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特許7326397ローラミル用の分配計量供給装置、このような分配計量供給装置を有するローラミル、粉砕原料を粉砕するための方法、および冷却システムを有する配電盤キャビネットを備えたローラミル
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  • 特許-ローラミル用の分配計量供給装置、このような分配計量供給装置を有するローラミル、粉砕原料を粉砕するための方法、および冷却システムを有する配電盤キャビネットを備えたローラミル 図1
  • 特許-ローラミル用の分配計量供給装置、このような分配計量供給装置を有するローラミル、粉砕原料を粉砕するための方法、および冷却システムを有する配電盤キャビネットを備えたローラミル 図2
  • 特許-ローラミル用の分配計量供給装置、このような分配計量供給装置を有するローラミル、粉砕原料を粉砕するための方法、および冷却システムを有する配電盤キャビネットを備えたローラミル 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ローラミル用の分配計量供給装置、このような分配計量供給装置を有するローラミル、粉砕原料を粉砕するための方法、および冷却システムを有する配電盤キャビネットを備えたローラミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 4/28 20060101AFI20230807BHJP
   B65G 65/30 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
B02C4/28 A
B65G65/30 Z
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021159213
(22)【出願日】2021-09-29
(62)【分割の表示】P 2020565876の分割
【原出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2022001367
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】18174239.6
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501003320
【氏名又は名称】ビューラー・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Buehler AG
【住所又は居所原語表記】Gupfenstrasse 5, CH-9240 Uzwil, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マーク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル リッケンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ザルツマン
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-271075(JP,A)
【文献】特開2002-271076(JP,A)
【文献】中国実用新案第201304357(CN,Y)
【文献】特表2014-512958(JP,A)
【文献】特開2004-173358(JP,A)
【文献】特開2005-129748(JP,A)
【文献】特表2002-504854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 4/00- 4/44
B02C 11/00-11/18
B02C 15/00-15/16
B02C 23/00-23/40
B65G 65/30
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラミル(14)を有する粉砕設備であって、
各々の前記ローラミル(14)が、ハウジング(2)内に配置された少なくとも2つのローラと、粉砕材料入口(3)と、粉砕材料出口(4)と、分配および計量供給装置(1)と、前記ローラミル(14)を制御および/または調整するための制御ユニット(12)とを備える粉砕設備において、
各々の前記ローラミル(14)において、前記制御ユニット(12)が、冷却システムを有する配電盤キャビネット(13)内に配置され、当該配電盤キャビネット(13)は、各々の前記ローラミル(14)に設けられた前記分配および計量供給装置(1)に直接配置され、
各々の前記ローラミル(14)の全ての接続線が、当該ローラミル(14)の前記配電盤キャビネット(13)内の前記制御ユニット(12)を介して接続されており、
前記配電盤キャビネット(13)の外部と内部とが隔離されていることを特徴とする、粉砕設備。
【請求項2】
前記制御ユニット(12)に接続された3本の接続線が設けられている、請求項1に記載の粉砕設備。
【請求項3】
前記配電盤キャビネット(13)は、少なくとも1つのパワーエレクトロニクス構成要素をさらに収容している、請求項1又は2記載の粉砕設備。
【請求項4】
前記パワーエレクトロニクス構成要素は、安全スイッチ、メインスイッチ、ソフトスタータ、周波数変換器(インバータ)、および電力線から成るグループから選択される、請求項に記載の粉砕設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラミル(粉砕機)用の分配および計量供給装置、ならびに本発明による分配および計量供給装置を有するローラミルに関する。本発明はさらに、本発明による分配および計量供給装置を備えたローラミルを用いて粉砕材料を粉砕するための方法、ならびに冷却システムを有する配電盤キャビネットを備えたローラミルに関する。
【0002】
先行技術のローラミルでは、粉砕材料が、各粉砕経路の取入れ口に中央から導入され、堆積させられる。次いで、粉砕材料は、必要に応じてパドルローラを用いて重力により外向きに分配され、供給ローラによって粉砕間隙内に搬送される。
【0003】
粉砕動作の開始時に、まず取入れ口の充填高さが手作業で、たとえば作業者によって、所望のレベルに事前決定される。ここで考慮すべきことは、一方では、利用可能な緩衝容積が充分に空いているが(可能な限り低いレベル)、他方では、粉砕材料が排出ユニットの端部にまで到達することである(可能な限り高いレベル)。目標のレベルからの実際のレベルの偏差を検出するために、動作中に測定装置(たとえば力変換器)が使用される。制御装置は、実際のレベルが目標のレベルに可能な限り一致するように排出が適合されることを確保する。力変換器は、粉砕材料の充填レベルが直接ではなく間接的に測定され、ひいては、粉砕材料の特性に強く関連する校正を実施しなくてはならないという欠点を有する。先行技術の他の全ての測定原理(たとえば容量センサ)についても、顕著ではないにせよ、このことが同様に当てはまる。先行技術では、最も単純な場合、粉砕材料が重力によってのみ排出ユニットの端部の方向に流入する。したがって、いずれの場合にも、粉砕材料が排出ユニットの端部に存在してローラ端部に排出されることが可能になることを確保することはできない。粉砕材料がローラ端部の粉砕間隙内に搬送されなければ、深刻な損害が生じてしまうことがある。また先行技術は、排出ユニットの端部への粉砕材料の搬送を補助する分配装置(たとえばパドルローラ)も含む。先行技術に属する全てのシステムに関する欠点は、この分配機能が、動作中に粉砕材料に左右されずに自動で制御または調整されないことである。
【0004】
このようなローラミルに関する欠点は、作業者が充填高さを所望のレベルに手作業で調整しなくてはならないことである。所望のレベルのこの「経験に基づいた」設定は、供給ローラの長さに沿って粉砕材料が確実に分配されることを確保することも意図している。供給ローラに沿って粉砕材料が分配されているかを検査/監視することは、たとえ実施されるとしても目視でしか行われない。所望のレベルが適切に選択されておらず、かつ/または分配装置が適切に事前設定されていない場合、動作中に粉砕材料が排出ユニットの端部にまで到達しない事態が生じる。適切な設定は、当業者にとっても困難である。動作中に変化する粉砕材料特性の場合には、先行技術を用いたクリティカルな経路において失敗のリスクがなお一層高まる。その一方で、生産物を中央に導入する場合、生産物は取入れ口において混合されないことから、粉砕材料が分離されないことが重要である。取入れ口において粉砕材料が分離されるリスクは、異なる等級の粉砕材料が2つまたはそれ以上の供給パイプを通って取入れ口に流入するときに特に高まる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、公知のシステムの欠点を回避し、特に計量供給シャフトに沿った粉砕材料の最適な分配を可能にする、ローラミル用の分配および計量供給装置、ならびにローラミルを提供することである。さらにこれにより、取入れ口領域において粉砕材料の混合を補助することも意図されている。
【0006】
この目的は、独立請求項の特徴を有する分配および計量供給装置、ローラミル、ならびに方法によって達成される。
【0007】
分配および計量供給装置は、少なくとも1つの粉砕材料入口および少なくとも1つの粉砕材料出口を有するハウジングと、ハウジング内に配置され、粉砕材料を粉砕材料出口を通してローラミルの粉砕間隙内に計量供給するための供給ローラであって、供給ローラ軸線を中心として回転可能な供給ローラとを備える。
【0008】
分配および計量供給装置はさらに、ハウジング内に配置され、供給ローラに沿って粉砕材料を分配するための搬送シャフトであって、供給ローラ軸線に対して平行に配置された搬送シャフト軸線を中心として回転可能な搬送シャフトと、ハウジング内に配置され、ハウジングの第1の粉砕材料充填レベルを検出するための第1の充填レベルセンサとを備える。当然ながら、個々のセンサ(たとえば、センサストリップ)が相互接続されて、たとえば、このような組み合わされた充填レベルセンサを用いて、より高い高さを網羅することもできる。
【0009】
本発明によれば、分配および計量供給装置はさらに、ハウジング内に配置され、ハウジングの第2の粉砕材料充填レベルを検出するための第2の充填レベルセンサを備え、粉砕材料入口および第1の充填レベルセンサは、供給ローラおよび搬送シャフトの第1の端部に配置されており、第2の充填レベルセンサは、供給ローラおよび搬送シャフトの第2の端部に配置されている。
【0010】
本発明における「第1の端部に」または「第2の端部に」とは、第1のセンサが、供給ローラの最初の3分の1のところに配置されており、第2のセンサが、供給ローラの最後の3分の1のところに配置されていることを意味する。充填レベルセンサは、好ましくは、供給ローラのそれぞれ最初の4分の1および最後の4分の1のところに配置されている。この範囲指示は、軸線方向における供給ローラの長さに関する。
【0011】
分配および計量供給装置は、通常、ローラミルの粉砕ローラの上方に配置される。粉砕材料は、分配および計量供給装置のハウジングに供給され、そこに、ローラミルの動作のための緩衝部として働く貯蔵部を形成し、その結果、質量流のわずかな変動を滑らかにすることができる。次いで供給ローラは、粉砕材料を分配および計量供給装置の粉砕材料出口に向けて搬送し、この粉砕材料出口から粉砕間隙内に搬送する。供給ローラ軸線は、好ましくは、ローラミルの粉砕ローラのローラ軸線に対して平行に配置される。
【0012】
供給ローラに沿って粉砕材料が分配されることを確保するために、搬送シャフトが提供される。搬送シャフトを回転させることにより、粉砕材料が搬送シャフト軸線に沿って一方向に搬送されることが確保され、その結果、それにより、粉砕材料の分配が重力によって補助される。ここで搬送シャフトは、好ましくはスクリューコンベアまたはパドルローラの形態をとる。さらに好ましくは、搬送シャフトの搬送領域、すなわち、粉砕材料の搬送を実現する搬送シャフトの領域は、供給ローラの軸線方向長さの少なくとも半分、好ましくは供給ローラの軸線方向長さの全体にわたって延在する。
【0013】
したがって、この構造は、供給ローラの全長にわたって供給ローラに粉砕材料が供給され、ひいては、粉砕材料が部分的に供給されていない状態で粉砕間隙が機能することはない。搬送シャフトはさらに、分配および計量供給装置内で粉砕材料の混合を実現し、この混合は、円錐形の山が形成された結果(特にふるい効果の結果)生じる分離を防止する。
【0014】
粉砕材料入口は、供給ローラおよび搬送シャフトの第1の端部付近に配置されている。これは、公知の装置とは異なり、粉砕材料が、供給ローラの中央ではなく、供給ローラおよび搬送シャフトの端部領域に供給されることを意味する。この端部領域には、第1の粉砕材料充填レベルを検出するための第1の充填レベルセンサも配置されている。粉砕材料の高さは、第1の充填レベルセンサによって検出可能である。
【0015】
第2の充填レベルセンサは、供給ローラおよび搬送シャフトの他方の端部付近に配置されている。第2の粉砕材料充填レベル、すなわち、粉砕材料の高さは、こうして検出可能である。
【0016】
したがって、充填レベルセンサは、供給ローラ(および搬送シャフト)の各端部付近に1つ配置される。粉砕材料入口を側方に配置し、充填レベルセンサを本発明に従って配置することにより、供給ローラの全長にわたって充分な粉砕材料が供給ローラに供給されているかどうかを推測することができる。
【0017】
粉砕材料入口が、本発明に従わず中央に配置される場合、分配および計量供給装置は鏡像対称となる。第1の充填レベルセンサが、粉砕材料入口の下方に配置され、2つの第2の充填レベルセンサが、供給ローラおよび搬送シャフトの両端部に配置される。この場合、搬送シャフトは、回転により粉砕材料が搬送シャフトの中央から離れて2つの端部に向かって搬送可能になるように設計されている。搬送シャフトは、それぞれ片方の半分を他方の半分から独立させて動かすことができるように、好ましくは2部分から構成される。このような設計形態は、本明細書に記載の分配および計量供給装置を鏡像対象にしたにすぎないことは明らかである。
【0018】
ここで、供給ローラおよび搬送シャフトは、好ましくは互い独立して動くことができる。このことは、供給ローラおよび/または搬送シャフトが専用の駆動装置を有し、先行技術から公知のものとは異なり、供給ローラと搬送シャフトとが連結された状態で駆動されないことを意味する。供給ローラおよび搬送シャフトは、好ましくはそれぞれの駆動装置を有する。
【0019】
供給ローラの回転数は、好ましくは第1の粉砕材料充填レベルに依存して制御または調整可能である。このことは、供給ローラの回転数が、第1の充填レベルセンサによって検出された第1の粉砕材料充填レベルに依存して設定されることを意味する。
【0020】
供給ローラは、第1の粉砕材料充填レベルが低い場合、好ましくは低い回転数で駆動される。次いで、第1の粉砕材料充填レベルが上昇すると、回転数が上げられる。
【0021】
特に、第1の粉砕材料充填レベルが、対応する制御ユニットによって実質的に一定に保たれることが実現されてよい。この目的のためには、目標値が、制御ユニットにおいて持続的にプログラミング可能であるか、他の要因に依存してプログラミング可能であるか、または作業者によって設定可能である。ここで、供給ローラの回転数は、第1の粉砕材料充填レベルの目標値と実際値との差に依存して適合される。
【0022】
搬送シャフトの回転数も同様に、好ましくは第2の粉砕材料充填レベルに依存して制御または調整可能である。このことは、搬送シャフトの回転数が、第2の充填レベルセンサによって検出された第2の粉砕材料充填レベルに依存して設定されることを意味する。
【0023】
搬送シャフトは、第2の粉砕材料充填レベルが低い場合、好ましくは第1の回転数で駆動される。次いで、第2の粉砕材料充填レベルが上昇すると、回転数が下げられる。
【0024】
特に、第2の粉砕材料充填レベルが、対応する制御ユニットによって実質的に一定に保たれることが実現されてよい。この目的のためには、目標値が、制御ユニットにおいて持続的にプログラミング可能であるか、他の要因に依存してプログラミング可能であるか、または作業者によって設定可能である。ここで、搬送シャフトの回転数は、第2の粉砕材料充填レベルの目標値と実際値との差に依存して適合される。
【0025】
供給ローラの回転数を相応に変更することにより、より多量の粉砕材料またはより少量の粉砕材料が排出される。ここで、第2の粉砕材料充填レベルの測定およびそれに対応した搬送シャフトの回転により、粉砕材料が供給ローラの全長にわたって分配されることが確保される。さらに、粉砕材料は搬送シャフトによって混合される。
【0026】
粉砕材料出口は、好ましくは供給ローラと絞り装置との間の間隙として設計されている。
【0027】
ここで、絞り装置は、好ましくは、弓形状の断面を有する回転可能な形材を備える。このような形材は、たとえば断面円形の形材から単純に弓形を除去/研削することによって製造されてよい。ここで、形材の計量供給縁部が、公知の解決策よりも高い剛性を有することが有利である。公知の解決策の絞り装置は、複数の要素から成るフラップを備える。次いで、これらの要素は、直線状の計量供給縁部を形成するように配向されなくてはならない。さらに、弓形状の断面を有する形材は、公知の解決策よりも曲げ剛性が高い。
【0028】
供給ローラと絞り装置と間の間隙として形成された粉砕材料出口を有するそのような装置の場合には、好ましくは間隙の間隙幅が、第1の粉砕材料充填レベルに依存して制御または調整可能である。そのような場合には、供給ローラが一定の回転数で動作し、粉砕材料排出量が間隙幅によってのみ設定されることが特に好ましい。
【0029】
分配および計量供給装置は、好ましくは、粉砕材料を供給ローラに向けて案内するための案内装置を備える。ここで、案内装置は、好ましくはシュート表面の形態をとる。案内装置は、供給ローラから0.001~5mmの間隔を置いて配置される縁部で終端している。ここで、この縁部は、供給ローラの半径方向断面(横断面)において、供給ローラ軸線を通る垂線(鉛直線)に対して0°~90°の角度範囲内に配置される。言い換えれば、この縁部は9時~12時の間に配置される。
【0030】
縁部のこのような配置により、供給ローラの周りのデッドスペースを最小限に抑えることができ、それにより、分配および計量供給装置の衛生状態を改善できるようになる。さらに、分配および計量供給装置の清掃/残留物除去が簡単になる。
【0031】
分配および計量供給装置はさらに、第1および第2の充填レベルセンサに動作可能に接続された制御ユニットを備え、この制御ユニットにより、供給ローラおよび/または搬送シャフトを制御/調整することができる。ここで、制御ユニットは、少なくとも1つのペルチェ素子を備える冷却システムを有する配電盤キャビネットに配置されている。
【0032】
制御ユニットは、供給ローラおよび搬送シャフトの回転を制御/調整するために働き、特に第1または第2の粉砕材料充填レベルに依存して供給ローラおよび搬送シャフトを制御/調整する。同じく供給ローラおよび搬送シャフトを制御/調整するために使用されるさらなるセンサが、動作可能に制御ユニットに接続されることが当然ながら可能である。
【0033】
ローラミルの環境的な特性に起因して、制御ユニットは、一方で外部の影響(粉塵)から保護されなくてはならず、他方では考えられる発火源として安全上の理由(粉塵爆発リスク)で、安全にかつ周囲環境から切り離されるように収容されてなくてはならない。先行技術の解決策は、中央の配電盤キャビネットを提示しており、この配電盤キャビネットから設備全体(複数のローラミル)が給電され、制御/調整される。この形態では、配電盤キャビネットからそれぞれの機械に多数の線を敷設しなくてはならないので、導入の労力が非常に大きい。分配および計量供給装置に直接配置された配電盤キャビネットは、この導入の労力を不要にする。特に、制御ユニットに3本の線(電力供給、データ伝送、たとえばBUS、安全停止)を接続することしか必要とされない。したがって、この装置は、工場においてすでに導入および構成されていてよく、設置現場では「プラグアンドプレイコンセプト」に従ってそれぞれの線と接続されるだけでよい。動作中に生じる熱を除去するために、配電盤キャビネットは、配電盤キャビネットの内部を冷却するための少なくとも1つのペルチェ素子を備える。
【0034】
この形態の利点は、考えられる発火源がローラミル周辺環境に隣接しないように、外部と内部とが隔離されていることである。
【0035】
本発明はさらに、本発明による分配および計量供給装置を有するローラミルに関する。したがって、分配および計量供給装置の上述した利点および発展形態は全て、本発明によるローラミルにも相応に適用可能である。
【0036】
ローラミルは、粉砕材料を粉砕するためのローラ間隙を規定する少なくとも2つのローラを備え、このローラ間隙に、分配および計量供給装置の粉砕材料出口から粉砕材料が供給される。
【0037】
本発明はさらに、ローラミルにおいて粉砕材料を粉砕するための方法に関する。ここでローラミルは、本発明による分配および計量供給装置を備える。したがって、分配および計量供給装置ならびにローラミルの上述した利点および発展形態は全て、本発明による方法にも相応に適用可能である。
【0038】
本発明によれば、粉砕材料が、本発明による分配および計量供給装置を介してローラミルに供給される。
【0039】
粉砕材料は、粉砕材料入口を介して分配および計量供給装置に供給され、次いで、粉砕材料出口を介して分配および計量供給装置から排出される。
【0040】
供給ローラの回転数は、好ましくは第1の粉砕材料充填レベルに依存して制御または調整される。供給ローラの回転数は、特に、第1の粉砕材料充填レベルの目標値と第1の粉砕材料充填レベルの実際値との差に比例して適合される。
【0041】
搬送シャフトの回転数は、好ましくは第2の粉砕材料充填レベルに依存して制御または調整される。搬送シャフトの回転数は、特に、第2の粉砕材料充填レベルの目標値と第2の粉砕材料充填レベルの実際値との差に反比例して適合される。
【0042】
供給ローラと絞り装置との間の間隙として設けられた粉砕材料出口を有する分配および計量供給装置が構成される場合には、間隙の間隙幅が、好ましくは第1の粉砕材料充填レベルに依存して制御または調整される。ここで、供給ローラの回転数は、特に一定に保たれる(すなわち、動作中に変更されない)。ここで、間隙幅は、特に、第1の粉砕材料充填レベルの目標値と第1の粉砕材料充填レベルの実際値との差に比例して適合される。
【0043】
本発明はさらに、ハウジング内に配置された少なくとも2つのローラと、粉砕材料入口と、粉砕材料出口と、ローラミルを制御および/または調整するための制御ユニットとを備えるローラミルに関する。ここで、制御ユニットは、冷却システムを有する配電盤キャビネット内に配置され、この配電盤キャビネットは、ローラミル、特にハウジングに配置されている。冷却システムは、少なくとも1つのペルチェ素子を備える。
【0044】
ローラミルの環境的な特性に起因して、制御ユニットは、一方で外部の影響(粉塵)から保護されなくてはならず、他方では考えられる発火源として安全上の理由(粉塵爆発リスク)で、安全にかつ環境から切り離されるように収容されてなくてはならない。先行技術の解決策は、中央の配電盤キャビネットを提示しており、この配電盤キャビネットから設備全体(複数のローラミル)が給電され、制御/調整される。この形態では、配電盤キャビネットからそれぞれの機械に多数の線を敷設しなくてはならないので、導入の労力が非常に大きい。分配および計量供給装置に直接配置された配電盤キャビネットは、この導入の労力を不要にする。特に、制御ユニットに3本の線(電力供給、データ伝送、たとえばBUS、安全停止)を接続することしか必要とされない。したがって、この装置は、工場においてすでに導入および構成されていてよく、設置現場では「プラグアンドプレイコンセプト」に従ってそれぞれの線と接続されるだけでよい。動作中に生じる熱を除去するために、配電盤キャビネットは、配電盤キャビネットの内部を冷却するための少なくとも1つのペルチェ素子を備える。
【0045】
配電盤キャビネットは、機械制御要素に加えて少なくとも1つのパワーエレクトロニクス構成要素を収容しており、このパワーエレクトロニクス構成要素が、ローラミルのローラの主駆動モータおよび/またはローラミルの供給ユニットの駆動モータを動作させるために働く。パワーエレクトロニクス構成要素は、好ましくは、安全スイッチ、メインスイッチ、ソフトスタータ、周波数変換器(インバータ)、および電力線から成るグループから選択される。
【0046】
したがって、本発明はさらに、複数のローラミルを有する粉砕設備であって、各ローラミルが、ハウジング内に配置された少なくとも2つのローラと、粉砕材料入口と、粉砕材料出口と、分配および計量供給装置と、ローラミルを制御および/または調整するための制御ユニットとを備える粉砕設備において、各ローラミルにおいて、制御ユニットが、各ローラミルに設けられた分配および計量供給装置に直接配置された冷却システムを有する配電盤キャビネット内に配置され、冷却システムが、特に、少なくとも1つのペルチェ素子を備え、各ローラミルの全ての接続線が、そのローラミルの配電盤キャビネット内の制御ユニットを介して接続されていることを特徴とする、粉砕設備に関する。
【0047】
この形態の利点は、考えられる発火源がローラミル周辺環境に接続されないように、外部と内部とが隔離されていることにある。
【0048】
本発明を好ましい例示的な実施形態に基づき、図面を参照しながら以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】供給ローラのシャフトに対して平行な平面における、本発明による分配および計量供給装置の概略断面図である。
図2】供給ローラのシャフトに対して垂直な平面における、本発明による分配および計量供給装置の概略断面図である。
図3】分配および計量供給装置と配電盤キャビネットとを有する、本発明によるローラミルの概略斜視図である。
【0050】
図1および図2は、分配および計量供給装置1を概略的に示す。分配および計量供給装置1は、粉砕材料(若しくは粉砕原料)入口3と粉砕材料出口4とを有するハウジング2を備える。ハウジング2内には、供給ローラ軸線SAを中心として回転することができる供給ローラ5と、粉砕材料の流れ方向に見て供給ローラ5の上方にある搬送シャフト6とが配置されている。この場合の搬送シャフト6はスクリューコンベアの形態を成しており、供給ローラ軸線SAに対して平行な搬送シャフト軸線FAを中心として回転することができる。供給ローラ5および搬送シャフト6を駆動するために、それぞれのモータ15,16が存在する。モータ15および16は、制御ユニット12に信号伝達可能に接続されている(破線により概略的に示す)。
【0051】
ハウジング2内には、2つの充填レベルセンサ7および8が配置されており、これらの充填レベルセンサ7および8は、ハウジング内の粉砕材料の充填レベルを検出するように設計されていて、同じく制御ユニット12に信号伝達可能に接続されている。
【0052】
第1の充填レベルセンサ7は、粉砕材料入口3の領域において供給ローラ5および搬送シャフト6の第1の端部付近に配置されている。第2の充填レベルセンサ8は、供給ローラ5および搬送シャフト6の他方の端部付近に配置されている。したがって、2つの充填レベルセンサ7および8は、供給ローラ5および搬送シャフト6の両端付近に配置されている。また、粉砕材料入口3も、既知の装置の場合のように中央にあるのではなく、供給ローラ5および搬送シャフト6の第1の端部の上方に配置されている。
【0053】
図2では、絞り装置10の構造を確認することができ、この絞り装置10は、ハウジング2の粉砕材料出口4として機能する間隙9を調節するために使用される。絞り装置10は、アクチュエータおよび軸受に加えて、弓形状の断面を有する細長い形材11を備える。形材11を回転させることにより(破線の位置によって概略的に示す)、間隙9の幅を調節することができる。
【0054】
また図2では、シュートとして形成された案内装置18の配置も見ることができる。案内装置18は、供給ローラ5の表面に近い縁部19で終端している。縁部19は、粉砕材料が供給ローラ5の下方に侵入し得ないように、または粉砕材料が供給空間に滞留しないように配置されている。たとえば、この目的のために、縁部19は、供給ローラ軸線SAを通る垂線に対して0°~90°の角度を成すように配置されていてよい。この配置により、供給ローラ5の周りのデッドスペースが低減され、分配および計量供給装置1の残留物除去/清掃が容易になる。封止を目的として、縁部19に被覆体20が接続している。先行技術では、供給空間が供給ローラ(排出ローラ)の大部分を取り囲んでおり、その結果、供給ローラ(排出ローラ)の下方にデッドゾーンが形成され、このデッドゾーンを動作中に完全に空にすることができず、したがって停止中に手作業で清掃しなくてはならなくなる。このデッドゾーンは、虫などの厄介な巣になってしまうことがある。したがって、縁部19が配置されていれば、このようなデッドゾーンは形成され得ないことが理論上確保されるはずである。
【0055】
分配および計量供給装置1の動作中に、粉砕材料が粉砕材料入口3を通って供給される。搬送シャフト6の回転により、粉砕材料が供給ローラ5の第1の端部から第2の端部の方向に搬送される。この分配状況は、第2の充填レベルセンサ8によって監視される。第2の充填レベルセンサ8によって測定された第2の粉砕材料充填レベル(実際値)が、第2の粉砕材料充填レベルの目標値から逸脱している場合には、供給ローラ5の他方の端部に、より多量の粉砕材料またはより少量の粉砕材料が搬送されるように、搬送シャフト6の回転数が相応に調整される。
【0056】
同時に供給ローラ5が駆動される。第1の充填レベルセンサ7によって測定された第1の粉砕材料充填レベル(実際値)が、第1の粉砕材料充填レベルの目標値から逸脱している場合には、より多量の粉砕材料またはより少量の粉砕材料が送り出されて、ハウジングの充填高さが一定に保たれるように、供給ローラ5の回転数が相応に調整される。
【0057】
図3では、分配および計量供給装置1を有するローラミル14を確認することができる。重要なのは配電盤キャビネット13であり、この配電盤キャビネット13はローラミルに配置され、制御ユニット12を収容しており、ペルチェ素子17(その冷却リブのみが見える)によって冷却される。ATEX準拠の他の冷却システム、たとえば液体冷却システム、特に水冷システム、ATEX準拠のファンなども考えられる。
図1
図2
図3