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特許7326570移動通信システムでのアップリンク経路決定方法、分散ユニットデバイス、及びユーザプレーン機能接続方法
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  • 特許-移動通信システムでのアップリンク経路決定方法、分散ユニットデバイス、及びユーザプレーン機能接続方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】移動通信システムでのアップリンク経路決定方法、分散ユニットデバイス、及びユーザプレーン機能接続方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20230807BHJP
   H04W 40/02 20090101ALI20230807BHJP
   H04W 88/14 20090101ALI20230807BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20230807BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W40/02
H04W88/14
H04W88/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022173517
(22)【出願日】2022-10-28
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】111112240
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 志明
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-120845(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111327529(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムのアップリンク経路決定方法であり、移動通信システムは、移動通信システムでのユーザ装置(UE)のアップリンクパスを決定する、移動通信システムのアップリンク経路決定方法であって、
前記UEが必要とするユーザプレーン機能(UPF)の属性を取得するステップと、
人工知能(AI)モデルに従って、前記UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定するステップとを備えている、移動通信システムのアップリンク経路決定方法。
【請求項2】
移動通信システムの分散ユニット(DU)デバイスに対するユーザプレーン機能(UPF)接続方法であって、
前記移動通信システムの中央ユニット(CU)から取得された情報を受信するステップであり、前記情報は、アップリンク経路決定方法に関連し、前記アップリンク経路決定方法は、前記移動通信システムでのユーザ装置(UE)のアップリンクパスを決定するために使用される、受信するステップを備え、
前記アップリンク経路決定方法は、前記UEが必要とするUPFの属性を取得することと、人工知能(AI)モデルに従って、前記UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定することとを含み、
前記情報に応じて、第1ユーザプレーンユニット又は第2ユーザプレーンユニットとの接続を確立するステップを備えている、ユーザプレーン機能(UPF)接続方法。
【請求項3】
移動通信システムの分散ユニット(DU)デバイスであって、
プログラムコードを実行する処理ユニットと、
前記処理ユニットに結合され、前記プログラムコードを記憶する記憶ユニットであり、前記プログラムコードは前記処理ユニットにユーザプレーン機能(UPF)接続方法を実行するように指示する記憶ユニットとを備え、
前記ユーザプレーン機能(UPF)接続方法は、
前記移動通信システムの中央ユニット(CU)から取得された情報を受信するステップであり、前記情報は、アップリンク経路決定方法に関連し、前記アップリンク経路決定方法は、前記移動通信システムでのユーザ装置(UE)のアップリンクパスを決定するために使用される、受信するステップを備え、
前記アップリンク経路決定方法は、前記UEが必要とするUPFの属性を取得することと、人工知能(AI)モデルに従って、前記UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定することとを含み、
前記ユーザプレーン機能(UPF)接続方法は、
前記情報に応じて、第1ユーザプレーンユニット又は第2ユーザプレーンユニットとの接続を確立するステップを備えている、分散ユニット(DU)デバイス。
【請求項4】
さらにアプリケーションサーバを備え、
前記UEは、前記UPFが前記ローカルの場所に位置することに応答して、前記UPFを介して前記アプリケーションサーバにアクセスする、請求項3記載の分散ユニット(DU)デバイス。
【請求項5】
前記アップリンク経路決定方法はさらに、
前記UPFが前記ローカルの場所に位置することに応答して、前記移動通信システムの前記CUでの前記第1ユーザプレーンユニットを選択して、前記UEのアップリンク通信を処理することと、
前記UPFが前記遠隔の場所に位置することに応答して、前記移動通信システムの前記CUでの前記第2ユーザプレーンユニットを選択して、前記UEのアップリンク通信を処理することとを含む、請求項3記載の分散ユニット(DU)デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムでのアップリンク経路決定方法、分散ユニットデバイス、及びユーザプレーン機能接続方法に関する。さらに詳細には、移動通信システムでのセルサイト計算に適用可能なアップリンク経路決定方法、分散ユニットデバイス、及びユーザプレーン機能接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信システム(5G)は、移動通信技術の新世代であり、第4世代移動通信技術(4G)の後継として、伝送速度の向上、遅延の低減、大容量化、低コスト化、省エネルギー化を実現することを目指している。従って、国際電気通信連合(ITU)は、5Gの3つの主要な応用分野、即ち、拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼性低遅延通信(uRLLC)、及び大規模マシンタイプ通信(mMTC)を定義した。
【0003】
5Gネットワークにおけるミリ秒レベルの遅延の要件を満たすために、制御/ユーザプレーン分離(CUPS)のスキームが5Gコアネットワークに導入される。CUPSは、ユーザプレーン機能(UPF)を、移動通信システムのコアネットワーク又はエッジサイトに柔軟に展開することを可能にする。またCUPSは、モバイルエッジコンピューティング(MEC)を実現するために、計算及び記憶のようなネットワークサービスをユーザエンドにさらに近いエッジサイトに沈めることを可能にする。
【0004】
ユーザ装置から送信された無線信号は、無線ユニット(RU)によって受信され、次に分散ユニット(DU)及び中央ユニット(CU)を通してコアネットワークに送信され、外部データネットワーク(DN)にアクセスするが、これは遅延を蓄積するプロセスである。さらに、このアーキテクチャーでは、DUサイトとCUサイトとの間の距離は、最大100km離れている可能性があり、距離によって生じる遅延は、リアルタイムな用途の要件を満たすことができない。この状況において、たとえ5Gネットワークがユーザの場所に近づくためにCUサイトでモバイルエッジコンピューティングを提供するとしても、ネットワーク伝送は依然としてDUサイトとCUサイトの間の距離によって制限され、従って不満足な遅延を引き起こす。
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明は、計算機能をさらにセルサイトに沈め、遅延を減らす、移動通信システムでのアップリンク経路決定方法、分散ユニットデバイス、及びユーザプレーン機能接続方法を提供するものである。
【0006】
本発明の実施形態では、移動通信システムのアップリンク経路決定方法を開示し、移動通信システムは、移動通信システムでのユーザ装置(UE)のアップリンクパスを決定する。移動通信システムのアップリンク経路決定方法は、UEが必要とするユーザプレーン機能(UPF)の属性を取得するステップと、人工知能モデルに従って、UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定するステップとを備えている。
【0007】
本発明の実施形態では、移動通信システムの分散ユニット(DU)デバイスに対するユーザプレーン機能(UPF)接続方法を開示し、移動通信システムの中央ユニット(CU)から取得された情報を受信するステップであり、情報は、アップリンク経路決定方法に関連し、アップリンク経路決定方法は、移動通信システムでのユーザ装置(UE)のアップリンクパスを決定するために使用される、受信するステップを備え;アップリンク経路決定方法は、UEが必要とするUPFの属性を取得することと、人工知能(AI)モデルに従って、UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定することとを含み;情報に応じて、第1ユーザプレーンユニット又は第2ユーザプレーンユニットとの接続を確立するステップを備えている。
【0008】
本発明の実施形態では、移動通信システムの分散ユニット(DU)デバイスを開示し、プログラムコードを実行する処理ユニットと;処理ユニットに結合され、プログラムコードを記憶する記憶ユニットであり、プログラムコードは処理ユニットにユーザプレーン機能(UPF)接続方法を実行するように指示する記憶ユニットとを備え;ユーザプレーン機能(UPF)接続方法は、移動通信システムの中央ユニット(CU)から取得された情報を受信するステップであり、情報は、アップリンク経路決定方法に関連し、アップリンク経路決定方法は、移動通信システムでのユーザ装置(UE)のアップリンクパスを決定するために使用される、受信するステップを備え;アップリンク経路決定方法は、UEが必要とするUPFの属性を取得することと、人工知能(AI)モデルに従って、UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定することとを含み;ユーザプレーン機能(UPF)接続方法は、情報に応じて、第1ユーザプレーンユニット又は第2ユーザプレーンユニットとの接続を確立するステップを備えている。
【0009】
本発明のこれら及び他の目的は、種々の図及び図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、通常の技術を有する当業者に疑いなく明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第5世代移動通信システムの概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る無線アクセスネットワークの概略図である。
図3】本発明の実施形態に係るアップリンクパスを決定するプロセスの概略図である。
図4】本発明の実施形態に係るユーザプレーンユニットを選択するプロセスの概略図である。
図5】本発明の実施形態に係る通信デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
移動通信システム1の概略図である、図1を参照するものとする。移動通信システム1は、5G仕様に準拠し、概括的に、複数のユーザ装置(UE)10と、無線アクセスネットワーク(RAN)12と、コアネットワーク14と、外部データネットワーク16を備えている。コアネットワーク14は、アクセス及びモビリティ管理機能(AMF)142と、制御プレーンに属するセッション管理機能(SMF)144と、ユーザプレーンに属するユーザプレーン機能(UPF)とから構成される。簡略化のために、図1はUE10と必要なコアネットワーク機能のみを代表として示し、制御プレーンに属するリンクは破線で、ユーザプレーンに属するリンクは実線で示している。一般に、UE10が外部データネットワーク16内に位置するアプリケーションサーバ160にアクセスする必要がある場合に、UE10は、まず、AMF142を介してコアネットワーク14に登録する必要がある。SMF144によって選択されたUPF140は、一層のアクセスのためにアプリケーションサーバ160に接続するために、RAN12を介してUE10のユーザデータを転送する。このプロセスは、膨大な量の遅延を蓄積し、これは、工業自動化、自律自動車などの極めて低い遅延を必要とする用途を満足しない可能性がある。従って、5G関連産業は、制御及びユーザプレーン分離(CUPS)の前提の下で、ユーザの場所に近接するように、モバイルエッジコンピューティングをRAN12に導入した。しかしながら、5Gアーキテクチャーでは、RAN12は、RU、DU及びCUなどを含み、CUで定義されるモバイルエッジコンピューティングは、依然として、DUサイトとCUサイトとの間の距離が負担になる可能性があり、その結果、追加の又は望ましくない遅延が生じる。
【0012】
さらに遅延を減らすために、本発明はさらに、ネットワーク計算機能をセルサイト、即ち、DUに沈め(sinks,設置し)、それに応じて、対応する伝送パス選択メカニズムを提供する。本発明の一実施形態によるセルサイト計算を伴うRAN22の概略図である図2を参照するものとする。RAN22は、図1に図示するRAN12と置き換えられてよい。その結果、複数のUE10(そのうちの1つのみを代表として図示する)は、リモートUPF25を介して遠隔の場所にあるアプリケーションサーバ27にアクセスでき、又はローカルUPF24を介してローカルの場所にあるアプリケーションサーバ26にアクセスできる。詳細には、RAN22は、RU220と、DU(分散ユニット)222と、CU(中央ユニット)224とを含む。無線リソース制御(RRC)、パケットデータ収束プロトコル(PDCP)などの、制御プレーンに関連するプロトコルを処理する制御プレーン(即ち、中央ユニット制御プレーン、CU-CP)ユニット2242と、サービスデータ適応プロトコル(SDAP)、PDCPなどの、ユーザプレーンに関連するプロトコルを処理するユーザプレーン(即ち、中央ユニットユーザプレーン、CU-UP)ユニット2240とに、CU224は分割することができる。なお、セルサイトに配置されたローカルアプリケーションサーバ26にアクセスして遅延を減らす目的で、DU222はさらに、CU224のユーザプレーンユニット2240と同様のユーザプレーン(CU-CP)ユニット2220を含む。その結果、ユーザプレーンユニット2220は、ユーザデータがCU224を介して送信されなければならないという従来の通信パスを回避し、ローカルに配置されたDU222のローカルUPF24を介してユーザデータをローカルアプリケーションサーバ26に直接転送するように選択してよい。本発明の実施形態における用語「ローカル」は、サービスを提供するセルサイトを指し、ローカルアプリケーションサーバ26とローカルUPF24とは、DU222のようなセルサイトに設定されたサービスを指すことに留意するものとする。一方、「リモート(遠隔)」は、サービスを提供するセルサイトを越えるものであり、リモートアプリケーションサーバ27とリモートUPF25とは、CU224を介してアクセスされる必要があるデータネットワーク内に位置するサービスを指す。これに加えて、RAN22はさらに、RAN22の内側又は外側に配置可能な人工知能(AI)モデル28に接続される。制御プレーンユニット2242は、UE10の通信パスを決定するためにAIモデル28を使用してよい。従って、UE10のユーザデータは、アプリケーションサーバ27にアクセスするために、RU220、DU222、ユーザプレーンユニット2240、及びリモートUPF25を介して転送されてよく、又は、制御プレーンユニット2242によって決定された通信パスに応じてセルサイトに位置するアプリケーションサーバ26にアクセスするために、ローカルでのRU220、DU222、DU222のユーザプレーンユニット2220、及びUPF24を直接介して転送されてよい。通信パスを決定する方法は、図3に示すアップリンク経路決定処理3にまとめることができる。アップリンク経路決定プロセス3は、以下のステップを含む。
【0013】
ステップ300:開始。
【0014】
ステップ302:AIモデル28を導入する。
【0015】
ステップ304:制御プレーンユニット2242は、UE10が必要とするUPF及び関連属性をコアネットワーク14から取得し、UE10が必要とするUPFが、AIモデル28に従ってローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定する。
【0016】
ステップ306:UE10が必要とするUPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかに応じて、制御プレーンユニット2242は、UE10のアップリンク通信を処理するために、DU222のユーザプレーンユニット2220又はCU224のユーザプレーンユニット2240を選択する。
【0017】
ステップ308:終了。
【0018】
アップリンク経路決定プロセス3によれば、本発明の実施形態は、UE10が必要とするUPFの種類を決定する助けとなるように、ステップ302においてAIモデル28を導入する。ステップ304では、制御プレーンユニット2242は、UE10が必要とするUPFに関連する属性をコアネットワーク14から取得し、AIモデル28に従ってUPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定する。ステップ306では、UE10が必要とするUPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかに応じて、制御プレーンユニット2242は、UE10のアップリンク通信を処理するために、DU222のユーザプレーンユニット2220又はCU224のユーザプレーンユニット2240を選択する。従って、極度に低い遅延を必要とする用途に対しては、アプリケーションサーバはローカルでのセルサイトに設定してよい。ユーザデータは、CU224を介さずにDU222のユーザプレーンユニット2220を介してローカルアプリケーションサーバに直接送信してよい。その結果、データ送信の経路を大幅に短縮し、その遅延を短縮することができる。他方、極度に低い遅延を必要としない用途に対しては、リモートでのアプリケーションサーバがCU224を介してアクセスされる従来の通信パスが、依然として採用されてよい。
【0019】
詳細には、RAN22は、ステップ302においてAIモデル28を導入する。ここで、AIモデル28は、次のステップのための基礎として直接適用可能である用意されたAIモデル、又は追加のトレーニングによって使用可能である用意されたAIモデルであってよい。さらに、準備されたAIモデルを直接導入することに加えて、AIモデル28は、制御プレーンユニット2242に導入された後にトレーニングされてよい。例えば、RAN22は、以前及び現在取得された1つ以上のUPF属性をトレーニング機能として使用し、AIモデル28を継続的にトレーニングしてよい。これにより、後の決定のためにUPF属性とローカル又はリモートの関連付け(association)との間の可能な関係を取得する。本発明の一実施形態では、AIモデル28は、構造的因果モデル(SCM)であってよい。因果発見アルゴリズムにより、AIモデル28は、まず、1つ以上の関連するUPF属性と、ローカル又はリモートに関する関連付けとの間の関係から考えられる因果仮説を収集する。次に、AIモデル28は、可能な因果関係仮説を因果関係図に設定し、構造的因果関係モデルによって因果関係図の仮説を検証してよい。同時に、構造的因果関係モデルのトレーニングを完了することができ、トレーニングされた構造的因果関係モデルを用いて、UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定してよい。実施形態では、UPFに関連する属性は、以下の属性の1つ以上を含んでよいが、これらに限定されない。即ち、sNssaiUpfInfoList, smfServingArea, interfaceUpfInfoList, iwkEpsInd, pduSessionTypes, atsssCapability, uelpAddrInd, taiList, wAgfInfo, tngfInfo, twifInfo, priority, redundantGtpu, ipups, dataForwardingなどである。ここで、属性名は、3GPP(登録商標) TS 29.510のNRF(ネットワークリポジトリ機能)のUPF関連属性において定義される。従って、属性の定義は繰り返し述べない。当業者は、その意味を理解するものとする。
【0020】
さらに、制御プレーンユニット2242がステップ304でUE10が必要とするUPFの関連属性を取得するプロセスは、PDU(プロトコルデータユニット)セッション確立のプロセスであってよい。この方法は、当業者には周知であり、以下のように簡略に説明する。まず、UE10は、コアネットワーク14のAMF142に登録する。AMF142は、SMF144を選択し、SMF144は、UE10及びその要件に応じて適切なUPFを選択し、AMF142に返す。最後に、AMF142は、UE10が必要とするUPFの関連属性を制御プレーンユニット2242に返す。
【0021】
制御プレーンユニット2242が、UE10が必要とするUPFの関連属性を取得した後、UPFが、前述の構造的因果モデルに従って、ローカルの場所又は遠隔の場所に位置すると決定されてよい。構造的因果モデルのアルゴリズムに基づくと、構造的因果モデルは決定を下さない可能性があることに留意するものとする。この場合に、本発明の実施形態は、デフォルトの方法に従って、UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定してよい。一実施形態では、デフォルトの方法は、ローカルUPFが公開される間に、ローカルUPFをコアネットワーク14と制御プレーンユニット2242との両方に同時に登録することによって、制御プレーンユニット2242がローカルUPFに関する登録リストを保持することを可能にする。UPFがローカルの場所又は遠隔の場所に位置すると、構造的因果モデルが決定しない場合でも、制御プレーンユニット2242は、登録リストに基づいて、UPFがローカルの場所又は遠隔の場所に位置すると決定してよい。
【0022】
詳細には、ステップ306では、UE10が必要とするUPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかに応じて、DU222のユーザプレーンユニット2220又はCU224のユーザプレーンユニット2240を制御プレーンユニット2242が選択して、UE10のアップリンク通信を処理する処理である。この処理を、図4に示すプロセス4にまとめることができる。プロセス4は、以下のステップを含む。
【0023】
ステップ400:開始。
【0024】
ステップ402:UE10が必要とするUPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを、構造的因果モデルは決定するか? YESの場合はステップ410に進み、NOの場合はステップ404に進む。
【0025】
ステップ404:UPFが制御プレーンユニット2242の登録リストに登録されているか否かを決定する。YESの場合はステップ406に進み、NOの場合はステップ408に進む。
【0026】
ステップ406:UPFがローカルの場所に位置することを決定する。
【0027】
ステップ408:UPFが遠隔の場所に位置することを決定する。
【0028】
ステップ410:UPFが遠隔の場所に位置する場合に、ユーザプレーンユニット2240を選択して、アップリンク通信を処理し、UPFがローカルの場所に位置する場合に、ユーザプレーンユニット2220を選択して、アップリンク通信を処理する。
【0029】
ステップ412:終了。
【0030】
要約すると、構造的因果モデル(又はAIモデル28)は、決定を行わない可能性があるため、プロセス4に従って、制御プレーンユニット2242は、まず、ステップ402では構造的因果モデルに従って、UE10が必要とするUPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するか決定されてよいか否かをチェックする。構造的因果モデルで結果が決定できない場合に、ステップ404は、UPFが制御プレーンユニット2242の登録リストに登録されているか否かに応じて、UE10が必要とするUPFがローカルの場所又は遠隔の場所に位置することを決定する(ステップ406及び408)ように進む。そうでなければ、構造的因果モデルが結果を正しく決定する場合に、その結果が適用される。従って、ステップ410では、UE10が必要とするUPFがローカルの場所にある場合には、制御プレーンユニット2242は、UE10のアップリンク通信を処理するデータ伝送パスの一部として、DU222のユーザプレーンユニット2220を選択する。UE10が必要とするUPFが遠隔の場所にある場合には、制御プレーンユニット2242は、UE10のアップリンク通信を処理するデータ伝送パスの一部として、CU224のユーザプレーンユニット2240を選択する。さらに、一実施形態では、制御プレーンユニット2242は、接続を確立するための基礎として、UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかに応じて、DU222の経路テーブルをさらに修正してよい。
【0031】
アップリンク経路決定プロセス3に従ってUE10のアップリンク経路パスを決定した後、コアネットワーク14は、ローカルの場所又は遠隔の場所に配置されたアプリケーションサーバにアクセスするために、UE10との接続を確立してよい。さらに具体的には、制御プレーンユニット2242は、まず、DU222とユーザプレーンユニット2220又はユーザプレーンユニット2240との間で、F1-APシグナリングを介して接続(F1-U)を確立し、次いで、DU222は、それに応じて送信チャンネルを確立する。送信チャンネルは、UE10が必要とするUPFに接続され、DU222は、F1-APシグナリングを介して送信チャンネルの情報を制御プレーンユニット2242に送信する。制御プレーンユニット2242は、E1-APシグナリングを介して、送信チャンネルの情報をユーザプレーンユニット2220又はユーザプレーンユニット2240に送信する。最後に、制御プレーンユニット2242は、NG-APシグナリングを介してコアネットワーク14への送信チャンネルの情報を共有する。従って、UE10は、DU222を介してユーザプレーンユニット2220又はユーザプレーンユニット2240に接続され、次に、ローカルの場所又は遠隔の場所に位置するUPFに対応して接続され、ローカル又は遠隔アプリケーションサーバにアクセスすることができる。
【0032】
実施の形態については、本発明の一実施の形態の通信デバイス5の概略図である図5を参照するものとする。通信デバイス5は、従来の電気通信専用の機器、又は、処理ユニット50と記憶ユニット52とを有する一般的な市販の既成品(commercial off-the-shelf, COTS)であってよい。処理ユニット50は、マイクロプロセッサ又は特定用途向け集積回路(ASIC)であってよい。記憶ユニット52は、プログラムコード520を記憶するための任意の種類のデータ記憶デバイスであってよく、プログラムコード520は、処理ユニット50によって読み出され、実行される。例えば、記憶ユニット52は、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク、光データ記憶デバイス、不揮発性記憶ユニットなどであり、また、これらに限定されない。
【0033】
通信デバイス5は、本発明の実施形態を実施するために必要とされる必要な構成要素を表すために使用され、当業者は、それに応じて様々な修正及び調整を行ってよいが、通信デバイス5はこれに限定されない。例えば、CU224を実施するために通信デバイス5が適用される場合に、アップリンク経路決定プロセス3は、プログラムコード520に準拠し(complied into)、記憶ユニット52に記憶され、処理ユニット50によって実行されてよい。詳細には、処理ユニット50は、ステップ302を実行し、トレーニングされたAIモデル28を記憶ユニット52に記憶する。処理ユニット50は、DU222からのUE接続要求を受け取った後、ステップ304、ステップ306を実行し、経路情報をDU222に返し、最後に、DU222から取得された送信チャンネルの情報をコアネットワーク14に送信する。同様に、DU222を実施するために通信デバイス5が適用される場合に、DU222は、UE接続要求をCU224に送信し、アップリンク経路決定プロセス3に従ってCU224によって決定された経路情報を受信する。処理ユニット50は、経路情報に応じてアップリンク通信に必要な送信チャンネルを確立し、CU224の制御プレーンユニット2242に送信チャンネルの情報を伝送する。
【0034】
なお、前述の実施形態の説明は、ユーザデータのアップリンク通信を処理するものであるが、ユーザデータのダウンリンク通信もこれと同様である。ダウンリンク通信のための接続を確立する方法は、当業者によって容易に導き出されてよく、繰り返し述べない。また、上記実施形態を5Gで説明したが、本発明の方法及びデバイスはこれに限定されない。また、本発明は、距離に起因する大幅な(huge)遅延の問題を解決するために、5Gを越えるもの、また、次世代の第6世代の移動通信システム(6G)にも適用されてよい。
【0035】
さらに、本発明の実施形態は、構造的因果モデルを採用して、AIモデル28を実施し、このAIモデルは、UPFがローカルの場所に位置するか、又は遠隔の場所に位置するかを決定する。同時に、構造的因果モデルの特性により、構造的因果モデルが決定しない場合にUPFを決定するのに役立つデフォルトの方法が構成される。しかし、これに限定されない。当業者は、異なる要件に応じて異なるAIモデルを採用してよく、採用されたAIモデルに従って適切なアルゴリズム及びトレーニング方法を採用してよい。
【0036】
要約すると、本発明は、セルサイト計算を提供し、ユーザデータの伝送距離を短縮し、エッジサイト計算よりも低い遅延を提供する。さらに、ユーザデータは、DUを通して転送されることなく、セルサイト内に保持されてよく、それによって、データのプライバシーを大幅に向上させる。本発明のアップリンク経路決定方法では、UEは、要求に応じて遠隔又はローカルのアプリケーションサーバにアクセスしてよい。従って、5G通信システムの柔軟性が向上する。
【0037】
本発明の教示を保持しつつ、デバイス及び方法の多くの修正及び変更を行ってよいことを、当業者は容易に理解することである。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるものとする。
【要約】      (修正有)
【課題】移動通信システムでのセルサイト計算に適用可能なアップリンク経路決定方法、分散ユニットデバイス及びユーザプレーン機能接続方法を提供する。
【解決手段】リモートアプリケーションサーバ及びリモートUPFと、人工知能(AI)モデル28とに接続する無線アクセスネットワークでのユーザ装置(UE)のアップリンクパスを決定するアップリンク経路決定方法であって、AIモデルを導入するステップ302と、UEが必要とするユーザプレーン機能(UPF)の属性を取得するステップ304と、人工知能モデルに従って、UPFがローカルの場所に位置するか又は遠隔の場所に位置するかを決定するステップ304と、を備えている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5