IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディスラプション・ラブズ・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7326445治療剤の送達のための組成物並びにその使用及び製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】治療剤の送達のための組成物並びにその使用及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20230807BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230807BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230807BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230807BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230807BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230807BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230807BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20230807BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230807BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230807BHJP
   A61K 38/05 20060101ALN20230807BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALN20230807BHJP
   A61K 31/015 20060101ALN20230807BHJP
   A61K 31/05 20060101ALN20230807BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20230807BHJP
   A61K 47/44 20170101ALN20230807BHJP
   A61K 9/20 20060101ALN20230807BHJP
   A61K 9/48 20060101ALN20230807BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K9/127
A61K9/107
A61K47/24
A61K47/28
A61K47/14
A61K9/14
A61P43/00 121
A61K47/12
A61K47/22
A61P29/00
A61P25/04
A61P25/22
A61P25/20
A61P25/08
A61P25/24
A61K38/05
A61K31/4045
A61K31/015
A61K31/05
A61K45/00
A61K47/44
A61K9/20
A61K9/48
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021533365
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 US2019065288
(87)【国際公開番号】W WO2020123407
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/778,132
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/846,474
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/857,567
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/889,824
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/916,754
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521254281
【氏名又は名称】ディスラプション・ラブズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・アール・スロート
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エー・サンドバル
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・ビー・ウェスト
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0325861(US,A1)
【文献】特表2009-525342(JP,A)
【文献】特表2001-519775(JP,A)
【文献】国際公開第2018/054077(WO,A1)
【文献】特表2016-537412(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0296493(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質系粒子組成物であって、
組成物中1%~4%の範囲の質量パーセントのカンナビノイドと;
組成物中9%~15%の範囲の質量パーセントのホスファチジルコリンと;
組成物中0.5%~5%の範囲の質量パーセントのステロールと;
組成物中9%~15%の範囲の質量パーセントの中鎖トリグリセリドと
を含むナノ粒子、及び
組成物中60%~80%の範囲の質量パーセントの水
を含み、
前記ナノ粒子は、リポソーム及びエマルジョン粒子を含み、前記ナノ粒子は、75nm~200nmの範囲の平均サイズを有し;
25℃の温度及び60%の相対湿度で1か月の期間保存すると、前記ナノ粒子の平均サイズの変化が20%未満であるように構成される、脂質系粒子組成物。
【請求項2】
水中油型ナノエマルジョン粒子を含む、請求項1に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項3】
室温で少なくとも1か月静置した場合、感知できる量のナノ粒子組成物が、水から沈降及び/又は分離しないように構成される、請求項1又は2に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項4】
乾燥するまで濃縮してナノ粒子の粉末製剤を得る場合、粉末製剤が再構成されて、ナノ粒子組成物を提供できるように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項5】
カンナビノイドがCBDであり、経口投与によるCBDのTmaxが4.5時間未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項6】
組成物中の前記ナノ粒子の多分散度が、0.20以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項7】
25℃及び60%相対湿度で90日保存すると、前記ナノ粒子の多分散度の変化が、100%以下であるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項8】
25℃及び60%相対湿度で90日保存すると、前記ナノ粒子の多分散度の変化が、0.1以下であるように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項9】
25℃及び60%相対湿度で18か月より長い貯蔵寿命を有するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項10】
25℃及び60%相対湿度で90日保存すると、前記ナノ粒子のD90の変化が、10%以下であるように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項11】
15mg/kgの経口投与後、少なくとも80ng/mlの最大濃度(Cmax)を有するように構成される、
請求項1から10のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項12】
脂質系粒子組成物であって、
組成物中5%~20%の範囲の質量パーセントのカンナビノイドと;
組成物中35%~60%の範囲の質量パーセントのホスファチジルコリンと;
組成物中2.5%~10%の範囲の質量パーセントのステロールと;
組成物中30%~50%の範囲の質量パーセントの中鎖トリグリセリドと
を含むナノ粒子
を含み、
前記ナノ粒子は、75nm~200nmの範囲の平均サイズを有し;
25℃の温度及び60%の相対湿度で1か月の期間保存すると、前記ナノ粒子の平均サイズの変化は、20%未満であるように構成される、脂質系粒子組成物。
【請求項13】
乾燥粉末である、請求項12に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項14】
前記粉末が、水中で再構成されて水溶液が得られるように構成されており、
再構成時に、水溶液内のナノ粒子が、75nm~200nmの範囲の平均サイズを有する、請求項13に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項15】
水と混合して、リポソーム及びエマルジョン粒子を含む水溶液を提供するように構成される、請求項1214のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項16】
前記カンナビノイドが、組成物中2%以上の質量パーセントで存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項17】
前記カンナビノイドが、フィトカンナビノイドである、請求項1から16のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項18】
前記カンナビノイドが、THC(テトラヒドロカンナビノール)、THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)、CBD(カンナビジオール)、CBDA(カンナビジオール酸)、CBN(カンナビノール)、CBG(カンナビゲロール)、CBC(カンナビクロメン)、CBL(カンナビシクロール)、CBV(カンナビバリン)、THCV(テトラヒドロカンナビバリン)、CBDV(カンナビジバリン)、CBCV(カンナビクロメバリン)、CBGV(カンナビゲロバリン)、CBGM(カンナビゲロールモノメチルエーテル)、CBE(カンナビエルソイン)、及びCBT(カンナビシトラン)からなる群から選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項19】
前記カンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)である、請求項1から18のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項20】
CBDのTmaxが4.5時間未満である、請求項19に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項21】
追加の治療剤を更に含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項22】
前記追加の治療剤が、ヌーペプト、メラトニン、及びテルペンからなる群から選択される、請求項21に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項23】
前記ホスファチジルコリンが、水素化ヒマワリホスファチジルコリンを含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項24】
前記ステロールが、フィトステロールまたはコレステロールを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項25】
防腐剤を更に含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項26】
前記防腐剤が、リンゴ酸、クエン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、及びビタミンEのうちの1つ又は複数を含む、請求項25に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項27】
前記ステロールがコレステロールである、請求項1から26のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項28】
香味剤を更に含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物。
【請求項29】
患者の状態を処置するための医薬の製造における、請求項1から28のいずれか一項に記載の脂質系粒子組成物の使用。
【請求項30】
前記状態が、疼痛、不安及びストレス、発作、倦怠感、炎症、気分障害、並びに不眠症のうちの1つ又は複数である、請求項29に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月17日出願の米国特許仮出願第62/916,754号、2019年8月21日出願の米国特許仮出願第62/889,824号、2019年6月5日出願の米国特許仮出願第62/857,567号、2019年5月10日出願の米国特許仮出願第62/846,474号、及び2018年12月11日出願の米国特許仮出願第62/778,132号に対する優先権の利益を主張し、これらの各出願の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。優先権主張が本出願とともに提出されたものとして出願データシートで特定されているありとあらゆる出願もまた、37 CFR1.57に基づいてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、脂質、ナノ粒子系組成物(例えば、リポソーム、固体脂質粒子、水中油型エマルジョン等)、及び疎水性治療剤(例えば、ビタミン、栄養素、植物抽出物、栄養補助食品、医薬品、又は送達のための他の有益な薬剤)を対象に送達するための方法におけるそれらの使用に関する。いくつかの実施形態では、脂質組成物は、治療剤としてカンナビジオール(「CBD」)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、長期間にわたって(例えば、室温で)安定である。
【背景技術】
【0003】
CBDは、様々な病気の処置に使用されるフィトカンナビノイドである。例えば、CBDは、疼痛(例えば、多発性硬化症による)の緩和、てんかんの処置、及びある特定の神経障害の処置に使用することができる。CBDは、大麻の煙又は蒸気の吸入による、例えば頬へのエアロゾルスプレーによる、及び、経口による等、複数の異なる方法で体内に取り込むことができる。CBDは、油(例えば、CBDが優勢であるヘンプ抽出油)、カプセル、乾燥大麻、又は処方液体溶液として供給され得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」、Lippincott Williams & Wilkins;第20版(2003年6月1日)及び「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Pub. Co.;第18版及び第19版(それぞれ1985年12月及び1990年6月)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、活性剤の送達のための粒子組成物及び/又は脂質系粒子組成物に関する。いくつかの実施形態では、粒子は脂質粒子である。いくつかの実施形態では、粒子はナノスケール粒子である。いくつかの実施形態では、粒子はマイクロスケール粒子である。いくつかの実施形態では、粒子はリポソーム系である(例えば、リポソームである)。いくつかの実施形態では、粒子は、リン脂質成分、非リン脂質成分(例えば、中鎖及び/又は長鎖トリグリセリド成分)、ステロール成分、及び/又は水のうちの1つ若しくは複数を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、活性成分(例えば、治療剤)を更に含む。いくつかの実施形態では、活性成分は、フィトカンナビノイドである。いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイドはCBDである。いくつかの実施形態では、粒子の脂質成分により、高純度のCBDを可溶化することが可能になる。いくつかの実施形態では、粒子中のCBDは、結晶性及び/又は固体(例えば、非晶質又は結晶性粉末)を提供するのに十分な純度のものである。いくつかの実施形態では、CBDは油ではない。
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物のフィトカンナビノイドは、単一のフィトカンナビノイド(例えば、CBD)である。いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイド(例えば、CBD)は、約95%、97%、98%、99%、100%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%の純度を有する。いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイド(例えば、CBD)は、脂質系粒子組成物中に、約5%、8%、10%、15%、20%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥質量%で存在する。いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイドはTHCを含まないか、又は本質的に含まない。いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイド(例えば、CBD)は、約1%、0.5%、0.25%、0.1%、0%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%のTHC含有量を有する。いくつかの実施形態では、存在する場合、THCは、定量限界未満(LOQ)で存在する(例えば、UV/Vis、フォトダイオードアレイ、屈折率、蛍光、光散乱、導電率等、標準的な検出器を備えた高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析される場合)。
【0007】
いくつかの実施形態では、リン脂質成分は、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールホスフェート、ホスファチジルイノシトールビスホスフェート、及びホスファチジルイノシトールトリスホスフェート、のうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質成分は、ホスファチジルコリンを含む。いくつかの実施形態では、リン脂質成分は、単一のリン脂質である。いくつかの実施形態では、リン脂質成分は、ホスファチジルコリンである。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは非常に純粋である。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは、約97%、98%、99%、100%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%の純度を有する。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは、脂質系粒子組成物中に、約10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥質量%で存在する。
【0008】
いくつかの実施形態では、脂質成分は、トリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、脂質成分は、中鎖トリグリセリド(MCT)を含む。いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプロン酸、オクタン酸、カプリン酸、カプリル酸、及び/又はラウリン酸のうちの1つ又は複数から選択される脂肪酸を含む(例えば、選択される脂肪酸から形成される)。いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリドは、長さが6~12炭素(例えば、6、7、8、9、10、11、又は12)の脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、脂質成分は、長鎖トリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、長鎖トリグリセリドは、長さが12炭素より長い(例えば、長さが13、14、15、16、17、18、19、又は20炭素以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲)の脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、脂質成分は、単一の脂質である。いくつかの実施形態では、脂質成分は、MCTである。いくつかの実施形態では、MCTは非常に純粋である。いくつかの実施形態では、MCTは、約90%、95%、97%、98%、99%、100%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%の純度を有する。いくつかの実施形態では、MCT(又はLCT)は、脂質系粒子組成物中に、約10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥質量%で存在する。
【0009】
いくつかの実施形態では、ステロール成分は、コレステロールを含む。いくつかの実施形態では、ステロール成分は、単一のステロールである。いくつかの実施形態では、ステロール成分は、コレステロールである。いくつかの実施形態では、コレステロール(又は他のステロール)は非常に純粋である。いくつかの実施形態では、コレステロール(又は他のステロール)は、約97%、98%、99%、100%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%の純度を有する。いくつかの実施形態では、コレステロール(又は他のステロール)は、脂質系粒子組成物中に、約1%、2%、4%、5%、8%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥質量%で存在する。
【0010】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は水性であるが、他の実施形態では、組成物は、乾燥固体又は実質的に乾燥した固体(例えば、20%、15%、10%、5%、2%、1%、0.5%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%の水分含有量を有する)として提供され得る。いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は水性であり、水は、約70%、75%、77%、80%、85%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤質量パーセントで存在し得る。水性組成物のいくつかの実施形態では、フィトカンナビノイド(例えば、CBD)は、組成物中に、約1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤質量%で存在する。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは、水性組成物中に、約5%、10%、15%、20%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤質量%で存在する。いくつかの実施形態では、MCTは、水性組成物中に、約5%、10%、15%、20%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤質量%で存在する。いくつかの実施形態では、コレステロールは、水性組成物中に、約0.5%、1.0%、2.0%、3.0%、5.0%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤質量%で存在する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、粒子は、CBD、ホスファチジルコリン、コレステロール、リン脂質以外の脂質成分(例えば、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド、及び/又はヘンプ油のうちの1つ又は複数)、及び/又は水を含む。いくつかの実施形態では、CBDは、約25mg/ml以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは、約100mg/ml以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、コレステロールは、約25mg/ml以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリドは、約100mg/ml以下の量で存在する。
【0012】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、防腐剤を更に含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、リンゴ酸、クエン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、及びビタミンEのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、リンゴ酸は、約0.85mg/ml以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、クエン酸は、約0.85mg/ml以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムは、約1mg/ml以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、安息香酸ナトリウムは、約1mg/ml以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、香味剤を更に含む。
【0013】
いくつかの実施形態は、脂質系粒子組成物であって、組成物中1%~10%の範囲の質量パーセントの、製剤化前に固体及び/又は粉末状態でナノ粒子組成物中に存在するのに十分な純度のカンナビジオール(CBD)と;組成物中2.5%~15%の範囲の質量パーセントのホスファチジルコリンと;組成物中0.5%~5%の範囲の質量パーセントのステロールと;組成物中2.5%~15%の範囲の質量パーセントの中鎖トリグリセリドとを含むナノ粒子を含む脂質系粒子組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中60%~約80%の範囲の質量パーセントの水を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、約75nm~約175nmの範囲の平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、1か月の期間保存すると、ナノ粒子の平均サイズの変化は、約20%未満である。
【0014】
いくつかの実施形態では脂質系粒子組成物は、リポソーム及び/又は水中油型ナノエマルジョンの形態である。いくつかの実施形態では、少なくとも約12時間静置した場合、感知できる量のナノ粒子組成物が、水から沈降及び/又は分離しない。いくつかの実施形態では、組成物は、乾燥するまで濃縮してナノ粒子の粉末製剤を得る場合、ナノ粒子の粉末が再構成されてナノ粒子組成物を提供できるように構成される。いくつかの実施形態では、組成物は、CBDのTmaxが4.5時間未満である。いくつかの実施形態では、1か月の期間保存すると、ナノ粒子の平均サイズの変化は、約20%未満である。いくつかの実施形態では、組成物中のナノ粒子の多分散度は、0.15以下である。いくつかの実施形態では、25℃及び60%相対湿度で90日保存すると、ナノ粒子の多分散度の変化は、10%以下である。いくつかの実施形態では、25℃及び60%相対湿度で90日保存すると、ナノ粒子の多分散度の変化は、0.1以下ある。いくつかの実施形態では、組成物は、25℃及び60%相対湿度で18か月より長い貯蔵寿命を有する。いくつかの実施形態では、25℃及び60%相対湿度で90日保存すると、ナノ粒子のD90の変化は、10%以下である。いくつかの実施形態では、組成物は、15mg/kgの経口投与後、80ng/mlの最大濃度(Cmax)を有する。
【0015】
いくつかの実施形態は、脂質系粒子組成物であって、組成物中5%~15%の範囲の質量パーセントの、製剤化前に固体及び/又は粉末状態でナノ粒子組成物中に存在するのに十分な純度のカンナビジオール(CBD)と、組成物中35%~60%の範囲の質量パーセントのホスファチジルコリンと、組成物中2.5%~10%の範囲の質量パーセントのステロールと、組成物中35%~50%の範囲の質量パーセントの中鎖トリグリセリドとを含む粒子を含む脂質系粒子組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、防腐剤を更に含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、リンゴ酸、クエン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、及びビタミンEのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、ステロールは、コレステロールである。いくつかの実施形態では、組成物は、香味剤を更に含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、組成物は、15mg/kgの経口投与後、80ng/mlのCmaxを有する。いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、乾燥粉末として提供される。いくつかの実施形態では、粉末は、水中で再構成されて水溶液が得られるように構成される。いくつかの実施形態では、再構成時に、水溶液内のナノ粒子は、約75nm~約175nmの範囲の平均サイズを有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物は、防腐剤を更に含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、リンゴ酸、クエン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、及びビタミンEのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、ステロールは、コレステロールである。いくつかの実施形態では、組成物は、香味剤を更に含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、脂質系粒子組成物は、リポソーム、水中油型ナノエマルジョン(及び/又は微粒子エマルジョン)、及び/又は固体脂質粒子のうちの1つ若しくは複数の形態である、並びに/又はそれらのうちの1つ若しくは複数を含む。いくつかの実施形態では、水中に懸濁されると、少なくとも約12時間静置した場合、組成物中の感知できる量の粒子は、(例えば、目視検査時に)水から沈降及び/又は分離しない。いくつかの実施形態では、水中に懸濁されると、粒子は、少なくとも約12時間静置した場合、水中に実質的に均質に分布したままである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、約10nm~約500nmの範囲の平均サイズを有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約10nm、50nm、100nm、250nm、500nm、1000nm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の平均サイズを有するナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1000nm、1.5μm、2μm、3μm、5μm、10μm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の平均サイズを有する微粒子を含む。いくつかの実施形態では、乾燥粉末組成物は、再構成されたときにナノ粒子(本明細書に開示される)を形成する微粒子を含む。いくつかの実施形態では、これらの乾燥粉末組成物は、約250nm、500nm、1000nm、1.5μm、2μm、3μm、5μm、10μm、50μm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の平均サイズを有する微粒子を含む。いくつかの実施形態では、1か月の期間保存すると、ナノ粒子(又は微粒子)の平均サイズの増加は、約10%未満である。
【0019】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、乾燥状態まで濃縮されて、乾燥粒子(例えば、水中油型エマルジョン(例えば、ナノエマルジョン又はマイクロエマルジョン)、リポソーム溶液、及び/又は固体脂質粒子のいずれか1つからの)が粉末として得られると、乾燥ナノ粒子を再構成して、再構成された粒子系溶液(例えば、ナノ粒子組成物)を提供することができるように構成される。いくつかの実施形態では、再構成されると、ナノ粒子の平均サイズの増加又は減少は、約15%未満及び/又は約100%未満である。いくつかの実施形態では、粉末を形成するために、賦形剤(及び/又は本明細書の他の場所に開示される添加剤)を、リポソーム、水中油型ナノエマルジョン(及び/又は微粒子エマルジョン)、及び/又は固体脂質粒子に加えてもよい。いくつかの実施形態では、賦形剤は、トレハロースを含む。
【0020】
本明細書の他の場所に開示された、いくつかの実施形態は、脂質系粒子組成物を製造する方法に関する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のフィトカンナビノイド(例えば、CBD)を、組成物の1つ又は複数の親油性成分と混合して、溶液を提供する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の脂質成分(リン脂質ではない)を加える。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のステロールを加える。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のリン脂質を加える。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の香味料及び/又は防腐剤を加える。いくつかの実施形態では、水を加える。いくつかの実施形態では、親油性成分を合わせ、親水性成分を別々に合わせる。いくつかの実施形態では、次に、親油性成分を親水性成分に加える。いくつかの実施形態では、溶液を、マイクロフルイダイザー及び/又は高剪断ホモジナイザーに通過させる。いくつかの実施形態では、加工によって粒子組成物が得られる。
【0021】
いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイドの粒子組成物を製造する方法が開示される。いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイドを、溶媒に加える。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のリン脂質を、溶媒に加える。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のステロールを、溶媒に加える。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の脂質を、溶媒に加える。いくつかの実施形態では溶媒を除去して、実質的に固体製品を提供する。いくつかの実施形態では、製品を水と混合して、エマルジョンを提供する。いくつかの実施形態では、エマルジョンを、マイクロフルイダイザー及び/又は高剪断ホモジナイザーに通過させる。いくつかの実施形態では、加工によってナノ粒子組成物が得られる。
【0022】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される脂質系粒子組成物として提供された有効量の治療剤を患者に投与することを含む、処置を必要とする患者を処置する方法に関する。いくつかの実施形態は、有効量の組成物を患者に投与することを含む、処置を必要とする患者を処置する方法に関する。いくつかの実施形態では、処置を必要とする患者は、1つ又は複数の疼痛、不安及びストレス、発作、倦怠感、炎症、気分障害、並びに不眠症に罹患している患者である。いくつかの実施形態では、状態を、本明細書に開示される有効量の組成物を患者に投与することによって処置する。
【0023】
いくつかの実施形態では、Cmaxは、CBD単独又は比較実施形態(例えば、CBD油性製品)と比較して、約15%、20%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約15%、20%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、Cmaxは、(油性製品と比較して)、約10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mLに等しいか若しくは少なくとも約10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。
【0024】
いくつかの実施形態では、CBDのTmaxは(CBD単独又は油混合物中のCBDと比較して)、約15%、20%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約15%、20%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で短縮している。いくつかの実施形態では、開示された実施形態におけるCBDのTmaxは(CBD単独又は油混合物中のCBDと比較して)、約15分、30分、45分、1時間、2時間に等しいか若しくは少なくとも約15分、30分、45分、1時間、2時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で短縮している。
【0025】
いくつかの実施形態では、開示された実施形態を使用するCBDのAUCは(CBD単独又は油混合物中のCBDと比較して)、約100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間に等しいか若しくは少なくとも約100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、AUCは(CBD単独又は油混合物中のCBDと比較して)、約25%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約25%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で向上している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本明細書に開示される脂質系粒子組成物を調製する方法の実施形態を示すフローチャートである。
図2】本明細書に開示される脂質系粒子組成物を調製するための方法の別の実施形態を示すフローチャートである。
図3】25℃/60%相対湿度で保存された時間の経過にわたる、開示された脂質系粒子組成物の実施形態におけるCBD濃度を示す。
図4】25℃/60%相対湿度で保存された時間の経過にわたる、開示された脂質系粒子組成物の実施形態の粒径を示す。
図5図5A図5Eは、本明細書に開示される脂質ナノ粒子のいくつかの実施形態の代表的な画像を示す。
図6】無溶媒法を使用して調製された実施形態について、5回のマイクロフルイダイゼーション通過後にいくつかの実施形態において得られたZ平均粒径を示す。
図7】無溶媒法を使用して調製された実施形態について、5回のマイクロフルイダイゼーション通過後にいくつかの実施形態において得られたD90粒径を示す。
図8】無溶媒法を使用して調製された実施形態について、5回のマイクロフルイダイゼーション通過後にいくつかの実施形態において得られた多分散度を示す。
図9A】CBD脂質ナノ粒子溶液、CBD脂質ナノ粒子粉末、及び市販のCBD油性比較薬のある特定の実施形態の薬物動態プロファイルを示す。脂質ナノ粒子溶液及び脂質ナノ粒子粉末を含む、本明細書に開示される実施形態のCBD血漿濃度データを示す。
図9B】CBD脂質ナノ粒子溶液、CBD脂質ナノ粒子粉末、及び市販のCBD油性比較薬のある特定の実施形態の薬物動態プロファイルを示す。CBD油を含む市販の比較薬と比較した、図9Aの脂質ナノ粒子粉末の比較を示す。
図9C】CBD脂質ナノ粒子溶液、CBD脂質ナノ粒子粉末、及び市販のCBD油性比較薬のある特定の実施形態の薬物動態プロファイルを示す。CBD油を含む市販の比較薬と比較した、図9Aの脂質ナノ粒子溶液の比較を示す。
図9D】CBD脂質ナノ粒子溶液、CBD脂質ナノ粒子粉末、及び市販のCBD油性比較薬のある特定の実施形態の薬物動態プロファイルを示す。図9Cのデータの拡大図を示す。
図10】市販のCBD油性比較薬と比較した、本明細書に開示されるCBD脂質ナノ粒子のTmaxを示す。
図11】CBD脂質ナノ粒子溶液、粉末、及び市販の油性比較薬のいくつかの実施形態の半減期(T1/2)を示す。
図12】CBD脂質ナノ粒子溶液、粉末、及び市販の油性比較薬のいくつかの実施形態の曲線下面積(AUC)を示す。
図13】異なる溶液pHでのおよそ6か月にわたる、いくつかの実施形態におけるCBD脂質ナノ粒子粒径の変化についてのデータを示す。
図14】異なる保存条件での7か月後の、ある特定の実施形態における脂質ナノ粒子のCBD濃度の変化についてのデータを示す。
図15】1回の通過~10回の通過後の初期粒径測定を含む、マイクロフルイダイザーを種々に通過した場合のデータを示す。
図16】マイクロフルイダイザーを種々に通過した後の異なる粒子のデータを示しており、1回の通過~10回の通過後、相対湿度60%で25℃にて6か月間保存した後の粒子を含む。
図17A】Z平均を使用して測定された、動作圧力による粒径分布の変化を示す。
図17B】D90粒子サイジングを使用して測定された、動作圧力による粒径分布の変化を示す。
図17C】多分散指数を使用して測定された、動作圧力による粒径分布の変化を示す。
図18】コレステロール代替フィトステロールを用いて調製されたCBD脂質ナノ粒子の種々の実施形態の短期安定性データを示す。
図19A】疑似胃液及び疑似腸液中のCBD脂質ナノ粒子の種々の実施形態の安定性データを示す。
図19B】疑似胃液及び疑似腸液中のCBD脂質ナノ粒子の種々の実施形態の安定性データを示す。
図20】CBD脂質ナノ粒子の様々な実施形態の安定性データを示す。
図21】飲料中のCBDナノ粒子の実施形態及び2つの時点でのナノ粒子サイズを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、対象への治療剤の送達のための製剤及び/又は脂質系粒子組成物に関する。いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、ナノ粒子組成物である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子はリポソームを含む。いくつかの実施形態は、組成物の使用及び作製方法に関する。いくつかの実施形態では、治療剤はフィトカンナビノイドである。いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイドはカンナビジオール(CBD)である。いくつかの実施形態では、組成物は、よく特徴付けられた再現可能な送達システムをもたらす高グレードの成分(例えば、高純度)から構成される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、長期間安定である。いくつかの実施形態では、組成物は、疎水性治療剤に水溶性を付与する。いくつかの実施形態では組成物は、別様に水に実質的に不溶性であると考えられる分子(例えば、1グラムのCBDを溶解するのに>10リットルの水を必要とする)及び/又はバイオ医薬品分類システムに従って実質的に水不溶性である分子に、見かけの溶解性を与える。いくつかの実施形態では、組成物はCBD単離物のリポソーム及び/又はナノエマルジョン組成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、経口摂取用に構成される。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、飲料、エリキシル剤、強壮剤等の飲用可能な溶液として提供される。いくつかの実施形態は、CBDに関して本明細書に開示されているが、他の疎水性治療剤又は栄養素(例えば、魚油、ビタミンD及び他の脂溶性ビタミン)を、本明細書に開示された送達システムを使用して用いることができることが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、親水性治療剤も使用することができる。有利には、本明細書に開示される組成物は、親水性又は疎水性の治療剤の送達を向上し、及び/又は分解を緩徐させるか、又は低減することができる。更に、本明細書の他の場所に開示されているナノ粒子に関していくつかの実施形態が開示されているが、微粒子も想定されている。
【0028】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本主題が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の主題の説明で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、主題を限定することを意図するものではない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ又は複数のありとあらゆる可能な組合せ、並びに代替(「又は」)で解釈される場合、組合せの欠如を指し、それらを包含する。
【0030】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、調節効果を付与する、列挙された化合物及び/又は組成物のその量を指し、これは、例えば、対象の状態の改善(例えば、1つ又は複数の症状)、状態の進行の遅延若しくは減少、障害の発症の予防若しくは遅延、及び/又は臨床パラメーター、疾患若しくは病気の変化等を含む、障害、疾患又は病気に苦しんでいる対象にとって有益な効果となり得、このことは、当技術分野において周知である。例えば、有効量は、対象における状態を、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%改善する組成物、化合物、又は薬剤の量を指すことができる。いくつかの実施形態では、状態の改善は、疾患の症状又は兆候(例えば、疼痛、不安及びストレス、発作、倦怠感、炎症、気分障害、不眠症等)の低減であり得る。現在開示されている主題の活性組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、特定の対象及び/又は用途に対して所望の応答を達成するのに有効な量の活性化合物を投与するように変えることができる。選択される投与量レベルは、組成物の活性、組成物、投与経路、他の薬物又は処置との組合せ、処置されている状態の重症度、並びに処置されている対象の身体的状態及び以前の病歴を含むがこれらに限定されない様々な要因に依存するであろう。いくつかの実施形態では、最小用量を投与し、用量制限毒性がない場合、用量を最小有効量に増量する。本明細書において、有効用量の決定及び調整、並びにそのような調整をいつどのように行うかの評価が企図されている。
【0031】
「処置する」又は「処置すること」又は「処置」とは、調節効果を付与する任意のタイプの作用を指し、これは、例えば、対象の状態の改善(例えば、1つ又は複数の症状)、状態の進行の遅延若しくは減少、及び/又は臨床パラメーター、疾患若しくは病気等の変化、病気の治癒等を含む、障害、疾患又は病気に苦しんでいる対象にとって有益な効果となり得る。
【0032】
本明細書で開示するように処置を受ける「患者」又は「対象」は、いくつかの実施形態では、ヒト患者であるが、本明細書で開示されている主題の原理は、本明細書で開示された主題が、「対象」及び「患者」という用語に含まれることが意図されているすべての哺乳類を含むすべての脊椎動物種に関して有効であることを示す、ということが理解されるべきである。好適な対象は、一般に哺乳動物の対象である。本明細書に記載される主題は、研究並びに獣医学的及び医療用途での使用が見出されている。本明細書で使用される「哺乳動物」という用語には、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ミニブタ(ミニブタは、成豚の体重が約35kgである豚の小型品種である)ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、げっ歯類(例えば、ラット又はマウス)、サル等、が含まれるが、これらに限定されない。ヒト対象としては、新生児、乳児、小児、青少年、成人、及び高齢者の対象が挙げられる。対象は、本明細書に開示される方法を「必要とする」対象であり得、疾患状態を経験している及び/又は疾患状態を経験すると予想される対象であり得、本発明の方法及び組成物は、治療的及び/又は予防的処置のために使用される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「質量パーセント」(又はwt%、質量%、質量パーセント等)という用語は、成分を指す場合、成分を含む組成物の質量で割り、100%を掛けた成分の質量である。例えば、5グラムの成分Aを95グラムの成分Bに加えた場合の成分Aの質量パーセントは、5%である(例えば、5g A/(5g A+95g B)×100%)。本明細書で使用される場合、成分の「乾燥質量%」(例えば、「乾燥wt%」、「乾燥質量パーセント」等)は、その成分の質量パーセントの計算において水の質量が含まれていない組成物中のその成分の質量パーセントである。乾燥質量%は、水を含まない組成物又は水を含む組成物について計算することができる。本明細書で使用される場合、成分の「湿潤質量%」(例えば、「湿潤wt%」、「湿潤質量パーセント」等)は、その成分の質量パーセントの計算において水の質量が含まれている組成物中のその成分の質量パーセントである。例えば、5グラムの成分Aを95グラムの成分B及び100グラムの水に加えた場合の成分Aの乾燥質量パーセントは、5%である(例えば、5g A/(5g A+95g B)×100%)。或いは、5グラムの成分Aを95グラムの成分B及び100グラムの水に加えた場合の成分Aの湿潤質量パーセントは、2.5%である(例えば、5g A/(5g A+95g B+100g水)×100%)。
【0034】
本明細書で使用される場合、「フィトカンナビノイド」という用語は、大麻植物中に天然に存在する一群のカンナビノイドを指し、これには、THC(テトラヒドロカンナビノール)、THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)、CBD(カンナビジオール)、CBDA(カンナビジオール酸)、CBN(カンナビノール)、CBG(カンナビゲロール)、CBC(カンナビクロメン)、CBL(カンナビシクロール)、CBV(カンナビバリン)、THCV(テトラヒドロカンナビバリン)、CBDV(カンナビジバリン)、CBCV(カンナビクロメバリン)、CBGV(カンナビゲロバリン)、CBGM(カンナビゲロールモノメチルエーテル)、CBE(カンナビエルソイン)、及びCBT(カンナビシトラン)、が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で使用される場合、「リン脂質」という用語は、2つの疎水性脂肪酸尾部及びリン酸基からなる親水性頭部を有する脂質を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「中鎖トリグリセリド」という用語は、6~12炭素原子(6、7、8、9、10、11、12)の脂肪族尾部を有する脂肪酸を含む三置換トリグリセリド及びそれらの混合物を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「長鎖トリグリセリド」という用語は、13より多い炭素原子(13、14、15、16、17、18、19、20又はそれ以上)の脂肪族尾部を有する脂肪酸を含む三置換トリグリセリド及びそれらの混合物を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ステロール」という用語は、A環の3位にヒドロキシル基を有するステロイドのサブグループを指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「Cmax」という用語は、その平易かつ通常の意味を与えられ、薬剤が投与された後のその最大(又はピーク)血漿濃度を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「Tmax」という用語は、その平易かつ通常の意味を与えられ、薬剤が投与された後に薬剤が最大血漿濃度に達するのに必要な時間の長さを指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「AUC」という用語は、その平易かつ通常の意味を与えられ、血漿濃度-時間曲線(例えば、血漿中の薬物濃度対時間のプロットにおける定積分)を参照して、曲線下の計算された面積を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「多分散度」又は「PDI」は、粒子の粒径分布の不均一性の程度を説明するために使用される。不均質性指数とも呼ばれるPDIは、相関データに対する2パラメーター適合(キュムラント分析)から計算された数値である。この指数は無次元であり、0.05未満の値が主に高度に単分散の標準で見られるようにスケーリングされている。
【0043】
1つ又は複数の成分に存在する量に言及する場合、「集合的又は個別に」(及びその変形)という用語は、その量が、合わさった成分は、開示された量で提供され得る、又は個々の成分それぞれは、開示された量で提供され得ることを表すことを意図しているという意味を示す。例えば、薬剤A及びBが5%の質量%で組成物中に集合的又は個別に存在すると言及される場合、それは、Aが組成物中にて5wt%であり得、Bが組成物中にて5wt%であり得、又はAとBの組合せが、合計5wt%で存在し得る(A+B=5wt%)ことを意味する。或いは、AとBの両方が存在する場合、Aは5wt%であり得、Bは5wt%であり得、合計10wt%であり得る。
【0044】
CBDは、Δ9-テトラヒドロカンナビノールの向精神効果を欠く、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)(大麻)の主要なフィトカンナビノイド成分である。CBDは1940年に大麻から最初に単離され、1963年に構造的に特徴付けされた。CBDは、単独で又はTHCと一緒に投与した場合、不安、うつ病、炎症、疼痛、及び発作障害を含む様々な障害にわたって幅広い治療特性を有する場合がある。CBDの治療特性のエビデンスは、主に前臨床研究に限定されている。しかし、2018年6月、FDAは、小児発作障害の処置のためにマリファナから単離されたCBDであるEpidiolexの承認を与え、管理された臨床試験環境におけるCBDの利点を証明した。
【0045】
CBDの知名度の高まりとともに、消費者は、その主張されている利点を多数探求している。米国におけるヘンプ由来のCBD製品の小売売上高は、2018年に3億5000万ドル超に達し、今後5年以内に13億ドル超に達すると予想されている。CBD市場が繁栄するにつれ、多くのCBD製造元は、その健康上の利点について根拠のない主張をしたり、不正確な試験室試験結果を報告したりするため、政府の監視下に置かれている。CBD(又は他のフィトカンナビノイド)は非規制サプリメントとして現在入手可能であるが、消費者CBD製品の品質及び安全性には十分な特性評価及び実験室試験が欠けている。2017年の調査では、油、チンキ剤、及び気化液のカテゴリーの消費者CBD製品(n=84)の69%が不正確に報告されていることがわかり(ラベルの主張よりも±10%以上)、規制当局によって、CBD製品の十分な特徴付け及び試験を確実にするための措置が講じられる必要性を強調している。更に、これらの製品を調製するために使用される成分の純度のばらつきによっては、それらの効力がバラバラになり、不純物プロファイルが与えられる。
【0046】
例えば、対象へのCBDの送達のための現在利用可能な組成物では、油抽出物としてCBDが使用される。これらのCBD油は、様々な理由のため不利である。第1に、CBD油は不純物(CBDの固化を防ぐ薬剤等)を含んでいるため、油状で存在する。第2に、これらの不純物はバッチごとに異なり、CBDの品質にばらつきが生じる。更に、これまでのところCBD補充療法はほとんど規制されていないため、CBD濃度のばらつき及びその不純物プロファイルはほとんど確認されていない。一部のCBD油にはTHC又は他の薬剤が含まれている場合がある。THCはカンナビス・サティバにおける向精神剤である。これらの不純物は患者をCBD療法から完全に回避させる可能性があるため、そのような不純物(THC等)を避けるために高純度のCBDを使用することは有利である。
【0047】
現在のCBD製剤は、化合物を十分に分散させ、粒子を形成するためにCBD油を使用しており、このことが問題を悪化させている。CBDを含む親油性粒子を形成するために使用される成分にも、バッチごとに多種多様の不純物及びばらつきがあることが、CBD不純物に関する問題を更に複雑にしている。更に、CBD油を使用する親油性組成物は、CBDの分散を助けるために、リポソーム成分のそれぞれにおける親油性不純物の分布及び/又は多様性に少なくとも部分的に依存することが多い。現在の送達システムは、化合物を十分に可溶化するために化合物の分布に伴いCBD油及び親油性成分を使用する必要があり、CBD油及びそれらを可溶化するために使用される親油性成分は不純物を含むため、これらの混合物の送達及び安定性は予測不可能である。これらの不純物はまた、副作用につながる場合がある。したがって、高純度CBD形態及び純粋かつ/又は均一な成分を利用することができる新しい送達システムが必要である。
【0048】
CBD油はまた、生物学的利用能が低い(吸収が不十分であるため、及びそれらの純度プロファイルにばらつきがあるため)ことにより、追加の問題が生じる。CBDの高純度単離形態は、生物学的利用能がより低いため、作用が更に低下する。例えば、CBD分離形態は、水系(例えば、腸内等)内での溶解度が低いため、経口生物学的利用能が低くなる。高度に精製されたCBDは、固体単離物(例えば、粉末又は結晶形)として存在する。これらの高度に精製された粉末は、それらの非常に高い水不溶性(例えば、疎水性)のために、これまで経口送達用に製剤化されていなかった。実際、本発明者らの知る限り、本開示において開示される脂質系粒子組成物及び方法に先立って、固体CBD単離粉末は、溶解性及び吸収を促進するためのいかなる送達システムにも提供されていなかった。このことは、市販のCBD製品の不純物プロファイルから明らかである。上記のように、利用可能なCBD送達システムではCBD油が利用されている。これらのシステムは、高純度のCBD(CBD結晶組成物又は粉末等)には効果がないことが示されている。
【0049】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、可溶化粒子送達システム(例えば、リポソーム系、水中油型エマルジョン、乾燥リポソーム粒子等)において高純度のCBDを送達することができる脂質系粒子組成物を提供することによって、これら又は他の問題を解決する。例えば、いくつかの実施形態では、開示された脂質系粒子組成物は、以下のうちの1つ又は複数を達成する:それらは、不純物がより少ない、バッチ間のばらつきがより少ない(例えば、安定性、分解プロファイル、効力)、それらは、より多くの送達予測可能性を有する、それらは、患者を処置する際の副作用がより少ない、それらは、より高い生物学的利用能を有する、それらは、活性の開始がより迅速である、それらは、効力がより良好である。本明細書に開示されているのは、消費者製品に対し医薬品開発の完璧さ及び努力を用いて調製されたCBD製品である。いくつかの実施形態では、ナノ脂質送達システムを利用して、別様には実質的に水不溶性分子(例えば、CBD又は他の同様の及び/若しくは疎水性のフィトカンナビノイド及び治療用分子)に、見かけの水溶性及び送達性を付与する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、本明細書に開示されるいくつかの実施形態の品質属性は、高品質かつ再現可能であると判定されている。このような再現性及びばらつきが少ないことにより、製品について異なるバッチの分析証明書を作成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、CBDの生物学的利用能を増加させ、CBDの吸収のための時間を短縮し、CBD又はCBDを含む粒子の安定性を増加させ、送達の一貫性を高め(例えば、バッチ間のばらつきを限定することにより)、及び/又はCBDの効力を高める(より高い投薬量及び/又はより迅速な活性の開始)。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される担体は、約90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の純度を有するCBDを送達することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、CBDが固体(例えば、粉末、結晶性化合物等)として存在するのに十分な純度のCBDを利用する。いくつかの実施形態では、固体CBDは、その純度によって固体であり、不純な
場合にそれを固化させる他の薬剤を欠いている。例えば、いくつかの実施形態では、CBD粉末は、CBDの固化をもたらすマルトデキストリン又は他の添加剤を欠いている。
【0050】
本明細書の他の場所に開示されているように、いくつかの実施形態は、高度に不溶性形態であるCBDの吸収を改善する送達システムに関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物(例えば、CBD出発材料)を調製するために使用されるCBD形態は、水溶性が、約0.05mg/ml、0.01mg/ml、0.012mg/ml、0.001mg/m以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、CBD出発材料の水溶性(及び/又は水溶液中に提供され得るCBDの量)は、約1mg/ml、5mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、50mg/ml、100mg/ml以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲に改善し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物を調製するために使用される疎水性治療剤(例えば、フィトカンナビノイド、ビタミン、又は他の治療剤等)は、水溶性が、約0.05mg/ml、0.01mg/ml、0.012mg/ml、0.001mg/m以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物(例えば、カンナビノイド等)を調製するために使用される疎水性治療剤の溶解度(及び/又は水溶液中で提供され得る治療剤の量)は、約1mg/ml、5mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、50mg/ml、100mg/ml以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲に改善され得る。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態において、疎水性治療剤(CBDを含む)の溶解度は、少なくとも約50%、100%、150%、200%、500%、1000%、10,000%で、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で改善され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、脂質、ナノ粒子系組成物(例えば、リポソーム、固体脂質粒子、水中油型エマルジョン等)は、治療剤の送達を助けるために提供される。いくつかの実施形態では、製剤化される場合、組成物中に存在するCBDの乾燥質量%は、約0.5%、1%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、50%に等しいか若しくは少なくとも約0.5%、1%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、50%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、組成物(水を含む)中に存在するCBDの湿潤質量%は、約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%に等しいか若しくは少なくとも約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、CBDは、約1mg/ml、5mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、50mg/ml、100mg/ml以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で湿潤組成物中に提供され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、本明細書に開示される脂質系粒子組成物において使用されるCBDは、処理(例えば、本明細書に開示される組成物に製剤化する)前に、固体形態(例えば、粉末)で存在することによって示されるように、高純度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組合せを使用して、水中にCBDを含む組成物が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、送達システムは脂質系であってもよく、水中油型エマルジョン(例えば、ナノエマルジョン)、リポソーム、及び/又は固体脂質粒子(例えば、ナノ粒子)を形成する。いくつかの実施形態では、脂質系送達システムは、(本明細書の他の場所に開示されている)ナノ測定範囲の粒子を提供する。いくつかの実施形態では、固体脂質ナノ粒子は、球状又は実質的に球状のナノ粒子である。いくつかの実施形態では、固体脂質ナノ粒子は、親油性分子を可溶化することができる固体脂質コアマトリックスを有する。いくつかの実施形態では、脂質コアは、本明細書の他の場所で開示されているように、界面活性剤及び/又は乳化剤によって安定化されるが、他の実施形態では、界面活性剤は存在しない。いくつかの実施形態では、粒子のサイズを平均直径として測定する。いくつかの実施形態では、粒子のサイズを動的光散乱法によって測定する。いくつかの実施形態では、粒子のサイズをゼータサイザーを使用して測定する。いくつかの実施形態では、粒子のサイズを走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用して測定する。いくつかの実施形態では、粒子のサイズを極低温SEM(クライオSEM)を使用して測定する。ナノ粒子のサイズが本明細書の他の場所に開示されている場合、これらの機器又は方法のいずれか1つ又は複数を使用して、そのようなサイズを測定することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、脂質/ナノ粒子系組成物(例えば、本明細書に開示されるリポソーム組成物、本明細書に開示される固体脂質粒子組成物、本明細書に開示される水中油型エマルジョン組成物、等)、又は単に簡略して組成物は、フィトカンナビノイド及びリン脂質、リン脂質以外の脂質(例えば、リン脂質ではない脂質)、及びステロールのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、組成物は、フィトカンナビノイド、リン脂質、リン脂質以外の脂質(例えば、リン脂質ではない脂質)、及びステロールのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、組成物は水性である(例えば、水を含有する)が、他の実施形態では、組成物は乾燥している(水を欠くか、又は実質的に水を欠く)。いくつかの実施形態では、組成物は、水中のナノ粒子を含む(例えば、溶液、懸濁液、又はエマルジョンとして)。他の実施形態では、組成物は、粉末として提供される(例えば、これを水中で構成又は再構成することができる)。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、組成物の含水量(wt%)は、約10%、5%、2.5%、1%、0.5%、0.1%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、1つ又は複数のフィトカンナビノイドはCBDである。他の実施形態では、1つ又は複数のフィトカンナビノイドは、CBD、THCa、9-THC、8-THC、CBDa、CBC、CBG、CBN、THCV、及び/又はCBGaのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、総潜在THCは、フィトカンナビノイドの0.3質量%を超えず、総潜在THCは、THCa×0.877+9-THC+8-THCとして定義される。いくつかの実施形態では、成分として使用される及び/又は存在する唯一のフィトカンナビノイドは、CBDである。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のフィトカンナビノイド(例えば、CBD)は、集合的又は個別に、約100mg/ml、75mg/ml、50mg/ml、25mg/ml、20mg/ml、10mg/ml、5mg/ml、2.5mg/ml以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で、水性脂質系粒子組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のフィトカンナビノイド(例えば、CBD)は、集合的又は個別に、約100mg/ml、75mg/ml、50mg/ml、25mg/ml、20mg/ml、10mg/ml、5mg/ml以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で、水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のフィトカンナビノイド(例えば、CBD)は、集合的又は個別に、約0.5%、1%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%に等しいか若しくは少なくとも約0.5%、1%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のフィトカンナビノイド(例えば、CBD)は、集合的又は個別に、約0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%に等しいか若しくは少なくとも約0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%、又は前述の値を含む及び/又はそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。
【0056】
いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイドの代わりに、又はフィトカンナビノイドに加えて、脂質系粒子組成物は、異なる治療剤又は活性剤を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、ビタミン、栄養素、植物抽出物、栄養補助食品、医薬品、又は別の有益な薬剤のうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態では、治療剤は親水性である。いくつかの実施形態では、治療剤は疎水性である。いくつかの実施形態では、治療剤は両親媒性である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の治療剤は、集合的又は個別に、約100mg/ml、75mg/ml、50mg/ml、25mg/ml、20mg/ml、10mg/ml、5mg/ml以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で、水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の治療剤は、(集合的又は個別に)、約0.5%、1%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%若しくは少なくとも約0.5%、1%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の治療剤は、(集合的又は個別に)、約0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%若しくは少なくとも約0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%、又は前述の値を含む及び/又はそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、治療剤は、ヌーペプト(N-フェニルアセチルL-プロリルグリシンエチルエステル)(N-phenylacetyl-L-prolyglygice ethyl ester)、メラトニン、ガンマアミノ酪酸(GABA)、その他、それらの組合せ、又は本明細書に開示されるフィトカンナビノイドとの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、親水性組成物を使用する場合、脂質成分と混合する前に、親水性組成物を、水溶性成分と混合する。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、CBDは、CBDの精製された形態である。本明細書の他の場所に開示されているように、いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物を調製するために使用されるCBDは、固体である(例えば、それが固体として存在するのに十分に高い純度のCBDである)。いくつかの実施形態では、CBD(又は他の非THCカンナビノイド)は、約0.01%、0.1%、0.3%、0.5%、1.0%、3.0%、4.0%、5.0%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲のTHC(すべてのTHC異性体及び立体異性体を含む)含有量(質量%)を有する単離物である。いくつかの実施形態では、CBD(又は他の非THCカンナビノイド)は、約0.01%、0.1%、0.3%、0.5%、1.0%、3.0%、4.0%、5.0%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の総潜在THC含有量(質量%)を有する。いくつかの実施形態では、CBD(又は他の非THCカンナビノイド)は、実質的にTHCを含まないか、THCを欠くか、又は検出可能な量のTHCを欠く。いくつかの実施形態では、CBD(又は他の非THCカンナビノイド)は、ヘンプ及び/又はマリファナから単離される。いくつかの実施形態では、CBD(又は他の非THCカンナビノイド)は、マリファナではなくヘンプから単離される。いくつかの実施形態では、CBD(又は他の非THCカンナビノイド)は、ヘンプではなくマリファナから単離される。いくつかの実施形態では、CBD(又は他のカンナビノイド)は、約0.01%、0.1%、0.3%、0.5%、1.0%、2.0%、5.0%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲のテルペン不純物含有量(質量パーセントで)を有する。
【0058】
本明細書の他の場所に開示されているように、いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、1つ又は複数のリン脂質を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のリン脂質は、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールホスフェート、ホスファチジルイノシトールビスホスフェート、及びホスファチジルイノシトールトリスホスフェート、のうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、リン脂質は、ホスファチジルコリンである。いくつかの実施形態では、存在する唯一のリン脂質はホスファチジルコリンである(例えば、リン脂質は、ホスファチジルコリン以外のリン脂質を欠いているか、又は他のリン脂質を実質的に含まない)。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のリン脂質成分(例えば、ホスファチジルコリン、及び/又は他のもの)は、集合的又は個別に、約400mg/ml、300mg/ml、200mg/ml、150mg/ml、100mg/ml、75mg/ml、50mg/ml、25mg/ml以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で、水性組成物中に存在する。例えば、本明細書の他の場所に開示されているように、2つのリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン)が存在する場合、それらのリン脂質は、集合的に50mg/mlの濃度で(例えば、30g/mlのホスファチジルコリン及び20g/mlのホスファチジルエタノールアミン=合計50mg/ml)、又は個別に50mg/mlの濃度で(例えば、50g/mlのホスファチジルコリン及び50g/mlのホスファチジルエタノールアミン)存在し得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のリン脂質は、(集合的又は個別に)約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のリン脂質は、(集合的又は個別に)約2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%、40%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは合成であり、ヒマワリ、大豆、卵、又はそれらの混合物に由来する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のリン脂質(及び/又は脂質)は、水素化であってもよいし、又は非水素化であってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは高純度である。例えば、いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは、H100-3グレード(Lipoid社製)であり、96.3%超のホスファチジルコリン(水素化)又は99%超のホスファチジルコリン(水素化)を含む。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは、約92.5%、95%、96%、96.3%、98%、99%、100%以上の、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の純度を有する。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは、約8.5%、5%、4%、3.7%、2%、1%、0%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%総不純物含有量を有する。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは、約8.5質量%、5質量%、4質量%、3.7質量%、2質量%、1質量%、若しくは0.1質量%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の、飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(C18)、アラキドン酸(ARA)(C20:4)、ドコサヘキサエン酸DHA(C22:6)、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、及び/又はリゾホスファチジルコリンのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンは、約1.1質量%未満のリゾホスファチジルコリン及び約2.0質量%未満のトリグリセリドを有する。
【0060】
本明細書の他の場所に開示されているように、いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、1つ又は複数のステロールを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のステロールは、1つ又は複数のコレステロール、エルゴステロール、ホパノイド、ヒドロキシステロイド、フィトステロール(例えば、Vegapure)、エクジステロイド、及び/又はステロイドを含む。いくつかの実施形態では、ステロールは、コレステロールを含む。いくつかの実施形態では、ステロールは、コレステロールである。いくつかの実施形態では、存在する唯一のステロールはコレステロールである(例えば、ステロールはコレステロール以外のステロールを欠いているか、又は実質的に欠いている)。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のステロール(例えば、コレステロール、及び/又は他のステロール)は、集合的又は個別に、約50mg/ml、40mg/ml、20mg/ml、10mg/ml、5mg/ml以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で、水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のステロールは、約0.25%、0.5%、1%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のステロールは、(集合的又は個別に)約0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%若しくは少なくとも約0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%、又は前述の値を含む及び/又はそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物に使用されるコレステロールは、羊毛、合成コレステロール、又は植物由来の半合成コレステロールのうちの1つ又は複数からのコレステロールを含む。いくつかの実施形態では、ステロールは、約92.5%、95%、96%、98%、99%、99.9%、100.0%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の純度を有する。いくつかの実施形態では、ステロールは、約8.5%、5%、4%、3.7%、2%、1%、0%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%総不純物含有量を有する。いくつかの実施形態では、ステロールは、コレステロールである。いくつかの実施形態では、ステロールは、コレステロールではない。いくつかの実施形態では、ステロールは、フィトステロールである。
【0061】
本明細書の他の場所に開示されているように、いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、脂質(例えば、リン脂質ではない脂質)を含む。いくつかの実施形態では、組成物中に使用される脂質(又は脂質の混合物)は、室温にて液体である。いくつかの実施形態では、脂質は、CBDが可溶性のものである。いくつかの実施形態では、脂質は、1つ若しくは複数のトリグリセリド及び/又は1つ若しくは複数の油を含む。脂質が油であるいくつかの実施形態では、油は、ヘンプ油及び/又はマリファナ油であり得る。いくつかの実施形態では、脂質(例えば、トリグリセリド)は、1つ又は複数の中鎖トリグリセリド(MCT)を含む。いくつかの実施形態では、脂質は、グリセロールと任意の1つ又は複数の中鎖脂肪酸のエステルであり得る1つ又は複数の中鎖トリグリセリドを含む。例えば、いくつかの実施形態では、中鎖トリグリセリドは、長さが6~12炭素(例えば、6、7、8、9、10、11、若しくは12)の脂肪族尾部を有する脂肪酸、又は異なる鎖長の脂肪酸の組合せを含む。したがって、いくつかの実施形態では、MCTは、グリセロールと、脂肪族鎖長が8である1つの脂肪酸、脂肪族鎖長が9である1つの脂肪酸、及び脂肪族鎖長が10である1つの脂肪酸とのトリエステルを含み得る。いくつかの実施形態では、MCTは、グリセロールと、脂肪族鎖が同じ長さである(例えば、それぞれ長さが8である)3つの脂肪酸とのトリエステルを含み得る。いくつかの実施形態では、MCTの中鎖脂肪酸は、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、及び/若しくはラウリン酸、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、脂質は、トリステアリンを含む。いくつかの実施形態では、脂質成分は、1つ又は複数の長鎖トリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、長鎖トリグリセリドは、長さが12炭素より長い(例えば、長さが13、14、15、16、17、18、19、若しくは20炭素以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の)尾部を有する脂肪酸及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、脂質は、長さが6~20炭素の脂肪族鎖長を有する脂肪酸のトリエステルであるトリグリセリドである。いくつかの実施形態では、組成物は長鎖トリグリセリドを欠いてい
る。いくつかの実施形態では、脂質は、トリカプリン、トリラウリン、トリミリスチン、トリパルミチン、及びトリステアリンのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の脂質(例えば、MCT、LCT、又はその両方)は、集合的又は個別に、約400mg/ml、300mg/ml、200mg/ml、150mg/ml、100mg/ml、93mg/ml、75mg/ml、50mg/ml、25mg/ml以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で、水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の脂質は、(集合的又は個別に)約2.5%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の脂質は、(集合的又は個別に)約2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%、40%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、脂質は、約92.5%、95%、96%、98%、99%、99.9%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の純度を有する。いくつかの実施形態では、脂質は、約8.5%、5%、4%、3.7%、2%、1%、0%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%総不純物含有量を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、リン脂質ではない脂質は、MCTでもLCTでもなく、MCT代替物である。いくつかの実施形態では、MCT代替脂質(例えば、非リン脂質)は、オレイン酸、カプリン酸、カプリル酸、及び(Captex 8000、Captex GTO、Captex 1000)等のトリグリセリド、モノオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール(Geleol(商標)モノ及びジグリセリドNF)、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、Tonalin、PronovaPure(登録商標)46:38、遊離脂肪酸Tonalin FFA 80)、共役リノール酸、アルファグリセリルホスホリルコリン(アルファGPC)、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、セチルアルコール、又は乳化ワックス、のうちの1つ又は複数から選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のMCT代替脂質は、(集合的又は個別に)約0.5%、1.0%、2.5%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、80%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、脂質系粒子組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のMCT代替脂質は、(集合的又は個別に)約0.5%、1.0%、2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%、40%、60%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、MCT代替脂質は、約70%、80%、85%、92.5%、95%、96%、98%、99%、99.9%、100%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の純度を有する。いくつかの実施形態では、MCT代替脂質は、約8.5%、5%、4%、3.7%、2%、1%、0%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の質量%総不純物含有量を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、脂質を、約1%、2.5%、5%、7.5%、10%、15%、18%、20%、25%以下(又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲)のwt%でCBDと混合した場合、CBD単離物は可溶性であり、かつ約30日未満の期間安定である(例えば、劣化は、約0.5%、1%、2%、10%、15%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である)。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、非リン脂質はMCTである。
【0064】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、防腐剤を含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、1つ又は複数の安息香酸塩(安息香酸ナトリウム若しくは安息香酸カリウム等)、亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム等)、亜硫酸塩(二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム若しくは亜硫酸カリウム、重亜硫酸塩若しくはメタ重亜硫酸塩等)、ソルビン酸塩(ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(及び/若しくはその二ナトリウム塩)、ポリホスフェート、有機酸(例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、乳酸及びプロピオン酸)、並びに/又は抗酸化剤(例えば、ビタミンE及び/若しくはビタミンC等のビタミン、ブチル化ヒドロキシトルエン)を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の防腐剤は、集合的又は個別に、約10mg/ml、5mg/ml、1mg/ml、0.85mg/ml、0.5mg/ml、0.1mg/ml以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で、水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の防腐剤は、(集合的又は個別に)約0.01%、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の防腐剤は、(集合的又は個別に)約0.001%、0.01%、0.025%、0.05%、0.1%、0.5%、0.75%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、5%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、水性組成物は、約0.85mg/mlのリンゴ酸、約0.85mg/mlのクエン酸、約1mg/mlのソルビン酸カリウム、及び約1mg/mlの安息香酸ナトリウムのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、カビ、細菌、及び真菌の増殖を阻害又は防止する。いくつかの実施形態では、ビタミンEを、0.5mg/mlで加えて、油相において抗酸化剤として作用させる。いくつかの実施形態では、防腐剤濃度は、使用される香味油に応じて変更してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、1つ又は複数の香味剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の香味剤は、集合的又は個別に、約5mg/ml、1.5mg/ml、1.2mg/ml、1mg/ml、0.9mg/ml、0.5mg/ml、0.1mg/ml以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で、水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の香味剤は、(集合的又は個別に)約0.01%、0.1%、0.25%、0.5%、1%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の香味剤は、(集合的又は個別に)約0.001%、0.01%、0.025%、0.05%、0.1%、0.5%、0.75%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、5.0%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物の1つ又は複数の香味剤は、モンクフルーツ抽出物(例えば、MonkGold50)、ステビア、ペパーミント油、レモン油、バニラ等、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.9mg/mlのMonkGold50及び香味料として香味油を含む。香味油の例は、1.2mg/mlのペパーミント及びレモンである。例えば、バニラ等の香味料を複製する乾燥粉末等、油ではない化学物質も香味料に使用することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、水性脂質系粒子組成物は、約8%~約12%の範囲のホスファチジルコリン、約8%~約12%の範囲のMCT、約1%~約5%の範囲のCBD、約0.5%~約4%の範囲のコレステロール、及び約60%~約90%の範囲の水を含む。いくつかの実施形態では、水性組成物は、約0.01%~約1.0%の範囲のビタミンE、約0.01%~約1.0%の範囲のリンゴ酸、約0.01%~約1.0%の範囲のクエン酸、約0.01%~約2.0%の範囲のソルビン酸カリウム、約0.01%~約2.0%の範囲の安息香酸ナトリウム、及び/又は約0.01%~約2.0%の範囲のモンクフルーツ抽出物、のうちの1つ又は複数を更に含む。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、組成物は水性であり、約20mg/mlのCBD、約100mg/mlのホスファチジルコリン、約10mg/mlのコレステロール、及び約93mg/mlのMCTを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、水性脂質系粒子組成物は、約9%~約11%の範囲のホスファチジルコリン、約8%~約10%の範囲のMCT、約1%~約3%の範囲のCBD、約0.5%~約2%の範囲のコレステロール、及び約70%~約80%の範囲の水を含む。いくつかの実施形態では、水性組成物は、約0.01%~約1.0%の範囲のビタミンE、約0.01%~約1.0%の範囲のリンゴ酸、約0.01%~約1.0%の範囲のクエン酸、約0.01%~約2.0%の範囲のソルビン酸カリウム、約0.01%~約2.0%の範囲の安息香酸ナトリウム、及び/又は約0.01%~約2.0%の範囲のモンクフルーツ抽出物、のうちの1つ又は複数を更に含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、(乾燥質量%で)約40%~約50%の範囲のホスファチジルコリン、約35%~約45%の範囲のMCT、約5%~約25%の範囲のCBD、及び約2.5%~約10%の範囲のコレステロールを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、(乾燥質量で)約0.01%~約2.0%の範囲のビタミンE、約0.01%~約2.0%の範囲のリンゴ酸、約0.01%~約2.0%の範囲のクエン酸、約0.01%~約2.0%の範囲のソルビン酸カリウム、約0.01%~約2.0%の範囲の安息香酸ナトリウム、及び/又は約0.01%~約2.0%の範囲のモンクフルーツ抽出物、のうちの1つ又は複数を更に含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、(乾燥質量%で)約42%~約46%の範囲のホスファチジルコリン、約39%~約43%の範囲のMCT、約5%~約15%の範囲のCBD、及び約2.5%~約7%の範囲のコレステロールを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、(乾燥質量で)約0.01%~約2.0%の範囲のビタミンE、約0.01%~約2.0%の範囲のリンゴ酸、約0.01%~約2.0%の範囲のクエン酸、約0.01%~約2.0%の範囲のソルビン酸カリウム、約0.01%~約2.0%の範囲の安息香酸ナトリウム、及び/又は約0.01%~約2.0%の範囲のモンクフルーツ抽出物、のうちの1つ又は複数を更に含む。本明細書の他の場所に開示されているように、成分の比率が異なることによって安定なCBDを含有するナノ粒子が得られるように、組成を変えることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物の固体脂質ナノ粒子は、脂質コアマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、脂質コアマトリックスは固体である。いくつかの実施形態では、固体脂質は、本明細書の他の場所に開示された1つ又は複数の成分を含む。いくつかの実施形態では、固体脂質のコアは、1つ又は複数のトリグリセリド(例えば、トリステアリン)、ジグリセリド(例えば、ベヘン酸グリセロール(glycerol bahenate))、モノグリセリド(例えば、モノステアリン酸グリセロール)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びワックス(例えばパルミチン酸セチル)を含む。いくつかの実施形態では、乳化剤は、(電荷及び分子量に関して)脂質分散を安定化するために使用することができる。いくつかの実施形態では、コア成分及び/又は乳化剤は、(集合的又は個別に)約0.5%、1.0%、2.5%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、80%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、コア成分及び/又は乳化剤は、(集合的又は個別に)約0.5%、1.0%、2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%、40%、60%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、コア成分及び/又は乳化剤は、約70%、80%、85%、92.5%、95%、96%、98%、99%、99.9%、100%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の純度を有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物(例えば、水中又は乾燥させた場合)は、多層ナノ粒子小胞、単層ナノ粒子小胞、多胞性ナノ粒子、エマルジョン粒子、層状構造及びブリッジを有する不規則な粒子、部分的なエマルジョン粒子、層状粒子とエマルジョン粒子との組合せ、及び/又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、複数のタイプの粒子(例えば、層状、エマルジョン、不規則等)を有することを特徴とする。他の実施形態では、存在する粒子の大部分はエマルジョン粒子である。いくつかの実施形態では、存在する粒子の大部分は層状(多層及び/又は単層)である。他の実施形態では、存在する粒子の大部分は不規則な粒子である。更に他の実施形態では、存在する粒子の少数はエマルジョン粒子である。いくつかの実施形態では、存在する粒子の少数は層状(多層及び/又は単層)である。他の実施形態では、存在する粒子の少数は不規則な粒子である。
【0072】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、又は100%に等しいか若しくは少なくとも約5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、又は100%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、多層ナノ粒子小胞である。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約5%、8%、9%、10%、若しくは15%に等しいか又は少なくとも約5%、8%、9%、10%、若しくは15%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、多層ナノ粒子小胞である。いくつかの実施形態では、存在する粒子の約8.6%は多層である。
【0073】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、若しくは100%に等しいか又は少なくとも約5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、若しくは100%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、単層ナノ粒子小胞である。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約5%、8%、9%、10%、15%、若しくは20%に等しいか又は少なくとも約5%、8%、9%、10%、15%、若しくは20%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、単層ナノ粒子小胞である。いくつかの実施形態では、存在する粒子の12.88%は単層である。
【0074】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、若しくは100%に等しいか又は少なくとも約5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、若しくは100%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、エマルジョン粒子である。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約60%、65%、70%、75%、85%、95%、若しくは100%に等しいか又は少なくとも約60%、65%、70%、75%、85%、95%、若しくは100%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、エマルジョン粒子である。いくつかの実施形態では、存在する粒子の69.7%がエマルジョン粒子である。
【0075】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約1%、2%、3%、5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、若しくは100%に等しいか又は少なくとも約1%、2%、3%、5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、若しくは100%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、不規則な粒子(例えば、層状構造及び/又はブリッジを伴う)である。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約1%、2%、3%、5%、8%、9%、若しくは10%に等しいか又は少なくとも約1%、2%、3%、5%、8%、9%、若しくは10%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、不規則な粒子である。いくつかの実施形態では、2.73%は不規則な粒子である。
【0076】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、若しくは100%に等しいか又は少なくとも約5%、8%、9%、10%、15%、25%、50%、75%、85%、95%、若しくは100%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、層状粒子とエマルジョン粒子との組合せである。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)中に存在する粒子のうち、約5%、8%、若しくは9%に等しいか又は少なくとも約5%、8%、若しくは9%(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、層状粒子とエマルジョン粒子との組合せである。いくつかの実施形態では、粒子の6.06%は、層状粒子とエマルジョン粒子との組合せである。
【0077】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、60%~80%の間のエマルジョン粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、7.5%~20%の間の小型単層小胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、5%~15%の間の多層小胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、3%~10%の間の層状粒子とエマルジョン粒子との組合せを含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、1%~6%の間の不規則な粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、65%~75%の間のエマルジョン粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、10%~15%の間の小型単層小胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、5%~12%の間の多層小胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、4%~8%の間の層状粒子とエマルジョン粒子との組合せを含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、1%~4%の間の不規則な粒子を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、60%~80%の間のエマルジョン粒子、7.5%~20%の間の小型単層小胞、5%~15%の間の多層小胞、3%~10%の間の層状粒子とエマルジョン粒子との組合せ、及び1%~6%の間の不規則な粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、65%~75%の間のエマルジョン粒子、10%~15%の間の小型単層小胞、5%~12%の間の多層小胞、4%~8%の間の層状粒子とエマルジョン粒子との組合せ、及び1%~4%の間の不規則な粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、水性組成物)は、69.7%のエマルジョン粒子、12.88%の小型単層小胞、8.64%の多層小胞、6.06%の層状粒子とエマルジョン粒子との組合せ、及び2.73%の間の不規則な粒子を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される水性脂質系組成物は、室温で約1.0、1.05、1.1、1.2、1.5、2.0、5.0、10.0、20、30、50、100以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の粘度を(センチポアズ(cP)単位で)有する。いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、約25℃又は26℃にて及び水中20mg/mlの濃度で、約1.0、1.05、1.1、1.2、1.5、2.0、5.0、10.0、20、30、50、100以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の粘度を(センチポアズ(cP)単位で)有する。いくつかの実施形態では、CBD脂質ナノ粒子水溶液の粘度は、5.0Cp以下である。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるナノ粒子を含むリポソーム及び/又は液体(例えば、水性)組成物を、凍結乾燥させる。凍結乾燥を使用してリポソーム及び/又はナノ粒子系粉末を調製するいくつかの実施形態では、1つ又は複数のリオプロテクタント(lyoprotectant)剤を加えてもよい。いくつかの実施形態では、個々のリオプロテクタント剤は、親油性成分の乾燥質量以下の乾燥質量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、リオプロテクタント剤は、(集合的又は個別に)約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で存在し得る。いくつかの実施形態では、リオプロテクタント剤は、(集合的又は個別に)約2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で存在し得る。いくつかの実施形態ではリオプロテクタントは、ラクトース、デキストロース、トレハロース、アルギニン、グリシン、ヒスチジン、及び/又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0081】
本明細書の他の場所に開示されるように、いくつかの実施形態は、ナノ粒子及び/又はリポソームを含む脂質系粒子組成物を調製する方法に関する。いくつかの実施形態では、組成物を、油中脂質(lipid-in-oil)エマルジョンを形成することによって調製する。いくつかの実施形態では、水中油型エマルジョンは、図1に示されるように、有機溶媒を使用せずに(例えば、有機溶媒を含まない方法で)調製することができる。いくつかの実施形態では、固体成分101を加え、液体成分102に溶解させる。いくつかの実施形態では、例えば、ステロール(例えば、コレステロール)及び/又は治療剤(例えば、フィトカンナビノイド、CBD等)のうちの1つ又は複数を、脂質油(例えば、中鎖トリグリセリド)及び/又はビタミンE中に溶解することができる。いくつかの実施形態では、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン)を、混合しながら加えることができる。いくつかの実施形態では、混合した後に十分に分散した脂質相が形成される場合、水103(例えば、温度が約10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、80℃に等しいか若しくは少なくとも約10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、80℃、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である)を加え、追加の混合104により、水中油型エマルジョン105が達成される。いくつかの実施形態では、次に、水中油型エマルジョンを高剪断混合にかけて、ナノ粒子(例えば、CBDリポソーム)を形成する。いくつかの実施形態では、高剪断混合106を、高剪断分散ユニットを使用して実行するか、又はインラインミキサーを使用してエマルジョンを調製することができる。いくつかの実施形態では、粒子を、溶媒蒸発及び/又は溶媒沈殿によって作製することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、油中脂質エマルジョンを、成分201、例としてリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン)、ステロール(例えば、コレステロール)、治療剤(例えば、フィトカンナビノイド、CBD等)、脂質(例えば、中鎖トリグリセリド)のうちの1つ又は複数、及び/又は防腐剤(例えば、ビタミンE)を、溶媒202中に溶解することによって形成する。いくつかの実施形態では、溶媒は、エタノール、クロロホルム、及び/又は酢酸エチルを含むがこれらに限定されない、1つ又は複数の有機溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、クラスII溶媒、クラスIII溶媒(例えば、ICH Q3C標準による少なくともクラスII及び/又はクラスIII)、又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、成分及び溶媒の溶液を、乾燥させる203。いくつかの実施形態では、乾燥後、成分を、脂質及び/又はリポソームとして、薄いフィルムとして提供し得る。いくつかの実施形態では、溶液を真空下で加熱して蒸発を促進することによって、溶媒を組成物から除去する。いくつかの実施形態では、フィルムを、窒素ガス下で更に乾燥させてもよい。いくつかの実施形態では、脂質フィルムを、温かい水溶液により水和して205、水中油型エマルジョンを形成する。いくつかの実施形態では、高剪断混合206を、高剪断分散ユニットを使用して実行するか、又はインラインミキサーを使用してエマルジョンを調製することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されるように、水中脂質エマルジョンを、マイクロフルイダイザーを使用して高圧均質化にかける。いくつかの実施形態では、高剪断混合を使用して、粒径を縮小することができる。いくつかの実施形態では、水中油型エマルジョンを、マイクロフルイダイザー又は他の高剪断プロセスを使用して、ナノ粒子(例えば、約20~約500nm等)に加工する。いくつかの実施形態では、水中油型エマルジョンを、直径が約80nm~180nm、又は直径が約100nm~約150nmのサイズを有するナノ粒子に加工する。
【0084】
いくつかの実施形態では、水中脂質エマルジョンを、マイクロフルイダイザーに複数回(例えば、1回、2回、3回、4回、5回、10回若しくは又は少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、10回、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で)通過させる。いくつかの実施形態では、エマルジョンを、約5,000PSI、15,000PSI、20,000PSI、25,000PSI、30,000PSI以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の圧力でマイクロフルイダイザーに通過させる。いくつかの実施形態では、エマルジョンを、約30℃、40℃、50℃、65℃、80℃に等しいか若しくは少なくとも約30℃、40℃、50℃、65℃、80℃で、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の温度でマイクロフルイダイザーに通過させる。いくつかの実施形態では、エマルジョンを、少なくともほぼ室温(例えば、約20℃又は約25℃)で、並びに/又は加熱及び/若しくは温度制御をまったく行わないで、マイクロフルイダイザーに通過させる。いくつかの実施形態では、エマルジョンを、約80℃以下の温度でマイクロフルイダイザーに通過させる。いくつかの実施形態では、マイクロフルイダイザーは、75μm~200μmの孔径からなる相互作用チャンバーを含み、エマルジョンをこのチャンバーに通過させる。いくつかの実施形態では、マイクロフルイダイザーの孔径は、約75μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物を、高剪断混合、超音波処理、又は押出によって調製する。
【0085】
いくつかの実施形態では、調製後、脂質系粒子組成物は、ナノ粒子構造を維持しながら、0.2μmフィルターを通過する能力(例えば、10nm、20nm、又は30nm以下の平均ナノ粒子サイズの変化)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、0.2μmを通過した後、粒子の平均直径に、約1%、5%、10%、20%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の変化がある。いくつかの実施形態では、0.2μmを通過した後、粒子のPDIに、約1%、5%、10%、20%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の変化がある。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、脂質系粒子組成物は、GMP製造CBD単離物を含む高純度成分から構成される。いくつかの実施形態では、CBDは、力価及び純度について三重に確認され、無視できる濃度のTHCを有する。いくつかの実施形態では、組成物(及び/又は組成物を構成する1つ又は複数の成分)を、医薬品と同じ基準になるように、高純度の複数公定書記載(multicompendial)成分で製造する。いくつかの実施形態では、組成物を、製薬機器及び文書を使用して製造し、製品が高品質であり、バッチ間で一貫していることを保証する。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されるように、CBDナノ粒子組成物は、水溶液中に容易に分散可能な送達システムにおいて、高不溶性であるCBD(又は別のフィトカンナビノイド)に溶解性を与える。CBD油は水溶液中にあまり分散せず、経口吸収が不十分である。本明細書に開示されたもの以外の方法を使用して作製されたCBD粒子製剤は、粒径が不均一であり、保存すると時間の経過ともに安定でなくなる場合がある。
【0088】
いくつかの実施形態では、有利には、本明細書に開示されるCBDのナノ粒子送達システムは、再現可能に製造することができる。いくつかの実施形態では、組成物の製造方法によって、汚染物質(金属汚染等)の導入が回避される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって調製されたナノ粒子の50%、75%、95%超(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、粒径が約20~約500nmである(ゼータサイジングによって測定して(例えば、屈折率))。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって調製されたナノ粒子の50%、75%、95%超(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、粒径が約50~約200nmである(ゼータサイジングによって測定して(例えば、屈折率))。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって調製されたナノ粒子の50%、75%、95%超(又は前述の値にまたがる及び/又はそれらを含む範囲)は、粒径が約90~約150nmである(ゼータサイジングによって測定して(例えば、屈折率))。いくつかの実施形態では、サイズのこの一貫性によって、対象への予測可能な送達が可能になる。いくつかの実施形態では、D90粒径測定の変化は、150~500nmの間である。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の脂質系送達システムは、長期保存のための水性環境での劣化に対するCBDの保護を提供する。いくつかの実施形態では、CBD組成物は、バッチ間で一貫性のある、長期安定性を有する製品を保証するように十分に特徴付けられている。いくつかの実施形態では、製品の安定性は、外観、粒径及び分布、ゼータ電位、残留溶媒、重金属、CBD濃度及び関連化合物、並びに微生物試験について定型的に試験され、これらの試験方法を使用して測定された値は、(相対湿度60%で25℃にて少なくとも約1か月又は約6か月の期間にわたって)約1%、5%、10%、20%、30%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の変動がある。いくつかの実施形態では、粒径及び/又はPDIは、(相対湿度60%で25℃にて)少なくとも約1か月又は約6か月の期間にわたって約1%、5%、10%、20%、30%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の変動がある。本明細書の他の場所に記載されているように、PDI及びサイズは、本明細書に開示されている従来技術を使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、CBD濃度は、(相対湿度60%で25℃にて)少なくとも約1か月又は約6か月の期間にわたって約1%、5%、10%、15%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の変動がある。本明細書の他の場所に記載されているように、PDI及びサイズは、本明細書に開示されている従来技術を使用して測定することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、6か月、12か月、14か月、16か月、18か月、19か月以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の貯蔵寿命を有する。貯蔵寿命は、応答(CBD濃度又は粒径)の少なくとも50%が仕様限界内にあるという95%の信頼度がある期間として決定することができる。これは、95%の信頼区間を指し、線形回帰により、応答の少なくとも50%が設定された仕様限界内にあると予測される期間である。例えば、図3では、安定性プロット上の破線は95%信頼区間であり、実線は線形回帰である。点は応答である。応答変数は、図3及び4のZ平均粒径又はCBD濃度のいずれかである。いくつかの実施形態では、粒径仕様は、100~200nmであり、CBD濃度仕様は、18~22mg/mLである。これらは、安定性プロット上に、下位仕様(LS)及び上位仕様(US)として示されている。
【0091】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、細菌、カビ、及び真菌の増殖から保護することが証明されている防腐剤を含有する。製品仕様は100cfu/グラム以下である。いくつかの実施形態では、約1か月、約6か月、又は約12か月の期間にわたって、組成物は、50cfu/グラム、10cfu/グラム、5cfu/グラム、1cfu/グラム、0.1cfu/グラム以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲を有する。いくつかの実施形態では、20℃~25℃で1週間、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、大腸菌、カンジダアルビカンス、及びアスペルギルスブラジリエンシスのうちのいずれか1つを用いた105~107CFU/mLのチャレンジ後、組成物は、100cfu/グラム、50cfu/グラム、25cfu/グラム、10cfu/グラム、5cfu/グラム、1cfu/グラム、0.1cfu/グラム以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲を有する。いくつかの実施形態では、20℃~25℃で1週間、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、大腸菌、カンジダアルビカンス、及びアスペルギルスブラジリエンシスのうちのいずれか1つを用いた105~107CFU/mLのチャレンジ後、組成物は、1、2、3、4、5、10以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の細菌について、対数減少を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、他の送達システムとは異なり、本明細書で提供される脂質系粒子組成物成分は、成分の適切な比率及び/又は組合せを提供し、本明細書の他の場所で開示されるように(例えば、長期保存中に)安定性及び効力を維持することが可能になる。
【0093】
いくつかの実施形態では、有利には、開示された脂質系粒子組成物内の個々の粒子は、感知できるほどに沈降又は沈殿しない場合がある。いくつかの実施形態では、静置した場合、感知できる量の組成物(例えば、肉眼で見た場合)は、水性液体から沈降及び/又は分離しない。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、肉眼で見た場合)は、少なくとも約1日、少なくとも約1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約1年以上の間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で静置した場合、感知できるほどに水性液体から沈降又は分離しない。いくつかの実施形態では、静置した場合、組成物は少なくとも約1日、少なくとも約1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約1年間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で水性液体中に分散したままである。いくつかの実施形態では、開示された組成物の均質性の変化は、1週間又は1か月後、約0.5%、1%、5%、7.5%、10%、又は15%以下、(又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲)である。この場合、均質性は、SEM又はクライオ-SEMによる画像を介して観察される(例えば、粒子の平均サイズ及び/又は粒子タイプ)。いくつかの実施形態では、組成物は、遠心分離機にて少なくとも約100m/秒、少なくとも約1000m/秒、又は少なくとも約10,000m/秒の求心加速度で、少なくとも約1分、5分、30分、又は1時間後、水性液体中に分散されたままであり、感知できるほどに水性液体から沈降又は分離しない。いくつかの実施形態では、組成物は、遠心分離機にて5000RPM、10,000RPM、又は15,000RPMの遠心分離速度で、少なくとも約1分、5分、30分、又は1時間後、水性液体中に分散されたままであり、感知できるほどに水性液体から沈降又は分離しない。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、ナノ粒子送達システムは、経口摂取されたときにCBD分子の吸収を助ける。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物によって、CBDが腸に送達され、及び/又は腸を介して吸収されることが可能になる。本明細書の他の場所に開示されているように、いくつかの実施形態は、CBD分子を、保存される水溶液中で(例えば、対象に投与するための水性組成物において)劣化及び/又は沈殿することから保護するための、脂質系ナノ送達システムの使用に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される送達システムの使用は、改善された生物学的利用能及び/又は吸収速度をもたらす。例えば、いくつかの実施形態では、治療薬のCmaxは、開示された実施形態を使用して増加し、Tmaxは、本明細書に開示される実施形態を使用して短縮し、及び/又はAUCは、開示された実施形態を使用して増加する。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示される薬物動態アウトカム(Cmax、Tmax、AUC、t1/2等)を、水性脂質系粒子組成物又は粉末脂質系粒子組成物を使用して(例えば、粉末がそれ自体で、ゲルカプセルで、食品への添加物として供給される場合等で)達成することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、治療薬(例えば、CBD)のCmaxは、他の送達ビヒクルと比較して(例えば、対象への投与後)、開示された実施形態を使用して増加する。いくつかの実施形態では、Cmaxは、CBD単独又は比較実施形態(例えば、CBD油性製品)と比較して、約15%、20%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約15%、20%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、CBDのCmaxは、(CBD油性製品と比較して)、約5%、10%、20%、30%、50%、100%に等しいか若しくは少なくとも約5%、10%、20%、30%、50%、100%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、CBDのCmaxは、(CBD油性製品と比較して)、約10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mLに等しいか若しくは少なくとも約10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。
【0097】
いくつかの実施形態では、対象(例えば、ミニブタ、ヒト等)に、本明細書に開示される実施形態において提供される15mgのCBDを投与した後、CBDのCmaxは、約0.5μg/L、1μg/L、2μg/L、3μg/L、4μg/L、5μg/L、6μg/Lに等しいか若しくは少なくとも約0.5μg/L、1μg/L、2μg/L、3μg/L、4μg/L、5μg/L、6μg/L、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、対象に、本明細書に開示される実施形態において提供される15mg/kgのCBDを投与した後、CBDのCmaxは、約40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、150ng/mL、200ng/mLに等しいか若しくは少なくとも約40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、150ng/mL、200ng/mL、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。
【0098】
いくつかの実施形態では、開示された実施形態のCmaxは、等用量のCBD油性比較ビヒクルと比較して増加している。いくつかの実施形態では、開示された実施形態のCmaxは、CBD油性比較ビヒクルと比較して、約15%、20%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約15%、20%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、これらの薬物動態結果を、水性組成物又は粉末組成物を使用して(粉末がそれ自体で、ゲルカプセルで、食品への添加物として供給される場合等で)達成することができる。場合によっては、開示された実施形態を使用するCmaxは、比較送達システムを使用する場合よりも1.25倍高い(例えば、比較薬のCmax×1.25)。場合によっては、開示された実施形態を使用するCmaxは、比較送達システムを使用する場合よりも約1.25倍高い、1.5倍高い、2倍高い、3倍高いか又は少なくとも約1.25倍高い、1.5倍高い、2倍高い、3倍高い(又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である)。
【0099】
いくつかの実施形態では、開示された実施形態を使用するCBDのTmaxは、他のビヒクルと比較して短縮している。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、対象に、本明細書に開示される実施形態において提供されるCBDを投与した後、CBDのTmaxは、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、8時間以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、対象に、本明細書に開示される実施形態において提供される15mg/kgのCBDを投与した後、CBDのTmaxは、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、8時間以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、対象に、本明細書に開示される実施形態において提供されるCBDを投与した後、CBDのTmaxは、約4時間~約6.5時間の間、又は約3時間~約7時間の間である。いくつかの実施形態では、ヒト患者に、本明細書に開示される実施形態において提供される15mgのCBDを投与した後、CBDのTmaxは、約3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。
【0100】
いくつかの実施形態では、開示された実施形態を使用するCBDのTmaxは、油性CBDビヒクルと比較して改善されている(例えば、Tmaxまでの持続時間がより短い)。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される実施形態を使用して、CBDのTmaxは、同等の送達ビヒクル(例えば、油性CBDビヒクル)と比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、50%に等しいか若しくは少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、50%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で短縮している。いくつかの実施形態では、Tmaxは、CBD単独と比較して、約5%、10%、15%、20%、25%に等しいか若しくは少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で短縮している。いくつかの実施形態では、開示された実施形態のTmaxは、CBD油性比較ビヒクルと比較して、約15%、20%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約15%、20%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で短縮している。いくつかの実施形態では、開示された実施形態のCBDのTmaxは、CBD油性比較ビヒクルと比較して、約15分、30分、45分、1時間、2時間に等しいか若しくは少なくとも約15分、30分、45分、1時間、2時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で短縮している。場合によっては、Tmaxは、比較送達システムを使用して達成されたものの一部である。場合によっては、開示された実施形態を使用するTmaxまでの時間は、比較送達システムのTmaxの0.5倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、又は0.95倍(又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲)である。
【0101】
いくつかの実施形態では、対象(例えば、ミニブタ、ヒト等)に、本明細書に開示される実施形態において提供されるCBD(例えば、15mg/kgの用量)を投与した後、CBDのAUCは、約50ng/mL*時間、100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間、450ng/mL*時間、500ng/mL*時間、550ng/mL*時間、600ng/mL*時間、650ng/mL*時間、700ng/mL*時間、800ng/mL*時間、1000ng/mL*時間に等しいか若しくは少なくとも約50ng/mL*時間、100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間、450ng/mL*時間、500ng/mL*時間、550ng/mL*時間、600ng/mL*時間、650ng/mL*時間、700ng/mL*時間、800ng/mL*時間、1000ng/mL*時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。
【0102】
いくつかの実施形態では、開示された実施形態を使用するCBDのAUCは(CBD又は比較送達ビヒクルと比較して)、約50ng/mL*時間、100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間に等しいか若しくは少なくとも約50ng/mL*時間、100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、開示された実施形態を使用するAUCは(CBD又は比較送達ビヒクルと比較して)、約5%、10%、20%、30%に等しいか若しくは少なくとも約5%、10%、20%、30%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、AUCは、CBD単独又は油混合物中のCBDと比較して、約5%、25%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約5%、25%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で短縮している。場合によっては、開示された実施形態を使用するAUCは、比較送達システムを使用する場合よりも1.25倍高い。場合によっては、開示された実施形態を使用するAUCは、比較送達システムを使用する場合よりも約1.25倍高い、1.5倍高い、2倍高い、3倍高いか又は少なくとも約1.25倍高い、1.5倍高い、2倍高い、3倍高い(又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である)。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、対象に15mg/kgのCBDを投与した後、開示された実施形態を使用した投与から投与後4時間までの期間のAUCは、約40ng/mL*時間、50ng/mL*時間、75ng/mL*時間、100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間、450ng/mL*時間に等しいか若しくは少なくとも約40ng/mL*時間、50ng/mL*時間、75ng/mL*時間、100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間、450ng/mL*時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、対象に15mg/kgのCBDを投与した後、開示された実施形態を使用した投与から投与後4時間までの期間のAUCは、(例えば、CBD又は比較送達ビヒクルと比較して)、約15ng/mL*時間、25ng/mL*時間、50ng/mL*時間、75ng/mL*時間に等しいか若しくは少なくとも約15ng/mL*時間、25ng/mL*時間、50ng/mL*時間、75ng/mL*時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、対象に15mg/kgのCBDを投与した後、開示された実施形態を使用した投与から投与後4時間までの期間のAUCは、(例えば、CBD又は比較送達ビヒクルと比較して)、約5%、10%、20%、25%、30%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約5%、10%、20%、25%、30%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、開示された実施形態を使用する投与から投与後4時間までの期間のAUCは、比較送達システムのAUCの2倍、比較送達システムのAUCの3倍、比較送達システムのAUCの4倍以上である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される、対象への15mg/kgのCBDの投与の後、開示された実施形態を使用した投与後4時間から投与後6時間までの期間のAUCは、約40ng/mL*時間、50ng/mL*時間、75ng/mL*時間、100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間、450ng/mL*時間に等しいか若しくは少なくとも約40ng/mL*時間、50ng/mL*時間、75ng/mL*時間、100ng/mL*時間、200ng/mL*時間、300ng/mL*時間、400ng/mL*時間、450ng/mL*時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、対象に15mg/kgのCBDを投与した後、開示された実施形態を使用した投与後4時間から投与後6時間までの期間のAUCは、(例えば、CBD又は比較送達ビヒクルと比較して)、約15ng/mL*時間、25ng/mL*時間、50ng/mL*時間、75ng/mL*時間に等しいか若しくは少なくとも約15ng/mL*時間、25ng/mL*時間、50ng/mL*時間、75ng/mL*時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、対象に15mg/kgのCBDを投与した後、開示された実施形態を使用した投与後4時間から投与後6時間までの期間のAUCは、(例えば、CBD又は比較送達ビヒクルと比較して)、約5%、10%、20%、25%、30%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約5%、10%、20%、25%、30%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で増加している。いくつかの実施形態では、開示された実施形態を使用する投与後4時間から投与後6時間までの期間のAUCは、比較送達システムのAUCの2倍、比較送達システムのAUCの3倍、比較送達システムのAUCの4倍以上である。
【0105】
いくつかの実施形態では、開示された実施形態を使用するインビボでのCBD(t1/2)の半減期は、他のビヒクルと比較して短縮している可能性がある。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、対象に、本明細書に開示される実施形態において提供されるCBDを投与した後、CBDのt1/2は、約4時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、対象に、本明細書に開示される実施形態において提供されるCBDを投与した後、CBDのt1/2は、約4時間~約6.5時間の間、又は約3時間~約7時間の間である。いくつかの実施形態では、開示された実施形態のt1/2は、CBD油性比較ビヒクルと比較して、約15%、20%、50%、100%、150%、200%に等しいか若しくは少なくとも約15%、20%、50%、100%、150%、200%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で短縮している。いくつかの実施形態では、開示された実施形態のCBDのt1/2は、CBD油性比較ビヒクルと比較して、約15分、30分、45分、1時間、2時間に等しいか若しくは少なくとも約15分、30分、45分、1時間、2時間、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で短縮している。場合によっては、t1/2は、比較送達システムを使用して達成されたものの一部である。場合によっては、開示された実施形態を使用するt1/2までの時間は、比較送達システムのt1/2の0.5倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、又は0.95倍(又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲)である。
【0106】
簡潔にするために、上記で提供されたCmax、Tmax、AUC、及びt1/2の結果は、活性剤としてのCBDに特に関連して開示されている。上記の薬物動態結果(Cmax、Tmax、AUC、及びt1/2を含む)は、本明細書の他の場所に開示されている他のフィトカンナビノイド及び/又は他の治療剤についても予想される。
【0107】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、約10nm、50nm、100nm、250nm、500nm、1000nm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の平均サイズを有するナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約50nm~150nmの間、又は約50~約250nmの間の平均サイズを有するナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、存在する粒子の少なくとも50%、75%、80%、90%(又は前述のパーセンテージを含む及び/又はそれらにまたがる範囲)のナノ粒子の粒径分布は、約20nm、40nm、60nm、80nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、160nm、180nm、200nm、300nm、400nm、500nm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、組成物は、約10nm、50nm、100nm、250nm、500nm、1000nm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の平均サイズを有するナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、存在する粒子の少なくとも90%のナノ粒子の粒径分布は、約20nm、40nm、60nm、80nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、160nm、180nm、200nm、300nm、400nm、500nm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、存在する粒子の少なくとも90%のナノ粒子の粒径分布は、約100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、160nm、180nm、200nm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、存在する粒子のD90は、約80nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、160nm、180nm、200nm、300nm、400nm、500nm以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のサイズは、本明細書の他の場所に開示されている技術のいずれかを使用して測定されたナノ粒子の直径である。例えば、いくつかの実施形態では、ナノ粒子のサイズを、動的光散乱法を使用して測定する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のサイズを、ゼータサイザーを使用して測定する。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物のナノ粒子の平均サイズは、実質的に一定であり、及び/又は時間とともに大幅には変化しない(例えば、それは安定なナノ粒子である)。いくつかの実施形態では、製剤化後及び(例えば、周囲条件で、相対湿度60%で25℃にて、又は本明細書の他の場所に開示されている他の試験条件下で)少なくとも約1か月(30日)、約3か月(90日)、又は約6か月(180日)の期間の保存後、組成物を含むナノ粒子の平均サイズの変化は、約1%、5%、10%、20%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物のナノ粒子の多分散指数(PDI)は、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子の粒径分布は、高度に単分散であり、多分散度指数は、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物のナノ粒子のゼータ電位は、約1mV、3mV、4mV、5mV、6mV、7mV、8mV、10mV、20mV以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位は、約-3mV、-1mV、0mV、1mV、3mV、4mV、5mV、6mV、7mV、8mV、4mV、10mV、20mV以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、粒子のゼータ電位及び/又は直径(例えば、動的光散乱を使用して測定される)を、ゼータサイザー(例えば、Malvern ZS90又は同様の機器)を使用して取得する。
【0111】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、約2、3、4、5、6、6.5、7、8、9以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約2、3、4、5、6、6.5、7、8、9以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲のpHを有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に開示されているように、脂質系粒子組成物は、安定である。いくつかの実施形態では、例えば、製剤化(例えば、本明細書の他の場所に開示される水中の濃度で)及び少なくとも約1か月、3か月、又は約6か月の期間の保存後、ナノ粒子の多分散度の変化は、約1%、5%、10%、20%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、製剤化(例えば、本明細書の他の場所に開示される水中の濃度で)及び少なくとも約1か月、3か月、又は約6か月の期間の保存後、製剤中のCBDの可溶性画分の変化は、約1%、5%、10%、20%、30%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、製剤化後及び(例えば、周囲条件で、相対湿度60%で25℃にて、又は本明細書の他の場所に開示されている他の試験条件下で)少なくとも約1か月又は約6か月の期間の保存後、組成物を含むナノ粒子のPDIの変化は、約1%、5%、10%、20%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、製剤化後及び(例えば、周囲条件で、相対湿度60%で25℃にて、又は本明細書の他の場所に開示されている他の試験条件下で)少なくとも約1か月又は約6か月の期間の保存後、組成物を含むナノ粒子のPDIの変化は、約0.05、0.1、0.2、0.3、0.4以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。
【0113】
いくつかの実施形態では、疑似胃液(例えば、20mg/mLの濃度)に曝露した場合、本明細書に開示される組成物のナノ粒子の粒径は、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、10時間時間以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の期間中に、変化しないか、又は5%未満変化する。いくつかの実施形態では、疑似腸液(例えば、20mg/mLの濃度)に曝露した場合、本明細書に開示されるナノ粒子の粒径は、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、10時間時間以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の期間中に、変化しないか、又は5%未満変化する。いくつかの実施形態では、製剤化(例えば、20mg/mLの濃度で)後、及び疑似胃液中での(例えば、37℃で、又は本明細書の他の場所で開示されている他の試験条件下で)、少なくとも約1時間又は約2時間の期間の保存後、組成物を含むナノ粒子の平均粒径の変化は、約1%、5%、10%、20%、50%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、製剤化(例えば、20mg/mLの濃度で)後、及び疑似胃液中での(例えば、37℃で、又は本明細書の他の場所で開示されている他の試験条件下で)、少なくとも約1時間、約2時間、約3時間、又は約4時間の期間の保存後、組成物を含むナノ粒子のPDIの変化は、約1%、5%、10%、20%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、製剤化(例えば、20mg/mLの濃度で)後、及び疑似胃液中での(例えば、37℃で、又は本明細書の他の場所で開示されている他の試験条件下で)、少なくとも約1時間又は約2時間の期間の保存後、組成物を含むナノ粒子のPDIの変化は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、製剤化(例えば、20mg/mLの濃度で)後、及び疑似腸液中での(例えば、37℃で、又は本明細書の他の場所で開示されている他の試験条件下で、又は本明細書の他の場所で開示されている他の試験条件下で)、少なくとも約1時間又は約2時間の期間の保存後、組成物を含むナノ粒子の平均粒径の変化は、約1%、5%、10%、20%、50%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、製剤化(例えば、20mg/mLの濃度で)後、及び疑似腸液中での、(例えば、37℃で、又は本明細書の他の場所で開示されている他の試験条件下で)、少なくとも約1時間、約2時間、約3時間、又は約4時間の期間の保存後、組成物を含むナノ粒子のPDIの変化は、約1%、5%、10%、20%、100%、150%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、製剤化(例えば、20mg/mLの濃度で)後、及び疑似腸液中での、(例えば、37℃で、又は本明細書の他の場所で開示されている他の試験条件下で)、少なくとも約1時間、約2時間の期間の保存後、組成物を含むナノ粒子のPDIの変化は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。
【0114】
いくつかの実施形態では、組成物の粒径は、室温、冷蔵、及び最高40℃で保存した場合、少なくとも約30日間の期間、一定のままである(約0%、0.5%、1%、2%、3%、5%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲のサイズ変化)。いくつかの実施形態では、組成物中のCBD濃度は、室温、冷蔵、及び最高40℃で保存した場合、少なくとも約30日、60日、90日、又は120日間の期間、一定のままである(約0.5%、1%、2%、3%、5%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の損失)。いくつかの実施形態では、室温、冷蔵、及び最高40℃で保存した場合、組成物は、少なくとも約2週間、30日、2か月、3か月、6か月、9か月、1年、又は前述の測定時間を含む及び/又はそれらにまたがる範囲の期間で、安定である(例えば、ナノ粒子中の粒径又はCBD濃度は、一定のままであり、及び/又は約0.5%、1%、2%、3%、5%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の変化を有する)。
【0115】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物を使用する方法、及び/又は脂質系粒子組成物により対象を処置する方法は、処置を必要とする対象に、有効量の組成物を(例えば、経口、局所等)投与することを含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、送達システム)は、組成物が過酷なpH条件を伴う水性環境の胃及び/又は腸に曝露される、摂取後のCBDの安定性を改善する。いくつかの実施形態では、初期投与用量と比較したCBDの(例えば、対象の血液中の)生物学的利用能は、約10%、20%、50%、75%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲である。いくつかの実施形態では、開示された組成物を使用する場合、送達されたCBDの経口生物学的利用能(AUCを使用して測定される)は、CBD油単独の経口送達と比較して、本明細書に開示された実施形態を使用するとより高い。いくつかの実施形態では、経口生物学的利用能は、CBD油単独よりも、約10%、50%、75%、100%、200%以上、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲で改善される。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物を使用して、少なくとも1つの効果、例えば、少なくとも1つのカンナビノイド(例えば、CBD)に関連し得る治療効果を誘導することができ、これは、対象の望ましくない状態又は疾患の処置又は予防によって、少なくとも1つの効果を誘発、増強、阻止又は低下させることができる。本明細書の他の場所に開示されるように、少なくとも1つの活性剤を、治療剤、すなわち、治療有効量で投与されたときに治療効果を誘導又は調節することができる薬剤の中から選択することができる。いくつかの実施形態では、リン脂質、非リン脂質、ステロール等は、それ自体では治療効果を誘発又は調節しないが、医薬組成物に選択された所望の特徴を与える。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物(例えば、CBDを含むもの)は、処置方法において使用することができ、処置されるべき状態を有する対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象を、本明細書に開示される有効量の組成物(例えば、CBDを含むもの)を対象に投与することによって処置する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物の投与を介して処置される疾患又は状態は、疼痛、不安、発作、倦怠感等のうちの1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、CBDを含むもの)は、(鎮痛剤として)疼痛関連障害、(抗炎症剤として)炎症性障害及び状態、(食欲低下薬又は刺激薬として)食欲(apatite)抑制又は刺激、(制吐薬として)嘔吐及び悪心の症状、腸及び腸管(intestine and bowl)障害、(抗不安薬として)不安に関連する障害及び状態、(抗精神病薬として)精神病に関連する障害及び状態、(抗てんかん薬又は鎮痙薬として)発作及び/又はけいれんに関連する障害及び状態、(抗不眠症として)睡眠障害及び状態、免疫抑制による処置を必要とする障害及び状態、(抗糖尿病薬として)血糖値の上昇に関連する障害及び状態、(神経保護剤として)神経系劣化に関連する障害及び状態、炎症性皮膚障害及び状態(乾癬等)、(抗虚血性作用として)動脈閉塞に関連する障害及び状態、細菌感染症に関連する障害及び状態、真菌感染症に関連する障害及び状態、増殖性障害及び状態、抑制された骨の成長、心的外傷後障害等に関連する障害及び状態、並びにその他、から選択される状態の処置に使用するために提供される。
【0118】
いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物(例えば、CBD、他のフィトカンナビノイド、又は本明細書の他の場所に開示される他の治療薬を含むもの)は、疼痛関連障害、炎症性障害及び状態、食欲(apatite)抑制又は刺激、嘔吐及び悪心の症状、腸及び腸管(intestine and bowl)障害、不安に関連する障害及び状態、精神病に関連する障害及び状態、発作及び/又はけいれんに関連する障害及び状態、睡眠障害及び状態、免疫抑制による処置を必要とする障害及び状態、血糖値の上昇に関連する障害及び状態、神経系劣化に関連する障害及び状態、炎症性皮膚障害及び状態、動脈閉塞に関連する障害及び状態、細菌感染症に関連する障害及び状態、真菌感染症に関連する障害及び状態、増殖性障害及び状態、並びに抑制された骨の成長、心的外傷後障害等に関連する障害及び状態、並びにその他、から選択される状態に罹患している対象の処置方法であって、有効量の本開示の組成物を対象に投与することを含む方法、において使用するために提供される。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の脂質系粒子組成物(例えば、CBD又は他のフィトカンナビノイドを含むもの)は、それ自体で、少なくとも1つの効果、例えば治療効果を誘導するのに使用でき、又は対象の望ましくない状態又は疾患の処置又は予防によって、少なくとも1つの効果を誘発、増強、阻止又は低下させることができる少なくとも1つのカンナビノイドと併用してもよい。少なくとも1つの薬剤(物質、分子、元素、化合物、実体、又はそれらの組合せ)を、治療剤、すなわち、治療有効量で投与されたときに治療効果を誘導又は調節することができる薬剤、及び非治療剤、すなわち、それ自体では治療効果を誘発又は調節しないが、医薬組成物に選択された所望の特徴を与え得るものの中から選択することができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物(例えば、治療剤を含む医薬組成物)を、任意の病状又は状態を処置、予防又は改善するために選択することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療量の組成物又はシステムの投与は、濃縮形態であっても希釈製剤形態であっても、疾患に関連する望ましくない症状を改善するのに、そのような症状が発生する前に、それらの発現を予防するのに、疾患の進行を遅らせるのに、症状の悪化を遅らせるのに、寛解期間の開始を向上させるのに、疾患の進行性慢性段階で引き起こされる不可逆的損傷を遅らせるのに、前記進行性段階の開始を遅延させるのに、重症度を軽減するか、若しくは疾患を治癒させるのに、生存率を改善するのに、又はより迅速に回復するのに、又は疾患の発生を予防するのに、或いは上記の2つ以上の組合せに、効果的である。
【0121】
驚くべきことに、かつ有利には、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、リポソーム及び/又はナノ粒子製剤を調製するために典型的に使用されるいくつかの成分を必要としない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、レシチン界面活性剤、ヒアルロン酸、Alcolec S、Alcolec BS、Alcolec XTRA-A、ポリソルベート(例として、ポリソルベート80、ポリソルベート20)、モノグリセリド、ジグリセリド、オレイン酸グリセリル、ポロキサマー、テルペン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、L-アルギンネート、コンドロイチン、ポリガンマグルタミン酸、ゼラチン、キトサン、コーンスターチ、ポリオキシル40-ヒドロキシヒマシ油、Tween20、Span80、又はそれらのいずれかの塩、が欠乏しており、それらのうちの1つ又は複数を2%未満、及び/又は約0.5%未満含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、界面活性剤が欠乏しており、2%未満、及び/又は約0.5%未満の界面活性剤を含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるCBD脂質系粒子組成物は、THCa、9-THC、8-THC、CBDa、CBC、CBG、CBN、THCV、及び/又はCBGaが欠乏しており、それらのうちの1つ又は複数を2%未満、及び/又は約0.5%未満含有する。いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、非水素化リン脂質が欠乏している。いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、水素化リン脂質が欠乏している。いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、1つ又は複数の非水素化又は水素化リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、緩衝剤、ポリマー安定剤、又は水酸化ナトリウムが欠乏しており、それらのうちの1つ若しくは複数を2%未満、及び/又は約0.5%未満含有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、ナノ粒子構造であって、液体脂質及びカンナビノイドをカプセル化する必須リン脂質の外側単層膜を含む構造を欠いている。本明細書で使用される場合、必須リン脂質は、リン脂質の特徴的な脂肪酸脂質系粒子組成物の抽出物であり、これは、特に高い含有量の多価不飽和脂肪酸、主としてリノール酸(およそ70%)、リノール酸及びオレイン酸を特徴とし、75%を超える高含有量の(3-sn-ホスファチジル)コリンを含む。ホスファチジルコリン分子の他に、必須リン脂質画分としては、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール及び他の脂質が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、非天然成分を欠いている。いくつかの実施形態では、開示される脂質系粒子組成物は合成であり、天然には見られない。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、有機塩基(これには、ブチルヒドロキシルアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシルトルエン(BHT)、及びアスコルビン酸ナトリウムが含まれ得るが、これらに限定されない)が欠乏しており、それらのうちの1つ又は複数を2%未満、及び/又は約0.5%未満含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、ホエータンパク質単離物が欠乏しており、2%未満、及び/又は約0.5%未満のホエータンパク質単離物を含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、TICAmulsion 3020、ピュリティガム(PURITY GUM)、アラビアガム、及び/又は改変アラビアガムが欠乏しており、2%未満、及び/又は約0.5%未満のTICAmulsion 3020、ピュリティガム(PURITY GUM)、アラビアガム、及び/又は改変アラビアガムを含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、脂肪酸、トリグリセリド、トリアシルグリセロール、アシルグリセロール、脂肪、ワックス、スフィンゴ脂質、グリセリド、ステリド、セリド、グリコリピド、スルホリピド、リポタンパク質、カイロミクロン、及びこれらの脂質の誘導体、が欠乏しており、それらのうちの1つ又は複数を2%未満、及び/又は約0.5%未満含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、界面活性剤が欠乏しており、2%未満、及び/又は約0.5%未満の界面活性剤を含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、中鎖~長鎖モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドのポリグリコール化グリセリド及びポリオキシエチレングリセリド、例として:アーモンド油PEG-6エステル、アーモンド油PEG-60エステル、アプリコット核油PEG-6エステル(Labrafil(登録商標)M1944CS)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドPEG-4エステル(Labrafac(登録商標)Hydro WL1219)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドPEG-4複合体(Labrafac(登録商標)親水性物質)、カプリル酸/カプリン酸グリセリドPEG-6エステル(Softigen(登録商標)767)、カプリル酸/カプリン酸グリセリドPEG-8エステル(Labrasol(登録商標))、ヒマシ油PEG-50エステル、硬化ヒマシ油PEG-5エステル、硬化ヒマシ油PEG-7エステル、9硬化ヒマシ油PEG-9エステル、トウモロコシ油PEG-6エステル(Labrafil(登録商標)M2125CS)、トウモロコシ油PEG-8エステル(Labrafil(登録商標)WL2609BS)、トウモロコシグリセリドPEG-60エステル、オリーブ油PEG-6エステル(Labrafil(登録商標)M1980CS)、硬化パーム/パーム核油PEG-6エステル(Labrafil(登録商標)M2130BS)、パーム核油、PEG-6、パーム油を含む硬化パーム/パーム核油PEG-6エステル(Labrafil(登録商標)M2130CS)、パーム核油PEG-40エステル、ピーナッツオイルPEG-6エステル(Labrafil(登録商標)M1969CS)、ラウリン酸グリセリル/PEG-32ラウレート(Gelucire(登録商標)44/14)、グリセリルラウレートグリセリル/PEG20ラウレート、グリセリルラウレートグリセリル/PEG32ラウレート、グリセリル、グリセリルラウレート/PEG40ラウレート、オレイン酸グリセリル/PEG-20グリセリル、オレイン酸グリセリル/オレイン酸PEG-30、パルミトステアリン酸グリセリル/PEG-32パルミトステアレート(Gelucire(登録商標)50/13)、ステアリン酸グリセリル/PEGステアレート、ステアリン酸グリセリル/PEG-32ステアレート(Gelucire(登録商標)53/10)、飽和ポリグリコール化グリセリド(Gelucire(登録商標)37/02及びGelucire(登録商標)50/02)、トリイソステアリンPEG-6エステル(すなわち、Labrafil(登録商標)Isostearique)、トリオレインPEG-6エステル、トリオレエートPEG-25エステル、ポリオキシル35ヒマシ油(Cremophor(登録商標)EL又はKolliphor(登録商標)EL)、ポリオキシル40硬化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH40又はKolliphor(登録商標)RH40)、ポリオキシル60硬化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH60)、ポリグリコール化誘導体及び中鎖~長鎖脂肪酸のポリオキシエチレンエステル又はエーテル誘導体、中鎖~長鎖脂肪酸のプロピレングリコールエステル、これらを使用することができ、カプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、モノオレイン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、グリセリルジラウレート、グリセリルジオレエート、グリセリルモノ/ジオレエート、ポリグリセリル-10トリオレエート、ポリグリセリル-10ラウレート、ポリグリセリル-10オレエート、及びポリグリセリル-10モノジオレエート、プロピレングリコールカプリレート/カプレート(Labrafac(登録商標)PC)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Miglyol(登録商標)840)、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールリシノレエート、プロピレングリコールモノオレエート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールジオクタノエート、スクロースエステル界面活性剤、例としてステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、オレイン酸スクロース、並びにそれらの組合せを含むもの、が欠乏しており、それらのうちの1つ又は複数を2%未満、及び/又は約0.5%未満含有する。
【0124】
いくつかの実施形態はまた、開示される組成物を(本明細書の他の場所に開示されるように)作製するための方法及び投与するための方法を包含する。本明細書に開示される脂質系粒子組成物を投与する複数の技術が存在し、経口、直腸、局所、エアロゾル、注射及び非経口送達を含み、筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、髄腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内及び眼内注射を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、投与は、経口経路を介して行われ、エマルジョン、カプセル、錠剤、フィルム、チューインガム、座薬、顆粒、ペレット、スプレー、シロップ、又は他のそのような形態での投与を含む。そのような投与様式の更なる例として、及び投与様式の更なる開示として、本明細書に開示されるのは、眼内、鼻腔内、及び耳介内経路を介した投与様式を含む、開示された組成物の投与のための種々の方法である。局所が提供されるいくつかの実施形態では、局所浸透促進剤を含んでもよく、以下:ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、エタノール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、ポリビニルアルコール、Capryol(商標)90、Labrafil M1944 CS、Labrasol、Labrasol ALF、Lauroglycol(商標)90、Transcutol HP、Capmul S12L、Campul PG-23 EP/NF、Campul PG-8NF、から選択することができるが、それらを含まなくてもよい。局所としては、Lipoid社のSkin Lipid Matrix 2026テクノロジー、脂質/油性成分、又は油溶性成分のうちの1つ又は複数を挙げてもよく、皮膚浸透促進剤としてのCaptex 170 EP、アルガン油、メントール、アルニカ油、樟脳、グレープフルーツ種子油、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド、局所鎮痛薬、例として、リドカイン、ウィンターグリーン油、テルペン、例としてグアイアコールが挙げられる。いくつかの実施形態では、これらの成分の任意の1つ又は複数は、約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、局所用組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、これらの成分の任意の1つ又は複数は、約2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%に等しいか若しくは少なくとも約2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、局所中に存在する。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質系粒子組成物は、好適な担体、希釈剤、又は賦形剤、例として滅菌水、生理食塩水、グルコース等と混合することができ、投与経路及び所望の調製に応じて、補助物質、例として湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化又は粘度増強添加剤、防腐剤、香味剤、着色剤等を含むことができる。例えば、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」、Lippincott Williams & Wilkins;第20版(2003年6月1日)及び「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Pub. Co.;第18版及び第19版(それぞれ1985年12月及び1990年6月)を参照のこと。いくつかの実施形態では、これらの追加の薬剤は、加えられない。そのような調製物としては、リポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、及び/又は単層若しくは多層小胞を挙げることができる。
【0126】
経口投与の場合、医薬脂質系粒子組成物を、錠剤、水性若しくは油性懸濁液、分散性粉末若しくは顆粒(食品添加物、飲料添加物等として)、エマルジョン、硬質又は軟質カプセル、シロップ又はエリキシルとして提供することができる。経口使用を目的とした組成物は、以下の薬剤:甘味剤、香味剤、着色剤、及び防腐剤のうちの1つ又は複数を含むことができる。経口使用のための製剤は、ゼラチンカプセルとして提供することもできる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される粉末組成物を、ゼラチンカプセルに加える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるナノ粒子組成物中の活性成分を、不活性固体希釈剤、例として炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、若しくはカオリンと混合し、又はソフトゼラチンカプセルとする。ソフトカプセルでは、活性化合物を水等の好適な液体に溶解又は懸濁することができる。経口投与用に製剤化された安定剤及びミクロスフェアも使用することができる。カプセル剤としては、ゼラチンから作製されたプッシュフィットカプセル、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトール等の可塑剤から作製された軟質の密封されたカプセルを挙げることができる。
【0127】
カプセル製剤において、トレハロースを加えることができる。いくつかの実施形態では、トレハロースは、脂質系粒子組成物中に、約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で存在する。いくつかの実施形態では、トレハロースは、約2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%に等しいか若しくは少なくとも約2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。
【0128】
本明細書の他の場所に記載されているように、いくつかの実施形態では、脂質系粒子組成物は、テルペンを欠いている(例えば、不純物又は添加剤として)。しかし、他の実施形態では、1つ又は複数のテルペンを加えて、ナノ粒子組成物を調製することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のテルペンは、1つ又は複数のαフェンコン、αテルピネン、αテルピネオール、βカリオフィレン、αピネン、βピネン、ビサボレン、ビサボロール、ボルネオール、ユーカリプトール、γテルピネン、グアヤコール、フムレン、リナロール、ミルセン、パラシメン、フィトール、及び/又はテルピノレンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のテルペンは、集合的又は個別に、約400mg/ml、300mg/ml、200mg/ml、150mg/ml、100mg/ml、75mg/ml、50mg/ml、25mg/ml以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の濃度で、水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のテルペンは、(集合的又は個別に)約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の乾燥wt%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のテルペンは、(集合的又は個別に)約2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、20%、30%、40%以下、又は前述の値を含む及び/若しくはそれらにまたがる範囲の湿潤wt%で、組成物中に存在する。
【0129】
乾燥粉末製剤又は液体の実施形態はまた、様々な消費者製品に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、乾燥粉末を、任意の消費者製品に加えることができる(例えば、小包からすくい取る、ディスペンサーから噴出させる、等)。いくつかの実施形態では、液体製剤を加え、測定し、任意の消費者製品に注ぐことができる。いくつかの実施形態では、消費者製品としては、1つ又は複数のアルコール飲料、牛乳(乳製品だけでなく、アーモンドジュース等のナッツ「牛乳」)、コーヒー、ソーダ、茶、発酵飲料、ワイン、栄養補助食品、スムージー、単純な水、スポーツドリンク、スパークリングウォーター等を挙げることができる。いくつかの実施形態では、消費者製品としては、1つ又は複数の点眼薬、マウスウォッシュ、ローション/クリーム/美容液、リップクリーム、ヘアケア製品、防臭剤、鼻液、浣腸液、液体石鹸、固形石鹸等を挙げることができる。いくつかの実施形態では、消費者製品としては、1つ又は複数の食品を挙げることができる。いくつかの実施形態では、消費者製品としては、デザートを挙げることができる。いくつかの実施形態では、消費者製品としては、マルチサービング製品(例えば、徳用サイズ)のシングルサービング製品を挙げることができる。いくつかの実施形態では、消費者製品としては、1つ又は複数の乾燥製品(例えば、小麦粉、コーヒークリーマー、プロテインシェイク、栄養補助食品等)を挙げることができる。いくつかの実施形態では、これらの乾燥製品を、使用のために再構成されるように構成することができる。いくつかの実施形態では、消費者製品としては、他の栄養補助食品(例えば、マルチビタミン、グミ等)に加えることができる1つ又は複数の乾燥製品を挙げることができる。
【0130】
組成物及び方法のいくつかの例示的な実施形態を開示する。本開示では、ある特定の例示的な実施形態及び使用に関して説明されてきたが、本明細書に記載の特色及び利点のすべてを提供しない実施形態及び使用を含む、他の実施形態及び他の使用もまた、本開示の範囲内である。構成要素、要素、特色、作用、又は工程は、記載されたものとは異なる方法で配置又は実行することができ、構成要素、要素、特色、作用、又は工程は、種々の実施形態で組み合わせる、マージする、追加する、又は除外することができる。本明細書に記載の要素及び構成要素のすべての可能な組合せ及び部分的組合せは、本開示に含まれることを意図している。単一の特色又は特色の群は、必要又は必須ではない。
【0131】
別個の実装との関係において、本開示に記載されているある特定の特色はまた、単一の実装において組み合わせて実装され得る。逆に、単一の実装との関係において記載されている種々の特色は、複数の実装において別個に、又は任意の好適な部分的に組み合わせて実装することもできる。更に、特色を、ある特定の組合せで作用するものとして上記に記載することができるが、特許請求された組合せからの1つ又は複数の特色を、場合によっては組合せから切り出すことができ、組合せは、部分的組合せ又は部分的組合せの変形として特許請求することができる。
【0132】
本開示の一実施形態、フローチャート、若しくは実施例で開示又は図示された工程、プロセス、構造、及び/又は装置のいずれかの任意の部分は、異なる実施形態、フローチャート、若しくは実施例で開示又は図示された工程、プロセス、構造、及び/又は装置のいずれかの任意の他の部分と(又はその代わりに)組み合わせるか、又は使用することができる。本明細書に記載の実施形態及び実施例は、別個であり互いに分離することを意図するものではない。開示された特色の組合せ、変形、及び他の実装は、本開示の範囲内にある。
【0133】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を実行するか、又は所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、いくつかの実施形態では、文脈が決定し得るように、「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、記載された量の10%以下のうちの量を指す場合がある。本明細書で使用される「一般的に」という用語は、特定の値、量、又は特徴を主に含むか、又はその傾向がある値、量、又は特徴を表す。
【0134】
本明細書において使用される条件語句、例としてとりわけ「できる」、「あり得る」、「場合がある」、「してもよい」、「例えば」、等は、特に明記しない限り、又は使用されている文脈内で別様に理解されない限り、ある特定の実施形態が、他の実施形態が含まないにもかかわらず、ある特定の特色、要素、及び/又は工程を含むことを伝えることが一般的に意図されている。したがって、そのような条件語句は、特色、要素、及び/又は工程が1つ又は複数の実施形態のためにいずれかの方法で必要とされる、又はこれらの特色、要素及び/又は工程が、任意の特定の実施形態に含まれるか、又は任意の特定の実施形態において実行されるべきものであるということを一般的に意味することを意図するものではない。「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」等の用語は同義であり、オープンエンドな方法で包括的に使用され、追加の要素、特色、作用、操作等を除外するものではない。また、「又は」という用語は、その包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されるため、例えば、要素のリストに関連させるように使用される場合、「又は」という用語は、リスト中の要素の1つ、いくつか、又はすべてを意味する。
【0135】
「X、Y、及びZの少なくとも1つ」という句等の接続語は、特に明記しない限り、項目、用語等がX、Y、又はZいずれかであり得ることを伝えるために一般的に使用される文脈において、別様に理解される。したがって、そのような接続語は、ある特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つの存在を必要とすることを意味することを一般に意図するものではない。
【0136】
更に、例示的な実施形態が説明されているが、同等の要素、修正、省略、及び/又は組合せを有する任意の実施形態もまた、本開示の範囲内である。更に、ある特定の態様、利点、及び新規の特色が本明細書に記載されているが、必ずしも、すべてのそのような利点を特定の実施形態に従って達成することができるとは限らない。例えば、本開示の範囲内のいくつかの実施形態により、本明細書で教示又は示唆される他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点又は一群の利点が達成される。更に、いくつかの実施形態により、本明細書で教示又は示唆されるものとは異なる利点を達成することができる。
【0137】
列挙された実施形態
以下は、本発明のある特定の実施形態を説明するために提供される。
【0138】
1.ナノ粒子組成物であって、
製剤化する前に固体及び/又は粉末状態でナノ粒子組成物中に存在するのに十分な純度のカンナビジオール(CBD)と;
リン脂質と;
コレステロールと;
中鎖トリグリセリドと
を含むナノ粒子;及び

を含み、
ナノ粒子は、約75nm~約500nmの範囲の平均サイズを有し;
1か月の期間保存すると、ナノ粒子の平均サイズの変化は、約20%未満である、ナノ粒子組成物。
【0139】
2.リポソーム及び/又は水中油型ナノエマルジョンの形態である、実施形態1に記載の組成物。
【0140】
3.少なくとも約12時間静置した場合、感知できる量のナノ粒子組成物が、水から沈降及び/又は分離しない、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0141】
4.乾燥するまで濃縮してナノ粒子の粉末製剤を得る場合、ナノ粒子の粉末が再構成されて、ナノ粒子組成物を提供できるように構成される、実施形態1から3のいずれか1つに記載の組成物。
【0142】
5.CBDが、約25mg/ml以下の量で存在する、実施形態1から4のいずれか1つに記載の組成物。
【0143】
6.ホスファチジルコリンが、約100mg/ml以下の量で存在する、実施形態1から5のいずれか1つに記載の組成物。
【0144】
7.コレステロールが、約25mg/ml以下の量で存在する、実施形態1から6のいずれか1つに記載の組成物。
【0145】
8.脂質が、約100mg/ml以下の量で存在する、実施形態1から7のいずれか1つに記載の組成物。
【0146】
9.脂質が、ヘンプ油を含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載の組成物。
【0147】
10.防腐剤を更に含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載の組成物。
【0148】
11.防腐剤が、リンゴ酸、クエン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、及びビタミンEのうちの1つ又は複数を含む、実施形態10に記載の組成物。
【0149】
12.リンゴ酸が、約0.85mg/ml以下の量で存在する、実施形態11に記載の組成物。
【0150】
13.クエン酸が、約0.85mg/ml以下の量で存在する、実施形態11に記載の組成物。
【0151】
14.ソルビン酸カリウムが、約1mg/ml以下の量で存在する、実施形態11に記載の組成物。
【0152】
15.安息香酸ナトリウムが、約1mg/ml以下の量で存在する、実施形態11に記載の組成物。
【0153】
16.香味剤を更に含む、実施形態1から15のいずれか1つに記載の組成物。
【0154】
17.ナノ粒子組成物であって、
リン脂質と;
トリグリセリドと;
ステロールと;
フィトカンナビノイドと
を含むナノ粒子;及び

を含み、
少なくとも約12時間静置した場合、感知できる量のナノ粒子組成物は、水から沈降及び/又は分離しない、ナノ粒子組成物。
【0155】
18.リン脂質が、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールホスフェート、ホスファチジルイノシトールビスホスフェート、及びホスファチジルイノシトールトリスホスフェート、からなる群から選択される、実施形態17に記載の組成物。
【0156】
19.トリグリセリドが中鎖トリグリセリドである、実施形態17又は18に記載の組成物。
【0157】
20.中鎖トリグリセリドが、カプロン酸、オクタン酸、カプリン酸、及び/又はラウリン酸のうちの1つ又は複数を含む、実施形態19に記載の組成物。
【0158】
21.ステロールがコレステロールである、実施形態17から20のいずれか1つに記載の組成物。
【0159】
22.フィトカンナビノイドがカンナビジオールである、実施形態17から21のいずれか1つに記載の組成物。
【0160】
23.処置を必要とする患者を処置する方法であって、有効量の実施形態1から22のいずれか1つの組成物を患者に投与することを含む、方法。
【0161】
24.フィトカンナビノイドのナノ粒子組成物を製造する方法であって、
フィトカンナビノイドと1つ又は複数のリン脂質とを混合して溶液を提供する工程と、
溶液をマイクロフルイダイザーに通過させる工程と
を含む、方法。
【0162】
25.溶液に1つ又は複数のステロールを加えることを更に含む、実施形態24に記載の方法。
【0163】
26.溶液に1つ又は複数の脂質を加えることを更に含む、実施形態24又は25に記載の方法。
【0164】
27.フィトカンナビノイドのナノ粒子組成物を製造する方法であって、
フィトカンナビノイドと1つ又は複数のリン脂質とを混合して溶液を提供する工程と;
溶液を乾燥させて、実質的に固体製品を提供する工程と;
水中で製品を構成して再構成された溶液を提供する工程と;
再構成された溶液をマイクロフルイダイザーに通す工程と
を含む、方法。
【0165】
28.溶液に1つ又は複数のステロールを加えることを更に含む、実施形態27に記載の方法。
【0166】
29.溶液に1つ又は複数の脂質を加えることを更に含む、実施形態27又は28に記載の方法。
【0167】
30.脂質系粒子組成物であって、
組成物中1%~10%の範囲の質量パーセントの、製剤化する前に固体及び/又は粉末状態でナノ粒子組成物中に存在するのに十分な純度のカンナビジオール(CBD)と;
組成物中2.5%~15%の範囲の質量パーセントのホスファチジルコリンと;
組成物中0.5%~5%の範囲の質量パーセントのステロールと;
組成物中2.5%~15%の範囲の質量パーセントの中鎖トリグリセリドと
を含むナノ粒子、及び
組成物中60%~80%の範囲の質量パーセントの水
を含み、
ナノ粒子は、約75nm~約175nmの範囲の平均サイズを有し;
1か月の期間保存すると、ナノ粒子の平均サイズの変化は、約20%未満である、脂質系粒子組成物。
【0168】
31.リポソーム及び/又は水中油型ナノエマルジョンの形態である、実施形態30に記載の脂質系粒子組成物。
【0169】
32.少なくとも約12時間静置した場合、感知できる量のナノ粒子組成物が、水から沈降及び/又は分離しない、実施形態30又は31の脂質系粒子組成物。
【0170】
33.乾燥するまで濃縮してナノ粒子の粉末製剤を得る場合、ナノ粒子の粉末が再構成されて、ナノ粒子組成物を提供できるように構成される、実施形態30から32のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0171】
34.CBDのTmaxが4.5時間未満である、実施形態30から33のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0172】
35.1か月の期間保存すると、ナノ粒子の平均サイズの変化が、約20%未満である、実施形態30から34のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0173】
36.組成物中のナノ粒子の多分散度が、0.15以下である、実施形態30から35のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0174】
37.25℃及び60%相対湿度で90日保存すると、ナノ粒子の多分散度の変化が、10%以下ある、実施形態30から36のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0175】
38.25℃及び60%相対湿度で90日保存すると、ナノ粒子の多分散度の変化は、0.1以下である、実施形態30から37のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0176】
39.25℃及び60%相対湿度で18か月より長い保存寿命を有する、実施形態30から38のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0177】
40.25℃及び60%相対湿度で90日保存すると、ナノ粒子のD90の変化が、10%以下である、実施形態30から39のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0178】
41.15mg/kgの経口投与後、80ng/mlの最大濃度(Cmax)を有する、実施形態30から40のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0179】
42.脂質系粒子組成物であって、
組成物中5%~15%の範囲の質量パーセントの、製剤化する前に固体及び/又は粉末状態でナノ粒子組成物中に存在するのに十分な純度のカンナビジオール(CBD)と;
組成物中35%~60%の範囲の質量パーセントのホスファチジルコリンと;
組成物中2.5%~10%の範囲の質量パーセントのステロールと;
組成物中35%~50%の範囲の質量パーセントの中鎖トリグリセリドと
を含むナノ粒子を含み、
組成物は、15mg/kgの経口投与後、80ng/mlのCmaxを有する、脂質系粒子組成物。
【0180】
43.脂質系粒子組成物が、乾燥粉末として提供される、実施形態42に記載の脂質系粒子組成物。
【0181】
44.粉末が、水中で再構成されて水溶液が得られるように構成される、実施形態43に記載の脂質系粒子。
【0182】
45.再構成時に、水溶液内のナノ粒子が、約75nm~約175nmの範囲の平均サイズを有する、実施形態43又は44の脂質系粒子。
【0183】
46.防腐剤を更に含む、実施形態30から45のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0184】
47.防腐剤が、リンゴ酸、クエン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、及びビタミンEのうちの1つ又は複数を含む、実施形態46に記載の脂質系粒子。
【0185】
48.ステロールがコレステロールである、実施形態30から47のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0186】
49.香味剤を更に含む、実施形態30から48のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物。
【0187】
50.処置を必要とする患者を処置する方法であって、有効量の実施形態30から49のいずれか1つに記載の脂質系粒子組成物を患者に投与することを含む、方法。
【0188】
51.フィトカンナビノイドのナノ粒子組成物を製造する方法であって、
フィトカンナビノイドを提供する工程と;
ホスファチジルコリンを提供する工程と;
中鎖トリグリセリドを提供する工程と;
中鎖トリグリセリド、ホスファチジルコリン、及びフィトカンナビノイドを混合して溶液を提供する工程と;
溶液をマイクロフルイダイザーに通過させて、脂質系粒子組成物を提供する工程と
を含む、方法。
【0189】
52.溶液に1つ又は複数のステロールを加えることを更に含む、実施形態51に記載の方法。
【0190】
53.溶液に水を加えることを更に含む、実施形態51又は52に記載の方法。
【実施例
【0191】
以下の実施例は、本開示の種々の実施形態を説明する目的で与えられており、どのような形でも本開示を限定することを意図するものではない。当業者は、本開示が、目的を実行し、言及された目標及び利点、並びに本明細書に固有の目的、目標及び利点を得るのに十分に適合していることを容易に理解するであろう。特許請求の範囲によって定義される開示の精神に包含されるその中の変更及び他の使用が、当業者に生じるであろう。製剤は、本明細書に開示される成分プロファイル及び技術を使用して調製された。粒径、CBD濃度、及び製品の安定性に対する製剤のいくつかの品質属性の影響を判定した。そのような製品属性には、脂質に対するCBDの比及び防腐剤系及びpHの全体的な影響が含まれていた。製品の溶解及び安定性を、疑似胃液及び腸液において測定した。更に、本明細書に開示される実施形態の経口薬物動態を、ミニブタモデルにおいて測定し、2つの油性市販製品と比較した。本明細書に開示される実施形態の物理的及び化学的安定性を、いくつかの保存条件下で決定した。
【0192】
(実施例1)
組成物の実施形態の調製
材料及び方法
別途注記のない限り、本明細書で使用される成分は、以下のベンダーから入手した:ヒマワリ由来のホスファチジルコリン及び中鎖トリグリセリドを、American Lecithin社(Lipoid社、「MCT」としてリストされている)から購入し、ソルビン酸カリウム、ペパーミント油、ビタミンE、リンゴ酸、及びコレステロールを、Spectrum Chemicals社から購入し、CBD単離物を、Botanical&Bioscience Laboratories社から購入し、ラカンカ(Luo Han Guo)(モンクフルーツ)抽出物を、GLG Life Tech社から購入し、注射用水を、Rocky Mountain Biologicals社から購入し、クエン酸一水和物及び安息香酸ナトリウムを、JT Baker社から購入した。使用したCBD単離物は、質量対質量(w/w)で0.3%以下のTHCを含んでいた。ホスファチジルコリンは、96.3%又は99.9%を超えるホスファチジルコリン(水素化)を含むH100-3グレードであった。ホスファチジルコリン及び1.1%未満のリゾホスファチジルコリン及び2.0%未満のトリグリセリド。これは高純度のホスファチジルコリン(96%超の純粋なホスファチジルコリン(水素化))であり、発明者の知る限り、現在のCBD製品では使用されていない。
【0193】
液体の粒径及びゼータ電位を、Malvern ZS90 Zetasizer(Malvern、UK)で測定した。液体製品を精製水で少なくとも50倍に希釈し、粉末形態で1mgの当量のCBDを、測定のために1mLの精製水に溶解させた。製品を、少容積の使い捨てキュベット及びゼータカセット内にて測定した。カンナビノイド及びテルペンの濃度、関連物質、並びに識別情報(保持時間)を、374 Labs(Reno、NV)において高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。残留溶媒及び農薬はガスクロマトグラフィー(GC)により測定し、重金属は374 Labsにおいて誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-oES)により測定した。迅速な防腐効果試験を、Microchem Laboratory(Round Rock、Texas)において、試験微生物のコロニー形成単位(CFU)の減少によって判定した。試験により、組成物は、細菌の増殖に耐性があることが確認された(所定の時間内に体積あたりのコロニー形成単位(CFU)を測定することにより)。
【0194】
製造プロセス:この実施例におけるCBD脂質ナノ粒子を、高圧均質化を伴う溶媒系の方法を使用して調製した。ナノ粒子組成物を調製するために、親油性成分(0.3%以下のTHCを含む固体CBD、中鎖トリグリセリド、コレステロール、ホスファチジルコリン、ビタミンE、油溶性香味料等)を、秤量ボートに正確に秤量して、20リットルガラス製丸底フラスコに移した。親油性成分に、親油性成分のおよそ1.3~1.5倍の質量の100%(200プルーフ)エタノールを加えた。先に進める前に、親油性成分をエタノール中に溶解させた。20リットル丸底フラスコを、Hei-VAP工業用ロータリーエバポレーター(Heidolph社)に移し、減圧、高温、及び容器の回転下での蒸発によりエタノールを除去した。エタノールを除去すると、脂質のフィルムがガラス容器の壁に残った。脂質フィルムを窒素ガス(glass)で覆い、室温で一晩放置した。
【0195】
すべての水溶性製剤成分(水溶性香味料、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、クエン酸一水和物、リンゴ酸等)を、指定された濃度(下記)で注射用水に溶解させた。水溶液を、更に使用する前に加熱及び濾過した。適量の水溶液を、乾燥脂質成分を含有するガラス容器に移した。ガラス容器を加熱マントルに移し、オーバーヘッドミキサーで絶えず撹拌しながら温めた。水中で脂質の均質なスラリーが形成されるまで混合を続けた。脂質スラリーの全量を、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社)を使用して、10,000~30,000 PSIの処理圧力で0~10回処理した。或いは、脂質スラリーの体積を10,000~30,000PSIの圧力で処理して、所望の粒径特性が達成されるまで、一定期間、材料を未処理の体積に再循環させることができる。得られた脂質ナノ粒子溶液を12~24時間連続撹拌しながら冷却した後、特性評価及び充填仕上げを行った。油状の香味料を乾燥脂質フィルムに導入した後、水溶液を導入した。水溶性香味料を注射用水に溶解させた後、脂質フィルムに導入した。
【0196】
およそ10リットルのCBD単離物含有脂質ナノ粒子それぞれの4つのバッチを、上記の製造プロセスに従ってcGMP施設にて調製した。各バッチの成分組成は、以下の表に記載されている。
【0197】
【表1】
【0198】
(実施例2)
安定性試験
この実施例は、実施例1で調製されたいくつかの実施形態の安定性試験及び貯蔵寿命データを開示する。実施例1で調製されたバッチを、冷却すると、7.0~9.0重量ポンドインチの必要な除去トルクで取り付けられたチャイルドプルーフキャップを備えた20mLの琥珀色のバイアルに充填した。密閉ボトルを、2~8℃、25℃/60%相対湿度、40℃/75%相対湿度、又は50℃及び非制御湿度で保存した。0、1、2、3、6、及び11か月目に特性評価のために、最小限に試料を引き出した。特性評価には、動的光散乱による粒径分析及びUPLCによるCBD濃度が含まれていた。結果を図3及び4に示す。
【0199】
貯蔵寿命プロットを、リアルタイムデータのみ(25℃/60%相対湿度)を使用して、MiniTabバージョン17.0において作成した。貯蔵寿命は、応答(CBD濃度又は粒径)の少なくとも50%が仕様限界内にあるという95%の信頼度がある期間である。図3に示されているのは、CBD濃度の関数としての4バッチの製品の貯蔵寿命プロットである。CBD濃度が決定された11か月にわたって、回帰直線の応答勾配はゼロと有意な差はなく、データセットに負の勾配(つまり劣化)が現れるまで貯蔵寿命を予測することはできない。図4は、ナノメートル単位による脂質ナノ粒子Z平均サイズの関数としての4バッチの製品の貯蔵寿命プロットを示す。200nmの仕様上限が選択されて、565.5日又はおよそ19か月の貯蔵寿命が推定される。まとめると、CBD濃度及び粒径の製剤品質属性は、推定19か月間製品仕様の範囲内にとどまり、製品の貯蔵寿命が19か月であることを示している。
【0200】
(実施例3)
ナノ粒子のイメージング
この実施例は、実施例1で先に記載されたように調製された脂質ナノ粒子の代表的な画像を開示する。バッチ1及び3で概説した成分組成と一致する試料を、水で10倍に希釈した。3マイクロリットルを、先にグロー放電された薄い銅グリッド(Cu-200CN、Pacific Grid-Tech社)上に配置した。グリッドの準備のために、試料を、湿度制御(100%)下で低温(0~5℃)にて凍結チャンバー内に入れた。濾紙で2秒間吸い取った後、試験体を凍結剤、すなわち液体窒素で冷却した液体エタンにより急速に凍結させた。調製した乾燥物を、200kV FEI Talos C200C電子顕微鏡にマウントした。顕微鏡画像を、45Kの倍率で収集した。例示的な画像を図5に示す。
【0201】
実施例1の方法を使用して調製された脂質ナノ粒子は、粒子のいくつかのサブタイプを与えた。図5に示すパネルAは、特徴的なエマルジョン型粒子であり、図5のパネルBは、小型単層小胞としても知られる単層小胞を含有する脂質ナノ粒子を示しており、図5のパネルCは、多層小胞を含む粒子を示しており、図5のパネルDは、エマルジョンと単層小胞との組合せを示しており、図5のパネルDは、層状構造及びブリッジを備えた不規則な粒子、並びに部分的なエマルジョン粒子を示している。
【0202】
粒子のこれらのサブタイプは、成分及び処理パラメーターの変更、又は両方の組合せを介して制御することができると考えられている。MCTの濃度が0%に低下すると、エマルジョン脂質ナノ粒子の割合が減少し、粒子の小胞サブタイプが増加する。このことは、MCTの場合に当てはまるだけでなく、このことには室温にて液体であるか、他の脂質と混合すると室温で液体である他の油が含まれる可能性がある。室温の液体油を、室温にて固体でワックス状の油に置き換えると、固体脂質ナノ粒子製品が作製される。このタイプの粒子は、両方とも高密度のコアを有するため、エマルジョン脂質粒子と同様に見える。液体油を減少させる、かつ/又はホスファチジルコリンを増加させると、混合又は不規則な粒子の割合が増加する可能性がある。液体油を減少させ、かつ処理圧力を低下させると、多層小胞を形成する傾向が高まる。処理圧力の低下の有無にかかわらず、液体油を減少させ、ボアがより大きい相互作用チャンバーで処理すると、多層小胞の割合が増加する。
【0203】
(実施例4)
組成物の実施形態の調製
以下には、噴霧乾燥及び凍結乾燥によって調製された脂質ナノ粒子粉末のいくつかの実施形態を記載する。CBD単離物含有脂質ナノ粒子を、実施例1の製造プロセスに記載されている方法に従って調製した。乾燥CBD含有脂質ナノ粒子を噴霧するために、最終製品を、リオプロテクタントとして機能する追加の賦形剤、例として、0%、5%、10%、15%、又は20%の、以下のラクトース、デキストロース、トレハロース、アルギニン、グリシン、及び/又はヒスチジン単独と、又はそれらの組合せと混合した。賦形剤を最終製品溶液に加え、溶解するまで混合(200RPM)した。材料の平衡化によって、室温での追加のインキュベーションが可能であった。
【0204】
CBD脂質ナノ粒子を噴霧乾燥して粉末にするために、Buchi社製B290ミニベンチトップ型噴霧乾燥機を使用した。噴霧乾燥機の入口温度を、60~100℃に設定した。吸引器は35m3/時で一定であり、供給ポンプは最大5mL/分まで変化した。噴霧乾燥パラメーターを、出口温度が65℃以下に維持され、流動性粉末が得られるように変更した。
【0205】
CBD脂質ナノ粒子を凍結乾燥して粉末にするために、VirTis AdVantage Pro凍結乾燥機を使用した。試料を、栓が半分装着された20mLガラスバイアルに入れた。バイアルを凍結乾燥機の棚に置き、4℃で6時間平衡化した後、-50℃で12時間急速に凍結させた。試料を、0.5℃/分の速度で凍結乾燥温度まで上昇させた。更に30分間平衡化した後、凝縮器を-80℃に設定し、チャンバー圧力を100~200mTorrに設定して、一次乾燥を開始した。棚の温度及び一次乾燥の持続時間は、使用した賦形剤によって異なるが、一般にそれぞれ-20℃及び24~36時間であった。二次乾燥を、25℃及び100~200mTorrで更に6時間開始した。乾燥後、更に使用されるまでバイアルに栓をした。微粉末を生成するために、試料を粉砕し、75~34マイクロメートルの篩に連続的に通過させた。
【0206】
【表2】
【0207】
CBD脂質ナノ粒子粉末を、25℃/相対湿度60%で7か月間、透明ガラスバイアル内で保存した。粉末を再構成し、粒径分析を測定して、元の製剤と比較した。元のナノ粒子製剤は、Z平均粒径が125.1nm(3回の測定の平均)であり、再構成された粉末は、Z平均粒径が127.6nmであった。2つの試料間の統計的比較から、0.115のp値が得られた。CBDナノ粒子溶液は、多分散指数が0.133(3回の測定の平均)であり、再構成された粉末は、多分散指数が0.163であった。2つの試料間の統計的比較から、0.285のp値が得られた。結果は、CBD含有脂質ナノ粒子を再構成することができ、同じ粒径特性が乾燥プロセスで維持されることを示している。更に、7か月後であったので、粒子は粉末形態で有利に安定である。
【0208】
(実施例5)
組成物の実施形態の調製
以下では、CBD単離脂質ナノ粒子組成物の実施形態を製造するための無溶媒アプローチの実施形態について記載する。CBD脂質ナノ粒子を、高剪断インラインミキサーを利用した無溶媒法を使用し、続いて高圧均質化を使用して調製した。水溶性香味剤を含むすべての水溶性製剤成分を、指定された濃度で注射用水に溶解させた。水溶液を、更に使用する前に加熱及び濾過した。温水溶液を、高剪断インラインミキサー(Silverson Versoミキサー)の入口に供給する容器の底の出口を備えた混合容器に移した。高剪断ミキサーの出口には、混合容器の上部に液体を戻すチューブが利用されている。温水溶液を混合容器に移すと、インラインミキサーが作動し、ミキサーの自己ポンピング動作によって液体がシステム内を移動する。
【0209】
方法1.親油性成分をガラス混合容器に正確に量り取り、十分に分散させた。親油性成分を混合しながら加熱して、材料の分散を助け、均質な脂質スラリーを形成した。任意の油性香味剤を含む脂質スラリーを、インライン混合容器にゆっくりと移し、ミキサーを作動させて最大60分間乳化した(高剪断ミキサー内で)。
【0210】
方法2:親油性成分を秤量ボート上で正確に秤量し、次いで、ミキサーを作動させて、一度に1つずつ高剪断混合容器に移した。各成分が導入されるとき、後続の添加の前に5~10分の混合を行い、これにより均質に分散させることができた。すべての親油性成分を加えたら、処理温度を維持しながら、脂質スラリーを最大60分間乳化させた(高剪断ミキサー内で)。
【0211】
(方法1又は方法2で調製された)乳化脂質溶液の全量を、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社)に通して、10,000~30,000PSIの処理圧力で0~10回処理した。得られた脂質ナノ粒子溶液を12~24時間連続撹拌しながら冷却した後、特性評価及び充填仕上げを行った。図6~8のデータは、Z平均、D90粒径、及び多分散指数(それぞれ図6、7、及び8)によって特徴付けられるように、適切な粒径分布のCBD脂質ナノ粒子が、高剪断混合の60分後、高剪断ホモジナイザーに3回完全に通過させた後に達成されていることを示している。
【0212】
脂質スラリーを60分間乳化した後、分散液をマイクロフルイダイザーに5回通過させ、各通過後、得られたZ平均粒径を測定した(1回の通過あたり3回の測定)。通過番号0は、高剪断混合のみの後の粒径を表し、粒径は385.8±53.1nmであった。マイクロフルイダイザーに1回通過させた後、得られた粒径は127.2±1.1nm(n=3)に減少した。マイクロフルイダイザーに2回及び3回通過させた後、得られた粒径は106.2±1.0nm及び109.7±1.0であった。4回及び5回通過させた後、粒径はわずかに増加してそれぞれ118.0±0.3nm及び126.2±0.5nmになった。
【0213】
脂質スラリーを60分間乳化した後、分散液をマイクロフルイダイザーに5回通過させ、各通過後、得られたD90粒径を測定した(1回の通過あたり3回の測定)。D90粒径は、分布の90%の粒径がより小さく、10%の粒径がより大きい直径を表す。通過番号0は、高剪断混合のみの後の粒径を表し、粒径は2,266.7±1152.4nmであった。マイクロフルイダイザーに1回通過させた後、得られた粒径は1,610.0±2,364.5nm(n=3)に減少した。マイクロフルイダイザーに2回通過させた後、得られた粒径は830.3±1.083.2nmに減少した。
【0214】
マイクロフルイダイザーに3回、4回、及び5回通過させた後、得られた粒径はそれぞれ185.0±2.0nm、191.3±8.4nm、及び238.7±28.0nmであった。
【0215】
脂質スラリーを60分間乳化した後、分散液をマイクロフルイダイザーに5回通過させ、各通過後、得られた多分散指数を測定した(1回の通過あたり3回の測定)。通過番号0は、高剪断混合のみの後の多分散指数が0.754±0.297であったことを表す。マイクロフルイダイザーに1回通過させた後、得られた多分散指数は0.201±0.026(n=3)に減少した。マイクロフルイダイザーに2回及び3回通過させた後、得られた多分散指数は0.205±0.006及び0.172±0.002であった。通過4及び5の後、多分散指数はそれぞれ0.132±0.013及び0.151±0.022であった。
【0216】
(実施例6)
ナノ粒子のサイズ及び安定性に対する脂質及びCBDの濃度の影響
CBD含有脂質ナノ粒子を、ナノ粒子粒径分布及び短期安定性に対するそれらの影響を決定するために、種々の脂質濃度により100mLバッチで溶媒系製造プロセスを使用して調製した。ナノ粒子を、透明ガラス容器中に20mL以上のアリコートにし、2~8℃、25℃、相対湿度60%で、40℃、相対湿度75%で保存した。一定の間隔で粒径分布を決定し、Z平均、多分散指数、及びD90粒径を記録した。以下の表に、研究された製剤の成分の質量パーセントをまとめている。
【0217】
【表3】
【0218】
HSPCは水素化ヒマワリホスファチジルコリンであり、MCTは中鎖トリグリセリドであり、CBDはカンナビジオールである。
【0219】
以下の表は、記載された(state)温度で90日保存した後の、各製剤の各粒径分布パラメーターのパーセント変化についてまとめている。負の数は、パラメーターが開始測定値よりも小さかったことを示し、正の数は、パラメーターが開始測定値よりも大きかったことを示す。すべての数値は、3回の測定の平均である。NAは、データが利用できなかったことを示す。
【0220】
【表4】
【0221】
一般に、CBD含有脂質ナノ粒子は、より大きな油相組成を含む、CBDに対する総脂質の比がより高い場合に、より小さかった。同様の傾向がPDIでも観察され、CBDに対する総脂質の比が高いほど、すなわち油含有量が多いほど、粒径分布がより均質になった。指定された保存条件で90日保存した後、脂質及び油の含有量が高い製剤では、粒径及びPDIのパーセント変化が小さくなった。
【0222】
(実施例7)
CBD脂質ナノ粒子溶液及び粉末の薬物動態
CBD含有脂質ナノ粒子を、実施例1のバッチ2及び4に概説されている配合成分を使用して、溶媒系製造プロセスに従って調製した。CBD含有脂質ナノ粒子の粉末を、実施例4に概説されている方法に従って調製した。
【0223】
CBDのカプセル脂質製剤中の液体及び粉末の薬物動態を、15mg/kgの用量で雄のGottingenミニブタにおいて決定した。ミニブタ(20~24kg)は、製品を強制経口投与チューブによって胃に経口投与された。血液試料を、アクセス可能な静脈を介して、EDTAカリウムを含有する血液チューブに収集した。血液試料を、0(投与前)、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、10、12、14、及び16又は24時間で収集した。CBD濃度及び代謝物を、HPLCによって血漿中で測定した。薬物動態パラメーターを、PKソルバー、Microsoft Excelプラグインを使用して、又は手動で線形台形公式を使用して血漿濃度から決定した。比較のために、主要な市販の油性CBD製品も経口投与後に評価した。
【0224】
図9A~Dに示されているのは、溶液中のCBD含有脂質ナノ粒子並びにゼラチンカプセル内に充填された粉末製剤の薬物動態プロファイルである。図9Aは、本明細書に開示される2つの実施形態を示す。示されているように、ナノ粒子粉末はCmaxが増加し、溶液はTmaxが増加した。図9Bは、ゼラチンカプセル内の粉末製剤は、CBD油比較薬よりも約63%高いCmaxを有していたことを示している。図9C及び9Dに示すように、溶液製剤は、いくつかの試料でTmaxが6時間より長く、8時間に近かったCBD油比較薬と比較して、Tmaxがより速かった(約4時間)。図9C及び9Dは、CBD脂質ナノ粒子溶液が油性比較薬よりも早く(研究の最初の1時間以内に)検出可能な濃度のCBDを有し、並びに油性比較薬3よりも約2時間早く、油性比較薬1より4時間早く、油性比較薬2より6時間早く見かけのTmaxに達したことを示している。CBD脂質ナノ粒子は、比較薬1及び2よりも高い血漿濃度に達した。
【0225】
図10に示されているのは、研究の最初の4時間にわたるCBD脂質ナノ粒子溶液及び3つの主要な油性CBD市販比較薬の吸収相の比較である。CBD脂質ナノ粒子の場合、測定可能なレベルのCBDが30分以内に血漿中に検出された。吸収率を、回帰式の傾きとみなした。CBD脂質ナノ粒子溶液の吸収率は、CBD油性比較薬と比較して、統計的に有意であった(ANOVA、p=0.0417)。
【0226】
CBD脂質ナノ粒子溶液製剤は5.5±5.2時間の最短の半減期を有しており、CBD脂質ナノ粒子粉末製剤は6.6±2.4時間の半減期を有していた(図11)。CBD油性比較薬は、半減期が一般に液体製剤よりも長く、6.4±3.0、11.2±9.1、及び7.3±3.8時間であった。
【0227】
【表5】
【0228】
図12は、AUC又は曲線下面積情報(0~無限大)を示す。AUCは、分子の総曝露量を反映する薬物動態パラメーターである。CBD脂質ナノ粒子溶液は、AUCが557.8±297.5ng/mL*時間であったたが、CBD脂質ナノ粒子粉末は、AUCが575.9±211.5ng/mL*時間であった。Cmaxが有意により大きいにもかかわらず(図9を参照)、液体製剤と粉末製剤は両方とも、同等のAUCを有していた。油性CBD比較薬は両方とも、脂質ナノ粒子製剤よりも低いAUCを有していた。比較薬3は、AUCが352.1±216.9であり、比較薬1は、AUCが393.8±133.0ng/mL*時間であった。油性CBD製品は、脂質ナノ粒子製剤よりも総曝露量が少なかったことを示している。
【0229】
表5に示されるのは、0~4時間及び0~無限大時間のAUCである(0~無限大を、PKSolverを使用して計算し、残りは線形台形方程式を使用して計算した)。CBD脂質ナノ粒子及び粉末のAUC0~4は、それぞれ98.4±45.2及び65.8±25.5ng/mL*時間であった。CBD油比較薬は、この同じ期間のAUCが、21.9±20.2、33.7±26.9、及び24.7±16.1ng/mL*時間であった。CBD脂質ナノ粒子及び粉末のAUC4~6は、それぞれ84.0±64.3及び119.0±12.9ng/mL*時間であった。この同じ期間のAUCは、油性比較薬で28.2±20.9、49.2±21.2、及び84.0±64.3ng/mL*時間であった。CBD脂質ナノ粒子及び粉末のAUC6~10は、129.4±31.5ng/mL*時間及び191.0±58.1ng/mL*時間であった。CBD油性比較薬のAUCは、同じ期間で70.7±36.0、141.2±45.3、及び141.9±64.5ng/mL*時間であった。油性比較薬と比較して、CBD脂質ナノ粒子群における研究の最初の4時間のより高いAUCは、急速な吸収を示している。
【0230】
【表6】
【0231】
(実施例8)
CBD含有脂質ナノ粒子の防腐剤系
CBD含有脂質ナノ粒子を、溶媒系製造プロセスを使用して調製したが、脂質フィルムの水和及び混合の前に、異なる濃度の防腐剤を水溶液中に溶解した。クエン酸一水和物及びリンゴ酸を、それぞれ6.10及び5.73mMで製剤1に加えた。製剤2では、クエン酸を4.88mMで加え、リンゴ酸は加えなかった。製剤3では、クエン酸を0.16mMで加え、リンゴ酸は加えなかった。製剤4では、クエン酸もリンゴ酸も加えなかった。すべての製剤は、8.53mMのソルビン酸カリウム及び8.90mMの安息香酸ナトリウムを含有していた。製剤を、2~8℃、相対湿度60%で25℃、及び相対湿度75%で40℃にて6か月又は7か月間保存した後、pH、粒径分布、ゼータ電位、CBD濃度、及び粒径について特性評価し、防腐効果チャレンジを行った。以下の表には、製剤の初期特徴付けデータをまとめている。
【0232】
【表7】
【0233】
図13は、異なる溶液pH値でのおよそ6か月にわたるCBD脂質ナノ粒子粒径の変化を示す。図14は、異なる保存条件でのおよそ7か月にわたる脂質ナノ粒子におけるCBD濃度の変化を示す。相対湿度60%で25℃にておよそ6か月間にわたる保存において一定間隔で測定した場合、溶液のpHは粒径の安定性に影響を与えなかった(図13)。2~8℃、相対湿度60%で25℃、及び相対湿度75%で40℃にて7か月保存した後、残りのパーセントCBDは、製剤群と比較してpH4.072で有意に少なかった。
【0234】
防腐剤系の有効性を決定するために、製剤を、107CFU/mLの5つの微生物(大腸菌(E.coli)、緑膿菌(P.aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、A.ブラジリエンシス(A.brasiliensis)、及びC.アルビカンス(C.albicans))を用いてチャレンジし、7日間のインキュベーション後のコロニー形成単位における対数減少を計算した。
【0235】
【表8】
【0236】
有効な防腐剤系に必要な最小量は、7日間のインキュベーション後に評価される各生物のコロニー形成単位において少なくとも1.0logの減少である。pHが4.459及び4.072(4.07s)の防腐剤系は、防腐剤系の最小要件を満たしていたが、pHが5.093及び6.250の溶液は満たしていなかった。この研究で評価された防腐剤系は、酵母やカビよりも、特に低pHで、細菌の増殖を防ぐのにより有効であった。
【0237】
(実施例9)
脂質ナノ粒子製剤中のより高い濃度のCBD
CBD含有脂質ナノ粒子を、上記に概説された溶媒系製造プロセスを使用して調製した。本実施例では、脂質比を相互に固定し、CBD濃度を変化させた。製剤組成は、以下の表に概説されている。製剤を、2~8℃、相対湿度60%で25℃、及び相対湿度75%で40℃にて100日間保存し、粒径分布を測定した。報告された結果は、0日目に記録された初期条件からの平均パーセント変化である(n=試料ごと、時点ごとに3回の測定)。正の数は、0日目に対して増加した粒径パラメーターを示し、負の数は、0日目に対して減少したパラメーターを示す。
【0238】
【表9】
【0239】
以下の表は、記載された保存温度で100日間保存した後のZ平均粒径及び多分散指数のパーセント変化に関する研究の結果についてまとめている。任意の保存温度での粒径パラメーターのパーセント変化にもかかわらず、すべてが製品仕様の範囲内であり、CBDを、2%を超えて製剤に組み込むことができることを示している。
【0240】
【表10】
【0241】
(実施例10)
CBD含有脂質ナノ粒子を濾過することができる
CBD含有脂質ナノ粒子を、10リットルのバッチサイズで、溶媒系方法を使用して調製した。更なる研究の前に、ナノ粒子を、粒径分布及びCBD濃度について特性評価した。材料を濾過するために、ナノ粒子溶液をステンレス鋼のサイドアームを含む加圧容器に移した。サイドアームには、Pharmed BPTチューブを使用して、3M betafineインラインフィルターを用いて、加圧容器を受入容器に接続した。ナノ粒子溶液を濾過するために、窒素ガスを加圧容器に充填して溶液を置換し、溶液を強制的にフィルターに通して受入容器に入れた。この研究では、2つの3M betafineフィルター、すなわち0.2ミクロン及び0.65ミクロンのポリプロピレンフィルターを評価した。濾過後、粒径分布及びCBD濃度を再度測定し、開始時の測定値と比較した。すべての測定を、3回実行した。
【0242】
【表11】
【0243】
濾過前後の粒径パラメーター及びCBD濃度に変化がないことは、材料の損失なしに、製品を0.2ミクロンのカットオフで濾過することができることを示している。更に、製品を、0.22ミクロンの滅菌フィルターに通して滅菌濾過され得ることを示す。
【0244】
(実施例11)
動作圧力及び通過回数によって得られた粒径分布
CBD含有脂質ナノ粒子を、100mLのバッチサイズで溶媒系製造プロセスを使用して調製した。研究の目的の第1の部分は、通過回数が初期粒径分布に与える影響、及び相対湿度60%で25℃にて6か月間保存した後の何らかの変化を決定することであった。脂質スラリーの全量を、10回マイクロ流動化して、各回の後分析のために試料収集した。以下の図15に、Z平均及びD90の粒径を示す。マイクロフルイダイザーを1回通過した後、Z平均は200nm未満であったが、D90粒径は1.0ミクロンであった。マイクロフルイダイザーを2回通過した後、Z平均とD90は両方とも200nm未満であった。粒径間の差は、通過5までの後続の通過により減少した。通過6からそれ以降、2つの粒径は差が大きくなった。興味深いことに、通過1~5では、相対湿度60%で25℃にて6か月間保存した後、粒径パラメーターのパーセント変化がわずかに減少した(図16)。しかし、同じ保存条件及び時間において通過6~10で、D90及びPDIの有意な増加が観察された。D90の粒径は、通過6~10で少なくとも300%増加した。
【0245】
この研究の第2の部分では、CBD含有脂質ナノ粒子のバッチを異なるマイクロフルイダイザーの動作圧力で調製し、粒径分布に対する影響を、60%相対湿度で25℃にて90日にわたって保存して測定した。以下の図17A~Cに示すのは、それぞれ動作圧力によるZ平均粒径、D90粒径、及び多分散指数である。Z平均粒径は、動作圧力の増加とともに減少し、最も劇的な差は10,000~20,000PSIの間にある。90日の保存期間中、Z平均粒径は、どの動作圧力でも有意には変化しなかった。D90粒径でも、同様の傾向が観察された。しかし、10,000PSIで調製されたバッチは、20,000及び30,000PSIの動作圧力と比較して、90日目に粒径の有意な増加を示した。多分散指数における差は、粒径ほど劇的ではなく、90日にわたって変化しなかった(20,000PSIでの約70日目の測定は例外である)。
【0246】
(実施例12)
いくつかのCBD単離物で調製されたCBD含有脂質ナノ粒子
CBD含有脂質ナノ粒子を、100mLバッチでの溶媒系製造プロセス又は無溶媒高剪断混合プロセスを使用して調製した。脂質ナノ粒子を、様々な製造元製のCBD単離物を使用して調製し、これらはすべて、99%を超えるCBD純度を有し、検出可能なTHCを有していなかった。ナノ粒子を20mg/mLで調製し、最終濃度をUHPLCで検証した。すべての調製物は、85.4nm~105.6nmの間のZ平均粒径、113.0nm~153.2nmのD90粒径、及び0.105~0.169の多分散指数を有していた。Gen Canna社、Global Cannabinoids社、及びMile High Labs社製CBD単離物により調製された脂質ナノ粒子は、Boulder Botanicals社製CBD単離物で調製されたものと有意差はなく、CBD単離物の起源に関係なく同様のナノ粒子属性が達成可能であることを示している。この実施例の結果は、以下の表にまとめられている。
【0247】
【表12】
【0248】
(実施例13)
フルスペクトル又は広域スペクトルCBD材料で調製されたCBD含有脂質ナノ粒子
CBD含有脂質ナノ粒子を、0.1リットルのバッチで溶媒系及び/又は無溶媒製造プロセスにより調製した。この実施例では、CBDの起源は、CBD含有量が44.25%~86.6%でばらつきのあるフルスペクトル又は広域スペクトルのヘンプ抽出物に由来していた。THC含有量は0.3%未満であるか、又は検出可能ではなかった。すべての製剤を、20mg/mLCBDの最終濃度に調製し、UHPLCによって確認した。製剤中の残りの脂質を改変して、フル/広域スペクトルヘンプ抽出物中のより低濃度のCBDに適応させた。すべての製剤は、94.88nm~178.0nmの間のZ平均粒径、132.0nm~265.0nmの間のD90粒径、及び0.100~0.221の多分散指数を有していた。得られた粒径の属性は、CBD単離物で調製されたものと異なっておらず、このことは、脂質ナノ粒子製剤において、広域又はフルスペクトルCBDを、CBD単離物と交換することができることを示している。この研究の結果は、以下の表にまとめられている。
【0249】
【表13】
【0250】
(実施例14)
CBG単離物、CBN留出物、及びCBDa油により調製された脂質ナノ粒子
脂質ナノ粒子を、溶媒系製造プロセスを使用して他の市販のカンナビノイドを用いて調製し、粒径分布について特性評価した。Global cannabinoids社製CBG単離物は、CBGが93.34質量%であり、他のカンナビノイドは検出されなかった(製造元のCOAに基づく)。Z平均粒径は105.6nmであり、D90粒径は241.0nmであり、多分散指数は0.206であった。脂質ナノ粒子を、Global cannabinoids社製CBN留出物を用いて調製した。CBN留出物は80.5質量%のCBNであり、3.1質量%のCBCを含有していたが、他のカンナビノイドは検出できなかった(製造元のCOAに基づく)。Z平均粒径は99.59nmであり、D90粒径は139.0nmであり、多分散指数は0.138であった。脂質ナノ粒子も、製剤の脂質比を改変せずに、希釈CBDa油(Myriam's Hope社、Nevada)を使用して調製した(結果は示さず)。CBG及びCBNナノ粒子の結果は、以下の表にまとめられている。
【0251】
【表14】
【0252】
(実施例15)
CBD含有脂質ナノ粒子を調製するために使用されるコレステロールに対するフィトステロール代替物
CBD脂質ナノ粒子製剤を、0.1リットルのバッチで溶媒系製造プロセスを使用して調製した。本実施例では、コレステロールの代替物として様々なフィトステロールを使用して製剤を調製した。フィトステロール(physterosterols)は、BASF社から購入し、Vegapure 867 GN、Vegapure FS、及びVegapure 95DSという名称であった。フィトステロールによって、製剤中のコレステロールを同じ質量パーセントで置き換え、製剤に追加の改変は行わず、コレステロールを加えなかった。以下の表は、コレステロールの3つのフィトステロール代替物を使用した初期の粒径測定値についてまとめている。Vegapure 867 GNは、Z平均粒径が85.1nm、PDIが0.152であり、Vegapure FSは、Z平均粒径が87.6nm、PDIが0.168であり、Vegapure 95DSは、粒径が130.7nm、PDIが0.400であった。
【0253】
【表15】
【0254】
予備的な短期安定性研究において、BASF社Vegapureフィトステロールで調製された製剤は、2~8℃、相対湿度60%で25℃、及び相対湿度75%で40℃に14日間置かれた。Vegapure 867GN及びVegapure FSを用いて調製された製剤は、すべての保存温度で130.0nm以下のZ平均粒径を有していた。Vegapure 95 DSで調製された製剤は、2~8℃及び相対湿度60%で25℃にて保存した場合に、150.0nmを超える粒径を有していたが、相対湿度75%で40℃にて保存した場合に、粒径は250nm超まで増加した。結果を図18に示す。
【0255】
(実施例16)
中鎖トリグリセリドの代替物を用いたCBD脂質ナノ粒子の調製
パート1:CBD脂質ナノ粒子を、0.1リットルのバッチで溶媒系製造プロセスを使用して調製した。中鎖トリグリセリド(MCT)を、ABITEC社から入手可能な代替物に置き換えた。Captex 8000 NFは、カプリル酸のトリグリセリドであり、Captex GTOは、オレイン酸のトリグリセリドであり、Captex1000は、カプリン酸のトリグリセリドである。Captexトリグリセリドによって、以下の表に記載されている質量パーセントでMCTを置き換えた。この表はまた、初期粒径及び多分散指数についてまとめている。
【0256】
【表16】
【0257】
CBD脂質ナノ粒子を、0.1リットルのバッチで溶媒系製造プロセスを使用して調製した。中鎖トリグリセリド(MCT)を、オメガ3脂肪酸(Tonalin及びPronova Pure(登録商標)46:38)、モノオレイン酸グリセリル、共役リノール酸、及びアルファグリセリルホスホリルコリン(アルファ-GPC)を含む代替の非水性液体に置き換えた。これらの成分によって、MCTを、元の製剤で提示されたのと当量の質量(10%)で置き換えた。以下の表は、製剤及び初期の粒径測定値についてまとめている。
【0258】
【表17】
【0259】
以下の表は、相対湿度75%で40℃にて30日間保存した場合のZ平均及び多分散指数のパーセント変化を示している。負の数は、上記の表に示されている初期測定値に対して粒径又はPDI測定値が減少していることを示す。
【0260】
【表18】
【0261】
(実施例17)
組成物の実施形態の調製
CBDの送達のための組成物を、以下の方法を使用して調製した。組成物を調製するために、CBD(2.0g)を、中鎖トリグリセリド(9.3g)中に混合しながら溶解させた。この溶液に、コレステロール(1.0g)及びホスファチジルコリン(10.0g)を加えた。ビタミンEを撹拌しながら加え(0.05g)、油相において抗酸化剤として作用させた。その際、リンゴ酸(0.085g)、クエン酸(0.085mg)、ソルビン酸カリウム(0.1g)、安息香酸ナトリウム(0.1g)、及びモンクフルーツ抽出物(0.09g)を、水(76.07g)に混合しながら加えた。水相を混合しながら油相に加えた。
【0262】
次に、水中油型エマルジョンを、少なくとも65℃の温度で溶液をマイクロフルイダイザーに連続的に通過させる(30,000PSIで5回)ことにより、ナノ粒子(約20~500nm)に加工した。マイクロフルイダイザーには、50~70umのポアサイズからなる相互作用チャンバーが含まれていた。
【0263】
(実施例18)
組成物の実施形態の調製
CBDの送達のための組成物を、以下の方法を使用して調製した。100mlのエタノールに、0.3質量対質量(w/w)%以下のTHCを含むCBD単離物(2.0g)を加えた。その際、中鎖トリグリセリド(9.3g)を混合しながら加えた。この溶液に、コレステロール(1.0g)、ホスファチジルコリン(10.0g)、及びビタミンE(0.05g)を加えた。
【0264】
次に、溶媒を除去して、乾燥組成物を調製した。乾燥組成物を、リンゴ酸(0.085g)、クエン酸(0.085mg)、ソルビン酸カリウム(0.1g)、安息香酸ナトリウム(0.1g)、及びモンクフルーツ抽出物(0.09g)を含有する76.07gの温水で懸濁することにより、水中油型エマルジョンを調製した。少なくとも75℃の温度で、溶液を30,000PSIで5回、マイクロフルイダイザーに連続的に通過させることにより、水中油型エマルジョンをナノ粒子(20~500nm)に加工した。マイクロフルイダイザーには、50~70umのポアサイズからなる相互作用チャンバーが含まれていた。
【0265】
(実施例19)
組成物の実施形態の試験
5リットルの製造バッチを高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析して、試料中に存在するカンナビノイドを測定した。結果は、以下の表に示すとおりであった:
【0266】
【表19】
【0267】
5リットルの製造バッチを高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析して、試料中に存在するテルペンを測定した。結果は、以下の表に示すとおりであった:
【0268】
【表20】
【0269】
(実施例20)
ヌーペプト及びCBD脂質ナノ粒子製剤
溶媒系脂質ナノ粒子製造プロセスを使用して、ヌーペプト(N-フェニルアセチルL-プロリルグリシンエチルエステル)(N-phenylacetyl-L-prolyglygice ethyl ester)の製剤を作製した。ヌーペプト及び脂質を、高温でエタノール中に溶解し、乾燥させてフィルムを形成した。フィルムを、乾燥窒素ガスで埋め戻し、4℃で12~24時間保存した後、続行した。フィルムを温水により水和し、30分間混合した後、マイクロ流動化を行い、最終製剤量は100mLであった。この実施例で研究された製剤は、以下の表にまとめられている。
【0270】
【表21】
【0271】
製剤1~5を、2~8℃、相対湿度60%で25℃、及び相対湿度75%で40℃にて90日間の安定性試験に置いた。初期粒径の測定値と各安定温度での90日後の測定値を、以下の表に示す。
【0272】
【表22】
【0273】
室温での及び温度エクスカーション中(すなわち、40℃以上で)の製剤の長期安定性は、ヌーペプト脂質製剤を乾燥させて粉末にすることによって改善された。これは、実施例4に概説されているように、5%(w/v)のトレハロースを製剤に溶解し、凍結乾燥して乾燥ケーキにすることによって達成された。乾燥凍結(Fried)製剤をスパチュラで砕き、粉砕した後、75~34マイクロメートルの篩にかけて微粉末を得た。粉末をバイアルに量り入れ、窒素で埋め戻し、長期保存のために蓋をした。
【0274】
ヌーペプト脂質ナノ粒子製剤は、CBD、CBG、CBN、又はCBDa等のカンナビノイドを製剤に共配合する(co-incorporating)ことによって更に改変することができる。製剤は、実施例4に概説されるように、液体として保存してもよく、又は乾燥させて粉末にしてもよい。
【0275】
(実施例21)
メラトニン及びCBD脂質ナノ粒子製剤
メラトニン単独、並びにメラトニン及びCBDを含む脂質ナノ粒子製剤を、溶媒系製造プロセスを使用して調製した。メラトニン単独又はメラトニン及びCBDを、他の脂質成分とともに、エタノール中に部分的に~完全に溶解させ、その後乾燥させてフィルムにした。フィルムを窒素ガスで覆い、処理前に4℃で12~24時間保存した。固体脂質フィルムを温水で水和し、30分間混合して脂質スラリーを形成した後、マイクロ流動化した。すべての製剤を、100mLバッチで調製した。以下の表は、本実施例で作製された製剤についてまとめている。
【0276】
【表23】
【0277】
液体供給溶液にトレハロースを加えた後、CBD及びメラトニン脂質ナノ粒子を噴霧乾燥させて粉末にした。製剤を、実施例4に概説されるように噴霧乾燥させた。粉末を形成する前に、初期粒径分布を製剤1~5(メラトニンのみ)について測定し、以下の表にまとめた。粉末製剤を、連続して75~34ミクロンに通して篩にかけた。粉末の残留水分を測定すると、すべての製剤において6%未満であった。
【0278】
【表24】
【0279】
(実施例22)
CBD、メラトニン、及びGABAの脂質ナノ粒子粉末製剤
以下の脂質ナノ粒子製剤は、睡眠を促進するように設計されている。製剤を、200mLのバッチで溶媒系製造プロセスを使用して調製した。脂質、CBD、メラトニンすべてをエタノール中に溶解し、乾燥させてフィルムにした。フィルムを、安息香酸ナトリウムとソルビン酸カリウムをそれぞれ最大1.052mg/mL、及びクエン酸一水和物とリンゴ酸をそれぞれ最大0.622mg/mL含有する温媒体で水和した。処理後、GABA(ガンマアミノ酪酸)を脂質ナノ粒子懸濁液に溶解し、2時間混合した後、特性評価を行い、噴霧乾燥させた(上の概説のとおり)。
【0280】
【表25】
【0281】
液体形態の4つの製剤の初期粒径測定は、以下の表にまとめられている。示されているデータは、3つの独立した測定値の平均±標準偏差である。
【0282】
【表26】
【0283】
(実施例23)
疑似胃液及び疑似腸液中のCBD脂質ナノ粒子の安定性
消化プロセスを通過したCBD脂質ナノ粒子の安定性を、2時間後に疑似胃液中の粒径分布を測定し、続いて4時間後に疑似腸液中で希釈及びインキュベーションすることによってシミュレートした。CBD脂質ナノ粒子を、100mLスケールの溶媒系製造プロセスを使用して調製した。疑似胃液を、1グラムの塩化ナトリウム(CAS7647-14-5)、21.5mgのタウロコール酸ナトリウム(CAS345909-26-4)、6.5mgのレシチン(CAS8002-43-5)、及び十分な塩酸(CAS7647-01-0)を、精製水(QS 500mL)中で溶解/分散させ、最終pHを1.6にすることによって調製した。疑似腸液を、1グラムの塩化ナトリウム(CAS7647-14-5)、806.5mgのタウロコール酸ナトリウム(CAS345909-26-4)、64.4mgのレシチン(CAS8002-43-5)、1.1グラムのマレイン酸(CAS110-16-7)、及び696mgの水酸化ナトリウム(CAS1310-73-2)を、精製水(QS500mL)中で溶解/分散させることによって調製した。必要に応じて、pHを6.5に調整した。疑似溶液は、直ちに使用するか、又は4℃にて1か月以内の間保存した。
【0284】
研究を開始する前に、疑似胃液及び疑似腸液を37℃に平衡化させた。Spectrum Laboratories Float-A-Lyzer G2透析装置(50kD MWCO、1mL、カタログ番号G235034)を、使用前に37℃の水で平衡化させた。実験を開始する前に、初期粒径分布を測定した。1mLのCBD脂質ナノ粒子を、Float-A-Lyzerの内部に配置し、キャップを取り付け、Float-A-Lyzerを、50mLコニカルチューブ内の20mLの模擬胃液中に入れた。疑似流体及び試料を含有するコニカルチューブを、37℃のシェーカーインキュベーター内に2時間入れた。1回目のインキュベーションの終わりに、粒径分析のために試料を採取した。すぐに、Float-A-Lyzerを20mLの疑似腸液を含有する新しいコニカルチューブに入れ、37℃のシェーカーインキュベーターに4時間戻す。2回目のインキュベーションの終わりに、粒径分析のために試料を採取した。実験の合計時間は、6時間であった。3つの市販の油性CBD製品を、同様に分析した。すべての試料を3回測定した。
【0285】
図19A及び19Bでは、疑似胃液及び腸液におけるインキュベーション期間にわたる粒径及び多分散指数の変化を示す。CBD脂質ナノ粒子は、インキュベーション全期間中、粒径の変化はなく、PDIのわずかな増加があった。市販の油性CBD製品すべてに、疑似胃液及び/又は腸液内でのインキュベーション中に粒径及びPDIの変動があり、これは、消化プロセス中の製剤の不安定性を示している。
【0286】
(実施例24)
油性で純度がより低いリン脂質を用いたCBD脂質ナノ粒子の調製
CBD含有脂質ナノ粒子を、0.1リットルのバッチで溶媒系製造プロセスを使用して調製した。脂質ナノ粒子を、油性リン脂質で調製して、99.0%純粋なホスファチジルコリン(H100-3)と比較した。油性リン脂質の組成(製造元のCOAから取得した情報)を、初期粒径分布測定値とともに、以下の表中の組成の下に示す。
【0287】
すべての製剤を、10%w/wのリン脂質(下の表に示されている成分)、2%w/wのCBD、9.5%w/wの中鎖トリグリセリド、0.1%w/wのビタミンE、及び77.4~78.4%w/wの間の精製水を用いて調製した。H100-3リン脂質により調製した試料にはまた、1%w/wのコレステロールを加えた。
【0288】
【表27】
【0289】
予備的で短期の2週間安定性実験のために、試料を4つの保存条件に置いた。インキュベーション期間の終わりに、試料の粒径分布を測定し、パーセント変化を調べた。H100-3リン脂質で調製された試料では、どの保存条件でも初期測定値から20%を超えて変化したパラメーターはなく、このことは、安定な製品であることを示している。純度がより低い油性リン脂質で調製された試料は、1つ又は複数の保存条件における2週間のインキュベーション期間にわたって、粒径パラメーターに有意な変化があり、このことは、H100-3リン脂質で調製された脂質ナノ粒子と比較して製品の安定性が低いことを示している。結果を図20に示す。
【0290】
(実施例21)
甘味剤の実施例。
CBD脂質ナノ粒子を、100mLバッチサイズの溶媒系製造プロセスを使用して調製した。乾燥脂質フィルムを、防腐剤として、安息香酸ナトリウムとソルビン酸カリウムをそれぞれ最大1.052mg/mL、及びクエン酸一水和物とリンゴ酸をそれぞれ最大0.622mg/mL含有する水和媒体で水和した。甘味剤(0.09%w/w)を、水和媒体に溶解させた後、以下の配合表に基づいて乾燥フィルムに加え、製剤に追加の香味剤を加えなかった。処理の1日後、製剤を、初期粒径分布についてスクリーニングした(下の表に示す)。初期粒径測定は、Monkfruit社、GLG社、及びTate and Lyle社から評価されたすべての甘味剤が、CBD脂質ナノ粒子製剤に適合性があることを示している。
【0291】
【表28A】
【0292】
【表28B】
【0293】
(実施例22)
比較薬製品
共通の成分又はラベルを有するCBD比較薬製品を、内に記載された実施形態との粒径比較のために、元の製造元のウェブサイトから購入した。この検索で使用された主要な成分は、ホスファチジルコリン、リン脂質、レシチン、又はMCTであった。ラベルに見出されるキーワードには、ナノ、リポソーム系、及び水溶性が含まれる。製品を、濾過された超純水で、粒径測定に好適な計数が得られる光学密度に希釈した。以下の表は、比較薬製品から測定された粒径についてまとめている。測定されたすべての製品は、本明細書に記載の製剤を超える粒径及び多分散指数を有し、このことは、成分の選択及び製造プロセスが、安定なナノ粒子を製造するための鍵であることを更に支持している。
【0294】
【表29A】
【0295】
【表29B】
【0296】
(実施例23)
CBD脂質ナノ粒子局所ローション
以下の表に示されているのは、表面の疼痛を緩和するためのローション/クリーム中のCBDの担体としてCBD脂質ナノ粒子システムを利用する局所製剤である。製剤のベース(A相)には、Lipoid社のSkin Lipid Matrix 2026テクノロジーが利用されており、最終製剤中に50%で存在している。CBD(50mg/mL)脂質ナノ粒子(B相)組成物は、他の実施形態に記載されているが、ここでは防腐剤及び香味料を含まず、最終製剤中に20%(1%CBD)で存在している。組成物のC相は、脂質/油性成分、又は油溶性成分からなり、皮膚浸透促進剤としてのCaptex 170 EP、アルガン油、メントール、アルニカ油、樟脳及び、グレープフルーツ種子油を含み、最終製剤中に合計19%で存在する。ここで、メントール、アルニカ油、樟脳及び、グレープフルーツ種子油は、局所鎮痛特性のために存在する。最後に、組成物のD相は水であり、11%で存在する。
【0297】
ローション成分を、常温混合によって合わせた。最初に、C相のすべての成分を合わせ、溶解するまで混合した。B相を、先の実施形態に記載された溶媒系方法に従って製造した。A相をA相と合わせ、遊星ミキサーにより2000RPMで2分間混合した。C相を一度に5mL加えた後、スパチュラで手によりで混合した。C相のすべてを加えると、組成物を、遊星ミキサーにおいて2000RPMで2分間更に混合した。B相を一度に5mL加えた後、スパチュラで手によりで混合した。B相のすべてを加えると、組成物を、最後に遊星ミキサーにおいて2000RPMで2分間混合した。ローションのバッチは100mLであり、1%のCBDを含有していた。
【0298】
追加のローションを、他の浸透促進剤により調製した。例えば、5%のCaptex 170 EPを、5%のジメチルスルホキシド又は5%のジメチルイソソルビドに置き換えた。追加のローションを、追加の局所鎮痛薬、例としてリドカイン、ウィンターグリーン油、又はテルペン、例としてグアイアコールを用いて調製した。
【0299】
【表30】
【0300】
(実施例24)
ホット及びコールドコーヒー製品におけるCBD脂質ナノ粒子の安定性
CBD脂質ナノ粒子を、8オンスのコーヒー飲料あたり10mgのCBDの濃度でコーヒー飲料中に分散させた。ホットコーヒー飲料を、プアオーバー技術を使用して調製し、CBD脂質ナノ粒子を導入した時点で、得られた液体は130°Fであった。CBDナノ粒子を、ナイトロコールドブリューコーヒー(Parks Coffee社)にも分散させて、ナノ粒子を導入した時点で、コーヒー飲料は2~8℃であった。飲料中に30分間保存した後、粒径測定のためにコーヒーを希釈した。各溶液中の初期粒径測定値を、2つのコーヒー飲料に30分間保存した後の粒径と比較した。図21に示すように、粒径は、30分にわたってコールドコーヒー飲料及びホットコーヒー飲料において、それぞれ11.3%及び6.5%しか増加しておらず、このことは、CBD脂質ナノ粒子がコーヒー飲料中で安定であることを示している。
【0301】
(実施例25)
実施形態の粘度測定
CBD脂質ナノ粒子(上記の実施例1で調製された)の粘度を、LV-DV-II+Brookfield粘度計(Brookfield社、Middleboro、MA)に取り付けられた少量のアダプターを使用して測定した。粘度を、26℃で16mLの溶液を使用し、スピンドル速度60RPMを使用して、3分間にわたって測定し、決定した。CBD脂質ナノ粒子溶液の粘度は、5.096Cpであると決定された。
【0302】
(実施例26)
処置方法
本発明者の経験に基づいて、以下の予言的結果を、対照研究を使用して予測する。
【0303】
45歳~55歳の間の3つの群の患者は、不安と診断された後、処置のために入院している。第1の群を、本明細書に開示されるCBD含有脂質系粒子組成物により経口処置する。第2の群の患者を、CBD油性組成物により経口処置する。第3の群の患者を、プラセボにより経口処置する。第1の群の患者は、自己評価によって測定すると、不安の各症状からの回復を、第2の群の患者よりも速く、より高度に経験している。第1の群の患者は、緊張感の低下、焦燥感の低下、危険が切迫している、パニック若しくは絶望の感覚の低下、集中力の問題の低減、睡眠障害の低減について報告している。経口摂取後、第1の群は、第2の群の患者よりも心拍数が少なく、震えが少ない。結果は、第2の群又は第3の群のいずれかと比較して、第1の群において統計的に有意な改善を示している。
【0304】
第2の群の患者は、プラセボに対して統計的に有意な改善を示すが、第1の群によって達成したと報告された程度ではない。第2の群の患者は、第1又は第2の群のいずれかよりも処置に関連する副作用の報告が統計的に高くなっている。
【0305】
(実施例27)
処置方法
本発明者の経験に基づいて、以下の予言的結果を、対照研究を使用して予測する。
【0306】
25歳~40歳の間の3つの群の女性及び男性患者は、運動関連の損傷による疼痛と診断された後、処置のために入院している。第1の群を、本明細書に開示されるCBD含有脂質系粒子組成物により局所処置する。第2の群の患者を、CBD油により作製された競合する(competitor)リポソームCBD系組成物により局所処置する。第3の群の患者を、プラセボにより局所処置する。第1の群の患者は、自己評価によって測定すると、疼痛からの回復を、第2の群の患者よりも速く、より高度に経験している。結果は、第2の群又は第3の群のいずれかと比較して、第1の群において統計的に有意な改善を示している。
【0307】
第2の群の患者は、プラセボに対して統計的に有意な改善を示すが、第1の群によって達成したと報告された程度ではない。第2の群の患者は、第1又は第2の群のいずれかよりも処置に関連する副作用の報告が統計的に高くなっている。
【0308】
(実施例28)
処置方法
本発明者の経験に基づいて、以下の予言的結果を、対照研究を使用して予測する。
【0309】
35歳~40歳の間の3つの群の女性患者は、月経前症候群(PMS)と診断された後、処置のために入院している。第1の群を、本明細書に開示されるGABA含有脂質系粒子組成物により経口処置する。第2の群の患者を、競合するリポソームGABA系組成物により処置する。第3の群の患者を、プラセボにより経口処置する。第1の群の患者は、自己評価によって測定すると、PMSからの回復を、第2の群の患者よりも速く、より高度に経験している。第1の群の患者は、けいれんが低減し、けいれんの重症度が低下したと報告している。経口摂取後、第1の群の患者は、気分が改善したと報告している。結果は、第2の群又は第3の群のいずれかと比較して、第1の群において統計的に有意な改善を示している。
【0310】
第2の群の患者は、プラセボに対して統計的に有意な改善を示すが、第1の群によって達成したと報告された程度ではない。第2の群の患者は、第1又は第2の群のいずれかよりも処置に関連する副作用の報告が統計的に高くなっている。
【0311】
(実施例29)
処置方法
本発明者の経験に基づいて、以下の予言的結果を、対照研究を使用して予測する。
【0312】
35歳~40歳の間の3つの群の患者は、不眠症の治療を受けている。第1の群を、本明細書に開示されるGABA/CBD含有脂質系粒子組成物により経口処置する。第2の群の患者を、競合するリポソームGABA/CBD油性組成物により経口処置する。第3の群の患者を、プラセボにより経口処置する。第1の群の患者は、第2の群よりも統計的に有意なより早い睡眠時間を経験する。第2の群の患者は、プラセボに対して統計的に有意な改善を示すが、第1の群によって達成したと報告された程度ではない。第2の群の患者は、第1又は第2の群のいずれかよりも処置に関連する副作用の報告が統計的に高くなっている。
【符号の説明】
【0313】
101 固体成分
102 液体成分
103 水を加える
104 混合する
105 水中油型エマルジョン
106 高剪断混合
201 成分
202 溶媒
203 混合する
204 濃縮する
205 構成する
206 高剪断混合
図1
図2
図3
図4
図5A-E】
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19A
図19B
図20
図21