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特許7326404エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物
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  • 特許-エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物 図1
  • 特許-エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20230807BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20230807BHJP
   C08J 5/18 20060101ALN20230807BHJP
   B32B 27/28 20060101ALN20230807BHJP
【FI】
C08J3/12 Z CEX
C08L29/04 S
C08J5/18
B32B27/28 102
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021181403
(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公開番号】P2022191992
(43)【公開日】2022-12-28
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】110121913
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】202110668496.X
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591057290
【氏名又は名称】長春石油化學股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 育修
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 厚錫
(72)【発明者】
【氏名】林 文星
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-128996(JP,A)
【文献】特開2000-264972(JP,A)
【文献】特開2001-164070(JP,A)
【文献】特開2002-127135(JP,A)
【文献】特開2000-128998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28
B29B 9/00-9/16
C08J 5/18
B32B
C08L 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂及び潤滑剤を含みペレット形態であるエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物であって、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物は、表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.05~0.55の間である、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項2】
Skの母標準偏差が0.10~0.45の間である、請求項1に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項3】
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂のエチレン含有量は20~48mole%の間である、請求項1に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項4】
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂の鹸化度は99.5mole%よりも大きい、請求項1から3のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項5】
前記潤滑剤の量は50~200ppmの間である、請求項1から3のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項6】
73~76g/cmの間の仮比重を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項7】
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の100個のペレットの重量は1.4~2.3gの間である、請求項1から3のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項8】
12.0~21.0度の間の安息角の角度を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項9】
10~450ppmの間のホウ素含有量を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項10】
表面の線の最大高さ(Rz)は1.0~9.9μmの間である、請求項1から3のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【請求項11】
含水率は1.1重量百分比未満である、請求項1から3のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(ethylene-vinyl alcohol,EVOH)樹脂組成物に関するものである。EVOH樹脂組成物は特定の範囲の表面粗さを有しており、特に表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.05~0.55の間である。本発明はさらに、EVOH樹脂組成物により形成されたフィルム及びEVOH樹脂組成物を含む多層構造体を開示する。
【背景技術】
【0002】
EVOH樹脂は多層体において広範に使用され、傷みやすい商品の保存に用いられている。例えば、EVOH樹脂や多層体は、一般的に、食品包装産業、医療機器及び付属品産業、製薬産業、電子産業並びに農業用化学品産業において使用されている。EVOH樹脂は、一般的に、別個の層として多層体中に加えられ、酸素バリア層として用いられている。
【0003】
従来のEVOHペレットの加工において、押出工程中にスクリューの堆積や詰まりが頻繁に生じ、スクリューのトルク値の上昇を招くことはよくある問題であり、こうした問題は、EVOHにより形成されたフィルムの外観や機械的強度を低減させる可能性がある。また、こうした問題は、従来技術ではまだ十分に処理又は解決されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加工時のトルク出力を低減し、且つEVOH樹脂の成膜した外観を向上させることに対する継続的需要に鑑みたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特定の範囲の表面粗さを有する、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂組成物に関するものであり、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物は、例えば、表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.05~0.55の間である、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂を含む。1つの好ましい実施例において、EVOH樹脂組成物は、表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.10~0.45の間である。EVOH樹脂組成物は、ペレット、フィルム、繊維などの形態を呈し得る。EVOH樹脂組成物は、フィルム又は多層構造体の調製に用いることができる。発明者は、EVOH樹脂組成物の表面粗さのパラメータSkを特定の範囲にコントロールすることで、EVOHペレットの加工におけるスクリュー出力時のトルク値が低減し、エネルギーの節約効果が達成され、EVOH樹脂組成物の費用対効果の高い製造工程を実現できること、また、出力時の安定性が向上し、良好なフィルム外観が得られることを発見した。
【0006】
本発明の他の態様では、EVOH樹脂組成物(またはそのペレット)を提供するが、上述のEVOH樹脂組成物は50~200ppmの間の潤滑剤量を有する。例えば、本発明のEVOH樹脂組成物は、表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.05~0.55の間であり、且つ50~200ppmの間の潤滑剤量を有する。幾つかの状況において、EVOH樹脂組成物は、10~450ppmのホウ素含有量を有し得る。例えば、本発明のEVOH樹脂組成物は、表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.05~0.55の間であり、且つ10~450ppmの間のホウ素含有量を有する。
【0007】
さらに/又は、EVOH樹脂組成物中のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂は、99.5mole%又はより高い鹸化度を有することができる。EVOH樹脂組成物中のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂は、約20~約48mole%のエチレン含有量を有することができる。例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量は、約25~約45mole%でよい。EVOH樹脂組成物は、異なるエチレン含有量を有する2種類以上のEVOHにより形成することができる。
【0008】
非限定的な例において、EVOH樹脂組成物は、73~76g/cmの間の仮比重を有する。幾つかの状況において、EVOH樹脂組成物は、12.0~21.0度の間の安息角の角度を有する。
【0009】
非限定的な例において、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の含水率は1.1重量百分比未満である。
【0010】
EVOH樹脂組成物は、ペレット、フィルム、繊維などの形態を呈し得る。幾つかの実施例において、EVOH樹脂組成物はペレットの形態を呈し、100個のペレットの重量は1.4~2.3gの間である。
【0011】
少なくとも1つの実施例による多層構造体は、(a)上述のEVOH樹脂により形成された少なくとも1つの層、(b)少なくとも1つのポリマー層、及び(c)少なくとも1つの粘着層を含む。ポリマー層は、例えば、低密度ポリエチレン層、ポリエチレングラフト化マレイン酸無水物(polyethylene grafted maleic anhydride)層、ポリプロピレン層及びナイロン層で組成されたグループから選択されたものでよい。粘着層は、結合層(tie layer)である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、本発明の技術の実施について、添付図面を参照しつつ、例としてのみ記述する。
【0013】
図1】本発明を使用したコア部のレベル差の例を三次元で説明する図である。
図2】本発明を使用したコア部のレベル差の例を二次元で説明する図である。
【0014】
なお、本発明の各態様は添付図面に示す配置、手段及び特性に限らないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂組成物に関するものである。EVOH樹脂組成物は特定の範囲の表面粗さを有しており、特に表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.05~0.55の間である。EVOH樹脂組成物の表面粗さSkのコントロールについては、EVOH製造工程中で異なる潤滑剤の添加方法と添加量をコントロールすることにより、EVOH樹脂組成物及びそのフィルムに良好な効果を持たせることができる。EVOH樹脂組成物は、フィルム又は多層構造体の調製に用いることができる。発明者は、EVOH樹脂組成物の表面粗さのパラメータSkを特定の範囲にコントロールすることで、EVOHペレットの加工におけるスクリュー出力時のトルク値が低減し、エネルギーの節約効果を達成し得ること、また、出力時の安定性が向上し、良好なフィルム外観が得られることを発見した。
【0016】
上述のコア部のレベル差(Sk)というパラメータは、表面の粗さ状態を総合的に評価することができる。Skとは、コア部の最大高さから最小高さを引いた値であり、等価直線の負荷面積率0%と100%との高さの差に基づき算出される。図1及び図2に示す通り、Skはコア部の高さ、即ちコア表面の上下レベル間の距離を表している。Smr1は、コア部と突出ピーク部の負荷面積率(百分率で表す)の区分を表している。Smr2は、コア部と突出ボトム部の負荷面積率(百分率で表す)の区分を表している。Spkは除去するピーク高さ、即ちコア表面よりも高いピークの平均高さを表している。Svkは除去するボトム深さ、即ちコア表面よりも低いボトムの平均高さを表している。このパラメータは、輪郭パラメータの負荷長さ率曲線パラメータを三次元に拡張する。上述のSkは、例えば、0.6~2.0μm、0.6~1.9μm、0.6~1.8μm、0.6~1.7μm、0.6~1.6μm、0.6~1.5μm、0.6~1.4μm、0.6~1.3μm、0.6~1.2μm、0.6~1.1μm、0.6~1.0μm、0.6~0.9μm、0.8~2.0μm、0.8~1.9μm、0.8~1.8μm、0.8~1.7μm、0.8~1.6μm、0.8~1.5μm、0.8~1.4μm、0.8~1.3μm、0.8~1.2μm、0.8~1.1μm、0.8~1.0μm、1.0~2.0μm、1.0~1.9μm、1.0~1.8μm、1.0~1.7μm、1.0~1.6μm、1.0~1.5μm、1.0~1.4μm、1.0~1.3μm、1.0~1.2μm、1.2~2.0μm、1.2~1.9μm、1.2~1.8μm、1.2~1.7μm、1.2~1.6μm、1.2~1.5μm、1.2~1.4μm、1.4~2.0μm、1.4~1.9μm、1.4~1.8μm、1.4~1.7μm、1.4~1.6μm、1.6~2.0μm、1.6~1.9μm又は1.6~1.8μmの間でよい。幾つかの状況において、Skの母標準偏差は、例えば、0.05~0.55、0.05~0.50、0.05~0.45、0.05~0.40、0.05~0.35、0.05~0.30、0.05~0.25、0.05~0.20、0.05~0.15、0.10~0.55、0.10~0.50、0.10~0.45、0.10~0.40、0.10~0.35、0.10~0.30、0.10~0.25、0.10~0.20、0.20~0.55、0.20~0.50、0.20~0.45、0.20~0.40、0.20~0.35、0.20~0.30、0.30~0.55、0.30~0.50、0.30~0.45、0.30~0.40、0.40~0.55又は0.40~0.50の間でよい。幾つかの実施例において、EVOH樹脂組成物は、表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.05~0.55の間である。好ましい実施例において、EVOH樹脂組成物は、表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.10~0.45の間である。Sk数値が高すぎると、ペレットがスクリュー中で輸送される際に摩擦が生じやすくなり、スクリュー出力時のトルク値の上昇を招いてしまう。Sk値が低すぎると、表面のコア部のレベル差が小さいことを示しており、スクリュー中で熱伝導を受けるときに、接触面積が小さいため、受熱が不均一になる現象が起きやすくなり、最終的なフィルム厚みの均一性を低下させてしまう。Skの母標準偏差が高い場合、表面の性質が不均一ではないことを示しており、スクリュー出力時の安定性に影響をきたしやすくなり、フィルム厚みが不均一になる現象が生じやすくなる。
【0017】
1つの態様では、本発明はEVOH樹脂組成物を提供する。EVOH樹脂組成物は、ペレット、フィルム、繊維などの形態を呈し得る。本明細書に記載のEVOHペレットとは、EVOH樹脂組成物の造粒を経て形成された1つ以上のペレットの形態及び/又は形状を指す。本発明の全文では、造粒を経て形成された1つ以上のEVOHペレット形態のEVOH樹脂組成物を記述しているが、EVOH樹脂組成物はビーズ、立方体、チップ、削りくずなどの形態に加工されてもよい。幾つかの実施例において、EVOH樹脂組成物はペレット形態であり、ペレット形態は、柱形状、球形状又は偏平形状でよく、柱形状は円柱形状、楕円柱形状、角柱形状でよく、球形状は円球形状、楕円球形状又は碁石形状でよい。他の幾つかの実施例において、EVOH樹脂組成物はペレットの形態を呈し、100個のペレットの重量は1.4~2.3gの間である。上述の100個のペレットの重量は、例えば、1.4~2.3g、1.4~2.2g、1.4~2.1g、1.4~2.0g、1.4~1.9g、1.4~1.8g、1.4~1.7g、1.5~2.3g、1.5~2.2g、1.5~2.1g、1.5~2.0g、1.5~1.9g、1.5~1.8g、1.5~1.7g、1.6~2.3g、1.6~2.2g、1.6~2.1g、1.6~2.0g、1.6~1.9g、1.6~1.8g、1.6~1.7g、1.7~2.3g、1.7~2.2g、1.7~2.1g、1.7~2.0g、1.7~1.9g、1.7~1.8g、1.8~2.3g、1.8~2.2g、1.8~2.1g、1.8~2.0g又は1.8~1.9gの間でよい。
【0018】
EVOHペレットは、EVOHにより形成され、EVOHはエチレン含有量を有している。例えば、EVOHのエチレン含有量は、約20~約48mole%、約20~約45mole%、約25~約45mole%、約28~約42mole%又は約30~約40mole%でよい。EVOH樹脂組成物は、異なるエチレン含有量を有する2種類以上のEVOHにより形成することができる。例えば、そのうちの1種類のEVOHのエチレン含有量は、約20~約35mole%の範囲内でよく、例えば約24~約35mole%、約28~約35mole%、約20~約32mole%、約24~約32mole%、約28~約32mole%、約20~約30mole%又は約24~約30mole%である。さらに/又は、そのうちの1種類のEVOHのエチレン含有量は、約36~約48mole%の範囲内でよく、例えば約40~約48mole%、約44~約48mole%、約36~約45mole%又は約40~約45mole%である。しかし、幾つかの好ましい実施例において、EVOH樹脂組成物は、エチレン含有量が約20~約48mole%の単一のEVOHにより形成される。
【0019】
さらに/又は、EVOH樹脂組成物100のEVOHが有する鹸化度は90mole%以上でよく、好適には95mole%以上、好適には97mole%以上、好適には99.5mole%以上である。
【0020】
EVOH樹脂組成物は、ある状況下において、ホウ素化合物及び/又はホウ酸及び/又はケイ皮酸及び/又はアルカリ金属及び/又は共役ポリエン及び/又は滑剤及び/又はアルカリ土類金属を含み得る。上述の物質は、EVOH樹脂組成物により良好な性質を付与し得る。
【0021】
さらに/又は、本発明の他の態様において、EVOH樹脂組成物は、10~450ppmのホウ素含有量を有し得る。例えば、本発明のEVOH樹脂組成物は、表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.05~0.55の間であり、且つ10~450ppmの間のホウ素含有量を有する。如何なる特定の理論にも限定されないが、EVOH樹脂組成物中にホウ素化合物を添加し、EVOH組成物のホウ素含有量を10~450ppmとすることで、スクリュー押出機の押出プロセスにおけるEVOH樹脂組成物の粘着が低減又はなくなり、且つフィルム厚みの均一性及び可塑性がより改善されると確信している。ある状況下において、こうしたEVOH樹脂組成物は、押出プロセス中、スクリュー押出機の内側表面に粘着していたEVOH樹脂を除去又は少なくとも一部を除去し、スクリュー押出機を洗浄し得る。
【0022】
典型的なEVOH樹脂組成物は、エチレン-ビニルアルコール共重合体、及びホウ素化合物を含むことができ、そのうち、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組成物のホウ素含有量は10~450ppmである。幾つかの状況において、EVOH樹脂組成物のホウ素含有量は、EVOH樹脂組成物の総重量に基づき、10~450ppm、10~約400ppm、10~約350ppm、10~約300ppm、10~約275ppm、10~約250ppm、10~約225ppm、10~約200ppm、10~約175ppm、約20~450ppm、約20~約400ppm、約20~約350ppm、約20~約300ppm、約20~約275ppm、約20~約250ppm、約20~約225ppm、約20~約200ppm、約20~約175ppm、約60~450ppm、約60~約400ppm、約60~約350ppm、約60~約300ppm、約60~約275ppm、約60~約250ppm、約60~約225ppm、約60~約200ppm、約60~約175ppm、約100~450ppm、約100~約400ppm、約100~約350ppm、約100~約300ppm、約100~約275ppm、約100~約250ppm、約100~約225ppm、約100~約200ppm、約100~約175ppm、約140~450ppm、約140~約400ppm、約140~約350ppm、約140~約300ppm、約140~約275ppm、約140~約250ppm、約140~約225ppm、約140~約200ppm、約180~約450ppm、約180~約400ppm、約180~約350ppm、約180~約300ppm、約180~約275ppm、約180~約250ppm、約180~約225ppm、約220~450ppm、約220~約400ppm、約220~約350ppm、約220~約300ppm、約220~約275ppmであり得る。EVOH樹脂組成物のホウ素含有量が一定範囲内にある場合、EVOH樹脂組成物の粘度が増加し、且つEVOH樹脂組成物がスクリューに粘着する機会が低減するか、又はスクリュー上のEVOHを除去することができ、これにより、材料に自浄機能を持たせて、フィルム厚みの均一性をさらに改善することができる。ある状況下において、ホウ素含有量が10~450ppmであるだけでなく、EVOH樹脂組成物はさらにケイ皮酸、アルカリ金属、共役ポリエン、アルカリ土類金属、それらの塩及び/又はそれらの混合物を含み得る。上述の物質は、一般的にEVOH樹脂組成物中でよく存在する物質であり、より良好な性質を持たせる。EVOH樹脂組成物中の単位重量あたりの共役ポリエン構造を有する化合物の含有量が1~30000ppmである場合、加熱着色がより抑制され、熱安定性をより優れたものにし得る。EVOH樹脂組成物中の単位重量あたりのアルカリ金属を有する化合物又はアルカリ土類金属を有する化合物の含有量が金属換算で1~1000ppmである場合、ロングラン成形性をより優れたものにし得る。
【0023】
ある状況下において、ホウ素化合物はホウ酸又はその金属塩を含み得る。金属塩の例として、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛など)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウムなど)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウムなど)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウムなど)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀など)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅など)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウムなど)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛など)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケルなど)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウムなど)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウムなど)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガンなど)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウムなど)、それらの塩又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限らない。例えばホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、ザイベリ石/スーアン石(suanite)及びザイベリ石(szaibelyite)などのホウ酸塩鉱物などを含み得る。そのうち、ホウ砂、ホウ酸及びホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム及び八ホウ酸ナトリウムなど)を使用するのが好ましい。
【0024】
EVOH樹脂組成物は潤滑剤をさらに含むことができ、EVOH樹脂組成物中の単位重量あたりの潤滑剤含有量が1~300ppmである場合、加工性をより優れたものにし得る。幾つかの実施例中、EVOH樹脂組成物(またはそのペレット)において、EVOH樹脂組成物が有する潤滑剤量は50~200ppmの間であり、例えば、50~200ppm、50~180ppm、50~160ppm、50~140ppm、50~120ppm、50~100ppm、50~90ppm、50~80ppm、50~70ppm、60~200ppm、60~180ppm、60~160ppm、60~140ppm、60~120ppm、60~100ppm、60~90ppm、60~80ppm、60~70ppm、70~200ppm、70~180ppm、70~160ppm、70~140ppm、70~120ppm、70~100ppm、70~90ppm、70~80ppm、90~200ppm、90~180ppm、90~160ppm、90~140ppm、90~120ppm、90~100ppm、100~200ppm、100~180ppm、100~160ppm、100~140ppm、100~120ppm、110~200ppm、110~180ppm、110~160ppm、110~140ppm、130~200ppm、130~180ppm、130~160ppm、150~200ppm、150~180ppm、150~160ppm、170~200ppm又は170~180ppmの間である。例えば、本発明のEVOH樹脂組成物は、表面のコア部のレベル差(Sk)が0.6~2.0μmの間であり、且つSkの母標準偏差が0.05~0.55の間であり、且つ50~200ppmの間の潤滑剤量を有する。ある状況下において、潤滑剤は例えば、飽和脂肪酸アミド(例えばドコサン酸アミド、ステアリン酸アミドなど)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド、エルシン酸アミドなど)、ステアリン酸ブチル、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、エチレンビスステアロアミド(ethylenedi(stearamide))、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアレート、マンニトール、ステアリン酸、硬化ヒマシ油、エチレンビスステアリン酸アミドなどである。潤滑剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
非限定的な例において、EVOH樹脂組成物は、73~76g/cmの間の仮比重を有する。例えば、73~76g/cm、73~75.8g/cm、73~75.6g/cm、73~75.4g/cm、73~75.2g/cm、73~75g/cm、73~74.8g/cm、73~74.6g/cm、73~74.4g/cm、73~74.2g/cm、73~74g/cm、73.5~76g/cm、73.5~75.8g/cm、73.5~75.6g/cm、73.5~75.4g/cm、73.5~75.2g/cm、73.5~75g/cm、73.5~74.8g/cm、73.5~74.6g/cm、73.5~74.4g/cm、73.5~74.2g/cm、73.5~74g/cm、74~76g/cm、74~75.8g/cm、74~75.6g/cm、74~75.4g/cm、74~75.2g/cm、74~75g/cm、74~74.8g/cm、74~74.6g/cm、74.5~76g/cm、74.5~75.8g/cm、74.5~75.6g/cm、74.5~75.4g/cm、74.5~75.2g/cm、74.5~75g/cm、75~76g/cm、75~75.8g/cm又は75~75.6g/cmの間である。
【0026】
幾つかの状況において、EVOH樹脂組成物は、12.0~21.0度の間の安息角の角度を有する。例えば、12.0~21.0度、12.0~20.5度、12.0~20.0度、12.0~19.5度、12.0~19.0度、12.0~18.5度、12.0~18.0度、12.0~17.5度、12.0~17.0度、12.0~16.5度、12.0~16.0度、12.0~15.5度、12.0~15.0度、12.0~14.5度、12.0~14.0度、12.0~13.5度、12.0~13.0度、13.0~21.0度、13.0~20.5度、13.0~20.0度、13.0~19.5度、13.0~19.0度、13.0~18.5度、13.0~18.0度、13.0~17.5度、13.0~17.0度、13.0~16.5度、13.0~16.0度、13.0~15.5度、13.0~15.0度、13.0~14.5度、13.0~14.0度、14.0~21.0度、14.0~20.5度、14.0~20.0度、14.0~19.5度、14.0~19.0度、14.0~18.5度、14.0~18.0度、14.0~17.5度、14.0~17.0度、14.0~16.5度、14.0~16.0度、14.0~15.5度、14.0~15.0度、15.0~21.0度、15.0~20.5度、15.0~20.0度、15.0~19.5度、15.0~19.0度、15.0~18.5度、15.0~18.0度、15.0~17.5度、15.0~17.0度、15.0~16.5度、15.0~16.0度、16.0~21.0度、16.0~20.5度、16.0~20.0度、16.0~19.5度、16.0~19.0度、16.0~18.5度、16.0~18.0度、16.0~17.5度、16.0~17.0度、17.0~21.0度、17.0~20.5度、17.0~20.0度、17.0~19.5度、17.0~19.0度、17.0~18.5度又は17.0~18.0度の間である。
【0027】
本発明のEVOH樹脂組成物は一般的に特定の範囲の含水率を有する。例えば、揮発分をEVOH樹脂組成物の含水率の評価基準として使用すると、上述EVOH樹脂組成物の含水率は、1.1重量百分比(wt%)未満、1.02%未満、1.0%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.01~1.1wt%の間、0.08~1.1wt%の間、又は0.05~1.1wt%の間でよい。意外なことに、EVOH樹脂組成物の含水率を一定の範囲内にコントロールする必要があることが分かった。含水率が高すぎると、EVOH樹脂組成物により形成されたフィルム又は多層構造体に気泡が生じたり、フィルム厚みが不均一となったり、フローマークが増加したりするから、その後の加工の問題になる。揮発分については、ISO 14663-2 AnnexA方法を使用して最終製品のEVOHペレットを分析する。
【0028】
上述のEVOH樹脂組成物は、それにより形成されるEVOHフィルムをより効率的に調製するのに役立つ。EVOHフィルムを調製する相応しい方法及び設備には、当業者が容易に理解できる方法及び設備を含むことができる。発明者は、EVOH樹脂組成物の表面粗さをコントロールすることで、EVOH樹脂組成物が押出機内のトルク及びを低減させ得るだけでなく、EVOH樹脂組成物により形成されたフィルム又は多層構造体の外観を改善し得ると確信している。
【0029】
また別の態様では、本発明は多層構造体を提供し、それは少なくとも1つの本発明のEVOH樹脂組成物により形成された層、少なくとも1つのポリマー層、及び少なくとも1つの粘着剤層(adhesive layer)を有する。ポリマー層は、低密度ポリエチレン層、ポリエチレングラフト無水マレイン酸層、ポリプロピレン層、ナイロン層及びそれらの組み合わせから選択し得る。粘着剤層は、例えばARKEMA社のARKEMA OREVAC 18729などの結合層(tie layer)でよい。
【実施例
【0030】
以下で提供する本発明の各態様の非限定的実施例は、主に本発明の各態様及びそれにより達成される効果を明らかにするためのものである。

[実施例1]
【0031】
以下では、EVOH樹脂組成物により形成されるEVOHペレットの非限定的な調製方法を提供する。以下に開示する方法と同様の方法に基づき、非限定的実施例EVOH樹脂組成物を10種類(実施例EVOH1~10)、及び比較例EVOH樹脂組成物を7種類(比較例EVOH1~7)調製した。但し、実施例EVOH1~10及び比較例EVOH1~7を調製する具体的な方法は、通常、1つ以上の面で以下に開示する方法と異なっている。
【0032】
本発明は、多種類の潤滑剤溶液の添加方法をコントロールすることにより、潤滑剤が表面に均一に付着できるようにさせると同時に、潤滑剤溶液の注入窒素ガスの有無及び潤滑剤溶液とペレットの質量比をさらにコントロールすることにより、理想的な潤滑剤の付着量及び付着の均一性を達成している。
実施例EVOH1ペレット
【0033】
エチレン含有量が32mole%のエチレン酢酸ビニル共重合体(ethylene-vinyl acetate copolymer、以下では「EVAC」と呼ぶ)の鹸化を行い、鹸化度99.5%でEVOHポリマーを調製した。次に、EVOHをメタノールと水(比率は70:30)を含有した溶液中に溶解した。その後、溶液におけるEVOHの固体含有量は41wt.%となり、溶液を60℃下に置いた。
【0034】
ポンプを使用して、EVOH/メタノール/水溶液を流速120L/minで供給管に送り、次に直径2.8mmの吸込管へ送った。さらに1.5℃の水中に押し出してストランド状にし、水中で100秒滞留させて凝固させ、回転ナイフを用いて1500rpmでカットしてEVOHペレットを形成した。このように、ストランドをペレット状に切断することによってEVOHペレットを形成した。EVOHペレットを遠心分離して、EVOH粒子を分離した。分離を経たEVOH粒子を水で洗浄した。EVOHペレットは、高さ約3mm、断面積の長軸約2.4mmの円柱型ペレットである。
【0035】
次にEVOHペレットに潤滑剤のエチレンビスステアロアミド(EBS)を添加し、添加量は、最終製品に50ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ溶液中に均一になる方法で添加した。即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを、先に溶液に対応する重量で特定の量の潤滑剤を添加して潤滑剤を均一に分散させてからその溶液に浸漬し、溶液とペレットの比率は重量比で1:1とした。最後に、ペレットと溶液を80℃下で24時間混合し、且つ窒素ガス気体を10L/minの流量で注入して均一に混合させ、同時に溶媒を蒸発乾固し、最後に製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

実施例EVOH2ペレット
【0036】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、実施例EVOH2に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、実施例EVOH2のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に60ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ溶液中に均一になる方法で添加した。
【0037】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを、先に溶液に対応する重量で特定の量の潤滑剤を添加して潤滑剤を均一に分散させてからその溶液に浸漬し、溶液とペレットの比率は重量比で0.8:1とした。最後に、ペレットと溶液を80℃下で24時間混合し、且つ窒素ガス気体を10L/minの流量で注入して均一に混合させ、同時に溶媒を蒸発乾固し、最後に製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

実施例EVOH3ペレット
【0038】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、実施例EVOH3に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、実施例EVOH3のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に90ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ乾燥前に吹きかける方法で添加した。
【0039】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを取り出して、特定の量の潤滑剤を1000mlの水に分散させた溶液を室温下で吹きかけ、吹きかけた溶液とペレット量の比率は1:1とした。最後に、ペレット製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

実施例EVOH4ペレット
【0040】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、実施例EVOH4に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、実施例EVOH4のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に150ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ乾燥前に吹きかける方法で添加した。
【0041】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを取り出して、特定の量の潤滑剤を1000mlの水に分散させた溶液を室温下で吹きかけ、吹きかけた溶液とペレット量の比率は1:1とした。最後に、ペレット製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

実施例EVOH5ペレット
【0042】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、実施例EVOH5に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、実施例EVOH5のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に175ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ乾燥前に吹きかける方法で添加した。
【0043】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを取り出して、特定の量の潤滑剤を1000mlの水に分散させた溶液を室温下で吹きかけ、吹きかけた溶液とペレット量の比率は0.9:1とした。最後に、ペレット製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

実施例EVOH6ペレット
【0044】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、実施例EVOH6に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、実施例EVOH6のEVOHペレットは、エチレン含有量が29mole%のエチレン酢酸ビニル共重合体を用いて鹸化を行った。
【0045】
また、実施例EVOH6のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に75ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ溶液中に均一になる方法で添加した。即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを、先に溶液に対応する重量で特定の量の潤滑剤を添加して潤滑剤を均一に分散させてからその溶液に浸漬し、溶液とペレットの比率は重量比で0.9:1とした。最後に、ペレットと溶液を80℃下で24時間混合し、且つ窒素ガス気体を10L/minの流量で注入して均一に混合させ、同時に溶媒を蒸発乾固し、最後に製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

実施例EVOH7ペレット
【0046】
実施例EVOH6ペレットと同様の工程を用いて、実施例EVOH7に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、実施例EVOH7のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に90ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ乾燥前に吹きかける方法で添加した。
【0047】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを取り出して、特定の量の潤滑剤を1000mlの水に分散させた溶液を室温下で吹きかけ、吹きかけた溶液とペレット量の比率は0.9:1とした。最後に、ペレット製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

実施例EVOH8ペレット
【0048】
実施例EVOH6ペレットと同様の工程を用いて、実施例EVOH8に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、実施例EVOH8のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に150ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ乾燥前に吹きかける方法で添加した。
【0049】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを取り出して、特定の量の潤滑剤を1000mlの水に分散させた溶液を室温下で吹きかけ、吹きかけた溶液とペレット量の比率は0.8:1とした。最後に、ペレット製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

実施例EVOH9ペレット
【0050】
実施例EVOH6ペレットと同様の工程を用いて、実施例EVOH9に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、実施例EVOH9のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に175ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ乾燥前に吹きかける方法で添加した。
【0051】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを取り出して、特定の量の潤滑剤を1000mlの水に分散させた溶液を室温下で吹きかけ、吹きかけた溶液とペレット量の比率は1:1とした。最後に、ペレット製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

実施例EVOH10ペレット
【0052】
実施例EVOH6ペレットと同様の工程を用いて、実施例EVOH10に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、実施例EVOH10のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に60ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ乾燥前に吹きかける方法で添加した。
【0053】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを取り出して、特定の量の潤滑剤を1000mlの水に分散させた溶液を室温下で吹きかけ、吹きかけた溶液とペレット量の比率は0.8:1とした。最後に、ペレット製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

比較例EVOH1ペレット
【0054】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、比較例EVOH1に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、比較例EVOH1のEVOHペレットの調製時には、EVOHペレットに潤滑剤を添加しなかった。

比較例EVOH2ペレット
【0055】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、比較例EVOH2に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、比較例EVOH2のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に30ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ乾燥前に吹きかける方法で添加した。
【0056】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを取り出して、特定の量の潤滑剤を1000mlの水に分散させた溶液を室温下で吹きかけ、吹きかけた溶液とペレット量の比率は0.8:1とした。最後に、ペレット製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

比較例EVOH3ペレット
【0057】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、比較例EVOH3に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、比較例EVOH3のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に250ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ溶液中に均一になる方法で添加した。
【0058】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを、先に溶液に対応する重量で特定の量の潤滑剤を添加して潤滑剤を均一に分散させてからその溶液に浸漬し、溶液とペレットの比率は重量比で0.8:1とした。最後に、ペレットと溶液を80℃下で24時間混合し、均一に混合させると同時に溶媒を蒸発乾固し、最後に製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

比較例EVOH4ペレット
【0059】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、比較例EVOH4に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、比較例EVOH4のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に90ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つEVOH溶液中に添加する方法で行った。
【0060】
即ち、エチレン含有量が32mole%のエチレン酢酸ビニル共重合体の鹸化を行い、鹸化度99.5%でEVOHポリマーを調製した。次に、EVOHをメタノールと水(比率は70:30)を含有した溶液中に溶解した。さらに特定の量の潤滑剤を溶液の重量に対応する方法で添加した後、溶液におけるEVOHの固体含有量は41wt.%となり、溶液を60℃下に置いた。
【0061】
その後、水中ペレット製造により、上述のメタノール、水及びEVOHの溶液の造粒を行った。具体的には、ポンプを使用して、上述のメタノール、水及びEVOHの溶液を流速120L/minで供給管に送り、次に直径2.8mmの吸込管へ送り、回転ナイフを用いて1500rpmでカットした。5℃の水を添加して、EVOHペレットを冷却した。次に、EVOHペレットを遠心分離して、EVOH粒子を分離した。分離後のEVOH粒子を水で洗浄した後、乾燥させて潤滑剤を添加したEVOHペレットを得た。

比較例EVOH5ペレット
【0062】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、比較例EVOH5に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、比較例EVOH5のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に250ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ乾燥前に吹きかける方法で添加した。
【0063】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを取り出して、特定の量の潤滑剤を1000mlの水に分散させた溶液を室温下で吹きかけ、吹きかけた溶液とペレット量の比率は0.9:1とした。最後に、ペレット製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

比較例EVOH6ペレット
【0064】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、比較例EVOH6に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、比較例EVOH6のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に60ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つペレットの乾燥後にドライブレンドする方法で添加した。即ち、乾燥後のEVOHペレットと潤滑剤を乾式混合器でドライブレンドした。

比較例EVOH7ペレット
【0065】
実施例EVOH1ペレットと同様の工程を用いて、比較例EVOH7に用いられるEVOHペレットを調製した。但し、比較例EVOH7のEVOHペレットの調製時、EVOHペレットに潤滑剤を添加し、添加量は、最終製品に75ppmの潤滑剤を含ませる方法で調整し、且つ溶液中に均一になる方法で添加した。
【0066】
即ち、ホウ酸/酢酸ナトリウム溶液中に浸漬したペレットを、先に溶液に対応する重量で特定の量の潤滑剤を添加して潤滑剤を均一に分散させてからその溶液に浸漬し、溶液とペレットの比率は重量比で0.9:1とした。最後に、ペレットと溶液を80℃下で24時間混合し、且つ窒素ガスは注入せず、同時に溶媒を蒸発乾固し、最後に製品を乾燥させて、潤滑剤が添加されたEVOHペレットを得た。

[実施例2]
【0067】
下記の方法に基づき、実施例EVOHペレット1~10を用いてそれぞれフィルムを形成した。実施例EVOHペレット1~10及び比較例EVOHペレット1~7を単層Tダイキャストフィルム押出機(光学制御システムMEV4)へ送り、フィルムを調製した。実施例EVOHペレット1~10及び比較例EVOHペレット1~7により形成された各フィルムの厚さは各々20μmであった。押出機の温度は220℃に設定し、金型(即ちTダイ)の温度は230℃に設定した。スクリューの回転数は7rpm(rotations/minutes)とした。

[実施例3]
【0068】
実施例EVOHペレット1~10及び比較例EVOHペレット1~7の評価を行い、これらのEVOHペレット及びそれらにより形成されたフィルムの性質を判断した。上述の通り、実施例1に記載の方法と類似の方法に基づき、実施例EVOHペレット1~10を調製した。但し、EVOHペレット1~10の調製方法は、調製するEVOHペレットについて、異なるエチレン含有量を有すること、潤滑剤の添加方法、潤滑剤の添加量、注入窒素ガスの有無、混合溶液とペレットの割合、操作温度及び操作時間において異なっている。比較例EVOHペレット1~7についても、実施例1に記載したのと類似の方法に基づいて調製した。
【0069】
押出機の平均トルク値をさらに評価した。実施例2に記載したのと同じ方法に従って、実施例EVOH1~10及び比較例EVOH1~7それぞれによりフィルムを形成し、フィルムに対してフィルム厚みの均一性の評価を行った。
【0070】
下記表1は、実施例EVOHペレット1~10及び比較例EVOHペレット1~7における幾つかの属性の概要であり、即ち、潤滑剤の添加量、仮比重、安息角の角度、100個のペレットの重量、Sk、Sk母標準偏差、押出機の平均トルク値、及び実施例EVOHペレット1~10と比較例EVOHペレット1~7により形成されたフィルムのフィルム厚みの均一性である。
【0071】
上述のEVOH樹脂組成物の表面粗さの特徴は、線の最大高さ(Rz)によって表すこともできる(その定義はJIS B 0601 (2001版)を参照し、基準長さの輪郭線において、最高ピークの高さと最低ボトムの深さの合計である。
【0072】
表1
【0073】
表1(続き)
【0074】
実施例EVOH1~10及び比較例EVOH1~7のペレットの表面粗さSkを評価するために、EVOHペレットをプレート上に平置きして、ペレットの表面粗さを測定した(測定時に傾斜度が0.5より大きい部分のデータは排除して、走査平面が相対的に水平な状態であるよう確保する必要がある(傾斜度=面最大高さSz/解析範囲の辺の長さ129μm))。レーザ顕微鏡は、Olympus製のLEXT OLS5000-SAFであり、画像は24±3℃の空気温度及び63±3%の相対的温度下で生成した。濾波器は濾波なしに設定した。光源は405nm-波長の光源とした。対物レンズは拡大率100xとした(MPLAPON-100xLEXT)。光学ズームは1.0xに設定した。画像面積は129μm x 129μmに設定した(Rzを測定するとき、画像面積の中心線を測定する)。解像度は1024画素 x 1024画素に設定した。100個のペレットの数値を測定し、その平均値及び標準偏差をとった。その中、SkはISO 25178:2012方法を用いて測定し、RzはJIS B 0601(2001)方法を用いて測定する。
【0075】
実施例EVOH1~10及び比較例EVOH1~7の安息角の角度の評価では、実験テーブル上にA4の普通紙を1枚敷き、ガラス漏斗で固定高さのEVOH樹脂を充填し、2cm/sの速度でゆっくりとガラス漏斗を持ち上げて、角度計で粒子群の辺とテーブルとの夾角を測定した。
【0076】
実施例EVOH1~10及び比較例EVOH1~7の仮比重の評価は、JIS K-7365の方法を用いて解析した。
【0077】
実施例EVOH1~10及び比較例EVOH1~7の加工時における押出機のトルク値については、OCSのスクリュー押出機のデータを利用し、OCSの型式はME25であり、試料を機械に入れ、50rpmの回転数で5分間の洗浄を行い、試料を正式に測定した。回転数7rpm及びスクリュー温度がZone1 195℃、Zone2 215℃、Zone3 220℃、Zone4 230℃、Zone5 230℃において成膜し、15分から20分までの1分毎の平均トルク値を測定した。
【0078】
また、実施例EVOH1~10及び比較例EVOH1~7により形成されたフィルムに対してフィルム外観の評価を行った。評価時に、正常に押し出されたフィルムの状態は平均厚さ25μmとして制御した。フィルム厚みが不均一な状況については、10*10cmのフィルム面を選び、均等に9か所に印をつけ、厚さが本来の理論の±10μm以上であるものが5か所を上回った場合に、フィルム厚みが不均一であるとした。フィルム厚みが正常である場合、「O」により示した。フィルム厚みが不均一である場合、「Δ」により示した。フィルム破れの場合、「X」により示した。
【0079】
実施例EVOH1~10及び比較例EVOH1~7の潤滑剤の量については、以下の方法によって粒子表面に付着した潤滑剤の量を測定した。20gのフタル酸ジオクチル(DOP)を50mlのビーカーに入れた後、10gのEVOHペレットを入れて、十分に攪拌した。次に、100℃まで加熱した加熱撹拌機上で60分間以上加熱して攪拌し、ペレット表面上の潤滑剤をDOP中に溶出した。潤滑剤が溶出されたDOP溶液20~30mgを微量窒素分析計(三菱化学株式会社製、TN-2100H)中に添加し、窒素濃度の定量分析を行った。
【0080】
結果、実施例EVOH1~10は低いトルク出力(19~25Torque)を有すること、また実施例EVOH1~10により形成されたフィルムにはフィルム破れ又はフィルム厚みが不均一な状態が生じていないことが示され、実施例EVOH1~10が好ましい加工トルク出力及びフィルム外観特性を表すことが示された。
【0081】
本発明を測定した結果、EVOH樹脂組成物の表面粗さパラメータSk及びその標準偏差を特定の範囲にコントロールするだけで、EVOHペレットの加工におけるスクリュー出力時のトルク値を低減することができ、又は出力時の安定性を向上させて、良好なフィルム外観を得ることができていた。表1に示す通り、比較例EVOH1~5は、本明細書に記載の所望範囲を上回るSkを有しており、比較例EVOH2、6及び7は、本明細書に記載の所望範囲を上回るSk母標準偏差を有しており、測定結果では、比較例EVOH1及び4は、高い出力トルク値(140及び120Torque)を有しており、比較例EVOH1、2、4、6及び7により形成されたフィルムには、フィルム厚みが不均一な状態が存在しており、比較例EVOH3及び5により形成されたフィルムには、フィルム破れが生じており、比較例EVOH1~7により形成されたフィルムはいずれも好ましくないフィルム外観を有していた。
【0082】
要約すると、本発明のEVOH樹脂組成物は、特定の範囲の表面粗さパラメータSk及びSkの母標準偏差を有しており、EVOHペレットの加工におけるスクリュー出力時のトルク値が低減し、エネルギーの節約効果を達成することができ、EVOH樹脂組成物の費用対効果の高い製造工程を実現することができ、また、出力時の安定性を向上させて、良好なフィルム外観を得ることができる。発明者は、EVOH製造工程中で異なる潤滑剤の添加方法と添加量をコントロールすることにより、EVOH樹脂組成物の表面粗さSkをコントロールし、EVOH樹脂組成物及びそのフィルムに良好な効果を持たせ得ることを発見した。
【0083】
本明細書において提供する全ての範囲は、割り当て範囲内における各特定の範囲及び割り当て範囲の間の二次範囲の組み合わせを含むという意味である。また、別段の説明がない限り、本明細書が提供する全ての範囲は、いずれも範囲のエンドポイントを含む。従って、範囲1~5は、具体的には1、2、3、4及び5、並びに2~5、3~5、2~3、2~4、1~4などの二次範囲を含む。
【0084】
本明細書において参照される全ての刊行物及び特許出願はいずれも参照により本明細書に組み込まれ、且つありとあらゆる目的から、各刊行物又は特許出願はいずれも各々参照により本明細書に組み込まれることを明確且つ個々に示している。本明細書と参照により本明細書に組み込まれるあらゆる刊行物又は特許出願との間に不一致が存在する場合には、本明細書に準ずる。
【0085】
本明細書で使用する「含む」、「有する」及び「包含する」という用語は、開放的、非限定的な意味を有する。「1」及び「当該」という用語は、複数及び単数を含むと理解されるべきである。「1つ以上」という用語は、「少なくとも1つ」を指し、従って単一の特性又は混合物/組み合わせた特性を含むことができる。
【0086】
操作の実施例中又は他の指示する場所を除き、成分及び/又は反応条件の量を示す全ての数字は、全ての場合においていずれも「約」という用語を用いて修飾することができ、示した数字の±5%以内であるという意味である。本明細書で使用する「基本的に含まない」又は「実質的に含まない」という用語は、特定の特性が約2%未満であることを意味する。本明細書中に明確に記載されている全ての要素又は特性は、特許請求の範囲から否定的に除外することができる。
図1
図2