(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】多段鍛造プロセス
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20230807BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20230807BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2021514537
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 US2019051587
(87)【国際公開番号】W WO2020061099
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-15
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユージェン ホアン
(72)【発明者】
【氏名】エリック エム. ヘンリクソン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ダブリュ. シモーネ
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0016218(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0295993(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0344988(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0065140(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0298615(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0214612(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0238376(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0166758(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0085782(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0133232(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0233825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/08
B21K 17/00
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドを製造する方法であって、
少なくとも1つの材料のビレットの提供する工程と、
鍛造によって
前記ビレットを中間クラブヘッド本体に形成する工程であって、
ここで、前記中間
クラブヘッド本体は、ソールと、トップレールと、打撃フェースと、打撃フェースの背面壁と、後部と、を備えており、
ここで、前記
中間クラブヘッド本体の前記後部は、上縁と、非線形外周と、を有し、
ここで、前記打撃フェースは、上側領域と、下側領域と、を有し、
ここで、前記打撃フェースの前記上側領域と前記下側領域は、交差面によって分割され、
ここで、前記交差面は、前記打撃フェースの前記下側領域に垂直であり、
ここで、前記打撃フェースは、クリアランス角度で形成され、
ここで、前記クリアランス角度は、前記打撃フェースの前記上側領域から前記交差面までで測定され、
ここで、前記打撃フェースの前記クリアランス角度は、5°~35°の間である、中間クラブヘッド本体に形成する工程と、
ホットプレスによって前記
中間クラブヘッド本体の前記後部にキャビティを形成する工程と、
鍛造によって前記打撃フェースを最終角度に曲げる工程であって、これにより、前記打撃フェースをゴルフボールに衝突させるために配置された実質的な平面にし、キャビティを有するゴルフクラブヘッドを形成する、曲げる工程と、を備えており、
前記最終角度は90°である、ゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記ゴルフクラブヘッドが、ソールと、トップレールと、打撃フェースと、前記打撃フェースの背面壁と、トウ端と、ヒール端と、後部と、を備えており、
前記
中間クラブヘッド本体の前記後部は、上縁と、非線形外周と、を有し、
前記打撃フェースは、ヒール端と、トウ端と、上側領域と、下側領域と、を有し、
前記打撃フェースの前記上側領域と前記下側領域は、交差面によって分割され、
前記交差面は、前記打撃フェースの前記下側領域に垂直である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記交差面は、前記打撃フェースの前記下側領域と打撃面に垂直である、請求項1
又は2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記交差面が、前記クラブヘッドの高さの約40~50%で前記ゴルフクラブヘッドと交差し、
前記クラブヘッドの高さは、前記ゴルフクラブヘッドの前記ソールから前記ゴルフクラブヘッドの前記トップレールまでで測定される、請求項
1~3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記ホットプレス段階によって形成される前記キャビティは、0.2立方インチ~0.4立方インチの範囲の容積を有する、請求項
1~4のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記キャビティ内にインサートを固定する工程、をさらに備える、請求項
1~5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記インサートは、接着、圧入、機械的締結または前記インサートを固定する任意の他の適切な方法によって、前記キャビティ内に固定され得る、請求項6に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記インサートによって占有されるキャビティの割合は、95%~100%の範囲である、請求項7に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記ゴルフクラブヘッドが、19°~60°のロフト角を有する、請求項
1~8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記ビレットは、他の材料をモノリシックに包み込んでいない、請求項
1~9のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記ゴルフクラブヘッドの前記キャビティは、前記ヒール端から前記トウ端の方向に延びている、請求項2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記ホットプレス段階によって形成される前記キャビティは、キャビティ軸をさらに有しており、
前記キャビティ軸は、
前記キャビティの最下点を通過しており、
前記キャビティ軸は、
前記キャビティを正確に二分し、前記キャビティの内面壁から等距離にある、請求項2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記ホットプレス段階によって形成される前記キャビティは、プレス角度をさらに有しており、
前記プレス角度は、前記キャビティ軸から前記交差面までで測定される、請求項12に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記プレス角度は、60°~90°の範囲である、請求項
13に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記ホットプレス段階によって形成される前記キャビティは、実質的に三角形、長方形、正方形、半円形、放物線形又は台形の断面をさらに有する、請求項
1~14のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項16】
前記キャビティ内に固定される前記インサートは、1.0gと約30.0gの間の範囲の質量を有する、請求項6に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記キャビティ内に固定される前記インサートは、1.0g/ccと約20.0g/ccの間の範囲の密度を有する、請求項16に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項18】
前記ビレットが、8620合金鋼、S25C鋼、炭素鋼、マルエージング鋼、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、タングステン、アルミニウム、アルミニウム合金又は鍛造に適した任意の金属のうちの1つ以上を有する、請求項10に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項19】
前記ビレットが、8620合金鋼、S25C鋼、炭素鋼、マルエージング鋼、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、タングステン、アルミニウム、アルミニウム合金又は鍛造に適した任意の金属のうちの2つ以上を有する、請求項10に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項20】
前記ビレットが2つ以上の金属を有し、前記金属のうちの少なくとも1つが8620合金鋼であり、前記金属のうちの少なくとも1つがタングステンである、請求項10に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年9月17日に出願された米国仮特許出願第62/732,438号の利益を主張し、これらの全ての内容は参照により本明細書中に完全に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般にゴルフクラブに関し、より詳細には、キャビティを有する鍛造アイアンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、アイアン型ゴルフクラブヘッドは、鋳造、共鋳造、金属射出成形、機械切削加工及び鍛造のような種々の方法によって製造することができる。多くのアイアン型ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打つときにゴルフクラブヘッドの性能特徴を調整するためのキャビティ又は充填特徴を含む。しばしば、キャビティを含むアイアンは、これらの進歩した幾何学的形状を得るために、鋳造又は共鋳造される。単一の材料ブロックからキャビティを有するクラブヘッドを作製するために、切削技術が使用されるが、これは高価でタイムリーなプロセスである。さらに、鍛造技術は、しばしば、材料の一体ブロックから形成されるアイアンゴルフクラブヘッドを作製するために使用される。鍛造は切削加工よりも安価かつ迅速であるが、得られる幾何学的形状は限られている。現在の産業技術では、任意の種類のキャビティを有する鍛造アイアン型クラブヘッドを迅速かつ安価に作製することは困難である。鋳造されたキャビティを有するゴルフクラブヘッドに対する技術的ニーズがある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
実施形態のさらなる説明を容易にするために、以下の図面が提供される。
【0005】
【
図1】例示的なゴルフクラブヘッドを製造することができる一実施形態のフロー図を示す。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【
図5】キャビティを有する最終的なゴルフクラブヘッドを示す。
【0010】
本開示の他の態様は、詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【0011】
説明を簡単かつ明確にするために、図面は、概略的な構成方法を示し、周知の特徴及び技法の説明及び詳細は、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために省略され得る。さらに、図面中の要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本開示の実施形態の理解を助けるために、他の要素に対して誇張されていることがある。異なる図面における同じ参照番号は、同じ要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、多段鍛造プロセスを介して、キャビティを有するアイアン型ゴルフクラブを製造する方法を説明する。この方法は、適切な金属の中実ブロックビレットを粗鍛造して中間クラブヘッド本体を作り出す工程と、中間クラブヘッドをホットプレスして本体にキャビティを形成する工程と、中間クラブヘッドを精密鍛造してゴルフクラブ本体を形成する工程と、次に、キャビティ内にインサートを取り付ける工程と、を備える。粗鍛造によって形成された中間クラブヘッドは、曲げられた打撃フェースを有しており、ホットプレスによって後部本体にキャビティを形成することを可能にする。次に、中間クラブヘッドの曲げられた打撃フェースが精密鍛造される。この曲がった打撃フェース技術により、製造業者は、曲がった打撃フェースがキャビティをホットプレスする余地を提供するので、単一の中実ビレットから、深いアンダーカットキャビティを有する鍛造ゴルフクラブヘッド本体を作成することができる。
【0013】
そのように使用される用語は、本明細書に記載される実施形態が、例えば、本明細書に図示されるか、さもなければ記載されるもの以外の順序で動作することができるように、適切な状況下で交換可能であることが理解されるべきである。さらに、用語「含む」および「有する」、ならびにそれらの任意の変形は、非排他的な包含を包含することを意図し、要素のリストを備えるプロセス、方法、システム、物品、デバイス又は装置は、必ずしもそれらの要素に限定されず、そのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイス又は装置に明示的に列挙されていない、または固有の他の要素を含むことができる。
【0014】
詳細な説明および特許請求の範囲の中の「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「上」、および「下」などの用語は、それがある場合には、説明目的のために使用されており、必ずしも、恒久的な相対位置を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されている用語は、適当な状況下で入れ替え可能であり、本明細書で説明されている発明の実施形態が、たとえば、本明細書で図示されているかまたはそうでなければ説明されているもの以外の他の配向での動作が可能であるようになっているということが理解されるべきである。さらに、用語「粗鍛造」は、ブロック形状のビレットが、最小の工具または機械加工で、一般的な所望の形状に迅速に形成される鍛造技術を記載する。
【0015】
本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載されるか、または以下の図面に例示される構成の詳細および構成要素の配置に限定されないことが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することが可能である。
【0016】
一般に、ゴルフクラブ、特にゴルフクラブヘッドに関連する方法、装置及び製品が本明細書に記載される。本明細書に記載される方法、装置及び製品は、この点に関して限定されない。
【0017】
図1~
図4は、キャビティを有する鍛造アイアン型ゴルフクラブヘッドの製造方法(多段鍛造工程)を示す。キャビティ付きアイアン型ゴルフクラブヘッドの製造方法は、粗鍛造段階と、ホットプレス段階と、精密鍛造段階と、を備える。
図5に示すキャビティ付き鍛造アイアン型ゴルフクラブヘッドの製造方法は、キャビティ付きの単一のアイアン型ゴルフクラブヘッド又はキャビティ付きのアイアン型ゴルフクラブヘッドのセットを形成することができる。
【0018】
多段鍛造プロセスによって形成されたキャビティ付きの単一のアイアン型ゴルフクラブヘッドは、60度から16度の範囲のロフト角を含むことができる。多くの実施形態では、クラブヘッドのロフト角は約60度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約59度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約58度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約57度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約56度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約55度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約54度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約53度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約52度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約51度未満であり、クラブヘッドのロフト角は約50度未満であり、約49度未満であり、約48度未満であり、約47度未満であり、約46度未満であり、約45度未満であり、約44度未満であり、約43度未満である。約42度未満、約41度未満、または約40度未満である。さらに、多くの実施形態では、クラブヘッドのロフト角は、約16度よりも大きく、約17度よりも大きく、約18度よりも大きく、約19度よりも大きく、約20度よりも大きく、約21度よりも大きく、約22度よりも大きく、約23度よりも大きく、約24度よりも大きく、または約25度よりも大きい。さらに、多段鍛造プロセスは、キャビティ付きの複数のアイアン型ゴルフクラブヘッドを形成することができ、キャビティ付きの複数のアイアン型ゴルフクラブヘッドは、異なるロフト(前述)を含み、1組のゴルフクラブ(すなわち、3アイアン、4アイアン、5アイアン、6アイアン、7アイアン、8アイアン、9アイアン、PW)を形成する。いくつかの実施形態では、多段鍛造プロセスは、同じ大きさのキャビティと異なるロフトを有する複数のアイアン型ゴルフクラブヘッドを形成して、1組のゴルフクラブを形成することができる。
【0019】
A.粗鍛造
図1を参照すると、多段鍛造方法は、(1)中実ブロックビレット(図示せず)から中間クラブヘッド本体10が形成される粗鍛造段階と、(2)中間クラブヘッド本体にキャビティ58が形成されるホットプレス段階と、(3)中間クラブヘッド本体10が最終的なゴルフクラブヘッド80に形成される精密鍛造段階と、(4)ゴルフクラブヘッド本体80のキャビティ58内にインサート110又は充填物が配置される、の4つの段階を備える。この多段鍛造法は、製造業者が単一の中実ビレットから深いアンダーカットキャビティ58を有する鍛造ゴルフクラブヘッド80を作ることを可能にする。いくつかの実施形態では、多段階鍛造方法は、シャフト及びグリップがゴルフクラブヘッドボディ80に取り付けられてゴルフクラブを形成する第5段階(図示せず)を含むことができる。
【0020】
多段鍛造法を始めるために、ビレット加工された材料が提供される。ビレットは、アイアン型ゴルフクラブヘッドに鍛造され、8620合金鋼、S25C鋼、炭素鋼、マルエージング鋼、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、タングステン、アルミニウム、アルミニウム合金又は鍛造に適した任意の金属の任意の1つ以上の組み合わせであり得る。ビレットは、ビレットに取り付けられたキャビティ又は他の材料を有さない中実ブロックとすることができる。さらに、ビレットは、他の材料をモノリシックに包み込まない。1つ以上の材料は、ビレットの表面、ビレットの複数の表面、またはビレットのコーナーに存在することができる。
【0021】
別の実施形態では、固体ビレットは、2つ以上の金属を含むことができる。多金属ビレットは、アイアン型ゴルフクラブヘッドに鍛造され、8620合金鋼、S25C鋼、炭素鋼、マルエージング鋼、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、タングステン、アルミニウム、アルミニウム合金又は鍛造に適した任意の金属の任意の1つ以上の組み合わせであり得る。多金属ビレットは、他の材料をモノリシックに包み込まない。多金属ビレットは、ビレットの表面上の少なくとも1つの異なる金属、ビレットの複数の表面上の少なくとも1つの異なる金属、またはビレットのコーナー上の少なくとも1つの異なる金属を有するベース金属を含むことができる。
【0022】
多段鍛造プロセスの次の工程は、ビレットを鍛造して中間クラブヘッド10にすることである。
図2を参照すると、中間クラブヘッド本体10は、第1の上型12と第1の下型14とによって粗鍛造された中実ブロックビレットから形成される。第1の上型12と第1の下型14は、所望のクラブヘッド形状に成形される。固体ブロックビレットを700~1100℃の間の所望の温度に加熱し、ビレットを非常に可鍛性にし、これにより、鍛造を起こすことができる。いくつかの実施態様において、粗鍛造のための所望のビレット温度は、700~725℃、725~750℃、750~775℃、775~800℃、800~825℃、825~850℃、850~875℃、875~900℃、900~925℃、925~950℃、950~975℃、975~1000℃、1000~1025℃、1025~1050℃、1050~1075℃、1075~1100℃である。一実施形態では、粗鍛造のための所望のビレット温度は、800~825℃である。
【0023】
固体ブロックビレットが所望の温度に加熱されると、第1の上型12と第1の下型14は、所望の圧力をビレットに加え、可鍛ビレットを所望の幾何学形状の形状に成形する。第1の上型12と第1の下型14によってビレットに加えられる所望の圧力は、500トンから800トンの間である(1トンは、2000ポンドの力に相当する)。いくつかの実施形態では、上型12と下型14の所望の圧力は、500~525トン、525~550トン、550~575トン、575~600トン、600~625トン、625~650トン、650~675トン、675~700トン、700~725トン、725~750トン、750~775トン、および775~800トンである。いくつかの実施形態では、上型12と下型14の所望の圧力は600トンから625トンの間である。上型12と下型14の大きな圧は、可鍛性固体ブロックビレットを所望の幾何学形状に迅速に形成し、従って、金属ビレットの材料及び引張特性を維持する。
【0024】
図2は、中実ブロックビレットから中間クラブヘッド本体10を形成する上型12と下型14の断面図である。粗鍛造から形成される中間クラブヘッド本体10は、ソール16と、トップレール18と、打撃フェース20と、打撃フェース20の背面壁22と、後部24と、を含む。打撃フェース20は、ヒール端(図示せず)と、トウ端(図示せず)と、上側領域30と、下側領域32と、打撃面33と、を有する。打撃面33は、打撃フェース20の下部領域32に対して平行であり、後の工程で打撃フェース20が折り曲げられる所望の面である。上側領域30は、打撃フェース20の背面壁22に対向しており、一方、下側領域32は、後部24に対向している。
【0025】
後部24は、打撃フェース20から離れて延びており、ソール16に隣接している。さらに、後部24は、上縁38を含む。上縁38は、打撃面33と下側領域32に対してほぼ垂直である。上縁38は、後の工程において、内部にキャビティを形成するための表面又は棚を提供する。後部24は、非線形外周部40をさらに備える。上縁38は、ヒール端からトウ端まで広がっている。非線形外周40は、ソール16を後部24の上縁38に接続する。
【0026】
打撃フェース20の背面壁22は、トップレール18と上縁38に隣接し、一方、打撃フェース20の上側領域30と平行である。打撃フェース20の背面壁22は、ほぼヒール端からトウ端まで広がっている。
【0027】
中間クラブヘッド本体10の打撃フェースの上側領域30と下側領域32は、交差面34によって分割されており、交差面34は、打撃フェース20の下側領域32と打撃面33に対して垂直である。また、交差面34は、後部24の上縁38とほぼ平行である。交差面34は、中間クラブヘッド本体10の後部24におけるキャビティの鍛造を可能にする。交差面34は、打撃フェース20が曲がる面であり、鍛造ビレットからキャビティ58を作り出すための曲げ点である。
【0028】
交差面34は接地面35にほぼ平行に延びており、接地面35はソール16と交差する。ほとんどの実施形態では、接地面35は、ソール16に対して接線方向であり、かつ平行である。いくつかの実施形態では、接地面35は、ソール16に平行ではなく、ある角度でソール16と交差する。
【0029】
さらに、交差面34は、中間クラブヘッド本体10の打撃フェースと交差し、中間クラブヘッド本体10をほぼ二分し、上側領域30と下側領域32に分割する。中間クラブヘッド本体10は、ソール16からトップレール18まで測定された高さをさらに含む。ほとんどの実施形態では、交差面34は、クラブヘッド本体10の高さの20~70%の間で中間クラブヘッド本体10と交差する。いくつかの実施形態では、交差面34は、クラブヘッド本体10の高さの約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%又は70%でクラブヘッド本体10と交差する。いくつかの実施形態では、交差面34は、クラブヘッド本体10の高さの約20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%又は60%~70%、またはこれらのパーセンテージ高さ値の間の任意の他の適切なパーセンテージ高さ値とクラブヘッド本体10と交差し、これらのパーセンテージ高さ値のうちの任意の1つからこれらのパーセンテージ高さ値のうちの任意の他の1つまでの範囲とすることができる。
【0030】
クリアランス角度36が、交差面34と打撃フェース20の上側領域30との間に形成される。クリアランス角度36は、第2の上型54と第2の下型56が、後の工程で中間クラブヘッド10内にキャビティ58を形成するのに十分なスペースを確保する。クリアランス角度36は、1°~89°の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、クリアランス角度36は、5°~35°の範囲とすることができる。他の実施形態では、クリアランス角度36は、5°~11°、9°~18°及び13°~35°の範囲とすることができる。他の実施形態では、クリアランス角度36は、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、15°、16°、17°、18°、19°、20°、21°、22°、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°及び35°であり得る。
【0031】
B.キャビティ形成
図3を参照すると、多段鍛造方法の次の工程は、中間クラブヘッド本体10内のキャビティ58の形成である。中間クラブヘッド本体10からのキャビティ58の形成は、ホットプレス、機械加工、切削加工、ドリル加工又は機械パンチ加工のうちの1つまたは複数のプロセスによって達成される。
図3の実施形態は、ホットプレス技術を示す。ホットプレス技術は、第2の上型54と第2の下型56(ここで、第2の上型54と第2の下型56は、粗鍛造段階の第1の上型12と第1の下型4と形状が異なる)を利用して、中間クラブヘッド本体10の後部24における上縁38に略垂直なキャビティ58を精密に寸法決めする。第2の上型54は、後部24の上縁38を貫通する鋭い幾何形状を備え、第2の下型56は、中間クラブヘッド10を所望のクリアランス角度36で保持し、これにより、キャビティ58を形成する。
【0032】
中間クラブヘッド本体10内のキャビティ58をホットプレスするのに必要な温度は、700℃から1150℃の範囲とすることができる。変形中の金属のひずみ硬化を避けるために、この大きな熱はホットプレスプロセスに必要である。ひずみ硬化が起こると、中間クラブヘッド本体10の展性が低下し、キャビティ58の形成がより困難になる。いくつかの実施形態では、中間クラブヘッド本体10内のキャビティ58をホットプレスするのに必要な温度は、700~725℃、725~750℃、750~775℃、775~800℃、800~825℃、825~850℃、850~875℃、875~900℃、900~925℃、925~950℃、950~975℃、975~1000℃、1000~1025℃、1025~1050℃、1050~1075℃、1075~1100℃、1100~1125℃、1125~1150℃の範囲であり得る。一実施形態では、中間クラブヘッド本体10内のキャビティ58をホットプレスするのに必要な温度は、775℃~800℃の範囲とすることができる。
【0033】
中間クラブヘッド本体10が所望の温度に加熱されると、第2の下型56は、所望の圧力を中間クラブヘッド本体10に加え、形状を維持する(打撃フェース20、所望のクリアランス角度36で交差面34を中心に折り曲げられる)。次いで、キャビティ58は、第2の上型54が所望の圧力を加え、鋭い幾何形状が上縁38を貫通し、後部24内を貫通するときに形成される。第2の上型54と第2の下型56によって中間クラブヘッド本体10に加えられる所望の圧力は、500トンから800トンの間である(1トンは2000ポンドの力に相当する)。いくつかの実施形態では、第2の上型54および第2の下型56の所望の圧力は、500~525トン、525~550トン、550~575トン、575~600トン、600~625トン、625~650トン、650~675トン、675~700トン、700~725トン、725~750トン、750~775トン、および775~800トンである。いくつかの実施形態では、上型54と下型56の所望の圧力は、675トンから700トンの間である。第2の上型54と第2の下型56の大きな圧は、中間クラブヘッド本体10内のキャビティ58を迅速に形成し、従って、金属製中間クラブヘッド本体10の材料及び引張特性を維持する。
【0034】
ホットプレスを含む上述の方法によって形成されたキャビティ58は、下面60と2つの内面壁62とを含む。キャビティ58は、後の工程において、インサートを取り付けるための表面および領域を提供することができる表面積および容積をさらに備える。
【0035】
さらに、キャビティ58は、キャビティ軸69を含む。キャビティ軸69は、キャビティ58の下面60の最下点を通過する。キャビティ軸69は、キャビティ58を正確に二分し、キャビティ58の内面壁68から等距離にある。キャビティ58は、角度71でホットプレスすることができ、ここで、プレス角度71は、キャビティ軸69から交差面34までで測定される。プレス角度は60°~90°の範囲になる。いくつかの実施形態では、プレス角度71は、60°~65°、65°~70°、70°~75°、75°~80°及び85°~90°の範囲、またはこれらのプレス角度71の間の任意の他の適切なプレス角度71値の範囲をとることができ、これらのプレス角度71のうちの任意の1つからこれらのプレス角度71のうちの任意の他の1つまでの範囲をとることができる。他の実施形態では、プレス角度71は、60°、61°、62°、63°、64°、65°、66°、67°、68°、69°、70°、71°、72°、73°、74°、75°、76°、77°、78°、79°、80°、81°、82°、83°、84°、85°、86°、87°、88°、89°又は90°とすることができる。プレス角度71は、インサートを所望の角度で(後の工程で)キャビティ58内に固定することを可能にする。さらに、プレス角度71は、キャビティを有する一組のアイアン型ゴルフクラブヘッドを、同一のプレス角度71及び/又は異なるプレス角度71を有する多段鍛造法を介して形成することを可能にする。
【0036】
さらに、キャビティ58は、実質的に三角形、長方形、正方形、半円形、放物線形又は台形の断面を有することができる。いくつかの実施形態では、キャビティ58は、キャビティ58のトウ端とキャビティ58のヒール端とで異なる断面を含むことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、キャビティ58は、約0.8cc、1.0cc、1.25cc、1.5cc、1.75cc、2.0cc、2.25cc、2.5cc、2.75cc、3.0cc、3.25cc、3.5cc、3.75cc、4.0cc、4.25cc、4.5cc、4.75cc、5.0cc、5.25cc、5.5cc、5.75cc、6.0cc、6.25cc、6.5cc、6.75cc、7.0cc、7.25cc、7.5cc、7.75cc、8.0cc、8.25cc、8.5cc、8.75cc、9.0cc、9.25cc、9.5cc、9.75cc、10.0cc、10.25cc、10.5cc、10.75cc、11.0cc、11.25cc、11.5cc、11.75cc、12.0cc、12.25cc、12.5cc、12.75cc、13.0cc、13.25cc、13.5cc、13.75cc、14.0cc、14.25cc、14.5cc、14.75cc、15.0cc、15.25cc、15.5cc、15.75cc、16.0ccの容積を有することができ、またはこれらの容積の間の任意の他の適切な容積までの範囲であり得、そしてこれらの容積の任意の1つからこれらの容積の任意の他の1つまでの範囲であり得る。一実施形態では、キャビティ58の容積は4.25ccである。キャビティ58の容積は、キャビティ58内に固定されるインサートの体積と実質的に同様とすることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、キャビティ58は、約3.00~4.00cm2、4.00~5.00cm2、5.00~6.00cm2、6.00~7.00cm2、7.00~8.00cm2、8.00~9.00cm2、10.00~11.00cm2、11.00~12.00cm2、12.00~13.00cm2、13.00~14.00cm2、14.00~15.00cm2、15.00~16.00cm2、16.00~17.00cm2、17.00~18.00cm2、18.00~19.00cm2、19.00~20.00cm2、20.00~21.00cm2、21.00~22.00cm2、22.00~23.00cm2、23.00~24.00cm2、24.00~25.00cm2、25.00~26.00cm2、26.00~27.00cm2、27.00~28.00cm2、28.00~29.00cm2又は29.00~30.00cm2の範囲の表面積を有することができる。他の実施形態では、キャビティ58の表面積は、それらの表面積の間の任意の他の適切な表面積することができ、それらの表面積値のうちの任意の1つからそれらの表面積のうちの任意の他の1つまでの範囲とすることができる。キャビティ58の表面積は、キャビティ58内に固定されたインサートの表面積と実質的に同様とすることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、キャビティ58は、約0.05インチ、0.10インチ、0.15インチ、0.20インチ、0.25インチ、0.30インチ、0.35インチ、0.40インチ、0.45インチ、0.50インチ、0.55インチ、0.60インチ、0.65インチ、0.70インチ、0.75インチ、0.80インチ、0.85インチ、0.90インチ、0.95インチ、1.0インチの深さ、またはこれらの深さの間の任意の他の適切な深さを有することができ、これらの深さのうちの任意の1つからそれらの深さの他の任意の1つまでの範囲とすることができる。キャビティ58の深さは、キャビティ58内に固定されたインサートの高さと実質的に同様とすることができる。
【0040】
中間クラブヘッド本体10内のキャビティ58形成に続いて、最終的な精密鍛造段階が行われ、最終的なゴルフクラブヘッドへとクリアランス角度36を矯正する。
【0041】
C.精密鍛造
キャビティ58の中間クラブヘッド本体10へのホットプレスの後、クラブヘッド本体10は精密鍛造される。打撃フェース20は最終角度96に曲げられる。最終角度96は交差面34と打撃フェース20の間に形成される。最終角度96は、ほぼ88°~92°又は88°、89°、90°、91°又は92°の間であり、これにより、上側領域30をクラブヘッディ本体10の下側領域32に整列させる。したがって、中間クラブヘッド本体10は、最終的なゴルフクラブヘッド80にさらに鍛造される。
【0042】
図4を参照すると、この精密鍛造段階は、第3の上型82と第3の下型84を備え、第3の上型82と第3の下型84は、所望の形状に成形される(ここで、第2の上型54、第2の下型56、第1の上型12及び第1の下型14は、第3の上型82と第3の下型84とは形状が異なる)。第3の上型82と第3の下型84は、中間クラブヘッド本体10に所望の圧力を加え、打撃フェース面20の上部30を曲げて、打撃面33内で打撃フェース20の下部32と整列させ、これにより、クリアランス角度36を交差面34に対してほぼ90°の最終角度96に曲げる。その際、打撃フェース20は連続的に真っ直ぐであり、ゴルフボールを打撃するその意図された目的のために機能することができるので、中間クラブヘッド本体10は、最終的なゴルフクラブヘッド80に鍛造される。
【0043】
前の工程で形成された中間クラブヘッド本体10は、この方法のこの段階を実行するために、打撃フェース20を打撃面33内に曲げるために、所望の温度に加熱されなければならない。中間クラブヘッド本体10は、700℃~1100℃の所望の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、精密鍛造のための中間クラブヘッド本体10の所望の温度は、700~725℃、725~750℃、750~775℃、775~800℃、800~825℃、825~850℃、850~875℃、875~900℃、900~925℃、925~950℃、950~975℃、975~1000℃、1000~1025℃、1025~1050℃、1050~1075℃、1075~1100℃である。一実施形態では、粗鍛造のための中間クラブヘッド本体10の所望の温度は、800~825℃の間である。
【0044】
一旦、中間クラブヘッド本体10が所望の温度に加熱されると、下型84は、キャビティと下部32の形状を維持し、一方、第3の上型82は、背面壁22に押し付けられる。第3の上型82は、中間クラブヘッド本体10の上部30を第3の下型84と面一に押しつけ、したがって、上部30を下部と位置合わせし、これにより、クリアランス角度36を交差面34に対して約90°に曲げる。第3の上型82と第3の下型84によって中間クラブヘッド本体10に加えられる所望の圧力は、500トンから800トンの間である(1トンは、2000ポンドの力に相当する)。いくつかの実施形態では、第3の上型82と第3の下型84の所望の圧力は、500~525トン、525~550トン、550~575トン、575~600トン、600~625トン、625~650トン、650~675トン、675~700トン、700~725トン、725~750トン、750~775トン及び775~800トンである。いくつかの実施態様において、第3の上型82と第3の下型84の所望の圧力は、675トンから700トンである。上型82と第3の下型84の大きな圧は、上部30を押圧しながら、下側領域32に沿って下部32とキャビティ58の形態を維持し、従って機能する打撃フェース20になる。打撃フェースは、次に、第3の上型82と第3の下型84から除去され、触れるのに安全であるまで、室温環境で冷却するように設定される。
【0045】
D.挿入位置
図5を参照すると、最終的なゴルフクラブヘッド80を鍛造する3段階に続いて、インサート110をキャビティ58の内面壁62と下面60に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、キャビティ58には何も配置されない。インサート110は、接着、圧入、機械的締結又はインサート110を固定する任意の他の適切な方法によって、キャビティ58内に固定され得る。インサート110は、1つ以上のエラストマーで作ることができる。例えば、インサート110は、非鉄熱可塑性ウレタン、熱可塑性エラストマーポリマー、ポリウレタン又は他のエラストマーポリマーに混合された鉄粒子または他の合金鉄粒子の混合物を有するハイブリッドプラスチックで作ることができる。他の実施形態では、インサート110は、アルミニウム、鋼、タングステン、ポリマー中のビーズの形態、ポリマー中で硬化された懸濁液中の粉末金属又はインサート110が焼結または機械加工されるときなどの他の適切な金属などの金属とすることができる。
【0046】
さらに、インサート110は、キャビティ58全体又はキャビティ58のある割合を占めることができる。占有されるキャビティ58の割合は、5%~100%の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、占有されるキャビティ58の割合は、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75~85%、85%~95%、95%~100%の範囲とすることができる。一実施形態では、占有されるキャビティ58の割合は、95%~100%の範囲である。
【0047】
多くの実施形態では、インサート110は、打撃フェース20を補強するように、望ましくない衝撃振動を有益に最小限に抑えるように、および/または組み立て中にゴルフクラブのスイングウェイトを確立または調整するように、有利に構成することができる重量を有することができる。例えば、インサート110は、約1.0g~約100gの質量を有することができる。例えば、調整要素150は、約1.0g、2.0g、3.0g、4.0g、5.0g、6.0g、7.0g、8.0g、9.0g、10.0g、11.0g、12.0g、13.0g、14.0g、15.0g、16.0g、17.0g、18.0g、19.0g、20.0g、21.0g、22.0g、23.0g、24.0g、25.0g、26.0g、27.0g、28.0g、29.0g、30.0g、35.0g、40.0g、45.0g、50.0g、55.0g、60.0g、65.0g、70.0g、75.0g、80.0g、85.0g、90.0g、95.0g、100.0g、またはこれらの質量の間の任意の他の適切な質量、これらの質量の任意の1つからこれらの任意の他の1つまでの範囲であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、インサート110は、約1.0g~約30.0gの質量を有することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、インサート110は、約1.0g/cc~約20.0g/ccの密度を有することができる。例えば、インサート110は、約1.0g/cc、1.5g/cc、2.0g/cc、2.5g/cc、3.0g/cc、3.5g/cc、4.0g/cc、4.5g/cc、5.0g/cc、5.5g/cc、6.0g/cc、6.5g/cc、7.0g/cc、7.5g/cc、8.0g/cc、8.5g/cc、9.0g/cc、9.5g/cc、10.0g/cc、10.5g/cc、11.0g/cc、11.5g/cc、12.0g/cc、12.5g/cc、13.0g/cc、13.5g/cc、14.0g/cc、14.5g/cc、15.0g/cc、15.5g/cc、16.0g/cc、16.5g/cc、17.0g/cc、17.5g/cc、18.0g/cc、18.5g/cc、19.0g/cc、19.5g/cc、20.0g/cc、またはこれらの密度の間の任意の他の適切な密度の範囲であり得、そしてこれらの密度値の任意の1つからこれらの密度の任意の他の1つまでの範囲であり得る。
【0049】
図5を参照すると、前述の製造プロセスによって形成された最終的なゴルフクラブ80は、キャビティ58を有する鍛造アイアン型ゴルフクラブヘッドである。最終的なゴルフクラブ80は、ホーゼル120と、トップレール122と、ソール124と、トウ領域126と、ヒール領域128と、リア130と、打撃フェース20(図示せず)と、キャビティ58と、インサート110と、を含む。
【0050】
E.類似の大きさのキャビティを有するゴルフクラブのセット及び鍛造されたクラブのセットを製造する方法
図1を参照すると、多段鍛造方法は、(1)中実ブロックビレット(図示せず)から中間クラブヘッド本体10が形成される粗鍛造段階と、(2)中間クラブヘッド本体にキャビティ58が形成されるホットプレス段階と、(3)中間クラブヘッド本体10が最終的なゴルフクラブヘッド80に形成される精密鍛造段階と、(4)ゴルフクラブヘッド本体80のキャビティ58内にインサート110又は充填物が配置される、の4つの段階を備える。この多段鍛造法は、製造業者が単一の中実ビレットから深いアンダーカットキャビティ58を有する鍛造ゴルフクラブヘッド80を作ることを可能にする。しかしながら、この実施形態では、多段階鍛造方法は、シャフト及びグリップがゴルフクラブヘッドボディ80に取り付けられてゴルフクラブを形成する第5段階(図示せず)を含む。次いで、多段階鍛造プロセスを繰り返して、キャビティを有する複数のアイアン型ゴルフクラブヘッドを形成し、キャビティを有する複数のアイアン型ゴルフクラブは、異なるロフト(前述)を含み、1組のゴルフクラブ(すなわち、3アイアン、4アイアン、5アイアン、6アイアン、7アイアン、8アイアン、9アイアン、PW)を形成する。
【0051】
いくつかの実施形態では、多段鍛造プロセスは、同じ大きさのキャビティと異なるロフトを有する複数のアイアン型ゴルフクラブヘッドを形成して、1組のゴルフクラブを形成することができる。同じサイズのキャビティでは、各ゴルフクラブヘッドに取り付けられるインサートは、すべて、正確に同じ体積を有するが、様々な密度を有し、したがって様々な質量を有することができる。この可変性は、ゴルフクラブセットの各ゴルフクラブヘッドのためのインサートが、異なるスイングウェイトおよび/または異なるCG位置を有することを可能にする。さらに、これは、各クラブヘッドについて、インサートの重量を変えるために、インサートの材料(したがって、密度を変えること)だけを変える必要があるので、インサートの製造をより効率的にする。インサートは、製造公差を考慮するために、異なる重量で製造される(すなわち、ゴルフクラブヘッドが425グラムの重量であると仮定されるが、415グラムの重量のみである場合、10グラムの重量をゴルフクラブヘッドキャビティに加えることができる)。
【0052】
前述の製造方法は、同様の大きさのキャビティを有する鍛造アイアン型ゴルフクラブのセットを製造することができる。
図5を参照すると、製造方法によって形成される最終的なゴルフクラブヘッド80は、ホーゼル120、トップレール122、ソール124、トウ領域126、ヒール領域128、リア130、打撃フェース20(図示せず)、キャビティ58、インサート110、シャフト(図示せず)及びグリップ(図示せず)を備える。鍛造アイアン型ゴルフクラブのセットは、2つのゴルフクラブ、3つのゴルフクラブ、4つのゴルフクラブ、5つのゴルフクラブ、6つのゴルフクラブ、7つのゴルフクラブ、8つのゴルフクラブ、9つのゴルフクラブ、または10のゴルフクラブを含むことができる。
【0053】
鍛造アイアン型ゴルフクラブセットの各ゴルフクラブは、約0.8cc、1.25cc、1.5cc、1.75cc、2.0cc、2.25cc、2.5cc、2.75cc、3.0cc、3.25cc、3.5cc、3.75cc、4.0cc、4.25cc、4.5cc、4.75cc、5.0cc、5.25cc、5.5cc、5.75cc、6.0cc、6.25cc、6.5cc、6.75cc、7.0cc、7.25cc、7.5cc、7.75cc、8.0cc、8.25cc、8.5cc、8.75cc、9.0cc、9.25cc、9.5cc、9.75cc、10.0cc、10.25cc、10.5cc、10.75cc、11.0cc、11.25cc、11.5cc、11.75cc、12.0cc、12.25cc、12.5cc、12.75cc、13.0cc、13.25cc、13.5cc、13.75cc、14.0cc、14.25cc、14.5cc、14.75cc、15.0cc、15.25cc、15.5cc、15.75cc、16.0ccの容積を有するキャビティ58を含むことができ、またはこれらの容積の間の任意の他の適切な容積までの範囲であり得、そしてこれらの容積の任意の1つからこれらの容積の任意の他の1つまでの範囲であり得る。一実施形態では、キャビティ58の容積は4.25ccである。キャビティ58の容積は、キャビティ58内に固定されるインサートの容積と実質的に同様とすることができる。容積は、鍛造アイアン型ゴルフクラブセットの各ゴルフクラブについてほぼ同一であってもよい。
【0054】
F.利点
開示される製造プロセスは、現在の工業規格に対する改良である。多段鍛造プロセスは、中間クラブヘッド10がクリアランス角度36で曲げられた打撃フェース20で形成され、キャビティ58が打撃フェース20の反対側にホットプレスされることを可能にする、二段鍛造プロセスを利用する。次に、打撃フェース20は機能的な打撃フェース20に折り返され、最終的なゴルフクラブヘッド80が形成される。この曲げた打撃フェース20技術により、製造業者は、単一の中実ビレットから、深いアンダーカットキャビティ58を有する鍛造ゴルフクラブヘッド本体80を作成することができる。
【0055】
深いアンダーカットキャビティ58を有する完全に鍛造されたゴルフクラブヘッド80を作ることによって、ゴルフクラブヘッドのよりタイトな結晶粒組織が達成される。よりタイトな結晶粒組織により、ゴルフクラブヘッド80の耐久性が改善される。ビレットプロセスから深いアンダーカットキャビティ58でゴルフクラブヘッド80を鍛造すると、よりタイトで一貫性のある結晶粒構造のため、現行の鋳造キャビティアイアンよりも耐久性の高いキャビティスタイルのアイアンが可能になる。
【0056】
また、この多段鍛造法は現行の鋳造法よりも再現性が高い。現在の鋳造方法は、余分な材料を除去し、クラブヘッドの形状を清浄にするために手作業の機械加工プロセスを必要とするが、鍛造方法は、機械加工をほとんど必要としないか、または全く必要としない。従って、鍛造プロセスは、手加工技術からの不確実性がより少ないため、より再現性がある。さらに、ゴルフクラブヘッドの製造に含まれる機械加工プロセスが少ないので、本発明は、アンダーカットキャビティを有する高級ゴルフクラブヘッドを製造する全体的なコストを低減する。
【0057】
この多段鍛造方法から作られたゴルフクラブヘッドは、感触および性能において、同様の幾何学的形状の鋳造ゴルフクラブヘッドに匹敵する。鍛造鉄は、より強い組成を含むので、打撃フェースをより薄くすることができ、それによって打撃フェースの可撓性を増大させる。したがって、鍛造アイアンは、スピン速度、音響特性、および感触特性を維持または改善しながら、同様の形状の鋳造ゴルフクラブヘッド上のボール速度および操作性(ショットベンド)を増加させる。
【0058】
1つまたは複数の特許請求されているエレメントの交換は、再構成を構成し、修理を構成しない。追加的に、利益、他の利点、および、課題に対する解決策が、特定の実施形態に関連して説明されてきた。しかし、利益、利点、課題に対する解決策、および、任意の利益、利点、または解決策が起こることまたはより顕著になることを引き起こし得る任意の1つまたは複数のエレメントは、請求項のいずれかまたはすべての重要な、必要な、または必須の特徴またはエレメントとして解釈されるべきではない。
【0059】
ゴルフのルールはときどき変化する可能性があるので(たとえば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)などのような、ゴルフ標準化機構および/または管理機関によって、新しい規則が採用され、または、古いルールが排除または修正され得る)、本明細書で説明されている装置、方法、および、製造の物品に関連するゴルフ機器は、任意の特定の時間におけるゴルフのルールに準拠しているかまたは準拠していない可能性がある。したがって、本明細書で説明されている装置、方法、および、製造の物品に関連するゴルフ機器は、準拠しているかまたは準拠していないゴルフ機器として、宣伝され、販売のために提示され、および/または売られ得る。本明細書で説明されている装置、方法、および、製造の物品は、この点において限定されていない。
【0060】
上記の例は、アイアンゴルフクラブに関連して説明され得るが、本明細書で説明されている装置、方法、および、製造の物品は、ウェッジ型ゴルフクラブなどの他のタイプのゴルフクラブに適用可能であり得る。あるいは、本明細書で説明されている装置、方法、および、製造の物品は、ホッケー・スティック、テニス・ラケット、フィッシング・ポール、スキー・ポールなどのような、他のタイプのスポーツ機器に適用可能であり得る。
【0061】
そのうえ、本明細書で開示されている実施形態および限定は、その実施形態および/または限定が、(1)特許請求の範囲において明示的に特許請求されておらず、(2)均等論の下で特許請求の範囲の中のエレメントおよび/または限定の均等物であり、または潜在的な均等物である場合には、公有の原則(doctrine of dedication)の下で公衆に供されてはいない。
【0062】
本開示の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【0063】
(条項1)
ゴルフクラブヘッドを製造する方法であって、製造方法は、少なくとも1つの材料のビレットの提供する工程と、鍛造によってビレットを中間クラブヘッド本体に形成する工程であって、ここで、前記中間ボディは、ソール、トップレール、打撃フェース、打撃フェースの背面壁及び後部を備えており、ここで、前記本体の前記後部は、上縁と、非線形外周と、を有し、ここで、前記打撃フェースは、上側領域と、下側領域と、を有し、ここで、前記打撃フェースの前記上側領域と前記下側領域は、交差面によって分割され、ここで、前記交差面は、前記打撃フェースの前記下側領域に垂直であり、ここで、前記打撃フェースは、クリアランス角度で形成され、ここで、前記クリアランス角度は、前記打撃フェースの前記上側領域から前記交差面までで測定され、ここで、前記打撃フェースの前記クリアランス角度は、5°~35°の間である、中間クラブヘッド本体に形成する工程と、ホットプレスによって前記本体の前記後部にキャビティを形成する工程と、鍛造によって前記打撃フェースを最終角度に曲げる工程であって、これにより、前記打撃フェースをゴルフボールに衝突させるために配置された実質的な平面にし、キャビティを有するゴルフクラブヘッドを形成する、曲げる工程と、を備えており、前記最終角度は90°である。
【0064】
(条項2)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ゴルフクラブヘッドが、ソールと、トップレールと、打撃フェースと、前記打撃フェースの背面壁と、トウ端と、ヒール端と、後部と、を備えており、前記本体の前記後部は、上縁と、非線形外周と、を有し、前記打撃フェースは、ヒール端と、トウ端と、上側領域と、下側領域と、を有し、前記打撃フェースの前記上側領域と前記下側領域は、交差面によって分割され、前記交差面は、前記打撃フェースの前記下側領域に垂直である。
【0065】
(条項3)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記交差面は、前記打撃フェースの前記下側領域と打撃面に垂直である。
【0066】
(条項4)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記交差面が、前記クラブヘッドの高さの約40~50%で前記ゴルフクラブヘッドと交差し、前記クラブヘッドの高さは、前記ゴルフクラブヘッドの前記ソールから前記ゴルフクラブヘッドの前記トップレールまでで測定される。
【0067】
(条項5)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ホットプレス段階によって形成される前記キャビティは、0.2立方インチ~0.4立方インチの範囲の容積を有する。
【0068】
(条項6)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記キャビティ内にインサートを固定する工程、をさらに備える。
【0069】
(条項7)
条項6に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記インサートは、接着、圧入、機械的締結または前記インサートを固定する任意の他の適切な方法によって、前記キャビティ内に固定され得る。
【0070】
(条項8)
条項7に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記インサートによって占有されるキャビティの割合は、95%~100%の範囲である。
【0071】
(条項9)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ゴルフクラブヘッドが、19°~60°のロフト角を有する。
【0072】
(条項10)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ビレットは、他の材料をモノリシックに包み込んでいない。
【0073】
(条項11)
条項2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ゴルフクラブヘッドの前記キャビティは、前記ヒール端から前記トウ端の方向に延びている。
【0074】
(条項12)
条項2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ホットプレス段階によって形成される前記キャビティは、キャビティ軸をさらに有しており、前記キャビティ軸は、キャビティの最下点を通過しており、前記キャビティ軸は、キャビティを正確に二分し、前記キャビティの内面壁から等距離にある。
【0075】
(条項13)
条項12に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ホットプレス段階によって形成される前記キャビティは、プレス角度をさらに有しており、前記プレス角度は、前記キャビティ軸から前記交差面までで測定される。
【0076】
(条項14)
条項12に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記プレス角度は、60°~90°の範囲である。
【0077】
(条項15)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ホットプレス段階によって形成される前記キャビティは、実質的に三角形、長方形、正方形、半円形、放物線形又は台形の断面をさらに有する。
【0078】
(条項16)
条項6に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記キャビティ内に固定される前記インサートは、1.0gと約30.0gの間の範囲の質量を有する。
【0079】
(条項17)
条項16に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記キャビティ内に固定される前記インサートは、1.0g/ccと約20.0g/ccの間の範囲の密度を有する。
【0080】
(条項18)
条項10に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ビレットが、8620合金鋼、S25C鋼、炭素鋼、マルエージング鋼、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、タングステン、アルミニウム、アルミニウム合金又は鍛造に適した任意の金属のうちの1つ以上を有する。
【0081】
(条項19)
条項10に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ビレットが、8620合金鋼、S25C鋼、炭素鋼、マルエージング鋼、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、タングステン、アルミニウム、アルミニウム合金又は鍛造に適した任意の金属のうちの2つ以上を有する。
【0082】
(条項20)
条項10に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記ビレットが2つ以上の金属を有し、前記金属のうちの少なくとも1つが8620合金鋼であり、前記金属のうちの少なくとも1つがタングステンである。