(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】軟磁性合金粉末及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/147 20060101AFI20230807BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230807BHJP
B22F 9/08 20060101ALI20230807BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20230807BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
H01F1/147 166
B22F1/00 Y
B22F9/08 A
C22C33/02 M
C22C38/00 303S
(21)【出願番号】P 2021197019
(22)【出願日】2021-12-03
【審査請求日】2021-12-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000176833
【氏名又は名称】三菱製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】志関 鉄二
(72)【発明者】
【氏名】相原 道孝
(72)【発明者】
【氏名】久米 慶太
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 晴一
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】須原 宏光
【審判官】岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-051899(JP,A)
【文献】特開2011-049568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe-Cr-Si系軟磁性合金粉末であって、軟磁性合金粉末に含有されたCrは、前記合金粉末の表面から深さ方向に所定の深さまで重量比が次第に減少し、Cr酸化物/金属Crの重量比も前記合金粉末の表面から深さ方向に次第に減少
し、径が5μm以上10μm未満の範囲で面積円形度が0.850以上である軟磁性合金粉末。
【請求項2】
Siの含有量が3~6.5重量%の範囲にあり、Crの含有量が1~5重量%の範囲にある請求項1に記載の軟磁性合金粉末。
【請求項3】
Mn、P、S及びOの少なくとも一つをさらに含有する請求項1又は2に記載の軟磁性合金粉末。
【請求項4】
Fe-Cr-Si系軟磁性合金粉末の製造方法であって、
合金を坩堝で加熱して溶湯にする工程と、
前記坩堝から導かれて落下する溶湯の流れに流体を吹き付けて破砕及び凝固させ、合金粉末を形成する工程と
を含み、
前記溶湯から合金粉末を形成する工程において、前記合金粉末に含有されたCrのCr酸化物/金属Crの重量比が前記合金粉末の表面から深さ方向に次第に低下するように、前記合金粉末に含有されたCrの一部を酸化
し、
前記合金粉末は、径が5μm以上10μm未満の範囲で面積円形度が0.850以上である製造方法。
【請求項5】
前記合金粉末に含有されたCrは、前記合金粉末の表面から深さ方向に所定の深さまで重量比が次第に減少する請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記溶湯にする合金は、Siの含有量が3~6.5重量%の範囲にあり、Crの含有量が1~5重量%の範囲にある請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記合金は、Mn、P、S及びOの少なくとも一つをさらに含有する請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軟磁性合金粉末及びその製造方法に関し、詳しくは、圧粉磁心に用いられるFe-Cr-Si系軟磁性合金粉末及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化及び高機能化に伴い、電子機器に備えられるチョークコイルやインダクタの磁心には、高周波化及び大電流化に対応するような性能が求められている。高周波化及び大電流化に対応するために、磁心における損失を低減することが必要とされている。このため、磁化のヒシテリシスによる損失を低減するように透磁率が高く、保磁力が低い軟磁性合金粉末で形成した圧粉磁心が提供されている。圧粉磁心においては、軟磁性合金材料は絶縁性のバインダで結合されているため電気抵抗率が確保され、渦電流による損失も低減されている。高周波化及び大電流化に対応するような圧粉磁心に使用することができる軟磁性合金粉末として、Fr-Cr-Si系合金粉末が提供されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高周波化及び大電流化に対応するため、さらに損失を低減した圧粉磁心を形成することができるような軟磁性合金が求められている。
【0005】
本実施の形態においては、圧粉磁心を構成する軟磁性合金粉末であって、圧粉磁心における損失を低減させ、高周波化及び大電流化に対応することができるような軟磁性合金粉末及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、この出願に係る軟磁性合金粉末は、Fe-Cr-Si系軟磁性合金粉末であって、合金粉末に含有されたCrは、合金粉末の表面から深さ方向に所定の深さまで重量比が次第に減少する。
【0007】
Siの含有量が3~6.5重量%の範囲にあり、Crの含有量が1~5重量%の範囲にあってもよい。Mn、P、S及びOの少なくとも一つをさらに含有してもよい。
【0008】
Cr酸化物/金属Crの重量比が合金粉末の表面から深さ方向に次第に減少してもよい。
【0009】
この出願に係るFe-Cr-Si系軟磁性合金粉末の製造方法は、合金を坩堝で加熱して溶湯にする工程と、坩堝から導かれて落下する溶湯の流れに流体を吹き付けて破砕及び凝固させ、合金粉末を形成する工程とを含み、溶湯から合金粉末を形成する工程において、合金粉末に含有されたCrの一部を酸化する。
【0010】
合金粉末に含有されたCrのCr酸化物/金属Crの重量比が合金粉末の表面から深さ方向に次第に低下するように酸化してもよい。
【0011】
合金粉末に含有されたCrは、合金粉末の表面から深さ方向に所定の深さまで重量比が次第に減少してもよい。
【0012】
溶湯にする合金は、Siの含有量が3~6.5重量%の範囲にあり、Crの含有量が1~5重量%の範囲にあってもよい。合金は、Mn、P、S及びOの少なくとも一つをさらに含有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、高周波化及び大電流化に対応することができるような損失の小さい圧粉磁心を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】軟磁性合金粉末の深さ方向についてのCrの分布を示すグラフである。
【
図2】軟磁性合金粉末の深さ方向についてのCrのXPSスペクトルの分布を示すグラフである。
【
図5】軟磁性合金粉末の面積円形度を示すグラフである。
【
図6】軟磁性合金粉末の比透磁率の磁場に対する依存性を示すグラフである。
【
図7】軟磁性合金粉末の体積抵抗率の加圧力に対する依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、軟磁性合金粉末及びその製造方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態において軟磁性合金粉末を構成する合金としてはFe-Cr-Si系合金を想定している。本実施の形態のFe-Cr-Si系軟磁性合金は、主成分の鉄(Fe)にクロム(Cr)及びケイ素(Si)を添加して構成された合金であり、特記する添加物及び不可避的不純物を除いてCr及びSiの残部はFeから構成されている。
【0016】
本実施の形態の軟磁性合金粉末(以下、軟磁性合金粉末を合金粉末と、軟磁性合金を合金と称することもある。)は、アトマイズ法によって製造される。まず、合金粉末を構成する材料を坩堝に入れて溶解炉で加熱し、合金の溶湯にする。Fe-Cr-Si系合金は、Feを主成分としてCr及びSiを添加したものであり、炭素(C)、マンガン(Mn)、リン(P)及び硫黄(S)を添加してもよい。さらに酸素(O)を添加してもよい。
【0017】
本実施の形態のFe-Cr-Si系合金において、Siの含有量は、3~6.5重量%の範囲にあってもよい。Crの含有量は、1~5重量%の範囲にあってもよい。Cの含有量は、0.003~0.02重量%の範囲にあってもよく、0.005~0.017重量%の範囲にあってもよく、0.007~0.015重量%の範囲にあってもよい。Mnの含有量は、0.01~0.1重量%の範囲にあってもよく、0.015~0.08重量%の範囲にあってもよく、0.017~0.07重量%の範囲にあってもよい。Pの含有量は、0.001~0.009重量%の範囲にあってもよく、0.002~0.006重量%の範囲にあってもよく、0.0025~0.005重量%の範囲にあってもよい。Sの含有量は、0.001~0.009重量%の範囲にあってもよく、0.002~0.006重量%の範囲にあってもよく、0.0025~0.005重量%の範囲にあってもよい。Oの含有量は、2500重量ppm以下であってもよい。
【0018】
次に、坩堝の底に形成された孔からノズルに合金の溶湯を導き、ノズルから落下する合金の溶湯の流れを形成する。そして、落下する合金の溶湯に水やガスなどの流体のジェット流を吹き付け、溶湯を粉砕し、凝固させて合金粉末を形成する。本実施の形態においては、合金の溶湯から合金粉末を形成するとともに、粉砕されて液滴となった合金の溶湯を酸化させている。このため、落下する溶湯の流れに吹き付ける流体に酸素が含有されるようにしてもよく、合金の溶湯が落下する雰囲気に酸素が含有されるようにしてもよい。
【0019】
このような製造方法によって、次の表1に示すように実験例1~3の異なる組成の合金から合金粉末を作製した。なお、表1には、比較例1~4の合金粉末の組成も併せて示す。比較例1~4は、ノズルから落下する合金の溶湯に流体のジェット流を吹き付けて合金粉末を形成する工程において溶湯の液滴を酸化させていないことを除いて、本実施の形態と同様の製造方法により作製したものである。
【0020】
【0021】
実験例1~3のOの濃度、メディアン径D50、タップ密度、比表面積及び保磁力を測定した結果を表2に示す。表2には、比較例1から3についての測定結果についても併せて示す。ここで、メディアン径D50径は、合金粉末を径の大きさの順に並べたときに中央にある合金粉末の径である。タップ密度は、容器に合金粉末を入れ、容器をタップして合金粉末の隙間を埋めて測定した密度である。比表面積は、合金粉末の重量あたりの表面積である。
【0022】
【0023】
表2において実験例1~3と比較例1~4とを対比すると、Oの濃度、メディアン径D50、タップ密度及び比表面積は同程度の値であることが観察される。これに対し、保磁力Hcについては、比較例1~4が672~714[A/m]にあるのに対し実験例1~3は461~581の範囲にあることから、本実施の形態の製造方法により作製した合金粉末では保磁力Hcが顕著に減少していることが観察される。実験例1~3では保磁力Hcが減少しているため、実験例1~3の合金粉末で形成した圧粉磁心においては、圧粉磁心の磁化のヒシテリシスによる損失が顕著に減少することになる。
【0024】
図1は、合金粉末の深さ方向についてのCrの分布を示すグラフである。
図1においては、X線光電分光法(XPS)によって合金粉末の表面から130nm程度の深さまでのCr量の分布を測定した。実験例1~3においては、Crの量は粉末の表面から深さ方向に進むにつれて次第に減少し、深さ50~70nm程度のある深さに達すると飽和してそれ以降は略一定値で推移していることが観察される。これに対し、比較例1~4においては、Crの量は、合金粉末の表面において実験例1~3よりも小さい値から出発し、次第に増加して深さ50~70nm程度のある深さに達すると飽和してそれ以降は略一定値で推移するが、一定値で推移する値は実験例1~3が略一定値で推移する値よりもやや小さいことが観察される。
【0025】
上述のように、実験例1~3は合金の溶湯から合金粉末を形成する工程において溶湯の液滴を酸化させているのに対し、比較例1~4においては合金から合金粉末を形成する工程において酸化させていない。このため、実験例1~3の合金粉末におけるCrの量の深さ方向の分布、すなわちCrの量は粉末の表面から深さ方向に進むにつれて次第に減少した後で飽和するという分布は、溶湯の液滴を酸化させる過程により形成されたと考えられる。
【0026】
図2~
図4は、合金粉末の深さ方向についてのCrのXPSスペクトルの分布を示すグラフである。
図2(a)は合金粉末の表面から深さ6.5nm、
図2(b)は深さ13nm、
図3(c)は深さ19.5nm、
図3(d)は深さ26nm、
図4(e)は深さ130nmにおけるCrのXPSスペクトルを示している。なお、合金粉末の深さは、SiO
2換算によるものである。
【0027】
それぞれのグラフには、金属Crの結合エネルギーがE1として、Cr酸化物の結合エネルギーがE2として示されている。
図2(a)~
図4(e)を参照すると、実験例1~3は
図2(a)の深さ6.5nmではCrに占める比率は金属CrよりもCr酸化物が多いが、
図2(a)~
図4(e)と深さが大きくなるにつれてCrに占める比率は金属Crが次第に増加している。
図2(b)の深さ13nmではまだ金属CrよりもCr酸化物の比率が大きいが、
図3(c)の深さ19.5nm以降はCr酸化物よりも金属Crの比率が大きくなっている。
【0028】
比較例1~4においても
図2(a)~
図4(e)と深さが大きくなるにつれてCrに占める比率は金属Crが次第に増加する傾向は実験例1~3と同様である。しかしながら、
図2(b)の深さ13nmにおいてすでにCr酸化物よりも金属Crの比率が大きくなっている点が相違している。このような比較例1~4と比べると、実験例1~
3では合金粉末の表面からある程度の深さまでの表層でCrの酸化が進んでいるということができる。
【0029】
上述のように、実験例1~3は合金の溶湯から合金粉末を形成する工程において溶湯の液滴を酸化させているのに対し、比較例1~4においては合金から合金粉末を形成する工程において粉末を酸化させていない。このため、実験例1~3の合金粉末においては、この工程において表面からCrの酸化が進み、表層のCr酸化物の量が比較例1~4と比べて多くなったと考えられる。
【0030】
図5は、画像解析により得られた合金粉末の面積円形度を示すグラフである。実験例4及び5は、本実施の形態の製造方法によって作製した合金粉末である。上述のように、実験例4及び5では、合金粉末の表層のCrにおいて金属Crよりも酸化物Crの占める量が多くなっている。比較例5は、合金の溶湯から合金粉末を形成する工程において酸化させていないことを除いて、本実施の形態と同様の製造方法によって作製したものである。
【0031】
図5を参照すると、径が5μmよりも小さい合金粉末では実験例4及び5並びに比較例5の面積円形度は9.2前後の同程度の値であるが、径が5μm以上で10μm未満の範囲及び径が10mm以上の範囲においては、いずれも実験例4及び5の面積円形度が比較例5の面積円形度よりも大きいことが観察される。このことは、実験例4及び5では表層のCrに占めるCr酸化物の比率が大きく、表層のCr酸化物の強い結合力のため、合金の液滴は円形度の高い粉末に形成されたためであると考えられる。
【0032】
図6は、合金粉末の直流重畳特性を測定した結果を示すグラフである。図中には、
図5で用いた実験例4及び5並びに比較例5の測定データを示している。グラフは、横軸を磁場として、縦軸は磁場を印加しないときを100とした比透磁率をとしている。図を参照すると、実験例4及び5並びに比較例5の測定データのいずれも、磁場が増加するにつれて1000[A/m]に達する前まで増加して最大値に達した後、12000[A/m]近くまで単調に減少していることが観察される。また、磁場が約2000[A/m]までは実験例4及び5並びに比較例5の比透磁率はほぼ同等であるが、約2000[A/m]を超えると測定範囲の上限となる12000[A/m]近くまで実験例4及び5の比透磁率は比較例5の透磁率よりも大きいことが観察される。したがって、実験例4及び5においては、直流電流に応じた磁場の強度の増加にかかわらず、透磁率の減少が小さいという良好な直流重畳特性を有するということができる。
【0033】
このように、実験例4及び5の合金粉末は、比較例5の合金粉末よりも良好な直流重畳特性を有している。このような実験例4及び5の直流重畳特性は、
図5に示したように、実験例4及び5の合金粉末の円形度が高いためであると考えられる。実験例4及び5のような本実施の形態の合金粉末で形成した圧粉磁心は、大電流を流しても透磁率の低下を抑制することで透磁率を確保することができるため、損失を低減することができる。
【0034】
図7は、合金粉末の体積抵抗率の加圧力に対する依存性を示すグラフである。実験例6は、本実施の形態の製造方法によって作製した合金粉末であり、合金粉末の表層のCrにおいて金属Crよりも酸化物Crの占める量が多くなっている。比較例6は、合金の溶湯から合金粉末を形成する工程において酸化させていないことを除いて、本実施の形態と同様の製造方法によって作製したものである。
【0035】
図7においては、実験例6及び比較例6について、平均値又は中央値のような典型値と最小値から最大値までの範囲との測定データが示されている。図を参照すると、実験例6及び比較例6の測定データのいずれも、体積抵抗率は加圧力が増加するにつれて次第に減少していることが観察される。また、実験例6の体積抵抗率は比較例6の体積抵抗率よりも10
1~10
3の程度高いことが観察される。
【0036】
このように、実験例6の粉末合金は、比較例6の粉末合金よりも高い体積抵抗率を有している。このような実験例6の高い体積抵抗率は、本実施の形態の製造方法により作製した実験例の粉末合金は表層のCrにおいて、導電性を有しないCr酸化物の占める比率が大きいからであると考えられる。実験例6のような本実施の形態の合金粉末で形成した圧粉磁心は、体積抵抗率が大きいために渦電流の発生による損失を低減することができる。
【0037】
上述のように、本実施の形態の合金粉末は、本実施の形態の製造方法においてアトマイズ法により合金の溶湯から合金粉末を形成する工程において溶湯の液滴を酸化させつつ作製したものである。このような本実施の形態の合金粉末は、本実施の形態の製造方法によらない比較例よりも保磁力が小さくなっている。また、合金粉末の表層におけるCrに占めるCr酸化物の比率が金属Crに対して大きくなっている。さらに、合金粉末の円形度が高いため、磁場の増加にともなう透磁率の減少が小さく、良好な直流重畳特性が得られる。さらにまた、合金粉末の表層におけるCrに占めるCr酸化物が金属Crよりも大きいため、高い体積抵抗率が得られる。
【0038】
このような本実施の形態の合金粉末によって形成した圧粉磁心は、保磁力が小さく、また、直流重畳特性が良好であって高い透磁率を確保することができるため、ヒシテリシス損失を低減することができる。また、合金粉末の体積抵抗率が高いため、渦電流による損失も低減することができる。このように、本実施の形態の合金粉末で形成した圧粉磁心は、チョークコイルやインダクタなどの高周波化及び大電流化にかかわらず損失を低減することができ、高周波化及び大電流化に対応することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本実施の形態の合金粉末及びその製造方法は、電気機器のチョークコイル、インダクタなどの圧粉磁心の製造に利用することができる。