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特許7326515エレベータ制御装置、エレベータシステムおよび案内サービス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、エレベータシステムおよび案内サービス方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
B66B3/00 F
B66B3/00 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022029484
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】福留 琢磨
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-121880(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111792464(CN,A)
【文献】国際公開第2015/186174(WO,A1)
【文献】特開2015-229593(JP,A)
【文献】特開2014-234304(JP,A)
【文献】特開2005-263397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00- 3/02
B66B 1/00- 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウド環境に置かれ、多言語の案内データが蓄積されたファイルサーバと、
かご内又は乗場に設置され、エレベータの利用者が使用する言語を特定する情報を含む利用者情報を認証する利用者認証装置と、
かご内又は乗場に設置され、多言語による音声案内又は表示案内を実行する案内装置と、
入力した利用者情報から当該利用者が使用する言語を特定する言語特定部と、特定された言語情報に基づき、前記ファイルサーバから、前記特定された言語に対応する案内データを入手する案内データ入力部と、入手された案内データをかご内又は乗場の案内装置へ出力する出力部とを少なくとも有するエレベータ制御装置と、備え
前記ファイルサーバの案内データは、利用者の属性に対応した案内データ、期間限定の案内データ、エレベータの設置場所に応じた案内データに少なくとも分類されており、
前記利用者認証装置は、利用者の使用言語と利用者の属性を認識し、
前記エレベータ制御装置は、前記ファイルサーバの案内データを選択する際に、分類された案内データの何れか、又は利用者の属性に基づく案内データを選択して提示する、エレベータシステム。
【請求項2】
前記利用者認証装置は、利用者が使用する言語を特定する情報を含む利用者情報を読み取るキーリーダ、キースイッチ、ICリーダ、二次元バーコードリーダ、携帯情報端末認証装置、利用者が言語情報を直接入力する認証装置の少なくとも何れかである、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記かご内又は乗場に設置され、利用者が発する音声を収集して音声識別データを生成する音声識別マイクを備え、
前記エレベータ制御装置は、前記音声識別マイクから音声識別データを入力して、前記音声識別データに含まれる音声キーワードに基づき前記ファイルサーバから案内データを選択する、請求項1又は2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記エレベータ制御装置は、一度使用した案内データをバックアップデータとして一時的に保存する案内データバックアップ部を備える、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記ファイルサーバの案内データは、利用者の属性に対応した案内データ、期間限定の案内データ、エレベータの設置場所に応じた案内データに少なくとも分類されており、
前記利用者認証装置は、利用者の使用言語と利用者の属性を認識し、
前記エレベータ制御装置は、前記ファイルサーバの案内データを選択する際に、分類された案内データの何れか、又は利用者の属性に基づく案内データを選択して提示する、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記かご内又は乗場に設置され、前記案内データを利用者が所持する携帯端末に出力する携帯端末向け案内データ出力部を備える、請求項1~5の何れか1項に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置、エレベータシステムおよび案内サービス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのグローバル化を進めていく中で、様々な言語の利用者を想定しなければならないが、日本での主要言語(日本語、英語、中国語、韓国語)以外は音声や案内表示が用意されていないことが多い。
【0003】
従来、エレベータの音声案内システムにおいて、乗場で行先階と希望する言語を入力し、エレベータ制御装置に予め登録されている言語をアナウンスする技術がある。また、利用者情報や利用階を記憶し、エレベータ制御装置にある言語を自動選択したうえでアナウンスする技術、エレベータに設置された音声認識装置でアナウンスを選択する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2018/025376号
【文献】特開2020-121880号公報
【文献】特開平8-268658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、前述した主要言語以外では、音声案内や案内表示が用意されておらず、多国籍、多言語の利用者に合わせた音声案内サービス、案内表示サービスを提供できていない。
【0006】
また、各エレベータ制御装置に世界各国の膨大な記憶量となる言語を保存して利用することも想定できるが、各エレベータ制御装置個々に多言語の案内データを蓄積したファイルサーバが必要となり、設備が膨大なものとなってしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、エレベータ側に案内データを事前に登録する必要が無く臨機応変な言語選定を可能とするエレベータ制御装置、エレベータシステムおよび案内サービス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため実施形態は、クラウド環境に置かれ、多言語の案内データが蓄積されたファイルサーバと、かご内又は乗場に設置され、エレベータの利用者が使用する言語を特定する情報を含む利用者情報を認証する利用者認証装置と、かご内又は乗場に設置され、多言語による音声案内又は表示案内を実行する案内装置と、入力した利用者情報から当該利用者が使用する言語を特定する言語特定部と、特定された言語情報に基づき、ファイルサーバから、特定された言語に対応する案内データを入手する案内データ入力部と、入手された案内データをかご内又は乗場の案内装置へ出力する出力部とを少なくとも有するエレベータ制御装置と、備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態のエレベータシステムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態のエレベータシステムをエレベータ制御装置の構成を中心に示すブロック図。
図3】かご内の機器配置を示す説明図。
図4】乗場の機器配置を示す説明図。
図5】第1実施形態のエレベータシステムの処理手順を示すフローチャート。
図6】第2実施形態のエレベータシステムをエレベータ制御装置の構成を中心に示すブロック図。
図7】第3実施形態のエレベータシステムをエレベータ制御装置の構成を中心に示すブロック図。
図8】第4実施形態のエレベータシステムの処理手順を示すフローチャート。
図9】第5実施形態のエレベータシステムをエレベータ制御装置の構成を中心に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
《第1実施形態の構成》
図1は実施形態のエレベータシステムの構成を示すブロック図である。図2は第1実施形態をエレベータ制御装置の構成を中心に示すブロック図である。図3はかご内機器の配置例を示す説明図、図4は乗場機器の配置例を示す説明図である。
【0011】
図1に示すエレベータシステムは、かご10と、乗場20と、エレベータ制御装置30と、通信機器40と、クラウド・ファイルサーバ50とを備えている。
【0012】
かご10には、かご内案内装置11と、かご内認証装置12が設置されている。
【0013】
かご内案内装置11は、かご10内に設置され、利用者が使用する言語に適合した案内をするもので、多言語音声で案内する音声案内スピーカ14と、多言語の文字や画像で案内するかご内表示装置15とを備える。
【0014】
かご内認証装置12は、かご10内に設置され、かご10の利用者13を認証して利用者13が使用する言語を特定する言語情報を含む認証情報を生成する。かご内認証装置12としては、利用者が使用する言語を特定する情報を含む利用者情報を読み取るキーリーダ、キースイッチ、ICリーダ、二次元バーコードリーダ、携帯情報端末認証装置の少なくとも何れかである。なお、利用者が言語情報を直接入力する構成であっても良い。
【0015】
乗場20には、乗場案内装置21と、乗場認証装置22が設置されている。
【0016】
乗場案内装置21は、乗場20に設置され、利用者が使用する言語に適合した案内をするもので、多言語音声で案内する音声案内スピーカ24と、多言語の文字や画像で案内する乗場表示装置25とを備える。
【0017】
乗場認証装置22は、乗場20に設置され、エレベータの利用者23を認証して利用者23が使用する言語を特定する言語情報を含む認証情報を生成する。乗場認証装置22としては、かご内認証装置12と同様、利用者が使用する言語を特定する情報を含む利用者情報を読み取るキーリーダ、キースイッチ、ICリーダ、二次元バーコードリーダ、携帯情報端末認証装置の少なくとも何れかである。なお、利用者がキーパッド等から言語情報を直接入力する構成であっても良い。
【0018】
図3に示すように、かご10のドア横の壁面には、かご内認証装置12、かご内表示装置15、かご内音声識別マイク16、かご操作盤17が配置されている。また、ドア上には音声案内スピーカ14が配置されている。
【0019】
図4に示すように、乗場20のドア横の壁面には、乗場案内装置21、乗場認証装置22、音声案内スピーカ24、乗場表示装置25、乗場音声識別マイク26、乗場操作盤27が配置されている。
【0020】
図2に示すように、エレベータ制御装置30は、利用者情報入力部31と、言語特定部32と、言語情報出力部33と、案内データ入力部34と、案内データ出力部35とを備える。なお、実施形態において、案内データは、音声案内データ、文字案内データ、および画像案内データを含む。
【0021】
利用者情報入力部31は、かご内認証装置12及び乗場認証装置22から利用者13,23に関する認証情報を入力する。
【0022】
言語特定部32は、利用者情報入力部31で入力した利用者13,23に関する認証情報に基づき、利用者13,23が使用する言語を特定する。
【0023】
言語情報出力部33は、言語特定部32で特定された言語情報を通信機器40を介してクラウド・ファイルサーバ50へ出力する。
【0024】
案内データ入力部34は、利用者13,23が使用する言語による案内データを通信機器40を介して入力する。
【0025】
案内データ出力部35は、案内データ入力部34で入力された案内データをかご内案内装置11、乗場案内装置21に出力する。
【0026】
通信機器40は、エレベータ制御装置30から利用者13,23が使用する言語情報をクラウド・ファイルサーバ50へ出力する。また、クラウド・ファイルサーバ50からの案内データを入力してエレベータ制御装置30へ出力する。
【0027】
クラウド・ファイルサーバ50は、クラウド環境に置かれたファイルサーバであり、利用者13,23に対応する多言語データ51が蓄積されている。ここで、実施形態において「クラウド環境」には、いわゆる「クラウド」に限られず、複数のエレベータ制御装置30が共有できるファイルサーバが置かれた環境をも含む。また、多言語データ51は、多言語の音声案内データ、多言語の文字案内データ、多言語の画像案内データである。
【0028】
《第1実施形態の処理手順》
次に、第1実施形態のエレベータシステムの処理手順を図5のフローチャートに基づき説明する。
【0029】
図5に示すように、エレベータの利用者がかご10内に設置されたかご内認証装置12又は乗場20に設置された乗場認証装置22から自身が所持するICカード等の識別情報を認証装置12,22に読み込ませる。エレベータ制御装置30の利用者情報入力部31が利用者情報を入力すると(ステップS1 YES)、言語特定部32は、利用者情報に含まれる言語情報から言語を特定する(ステップS2)。
【0030】
利用者の使用する言語が特定できると(ステップS2 YES)、言語情報出力部33は、通信機器40を介して言語情報をクラウド・ファイルサーバ50へ出力する(ステップS3)。クラウド・ファイルサーバ50では、言語情報に対応する案内データを抽出してエレベータ制御装置30へ出力する。
【0031】
エレベータ制御装置30の案内データ入力部34がクラウド・ファイルサーバ50から案内データを入力すると(ステップS4 YES)、入力した案内データをかご内案内装置11、乗場案内装置21に出力する(ステップS5)。これにより、かご内案内装置11の音声案内スピーカ14から利用者が使用する言語に対応する音声案内がかご10内に放送される。また、かご内表示装置15には利用者が使用する言語に対応する文字案内が表示される。乗場案内装置21の音声案内スピーカ24、乗場表示装置25も同様である。
【0032】
このように第1実施形態によれば、エレベータ制御装置30に多言語音声データを事前登録する必要が無く、多言語の案内データをクラウド環境に置かれたファイルサーバ50から都度受信することで、利用者に合わせた多言語の案内サービスを提供することができる。また、案内データの更新や変更なども一括管理することもできる。
【0033】
また、通信機器や認証装置を備えたエレベータであれば同様のサービスを提供することが可能となるため、不特定多数の利用者が想定される公共のエレベータに好適なシステムとなる。
【0034】
<第2実施形態>
図6は第2実施形態のエレベータシステムの構成を示すブロック図である。なお、かご内機器や乗場機器の配置例は図3図4と同様である。
【0035】
第2実施形態では、かご10内のかご内音声識別マイク16で集音した利用者の言語、乗場20の乗場音声識別マイク26で集音された利用者の言語を音声識別データ入力部36が入力する。言語特定部32は入力された音声識別データから利用者が使用する言語を特定する。以下の処理は第1実施形態と同様である。
【0036】
このように第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、利用者の話し言葉を識別(認識)して言語キーワードから利用者が使用する言語を特定して案内データを自動選択することができる。
【0037】
<第3実施形態>
図7は第3実施形態のエレベータシステムの構成を示すブロック図である。なお、かご内機器や乗場機器の配置例は図3図4と同様である。
【0038】
第3実施形態では、エレベータ制御装置30内に案内データバックアップ部37を設けている。
【0039】
案内データバックアップ部37は、クラウド・ファイルサーバ50からダウンロードされた案内データをバックアップ用として一時的に保存しておく記憶部である。
【0040】
このように第3実施形態によれば、一度使用した案内データをバックアップデータとして一時的に保存する。このため、何らかの要因でクラウド・ファイルサーバ50との通信が途絶えた際も、バックアップデータの中に一時的に保存されている案内データを選定してかご内案内装置11、乗場案内装置21に出力することができる。
【0041】
特に、使用頻度の高い言語は出来るだけ保存しておくことで、都度、クラウド・ファイルサーバ50をアクセスして案内データをダウンロードする必要がないので、システムの利便性が向上する。
【0042】
<第4実施形態>
図8は第4実施形態の処理手順を示すフローチャートである。なお、第4実施形態の構成は、基本的に第1実施形態と同様であるため、図1図2を参照して説明する。
【0043】
第4実施形態では、利用者の属性、エレベータの設置場所、イベント開催中、季節や時間帯等に基づいて、その内容に対応した案内データを出力するようにしている。
【0044】
利用者を認証する際には、利用者が使用する言語以外に、利用者の属性(性別、年齢、嗜好)を認証することができる。また、クラウド・ファイルサーバ50に蓄積される案内データを利用者の属性、エレベータの設置場所、イベント開催中、季節や時間帯等に分類しておく。
【0045】
図8に示すように、エレベータの利用者がかご内に設置されたかご内認証装置12又は乗場20に設置された乗場認証装置22から自身が所持するICカード等の識別情報を認証装置12,22に読み込ませる。エレベータ制御装置30の利用者情報入力部31が利用者情報を入力すると(ステップS11 YES)、言語特定部32は、利用者情報に含まれる言語情報から言語を特定する(ステップS12)。
【0046】
利用者の使用する言語が特定できると(ステップS12 YES)、次に、言語特定部32は利用者の属性を特定する(ステップS13)。
【0047】
利用者の属性が特定できた場合には(ステップS13 YES)、言語情報出力部33は、通信機器40を介して言語情報とともに利用者の属性情報をクラウド・ファイルサーバ50へ出力する(ステップS14)。クラウド・ファイルサーバ50では、言語情報と属性情報に対応する案内データを抽出してエレベータ制御装置30へ出力する。
【0048】
一方、利用者の属性が特定できない場合には(ステップS13 NO)、言語情報出力部33は、通信機器40を介して言語情報のみをクラウド・ファイルサーバ50へ出力する(ステップS15)。クラウド・ファイルサーバ50では、言語情報に対応する案内データを抽出してエレベータ制御装置30へ出力する。
【0049】
エレベータ制御装置30の案内データ入力部34がクラウド・ファイルサーバ50から案内データを入力すると(ステップS16 YES)、入力した案内データをかご内案内装置11、乗場案内装置21に出力する(ステップS17)。
【0050】
これにより、かご内案内装置11の音声案内スピーカ14から利用者が使用する言語に対応する音声案内がかご10内に放送される。その際に、利用者の属性情報を考慮して、例えば、利用者が子供の場合には、子供向けの案内情報を出力したり、声をキャラクタの声質で案内したりできる。また、かご内表示装置15には利用者が使用する言語に対応する文字案内、画像案内が表示される。その際、子供向けの表現や画像で表示することができる。乗場案内装置21の音声案内スピーカ24、乗場表示装置25の場合も同様である。
【0051】
このように第4実施形態によれば、利用者を認証する際には、言語情報だけでなく、利用者の属性も認証することができる。例えば、利用者に子供が含まれる場合には、子供向けのアナウンス内容を選択したり、子供が喜ぶようなアナウンスの声質パターンに変更する。また、イベント開催中であれば、イベント内容に適合した案内データ、季節や時間帯に適合した案内データを選択して出力することもできる。
【0052】
また、多言語音声の選択やアナウンス内容の変更だけでなく、期間や場所に限定した内容の案内データ、複数のアナウンスパターン、声質パターン等の案内データをクラウド・ファイルサーバに蓄積し、適宜選択できるようにすることで、その期間だけ、あるいはその場所だけの案内データを出力させることができ、エレベータの利便性の向上に寄与できる。
【0053】
<第5実施形態>
図9は第5実施形態のエレベータシステムをエレベータ制御装置の構成を中心に示すブロック図である。
【0054】
上述した各実施形態では、かご内案内装置11,乗場案内装置21にて案内データを出力するようにした。第5実施形態では、利用者が所持する携帯端末19,29に多言語の案内データを送信するようにしている。
【0055】
この場合、かご10内および乗場20には、携帯端末向け案内データ出力部18,28が設置され、かご内の利用者13が所持する携帯端末19,乗場20の利用者が所持する携帯端末29に案内データを送信する。携帯端末19,29は個人が所有するスマートフォンでも、ビルやイベント会場等から貸与された携帯端末の何れでも良い。
【0056】
このように第5実施形態によれば、利用者個々人を対象とした多言語サービスを提供することが可能となる。このため、利用者のプライバシー保護や、複数の利用者が同時に多言語サービスを利用することができる。さらに、耳の不自由な方への多言語サービスの提供もできるという効果を奏する。
【0057】
以上のように、各実施形態によれば、エレベータ制御装置30に多言語の案内データを事前登録する必要が無く、多言語案内データをクラウド環境や共有ファイルサーバから都度受信することで、利用者に合わせた多言語サービスの提供が可能となり、多言語データの更新や変更なども一括管理することも可能となる。
【0058】
<変形例>
なお、かご10、乗場20に画像認識装置を設置し、利用者13,23が所持するパスポート等の個人を認識する書類を画像認識させ、その認識情報から使用言語を特定するようにしてもよい。
【0059】
以上、本発明のいくつか実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10…かご、11…かご内案内装置、12…かご内認証装置、13…利用者、14…音声案内スピーカ、15…かご内表示装置、16…かご内音声識別マイク、17…かご操作盤、18…携帯端末向け案内データ出力部、19…携帯端末、20…乗場、21…乗場案内装置、22…乗場認証装置、23…利用者、24…音声案内スピーカ、25…乗場表示装置、26…乗場音声識別マイク、27…乗場操作盤、28…携帯端末向け案内データ出力部、29…携帯端末、30…エレベータ制御装置、31…利用者情報入力部、32…言語特定部、33…言語情報出力部、34…案内データ入力部、35…案内データ出力部、36…音声識別データ入力部、37…案内データバックアップ部、40…通信機器、50…クラウド・ファイルサーバ、51…多言語データ
【要約】
【課題】エレベータ側に案内データを事前に登録する必要が無く臨機応変な言語選定を可能とする。
【解決手段】クラウド環境に置かれ、多言語の案内データが蓄積されたファイルサーバと、かご内又は乗場に設置され、エレベータの利用者が使用する言語を特定する情報を含む利用者情報を認証する利用者認証装置と、かご内又は乗場に設置され、多言語による音声案内又は表示案内を実行する案内装置と、入力した利用者情報から当該利用者が使用する言語を特定する言語特定部と、特定された言語情報に基づき、ファイルサーバから、特定された言語に対応する案内データを入手する案内データ入力部と、入手された案内データをかご内又は乗場の案内装置へ出力する出力部とを少なくとも有するエレベータ制御装置と、備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9