は、フルドロコルチゾン酢酸エステル、フルドロコルチゾンアセトニド、及びトリアムシノロンアセトニドの1つ以上を含んでよい。
【0039】
前述した態様のいずれかの他の実施形態において、1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、1種以上のミネラルコルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体と、1種以上のグルココルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体との混合物を含む。この混合物は、2種以上のミネラルコルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体;2種以上のグルココルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体;及び/又は1種以上のミネラルコルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体、及び1種以上のグルココルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含んでよい。
【0040】
第1の態様の一実施形態において、本方法は、少なくとも1種の抗炎症剤を目に注射することを更に含む。注射は、脈絡膜注射であってよい。
【0041】
第2の態様の一実施形態において、医薬組成物は、目に注射される。注射は、脈絡膜注射であってよい。
【0042】
前述した態様のいずれかの他の実施形態において、少なくとも1種の抗炎症剤は、単位用量配合物において提供される。単位用量配合物は、プレフィルドシリンジで提供されてよい。プレフィルドシリンジは2つの筒を含んでよい。第1の筒は、第2又は第3の態様の医薬組成物を含むことができる。第2の筒は、1種以上の追加薬剤を含むことができる。
【0043】
前述した態様のいずれかの他の実施形態において、1種以上の医薬的に許容される担体、希釈液、又は医薬添加物は、1種以上の界面活性剤又は湿潤剤を含んでよい。
【0044】
前述した態様のいずれかの更に他の実施形態において、界面活性剤はポリソルベートを含んでよい。ポリソルベートは、ポリソルベート20及びポリソルベート80の1つ以上を含んでよい。特定の実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80を含む。
【0045】
前述した態様の他の一実施形態において、医薬的に許容される担体、希釈液、又は医薬添加物は、カルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでよい。
【0046】
前述した態様のいずれかの一実施形態において、医薬組成物は、pH調整組成物及び注射用水の1つ以上を含んでよい。pH調整組成物は、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを含んでよい。
【0047】
前述した態様のいずれかの他の一実施形態において、医薬組成物は、6~8のpHを有する。pHは6~7.5であってもよい。
【0048】
前述した態様のいずれかの一実施形態において、医薬組成物は平衡塩類溶液を含む。平衡塩類溶液は、塩類及び緩衝液を含んでよい。平衡塩類溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム(脱水物)、塩化マグネシウム(六水和物)、酢酸ナトリウム(三水和物)、クエン酸ナトリウム(脱水物)、塩酸、水酸化ナトリウム、及び注射用水の1つ以上を含んでよい。
【0049】
前述した態様のいずれかの特定の他の実施形態において、医薬組成物は防腐剤を含まない。
【0050】
前述した態様のいずれか1つによれば、本発明の医薬組成物は、徐放性組成物を含んでよい。
【0051】
前述した態様のいずれか1つの特定の実施形態において、医薬組成物、又はその1つ以上の構成要素は滅菌されてよい。
【0052】
前述した態様のいずれか1つの一実施形態において、ドライ型AMDは、初期AMD及び地図状萎縮(GA)を含み、滲出型AMDとは異なる。滲出型AMDとは異なるということは、滲出型AMDがドライ型AMDに含まれないことを意味する。
【0053】
前述した態様のいずれか1つの別の実施形態において、治療は予防処置を含む。予防処置は、ドライ型AMDを防止するための治療、ドライ型AMDの素因の治療、又はドライ型AMDへの罹病性の治療を含み得る。素因又は罹病性は、眼疾患、又はドライ型AMD等の眼の異常の家族歴を有する個人を含み得る。防止又は予防は、ドライ型AMDの進行が完全に防止される、部分的に防止される、又は鈍化する場合に成功すると見なすことができる。
【0054】
前述した態様のいずれか1つの一実施形態において、本方法は、被験者に少なくとも1種の追加薬剤を投与することを更に含む。
【0055】
少なくとも1種の追加薬剤は、抗VEGF(抗血管内皮膚増殖因子)であってよい。抗VEGFは、ラニビズマブ(商標名:Lucentis(登録商標)(ルセンティス))、アフリベルセプト(商標名:Eylea(登録商標)(アイリーア))、ベバシズマブ(商標名:Avastin(登録商標)(アバスチン))、及びOPT-302のうちの1つ以上を含んでよい。
【0056】
本発明の更なる態様及び/又は特徴は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0057】
本発明の実施形態は、ドライ型加齢黄斑変性(AMD)を治療する組成物及び方法に関する。より詳細には、本発明は、1つ以上の抗炎症剤を含む、ドライ型加齢黄斑変性を治療する組成物及び方法に関する。
【0058】
ドライ型AMDは、視野の中央における視曚又は視覚喪失に至る医学的状態である。この疾患の初期段階において、進行状態は視覚の漸進的悪化によって確認でき、視覚の悪化は片眼又は両眼に作用し得る。完全な失明に至ることはないが、結果的に生じる中心視覚の損失により、顔の認識、運転、読むこと、他の日常の活動の実行が困難になる可能性があり、生活の質を低下させ得る。
【0059】
本明細書において、ドライ型AMDは地図状萎縮(GA)を含む。GAは、萎縮性の加齢黄斑変性(AMD)又は進行したドライ型AMDとしても知られており、網膜(光受容体、RPE、及び脈絡毛細管)の漸進的且つ不可逆的な損失に至り得る加齢黄斑変性の進行形態である。
【0060】
本明細書において、「ドライ型AMD」の用語は、ドライ型AMD、GA、及び萎縮性AMDを表すものとして用いられる。本明細書の一実施形態において、ドライ型AMDは、初期AMD及び地図状萎縮(GA)を含むが、滲出性AMDとは区別される。
【0061】
現在、AMDのドライ型においてウェット型よりも多くの視覚が失われている。ドライ型AMDに対する治療が長らく希求されている。
【0062】
本発明者の認識によれば、ドライ型AMDの乾性病変は、血管新生が生じない黄斑変性の固有最終段階であると考えられる。つまり、非常に多くの症例において眼はウェットではなくドライである。
【0063】
本明細書に提示するデータは、ドライ型AMDの齧歯類モデル(マウスとラットの両方のモデルが存在する)で生成したものであり、このデータはすでに公開されて承認されている。このモデルは評価されており、モデルに多数の治療介入が為され、このモデルが適切であること、ヒトモデルへのマップを提示すること、及び/又はヒトの状態との相似性を有することが示されている。
【0064】
いずれか1つの理論に縛られるつもりはないが、本発明者は、ドライ型AMDにおいてマクロファージがRPEの基底膜と、脈絡膜の基底膜を含むブルッフ(Brook)膜との間のクリーベッジ面(cleavage plane)に進入し、その結果生じる炎症がRPEを剥離させるという仮説を立てている。
【0065】
多くの事例において、慢性炎症細胞は、RPE基底膜と脈絡膜との間に定着する。軽度の慢性炎症が進むにつれてGA病変(新血管新生を伴わないドライ型AMDの固有最終段階)が悪化して拡大することから、本発明者は、最終段階のドライ型AMDに対してTA又は他の抗炎症剤と共にフルドロコルチゾンが示唆されることに気付いた。
【0066】
このため、本発明者は、ドライ型AMDは、フルドロコルチゾン又はトリアムシノロンのような抗炎症剤で効果的に治療し得ることを提案する。本発明によれば、臨床医が、急激に進行するドライ型AMDを有する患者にフルドロコルチゾンを注射できる可能性がある。
【0067】
本発明は、被験者においてドライ型AMDを治療する方法を提供し、本方法は、被験者に治療有効量の抗炎症剤を投与してドライ型AMDを治療することを含む。
【0068】
また、本発明は、治療有効量の1種以上の抗炎症剤と、ドライ型AMDの治療に用いられる際の医薬的に許容される担体、希釈液、又は医薬添加物と、を含む医薬組成物も提供する。
【0069】
また、本発明は、ドライ型AMDの治療用薬剤の調製に、1種以上の抗炎症剤を含む医薬組成物を使用することを提供する。
【0070】
1種以上の抗炎症剤は、COX阻害物質、1種以上のミネラルコルチコイド又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医薬的に許容される塩、若しくは抱合体、1種以上のグルココルチコイド又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医薬的に許容される塩、若しくは抱合体、抗ロイコトリエン、及び/又はロイコトリエン受容体拮抗剤のうちの1つ以上を含んでよい。COX阻害物質は、COX-1とXOX-2の一方又は両方を阻害してよい。COX阻害物質は、非ステロイド系抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug,NSAID)を含んでよい。NSAIDは、イブプロフェン、銅イブプロフェネート(copper ibuprofenate)、インドメタシン、銅インドメタシン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、及び/又はセレコキシブを含んでよい。
【0071】
1種以上の抗炎症剤は、例えば、アセクロフェナク、アセメタシン、アセチルサリチル酸、5-アミノ-アセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナク、ベンダザック、ベルモプロフェン、α-ビサボロール、ブロムフェナク、ブロモサリゲニン、ブクロキス酸、ブチブフェン、カルプロフェン、シンメタシン、クリダナック、クロピラック、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサール、ジタゾール、エンフェナム酸、エトドラク、エトフェナマート、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロジン酸、フェンドサール、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール、フルフェナム酸、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、グルカメタシン、サルチル酸グリコール、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラック、イソキセパック、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラック、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、メチアジン酸、モフェゾラク、ナプロキセン、ニフルム酸、オキサセプロール、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パルサルミド、ペリソキサール、アセチルサリチル酸フェニル、オルサラジン、ピラゾラック(pyrazolac)、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、サラセタミド、サリチルアミド(salicilamide)-O-酢酸、サリチル硫酸(salicylsulphuric acid)、サルサラート、スリンダク、スプロフェン、スキシブゾン、テノキシカム、チアプロフェン酸、チアラミド、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、トロペシン、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラク、トモキシプロール、及びスリンダクのうちの1つ以上を含んでよい。
【0072】
1種以上の抗炎症剤は、1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含んでよい。
【0073】
1種以上のミネラルコルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、11-デオキシコルチソン(11-DC);フルドロコルチゾン;フルドロコルチゾン酢酸エステル(FA);フルドロコルチゾンアセトニド(fludrocortisone acetonide);酢酸デオキシコルチコステロン(DA);デオキシコルチコステロン(DS);アルドステロン;又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、騒動体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体のうちの1つ以上を含んでよい。
【0074】
1種以上のグルココルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体のうちの1つ以上を含んでよい。
【0075】
1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、1種以上の二重作用化合物を含んでよく、各二重作用化合物は、ミネラルコルチコイド受容体とグルココルチコイド受容体の両方の作用を修飾することができる。
【0076】
二重作用化合物は、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、フルドロコルチゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、フルオドロコルチゾンアセトニド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体の1つ以上を含んでよい。
【0077】
1種以上のミネラルコルチコイド、1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、フルドロコルチゾン、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含んでよい。治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、又は抱合体は、酢酸フルドロコルチゾン及びフルドロコルチゾンアセトニドのうちの1つ以上を含んでよい。
【0078】
1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、トリアムシノロンアセトニド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含んでよい。1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体がトリアムシノロンアセトニドを含む場合、その濃度は、3.0~5.0mg/mlであってよい。特定の一実施形態において、濃度は、4.0mg/mlであってよい。
【0079】
本明細書の教示から、当業者は、1種以上の抗炎症剤の適切な投与量を容易に選択することができる。
【0080】
1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、トリアムシノロン及びフルドロコルチゾン、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含んでよい。治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、又は抱合体は、フルドロコルチゾン酢酸エステル、フルドロコルチゾンアセトニド、及びトリアムシノロンアセトニドのうちの1つ以上を含んでよい。
【0081】
1種以上のミネラルコルチコイド及び/又は1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体は、1種以上のミネラルコルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体と、1種以上のグルココルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体と、の混合物を含んでよい。この混合物は、2種以上のミネラルコルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体、2種以上のグルココルチコイド、又はその治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体、及び/又は1種以上のミネラルコルチコイド及び1種以上のグルココルチコイド、又はこれらの治療効果のある類似体、誘導体、同族体、医療的に許容される塩、若しくは抱合体を含んでよい。
【0082】
少なくとも1種の抗炎症剤は眼に注射されてよい。注射は、脈絡膜注射であってよい。
【0083】
少なくとも1種の抗炎症剤は、単位用量配合物において提供される。単位用量配合物は、プレフィルドシリンジで提供されてよい。プレフィルドシリンジは2つの筒を含んでよい。第1の筒は、第2又は第3の態様の医薬組成物を含むことができる。第2の筒は、1種以上の追加薬剤を含むことができる。
【0084】
本明細書において、「単位用量」の用語は、使用に供される形式の医薬組成物を表すために用いられる。単位用量は、本発明の医薬組成物の特定の分量、体積、特定のサイズ、pH、粘度、及び/又はフロキュレーション度を含み得る。単位用量は、シリンジ又は二重筒シリンジ等の再使用不可能な容器を含み得る。
【0085】
1種以上の医薬的に許容される担体、希釈液、又は医薬添加物は、1種以上の界面活性剤又は湿潤剤を含んでよい。
【0086】
界面活性剤はポリソルベートを含んでよい。ポリソルベートは、ポリソルベート20及びポリソルベート80のうちの1つ以上を含んでよい。特定の実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80を含む。
【0087】
医薬的に許容される担体、希釈液、又は医薬添加物は、カルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでよい。
【0088】
医薬組成物は、pH調整組成物及び注射用水のうちの1つ以上を含んでよい。pH調整組成物は、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを含んでよい。
【0089】
医薬組成物は、6~8のpHを有してよい。pHは6~7.5であってよい。
【0090】
医薬組成物は平衡塩類溶液を含んでよい。平衡塩類溶液は、塩類及び緩衝液を含んでよい。平衡塩類溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム(脱水物)、塩化マグネシウム(六水和物)、酢酸ナトリウム(三水和物)、クエン酸ナトリウム(脱水物)、塩酸、水酸化ナトリウム、及び注射用水のうちの1つ以上を含んでよい。
【0091】
医薬組成物は防腐剤を含まなくてよい。
【0092】
本発明の医薬組成物は、徐放性組成物を含んでよい。
【0093】
本方法は、被験者に少なくとも1種の追加薬剤を投与することを更に含んでよい。
【0094】
少なくとも1種の追加薬剤は、抗VEGF(抗血管内皮膚増殖因子)を含んでよい。抗VEGFは、ラニビズマブ(商標名:Lucentis(登録商標)(ルセンティス))、アフリベルセプト(商標名:Eylea(登録商標)(アイリーア))、ベバシズマブ(商標名:Avastin(登録商標)(アバスチン))、及びOPT-302のうちの1つ以上を含んでよい。
【0095】
医薬組成物はカルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでよい。
【0096】
医薬組成物は界面活性剤を含んでよい。本明細書において「界面活性剤」の用語は、水と有機ポリマ溶液との界面、水/空気界面、又は有機溶剤/空気界面等、不混和の2相間の界面に選択的に染み込む任意の溶剤を表す。一般に、界面活性剤は、親水性部分及び親油性部分を備えており、微粒子への吸収時に、同様の被覆粒子を引き寄せない外部環境に各部分を渡して粒子の凝集を抑制する傾向を有する。また、界面活性剤は、治療用薬剤又は診断用薬剤の吸収を促進して、薬剤の生物学的利用能を改善できる。
【0097】
界面活性剤は、ポリソルベート20及びポリソルベート80のうちの1つ以上等、ポリソルベートを含み得る。好ましい実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80を含む。
【0098】
本明細書において用いられる「防止」又は「予防」は、防止的措置又は予防的措置を意味する。防止又は予防を必要とする者は、ドライ型AMDが予防されるべき対象者であり、いくつかの実施形態では、ドライ型AMDの素因を持つ者、又は眼疾患若しくは眼の病気に感染しやすい者、例えば、眼疾患又は眼の病気の家族歴を有する者であり得る。
【0099】
本明細書において、防止又は予防は、ドライ型AMDが完全に若しくは部分的に予防される場合、又はその進行が鈍化される場合に達成される。
【0100】
本明細書において、被検者の「治療」は治療的処置を意味する。治療を必要とする者は、既にドライ型AMDに罹患している者、及びドライ型AMDの進行を防止すべき者である。本明細書において、被検者は、ドライ型AMDを有すると診断されている者、又は治療を行わないと進行する可能性のあるドライ型AMD若しくは損傷を有している者であってよい。これに代えて、被検者は、症状を持たないが、ドライ型AMDを発症するリスク要因、例えば、家族歴を有する者であってよい。本明細書において、治療は、ドライ型AMDが緩和若しくは治癒する場合、兆候、症状、及び/又は構造的な損傷を含め、ドライ型AMDの進行が停止する場合、又は薬剤投与前の被検者の状態と比べて鈍化する場合に成功する。治療の成功は、更に、ドライ型AMDの発生の完全な防止又は部分的な防止を含む。本明細書の目的において、ドライ型AMD若しくはドライ型AMDの進行を鈍化又は抑制することは、ドライ型AMDを阻止する、縮小させる、又は逆転させることと同様である。
【0101】
「有効量」の表現は、薬剤若しくは薬品の1回の投与量、又は連続回投与のうちの一部である投与量において、ドライ型AMD若しくはその素因の治療又は予防する効果のある量を意味する。有効量は、その量の投与前のベースラインと比べて1つ以上の症状を低減することを実現できる量であり、この量は、例えば、視力検査又は他の検査によって決定される。有効量は、治療対象である個人の健康及び身体状態、治療対象である個体の分類群、化合物の配合、医学的状態の評価、及び他の関連要因に応じて変動する。この量は、所定の試験を通して決定できる比較的広い範囲の量であることが予想される。
【0102】
「被検者(被検体)」、「患者」、又は「個人」の用語は、本明細書において交換可能に用いられ、任意の被検物(被検体)、特に、脊椎動物の被検体、より特定的には、治療又は予防が所望される哺乳類の被検体を表す。本発明の範囲に入る適切な脊椎動物は、限定ではないが、亜門の脊索動物門のメンバであり、ヒト、ヒト以外の霊長類、齧歯類(例えば、マウス、ラット、モルモット)、ウサギ類(例えば、ウサギ、野ウサギ)、ウシ類(例えば、畜牛)、ヒツジ類(例えば、羊)、ヤギ類(例えば、山羊)、ブタ類(例えば、豚)、ウマ類(例えば、馬)、イヌ類(例えば、犬)、ネコ類(例えば、猫)、鳥類(例えば、鶏;七面鳥;鴨;ガチョウ;カナリア;セキセイインコ等のコンパニオンバード)、海洋哺乳類(例えば、イルカ、鯨)、爬虫類(蛇、蛙、トカゲ等)、及び魚類を含む。特定の実施形態において、「被検者(被検体)」、「患者」、「個人」は、眼疾患若しくは眼の状態を治療又は予防する必要のあるヒトであり、被検者内に糖尿病性眼疾患若しくは眼損傷、又は眼の腫瘍を有するヒトを含む。特定の実施形態において、「被検者(被検体)」、「患者」、「個人」の用語は、患者を始めとする単独のヒト被験者であり、ドライ型AMD又はその素因の1つ以上の兆候、症状、若しくは他の指標を常時、又は断続的に提示している、治療についての適格性を持つヒト被験者を意味し、被験者は、理由の如何を問わず、例えば、ドライ型AMD若しくはその素因が新たに診断された者、過去に診断された者、現在、再発若しくは逆戻りを経験している者、又はドライ型AMDのリスクがある者である。「被検者(被検体)」、「患者」、又は「個人」に含むことが意図されているのは、疾患の臨床的兆候を提示せずに臨床調査試験に参加する被験者、疫学研究に参加する被験者、又は統制群として採用されたことのある被験者である。「被検者(被検体)」、「患者」、又は「個人」は、ドライ型AMD用の薬剤で既に治療を受けていても、そのような治療を受けていなくてもよい。
【0103】
本明細書において、グルココルチコイド及びミネラルコルチコイドは、その治療的に有効な類似体、誘導体、医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝産物、又は抱合体を含む。
【0104】
本明細書において、誘導体は、ミネラルコルチコイド受容体又はグルココルチコイド受容体の活性を調節する化合物の、治療効果のある断片又は薬学効果のある断片を含む。
【0105】
類似体は、構造的に類似したものであっても、又は機能的に類似したものであってもよい。
【0106】
同族体は、化学的種類は同一であるが、原子の所定の増分又は一定の原子群に違いがある分子を含んでよい。例えば、メチルアルコールとエチルアルコールは同族である。
【0107】
下記の[表1]に、いくつかの化合物の例と、その化合物について測定されたミネラルコルチコイド及びグルココルチコイドのポテンシとを示す。
【0108】
一実施例において、本発明の組成物は徐放性組成物を含む。本明細書の教示に基づいて、当業者は、適切な徐放性組成物を容易に選択及び/又は調剤することができる。
【0109】
他の実施例において、本組成物及びその構成要素は滅菌されてよい。本明細書の教示から、当業者は、熱処理等の適切な滅菌方法を選択することができる。
【0110】
他の実施形態において、本発明の組成物は防腐剤を含まない。
【0111】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、シリンジ内に構成されてよい。一実施形態において、シリンジは眼への直接注射を可能にする。
【0112】
「医薬的に許容される担体、希釈液、又は医薬添加物」が意味するものは、全身投与に安全に利用できる固体若しくは液体の増量剤、希釈液、又は封入物質である。投与の特定の経路によって異なるが、この分野で周知の各種の担体を利用できる。これらの担体は、糖;澱粉;セルロースとその誘導体;麦芽;ゼラチン;タルク;硫酸カルシウム;植物油;合成油;ポリオール;アルギン酸;リン酸緩衝液;乳化剤;塩酸塩、臭化物、及び硫酸塩を含む鉱酸塩等の等張生理食塩水及び塩類;アセテート、プロピオン酸塩、及びマロン酸塩等の有機酸;並びにパイロジェンフリー水を含むグループから選択されてよい。
【0113】
1種以上の医薬的に許容される担体、希釈液、又は医薬添加物は、湿潤剤及び粘度調整剤の1つ以上を含んでよい。
【0114】
医薬的に許容される担体、希釈液、及び医薬添加物について記述している有用な参照文献は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(レミントンの薬学)(Mack Publishing Co. N.J. USA,1991)である。この文献を本願明細書に援用する。
【0115】
前述した組成物は、投与調合物に適合する方式で、医薬的に有効な量で投与されてよい。患者に投与される分量は、本発明の文脈において、適切な期間に渡って患者に有用な反応を与えるのに十分な量である。投与される薬剤の量は、治療対象の被検者によって異なってよく、例えば、年齢、性別、体重、一般的な健康状態、医療者の判断に依拠する要因に応じて変化する。
【0116】
後述する被限定的な実施例により、本発明を例示的に説明する。これらの実施例は、限定と解釈されるべきではなく、実施例は、例示のみを目的として記載されている。実施例は、本発明の典型的な具体例を提示するものとして理解されよう。
【実施例
【0117】
(方法)
[動物と露光]
実施したすべての実験は、Use of Animals in Ophthalmic and Vision Research(眼病及び視覚研究における動物の利用)についてのARVO基準に準拠したものである。生後年齢130~160日のアルビノのスプレーグ・ドーリー(Sprague-Dawley,SD)ラットを、1000ルクスの明るい連続光(Bright Continuous Light,BCL)に曝した。ラットの出生及び飼育は、約5ルクスの環境光レベルを有する薄暗い周期光条件(12時間の照明:12時間の暗闇)で行った。BCLへの曝露は、生後日数(P)90~150日である年齢の動物に対して実行した。BCL曝露前に、ラットは、最低15時間に渡って暗闇に慣らされ、その後、妨げられずに光が進入できるように設計された各ケージに移された。ケージ内に影の領域は存在したいため、瞳孔拡大は生じなかった。BCL曝露は、常に午前9時に開始し、ケージ上方に配置された冷白色蛍光光源(18W、冷白色、TFC)を用いて、ケージ床面での約1000ルクスの光度で実行した。BCL曝露は24時間の期間に渡って続けられ、24時間の経過後、動物は直ちに後露光期間の薄暗い周期光条件に戻された。BCL曝露の後、動物は最大で56日のあいだ薄暗い光条件下に置かれた。
【0118】
動物を、1時間、3時間、6時間、12時間、17時間、又は24時間の期間でBCLに曝し、その後、分析用に網膜組織を取得した。一部の動物は、後露光作用を評価するために、BCLの24時間の後、直ちに3日又は7日の期間で薄明かり(5ルクス)条件下に戻した。薄暗い状態で飼育した同年齢の動物をコントロールサンプルに供した。
【0119】
[組織の採集及び処理]
動物は、腹腔内注射によって投与されるバルビツール酸塩の過量(体重1kg当たり60mg、バラバーブ、ビルバックアニマルヘルス(Virbac Animal Health)、リージェンツパーク、ニューサウスウェルズ、オーストラリア)で安楽死させた。各動物の左眼は、定位のために上面に印を付けてから摘出し、凍結切片化用に処理した。右眼の網膜は、角膜切開によって摘出し、RNA抽出用に準備した。
【0120】
凍結切片化用の眼は、4%のパラホルムアルデヒド0.1M PBS(pH7.3)内に3時間、室温で浸漬固定し、その後、0.1M PBS内で洗浄してから、凍結保護(cyroprotection)のために一晩、15%のショ糖液内に放置した。眼は、O.C.T.コンパウンド(ティシュー・テック、サクラ、日本)に定位で埋め込み、液体窒素内で瞬間凍結(スナップフリーズ)させて16μmで凍結切片にした。RNA抽出用の網膜は即座にRNAスタビライザ(RNAlater、アンビオン(Ambion)、テキサス州オースチン)に浸し、氷の上で予め冷却して製造会社の指示に従って保存した。次に、各試料からRNAを抽出した。試料は、防腐剤が十分に浸透できるように4℃で一晩保温した後、必要時まで80℃で保存した。試料は、相互比較性を担保するために、全経時変化を網羅する一群毎に処理した。抽出時に、網膜試料を氷の上で解凍し、RNAスタビライザを除去した。RNA抽出は、抽出試薬(TRIzol、カタログ番号15596-026、インビトロジェン(Invitrogen)、カリフォルニア州カールスバッド)と、精製キット(RNAqueous-Small Scale、カタログ番号1912、アンビオン)との組み合わせを並列に用いて実行し、他の刊行物に記載されるように、RNAを抽出及び精製した。
【0121】
分離した全RNAは、分光光度計(ND-1000、ナノドロップテクノロジース(Nanodrop Technologies)、デラウェア州ウィルミントン)を用いて量及び純度について分析し、1.90を超える260/280の比を有する試料を十分であると判断した。各試料のRNA品質は、8以上のIntegrity Number(RIN)を持つ試料のみを使用して評価(2100Bioanalyzer、アジレント・テクノロジー株式会社(Agilent Technologies)、カリフォルニア州サンタクララ)した。
【0122】
[マイクロアレイ実験と解析]
マイクロアレイ解析は、過去の研究(ネィトリ・アール(Natoli R.)、ズー・ワイ(Zhu Y.)、ヴァルター・ケー(Valter .K)、ビスティ・エス(Bisti S.)、エリス・ジェイ(Eells J.)ストーン・ジェイ(Stone J.)、Gene and Noncoding RNA regulation underlying photoreceptor protection:microarry study of dietary antioxidant saffron and photobiomodulation in rat retina(光受容体保護の基礎となる遺伝子及びノンコーディングRNA調節:ラット網膜における食事療法の抗酸化サフラン及び光生体調整のマイクロアレイ研究)Mol Vis.2010;16:1801-1822)から得たマイクロアレイのローデータを利用し、ラット遺伝子マイクロアレイ(Rat Gene 1.0 ST;アフィメトリクス(Affymetrix)、カリフォルニア州サンタクララ)を用いて実行した。マイクロアレイデータの全セットは、アクセス番号GSE22818で、NCBI(National Center for Biotechnology Information(国立生物工学情報センタ)、National Institutes of Health(国立衛生研究所)、メリーランド州ベセスダ)の遺伝子発現情報データベース(Gene Expression Omnibus)レポジトリに預けられている。解析では、薄暗飼育群及び24時間BCL実験群(それぞれn!3)からの試料を比較した。マイクロアレイデータを解析し(Partek Genomics Suite 6.4ソフトウエア、パーテック社(Partek Inc.)、ミズーリ州セントルイス)、プローブ配列及びGC含量(GC-RMA)に合わせて調節されたRobust Multiarray Average(RMA)アルゴリズムを用いて、バックグラウンド補正、正規化、要約の機能を有するソフトウエアにCELファイル(アフィメトリクス)をインポートした。処理された値は、エクソン(exon)コード配列を表す各プローブセットとして表示し、底を2として対数変換した。差次的発現解析は、有意水準P“0.05として分散分析(Analysis Of Variance,ANOVA)の統計手法を用いて実行した。結果的に得られた差次的発現データの不均度は、ユークリッド距離計量及び主成分分析(Principle Component Analysis,PCA)を用いて(いずれもパーテック製Genomics Suiteによって提供される)、凝集型階層クラスタリングで評価した。次に、差次的発現データは、ソフトウエア(Partec GS Genomics Suite)によって提供される遺伝子オントロジー(Gene Ontology,GO)エンリッチメントによる機能解析を利用して、遺伝子オントロジー協会(Gene Ontology Consortium)によって記載された生物学的過程に従ってクラスタ化した。この後、差次的に発現した遺伝子のリストから補体カスケードに関連のあるものを選別したが、その際に、#50%の差次的発現カットオフを用いると共に、遺伝子オントロジー協会で集計された経路情報及びHUGO Gene Nomenclature Commitee(HUGO遺伝子命名法委員会)から得た遺伝子グループを補助的に用いた。
【0123】
[定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応]
製造会社の指示に従って、(SuperScript III Reverse Transcriptaseキット、カタログ番号18080-044、インヴィトロジェン)としてファーストストランドcDNA合成を行った。20-μL反応混合物を、1μgのRNA、500ngのオリゴ(dT)18プライマ、及び200U逆転写酵素と組み合わせて使用した。遺伝子増幅は、市販の加水分解プローブ(タックマン(TaqMan)、アプライドバイオシステム社(Applied Biosystems,Inc.)[ABI]、カリフォルニア州フォスターシティ)又はカスタム設計プライマを用いるサイバーグリーン(SYBR Green)法のいずれかを使用して測定した。詳細は表2及び表3にそれぞれ示した。加水分解プローブは、従来の定量PCR(qPCR)プロトコルに従って適用した。サイバーグリーン法での定量PCR用プライマ(表3)は、Primer3ウェブベースの設計プログラム(ローゼン(Rosen)他を参照)を用いて、イントロンを横断するコーディングドメイン配列内で設計した。定量PCRは、市販の定量PCTシステム(StepOnePlus,ABI)を使用して実行した。各生体試料は、実験をトリプリケートで行って増幅し、その後、平均定量サイクル(Quantitation Cycle,Cq)値を用いて、発現の変化率を特定した。両方の定量PCR(タックマンとサイバーグリーン、ABI)において、薄暗飼育試料と比較したパーセント変化をCq法で特定した。対象遺伝子の発現を参照遺伝子のグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(DHDH)の発現に対して正規化したが、本研究においても又は過去の光誘発網膜障害調査においても差次的発現は示されなかった。増幅の特異性はゲル電気泳動法を用いて評価した。一元配置分散分析(One-Way ANOVA)を用いて統計解析を行い、発現傾向の有意性を評価した。P“0.05を有する差を統計上有意であるとした。
【0124】
[In Situ(生体内)ハイブリダイゼーション]
BCL後の網膜におけるC3mRNA転写の局在化を研究するため、網膜凍結切片でのin situハイブリダイゼーションのためにC3のリボプローブを生成した。C3は、ラット網膜から用意(前述したように用意)したcDNA、pGEM-T DNAベクター系(Promega、ウィスコンシン州マディソン)、及びTOP10コンピテントセル(One Shot、インビトロゲン)を用いて、PCR産物(483-bpアンプリコン)からコピーした。DIG RNAラベリングキット(SP6/T7,Roche,バーゼル、スイス)を使用して、線状化プラスミドを転写し、DIG標識されたアンチセンスリボプローブ及びセンスリボプローブを生成した。前述したプロトコルでin situハイブリダイゼーションを行い、一晩かけてC3リボプローブを57℃でハイブリダイズし、その後、60℃のクエン酸ナトリウム塩水(pH7.4)で洗浄した。ハイブリダイゼーション後、一部の切片を免疫組織化学的に染色した(これについては後述する)。
【0125】
[細胞死の分析]
BCLの実行中及び実行後に、TUNEL標識を使用し、既に公開されているプロトコルで凍結切片における光受容体のアポトーシスを定量化した。外顆粒層(Outer Nuclear Layer,ONL)内のTUNEL陽性細胞の個数は、1000%1000!mの広さの隣接フィールドにおいて、パラサジタル(上下(superioinferior))面で切断された、視神経乳頭を含む網膜切片の全長に沿って計数した。各動物の最終計数値は、2つの不連続切片内の同等の位置における平均である。統計解析は、一元配置分散分析によって実行した。P“0.05である差異は、統計的に有意であるとした。
【0126】
[免疫組織化学]
各時点の凍結切片は、補体C3(1:50;Abcam、マサチューセッツ州ケンブリッジ)、C3d(1:100;R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)、ED1(1:200;Millipore、マサチューセッツ州ビルリカ)、及びIBA1(1:1000;Wako、大阪、日本)の一次抗体を用いる免疫組織化学解析に使用した。免疫組織化学法は前述した方法体系で実行した。免疫蛍光は、レーザ走査顕微鏡(カールツァイスメディテックインコーポレイテッド)で視認して、PASCALソフトウエア(バージョン4.0、カールツァイスメディテックインコーポレイテッド)を用いて取得した。画像は、掲載用に画質を向上させた(Photoshop、Adobe、カリフォルニア州サンノゼ)。この画質向上処理は画像間で統一した。
【0127】
(結果)
図1に、in vivo実験の結果として、コルチコイドステロイド治療(左側:TA、右側:FA)を行った場合、又は行わなかった場合(ケナログ賦形剤のみ)について、細胞死の測定値(TUNEL)、マクロファージ斬増(IBA1)、及び光酸化損傷後の機能(ERG)を示す。
【0128】
図1のデータは、細胞死の低減、及び本実験の光損傷(光酸化損傷)モデルでの機能の保持におけるTAの有効性とFAの有効性を比較したものである。研究結果は、FAは、マクロファージ漸増の防止及び光受容体の細胞死(TUNEL)においてTAよりも効果的であり、網膜機能を保護することを示している。データは、in vitro(試験管内)の研究結果と整合している。
【0129】
網膜の定量PCR解析、及び網膜のいくつかの組織画像、後処置の解析も実行した。
【0130】
[第Ib相、地図状萎縮(GA)を有する患者における硝子体内フルドロコルチゾン酢酸エステル(FA)及びトリアムシノロン(TA)の安全性及び認容性の研究]
臨床試験用医薬品、投与分量及び投与経路:フルドロコルチゾン酢酸エステル(FA)1mg/0.1ml&2mg/0.1ml、硝子体内(IVT)注射。同一のプロトコルをTAにも適用。
【0131】
投与量の理論的根拠:1mg/0.1mL及び2mg/0.1mLの濃度での0.1mlの単回投与は、過去の前臨床モデルに基づいて選択した。400μg/0.1mL、1mg/0.1ml、及び2mg/0.1mlで注射した全ての眼において、スリットランプ(細隙灯)試験、倒像検眼鏡検査、又は光学顕微鏡による検査において網膜毒性の兆候は無かった。ただし、4mg/0.1mLにおいて1事例の硝子体内出血が報告された。
【0132】
フルドロコルチゾン酢酸エステルの全身注射は、高血圧症、カルシウム損失、クッシング様変化等、鉱質コルチコイド及びグルココルチコイドの深刻な副作用をもたらす。硝子体内注射のフルドロコルチゾン酢酸エステルは、全身的な副作用を回避し得る。
【0133】
目的:加齢黄斑変性(AMD)に続発するGAを有する被検者における、1mg/0.1mL及び2mg/0.1mLのFAの単回投与によるIVT注射の安全性及び認容性を判定する。
【0134】
研究母集団:研究母集団は、両眼にAMDに後発するGAを有し、過去に治療経験のない患者から成る。研究では、最大9名の参加者の登録が計画されている。
【0135】
研究企図:この研究では、9名の参加者を登録して、3+3アルゴリズムに基づいて投与量増加を評価する。研究中のいずれかの時点で2名より多くの患者で用量制限毒性が出現した場合、登録を中止する。投与量制限毒性は、注射後28日以内の眼内炎、眼圧(Intraocular Pressure,IOP)の上昇、視力の低下(喪失≧15文字)、又は多量の出血によって定義される。
【0136】
パート1では、一人の参加者で、1mg/0.1mLのFAの安全性及び認容性を評価する。この参加者は、最大で28日間追跡され、1mg/0.1mLのFAで治療する2名の参加者を更に追加採用する前に、安全審査委員会によって審査される。第1群の参加者は合計で3名になる。
【0137】
パート2では、一人の参加者で、2mg/0.1mLのFAの安全性及び認容性を評価する。この参加者は、最大で28日間追跡され、2mg/0.1mLのFAで治療する5名の参加者を更に追加採用する前に安全審査委員会によって審査される。第2群の参加者は合計で6名になる。
【0138】
本研究に選択したサンプルサイズ(n=9)は、正式な統計正当性証明を行わずに選択したが、選択した数は、本研究の対象を評価するのに十分な数であると考える。サンプルサイズは、予備研究の実際的かつ論理的な考察に基づいて決定されたものであり、仮説検証又はパラメータ推定の精度に関する統計的検出力に基づくものではない。
【0139】
研究介入の説明:フルドロコルチゾン酢酸エステル(9-α-フルオロ-11β.17α,21-トリヒドロキシ-4-プレグネン-3,20ジオン酢酸エステル)は合成ステロイドで、強力な鉱質コルチコイド作用及び高いグルココルチコイド活性を有する。フルドロコルチゾン酢酸エステルの生理的作用は、ヒドロコルチゾンと同様であるが、それよりも遥かに強力である。FAは、コルチゾールよりも10倍高いグルココルチコイド活性と、コルチゾールの10倍の鉱質コルチコイド作用を有する。コルチゾールのC-9にフッ素を追加することで、フルドロコルチゾンにおいて、グルココルチコイド、鉱質コルチコイド、及び抗炎症ポテンシーが顕著に増加する。薬剤は硝子体内注射によって投与される。
【0140】
研究期間:6か月の採用期間及び6か月の追跡調査期間。
【0141】
参加期間:参加者は、6か月間の研究に関わることになる。スクリーニング:最大14日、治療:1日、追跡調査:6か月。
【0142】
受入基準:別段の指定がない限り、眼専用の受入基準が調査眼のみに適用される。1.実施される所定の処置に先立って同意を与える意思及び能力があること。2.男性又は女性。3.年齢≧50歳。4.早期治療糖尿病性網膜症研究(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study, ETDRS)チャートでの最良矯正視力(Best Corrected Visual Acuity,BCVA)が24文字以上(スネレン視力20/320相当)であること。5.投与前の14日以内に、AMDに続発する黄斑のGAの診断が、主任調査官(Principal Investigator,PI)によって、眼底自発蛍光(Fundus Autofluorescence,FAF)画像、及び下記の基準によっていずれの眼においても確認されていること。基準:a.FAF画像のスクリーニングによって特定される全GA領域は1.9mm以上17mm以下(各乳頭面積(disc area,DA)は1と7)でなければならない。b.GAが多巣的である場合、少なくとも1つの巣病変は1.25mm(0.5DA)以上でなければならない。c.GAが黄斑中心画像上で完全に視認できる。d.GAの全体が撮影可能でなければならない。e.GAは乳頭周囲の萎縮の各領域から独立して測定可能でなければならない。f.GAの接合ゾーン内のハイパー自発蛍光(hyperautofluorescence)のパターンの存在。ハイパー自発蛍光の不在(すなわち、パターン=無し)は除外。6.女性被験者は、a.出産可能でない女性(Woman Of Non-Childbearing Potential,WONCBP)、又はb.スクリーニング時の妊娠検査が陰性である出産可能な女性(Woman Of Childbearing Potential,WOCBP)でなければならず、出産可能な女性は、研究期間中、試験実施計画書に規定された避妊法を使用することに同意しなければならない。7.出産可能な女性伴侶を有する男性は、研究期間中、試験実施計画書に規定された避妊法を使用すること、及び精液提供を行わないことに同意しなければならない。8.告知に基づく同意を行う意思及び能力があること。注記:両眼が受入基準を満たす場合は、スクリーニングビジット時に最良視力を示した眼が調査眼として指定される。両眼の最良視力が同一である場合は、右眼を調査眼として用いる。
【0143】
除外基準:別段の指定がない限り、眼専用の除外基準が調査眼のみに適用される。1.スタルガルト病、錐体棹体ジストロフィ、又はプラケニル(plaquenil)黄斑障害のような毒性黄斑障害等、AMD以外が原因のGA。2.屈折異常の等価球面度数において、6ジオプターを超える近視、又は26mmを超える眼軸長を示すもの。3.片眼において12か月以内にPIによって評価された蛍光眼底造影図に基づく、網膜のいずれかの位置における網膜色素上皮破れの証拠又は新血管新生の証拠等、滲出性(ウェット型)AMDの証拠。4.視機能を混乱させる可能性のある網膜疾患、又は眼内ステロイドの影響であり得る網膜疾患。5.中膜の明瞭性を低下させ、眼科検査と干渉すると調査官が認定する眼科的状態(例えば、進行した白内障又は角膜異常)。6.PIによって判定される網膜の十分な撮像を阻害する眼科的状態。7.投与前3か月以内の眼内手術(レンズ交換手術を含む)。8.無水晶体症、又は水晶体後嚢の不在。水晶体後嚢への過去の侵襲は、後房レンズ移植に伴うイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザ後嚢切開手術であって第0日よりも少なくとも60日以上前の手術の結果として生じたものを除き除外される。9.研究期間中に手術を必要とし得る眼科的状態。10.緑内障又は緑内障の家族歴。11.眼球又は眼周囲の感染症を含め、IVT注射の禁忌事項。12.ブドウ膜炎又は眼内炎の病歴。13.片眼における脈絡膜血管新生(Choroidal Neovascularization,CNV)の病歴。14.12か月以内のIVT注射の履歴。15.研究治療の開始前の6週間以内又は活性の5半減期以内(どちらか長い期間内)における他の介入性臨床治験への参加、又はAMDの実験的治療若しくは他の治験新薬の利用。注記:観察、医師の処方が不要なビタミン、栄養補助剤、又は食事療法のみを伴う臨床治験は除外対象ではない。16.高血圧症および真菌感染症等、フルドロコルチゾンの使用が適用され得る全身状態。17.他の全身疾患又は活性のある非制御の感染症により、研究期間中に一貫した追跡調査を行い難くなる、又は医的リスクが不十分になると調査官が判断する医療状態又は精神状態。18.臨床的に重大であり研究の参加に適さないと調査官が判断するスクリーニング検査値(血液学検査、血液化学的検査(serum chemistry)、又は尿分析)。19.フルオロセインに対する過敏症。
【0144】
エンドポイント:研究のプライマリエンドポイントは、加齢黄斑変性(AMD)に続発する地図状萎縮(GA)を有する被験者におけるフルドロコルチゾン酢酸エステルの硝子体内(IVT)投与についての、視覚標識、臨床的安全性検査、有害事象の評価に基づいた安全性及び忍容性である。
【0145】
プライマリ安全性エンドポイント:局部的及び全身性の治療で発現した事象(Treatment Emergent Events,TEAE)の数及び深刻度。
【0146】
セカンダリエンドポイント:FAFによって測定された地図状萎縮(GA)病変サイズの第6月までのベースラインからの変化、最良矯正視力(BCVA)の変化、低輝度での最良矯正視力(Low Luminance Best Corrected Visual Acuity,LL-BCVA)、GA病変サイズ変化とBCVA変化との関係、IOPの上昇。
【0147】
薬物動態(PK)パラメータ:フルドロコルチゾン酢酸エステルIVT注射の単回投与後の曝露、最高血漿中濃度、最高測定濃度までの時間、消失半減期。
【0148】
予定中間解析:本研究において正式な中間解析は予定されていない。ただし、データ安全性モニタリング委員会(Data Safety Monitoring Board,DSMB)のデータ安全性審査が本研究に予定されている。
【0149】
解析母集団:下記の解析母集団が計画されている。安全性母集団:全ての登録参加者のIVTフルドロコルチゾン酢酸エステルを安全性母集団に含める。治療企図(Intention-To-Treat,ITT)母集団:IVTフルドロコルチゾン酢酸エステルを受け取り、投与後に少なくとも1回の効力測定を受けた全ての登録参加者をITT母集団に含める。
【0150】
統計解析-安全性解析:安全性解析の統計手法は、性質上、基本的に記述式である。全ての安全性データのリスト及び集計は、安全性母集団を用いて提示される。連続安全性データの集計では記述統計(平均値、SD値、中央値、最小値、及び最大値)が計算され、離散的/分類別安全性データの集計では回数カウント及びパーセンテージ(該当する場合)が計算される。バイタルサイン、臨床的安全性検査値、及び有害事象を含む安全性データが集計される。ベースラインからの変化は、バイタルサイン及び検査室パラメータの集計表に挿入される。全ての検査室データがデータリストに登録され、正常範囲外の全ての検査値にはフラグが設定される。身体的検査は参加者ごとにリストされる。有害事象(Adverse Events,AEs)は、国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities,MedDRA)を使用してコード化され、データは、器官別大分類(Sytem Organ Class)及び優先使用語によって集計される。
【0151】
効力解析:探索的分析が最良矯正視力(BCVA)に対して実行され、早期治療糖尿病性網膜症点数(Early Treatment Diabetic Retinopathy Score)(ETDRS文字数)を参照して記録される。地図状萎縮病変サイズは、平方ミリメートルの単位で眼底自発蛍光イメージングによって測定される。記述統計(平均値、SD値、中央値、最小値、及び最大値)は、ETDRS文字数、平方メートル単位の観察値でのGA面積、及び各注射後のビジット時におけるベースラインからの変化に関して集計される。ETDRS文字及びGA病変サイズの経時変化の探索的分析は、混合モデルを用いることによって評価される。各ビジットにおいて、ベースライン及びその95%信頼区間からのETDRS及びGA病変サイズ変動の最小二乗平均が推定される。眼圧についても同様の分析が実行される。
【0152】
細隙灯生体顕微鏡検査結果、散大眼底検査結果、眼底カラー写真、及びOCT結果等、分類別効力性エンドポイントは、適宜、回数カウント及びパーセンテージ(割合)によって記述的に集計される。
【0153】
活動スケジュール:表4に要約されている。
【0154】
製剤:製剤は、無菌処理を用いて調製される。製剤はガラスバイアルに封入され、ガラスバイアルは、単回投与での適用にのみ利用される指ではじいて取り外すプラスチックディスクを有するゴム製ストッパで被覆される。パートA:10mgのフルドロコルチゾンがバイアルに配置され、バイアルはガンマ線滅菌に送り出される。パートB:滅菌希釈液を含むバイアルになる。これらの処理は、Bグレードルームにおいて、訓練を受けた薬剤師及び滅菌設備技術者によってAグレードフードの下で実行される。臨床試験用医薬品は、GMP(医薬品の製造管理及び品質管理基準)に従って認定された調剤薬局で作製される。
【0155】
保管及び取り扱い:フルドロコルチゾンは、注射溶液用の10mg粉末として硝子体内投与用に調製される。
【0156】
各バイアルは10mgのフルドロコルチゾン粉末を含有する。希釈液は無菌等張食塩水(塩化ナトリウム溶液0.9%)から成る。硝子体内注射溶液用のフルドロコルチゾン粉末は、必要とされる濃度に応じて1.0ml又は0.5mlの注射用希釈液で再構成(reconstitute)される。再構成後、0.1mlの硝子体内注射用量における1mg/0.1ml又は2mg/0.1mlの投与量での送達に適した濃度になる。
【0157】
溶液用フルドロコルチゾンの10mg粉末及び1回分の希釈液は、光から保護し、2~8℃で保管しなければならない。
【0158】
医薬品形態:フルドロコルチゾンは注射溶液用の10mg粉末として硝子体内投与用に調製される。
【0159】
各バイアルは10mgのフルドロコルチゾン粉末を含有する。希釈液は無菌等張食塩水(塩化ナトリウム溶液0.9%)から成る。硝子体内注射溶液用のフルドロコルチゾン粉末は、必要とされる濃度に応じて1.0ml又は0.5mlの注射用希釈液で再構成される。再構成後、0.1mlの硝子体内注射用量における1mg/0.1ml又は2mg/0.1mlの投与量での送達に適した濃度になる。
【0160】
溶液用フルドロコルチゾンの10mg粉末及び1回分の希釈液は、光から保護し、2~8℃で保存しなければならない。
【0161】
治療指標:硝子体内フルドロコルチゾンは、加齢黄斑変性(AMD)の治療のために開発されている。
【0162】
投与量及び投与:フルドロコルチゾンは、滅菌されたフルドロコルチゾン50mgを含有する使い捨てストッパ付きガラスバイアルとして提供されてよい。
【0163】
フルドロコルチゾンの指定のIVT投与量は、1mg/0.1ml及び2mg/0.1mlフルドロコルチゾンの最大0.1mlの1回の硝子体内注射によって投与される。
【0164】
硝子体内トキシコロジー:各眼につきフルドロコルチゾン酢酸エステル0(賦形剤制御)、400μg、1mg、2mg、4mgの硝子体内投与量は、ニュージーランドのアルビノラビットの研究で検査した。
【0165】
注射前及び注射後に、倒像検眼鏡及びスリットランプ顕微鏡検査を用いて全ての動物を検査した。網膜電位図(ERG)検査は、硝子体内注射前及び注射の2週間後に全ての動物に対して実行した。動物は、2週間後の検査時に、倒像顕微鏡検査及びスリットランプ顕微鏡検査法で再検査して、安楽死させた。眼を摘出して光学顕微鏡で検査した。
【0166】
4mg/0.1mlフルドロコルチゾンのグループの1つの眼はERGの顕著な低下を示し、このグループの1つの眼には硝子体出血があった。他のグループにおいてERGの顕著な低下はなかった。4mg/0.1ml以下のフルドロコルチゾンを注射した全ての眼において、スリットランプ検査、倒像顕微鏡検査、又は光学顕微鏡による検査において網膜毒性の兆候は存在しなかった。2mg/0.1mlでのフルドロコルチゾンの硝子体内注射は、アルビノラビットの眼にとって安全であることが判明した。
【0167】
<動物研究>
動物研究を行って、硝子体腔内への硝子体注射後のフルドロコルチゾン酢酸エステルの安全性及び効力を評価した(キヴィルシン(Kivilcim,M.)他、Evaluation of the Retinal Toxicity of Fludrocortisone Acetate After Intravitreal Injection(硝子体内注射後のフルドロコルチゾン酢酸エステルの網膜毒性評価)、Investigative Ophthalmology&Visual Sience,2006年、47(13):p.4281-4281を参照)。外科治療は、25匹のニュージーランドホワイトラビットの眼に対して実行した。フルドロコルチゾン酢酸エステルは、滅菌BSS溶液を用いて、4mg/0.1ml,2mg/0.1ml,1mg/0.1ml,400μg/0.1mLの濃度になるまで滴定して、25匹のラビットの眼の片眼において硝子体内に注射した。コントロール用の眼に、0.1mlの滅菌BSSを与えた。注射前及び注射後に、倒像顕微鏡及びスリットランプ生体顕微鏡検査法を用いて全ての動物を検査した。網膜電位図(ERG)検査は、硝子体内注射の前、及び注射の2週間後に全ての動物に実行した。2週間後の検査時に、倒像顕微鏡検査及びスリットランプ生体顕微鏡検査法で再検査して、動物を安楽死させた。眼を摘出して光学顕微鏡で検査した。
【0168】
これらのin vivo検査の結果は、硝子体内のフルドロコルチゾン酢酸エステルの適用に肯定的であった。複数回の測定と最大40日間の観察中に、スリットランプ生体顕微鏡検査及び倒像顕微鏡検査で、コントロール群又は治療群のいずれの眼においても前部又は後部に深刻な炎症の証拠は見つからなかった。IOPは全てのグループで正常であった。
【0169】
網膜切片の光学顕微鏡での組織学的検査によって、4mgのグループの1つの眼を除き、網膜層の完全性は保全されているように見え、毒性又は空胞化の証拠は存在しないことが判明した。フルドロコルチゾン酢酸エステルの全ての凝集体は、2mgグループでは22日±8日、4mgグループでは33日±7日で消散した。
【0170】
ERG検査において、4mg/0.1mlを注射した1つの眼がERG出力の低下を示した。他の全ての眼のERGは正常であった。これらの研究結果は、短期使用及び長期使用のいずれにも臨床的に適合する、硝子体内のフルドロコルチゾン酢酸エステルに有望な結果を提示する。
【0171】
マウスにおけるドライ型AMDの光損傷モデルからのデータは、ケナログ賦形剤に送達されたFAにより、7日後において、細胞死が大幅に減少し、IBA1マーカを運ぶマクロファージが顕著に少なくなることを示した。組織学は、FAで治療した動物がかなり厚い外顆粒層を有することを示している。治療した動物は、非常に堅牢な網膜電位図のA波(光受容体機能)及びB波(内部網膜機能)を有する。
【0172】
<論理的根拠>
<本研究の論理的根拠>
フルドロコルチゾン酢酸エステルは、PBSから錠剤形式(0.1mg)で入手でき、オーストラリアではヒトへの使用が承認されている。121人の患者の調査で、前部病変にフルドロコルチゾンを用いた良好な結果が報告された(ゴンザレス(Gonzalez,C.)による「Topical fludrocortisone(9-alpha fluorohydrocortisone)in ophthalmology(眼下における局所フルドロコルチゾン(9α-フルオロヒドロコルチゾン)」、Am J Ophthalmol、1960年、49:p.619-22を参照)。この文献には、同様の経験を有する4つの過去の論文が引用された。
【0173】
FAが有効であることを示唆する、より古い前臨床データが存在する。そのうちのフィッツジェラルド・エム(Fitzgerald,M)他は、ホルボール-12-ミリステート-アセテート(phorbol-12-myristate-acetate,PMA)で刺激したサルの脈絡膜内皮細胞(Choroidal Endothelial Cells,CECs)の研究において、FAは不活動形態を復元して膜浸透性を低下させる点で、TAよりも優れていることを発見した(フィッツジェラルド・エム他、Mineralocorticoids restore quiescent morphology and reduce VEGF receptor expression in inflamed choroidal endothelial cells in vitro(炎症性脈絡膜内皮細胞のin vitroにおける鉱質コルチコイドによる不活性形態の低減とVEGF受容体発現の低下)Ophthalmic Res、2009年、41(1):p.44-52)。ジャンプロビス教授(Prof Jan Provis)らは、ドライ型AMDのラットモデルにおいてTAがTAよりも優れていることを示す、大量の新しい前臨床データを保有している。FAは、細胞死の防止、マクロファージ漸増の防止、並びにa波及びb波のERG振幅の維持に関して優れていた。
【0174】
既に引用したキヴィルシンは、25匹の正常なウサギにおいて、4mg/0.1ml,2mg/0.1ml,1mg/0.1ml,400μg/0.1mLでの硝子体内FAを検査した。4mg/0.1mlで、2つの眼に硝子体内出血及びERGの低下が生じた。ERGの低下について他の問題は無かった。容積の小さいウサギの眼は、ヒトにおいて4mg/0.1mlは安全であろうことを示唆している。TAは一般に4mg/0.1mlで付与されるため、同じ投与量を各ステロイドで比較することは理にかなっている。
【0175】
フルドロコルチゾン酢酸エステルの現在の臨床研究では、補体活性を阻害する副腎皮質ステロイドが、GAを有する患者に投与される。本研究の目標は、単回投与IVTフルドロコルチゾン酢酸エステルの安全性及び認容性を評価することである。本研究の結果は、GAに対する硝子体内フルドロコルチゾン酢酸エステルを更に開発することについての決断の指針となるであろう。
【0176】
<投与量の選択>
本研究では、投与された1mg/0.1ml又は2mg/0.1ml注射の単回投与量について検査する。
【0177】
硝子体内フルドロコルチゾン酢酸エステルは、動物毒性研究の一団において十分に許容された。ヒトの硝子体の容積は約4mLで、ウサギの平均硝子体容積である1.5mLよりも約2.7倍大きい。ヒトとウサギの硝子体容積差に基づいて、4週間おきの67mg/眼をヒトの等価投与量として決定した。この臨床研究で評価するフルドロコルチゾン酢酸エステルの投与量(1mg/0.1mL又は2mg/0.1mLの注射)は、ウサギでの観察よりも約1.3倍低い薬物濃度になると予想される。
【0178】
<危険度/有益性>
この試験実施計画書で採用した安全性モニタリング手法(例えば、全眼科的検査、IOPのモニタリング、OCT、バイタルサイン、血液学検査、血液化学的検査、及びAE質疑)は、被験者の安全を守る十分なものである。
【0179】
本研究の参加者に必要とされる眼科的措置に関わるリスクが存在する。ただし、これらは全て、眼科医学において幅広く実行されている標準的な措置である。
【0180】
IVT注射後、患者には眼内炎を発症するリスクがある。眼が赤くなる、光に敏感になる、痛みを感じる、又は視力に変化が生じた場合、患者は、眼科医による手当を直ちに受けるように指示される。IVT注射の他のリスクとしては、外傷性白内障、網膜剥離、及び大量出血が挙げられる。
【0181】
一過性の眼圧上昇もIVT注射後のリスクとして特定されている。本研究では、眼圧の上昇が慎重にモニタリングされる。
【0182】
本研究の6カ月に亘って各被験者から採取する予定の約150mLの血液は、この患者母集団に不当なリスクを課すものではない。
【0183】
現在までに入手できたデータに基づけば、フルドロコルチゾン酢酸エステルのIVT投与は、動物モデルにおいて理屈のつかない眼科的又は全身性リスクをもたらしていないと思われる。フルドロコルチゾン酢酸エステルは、アジソン病や他の塩-水不均衡における起立性高血圧症に対して、鉱質コルチコイドの代替物として安全に全身に利用されている。
【0184】
ただし、フルドロコルチゾン酢酸エステルは、人間の患者において硝子体内で使用されたことが無いため、潜在的に不測のリスクが存在する。このようなリスクを軽減するために、本研究は、2部形式で実行し、他の参加者への投与に先立ち、治療及び詳細な評価を単独の個人に制限している。全ての参加者の評価スケジュールに、多くのフォローアップビジット及び多数の検査措置を制定し、有害事象又は発生する他の安全問題の特定及び適時の対処を確実に行えるようにしている。
【0185】
研究薬を受け取ることで、治験参加者は健康上の利益を得る可能性がある。我々は、GAを有する患者に対するフルドロコルチゾン酢酸エステルの硝子体内投与を提案する。有効であれば、硝子体内フルドロコルチゾン酢酸エステルは、GAの過程を変更して進行速度を遅らせることが期待される。
【0186】
<目的及びエンドポイント>
<研究目的>
本研究の第1の目的は、加齢黄斑変性に伴うGAを有する被験者へのフルドロコルチゾン酢酸エステルのIVT注射の安全性及び認容性を評価して、確認の第二相への更なる発展を支援することである。
【0187】
<研究エンドポイント)
<プライマリ安全エンドポイント>
眼底自発蛍光(FAF)によって測定されるGA病変サイズの平均変化に基づいて、フルドロコルチゾン酢酸エステルIVT注射の安全性及び認容性を実証すること。治療で発生した局部性及び全身性の有害事象の数及び深刻度。
【0188】
<セカンダリエンドポイント>
FAFによって測定される地図状萎縮(GA)病変サイズの平方根の第6月までのベースラインからの変化。低輝度での最良矯正視力(LL-BCVA)の変化。GA病変サイズ変化とBCVA変化との関係。バイタルサインの変化。IOPの上昇。薬物動態(PK)パラメータ。フルドロコルチゾン酢酸エステルIVT注射の単回投与後の曝露。最高血漿中濃度。最高測定濃度までの時間。消失半減期。
【0189】
<研究母集団>
本研究の母集団は、ほぼ1つの施設で登録される約9名(n=9)の被験者を含む。本研究に参加するために、被験者は、両眼にAMDに伴う黄斑GAを有すると診断されなければならない。両方の眼が基準を満たし本研究に適合する場合、スクリーニングビジット時に最良視力を有する眼が調査眼に指定される。両眼の視力が同一である場合は、右眼を調査眼として使用される。
【0190】
受入及び除外の全基準は既に提示した。
【0191】
<出産可能な女性(WOCBP)>
WOCBPは、妊娠することが身体的に可能な閉経前の女性と定義される。
【0192】
<出産可能でない女性>
WONCBPは、下記の基準のいずれかを満たす女性と定義される。基準:年齢が45より上で無月経が2年を超えているか、又は年齢が60より上で無月経が1年を超えていることがFSHレベル及びLHレベルによって確認されていること。子宮摘出手術を受けていること。両側卵巣摘出手術を受けていること。両側で卵管切除を受けていること。
【0193】
<承認済避妊法>
承認済の避妊法は、経口避妊薬、子宮内避妊具、医薬的に許容されるバリア法(例えば、コンドーム)、埋め込み可能又は注射可能な避妊薬、又は取り外し可能な避妊具を含む。節制及び中絶性交(膣外射精)を実践している被験者は、研究中、承認済の避妊法を利用することに同意しなければならない。
【0194】
<被験者の治療>
<治療配分>
スクリーニングの前に、各被験者に一意のスクリーニング番号が割り当てられる。研究スクリーニング評価が完了して全ての適格基準を満たした被験者は、研究への登録が予定され、0日目に、硝子体内フルドロコルチゾン酢酸エステルの治療を受ける。
【0195】
<適用される治療>
<投与量レベル及び研究部門>
本研究では、0.1mLにつき1mg及び2mgのフルドロコルチゾン酢酸エステルの単回投与量について検査する。
【0196】
被験者は、表5に概説した方式でIVT注射を受ける。
【0197】
<薬剤の提供>
<臨床試験用医薬品の情報>
フルドロコルチゾン酢酸エステルは、硝子体内投与のために注射溶液用の20mg粉末として調製される。
【0198】
各バイアルは50mgのフルドロコルチゾン粉末を含有する。希釈液は、カルボキシメチルセルロース(0.6%)、ポリソルベート80(0.02%)、及び100%に十分な量の塩化ナトリウム溶液(0.9%)から成る。硝子体内注射溶液のためのフルドロコルチゾン粉末は、必要とされる濃度に応じて、1.0ml及び0.5mlの注射用希釈液で再構成される。再構成後、0.1mlの硝子体内注射用量における1mg/0.1ml又は2mg/0.1mlの投与量での送達に適した濃度になる。
【0199】
溶液用フルドロコルチゾン酢酸エステルの50mg粉末及び希釈液は、1回の利用に対応したものであり、光から保護し、2~8℃で保管しなければならない。
【0200】
<責任>
IVTフルドロコルチゾン酢酸エステル製剤は、研究施設において被指名人に提供され、薬局又は他の鍵のかかる安全な場所において、アクセスが制限/管理されて温度がモニタリングされる冷蔵区域内で2℃から8℃の温度で保管されなければならず、凍結してはならない。IVTフルドロコルチゾン酢酸エステル薬剤は、提供されたボール箱内に保管して、光から保護しなければならない。製剤供給部にアクセスできるのは、PIによって権限を与えられた人物のみである。スポンサーは、本研究を完了できる十分な量のフルドロコルチゾン酢酸エステル製剤を提供する。
【0201】
指定された研究スタッフは、割り当てられた被験者番号及び無作為化スケジュールに従って、被験者に研究治療を提供する。研究中、臨床施設で提供される薬剤の受領及び研究治療施術の受領は、被験者毎に治験薬管理記録に記載される。これらの治験薬管理記録は、患者の診療記録や他の原資料とは別に保管される。
【0202】
使用した全てのバイアルは、治験薬管理モニタリングが実行されるまで臨床施設において保持され、その後、スポンサー若しくは被指名人に戻されるか、又はスポンサーの指示に従って破棄されなければならない。
【0203】
研究の完了時に、臨床試験用医薬品は、臨床施設において保持され、その後、スポンサー若しくは被指名人に戻されるか、又はスポンサーの指示に従って破棄されなければならない。これについては治験薬管理記録に記載される。
【0204】
<硝子体内フルドロコルチゾン酢酸エステル投与>
積極的治療を受ける被験者は、IPの監督下で、薄肉針27Gを使用してフルドロコルチゾン酢酸エステル1mg/0.1ml又は2mg/0.1mlのIVT注射を受ける。
【0205】
注射トレイアセンブリ、麻酔薬の準備、及び治験薬の準備と投与に関わる臨床スタッフは、適切な無菌法を頓首してIVT注射に関わる潜在的有害事象(例えば、眼内炎)のリスクを最小化する。
【0206】
臨床試験用医薬品は、27g、12mm針の1mlシリンジ×1、滅菌したフルドロコルチゾン10mgを含有する5mlバイアル×1、2mlの再構成用希釈液を含有するバイアル×1、及び栓の穿孔前にバイアル上部をふき取るアルコール消毒綿×1を含むキットで提供される。
【0207】
溶液の調製:注射する医師は、1.0mm又は0.5mlの希釈液を引き出して粉末を再構成する。次に、医師は、0.1mlの流体を引き上げて注射の準備をする。
【0208】
フルドロコルチゾン酢酸エステルのIVT注射後のIOP上昇を最小化するため、全てのフルドロコルチゾン酢酸エステルを注射する前に、眼の減圧を行わなければならない。これは、エステティック(aesthetic)準備中に30~60秒のあいだ綿棒で眼球に適度な圧力を与えることによって行う。
【0209】
本試験実施計画書に概説した手順に加え、IVT注射に関する特定の施設方針を厳守しているかどうかが観察される。
【0210】
<併用療法>
本研究の開始時に参加者が受け取る併用薬、又は本研究中に何らかの理由により与えられる併用薬(但し、局部的エステティック等、本試験実施計画書で必要とする眼の処置のために与えられる所定薬剤を除く)は、開始終了日時、投与量、投与経路、及び指示と共に、原文書及びCRF(症例報告書)に記録しなければならない。また、外科的措置等、眼及び眼以外の全ての処置(研究治療措置以外)も、開始終了日時と共に原文書に記録しなければならない。外科的なエステティック治療、医療補助者による措置、又は代替医療(例えば、針、マッサージ)も原文書及びCRFに記録しなければならない。フルオレセイン注射によって誘発される吐き気を防ぐメトクロプラミド又は他の薬品は、PIの監督下において投与されてよい。
【0211】
<眼内炎治療>
眼内炎又は疑似眼内炎の患者を治療する決定は、PIの臨床的判断によって指導される。治療方法(経毛様体扁平部硝子体切除、硝子体穿刺)及び抗菌剤の選択もPIの指示になるが、現在の標準的慣習パターンに従う必要がある。眼内炎の治療にIVTステロイド(例えば、デキサメタゾン)を使用するかどうかの決定もPIの指示になる。
【0212】
<研究手続>
<研究企図>
これは、加齢黄斑変性に伴うGAを有する被験者へのフルドロコルチゾン酢酸エステルのIVT注射の単回投与量の安全性及び認容性を評価する第Ib相の研究である。
【0213】
調査眼に加齢黄斑変性に伴うGAを有すると診断された患者で、受入/除外基準を全て満たす者を本研究に受け入れる。
【0214】
本研究において、1mg/0.1mLの投与量において3名の患者の第1群を登録することが計画される。合計9名の参加者を受け入れ、3+3アルゴリズムに基づいて投与量増加を評価することができる。
【0215】
患者は、フルドロコルチゾン酢酸エステルを受け取る14日前までにスクリーニングされなければならない。本研究への登録時に、患者に被験者スクリーニング番号が割り当てられる。受入除外基準を全て満たし、CRCによって適格であると確認された被験者は、診療所に戻り、下記に概説する方式で単回投与量のIVTフルドロコルチゾン酢酸エステルの投与(第0日目)を受ける。
【0216】
全ての被験者は、第1日と第7日に臨床施設に戻り、注射後の急性症状の安全性評価を受ける。その後、全ての被験者は、更に6回の追跡調査ビジットのために診療施設を再訪するとともに、注射後6か月において再訪する。下記の研究概要を参照のこと。
【0217】
安全性は研究全体を通じて評価され、一連の血液サンプル及び尿サンプルが収集される。血液サンプルは、フルドロコルチゾン酢酸エステルのPK評価用にも収集される。
【0218】
各被験者の本研究への予定参加長さは、約6か月(第0日から第6月(150日間)の追跡処置の完了まで)である。
【0219】
本研究は、約12か月間に亘る(最初の被験者のスクリーニングから最後の被験者の終了ビジットまで)ことが計画されている。
【0220】
<被験者の登録>
調査官の責任において、登録前と研究期間中に、被験者が本研究への参加に適していることを確認する。スクリーニングプロセスを開始する前に、本研究専用のICF(説明承認同意文書)を用いて作成される、各被験者自身によって署名されて日付が記入されたインフォームドコンセント文書が必要である。説明承認同意書を取得して参加適格性が確定した後、試験施設の担当者が被験者の識別番号を取得する。適格な被験者のみに、ラベル付きで非盲検用の1mg/0.1mL又は2mg/0.1mLのFAが配布される。
【0221】
登録は、被験者がリスクに晒される可能性を最小限に抑えるため、2部形式で行われる。第1部及び第2部において、被験者は1人ずつスクリーニングされ、治験の第1部ではまず1人の患者のみが登録される。最初に登録された被験者は最大で14日間のスクリーニング期間及び28日間の追跡調査期間において参加して、IPO反応が検出される。
【0222】
最初の被験者において、1mg/0.1mLのFA注射後の28日間の追跡調査が完了したら、被験者の安全データの審査が行われる。この安全データは、独立した安全審査委員会によって審査されて、FAの1mg/0.1mL投与の第1群に2名の追加参加者の登録を開始すべきかどうかが判定される。2名より多くの参加者が治験薬に関連する制限毒性の有害事象を示した場合に登録は停止される。治験薬に関連があると考えられる有害事象が2件以下の制限毒性しか示さない場合、第2群が募集される。用量制限毒性は、注射後28日以内の眼内炎、IOPの上昇、視力の低下(15文字以上の減損)、又は大量出血によって規定される。
【0223】
第2部は、3名の被験者が前記投与量に十分な認容性をした場合に実施される。第2部では、まず、単一の被験者を2mg/0.1mLのFAで治療して、安全性及び認容性を評価する。この被験者は、最大で28日間に亘って追跡調査され、独立した安全審査委員会によって審査される。この審査は、2mg/0.1mLのFAで治療する5名の追加被験者を募集して合計で6名になる第2群を構成する前に行われる。
【0224】
ミーティング毎に議事録が作成されて、スポンサーの研究ファイルに登録される。このミーティングの前後に、正式な報告書は用意されない。一般的な指標として、臨床的に深刻な薬剤関連有害事象又は検査所見の異常が被験者に生じない場合に、被験者は投与量を許容したと考える。逆に言えば、治験薬の投与中又は投与後の追跡調査期間中に、臨床的に深刻な薬剤関連有害事象又は検査所見の異常が被験者に生じた場合、被験者は投与量を許容したと考えない。
【0225】
白内障に対する安全性は、第150日の審査において全参加者において審査される。
【0226】
理解されるであろうが、安全性は先見的に詳細には規定できない医学的判断である。被験者は、臨床観察及び安全検査室の検査によって入念にモニタリングされる。
【0227】
<研究ビジットのスケジュール>
下記は、研究ビジット、並びに実行される処置及び審査の要約である。月次のビジットスケジュールに関する処置/評価の詳細スケジュールについては、活動スケジュール(Schedule Of Activities,SoA)テーブルを参照されたい。PIの裁量で必要と判断とされた場合は、本明細書に列挙していない追加の安全評価を行ってよい。
【0228】
<スクリーニング-治療前の14日以内>
ビジット1-全被験者:全ての眼科処置(撮像を含む)を両眼に対して実行する。
【0229】
1.研究固有の処置を実行する前に、研究の目的及び性質を説明し、治験審査委員会/独立倫理委員会(Institutional Review Board/Independent Ethics Committee,IRB/IEC)承認の説明承認同意書(Informed Consent Form,ICF)を読み、署名して日付を入れることを被験者に求める。患者と、該当する場合は証人とから個別に同意を得て、ICFへの署名及び日付の記入を求める。2.被験者のスクリーニング番号を取得する。3.人口学的属性、医療/眼の履歴、登録前の90日間に使用した併用薬についての情報を取得する。ビタミン、処方箋を必要としない全ての薬、及び処方薬を含む。4.受入/除外基準に基づいて患者を選別する。5.検査室分析用の血液(該当する場合は、HCG/FSH/LH用の血液を含む)及び尿を収集し、中央研究所にサンプルを送付する。6.バイタルサインを収集する。7.BCVAを実行する。8.LL-BCVAを実行する。9.角膜、虹彩、前眼房、水晶体(水晶体に何らかの混濁が確認された場合は、LOCSIII)、及び水性反応(細胞及びフレア)についてのスリットランプ試験、硝子体及び網膜の拡大眼底検査、並びにIOP測定を含む完全な眼科検査を実行する。10.PIによる適格性判定のためのSD-OCT撮像を実行する。11.PIによる適格性判定のためのFAF撮像を実行する。12.NIFR撮像を実行する。13.PIによる適格性判定のためのDCFPを実行する。14.PIによる適格性判定のためのFAを実行する。
【0230】
ビジット2(ベースライン)-全被験者:特に指定のない限り、全ての眼の処置(撮像を含む)は、調査眼に対してのみ実行される。1.受入/除外基準が全て満たされていることを、PIによる適格性判定と合わせて確認する。2.医療的身体状態の変化及び/又は併用薬の使用についての情報を取得する。3.投与前及び投与後のバイタルサインを収集する。バイタルサインは、投与前期間の場合、投与前1時間以内に測定する。投与後のバイタルサインの読み取りは、投与後30分以内に実行する。4.BCVAを実行する。5.LL-BCVAを実行する。6.角膜、虹彩、前眼房、水晶体(水晶体に何らかの混濁が確認された場合は、LOCSIII)、及び水性反応(細胞及びフレア)についてのスリットランプ試験、硝子体及び網膜の拡大眼底検査、並びにIOP測定を含む完全な眼科検査を実行する。7.フルドロコルチゾン酢酸エステルのIVT注射を行う。8.注射後の15分間、調査眼をモニタリングする。9.有害事象をモニタリングする。
【0231】
ビジット3(第1日):前被験者。初回治療後の検査は次のとおりである。
【0232】
特に指定のない限り、全ての眼の処置(撮像を含む)は、調査眼に対してのみ実行される。1.医療的身体状態の変化及び/又は併用薬の使用についての情報を取得する。2.バイタルサインを収集する。3.BCVAを実行する。4.LL-BCVAを実行する。5.角膜、虹彩、前眼房、水晶体(水晶体に何らかの混濁が確認された場合は、LOCSIII)、及び水性反応(細胞及びフレア)についてのスリットランプ試験、硝子体及び網膜の拡大眼底検査、並びにIOP測定を含む完全な眼科検査を実行する。
【0233】
有害事象のモニタリング:
追跡調査ビジット-第7日、第14日、第28日、第60日、第90日:特に指定のない限り、全ての眼の処置(撮像を含む)は、調査眼に対してのみ実行される。全ての追跡調査ビジットで実行される処置は次のとおりである。1.医療的身体状態の変化及び/又は併用薬の使用についての情報を取得する。2.バイタルサインを収集する。3.PK解析用の血液を採取する(第7日、第28日、第90日のみ)。4.角膜、虹彩、前眼房、水晶体(水晶体に何らかの混濁が確認された場合は、LOCSIII)、及び水性反応(細胞及びフレア)についてのスリットランプ試験、硝子体及び網膜の拡大眼底検査、並びにIOP測定を含む完全な眼科検査を実行する。5.有害事象をモニタリングする。終結ビジット(又は早期中止)-第150日:全ての眼の処置を両眼に対して実行する。1.医療的身体状態の変化及び/又は併用薬の使用についての情報を取得する。2.検査室分析用の血液及び尿を採取し、中央研究所にサンプルを送付する。3.PK解析用の血液を採取する。4.バイタルサインを収集する。5.尿妊娠検査を実行する。但し、WOCBPのみ。
【0234】
6.BCVAを実行する。7.角膜、虹彩、前眼房、水晶体(水晶体に何らかの混濁が確認された場合は、LOCSIII)、及び水性反応(細胞及びフレア)についてのスリットランプ試験、硝子体及び網膜の拡大眼底検査、並びにIOP測定を含む完全な眼科検査を実行する。7.SD-OCT撮像を実行する。8.FAF撮像を実行する。9.NIFR撮像を実行する。10.DCFP撮像を実行する。11.FAF撮像を実行する。12.有害事象をモニタリングする。
【0235】
予定外ビジット:
被験者が次に予定されているビジットの前に、有害事象の評価のため、又はPIの要求により臨床施設に戻る場合、予定外ビジットで完了した全ての評価は、患者の原記録簿及びeCRF内に記入する必要がある。
【0236】
追跡調査の消失:
参加者が予定されているビジットに1回以上現れず、研究施設の担当者の連絡に対して参加者から何の応答もない場合、当該参加者を追跡調査の対象から外すことが検討される。
【0237】
要求された研究ビジットのための臨床施設への来訪を参加者が怠った場合、下記の対応を取らなければならない。
【0238】
・施設は、参加者に連絡し、不参加のビジットの1週間以内の再設定を試みると共に、割り当てられたビジットスケジュールを維持する重要性を参加者に伝え、参加者に研究を継続する意思があること、及び/又は参加者は研究を継続する必要があることを確認する。
【0239】
・参加者を追跡調査から外すことを決める前に、調査官または被指名人は、参加者との連絡を回復するあらゆる努力を行う(可能であれば3回の電話連絡、及び必要に応じて、判明している最新の参加者の郵送先住所への公証書簡又は各地の同等方法)。これらの連絡の試みは、患者の医療記録又は研究ファイルに記載しなければならない。
【0240】
・参加者に連絡できない状態が継続する場合は、追跡調査喪失の第1理由により、参加者は、本研究を辞退したと判断される。
【0241】
<研究の評価及び手続>
活動スケジュールに概説された本研究中に、下記の評価を行う。
【0242】
<説明承認同意手続>
各施設の主任調査官は、研究の性質、目的、潜在的リスク、及び潜在的利益についての情報が、口頭及び書面において十分かつ完全に被験者に与えられていることを確認する。被験者には、任意の時点で自由に本研究を中断できることも通知しなければならない。被験者には、質問の機会と、提示された情報を検討する時間的猶予とが与えられなければならない。
【0243】
被験者による署名及び日付の記入が為された説明承認同意は、あらゆる研究処置の実行前に取得しなければならない。
【0244】
主任調査官は、署名された説明承認同意書の原本を保持しなければならない。被験者には、署名された説明承認同意書の副本が付与されなければならない。
【0245】
<バイタルサイン>
注射ビジット時に、投与前の1時間以内及び投与後の30分以内にバイタルサインを測定する。
【0246】
静脈穿刺の前にバイタルサインを測定する。バイタルサインは、血圧(Blood Pressure,BP)測定値及び脈拍測定値を含む。被験者が両足を床に着けた状態で背もたれ付きの椅子に3分間着座し続けた後、適切なサイズの加圧帯と検証済み自動装置を用いて収縮期血圧及び拡張期血圧を測定する。利用可能な加圧帯のサイズが、患者の腕の外周に対して十分な大きさでない場合は、適切なサイズの加圧帯を有する血圧計を利用してよい。スクリーニング/適格性判定時にバイタルサインが範囲外である場合、調査官は2回の追加読み取り値を取得でき、合計で最大3回の連続した評価を実行できる。その際、患者は、各反復評価の前に約5分間、静かに着座する。患者が適格となるためには、少なくとも最後の読み取り値が前述した範囲内になければならない。前述した全ての検査は、全てのビジットにおいて3分間の休息状態の後で実行する。
【0247】
センチメートル(cm)での身長及び体重(室内着を着用し靴を脱いだ状態で0.1キログラム(kg)の誤差)は、第1ビジット(スクリーニング)時に測定する。肥満度指数(Body Mass Index,BMI)を次式で計算する:BMI=体重(kg)/(身長(m))
【0248】
<血液と尿の検査室分析>
血液と尿の採取を研究施設で行い、分析のためにサンプルを中央研究所に送付する。
【0249】
下記の臨床検査を実行される。血液学検査:ヘモグロビン;ヘマトクリット;赤血球(Red Blood Cell,RBC)数;血小板数;分類別白血球(White Blood,Cell,WBC)数、化学検査:血中尿素窒素(Blood Urea Nitrogen,BUN);クレアチニン;ビリルビン(総ビリルビン、直接型ビリルビン、及び間接型ビリルビン);アルブミン;アルカリホスファターゼ(Alkaline Phosphatase,ALP);アスパラギン酸アミノ基転移酵素(Aspartate Aminotransferase,AST);アラニンアミノ基転移酵素(Alanine Aminotransferase,ALT);クレアチンキナーゼ;ブドウ糖;電解物(ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩)、尿分析:pH;比重;タンパク質;ブドウ糖;ケトン;ビリルビン;潜血;亜硝酸塩;ウロビリノーゲン;白血球エステラーゼ、その他:ヒト絨毛性ゴナドトロピン(Human Chorionic Gonadotropin,HCG)a;卵胞刺激ホルモン(Follicle-stimulating Hormone,FSH)b;黄体形成ホルモン(Luteinizing Hormone,LH)b。
【0250】
調査官は、スクリーニングビジット時の臨床研究室検査の結果(再検査結果を含む)を精査して、その結果に、研究への参加を不適切にする医学的状態の証拠が示されていないことを確認しなければならない。また、調査官は、追跡調査ビジット及び完了ビジットにアルカリホスファターゼゼの変化も評価する必要がある。
【0251】
注記:a.血清妊娠検査(すなわち、HCG)は、出産の可能性のある女性にスクリーニング時のみ実行する。b.FSH及びLHは、閉経後の女性にスクリーニング時のみ実行する。
【0252】
<尿妊娠検査>
尿妊娠検査は、研究フローチャートに概説されている通りWOCBPにのみ実行する。
【0253】
<最良矯正視力>
有資格の視力検査員によって実行される最良矯正視力(LL-BCVAを含む)検査は、眼球を拡大する点眼薬の投与を必要とする全ての検査、又は眼との接触を必要とする全ての検査より前でなければならない。ETDRSによる最良矯正視力(BCVA)は、スクリーニング時(第1ビジット)において各眼について個別に取得する。この評価は、瞳孔拡張前に実行すべき評価である。正しく読めた文字数(各眼)を適切な研究文書に記録する。研究ビジット(第2~第8ビジット)の注記事項として、BCVAは、調査眼においてのみ取得する。
【0254】
<完全な眼科検査>
完全な眼科検査は、眼及び付属器の外部検査、眼瞼/瞳孔反応(眼瞼下垂症、異常な瞳孔形状、瞳孔間の不均等、光に対する異常な反応、及び求心性瞳孔障害を含む)の所定スクリーニング、スリットランプ検査(角膜、前眼房、虹彩、水晶体、水性反応(細胞及びフレア))から成る。いずれのビジットにおいても、スリットランプ検査中に水晶体に異常が見つかった場合は、その異常についてLOCSIIIを用いて詳しく調べなければならない。異常が見つかった被験者の以降の全ビジットにはLOCSIIIを含めなければならない。LOCSIIIの標準的手順及び評価尺度の完全な説明については、MOPに概説されている。拡大眼底検査は、網膜及び硝子体(すなわち、後区異常、網膜出血/剥離、及び硝子体出血密度及び硝子体細胞)の評価、硝子体出血密度及び硝子体細胞の段階評価を含む。眼圧(Intraocular Pressure,IOP)は、第1ビジットで、研究施設の通常の慣例に従って両眼において測定し、該当する研究文書に記録する。研究ビジット(第2~第9ビジット)の注記事項として、IOPは、調査眼においてのみ取得する。
【0255】
<眼の撮像>
前述のビジットスケジュールに概説されるように下記の眼の画像を取得する。SOAも参照されたい。取得する画像は、デジタルカラー眼底写真、蛍光眼底造影、スペクトル領域光干渉断層撮影、眼底自発蛍光、赤外線反射率の画像である。指定の臨床施設においてのみハイデルバルグスペクトラリス(Hidelberg Spectralis(登録商標))システムを用いて実行する。
【0256】
<注射後評価>
注射の前及び後に調査眼を評価して、注射処置及び/又は治験薬が眼の健康を危険にさらしていないことを確認する。最初の注射後評価は、注射後15分以内に行わなければならず、この注射後評価には視力(光覚)の総合評価及びIPOのモニタリングが含まれる。被験者が総合視力検査に合格し、IOP<30mmHgである場合、被験者は施設を退出できる。被験者が総合視力検査で不合格及び/又はIOP>30mmHgとなった場合は、被験者が総合視力検査に合格し、IOPが30mmHgとなるまで約30分ごとにこの評価処理を続行する。
【0257】
注射後に顕著な持続的IOPの上昇(>30mmHg)又は網膜中心動脈(Central Retinal Artery,CRA)の不十分な灌流が生じた被験者については、PIの臨床判断に従って観察する必要があり、当該被験者は、試験実施計画書に指定の範囲を超えて追加の処置及びIOP測定を受けることができ、更に、IOPの低減処置を受けることができる。何らかの懸念事項又は即時の毒性が認識された場合は、被験者を施設に留まらせ、PIの臨床判断に従って治療する。
【0258】
<研究評価のための血液量>
研究中(第150日まで)の血液量については表6を参照されたい。
【0259】
<有害事象と重篤有害事象>
PI又はPIの医療協力者のうちの1人によって観察された、参加者から自発的に報告された、又は直接質疑において報告された有害事象(AE)を全てレポートする。全ての有害事象(眼、眼以外、重篤、非重篤、自発的、及び誘発的な有害事象)は、研究記録に記載しなければならない。
【0260】
<有害事象(AE)の定義>
有害事象は、医薬製品を受け取った被験者における不都合な医療的発生事象である。この発生は、必ずしも治療と因果関係がある必要はない。したがって、AEは、薬剤に関連があると考えられるか否かに関わらず、薬剤の使用に伴って一時的に生じる好ましくない非企図の兆候、症状、又は疾病である。
【0261】
注記:本研究の目的に照らせば、異常な検査室数値は、調査官によって医療的に重大であるとみなされない限り、有害事象として見なされない。全ての異常な検査室数値は、データベース、及び最終研究報告で提供される適切な分析表に記録される。
【0262】
<重篤有害事象(SE)の定義>
重篤有害事象(Serious Adverse Event,SAE)は、不都合な医療的発生事象であり、いずれかの投与量において死に至る事象;生命を危うくする事象(但し、この事象は、当該事象の発生時において被験者が死亡する危険が実際にあったものを意味し、より深刻な形で生じた場合に死に至った可能性のある事象を意味するものではない);入院加療又は現在の入院加療の延長が必要になる事象;持続的若しくは深刻な無能力に至る事象;通常の生活機能を遂行する能力の実質的な破綻に至る事象;又は先天性異常若しくは先天性欠損として定義される。
【0263】
死に至る、生命を危うくする、又は入院加療が必要になることの無い重大な医療事象は、適切な医療判定に基づいて、患者又は被験者を危険にさらす可能性があり、且つ前述した定義に列挙されたいずれかの結果を防ぐための医療的又は外科的介入が必要になり得る場合に、重篤であると判断される。
【0264】
AEが重篤であるかどうか、及び迅速な報告が必要かどうかを判断する際には、医療的及び科学的判定を行わなければならない。
【0265】
<特定関心事の有害事象>
特に関心のある有害事象は、スポンサーの製品又はプログラムに固有の科学的医療懸案事項の1つであり、調査官による持続的モニタリング及びスポンサーとの迅速な意思伝達が必要になり得る。これらの有害事象は、重篤である場合又は重篤でない場合がある。該当する有害事象では、事象を特定して理解するための更なる調査が必要になり得、事象の性質によっては、治験スポンサーから第三者への迅速な意思伝達も必要になり得る。特定関心事の有害事象は、重篤事象に関して記載したものと同じ方式且つ同じ時間枠(すなわち、調査官又は委員による事象の把握から1作業日以内)で報告しなければならない。特定関心事の有害事象は、眼内炎;4+の眼炎症;事象の発生から30日以内に1+以下に低下しない2~3+の眼炎症;FA注射後の光覚損失の持続(5分を超える持続);注射後90分/90分以降のIOPの継続的上昇(30mmHg);外科的介入(すなわち穿刺)を必要とするIOPの上昇;事象の発生から14日以内に消失しない2+重要度を上回る新たな硝子体出血;白内障の進行が挙げられる。
【0266】
特定関心事の有害事象が研究の被験者に生じた場合は、研究被験者に対して、有害事象を解決するための対応を行う。研究治療への更なる曝露及び研究への更なる参加に関わる決定がスポンサーによって為される。
【0267】
<有害事象の評価及び記録>
調査官は、被験者のビジット中に毎回、被験者との対話によりAEの発生を厳密に調査して、施設の原文書にその情報を記録する。各AEについて、PIは、開始及び解決の日付、深刻度、SAEの定義を満たすかどうかの判断、治験薬と事象との関連性、治験薬に関して遂行された行動、及び事象の結果を記述しなければならない。データは、CRFの指示通りに原文書からCRFに複写しなければならない。
【0268】
有害事象の報告に際し、事象の記述には、「Common Terminology Criteria for Adverse Events(有害事象の共通用語基準)」(CTCAE,v4.03)に最もよく適合するように事象を記述する用語を使用しなければならない。利用可能なCTCAE用語が十分に事象に適合する場合は、記述を追加しなくてもよい。
【0269】
ただし、調査官は、事象を明確化するため、又は適切な脈絡で事象を把握するために必要な記述を追加しなければならない。CTCAEに有害事象に一致する適切な用語が見つからず、推奨MedDRA用語が不明である場合、有害事象の記述には、診断結果、兆候、又は症状と共に、MedDRAコード化用語への後の分類を容易にする追加情報を含めなければならない。
【0270】
<強度>
PIは、報告された有害事象全ての深刻度を下記の5つの区分のいずれかに等級分けしなければならない。5つの区分は、第1等級(軽度)、第2等級(中度)、第3等級(重度)、第4等級(生命の危険)、及び第5等級(死に関わるAE)である。適合するCTCAE用語を利用できる場合は、報告された特定タイプの有害事象についての標準CTCAE深刻度等級尺度を使用しなければならない。標準の等級尺度を参照できない場合、又は即時の参照が可能でない場合は、下記の指標を用いるものとする。
【0271】
第1等級-軽度:治験薬に関連があるとPIによって判断され他の点では微細な72時間を超える軽度の医療事象の継続、又は治験薬に関連があるとPIによって判断された一過性(72時間未満)のAE。必要な医療的治療又は介入が皆無または最小限であり、入院加療の必要がなく、通常の活動における制約が皆無又は僅かである。処方箋なし又は単回の処方箋治療を用いて症状を緩和できる。軽度の有害事象は、所定の試験実施計画書に対応した治療の予想結果として列記されてよく、このような予想事象の標準対症療法は、必ずしも当該事象の等級を上げるものではない。
【0272】
第2等級-中度:軽度から中程度の活動制限であり、何らかの支援が必要になり得る。必要な介入/治療が皆無である可能性もあるが、通常は、最小限の介入/治療を必要とし、入院可能の可能性がある。
【0273】
第3等級-重度:活動が著しく制限され、日常的に何らかの支援を必要とする。医療的介入/治療が必要である。入院加療の恐れ又は可能性がある。[特に、この視覚関連の研究における眼の有害事象としては、即時に視力に悪影響を及ぼす状態(例えば、差し迫った角膜穿孔、網膜剥離)は、影響を受けた眼が全盲に至るような場合に、第3等級に分類される。
【0274】
第4等級-生命の危険:活動の極度の制限、重大な即時の支援を必要とする。命を失うことを防ぐ重大な医療/治療介入を必要とする。入院加療、救急治療、又はホスピスケアの可能性が高い。この等級は、PIの視点において、参加者が有害事象時に死亡するかなりのリスクがある場合、又は試験物品の使用又は使用の継続が参加者を死に至らせる疑いがある場合に使用される。(これは、より深刻な形で生じた場合に死に至ったかもしれない反応は含まない。例えば、薬剤誘発性肝炎は致命的になり得るが、肝炎の証拠がないまま解消した薬剤誘発性肝炎は生命の危険として扱われない。)
【0275】
第5等級-死亡:AEに関連する死亡。
【0276】
<因果関係>
PI(又は有資格の試験医)は、報告された有害事象の因果関係について、試験物品又は試験処置への帰属性を提示しなければならない。
【0277】
帰属性には、因果関係が合理的に推測され得る試験物品について、時間的関係と、全ての既知の物理的情報、生理的情報、又は毒性情報の両方を考慮しなければならない。因果関係は、実験している試験物品についてのみ検討されるべきものであり、標準的な研究の検査処置又は診断処置については検討しない。4つの帰属性分類は次のとおりである。非関連-治験薬の投与からの合理的時系列に沿っていない。この事象又は検査室検査での異常は明らかに外部的原因(疾病、他の薬剤、環境等)に起因する。低度の関連可能性:治験薬に対する反応の既知のパターンに沿っていない。治験薬の投与からの合理的時系列に沿っていない。疾病又は他の薬剤によって妥当と思われる説明が提供される。
【0278】
治験薬が再投与されたときに再現しない、又は悪化しない。関連の恐れ:治験薬に対する反応の既知のパターンに沿っている。治験薬の投与からの時系列が妥当である。疾病又は他の薬剤によって説明される可能性がある。高度の関連可能性-治験薬に対する反応の既知のパターンに沿っている。治験薬の投与からの時系列が妥当である。取りやめに対する反応が臨床的に妥当である。参加者の医療状態、環境要因、又は被験者に付与された他の治療の既知の特徴から合理的に説明できない。
【0279】
<重篤有害事象の報告>
全てのSAE(本明細書に定義)は、研究薬剤との関連性が決定したかどうかに関わらず、調査官がSAEを把握してから24時間以内に、電話、電子メール、又はファクシミリによってスポンサー(又は指定のメディカルモニター)に報告される。連絡先の詳細は、重篤有害事象フォームで確認できる。
【0280】
SAEの最初の報告書は、少なくとも下記の情報を含まなければならない。情報は次のとおりである。試験実施計画書番号;施設番号;被験者のスクリーニング番号、イニシャル、性別、及び誕生日;PIの名前と試験施設の住所;SAEの詳細内容;「重篤」と分類した基準;SAE発生の日付。
【0281】
追跡調査のSAE報告書は、追加の情報が入手可能になったときに提出し、最終SAE報告書は、SAEの強度、結果、及び治験薬との関係についての情報、治験薬投与日、併用薬、並びに各種の他の関連情報を含まなければならない。PIは、被験者の個人識別情報を除外した関係文書(例えば、退院要約、検査報告、検屍報告等)の明瞭なコピーも必要に応じて提供しなければならない。全てのSAEは、被験者が完了前に研究への参加を中止した場合であっても、急性事象が解決するまで追跡される。調査官は、自身の施設で発生したSAEを必要に応じてIRB/IECに報告しなければならない。
【0282】
<予想有害事象>
<試験物品に関して予想されるAE>
本試験実施計画書において提案された投与量で予想される、調査試験薬に関連のある眼又は全体のAEは皆無である。
【0283】
<IVT注射処置に関して予想されるAE>
注射処置(開瞼器、麻酔点眼薬、散瞳薬、抗生物質点眼薬、ポビドンヨード点眼薬又は洗浄、及び結膜下注射麻酔の使用、並びにIVT針の実際の挿入を含む)に関する軽度の不快症状が予想される。これらの処置関連有害事象は、限定ではないが、赤み、軽い眼の痛み、眼刺激症状、視力障害、眼の知覚異常等を含み、本明細書に指定したように等級付けされる。
【0284】
<疾病の進行>
調査眼又は他眼におけるAMD疾病の明らかな進行としてPIによって判断された状態は、参加者の原文書にその状態が特定されるべきで、病変の拡大、病変の出血、病変の流体滲出、RPE裂傷、及び脂質の広範付着等の状態は、有害事象としてCRFに記録されない。他の全ての状態は有害事象として記録しなければならない。疾病進行の疑う余地のない特徴は、原文書に示されていなければならない。研究中における医療状態の通常の発達又は悪化(例えば、AMDの進行に起因する視力喪失)については、その変化が、単なる効力不足に起因するのではなく、試験物品の作用に帰属すると合理的に判断できる場合を除き、その変化自体は必ずしも有害事象を構成するものではない。
【0285】
<脱落>
参加者は、任意の時点において任意の理由により本研究から脱退することを選択でき、その際に罰則が課せられることも、他の臨床試験実施計画への登録が禁止されることもない。
【0286】
本研究から完全に脱退することを希望する参加者には、早期中止ビジットが提供される。
【0287】
この早期中止ビジットには、本明細書に概説した検査が含まれる。
【0288】
<臨床治験中の妊娠>
WOCBPは、適切な妊娠調節方法が利用される限り本研究から除外されない。臨床治験への登録前に、WOCBPは、治験中に妊娠を回避することの重要性、及び意図しない妊娠に関わる潜在的リスクについての助言を受けなければならない。WOCBP及びWOCBPである伴侶を有する男性は、研究期間中に受容可能な妊娠調節方法(上記に定義)を実践するように指示される。男性被験者は、第1日の投与後から最後の終了ビジットまで、精液の提供を行わないように助言される。
【0289】
治験中、女性被験者は、妊娠した兆候を感じた場合に直ちに調査官に連絡するように指導される。研究スポンサーは、直ちに連絡を受けなければならない。妊娠した女性の研究の続行については、妊娠を取り巻く状況に基づいて判断する。妊娠は有害事象として報告されるものではないが、合併症は報告対象になり得る。女性被験者、又は男性被験者の伴侶が研究中に妊娠した場合、PIは、通知を受けてから24時間以内にメディカルモニターに妊娠を報告しなければならない。調査官は、終了時まで妊娠を追跡しなければならない。妊娠の終了時に、調査官は終了結果を文書にして報告する。妊娠の終了結果がSAE(すなわち、産後合併症、死産、新生児死亡、又は先天性異常)としての分類基準を満たす場合、調査官は、所定のSAE報告手続きに従わなければならない。
【0290】
<統計的考察>
記述的要約は、平均値、標準偏差値、中央値、連続変数範囲、カテゴリー変数の個数、及びカテゴリー変数のパーセンテージを含む。
【0291】
<解析の母集団>
安全性解析:少なくとも1回の投与の治療を受けた全ての被験者は、FAの安全性評価対象に組み込まれる。
【0292】
効力エンドポイント:効力解析は、治療企図(Intention-To-Treat,ITT)母集団に基づいて行われ、この母集団は、単回の治療を受けて、2か月後又は2か月後以降に少なくとも1回のビジットを行った全被験者として定義される。第2月は、病変部位を測定する処置での最初のビジットである。試験実施計画書に適合する(Per Protocol,PP)効力分析には、第150日の追跡調査に戻った全無作為被験者が含まれる。
【0293】
安全性は、安全性エンドポイントのための主要解析母集団であり、ITTは、効力エンドポイントの主要解析母集団である。各解析母集団への参加者の割り当ては、全データの収集、臨床研究アソシエートによるモニタリング、及びデータベースのロック前のデータ管理による1回目のクエリー解決の終了後のデータの審査に基づいて行われる。
【0294】
<人口統計ベースライン特性>
参加者の人口統計ベースライン変数(年齢、性別、民族、人種、身長、体重、及びBMI)は、記述統計を用いて集計される。性別、民族、及び人種は、回数カウント及びパーセンテージを用いて集計される。ベースライン眼評価も同様に記述式で集計される。
【0295】
各参加者の妊娠検査結果、併用薬、及び病歴のデータは、データリストに提示される。併用薬は、回数カウント及びパーセンテージを用いて記述式で集計される。
【0296】
<プライマリ安全性エンドポイントの解析>
正規推計統計は安全性評価で実行しない。安全性解析の統計手法は、性質上、主に記述式である。フルドロコルチゾン酢酸エステル1mg/0.1mL及び2mg/0.1mLの注射は、治験薬に関連して重篤AEを示した被験者の数に基づいて、安全で認容できると考えられる。安全性は、詳細に予測定義することができない医療判断であると理解されている。ただし、一般的な指針として、臨床的に深刻な薬剤関連有害事象又は検査所見の異常が被験者に生じない場合に、被験者は投与量を認容したと考える。逆に言えば、治験薬の投与中又は投与後の追跡調査期間中に、臨床的に深刻な薬剤関連有害事象又は検査所見の異常が被験者に生じた場合、被験者は投与量を許容したと考えない。
【0297】
全ての安全性データのリスト及び集計は、安全性母集団を用いて提示される。連続安全性データの集計では記述統計(平均値、SD値、中央値、最小値、及び最大値)が計算され、離散的/分類別安全性データの集計では回数カウント及びパーセンテージ(該当する場合)が計算される。
【0298】
有害事象(AE)は、国際医薬用語集(MedDRA)を使用してコード化され、データは、器官別大分類(Sytem Organ Class)及び優先使用語によって集計される。各AEが報告された参加者の人数及びパーセントは、記述的に集計される(n=9)。同レベルの摘記(すなわち、全身、組織、等級、又は優先使用語)内のAEを2つ以上有する参加者は、該当レベルにおいて1回だけカウントされる。報告されたAE数も提示される。有害事象も、研究治療との関係と共に重症度別に集計される。参加者別のAEデータリストが提供され、このリストは、被験者の言葉通りの逐語表現、優先使用語、器官別大分類、重症度、及び研究治療との関係を含む。SAE及び研究/治療中止に至るAEについては個別のリストが生成される。
【0299】
血液学、血液化学、及び尿分析(連続変数)の全パラメータは、評価された全ての研究ビジットについて、全ての手術後評価のベースライン(手術前の最終値)からの変化と共に記述統計を用いて集計される。全ての検査室データはデータリストに登録され、正常範囲外の全検査値にフラグが設定される。
【0300】
バイタルサインの全パラメータは、研究ビジット毎に、全ての手術後評価のベースライン(手術前の最終値)からの変化と共に記述統計を用いて集計される。
【0301】
個別のバイタルサイン評価が参加者毎にリストされる。身体検査の結果は、参加者毎にリストされて、研究ビジット別のカウント数及びパーセントを用いて記述的に集計される。
【0302】
<セカンダリエンドポイントの解析>
効力性エンドポイントは、本研究の第2のエンドポイントで、完全な眼の検査を含む。
【0303】
ETDRSによる最良矯正視力(BCVA)は、早期治療糖尿病性網膜症研究のETDRS文字数を基準に採点される。ETDRSは連続データとして処理され、ETDRS観察値と、各手術後ビジットにおけるベースラインからの変化とについて、記述統計(平均値、SD値、最小値、及び最大値)が集計される。経時的ETDRS変化の探索的分析は、混合モデルを用いて評価される。同一被験者で繰り返された測定間の相関は、混合モデルによって説明される。各ビジットにおけるベースラインからのETDRS変化の最小二乗平均及びその95%信頼区間が推定される。同様の解析が眼圧に対して実行される。細隙灯生体顕微鏡検査結果、散大眼底検査結果、眼底カラー写真、及びOCT結果等、分類別効力性エンドポイントは、適宜、回数カウント及びパーセンテージ(割合)によって記述的に集計される。
【0304】
<中間解析>
本研究について、正規中間解析は計画されていない。
【0305】
<サンプルサイズ>
本研究では、3+3法に従って、加齢黄斑変性に続発する地図状萎縮を有し、スネレン換算視力が20/32~20/2000である参加者を最大で12名登録することが計画される。
【0306】
本研究に選択したサンプルサイズは、正式な統計正当性証明を行わずに選択したが、選択した数は、本研究の対象を評価するのに十分な数であると考える。サンプルサイズは、実際的かつ論理的な考察に基づいて決定されたものであり、仮説検証又はパラメータ推定の精度に関する統計的検出力に基づくものではない。
【0307】
この第1相治験は、重要な制限毒性を特定し、今回の投与量が第2相治験に適しているかどうかを判定するように設計された。また、最小限の被験者が治験薬に曝露される尤度(likelihood)を最小化するように設計された。
【0308】
これは非盲検研究であり、本研究においてランダム化は行われない。
【0309】
<欠測データ>
欠測データは、通常、安全性又は効率性データに対して分配されない。
【0310】
<データの収集、保持、及びモニタリング>
<データ収集指示>
調査官は、全ての観察内容及び他の関連データを本研究薬で治療する参加者毎に記録するように設計された適切で正確な原文書を準備して維持する。
【0311】
各施設の研究担当員は、参加者のビジットに対応する原文書から試験実施計画別の電子的症例報告書(electronic Case Report Form,eCRF)内に、当該ビジットに対応する情報が利用可能になったときにデータを入力する。参加者は、研究データベース内、又はスポンサーによって収集される全ての研究文書において、名前で識別されるのではなく、施設番号、参加者番号、及びイニシャルによって識別される。
【0312】
eCRFに対して修正が必要な場合は、日時スタンプがeCRFデータを登録又は更新する担当者を追跡して電子オーディットトレールを作成する。調査官は、本研究に登録された参加者について収集された全ての情報に対する責任を負う。本研究の工程内で収集された全データは、完全性及び正確性を期するために、調査官によって再検査されて検証されなければならない。CRFのコピーは、本研究の完了時に調査官の施設に残される。
【0313】
<データ管理手続き>
データは検証されたデータベースに登録される。データ管理グループは、手順書通りにデータを処理する責任を有する。データベースのロックは、品質保証処理が完了したときに行われる。
【0314】
データの取り扱い及び分析に関わる全ての処理は、臨床治験データの取り扱い及び分析についてのFDAガイドラインに適合する適切なコンピュータ処理慣例を用いて実行される。
【0315】
<データ品質の管理及び報告>
研究データベースへのデータの登録後、電子化されたデータ妥当性チェックシステムが定期的に実行されてデータベースに適用される。
【0316】
クエリーは、EDCシステムから直接、入力、追跡、及び解決される。研究データベースは、解決されたクエリーに従って更新される。研究データベースに対する全ての変更は文書化される。
【0317】
<記録保管データ>
データベースは、所定のセキュリティプロシージャによって、無許可のアクセスから保護され、データベースと関連ソフトウェアファイルの適切なバックアップコピーが保持される。データベースは、データベースに対する各種の更新及び変更内容と共に、データベース管理者によってバックアップされる。
【0318】
臨床試験実施計画の臨床的転機(例えば、中間報告書や最終報告書の作成時)において、解析用データはロックされて所定の手順に従ってクリーンアップされる。
【0319】
<調査記録の利用及び保持>
調査官は、要求があったときに、モニター、スポンサー(又は被指名人)の他の公認代理人、IRB/IEC調査員、及び規制当局(例えば、FDA,TGA)調査員が研究データにアクセスできるようにしなければならない。各参加者のファイルは、署名された説明承認同意文書、HIPAA許可及び同意書、並びに参加者に関する全原文書のコピーを含み、これらを含んだ各参加者のファイルが保管されなければならない。調査官は、eCRFに関する情報の入手元である原文書の信頼性及び利用可能性を確保しなければならない。
【0320】
全研究文書(患者ファイル、署名された説明承認同意、eCRFのコピー、研究ファイルノート等)は、研究が完了してから15年間、安全に保管されなければならない。
【0321】
<モニタリング>
モニタリングビジットは、米国CFR21章第50,56,312節と、GCP(Good Clinical Research Practice:臨床試験実施基準)(E6)に関するICH(International Council for Harmonisation:医薬品規制調和国際会議)ガイドラインとに従って、スポンサーの代理人によって実施される。この試験実施計画書に署名することによって、調査官は、スポンサー(又は被指名人)、及び該当する規制当局から、施設内でのモニタリング及び/又は全ての該当研究文書の監査を行う権限を得る。
【0322】
<データ安全性モニタリング委員会>
独立したDSMBが召集される。DSMBの役割は、本研究における治験の道義的運営を保証し、患者の安全を保護する(protect the safety interests of patients)ことである。
【0323】
DSMBは、研究の累積的安全性結果を審査する責任を負う。DSMBは、研究の開始前に会合を持ち、及び第1部及び第3部における最初の参加者のFAのIVT注射の第0日及び1か月後(研究の第2部及び第4部の前)に、全ての利用可能な安全性/忍容性データ(例えば、有害事象、重篤有害事象、臨床検査室評価、血圧、血液学検査、泌尿器科学検査)を審査すると共に、研究期間全体を通じて必要であれば会員を招集してデータ及び潜在的安全リスクを審査する。研究続行の評価基準は、眼及び/又は全身の副作用の発生及び深刻度を含む、研究の安全性に関するものであり、この場合の副作用は、限定ではないが、10mmHgを超えるIOP変動、BCVAにおける15文字以上の減少、存在又は眼内炎、眼の痛みの有無、30mmHGのBP(収縮期血圧又は拡張期血圧)の変動、入院加療又は全身疾患の発生、及び報告された他の眼又は全身の有害事象を含む。全ての変化は、ベースライン測定値と照合される。DSMBは、研究の終了時及び最終統計分析の後で会合し、全てのデータを審査する。
【0324】
DSMBは、いずれも研究チームから独立している眼科医及び生物統計学者で構成される。
【0325】
<参加者の秘密保持>
参加者の秘密保持のために、eCRF及びスポンサーに提出される他の文書において、全ての研究参加者は、施設番号、参加者番号、及び参加者のイニシャルのみによって識別される。追加の参加者秘密保持事項(存在する場合)は、臨床研究同意書に記載される。
【0326】
<管理、倫理、規制考慮事項>
本研究は、ヘルシンキ宣言(Declaration of Helsinki)、志願者の保護(Protection of Human Volunteers)(21CFR50)、治験審査委員会(21CRF56)、及び臨床調査官の義務(Obligations of Clinical Investigators)(21CFR312)に従って実施される。
【0327】
秘密保持を確保するため、検査検体、評価フォーム、報告書、及び他の記録は全てコード化された番号及びイニシャルのみによって識別される。全研究記録は、施錠されるファイルキャビネットに保管され、患者の名前と患者の識別番号との対応付けるコードシートは、施錠される他のファイルキャビネットに独立して保管される。臨床情報は、TGA(医薬品行政局)によるモニタリングに必要となる場合を除き、参加者の書面による許可がない限り公開されない。調査官は、該当する全てのプライバシー規則(例えば、The Health Records andInformation Privacy Act 2002(健康記録及び情報のプライバシー法令、2002年))も頓首しなければならない。
【0328】
<試験実施計画書の補正>
試験実施計画書に対する全ての補正は、スポンサーによって記載される。試験実施計画書の補正は、患者の明らかな即時の安全性危機を回避するために必要とされる場合を除き、IRB/IECの書面による事前承認を得ない限り実行することができない。患者への即時の危機を回避することを目的とした試験実施計画書の補正は、即時に実施してよい。但し、5労働日以内にIRBに通知する必要がある。
【0329】
<治験審査委員会及び独立倫理委員会>
試験実施計画書及び同意書は、研究開始前に各参加センタのIRB/IECによって審査及び承認される。理由の如何に寄らず、重篤有害事象は、標準運営手続き及びIRB/IECの方針に従ってIRB/IECに報告され、調査官は、研究の進行状態をIRB/IECに継続的に通知する。調査官は、規制頓首についてのIRB/IECの承認を得る。
【0330】
IRB/IECが責任を果たすために必要とする全ての文書(試験実施計画書、試験実施計画補正書、調査官用パンフレット、同意書、患者の採用に関する情報、支払又は補償手順書、又は他の関連情報等)は、IRB/IECに提出される。研究試験実施計画書及び説明承認同意書フォームに対するIRB/IECからの無条件承認書は、研究の開始前に調査官が入手する。IRB/IECの無条件承認文書は、研究供給物資の施設への出荷前に、調査官によってスポンサー又は被指定人に送付される。この承認では、試験実施計画書の正確な名称及び番号によって研究が指定され、審査対象の文書及び審査日が特定されている必要がある。
【0331】
試験実施計画書及び/又は説明承認同意書の修正又は変更は、患者の即時の安全性危機を回避するために必要とされる場合、又は研究のロジスティック又は管理運営的側面のみに関わる変更である場合を除き、IRB/IECの書面による事前承認を得ずに行うことはできない。この修正はIRB/IECに提出されて、変更内容が提示されて後に承認されたことを示す承認書が取得される必要がある。
【0332】
IRB/IECは、確認用に最初に送付された他の文書に対する改訂、標準運営手順及びIRB方針に従った研究中に発生する重篤有害事象及び/又は予想外の有害事象、研究の実施対象の患者の安全に対して悪影響を及ぼし得る新情報、年次更新及び/又は再承認要求、並びに研究の完了時について通知されなければならない。
【0333】
<説明承認同意書(ICF)>
説明承認同意は、ヘルシンキ宣言、ICH GCP、ヒト被験者の保護に関する米国連邦規制基準(US Code of Federal Regulations for Protection of Human Subjects)(21CFR50.25[a,b]、CFR50.27、及びCFR Part56、Subpart A)、医療保険相互運用性と責任に関する法律(Health Insurance Portability Accountability Act)(利用可能な場合はHIPAA)、及び各地の規制に従って取得される。
【0334】
図2図6に、第1b相の研究に係る1人の被験者へのフルドロコルチゾンの注射結果を示す。このデータは、1mgの硝子体内FAで左眼を治療した、両側にGAを有する単一の被験者に関するデータである。第28日における毒性の証拠は存在せず、眼圧(IOP)無し、及び視力(VA)の改善があった。研究には、尿妊娠検査(陰性)、バイタルサイン検査、外眼検査(全て正常)、細隙灯生体顕微鏡検査(前眼房における過去の傷跡を除いて全て正常)、IOP測定、拡大眼底検査(注射を行った左眼(OS)のGA及び右眼(OD)のGAを除き全て正常)、硝子体のかすみ(無)、スペクトル領域光干渉断層撮影(SD OCT)、及び体組織の検査(非関連事象を除き全て正常)も組み込まれた。
【0335】
本明細書において、「含む(comprises, comprising)」又は同様の表現は、非排他的包含を意味することが意図され、列挙された構成要素を含む装置は、列挙された構成要素のみを含むのではなく、列挙されていない他の構成要素を含んでよい。
【0336】
本明細書全体を通じて、その目的は、1つの実施形態又は特徴の特定の集合に本発明を限定することなく本発明を説明することである。当業者であれば、特定の実施形態からの変形物も本発明の範囲に入ることを理解できるであろう。
【0337】
【表1】
【0338】
【表2】
【0339】
【表3】
【0340】
【表4】
【0341】
【表5】
【0342】
【表6】
【0343】
<参考文献>
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Riccardo Natoli, Nilisha Fernando, Michele Madigan, Joshua A. Chu-Tan, Krisztina Valter, Jan Provis and Matt Rutar, Microglia-derived IL-1β promotes chemokine expression by Muller cells and RPE in focal retinal degeneration. Molecular Neurodegeneration (2017) 12:31 DOI 10.1186/s13024-017-0175-y
(Natoli et al. b) Riccardo Natoli, Nilisha Fernando, Haihan Jiao, Tanja Racic, Michele Madigan, Nigel L. Barnett, Joshua A. Chu-Tan, Krisztina Valter, Jan Provis, and Matt Rutar, Retinal Macrophages Synthesize C3 and Activate Complement in AMD and in Models of Focal Retinal Degeneration. IOVS, June 2017, 58:7, pp 2977-2990
http://iovs.arvojournals.org/pdfaccess.ashx?url=/data/journals/iovs/936282/
Matt Rutar, Riccardo Natoli, Peter Kozulin, Krisztina Valter, Paul Gatenby, and Jan M. Provis, Analysis of Complement Expression in Light-Induced Retinal Degeneration: Synthesis and Deposition of C3 by Microglia/Macrophages Is Associated with Focal Photoreceptor Degeneration. Investigative Ophthalmology & Visual Science, July 2011, Vol. 52, No. 8.
Rozen S, Skaletsky H. Primer3 on the WWW for general users and for biologist programmers. Methods Mol Biol. 2000;132:365-386.
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
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【図 】
図5I
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