(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】半径方向圧縮機械
(51)【国際特許分類】
A61F 2/95 20130101AFI20230807BHJP
【FI】
A61F2/95
(21)【出願番号】P 2021541646
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 US2019015015
(87)【国際公開番号】W WO2020153965
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】518275866
【氏名又は名称】ブロックワイズ エンジニアリング エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ゴフ,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ウォリナー,ジェレマイア
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-526722(JP,A)
【文献】米国特許第07618252(US,B1)
【文献】特開2018-143720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0367858(US,A1)
【文献】特表2018-531629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向圧縮機構であって、
a)ベースと、
b)中心軸の周りに円形の配列で配置された複数の圧縮ダイであって、それぞれが、
i)内向きの作業面、および
ii)外面、
を備え、
前記作業面によって画定される中央円筒形空洞、および前記複数の圧縮ダイ
の外面に沿った外周を形成する、複数の圧縮ダイと、
c)前記複数の圧縮ダイ
の外面のそれぞれに接触する、前記複数の圧縮ダイ
の外周の周りに
2回以上の回転により巻き付けられたストリングと
、
を備え
る、半径方向圧縮機構であり、
前記複数の圧縮ダイは、前記ベースに結合され、前記中央円筒形空洞が開いた空洞直径を有する開位置から、前記
中央円筒形空洞が閉じた空洞直径を有する閉位置まで半径方向内側に一斉に移動するように構成され、
前記ストリングを引っ張ると、前記複数の圧縮ダイが一斉に開位置から閉位置に移動され、
前記開いた空洞直径は、前記閉じた空洞直径よりも大き
く、
前記半径方向圧縮機構は、デバイスを圧縮するために開位置から閉位置まで前記中央円筒形空洞の作業面に沿って半径方向内向きの圧縮力を発生させるように構成され、
前記中央円筒形空洞は、前記開位置から前記閉位置まで円筒形状を維持し、
前記中央円筒形空洞は、前記開位置および前記閉位置からの隣接するダイ作業面の間に500μm以下のギャップを有する実質的に連続した表面を有する、半径方向圧縮機構。
【請求項2】
前記ストリングが前記複数の圧縮ダイ
の外周に4回以上巻き付けられる、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項3】
前記半径方向圧縮機構がストリング張力機構をさらに備え、前記ストリングは前記ストリング張力機構に結合され、前記ストリング張力機構を作動させると、前記ストリングが引っ張られ、前記複数の圧縮
ダイを半径方向内側に動かして、前記中央円筒形空洞を閉じる、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項4】
前記ストリングが第1の端部および第2の端部を有し、前記ストリング
の第1
の端部および第2の端部の両方が前記ストリング張力機構に結合される、請求項3に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項5】
前記半径方向圧縮機構がプーリーをさらに備え、前記ストリングは前記ストリング張力機構から前記プーリーの周りに、次いで前記複数の圧縮ダイの周りに延びる、請求項4に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項6】
前記ストリング張力機構が、
a)ウィンチシャフト、
b)ウィンチクランク、
を備えるウィンチ機構であり、
前記ストリングは前記ウィンチ
機構に結合され、前記ウィンチ
機構を作動させると、前記ストリングが引っ張られ、前記複数の圧縮
ダイを半径方向内側に動かして、前記中央円筒形空洞を閉じる、請求項3に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項7】
前記ストリングが第1の端部および第2の端部を有し、前記ストリング
の第1
の端部および第2の端部の両方が前記ウィンチ機構に結合される、請求項6に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項8】
前記半径方向圧縮機構がプーリーをさらに備え、前記ストリングは、前記ストリング張力機構から前記プーリーの周りに、次いで前記複数の圧縮ダイの周りに延びる、請求項7に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項9】
前記ストリング張力機構が、
a)レバー旋回軸、
b)前記レバー旋回軸を中心に回転するレバーアーム、
を備えるレバー機構であり、
前記ストリングは前記レバー
アームに結合され、前記レバー
アームを作動させると、前記ストリングが引っ張られ、前記複数の圧縮
ダイを半径方向内側に動かして、前記中央円筒形空洞を閉じる、請求項3に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項10】
前記ストリングが第1の端部および第2の端部を有し、前記ストリング
の第1
の端部および第2の端部の両方が前記レバー機構に結合される、請求項9に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項11】
前記半径方向圧縮機構がプーリーをさらに含み、前記ストリングは、前記ストリング張力機構から前記プーリーの周りに、次いで前記複数の圧縮ダイの周りに延びる、請求項10に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項12】
前記ストリングが第1の端部および第2の端部を有し、前記ストリングは前記複数の圧縮ダイ
の外周に巻き付けられ、前記第1
の端部および前記第2の端部の少なくとも一方が前記ベースに結合される、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項13】
強制的に前記中央円筒形空洞を開くために前記複数の圧縮ダイに結合されたばねをさらに備える、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項14】
強制的に前記複数の圧縮ダイを離し、前記中央円筒形空洞を開くために前記複数の圧縮ダイのそれぞれの間に結合されたばねをさらに備える、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項15】
前記複数の圧縮ダイのそれぞれが、前記ばねの端部を受け入れて保持するためのシートを備える、請求項14に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項16】
少なくとも3個の圧縮ダイを備える、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項17】
前記ベースがダイガイドスロットを有し、前記複数の圧縮ダイのそれぞれが前記ダイガイドスロットに結合され、前記ダイガイドスロットに沿って開位置から閉位置に移動する、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半径方向圧縮機構、より具体的には、ステント、カテーテル、バルーンおよび同様のものなどのデバイスを圧縮するための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
医療デバイスの製造および試験において、ステント、バルーン、およびカテーテルなどの円筒形デバイスを半径方向に圧縮するための機構が使用される。例えば、カテーテルバルーンへのステントの取り付けは、通常、ステントをより小さな直径に恒久的に変形させ、金属ステントをプラスチックバルーンにわずかに埋め込むのに十分な圧力でステントをバルーン上で半径方向内側に圧縮することによって行われる。別の例では、ポリマーカテーテルバルーンが、プリーツを付けた後に半径方向に圧縮されて、カテーテルシャフトの周りにしっかりと巻き付けられる。別の例では、自己拡張型ステントが、シースまたは送達システムに挿入されるよう半径方向に圧縮される。別の例では、ステント留置された、または金属フレームの人工心臓弁が、弁の金属構造を変形および縮小し、送達バルーンカテーテルと一緒に組み立てられるよう半径方向に圧縮される。
【0003】
動物組織から作られた部品を含む人工心臓弁などのいくつかのタイプのデバイスの場合、圧着プロセスは、通常、医療デバイスを使用する直前に、病院の手術室で行われる。
【0004】
大動脈ステントまたは人工心臓弁などの大径ステントおよびバルーンは、圧着プロセス中に大量の半径方向の力を必要とする傾向がある。製品に加えられる半径方向の力は、圧着される製品の表面積に表面圧力を掛けたものに等しい。例えば、典型的な冠状動脈ステントは、直径約1mmおよび長さ20mmのサイズに圧着され、一方、典型的な人工大動脈心臓弁は、直径約6mmおよび長さ20mmのサイズに圧着される。心臓弁の表面積は冠状動脈ステントの約6倍である。したがって、同じ表面圧力に達するには、約6倍の半径方向の力が必要になる。
【0005】
人間の手によって、またはエアシリンダなどのリニアアクチュエータによって作動される半径方向圧縮機構の場合、「機械的利益」は、処理される製品に加えられる半径方向の力を手またはアクチュエータによって加えられる作動力で割った比として説明することができる。
【0006】
第1のタイプの従来技術のデバイスは、平面を有するいくつかの同様のくさび形のダイがほぼ円筒形の中央空洞を形成するように配置され、くさびはヒンジ式にされ、一斉に駆動されて空洞の直径を変える半径方向圧縮機構を含む。この機構の例は、Machine Solutions Incorporatedの手動式HV500クリンパであり、これは、低コストの射出成形構造であるため、無菌手術室で使用するための単回使用型の使い捨てステントまたは人工心臓弁クリンパとして適している。しかしながら、このクリンパには重大な欠点がある。ヒンジまたはピボットダイには、ダイを支持して力を伝達する小さなピンがあるため、集中した機械的応力により、デバイスの半径方向の力の能力が低下する。開口部が約30mmから約6mmに減少するときにハンドルが約45mmの短い距離しか移動しないため、半径方向の力も制限され、機械的利益が非常に低くなり、したがって、ステントまたは心臓弁に加えられる半径方向の力と圧力が不十分になる。
【0007】
第2のタイプの従来技術のデバイスは、内向きの表面を有するいくつかの同様の半径方向に移動可能なダイがほぼ円筒形の中央空洞を形成するように配置され、ダイは半径方向の線に沿って移動するように拘束され、ダイにピン/スロット係合する回転カムプレートによって一斉に駆動され、キャビティの直径を変える半径方向圧縮機構を含む。このタイプの機構の例は、米国特許第7530253B2号に記載されており、無菌手術室で使用するための射出成形された使い捨て人工心臓弁クリンパとしてEdwards Lifesciences Corporationによって販売されている。約200度の大きな角度で回転するカムプレートの使用により、Machine Solutionsのクリンパよりも機械的利益が向上する。しかしながら、機械的利益のさらなる改善は有利であり、心臓弁をより高い半径方向の力または圧力に圧着することを可能にし、その結果、弁移植手順にとってより容易でより侵襲性のないより小さなサイズをもたらす。この圧着デバイスのもう1つの欠点は、半径方向の力がカムプレートのスロットとダイのピンの間の比較的小さな接触領域を介して伝達されなければならないことであり、これもまたデバイスの半径方向の力の能力を制限する。
【0008】
半径方向の力がカム表面上を転がる小さなピンおよび/またはボールベアリングを介して伝達されなければならず、処理されるデバイスに加えることができる半径方向の力が、カム追従ピン、ブッシング、またはボールベアリングを介して安全に伝達できる力によって制限される半径方向圧縮機構またはクリンパの多くの他の例がある。
【0009】
したがって、先行技術に内在する前述および他の欠陥を改善することは非常に有利であろう。
【発明の概要】
【0010】
例示的な半径方向圧縮機構は、複数の圧縮ダイの周りに巻き付けられたストリングを利用して、ダイを内側に移動させ、ダイの作業面によって画定された中央円筒形空洞を閉じる。ストリングは、ユーザがストリングに所望の張力を加え、それによって中央円筒形空洞内で物品を圧縮することを可能にするストリング張力機構に結合することができる。圧縮ダイは、ベースに結合され、ダイガイドスロットに沿って開位置から閉位置に移動することができる。ばねは、圧縮ダイを強制的に開き、ストリングにいくらかの逆張力を提供するように構成することができる。複数のばねを複数の圧縮ダイの間に構成することができ、それらはポストまたは凹部などの圧縮ダイ上に構成されたばねシートによって定位置に保持することができる。
【0011】
例示的な半径方向圧縮機構は、中央空洞の周りに円形の配列で配置された複数のダイを備える。例示的な半径方向圧縮機構は、3個以上、5個以上、7個以上、10個以上、15個以上、および提供されたダイの数の間(その数を含む)の任意の範囲を含むがこれらに限定されない、いくつかの圧縮ダイを有し得る。複数のダイのそれぞれは、内向きの作業面を備え、これらの作業面は、中央円筒形空洞を画定する。作業面は互いに対して移動し、互いに接触してスライドし合う可能性があり、または1mm以下、500μm以下、250μm以下、100μm以下、50μm以下、25μm以下、および提供されたギャップ寸法の間(そのギャップ寸法を含む)の任意の範囲など、それらの間に非常に小さなギャップを有する。圧縮ダイの円形の配列は、ダイの外面に沿って外周を形成する。ストリングはダイを内側に移動するために外面に接触する。
【0012】
半径方向圧縮機構の例示的なベースは、圧縮ダイの動きを制御するためのダイガイド特徴部またはスロットを備える。ダイガイドスロットは、ベース部材のアパーチャ、ベース部材の凹部、またはそれらの間にスロットを形成する一対のレールまたは突起であり得る。例示的なベース部材は、圧縮ダイの両側に構成され得、それぞれに対応するダイガイドスロットを有することができる。ダイの動きをガイドするためのシステムは、以下を含むがこれらに限定されない広範囲の設計要素で達成され得ることにも留意されたい:1)上に示されるような固定プレートのスロットに係合するダイ上のタブまたはピン、または2)ダイのスロットに係合する固定プレートのタブまたはピン、または3)カム表面に係合する、カムフォロアタイプのボールベアリングまたはプレーンベアリング、または4)ダイの動きのヒンジポイントがベアリング自体であるように、ダイが直接取り付けられるボールベアリングまたはプレーンベアリング。
【0013】
例示的なストリングは、コード、ロープ、ストリング、バンドおよびそれらに類するものなどのしなやかな細長い部材である。しかしながら、いくつかの実施形態では、ストリングは、長方形または不規則な断面形状を有し得る。例示的なストリングは、低摩擦材料から作ることができ、プラスチックなどのそのようなポリマーは、ポリエチレン、ハネウェルインターナショナル社から入手可能なSpectra繊維などの超高分子量ポリエチレン、ナイロン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)を含むフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、金属ストリングまたはストランド、ステンレス鋼、およびそれらに類するものを含むがそれらに限定されない。例示的なストリングは、互いに撚り合わされる、包まれる、または編まれる、あるいは編組される複数のストランドを備え得る。例示的なストリングは、あるタイプの材料のコアと別のタイプの材料のシースとを有するコアシースタイプのストリングであり得る。低摩擦コーティングまたは潤滑剤をストリングとともに使用するか、ストリングおよび/または圧縮ダイの外面に塗布することができることに留意されたい。
【0014】
例示的なストリングは、圧縮ダイの円形の配列の外周の周りに、2回以上、3回以上、4回以上、6回以上、および提供された巻き付け回数の間(その回数を含む)の任意の範囲など、1回以上巻き付けることができる。例示的な圧縮ダイは、ストリングがダイから外れるのを防ぎ、ストリングを整列された状態に維持するために、外面に沿って構成されたストリングガイドを有し得る。ストリングガイドは、凹部領域またはストリングがそれらの間を滑ることができるように間隔を置いて配置された一対の突起であり得る。圧縮ダイの周りのストリングの回転または巻き付けの数は、機械的利益、または所与のストリング張力に対して製品に与えられる半径方向の力を増大する。しかしながら、ストリング対ダイの合計摩擦も回転数とともに増加するため、回転数が増えると収穫逓減が発生する。機械的利益の大幅な増加は、約4または5回の回転または巻き付けまで続く。作動ストリングは、以下のような様々な配置で設計できることにも留意されたい:プーリーを取り外し、ストリングの一端を固定ベースに固定し、他端のみを引っ張る;または、ストリングの2つ以上のセグメントを使用して、各セグメントの一方または両方の端部を引っ張る。ストリングを引っ張ってそれによってストリングループの周囲を減少することにより中心空洞の直径を減少させる限り、ストリングは、外側表面に沿ったまたは外面に沿ったスロット内、またはダイの穴を通してなど、様々な方法でダイに接触し得ることにも留意されたい。
【0015】
例示的な半径方向圧縮機構は、ユーザがストリングに張力を加えて中央円筒形空洞を閉じるためにインターフェースするストリング張力機構を備え得る。ユーザがストリングに張力をかけるために操作するためのハンドルを有する例示的なストリング張力機構。例示的なストリング張力機構は、旋回軸に結合されたレバーであり得、レバーを旋回させることは、空洞を閉じるためにストリングに張力を加え得る。例示的なストリング張力機構は、ストリングが取り付けられているウィンチシャフトを有するウィンチ機構であり得る。ウィンチは、ユーザがウィンチシャフトを回転させてストリングに張力をかけるためにターンまたは回転できるウィンチクランクを有し得る。ストリングは、中央空洞が閉じられているときに、ウィンチシャフトに巻き付き得る。
【0016】
例示的な半径方向圧縮機構はプーリーを備え、ストリングはプーリーの周りに延びて、ストリング張力機構から圧縮ダイの外周にストリングを案内し得る。プーリーは、半径方向圧縮機構の反対側に構成することができ、ストリングは、ストリング張力機構から、プーリーの周り、次に圧縮ダイの周りに延び、そして次にストリング張力機構に戻ることができ、それにより、ストリングの両端は、ウィンチシャフトなどのストリング張力機構に取り付けられる。この配置は、ストリングが両端によって引っ張られたり張力をかけられたりするので、圧縮ダイに対してより均一な力を生み出し得る。手動クランクがここに示されているが、ウィンチシャフトが、ギアボックスの有無にかかわらず、例えば、電気モータまたは空気モータによってより有利に作動され得る用途が同様にあり得ることにも留意されたい。
【0017】
中央空洞は、圧縮のための物体を受け入れるのに十分な大きさの開放直径を有し得、開放された中央空洞直径は、約25mm以上、約50mm以上、約100mm以上、約150mm以上、および提供された開放された中央空洞直径の間(その直径を含む)の任意の範囲であり得る。中央空洞は、完全に閉じた構成になるように閉じることができ、または約5mmなどの特定の直径、または挿入された物品を適切に圧縮するのにちょうど十分な直径に制限することができる。
【0018】
例示的な実施形態では、圧縮ダイは、1つまたは複数のばねによって強制的に開かれる。1つまたは複数のばねは、外径の周りなど、圧縮ダイの周りに構成することができ、圧縮ダイを引っ張って開くことができる。本明細書に記載されるように、圧縮ばねは複数のダイの間に構成され得、ダイはばねを保持するためのばねシートを有し得る。ストリングが弛緩しているときに、ダイを外側に動かして中央空洞を開くために様々な方法を使用できることにも留意されたい。これらには、1)本明細書に示すようなダイ間のコイルタイプの圧縮ばね、または2)ダイ間のリーフタイプの圧縮ばね、または3)圧縮、張力またはトーションタイプであり得る、各ダイと固定フレーム部材との間のばねが含まれ得る。ばねは、示されているようにコイルばねであり得る、または荷重によって元の形状から伸長または圧縮することができ、荷重を取り除くと前記の元の形状に戻るエラストマーまたはゴム材料などの弾性材料であり得る。
【0019】
ダイ、ベースおよびストリング張力機構を含む例示的な半径方向圧縮機構は、プラスチックから作製され得、それらは、多くの心臓弁の移植前の作業で使用される心臓弁半径方向圧縮機構など、半径方向圧縮機構が使い捨て部品であることを可能にする射出成形されたプラスチック片であり得る。
【0020】
したがって、本発明の目的は、新しく改良された半径方向圧縮機構を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、大きな半径方向の力を必要とする、大きなステントおよび人工心臓弁などのデバイスを圧縮するための新しく改良された半径方向圧縮機構を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、大きな半径方向の力を加えることができ、低コストの構築方法で構築することができる、新しく改良された半径方向圧縮機構を提供することである。
【0023】
本発明の要約は、本発明のいくつかの実施形態の一般的な紹介として提供され、限定することを意図するものではない。本発明の変形例および代替構成を含む追加の例示的な実施形態が本明細書に提供される。
【0024】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を例示し、以下の記載とともに本発明の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】部分的に開放した構成における例示的な半径方向圧縮機構の受け入れ側の斜視図を示す。
【
図2】閉じた構成における例示的な半径方向圧縮機構の受け入れ側の斜視図を示す。
【
図3】部分的に開放した構成にあり、圧縮ダイの外周に巻き付けられたストリングを露出させるようベース部材が取り外された、例示的な半径方向圧縮機構の受け入れ側の斜視図を示す。
【
図4】作業面、外面、およびばねシートを有する例示的な圧縮ダイの斜視図を示す。
【
図5】作業面、外面、およびばねシートを有する例示的な圧縮ダイの斜視図を示す。
【
図6】中央円筒形空洞を閉じるよう様々なタイプの経路に沿って移動するように構成された圧縮ダイを示す。
【
図7】中央円筒形空洞を閉じるよう様々なタイプの経路に沿って移動するように構成された圧縮ダイを示す。
【
図8】中央円筒形空洞を閉じるよう様々なタイプの経路に沿って移動するように構成された圧縮ダイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
対応する参照文字は、図のいくつかの眺め全体を通して対応する部分を示す。これらの図は、本発明の実施形態のいくつかの描画を示し、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、図は必ずしも一定の縮尺ではなく、特定の構成要素の詳細を示すためにいくつかの特徴が誇張されている場合がある。したがって、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定的であると解釈されるべきではなく、単に本発明を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0027】
本明細書で使用される場合、「備える、含む、有する(comprises、comprising、includes、including、has、having)」という用語またはそれらのあらゆる他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に明示的にリストされていない、または固有ではない他の要素を含み得る。また、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載の要素および構成要素を記載するために使用される。これは、単に便宜上、そして本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この記載は、1つまたは少なくとも1つを含むように読む必要があり、他の意味であることが明らかでない限り、単数形には複数形も含まれる。
【0028】
本発明の特定の例示的な実施形態が、本明細書に記載され、添付の図に示されている。記載された実施形態は、本発明を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の他の実施形態、および記載された実施形態の特定の修正、組み合わせ、および改善を当業者は思い付き、そのようなすべての代替の実施形態、組み合わせ、修正、改善は、本発明の範囲内である。
【0029】
図1から
図3を参照すると、例示的な半径方向圧縮機構10は、ベース30に結合され、圧縮用の物体を受け入れるための中央円筒形空洞28の周りに円形の配列に配置された複数の圧縮ダイ20を備える。ベースは、圧縮ダイの反対側にある第1のベース部材30および第2のベース部材30’を備え、ベース部材のそれぞれはダイをほぼ半径方向内側に移動するように拘束するダイガイドスロット34を備える。ベース部材30’は、圧縮のために中央円筒形空洞に物体を受け入れるための受け入れ開口部を有する。10個の圧縮ダイが円形の配列に配置され、円筒形の中央製品受け入れ空洞を形成する。各ダイは、他のダイと協働して中央円筒形空洞を形成する内向きの作業面22と、配置された複数の圧縮ダイの外周26を形成する外面24とを有する。
図1は、開位置にある半径方向圧縮機構を示し、圧縮ダイは開いた空洞の直径を形成するために開いている。
図2は、閉位置にある半径方向圧縮機構を示し、圧縮ダイは閉じた空洞の直径を形成するために閉じた状態にある。ストリング50が、圧縮ダイの外周26に巻き付けられ、ストリング張力機構60と結合される。例示的なストリング張力機構は、ストリングに張力を加えるために回転するウィンチシャフト72を有するウィンチ機構70である。ストリングの第1の端部52は、ウィンチシャフトに取り付けられている。ユーザは、ウィンチハンドル76によってウィンチクランクを回転させて、ストリングに張力を加え、中央円筒形空洞28を閉じることができる。ストリングは、ダイの配列の周りに巻き付けられ、その外面24で各ダイに接触する。例示的な実施形態では、ストリング50は、ダイの配列の周りで2回以上完全に回転する。ストリングが引っ張られると、ストリングの張力により、すべてのダイにほぼ均等に内向きの力が加えられ、ダイがダイガイドスロット32によって定められる経路に沿って内向きに移動し、中央空洞28の直径が減少する。中央空洞で製品に加えられる半径方向の力は、ストリングの張力にほぼ比例する。ストリングは、比較的広い表面積にわたってダイに接触し、それによって、ダイに高い半径方向内向きの力を与える手段を提供し、これらの力は、次に、ダイから中央空洞内の製品に伝達される。ピンまたはベアリングボールを介して力を伝達する従来技術の機構と比較すると、本発明は、機構に損傷を与えることなく、より高い半径方向の力を与えることができる。
図1に示すように、ストリングガイド58が、ストリングがダイから滑り落ちるのを防ぐために、ダイの外面に沿って構成される。
【0030】
図3に示すように、半径方向圧縮機構10は、ベース部材の一方が取り外されて、圧縮ダイ20の外周26を取り囲む作動ストリングを露出させている。ストリング50は、圧縮ダイの周り、プーリーの周りに延在し、ストリング張力機構60に戻る。ストリングは、ウィンチシャフト72からプーリー90の周りに延在し、次に、ウィンチシャフトに戻る前に圧縮ダイの周りに巻き付けられる。ストリング54の第1の端部52および第2の端部の両方がウィンチシャフトに取り付けられている。ストリングは、ストリングの両端をウィンチクランク74に作動される回転可能なウィンチシャフトに巻き付けることによって引っ張られる。プーリーは、ストリングの両端が反対方向からダイの配列に近づくように、ストリングの2つの端部のうちの1つの方向を変える。この配置は、複数の圧縮ダイにより均一な力を提供し得る。
【0031】
図3に示すように、作業面22は、互いに交差するか、または隣接するダイの作業面と入れ子になって、中央円筒形空洞28を形成する。ダイがガイドスロット32内で一斉に移動すると、中央空洞の直径が変化する。ガイドスロットは、ダイが中央空洞の周辺で非常に小さなダイ間のギャップを維持する経路に沿って移動するように成形される。作業面およびスロットは、用途の要件に応じて、ダイ間のギャップを任意のサイズおよび中央空洞直径の任意の機能にするように設計することができるが、ほとんどの用途では、部品の達成可能な製造公差に従って、ダイチップの直接の摩擦接触を防ぎながら、可能な限り小さくするべきである。一部の用途では、隣接するダイチップの直接摩擦接触が許容されるか、または望ましい場合がある。
【0032】
図3に示すように、圧縮ばね40がダイの間に配置され、ダイをストリングに対して外側に押し、ストリングが弛緩するときに中央空洞を開く。ばねはストリングにわずかな張力を発生させ、ストリングが正しい位置を離れないようにする。ダイは、ばねシート29、すなわち、ばねを所定の位置に保持するためのダイからの凹部または突起を有し得る。ストリングが引っ張られて中央空洞が閉じられるとき、ストリングがダイの外面24を横切ってスライドするときに、ストリングと各ダイとの間に摩擦が生じる。このような摩擦は、製品に伝達される力を制限するため、最小限に抑える必要がある。好ましい実施形態では、ストリングは、編組された繊維状の超高分子量ポリエチレンで作られ、これは、ほとんどの材料に対して非常に低い摩擦係数を有する。
【0033】
ここで、
図4および5を参照すると、例示的な圧縮ダイ20は、作業面22から外面24までの長さを有する。圧縮ダイは、ばねシート29、すなわち、ばねを所定の位置に保持するための凹部を有する。例示的な圧縮ダイは、第1の面21から反対側の第2の面23までの幅を有する。ダイの面は湾曲しており、中央円筒形空洞の周りを移動するためのダイ配列を形成するためにダイの入れ子を可能にする形状を有する。例示的な圧縮ダイは、第1の側25から第2の側27までの深さを有し、これは、中央円筒形空洞の深さを定める。また、例示的なダイは、各側から延びる一対のガイドポスト34を有する。ガイドポストは、ダイガイドスロットに挿入するなどして、ダイガイドスロットと結合するように構成されている。
【0034】
好ましい実施形態では、ガイドスロットは、渦巻形状の曲率方向と反対の曲率方向を有し、仮想ヒンジ点の周りを回転して移動するようにダイを拘束することは、ダイのエンベロープの外側にあり得るが、作業面と「裏」面によって形成されるくさび状の形状の中にある。これは、
図6に示されるように、ダイの「後方」湾曲運動をもたらす。この実施形態では、作業面は、開閉動作全体にわたってダイ間のギャップをほぼゼロに維持するために、わずかに凸状の形状でなければならない。この実施形態はまた、米国特許第8220307号に記載されているメカニズムの実施形態である。
【0035】
別の実施形態では、ガイドスロットは線形であり、
図7に示されるように、ダイを線形経路で移動するように拘束する。この実施形態では、作業面は、開閉動作全体にわたってダイ間のギャップをほぼゼロに維持するために平坦でなければならない。
【0036】
別の実施形態では、ガイドスロットは、渦巻形状と同じ方向に曲率を有し、仮想ヒンジ点の周りを回転して移動するようにダイを拘束することは、ダイのエンベロープの外側にあり得るが、作業面と「裏」面によって形成されるくさび状の形状の反対側にある。これは、
図8に示されるように、ダイの「前方」湾曲運動をもたらす。この実施形態では、作業面は、開閉動作全体にわたってダイ間のギャップをほぼゼロに維持するために、わずかに凹状の形状でなければならない。この実施形態はまた、米国特許第第7963142号に記載されているメカニズムの実施形態である。
【0037】
ウィンチシャフトまたはドラムは、ストリングの1つまたは複数の端部を引っ張るための唯一の可能な方法であることに留意されたい。以下を含むがこれらに限定されない他の設計も可能である:1)人間の手でストリングを手動で引っ張る、または2)エアシリンダまたは親ねじ付きの電気モータなど、一般的に入手可能な任意の種類のリニアアクチュエータを使用する、または3)ピンチローラまたはキャプスタンでストリングをつかんで引っ張る。
【0038】
かくして、新しい新規の半径方向圧縮機構が開示された。新しい新規の半径方向圧縮機構は、ダイの配列にストリングまたはケーブルを巻き付けることにより構築され、ストリングの張力により、ダイと空洞内の製品に半径方向内側の力がかかる。したがって、従来技術の装置の限定的な力の能力は克服された。
【0039】
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明において様々な修正、組み合わせ、および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本明細書に記載の特定の実施形態、特徴および要素は、任意の適切な方法で修正、および/または組み合わせることができる。したがって、本発明は、それらが添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるという条件で、本発明の修正、組み合わせ、および変形をカバーすることが意図されている。