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特許7326415電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20230807BHJP
【FI】
H01M10/058
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021204697
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2022104809
(43)【公開日】2022-07-11
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】109146611
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505441638
【氏名又は名称】致茂電子股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chroma Ate Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100210402
【弁理士】
【氏名又は名称】頼 亮介
(72)【発明者】
【氏名】温 鎭州
(72)【発明者】
【氏名】李 駿
(72)【発明者】
【氏名】譚 世清
(72)【発明者】
【氏名】王 銘輝
【審査官】石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-529182(JP,A)
【文献】特開2019-087376(JP,A)
【文献】特開2019-186198(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0157708(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103811817(CN,A)
【文献】特開2018-098082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/05-10/0587
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の端板、第二の端板、及び前記第一の端板と前記第二の端板の間に架設される複数のガイドバーを含むトレイと、
前記複数のガイドバーに沿って摺動するように前記複数のガイドバーにカップリングされ、前記第一の端板と前記第二の端板との間に位置される押圧板と、
前記複数のガイドバーに沿って摺動するように前記複数のガイドバーにカップリングされ、前記押圧板と前記第二の端板の間に位置される複数の仕切り板と、を備える電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置であって、
各仕切り板は本体部、第一の片持ち部、第二の片持ち部、少なくとも一つの位置決めブロック及び少なくとも一つのスペーサを含み、前記第一の片持ち部及び前記第二の片持ち部は前記本体部の反対両側縁部にそれぞれ設けられ、
各仕切り板は前記第一の片持ち部及び前記第二の片持ち部によって前記トレイの前記複数のガイドバーに掛けられ、前記複数のガイドバーは一対の上ガイドバー及び一対の下ガイドバーを含み、前記少なくとも一つの位置決めブロックが前記第一の片持ち部に取り付けられ、前記少なくとも一つのスペーサが前記第二の片持ち部に取り付けられ、前記少なくとも一つの位置決めブロックは一つのV字状の切欠きを含み、前記複数の仕切り板の前記第一の片持ち部は前記少なくとも一つの位置決めブロックの前記V字状の切欠きを介して前記一対の上ガイドバーの一つに掛けられ、前記複数の仕切り板の前記第二の片持ち部は前記少なくとも一つのスペーサを介して前記一対の下ガイドバーのもう一つに当接されることを特徴とする電池セル化成装置。
【請求項2】
前記複数の仕切り板の前記第一の片持ち部が前記一対の上ガイドバーの一つに当接され、前記複数の仕切り板の前記第二の片持ち部が前記一対の下ガイドバーの一つに当接される
ことを特徴とする請求項1に記載の電池セル化成装置。
【請求項3】
前記第一の片持ち部及び前記第二の片持ち部は前記本体部に対角配置され、前記第一の片持ち部及び前記第二の片持ち部の一方は前記本体部の上縁に配置され、前記第一の片持ち部及び前記第二の片持ち部の他方は前記本体部の下縁に配置され、各仕切り板は二つの位置決めブロック及び二つのスペーサを含み、前記二つの位置決めブロックは前記第一の片持ち部の両面にそれぞれ取り付けられ、前記二つのスペーサは前記第二の片持ち部の両面にそれぞれ取り付けられる
ことを特徴とする請求項1の電池セル化成装置。
【請求項4】
各仕切り板は少なくとも一つの係止爪部材を含み、前記係止爪部材は固定部、延伸アーム及び爪部を含み、前記固定部及び前記爪部は前記延伸アームの両端にそれぞれ位置され、前記固定部は前記第一の片持ち部に取り付けられ、前記爪部は隣接する前記仕切り板の前記第一の片持ち部を係止される
ことを特徴とする請求項1の電池セル化成装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの係止爪部材の前記延伸アームには、隣接する前記仕切り板の前記爪部が嵌合される嵌合孔が形成されている
ことを特徴とする請求項4の電池セル化成装置。
【請求項6】
前記延伸アームは長さが前記仕切り板の厚さの二倍以上とされるように構成される
ことを特徴とする請求項4の電池セル化成装置。
【請求項7】
前方係止爪部材及び後方爪嵌合部材を更に含み、
前記前方係止爪部材の一端が前記押圧板に固定され、他端が前記押圧板に隣接する前記仕切り板を係止し、
前記後方爪嵌合部材が前記第二の端板に取り付けられ、爪嵌合孔を含み、
前記第二の端板に隣接する前記仕切り板に設けられた前記少なくとも一つの係止爪部材の前記爪部が前記後方爪嵌合部材の前記爪嵌合孔に嵌合される
ことを特徴とする請求項4の電池セル化成装置。
【請求項8】
各仕切り板は少なくとも二つの垂直固定ブロック及び少なくとも二つのL字状の固定ブロックを含み、前記少なくとも二つの垂直固定ブロックは前記仕切り板の上縁において反対両面にそれぞれ設けられ、前記上縁から上向きに突き出ており、前記少なくとも二つのL字状の固定ブロックは前記仕切り板の下縁の近旁において反対両面にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項1の電池セル化成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置に関し、特にパウチ型リチウム電池セルの化成過程において電池セルを挟み、電池セルを充放電する電池セル化成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池セルは製品になる前に、化成(フォーメション)することが必要である。「化成」とは、パウチ型リチウム電池セル(リチウム電池セル半製品)の電極に給電して、パウチ型リチウム電池セルの流動性を有する成分を固化して電気エネルギーを蓄える状態になる。化成工程を簡単に説明すると、まず、固化されていないパウチ型リチウム電池セル(pouch-type battery)を拘束トレイの仕切り板に固定し、次に押圧力維持機構によって拘束トレイに適宜に押圧し、仕切り板にパウチ型リチウム電池セルを挟み込ませ、最後に電池セルを充放電して、電池セルを固化することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】TW201943120A1 特許文献1(TW201943120A1の「電池セルトレイ」)には、従来の電池セル化成用トレイが提案されている。特許文献1には、仕切り板にパウチ型電池が搭載され、仕切り板にスルーホールがガイド部として形成され、接続部材とするガイドロッドがスルーホールを貫通して延びることによって、仕切り板が接続部材に沿って摺動するように配置されていることが開示されている。しかしながら、電池セルを装填・取出する際、例えば新しいパウチ型リチウム電池セルを装填する場合、仕切り板を取り出すために、上板、仕切り板、押圧板と伝動装置など殆どすべての部材を一旦外す必要があるので、非常に不便である。
【0004】
【文献】CN209515883U 一方、特許文献2(CN209515883Uの「ソフトパッケージを素早く装填・取出する定圧拘束トレイ」)は、電池セルを素早く装填・取出するニーズに応じて出願された。特許文献2には、電池セルが搭載されるためのプレートに四つの固定板が設けられ、各固定板に切欠きが形成され、プレートが切欠きによって接続ロッドに掛けられることが開示されている。全てのプレートが、ねじでプレートの側端面に締め付けられた四本の編組条材によって互いに繋がることも開示されている。電池セルを装填・取出する場合、ねじ及び編組条材を外してからプレートを接続ロッドから取り外すことが必要である。
【0005】
ガイドロッドがスルーホールを貫通して延びる特許文献1に比べて、特許文献2の構成は、確かに電池セルの装填・取出が速くて便利になるが、複数のねじを外す作業が要する。固定板に切欠きの位置がずれるや加工精度が落ちる場合には、接続ロッドと接するプレートの四つの接触点のうち一つ以上の接触点が接続ロッドに接触していないと、接続ロッドに掛けられたプレートがガタガタしやすくなる。それに、編組条材が締め付けるまたは収縮や引っ張ることによって屑が生じるのは可能であり、設備または電池セルに汚染しやすく、不安な要素になる。
【0006】
従って、簡単な配置によって電池セルを素早く装填・取出でき、且つ汚染することがなく、コスト低減の電池セル化成装置が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、仕切り板の交換や増減を素早く行うことができるとともに、電池セル化成装置のメンテナンスやクリーニングや改造を迅速に行うことができ、又、信頼度が高く使用寿命が長い電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置は、主にトレイ、押圧板及び複数の仕切り板を備え、トレイは第一の端板、第二の端板及び第一の端板と第二の端板の間に架設されている複数のガイドバーを含む。押圧板は複数のガイドバーに沿って摺動するように複数のガイドバーにカップリングされ、第一の端板と第二の端板との間に位置される。複数の仕切り板は複数のガイドバーに沿って摺動するように複数のガイドバーにカップリングされ、押圧板と第二の端板との間に位置される。各仕切り板は本体部、第一の片持ち部及び第二の片持ち部を含み、第一の片持ち部及び第二の片持ち部は本体部の反対両側縁部にそれぞれ設けられ、各仕切り板は第一の片持ち部及び第二の片持ち部によってトレイの複数のガイドバーに掛けられる。
【0009】
以上から分かるように、本発明は仕切り板の本体部の第一の片持ち部及び第二の片持ち部を増設し、仕切り板は第一の片持ち部及び第二の片持ち部によってトレイの複数のガイドバーに掛けられるようにする。これにより、本発明には仕切り板は二つの片持ち部のみによってトレイに掛けられるため、電池セルを装填・取出する場合に、仕切り板を簡単に持ち上げるだけで、仕切り板の交換や増減を素早く行うことができるとともに、電池セル化成装置のメンテナンスや改造を迅速に行うことができる。
【0010】
具体的には、本発明の複数のガイドバーは一対の上ガイドバー及び一対の下ガイドバーを含み、複数の仕切り板の第一の片持ち部が一対の上ガイドバーの一つに当接し、複数の仕切り板の第二の片持ち部が一対の下ガイドバーの一つに当接する。具体的に第一の片持ち部及び第二の片持ち部は本体部に対角配置され、第一の片持ち部及び第二の片持ち部の一方は本体部の上縁に配置され、第一の片持ち部及び第二の片持ち部の他方は本体部の下縁に配置されている。これによって、本発明の仕切り板は対角に位置する2点で安定して支持されることができ、そして仕切り板の摺動が影響されなく、仕切り板がガタガタしなく、仕切り板を持ち上げて外すのはかなり容易である。
【0011】
本発明の各仕切り板は、第一の片持ち部に取り付けられた少なくとも一つの位置決めブロック及び第二の片持ち部に取り付けられた少なくとも一つのスペーサを更に含み、少なくとも一つの位置決めブロックは一つのV字状の切欠きを含み、複数の仕切り板の第一の片持ち部は少なくとも一つの位置決めブロックのV字状の切欠きを介して一対の上ガイドバーの一つに掛けられ、複数の仕切り板の第二の片持ち部は少なくとも一つのスペーサを介して一対の下ガイドバーの一つに当接する。言い換えれば、本発明は、上下ガイドバーの径方向に左右に摺動しないように、位置決めブロックのV字状の切欠きを介して仕切り板が位置決めされる。好ましくは、各仕切り板は二つの位置決めブロック及び二つのスペーサを含み、二つの位置決めブロックは第一の片持ち部の両面にそれぞれ取り付けられ、二つのスペーサは第二の片持ち部の両面にそれぞれ取り付けられることによって、仕切り板は四箇所で支持されることになる。従って、固定効果を大幅に向上させることが可能であるし、電池セルを装填・取出することに影響されない。
【0012】
一方、本発明の各仕切り板は固定部、延伸アーム及び爪部を含む少なくとも一つの係止爪部材を備え、固定部及び爪部は延伸アームの両端にそれぞれ位置され、固定部は第一の片持ち部に取り付けられ、爪部は隣接する仕切り板の第一の片持ち部を係止する。好ましくは、少なくとも一つの係止爪部材の延伸アームには、隣接する仕切り板の爪部が嵌合される嵌合孔が形成されている。そして、延伸アームは長さが仕切り板の厚さの二倍以上とされるように構成される。係止爪部材の設置により、複数の仕切り板は直列に連結される。例えば、複数の仕切り板は押圧板によって引っ張られると、隣接する仕切り板の間の距離が等間隔になり、異なる厚さの電池セルに適用することができ、そして仕切り板の取り外しもかなり容易となり、電池セルを装填・取出することに影響されない。
【0013】
本発明は前方係止爪部材及び後方爪嵌合部材を更に含み、前方係止爪部材の一端が押圧板に固定され、他端が押圧板に隣接する仕切り板を係止し、後方爪嵌合部材が第二の端板に取り付けられ、嵌合孔を含み、第二の端板に隣接する仕切り板に設けられた少なくとも一つの係止爪部材の爪部が後方爪嵌合部材の嵌合孔に嵌合される。言い換えれば、本発明は、前方係止爪部材及び後方爪嵌合部材によって複数の仕切り板と第二の端板と押圧板は直列に連結されるので、押圧板が摺動することに伴い、複数の仕切り板も摺動するようになる。第二の端板の後方爪嵌合部材によって、複数の仕切り板が第二の端板から外さずに摺動することができる。
【0014】
より好ましくは、本発明に係る各仕切り板は少なくとも二つの垂直固定ブロック及び少なくとも二つのL字状の固定ブロックを含み、少なくとも二つの垂直固定ブロックは仕切り板の上縁において反対両面にそれぞれ設けられ、上縁から上向きに突き出ており、少なくとも二つのL字状の固定ブロックは仕切り板の下縁の近旁において反対両面にそれぞれ設けられている。これによって、本発明は上記垂直固定ブロック及びL字状の固定ブロックの設置により、本発明は仕様が異なる電池セルに対応している。つまり、本発明はサイズが異なる電池セルにも適用される。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置は、主にトレイ、押圧板及び複数の仕切り板を含み、トレイは第一の端板、第二の端板、少なくとも一つの上ガイドバー及び少なくとも一つの下ガイドバーを含み、少なくとも一つの上ガイドバー及び少なくとも一つの下ガイドバーは第一の端板と第二の端板との間に架設される。押圧板は少なくとも一つの上ガイドバー及び少なくとも一つの下ガイドバーに沿って摺動するように少なくとも一つの上ガイドバー及び少なくとも一つの下ガイドバーカップリングされ、第一の端板と第二の端板との間に位置される。複数の仕切り板も少なくとも一つの上ガイドバー及び少なくとも一つの下ガイドバーに沿って摺動するように少なくとも一つの上ガイドバー及び少なくとも一つの下ガイドバーにカップリングされ、押圧板と第二の端板の間に位置される。各仕切り板は本体部、第一の片持ち部、第二の片持ち部及び少なくとも一つの係止爪部材を含み、第一の片持ち部及び第二の片持ち部は本体部に対角配置され、第一の片持ち部及び第二の片持ち部の一方は本体部の上縁に配置され、第一の片持ち部及び第二の片持ち部の他方は本体部の下縁に配置される。各仕切り板は第一の片持ち部及び第二の片持ち部によってトレイの少なくとも一つの上ガイドバー及び少なくとも一つの下ガイドバーに掛けられる。少なくとも一つの係止爪部材は仕切り板の一方の面から隣接する仕切り板へ延伸して、隣接する仕切り板を係止する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置の好ましい実施例の斜視図である。
図2図2は、本発明に係る電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置の好ましい実施例において1つの仕切り板が取り付けられている状態を示す斜視図である。
図3A図3Aは、本発明に係る仕切り板の好ましい実施例の斜視図である。
図3B図3Bは、本発明に係る仕切り板の好ましい実施例の他の斜視図である。
図4図4は、本発明に係る位置決めブロックが上ガイドバーに当接する斜視図である。
図5A図5Aは、本発明に係る係止爪部材の好ましい実施例の斜視図である。
図5B図5Bは、本発明に係る仕切り板が互い係止する構成の一部の拡大の斜視図である。
図6A図6Aは、本発明に係る係止爪部材の他の好ましい実施例の斜視図である。
図6B図6Bは、本発明に係る前方係止爪部材の他の好ましい実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施例において、本発明に係る電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置を詳しく説明する。下記の説明において、同様の機能および構成を有する要素にはそれぞれ同一の符号を付して表示する。更に、図面は模式的なものであり、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、明確性及び簡潔さのために、特定の図面は、誇張された又は一般化された形態で示され得る。その全ての詳細を図示するものではない。
【0018】
図1は本発明の電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置の好ましい実施例の斜視図であり、図2は本発明の電池セルを素早く装填・取出可能な電池セル化成装置の好ましい実施例において1つの仕切り板が取り付けられている状態を示す斜視図である。図に示すように、本実施例の電池セル化成装置は主にトレイ2、押圧板3、複数の仕切り板4及び押圧力維持機構6を含む。
【0019】
具体的には、本実施例のトレイ2は、第一の端板21、第二の端板22及び四本のガイドバー23を含み、四本のガイドバー23は一対の上ガイドバー231及び一対の下ガイドバー232を含み、第一の端板21と第二の端板22との間に架設されている。また、押圧板3は四本のガイドバー23が貫通する四つの貫通孔を有し、これによって押圧板3は四本のガイドバー23に沿って摺動する。押圧板3は第一の端板21と第二の端板22の間に位置している。
【0020】
また、押圧力維持機構6は付勢板61及び四つの圧縮ばね62を含み、四つの圧縮ばね62が付勢板61と押圧板3との間に設けられおり、付勢板61は選択的に押圧装置(図示せず)にカップリングすることができ、例えば、付勢板61に押圧力を加える装置又は機構であるリニアモータや空気圧シリンダ、油圧シリンダ等にカップリングすることができる。これにより、押圧装置(図示せず)によって付勢板61に押圧力を加えると、圧縮ばね62を介して押圧板3に押圧力が伝達されることに伴い、押圧板3がガイドバー23に沿って摺動するようになる。
【0021】
更に、本実施例の仕切り板4について、図3A及び図3Bを参照しながら説明する。図3Aは本発明の仕切り板の好ましい実施例の斜視図であり、図3Bは本発明の仕切り板の好ましい実施例の他の斜視図である。図に示すように、各仕切り板4は本体部40、第一の片持ち部41、第二の片持ち部42、二つの位置決めブロック43及び二つのスペーサ44を含み、第一の片持ち部41及び第二の片持ち部42は本体部40に対角配置され、第一の片持ち部41及び第二の片持ち部42のうちの一方は本体部40の上縁に配置され、第一の片持ち部41及び第二の片持ち部42のうちの他方は本体部40の下縁に配置される。二つの位置決めブロック43は第一の片持ち部41の両面にそれぞれ組付けられ、二つのスペーサ44は第二の片持ち部42の両面にそれぞれ組付けられる。そのほか、各位置決めブロック43の下端面にV字状の切欠き431が形成されている。
【0022】
そのほか、図2に示すように、本実施例の仕切り板4の第一の片持ち部41は位置決めブロック43のV字状の切欠き431を介して上ガイドバー231に掛けられる。仕切り板4の第二の片持ち部42はスペーサ44を介して下ガイドバー232に当接する。更に図4を参照すると、図4は本発明の位置決めブロック43が上ガイドバー231に当接する斜視図である。図に示すように、位置決めブロック43はV字状の切欠き431を介して上ガイドバー231に掛けられるとき、V字状の切欠き431と上ガイドバー231との接触は2点でなされる。二つの位置決めブロック43があるので、仕切り板4の第一の片持ち部41と上ガイドバー231との接触は4点でなされる。従って、仕切り板の摺動は安定して摩擦抵抗も小さいである。重要な点は、V字状の切欠き431の設置によって、仕切り板4とガイドバー23との間に効果的な位置決めを行って、仕切り板4がガイドバー23の径方向に左右に摺動しないことである。
【0023】
一方、仕切り板4の第二の片持ち部42は二つのスペーサ44を介して下ガイドバー232に2点で当接するので、仕切り板4は安定して支持され、摺動摩擦抵抗は小さくなる。これによって、本実施例の仕切り板4は、二つの位置決めブロック43及び二つのスペーサ44の配置によって上ガイドバー231及び下ガイドバー232に掛けられる。こうした配置によって、仕切り板4がガイドバー23に安定して架設され、摩擦抵抗が小さくなり、容易に摺動することができる。最も重要なことは、仕切り板4をガイドバー23から容易かつ迅速に取り外すことができることである。
【0024】
図3A図3B図5A及び図5Bを同時に参照する。図5Aは本発明の係止爪部材の好ましい実施例の斜視図であり、図5Bは本発明の仕切り板が互い係止する構成の一部の斜視図である。図に示すように、本実施例において、各仕切り板4は、第一の片持ち部41の上端縁と第二の片持ち部42の側端縁のそれぞれに設けられる二つの係止爪部材5を有する。各係止爪部材5は固定部51、延伸アーム53及び爪部52を含み、固定部51及び爪部52は延伸アーム53の両端にそれぞれ設けられている。二つの係止爪部材5の固定部51はそれぞれ第一の片持ち部41及び第二の片持ち部42の一方の面に組付けされ、二つの係止爪部材5の延伸アーム53はそれぞれ第一の片持ち部41の上端縁及び第二の片持ち部42の側端縁から、隣接する仕切り板4へ延伸する。又、二つの係止爪部材5の爪部52はそれぞれ隣接する仕切り板4の第一の片持ち部41の上端面及び第二の片持ち部42の他方の面に係止する。
【0025】
具体的には、本実施例の係止爪部材5の延伸アーム53には、他の係止爪部材5の爪部52が挿入される嵌合孔531が開口している。図5Bに示すように、これにより、複数の仕切り板4は直列に連結されることになる。一方、本実施例の係止爪部材5の延伸アーム53の長さが仕切り板4(二つの位置決めブロック43又は二つのスペーサ44を含む)の厚さの二倍以上とされるように構成されている。この設定により、隣り合う2つの仕切り板4の間のギャップは異なる厚さの電池セルを収容するように形成されている。電池セルに関わる詳細は後で説明する。
【0026】
次に、図2を参照する。図2に示すように、本実施例の押圧板3には二つの前方係止爪部材31が設けられており、それらはそれぞれ仕切り板4の第一の片持ち部41と第二の片持ち部42に設けられた係止爪部材5の位置に対応する。前方係止爪部材31と係止爪部材5との違いは、前方係止爪部材31が嵌合孔531を備えず、図1に示すように、前方係止爪部材31の一端が押圧板3に固定され、他端が押圧板3に隣接する仕切り板4に引っ掛けられることだけである。
【0027】
図2に示すように、本実施例の第二の端板22には二つの後方爪嵌合部材221が設けられており、それらはそれぞれ同じく仕切り板4の第一の片持ち部41と第二の片持ち部42に設けられた係止爪部材5の位置に対応する。後方爪嵌合部材221は、形状が係止爪部材5の嵌合孔531に類似する爪嵌合孔222を含む。図1に示すように、爪嵌合孔222には主に第二の端板22に隣接する仕切り板4に設けられた係止爪部材5の爪部52が挿設される。
【0028】
概略的に言うと、複数の仕切り板4は係止爪部材5を介して直列に連結されており、本実施例において更に前方係止爪部材31と後方爪嵌合部材221の設置によって、複数の仕切り板4の両端を押圧板3と第二の端板22に連ねて、隣り合う2つの仕切り板4の間には、一定のギャップがある。押圧板3が第一の端板21に向って付勢されて摺動すると、複数の仕切り板4は異なる厚さの電池セルを収容するように引き離されて、互いに等間隔に離間される。又、押圧板3が第二の端板22に向って付勢されて摺動すると、複数の仕切り板4は電池セルが夾持されるように押圧板3によって押される。
【0029】
続いて、図3A及び図3Bを参照する。本実施例の仕切り板4の反対両面のそれぞれには、二つの垂直固定ブロック45及び二つのL字状の固定ブロック46が設けられている。二つの垂直固定ブロック45は該仕切り板4の上縁の近旁において互いに離間して上縁から上向きに突出して設けられる。少なくとも二つのL字状の固定ブロック46は該仕切り板4の下縁の近旁において互いに離間して設けられる。これによって、本実施例は、上述した二つの垂直固定ブロック45及び二つのL字状の固定ブロック46の配置により、実際の必要に応じて異なる固定ブロック(図示せず)を任意に追加して、当業界でよく使われている電池セルの仕様に対応可能になる。換言すれば、本実施例の装置は異なる仕様の電池セルに適用される場合、すべての仕切り板4を交換する必要なく、固定ブロックを追加又は取り外せばよい。
【0030】
次に、図1及び図2を参照しながら、本実施例の仕切り板の取り外しの方法を説明する。最初に、前方係止爪部材31を押圧板3から取り外し、次に、第一枚の仕切り板4の第一の片持ち部41を図2に示す方向D1に向って持ち上げることで、第一の片持ち部41に設けられた係止爪部材5の爪部52を第二枚の仕切り板4の係止爪部材5の嵌合孔531から外す。そして、第一枚の仕切り板4の第二の片持ち部42を図2に示す方向D2に向って引っ張ることで、第二の片持ち部42に設けられた係止爪部材5の爪部52が第二枚の仕切り板4の係止爪部材5の嵌合孔531から外す。最後に、仕切り板4を取り出す。
【0031】
図6A及び図6Bを同時に参照する。図6Aは本発明の係止爪部材の他の好ましい実施例の斜視図で、図6Bは本発明の前方係止爪部材の他の好ましい実施例の斜視図である。本実施例と前の実施例との主な違いは、本実施例の係止爪部材5と前方係止爪部材31はヒンジ部54,311をそれぞれ備えることである。図6Aに示される係止爪部材5を例として、ヒンジ部54は固定部51と延伸アーム53との間に配置されているので、延伸アーム53はヒンジ部54を支軸として搖動可能になり、爪部52は隣接する仕切り板4を係脱可能に係止する。このため、電池セルを装填・取出する必要がある場合、前方係止爪部材31と各仕切り板4の係止爪部材5を搖動して各仕切り板4の係止を解除してから、各仕切り板4を取り出すことができる。また、ここで留意すべきは、本実施例は、指定された仕切り板4の取り出し・交換の場合も適用する。その指定された仕切り板4を係止する係止爪部材5を搖動して係止解除してから、容易に取り出すことができ、非常に便利である。
【0032】
上記をまとめると、従来技術と比較して、本実施例は少なくとも以下の利点がある。
(1) 本実施例において、仕切り板は二つの片持ち部のみによってトレイに掛かるため、電池セル装填・取出の工程が簡単で素早く、ひいては何らのツールも必要でない。それに、仕切り板を素早く交換や増減することができる。又、電池セル化成装置全体のクリーニングおよびメンテナンスはより一層便利になる。
(2) 本実施例において、仕切り板は二つの片持ち部のみによってトレイに掛かるが、各片持ち部は少なくとも二点で支持されること、及び、V字状の切欠きによる位置決めの効果により、仕切り板はトレイに安定して支持される。そして、仕切り板は、ガイドバーに沿って摺動するときに、摩擦抵抗が小さく、摺動が容易となるし、ガイドバーの径方向に左右に摺動しない。
(3) 係止爪部材、前方係止爪部材及び後方爪嵌合部材の設置により、複数の仕切り板と第二の端板と押圧板は直列に連結されることができ、すべての仕切り板上の電池セルに対して同一のクランプ力を加えることができる。また、複数の仕切り板は押圧板によって引っ張られると、互いに等間隔に離間され、異なる厚さの電池セルに適用されることができ、係止爪部材の脱着もかなり容易となり、特定の方向へ引っ張れば、電池セルを素早く装填・取出することに影響されない。
(4) 本実施例は上述した二つの垂直固定ブロック及び二つのL字状の固定ブロックの配置により、実際の必要に応じて異なる固定ブロック(図示せず)を追加する。このようにして、実際の必要に応じて、当業界でよく使われている電池セルの仕様に対応する。換言すれば、本実施例の装置は電池セルの仕様を変更する場合、すべての仕切り板4を交換する必要なく、固定ブロックを追加又は取り外せばよく、非常に便利である。
(5) 別の実施態樣において、係止爪部材と前方係止爪部材のそれぞれには、ヒンジ部が配置されている。ヒンジ部の配置により、電池セルを装填・取出する時に、前方係止爪部材と各仕切り板の係止爪部材を搖動して係止を解除すれば、一つずつ取り出すことができ、非常に便利である。
【0033】
上記実施例は説明のために挙げられたものに過ぎない。本発明が主張する権利範囲は特許請求の範囲の記載を基準とし、上記実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
2:トレイ、3:押圧板、4:仕切り板、5:係止爪部材、6:押圧力維持機構、21:第一の端板、22:第二の端板、23:ガイドバー、31:前方係止爪部材、40:本体部、41:第一の片持ち部、42:第二の片持ち部、43:位置決めブロック、44:スペーサ、45:垂直固定ブロック、46:L字状の固定ブロック、51:固定部、52:爪部、53:延伸アーム、54:ヒンジ部、61:付勢板、62:圧縮ばね、221:後方爪嵌合部材、222:爪嵌合孔、231:上ガイドバー、232:下ガイドバー、311:ヒンジ部、431:V字状の切欠き、531:嵌合孔
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B