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特許7326424ケーブル加工機システムならびにケーブル加工機システムの取外しトラフから1つまたは複数のケーブルの取り外し方法
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  • 特許-ケーブル加工機システムならびにケーブル加工機システムの取外しトラフから1つまたは複数のケーブルの取り外し方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ケーブル加工機システムならびにケーブル加工機システムの取外しトラフから1つまたは複数のケーブルの取り外し方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/048 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021500887
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019069271
(87)【国際公開番号】W WO2020020727
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】18185288.0
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503231561
【氏名又は名称】コマツクス・ホールデイング・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンテ,アロイス
(72)【発明者】
【氏名】フラー,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】フォイブリ,ドミニク
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-286565(JP,A)
【文献】特開2001-287711(JP,A)
【文献】特開2018-37403(JP,A)
【文献】米国特許第6658726(US,B1)
【文献】米国特許第6353993(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/00 - 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル加工機システム(1)であって、
ケーブル(12)を加工するためのケーブル加工機(5)と、
ケーブル加工機(5)によって加工されたケーブル(12)を受け入れるためのケーブルトレイ(20)と、
取外しトラフ(30)と、を備え、ケーブルトレイ(20)は、ケーブルトレイ(20)が枢動するときに、ケーブルトレイ(20)からのケーブル(12)が取外しトラフ(30)に移送されるように枢動可能であるケーブル加工機システム(1)において、
取外しトラフ(30)は、ケーブル(12)を搬送方向(13)に沿ってケーブル加工機(5)から取外しトラフ(30)の端部(33)まで搬送するための可動出口コンベヤベルト(35)を備えることを特徴とする、ケーブル加工機システム(1)。
【請求項2】
取外しトラフ(30)は側壁(40、41)を有する、請求項1に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項3】
側壁(40、41)は、側壁(40、41)が出口コンベヤベルト(35)と共に移動するように、出口コンベヤベルト(35)に強固に接続される、請求項2に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項4】
側壁(40、41)はそれぞれ、出口コンベヤベルト(35)の表面に平行な断面においてアコーディオン様の形状を有し、側壁(40、41)は、搬送方向(13)に平行に走る方向に沿って少なくとも部分的に延在されかつ圧縮されることが可能であり、取外しトラフ(30)は、出口コンベヤベルト(35)および側壁(40、41)を偏向させるための偏向ローラ(50)を有する、請求項2または3に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項5】
取り外しトラフ(30)は、1つまたは複数のケーブル(12)を把持および保持するために、取り外しトラフ(30)の一端部(33)に少なくとも1つのバンドルグリッパ(55、56)、特に2つのバンドルグリッパ(55、56)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項6】
1つまたは複数のバンドルグリッパ(55、56)は、それぞれのバンドルグリッパ(55、56)が1つまたは複数のケーブル(12)を把持する把持力が調整可能であるように設計される、請求項5に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項7】
バンドルグリッパ(55、56)間の1つまたは複数のケーブル(12)の一部に張力をかけるための、搬送方向(13)におけるバンドルグリッパ(55、56)間の距離が増減可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項8】
出口コンベヤベルト(35)の端部にある取り外しトラフ(30)であって、出口コンベヤベルト(35)によってケーブル(12)が搬送可能である取り外しトラフ(は、1つまたは複数のケーブル(12)の一部を支持するためのケーブルトレイ(20)に対して不動である支持面(60)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項9】
取り外しトラフ(30)は、支持面(60)を横方向に区切る側壁(65、66)を有する、請求項8に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項10】
取り外しトラフ(30)の出口コンベヤベルト(35)は、ケーブルトレイ(20)の長手方向に走る方向に平行に移動可能であり、ケーブルトレイ(20)は、長手方向に沿って最大の拡張を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項11】
取り外しトラフ(30)は、取り外しトラフ(30)がケーブルトレイ(20)よりもケーブル加工機(5)からさらに離れて延在するように配置および設計される、請求項1~10のいずれか一項に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項12】
搬送方向(13)は、ケーブル加工機(5)によるケーブル(12)の加工中にケーブル(12)が沿って移動するケーブル加工軸線(15)に平行に延在する、請求項1~11のいずれか一項に記載のケーブル加工機システム(1)。
【請求項13】
ケーブル加工機システム(1)の取り外しトラフ(30)から、特に、請求項1~12のいずれか一項に記載のケーブル加工機システム(1)の取り外しトラフ(30)から、1つまたは複数のケーブル(12)を取り外すための方法であって、
出口コンベヤベルト(35)により、取り外しトラフ(30)にある1つまたは複数のケーブル(12)を、ケーブル加工機システム(1)のケーブル加工機(5)から取り外しトラフ(30)の端部(33)まで移動させるステップと、
グリッパアーム(70)によって、取り外しトラフ(30)の端部(33)にある1つまたは複数のケーブル(12)を把持して取り外しトラフ(30)から取り外すステップと、を備える方法。
【請求項14】
グリッパアーム(70)が1つまたは複数のケーブル(12)を把持している間、1つまたは複数のケーブル(12)は、取り外しトラフ(30)の一端部(33)でバンドルグリッパ(55、56)または2つのバンドルグリッパ(55、56)によって保持される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
グリッパアーム(70)が1つまたは複数のケーブル(12)を把持している間、1つまたは複数のケーブル(12)は、2つのバンドルグリッパ(55、56)によって張力下で保持される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル加工機システムならびにケーブル加工機システムの取外しトラフから1つまたは複数のケーブルの取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なケーブル加工機またはケーブル加工機システムは、ケーブルのバッチまたは製造バッチ、すなわち、同一に組み立てられたケーブルの複数のピースを完全に自動的に製造することができる。しかしながら、生産バッチは通常、機械の操作員により手で取り外される。
【0003】
図6は、従来技術によるケーブル加工機システムの典型的な枢動機械式ケーブル加工機を示している。動作モードおよび構造は、例えば、欧州特許第2442413号明細書に示されている。
【0004】
ケーブル加工機またはケーブル加工機システム1’は、ケーブルを整列させるための矯正ユニット2’、ケーブルを運搬または搬送するためのケーブルコンベヤ3’、接触ローラ10’からケーブルに圧着接点を接続するための2つの圧着プレス7’、8’を備える。さらに、ケーブル加工機またはケーブル加工機システムは、ケーブルをケーブル加工軸線15’に沿って移動させるコンベヤベルト25’を備える。
【0005】
生産される同じケーブルの数は、通常、ケーブル加工機から個別に取得されるより小さな生産バッチに分割される。従来のケーブル加工機には、生産バッチの数に達するまで完成したまたは加工されたケーブルが格納されるケーブルトレイと、バッチを手で取り外すことができる取外しトラフ28’と、を有する。
【0006】
ケーブルトレイの上には、搬送プロセス中に加工されるケーブルを延ばした状態に保つコンベヤベルト25’がある。加工が完了すると、ケーブルはコンベヤベルトからケーブルトレイに落下する。ケーブルトレイは枢動可能であり、その結果、生産バッチのケーブルは取外しトラフ28’に落下する。ケーブルは取外しトラフ28’から手動で取り外す必要があり、取外しトラフ28’からのバッチの取り外しは、操作員が確認する必要があるが、これは、製造された各バッチの後で、操作員が取外しトラフ28’からバッチを取り外して、これが確認されるまで、ケーブル加工機が停止することを意味する。多くの場合、1人の操作員が複数のケーブル加工機の世話をする。その結果、ケーブル加工機は実際の取外しプロセスよりもはるかに長く停止する。
【0007】
短いケーブルをより容易に取り外すために、取り外す前にケーブル加工軸15’に平行な長手方向に移動可能な取外しトラフがある。欧州特許第2442413号明細書は、ケーブルトレイを詳細に記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第2442413号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
とりわけ、ケーブル加工機システム、または技術的に簡素な方法でケーブルを取外しトラフ28’から取り外すことができる、またはそれによってケーブルを取り外すことができる方法に対する必要性があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのような必要性は、それぞれ独立請求項1または独立請求項13に記載のケーブル加工システムまたは方法によって満たすことができる。有利な実施形態は、従属請求項に規定されている。
【0011】
本発明の一態様によれば、ケーブルを加工するためのケーブル加工機と、ケーブル加工機によって加工されたケーブルを受け入れるためのケーブルトレイと、取外しトラフと、を備え、ケーブルトレイは、ケーブルトレイが枢動するときにケーブルトレイからのケーブルが取外しトラフに移送されるように枢動可能であり、取外しトラフは、ケーブルを搬送方向に沿ってケーブル加工機から取外しトラフの端部まで搬送するための可動出口コンベヤベルトを備えることを特徴とする、ケーブル加工機システムが提案される。
【0012】
これの1つの利点は、1つまたは複数のケーブルまたはケーブルの製造バッチを、通常、技術的に簡素な方法で、1つまたは複数のケーブルを取外しトラフから、例えばグリッパアームにより、技術的に簡素かつ迅速な方法で取り外すことができる位置に搬送できることである。特に、1つまたは複数のケーブルは、通常、出口コンベヤベルトを使用して遠くまでされ得るので、取外しトラフから部分的に突出する。その結果、ケーブルは通常、取外しトラフからさらに容易に自動的に取り外され得ることとなる。したがって、原則として、ケーブル加工機の運転を中断する必要はない。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、ケーブル加工機システムの取外しトラフから、特に、上記のケーブル加工機システムの取外しトラフから、1つまたは複数のケーブルを取り外すための方法が提案され、本方法は、出口コンベヤベルトにより、取外しトラフにある1つまたは複数のケーブルを、ケーブル加工機システムのケーブル加工機から取外しトラフの端部まで移動させるステップと、グリッパアームにより、取外しトラフから取外しトラフの端部にある1つまたは複数のケーブルを把持して取り外すステップと、を備える。
【0014】
この方法の利点は、1つまたは複数のケーブルまたはケーブルの製造バッチが、通常、技術的に簡素な方法で、技術的に簡素かつ高速に自動化された方法で1つまたは複数のケーブルを取外しトラフから取り外すことができる位置に搬送されることである。特に、1つまたは複数のケーブルは、通常、出口コンベヤベルトを使用して遠くまで移送され得るので、取外しトラフから部分的に突出する。その結果、ケーブルは通常、グリッパアームを使用して取外しトラフからさらに容易に自動的に取り外すことができる。したがって、ケーブル加工機の運転を、通常、中断する必要はない。
【0015】
本発明の実施形態の可能な特徴および利点は、とりわけ、本発明を限定すること無く、以下に説明する概念および発見に依存すると見なすことができる。
【0016】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、取外しトラフは側壁を有する。結果として、1つまたは複数のケーブルは、通常、取外しトラフ内で特に安全に案内され、1つまたは複数のケーブルは、出口コンベヤベルトによって取外しトラフの端部に搬送される。
【0017】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、側壁は、側壁が出口コンベヤベルトと共に移動するように、出口コンベヤベルトにしっかりと接続される。その結果、側壁は、出口コンベヤベルトと同じ速度で技術的に簡素な方法で移動可能である。さらに、側壁の1つと出口コンベヤベルトの間のケーブルの詰まりまたは挟み込みは本質的に排除される。
【0018】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、側壁はそれぞれ、出口コンベヤベルトの表面に平行な断面においてアコーディオン様の形状を有し、側壁は、搬送方向に平行に走る方向に沿って少なくとも部分的に延在されかつ圧縮可能であり、取外しトラフは、出口コンベヤベルトおよび側壁を偏向させるための偏向ローラに面している。結果として、出口コンベヤベルトおよび側壁は、通常、側壁に大きな機械的応力が発生すること無く、技術的に簡素な方法で曲げられまたは偏向され得るので、例えば取外しトラフの下側にある出口コンベヤベルトおよび側壁は、搬送方向または出口コンベヤベルト上のケーブルの移動方向と反平行な方向に移動可能である。
【0019】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、取外しトラフは、取外しトラフの一端部で1つまたは複数のケーブルを把持および保持するために、少なくとも1つのバンドルグリッパ、特に2つのバンドルグリッパを有する。その結果、1つまたは複数のケーブルは、通常、取外しトラフの端部または出口コンベヤベルトの端部に技術的に簡素な方法で保持され得る。これにより、技術的に簡素な方法でケーブルの取外しトラフからの落下を防ぐ。
【0020】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、1つまたは複数のバンドルグリッパは、それぞれのバンドルグリッパが1つまたは複数のケーブルを把持する把持力が調整可能であるように設計される。このことの利点の1つは、ケーブルが通常、それぞれの閉じたバンドルグリッパを通してスライドできることである。これは、ケーブルが通常、技術的に簡素な方法で配線され得ることを意味する。
【0021】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、バンドルグリッパ間の1つまたは複数のケーブルの一部に張力をかけるための、搬送方向におけるバンドルグリッパ間の距離は増減可能である。このことの利点は、1つまたは複数のケーブルの一部が、通常、技術的に簡素な方法でバンドルグリッパの間にクランプ可能となることである。結果として、バンドルグリッパ間で1つまたは複数のケーブルの張力がかかった部分を把持するグリッパアームなどによるケーブルの把持が、一般に技術的に簡素化される。
【0022】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、出口コンベヤベルトによってケーブルが搬送され得る、出口コンベヤベルトの端部にある取外しトラフは、1つまたは複数のケーブルの一部を支持するためのケーブルトレイに対して不動である支持面を有する。このことの利点は、通常、ケーブルに接続された接点、例えば圧着接点が引っ掛かること無く、ケーブルが出口コンベヤベルトの端部を超えて移動可能であることである。さらに、支持面と1つまたは複数のケーブルとの間の摩擦は、一般に、それらが取外しトラフの端部で、取外しトラフから落下するのを防ぐ。支持面のために、それらは通常、取外しトラフの端部に残り、1つまたは複数のケーブルの一部が支持面上に静止するか、または横たわっている。
【0023】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、取外しトラフは、支持面を横方向に区切る側壁を有する。ここでの利点は、ケーブルが通常、支持面に特にしっかりと保持され、側面に落下することから特によく保護されることである。
【0024】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、取外しトラフの出口コンベヤベルトは、ケーブルトレイの長手方向に走る方向に平行に移動可能であり、ケーブルトレイは、長手方向に沿って最大の広がりを有する。ここでの利点は、通常、1つまたは複数のケーブルが出口コンベヤベルト上で技術的に簡素な方法でケーブル加工機から離れて移動可能となることである。
【0025】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、取外しトラフは、取外しトラフがケーブルトレイよりもケーブル加工機からさらに離れて延在するように配置および設計される。取外しトラフがケーブルトレイを超えて突出しているので、ケーブル加工機とは反対側の端部に搬送されるケーブルは、通常、ケーブルトレイがグリッパアームの動きを妨げること無く自動的に把持され得る位置にある。これは、ケーブルが通常、取外しトラフの端部でより簡素に自動的に把持され得ることを意味する。
【0026】
ケーブル加工機システムの一実施形態によれば、搬送方向は、ケーブルがケーブル加工機によって加工されている間、ケーブルがそれに沿って移動するケーブル加工軸線に平行に延在する。結果として、ケーブルは通常、ケーブルを回転などさせること無く、ケーブルをその長手方向に沿って(またはそれらの最大範囲に沿って)コンベヤベルトによって搬送または運搬できるように、技術的に特に簡素な方法でケーブルトレイに到達する。
【0027】
本方法の一実施形態によれば、グリッパアームが1つまたは複数のケーブルを把持している間、1つまたは複数のケーブルは、取外しトラフの一端部でバンドルグリッパまたは2つのバンドルグリッパによって保持される。この方法の利点は、ケーブルの一部が通常、グリッパアームなどによって技術的に特に簡素な方法で把持可能であることである。
【0028】
本方法の一実施形態によれば、1つまたは複数のケーブルは、グリッパアームが1つまたは複数のケーブルを把持している間、2つのバンドルグリッパによって張力下に保持される。この方法の1つの利点は、バンドルグリッパ間で1つまたは複数のケーブルの張力がかかった部分を把持するグリッパアームなどによるケーブルの把持が、一般に技術的に簡素化されることである。
【0029】
本発明の可能な特徴および利点のいくつかは、ケーブル加工システムの異なる実施形態、またはケーブル加工機の取外しトラフから1つまたは複数のケーブルを取り外す方法を参照して本明細書に記載されていることに留意されたい。当業者は、本発明のさらなる実施形態に到達するために、特徴が適切に組み合わされ、適合され、または置き換えられ得ることを認識するであろう。
【0030】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明されるが、図面も説明も本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】取外しトラフを備えた本発明によるケーブル加工システムの一実施形態の斜視図である。
図2図1からの取外しトラフの詳細図である。
図3】本発明によるケーブル加工システムの第2の実施形態の取外しトラフの詳細図である。
図4図3からの取外しトラフのさらに詳細な図である。
図5】グリッパアームを備えた図3または図4からの取外しトラフの詳細図である。
図6】従来技術によるケーブル加工システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
これらの図は単なる概略図であり、縮尺どおりではない。同様の符号は、様々な図面の同様または同等の特徴部を指す。
【0033】
図1は、取外しトラフ30を備えた本発明によるケーブル加工システムの一実施形態の斜視図を示す。図2は、図1からの取外しトラフ30の詳細図である。
【0034】
ケーブル加工機システム1は、ケーブル12を整列させるための矯正ユニット2、ケーブル12を運搬または搬送するためのケーブルコンベヤ3、接触ローラ10からケーブル12に圧着接点を接続するための2つの圧着プレス7、8を備える。さらに、ケーブル加工機5またはケーブル加工機システム1は、ケーブル加工軸線15に沿ってケーブル12を移動させるコンベヤベルト25を備える。さらに、ケーブル加工機システム1は、取外しトラフ30を備える。
【0035】
ケーブルトレイ20の対角線上にはコンベヤベルト25があり、これは、ケーブル加工機5を通る搬送プロセス中、またはケーブル加工機5でのケーブル12の加工中に、加工されるケーブル12を延ばされた状態に保つ。加工中または加工の完了後に、ケーブル12はコンベヤベルトからケーブルトレイ20に落下する。ケーブルトレイ20は、枢動または傾斜可能であり、その結果、製造バッチのケーブル12がケーブルトレイ20から取外しトラフ30に落下する。
【0036】
取外しトラフ30は、出口コンベヤベルト35を備える。出口コンベヤベルト35は、ケーブル加工軸線15(=ケーブル加工機5での加工中のケーブル12の長手方向に沿った軸)に平行な搬送方向13に(取外しトラフ30の上部で)移動可能である、またはケーブルトレイ20をケーブル加工機5から離間させることができる。
【0037】
出口コンベヤベルト35は、取外しトラフ30の前端部33で偏向ローラ50の周りで偏向され、取外しトラフ30の下側に戻るエンドレスベルトである。出口コンベヤベルト35を横方向に区切る側壁40、41もまた、偏向ローラ50によって偏向され、取外しトラフ30の下側に戻る。
【0038】
出口コンベヤベルト35は、供給モータ52によって駆動される。供給モータ52は、偏向ローラ50を駆動する。
【0039】
出口コンベヤベルト35の反対側の端部では、出口コンベヤベルト35および側壁40、41が再び偏向され、このようにして取外しトラフ30の上部に戻る別の偏向ローラが存在し、出口コンベヤベルト35は再び搬送方向13に移動される。
【0040】
2つの偏向ローラ50の内の1つは、出口コンベヤベルト35および/または側壁40、41に張力をかけるために、搬送方向13に平行に直線的に変位可能である。
【0041】
ケーブル12のバッチは、円筒状の本体によって簡略化された方法で図示されている。ケーブル12のバッチは、例えば、5~20の、特に同じ方法で加工されたケーブル12を備えることができる。
【0042】
出口コンベヤベルト35の一端、より正確には、ケーブル加工機5とは反対側を向いている出口コンベヤベルト35の端部に、取外しトラフ30の端部33も形成する支持面60が形成される。支持面60は、ケーブル加工機5に対して堅固に配置されている、すなわち、出口コンベヤベルト35が支持面60に対して移動する。支持面60はまた、支持面60に対して動かないように設計された側壁65、66を有する。支持面60の側壁65、66は、パネル53の一部とすることができ、出口コンベヤベルト35の側壁40、41は、その中に偏向ローラ50によりそれらが約180°偏向される前に移動される。
【0043】
図3に示すように、出口コンベヤベルト35は、ケーブル12を、部分的に出口コンベヤベルト35上に、部分的に支持面60上に、そして部分的に取外しトラフ30を超えて突出するように十分遠くまで移動させる。一方でケーブル12と、他方で支持面60との間の摩擦のために、受容トラフは、ケーブル12が取外しトラフ30の端部33を越えてさらに搬送されないことを保証し、したがって、出口コンベヤベルト35が移動を続けても、取外しトラフ30から脱落しないことを保証する。
【0044】
出口コンベヤベルト35はフラットベルトとすることができる。
【0045】
取外しトラフ30は、2つの側壁40、41を有し、これらは、取外しトラフ30の内部を側面に区切る。側壁40、41は、側壁40、41が出口コンベヤベルト35の動きと共に移動するように、出口コンベヤベルト35にしっかりと接続されている。したがって、出口コンベヤベルト35を移動させることによって、側壁40、41も移動される。
【0046】
側壁40、41はそれぞれ、ケーブル12またはケーブル12のバッチの高さよりも高くなるような高さを有する。特に、側壁40、41は、出口コンベヤベルト35の幅の少なくとも半分に対応する高さを有することができる。出口コンベヤベルト35の幅は、搬送方向13に対して水平かつ垂直に延在する。結果として、それぞれが大量の品目を備える生産バッチは、取外しトラフ22によって安全に搬送することができる。
【0047】
側壁40、41は、ベローズのように、または波形の縁部として設計可能である。
【0048】
側壁40、41は、それぞれ自己完結型であり、取外しトラフ30の下側、すなわち搬送方向13とは反対側に、出口コンベヤベルト35と共に逆走するように、出口コンベヤベルト35と共に偏向ローラ50を介して約180°偏向される。側壁40、41および/または出口コンベヤベルト35の偏向、および側壁40、41および/または出口コンベヤベルト35の戻りは、パネル53内で起こり、その結果、側壁40、41および/または出口コンベヤベルト35は、偏向中またはケーブル加工機5の方向への戻り中に、本質的に偶発的に接触され得ない。
【0049】
側壁40、41は、出口コンベヤベルト35と共に偏向される。
【0050】
側壁40、41は、出口コンベヤベルト35の表面に平行な断面におけるアコーディオンの可動部分の形状を有する。図面では、提示の理由から、側壁40、41の一部のみがアコーディオン様の側壁として示されている。しかしながら、側壁40、41は、それらの全長に亘ってそのようなアコーディオン様の形状を有する。これは、側壁40、41が、コンベヤベルト35の全長に亘ってそのようなアコーディオン様の形状を有することを意味する。
【0051】
この形状により、出口コンベヤベルト35とは反対側の側面のそれぞれの側壁40、41(いわば、各側壁40、41の上部分)の長さを、搬送方向13に平行に増減させることができる。出口コンベヤベルト35に最も近い側壁40、41の部分は、出口コンベヤベルト35に固定的または剛的に接続されているので、この部分は、搬送方向13に平行な長さで本質的に変化することができない。
【0052】
出口コンベヤベルト35および側壁40、41は、一体として形成可能である。側壁40、41が出口コンベヤベルト35に溶接されることも考えられる。接着、リベット留めなど、出口コンベヤベルト35と側壁40、41との間の他のタイプの固定接続も考えられる。
【0053】
偏向ローラ50の周りの偏向の間、側壁40、41または側壁40、41の出口コンベヤベルト35から離れて面する部分(各側壁40、41の上部)は、出口コンベヤベルト35よりも長い距離をカバーしなければならないが、それは、各側壁40、41の上部が、偏向中、出口コンベヤベルト35よりも偏向ローラ50からより遠い距離にあるからである。側壁40、41のアコーディオン様の形状により、側壁40、41が偏向ローラ50の周りで出口コンベヤベルト35と共に偏向されるとき、側壁40、41の長さ、または出口コンベヤベルト35から離れて面する側壁40、41の部分、または偏向ローラ50の長さが偏向中に大きくなるので、側壁40、41に大きな機械的応力は発生しない。偏向の後に、長さは偏向前の長さに戻される。したがって、偏向中の側壁40、41の破損および/または裂け、ならびに偏向ローラ50の周りの偏向による側壁40、41の材料の疲労は、確実かつ技術的に容易に防止される。
【0054】
しかしながら、側壁40、41が静止している、すなわち動かされないことも考えられる。例えば、側壁40、41はそれぞれ、固定された金属薄板パネルなどを有することができる。
【0055】
出口コンベヤベルト35および/または側壁40、41は、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)および/またはポリウレタン(PU))を備えるか、またはそれから構成され得る。
【0056】
図3は、本発明によるケーブル加工システムの第2の実施形態の取外しトラフ30の詳細図を示している。図4は、図3からの取外しトラフ30のさらに詳細な図を示している。
【0057】
第2の実施形態は、取外しトラフ30が、レール58に固定された2つのバンドルグリッパ55、56をさらに備えるという点でのみ、第1の実施形態とは異なる。出口コンベヤベルト35からさらに離れている2つのバンドルグリッパ55、56のうちのバンドルグリッパ56は、レール58に沿って移動することができ、その結果、出口コンベヤベルト35に近いバンドルグリッパ55と、出口コンベヤベルト35から遠いバンドルグリッパ56との間の距離を大きくすることができ、サイズを小さくすることができる。レールは搬送方向13と平行に走っている。
【0058】
2つのバンドルグリッパ55、56の内の1つは、支持面60に直接隣接して配置されている。
【0059】
図3では、バンドルグリッパ55、56間の距離は可能な限り小さい。図4では、バンドルグリッパ55、56間の距離は可能な限り大きい。出口コンベヤベルト35からさらに取り外されたバンドルグリッパ56は、レール58の最も外側の端部に配置されている。
【0060】
バンドルグリッパ55、56はそれぞれ、開位置(図3を参照)および閉位置(図4を参照)となることができる2つのジョーを備える。開位置では、バンドルグリッパ55、56またはバンドルグリッパ55、56のジョーは、上部に開口部を有する。閉位置では、バンドルグリッパ55、56の両方のジョーが、バンドルグリッパ55、56によって保持されているケーブル12を取り囲む。
【0061】
バンドルグリッパ55、56は、空気圧および/または電動モータで開閉可能である。特に、バンドルグリッパ55、56が電動モータによって駆動される場合、ジョーは、完全に開いた状態と完全に閉じた状態との間のいくつかの中間位置に配置可能である。様々な中間位置がプログラム可能である。
【0062】
バンドルグリッパ55、56がケーブル12を把持する力は、ケーブル12がバンドルグリッパ55、56によって保持されている間、バンドルグリッパ55、56内をスライドするか、またはそれぞれのバンドルグリッパ55、56に対して移動するように調整可能である。
【0063】
バンドルグリッパ55、56は、それぞれ、ケーブル12またはケーブル12を閉位置で囲む。バンドルグリッパ55、56は、複数のケーブル12をコンパクトなバンドルに形成し、その結果、グリッパアーム70によって技術的に簡素な方法で把持および保持することができ、グリッパアーム70によって取外しトラフ30から搬送可能となる。
【0064】
ケーブル12のバンドルまたはバッチまたはその一部は、バンドルグリッパ55、56の間にクランプすることができ、その結果、グリッパアーム70がバンドルグリッパ55、56との間に達するという点で、グリッパアーム70によって技術的に簡素につかむことができ、このようにしてケーブル12を把持する。グリッパアーム70がケーブル12を把持した後に、2つのバンドルグリッパ55、56が開き、グリッパアーム70が保持されたケーブル12を移動させることができるか、またはケーブル12のバッチが取外しトラフ30またはバンドルグリッパ55、56から離れるように上方に動くことができる。
【0065】
図5は、グリッパアーム70を備えた図3または図4からの取外しトラフ30の詳細図を示している。
【0066】
図5では、ケーブル12のそれぞれの製造バッチまたはケーブル12のバンドルが、図面を簡略化するために円筒として示されている。
【0067】
図5の左側では、ケーブルバンドルまたはケーブル12のバッチは、それぞれその端部の近くに一部があり、ケーブルラック80のホルダに固定またはクランプされている。
【0068】
図5は、さらなるケーブルバンドルまたはケーブル12のさらなるバッチの前端部がすでに取外しトラフ30の端部に移動され、グリッパアーム70によって把持され、ケーブルラック80のレセプタクルまたはホルダに固定された後の状況を示している。
【0069】
グリッパアーム70は、装置(図示せず)によって空間内で移動可能である。
【0070】
ケーブルバンドルまたはケーブル12のバッチの後端部は、2つのバンドルグリッパ55、56または2つのバンドルグリッパ55、56のジョーによって閉位置に保持され、バンドルグリッパ55、56は互いに可能な限り離れている。従来、外側のバンドルグリッパ56、すなわち出口コンベヤベルト35からさらに離れた方のバンドルグリッパ56がケーブルバンドルの一部を把持し、一方で内側のバンドルグリッパ55は部分閉鎖位置にあり、ケーブル12は内側のバンドルグリッパ55をすり抜けていた。ケーブル12と内側バンドルグリッパ55との間の摩擦の結果として、バンドルグリッパ55、56との間のケーブル12の部分は引き延ばされ、たるみは無いが、むしろ本質的に水平に走る。これにより、グリッパアーム70は、技術的に簡素な方法でこの部分を把持して保持することができる。
【0071】
ケーブル12の後部分を把持した後に、2つのバンドルグリッパ55、56が開き、今やケーブル12がグリッパアーム70によってケーブルラック80のホルダまたは固定具に固定またはクランプされるようになる。
【0072】
ケーブル12またはケーブル12の生産バッチの自動排出は、ケーブル加工機5が、生産バッチまたはケーブル12の保管および/または搬送のために下流に配置されたシステムに自動的に供給することを可能にする。これらのシステムは、所望のロジスティクスプロセスに応じて非常に異なる方法で設計可能である。例えば、生産バッチまたはケーブル12は、それらが取外しトラフ30から移動された後、限られた数のバッチを収容することができる固定した中間格納ユニットに配置可能となり、かつ/あるいは、ケーブル12または生産バッチを後続の加工ステーションに運ぶのに役立つローラ付きケーブルラック(図5を参照)、輸送ボックスなどの輸送可能な格納ユニットに配置可能となる。
【0073】
取外しトラフ30は、ケーブル12またはケーブル12のバッチをケーブル加工機5から遠ざけるので、ケーブル12またはケーブル12のバッチは、技術的に特に簡素な方法で、例えば、グリッパアーム70によって、取外しトラフ30から取り外されることが可能になる。その場合、ケーブル加工機5は、すなわち、グリッパアーム70の動きを妨げない。
【0074】
特に、1つまたは複数のケーブル12の搬送後に、1つまたは複数のケーブル12の一部が取外しトラフ30の端部33を超えて突出するので、1つまたは複数のケーブル12は、技術的に簡素なグリッパアームによって把持されることが可能になる。
【0075】
ケーブル12またはケーブル12の製造バッチが、例えば、出口コンベヤベルト35の端部に到達するために、出口コンベヤベルト35によって移動されなければならない距離は、例えば、機械制御によって計算することができるが、それは、ケーブル12の長さ、およびケーブル12の製造バッチまたは排出または搬送後のケーブル12の所望の位置が知られているからである。
【0076】
最後に、「有する」、「備える」などの用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、「a」または「an」などの用語は、複数の要素またはステップを排除しないことに留意されたい。さらに、上記の実施形態のうちの1つを参照して説明された特徴またはステップはまた、上記の他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用され得ることに留意されたい。特許請求の範囲の符号は、限定的なものと見なされるべきではない。
【符号の説明】
【0077】
1、1’ ケーブル加工機システム
2、2’ 矯正ユニット
3、3’ ケーブルコンベヤ
5 ケーブル加工機
7、8、7’、8’ 圧着プレス
10、10’ 接触ローラ
12 ケーブル
13 ケーブルの搬送方向
15、15’ ケーブル加工軸
20 ケーブルトレイ
25、25’ コンベヤベルト
28’ 先行技術の取外しトラフ
30 取外しトラフ
33 取外しトラフの端部
35 出口コンベヤベルト
40、41 取外しトラフの側壁
50 偏向ローラ
52 供給モータ
53 パネル
55、56 バンドルグリッパ
58 バンドルグリッパのレール
60 支持面
65、66 支持面の側壁
70 グリッパアーム
80 ケーブルラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6