(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】内視鏡カテーテル装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/94 20060101AFI20230807BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20230807BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20230807BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B17/34
A61B18/14
A61M25/00 552
(21)【出願番号】P 2022517175
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 US2020053567
(87)【国際公開番号】W WO2021086534
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-03-16
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スコット、セレナ
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン、カトリーナ
(72)【発明者】
【氏名】エリス-レッヒ、デイビッド シュロモ ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】キャラハン、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】タッソーニ、アンソニー フランク ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】シュトルベック、ジーン トーマス
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-523909(JP,A)
【文献】特表2001-501846(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0001057(US,A1)
【文献】特開2000-139944(JP,A)
【文献】特表2015-533622(JP,A)
【文献】特開2014-97390(JP,A)
【文献】特開平10-192409(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181962(WO,A1)
【文献】特開2015-181787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/94
A61B 17/34
A61B 18/14
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
カテーテルを備え、該カテーテルは、それを貫通するルーメンを含み、前記カテーテルは内視鏡シャフトを通って生体内の目標組織まで延びる寸法と形状に設定され、前記ルーメンは、それを通して穿刺装置を受け入れるための寸法と形状に設定され、前記カテーテルは、第2のカテーテル部分に対して遠位にある第1のカテーテル部分を含み、前記第1のカテーテル部分と前記第2のカテーテル部分とは異なる材料から形成され、前記第1のカテーテル部分は、柔軟な湾曲した遠位端を有
し、
前記第1のカテーテル部分の近位端の外面と前記第2のカテーテル部分の遠位端の外面の周りに固定された支持管を備え、前記支持管の遠位端の遠位に延びる前記カテーテルの一部の外径は、前記支持管の外径と概ね同一である、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記第1のカテーテル部分が編組ポリマーで形成され、前記第2のカテーテル部分がニチノールで形成される、装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の装置であって、
前記支持管を囲む電気絶縁層をさらに備える、装置。
【請求項4】
請求項
1~3
のいずれか一項に記載の装置であって、前記第1のカテーテル部分と前記第2のカテーテル部分とが突合せ接合部で突き合わされ、前記支持管に接合されている、装置。
【請求項5】
請求項
1~
4のいずれか一項に記載の装置であって、
柔軟な前記遠位端若しくは前記支持管又は柔軟な前記遠位端及び前記支持管上にエコー発生材料をさらに備える、装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の装置であって、前記エコー発生材料は、音響的に透過性のある材料に懸濁された粒子を含んでなるコーティングである、装置。
【請求項7】
請求項
5に記載の装置であって、前記エコー発生材料は、前記遠位端に被さるコイル状又は編組されたワイヤ又はポリマーである、装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の装置であって、
前記カテーテルの前記ルーメンを通るとともに湾曲した前記遠位端から遠位に延出する寸法と形状に設定された穿刺装置をさらに備え、該穿刺装置は、当該穿刺装置が目標組織にアクセスホールを穿刺したときに、まっすぐにされた前記遠位端が当該穿刺装置に追従して前記アクセスホールに入るように、前記穿刺装置が湾曲した前記遠位端を通って延びているときに当該湾曲した遠位端をまっすぐにする、装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の装置であって、
前記カテーテル及び
前記支持管の外部に沿って長手方向に摺動可能にした電気外科シースをさらに備え、前記電気外科シースは、当該電気外科シースが湾曲した遠位端に被さって摺動するとともに電流が印加されたときに、アクセスホールを電気外科的に拡開するための電気外科チップを有する、装置。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の装置であって、前記第1のカテーテル部分の近位端が、当該第1のカテーテル部分の遠位端の外径に対して低減された外径を有する、装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の装置であって、前記第2のカテーテル部分が、前記第1のカテーテル部分の前記近位端の低減された外径と概ね等しい外径を有す
る、装置。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の装置であって、
前記第1のカテーテル部分の近位端の
外径と前記第2のカテーテル部分の遠位端の
外径とが異なる寸法である場合に、
前記第1のカテーテル部分の近位端の外面と前記第2のカテーテル部分の遠位端の外面との一方を取り囲むポリマーをさらに備える、装置。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか一項に記載の装置であって、前記第1のカテーテル部分の前記近位端の内面と前記第2のカテーテル部分の前記遠位端の内面のうちの一方の縁が面取りされている、装置。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか一項に記載の装置であって、
前記支持管は、湾曲した前記遠位端のすぐ近位にある前記第1のカテーテル部分の前記外面を取り囲む金属ハイポチューブ
である、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡カテーテル装置、特に、超音波内視鏡アクセス処置に使用するためのマイクロカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波内視鏡(EUS:Endoscopic ultrasound)アクセス処置は、胆管、膵管、膵液貯留部などの患者の解剖学的構造にアクセスし、例えばステントを挿入して閉塞を解消するために、しばしば行われる。このような処置には、湾曲した(J型チップ)カテーテルがよく用いられる。該カテーテルは、体内の目標部位にガイドワイヤを送達するために、当該カテーテルの湾曲した遠位端が例えば導管の管腔を下って所望の方向に向くように回転させることが可能である。しかしながら、既存のカテーテルは、特定の用途には適さないという限界を示す場合がある。例えば、一部のカテーテルは、効果的な穿刺のためのコラム強度が不十分なために、長さに圧縮されやすい場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、カテーテルを含み得る装置に関する。カテーテルは、それを通って延びるルーメンを含む。カテーテルは、内視鏡シャフトを通って生体内の目標組織まで延びるように寸法と形状が設定される。ルーメンは、それを通して穿刺装置を受け入れるための寸法と形状に設定される。カテーテルは第1のカテーテル部分を含み、該第1のカテーテル部分は第2のカテーテル部分の遠位にある。第1のカテーテル部分と第2のカテーテル部分とは、異なる材料から形成される。第1のカテーテル部分は、柔軟な湾曲した遠位端を有する。
【0004】
一実施形態において、装置はまた、支持管を含み得る。該チューブは、第1のカテーテル部分の近位端の外面と第2のカテーテル部分の遠位端の外面との周りに固定される。
一実施形態において、第1のカテーテル部分は編組ポリマーで形成されるとともに、第2のカテーテル部分はニチノールで形成される。
【0005】
一実施形態において、支持管は、柔軟なレーザーカット鋼で形成される。
一実施形態において、装置は、支持管を取り囲む電気絶縁の層をさらに含む。
一実施形態において、第1のカテーテル部分と第2のカテーテル部分とは、突合せ接合部で突き合わされ、支持管に接合される。
【0006】
一実施形態において、本装置は、可撓性遠位端及び/又は支持管上にエコー発生材料をさらに含む。
一実施形態において、エコー発生材料は、音響的に透過性のある材料に懸濁された粒子を含んでなるコーティングである。
【0007】
一実施形態において、エコー発生材料は、遠位端に被さるコイル状又は編組されたワイヤ又はポリマーである。
一実施形態において、本装置は、カテーテルのルーメンを通るとともに湾曲した遠位端から遠位に延出する寸法と形状に設定された穿刺装置をさらに含み、該穿刺装置は、当該穿刺装置が目標組織にアクセスホールを穿刺したときに、まっすぐにされた遠位端が当該穿刺装置に追従してアクセスホールに入るように、穿刺装置が湾曲した遠位端を通って延びているときに当該湾曲した遠位端をまっすぐにする。
【0008】
一実施形態において、本装置は、カテーテル及び支持管の外部に沿って長手方向に摺動可能にした電気外科シースをさらに含み、電気外科シースは、当該電気外科シースが湾曲した遠位端に被さって摺動するとともに電流が印加されたときに、アクセスホールを電気外科的に拡開するための電気外科チップを有する。
【0009】
一実施形態において、第1のカテーテル部分の近位端は、第1のカテーテル部分の遠位端の外径に対して低減された外径を有する。
一実施形態において、第2のカテーテル部分は、第1のカテーテル部分の近位端の低減された外径に概ね等しい外径を有する。
【0010】
一実施形態において、支持管は、第1のカテーテル部分の遠位端の外径に概ね等しい外径を有する。
一実施形態において、本装置は、第1のカテーテル部分の近位端の外面と第2のカテーテル部分の遠位端の外面とが整合しない場合、両外面の一方を取り囲むポリマーをさらに含む。
【0011】
一実施形態において、第1のカテーテル部分の近位端の内面と第2のカテーテル部分の遠位端の内面の一方の縁が面取りされている。
一実施形態において、本装置は、湾曲した遠位端のすぐ近位にある第1のカテーテル部分の外面を取り囲む金属ハイポチューブをさらに含む。
【0012】
一実施形態において、本装置は、ポリマーをさらに有し得、該ポリマーは第1のカテーテル部分の近位端の外面を取り囲む第1の直径を有するとともに、該ポリマーは第2のカテーテル部分の遠位端の外面を取り囲む第2の直径を有する。第2の直径は第1の直径よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】EUSガイド下の処置で使用する内視鏡アクセスアセンブリを示す。
【
図2】
図1の内視鏡アクセスアセンブリのカテーテルの遠位端を示す。
【
図4】J型チップの外面にエコー発生材料を設けたカテーテルを示す。
【
図5】外径が変化するポリマー部分を設けたカテーテルを示す。
【
図6】ハイポチューブを延長したカテーテルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の説明及び添付図面を参照してさらに理解することが可能である。図面では、類似の要素は、同一参照番号で参照する。例示的な実施形態は、内視鏡カテーテル装置、特に、EUS誘導処置、例えば、膵胆管アクセス処置中に使用するためのマイクロカテーテルについて記載されている。該マイクロカテーテルは、当該カテーテルのルーメンから延出する鋭い穿刺チップ(針器具)を用いて使用するときに滑らかな穿刺を行うための高いコラム強度を有する。いくつかの実施形態は、電気外科的拡張のための電気絶縁性と耐熱性とを有する。記載された各実施形態は、処置中の超音波誘導下での装置の視界を改善するために追加されたエコー発生材料を有し得る。
【0015】
図1は、例示的な実施形態による、EUS誘導処置中に使用するための内視鏡アクセスアセンブリ100を示す。内視鏡アクセスアセンブリ100は、
図3に関して以下でより詳細に説明されるマイクロカテーテル200を有する。マイクロカテーテル200は、可撓性のチップ202を有する。例示的な実施形態において、チップ202は、
図2に示されるように、(応力がかかっていない状態で)湾曲した形状(例えば、J型チップ)をとるように構成され得る。曲線の形状は、円弧、J字型、その他の形状であってもよい。例示的な実施形態において、曲線形状はJ字型である。
【0016】
マイクロカテーテル200はさらに、以下でより詳細に説明されるように、外側支持管210を有する。
図1では、剛性のある針器具状のチップ(針器具)102を備えた穿刺要素が、ルーメンを通って延びるとともに、マイクロカテーテル200のチップ202から延出する。針器具102は、応力がかかっていない状態では概ね真っ直ぐである結果、針器具102がマイクロカテーテル200のルーメンを通ってチップ202の遠位端まで前進した際、チップ202は真っ直ぐになる。この真っ直ぐな構成において、すなわち、針器具102がJ型チップ202の遠位端から延出した状態で(しかし、針器具102及びチップ202を電気外科シース104の遠位に延ばす前に)、組み合わされた針器具/J型チップは、体内の目標位置に(例えば、内視鏡を通して)進められる。次に、ユーザは、チップ202が針器具102に追従して組織内を目標位置(例えば、小腸の壁を通って目標の胆管に入る)まで進むように針器具102とともに先端部202を進めつつ、針器具102によって解剖学的な目標部位を所定の深さまで穿刺し得る。チップ202が胆管内の所望の位置にあるとき、針器具102は、チップ202から引き抜かれ、チップ202がその湾曲した形状に戻ることを可能にする。次に、チップ202の遠位フックが、ガイドワイヤを胆管内に進めるべき方向にチップ202の遠位開口部を向けるように、チップ202を所望の方向に回転させ得る。
【0017】
次に、ガイドワイヤが、マイクロカテーテル200及びチップ202に挿入されてチップ202から延出され、当該ガイドワイヤの所望の長さが胆管内に受け入れられるまで、胆管内にさらに移動される。ガイドワイヤが所望のとおり位置決めされると、電気外科チップ106を備えた可撓性電気外科シース104がカテーテル200とチップ202とにわたって進められるとともに、電気外科用チップ106から組織を通してRF電流が印加され、針器具102とチップ202とによって生成された(複数の)アクセスホールを拡張させる。これにより、これらの開口部の完全性が確保され、その後、ガイドワイヤを胆管内の所定の位置に残したままカテーテル200を体から引き抜かれ得る。次に、当業者によって理解されるように、ステント又は他の治療装置及び/又は診断装置が、胆管内の目標部位へのアクセスホールを通し、ガイドワイヤに被さって挿入され得る。
【0018】
図3は、カテーテル200の断面をより詳細に示す。カテーテル200は、以下で詳細に説明するように、強度と柔軟性のために作られた外側支持管210と金属ハイポチューブ部分206の構造に部分的に基づいて、増加したコラム強度を示す。カテーテル200はまた、増加した耐熱性、放射線不透過性、回転制御、水密性、及び柔軟性を示す。
【0019】
カテーテル200は、チップ202を含む遠位編組ポリマー部分204を有する二部材カテーテルシャフト備えており、ポリマー部分204の近位端は、ポリマー部分204に対して近位のハイポチューブ206に突き合わされている。ポリマー204の近位端とハイポチューブ206の遠位端とは、突合せ接合部208で突き合わされる。外側支持管210は、ポリマー部分204とハイポチューブ206の両方の外径に設けられ、支持管210の一部は、両チューブ部分間の接合部208を覆い、支持する。外側支持管210は、カテーテル200の全長に延び得る。
【0020】
当業者によって理解されるように、編組ポリマー部分204に使用されるポリマーは、(電気外科的拡張中の溶融又は変形を防止するため)比較的高い溶融温度、(J型チップが自然に湾曲した形状に戻ることを可能にするため)形状記憶、及び(露出したチップの内部編組を電気的に絶縁するため)良好な絶縁強度を有するように選択される。ポリマーは、例えば、アルニテル(登録商標)、ペバックス(登録商標)、ナイロン、ポリウレタンなどであり得る。あるポリマーは、高温用途により適している場合もあれば、別のポリマーは、低温用途により適している場合がある。ポリマー内の編組は、細いステンレス鋼、鋼、ニチノール、タングステンやプラチナなどのより放射線不透過性の材料、又は他の金属から作られた丸いワイヤ又はリボンであり得る。編組はまた、液晶ポリマー(LCP)、PEEKなどのような高強度の非金属編組補強材を含み得る。編組ポリマーは薄い最内層を有し得る。該最内層は、例えば、編組された表面を提供し、且つ、摩擦を低減するための潤滑性添加物を有するPTFE、FEP、HDPE、又は他のポリマーで生成され、それによって、針器具を取り除くため、及び/又はガイドワイヤを通すために要する力を低減する。
【0021】
この実施形態のポリマー部分204のチップ202は、熱を使用してJ字形に設定し得る。当業者によって理解されるように、湾曲した形状は、J型チップ202が目標の解剖学的構造に入った後、チップ202のルーメンの遠位開口を所望の方向に向けるためにJ型チップ202を回転させると、所望の方向へ目標管腔(例えば、胆管)内にガイドワイヤを挿入することを可能にする。編組は、耐久性、キンク抵抗、トルク伝達、及び引張強度を提供する。
【0022】
加えて、先細りのチップ202の編組ポリマー部分204の遠位端は、最初の穿刺時に目標組織を貫通するのに必要な力を低減するために、斜角又は先細りにすることができる。チップ202は、先細りを可能にするために、その最遠位端に短い、編組されていない部分を有し得る。編組されていない部分は、例えば、チップの進入時の圧縮力に耐えるのに適した異なる材料、例えばベスタミドナイロンなどのようなより硬い素材であり得る。チップ202はさらに、編組を終端することを助けるために、及び/又は、放射線不透過性を提供することを助けるために、編組の遠位端に放射線不透過性(RO)マーカー214を有し得る(例えば、X線を介してマーカー214、従ってチップ202をより容易に視覚化するため)。
【0023】
金属ハイポチューブ206は、例えば、柔軟性、コラム強度、及びトルク伝達を提供するために、例えばニチノールで作られてもよい。当業者によって理解されるように、(ポリマー部分204に隣接する)ハイポチューブ206の遠位端は、その内径が面取りされて、ガイドワイヤが内縁に沿って薄く剥がれること(スカイビング)を防ぎ得る。
【0024】
この実施形態における外側支持管210は、柔軟性を持たせるためにレーザーカット鋼を用いてもよい。尤も機械的切断又はコイリングなど、支持管210を柔軟にするための他の手段を使用してもよい。支持管210用の鋼材は、ニチノールよりも割れにくく、耐久性を向上する。外側支持管210は、短い部分を有し得る。該短い部分は、レーザーカットされておらず、しかも、接合部208のところで屈曲することを防止するために接合部208に位置決めされる。このような屈曲は、ポリマー204とハイポチューブ206との間の突合せ接合部208でのガイドワイヤがスカイビングすることにもつながり得る。屈曲をさらに防止するために、ポリマー204とハイポチューブ206との間の接合部208は、常に電気外科シース104によって支持され得るように、当該接合部208が組織開口部を通って目標解剖学的構造に進入しないように、遠位チップから十分に近位に設定され得る。
【0025】
支持管210は、ポリマー204の近位端とハイポチューブ206の遠位端の外径に固定され、ポリマー部分204にさらなるコラム強度、キンク抵抗、捩じり剛性及び捩じれ抵抗を提供する。支持管210は、例えば接着剤を介してポリマー204及びハイポチューブ206に固定され得る。これはまた、針器具を使用する最初の穿刺時に組織内によりスムーズに通すために、ハイポチューブ206の遠位端に面取り又はテーパを設け得る。支持管210は、電気外科的拡張チップ106が支持管210上を前進する際に支持管210に隣接する非目標組織の燃焼を防ぐために、電気絶縁体212の薄層で覆われている。
【0026】
代替的な実施形態において、カテーテル200は、焼灼又は電気外科的拡張ではなく、穿刺及び方向性ガイドワイヤアクセスを提供するコールド装置の一部を形成し得る。この実施形態において、マイクロカテーテルは、耐熱性又は電気的に絶縁されている必要はない。従って、編組ポリマーは、arnitel(登録商標)、ペバックス(登録商標)、PEEK、又は別の材料で作ることができる。この実施形態において、電気絶縁は必要ない。コールド装置は、例えば、ガイドワイヤを導管(duct)に送り込み、乳頭から送り出すランデブーEUSアクセス処置法において使用され得る。経壁ステント処置に使用される場合、追加の拡張ツールを導入するために交換が必要になる場合があり、又は低温拡張のために電気外科チップ106にテーパが追加される場合がある。
【0027】
さらに別の実施形態において、カテーテル200のチップ202は、導管を通って狭窄部まで進行するために、又は狭窄部を通過して進行するために、十分に長く柔軟なものにされている。当業者によって理解されるように、チップ202を狭窄部に隣接させることにより、ランデブー処置中に狭窄部を通してガイドワイヤを進行させる際に、追加的な支持と使いやすさとを提供する。いくつかの処置では、ステントをこのガイドワイヤに被せて配置し得る。レーザーカットされた鋼の設計は、膵胆管樹(pancreaticobiliary tree)を通過するための追加的な柔軟性を提供する。マイクロカテーテル200を導管に通している間の恒久的な形状の変化は許容される。形状の変化は回転や穿刺にのみ有害であるところ、これらはこの使い捨て装置の使用中にはその時点ですでに完了しているからである。
【0028】
例示的な実施形態はまた、処置中の超音波による観察を改善するためにエコー発生材料が追加されたマイクロカテーテルについても説明している。エコー発生材料は、本明細書に記載の実施形態のいずれかに加えることができる。
【0029】
図4は、J型チップの外面にエコー発生材料302を備えたカテーテル300を示す。エコー発生材料は、この実施形態において、柔らかい音響的に透過性のある材料に懸濁させた硬いエコー源性粒子のコーティングであり得る。代替的に、エコー発生材料は、J型チップに被さるコイル状又は編組されたワイヤ又はポリマーであり得る。ワイヤは例えば、ニチノール、鋼、タングステン、又は他の材料であることができ、これらはエコー源性であり得ると同時に、カテーテル300の放射線不透過性を高めるために放射線不透過性であり得る。ワイヤは、例えば、直径が約0.1/1000~約5/1000インチ(約2.54/1000ミリメートル~約127/1000ミリメートル)の円形又はリボン状であり得る。エコー発生材料302がチップ表面上のワイヤ又はコイルである場合、拡張された電気絶縁体304が、外側支持管及びエコー発生材料302の両方を覆い得る。しかしながら、カテーテル300がコールド装置である場合、電気絶縁は必要とされないであろう。
【0030】
例示的な実施形態はまた、マイクロカテーテルについて説明している。該マイクロカテーテルは、その上にレーザーカットされた支持管を含んでいるにも拘わらず、比較的小さな外径を有する。外径が低減されたマイクロカテーテルは、組織に生成される穿刺孔のサイズを小さくできるので、医師にとって望ましい場合がある。
【0031】
図5は、変化のある外径を有するポリマー部分402を備えたカテーテル400を示す。カテーテル400は、既述の実施形態に匹敵する、湾曲した遠位端におけるより大きな外径と、外側支持管408によって囲まれる近位端におけるより小さな外径とを有する。外側支持管408は、湾曲した遠位端の直径とより小さな近位端との間の差を実質的に埋める厚さを有し得る。外側支持管408は、カテーテル400に支持管部分から遠位チップまでの実質的に均一な外径を与えるが、この均一な直径は必須ではない。
【0032】
ハイポチューブ404は、ポリマー部分402の縮径した近位端の断面積と概ね同様の断面積を有し、これは、既述の実施形態と同様に、接合部406でポリマー部分に接合される。支持管408は、既述の実施形態に関して記載されたのと同様の方法で接合部406を保護する。断面積を小さくすることで、解剖学的構造のより正確な穿刺が可能になる。ポリマー部分402における編組ワイヤは、ポリマー部分402の近位端で部分的に露出され得る。これらの露出された編組ワイヤは、支持管408及び/又は電気絶縁体412によって覆われる。カテーテル400はまた、電気外科的拡張用途のために電気絶縁体412によって覆われたエコー発生材料410を含み得る。
【0033】
別の実施形態において、ポリマー部分とハイポチューブの内径と外径は正確に整合しない可能性がある。このように内径が整合しない配置を使用する場合、ガイドワイヤなどのアイテムのスカイビングを防ぐために、直径の小さい部分を面取りしたり、テーパを付けたりする場合がある。代替的に、外径が整合しない場合、ポリマー又はハイポチューブ(どちらか小さい方)の上に別の材料の層を重ねて、支持管との間の間隙を埋めることにより、スカイビングを防ぎ得る。この材料は、例えば、熱収縮であってもよい。
【0034】
さらに別の実施形態において、外側支持管を設計から除外し、ハイポチューブでその機能を置き換え得る。この実施形態は、泌尿器科の用途など、柔軟性の低い又はより小さな装置が許容される用途に望ましい場合がある。あまり曲がりくねっていない経路で使用する場合、又は装置が全体的に小さい用途で使用する場合は、過度にホイッピングすることなく簡単に回転できる場合がある。
【0035】
図6は、拡張されたハイポチューブ504を備えたカテーテル500を示す。カテーテル500は、ポリマー部分502を含む。
図4と同様に、ポリマー部分502は、湾曲した遠位端でより大きな外径を有するとともに近位端でより小さな外径を有する。しかしながら、外側支持管によって囲まれるのではなく、より小さな直径の近位端は、ハイポチューブ504によって囲まれる。代替的に、
図4に示すように、ポリマーは、一定の外径を有し得る。この実施形態において、ポリマー部分502は、より小さな直径のところにおいては、カテーテルの全長にわたって近位方向に延び、ハイポチューブ504は、当該ハイポチューブ504が終端する接合部506まで、カテーテルの長さに沿って支持を提供する。ポリマー502とハイポチューブ504とは、接着剤、ポリマーリフロー、又は他の手段を使用して接合することができる。接合部506は、既述の実施形態よりもさらに遠位に配置され得る。例えば、ハイポチューブ504は、穿刺部位まで延び得る。
【0036】
別の実施形態において、金属ハイポチューブを設計から除外し得る。この実施形態において、ポリマーはカテーテルの長さ方向に延びており、外側支持管は近位方向により長く延びる。この実施形態は、泌尿器科又は呼吸器科の用途など、装置の長さが短い可能性がある用途に特に適し得る。これらの場合、レーザーカットされた支持管とポリマーの軸方向の圧縮は、より短い全長にわたって増加するので、穿刺時の全体的な軸方向の圧縮は少なくなる。
【0037】
本発明の概念から逸脱することなく上記実施形態を変更できることは、当業者であれば理解できる。さらに、実施形態の1つに関連する構造的な特徴及び方法は、他の実施形態に組み込むことができることも理解できる。従って、本発明は、説明した特定の実施形態に限定されず、変更形態も添付の請求項によって定義される本発明の範囲内に含まれることが理解できる。