(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 21/50 20060101AFI20230807BHJP
H01H 21/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
H01H21/50 C
H01H21/00 340Z
(21)【出願番号】P 2021127951
(22)【出願日】2021-08-04
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】片山 康雄
(72)【発明者】
【氏名】川畑 宏一
(72)【発明者】
【氏名】永井 裕也
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-103135(JP,U)
【文献】米国特許第06054655(US,A)
【文献】特許第6294290(JP,B2)
【文献】米国特許第05412164(US,A)
【文献】米国特許第05622254(US,A)
【文献】実開平04-115734(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00 - 23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部を有するケーシングと、
前記壁部を挟んで対向するように設けられた、
前記壁部に接触することでクリック感を与える2つのクリック部材と、
前記ケーシングに対して軸線周りに回動自在に設けられた、前記クリック部材を保持する保持部及びディテクタスイッチに接触する接触部を有するレバー本体と、
を備えているスイッチ。
【請求項2】
前記保持部の内周面は、前記壁部を挟んだアーチ状とされ、
2つの前記クリック部材は、弾性を有するシート部材に一体に設けられ、
前記シート部材は、前記内周面のアーチ状に沿うように曲げられて前記保持部に保持されている請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記レバー本体は、前記保持部に保持された前記シート部材のアーチ状の頂点部分の下方に設けられた突起部を有している請求項2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記クリック部材の対向方向は、前記壁部の突出方向に対して略直交している請求項1から3のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項5】
前記レバー本体は、前記保持部及び前記接触部を前記軸線周りに回動させることができる操作部を有し、
前記操作部は、前記軸線に対して前記保持部の反対側に延出するとともに、前記保持部に対して前記軸線方向にオフセットされて設けられている請求項1から4のいずれかに記載のスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に採用されて好適なスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
レバーの操作によってディテクタスイッチを間接的にオン・オフさせるスイッチにおいて、レバーの操作をする使用者にクリック感(適度な操作感)を与えるためにラバードームを設けることがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている構成は、ラバードームを保持するホルダと本体(ボデー)を別体で備えているものである。
【0005】
しかしながら、ホルダと本体とを別体とすることで、部品点数が増加してコストが増加するばかりか、スイッチの組付けに要する工数も増加してしまう。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コストダウンを図るとともに、組立てに要する工数を減らすことができるスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のスイッチは以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係るスイッチは、壁部を有するケーシングと、前記壁部を挟んで対向するように設けられた、前記壁部に接触することでクリック感を与える2つのクリック部材と、前記ケーシングに対して軸線周りに回動自在に設けられた、前記クリック部材を保持する保持部及びディテクタスイッチに接触する接触部を有するレバー本体と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、コストダウンを図るとともに、組立てに要する工数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係るスイッチの斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るレバーの斜視図である。
【
図4】U字状に曲げられたラバーシートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係るスイッチについて図面を参照して説明する。
図1に示すように、スイッチ1は、ケーシング10及びレバー20を備えている。
【0011】
ケーシング10は、レバー20及びディテクタスイッチ50(
図2参照)を収容する収容空間11を画定している。
ケーシング10には、収容空間11において、底面から所定の方向(同図の場合、上方に向かう方向)に突出する壁部12が形成されている。
【0012】
図1及び
図2に示すように、レバー20は、レバー本体30及びラバーシート(シート部材)40を有している。
【0013】
レバー本体30は、軸線Xに沿う軸部34を回動中心とした、保持部31、接触部32及び操作部33を有している。保持部31、接触部32、操作部33及び軸部34は、樹脂で一体的に成形されている。
レバー本体30は、軸部34によってケーシング10に対して軸線X周りに回動自在に軸支されている。
【0014】
保持部31は、2つの先端31aを有する逆U字状の部分であり、軸部34から所定の方向(同図の場合、下方向)に向かって延出している。
保持部31のアーチ状の内周面には、後述するラバーシート40が保持される。
図1に示すように、保持部31の先端31aは、ケーシング10に形成された壁部12を挟んで対向している。
【0015】
接触部32は、二又に割れた先端32aを有する部分であり、軸部34から保持部31の延出方法と同じ方向に向かって延出している。また、接触部32は、軸線X方向において保持部31からオフセットされており、保持部31との間で間隙が設けられている。
接触部32の先端32aは、ディテクタスイッチ50に接触する。
【0016】
操作部33は、使用者がレバー20を操作するときに動かす部分であり、軸部34から保持部31及び接触部32の延出方向と反対側の方向(同図の場合、上方向)に向かって延出するとともにケーシング10から突出している。また、操作部33は、軸線X方向において保持部31からオフセットされており、おおよそ保持部31と接触部32の間に位置している。すなわち、操作部33は、軸線Xに対して、上述した保持部31と接触部32の間に設けられた間隙の反対側に設けられていることになる。
これによって、保持部31と接触部32の間に設けられた間隙に光源を設けることで、光源を用いた視覚的な効果を操作部33に与えることができる。
【0017】
操作部33の上部には図示しない意匠グリップが設けられ、使用者はその意匠グリップを介して操作部33を動かすことになる。そして、使用者が意匠グリップを介して操作部33を軸部34(軸線X)周りに動かすことで、レバー20全体が軸部34(軸線X)周りに回動することになる。
【0018】
なお、
図2に示すように、レバー本体30(例えば保持部31)には、肉抜箇所31bを設けてもよい。
これによって、レバー本体30の成形時に樹脂が均一に冷却されるので、ヒケ等の成形不良の発生を抑制することができる。また、肉抜箇所31bを設けることで肉抜箇所31bとそれ隣接する肉抜箇所31bとの間にリブが形成されて、レバー本体30の強度を向上させることができる。
【0019】
図3に示すように、ラバーシート40は柔軟性のある弾性体であり、2つのラバードーム(クリック部材)41及びそれらを接続する接続部42を有している。ラバードーム41及び接続部42は、例えばシリコーンで一体的に成形されている。
【0020】
ラバードーム41は、負荷を与えることで弾性的に変形するとともにその負荷に対する反発力を発揮する部分であり、椀状に突出した形状をなしている。
ラバードーム41は、レバー20を操作した使用者にクリック感(適度な操作感/適度な反発力)を与えるための部材である。
2つのラバードーム41は互いに離間して配置されており、離間したラバードーム41はシート状の接続部42によって接続されている。
【0021】
図4に示すように、ラバーシート40は、ラバードーム41が内側に向かい合うようにU字状に変形した状態で保持部31に取り付けられ、
図2に示すように、保持部31のアーチ状の内周面に沿うように曲げられた状態で保持部31に保持される。
図1に示すように、保持部31に保持されたラバーシート40のラバードーム41は、ケーシング10に形成された壁部12を挟んで対向している。
【0022】
このとき、保持部31の内周面に沿って曲げられたラバーシート40には、元の形状(
図3参照)に戻ろうとする弾性力が作用している。このため、ラバーシート40が保持部31の内周面に押し付けられるので、ラバーシート40が保持部31から外れにくくなる。
【0023】
以上のように構成されたスイッチ1は、例えば以下のように操作される。
すなわち、使用者が意匠グリップを介して操作部33を軸部34(軸線X)周りに動かすことで、レバー20全体が軸部34(軸線X)周りに動くことになる。
【0024】
このとき、一方のラバードーム41が壁部12に接触することで、使用者にクリック感を与える。
なお、ラバードーム41の対向方向と壁部12の突出方向が直交していれば、使用者に最適なクリック感を与えることができる。
【0025】
また、これと同時に、接触部32がディテクタスイッチ50に接触することで間接的にディテクタスイッチ50の操作がなされ、ディテクタスイッチ50の機能に応じた動作が実行されることになる。
【0026】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
壁部12を有するケーシング10と、壁部12を挟んで対向するように設けられた、クリック感を与える2つのラバードーム41と、ラバードーム41を保持する保持部31及びディテクタスイッチ50に接触する接触部32を有するレバー本体30と、を備えており、保持部31及び接触部32はケーシング10に対して軸線X周りに回動自在に設けられているので、レバー20の操作時において使用者にクリック感を与えるラバードーム41を保持する機能をレバー本体30にもたせることができる。このため、ラバードーム41を保持するためのケースが不要となり、コストダウンを図ることができる。また、ラバードーム41を保持するためのケースがないので、ケースを別個に備えているスイッチと比べて組立てに要する工数を減らすことができる。
【0027】
また、保持部31の内周面は、壁部12を挟んだアーチ状とされ、2つのラバードーム41、弾性を有するラバーシート40に一体に設けられ、ラバーシート40は、内周面のアーチ状に沿うように曲げられて保持部31に保持されているので、ラバーシート40の弾性によってラバーシート40が保持部31の内周面に押し付けられ、ラバーシート40(ラバードーム41)が保持部31から外れにくくなる。
【0028】
また、ラバードーム41の対向方向が、壁部12の突出方向に対して略直交していれば、レバー20の安定的な操作を実現することができる。また、使用者に適切なクリック感を与えることができる。
【0029】
また、レバー本体30は、保持部31及び接触部32を軸線X周りに回動させることができる操作部33を有し、操作部33は、軸線Xに対して保持部31の反対側に延出するとともに、保持部31に対して軸線X方向にオフセットされて設けられているので、軸線Xに対して操作部33の反対側にスペースを設けることができる。これによって、当該スペースに例えば光源を設けることで、光源を用いた視覚的な効果を操作部33に与えることができる。
【0030】
なお、レバー本体30において、ラバーシート40のアーチ状の頂点部分の下方に位置する箇所に、軸線X方向に突出する突起部35を設けてもよい。
これによって、ラバーシート40が保持部31から落下することを防止できる。
【0031】
以上の通り説明した実施形態に係るスイッチは、例えば以下のように把握される。
すなわち、本開示の一態様に係るスイッチ(1)は、壁部(12)を有するケーシング(10)と、前記壁部を挟んで対向するように設けられた、クリック感を与える2つのクリック部材(41)と、前記ケーシングに対して軸線(X)周りに回動自在に設けられた、前記クリック部材を保持する保持部(31)及びディテクタスイッチ(50)に接触する接触部(32)を有するレバー本体(30)と、を備えている。
【0032】
本態様に係るスイッチによれば、壁部を有するケーシングと、壁部を挟んで対向するように設けられた、クリック感を与える2つのクリック部材と、クリック部材を保持する保持部及びディテクタスイッチに接触する接触部を有するレバー本体と、を備えており、保持部及び接触部はケーシングに対して軸線周りに回動自在に設けられているので、レバーの操作時において使用者にクリック感を与えるクリック部材を保持する機能をレバー本体にもたせることができる。このため、クリック部材を保持するためのケースが不要となり、コストダウンを図ることができる。また、クリック部材を保持するためのケースがないので、ケースを別個に備えているスイッチと比べて組立てに要する工数を減らすことができる。
クリック部材としては、ラバードームが例示される。
【0033】
また、本開示の一態様に係るスイッチにおいて、前記保持部の内周面は、前記壁部を挟んだアーチ状とされ、2つの前記クリック部材は、弾性を有するシート部材(40)に一体に設けられ、前記シート部材は、前記内周面のアーチ状に沿うように曲げられて前記保持部に保持されている。
【0034】
本態様に係るスイッチによれば、保持部の内周面は、壁部を挟んだアーチ状とされ、2つのクリック部材は、弾性を有するシート部材に一体に設けられ、シート部材は、内周面のアーチ状に沿うように曲げられて保持部に保持されているので、シート部材の弾性によってシート部材が保持部の内周面に押し付けられ、シート部材(クリック部材)が保持部から外れにくくなる。
【0035】
また、本開示の一態様に係るスイッチにおいて、前記レバー本体は、前記保持部に保持された前記シート部材のアーチ状の頂点部分の下方に設けられた突起部(35)を有している。
【0036】
本態様に係るスイッチによれば、レバー本体は、保持部に保持されたシート部材のアーチ状の頂点部分の下方に設けられた突起部を有しているので、シート部材の落下を防止することができる。
【0037】
また、本開示の一態様に係るスイッチにおいて、前記クリック部材の対向方向は、前記壁部の突出方向に対して略直交している。
【0038】
本態様に係るスイッチによれば、クリック部材の対向方向は、壁部の突出方向に対して略直交しているので、レバーの安定的な操作を実現することができる。また、使用者に適切なクリック感を与えることができる。
【0039】
また、本開示の一態様に係るスイッチにおいて、前記レバー本体は、前記保持部及び前記接触部を前記軸線周りに回動させることができる操作部(33)を有し、前記操作部は、前記軸線に対して前記保持部の反対側に延出するとともに、前記保持部に対して前記軸線方向にオフセットされて設けられている。
【0040】
本態様に係るスイッチによれば、レバー本体は、保持部及び接触部を軸線周りに回動させることができる操作部を有し、操作部は、軸線に対して保持部の反対側に延出するとともに、保持部に対して軸線方向にオフセットされて設けられているので、軸線に対する操作部の反対側にスペースを設けることができる。これによって、当該スペースに例えば光源を設けることで、光源を用いた視覚的な効果を操作部に与えることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 スイッチ
10 ケーシング
11 収容空間
12 壁部
20 レバー
30 レバー本体
31 保持部
31a 先端
31b 肉抜箇所
32 接触部
32a 先端
33 操作部
34 軸部
35 突起部
40 ラバーシート
41 ラバードーム
42 接続部
50 ディテクタスイッチ