(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】ERK阻害剤としてのスピロ系化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 513/10 20060101AFI20230807BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230807BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230807BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
C07D513/10 CSP
A61K31/506
A61P43/00 111
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2022534191
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 CN2020134277
(87)【国際公開番号】W WO2021110168
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】201911244788.X
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911257998.2
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010106897.1
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011068937.4
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011410488.7
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516304780
【氏名又は名称】メッドシャイン ディスカバリー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】李 翼
(72)【発明者】
【氏名】劉 寧
(72)【発明者】
【氏名】于 涛
(72)【発明者】
【氏名】呉 成徳
(72)【発明者】
【氏名】黎 健
(72)【発明者】
【氏名】陳 曙輝
【審査官】長谷川 莉慧霞
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/223632(WO,A1)
【文献】特表2018-500340(JP,A)
【文献】特表2017-538768(JP,A)
【文献】国際公開第2020/228817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
ただし、
nは0または1であり;
mは1または2であり;
環Aは、
【化2】
であり;
T
1、T
2およびT
3は、それぞれ独立してNおよびCHから選択され;
E
1は、O、SまたはNHであり;
R
1は、HおよびC
1-3アルキルから選択され、ここで、前記のC
1-3アルキルは、1個、2個または3個のR
aで置換されていてもよく;
R
2とR
3は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH
2およびC
1-3アルキルから選択され、ここで、前記のC
1-3アルキルは、1個、2個または3個のR
bで置換されていてもよく;
R
4は、Hから選択され;
R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH
2およびC
1-3アルキルから選択され、ここで、前記のC
1-3アルキルは、1個、2個または3個のR
cで置換されていてもよく;
R
a、R
bおよびR
cは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CNおよびNH
2から選択される、
式(III)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1が、HおよびCH
3から選択され、ここで、前記のCH
3は、1個、2個または3個のR
aで置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
1がCH
3である、
請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
2とR
3が、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH
2およびCH
3から選択され、ここで、前記のCH
3が、1個、2個または3個のR
bで置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
2とR
3が、それぞれ独立してHおよびCH
3から選択される、
請求項4に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9が、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH
2、CH
3および-CH
2-CH
3から選択され、ここで、前記のCH
3および-CH
2-CH
3が、1個、2個または3個のR
cで置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9が、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CNおよびNH
2から選択される、
請求項6に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
構造単位
【化3】
が、
【化4】
である、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
環Aが、
【化5】
である、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記の化合物が、
【化6】
から選択され、
ここで、
m、n、E
1、T
1、T
2およびT
3が、請求項1に定義した通りであり;
R
1が、請求項1~3のいずれか1項に定義した通りであり;
R
2とR
3が、請求項1、4または5のいずれか1項に定義した通りであり;
R
4が、請求項1に定義した通りであり;
R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9が、請求項1、6または7のいずれか1項に定義した通りである、
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記の化合物が、
【化7】
から選択され、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、E
1、T
1、T
2およびT
3が、請求項10に定義した通りである、
請求項10に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記の化合物が、
【化8】
から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、T
1、T
2およびT
3が、請求項10に定義した通りである、
請求項10に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
前記の化合物が、
【化9】
から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9が、請求項10に定義した通りである、
請求項12に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
【化10】
からなる群から選択される、
化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
前記の化合物が、
【化5】
から選択される、
請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩
を含む、医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2019年12月06日に出願されたCN201911244788.X、2019年12月10日に出願されたCN201911257998.2、2020年02月20日に出願されたCN202010106897.1、2020年09月30日に出願されたCN202011068937.4および2020年12月03日に出願されたCN202011410488.7に基づく優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、ERK阻害剤としてのスピロ系化合物、およびERKに関連する疾患のための医薬品の調製におけるその使用に関する。具体的に、式(III)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0003】
Ras/Raf/MEK/ERKK経路は、典型的なマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(mitogen activated protein kinase,MAPK)シグナル伝達カスケード経路であり、活性化後の各種の成長因子、サイトカイン、マイトジェン及びホルモン受容体のシグナル伝達に関与し、細胞の成長、分化および生存を制御するための最も重要なシグナル伝達経路の1つである。
【0004】
研究によると、突然変異または増幅によるRas/Raf/MEK/ERK経路の異常な活性化は、さまざまな癌の発生の決定要因であることが示された。ヒト腫瘍では、RAS変異の発生率は約22%、BRAF変異の発生率は約7%、MEK変異の発生率は約1%である。したがって、この経路の主要なノードのタンパク質は、癌の治療の重要な標的になっている(Cancer Discov.2019,9,329-341)。現在、多くのBRAF阻害剤とMEK1/2阻害剤、およびそれらの併用療法は、米国FDAによって黒色腫やBRAFV600E変異型非小細胞肺癌などの癌の治療に使用することが承認されている。しかしながら、これらの上流ノードにBRAFおよびMEK阻害剤を使用すると、変異または経路の再活性化による薬剤耐性の問題が急速に発生し、臨床応用が大幅に制限される可能性がある。
【0005】
細胞外調節プロテインキナーゼ(extracellular regulated protein kinases,ERK)、特にERK1およびERK2キナーゼは、Ras/Raf/MEK/ERK経路に関与する主なものおよび下流の重要なノードであり、多くのヒトの癌でそれらの過剰活性化が見られる。この経路の末端シグナル伝達キナーゼとしてのERKは、薬剤耐性につながる変異を持つことがまだ発見されていないため、ERKキナーゼを標的とする医薬品は、上流標的阻害剤を利用した治療による薬剤耐性の問題を克服し、より潜在的な治療戦略になることが期待される。しかし、これまでERK阻害剤の研究はまだ臨床段階にあり、ERK阻害剤は医薬品としての販売が承認されていない。
【0006】
以上より、腫瘍治療のニーズを満たすために、安全で効果的なERK阻害剤の開発は強く求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、式(III)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化1】
ただし、
nは0または1であり;
mは1または2であり;
環Aは、
【化2】
であり;
T
1、T
2およびT
3は、それぞれ独立してNおよびCHから選択され;
E
1は、O、SまたはNHであり;
R
1は、HおよびC
1-3アルキルから選択され、ここで、前記のC
1-3アルキルは、1個、2個または3個のR
aで置換されていてもよく;
R
2とR
3は、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH
2およびC
1-3アルキルから選択され、ここで、前記のC
1-3アルキルは、1個、2個または3個のR
bで置換されていてもよく;
R
4は、Hから選択され;
R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH
2およびC
1-3アルキルから選択され、ここで、前記のC
1-3アルキルは、1個、2個または3個のR
cで置換されていてもよく;
R
a、R
bおよびR
cは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CNおよびNH
2から選択される。
【0008】
本発明の一実施形態において、上記のR1は、HおよびCH3から選択され、ここで、前記のCH3は、1個、2個または3個のRaで置換されていてもよく、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記のR1はCH3であり、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記のR2とR3は、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH2およびCH3から選択され、ここで、前記のCH3は、1個、2個または3個のRbで置換されていてもよく、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記のR2とR3は、それぞれ独立してHおよびCH3から選択され、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記のR2とR3は、それぞれ独立してHから選択され、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記のR5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH2、CH3および-CH2-CH3から選択され、ここで、前記のCH3および-CH2-CH3は、1個、2個または3個のRcで置換されていてもよく、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記のR5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CNおよびNH2から選択され、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記の構造単位
【化3】
は、
【化4】
であり、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記の構造単位
【化5】
は、
【化6】
であり、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記の環Aは、
【化7】
であり、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0018】
本発明は、式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化8】
ただし、
nは0または1であり;
T
1、T
2およびT
3は、それぞれ独立してNおよびCHから選択され;
R
1は、HおよびC
1-3アルキルから選択され、ここで、前記のC
1-3アルキルは、1個、2個または3個のR
aで置換されていてもよく;
R
2とR
3は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH
2およびC
1-3アルキルから選択され、ここで、前記のC
1-3アルキルは、1個、2個または3個のR
bで置換されていてもよく;
R
4は、Hから選択され;
R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH
2およびC
1-3アルキルから選択され、ここで、前記のC
1-3アルキルは、1個、2個または3個のR
cで置換されていてもよく;
R
a、R
bおよびR
cは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、CNおよびNH
2から選択される。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記のR1は、HおよびCH3から選択され、ここで、前記のCH3は、1個、2個または3個のRaで置換されていてもよく、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記のR1はCH3であり、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記のR2とR3は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH2およびCH3から選択され、ここで、前記のCH3は、1個、2個または3個のRbで置換されていてもよく、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0022】
本発明の一実施形態において、上記のR2とR3は、それぞれ独立してHから選択され、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0023】
本発明の一実施形態において、上記のR5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CN、NH2、CH3および-CH2-CH3から選択され、ここで、前記のCH3および-CH2-CH3は、1個、2個または3個のRcで置換されていてもよく、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0024】
本発明の一実施形態において、上記のR5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、CNおよびNH2から選択され、他の変数は本発明で定義した通りである。
【0025】
また、本発明の一部の実施形態は、上記のそれぞれの変数を任意に組み合わせたものである。
【0026】
本発明の一実施形態において、上記の化合物およびその薬学的に許容される塩は、
【化9】
から選択され、
ここで、
m、n、E
1、T
1、T
2、T
3、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、本発明で定義した通りである。
【0027】
本発明の一実施形態において、上記の化合物およびその薬学的に許容される塩は、
【化10】
から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、E
1、T
1、T
2およびT
3は、本発明で定義した通りである。
【0028】
本発明の一実施形態において、上記の化合物およびその薬学的に許容される塩は、
【化11】
から選択され、
ここで、
T
1、T
2、T
3、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、本発明で定義した通りである。
【0029】
本発明の一実施形態において、上記の化合物およびその薬学的に許容される塩は、
【化12】
から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、本発明で定義した通りである。
【0030】
さらに、本発明は、以下の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【化13】
【0031】
本発明の一実施形態において、上記の化合物およびその薬学的に許容される塩は、
【化14】
から選択される。
【0032】
さらに、本発明は、ERKに関する疾患を治療する医薬品の調製における、上記の化合物、その異性体およびそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【発明の効果】
【0033】
本発明の化合物は、ERK2キナーゼおよびHT29細胞の増殖に対して優れた阻害活性を示す。また、本発明の化合物は、優れた経口曝露量およびバイオアベイラビリティを示す。さらに、本発明の化合物は、腫瘍の成長を明らかに阻害することができる。投与中、動物の体重の大幅な減少は見られず、忍容性は良好である。
【0034】
定義と用語
特に明記しない限り、本明細書で使用される以下の用語は、以下の意味を有することを意図している。特定の用語は、特定の定義がない場合に、不定または不明瞭と見なされるべきではないが、通常の意味で理解されるべきである。本明細書に商品名が記載される場合、その対応する商品またはその活性成分を指す。
【0035】
ここで、用語「薬学的に許容される」とは、これらの化合物、材料、組成物、および/または剤形について、信頼性のある医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触して使用することに適し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題または合併症を伴うことなく、合理的な利益/リスク比に見合うことをいう。
【0036】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物を比較的毒性のない酸または塩基と反応させることで調製される本発明の化合物の塩を指す。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中で、このような化合物が十分な量の塩基と接触させることで、塩基付加塩が得られる。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミンもしくはマグネシウムの塩、または類似の塩を含む。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中で、このような化合物が十分な量の酸と接触させることで、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸塩と有機酸塩を含む。上記の無機酸塩として、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、重炭酸塩、リン酸、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、硫酸、硫酸水素塩、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無機酸塩が挙げられる。上記の有機酸塩として、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの類似の酸の塩や、アミノ酸(例えばアルギニンなど)の塩、およびグルクロン酸などの有機酸の塩が挙げられる。本発明の一部の特定の化合物は、塩基性官能基と酸性官能基の両方を含むため、塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換することができる。
【0037】
本発明の薬学的に許容される塩は、通常の化学的方法によって酸性または塩基性部分を含む親化合物から調製することができる。一般的に、このような塩は、水または有機溶媒或いは両者の混合物中で、これらの化合物を遊離酸または塩基として化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることで調製される。
【0038】
本発明の化合物は、特定の幾何異性体または立体異性体として存在してもよい。本発明では、シスとトランス異性体、(-)と(+)エナンチオマー、(R)と(S)エナンチオマー、ジアステレオ異性体、(D)異性体、(L)異性体、およびそのラセミ混合物、他の混合物、例えばエナンチオマーまたはジアステレオ異性体が豊富な混合物を含むすべてのこのような化合物が想定される。これらはすべて本発明の範囲内に含まれる。アルキル基などの置換基は、さらなる不斉炭素原子を有していてもよい。これらの異性体およびそれらの混合物はすべて、本発明の範囲内に含まれる。
【0039】
特に明記しない限り、「エナンチオマー」または「光学異性体」という用語は、互いに鏡像関係にある立体異性体を指す。
【0040】
特に明記しない限り、「シス-トランス異性体」または「幾何異性体」という用語は、二重結合や環形成炭素原子間の単結合が自由に回転できないことにより生成される。
【0041】
特に明記しない限り、「ジアステレオマー」という用語は、分子に2つ以上のキラル中心を含み、且つ分子間で非鏡像関係にある立体異性体を指す。
【0042】
特に明記しない限り、「(+)」とは右旋性異性体を意味し、「(-)」とは左旋性異性体を意味し、「(±)」とはラセミ体を意味する。
【0043】
特に明記しない限り、くさび形の実線結合(
【化15】
)およびくさび形の破線結合(
【化16】
)で立体中心の絶対配置を表し、直線形の実線結合(
【化17】
)と直線形の破線結合(
【化18】
)で立体中心の相対配置を表し、波線(
【化19】
)でくさび形の実線結合(
【化20】
)またはくさび形の破線結合(
【化21】
)を表し、或いは波線(
【化22】
)で直線形の実線結合(
【化23】
)または直線形の破線結合(
【化24】
)を表す。
【0044】
特に明記しない限り、化合物に、例えば炭素-炭素二重結合、炭素-窒素二重結合および窒素-窒素二重結合などの二重結合構造が存在し、且つ二重結合の各原子がいずれも2つの異なる置換基に結合している場合(窒素原子を含む二重結合では、窒素原子上の孤立電子対のペアを、それに結合している置換基の1つとする)、この化合物の二重結合の原子がその置換基と波線(
【化25】
)で連結していると、該化合物は、(Z)型異性体、(E)型異性体、または2つの異性体の混合物を表す。例えば、以下の式(A)は、その化合物が式(A-1)または式(A-2)の単一の異性体として存在し、或いは式(A-1)および式(A-1)の2つの異性体の混合物として存在することを表す。以下の式(B)は、その化合物が式(B-1)または式(B-2)の単一の異性体として存在し、或いは式(B-1)および式(B-2)の2つの異性体の混合物として存在することを表す。以下の式(C)は、その化合物が式(C-1)または式(C-2)の単一の異性体として存在し、或いは式(C-1)および式(C-2)の2つの異性体の混合物として存在することを表す。
【化26】
【0045】
特に明記しない限り、「互変異性体」または「互変異性体形態」という用語は、異なる官能基の異性体が室温で動的平衡状態にあり、互いに迅速に変換できることを意味する。互変異性体が可能な場合(例えば、溶液の中に)に、互変異性体の化学平衡を達成できる。例えば、プロトン互変異性体(proton tautomer)(プロトトロピック互変異性体(prototropic tautomer)としても知られる)には、ケト-エノール異性化やイミン-エナミン異性化などのプロトン移動による相互変換が含まれる。原子価互変異性体(valence tautomer)には、一部の結合電子の再結合による相互変換が含まれる。ケト-エノール互変異性化の例としては、ペンタン-2,4-ジオンと4-ヒドロキシペント-3-エン-2-オンとの2つの互変異性体間の相互変換がある。
【0046】
特に明記しない限り、「1つの異性体に富む」、「異性体に富む」、「1つの鏡像異性体に富む」または「鏡像異性体に富む」という用語は、1つの異性体または鏡像異性体の含有量が100%未満であり、且つその異性体または鏡像異性体の含有量は60%以上、または70%以上、または80%以上、または90%以上、または95%以上、または96%以上、または97%以上、または98%以上、または99%以上、または99.5%以上、または99.6%以上、または99.7%以上、または99.8%以上、または99.9%以上であることを意味する。
【0047】
特に明記しない限り、「異性体過剰率」または「鏡像異性体過剰率」という用語は、2つの異性体または2つの鏡像異性体の相対パーセンテージ間の差を指す。例えば、一方の異性体または鏡像異性体が90%の量で存在し、他方の異性体または鏡像異性体が10%の量で存在する場合、異性体または鏡像異性体過剰率(ee値)は80%である。
【0048】
光学活性を有する(R)と(S)異性体、およびDとL異性体は、キラル合成、キラル試薬または他の従来技術を用いて調製される。本発明のある化合物の1種類のエナンチオマーを得たい場合、純粋な所望のエナンチオマーは、不斉合成、または得られたジアステレオマー混合物の分離および補助基の開裂を含む、キラル補助剤による誘導作用によって得ることができる。或いは、分子が塩基性官能基(アミノ基など)または酸性官能基(カルボキシル基など)を含む場合、化合物は適切な光学活性を有する酸または塩基と反応して、ジアステレオマー異性体の塩を形成し、その後、当技術分野における一般的な方法でジアステレオマーの分離を行い、純粋なエナンチオマーを回収する。さらに、エナンチオマーおよびジアステレオ異性体は、一般的に、キラル固定相を使用した、任意に化学誘導法(例えば、アミンからカルバメートを生成する)と組み合わせたクロマトグラフィーによって単離される。
【0049】
本発明の化合物は、該化合物を構成する1つ以上の原子で非自然な割合の原子同位体を含んでもよい。本発明の化合物は、この化合物を構成する1つ以上の原子に非天然な割合で同位体原子を含有していてもよい。例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)またはC-14(14C)のような放射性同位体で標識された化合物が用いられる。別の例として、水素を重水素に置き換えて重水素化薬物を形成することができる。重水素と炭素との結合は、通常の水素と炭素との結合よりも強い。重水素化されていない薬物と比較して、重水素化された薬物は、毒性副作用の低減、薬物の安定性の向上、有効性の向上、および薬物の生物学的半減期の延長などの利点を有する。本発明の化合物のすべての同位体組成の変化は、放射能を有するかどうかにかかわらず、本発明の範囲内に含まれる。
【0050】
「任意の」または「任意に」という用語は、後続の事項または条件が発生する可能性があるが必ず発生ではないことを意味し、この用語は、上記の事項または条件が発生する場合および上記の事項または条件が発生しない場合を含む。
【0051】
「置換された」という用語は、特定の原子上の1個以上の水素原子が置換基によって置換されることを指し、また、特定の原子の原子価が正常であり、且つ置換された化合物は安定している限り、重水素および水素の変種を含んでも良い。置換基がオキソ基(即ち、=O)である場合、2個の水素原子が置換されていることを意味する。なお、芳香環基では、オキソ基の置換は起こらない。
【0052】
「置換されていてもよい」という用語は、原子が置換基で置換されても置換されていなくてもよいことを意味し、特に断りのない限り、置換基の種類および数は、化学的に実現可能である限り任意でもよい。
【0053】
いずれの変数(例えば、R)でも化合物の組成や構造中に一回以上現れる場合、それぞれの場合での定義は独立している。したがって、例えば、ある基が0~2個のRで置換されている場合、上記の基は多くても2個のRで置換されていてもよく、且つそれぞれの場合におけるRは独立した選択肢を有する。さらに、置換基および/またはその変種の組み合わせは、安定な化合物を生じる場合に限り許容される。
【0054】
例えば-(CRR)0-のような、連結基の数が0である場合、その連結基は単結合であることを意味する。
【0055】
1個の変数が単結合である場合、該単結合によって結合された2つの基が直接結合していることを意味する。例えば、A-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、該構造は実質にA-Zである。
【0056】
置換基が空いている場合は、該置換基が存在しないことを意味し、例えば、A-XにおけるXが空いている場合、該構造は実質にAである。挙げられた置換基においてどの原子を介して置換される基に結合することを明記していない場合、このような置換基は、いずれの原子によって結合しても良く、例えば、置換基としてのピリジル基は、ピリジン環のいずれかの炭素原子を介して、置換される基に結合してもよい。
【0057】
挙げられた連結基の連結方向を明記しない場合、その連結方向は任意である。例えば、
【化27】
における連結基Lが-M-W-である場合、-M-W-は、左から右への読み取り順序と同じ方向で環Aと環Bを連結して
【化28】
となってもよく、左から右への読み取り順序と逆方向で環Aと環Bを連結して
【化29】
となってもよい。前記した連結基、置換基および/またはその変種の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物を生じる場合に限り許容される。
【0058】
特に明記しない限り、ある基に1つ以上の接続可能な部位がある場合、この基の任意の1つ以上の部位を化学結合を介して他の基に接続することができる。前記の部位と他の基との間の化学結合は、直線形の実線結合(
【化30】
)、直線形の破線結合(
【化31】
)、または波線(
【化32】
)で表すことができる。例えば、-OCH
3における直線形の実線結合は、この基における酸素原子を介して他の基に接続することを示し;
【化33】
における直線形の破線結合は、この基における窒素原子の両端を介して他の基に接続することを示し;
【化34】
における波線は、このフェニル基における1位と2位の炭素原子を介して他の基に接続することを示す。
【0059】
特に明記しない限り、用語「C1-3アルキル」は、1~3個の炭素原子からなる直鎖または分岐の飽和炭化水素基を示す。前記のC1-3アルキルは、C1-2およびC2-3のアルキルなどを含み;それは、一価の基(例えばメチル基)、二価の基(例えばメチレン基)または多価の基(例えばメチン基)であってもよい。C1-3アルキルの例として、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
特に明記しない限り、用語「C1-3アルコキシ」は、1~3個の炭素原子を含む、酸素原子を介して分子の残りの部分に結合しているアルキルを指す。前記のC1-3アルコキシは、C1-2、C2-3、C3およびC2アルコキシなどを含む。C1-3アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n-プロポキシおよびイソプロポキシを含む)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
特に明記しない限り、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、それ自体、または別の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を表す。
【0062】
特に明記しない限り、Cn-n+mまたはCn-Cn+mは、nからn+m個の炭素のいずれかを含む。例えば、C1-12は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、およびC12を含み、また、nからn+mのうちの任意の範囲を含み、例えば、C1-12は、C1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、およびC9-12などを含む。同様に、n員からn+m員は、環上の原子の数がnからn+m個であることを意味する。例えば、3~12員環は、3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、および12員環を含み、また、nからn+mのうちの任意の範囲を含み、例えば、3~12員環は、3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、および6~10員環などを含む。
【0063】
用語「脱離基」とは、置換反応(例えば、求核置換反応)によって別の官能基または原子で置換される官能基または原子を指す。代表的な脱離基として、例えば、トリフレート;塩素、臭素およびヨウ素;メシレート、トシレート、p-ブロモベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネート等のスルホネート基;アセトキシ、トリフルオロアセトキシ等のアシルオキシ基などが挙げられる。
【0064】
用語「保護基」は、「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」または「チオ保護基」を含むが、これらに限定されない。用語「アミノ保護基」とは、アミノ基の窒素位置における副反応を阻止することに適した保護基を指す。代表的なアミノ保護基として、ホルミル;アルカノイル(例えばアセチル、トリクロロアセチルまたはトリフルオロアセチル)等のアシル;tert-ブトキシカルボニル(Boc)等のアルコキシカルボニル;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)等のアリールメトキシカルボニル;ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)、1,1-ビス(4’-メトキシフェニル)メチル等のアリールメチル;トリメチルシリル(TMS)およびtert-ブチルジメチルシリル(TBS)等のシリルなど挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヒドロキシ保護基」とは、ヒドロキシ基の副反応を阻止することに適した保護基を指す。代表的なヒドロキシ保護基として、メチル、エチルおよびtert-ブチル等のアルキル;アルカノイル(例えば、アセチル)等のアシル;ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、9-フルオレニルメチル(Fm)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM)等のアリールメチル;トリメチルシリル(TMS)およびtert-ブチルジメチルシリル(TBS)等のシリルなど挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本発明の化合物は、以下の実施形態、それらを他の化学合成方法と組み合わせた実施形態、および当業者に周知の同等置換を含む、当業者に周知の様々な合成方法によって調製される。好ましい実施形態は、本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の化合物の構造は、当業者に周知の従来の方法によって確認することができる。本発明が化合物の絶対配置に関する場合、その絶対配置は、当技術分野の従来の技術によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折法(SXRD)では、得られた単結晶について、Bruker D8 venture回折計(スキャンモード:φ/ωスキャン、光源:CuKα線)を使用して回折強度データを収集した後、さらに、直接法(Shelxs97)で結晶構造を分析し、絶対配置を確認する。
【0067】
本発明で使用される全ての溶媒は市販されている。本発明は以下の略語を使用する。aqは、水を表す。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、溶媒およびWX007をそれぞれ投与したモデル動物におけるヒト結腸直腸癌HCT116の腫瘍増殖曲線を示す。
【
図2】
図2は、ヒト結腸直腸癌HCT116のモデル動物の投与中の体重変化率(%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明は、実施例により以下に詳細に記載される。しかしながら、これらの例が本発明に対して不利な制限を有することは意図されていない。本発明は本明細書で詳細に説明されており、実施形態も開示されている。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される実施形態に様々な変更および修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。
【0070】
【0071】
工程1:化合物A-1-2の合成
予備乾燥した一口フラスコに、酢酸ナトリウム(4.64g,56.60mmol,5eq)、一過硫酸カリウム(13.92g,22.64mmol,2eq)および水(47mL)の溶液を加え、℃に冷却し、A-1-1(4.7g,11.32mmol,1eq)、溶媒テトラヒドロフラン(47mL)とメタノール(47mL)の溶液を滴下し、0℃で1時間撹拌した。29℃の油浴で15時間撹拌した。反応終了後、この反応液を水(200mL)に注ぎ、水相を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(200mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を収集し、減圧下で濃縮して残留物を得た。残余物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、A-1-2を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 8.67(d,J=4.9Hz,1H),7.64(d,J=4.9Hz,1H),3.37(s,3H),1.63-1.53(m,6H),1.39-1.30(m,6H),1.26-1.12(m,6H),0.90(t,J=7.3Hz,9H)。
【0072】
工程2:化合物A-1の合成
フラスコに、A-1-2(3.9g,8.72mmol,1eq)、A-1-3(1.02g,10.46mmol,1.2eq)およびテトラヒドロフラン(117mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、-35℃でリチウムヘキサメチルジシラジド(1M,18.31mL,2.1eq)を滴下し、-35℃で混合液を10分間反応させ、反応終了後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)でクエンチし、酢酸エチル(100mL×2)およびジクロロメタン(100mL)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、回転蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、A-1を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 8.17(d,J=4.85Hz,1H),7.46(d,J=1.76Hz,1H),6.91(d,J=4.63Hz,1H),6.60(s,1H),6.32(d,J=1.98Hz,1H),3.79(s,3H),1.52-1.61(m,6H),1.28-1.40(m,6H),1.03-1.20(m,6H),0.89(t,J=7.28Hz,9H)。
【0073】
【0074】
【0075】
工程1:WX001-3の合成
フラスコに、WX001-1(5g,24.03mmol,1eq)およびテトラヒドロフラン(200mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、-78℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミド(2mol/L,28.84mL,2.4eq)およびテトラメチルエチレンジアミン(4.19g,36.05mmol,5.44mL,1.5eq)をゆっくりと滴下し、-78℃で0.5時間撹拌した後、WX001-2(3.10g,36.05mmol,1.5eq)を加え、-78℃で混合液を2時間反応させた。反応終了後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液(250mL)でクエンチし、2mol/Lの塩酸でpHを2~3に調整し、酢酸エチル(100mL*3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で濾液を濃縮し、WX001-3を得た。
【0076】
工程2:WX001-4の合成
フラスコに、WX001-3(1g,3.40mmol,1eq)およびアセトニトリル(10mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、0℃に冷却し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(579.06mg,4.08mmol,503.53μL,1.2eq)をゆっくりと滴下し、20℃で混合液を2時間反応させ、50℃に昇温し、さらに16時間反応させた。60℃に昇温し、さらに8時間反応させた。反応終了後、反応液を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で濾液を濃縮して乾固させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、WX001-4を得た。1H NMR(400MHz, DMSO-d6): δ(ppm)4.18(d,J=8.6Hz,1H),4.06-4.13(m,2H),3.76(d,J=8.6Hz,1H),2.76-2.87(m,1H),2.52(s,3H),2.16(dt,J=12.9, 7.5Hz,1H).
【0077】
工程3:WX001-5の合成
フラスコに、WX001-4(250mg,788.25μmol,1eq)、塩酸(2mol/L,1.97mL,5eq)およびエタノール(2mL)を加え、70℃で混合液を16時間反応させた。反応終了後、反応液を水(2mL)で希釈し、酢酸エチル(5mL*3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(2mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で濾液を濃縮して乾固させた。粗生成物を薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートにより精製して、WX001-5を得た。1H NMR(400MHz, DMSO-d6): δ(ppm)9.23(br s,1H),3.97-4.14(m,2H),3.84-3.95(m,1H),3.76(br d,J=8.7Hz,1H),2.17-2.33(m,1H).
【0078】
工程4:WX001-7の合成
フラスコに、WX001-5(150mg,545.21μmol,1eq)およびN’N-ジメチルホルムアミド(2mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、0℃に冷却し、水素化ナトリウム(26.17mg,654.25μmol,純度60%,1.2eq)を加え、0.5時間撹拌した後、WX001-6(134.44mg,654.25μmol,85.63μL,1.2eq)を加え、20℃にゆっくりと昇温させ、0.5時間反応させた。反応終了後、反応液を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(10mL*3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で濾液を濃縮して乾固させた。粗生成物を薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートにより精製して、WX001-7を得た。1H NMR(400MHz, DMSO-d6): δ(ppm)7.30-7.39(m,3H),7.23-7.29(m,1H),4.62-4.79(m,2H),4.02-4.11(m,1H),3.95(q,J=8.4Hz,1H),3.72-3.82(m,2H),2.30-2.38(m,2H).
【0079】
工程5:WX001-8の合成
フラスコに、WX001-7(100mg,250.19μmol,1eq)、A-1(127.76mg,275.21μmol,1.1eq)およびトルエン(2mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(57.82mg,50.04μmol,0.2eq)を加え、125℃で混合液を14時間反応させた。反応終了後、反応液そのまま回転蒸発乾固させた。粗生成物を薄層クロマトグラフィー用シリカゲルプレートにより精製して、WX001-8を得た。
【0080】
工程6:WX001AまたはWX001B
WX001-8を、超臨界流体クロマトグラフィー(分離条件:クロマトグラフィーカラム:DAICEL CHIRALCEL OJ(250*30mm i.d. 10μm);移動相:AはCO2、Bはエタノール(0.1%NH3H2O)、B%=50%;流速:70mL/min)によってキラル分離して、WX001AまたはWX001Bを得た。WX001Aの保持時間は1.782分であり、WX001Bの保持時間は1.969分である。
【0081】
【0082】
【0083】
工程1:WX002-2の合成
窒素ガス保護下、フラスコにWX001-1(5g,24.03mmol,1eq)のテトラヒドロフラン(250mL)を加え、-78℃でリチウムジイソプロピルアミド(2M,28.84mL,2.4eq)、テトラメチルエチレンジアミン(4.19g,36.05mmol,5.44mL,1.5eq)をゆっくりと加え、-78℃で0.5時間反応させた後、WX002-1(4.81g,48.07mmol,4.42mL,2eq)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液をさらに加え、-78℃で2時間反応させた。反応終了後、0℃で反応液を100mLの飽和塩化アンモニウム水溶液にゆっくりと注ぎ、塩酸(2M)でpHを3-4程度に調整し、酢酸エチル(200mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(200mL*3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で濾液を濃縮し、WX002-2を得た。
【0084】
工程2:WX002-3の合成
フラスコに、WX002-2(1g,3.25mmol,1eq)およびアセトニトリル(20mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(552.70mg,3.89mmol,480.61μL,1.2eq)を加え、60℃で混合液を16時間反応させた。反応終了後、反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム(20mL)を添加し、酢酸エチル(30mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL*3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で濾液を濃縮した。粗生成物を酢酸エチル(10mL)でスラリー化させ、WX002-3を得た。
【0085】
工程3:WX002-4の合成
乾燥したフラスコに、WX002-3(260mg,785.06μmol,1eq)、塩酸(2M,4mL,10.19eq)およびエタノール(6mL)を加え、50℃で16時間反応させた。70℃に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、反応液を酢酸エチル(50mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(50mL*3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で濾液を濃縮した。粗生成物を酢酸エチル(10mL)でスラリー化させ、WX002-4を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ(ppm)9.32(s,1H),3.73-3.79(m,2H),3.56-3.63(m,2H),2.27-2.34(m,1H),1.86-1.91(m,2H),1.80-1.82(m,1H)
【0086】
工程4:WX002-5の合成
乾燥したフラスコに、WX002-4(50mg,172.92μmol,1eq)およびN’N-ジメチルホルムアミド(2mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、0℃で水素化ナトリウム(10.37mg,259.38μmol,純度60%,1.5eq)を加え、0℃で0.5時間反応させた後、WX001-6(35.53mg,172.92μmol,22.63μL,1eq)をさらに加え、反応液を25℃にゆっくりと昇温させ、さらに1.5時間反応させた。反応終了後、反応液を30mLの水に注ぎ、酢酸エチル(50mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(50mL*3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で濾液を濃縮した。粗生成物を薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートにより精製して、WX002-5を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ(ppm)7.42(s,1H),7.29-7.38(m,3H),4.77(s,2H),4.03(br dd,J=12.3, 4.1Hz,2H),3.45(br t,J=12.0Hz,2H),2.17-2.25(m,4.8Hz,2H),1.38(br d,J=13.0Hz,2H)。
【0087】
工程5:WX002の合成
フラスコに、WX002-5(50mg,120.86μmol,1eq)、A-1(65.66mg,120.86μmol,1eq)、トルエン(1mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、125℃に加熱した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(27.93mg,24.17μmol,0.2eq)をゆっくりと加えた。125℃で48時間反応させた。反応終了後、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で反応液を濃縮した。粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100*30mm*10μm;移動相:[水(10mM炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル:28%-58%,8min)により精製して、WX002を得た。
【0088】
【0089】
【0090】
工程1:WX003-1の合成
予備乾燥したフラスコに、WX002-5(100mg,241.71μmol,1eq)、A-1-2(108.10mg,241.71μmol,1eq)およびトルエン(2mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換え、125℃でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(55.86mg,48.34μmol,0.2eq)を加え、撹拌しながら48時間反応させた。反応終了後、水ポンプを利用して、45℃、減圧下で反応液を濃縮した。粗生成物を薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートにより精製して、WX003-1を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ(ppm)9.29(d,J=5.1Hz,1H),8.48(d,J=5.1Hz,1H),7.45(s,1H),7.31-7.39(m,3H),4.83(s,2H),4.07(m,J=12.3, 4.4Hz,2H),3.64(m,J=12.0Hz,2H),3.54(s,3H),2.24-2.31(m,2H),1.43(m,J=12.9Hz,2H)
【0091】
工程2:WX003の合成
予備乾燥したフラスコに、WX003-1(50mg,101.84μmol,1eq)、テトラヒドロピラン-4-アミン(10.30mg,101.84μmol,1eq)およびジメチルスルホキシド(1mL)を加え、100℃で撹拌し16時間反応させた。反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィー(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100*30mm*10μm;移動相:[水(10mM炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル:32%-62%,8min)により精製して、WX003を得た。
【0092】
【0093】
【0094】
工程1:WX004-1の合成
フラスコに、WX001-1(10g,48.07mmol,1eq)およびテトラヒドロフラン(200mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、窒素ガス保護下、ボラン-テトラヒドロフラン錯体の溶液(1M,144.21mL,3eq)をゆっくりと滴下し、25℃で5時間反応させた。反応終了後、窒素ガス下で反応液にメタノール(100mL)をゆっくりと滴下し、25℃で16時間撹拌した後、40℃で回転蒸発乾固させて、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、WX004-1を得た。1H NMR(CDCl3, 400 MHz): δ(ppm)7.47(s,1H),4.52(d,J=1.0Hz,2H).
【0095】
工程2:WX004-3の合成
フラスコに、WX004-1(7.86g,40.51mmol,1eq)およびテトラヒドロフラン(78.6mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換え、-78℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミド(2M,48.61mL,2.4eq)をゆっくりと加え、次に、テトラメチルエチレンジアミン(7.06g,60.76mmol,9.17mL,1.5eq)を加え、-78℃で0.5時間反応させた。WX004-2(10.65g,60.76mmol,1.5eq)およびテトラヒドロフラン(10mL)の混合溶液を添加し、-78℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を飽和塩化アンモニウム(100mL)でクエンチし、酢酸エチル(50mL*3)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を45℃で回転蒸発乾固させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、WX004-3を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ(ppm)6.39(s,1H),5.42(t,J=5.6Hz,1H),4.84-5.03(m,4H),4.38(d,J=5.6Hz,2H),1.12(s,9H).
【0096】
工程3:WX004-4の合成
フラスコに、テトラヒドロフラン(56mL)、WX004-3(5.6g,11.07mmol,純度73%,1eq)およびトリブチルホスフィン(4.48g,22.14mmol,5.46mL,2eq)を加え、完全に溶解させた後、雰囲気を窒素ガスに置き換え、0℃に冷却し、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(4.48g,22.14mmol,4.30mL,2eq)をゆっくりと加え、徐々に20℃に昇温し、2時間反応させた。反応終了後、反応液に水(60mL)を添加し、酢酸エチル(30mL*3)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を45℃で回転蒸発乾固させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、WX004-4を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ(ppm)5.30(d,J=7.6Hz,1H),4.75-4.87(m,3H),4.61(d,J=12.8Hz,1H),4.22(d,J=12.8Hz,1H),1.27(s,9H).
【0097】
工程4:WX004-5の合成
フラスコに、WX004-4(500mg,1.42mmol,1eq)、テトラヒドロフラン(8.3mL)、水(1.6mL)およびヨウ素(72.25mg,284.67umol,57.34uL,0.2eq)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換え、30℃で16時間反応させた。反応終了後、WX004-5を得た。反応液をそのまま次の工程に使用した。
【0098】
工程3:WX009-5の合成
工程5:WX004-6の合成
工程4で得られたWX004-5の反応液に、テトラヒドロフラン(8.3mL)、水(1.6mL)、ジ炭酸ジ-tert-ブチル(465.00mg,2.13mmol,489.47μL,1.5eq)および炭酸ナトリウム(301.10mg,2.84mmol,2eq)を順次に加え、25℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を水(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(5mL*3)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を45℃で回転蒸発乾固させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、WX004-6を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ(ppm)5.46(br d,J=5.8Hz,1H),5.32(br d,J=6.3Hz,1H),4.64(br d,J=6.3Hz,1H),4.55(br d,J=5.8Hz,1H),4.49(br d,J=9.5Hz,2H),1.47-1.57(m,9H).
【0099】
工程6:WX004-7の合成
乾燥したフラスコに、WX004-6(150mg,431.99μmol,1eq)、三酸化クロム(86.39mg,863.99μmol,32.00μL,2eq)、酢酸(3mL)を加え、25℃で12時間反応させた。反応終了後、反応液を水(3mL)で希釈し、ジクロロメタン(5mL)で3回抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(5mL)で有機相を洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して減圧下で濾液を濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、WX004-7を得た。
【0100】
工程7:WX004-8の合成
乾燥したフラスコに、WX004-7(70mg,193.79μmol,1eq)、ジクロロメタン(1mL)、トリフルオロ酢酸(287.47mg,2.52mmol,186.67μL,13.01eq)を加え、25℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液をそのまま濃縮し、粗生成物を薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートにより精製して、WX004-8を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ(ppm)9.59(br, s,1H),4.89(s,4H).
【0101】
工程8:WX004-10の合成
乾燥したフラスコに、WX004-8(45mg,172.35μmol,1eq)、N’N-ジメチルホルムアミド(2mL)、炭酸セシウム(84.23mg,258.53μmol,1.5eq)、WX004-9(39.09mg,206.82μmol,25.39μL,1.2eq)を加えた。雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、25℃で12時間反応させた。反応終了後、反応液を水(2mL)で希釈し、ジクロロメタン(2mL)で3回抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で有機相を洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して減圧下で濾液を濃縮し、粗生成物を薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートにより精製して、WX004-10を得た。
【0102】
工程9:WX004-10の合成
乾燥したフラスコに、WX004-10(45mg,121.88μmol,1eq)、A-1(62.24mg,134.07μmol,1.1eq)、トルエン(1mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(28.17mg,24.38μmol,0.2eq)を加え、125℃に加熱し、16時間反応させた。反応終了後、反応液をそのまま濃縮し、粗生成物を薄層クロマトグラフィー用シリカゲルプレートにより精製し、さらに、高速液体クロマトグラフィー(クロマトグラフィーカラム: Waters Xbridge BEH C18100*30mm*10μm;移動相: [H2O(10mM 炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル%:25%-45%,8min)により精製して、WX004を得た。
【0103】
【0104】
【0105】
工程1:WX005-1の合成
乾燥したフラスコに、WX004-8(300mg,1.15mmol,1eq)、N’N-ジメチルホルムアミド(6mL)、炭酸セシウム(561.55mg,1.72mmol,1.5eq)、WX001-6(283.32mg,1.38mmol,180.46μL,1.2eq)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、25℃で16時間反応させた。反応終了後、反応液を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL)で3回抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL*5)で有機相を洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して減圧下で濾液を濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、WX005-1を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)7.42(s,1H),7.32-7.40(m,2H),7.26-7.32(m,1H),4.98(s,2H),4.79-4.89(m,4H)
【0106】
工程2:WX005の合成
乾燥したフラスコに、WX005-1(30mg,77.79μmol,1eq)、A-1(39.72mg,85.57μmol,1.1eq)、トルエン(1mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(17.98mg,15.56μmol,0.2eq)を加え、125℃に加熱し、16時間反応させた。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(8.99mg,7.78μmol,0.1eq)を追加し、125℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液をそのまま濃縮した。粗生成物を薄層クロマトグラフィー用シリカゲルプレートにより精製し、さらに、高速液体クロマトグラフィー(クロマトグラフィーカラム: Waters Xbridge BEH C18 100*30mm*10um;移動相: [水(10mM炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル%: 25%-55%,8min)により精製し、WX005を得た。
【0107】
【0108】
【0109】
工程1:WX006-2の合成
乾燥したフラスコに、WX004-10(105mg,284.39μmol,1eq)、テトラヒドロフラン(1mL)、塩化亜鉛(0.7M,406.27μL,1eq)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、-30℃でn-ブチルリチウム(2.5M,170.64μL,1.5eq)を加え、25℃で1時間撹拌した。次に、反応温度を-30℃に冷却し、B-1(75.68mg,284.39μmol,1eq)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(16.43mg,14.22μmol,0.05eq)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、温度を60℃に昇温し、さらに16時間反応させた。反応終了後、反応液に、2mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、酢酸エチル(5mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で有機相を洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して減圧下で濾液を濃縮した。粗生成物を、2mLのtert-ブチルメチルエーテルでスラリー化し、純化してWX006-2を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ(ppm)8.77(s,1H),7.37-7.42(m,1H),7.20(br d,J=8.6Hz,3H),5.04(s,2H),4.94(d,J =7.5Hz,2H),4.86(d,J=7.2Hz,2H),2.64(s,3H),2.62(s,3H)。
【0110】
工程2:WX006-3の合成
乾燥したフラスコに、WX006-2(20mg,46.67μmol,1eq)、ジクロロメタン(1mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、0℃でm-クロロ過安息香酸(30.20mg,140.02μmol,80%純度、3eq)を加え、、温度を25℃にゆっくりと昇温し、3時間反応させた。反応終了後、反応液に、デンプンヨウ化カリウム試験紙が青色を示さなくなるように、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(10mL)を添加し、ジクロロメタン(10mL)で希釈し、有機相を分液し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム10mL、飽和食塩水10mLでそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を回転蒸発乾固させた。粗生成物を薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートにより精製して、WX006-3を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz): δ(ppm)9.20(s,1H),7.37-7.45(m,1H),7.21(br d,J=8.0Hz,2H),7.09-7.15(m,1H),5.05(s,2H),4.93-4.96(m,2H),4.89-4.91(m,2H),3.51(s,3H),2.82(s,3H).
【0111】
工程3:WX006の合成
乾燥したフラスコに、WX006-3(28mg,60.80μmol,1eq)、A-1-3(11.81mg,121.61μmol,2eq)、ジクロロメタン(1mL)、テトラヒドロフラン(1mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、-30℃でリチウムヘキサメチルジシラジド(1M,127.69μL,2.1eq)を加え、25℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液に、1mLの水を添加し、系内の有機溶媒を回転蒸発させ、固体を沈殿させ、濾過し、固体をを収集して粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(クロマトグラフィーカラム: Waters XbridgeBEH C18 100*25mm*5μm;移動相:[H2O(10mM炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル%: 25%-60%,10min)により精製して、WX006を得た。
【0112】
【0113】
【0114】
工程1:WX007-1の合成
乾燥したフラスコに、WX005-1(100mg,259.29μmol,1eq)、塩化亜鉛(0.7M,370.42μL,1eq)、テトラヒドロフラン(1.5mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、-30℃に冷却し、n-ブチルリチウム(2.5M,155.58μL,1.5eq)を加え、20℃で1時間反応させた。次に、-30℃に冷却し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(14.98mg,12.96μmol,0.05eq)、B-1(69.00mg,259.29μmol,1eq)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液をゆっくりと滴下し、60℃で15時間反応させた。反応終了後、反応液を5mLの飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(10mL)で3回抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(10mL)で有機相を洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、水ポンプを利用して減圧下で濾液を濃縮した。粗生成物を薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートにより精製して、WX007-1を得た。1H NMR(DMSO-d6, 400MHz): δ(ppm)8.78(s,1H),7.45(s,1H),7.30-7.42(m,3H),5.03(s,2H),4.91-4.96(m,2H),4.83-4.89(m,2H),2.59-2.71(m,6H)。
【0115】
工程2:WX007-2の合成
乾燥したフラスコに、WX007-1(40mg,89.90μmol,1eq)、ジクロロメタン(1mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、0℃でm-クロロ過安息香酸(58.18mg,269.69μmol,純度80%,3eq)を加え、25℃にゆっくりと昇温し、3時間反応させた。反応終了後、反応液に、デンプンKI試験紙が青色を示さなくなるまで飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(10mL)を添加し、ジクロロメタン(10mL)で希釈し、有機相を分液し、有機相を、飽和炭酸水素ナトリウム10mL、飽和食塩水10mLでそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を回転蒸発乾固させた。粗生成物を薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートにより精製して、WX007-2を得た。
【0116】
工程3:WX007の合成
乾燥したフラスコに、WX007-2(35mg,73.38μmol,1eq)、A-1-3(14.97mg,154.10μmol,2.1eq)、ジクロロメタン(0.5mL)、テトラヒドロフラン(0.5mL)を加え、雰囲気を窒素ガスに置き換えた後、反応を0℃に冷却し、リチウムヘキサメチルジシラジド(1M,146.76μL,2eq)を滴下し、0℃で0.5時間反応させ、25℃で1時間反応させた。反応終了後、10mLの水でクエンチし、20mLのジクロロメタンで抽出し、分液し、有機相を収集し、水相をジクロロメタン(3*20mL)で抽出し、有機相を合わせ、順次、飽和食塩水(3*20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、残留物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(クロマトグラフィーカラム: Phenomenex Gemini-NX C18 75*30mm*3μm;移動相:[H2O(10mM炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル%: 35%-55%,8min)により精製して、WX007を得た。
【0117】
各実施例の1H NMRスペクトルおよび質量スペクトルのデータを表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0118】
実験例1.インビトロキナーゼ活性アッセイ:
1. 実験目的:
化合物のERK2キナーゼ活性に対する阻害能力を測定した。
【0119】
2. 実験緩衝液:
20mMのHepes(pH 7.5)、10mMのMgCl2、1mMのエチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、0.02%のBrij35、0.02mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)、0.1mMのNa3VO4、2mMのジチオスレイトール(DTT)、1%のDMSO。
【0120】
3. 化合物処理:
試験化合物を100%のDMSOに溶解して、特定の濃度のストック溶液を調製した。Integra Viaflo Assistスマートピペットを使用して、化合物をDMSO溶液で段階希釈した。
【0121】
3. 実験方法
1) 新たに調製された反応緩衝液で基質MBPを調製した。
2) ERK2キナーゼを上記のMBP溶液に加え、穏やかに混合した。
3) 超音波技術(Echo550;ナノリットル範囲)を利用して、100%のDMSOに溶解した化合物をキナーゼ反応系に加え、室温で20分間インキュベートした。
4) 33P-ATP(特定の濃度10μCi/μL)を反応系に加え、この時点で反応を開始させた。
5) 室温で2時間インキュベートした。
6) フィルター結合法により、放射線量を測定した。
7) 対照群(ジメチルスルホキシド処理)のキナーゼ活性に対する試験サンプル中の残りのキナーゼ活性の比として、ERK2キナーゼ活性を算出した。Prism(GraphPadソフトウェア)を使用して曲線をフィッティングし、IC50値を算出した。
【0122】
【0123】
結論:本発明の化合物は、より優れたERK2キナーゼに対する阻害活性を示す。
【0124】
実験例2.インビトロ細胞増殖阻害アッセイ:
1. 実験目的:
化合物のHT29腫瘍細胞の増殖に対する阻害能力を測定した。
【0125】
2. 化合物処理:
試験化合物を100%のDMSOに溶解して10mMのストック溶液を調製した。
【0126】
3. 実験の手順および方法:
1) 生物学的安全キャビンのUV光がオンにして、30分間カウントダウンした。
2) 37℃の水浴でRPMI1640培地およびトリプシンを予熱した。
3) UV照射終了後、生物学的安全キャビンを開け、予熱した培地、トリプシン、リン酸緩衝溶液(PBS)などをアルコールで拭き取り、生物学的安全キャビンに入れた。
4) HT29細胞をインキュベーターから取り出し、生物学的安全キャビンで古い培地を除去し、10mlのPBSを加え、穏やかに振とうし、PBSを除去した。
5) 予熱した0.25%トリプシン1.5mlを加え、トリプシンが底部の細胞を均一に覆ったように培養フラスコを水平に振とうし、インキュベーターに2分間放置した。
6) 完全培地で細胞の消化を停止し、細胞懸濁液をピペットで均一にし、カウントした。
7) 細胞計数の結果に従って、細胞懸濁液の密度をウェルあたり1500細胞に調整し、細胞懸濁液をウェルあたり50μlで播種した。
8) 化合物のストック溶液をDMSO溶液で段階希釈し、Tecanを使用して化合物を細胞プレートに加えた。
9) 化合物を添加した細胞プレートおよびCellTiterGloを室温で平衡化した後、25マイクロリットルのCellTiterGloを各ウェルに添加し、1~2分間振とうし、10分間静置した。次に、信号値を検出し、XL-Fitを使用してデータを分析し、各化合物のIC50を算出した。
【0127】
【0128】
結論:本発明の化合物は、より優れたHT29細胞の増殖に対する阻害活性を示す。
【0129】
実験例3.インビボDMPK研究:
マウスにおけるインビボDMPK研究
1. 実験目的:
雄のBALB/cマウスを試験動物として使用して、単回投与後、化合物の血中濃度を測定して、薬物動態学的挙動を評価した。
【0130】
2. 実験手順:
健康な成体雄BALB/cマウスを8匹選択し、静脈内投与群に4匹、経口投与群に4匹をそれぞれ割り付けした。試験化合物を、適切な量の静脈内投与群用溶媒(5%DMSO+95%(20% HP-β-CD))と混合し、ボルテックスし、超音波処理して、0.5mg/mLの透明な溶液を調製した。この透明な溶液をミクロポーラス膜で濾過した。試験化合物を、経口投与群用溶媒(5%DMSO+95%(20% HP-β-CD))と混合し、ボルテックスし、超音波処理して、0.3mg/mLの透明な溶液を調製した。マウスに、1mg/kgで静脈内投与または3mg/kgで経口投与した後、一定期間の全血を採取し、血漿を準備した。LC-MS/MS法で薬物濃度を分析し、Phoenix WinNonlinソフトウェア(Pharsight、USA)で薬物動態パラメーターを算出した。
注 DMSO:ジメチルスルホキシド;HP-β-CD:ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン。
【0131】
【0132】
注:Cmaxは最大濃度であり;F%は経口バイオアベイラビリティであり;DNAUC=AUCPO/Dose、AUCPOは経口曝露量であり、Doseは薬物用量であり;Vdssは分布容積であり;Clはクリアランスであり;T1/2は半減期であることを意味する。
【0133】
結論:本発明の化合物は、優れた経口曝露量およびバイオアベイラビリティを示す。
【0134】
実験例4.BALB/cヌードマウスのヒト結腸癌HCT116細胞の皮下異種移植腫瘍モデルにおけるインビボ有効性研究:
1. 実験目的:
ヌードマウスにおけるヒト結腸癌HCT-116細胞の皮下異種移植腫瘍モデルを使用して、WX007の抗腫瘍効果を評価した。
【0135】
2. 実験動物:
種:マウス
系統:BALB/cヌードマウス
週齢:6~8週齢
性別:雌
体重:17~23グラム
供給者:Laboratory Animal Management Department, Shanghai Institute for Biomedical and Pharmaceutical Technologies社
動物証明書番号:20180006020214
【0136】
3. 実験手順:
1) 実験細胞および培養:ヒト結腸癌HCT-116細胞を、インビトロ、単層で培養した。培養の条件は、10%ウシ胎児血清を加えたMcCoy’s 5a培地、37℃、5%CO2インキュベーターであった。トリプシン-エチレンジアミン四酢酸による通常の消化処理を週に3回実施し、継代を行った。細胞の飽和度が80%~90%になり、数が要求に満たした際に、細胞を収集し、カウントし、播種した。
【0137】
2) 腫瘍組織の接種および群分け:0.2mL(5×10
6個)のHCT-116細胞を、各マウスの右脇の下に皮下接種した。腫瘍の平均体積が149mm
3に達した際に、動物をランダムで2群に分け、投与を開始した。実験の群分けおよび投与レジメンを表5に示す。
【表5】
【0138】
3) 実験動物の毎日の観察:本実験のプロトコル方案の設計および変更は、実験動物管理と使用委員会(IACUC)によって承認された。実験動物の使用と福祉は、国際実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)の規則に従って実施された。動物の健康状態および死亡を毎日モニターした。定期検査には、例えば、腫瘍の成長の観察、および行動活動、餌と水の摂取量(目視検査のみ)、体重の変化(週に2回の体重測定)、外観の兆候またはその他の異常状況などの動物の日常の行動に対する薬物治療の影響が含まれた。各群の動物数に基づいて各群における動物の死亡数と副作用を記録した。
【0139】
4) 試験化合物の調製
a) 溶媒群:コーン油。
b) 試験化合物群:定量の試験化合物を瓶に秤量し、対応する体積のコーン油を添加した後、ボルテックスして透明な溶液を得た。化合物は週に一回調製された。
【0140】
5) 腫瘍の測定および実験の指標:
a) ノギスを用いて腫瘍直径を週に2回測定した。腫瘍体積の計算式は、TV=1/2×a×b2であり、ここで、aおよびbは、それぞれ腫瘍の腫瘍の長径および短径を表す。
b) 化合物の腫瘍阻害効果は、TGI(%)によって評価された。TGI(%)は、腫瘍増殖の阻害率を反映する。TGI(%)は次のように計算された。TGI(%)={[1-(ある処理群における投与終了時の平均腫瘍体積-この処理群における投与開始時の平均腫瘍体積)]/(溶媒対照群における治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群における治療開始時の平均腫瘍体積)}×100%。
【0141】
4. 実験結果:
1) 表6および
図1に示されるように、ヌードマウスにおけるヒト結腸癌HCT-116細胞の皮下異種移植腫瘍モデルにおいて、18日目まで経口投与された場合、15mg/kgのWX007の投与群は、腫瘍増殖に対する明らかな抑制効果を示し、TGIが62%である。
2) 実験動物の体重を、薬物の毒性を間接的に測定する参照指標として使用した。
図2に示されるように、18日目まで投与された場合、溶媒対照群および15mg/kgのWX007の投与群のすべての動物は、体重が有意に減少せず、発症や死亡が認められなかった。
【表6】
【0142】
結論:本発明の化合物は、腫瘍の成長を明らかに阻害することができる。また、投与中、動物の体重の大幅な減少は見られず、忍容性は良好である。