(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】SNAREを活用した核酸構築物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20230807BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20230807BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230807BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230807BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230807BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230807BHJP
A61K 39/02 20060101ALI20230807BHJP
A61K 39/35 20060101ALI20230807BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230807BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230807BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230807BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230807BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20230807BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20230807BHJP
C07K 14/77 20060101ALN20230807BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230807BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/85 Z
A61K48/00
A61K31/7088
A61K35/76
A61K39/00 H
A61K39/02
A61K39/35
A61P37/04
A61P37/08
A61P37/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07K19/00
C07K14/47
C07K14/77
C12N15/12 ZNA
(21)【出願番号】P 2022125894
(22)【出願日】2022-08-05
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2021130022
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐山 慧門
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 貴也
(72)【発明者】
【氏名】堀 智史
(72)【発明者】
【氏名】久保 竣
(72)【発明者】
【氏名】山本 征輝
(72)【発明者】
【氏名】深川 聡子
(72)【発明者】
【氏名】石川 准子
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-500014(JP,A)
【文献】The journal of biological chemistry,2008年,vol.283,p.20897-20906
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/12
C12N 15/62
C12N 15/85
A61K 48/00
A61K 31/7088
A61K 35/76
A61K 39/00
A61K 39/02
A61K 39/35
A61P 37/04
A61P 37/08
A61P 37/02
A61P 43/00
C07K 14/47
C07K 14/77
C07K 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
VAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、STX16、STX5、GOSR1、STX8、STX12、VAMP8、及びSEC22Bからなる群より選択されるいずれかのSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、核酸構築物。
【請求項2】
前記SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドの下流に前記抗原をコードするポリヌクレオチドが前記プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、請求項1記載の核酸構築物。
【請求項3】
前記SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドの下流に前記抗原をコードするポリヌクレオチドが前記プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチド及びリンカーをコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、請求項1記載の核酸構築物。
【請求項4】
プラスミドベクター、mRNA、又はウイルスベクターである、請求項1記載の核酸構築物。
【請求項5】
前記抗原ががん抗原、自己抗原、細菌抗原、真菌抗原、原生動物抗原、及びアレルゲンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1記載の核酸構築物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の核酸構築物を有効成分とする抗原特異的Th1型免疫応答誘導又は増強剤。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項記載の核酸構築物を有効成分とする抗原特異的細胞性免疫応答誘導又は増強剤。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項記載の核酸構築物を有効成分とする核酸ワクチン。
【請求項9】
抗原特異的Th1型免疫応答を誘導又は増強するものである、請求項8記載の核酸ワクチン。
【請求項10】
抗原特異的細胞性免疫応答を誘導又は増強するものである、請求項8記載の核酸ワクチン。
【請求項11】
がんワクチンであり、前記抗原ががん抗原からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8記載の核酸ワクチン。
【請求項12】
アレルギー予防又は治療用ワクチンであり、前記抗原がアレルゲンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8記載の核酸ワクチン。
【請求項13】
自己免疫疾患治療用ワクチンであり、前記抗原が自己抗原からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8記載の核酸ワクチン。
【請求項14】
非経口により投与される、請求項8記載の核酸ワクチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含む核酸構築物に関する。
【背景技術】
【0002】
ワクチンは、抗原を投与し、抗原に対する獲得免疫を確立することにより、感染予防や疾患の治療を図る手段である。従来、弱毒化した細菌やウイルスをそのままワクチンとして用いる生ワクチン、細菌やウイルスをホルマリンや加熱などで処理し、感染力を失わせた不活化ワクチン、細菌の産生する毒素を分離精製し、ホルマリンなどで処理して不活化したトキソイドといったワクチンが主に皮下注射、筋肉内注射により投与されている。これら以外にも、効果、安全性、利便性の向上を目指して、投与部位を粘膜とする粘膜ワクチン、抗原成分を核酸とする核酸ワクチンなどの開発が進められている。なかでも、低コストで迅速に製造できる新モダリティとして、核酸ワクチンの開発が急速に進展している。
【0003】
核酸ワクチンの効果向上にあたっては、抗原の免疫原性の向上が重要な課題の1つであり、抗原を適切な組織や抗原提示細胞に誘導し、免疫応答を効率よく惹起することが求められている。特許文献1には、アレルゲンタンパク質(抗原)をリソソーム膜タンパク質(lysosomal associated membrane protein;LAMP)の細胞小器官内安定化ドメインと膜貫通ドメインの間に挿入した融合タンパク質をコードする核酸を用いることで、抗原に対する免疫応答が増強されたことが開示されている。一方で、LAMP内腔に抗原を付加すると、抗原特異的な抗体産生が著しく減弱してしまう場合があることが報告されている(非特許文献1)。また、特許文献2には、抗原、膜貫通領域及び主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子鎖の細胞質領域を含む融合分子をコードする核酸を用いることにより、抗原の免疫原性が増加したことが開示されている。特許文献2は、抗原とSNARE(soluble N-ethylmaleimide-sensitive factor attachment protein receptor)タンパク質の細胞質領域を含む融合分子にも言及しているが、該融合分子により、抗原の免疫原性がどのように変化するのかについては全く示されていない。
【0004】
SNAREタンパク質は、20~30kDaのSNAREモチーフを有するタンパク質ファミリーである。多くのSNAREタンパク質は、C末端の膜貫通ドメインを介して脂質二重膜上に係留されており、小胞が標的の細胞内小器官に融合する過程に関与する(非特許文献2及び3)。SNAREタンパク質が関与する膜融合は、真核細胞において小胞輸送やオルガネラの膜形態形成、細胞外受容体のリサイクリングなども含めたエンドサイトーシス過程、ホルモン分泌やシナプス神経伝達物質の放出を含めたエキソサイトーシス過程など、細胞機能に不可欠な多くの重要な生命現象に必須である。また、SNAREタンパク質による膜融合の分子機構は、単細胞である出芽酵母からヒトを含めた高等動物に至るまで、すべての真核生物で保存されていると考えられている。SNAREタンパク質は、SNAREモチーフのアミノ酸残基の特徴から、更にQA-SNARE、QB-SNARE、QC-SNARE、そしてR-SNAREの4つのサブファミリーに分類される。各SNAREタンパク質は、それぞれ特異的な細胞内膜画分(小胞体(ER)、ゴルジ体、エンドソーム、液胞・リソソームなどのオルガネラ、分泌小胞、細胞質膜など)に局在し、特定の細胞内輸送経路における膜融合の過程で機能すると考えられている。また、SNAREタンパク質は、エクソソームに含まれる可能性があることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-79742号公報
【文献】特表2008-500014号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Chen AC, et al. J Immunother Cancer. 2020; 8(1): e000258.
【文献】Jahn R, Scheller RH. Nat Rev Mol Cell Biol. 2006; 7(9): 631-643.
【文献】Hong W. Biochim Biophys Acta. 2005; 1744(2): 120-144.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、抗原特異的な免疫応答を増強する核酸構築物を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている核酸構築物を用いることで、抗原をコードするポリヌクレオチドのみを含む核酸構築物及びSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含むが、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドがプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介さずに連結されている核酸構築物と比較して、抗原特異的なTh1型免疫応答を誘導又は増強でき、また、抗原特異的な細胞性免疫応答を誘導又は増強できることを見出した。
【0009】
よって、本発明は、以下の1)~4)を提供する。
1)SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、核酸構築物。
2)1)の核酸構築物を有効成分とする抗原特異的Th1型免疫応答誘導又は増強剤。
3)1)の核酸構築物を有効成分とする抗原特異的細胞性免疫応答誘導又は増強剤。
4)1)の核酸構築物を有効成分とする核酸ワクチン。
【発明の効果】
【0010】
本発明の核酸構築物によれば、抗原特異的なTh1型免疫応答を誘導又は増強でき、また、抗原特異的な細胞性免疫応答を誘導又は増強することができる。斯かる核酸構築物は、核酸ワクチンとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチドをコードするmRNAの免疫原性の評価。IFNγの産生量を産生細胞数(spot forming cell;SFC)で示す。Emptyはトランスフェクション試薬のみのコントロールを、Empty(N.T.)は抗原による再刺激を行わなかったコントロールを、SNAREタンパク質-OVAはSNAREタンパク質-抗原(OVA)融合ポリペプチドをコードするmRNAを示す。
【
図2】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際のIgGサブクラスの抗体価。(A)はIgG抗体価を、(B)はIgG1抗体価を、(C)はIgG2a抗体価を示す。Emptyは抗原(OVA)をコードしない空プラスミドベクターを、OVAはOVAをコードするプラスミドベクターを、V7-OVAはVAMP7-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【
図3】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際の免疫応答の評価。(A)はIFNγの産生量を、(B)はIL-4の産生量をSFCで示す。(C)はIL-4産生量に対するIFNγ産生量の比(IFNγ/IL-4)を示す。Emptyは抗原(OVA)をコードしない空プラスミドベクターを、OVAはOVAをコードするプラスミドベクターを、V7-OVAはVAMP7-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【
図4】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際のIgGサブクラスの抗体価。(A)はIgG抗体価を、(B)はIgG1抗体価を、(C)はIgG2a抗体価を、(D)はIgG1抗体価に対するIgG2a抗体価の比(IgG2a/IgG1)を示す。Emptyは抗原(OVA)をコードしない空プラスミドベクターを、OVAはOVAをコードするプラスミドベクターを、V7-OVA、STX10-OVA、STX18-OVA、GOSR1-OVAはそれぞれVAMP7-OVA、STX10-OVA、STX18-OVA、GOSR1-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【
図5】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際の免疫応答の評価。(A)はIFNγの産生量を、(B)はIL-4の産生量をSFCで示す。(C)は無刺激条件下に対する抗原刺激条件下のIL-4産生量の比(IL-4 ratio)を示す。Emptyは抗原(OVA)をコードしない空プラスミドベクターを、OVAはOVAをコードするプラスミドベクターを、V7-OVA、STX10-OVA、STX18-OVA、GOSR1-OVAはそれぞれVAMP7-OVA、STX10-OVA、STX18-OVA、GOSR1-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【
図6】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチド又はLAMP内部に抗原を含む融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際の経時的な抗体価。(A)はIgG抗体価を、(B)はIgG1抗体価を、(C)はIgG2a抗体価を、(D)は5週目のIgG1抗体価に対するIgG2a抗体価の比(IgG2a/IgG1)を示す。Emptyは抗原(OVA)をコードしない空プラスミドベクターを、OVAはOVAをコードするプラスミドベクターを、V7-OVAはVAMP7-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを、V7-pc-OVAはプロタンパク質転換酵素認識配列を含むVAMP7-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを、LAMP[OVA]はLAMP内部にOVAを含む融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【
図7】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際の免疫応答の評価。(A)はIFNγの産生量を、(B)はIL-4の産生量をSFCで示す。(C)は無刺激条件下に対する抗原刺激条件下のIL-4産生量の比(IL-4 ratio)を示す。Emptyは抗原(OVA)をコードしない空プラスミドベクターを、OVAはOVAをコードするプラスミドベクターを、V7-OVAはVAMP7-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを、V7-pc-OVAはプロタンパク質転換酵素認識配列を含むVAMP7-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【
図8】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際のIgGサブクラスの抗体価。(A)~(D)は抗原としてWT1を、(E)~(H)は抗原としてMOG
35-55を用いた場合の結果を示す。(A)及び(E)はIgG抗体価を、(B)及び(F)はIgG1抗体価を、(C)及び(G)はIgG2a抗体価を、(D)及び(H)はIgG1抗体価に対するIgG2a抗体価の比(IgG2a/IgG1)を示す。Emptyは抗原(WT1又はMOG
35-55)をコードしない空プラスミドベクターを、WT1、MOG
35-55はそれぞれWT1、MOG
35-55をコードするプラスミドベクターを、V7-pc-WT1、V7-pc-MOG
35-55はそれぞれVAMP7-プロタンパク質転換酵素認識配列-WT1、VAMP7-プロタンパク質転換酵素認識配列-MOG
35-55融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【
図9】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際の免疫応答の評価。(A)~(D)は抗原としてWT1を、(E)~(H)は抗原としてMOG
35-55を用いた場合の結果を示す。(A)及び(E)はIFNγの産生量を、(B)及び(F)はIL-4の産生量をSFCで示す。(C)及び(G)は無刺激条件下に対する抗原刺激条件下のIL-4産生量の比(IL-4 ratio)を、(D)及び(H)はIL-4産生量に対するIFNγ産生量の比(IFNγ/IL-4)を示す。Emptyは抗原(WT1又はMOG
35-55)をコードしない空プラスミドベクターを、WT1、MOG
35-55はそれぞれWT1、MO
35-55をコードするプラスミドベクターを、V7-pc-WT1、V7-pc-MOG
35-55はそれぞれVAMP7-プロタンパク質転換酵素認識配列-WT1、VAMP7-プロタンパク質転換酵素認識配列-MOG
35-55融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【
図10】SNAREタンパク質-抗原融合ポリペプチド又はLAMP内部に抗原を含む融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際の免疫応答の評価。(A)はIFNγの産生量を、(B)はIL-4の産生量をSFCで示す。(C)は無刺激条件下に対する抗原刺激条件下のIL-4産生量の比(IL-4 ratio)を、(D)はIL-4産生量に対するIFNγ産生量の比(IFNγ/IL-4)を示す。Emptyは抗原(OVA)をコードしない空プラスミドベクターを、OVAはOVAをコードするプラスミドベクターを、V7-OVAはVAMP7-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを、V7-pc-OVAはプロタンパク質転換酵素認識配列を含むVAMP7-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを、LAMP[OVA]はLAMP内部にOVAを含む融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【
図11】SNAREタンパク質-アレルゲン融合ポリペプチド又はLAMP内部にアレルゲンを含む融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをアレルギーモデルマウスに投与した際のアレルギー反応の評価。(A)は経時的な直腸温度の変化を、(B)はアレルゲン特異的IgEの産生量を示す。Emptyはアレルゲン(OVA)をコードしない空プラスミドベクターを、OVAはOVAをコードするプラスミドベクターを、V7-pc-OVAはVAMP7-プロタンパク質転換酵素認識配列-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを、LAMP[OVA]はLAMP内部にOVAを含む融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。(-)は感作なしを、(+)は感作ありを示す。
【
図12】SNAREタンパク質-アレルゲン融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターをマウスに投与した際のOVA血中濃度の評価。Emptyはアレルゲン(OVA)をコードしない空プラスミドベクターを、OVAはOVAをコードするプラスミドベクターを、V7-OVAはVAMP7-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを、V7-pc-OVAはVAMP7-プロタンパク質転換酵素認識配列-OVA融合ポリペプチドをコードするプラスミドベクターを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、「核酸」、「ヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」と云う用語は、互換的に使用され、DNA又はRNAを意味する。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAのいずれもが含まれ、RNAには、total RNA、mRNA、rRNA、tRNA、non-coding RNA及び合成のRNAのいずれもが含まれる。中でもmRNAは、in vivoにおける翻訳反応の開始、mRNAの安定化、分解の抑制等の理由から、in vitro転写反応によって合成された後、Cap化酵素による5’Cap(メチル化グアノシン)の付加、並びにPoly(A)Polymeraseによるpoly Aの付加が行われる。poly A配列はin vitro転写反応に用いるテンプレートDNAに組み込まれていても良い。この時、Cap構造やpolyAが付加されたmRNA及び一部の塩基が修飾(例えばウリジンがシュードウリジンや1メチルシュードウリジンに置換)されているRNAも含まれる。
【0013】
本明細書において、「遺伝子」とは、ゲノムDNAを含む2本鎖DNAの他、cDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)、当該正鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)、及びこれらの断片を包含するものであって、DNAを構成する塩基の配列情報の中に、何らかの生物学的情報が含まれているものを意味する。
また、当該「遺伝子」は特定のヌクレオチド配列で表される「遺伝子」だけではなく、これらの同族体(すなわち、ホモログもしくはオーソログ)、遺伝子多型等の変異体、及び誘導体をコードする核酸が包含される。
本明細書中に開示される遺伝子の名称及びGene IDは、NCBI([www.ncbi.nlm.nih.gov/])に記載のあるOfficial Symbol及びGene IDに従う。
【0014】
本明細書において、「ペプチド」、「ポリペプチド」又は「タンパク質」と云う用語は、互換的に使用される。
【0015】
本明細書において、「アミノ酸残基」とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸残基、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リシン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)を意味する。
【0016】
本明細書において、ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science,1985,227:1435-1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Winのホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
【0017】
本明細書において、ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列に関する「少なくとも80%の同一性」とは、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性をいう。
【0018】
本明細書において、別途定義されない限り、ヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの欠失、置換、付加又は挿入に関して使用される「1又は数個」とは、好ましくは1~15個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~6個を意味し得る。また、本明細書において、別途定義されない限り、アミノ酸配列におけるアミノ酸残基の欠失、置換、付加又は挿入に関して使用される「1又は数個」とは、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個、さらに好ましくは1~2個を意味し得る。本明細書において、ヌクレオチド又はアミノ酸残基の「付加」には、配列の一末端及び両末端へのヌクレオチド又はアミノ酸残基の付加が含まれる。
【0019】
本明細書において、「ストリンジェントな条件」としては、Molecular Cloning-A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION(Joseph Sambrook,David W.Russell.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)記載のサザンハイブリダイゼーション法の条件、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5×デンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに42℃で8~16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
【0020】
本明細書において、ポリヌクレオチドの「フラグメント」とは、該ポリヌクレオチドの部分ポリヌクレオチドを意味する。部分ポリヌクレオチドの長さは、全長のポリヌクレオチドがコードするポリペプチドと同等の機能を有するポリペプチドをコードする限りにおいて、特に限定されるものではない。例えば、部分ポリヌクレオチドは、全長のポリヌクレオチドに対し好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、かつ、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下、さらにより好ましくは60%以下の長さの連続するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを意味し得る。また、本明細書において、ポリペプチドの「フラグメント」とは、該ポリペプチドの部分ポリペプチドを意味する。部分ポリペプチドの長さは、特に限定されるものではない。例えば、部分ポリペプチドは、全長のポリペプチドに対し好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、かつ、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下、さらにより好ましくは60%以下の長さの連続するアミノ酸残基からなるポリペプチドを意味し得る。
【0021】
本明細書において、「制御領域」とは、その下流に配置された遺伝子(例えばタンパク質をコードする領域)の発現を制御する機能を有する領域である。より具体的には、「制御領域」とは、遺伝子のコーディング領域の上流に存在し、RNAポリメラーゼと相互作用して該コーディング領域の転写を制御する機能を有する領域として定義され得る。制御領域は、転写開始制御領域及び/又は翻訳開始制御領域、あるいは転写開始制御領域から翻訳開始制御領域に至るまでの領域を含む。転写開始制御領域はプロモーター及び転写開始点を含む領域であり、翻訳開始制御領域は開始コドンと共にリボソームに認識され翻訳開始に必要なKozak配列に相当する部位である。
【0022】
本明細書において、制御領域と遺伝子のポリヌクレオチド(例えばタンパク質をコードするポリヌクレオチド)との「作動可能な連結」とは、遺伝子と制御領域とが、該遺伝子が該制御領域の制御の下で発現し得るように連結されていることをいう。遺伝子と制御領域との「作動可能な連結」の手順は当業者に周知である。
【0023】
本明細書において、第一の遺伝子のポリヌクレオチド(例えばタンパク質をコードするポリヌクレオチド)及び第二の遺伝子のポリヌクレオチド(例えばタンパク質をコードするポリヌクレオチド)との「発現可能な連結」とは、第一の遺伝子と第二の遺伝子とが、適切な発現ベクターに挿入され、該発現ベクターが適切な細胞に導入された場合に、該第一の遺伝子がコードするタンパク質と該第二の遺伝子がコードするタンパク質が融合タンパク質として生産されるように連結されることをいう。ここで、「連結」とは、第一の遺伝子と第二の遺伝子が直接結合している場合も、他のヌクレオチド配列を介して結合している場合も含む概念である。第一の遺伝子と第二の遺伝子との「発現可能な連結」の手順は当業者に周知である。
【0024】
本明細書において、遺伝子又はそのヌクレオチド配列に関する「上流」及び「下流」とは、該遺伝子の転写方向の上流及び下流をいう。例えば、遺伝子の「上流配列」「下流配列」とは、それぞれDNAセンス鎖において該遺伝子の5’側及び3’側に位置する配列をいう。
【0025】
本明細書において、「抗原」とは、生体に抗体の産生や細胞性免疫等の免疫応答を引き起こす分子を意味する。また、本明細書において、「免疫原性」とは、抗原が抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質を意味する。
【0026】
本明細書において、「核酸ワクチン」とは、抗原をコードするポリヌクレオチド(DNA又はRNA)を生体に投与することで免疫を誘導するワクチンをいう。核酸ワクチンには、DNAワクチン、mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンが包含され、いずれも液性免疫と細胞性免疫の両方を誘導すると考えられている。DNAワクチンは、抗原をコードするプラスミドを含む。生体に投与されたプラスミドが細胞に取り込まれて核内でmRNAに転写され、細胞質内でmRNAが抗原タンパク質に翻訳されて、抗原特異的な免疫応答が誘導される。mRNAワクチンは、抗原をコードするmRNAを含む。生体に投与されたmRNAが細胞に取り込まれ、細胞質内でmRNAが抗原タンパク質に翻訳されて、抗原特異的な免疫応答が誘導される。ウイルスベクターワクチンは、抗原をコードするポリヌクレオチドを組み込んだ病原性がないもしくは弱毒性のウイルスベクターを含む。生体に投与されたウイルスが細胞に侵入し、細胞に抗原タンパク質を合成させて、抗原特異的な免疫応答が誘導される。
【0027】
本明細書において、「細胞性免疫」とは、生体に侵入した病原体、ウイルス感染細胞、がん細胞などの異物の排除に働く獲得免疫応答のうち、細胞傷害性T細胞、マクロファージ、NK細胞等をエフェクターとする免疫応答をいう。また、本明細書において、「液性免疫」とは、獲得免疫応答のうち、抗体をエフェクターとする免疫応答をいう。
【0028】
本明細書において、「Th1型の免疫応答」とは、ヘルパーT細胞のサブセットのうち、Th1細胞により促進される免疫応答を指す。Th1細胞は、サイトカインとして主にIFNγを産生し、M1マクロファージ、細胞傷害性T細胞及びNK細胞を主な標的細胞とし、主に細胞性免疫を誘導する。Th1細胞は、B細胞を活性化してIgG2aの産生を誘導することが知られている。また、本明細書において、「Th2型の免疫応答」とは、ヘルパーT細胞のサブセットのうち、Th2細胞により促進される免疫応答を指す。Th2細胞は、サイトカインとして主にIL-4、IL-5、IL-13を産生し、肥満細胞、M2マクロファージ、好酸球及び好塩基球を主な標的細胞とし、主に液性免疫を誘導する。Th2細胞は、B細胞を活性化してIgG1の産生を誘導することが知られている。
【0029】
本発明は、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、核酸構築物を提供する。
【0030】
本発明において、SNAREタンパク質は、SNAREモチーフを有するタンパク質ファミリーに属するタンパク質である。SNAREタンパク質は、SNAREモチーフのアミノ酸残基の特徴から、QA-SNARE、QB-SNARE、QC-SNARE、及びR-SNAREの4つのサブファミリーに分類されるが、本発明で用いられるSNAREタンパク質はいずれのサブファミリーに属するものであってもよい。該SNAREタンパク質は、膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞に局在するものが好ましく、具体的には、VAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、STX16、STX5、GOSR1、STX8、STX12、VAMP8、SEC22B、STX6、VAMP3、VAMP4、VTI1B、BET1、BET1L、USE1などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。該SNAREタンパク質としては、免疫誘導又は増強の点から、VAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、STX16、STX5、GOSR1、STX8、STX12、VAMP8、及びSEC22Bからなる群より選択されるいずれかが好ましく、VAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、STX16、STX5、及びGOSR1からなる群より選択されるいずれかがより好ましく、VAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、及びGOSR1からなる群より選択されるいずれかがさらに好ましく、VAMP7、GOSR2、STX10、及びGOSR1からなる群より選択されるいずれかがさらに好ましく、VAMP7がさらに好ましい。
【0031】
VAMP7(vesicle-associated membrane protein 7)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、後期エンドソーム、リソソーム及び細胞膜に局在すると予想されている。好ましい一例において、VAMP7は、哺乳動物のVAMP7である。より好ましい一例において、VAMP7は、ヒトVAMP7であり、配列番号1のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:6845)にコードされる、配列番号10のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるVAMP7には、VAMP7及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0032】
GOSR2(golgi SNAP receptor complex member 2)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、小胞体-ゴルジ体中間区間及びゴルジ体に局在すると予想されている。好ましい一例において、GOSR2は、哺乳類のGOSR2である。より好ましい一例において、GOSR2は、ヒトGOSR2であり、配列番号2のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:9570)にコードされる、配列番号11のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるGOSR2には、GOSR2及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0033】
STX(syntaxin)10は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、トランスゴルジネットワークに局在すると予想されている。好ましい一例において、STX10は、哺乳類のSTX10である。より好ましい一例において、STX10は、ヒトSTX10であり、配列番号3のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:8677)にコードされる、配列番号12のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるSTX10には、STX10及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0034】
STX18は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、小胞体に局在すると予想されている。好ましい一例において、STX18は、哺乳類のSTX18である。より好ましい一例において、STX18は、ヒトSTX18であり、配列番号4のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:53407)にコードされる、配列番号13のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるSTX18には、STX18及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0035】
BNIP1(BCL2 interacting protein 1)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、小胞体に局在すると予想されている。好ましい一例において、BNIP1は、哺乳類のBNIP1である。より好ましい一例において、BNIP1は、ヒトBNIP1であり、配列番号5のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:662)にコードされる、配列番号14のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるBNIP1には、BNIP1及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0036】
STX7は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、初期エンドソーム及び後期エンドソームに局在すると予想されている。好ましい一例において、STX7は、哺乳類のSTX7である。より好ましい一例において、STX7は、ヒトSTX7であり、配列番号6のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:8417)にコードされる、配列番号15のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるSTX7には、STX7及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0037】
VTI1A(vesicle transport through interaction with t-SNAREs 1A)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、トランスゴルジネットワークに局在すると予想されている。好ましい一例において、VTI1Aは、哺乳類のVTI1Aである。より好ましい一例において、VTI1Aは、ヒトVTI1Aであり、配列番号7のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:143187)にコードされる、配列番号16のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるVTI1Aには、VTI1A及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0038】
STX16は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、トランスゴルジネットワークに局在すると予想されている。好ましい一例において、STX16は、哺乳類のSTX16である。より好ましい一例において、STX16は、ヒトSTX16であり、配列番号8のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:8675)にコードされる、配列番号17のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるSTX16には、STX16及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0039】
STX5は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、ゴルジ体に局在すると予想されている。好ましい一例において、STX5は、哺乳類のSTX5である。より好ましい一例において、STX5は、ヒトSTX5であり、配列番号9のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:6811)にコードされる、配列番号18のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるSTX5には、STX5及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0040】
GOSR1は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、ゴルジ体及びトランスゴルジネットワークに局在すると予想されている。好ましい一例において、GOSR1は、哺乳動物のGOSR1である。より好ましい一例において、GOSR1は、ヒトGOSR1であり、配列番号71のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:9527)にコードされる、配列番号83のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるGOSR1には、GOSR1及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0041】
STX8は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、初期エンドソーム、後期エンドソーム、及び細胞膜に局在すると予想されている。好ましい一例において、STX8は、哺乳動物のSTX8である。より好ましい一例において、STX8は、ヒトSTX8であり、配列番号72のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:9482)にコードされる、配列番号84のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるSTX8には、STX8及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0042】
STX12は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、ゴルジ体、初期エンドソーム及びリサイクリングエンドソームに局在すると予想されている。好ましい一例において、STX12は、哺乳動物のSTX12である。より好ましい一例において、STX12は、ヒトSTX12であり、配列番号73のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:23673)にコードされる、配列番号85のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるSTX12には、STX12及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0043】
VAMP8は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、リソソーム、初期エンドソーム、後期エンドソーム及び細胞膜に局在すると予想されている。好ましい一例において、VAMP8は、哺乳動物のVAMP8である。より好ましい一例において、VAMP8は、ヒトVAMP8であり、配列番号74のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:8673)にコードされる、配列番号86のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるVAMP8には、VAMP8及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0044】
SEC22B(SEC22 homolog B,vesicle trafficking protein)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク及びトランスゴルジネットワークに局在すると予想されている。好ましい一例において、SEC22Bは、哺乳動物のSEC22Bである。より好ましい一例において、SEC22Bは、ヒトSEC22Bであり、配列番号75のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:9554)にコードされる、配列番号87のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるSEC22Bには、SEC22B及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0045】
STX6は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、ゴルジ体に局在すると予想されている。好ましい一例において、STX6は、哺乳動物のSTX6である。より好ましい一例において、STX6は、ヒトSTX6であり、配列番号76のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:10228)にコードされる、配列番号88のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるSTX6には、STX6及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0046】
VAMP3(Vesicle-associated membrane protein 3)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、細胞膜及びゴルジ体に局在すると予想されている。好ましい一例において、VAMP3は、哺乳動物のVAMP3である。より好ましい一例において、VAMP3は、ヒトVAMP3であり、配列番号77のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:9341)にコードされる、配列番号89のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるVAMP3には、VAMP3及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0047】
VAMP4(Vesicle-associated membrane protein 4)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、ゴルジ体及びトランスゴルジネットワークに局在すると予想されている。好ましい一例において、VAMP4は、哺乳動物のVAMP4である。より好ましい一例において、VAMP4は、ヒトVAMP4であり、配列番号78のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:8674)にコードされる、配列番号90のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるVAMP4には、VAMP4及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0048】
VTI1B(Vesicle transport through interaction with t-SNAREs homolog 1B)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム及びリサイクリングエンドソームに局在すると予想されている。好ましい一例において、VTI1Bは、哺乳動物のVTI1Bである。より好ましい一例において、VTI1Bは、ヒトVTI1Bであり、配列番号79のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:10490)にコードされる、配列番号91のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるVTI1Bには、VTI1B及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0049】
BET1(Bet1 golgi vesicular membrane trafficking protein)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、小胞体、ゴルジ体及びシスゴルジネットワークに局在すると予想されている。好ましい一例において、BET1は、哺乳動物のBET1である。より好ましい一例において、BET1は、ヒトBET1であり、配列番号80のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:10282)にコードされる、配列番号92のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるBET1には、BET1及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0050】
BET1L(Bet1 golgi vesicular membrane trafficking protein like)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、ゴルジ体及びトランスゴルジネットワークに局在すると予想されている。好ましい一例において、BET1Lは、哺乳動物のBET1Lである。より好ましい一例において、BET1Lは、ヒトBET1Lであり、配列番号81のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:51272)にコードされる、配列番号93のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるBET1Lには、BET1L及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0051】
USE1(Unconventional SNARE in the ER 1)は、SNAREタンパク質の1種であり、膜貫通ドメインを有し、小胞体に局在すると予想されている。好ましい一例において、USE1は、哺乳動物のUSE1である。より好ましい一例において、USE1は、ヒトUSE1であり、配列番号82のヌクレオチド配列からなる遺伝子(Gene ID:55850)にコードされる、配列番号94のアミノ酸配列からなるタンパク質である。本発明で用いられるUSE1には、USE1及びこれと同等の機能を有するポリペプチドが包含される。
【0052】
本発明において、SNAREタンパク質と同等の機能を有するポリペプチドとは、該SNAREタンパク質と同等の生物学的活性を有するポリペプチドを指す。斯かるポリペプチドとしては、例えば、膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(好ましくは対応するSNAREタンパク質が局在する細胞内小胞)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドが挙げられる。具体例としては、下記の(b)~(e)、又は下記の(b)、(c)及び(e)のポリペプチドが挙げられる。
【0053】
VAMP7としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム、リソソーム又は細胞膜)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号10のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号1のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号1のヌクレオチド配列からなるVAMP7遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeq(Reference Sequence)にNM_001185183.2、又はNM_001145149.3として登録され、それぞれ、NP_001172112.1、又はNP_001138621.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0054】
GOSR2としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号11のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号2のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号2のヌクレオチド配列からなるGOSR2遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_054022.4、NM_004287.5、NM_001353114.2、NM_001012511.3、NM_001363851.2、NM_001330252.2、NM_001353116.2、NM_001353115.2、又はNM_001321134.2として登録され、それぞれ、NP_473363.1、NP_004278.2、NP_001340043.1、NP_001012529.1、NP_001350780.1、NP_001317181.1、NP_001340045.1、NP_001340044.1、又はNP_001308063.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0055】
STX10としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号12のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号3のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号3のヌクレオチド配列からなるSTX10遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001271610.2、NM_1271609.2、又はNM_001271611.2として登録され、それぞれ、NP_001258539.1、NP_001258538.1、又はNP_001258540.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0056】
STX18としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号13のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号13のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号4のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号4のヌクレオチド配列からなるSTX18遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001346281.2、NM_001346282.2、又はNM_001346300.2として登録され、それぞれ、NP_001333210.1、NP_001333211.1、又はNP_001333229.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0057】
BNIP1としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号14のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号5のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号5のヌクレオチド配列からなるBNIP1遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_013980.3、NM_001205.3、又はNM_013978.3として登録され、それぞれ、NP_053583.2、NP_001196.2、又はNP_053581.2として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0058】
STX7としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号15のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号15のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号6のヌクレオチド配列からなるSTX7遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001326578.2、NM_001326579.2、又はNM_001326580.2として登録され、それぞれ、NP_001313507.1、NP_001313508.1、又はNP_001313509.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0059】
VTI1Aとしては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号16のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号16のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号7のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号7のヌクレオチド配列からなるVTI1A遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_145206.4、NM_001365711.1、NM_001365710.2、NM_001365712.1、NM_001365713.1、NM_001365714.1、又はNM_001318205.2として登録され、それぞれ、NP_660207.2、NP_001352640.1、NP_001352639.1、NP_001352641.1、NP_001352642.1、NP_001352643.1、又はNP_001305134.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0060】
STX16としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号17のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号17のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号8のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号8のヌクレオチド配列からなるSTX16遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001134772.3、NM_1134773.3、NM_003763.6、又はNM_001204868.2として登録され、それぞれ、NP_001128244.1、NP_001128245.1、NP_003754.2、又はNP_001191797.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0061】
STX5としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号18のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号18のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号9のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号9のヌクレオチド配列からなるSTX5遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001244666.3、又はNM_001330294.2として登録され、それぞれ、NP_001231595.1、又はNP_001317223.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0062】
GOSR1としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号83のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号83のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号83のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号71のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号71のヌクレオチド配列からなるGOSR1遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001007025.2又はNM_001007024.2として登録され、それぞれ、NP_001007026.1又はNP_001007025.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0063】
STX8としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号84のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号84のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(c)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
【0064】
STX12としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号85のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号85のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(c)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
【0065】
VAMP8としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号86のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号86のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号86のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(c)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
【0066】
SEC22Bとしては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号87のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号87のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(c)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
【0067】
STX6としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号88のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号88のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号88のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号76のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号76のヌクレオチド配列からなるSTX6遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001286210.2として登録され、NP_001273139.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0068】
VAMP3としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号89のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号89のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号89のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(c)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
【0069】
VAMP4としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号90のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号90のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号90のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号78のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号78のヌクレオチド配列からなるVAMP4遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001185127.2として登録され、NP_001172056.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0070】
VTI1Bとしては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号91のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号91のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(c)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
【0071】
BET1としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号92のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号92のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号92のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号80のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号80のヌクレオチド配列からなるBET1遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001317739.2として登録され、NP_001304668.1として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0072】
BET1Lとしては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号93のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号93のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号93のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(d)配列番号81のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(d)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
配列番号81のヌクレオチド配列からなるBET1L遺伝子のスプライシングバリアントとしては、NCBIのRefSeqにNM_001098787.2、又はNM_016526.5として登録され、それぞれ、NP_001092257.1、又はNP_057610.2として登録されるタンパク質をコードするバリアントが挙げられる。
【0073】
USE1としては、具体的には以下が挙げられる。
(a)配列番号94のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(c)配列番号94のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド;
(e)上記(a)~(c)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド。
【0074】
本発明で用いられるSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドには、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチド及びSNAREタンパク質と同等の機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが包含される。SNAREタンパク質と同等の機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの具体例としては、下記の(g)~(k)及び(m)~(o)、又は下記の(g)、(h)、(j)、(k)及び(m)~(o)のポリヌクレオチドが挙げられる。
【0075】
VAMP7をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号1のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号1のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号1のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号1のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号10のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、後期エンドソーム又はリソソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0076】
GOSR2をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号2のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号2のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号2のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号2のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号2のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号11のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体-ゴルジ体中間区間又はゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0077】
STX10をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号3のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号3のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号3のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号3のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号12のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0078】
STX18をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号4のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号4のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号4のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号4のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号13のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号13のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0079】
BNIP1をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号5のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号5のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号5のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号5のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号5のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号14のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0080】
STX7をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号6のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号6のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号6のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号15のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号15のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0081】
VTI1Aをコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号7のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号7のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号7のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号7のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号7のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号16のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号16のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0082】
STX16をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号8のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号8のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号8のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号8のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号8のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号17のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号17のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、トランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0083】
STX5をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号9のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号9のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号9のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号9のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号9のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号18のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号18のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0084】
GOSR1をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号71のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号71のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号71のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号71のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号71のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号83のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号83のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号83のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0085】
STX8をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号72のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号72のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号72のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号72のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(h)及び(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号84のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号84のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0086】
STX12をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号73のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号73のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号73のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号73のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(h)及び(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号85のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号85のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体、初期エンドソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0087】
VAMP8をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号74のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号74のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号74のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号74のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(h)及び(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号86のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号86のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号86のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、リソソーム、初期エンドソーム又は後期エンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0088】
SEC22Bをコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号75のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号75のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号75のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号75のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(h)及び(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号87のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号87のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、小胞体-ゴルジ体中間区間、ゴルジ体、シスゴルジネットワーク又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0089】
STX6をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号76のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号76のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号76のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号76のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号76のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号88のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号88のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号88のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0090】
VAMP3をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号77のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号77のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号77のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号77のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(h)及び(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号89のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号89のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号89アミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0091】
VAMP4をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号78のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号78のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号78のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号78のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号78のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号90のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号90のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号90のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0092】
VTI1Bをコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号79のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号79のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号79のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号79のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(h)及び(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号91のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号91のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム又はリサイクリングエンドソーム)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0093】
BET1をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号80のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号80のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号80のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号80のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号80のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(h)及び(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号92のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号92のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号92のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体、ゴルジ体又はシスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0094】
BET1Lをコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号81のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号81のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号81のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号81のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドのスプライシングバリアントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号81のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号93のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号93のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号93のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、ゴルジ体又はトランスゴルジネットワーク)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0095】
USE1をコードするポリヌクレオチドとしては、具体的には以下が挙げられる。
(f)配列番号82のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(g)配列番号82のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号82のヌクレオチド配列に対して1個又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(j)配列番号82のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(k)上記(f)~(h)及び(j)のいずれかのポリヌクレオチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(l)配列番号94のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(m)配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(n)配列番号94のアミノ酸配列に対して1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(o)上記(l)~(n)のいずれかのポリペプチドのフラグメントであり、かつ膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞(例えば、小胞体)又はエクソソームに局在することができるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
【0096】
本発明のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドの取得方法としては、特に制限されず、通常の化学合成法又は遺伝子工学的手法により得ることができる。例えば、配列番号1~9及び71~82のいずれかのヌクレオチド配列に基づいて、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドを人工合成することができる。人工合成には、例えば、GenScript社等から提供される市販のDNA合成サービスを利用することができる。あるいは、例えば、ヒト由来の試料から、Molecular Cloning-A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION(Joseph Sambrook,David W.Russell,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)記載の方法に従って、配列番号1~9及び71~82のいずれかのヌクレオチド配列をクローニングすることができる。
【0097】
本発明のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドはまた、例えば、配列番号1~9及び71~82のいずれかのヌクレオチド配列からなるDNAに突然変異を導入することによって製造することができる。突然変異導入の手法としては、例えば、紫外線照射及び部位特異的変異導入法が挙げられる。部位特異的変異導入の手法としては、Splicing overlap extension(SOE)PCR(Horton et al.,Gene,77,61-68,1989)を利用した方法、ODA法(Hashimoto-Gotoh et al.,Gene,152,271-276,1995)、Kunkel法(Kunkel,T.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1985,82,488)等が挙げられる。あるいは、Site-Directed Mutagenesis System Mutan-SuperExpress Kmキット(タカラバイオ)、TransformerTM Site-Directed Mutagenesisキット(Clonetech社)、KOD-Plus-Mutagenesis Kit(東洋紡社)等の市販の部位特異的変異導入用キットを利用することもできる。突然変異導入したDNAから、膜貫通ドメインを有し、細胞内小胞に局在し得るものを選択することによって、本発明のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドを取得することができる。突然変異を導入したDNAがコードするポリペプチドが膜貫通ドメインを有するか否かは、例えば、該DNAがコードするポリペプチドのアミノ酸配列を基にSOSUI(Hirokawa et al.,Bioinformatics,14(4):378-379,1998)、TMHMM(Krogh et al.,J Mol Biol.305(3):567-580,2001)などの予測ツールを用いて判別することができる。
【0098】
あるいは、ヌクレオチド配列に対するヌクレオチドの欠失、置換、付加、又は挿入の方法は、例えば、Dieffenbachら(Cold Spring Harbar Laboratory Press,New York,581-621,1995)に記載されている。
【0099】
あるいは、本発明のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、例えば、配列番号1~9及び71~82のいずれかのヌクレオチド配列からなるDNAを人工DNA切断酵素(artificial DNA nucleases又はProgrammable nuclease)を用いたゲノム編集に供することによっても得ることが出来る。
【0100】
本発明において、抗原としては、任意のものを用いることができる。具体的には、がん抗原、自己抗原、感染症抗原、アレルゲンなどが挙げられる。
【0101】
本発明において、がん抗原は、免疫システムによるがんの攻撃の際にがん細胞と正常細胞とを区別するための目印となる、がん細胞には発現しているが正常細胞には発現していないか発現していても発現量が少ないタンパク質又はそれに由来するペプチドを意味する。がん抗原としては、特に制限されないが、MAGEA1-4、NY-ESO-1、PRAME、SSX2、CT83、CD19、GP100、MART1、PSA、PSMA、チロシナーゼ、WT1、HER2、MUC1、CEA、survivin、サイクリンB1、EGFR、メソテリン、テロメラーゼ、MUC1T、LSP1、BCR-ABL1、HRAS、KRASなどのがん患者に共通して認められるタンパク質又はそれに由来するペプチド、がん細胞における遺伝子変異に伴い新たに生じたがん抗原であり、免疫原性が高いと考えられているネオアンチゲンなどが挙げられる。このうち、がん抗原として、WT1、ネオアンチゲン、又はそれらに由来するペプチドが好ましく、WT1又はそれに由来するペプチドがより好ましい。
【0102】
本発明において、自己抗原は、本来正常な身体構成成分であるにも関わらず、宿主で自己免疫反応を誘発し自己免疫疾患の原因となるタンパク質若しくはそれに由来するペプチド、又は宿主における特定の疾患原因となる抗原であって、当該抗原に対して人為的に免疫応答を誘発することで疾患治療が期待できる標的タンパク質若しくはそれに由来するペプチドを意味する。自己免疫疾患の原因となる自己抗原としては、特に制限されないが、例えばI型糖尿病では、Carboxypeptidase H、Chromogranin A、Glutamate decarboxylase、Imogen-38、Insulin、Insulinoma antigen-2、Insulinoma antigen-2B、Islet-specific glucose-6-phosphatase catalytic subunit related protein、Proinsulinなどのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、多発性硬化症では、α-enolase、Aquaporin-4、β-arrestin、Myelin basic protein、Myelin oligodendrocytic glycoprotein、Proteolipid protein、S100-βなどのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、関節リウマチでは、Citrullinated protein、Collagen II、Heat shock proteins、Human cartilage glycoprotein 39などのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、全身性エリテマトーデスでは、La antigen、histone proteins、Ribonucleoproteins、Phospholipid-β-2 glycoprotein I complex、Poly (ADP-ribose) polymerase、Sm antigens of U-I small ribonucleoprotein complexなどのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、シェーグレン症候群では、RNA-binding protein RO60、Lupus La protein、Muscarinic acetylcholine receptor M3、Aquaporin-5、Salivary Gland Protein 1、Carbonic anhydrase 6、Parotid secretory protein、Vasoactive intestinal peptide、Kallikrein-11などのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、多発性筋炎/皮膚筋炎では、Aminoacyl-tRNA synthetase、Histidyl-tRNA synthetase、Threonyl-tRNA synthetase、Alanyl-tRNA synthetase、Isoleucyl-tRNA synthetase、Glycyl-tRNA synthetase、Asparaginyl-tRNA synthetase、Phenylalanyl-tRNA synthetase、Tyrosyl-tRNA synthetase、Signal recognition particle、Elongation factor 1α、NuRD helicase、transcriptional intermediary factor-1-γ、PMS1 protein、Nuclear matrix protein NXP2、SUMO-1 activating enzyme Aなどのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、バゼドウ氏病では、Thyrotropin receptorなどのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられる。このうち、自己抗原として、Myelin oligodendrocytic glycoprotein又はそれに由来するペプチドが好ましい。
人為的に免疫応答を誘発する標的となる自己抗原としては、アルツハイマー型認知症では、Amyloid β、Tau proteinなどのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、パーキンソン病では、α sinucleinなどのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、動脈硬化症では、Cholesterol ester transfer protein、ApoB-100、Proprotein convertase subtilisin/kexin type 9、Heat shock protein 60などのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、高血圧症では、Type-1 angiotensin II receptor、Alpha 1D-Adrenergic Receptorなどのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、2型糖尿病では、Dipeptidyl peptidase 4などのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、肥満症では、Glucagon-like peptide-1、Ghrelin、Peptide YYなどのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられ、骨粗しょう症では、receptor activator of NF-kappaB ligand(RANKL)などのタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられる。
【0103】
本発明において、感染症抗原としては、感染症の原因となるウイルス、細菌、真菌及び原生動物に由来する抗原が挙げられる。ウイルス抗原は、ウイルスを構成するタンパク質又はそれに由来するペプチドを意味する。ウイルス抗原としては、特に限定されないが、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、日本脳炎ウイルス、ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、ジカウイルス、サイトメガロウイルス、パピローマウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、成人T細胞白血病ウイルスなどのウイルスの構成タンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられる。
細菌抗原は、細菌を構成するタンパク質又はそれに由来するペプチドを意味する。細菌抗原としては、特に限定されないが、百日咳菌、ジフテリア菌、大腸菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクター、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎球菌、A群連鎖球菌、B群連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、破傷風菌、レジオネラ菌、結核菌、マイコプラズマなどの細菌の構成タンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられる。
真菌抗原としては、真菌やその胞子を構成するタンパク質又はそれに由来するペプチドを意味する。真菌抗原としては、アスペルギルス属真菌(例えばAspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Aspergillus terreus、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus ustus等)、ブラストミセス属真菌(例えば、Blastomyces dermatitidis等)、カンジダ属真菌(例えばCandida albicans等)、コクシジオイデス属真菌(例えばCoccidiodes immitis等)、クリプトコッカス属真菌(例えばCryptococcus neoformans、Cryptococcus gattii等)、ヒストプラズマ属真菌(例えばHistoplasma capsulatum等)、パラコクシジオイデス属真菌(例えばParacoccidioides brasiliensis等)、スポロトリクス属真菌(例えばSporothrix schenckii等)などの真菌やその胞子の構成タンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられる。
原生動物抗原としては、原生動物を構成するタンパク質又はそれに由来するペプチドを意味する。原生動物抗原としては、マラリア原虫、リーシュマニア、クリプトスポリジウム、ガンビアトリパノソーマ、ローデシアトリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、トリコモナス、トキソプラズマ、バベシア、赤痢アメーバ、ジアルジアなどの原生動物の構成タンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられる。
このうち、感染症抗原として、細菌抗原、真菌抗原、又は原生動物抗原が好ましい。
【0104】
本発明において、アレルゲンは、吸入、刺入、摂取又は接触により外部から生体に入り、過敏反応やアレルギー反応を惹起するタンパク質又はそれに由来するペプチドを意味する。アレルゲンとしては、特に限定されないが、イネ科植物花粉(アシ、オオアワガエリ、オオスズメノテッポウ、カモガヤ、ギョウギシバ、小麦、コヌカグサ、スズメノヒエ、セイバンモロコシ、ナガハグサ、ハルガヤ、ヒロハウシノケグサ、ホソムギなど);雑草花粉(アキノキリンソウ、イラクサ、オオブタクサ、カナムグラ、シロザタンポポ、ニガヨモギ、ヒメスイバ、ブタクサ、ブタクサモドキ、フランスギク、ヘラオオバコ、ヨモギなど);樹木花粉(アカシア、オリ一ブ、カエデ、クルミ、クワ、コナラ、シラカンバ、スギニレ、ハンノキ、スギ、ヒノキ、ビャクシン、ブナ、マツ、ヤナギなど);真菌又は細菌類(アスペルギルス、アルテルナリア、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンA、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンB、カンジダ、クラドスポリウム、トリコフィトン、ピティロスポリウム、ペニシリウム、ヘルミントスポリウム、マラセチア、ムコールなど);動物表皮(アヒル羽毛、猫皮屑、犬皮屑、牛皮屑、馬皮屑、家兎上皮、ハムスター上皮、モルモット上皮、羊上皮、豚上皮、ヤギ上皮、ニワトリ羽毛、ガチョウ羽毛、セキセイインコ羽毛、セキセイインコのふん、マウス、ラットなど);昆虫(アシナガバチ、ガ、ゴキブリ、スズメバチ、ミツバチ、ヤブカ、ユスリカ(成虫)など);寄生虫(アニサキス、回虫など);ダニ(アシブトコナダニ、ケナガコナダニ、コナヒョウダニ、サヤアシニクダニ、ヤケヒョウダニなど);食物(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンなど);ヒトインシュリンなどに含まれるタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられる。このうち、アレルゲンとして、食物に含まれるタンパク質又はそれに由来するペプチドが好ましく、卵に含まれるタンパク質又はそれに由来するペプチドがより好ましい。
【0105】
その他の抗原としては、セリアック病の原因となるグルテンを構成するグルテニンやグリアジンタンパク質又はそれに由来するペプチドが挙げられる。
【0106】
本発明の抗原をコードするポリヌクレオチドの取得方法としては、特に制限されず、上述のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドを取得する場合と同様に、通常の化学合成法又は遺伝子工学的手法により得ることができる。抗原をコードするポリヌクレオチドとしては、抗原の全長をコードするポリヌクレオチドであってもよいし、抗原として機能する限りにおいて、抗原の部分ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであってもよい。また、1つの抗原をコードするポリヌクレオチドを複数連続して発現可能に連結させたポリヌクレオチドであってもよいし、2種以上の抗原をコードするポリヌクレオチドを発現可能に連結させたポリヌクレオチドであってもよい。本発明の核酸構築物に用いる抗原は、少なくとも1種類であり、かつ、好ましくは5種類以下、より好ましくは3種類以下、さらに好ましくは2種類以下である。また、本発明の核酸構築物に用いる抗原は、5種類、4種類、3種類、2種類又は1種類であり得る。
【0107】
本発明において、プロタンパク質転換酵素(proprotein convertase)認識配列とは、ゴルジ体などでプロタンパク質を生理学的に活性なタンパク質又はペプチドに転換するセリンプロテアーゼであるプロタンパク質転換酵素が認識するアミノ酸配列を指し、具体的には、X-Arg-X-(Arg/Lys)-Argからなるアミノ酸配列(例えば、配列番号22)である。ここで、Xは任意のアミノ酸残基を示す。プロタンパク質転換酵素としては、furin、PC2、PC4、PC5/6、PC7、PACE4などが挙げられ、これらの酵素が共通してArg-X-(Arg/Lys)-Argモチーフをよく認識することが知られている(Remacle AG, et al. Journal of Biological Chemistry 2008, 283(30): 20897-20906)。よって、プロタンパク質転換酵素認識配列は、Arg-X-(Arg/Lys)-Argであり得る。ここで、Xは任意のアミノ酸残基を示す。プロタンパク質転換酵素は、上記アミノ酸配列を認識し、C末端のアルギニン残基のC末端側を切断する。本発明において、好ましくは、プロタンパク質転換酵素はfurinであり、furin認識配列は上記のプロタンパク質転換酵素認識配列と同じである。プロタンパク質転換酵素認識配列は、これが1~5回程度繰り返された配列とすることもできる。
【0108】
プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドの取得方法としては、特に制限されず、通常の化学合成法又は遺伝子工学的手法により得ることができる。
【0109】
本発明の核酸構築物は、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して発現可能に連結された核酸構築物である。好ましくは、本発明の核酸構築物は、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドの下流に該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して発現可能に連結された核酸構築物である。尚、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドの間には、両者の発現を損ねない限りにおいて、プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチド以外の任意のポリヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、本発明の核酸構築物には、リンカーをコードするポリヌクレオチドをさらに含んでいてもよい。リンカーをコードするポリヌクレオチドを含む場合、本発明の核酸構築物は、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドがプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチド及びリンカーをコードするポリヌクレオチドを介して発現可能に連結された核酸構築物である。リンカーをコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドの連結順序は特に制限されず、プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドの上流にリンカーをコードするポリヌクレオチドが連結されていてもよいし、プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドの下流にリンカーをコードするポリヌクレオチドが連結されていてもよいし、リンカーをコードする複数のポリヌクレオチドがプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを挟む形で連結されていてもよい。
【0110】
本発明において、リンカーとは、2種のポリペプチドを連結するペプチドリンカーを指す。リンカーとしては、SNAREタンパク質と抗原を正常に機能させることができるものであればよく、特に制限されない。リンカーの長さは、好ましくは3アミノ酸残基以上、より好ましくは4アミノ酸残基以上、さらに好ましくは5アミノ酸残基以上であり、かつ、好ましくは30アミノ酸残基以下、より好ましくは25アミノ酸残基以下、さらに好ましくは20アミノ酸残基以下である。また、リンカーの長さは、好ましくは3~30アミノ酸残基、より好ましくは4~25アミノ酸残基、さらに好ましくは5~20アミノ酸残基である。斯かるリンカーとしては、G、GS、GGS、GGGS(配列番号106)、GGGGS(配列番号107)、EAAAK(配列番号108)、またはXPを構成要素として有するリンカーが挙げられる。ここで、Xは任意のアミノ酸残基を示す。具体例としては、それぞれの構成要素が1~5回、好ましくは3もしくは4回繰り返された配列からなるリンカーが挙げられ、好ましい具体例としては、GGGGSが3回繰り返された配列からなるリンカーが挙げられる(配列番号20)。配列の構成要素がGGGGSの場合、繰り返し配列の前にアミノ酸残基Sが付加されてもよく、又はEAAAKの場合、繰り返し配列の前後にアミノ酸残基Aが付加されてもよい。
【0111】
リンカーをコードするポリヌクレオチドの取得方法としては、特に制限されず、通常の化学合成法又は遺伝子工学的手法により得ることができる。
【0112】
本発明の核酸構築物に含まれるSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチド、抗原をコードするポリヌクレオチド、プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチド、又はリンカーをコードするポリヌクレオチドは、必要に応じて、該核酸構築物の投与対象の種にあわせて、コドン最適化されてもよい。各種生物が使用するコドンの情報は、Codon Usage Database([www.kazusa.or.jp/codon/])から入手可能である。
【0113】
好ましい一例において、本発明の核酸構築物は、発現カセットであり、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチド、プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチド、及び抗原をコードするポリヌクレオチドの発現を制御するための制御領域を含む。発現カセットにおいて、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチド、プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチド、及び抗原をコードするポリヌクレオチドは、制御領域と作動可能に連結されている。制御領域の例としては、プロモーター、ターミネーター、エンハンサーなどが挙げられる。好ましくは、発現カセットは、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチド、プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチド、及び抗原をコードするポリヌクレオチドの上流に連結されたプロモーターを含む。
【0114】
本発明の核酸構築物は、一端又は両端に、制限酵素認識部位を有することができる。該制限酵素認識部位を使用して、本発明の核酸構築物をベクターに導入することができる。例えば、ベクターを制限酵素で切断し、そこに、制限酵素認識部位を端部に有する本発明の核酸構築物を添加することによって、該核酸構築物をベクターに導入することができる。
【0115】
ベクターの種類は特に限定されず、プラスミドベクター、ファージ、ファージミド、コスミド、ウイルスベクター等の任意のベクターであってよい。一例において、本発明の核酸構築物を組み込むべきベクターは発現ベクターであり得るが、一方、組み込まれる核酸構築物が発現カセットである場合は、発現ベクターである必要はない。一例においては、本発明の核酸構築物は制御領域を含む発現カセットであり、任意のベクターに組み込まれて発現ベクターを構築する。別の一例においては、制御領域を含む発現ベクターに本発明の核酸構築物を組み込むことで、該発現ベクター上に本発明の発現カセットが構築される。
【0116】
好ましい一例において、本発明の核酸構築物はプラスミドベクターである。プラスミドベクターとしては、これらに限定されるものではないが、pVAX1などのプラスミドベクターが挙げられる。ここで、プラスミドベクターには、一般的に、細菌培養中にプラスミドベクターを選択的に保持することを目的として薬剤耐性遺伝子が配列内に組み込まれているが、生体内の細菌叢への当該遺伝子の伝播や哺乳類プロモーターを介した当該遺伝子の活性化並びに発現の危険性があることから、当該遺伝子配列を除去したプラスミドベクターがより好ましい。
【0117】
好ましい一例において、本発明の核酸構築物はウイルスベクターである。ウイルスベクターとしては、これらに限定されるものではないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、センダイウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクターなどが挙げられる。
【0118】
好ましい一例において、本発明の核酸構築物はmRNA構築物である。例えば、SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチド及び抗原をコードするポリヌクレオチドを含むDNAを鋳型として、HiScribe T7 ARCA mRNA Kit(New England Biolabs)、T7 mScriptTM Standard mRNA Production System(CELLSCRIPT)、HighYield T7 ARCA mRNA Synthesis Kit(Jena Bioscience)等の市販のin vitro転写用キットを利用することで、本発明の核酸構築物をmRNAとして得ることができる。
【0119】
後記実施例に示すように、本発明のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている核酸構築物は、抗原をコードするポリヌクレオチドのみを含む核酸構築物及びSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含むが、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドがプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介さずに連結されている核酸構築物と比較して、免疫原性が高く、抗原特異的なTh1型の免疫応答を誘導又は増強し、抗原特異的な細胞性免疫応答を誘導又は増強することができる。これは、細胞内に取り込まれた核酸構築物が翻訳又は転写及び翻訳されて抗原タンパク質として発現し、細胞内小胞に輸送されて抗原の一部が主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と結合し、細胞表面に輸送される抗原提示プロセスにおいて、本発明の核酸構築物では、抗原タンパク質がSNAREタンパク質と抗原の融合ポリペプチドとして発現することで、抗原タンパク質の細胞内小胞への標的化が図られ、さらにプロタンパク質転換酵素に認識され切断されることで小胞内に抗原タンパク質が遊離されて、抗原タンパク質とMHC分子との会合確率が上昇することにより、抗原提示の効率が向上したためと推測される。加えて、in vivoにおいて、抗原を含有したエクソソームが抗原特異的なTh1型の免疫応答を増強することが報告されている(Qazi KR, et al. Blood. 2009, 113(12): 2673-83.)。よって、抗原タンパク質がSNAREタンパク質と抗原の融合ポリペプチドとして発現することで、抗原タンパク質のエクソソームへの標的化が図られ、免疫原性が向上した可能性も考えられる。
また、後記実施例に示すように、本発明の核酸構築物は、アレルギーモデルにおいて、抗原をコードするポリヌクレオチドのみを含む核酸構築物比較して、アナフィラキシーに伴う体温低下を改善し、血中のアレルゲン特異的IgE抗体濃度を低下できる。この結果は、本発明の核酸構築物が優れたアレルギー抑制効果を有することを示している。さらに、従来のアレルゲン免疫療法では、体外から摂取されたアレルゲンが一部血中へと放出され、アレルゲン特異的IgE抗体に捕捉されることによりアナフィラキシー等のI型アレルギーに分類される副反応が引き起こされることが知られているが、後記実施例に示すように、本発明の核酸構築物では、投与後の血中へのアレルゲン放出が抑制される。この結果は、本発明の核酸構築物がアナフィラキシーリスクを軽減できる可能性を示している。
【0120】
尚、免疫応答がTh1型であるかTh2型であるか、あるいは細胞性免疫応答であるか液性免疫応答であるかを判定するための指標となり得るIFNγ、IL-4などのサイトカインの産生量は、従来公知の方法で測定することができる。そのような方法としては、例えば、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)、ELISPOT(enzyme-linked immunosorbent spot)アッセイ、免疫組織染色、in situハイブリダイゼーション、RT-PCR、マイクロアレイ、フローサイトメトリーなどが挙げられる。後記実施例で用いているELISPOTアッセイキット(C.T.L.)など、サイトカイン産生測定のための試薬やキットは市販されており、これを用いて測定してもよい。
また、免疫応答がTh1型であるかTh2型であるか、あるいは細胞性免疫応答であるか液性免疫応答であるかを判定するための別の指標となり得るIgGのサブクラス別の産生量は、従来公知の方法で測定することができる。そのような方法としては、ELISA、免疫比濁法などが挙げられる。
Th1型免疫応答及び細胞性免疫応答は、サイトカインの産生量及び/又はIgGサブクラスの産生量を指標として、評価することができる。例えば、IFNγの産生量又はIL-4に対するIFNγの産生量比率(IFNγ/IL-4)が増加すれば、Th1型免疫応答及び細胞性免疫応答が誘導又は増強されたと評価でき、一方、IFNγの産生量又はIFNγ/IL-4が低下すれば、Th1型免疫応答及び細胞性免疫応答が減弱したと評価できる。あるいは、IgG2aの産生量及び/又はIgG1に対するIgG2aの産生量比率(IgG2a/IgG1)が増加すれば、Th1型免疫応答及び細胞性免疫応答が誘導又は増強されたと評価でき、一方、IgG2aの産生量及び/又はIgG2a/IgG1が低下すれば、Th1型免疫応答及び細胞性免疫応答が減弱したと評価できる。
【0121】
したがって、本発明の核酸構築物は、抗原特異的なIFNγ産生増強剤、IgG2a産生増強剤、Th1型免疫応答誘導又は増強剤、細胞性免疫応答誘導又は増強剤(以下、細胞性免疫応答誘導又は増強剤等と称する)となり得、該核酸構築物は、細胞性免疫応答誘導又は増強剤等を製造するために使用できる。
また、本発明の核酸構築物は、抗原特異的なIFNγ産生を増強するため、IgG2a産生を増強するため、Th1型免疫応答を誘導又は増強するため、細胞性免疫応答を誘導又は増強するために使用できる。ここで、当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物への投与、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。尚、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
【0122】
本発明の細胞性免疫応答誘導又は増強剤等は、それ自体で、抗原特異的なIFNγ産生増強のため、IgG2a産生増強のため、Th1型免疫応答誘導又は増強のため、細胞性免疫応答誘導又は増強のための医薬品、医薬部外品となり、また当該医薬品、医薬部外品に配合して使用される素材又は製剤となり得る。
【0123】
本発明の細胞性免疫応答誘導又は増強剤等を医薬品(医薬部外品を含む)として用いる場合、当該医薬品は任意の投与形態で投与され得る。投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられるが、好ましくは非経口投与であり、より好ましくは注射剤による非経口投与である。
このような種々の剤型の医薬製剤は、本発明の核酸構築物と他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、増粘剤、乳化剤、滑沢剤、分散剤、被膜剤、界面活性剤、被膜剤、浸透圧調整剤、緩衝剤、pH調整剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、嬌味剤、矯臭剤、香料等を適宜組み合わせて調製することができる。
【0124】
上記医薬品(医薬部外品を含む)における本発明の核酸構築物の含有量は、対象とする抗原や投与される対象、投与経路によって変動するため、特に限定されず広範囲に適宜選択される。一例として、組成物全体の0.00001~100質量%の間で当該核酸構築物を含み得る。
【0125】
本発明の細胞性免疫応答誘導又は増強剤等の投与量は、対象の種、体重、性別、年齢、状態又はその他の要因に従って変動し得る。投与の用量、経路、間隔は、当業者によって適宜決定され得る。例えば、投与量は、本発明の核酸構築物の量として、成人(体重60kg)1人、1日あたり、1ng~10mgの間で決定される。核酸構築物がウイルスベクターの場合、投与量は、一例として成人(体重60kg)1人、1日あたり、10~1×1015ウイルス粒子であり得る。
【0126】
本発明の細胞性免疫応答誘導又は増強剤等は、ヒト及び非ヒト動物のいずれに対しても投与することができる。非ヒト動物としては、非ヒト哺乳動物が挙げられ、非ヒト哺乳動物としては、例えば類人猿、その他霊長類、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ハムスター、及びコンパニオン動物等が挙げられる。好ましくは、本発明の細胞性免疫応答誘導又は増強剤等は、ヒトに投与される。より好ましくは、本発明の細胞性免疫応答誘導又は増強剤等は、がん、自己免疫疾患、もしくはアレルギーの患者、又はがん、自己免疫疾患、もしくはアレルギーの恐れのあるヒトに投与される。
【0127】
また、本発明の核酸構築物は、核酸ワクチンとなり得、該核酸構築物は、核酸ワクチンを製造するために使用できる。
さらに、本発明の核酸構築物は、抗原特異的なTh1型免疫応答を誘導もしくは増強するため及び/又は抗原特異的な細胞性免疫応答を誘導もしくは増強するために使用できる。ここで、当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物への投与、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。
【0128】
本発明の核酸ワクチンは、それ自体で、抗原特異的なTh1型免疫応答を誘導もしくは増強するため及び/又は抗原特異的な細胞性免疫応答を誘導もしくは増強するための医薬品となり、また当該医薬品に配合して使用される素材又は製剤となり得る。
【0129】
一実施形態において、核酸ワクチンは、DNAワクチンである。DNAワクチンは、プラスミドベクターである本発明の核酸構築物を含む。プラスミドベクターとしては、特に限定されないが、例えば、pVAX1ベクターが挙げられる。なかでも、安全性の点から、薬剤耐性遺伝子を含まないプラスミドベクターが好ましい。
【0130】
別の一実施形態において、核酸ワクチンは、mRNAワクチンである。mRNAワクチンは、mRNAである本発明の核酸構築物を含み、該核酸構築物は、mRNAの安定化、翻訳効率向上或いは過剰な免疫応答を防ぐため、Cap構造やpolyAを付加する処理を施したmRNA、及び/又は一部の塩基が修飾(例えばウリジンがシュードウリジンや1メチルシュードウリジンに置換)されているmRNAであってもよい。また、本発明の核酸構築物を含み、ウイルス由来RNA-dependent RNA polymerase(RdRP) complexの配列及びその複製起点(5’CSE、3’CSE)を含むSelf-amplyfing RNAや、本発明の核酸構築物及びRdRP complexの複製起点を含むRNAとRdRP complexの配列を含むmRNAを混合したTrans-amplifying RNAであってもよい。mRNAワクチンは、好ましくはmRNAの安定化と送達のためのキャリアとして脂質を構成成分とするリポソーム又は脂質ナノ粒子、高分子ポリマーを構成成分とするPLGAナノ粒子等のポリマーナノ粒子などのドラッグデリバリーを担う構築物をさらに含み、より好ましくはmRNAが当該構築物に封入されている。
【0131】
さらに別の一実施形態において、核酸ワクチンは、ウイルスベクターワクチンである。ウイルスベクターワクチンは、ウイルスベクターである本発明の核酸構築物を含む。ウイルスベクターとしては、特に限定されないが、例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、センダイウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクターなどが挙げられる。
【0132】
本発明の核酸ワクチンは、上記核酸構築物の他に、適宜、薬学的に許容され得る担体を含有し、所定の形態で製剤化され得る。
ここで、担体としては、ワクチンの製造に通常用いられる担体が挙げられ、具体的には、緩衝剤、乳化剤、保存剤(例えば、チメロサール)、等張化剤、pH調整剤、粘稠剤、アジュバント若しくは免疫刺激剤等が例示される。アジュバントとは、抗原と共に投与することで、当該抗原に対する免疫応答を増強させる物質であるが、本発明の核酸ワクチンは、自身がアジュバントとして機能し得ることから、アジュバントの添加は必ずしも必要とせず、アジュバントを含有しない組成物としてもよい。
【0133】
本発明の核酸ワクチンは、好ましくは液体形態で、意図する投与経路に適合するように適当に製剤される。投与経路としては経口投与と非経口投与があり、例えば、筋肉内、皮内、皮下、経皮、鼻腔内、舌下、経口、吸入等が挙げられるが、好ましくは筋肉内、皮内、又は皮下投与である。注射投与製剤としては、例えば、液剤、エマルジョン剤、水溶性又は疎水性の懸濁剤や、液体を添加して溶解あるいは懸濁させて使用する乾燥粉末の剤型が挙げられる。あるいは、本発明の核酸ワクチンは、本発明の核酸ワクチンを導入した樹状細胞として投与することもできる。斯かる投与は、具体的には、投与対象の生体より末梢血を採取して樹状細胞前駆細胞を分離し、適当なサイトカイン存在下で該前駆細胞より樹状細胞を分化誘導し、本発明の核酸ワクチンを導入して樹状細胞に抗原を提示させ、該樹状細胞を該投与対象に投与することにより行うことができる。投与される樹状細胞は、いわゆる樹状細胞ワクチンと称されるものである。樹状細胞ワクチンにより、抗原提示の効率を向上し、免疫誘導能を高めることが可能である。
【0134】
本発明の核酸ワクチンにおける本発明の核酸構築物の含有量は、対象とする抗原や投与される対象、投与経路によって変動するため、特に限定されず広範囲に適宜選択される。一例として、核酸ワクチン全体の0.00001~100質量%の間で当該核酸構築物を含み得る。
【0135】
本発明の核酸ワクチンの投与量は、対象の種、体重、性別、年齢、状態又はその他の要因に従って変動し得る。投与の用量、経路、間隔は、当業者によって適宜決定され得る。例えば、投与量は、本発明の核酸構築物の量として、1投与単位あたり、1ng~10mgの間で決定される。核酸構築物がウイルスベクターの場合、投与量は、一例として1投与単位あたり、10~1×1015ウイルス粒子であり得る。
【0136】
本発明の核酸ワクチンは、ヒト及び非ヒト動物のいずれに対しても投与することができる。非ヒト動物としては、上記同様のものが挙げられる。好ましくは、本発明の核酸ワクチンは、ヒトに投与される。より好ましくは、本発明の核酸ワクチンは、がん、自己免疫疾患、もしくはアレルギーの患者、又はがん、自己免疫疾患、もしくはアレルギーの恐れのあるヒトに投与される。
【0137】
本発明の核酸ワクチンの投与回数は、用途に応じて適宜設定すればよく、少なくとも1回であるが、有効性の観点から、2回以上としてもよい。更なる投与を時に追加免疫といい、これにより、より効果の高い感染防御あるいは治療効果を奏することができる。追加免疫の間隔は、少なくとも1週間が推奨され、1~4週間の間隔が好ましい。
【0138】
核酸ワクチンは、細菌やウイルスそのものとは異なり病原性がなく、生ワクチンや不活化ワクチンと比べて安全性が高いと考えられる。また、抗原をコードする核酸を変更することにより多種多様な抗原に対応でき、核酸であることから低コストで迅速な製造が可能となる。
【0139】
好ましい一実施形態において、本発明の核酸ワクチンは、がんワクチンである。具体的には、該がんワクチンは、本発明のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原としてがん抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている核酸構築物を含む。該がんワクチンは、そのまま生体に投与するか、樹状細胞ワクチンとして投与すればよい。斯かるがんワクチンは、がん抗原特異的な細胞性免疫応答を誘導又は増強し、抗腫瘍効果を発揮できると考えられる。
【0140】
別の好ましい一実施形態において、本発明の核酸ワクチンは、感染症ワクチンである。具体的には、該感染症ワクチンは、本発明のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原としてウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、又は原生動物抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、核酸構築物を含む。該感染症ワクチンは、そのまま生体に投与すればよい。斯かる感染症ワクチンは、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、又は原生動物抗原特異的な細胞性免疫応答を誘導又は増強することで、感染症に対する予防又は治療効果を発揮できると考えられる。特に、従来のワクチンでは十分な予防又は治療効果が得られないヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、結核などを原因とする慢性感染症の予防又は治療ワクチンとして期待される。
【0141】
別の好ましい一実施形態において、本発明の核酸ワクチンは、アレルギー予防又は治療用ワクチン、好ましくはアレルギー免疫療法用ワクチンである。具体的には、該アレルギー予防又は治療用ワクチンは、本発明のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原としてアレルゲンをコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、核酸構築物を含む。該アレルギー予防又は治療用ワクチンは、そのまま生体に投与すればよい。斯かるアレルギー予防又は治療用ワクチンは、アレルゲン特異的なTh1型免疫応答並びに細胞性免疫応答を誘導又は増強することで、Th2型免疫応答の過剰な活性化によって引き起こされるアレルギー応答に対する抑制効果を発揮できると考えられる。
【0142】
別の好ましい一実施形態において、本発明の核酸ワクチンは、自己免疫疾患治療用ワクチンである。具体的には、該自己免疫疾患治療用ワクチンは、本発明のSNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原として自己抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、核酸構築物を含む。該自己免疫疾患治療用ワクチンは、そのまま生体に投与すればよい。斯かる自己免疫疾患治療用ワクチンは、コードされた自己抗原に対する免疫寛容を誘導することにより、自己免疫反応に対する抑制効果を発揮できると考えられる。
【0143】
本発明の例示的実施形態として、以下の物質、製造方法、用途、方法等をさらに本明細書に開示する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0144】
〔1〕SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドとプロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドと抗原をコードするポリヌクレオチドとを含み、該SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと該抗原をコードするポリヌクレオチドが該プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、核酸構築物。
〔2〕前記SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドの下流に前記抗原をコードするポリヌクレオチドが前記プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、〔1〕記載の核酸構築物。
〔3〕前記SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドと前記抗原をコードするポリヌクレオチドが前記プロタンパク質転換酵素認識配列をコードするポリヌクレオチド及びリンカーをコードするポリヌクレオチドを介して連結されている、〔1〕又は〔2〕記載の核酸構築物。
〔4〕前記該プロタンパク質転換酵素認識配列が、Arg-X-(Arg/Lys)-Argからなるアミノ酸配列(Xは任意のアミノ酸残基を示す)であり、好ましくはX-Arg-X-(Arg/Lys)-Argからなるアミノ酸配列(Xは任意のアミノ酸残基を示す)であり、より好ましくは配列番号22で示されるアミノ酸配列である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
〔5〕プラスミドベクター、mRNA、又はウイルスベクターである、〔1〕~〔4〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
〔6〕前記抗原が、がん抗原、自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、原生動物抗原及びアレルゲンからなる群より選択される少なくとも1種であり、好ましくはがん抗原、自己抗原、細菌抗原、真菌抗原、原生動物抗原、及びアレルゲンからなる群より選択される少なくとも1種であり、より好ましくはがん抗原、自己抗原、細菌抗原、真菌抗原、及び原生動物抗原からなる群より選択される少なくとも1種である、〔1〕~〔5〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
〔7〕前記SNAREタンパク質が、好ましくは哺乳動物のSNAREタンパク質であり、より好ましくはヒトSNAREタンパク質である、〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
〔8〕前記SNAREタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、好ましくは配列番号1~9及び71~82のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド及びこれらと同等の機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択されるいずれかのポリヌクレオチドであり、より好ましくは配列番号1~9及び71~82のいずれかのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドである、〔1〕~〔7〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
〔9〕前記SNAREタンパク質が、好ましくはVAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、STX16、STX5、GOSR1、STX8、STX12、VAMP8、SEC22B、STX6、VAMP3、VAMP4、VTI1B、BET1、BET1L、及びUSE1からなる群より選択されるいずれかであり、より好ましくはVAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、STX16、STX5、GOSR1、STX8、STX12、VAMP8、及びSEC22Bからなる群より選択されるいずれかであり、さらに好ましくはVAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、STX16、STX5、及びGOSR1からなる群より選択されるいずれかであり、さらに好ましくはVAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、及びGOSR1からなる群より選択されるいずれかであり、さらに好ましくはVAMP7、GOSR2、STX10、及びGOSR1からなる群より選択されるいずれかであり、さらに好ましくはVAMP7である、〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
【0145】
〔10〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を含む医薬組成物。
〔11〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を有効成分とする核酸ワクチン。
〔12〕抗原特異的Th1型免疫応答を誘導又は増強するものである、〔11〕記載の核酸ワクチン。
〔13〕抗原特異的細胞性免疫応答を誘導又は増強するものである、〔11〕記載の核酸ワクチン。
〔14〕がんワクチンであり、前記抗原ががん抗原からなる群より選択される少なくとも1種である、〔11〕~〔13〕のいずれか1項記載の核酸ワクチン。
〔15〕感染症ワクチンであり、前記抗原がウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原及び原生動物抗原からなる群より選択される少なくとも1種の感染症抗原である、〔11〕~〔13〕のいずれか1項記載の核酸ワクチン。
〔16〕アレルギー予防又は治療用ワクチンであり、前記抗原がアレルゲンからなる群より選択される少なくとも1種である、〔11〕~〔13〕のいずれか1項記載の核酸ワクチン。
〔17〕自己免疫疾患治療用ワクチンであり、前記抗原が自己抗原からなる群より選択される少なくとも1種である、〔11〕~〔13〕のいずれか1項記載の核酸ワクチン。
〔18〕前記核酸ワクチンが、前記核酸構築物を、好ましくは0.00001~100質量%含有する、〔11〕~〔17〕のいずれか1項記載の核酸ワクチン。
【0146】
〔19〕核酸ワクチンを製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
〔20〕前記核酸ワクチンががんワクチンであり、前記抗原ががん抗原からなる群より選択される少なくとも1種である、〔19〕記載の使用。
〔21〕前記核酸ワクチンが感染症ワクチンであり、前記抗原がウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原及び原生動物抗原からなる群より選択される少なくとも1種の感染症抗原である、〔19〕記載の使用。
〔22〕前記核酸ワクチンがアレルギー予防又は治療用ワクチンであり、前記抗原がアレルゲンからなる群より選択される少なくとも1種である、〔19〕記載の使用。
〔23〕前記核酸ワクチンが自己免疫疾患治療用ワクチンであり、前記抗原が自己抗原からなる群より選択される少なくとも1種である、〔19〕記載の使用。
〔24〕前記核酸ワクチンが、前記核酸構築物を、好ましくは0.00001~100質量%含有する、〔19〕~〔23〕のいずれか1項記載の使用。
【0147】
〔25〕抗原特異的Th1型免疫応答の誘導もしくは増強及び/又は抗原特異的細胞性免疫応答の誘導もしくは増強のための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
〔26〕抗原特異的Th1型免疫応答の誘導もしくは増強及び/又は抗原特異的細胞性免疫応答の誘導もしくは増強に使用するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
〔27〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を、それを必要とする対象に有効量で投与する、抗原特異的Th1型免疫応答の誘導もしくは増強及び/又は抗原特異的細胞性免疫応答の誘導もしくは増強方法。
【0148】
〔28〕抗原特異的Th1型免疫応答の誘導もしくは増強及び/又は抗原特異的細胞性免疫応答の誘導もしくは増強のための、〔11〕~〔18〕のいずれか1項記載の核酸ワクチンの使用。
〔29〕抗原特異的Th1型免疫応答の誘導もしくは増強及び/又は抗原特異的細胞性免疫応答の誘導もしくは増強に使用するための、〔11〕~〔18〕のいずれか1項記載の核酸ワクチン。
〔30〕〔11〕~〔18〕のいずれか1項記載の核酸ワクチンを、それを必要とする対象に有効量で投与する、抗原特異的Th1型免疫応答の誘導もしくは増強及び/又は抗原特異的細胞性免疫応答の誘導もしくは増強方法。
〔31〕〔14〕記載の核酸ワクチンを、それを必要とする対象に有効量で投与する、がんの治療方法。
〔32〕〔15〕記載の核酸ワクチンを、それを必要とする対象に有効量で投与する、感染症の予防又は治療方法。
〔33〕〔16〕記載の核酸ワクチンを、それを必要とする対象に有効量で投与する、アレルギーの予防又は治療方法。
〔34〕〔17〕記載の核酸ワクチンを、それを必要とする対象に有効量で投与する、自己免疫疾患治療方法。
〔35〕前記核酸ワクチンの投与量が、該核酸ワクチンがDNAワクチン又はmRNAワクチンの場合に、1投与単位あたり、前記核酸構築物の量として、好ましくは1ng~10mgであり、該核酸ワクチンがウイルスベクターワクチンの場合に、1投与単位あたり、好ましくは10~1×1015ウイルス粒子である、〔30〕~〔34〕のいずれか1項記載の方法。
【0149】
〔36〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を有効成分とする抗原特異的IFNγ産生増強剤。
〔37〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を有効成分とする抗原特異的IgG2a産生増強剤。
〔38〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を有効成分とする抗原特異的Th1型免疫応答誘導又は増強剤。
〔39〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を有効成分とする抗原特異的細胞性免疫応答誘導又は増強剤。
〔40〕前記剤が、前記核酸構築物を、好ましくは0.00001~100質量%含有する、〔36〕~〔39〕のいずれか1項記載の剤。
【0150】
〔41〕抗原特異的IFNγ産生増強剤を製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
〔42〕抗原特異的IgG2a産生増強剤を製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
〔43〕抗原特異的Th1型免疫応答誘導又は増強剤を製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
〔44〕抗原特異的細胞性免疫応答誘導又は増強剤を製造するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
〔45〕前記剤が、前記核酸構築物を、好ましくは0.00001~100質量%含有する、〔41〕~〔44〕のいずれか1項記載の使用。
【0151】
〔46〕抗原特異的IFNγ産生増強のための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
〔47〕抗原特異的IgG2a産生増強のための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
〔48〕抗原特異的Th1型免疫応答誘導又は増強のための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
〔49〕抗原特異的細胞性免疫応答誘導又は増強のための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物の使用。
【0152】
〔50〕抗原特異的IFNγ産生増強に使用するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
〔51〕抗原特異的IgG2a産生増強に使用するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
〔52〕抗原特異的Th1型免疫応答誘導又は増強に使用するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
〔53〕抗原特異的細胞性免疫応答誘導又は増強に使用するための、〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物。
【0153】
〔54〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を、それを必要とする対象に有効量で投与する、抗原特異的IFNγ産生増強方法。
〔55〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を、それを必要とする対象に有効量で投与する、抗原特異的IgG2a産生増強方法。
〔56〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を、それを必要とする対象に有効量で投与する、抗原特異的Th1型免疫応答誘導又は増強方法。
〔57〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の核酸構築物を、それを必要とする対象に有効量で投与する、抗原特異的細胞性免疫応答誘導又は増強方法。
〔58〕前記核酸構築物の投与量が、1日あたり、好ましくは1ng~10mg/60kg体重であり、該核酸構築物がウイルスベクターの場合に、1日あたり、好ましくは10~1×1015ウイルス粒子/60kg体重である、〔54〕~〔57〕のいずれか1項記載の方法。
【0154】
〔59〕〔11〕~〔24〕及び〔28〕~〔35〕において、核酸ワクチンは経口又は非経口、好ましくは非経口により投与されるものである。
〔60〕〔27〕、〔30〕、〔35〕及び〔54〕~〔58〕において、対象はがん、自己免疫疾患、もしくはアレルギーの患者、又はがん、自己免疫疾患、もしくはアレルギーの恐れのあるヒトである。
〔61〕〔31〕において、対象はがん患者又はがんの恐れのあるヒトである。
〔62〕〔33〕において、対象はアレルギー患者又はアレルギーの恐れのあるヒトである。
〔63〕〔34〕において、対象は自己免疫疾患患者又は自己免疫疾患の恐れのあるヒトである。
【実施例】
【0155】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0156】
参考例1 SNAREタンパク質の検討
21種類の各ヒトSNAREタンパク質のC末端側にアレルゲンであるオボアルブミン(OVA、アミノ酸配列:配列番号24)をリンカー(ヌクレオチド配列:配列番号19、アミノ酸配列:配列番号20)で連結した融合ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号25~45)又はOVAのみのアミノ酸配列をコードしたmRNAを作製した。この時、抗原又は融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列はコドン最適化を施したうえでプラスミドDNA(pVAX1 vector、Thermo Fisher Scientific)へ組み込んだ。プラスミドDNAに組み込んだOVAのヌクレオチド配列を配列番号95に、融合ポリペプチドのヌクレオチド配列を配列番号48~68に示す。また、OVAのコドン最適化前のヌクレオチド配列を配列番号23に示す。mRNAの作製にはHiScribe T7 ARCA mRNA Kit(New England Biolabs)を用いた。具体的には、各配列を組み込んだプラスミドDNAについて制限酵素を用いて線形化した後、当該DNAを鋳型としてT7 RNA polymeraseによるin vitro mRNA合成並びにARCAによる5’末端のCap化を行った。続いて、DNaseを添加することで鋳型として用いたDNAを分解した後、Poly(A)PolymeraseによるポリA鎖の付加を行った。得られたmRNAをRNeasy kit(QIAGEN)を用いて精製し、以降の操作に用いた。精製したmRNAをTransIT-mRNA Transfection Reagent(Mirus Bio)を用いて添付のプロトコルに従い、成熟したヒトCD14+樹状細胞(Lonza)にトランスフェクションした。コントロールとして、mRNAを含まないトランスフェクション試薬のみを樹状細胞に添加した。トランスフェクションの翌日から、同ドナー由来のヒトCD4+T細胞(Lonza)1.0×106cellsとトランスフェクションした樹状細胞2.5×105cellsについて共培養を計7日間行い、mRNA由来OVAの抗原提示を行った。その後、ELISPOTプレート上で共培養したCD4+T細胞1.0×106cellsを同ドナー由来のヒトCD14+樹状細胞1.0×105cellsと再度共培養すると共に、200μg/mLのOVAタンパク質を添加して抗原刺激を行った。24時間後、ELISPOTアッセイキット(C.T.L.)を用い、添付のプロトコルに従ってELISPOTアッセイを行い、IFNγを産生するCD4+T細胞を検出した。
【0157】
結果を
図1に示す。特定のSNAREタンパク質(VAMP7、GOSR2、STX10、STX18、BNIP1、STX7、VTI1A、STX16、STX5、GOSR1、STX8、STX12、VAMP8、又はSEC22B)とOVAの融合タンパク質を樹状細胞で発現させることで、OVA特異的にIFNγを産生するCD4
+T細胞の数が有意に上昇した。一般的に、CD4
+T細胞は抗原提示を受けるとTh1、Th2、Th17、Treg等様々な細胞種に分化し特定のサイトカインを放出するが、IFNγはTh1細胞で特徴的に分泌されるサイトカインである。以上の点から、本発明に係る特定のSNARE-OVA融合タンパク質を樹状細胞等の抗原提示細胞に導入することにより、Th1免疫応答を誘導又は増強できることが示された。本実験は、各群n=3で行い、OVAタンパク質による再刺激を行ったコントロール群(Empty)を対照として、Dunnett’s testを行った際にp<0.05と判定された群を有意差があると判断した。また、Emptyを対照として、Student’s t-testを行った際にp<0.1と判定された群も有意差があると判断した。なお、Empty(N.T.)群はOVAタンパク質による再刺激を行わなかったコントロール群(Empty)である。
【0158】
参考例2 IgG、IgG1、IgG2a抗体価
参考例1でIFNγの産生を増加させたSNAREタンパク質からVAMP7を選択し、VAMP7のC末端側にOVAをリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-OVA)のアミノ酸配列(配列番号25)、又はOVAのアミノ酸配列(配列番号24)のみをコードしたplasmid vector(pVAX1 vector、Thermo Fisher Scientific)を作製した。コントロールとしては、抗原(OVA)をコードしていないEmpty vectorを用いた。作製したそれぞれのvector50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21、ネッパジーン株式会社)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置を実験開始から0、7、14日目に行った後、35日目に安楽死させ血液を採取した。採取した血液から血清を分離し、抗体価測定を行った。抗体価測定では、10μg/mLのOVA(Merck)を溶解したDPBS溶液を96 well ELISA plate(IWAKI)に対し100μL/well添加し、OVAの固相化を行った。翌日、plateを洗浄した後、100μL/wellの1%BSA含有DPBSでブロッキングを1時間行った。続いて、plateを洗浄した後、分離した血清を段階的に2倍希釈しながら100μL/well添加した。2時間後、血清を洗浄して除き、1μg/mLのanti-Mouse IgG、IgG1、又はIgG2a抗体(abcam)を100μL/well添加し1時間静置した。その後、TMB溶液(abcam)を50μL/well添加し発色反応を行った。10分後、Stop solution(abcam)を50μL/well添加し、発色反応を停止させ、吸光度測定(450nm)を行った。この時、血清の代わりにDPBSを添加したコントロールの吸光度と比較して、2倍以上の吸光度値が測定された最大希釈倍率の値を各サンプルの抗体価と定義した。
【0159】
結果を
図2に示す。OVA単独と比較して、VAMP7-OVA(V7-OVA)では、OVA特異的なIgG1抗体価の有意な低下が認められた。一方で、OVA特異的IgG2aについては、コントロール群(Empty)と比較してVAMP7-OVAのみで有意な抗体価の上昇が認められた。OVA特異的なIgG全体の抗体価については、OVA単独とVAMP7-OVAとの間で有意な差はなかった。一般的には、Th1型免疫応答によってB細胞からIgG2a抗体が産生される一方、Th2型免疫応答ではB細胞からIgG1抗体が産生されることが知られている。そのため、抗原特異的なIgG1、IgG2a抗体の抗体価を測定することで、生体内で引き起こされている免疫応答のTh1/Th2バランスを推定することができる。本結果では、OVA単独と比較してVAMP7-OVAではOVA特異的IgG1抗体価は低下し、IgG2a抗体価は上昇していることから、VAMP7-OVAがin vivoにおいてもTh1型免疫応答を誘導又は増強できることが示された。本実験は、各群n=10で行い、各群でTukey testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。
【0160】
参考例3 ELISPOTアッセイ
VAMP7のC末端側にOVAをリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-OVA)のアミノ酸配列、又はOVAのアミノ配列のみをコードしたplasmid vector(pVAX1 vector、Thermo Fisher Scientific)を作製した。コントロールとしては抗原(OVA)をコードしていないEmpty vectorを用いた。作製したそれぞれのvector50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置を実験開始から0、7、14日目に行った後、35日目に安楽死させ脾臓を採取した。採取した脾臓を、2%FBS含有DPBSを添加しながら40μmセルストレーナー上ですりつぶした。得られた懸濁液について200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、Pharm LyseTM solution(BD biosciences)を添加し3分間静置することで懸濁液に含まれる赤血球を溶血した。再度、200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、DPBSで2回洗浄を行い、CTL-TestTM Medium(C.T.L.)を添加することで脾細胞(splenocyte)懸濁液を得た。1.0×107cells/mLのsplenocyteをELISPOTプレート上に100μL/well播種し、OVAタンパク質(Merck)を添加したCTL-Test Medium 100μLと混合することで終濃度50μg/mLで抗原刺激を行った。ネガティブコントロールとしてはOVAタンパク質を添加していない群(N.T)を用意した。24時間後、ELISPOTアッセイキット(C.T.L.)を用い、添付のプロトコルに従ってELISPOTアッセイを行い、抗原(OVA)特異的にIFNγ、IL-4を産生する細胞を検出した。脾臓は2次リンパ組織であり、その構成細胞であるSplenocyteはT細胞を豊富に含有することから、抗原特異的な免疫応答を示すT細胞を検出するため本実験ではSplenocyteを用いた。
【0161】
結果を
図3に示す。VAMP7-OVA(V7-OVA)を用いた場合、OVA単独と比較して、OVA特異的にIL-4を分泌するT細胞の数は変わらない一方で、OVA特異的にIFNγを分泌するT細胞の数は有意に増大した。一般的に、IL-4はTh2細胞によって分泌され、IFNγはTh1細胞、または細胞性免疫に関与する細胞傷害性T細胞(CD8
+T細胞)によって分泌されることが知られているため、本結果はVAMP7を抗原と融合することで、抗原特異的なTh2型免疫応答は引き起こさず、選択的に抗原特異的なTh1型免疫応答並びに細胞性免疫を誘導又は増強できることを示している。本実験は、各群n=10で行い、無刺激条件下(N.T)、またはOVA刺激条件下(OVA)における各群でTukey testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。
【0162】
参考例4 IgG、IgG1、IgG2a抗体価
VAMP7、STX10、STX18、若しくはGOSR1のC末端側にOVAをリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-OVA、STX10-OVA、STX18-OVA、GOSR1-OVA)のアミノ酸配列(配列番号25、27、28、41)、又はOVAのアミノ酸配列(配列番号24)のみをコードしたplasmid vector(pVAX1 vector、Thermo Fisher Scientific)を作製した。コントロールとしては抗原(OVA)をコードしていないEmpty vectorを用いた。作製したそれぞれのvector50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置を実験開始から0、7、14日目に行った後、35日目に安楽死させ血液を採取した。採取した血液から血清を分離し、抗体価測定を行った。抗体価測定では、10μg/mLのOVA(Merck)を溶解したDPBS溶液を96 well ELISA plate(IWAKI)に対し100μL/well添加し、OVAの固相化を行った。翌日、plateを洗浄した後、100μL/wellの1%BSA含有DPBSで1時間ブロッキングを行った。続いて、plateを洗浄した後、分離した血清を段階的に2倍希釈しながら100μL/well添加した。2時間後、血清を洗浄して除き、1μg/mLのanti-Mouse IgG、IgG1、又はIgG2a抗体(abcam)を100μL/well添加し1時間静置した。その後、TMB溶液(abcam)を50μL/well添加し発色反応を行った。10分後、Stop solution(abcam)を50μL/well添加し、発色反応を停止させ、吸光度測定(450nm)を行った。この時、血清の代わりにDPBSを添加したコントロールの吸光度と比較して、2倍以上の吸光度値が測定された最大希釈倍率の値を各サンプルの抗体価と定義した。
【0163】
結果を
図4に示す。ベクターの投与から5週目において、Empty vectorを投与した群と比較して、OVA単独及び各SNARE配列をOVAと連結した群全てにおいてOVA特異的IgG抗体価の有意な上昇が認められた。中でも、OVA単独と比較してVAMP7-OVA(V7-OVA)及びGOSR1-OVAはOVA特異的IgG抗体価に変化は認められなかった一方で、STX10-OVA及びSTX18-OVAはOVA単独と比較しOVA特異的IgG抗体価の有意な低下が認められた。OVA特異的IgG1抗体価については、OVA単独と比較して各SNARE配列をOVAと連結した群全てにおいて有意な低下が認められた。また、OVA特異的IgG2a抗体価については、Empty vectorを投与した群と比較してV7-OVAのみ有意な上昇が認められた。前記のOVA特異的IgG1及びIgG2a抗体価の各個体における比率を算出したIgG2a/IgG1については、有意差は認められなかったもののOVA単独と比較して各SNARE配列をOVAと連結した群全てにおいて上昇していた。IgG2a/IgG1のグラフにおいて各群のドットプロット上部に平均値を示している。本結果は、VAMP7以外のSTX10、STX18、GOSR1といったSNARE familyにおいても、OVA特異的IgG1抗体価が低下し、IgG2a/IgG1の比率が上昇していることから、これらのSNARE配列を抗原と連結した場合、in vivoにおいても抗原特異的Th1型免疫応答を誘導又は増強できることを示している。本実験は、各群n=5で行い、Dunnett’s testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。Empty群との比較の場合は*、OVA群との比較の場合は†で有意差を表示している。
【0164】
参考例5 ELISPOTアッセイ
VAMP7、STX10、STX18、若しくはGOSR1のC末端側にOVAをリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-OVA、STX10-OVA、STX18-OVA、GOSR1-OVA)のアミノ酸配列(配列番号25、27、28、41)、又はOVAのアミノ酸配列(配列番号24)のみをコードしたplasmid vector(pVAX1 vector、Thermo Fisher Scientific)を作製した。コントロールとしては抗原(OVA)をコードしていないEmpty vectorを用いた。作製したそれぞれのvector50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置を実験開始から0、7、14日目に行った後、35日目に安楽死させ脾臓を採取した。採取した脾臓を、2%FBS含有DPBSを添加しながら40μmセルストレーナー上ですりつぶした。得られた懸濁液について200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、Pharm Lyse solution(BD biosciences)を添加し3分間静置することで懸濁液に含まれる赤血球を溶血した。再度、200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、DPBSで2回洗浄を行い、CTL-Test Medium(C.T.L)を添加することで脾細胞(splenocyte)懸濁液を得た。1.0×107cellsのsplenocyteをELISPOTプレート上に100μL/well播種し、OVAタンパク質(Merck)を添加したCTL-Test Medium 100μLと混合することで終濃度50μg/mLで抗原刺激を行った。ネガティブコントロールとしてはOVAタンパク質を添加していない群(N.T)を用意した。24時間後、ELISPOTアッセイキット(C.T.L.)を用い、添付のプロトコルに従ってELISPOTアッセイを行い、抗原(OVA)特異的にIFNγ、IL-4を産生する細胞を検出した。脾臓は2次リンパ組織であり、その構成細胞であるSplenocyteはT細胞を豊富に含有することから、抗原特異的な免疫応答を示すT細胞を検出するため本実験ではSplenocyteを用いた。
【0165】
結果を
図5に示す。OVA単独と比較して、各SNARE配列をOVAと連結した群全てにおいてOVA特異的にIFNγを分泌するT細胞の数が有意に増大した。一方でOVA特異的なIL-4を分泌するT細胞の数については、無刺激条件下(N.T)及びOVA刺激条件下(OVA)の各条件下において有意な群間差が認められたものの、N.T及びOVAの各条件下で各個体における比率を算出したIL-4 ratioにおいては全ての群で変化が認められなかった。本結果は、VAMP7以外のSTX10、STX18、GOSR1といったSNARE familyにおいても抗原と連結することにより、抗原特異的Th2型免疫応答は引き起こさず、選択的に抗原特異的Th1型免疫応答並びに細胞性免疫を誘導又は増強できることを示している。本実験は、各群n=5で行い、無刺激条件下、またはOVA刺激条件下における各群でDunnett’s testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。Empty群との比較の場合は*、OVA群との比較の場合は†で有意差を表示している。
【0166】
実施例1 経時的抗体価
VAMP7のC末端側にOVAをリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-OVA)のアミノ酸配列(配列番号25)、該融合ポリペプチド中のリンカーのC末端側にプロタンパク質転換酵素認識配列(ヌクレオチド配列:配列番号21、アミノ酸配列:配列番号22)を付加した融合ポリペプチド(V7-pc-OVA)のアミノ酸配列(配列番号46)、リソソーム結合タンパク質LAMP(特許文献1)内にOVAのアミノ酸配列を挿入した融合ポリペプチド(LAMP[OVA])のアミノ酸配列(配列番号47)又はOVAのアミノ酸配列(配列番号24)のみをコードしたplasmid vectorを作製した。プラスミドDNAに組み込んだV7-pc-OVAのヌクレオチド配列を配列番号69に、LAMP[OVA]のヌクレオチド配列を配列番号70に示す。コントロールとしては抗原(OVA)をコードしていないEmpty vectorを用いた。作製したそれぞれのvector50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置を実験開始から0、7、14日目に行った。実験期間中、1週間毎に尾静脈から採血を行い、35日目に安楽死させ血液を採取した。採取した血液から血清を分離し、抗体価測定を行った。抗体価測定では、10μg/mLのOVA(Merck)を溶解したDPBS溶液を96 well ELISA plate(IWAKI)に対し100μL/well添加し、OVAの固相化を行った。翌日、plateを洗浄した後、100μL/wellの1%BSA含有DPBSでブロッキングを1時間行った。続いて、plateを洗浄した後、分離した血清を段階的に2倍希釈しながら100μL/well添加した。2時間後、血清を洗浄して除き、1μg/mLのanti-Mouse IgG、IgG1、又はIgG2a抗体(abcam)を100μL/well添加し1時間静置した。その後、TMB溶液(abcam)を50μL/well添加し発色反応を行った。10分後、Stop solution(abcam)を50μL/well添加し、発色反応を停止させ、吸光度測定(450nm)を行った。この時、血清の代わりにDPBSを添加したコントロールの吸光度と比較して、2倍以上の吸光度値が測定された最大希釈倍率の値を各サンプルの抗体価と定義した。
【0167】
結果を
図6に示す。実施例2と同様にOVA単独と比較して、VAMP7-OVA(V7-OVA)及びVAMP7-pc-OVA(V7-pc-OVA)では、OVA特異的なIgG1抗体価の有意な低下が認められた。一方で、OVA特異的IgG2a抗体価については、VAMP7-pc-OVAでより抗体価の上昇が認められた。OVA特異的なIgG全体については、3週目、4週目においてOVA単独でより抗体価が上昇する傾向があったものの、5週目時点では特にVAMP7-pc-OVAでOVA単独と比較して遜色ない抗体価の上昇が認められた。また、LAMP[OVA]ではOVA特異的な抗体価の上昇がほとんど認められなかった。5週目のOVA特異的IgG1及びIgG2a抗体価の各個体における比率を算出したIgG2a/IgG1については、有意差は認められなかったもののOVA単独やLAMP[OVA]と比較してVAMP7-OVAやVAMP7-pc-OVAにおいて上昇していた。本結果は、プロタンパク質転換酵素認識配列を導入することによってIgG2a抗体の産生が更に促進され、in vivoにおいて抗原特異的Th1型免疫応答が誘導又は増強されていることを示している。また、LAMP[OVA]と比較しても、VAMP7-OVAやVAMP7-pc-OVAにおける抗原特異的IgG抗体産生が優れ、かつ抗原特異的Th1型免疫応答が増強されることを示している。本実験は、各群n=5で行い、各週において各群でTukey testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。Empty群との比較の場合は*、OVA群との比較の場合は†で有意差を表示している。
【0168】
実施例2 ELISPOTアッセイ
VAMP7のC末端側にOVAをリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-OVA)のアミノ酸配列(配列番号25)、該融合ポリペプチド中のリンカーのC末端側にプロタンパク質転換酵素認識配列を付加した融合ポリペプチド(V7-pc-OVA)のアミノ酸配列(配列番号46)、又はOVAのアミノ酸配列(配列番号24)のみをコードしたplasmid vectorを作製した。コントロールとしては抗原(OVA)をコードしていないEmpty vectorを用いた。作製したそれぞれのvector50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置を実験開始から0、7、14日目に行った後、35日目に安楽死させ脾臓を採取した。採取した脾臓を、2%FBS含有DPBSを添加しながら40μmセルストレーナー上ですりつぶした。得られた懸濁液について200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、Pharm Lyse solution(BD biosciences)を添加し3分間静置することで懸濁液に含まれる赤血球を溶血した。再度、200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、DPBSで2回洗浄を行い、CTL-Test Medium(C.T.L.)を添加することで脾細胞(splenocyte)懸濁液を得た。1.0×107cellsのsplenocyteをELISPOTプレート上に100μL/well播種し、OVAタンパク質(Merck)を添加したCTL-Tes Medium 100μLと混合することで終濃度50μg/mLで抗原刺激を行った。ネガティブコントロールとしてはOVAタンパク質を添加していない群(N.T)を用意した。24時間後、ELISPOTアッセイキット(C.T.L.)を用い、添付のプロトコルに従ってELISPOTアッセイを行い、抗原(OVA)特異的にIFNγ、IL-4を産生する細胞を検出した。脾臓は2次リンパ組織であり、その構成細胞であるSplenocyteはT細胞を豊富に含有することから、抗原特異的な免疫応答を示すT細胞を検出するため本実験ではSplenocyteを用いた。
【0169】
結果を
図7に示す。プロタンパク質転換酵素認識配列を導入することによって、OVA特異的にIFNγを分泌するT細胞の数が更に増大した。一方でOVA特異的なIL-4を分泌するT細胞の数については、無刺激条件下(N.T)及びOVA刺激条件下(OVA)の各条件下において有意な群間差が認められたものの、N.T及びOVAの各条件の各個体における比率を算出したIL-4 ratioにおいては全ての群で変化が認められなかった。本結果は、プロタンパク質転換酵素認識配列の導入が抗原特異的Th1型免疫応答や細胞性免疫を更に増強できることを示唆している。プロタンパク質転換酵素はプロテアーゼの一種であり、細胞内の前駆型・未成熟型タンパク質を切断して、成熟型・活性型に変換する役割を担っている。プロタンパク質転換酵素はゴルジ体やエンドソームに局在するため、生体内で細胞内小胞に輸送されたVAMP7-pc-OVA融合タンパク質を切断することで、小胞内にOVAを遊離させより効率的にMHC分子との会合を誘導したと考えられる。加えて、遊離したOVAがエクソソーム内に封入されて分泌されることで免疫応答の増強が誘導された可能性も考えられる。本実験は、各群n=5で行い、無刺激条件下(N.T)、またはOVA刺激条件下における各群でTukey testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。
【0170】
実施例3 IgG、IgG1、IgG2a抗体価
VAMP7のC末端側にプロタンパク質転換酵素認識配列とがん抗原であるヒトWilm Tumor 1(WT1、アミノ酸配列:配列番号98)若しくは自己抗原であるマウスmyelin oligodendrocyte glycoproteinペプチドの繰り返し配列(MOG35-55、アミノ酸配列:配列番号101)をリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-pc-WT1、V7-pc-MOG35-55)のアミノ酸配列(配列番号103、105)、又はWT1若しくはMOG35-55のアミノ酸配列のみをコードしたplasmid vectorを作製した。この時、抗原又は融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列はコドン最適化を施したうえでプラスミドDNA(pVAX1 vector、Thermo Fisher Scientific)へ組み込んだ。プラスミドDNAに組み込んだWT1のヌクレオチド配列を配列番号97に、MOG35-55のヌクレオチド配列を配列番号100に、V7-pc-WT1のヌクレオチド配列を配列番号102に、V7-pc-MOG35-55のヌクレオチド配列を配列番号104に示す。また、WT1のコドン最適化前のヌクレオチド配列を配列番号96に、MOG35-55のコドン最適化前のヌクレオチド配列を配列番号99に示す。ここで、MOG35-55とは、マウスMOGの35~55残基部分を7回繰り返したペプチドである。コントロールとしては、抗原(WT1又はMOG35-55)をコードしていないEmpty vectorを用いた。作製したそれぞれのvector50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置を実験開始から0、7、14日目に行った後、28日目に安楽死させ血液を採取した。採取した血液から血清を分離し、抗体価測定を行った。抗体価測定では、1μg/mLのヒトWT1(Cusabio Technology LLC)又は10μg/mLのマウスMOG35-55 peptide(Merck)を溶解したDPBS溶液を96 well ELISA plate(Iwaki)に対し100μL/well添加し、各抗原の固相化を行った。翌日、plateを洗浄した後、100μL/wellの1%BSA含有DPBSでブロッキングを1時間行った。続いて、plateを洗浄した後、分離した血清を段階的に2倍希釈しながら100μL/well添加した。2時間後、血清を洗浄して除き、1μg/mLのanti-Mouse IgG、IgG1、又はIgG2a抗体(abcam)を100μL/well添加し1時間静置した。その後、TMB溶液(abcam)を50μL/well添加し発色反応を行った。10分後、Stop solution(abcam)を50μL/well添加し、発色反応を停止させ、吸光度測定(450nm)を行った。この時、血清の代わりにDPBSを添加したコントロールの吸光度と比較して、2倍以上の吸光度値が測定された最大希釈倍率の値を各サンプルの抗体価と定義した。
【0171】
結果を
図8に示す。ベクターの投与から4週目において、Empty vectorを投与した群と比較して、有意差は認められないもののWT1単独及びVAMP7-pc-WT1(V7-pc-WT1)の両群においてWT1特異的IgG抗体価の上昇が認められた。一方でWT1特異的IgG1及びIgG2a抗体価については、有意差は認められないもののEmpty及びWT1単独と比較してV7-pc-WT1では上昇が認められた。前記のWT1特異的IgG1及びIgG2a抗体価の各個体における比率を算出したIgG2a/IgG1については、WT1単独とV7-pc-WT1の間に変化は認められなかった。また、MOG特異的IgG抗体価を測定した実験では、Emptyと比較して、MOG
35-55単独及びVAMP7-pc-MOG
35-55(V7-pc-MOG
35-55)の両群で変化は認められなかった。一方でMOG特異的IgG1及びIgG2a抗体価については、Empty及びMOG
35-55単独と比較してV7-pc-MOG
35-55では上昇が認められ、IgG1抗体価のみ有意な変化だった。前記のMOG
35-55特異的IgG1及びIgG2a抗体価の各個体における比率を算出したIgG2a/IgG1については、MOG
35-55単独とV7-pc-MOG
35-55の間に有意な変化は認められなかった。本実験は、各群n=5で行い、Tukey testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。
【0172】
実施例4 ELISPOTアッセイ
VAMP7のC末端側にプロタンパク質転換酵素認識配列とヒトWT1若しくはマウスMOG35-55をリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-pc-WT1、V7-pc-MOG35-55)のアミノ酸配列(配列番号103、105)、又はWT1若しくはMOG35-55のアミノ酸配列(配列番号98、101)のみをコードしたplasmid vector(pVAX1 vector、Thermo Fisher Scientific)を作製した。コントロールとしては、抗原(WT1又はMOG35-55)をコードしていないEmpty vectorを用いた。作製したそれぞれのvector50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置を実験開始から0、7、14日目に行った後、28日目に安楽死させ脾臓を採取した。採取した脾臓を、2%FBS含有DPBSを添加しながら40μmセルストレーナー上ですりつぶした。得られた懸濁液について200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、Pharm Lyse solution(BD biosciences)を添加し3分間静置することで懸濁液に含まれる赤血球を溶血した。再度、200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、DPBSで2回洗浄を行い、CTL-Test Medium(C.T.L.)を添加することで脾細胞(splenocyte)懸濁液を得た。1.0×107cellsのsplenocyteをELISPOTプレート上に100μL/well播種し、ヒトWT1 peptide mix(Miltenyi Biotec)、又はマウスMOG35-55 peptide(Merck)を添加したCTL-Test Medium 100μLと混合することで各終濃度が1.2nmol/mL、又は5μg/mLで抗原刺激を行った。ネガティブコントロールとしては抗原を添加していない群(N.T)を用意した。24時間後、ELISPOTアッセイキット(C.T.L.)を用い、添付のプロトコルに従ってELISPOTアッセイを行い、抗原(WT1又はMOG35-55)特異的にIFNγ、IL-4を産生する細胞を検出した。脾臓は2次リンパ組織であり、その構成細胞であるSplenocyteはT細胞を豊富に含有することから、抗原特異的な免疫応答を示すT細胞を検出するため本実験ではSplenocyteを用いた。
【0173】
結果を
図9に示す。WT1単独と比較して、V7-pc-WT1ではWT1特異的にIFNγを分泌するT細胞の数が有意に増大した。同様に、MOG
35-55単独と比較して、V7-pc-MOG
35-55ではMOG
35-55特異的にIFNγを分泌するT細胞の数が有意に増大した。一方で、WT1特異的なIL-4を分泌するT細胞の数については、WT1 peptide mix刺激条件下(WT1)において有意な群間差が認められたものの、無刺激(N.T)及びWT1の各条件下で各個体における比率を算出したIL-4 ratioにおいては全ての群で変化が認められなかった。同様に、MOG
35-55特異的なIL-4を分泌するT細胞の数についても、無刺激条件下(N.T)及びMOG
35-55 peptide刺激条件下(MOG
35-55)の各条件下において有意な群間差が認められたものの、N.T及びMOG
35-55の各条件下で各個体における比率を算出したIL-4 ratioにおいては全ての群で変化が認められなかった。更に、各個体においてIFNγとIL-4を産生するT細胞数の比率IFNγ/IL-4を算出すると、各抗原刺激時に各抗原単独と比較し、V7-pc-WT1又はV7-pc-MOG
35-55ではIFNγ/IL-4が有意に増大していた。実施例8においてIgG2a優位なTh1型の抗体応答は認められなかったが、本結果がT細胞の抗原特異的免疫応答を直接検出できるELISPOT解析を行ったものであることを考慮すると、VAMP7をはじめとした特定のSNARE familyに対してOVAと異なる抗原と連結した場合においても、抗原特異的Th2型免疫応答は引き起こさず、選択的に抗原特異的Th1型免疫応答並びに細胞性免疫を誘導又は増強できることを示している。本実験は、各群n=5で行い、無刺激条件下、または抗原刺激条件下における各群でTukey testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。
【0174】
実施例5 ELISPOTアッセイ
VAMP7のC末端側にOVAをリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-OVA)のアミノ酸配列(配列番号25)、該融合ポリペプチド中のリンカーのC末端側にプロタンパク質転換酵素認識配列を付加した融合ポリペプチド(V7-pc-OVA)のアミノ酸配列(配列番号46)、リソソーム結合タンパク質LAMP(特許文献1)内にOVAのアミノ酸配列を挿入した融合ポリペプチド(LAMP[OVA])のアミノ酸配列(配列番号47)、又はOVAのアミノ酸配列(配列番号24)のみをコードしたplasmid vectorを作製した。コントロールとしては抗原(OVA)をコードしていないEmpty vectorを用いた。作製したそれぞれのvector50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置から7日目に安楽死させ脾臓を採取した。採取した脾臓を、2%FBS含有DPBSを添加しながら40μmセルストレーナー上ですりつぶした。得られた懸濁液について200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、Pharm Lyse solution(BD biosciences)を添加し3分間静置することで懸濁液に含まれる赤血球を溶血した。再度、200×gで5分間遠心を行い、上清を除いた後、DPBSで2回洗浄を行い、CTL-Test Medium(C.T.L.)を添加することで脾細胞(splenocyte)懸濁液を得た。1.0×107cellsのsplenocyteをELISPOTプレート上に100μL/well播種し、OVAタンパク質(Merck)を添加したCTL-Test Medium 100μLと混合することで終濃度50μg/mLで抗原刺激を行った。ネガティブコントロールとしてはOVAタンパク質を添加していない群(N.T)を用意した。24時間後、ELISPOTアッセイキット(C.T.L.)を用い、添付のプロトコルに従ってELISPOTアッセイを行い、抗原(OVA)特異的にIFNγ、IL-4を産生する細胞を検出した。脾臓は2次リンパ組織であり、その構成細胞であるSplenocyteはT細胞を豊富に含有することから、抗原特異的な免疫応答を示すT細胞を検出するため本実験ではSplenocyteを用いた。
【0175】
結果を
図10に示す。vectorの投与からわずか1週目でも、VAMP7-OVAやLAMP[OVA]と比較して、VAMP7-pc-OVAではOVA特異的にIFNγを分泌するT細胞の数が有意に増大していることが確認された。一方でOVA特異的なIL-4を分泌するT細胞の数については、無刺激条件下(N.T)及びOVA刺激条件下(OVA)の各条件下において有意な群間差が認められたものの、N.T及びOVAの各条件下で各個体における比率を算出したIL-4 ratioにおいては全ての群で変化が認められなかった。更に、各個体においてIFNγとIL-4を産生するT細胞数の比率IFNγ/IL-4を算出すると、OVA刺激時にV7-OVAやLAMP[OVA]と比較し、V7-pc-OVAではIFNγ/IL-4が有意に増大していた。本結果は、VAMP7-pc-OVAが1週目という比較的早期から、抗原特異的Th2型免疫応答は引き起こさず、選択的に抗原特異的なTh1型免疫や細胞性免疫を誘導することができ、更には従来の技術と比較しても優越した免疫誘導効果があることを示している。本実験は、各群n=5で行い、無刺激条件下(N.T)、またはOVA刺激条件下における各群でTukey testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。
【0176】
実施例6:OVA食物アレルギーモデル有効性
100μg OVAと1mg Alumアジュバント(Thermo Fisher Scientific)を200μL DPBSに混合し30分間転倒混和し感作用混合物を得た。作製した感作用混合物を雌のBALB/cマウスに対して0、14日目に腹腔投与し、感作を行った。また、OVAのアミノ酸配列(配列番号24)のみ、VAMP7のC末端側にOVAをリンカー及びプロタンパク質転換酵素認識配列で連結した融合ポリペプチド(V7-pc-OVA)のアミノ酸配列(配列番号46)、又はLAMP内にOVAのアミノ酸配列を挿入した融合ポリペプチド(LAMP[OVA])のアミノ酸配列(配列番号47)をコードしたplasmid vectorを作製した。コントロールとしてはアレルゲン(OVA)をコードしていないEmpty vector(Empty)を用意した。実験開始から21、28、35日目において、用意したそれぞれのvector 50μgをBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。実験開始から42、43、44、45、46日目において、OVA 50mgを200μL DPBSに溶解したチャレンジ用混合物を1日につき1回経口投与し、食物アレルギー症状を誘導した。実験開始から46日目において、チャレンジ用混合物の投与開始前及び、投与開始後15、30、45、60分後に体温測定用プローブ(株式会社夏目製作所)を用いて直腸温測定を行った。その後、マウスを安楽死させ血液を採取した。採取した血液から血清を分離し、OVA特異的IgE濃度測定を行った。OVA特異的IgE濃度測定ではLBIS Mouse anti-OVA-IgE ELISA Kit(富士フイルムワコーシバヤギ株式会社)を用いた。OVAタンパク質を固相化した96well plateに対し、50μLのビオチン結合抗IgE抗体と10μLの希釈血清又は標準溶液を添加し、室温で1時間静置反応させた。続いて洗浄液で3回洗浄を行ったのち、100μLのペルオキシダーゼ・アビジン結合物を添加し、室温で30分間静置反応させた。続いて3回洗浄を行ったのち、100μLのTMB発色液を添加し、室温で発色反応を行った。20分後、100μLの1M H2SO4を添加し、発色反応を停止させ、吸光度測定(主波長450nm、副波長620nm)を行った。標準液の吸光度値から得られた検量曲線を用いて、各血清サンプルにおけるOVA特異的IgE濃度を算出した。
【0177】
結果を
図11に示す。OVA非感作のEmpty群(Empty(-))と比較し、OVA感作を行ったEmpty群(Empty(+))、OVA単独群(OVA(+))、LAMP[OVA]群(LAMP[OVA](+))では、OVAの経口感作を行った際にアナフィラキシーに伴う体温低下が有意に認められた。一方で、OVA感作を行ったVAMP7-pc-OVA群(V7-pc-OVA(+))では、Empty(-)と比較して体温低下は認められず、かつEmpty(+)やOVA(+)、LAMP[OVA](+)と比較すると体温低下が有意に抑制されていた。また、Empty(-)と比較してOVA(+)ではOVA特異的IgE抗体濃度が有意に上昇していた一方で、V7-pc-OVA(+)やLAMP[OVA]ではOVA(+)と比較しOVA特異的IgE抗体濃度は有意に低下していた。アナフィラキシーに伴う体温低下がアレルギー動物モデルにおける一般的な表現型であること、そして血中におけるアレルゲン特異的IgE濃度がアレルギーの病勢を示す一般的なマーカーであることを考慮すると、この結果は、VAMP7-pc-OVAがOVA単独や従来の技術と比較しても優れたアレルギー抑制効果があることを示している。直腸温測定は、各群n=8で行い、各測定時間において各群でDunnett’s testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。Empty(-)群との比較の場合は*、V7-pc-OVA(+)群との比較の場合は†で有意差を表示している。OVA特異的IgE濃度測定は、Empty(+)群のみn=7、それ以外の群はn=8で行い、各群でTukey testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。V7-pc-OVA群及びLAMP[OVA]群においては各群のドットプロット上に平均値を示している。
【0178】
実施例7 OVA血中濃度
VAMP7とOVAをリンカーで連結した融合ポリペプチド(V7-OVA)のアミノ酸配列(配列番号25)、該融合ポリペプチド中のリンカー後部にプロタンパク質転換酵素認識配列を付加した融合ポリペプチド(V7-pc-OVA)のアミノ酸配列(配列番号46)、又はOVAのアミノ酸配列(配列番号24)のみをコードしたplasmid vectorを作製した。コントロールとしてはアレルゲン(OVA)をコードしていないEmpty vector(Empty)を用意した。用意したそれぞれのvector 50μgを雌のBALB/cマウスの大腿筋内部へ筋肉内投与した後、エレクトロポレーター(NEPA21)を用いて電圧を負荷し遺伝子導入を行った。上記処置から7日目に安楽死させ血液を採取した。採取した血液から血清を分離し、OVA濃度測定を行った。OVA濃度測定ではITEA卵白アルブミン(OVA)ELISAキット(ITEA株式会社)を用いた。抗OVA抗体を固相化した96well plateに対し、100μL/wellの血清又は標準溶液を添加し、室温で1時間静置反応させた。続いて洗浄液で3回洗浄を行ったのち、100μL/wellの酵素標識抗OVA抗体を添加し、室温で1時間静置反応させた。続いて3回洗浄を行ったのち、100μL/wellのTMB発色基質液を添加し、室温で発色反応を行った。15分後、100μL/wellの反応停止液を添加し、発色反応を停止させ、吸光度測定(主波長450nm、副波長620nm)を行った。標準液の吸光度値から得られた検量曲線を用いて、各血清サンプルにおけるOVA濃度を算出した。
【0179】
結果を
図12に示す。Empty vectorを投与した群(Empty)と比較し、OVA単独ではvector投与後1週目の血中においてOVAタンパク質が検出されることが確認された。一方で、OVA単独と比較しVAMP7-OVA(V7-OVA)及びVAMP7-pc-OVA(V7-pc-OVA)では血中におけるOVAタンパク質濃度はEmptyとほぼ同等まで低下していた。本結果は、in vivoにおいてOVA単独で投与した場合、生体内で発現したOVAタンパク質が血中へと一部放出されることを意味している。一方で、V7-OVAやV7-pc-OVAでは、OVAタンパク質をそもそも発現させないEmptyと同等程度にまで血中OVAタンパク質濃度が低下していることから、1週目時点で血中にOVAタンパク質がほとんど存在しないと考えられる。従来のアレルゲン免疫療法では、体外から摂取されたアレルゲンが一部血中へと放出され、アレルゲン特異的IgE抗体に捕捉されることによりアナフィラキシー等のI型アレルギーに分類される副反応が引き起こされることが知られている。本結果のように、アレルゲン単独ではなくVAMP7とプロタンパク質転換酵素認識配列と連結すれば、血中へのアレルゲン放出が抑制され、前記の治療に伴うI型アレルギーに分類される副反応を軽減できる可能性が考えられる。本実験は、各群n=5で行い、Tukey testを行った際にp<0.05と判定された場合、有意差があると判断した。
【配列表】