(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】トレーラの縁部の追跡
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20230807BHJP
B60R 1/07 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
B60R1/06 G
B60R1/07
(21)【出願番号】P 2021515644
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 US2019052073
(87)【国際公開番号】W WO2020061405
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-05-12
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313005662
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AUTOMOTIVE SYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1 Continental Drive, Auburn Hills, Michigan 48326-1581, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カイル ピー. カーペンター
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0085652(US,A1)
【文献】特表2004-529038(JP,A)
【文献】特開2005-153742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0092056(US,A1)
【文献】特表2007-512182(JP,A)
【文献】特開2000-118303(JP,A)
【文献】特表2014-533630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
B60R 1/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車両の運転者がトレーラの縁部を見ることができるように、トレーラの位置に基づいて、トレーラに取り付けられた牽引車両により支持されるパワーミラーを調整するための方法であって、該方法が、
データ処理ハードウェアにおいて、前記牽引車両の後部に配置されたセンサシステムからセンサシステムデータを受信するステップと、
前記データ処理ハードウェアにおいて、前記パワーミラーに関連する現在のミラー角度を受信するステップと、
前記データ処理ハードウェアにおいて、前記現在のミラー角度および受信した前記センサシステムデータに基づいて、調整ミラー角度を決定するステップと、
前記現在のミラー角度を前記調整ミラー角度へと調整し、前記パワーミラーに対して、前記パワーミラーを見る際に前記運転者の視野内にトレーラの縁部を維持させる命令を、前記データ処理ハードウェアから前記パワーミラーに送信するステップと、を含み、
前記調整ミラー角度を決定するステップは、
前記データ処理ハードウェアにおいて、受信した前記センサシステムデータに基づいて、前記トレーラと前記牽引車両との間のヒッチポイントとトレーラ車軸との間の距離を含む前記トレーラの車軸長を決定するステップと、
前記データ処理ハードウェアにおいて、決定した前記トレーラの車軸長に基づいて、前記ヒッチポイントと前記トレーラの後端との距離を含むトレーラ長を決定するステップと、
前記データ処理ハードウェアにおいて、前記現在のミラー角度および決定した前記トレーラ長に基づいて、前記調整ミラー角度を決定するステップと、
を含
み、
前記調整ミラー角度は、前記トレーラの縁部が前記パワーミラーの反射の中心にあることを保証する、
方法。
【請求項2】
前記センサシステムデータが、前記牽引車両の後部に配置されたカメラから受信した1つ以上の画像を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記データ処理ハードウェアと通信する座席モジュールから、運転席の位置データを受信するステップをさらに含み、
前記調整ミラー角度が、前記運転席の位置データにも基づいている、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記運転者の目の位置を捕捉するように配置された1つ以上のセンサから前記運転者の目の位置を受信するステップをさらに含み、
前記調整ミラー角度が、前記運転者の目の位置にも基づいている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、ヒッチポイントから運転席の中心までの運転席距離を決定するステップをさらに含み、
前記調整ミラー角度が、前記運転席距離にも基づいている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記パワーミラーの中心と運転席の中心との間の横方向座席距離を決定するステップをさらに含み、
前記調整ミラー角度が、前記横方向座席距離にも基づいている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
牽引車両の運転者がトレーラの縁部を見ることができるように、トレーラの位置に基づいて、トレーラに取り付けられた牽引車両により支持されるパワーミラーを調整するためのシステムであって、該システムが、
データ処理ハードウェアと、
前記データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアと、
を含み、
前記メモリハードウェアは、前記データ処理ハードウェア上で実行される際に、前記データ処理ハードウェアに、
前記牽引車両の後部に配置されたセンサシステムからセンサシステムデータを受信することと、
前記パワーミラーに関連する現在のミラー角度を受信することと、
前記現在のミラー角度および受信した前記センサシステムデータに基づいて、調整ミラー角度を決定することと、
前記現在のミラー角度を前記調整ミラー角度へと調整させ、前記パワーミラーに対して、前記パワーミラーを見る際に前記運転者の視野内にトレーラの縁部を維持させる命令を前記パワーミラーに送信することと、
を含む動作を実行させるための命令を記憶し、
前記調整ミラー角度を決定することは、
受信した前記センサシステムデータに基づいて、前記トレーラと前記牽引車両との間のヒッチポイントとトレーラ車軸との間の距離を含む前記トレーラの車軸長を決定することと、
決定した前記トレーラの車軸長に基づいて、前記ヒッチポイントと前記トレーラの後端との距離を含むトレーラ長を決定することと、
前記現在のミラー角度および決定した前記トレーラ長に基づいて、前記調整ミラー角度を決定することと、
を含
み、
前記調整ミラー角度は、前記トレーラの縁部が前記パワーミラーの反射の中心にあることを保証する、
システム。
【請求項8】
前記センサシステムデータが、前記牽引車両の後部に配置されたカメラから受信した1つ以上の画像を含む、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記動作が、前記データ処理ハードウェアと通信する座席モジュールから、運転席の位置データを受信することをさらに含み、
前記調整ミラー角度が、前記運転席の位置データにも基づいている、
請求項7または8記載のシステム。
【請求項10】
前記動作が、前記運転者の目の位置を捕捉するように配置された1つ以上のセンサから前記運転者の目の位置を受信することをさらに含み、
前記調整ミラー角度が、前記運転者の目の位置にも基づいている、
請求項7から9までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項11】
前記動作が、ヒッチポイントから運転席の中心までの運転席距離を決定することをさらに含み、
前記調整ミラー角度が、前記運転席距離にも基づいている、
請求項7から10までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項12】
前記動作が、前記パワーミラーの中心と運転席の中心との間の横方向座席距離を決定することをさらに含み、
前記調整ミラー角度が、前記横方向座席距離にも基づいている、
請求項7から11までのいずれか1項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレーラに取り付けられるように構成された牽引車両に関する。牽引車両は、運転者の視野内にトレーラの縁部の視界を維持するように調整されるサイドミラーを含む。
【0002】
発明の背景
トレーラは通常、動力牽引車両に牽引される無動力車両である。トレーラは、特に、ユーティリティトレーラ、ポップアップキャンピングカー、走行トレーラ、家畜用トレーラ、フラットベッドトレーラ、密閉型自動車運搬車およびボートトレーラであってよい。牽引車両は、自動車、クロスオーバー、トラック、バン、スポーツユーティリティビークル(SUV)、レクリエーショナルビークル(RV)、またはトレーラに取り付けてトレーラを牽引するように構成された他の任意の車両であってよい。トレーラは、トレーラヒッチを使用して動力車両に取り付けることができる。レシーバヒッチが牽引車両に取り付けられており、トレーラヒッチに接続されて、接続を形成する。トレーラヒッチは、ボールおよびソケット、第5輪およびグースネック、またはトレーラジャックであってよい。その他の取り付け機構が使用されてもよい。幾つかの例では、トレーラと動力車両との間の機械的接続に加えて、トレーラは、牽引車両に電気的に接続される。このように、電気的接続により、トレーラは、動力車両のリアライト回路から給電を受けることができ、これにより、トレーラは、動力車両のライトと同期するテールライト、ウィンカ、ブレーキライトを有することができる。
【0003】
車両-トレーラシステムの運転者は、特に、旋回を行う場合または後進する場合に、サイドパワーミラーでトレーラの縁部を見るのに苦労する場合がある。このような場合、運転者は、サイドパワーミラー内のトレーラを見るために常に身体を動かさなければならない。トレーラ運搬を目的としたトラックのミラーは、運転者の視界の範囲を広げるためにかさばるものであることが多い。SUVミラーは、多くの場合、より小さなミラーを有し、アフターマーケットソリューションを見出すのは困難である。したがって、サイドパワーミラー内でトレーラの縁部を見出そうとするときに運転者が直面する困難を克服し、より小さなミラーを使用しながら大きな範囲の視界を可能にするシステムを設けることが望ましい。
【0004】
発明の概要
本開示の一態様は、牽引車両の運転者がトレーラの縁部を見ることができるように、トレーラの位置に基づいて、トレーラに取り付けられた牽引車両により支持されるパワーミラーを調整するための方法を提供する。この方法は、車両コントローラのデータ処理ハードウェアにおいて、牽引車両の後部に配置されたセンサシステムからセンサシステムデータを受信することを含む。この方法は、データ処理ハードウェアにおいて、パワーミラーに関連する現在のミラー角度を受信することを含む。この方法は、データ処理ハードウェアにおいて、現在のミラー角度および受信したセンサシステムデータに基づいて、調整ミラー角度を決定することを含む。この方法は、現在のミラー角度を調整ミラー角度へと調整し、パワーミラーに対して、パワーミラーを見る際に運転者の視野内にトレーラの縁部を維持させる命令を、データ処理ハードウェアからパワーミラーに送信することを含む。
【0005】
本開示の実現形態は、下記の任意の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。幾つかの実現形態では、センサシステムデータは、牽引車両の後部に配置されたカメラから受信された1つ以上の画像を含む。幾つかの実施例では、この方法は、データ処理ハードウェアと通信する座席モジュールから、運転席の位置データを受信することを含む。調整ミラー角度は、運転席の位置データにも基づきうる。また、この方法は、運転者の目の位置を捕捉するように配置された1つ以上のセンサから、運転者の目の位置(例えば、センサデータ)を受信することも含みうる。調整ミラー角度は、運転者の目の位置にも基づきうる。
【0006】
幾つかの実現形態では、この方法は、トレーラと牽引車両との間のヒッチポイントとトレーラ車軸との間の距離を含むトレーラの車軸長を決定することを含む。調整ミラー角度は、トレーラの車軸長にも基づきうる。この方法は、ヒッチポイントから運転席の中心までの運転席距離を決定することを含みうる。調整ミラー角度は、運転席距離にも基づきうる。また、この方法は、パワーミラーの中心CMと運転席の中心との間の横方向座席距離を決定することも含みうる。調整ミラー角度は、横方向座席距離にも基づきうる。
【0007】
本開示の別の態様は、牽引車両の運転者がトレーラの縁部を見ることができるように、トレーラの位置に基づいて、トレーラに取り付けられた牽引車両により支持されるパワーミラーを調整するためのシステムを提供する。このシステムは、データ処理ハードウェアと、データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアとを含む。メモリハードウェアは、データ処理ハードウェア上で実行される際に、データ処理ハードウェアに、上記の方法を含む動作を実行させるための命令を記憶する。
【0008】
本開示の1つ以上の実現形態の詳細を、添付の図面および以下の説明において説明する。他の態様、特徴および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】トレーラに連結された例示的な牽引車両の上面図である。
【
図1B】トレーラに連結された例示的な牽引車両の上面図である。
【
図1C】トレーラに連結された例示的な牽引車両の上面図である。
【
図2】例示的な車両用パワーミラーの斜視図である。
【
図4】トレーラに取り付けられた車両の車両サイドパワーミラーを調整するための動作の例示的な配置の模式図である。
【0010】
種々の図面における同じ参照符号は、同じ構成要素を示す。
【0011】
詳細な説明
牽引車両、例えば特に限定するものではないが自動車、クロスオーバー、トラック、バン、スポーツユーティリティビークル(SUV)およびレクリエーションビークル(RV)は、トレーラを牽引するように構成することができる。牽引車両は、トレーラヒッチにより、トレーラに連結される。運転者の視野内にトレーラの縁部のイメージを維持するように回転するサイドパワーミラーを含む牽引車両を有することが望ましい。
【0012】
図1A~
図3を参照すると、幾つかの実現形態において、車両-トレーラシステム100は、ヒッチポイント106によりトレーラ104に連結される牽引車両102を含む。牽引車両102は、牽引車両102に関連する駆動システム110を含み、この駆動システムは、例えば、X、YおよびZ成分を有する駆動運転またはコマンドに基づいて、牽引車両102ひいては車両-トレーラシステム100を路面にわたって運転する。図示のように、駆動システム110は、前部右車輪112,112a、前部左車輪112,112b、後部右車輪112,112cおよび後部左車輪112,112dを含む。加えて、駆動システム110は、トレーラ104に関連する車輪112を含むことができる。駆動システム110は、他の車輪構成も含むことができる。駆動システム110は、牽引車両102が動くのを可能にする1つの形態のエネルギを機械的エネルギに変換するモータまたはエンジン114を含むことができる。駆動システム110は、車輪112およびエンジン114に連結されてこれらと通信し、かつ牽引車両102の動きひいてはトレーラ104の動きも可能にする、他のコンポーネント(図示せず)を含む。また、駆動システム110は、各車輪112、112a~dに関連するブレーキを含むブレーキシステム(図示せず)も含むことができる。この場合、各ブレーキは、車輪112a~dに関連し、車輪112a~nの回転を減速させまたは停止させるように構成されている。幾つかの実施例では、ブレーキシステムは、トレーラ104により支持されている1つ以上のブレーキに接続されている。また、駆動システム110は、牽引車両102ひいては車両-トレーラシステム100の速度を調整するように構成された加速システム(図示せず)、および牽引車両102ひいては車両-トレーラシステム100の方向を調整するように構成されたステアリングシステム(図示せず)も含むことができる。車両-トレーラシステム100は、他のシステムも含むことができる。
【0013】
牽引車両102は、牽引車両102により定められる3つの相互に垂直な軸、すなわち横軸XV、前後軸YVおよび中心垂直軸ZVに対する運動の種々の組み合わせにより路面にわたって動くことができる。横軸XVは、牽引車両102の右側Rと左側との間に延びる。前後軸YVに沿った前進駆動方向は、FVと指定され、前進動作とも称される。加えて、前後方向YVに沿った後方または後進駆動方向は、RVと指定され、後進動作とも呼ばれる。幾つかの実施例では、牽引車両102は、調整された際に牽引車両102をXV軸および/もしくはYV軸に関して傾斜させるかまたは中心垂直軸ZVに沿って動かすサスペンションシステム(図示せず)を含む。牽引車両102が動くと、トレーラ104は牽引車両102に追従する。したがって、牽引車102が、前進方向FVに動くのにつれて旋回すると、トレーラ104はこれに沿って追従する。
【0014】
さらに、トレーラ104は、トレーラ104により定められる3つの相互に垂直な軸、すなわちトレーラ横軸X
T、トレーラ前後軸Y
Tおよびトレーラ中心垂直軸Z
Tに対する運動の種々の組み合わせにより、路面にわたって牽引車両102に追従する。トレーラ横軸X
Tは、トレーラ軸に沿ってトレーラ104の右側Rと左側との間に延びる。トレーラ前後軸Y
Tに沿った前進駆動方向は、F
Tと指定され、前進動作とも称される。加えて、前後方向Y
Tに沿ったトレーラの後方または後進駆動方向は、R
Tと指定され、後進動作とも称される。したがって、車両-トレーラシステム100の運動は、牽引車両102の横軸X
V、前後軸Y
Vおよび中心垂直軸Z
Vに沿った運動と、トレーラ104の、トレーラ横軸X
T、トレーラ前後軸Y
Tおよびトレーラ中心垂直軸Z
Tに沿った運動とを含む。したがって、牽引車両102が、前進方向F
Vに動くのにつれて旋回すると、トレーラ104はこれに沿って追従する。牽引車両102が、前進方向Fまたは後進方向Rに動くのにつれて旋回すると、牽引車両102およびトレーラ104により、ヒッチポイント106を中心とする牽引車両102の前後軸Y
Vとトレーラ104の前後軸Y
Tとの間の角度である関節角度(
図1Bおよび
図1C)とも称されるトレーラ角度α
Tが形成される。
【0015】
幾つかの実現形態では、牽引車両102は、1つ以上の測定値、例えば、トレーラ長LT(例えば、トレーラ長LTは、ヒッチポイント106からトレーラ104が2つの車輪を有するトレーラ104の回転中心ZTまでの距離である)を測定するのに使用することができるセンサシステムデータ136を提供するためのセンサシステム130を含む。幾つかの実施例では、牽引車両102は、自律型または半自律型であることができ、したがって、センサシステム130は、信頼性が高くかつロバストな自律型駆動を提供する。センサシステム130は、センサシステムデータ136を提供し、種々のタイプのセンサを含むことができるが、当該センサは、車両-トレーラシステム100により使用される牽引車両の環境またはその一部の知覚の生成に別々にまたは共同にて使用可能であり、これによりその環境内の対象物を識別し、かつ/または幾つかの実施例において、自律的な運転を行い、センサシステム130により検出された対象物および障害物に基づいてインテリジェント決定を行うことができる。幾つかの実施例では、センサシステム130は、牽引車両102の後部に支持されており、牽引車両102の後方に位置する対象物およびトレーラ104に関連するセンサシステムデータ136を提供する。他の実施例では、センサシステム130は、牽引車両102および/またはトレーラ104の周囲を囲むセンサを含む。牽引車両102がセンサシステム130を支持することができるが、他の実施例では、センサシステム130は、牽引車両102およびトレーラ104により支持される。センサシステム130は、1つ以上の撮像デバイス132,132a~n(例えば、カメラ)およびセンサ134,134a~n(例えば、レーダー、ソナー、LIDAR(光測距計、これは、散乱光の特性を測定して、距離および/または離れた目標の他の情報を検知する光学的遠隔感知を担うことができる)、LADAR(光測距計)、超音波センサ、ただしこれらに限定されない)等を含むことができるが、これらに限定されない。センサシステム130は、1つ以上のカメラ132,132a~nからの画像133および/または1つ以上のセンサ134,134a~nからのセンサデータ135を含むセンサシステムデータ136を提供する。したがって、センサシステム130は、車両の環境または環境の一部の情報を受け取り、運転者によりまたは半自律的もしくは自律的な条件の下で動作することができる車両-トレーラシステム100における安全性を高めるのに特に有用である。
【0016】
牽引車両102は、ユーザインタフェース140、例えば、ディスプレイを含むことができる。ユーザインタフェース140は、運転者に情報を表示するように構成されている。幾つかの実施例では、ユーザインタフェース140は、1つ以上の入力機構またはタッチパネルディスプレイを介して運転者から1つ以上のユーザコマンドを受信しかつ/または運転者に1つ以上の通知を表示するように構成されている。幾つかの実施例では、ユーザインタフェース140は、タッチパネルディスプレイである。他の例では、ユーザインタフェース140は、タッチパネルではなく、運転者は、入力デバイス、例えば、回転ノブまたはマウス(ただし、これらに限定されない)を使用して選択を行うことができる。幾つかの実施例では、運転者は、ユーザインタフェース140と対話して、1つ以上の車両パワーミラー152,152a,152bを自動的に調整し、トレーラの縁部がミラーの反射の中心にあることを保証する「ミラー追跡」機構のオン・オフを切り替えることができる。
【0017】
牽引車両102は、左サイドミラー152,152aおよび右サイドミラー152,152bを含むパワーミラーシステム150を含む。ミラーシステム150は、ミラー152の位置を制御するように構成されている。
図1Aを参照すると、パワーミラー152は、所定の角度に関連する視野154を提供する所定の角度に設定される。したがって、視野154は、ミラー角度/位置に基づいて変化する。トレーラ104が、牽引車両102と同じ方向(すなわち、関節角がゼロ)に位置合わせされると、トレーラ104の側面は、
図1Aに示されたように見える。
図1Bを参照すると、トレーラ角度α
Tが、ミラー152の視野154の閾値を通過すると、運転者は、トレーラ104の縁部をもはや見ることができなくなるであろう。すなわち、トレーラの縁部が、運転者の視野154の外側にある場合には、運転者は、トレーラ104の縁部をもはや見ることができない。
【0018】
図2を参照すると、各ミラー152は、x軸およびy軸に沿った平面を定める。x軸は、ミラー152,152a,152bの右縁とミラー152,152a,152bの左縁との間に延びる。y軸は、ミラー152,152a,152bの上縁とミラー152,152a,152bの下縁との間に延びる。ミラー中心C
Mは、x軸とy軸との交点により定められる。ミラー152,152a,152bは、運転者または車両コントローラ170からのコマンドに基づいて、x軸および/またはy軸を中心に傾斜することができる。したがって、ミラー角度α
Mを調整することにより、トレーラの縁部が調整前に運転者の視野154の外にあっても、運転者がトレーラの縁部を見ることが可能となる。
【0019】
牽引車両102は、運転席162を含む座席モジュール160も含む。座席モジュール160は、1つ以上の運転者のコマンドに基づいて運転席162を調整するように構成されている。幾つかの実施例では、座席モジュール160は、運転者の調整に基づいて、運転席162の位置を決定する。
【0020】
センサシステム130、ユーザインタフェース140、パワーミラーシステム150および座席モジュール160は、車両コントローラ170と通信している。車両コントローラ170は、非一時的メモリまたはハードウェアメモリ174(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ)と通信して、コンピュータプロセッサ上で実行可能な命令を記憶可能なコンピュータデバイス(またはデータ処理ハードウェア)172(例えば、1つ以上のコンピュータプロセッサを有する中央処理装置)を含む。幾つかの実施例では、非一時的メモリ174は、コンピュータデバイス172上で実行される際に、車両コントローラ170に、信号またはコマンド176をパワーミラーシステム150に提供させ、パワーミラー152にその角度を調整させるための命令を記憶する。示されたように、車両コントローラ170は、牽引車両102により支持されている。ただし、車両コントローラ170は、牽引車両102から離れて、ネットワーク(図示せず)を介して牽引車両102と通信することができる。
【0021】
幾つかの実現形態では、車両コントローラ170は、センサシステム130からセンサシステムデータ136、パワーミラーシステム150から現在のミラー角度αMおよび座席モジュール160から座席の位置データ164を受信して、トレーラの縁部がミラー152の反射の中心にあることを保証する、調整ミラー角度αMAを決定する。車両コントローラ170は、受信したデータαM,136,156,164に基づいて、トレーラ軸長LA、トレーラ長LT、トレーラ(または関節)角度αT、運転者の視線角度αd、ミラー距離Lm、横方向座席距離Lyおよび運転席距離Ldを決定する。車両コントローラ170がこれらのパラメータ(すなわち、トレーラ軸長LA、トレーラ長LT、トレーラ(または関節)角度αT、運転者の視線角度αd、ミラー距離Lm、横方向座席距離Lyおよび運転席距離Ld)を決定すると、当該車両コントローラ170は、パラメータおよび受信データ136,156,164に基づいて、調整された現在のミラー角度αMAを決定する。
【0022】
幾つかの実現形態では、車両コントローラ170は、センサシステム130から受信したセンサシステムデータ136に基づいて、ヒッチポイント106からトレーラ104の回転中心Z
Tまでのトレーラ車軸長L
Aを決定する。車両コントローラ170は、車軸長L
Aに基づいて、ヒッチポイント106とトレーラ104の後端との距離であるトレーラ104のトレーラ長L
Tを決定する。車両コントローラ170は、車両-トレーラシステム100が動いている間、牽引車両102の後側に配置されたセンサシステム130のセンサ132,134から、センサシステムデータ136を受信する。受信したセンサシステムデータ136に基づいて、車両コントローラ170は、トレーラ104と牽引車両102との間の角度であるトレーラ角度α
T(
図1Bに示される)を決定する。
【0023】
また、車両コントローラ170は、ミラーシステム150から、各ミラー152の角度を示す現在のミラー角度αMも受信する。車両コントローラ170は、トレーラ車軸長LAおよび/またはトレーラ長LT、トレーラ(または関節)角度αTならびに現在のミラー角度αMに基づいて、ミラー152について調整ミラー角度αMAを決定する。車両コントローラ170が、ミラー152a,152bの一方または両方について調整された角度αMAを決定すると、車両コントローラ170は、信号154をミラーシステム150またはミラー152a,152bそれぞれに送信して、ミラー152a,152bの一方または両方を、特定のミラー152a,152bに関連する調整された角度αMAに基づいて調整する。幾つかの実施例では、車両コントローラ170は、CAN/LINまたはアナログ電圧を介して信号176を送信し、これにより、パワーミラー152a,152bが能動的に回転して、トレーラの縁部が運転者の視野154内に維持される。これにより、運転者は、大きなミラーを追加することなくかつ身体を調整することなく、トレーラ104を操縦している場所を見ることができる。
【0024】
幾つかの実現形態では、車両コントローラ170は、ミラー152に対する運転者の視線156とトレーラ104の縁部との間の運転者の視線角度αdを決定する。ミラー152への運転者の視線156は、運転者の焦点とミラーの中心CMとの間の線分156として定めることができる。車両コントローラ170は、三角法を使用することにより、運転者の視線角度αdを決定し、運転者の横方向オフセットおよび縦方向オフセット(すなわち、運転者の目が位置する場所)とミラー152からのトレーラの縁部とを関連付ける。幾つかの実現形態では、車両コントローラ170は、運転者の位置、すなわち、頭部位置に関連するデータを捕捉するように配置された1つ以上のセンサ132,134から、センサシステムデータ136を受信し、その結果、車両コントローラ170が運転者の横方向オフセットおよび縦方向オフセットを決定するか、または言い換えれば、車両コントローラ170が運転者の目の位置を決定する。車両コントローラ170が、運転者の目の位置を決定すると、車両コントローラ170は、視線角度αdを決定する。
【0025】
幾つかの実施例では、車両コントローラ170は、カメラ132により決定されたヒッチポイント106(または車両牽引ボール)の既知の位置およびミラー152の既知の位置に基づいて、ミラー中心CMからヒッチポイント106までのミラー距離Lmをも決定する。
【0026】
また、車両コントローラ170は、運転席の位置データ164およびヒッチポイント106の位置に基づいて、ヒッチポイント106から運転席162の中心CSまでの運転席距離Ldも決定することができる。車両コントローラ170は、座席モジュール160から運転席の位置データ164を受信する。車両コントローラ170は、ヒッチポイント106までの車両の前方を計測した所定の車両長(図示せず)と運転席の位置との差分に基づいて、運転席距離Ldを計算することができる。他の実施例では、車両コントローラ170は、後部カメラ132から受信した1つ以上の画像133に基づいて、ヒッチポイント106の位置を決定し、ついで、決定された座席位置および決定されたヒッチポイント106の位置に基づいて、運転席距離Ldを決定する。
【0027】
また、車両コントローラ170は、ミラー152と運転席162の中心CSとの間の横方向座席距離Lyも決定することができる。幾つかの実施例では、車両コントローラ170は、牽引車両102のモデルに基づいて、横方向座席距離Lyを決定する。例えば、車両コントローラ170は、メモリハードウェア174から、横方向座席距離Lyを取得することができる。
【0028】
幾つかの実現形態では、車両コントローラ170は、トレーラ104のほとんどの車軸105がヒッチポイント106からトレーラの積載領域長さの60%に位置するという事実に基づいて、トレーラ長LTを決定する。
【0029】
他の実施例では、車両コントローラ170は、牽引車両102の側面に配置されたカメラ132またはセンサ134から、センサデータ136を受信し、牽引車両102がトレーラ104に対して角度αTにあるとき、受信したセンサシステムデータ136に基づいて、トレーラの縁部の位置を決定する。この事例では、車両コントローラ170は、トレーラ長LTおよびトレーラ角度αTを決定する必要がない。車両コントローラ170がトレーラの縁部の位置を決定するためである。
【0030】
したがって、車両コントローラ170は、視野角度α
dが一定であることを維持して、
図1Cに示されたように、トレーラ104に対する牽引車両102の運動により、トレーラ角度α
Tの増減につれて、運転者がトレーラ104の縁部に焦点を維持することができるように、ミラー152についての調整ミラー角度α
MAを決定する。言い換えれば、車両コントローラ170は、パワーミラーシステム150に対して、トレーラの縁部がミラーの反射の中心にあることを保証する調整ミラー角度α
MAに基づいて、右サイドミラーまたは左サイドミラー152a,152bを調整するように命令する。
【0031】
図4は、
図1A~
図3に記載されたシステムを使用して、牽引車両102の運転者がトレーラ104の縁部を見ることができるように、トレーラの位置に基づいて、トレーラ104に取り付けられた牽引車両102により支持されるパワーミラー152,152a,152bを調整するための方法400の動作の例示的な配置を提供する。ブロック402において、方法400は、車両コントローラ170のデータ処理ハードウェア172において、牽引車両102の後部に配置されたセンサシステム130から、センサシステムデータ136を受信することを含む。ブロック404において、方法400は、データ処理ハードウェア172において、パワーミラー152,152a,152bに関連する現在のミラー角度α
Mを受信することを含む。ブロック406において、方法400は、データ処理ハードウェア172において、現在のミラー角度α
Mおよび受信したセンサシステムデータ136に基づいて、調整ミラー角度α
MAを決定することを含む。ブロック408において、方法400は、現在のミラー角度α
Mを調整ミラー角度α
MAへと調整し、パワーミラー152,152a,152bに対して、パワーミラー152,152a,152bを見る際に運転者の視野154内にトレーラの縁部を維持させる命令を、データ処理ハードウェア172からパワーミラー152,152a,152bに送信することを含む。
【0032】
幾つかの実現形態では、センサシステムデータ136は、牽引車両102の後部に配置されたカメラ132から受信した1つ以上の画像133を含む。幾つかの実施例では、方法400は、データ処理ハードウェア172と通信する座席モジュール160から、運転席の位置データ164を受信することを含む。また、調整ミラー角度αMAは、運転席の位置データ164にも基づきうる。また、方法400は、運転者の目の位置を捕捉するように配置された1つ以上のセンサ134から、運転者の目の位置(例えば、センサデータ135)を受信することも含みうる。また、調整ミラー角度αMAは、運転者の目の位置にも基づきうる。
【0033】
幾つかの実現形態では、方法400は、トレーラ104と牽引車102との間のヒッチポイント106とトレーラ車軸105との間の距離を含むトレーラ104の車軸長LTを決定することを含む。また、調整ミラー角度αMAは、トレーラ104の車軸長LTにも基づきうる。方法400は、ヒッチポイント106から運転席の中心CSまでの運転席距離Ldを決定することを含みうる。また、調整ミラー角度αMAは、運転席距離Ldにも基づきうる。また、方法400は、パワーミラーの中心CMと運転席の中心CSとの間の横方向座席距離Lyを決定することも含みうる。また、調整ミラー角度αMAは、横方向座席距離Lyにも基づきうる。
【0034】
本明細書に記載されたシステムおよび技法の種々の実現形態は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはこれらの組み合わせにおいて実現することができる。これらの種々の実現形態は、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイスおよび少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、これらにデータおよび命令を送信するように結合された、特殊用途向けまたは汎用であってよい少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能および/または解読可能な1つ以上のコンピュータプログラムにおける実現形態を含むことができる。
【0035】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても公知である)は、プログラマブルプロセッサのための機械命令を含み、高レベルの手続き型言語および/またはオブジェクト指向プログラミング言語および/またはアセンブリ/機械語で実現することができる。本明細書で使用する場合、「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械可読信号として機械命令を受信する機械可読媒体を含む、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するのに使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブル論理デバイス(PLD))を指す。「機械可読信号」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するのに使用される任意の信号を指す。
【0036】
本明細書に記載された主題および機能的動作の実現形態は、本明細書に開示された構造およびその構造的等価物を含む、デジタル電子回路またはコンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェアあるいはこれらの1つ以上の組み合わせにおいて実現することができる。さらに、本明細書に記載された主題は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置による実行のためにまたはデータ処理装置の動作を制御するために、コンピュータ可読媒体上にコードされたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実現することができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号に影響を及ぼす物質の組成物またはこれらの1つ以上の組み合わせであることができる。「データ処理装置」、「コンピュータデバイス」および「コンピュータプロセッサ」という用語は、一例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータまたは複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するための全ての装置、デバイスおよび機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、コンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステムまたはこれらの1つ以上の組み合わせを構成するコードを含むことができる。伝搬される信号は、人工的に生成された信号、例えば、適切な受信装置への送信のために情報をコードするのに生成される機械生成の電気信号、光信号または電磁信号である。
【0037】
同様に、動作が特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、このような動作が示されている特定の順序もしくは連続的な順序で実行されることまたは示された全ての動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利である場合がある。さらに、上記の実施形態における種々のシステムコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてこのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明されたプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般的には、単一のソフトウェア製品に統合されうるものでありまたは複数のソフトウェア製品にパッケージ化されうるものであることを理解されたい。
【0038】
幾つかの実現形態を説明してきた。ただし、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の改変がなされてもよいことを理解されたい。したがって、他の実現形態は、下記の特許請求の範囲内にある。