(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20230807BHJP
B07C 3/00 20060101ALI20230807BHJP
B65G 47/46 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
B65G1/137 Z
B07C3/00
B65G47/46 Z
(21)【出願番号】P 2022135228
(22)【出願日】2022-08-26
(62)【分割の表示】P 2019049710の分割
【原出願日】2019-03-18
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽山 恭一
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-285906(JP,A)
【文献】特開2002-016120(JP,A)
【文献】特開平09-048519(JP,A)
【文献】特開2012-224404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B07C 3/00
B65G 47/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送位置へ搬送させるための第1の搬送制御信号、又は前記物品を前記搬送位置の代替位置へ搬送させるための第2の搬送制御信号に基づき前記物品を搬送する搬送車であって、
前記物品を仕分ける仕分け装置による前記物品の仕分け先情報に対応する前記搬送位置の状況を示す環境情報に基づいて選択される前記第1又は第2の搬送制御信号を物品搬送制御装置から受信する通信インタフェースと、
前記第1又は第2の搬送制御信号の受信に対応して第1又は第2の駆動信号を出力するプロセッサと、
前記第1又は第2の駆動信号に基づき駆動する駆動部と、
を備える搬送車。
【請求項2】
前記環境情報は、前記物品が収容されたコンテナが前記搬送車により搬送され配置されることにより動的に変化する情報を含む、請求項1の搬送車。
【請求項3】
前記第1の搬送制御信号は、前記搬送位置にコンテナが無いことを示す第1の環境情報に基づいて選択され、前記第2の搬送制御信号は、前記搬送位置にコンテナが有ることを示す第2の環境情報に基づいて選択される、請求項2の搬送車。
【請求項4】
前記仕分け先情報に従い前記仕分け装置によって仕分けるに適さないと判定される前記物品を搬送する、請求項1乃至3の何れか一つの搬送車。
【請求項5】
前記通信インタフェースは、前記搬送位置へコンテナの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を前記物品搬送制御装置へ送信し、
前記物品搬送制御装置は、前記環境情報、前記搬送位置を示す第1の位置情報、及び前記代替位置を示す第2の位置情報を記憶し、前記搬送完了通知の受信に基づいて前記第1の環境情報を前記第2の環境情報へ更新する、請求項3の搬送車。
【請求項6】
前記第2の搬送制御信号は、前記搬送位置の配置済みコンテナに前記代替位置へ向けて搬送されるコンテナを連結させるための連結制御信号を含み、
前記搬送車は、前記連結制御信号に基づき前記搬送位置の配置済みコンテナに前記代替位置へ向けて搬送されるコンテナを連結させる、請求項3の搬送車。
【請求項7】
物品を収容した第1のコンテナを搬送位置へ搬送させるための搬送制御信号に基づき前記物品を搬送する搬送車であって、
前記搬送制御信号を物品搬送制御装置から受信する通信インタフェースと、
前記搬送制御信号の受信に対応して駆動信号を出力するプロセッサと、
前記駆動信号に基づき駆動する駆動部と、
を備え、
前記搬送位置において配置済みの第2のコンテナを検知した場合、前記搬送位置の代替位置へ前記第1のコンテナを搬送する、搬送車。
【請求項8】
前記第2のコンテナに前記第1のコンテナを連結させる請求項7の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、物品搬送制御装置、物品搬送制御システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物等の物品の仕分けを自動化するために、ソーターを含む仕分けシステムが普及している。ソーターの種類は数多く存在し、設置面積、処理速度、及び物品の種類からソーターが選定される。物品の種類としては、サイズの異なるもの、重さの異なるもの、及び形状の異なるものなどが挙げられる。
【0003】
しかしながら、全ての種類の物品に対応するソーターは存在せず、ソーターに対応しない物品はオペレータの手区分で処理される。物流事業者にとって手区分の負担は大きい。例えば、2種類以上のソーターを設置することも考えられるが、2種類以上のソーターの設置によりシステム全体が大型化すること、及び費用対効果が小さいことなどから採用し難い。加えて、物品を選別して各ソーターへ振り分けるオペレータの負担増や処理速度の遅延も懸念される。
【0004】
一方、物品を載せて目的位置へ搬送する自動搬送装置が知られている。例えば、自動搬送装置は、物品を収容したカゴ台車等の下に潜り込み、カゴ台車を持ち上げて、カゴ台車とともに物品を目的位置へ搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、ソーターは、物品を仕分けるという点では優れているが、多様な物品に対応することが難しい。一方で、自動搬送装置は、カゴ台車に収容可能な範囲で多様な物品に対応し、目的位置へ搬送することができるが、搬送後の物品について人手による仕分け作業が生じるおそれがあり、その負担軽減が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、多様な物品に対応し且つ仕分けの負担を軽減することができる物品搬送制御装置、物品搬送制御システム、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る物品搬送制御装置は、プロセッサ及び通信部を備える。前記プロセッサは、物品を仕分ける仕分け装置による前記物品の仕分け先情報に対応する搬送位置の状況を示す環境情報に基づいて、前記物品を搬送する搬送車を前記搬送位置へ搬送させるための第1の搬送制御信号、又は前記搬送車を前記搬送位置の代替位置へ搬送させるための第2の搬送制御信号を選択する。前記通信部は、前記搬送車に対して前記第1又は第2の搬送制御信号を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る物品搬送制御システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、実施形態に係る物品搬送制御システムのソーターからワゴンへシューターを介して物品が送り込まれる様子を示し、シューターの下部にスペースが有る例を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、実施形態に係る物品搬送制御システムのソーターからワゴンへシューターを介して物品が送り込まれる様子を示し、シューターの下部にスペースが無い例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る物品搬送制御システムの情報処理部の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る物品搬送制御システムのソーターコントローラの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る物品搬送制御システムのソーターコントローラの補助記憶デバイスに記憶される物品管理テーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVコントローラの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVコントローラの補助記憶デバイスに記憶される各種管理テーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るAGVの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る物品搬送制御システムのソーターコントローラによる物品搬送制御の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVコントローラによる第1の搬送制御の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVによる物品搬送(第1の搬送制御に対応)の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVコントローラによる第2の搬送制御の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVによる物品搬送(第2の搬送制御に対応)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る物品搬送制御システムの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、物品搬送制御システムSは、情報処理部1、ソーター2、及びAGV(automated guided vehicle)3等を備える。また、物品搬送制御システムSは、物品投入部4、物品測定部5、物品情報読取部6、分岐装置7、及び搬送ベルト9a、9b、9c、9d、9e等を備える。
【0011】
さらに、物品搬送制御システムSは、複数の物品検知センサを備え、ソーター2及び搬送ベルト9a、9b、9c、9d、9e等により搬送される物品B(例えば物品B1~B8)を検知する。これにより、物品搬送制御システムSは、複数の物品検知センサからの検知信号を監視し、各物品Bの搬送(動き)をトレースし、各物品Bがどこに位置するのかを検知又は推定することができる。例えば、物品搬送制御システムSは、AGV3にコンテナ又は物品Bを収納したコンテナが積載されたことを検知又は推定することもできる。本実施形態では、コンテナの一例としてカゴ台車Cを取り上げて説明する。また、物品搬送制御システムSは、複数の物品検知センサにより検知される各物品B(物品投入部4から順次投入される各物品B)に対して物品検知識別情報(以下、物品検知ID(identification information))を割り当てる。
【0012】
物品搬送制御システムSで処理される物品Bは、様々なサイズ、形状、及び重さの荷物等である。各物品Bには予め物品識別情報(以下、物品ID)が割り当てられる。例えば、各物品Bに対して直接、物品IDを記録してもよいし、各物品Bに物品IDが記録されたタグ等を取り付けるようにしてもよい。物品IDの記録方法としては、目視可能な印刷記録でもよいし、赤外線を吸収するインク等により目視できない印刷記録であってもよい。或いは、物品Bに物品IDを記憶した電子タグ又は無線タグ等を取り付けるようにしてもよい。
【0013】
物品IDは、少なくとも固有情報を含み、数字、文字、記号、バーコード、二次元コード、及びQRコード(登録商標)の1又は2以上の組み合わせで構成される情報である。また、物品IDが仕分け先情報を含んでもよいし、情報処理部1に記憶される物品管理テーブルTA11が、物品IDに関連付けられた仕分け先情報を含んでもよい。本実施形態では、後者を想定し説明する。
【0014】
例えば、情報処理部1は、1台のコンピュータ又は複数台のコンピュータを組み合わせて実現することができ、他の機器と有線又は無線で通信し、他の機器からの情報を受信し記憶し、また、他の機器へ制御信号等を送信し、他の機器を制御する。例えば、他の機器は、ソーター2、AGV3、物品投入部4、物品測定部5、物品情報読取部6、及び分岐装置7である。或いは、情報処理部1は、ネットワーク接続された複数台のコンピュータと複数台のストレージにより実現するようにしてもよい。後に
図3を参照して、ネットワーク接続により実現される情報処理部1について詳細に説明する。
【0015】
ソーター2は、物品Bに対応する仕分け情報に基づき物品Bを区分面と呼ばれる仕分け先へ仕分ける仕分け装置である。つまり、ソーター2は、物品IDに関連付けられた仕分け情報に基づき物品Bを仕分けトレイのうちの何れか1つの目的の仕分けトレイへ仕分ける。ソーター2は、搬送ベルト9dにより搬送される物品Bを受け入れ、情報処理部1からの仕分け先情報に基づき、受け入れた物品Bを仕分けトレイのうちの何れか1つの目的の仕分けトレイへ仕分ける。
【0016】
例えば、ソーター2は、クロスベルトソーター(cross belt sorter)、スライディングシューソーター(sliding shoe sorter)、又はボンベイソーター(bomb-bay sorter)である。クロスベルトソーターは、ベルトコンベアで構成された搬送トレイで物品Bを搬送し、ベルトコンベアの回転により搬送トレイ上の物品Bを目的の仕分けトレイへ供給する。スライディングシューソーターは、搬送トレイで物品Bを搬送し、搬送トレイが目的の仕分けトレイに到達したタイミングで搬送トレイを傾斜させて搬送トレイ上の物品Bを目的の仕分けトレイへ向けて滑らせる。ボンベイソーターは、底部が開閉可能に構成された搬送トレイで物品Bを搬送し、搬送トレイが目的の仕分けトレイ上、又は目的の仕分けトレイへ物品Bを送り出すシューター上に到達するタイミングで底部を開放し物品Bを目的の仕分けトレイ又はシューターへ向けて投下する。
【0017】
本実施形態では、ソーター2をボンベイソーターとして説明し、仕分けトレイに替えて、ワゴン(キャスタ無し)21b、ワゴン(キャスタ無し)22b、郵袋23b、及びワゴン(キャスタ有り)24bを仕分け先として適用するケースについて説明する。例えば、ソーター2は、環状に構成された搬送路を備え、搬送路は複数の搬送トレイを備える。これら複数の搬送トレイは、搬送路に沿って回転する。搬送ベルト9dにより搬送される物品Bは、ソーター2の搬送路上の搬送トレイに送り込まれ、一つの搬送トレイは、一つの物品Bを積載し、搬送路に沿って回転する。ソーター2は、搬送トレイが目的の仕分け先であるワゴン21b、ワゴン22b、郵袋23b、又はワゴン24bに対応する位置に到達するタイミングで、底部ゲート21a、22a、23a、又は24aを開放し、物品Bを投下し、シューターを介して物品Bをワゴン21b、ワゴン22b、郵袋23b、又はワゴン24bへ送り込む。
【0018】
図2A及び
図2Bは、実施形態に係る物品搬送制御システムのソーターからワゴンへシューターを介して物品が送り込まれる様子を示す図である。
図2Aは、シューター25の下部にスペースが有る例を示し、
図2Bは、シューター25の下部にスペースが無い例を示す。
図2Aに示すように、ソーター2は、搬送トレイが目的の仕分け先であるワゴン24bに対応する位置に到達するタイミングで、底部ゲート24aを開放し、物品Bを投下し、シューター25を介して物品Bをワゴン24bへ送り込む。
【0019】
ここで
図2A及び
図2Bを参照し、搬送位置L11と、搬送位置L11の代わりになる代替位置L21及び代替位置L31について説明する。
図2Aに示すように、シューター25の下部にスペースが有る場合、仕分け先のワゴン24bに対応する位置(例えばワゴン24bに隣接する位置)を搬送位置L11とし、搬送位置L11の代わりになる位置を代替位置L1とし、さらに、代替位置L21の代わりになる位置を代替位置L31とする。
【0020】
また、
図2Bに示すように、シューター25の下部にスペースが無い場合、仕分け先のワゴン24bに対応する位置(例えばワゴン24bから少し離れた位置)を搬送位置L11とし、搬送位置L11の代わりになる位置を代替位置L1とし、さらに、代替位置L21の代わりになる位置を代替位置L31とする。
【0021】
物品搬送制御システムSの構成(例えばシューター25の下部のスペースの有無等)に応じて、任意の位置に、搬送位置L11、代替位置L21、L31を設定することができる。後に、搬送位置L11、代替位置L21、及び代替位置L31へのAGV3による物品Bの搬送制御について詳しく説明する。
【0022】
AGV3は、物品Bを無人で搬送する搬送車である。AGV3は、マップデータ、目的位置データ、及び現在位置データ等を含む搬送制御信号に基づき、受け入れた物品Bを目的位置へ搬送する。例えば、AGV3は、各仕分け先に対応する搬送位置L11を示す位置情報L12を含む搬送制御信号S21に基づき、受け入れた物品Bを搬送位置L11へ搬送する。又は、AGV3は、搬送位置L11の代替となる代替位置L21を示す位置情報L22を含む搬送制御信号S22に基づき、受け入れた物品Bを代替位置L21へ搬送する。又は、AGV3は、代替位置L21の代替となる代替位置L31を示す位置情報L32を含む搬送制御信号S23に基づき、受け入れた物品Bを代替位置L31へ搬送する。
【0023】
例えば、AGV3は、カゴ台車Cの下に潜り込み、カゴ台車Cを持ち上げて、カゴ台車Cを搬送する。カゴ台車Cの底面には複数の車輪が取り付けられ、カゴ台車Cの底面と床面との間に350mm程度の隙間が生じる。AGV3は、高さ300mm以下で構成され、カゴ台車Cの底面と床面の間の隙間に潜り込み、カゴ台車固定機構によりカゴ台車Cを固定した上でカゴ台車固定機構を上昇させてカゴ台車Cを床面から上へ持ち上げる。この状態でAGV3が目的位置へ移動することより、カゴ台車Cとともに物品Bを目的位置へ搬送することができる。
【0024】
空のカゴ台車Cを搬送するAGV3は、情報処理部1からの搬送制御信号に従い、物品Bを受け取るための待機位置E2(
図1参照)で停止し、搬送ベルト9eにより送り込まれる物品Bをカゴ台車Cに収容し、物品Bが収容されたカゴ台車Cを目的位置へ搬送する。AGV3は、目的位置に到着後、カゴ台車固定機構を下降させてカゴ台車Cを床面に降ろし、カゴ台車固定機構によるカゴ台車Cの固定を解除し、指定位置へ移動する。これにより、目的位置へ、物品Bが収容されたカゴ台車Cを搬送し配置することができる。
【0025】
物品投入部4は、オペレータにより投入される物品B又は搬送ベルト等により送り込まれる物品Bを受け取り、搬送ベルト9aは、物品投入部4で受け取られた物品Bを物品測定部5へ搬送する。
【0026】
物品測定部5は、搬送される物品Bのサイズ、形状、及び重量のうちの少なくとも一つを測定し、測定により得られる物品測定情報を情報処理部1へ出力する。例えば、物品測定部5は、複数のセンサによる多方面からの物品Bのセンシング結果の組み合わせに基づき物品Bのサイズ(X軸、Y軸、及びZ軸方向のサイズ)及び形状を測定し、また、重量計により物品Bの重量を測定する。例えば、センサには、光源から物品Bまでの距離を測定するレーザ距離センサを適用する。或いは、物品測定部5は、カメラ等により多方面から物品Bの画像を撮影し、撮影により得られた画像を解析し物品Bのサイズ及び形状を測定するようにしてもよい。搬送ベルト9bは、物品測定部5で測定された物品Bを物品情報読取部6へ搬送する。
【0027】
物品情報読取部6は、物品Bから物品IDを読み取る。例えば、物品情報読取部6は、カメラを備え、カメラは、搬送ベルト9b又は9cに対向する位置に設けられ、搬送ベルト9b又は9cにより搬送される物品Bを撮影する。例えば、複数のカメラを配置し、様々な角度から、搬送ベルト9b又は9cにより搬送される物品Bを撮影する。物品情報読取部6は、カメラの撮影により得られた画像データに含まれる物品IDを読み取り、読み取った物品IDを情報処理部1へ出力する。物品IDがQRコードの場合、物品情報読取部6はQRコードリーダとして機能する。物品IDが無線タグに記憶された情報の場合、物品情報読取部6は無線リーダとして機能し、無線通信により無線タグから物品IDを読み取る。搬送ベルト9cは、物品情報読取部6により物品IDが読み取られた物品Bを分岐装置7へ搬送する。
【0028】
分岐装置7は、情報処理部1から送信される分岐制御信号S11又は分岐制御信号S12に基づきソーター2又はAGV3へ物品Bを供給する。例えば、分岐装置7は、情報処理部1から送信される分岐制御信号S11に基づき搬送ベルト9cで搬送される物品Bを搬送ベルト9eへ振り分け、搬送ベルト9eは、物品Bをソーター2へ搬送し、物品Bをソーター2へ振り分ける。また、分岐装置7は、情報処理部1から送信される分岐制御信号S12に基づき搬送ベルト9cで搬送される物品Bを搬送ベルト9eへ振り分け、搬送ベルト9eは、物品BをAGV3へ搬送し物品BをAGV3上のカゴ台車Cへ送り込む。なお、分岐装置7がロボットアーム等の構成を有し、ロボットアーム等が物品Bをピックアップしてソーター2又はAGV3へ供給してもよい。
【0029】
図3は、実施形態に係る物品搬送制御システムの情報処理部の概略構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理部1は、ソーターコントローラ11、AGVコントローラ12、及びストレージ13を備え、これらはネットワークを介して接続される。なお、ソーターコントローラ11及びAGVコントローラ12を1台のコントローラで実現するようにしてもよい。また、上位サーバをネットワークに接続し、この上位サーバによりソーターコントローラ11及びAGVコントローラ12を統括制御するようにしてもよい。
【0030】
図4は、実施形態に係る物品搬送制御システムのソーターコントローラの概略構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、ソーターコントローラ11は、プロセッサ111、ROM(read-only memory)112、RAM(random-access memory)113、補助記憶デバイス114、通信インタフェース115、及び入出力部116を備える。
【0031】
プロセッサ111は、物品Bの処理に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。物品Bの処理は、物品Bの搬送、供給、及び仕分け等の動作を含む。プロセッサ111は、ROM12又は補助記憶デバイス14などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、ソーターコントローラ11の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ111は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、又はDSP(digital signal processor)である。あるいは、プロセッサ111は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。プロセッサ111は、複数の物品検知センサからの検知信号に基づき、検知される各物品Bに物品検知IDを割り当て、また、各物品Bの搬送(動き)をトレースし、各物品Bがどこに位置するのかを検知又は推定する。
【0032】
ROM112は、プロセッサ111を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM112は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM112は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM112は、プロセッサ111が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0033】
RAM113は、プロセッサ111を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM113は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM113は、プロセッサ111が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0034】
補助記憶デバイス114は、プロセッサ111を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス114は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)(登録商標)、HDD(hard disk drive)又はSSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス114は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス114は、プロセッサ111が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ111での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0035】
ROM112又は補助記憶デバイス114に記憶されるプログラムは、物品Bを処理するためのプログラムを含む。一例として、ソーターコントローラ11は、当該プログラムがROM112又は補助記憶デバイス114に記憶された状態でソーターコントローラ11の管理者などへと譲渡される。しかしながら、ソーターコントローラ11は、当該プログラムがROM112又は補助記憶デバイス114に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、物品Bを処理するためのプログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下に補助記憶デバイス114へ書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0036】
通信インタフェース115は、ネットワークなどを介して他の装置と有線又は無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース115は、物品搬送制御システムSによる物品の処理を開始する前に、物品搬送制御システムSの上位サーバから物品Bに関する物品ID及び物品IDに関連付けられた仕分け先情報を受信する。また、通信インタフェース115は、物品検知センサからのセンシング信号、物品測定部5からの物品測定情報、及び物品情報読取部6からの物品IDを受信する。また、通信インタフェース115は、ソーター2へ仕分け先情報、及び分岐装置7へ分岐制御信号S11又はS12を送信する。また、通信インタフェース115は、ストレージ13から読み出された情報を受信し、ストレージ13に格納するための情報を送信する。
【0037】
入出力部116は、キーボード、テンキー、マウス、及びタッチパネルディスプレイ等を備える。入出力部116は、オペレータからの指示入力を受け付けプロセッサ111へ通知する。また、タッチパネルディスプレイは、オペレータに対して各種情報を表示する。
【0038】
図5は、実施形態に係る物品搬送制御システムのソーターコントローラの補助記憶デバイスに記憶される物品管理テーブルの一例を示す図である。
図5に示すように、補助記憶デバイス114は、記憶部として機能し、物品管理テーブルTA11等を記憶する。物品管理テーブルTA11は、検知された全ての物品B1~B8に付される物品検知IDに関連付けて、物品ID、仕分け先情報、物品測定情報、物品供給先情報、及びAGV識別情報(以下、AGVID)を記憶する。なお、物品搬送制御システムSで処理される全ての物品Bから物品IDを取得できる場合には、物品検知IDは必須ではなく、物品管理テーブルTA11は、取得される物品IDに関連付けて、仕分け先情報、物品測定情報、物品供給先情報、及びAGV識別情報を記憶する。この場合、プロセッサ111は、物品IDに対応する物品B1~B8の動きをトレースし、物品B1~B8がどこに位置するのか検知又は推定する。本実施形態では、物品管理テーブルTA11をソーターコントローラ11の補助記憶デバイス114が記憶するケースについて説明するが、物品管理テーブルTA11をネットワークに接続されたストレージ13が記憶するようにしてもよい。
【0039】
図6は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVコントローラの概略構成の一例を示すブロック図である。
AGVコントローラ12は、AGV3による物品B(カゴ台車C)の搬送動作等を制御する物品搬送制御装置に相当する。例えば、AGVコントローラ12は、所定位置で待機するカゴ台車CをAGV3により回収し搬送する動作、及びAGV3により物品B(カゴ台車C)を目的位置へ搬送し物品B(カゴ台車C)を目的位置へ降ろして配置する動作等を制御する。
図6に示すように、AGVコントローラ12は、プロセッサ121、ROM122、RAM123、補助記憶デバイス124、通信インタフェース125、及び入出力部126を備える。
【0040】
プロセッサ121は、物品Bの搬送に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ111は、ROM12又は補助記憶デバイス14などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、AGVコントローラ12の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ111は、例えば、CPU、MPU、又はDSPである。あるいは、プロセッサ111は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0041】
ROM122は、プロセッサ121を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM122は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM122は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM122は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0042】
RAM123は、プロセッサ121を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM123は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM123は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0043】
補助記憶デバイス124は、プロセッサ121を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス124は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス124は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ121での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0044】
ROM122又は補助記憶デバイス124に記憶されるプログラムは、AGV3の搬送を制御するためのプログラムを含む。一例として、AGVコントローラ12は、当該プログラムがROM122又は補助記憶デバイス124に記憶された状態でAGVコントローラ12の管理者などへと譲渡される。しかしながら、AGVコントローラ12は、当該プログラムがROM122又は補助記憶デバイス124に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、物品Bの搬送を制御するためのプログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下に補助記憶デバイス124へ書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0045】
通信インタフェース125は、ネットワークなどを介して他の装置と有線又は無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース125は、ソーターコントローラ11からの情報を受信し、また、AGV3へ搬送制御信号等を送信する。
【0046】
入出力部126は、キーボード、テンキー、マウス、及びタッチパネルディスプレイ等を備える。入出力部126は、オペレータからの指示入力を受け付けプロセッサ111へ通知する。また、タッチパネルディスプレイは、オペレータに対して各種情報を表示する。
【0047】
図7は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVコントローラの補助記憶デバイスに記憶される各種管理テーブルの一例を示す図である。
図7に示すように、補助記憶デバイス124は記憶部として機能し、補助記憶デバイス124は、仕分け先対応位置管理テーブルTA21、AGV管理テーブルTA22、及びAGV搬送用物品管理テーブルTA23等を記憶する。
【0048】
仕分け先対応位置管理テーブルTA21は、各仕分け先を示す仕分け先情報に関連付けて、仕分け先に対応する搬送位置L11を示す位置情報L12、搬送位置L11の代替となる代替位置L21を示す位置情報L22、代替位置L21の代替となる代替位置L31を示す位置情報L32、及び環境情報を記憶する。また、AGV管理テーブルTA22は、AGVIDに関連付けて、現在位置情報及び行き先(ワゴン24bの位置情報L12等)を記憶する。行き先未定で待機中のAGV3のAGVIDには、現在位置情報として待機位置の位置情報、及び行き先として未定が関連付けられる。また、AGV搬送用物品管理テーブルTA23は、AGV3により搬送される物品Bの物品IDに関連付けて、仕分け先情報を記憶する。
【0049】
本実施形態では、仕分け先対応位置管理テーブルTA21が、二つの代替位置(1番目の代替位置L21と2番目の代替位置L31)の位置情報を含むケースについて説明するが、少なくとも一つの代替位置の位置情報を含めばよい。或いは、補助記憶デバイス124が、ワゴン台車Cのサイズ情報を記憶し、マップデータ上で搬送位置の位置情報を基準としてn番目の代替位置をどこに配置するかを定義する定義情報を記憶することにより、仕分け先対応位置管理テーブルTA21における代替位置の位置情報の登録を省略するようにしてもよい。多くのワゴン台車Cが同じ仕分け先に搬送されるケースにおいて、多くのワゴン台車Cのための代替位置を事前に定める必要がなく、またその情報を事前に保持する必要がない点で優れる。
【0050】
また、環境情報は、AGV3によるカゴ台車Cの配置等により動的に変化する情報を含む。例えば、プロセッサ121は、初期設定に従い、仕分け先情報が示すワゴン21bに対応する搬送位置L11に障害物10が有ることを示す環境情報INF0を設定し、仕分け先情報が示すワゴン22b、郵袋23b、及びワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cが無いことを示す環境情報INF1を設定する。なお、プロセッサ121は、オペレータ等により入力される情報に従い、環境情報INF0を設定するようにしてもよい。また、プロセッサ121は、状況変化(ワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cが配置されたことを示す完了通知)に応じて、仕分け先情報が示すワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cが無いことを示す環境情報INF1を、仕分け先情報が示すワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cが有ることを示す環境情報INF2へ更新する。さらに、プロセッサ121は、状況変化(ワゴン24bの代替位置L21にカゴ台車Cが配置されたことを示す完了通知)に応じて、環境情報INF2を、仕分け先情報が示すワゴン24bの代替位置L21にカゴ台車Cが有ることを示す環境情報INF3へ更新する。なお、環境情報INF2を環境情報INF3へ更新することに替えて、環境情報INF2が、カゴ台車Cの設置台数を含むようにしてもよい。なお、障害物10は施設の柱など固定された物体であってもよい。この場合、環境情報は、固定された物体の情報(静的な情報)を含む。
【0051】
プロセッサ121は、仕分け先対応位置管理テーブルTA21、AGV管理テーブルTA22、及びAGV搬送用物品管理テーブルTA23等に基づいて、各物品Bの仕分け先を判定し、判定した仕分け先に対応する搬送先(搬送位置L11、代替位置L21、又は代替位置L31等)を判定し、各AGV3の現在位置情報に基づいて1台のAGV3を選択し、選択したAGV3へ搬送先を含む搬送制御信号を送信する。AGV3は、搬送制御信号に基づき搬送先へ移動する。このAGV3の搬送制御の詳細については後に詳しく説明する。
【0052】
図8は、実施形態に係るAGVの概略構成の一例を示すブロック図である。
AGV3は、車輪付きの自走ロボットであり、AGVコントローラ12からの搬送制御信号に基づき、空のカゴ台車C又は物品Bを収納したカゴ台車Cを目的位置へ搬送する。例えば、AGV3は、搬送制御信号に含まれるマップデータ、目的位置データ、及び現在位置データに基づき、目的位置までカゴ台車Cを搬送する。例えば、AGV3は、移動距離及び移動方向を検知しながら目的位置まで自走する。又は、AGV3は、走行路に取り付けられた磁気テープ又は二次元バーコードを辿って目的位置まで自走する。加えて、AGV3は、障害物(他のAGV3を含む)を検知するレーザ検知センサ又はカメラ等を備え、レーザ検知センサで検知される障害物、又はカメラで撮影された画像解析により検知される障害物を避けて走行することもできる。
【0053】
図8に示すように、AGV3は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、補助記憶デバイス34、通信インタフェース35、及び駆動部36を備える。
プロセッサ31は、カゴ台車Cの搬送の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ31は、ROM32又は補助記憶デバイス34などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、AGV3の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ31は、例えば、CPU、MPU、又はDSPである。あるいは、プロセッサ111は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。例えば、AGVコントローラ12は、AGV3を目的位置へ移動させるための搬送制御信号を送信し、プロセッサ31は、AGVコントローラ12から送信される搬送制御信号に含まれるマップデータ、目的位置データ、及び現在位置データ等に応じた駆動信号を出力する。或いは、プロセッサ31は、AGVコントローラ12から送信される搬送制御信号に含まれる連結制御信号に応じた連結のための駆動信号を出力する。
【0054】
ROM32は、プロセッサ31を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM32は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM32は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM32は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0055】
RAM33は、プロセッサ31を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM33は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM33は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0056】
補助記憶デバイス34は、プロセッサ31を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス34は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス34は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ31での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0057】
通信インタフェース35は、ネットワークなどを介して他の装置と無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース35は、AGVコントローラ12からの搬送制御信号を受信する。また、通信インタフェース35は、AGVコントローラ12に対して、カゴ台車Cの搬送及び配置の完了を示す搬送完了通知を送信する。
【0058】
駆動部36は、モータ、モータにより回転する車輪、及び進行方向を切り替える操舵機構等を備える。駆動部36は、プロセッサ31から出力される駆動信号に基づきモータを回転又は停止し、また、操舵機構を制御し、AGVを目的位置へ移動させる。さらに、駆動部36は、カゴ台車固定機構によりカゴ台車Cを固定しカゴ台車固定機構を上昇させてカゴ台車Cを持ち上げ、またカゴ台車固定機構を下降させてカゴ台車Cを降ろしカゴ台車Cの固定を解除する。
【0059】
図9は、実施形態に係る物品搬送制御システムのソーターコントローラによる物品搬送制御の一例を示すフローチャートである。
例えば、上位サーバは、事前に、処理対象となる物品Bの物品ID及び仕分け先情報をソーターコントローラ11へ送信し、ソーターコントローラ11のプロセッサ111は、物品管理テーブルTA11は、これら物品ID及び仕分け先情報を登録する。
【0060】
物品搬送制御システムSの物品投入部4から物品Bが投入され、搬送ベルト9a、9b、9c、9d、9e等により物品Bの搬送が開始される(ST1)。物品搬送制御システムSの複数の物品検知センサは、順次搬送される物品Bを検知し、検知信号をソーターコントローラ11へ送信する。ソーターコントローラ11の通信インタフェース115は、検知信号を受信し、プロセッサ111は、検知信号に基づき各物品Bに物品検知IDを割り当てる。つまり、プロセッサ111は、物品管理テーブルTA11において、順次検知される各物品Bに対応付けて物品検知IDを登録する。この時点では、搬送される物品Bから物品IDが読み取られていないので、物品管理テーブルTA11に事前登録済みの物品IDと、物品検知IDとを関連付けることはできない。
【0061】
搬送ベルト9aは、物品Bを物品測定部5へ搬送し、物品測定部5は、搬送される物品のサイズ、形状、及び重量のうちの少なくとも一つを測定し(ST2)、測定により得られる物品測定情報をソーターコントローラ11へ送信する。ソーターコントローラ11の通信インタフェース115は、物品測定情報を受信し、プロセッサ111は、物品管理テーブルTA11において、物品検知IDに関連付けて物品測定情報を登録する。
【0062】
また、プロセッサ111は、物品測定情報に基づく物品Bの供給先(ソーター2又はAGV3)の判定処理を実行し(ST3)、物品測定情報に基づいてソーター2へ向けて物品を供給させるための分岐制御信号S11、又はAGV3へ向けて物品を供給させるための分岐制御信号S12を選択し出力する。通信インタフェース115は、分岐装置7に対して、分岐制御信号S11又はS12を送信する。
【0063】
ここで、プロセッサ111による物品供給先の判定処理の一例を説明する。プロセッサ111は、受信した物品測定情報に含まれる物品測定値と、補助記憶デバイス114に登録されたソーター2の適合条件とを比較し、物品Bがソーター2の仕様に適合するか否かを判定する。例えば、適合条件は、物品Bをソーター2によって仕分け可能、又は仕分けるに適さないと判定するための判定閾値である。プロセッサ111は、物品測定値と判定閾値とを比較し、比較結果に基づき物品Bをソーター2によって仕分け可能、又は仕分けるに適さないと判定する。
【0064】
例えば、ソーター2の適合条件は、物品BのX軸、Y軸、及びZ軸方向のサイズ(以下、3辺サイズ)の合計の上限値又は下限値を含む。プロセッサ111は、物品測定値に含まれる3辺サイズと上限値又は下限値とを比較し、3辺サイズが上限値を超える場合又は下限値未満の場合に物品Bをソーター2に適合しない、つまり物品Bをソーター2によって仕分けるに適さないと判定し、上限値以下の場合又は下限値以上の場合にソーター2に適合する、つまり物品Bをソーター2によって仕分け可能と判定する。或いは、適合条件が、3辺サイズの上限値及び下限値を含み、プロセッサ111は、3辺サイズが上限値を超える又は下限値未満の場合に物品Bをソーター2に適合しない、つまり物品Bをソーター2によって仕分けるに適さないと判定し、上限値以下且つ下限値以上の場合にソーター2に適合する、つまり物品Bをソーター2によって仕分け可能と判定してもよい。さらに、適合条件が、重量の上限値及び下限値の少なくとも一方を含んでもよいし、形状に関する条件を含んでもよい。例えば、適合条件が、転がりやすい球体及び円柱形状等をソーター2によって仕分けるに適さないとするための形状パラメータを含んでもよい。
【0065】
プロセッサ111は、物品測定情報に基づいて物品Bをソーター2の仕様に適合し仕分け可能と判定する場合に、物品Bをソーター2へ供給する分岐制御信号S11を選択し、通信インタフェース115は、分岐装置7へ分岐制御信号S11を送信する。また、プロセッサ111は、物品測定情報に基づいて物品Bをソーター2の仕様に適合せず仕分けるに適さないと判定する場合は、物品BをAGV3へ供給する分岐制御信号S12を選択し、通信インタフェース115は、分岐装置7へ分岐制御信号S12を送信する。
【0066】
なお、プロセッサ111は、供給先の判定処理において物品Bの供給先をソーター2と判定した場合、物品管理テーブルTA11において物品Bの物品検知IDに関連付けてソーター2を示す物品供給先情報を登録する。また、プロセッサ111は、供給先の判定処理において物品Bの供給先をAGV3と判定した場合、物品管理テーブルTA11において物品Bの物品検知IDに関連付けてAGV3を示す物品供給先情報を登録する。
【0067】
物品情報読取部6は、搬送ベルト9bにより搬送される物品Bの画像を撮影し、撮影により得られた画像データから物品IDを取得し(ST4)、物品IDをソーターコントローラ11へ送信する。ソーターコントローラ11の通信インタフェース115は、物品情報読取部6からの物品IDを受信し、プロセッサ111は、物品管理テーブルTA11において、事前登録済みの物品IDと受信した物品IDとを関連付ける。つまり、物品管理テーブルTA11において、物品検知IDに関連付けて、物品ID、仕分け先情報、物品測定情報、及び物品供給先情報が登録される。プロセッサ111は、物品管理テーブルTA11の物品IDに基づき仕分け先を判定する(ST5)。
【0068】
分岐装置7は、通信インタフェース115から送信される分岐制御信号S11を受信すると、この分岐制御信号S11に基づき、搬送ベルト9cにより搬送される物品Bをソーター2へ向けて供給し(ST6、YES)、搬送ベルト9dは、物品Bをソーター2へ搬送する(ST7)。プロセッサ111は、物品Bの物品検知IDに関連付けられた仕分け先情報を選択し、通信インタフェース115は、物品Bの供給先と判定されたソーター2に対して物品Bの仕分け先情報を送信する。ソーター2は、物品Bの仕分け先情報を受信し、仕分け先情報に基づき物品Bをワゴン21b~24bのうちの何れか1つへ仕分ける(ST8)。
【0069】
また、分岐装置7は、通信インタフェース115から送信される分岐制御信号S12を受信すると、この分岐制御信号S12に基づき、搬送ベルト9cにより搬送される物品BをAGV3へ向けて供給し(ST6、NO)、搬送ベルト9eは、物品BをAGV3の待機位置E2へ向けて搬送する(ST9)。プロセッサ111は、物品Bの物品検知IDに関連付けられた仕分け先情報を選択し、通信インタフェース115は、物品Bの供給先と判定されたAGV3を制御するAGVコントローラ12に対して物品Bの仕分け先情報を送信する。AGVコントローラ12は、物品Bの仕分け先情報を受信し、物品搬送制御を実行し、AGV3は物品搬送制御に基づき物品を搬送する(ST10)。
【0070】
[第1の搬送制御]
次に、
図10及び
図11を参照して、AGVコントローラを主とする代替位置への搬送制御について説明する。
図10は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVコントローラによる第1の搬送制御の一例を示すフローチャートである。
ソーターコントローラ11のプロセッサ111は、物品供給先情報がAGV3と判定された物品ID、及び物品IDに関連付けられた仕分け先情報を選択し、通信インタフェース115は、選択された物品ID、及び物品IDに関連付けられた仕分け先情報を送信する。AGVコントローラ12の通信インタフェース125は、選択された物品ID、及び物品IDに関連付けられた仕分け先情報を受信し、プロセッサ121は、AGV搬送用物品管理テーブルTA23を登録する。AGV搬送用物品管理テーブルTA23は、AVG3の搬送対象となる物品ID、及び物品IDに関連付けられた仕分け先情報を含む。
【0071】
プロセッサ121は、通信インタフェース115を介して、各AGV3と通信し、各AGV3の現在位置情報を取得し、AGV管理テーブルTA22において各AGV3のIDと各AGVの現在位置情報とを対応付けて管理し、各AGV3の搬送を制御する。
【0072】
プロセッサ121は、通信インタフェース115を介して、所定のAGV3と通信し、待機位置E1で待機する空のカゴ台車Cを待機位置E2へ搬送するための搬送制御信号S24を送信する。AGV3のプロセッサ31は、通信インタフェース35を介して搬送制御信号S24を受信し、搬送制御信号S24に基づき搬送を制御する。本制御により、AGV3は、待機位置E1へ移動し、空のカゴ台車Cの下に潜り込み、カゴ台車Cを持ち上げて、カゴ台車を待機位置E2へ搬送し、待機位置E2で待機する。
【0073】
プロセッサ121は、仕分け先対応位置管理テーブルTA21及びAGV搬送用物品管理テーブルTA23に基づき、物品IDに対応する物品Bの仕分け先を取得し、取得された仕分け先に対応する搬送位置L11(つまり位置情報L12)を取得し(ST21)、搬送位置L11の状況を示す環境情報を取得する(ST22)。
【0074】
さらに、プロセッサ121は、環境情報に基づいてAGV3を搬送位置L11へ搬送させるための搬送制御信号S21、AGV3を搬送位置L11の代わりの代替位置L21へ搬送させるための搬送制御信号S22、又はAGV3を代替位置L21の代わりの代替位置L31へ搬送させるための搬送制御信号S23を選択する(ST23)。なお、搬送制御信号S22及びS23は、カゴ台車Cの連結を制御する連結制御信号を含んでもよい。カゴ台車Cの連結については後に詳しく説明する。
【0075】
例えば、環境情報は、物品Bが収容されたカゴ台車CがAGV3により搬送され配置されることにより動的に変化する情報を含む。プロセッサ121は、初期設定により、ワゴン21bに対応する搬送位置L11に障害物有りを示す環境情報INF0を設定し、ワゴン22b、郵袋23b、ワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cが無いことを示す環境情報INF1を設定する。
【0076】
例えば、プロセッサ121は、環境情報INF1に基づいて搬送制御信号S21を選択し(ST23)、プロセッサ121は、通信インタフェース125を介して、選択した搬送制御信号S21をAGV3へ送信し、AGV3の搬送を制御する(ST24)。
AGV3は、搬送制御信号S21に基づき、ワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cを搬送し配置すると、ワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を送信する。
通信インタフェース125は、ワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を受信し(ST25)、プロセッサ121は、この搬送完了通知の受信に基づき、ワゴン24bに対応する環境情報INF1を搬送位置L11にカゴ台車Cが有ることを示す環境情報INF2へ更新する(ST26)。
【0077】
或いは、プロセッサ121は、環境情報INF2に基づいて搬送制御信号S22を選択する(ST23)。プロセッサ121は、通信インタフェース125を介して、選択した搬送制御信号S22をAGV3へ送信し、AGV3の搬送を制御する(ST24)。 AGV3は、搬送制御信号S22に基づき、ワゴン24bに対応する搬送位置L11の代わりの代替位置L21にカゴ台車Cを搬送し配置すると、この代替位置L21にカゴ台車Cの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を送信する。
通信インタフェース125は、この代替位置L21にカゴ台車Cの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を受信し(ST25)、プロセッサ121は、この搬送完了通知の受信に基づき、ワゴン24bに対応する環境情報INF2を代替位置L21にカゴ台車Cが有ることを示す環境情報INF3へ更新する(ST26)。
【0078】
図11は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVによる物品搬送(第1の搬送制御に基づく搬送動作)の一例を示すフローチャートである。
AGV3は、AGVコントローラ12の制御に従い、物品を受け取るための待機位置E2で待機する(ST30)。ソーターコントローラ11は、複数の物品検知センサからの検知信号を監視し、このAGV3に物品を積載したことを検知又は推定し、物品積載完了通知を送信する。AGVコントローラ12は、環境情報に基づいて、搬送制御信号S21、S22、又はS23を選択し、物品積載完了通知の受信に応じて、選択した搬送制御信号S21、S22、又はS23を送信する。
【0079】
例えば、AGV3が、ワゴン24bに対応する搬送位置L11へ搬送させるための搬送制御信号S21を受信すると(ST31、YES)、搬送制御信号S21に基づきワゴン24bに対応する搬送位置L11へ移動を開始する(ST32)。或いは、AGV3が物品検知センサを備え、AGVコントローラ12は、任意のタイミングで搬送制御信号S21を送信し、AGV3が物品検知センサにより物品Bの積載を検知した後、受信済みの搬送制御信号S21に基づきワゴン24bに対応する搬送位置L11へ移動を開始するようにしてもよい。
【0080】
AGV3は、搬送位置L11で停止し搬送位置L11にカゴ台車Cを降ろして配置し(ST35)、AGVコントローラ12に対して、ワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を送信する(ST36)。
【0081】
さらに、AGV3は、空のカゴ台車Cの待機位置E1へ移動し(ST37)、空のカゴ台車Cの下に潜り込み、カゴ台車Cを確保し(ST38)、カゴ台車を待機位置E2へ移動する(ST39)。待機位置E2で先着のAGV3が待機している場合には、後着のAGV3は、先着のAGV3を検知し、先着のAGV3の後続で待機する。
【0082】
或いは、AGV3が、ワゴン24bに対応する搬送位置L11の代わりの代替位置L21へ搬送させるための搬送制御信号S22を受信すると(ST41、YES)、搬送制御信号S41に基づきワゴン24bに対応する搬送位置L11の代わりの代替位置L21へ移動を開始する(ST42)。
【0083】
AGV3が、搬送位置L11及び代替位置L21に近づき、搬送位置L11における配置済みのカゴ台車Cを検知すると(ST43、YES)、搬送制御信号S22に含まれる連結制御信号に基づき、検知したカゴ台車Cへの連結処理を実行する(ST44)。例えば、AGV3は、搬送位置L11における配置済みのカゴ台車Cを検知すると移動速度を落とし、さらに配置済みのカゴ台車Cに近づくと最徐行し、配置済みのカゴ台車Cの連結器(例えば凹部)に搬送してきたカゴ台車Cの連結器(例えば凸部)を押し込んで、両者の連結を完了する。連結器は、マグネット式でもよい。連結完了後、AGV3は、代替位置L21にカゴ台車Cを降ろして配置し(ST45)、AGVコントローラ12に対して、ワゴン24bに対応する搬送位置L11の代わりの代替位置L21にカゴ台車Cの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を送信する(ST46)。
【0084】
さらに、AGV3は、空のカゴ台車Cの待機位置E1へ移動し(ST37)、空のカゴ台車Cの下に潜り込み、カゴ台車Cを確保し(ST38)、カゴ台車を待機位置E2へ移動する(ST39)。待機位置E2で先着のAGV3が待機している場合には、後着のAGV3は、先着のAGV3を検知し、先着のAGV3の後続で待機する。
【0085】
[第2の搬送制御]
次に、
図12及び
図13を参照して、AGVを主とする代替位置への搬送について説明する。この第2の搬送制御では、環境情報を必須としない。なお、第1の搬送制御と共通する部分についてはその説明を適宜省略する。
図12は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVコントローラによる第2の搬送制御の一例を示すフローチャートである。
AGVコントローラ12のプロセッサ121は、AGV搬送用物品管理テーブルTA23を登録する。AGV搬送用物品管理テーブルTA23は、AVG3の搬送対象となる物品ID、及び物品IDに関連付けられた仕分け先情報を含む。プロセッサ121は、所定のAGV3と通信し、AGV3は、空のカゴ台車Cを保持し待機位置E2で待機する。
【0086】
プロセッサ121は、仕分け先対応位置管理テーブルTA21及びAGV搬送用物品管理テーブルTA23に基づき、物品IDに対応する物品Bの仕分け先を取得し、取得された仕分け先に対応する搬送位置L11(位置情報L12)を取得する(ST51)。プロセッサ121は、AGV3を搬送位置L11へ搬送させるための搬送制御信号S21を選択する(ST52)。プロセッサ121は、通信インタフェース125を介して、選択した搬送制御信号S21をAGV3へ送信し、AGV3の搬送を制御する(ST53)。
【0087】
図13は、実施形態に係る物品搬送制御システムのAGVによる物品搬送(第2の搬送制御に基づく搬送動作)の一例を示すフローチャートである。
AGV3は、AGVコントローラ12の制御に従い、物品を受け取るための待機位置E2で待機する(ST60)。ソーターコントローラ11は、複数の物品検知センサからの検知信号を監視し、このAGV3に物品を積載したことを検知又は推定し、物品積載完了通知を送信する。AGVコントローラ12は、搬送制御信号S21を選択し、物品積載完了通知の受信に応じて、選択した搬送制御信号S21を送信する。
【0088】
例えば、AGV3が、ワゴン24bに対応する搬送位置L11へ搬送させるための搬送制御信号S21を受信すると(ST61、YES)、搬送制御信号S21に基づきワゴン24bに対応する搬送位置L11へ移動を開始する(ST62)。
【0089】
AGV3が、搬送位置L11に近づき、搬送位置L11における配置済みのカゴ台車Cを検知しなければ(ST63、NO)、AGV3は、搬送位置L11で停止し搬送位置L11にカゴ台車Cを降ろして配置し(ST65)、AGVコントローラ12に対して、ワゴン24bに対応する搬送位置L11にカゴ台車Cの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を送信する(ST66)。なお、この搬送完了通知は必須ではない。
【0090】
さらに、AGV3は、空のカゴ台車Cの待機位置E1へ移動し(ST67)、空のカゴ台車Cの下に潜り込み、カゴ台車Cを確保し(ST68)、カゴ台車を待機位置E2へ移動する(ST69)。待機位置E2で先着のAGV3が待機している場合には、後着のAGV3は、先着のAGV3を検知し、先着のAGV3の後続で待機する。
【0091】
或いは、AGV3が、搬送位置L11に近づき、搬送位置L11における配置済みのカゴ台車Cを検知すると(ST63、YES)、検知したカゴ台車Cへの連結処理を実行する(ST74)。例えば、AGV3は、搬送位置L11における配置済みのカゴ台車Cを検知すると移動速度を落とし、さらに配置済みのカゴ台車Cに近づくと最徐行し、配置済みのカゴ台車Cの連結器に搬送してきたカゴ台車Cの連結器を押し込んで、両者の連結を完了する。連結完了後、AGV3は、代替位置L21にカゴ台車Cを降ろして配置し(ST75)、AGVコントローラ12に対して、ワゴン24bに対応する搬送位置L11の代わりの代替位置L21にカゴ台車Cの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を送信する(ST76)。なお、この搬送完了通知は必須ではない。
【0092】
さらに、AGV3は、空のカゴ台車Cの待機位置E1へ移動し(ST67)、空のカゴ台車Cの下に潜り込み、カゴ台車Cを確保し(ST68)、カゴ台車を待機位置E2へ移動する(ST69)。待機位置E2で先着のAGV3が待機している場合には、後着のAGV3は、先着のAGV3を検知し、先着のAGV3の後続で待機する。
【0093】
なお、上記した第1及び第2の搬送制御を組み合わせてもよい。例えば、
図11のST32の後続に、
図13のST63の判定を加えてもよい。複数台のAGV3がカゴ台車C(物品B)の搬送と配置を行っているため、環境情報の更新が間に合わない場合に有効である。例えば、あるAGV3が、搬送位置L11に向けてカゴ台車Cを搬送し配置しようとしたが、既に、他のAGV3が、その搬送位置L11にカゴ台車Cを降ろして配置し終えているようなケースで、AGV3は、搬送位置L11の代替位置L21にカゴ台車を配置することができる。
【0094】
また、仕分け先対応位置管理テーブルTA21において、任意の搬送位置L11及び任意の代替位置L21等を設定することができる。
図2Aに示すように、シューター25の下部にスペースが有る場合は、ワゴン24bに連結し易い位置を搬送位置L11に設定し、その搬送位置L11に隣接する位置を代替位置L21に設定し、その代替位置L21に隣接する位置を代替位置L31に設定する。
図2Bに示すように、シューター25の下部にスペースが無い場合は、ワゴン24bの稼働スペースを確保した上で、ワゴン24bから少し離れた位置を搬送位置L11に設定し、その搬送位置L11に隣接する位置を代替位置L21に設定し、その代替位置L21に隣接する位置を代替位置L31に設定する。
【0095】
或いは、
図1に示すように、ワゴン21bの近くに障害物10がある場合には、ワゴン21bに対応する搬送位置L11をワゴン21bから離れた予備位置E3の中に設定してもよい。同様に、ワゴン21bに対応する搬送位置L11の代わりの代替位置L21、L31も予備位置E3の中に設定してもよい。
【0096】
以上説明した実施形態によれば、多様な物品に対応し且つ仕分けの負担を軽減することができる物品搬送制御装置、物品搬送制御システム、及びプログラムを提供することができる。
例えば、AGVコントローラ12のプロセッサ121は、仕分け先対応位置管理テーブルTA21、AGV管理テーブルTA22、及びAGV搬送用物品管理テーブルTA23等を参照し、物品Bの仕分け先情報に対応する搬送位置L11の状況を示す環境情報に基づいて搬送位置L11に対応する位置情報L12を含む搬送制御信号S21、又は搬送位置L11の代替位置L21に対応する位置情報L22を含む搬送制御信号S22を選択する。AGVコントローラ12の通信インタフェース125は、AGV3に対して搬送制御信号S21又はS22を送信する。
【0097】
AGV3は、ソーター2により仕分けるに適さないと判定された物品Bを搬送し、カゴ台車Cに収容可能な範囲で多様な物品Bに対応することができる。このようなAGV3を適用することにより、AGVコントローラ12は、ソーター2により仕分けるに適さないと判定された物品Bであっても、仕分け先に対応する搬送位置L11へ物品Bを収容したカゴ台車CをAGV3に搬送させること、又は搬送位置L11の代わりの代替位置L21へ物品Bを収容したカゴ台車CをAGV3に搬送させることができる。つまり、仕分け先に対応する搬送位置L11にカゴ台車Cを整列配置させることができる、又は代替位置L21にカゴ台車Cを整列配置させることができる。これにより、ソーター2により仕分けるに適さないと判定された物品Bであっても、人手による仕分けの負担を軽減することができる。
【0098】
また、環境情報は、カゴ台車Cの搬送及び配置の状況に応じて動的に変化する情報を含むので、AGVコントローラ12は、動的な変化に柔軟に対応することができ、動的な変化があっても代替位置L21にカゴ台車Cを整列配置させて、人手による仕分けの負担を軽減することができる。また、環境情報が、固定された物体の情報(静的な情報)を含む場合、AGVコントローラ12は、固定された物体を避けて代替位置L21にカゴ台車Cを整列配置させることもできる。物品搬送制御システムSの設置条件によっては、予め搬送位置L11に固定された障害物10が存在するケースが考えられるが、このようなケースにも柔軟に対応することができる。
【0099】
また、搬送制御信号S22は、搬送位置L11の配置済みカゴ台車Cに代替位置21へ向けて搬送されるカゴ台車Cを連結させるための連結制御信号を含むので、AGVコントローラ12は、搬送位置L11の配置済みカゴ台車Cに代替位置21へ向けて搬送されるカゴ台車Cを連結させて整列配置を完了させることができる。連結されたカゴ台車Cをまとめて移動させることができ、人手による仕分けの負担を軽減することができる。
【0100】
また、環境情報を必須とせずに、AGV3が主体となり、代替位置L12へのカゴ台車Cの搬送及び配置を判定するようにしてもよい。AGV3は、搬送位置L11へカゴ台車Cを搬送するための搬送制御信号S21を受信すると、搬送位置L11へ向けて移動する。AGV3が、搬送位置L11において配置済みのカゴ台車Cを検知した場合には、搬送位置L11の代わりの代替位置L12へカゴ台車Cを降ろして配置する。或いは、環境情報を用いてAGVコントローラ12による代替位置L12へのカゴ台車Cの搬送及び配置を実施しつつ、状況に応じてAGV3による代替位置L12へのカゴ台車Cの搬送及び配置を適用するようにしてもよい。
【0101】
本実施形態の物品搬送制御システムによれば、例えば、AGV3が、複数回に分けて同じ仕分け先へ、物品Bを収容したカゴ台車Cを搬送するような場合でも、仕分け先でカゴ台車Cが整列配置されたり、又はカゴ台車C同士が連結された上で整列配置されたりするので、仕分け先でカゴ台車Cが散乱することなく、人手による仕分けの負担を軽減することができる。
【0102】
また、仕分け先付近の構成を変更する必要がないためコスト面での負担増もない。仕分け先が多数有る場合でも、特別な装置を仕分け先の数だけ設ける必要はなく、仕分け先の数に関係なく一定数のAGV3を用いることで仕分けの負担を軽減することができ、その費用対効果は大きい。
【0103】
また、AGV3で搬送される物品Bは、ソーター2によって仕分けるに適さないと判定された重い物等であり、このような物品Bを人手により移し替えたりすると、その作業過程で物品Bを破損したり汚したりすることが考えられるが、仕分け先でカゴ台車Cを整列配置させたり、カゴ台車Cを連結させた上で整列配置させたりするので、物品Bの破損及び汚損などを防止又は軽減できる。
【0104】
また、情報処理部1、ソーター2、AGV3、物品投入部4,物品測定部5、物品情報読取部6、及び分岐装置7をネットワーク接続するだけで、物品搬送制御システムSを構成することができるので、その費用対効果も大きい。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の原出願の分割直前の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
物品を仕分ける仕分け装置による前記物品の仕分け先情報に対応する搬送位置の状況を示す環境情報に基づいて、前記物品を搬送する搬送車を前記搬送位置へ搬送させるための第1の搬送制御信号、又は前記搬送車を前記搬送位置の代替位置へ搬送させるための第2の搬送制御信号を選択するプロセッサと、
前記搬送車に対して前記第1又は第2の搬送制御信号を送信する通信部と、を備える物品搬送制御装置。
[C2]
前記環境情報は、前記物品が収容されたコンテナが前記搬送車により搬送され配置されることにより動的に変化する情報を含む、[C1]の物品搬送制御装置。
[C3]
前記プロセッサは、前記搬送位置にコンテナが無いことを示す第1の環境情報に基づいて前記第1の搬送制御信号を選択し、前記搬送位置にコンテナが有ることを示す第2の環境情報に基づいて前記第2の搬送制御信号を選択する、[C2]の物品搬送制御装置。
[C4]
前記通信部は、前記仕分け先情報に従い前記仕分け装置によって仕分けるに適さないと判定される前記物品を搬送する前記搬送車に対して前記第1又は第2の搬送制御信号を送信する、[C1]乃至[C3]の何れか一つの物品搬送制御装置。
[C5]
前記環境情報、前記搬送位置を示す第1の位置情報、及び前記代替位置を示す第2の位置情報を記憶する記憶部を備える[C1]乃至[C4]の何れか一つの物品搬送制御装置。
[C6]
前記通信部は、前記搬送位置へコンテナの搬送が完了したことを示す搬送完了通知を前記搬送車から受信し、
前記プロセッサは、前記搬送完了通知の受信に基づいて前記第1の環境情報を前記第2の環境情報へ更新する、[C3]の物品搬送制御装置。
[C7]
前記第2の搬送制御信号は、前記搬送位置の配置済みコンテナに前記代替位置へ向けて搬送されるコンテナを連結させるための連結制御信号を含む、[C3]の物品搬送制御装置。
[C8]
[C1]乃至[C7]の何れか一つの前記物品搬送制御装置と、
前記仕分け装置と、
前記物品を測定して得られる物品測定情報に基づいて、前記仕分け装置によって仕分けるに適さないと判定される前記物品を搬送する前記搬送車と、を備える物品搬送制御システム。
[C9]
前記搬送車は、前記第1の搬送制御信号に基づき前記物品を収容したコンテナを前記搬送位置へ搬送し、搬送完了通知を送信し、
前記物品搬送制御装置は、前記搬送完了通知を受信し、前記搬送位置にコンテナが無いことを示す第1の環境情報を前記搬送位置にコンテナが有ることを示す第2の環境情報へ更新する、[C8]の物品搬送制御システム。
[C10]
物品を仕分ける仕分け装置による前記物品の仕分け先情報に対応する搬送位置へ前記物品を収容した第1のコンテナを搬送する搬送車を搬送させるための搬送制御信号を送信する物品搬送制御装置と、
前記搬送制御信号に基づき、前記物品を収容した第1のコンテナを前記搬送位置へ搬送する搬送車と、を備え、
前記搬送車は、前記搬送位置において配置済みの第2のコンテナを検知した場合、前記搬送位置の代替位置へ前記第1のコンテナを配置する物品搬送制御システム。
[C11]
前記搬送車は、前記第2のコンテナに前記第1のコンテナを連結させる、[C10]の物品搬送制御システム。
[C12]
物品を仕分ける仕分け装置による前記物品の仕分け先情報に対応する搬送位置の状況を示す環境情報に基づいて、前記物品を搬送する搬送車を前記搬送位置へ搬送させるための第1の搬送制御信号、又は前記搬送車を前記搬送位置の代替位置へ搬送させるための第2の搬送制御信号を選択する手順と、
前記搬送車に対して前記第1又は第2の搬送制御信号を送信する手順と、をコンピュータに実行させる物品管理プログラム。
【符号の説明】
【0106】
S…物品搬送制御システム
1…情報処理部
2…ソーター
4…物品投入部
5…物品測定部
6…物品情報読取部
7…分岐装置
9a、9b、9c、9d、9e…搬送ベルト
11…ソーターコントローラ
12…AGVコントローラ
13…ストレージ
14…補助記憶デバイス
25…シューター
31…プロセッサ
34…補助記憶デバイス
35…通信インタフェース
36…駆動部
111…プロセッサ
114…補助記憶デバイス
115…通信インタフェース
116…入出力部
121…プロセッサ
124…補助記憶デバイス
125…通信インタフェース
126…入出力部