(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】描画支援装置、描画支援方法、描画物製造方法
(51)【国際特許分類】
B43L 13/10 20060101AFI20230807BHJP
G09B 11/10 20060101ALI20230807BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
B43L13/10 L
G09B11/10 Z
G03B21/00 Z
(21)【出願番号】P 2023031422
(22)【出願日】2023-02-10
【審査請求日】2023-02-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年9月13日に、富山県立富山工業高等学校(富山県富山市五福2238)A棟2階E32教室において行われた、北陸中日新聞社および北日本新聞社に対する会見にて発表。当該会見における取材内容に基づき、令和4年9月16日、および令和4年10月6日に新聞にて発表。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年10月7日に、発明学会ビル3階ホール(東京都新宿区余丁町7番1号)において行われた、第26回身近なヒント発明展にて発表。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年10月22日に、富山市民プラザ2階アートギャラリー(富山県富山市大手町6番14号)において行われた、第60回富山県発明とくふう展にて発表。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年12月23日に、富山県立富山工業高等学校(富山県富山市五福2238)A棟2階E32教室において行われた、北陸中日新聞社および北日本新聞社に対する会見にて発表。当該会見における取材内容に基づき、令和4年12月24日、および令和5年1月11日に新聞にて発表。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年2月6日に、富山県立富山工業高等学校(富山県富山市五福2238)E棟3階大講義室において行われた、令和4年度電気工学科課題研究発表会にて発表。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523071341
【氏名又は名称】中村 朋愛
(73)【特許権者】
【識別番号】523071352
【氏名又は名称】神谷 依央織
(72)【発明者】
【氏名】中村 朋愛
(72)【発明者】
【氏名】神谷 依央織
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-073399(JP,A)
【文献】登録実用新案第3118502(JP,U)
【文献】特開2020-013200(JP,A)
【文献】特開2006-113424(JP,A)
【文献】特開2011-170138(JP,A)
【文献】特開2009-198842(JP,A)
【文献】特開2005-293290(JP,A)
【文献】特開2005-287339(JP,A)
【文献】特開2020-091341(JP,A)
【文献】特開平09-016071(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101676058(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 13/10
G09B 11/00
G03B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被描画対象の投影像を被投影体に投影する投影部を備え、前記被投影体に前記被描画対象を描く支援をする描画支援装置において、
前記投影部は、前記投影像の輪郭を形成する輪郭像と、前記輪郭とは異なり、前記投影像の内部を形成する内部像とのうち、
前記内部像の少なくとも一部を減光し、前記輪郭像を間欠的に形成した間欠像を前記被投影体に投影することを特徴とする描画支援装置。
【請求項6】
被描画対象の投影像を被投影体に投影し、前記被投影体に前記被描画対象を描く支援をする描画支援方法において、
前記投影像の輪郭を形成する輪郭像と、前記輪郭とは異なり、前記投影像の内部を形成する内部像とのうち、
前記内部像の少なくとも一部を減光し、前記輪郭像が間欠的に形成された間欠像を準備することと、
前記間欠像を前記被投影体に投影することと、
を特徴とする描画支援方法。
【請求項7】
被描画対象が描かれた物体を製造する描画物製造方法において、
前記被描画対象の画像データを準備する工程と、
前記被描画対象の投影像の輪郭を形成する輪郭像と、前記輪郭とは異なり、前記投影像の内部を形成する内部像とのうち、
前記内部像の少なくとも一部を減光し、前記輪郭像が間欠的に形成された間欠像を準備する工程と、
前記間欠像を前記物体に投影する工程と、
を備える描画物製造方法。
【請求項8】
被描画対象が描かれた物体を製造する描画物製造方法において、
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の描画支援装置を用いて、前記間欠像を前記物体に投影する工程を備える描画物製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画支援装置、描画支援方法、描画物製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
私たちは、高校3年次に行う課題研究で「電気のちからで学校生活を便利にしよう」というテーマで、高校生独自の視点で新しい製品の開発に取り組んできた。学校生活や部活動などにおける課題や問題点をブレーンストーミングで出し合い、KJ法で課題や問題点を分類・整理して、その解決策となる技術製品の開発を検討した。その中で、就職や進学をするために、工業高校生が履歴書や入学願書に直筆で文字を書かなければならず、文字が汚い生徒にとって、何度も書き直しになったり、先生に怒られたりして、多大な時間と苦労を伴うことに気付いた。実際に、電気工学科の生徒160名を対象にアンケート調査を行った結果、約55%の生徒が文字をきれいに書くことができないと回答した。
【0003】
同様に、絵をきれいに描くことができるかと質問した結果、約75%の生徒が絵をきれいに描けないと解答したのに対して、約61%の生徒が絵をきれいに描けると得だ、約50%の生徒がきれいな絵を描けるようになりたいと回答した。すなわち、友達や先生に自分の考えを説明するときに絵を描いて説明することが求められ、きれいな絵が描けると自分の考えが相手に伝わりやすくなることを実体験として感じていることが明らかになった。
【0004】
そこで、きれいな絵を描く方法として、書類の下に、印字された紙を敷いてなぞる方法や書類の下から紙を電灯で照らしてなぞる方法がある。(例えば、特許文献1、2)また、書類の上からプロジェクターで映像を投影してなぞる方法がある。(例えば、特許文献3、4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭54-029221号公報
【文献】特開2001-100629号公報
【文献】実用新案登録第3026287号公報
【文献】特開2011-170138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、書類の下に印字された紙を敷いてなぞる方法や書類の下から紙を電灯で照らしてなぞる方法では、書いている途中に書類と紙がずれて上手く書けないし、ノートや画用紙などの厚みのある書類には、光が透けないのでなぞり書きすることができない。また、プロジェクターで書類の上から映像を投影する方法では、投影光が書類に反射して目に入ってしまって眩しくて書けないし、投影像がチカチカして目が痛い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
被描画対象の投影像を被投影体に投影する投影部を備え、被投影体に被描画対象を描く支援をする描画支援装置において、投影部は、投影像の輪郭を形成する輪郭像と、輪郭とは異なり、投影像の内部を形成する内部像とのうち、内部像の少なくとも一部を減光し、輪郭像を間欠的に形成した間欠像を被投影体に投影することを備える。
【0008】
被描画対象の投影像を被投影体に投影し、被投影体に被描画対象を描く支援をする描画支援方法において、投影像の輪郭を形成する輪郭像と、輪郭とは異なり、投影像の内部を形成する内部像とのうち、内部像の少なくとも一部を減光し、輪郭像が間欠的に形成された間欠像を準備することと、間欠像を被投影体に投影することと、を備える。
【0009】
被描画対象が描かれた物体を製造する描画物製造方法において、被描画対象の画像データを準備する工程と、被描画対象の投影像の輪郭を形成する輪郭像と、輪郭とは異なり、投影像の内部を形成する内部像とのうち、内部像の少なくとも一部を減光し、輪郭像が間欠的に形成された間欠像を準備する工程と、間欠像を物体に投影する工程と、を備える描画物製造方法。
【0010】
被描画対象が描かれた物体を製造する描画物製造方法において、被描画対象の投影像を被投影体に投影する投影部を備え、被投影体に被描画対象を描く支援をする描画支援装置であって、投影部は、投影像の輪郭を形成する輪郭像と、輪郭とは異なり、投影像の内部を形成する内部像とのうち、内部像の少なくとも一部を減光し、輪郭像を間欠的に形成した間欠像を被投影体に投影する描画支援装置を用いて、間欠像を物体に投影する工程を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、被描画対象をきれいに描くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施例における描画支援装置DS1の正面図である。
【
図2】本発明の第1実施例における描画支援装置DS1の側面図である。
【
図4】描画支援装置DS1の第1の投影モードMD1を示す図である。
【
図5】描画支援装置DS1の第2の投影モードMD2を示す図である。
【
図6】描画用アプリAPPのフローチャートを示す図である。
【
図7】第1の投影モードMD1で被投影体OBに絵を投影した上面図である。
【
図8】第2の投影モードMD2で被投影体OBに絵を投影した上面図である。
【
図9】生徒が描画支援装置DS1を使用している図である。
【
図10】生徒が投影像PIをなぞり書きしている図である。
【
図11】描画支援装置DS2の投影部PJ2のブロック図である。
【
図12】描画支援装置DS3の投影部PJ3のブロック図である。
【
図13】描画支援装置DS4における投影モードの時間経過を示した図である。
【
図14】描画支援装置DS5における投影モードを示した図である。
【
図15】うさぎの絵の手元部分が拡大された図である。
【
図16】第3の投影モードMD3で被投影体OBに絵を投影した上面図である。
【
図17】第4の投影モードMD4で被投影体OBに間欠像DLを投影した上面図である。
【
図18】第5の投影モードMD5で被投影体OBに間欠像DLを投影した上面図である。
【
図19】本発明の描画支援方法DS8の流れ図である。
【
図20】本発明の描画物製造方法DS9で製造した描画物の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施例における描画支援装置DS1は、
図1に示されるように、投影部PJ1と、支持部SSとを備える。描画支援装置DS1は、被描画対象の投影像PIを被投影体OBに投影して、ユーザがその投影像PIをなぞり書きするだけで、被描画対象をきれいに描けるように支援する装置である。被描画対象とは、イラストや写真などの絵、ひらがなや漢字などの文字、ロゴ、キャラクター、施術マークなどである。
【0014】
本発明の描画支援装置DS1を用いることで、ユーザが被描画対象をきれいに描けたり、ユーザが被描画対象をきれいになぞれたり、人間味のある質感できれいな被描画対象が描けたり、被描画対象を描く動作によってユーザの脳細胞を刺激して脳機能を向上させたり、手や腕を動かすリハビリによってユーザの身体機能を回復させたり、ユーザのストレスを緩和してリラックスさせたり、ユーザの自己肯定感を向上させたりすることができる。
【0015】
図2には、描画支援装置DS1の側面図が示されている。投影部PJ1は、投影光PLを被投影体OBに照射することにより、被描画対象の投影像PIを被投影体OBに投影するプロジェクター装置である。支持部SSは、伸縮可能なスライド支柱部3と、スライド支柱部3の角度を変える傾斜可動部4と、投影部PJ1の位置を維持するための支持脚部5とで構成される。支持部SSは、投影像PIが被投影体OBに投影されるように、投影部PJ1の位置や角度の変更、投影領域の画角やサイズの調整、投影領域の台形補正などを行うことができる。被投影体OBは、ノート、画用紙、描画用紙などの平面状の物や、ボール、お茶碗、コップなどの立体状の物や、腕、足、顔、体などの人体であり、ユーザが描きたい被投影体OBを自由に選ぶことができる。
【0016】
図3には、投影部PJ1のブロック図が示されている。投影部PJ1は、投影光PLを照射する投光部U11と、投影光PLの投影条件や絵の画像データなどを処理する中央処理装置U12と、被描画対象の画像データが記憶されたメモリU13と、電力を供給するモバイルバッテリ-U14と、被描画対象の画像データを描画に適した画像に変換する描画用アプリAPPと、を備える。
図3の各ユニット間に設けられる矢印は、各ユニット間の電力や情報のやり取りを示すものの一例である。
【0017】
中央処理装置U12は、投影条件の変更や描画用アプリAPPによる画像変換などを処理する装置である。例えば、Raspberry-PiやArduinoなどのマイコンボードである。中央処理装置U21は、ユーザからの入力信号や投光部U11の状態を踏まえて、投光部U11から照射される投影光PLの投影条件を変更する。投影条件とは、投影光PLの光量、投影領域の画角、形状、サイズ、台形補正、投影像PIの投影時間、投影間隔、投影順番などである。また、中央処理装置U12は、描画用アプリAPPを用いてメモリU13に保存された画像データを描画に適した画像に変換する。
【0018】
描画用アプリAPPは、被描画対象の画像データを描画に適した画像に変換するプログラムを有する。描画用アプリAPPは、画像データを受信すると、画像データを変換して、第1の投影モードMD1、第2の投影モードMD2、第3の投影モードMD3などの投影モードMDのデータを制作する。また、これらの投影モードMDを投影する時間、間隔、順番、光量等を調整して、ユーザが描画しやすいプログラムを制作する。すなわち、このプログラムは、これらの投影モードMDを投影する時間、間隔、順番、光量等を制御するプログラムであり、ユーザが描画しやすいような投影モードMDの投影時間、間隔、順番、光量等で投影像を投影するように構成され、メモリU13に記憶されている。
【0019】
図4には、第1の投影モードMD1で被投影体OBに投影された投影像PIの上面図が示されている。被描画対象として、笑顔のマークの絵を投影する場合の一例について説明する。第1の投影モードMD1では、絵の投影像PIが被投影体OBにそのまま投影されている。例えば、カラーの絵の場合、被投影体OBにはそのカラーで投影されている。また、白や黒の無彩色の絵の場合、被投影体OBにはその無彩色で投影されている。なお、被投影体OBに投影された投影像PIには、絵の輪郭を形成する輪郭像OLと、輪郭とは異なり、絵の内部を形成する内部像ILとが含まれる。
【0020】
背景BGには黒色が用いられる。黒色を用いることにより、被投影体OBから反射される光を抑制することができるので、ユーザが被投影体OBを見たときのまぶしさが抑制され、投影像PIが視認しやすくなる。なお、投影光PLを減光することは、黒色を用いることを含む。なぜならば、投光部PJ1のバックライトを減光することや投光部PJ1の遮光フィルタ-でバックライトを遮光することで、投影光PLを暗くして、黒色を表現することができるからである。また、投影像PIに対して背景BGの光量が減光されていれば、ユーザは投影像PIを視認しやすくなる。なお、背景BGに黒色以外の色を用いても良い。
【0021】
図5には、第2の投影モードMD2で被投影体OBに投影された投影像PIの上面図が示されている。第1の投影モードMD1とは異なり、絵の内部像ILと輪郭像OLの少なくとも一方が調光され、輪郭像OLの部分には、輪郭像OLが間欠的に形成された間欠像DLが投影されている。輪郭像OLと内部像ILとの少なくとも一方を調光するとは、輪郭像OLのみを調光すること、内部像ILのみを調光すること、輪郭像OLと内部像ILとの両方を調光することを含む。また、調光するとは、照度を変えること、光量を変えること、色彩を変えること、光の波長を変えること、投影光PLの投影領域を変えること、輪郭像OLに対して内部像ILの照度を低下すること、内部像ILに対して輪郭像OLの照度を増加させること等を含む。すなわち、ユーザが間欠像DLを視認しやすいように、内部像ILから反射される光によるまぶしさが抑制されていれば良い。
【0022】
内部像ILは、間欠像DLに対して眩しさが抑制させて投影される。例えば、内部像ILは、間欠像DLに対して照度が低下され、黒色で投影される。これによって、被投影体OBから反射される光を抑制することができるので、ユーザは輪郭を視認しやすく、輪郭をきれいに書くことができる。なお、内部像ILの少なくとも一部を減光することとは、内部像ILの全部または一部の領域を減光することであり、内部像ILの照度を低下させること、内部像ILを黒色で投影すること、内部像ILを遮光することを含む。また、内部像ILは、黒色以外の色を用いて投影しても良い。
【0023】
間欠像DLは、輪郭像OLが間欠的に形成された像である。例えば、ドット、破線、三角形、四角形などの間欠要素DEで輪郭像OLに沿って形成される。間欠像DLの色は、輪郭像OLの色に応じて設定される。例えば、輪郭像OLが黄色で投影される場合には間欠像DLも黄色で投影され、輪郭像OLが黒色で投影される場合には白色で投影される。特に、白色は、背景BGに用いられる黒色の反対色であるため、ユーザは輪郭を視認しやすい。なお、間欠像DLの色には、輪郭像OLの補色などの様々な色を用いて投影して良い。また、間欠像DLは、絵の輪郭に幅がなく複数の領域を分ける境界線が生じている場合には、その境界線上に形成される。
【0024】
間欠像DLを構成する間欠要素DEの大きさは、ユーザが視認してなぞりやすい大きさで形成されている。一例として、間欠要素DEの大きさは、被投影体OB上で1mm~3mmである。これによって、一般のユーザは間欠像DLをなぞりやすく、輪郭を書きやすい。また、他の例として、間欠要素DEの大きさは、被投影体OB上で2mm~5mmである。これによって、障がい者や高齢者などのユーザが間欠像OBを視認しやすく、輪郭をなぞりやすい。さらに、間欠要素DEの大きさは、筆記具の太さに応じて設定しても良く、筆記具の太さに対して2倍~6倍の大きさに設定する。例えば、筆記具が0.5mmの場合、間欠要素DEの大きさは1mm~3mm程度である。なお、間欠要素DEの大きさとは、間欠要素DEの直径、間欠要素DEの長さ、間欠要素DEの一辺の長さ、間欠要素DEの対角線の長さ等である。
【0025】
間欠像DLを構成する間欠要素DEの間隔は、ユーザが視認してなぞりやすい大きさで設定されている。一例として、間欠要素DEの間隔は、被投影体OB上で2~30mmである。これによって、ユーザは間欠像DLをなぞりやすく、輪郭を書きやすい。また、間欠要素DEの間隔は、間欠要素DEの大きさに応じて設定しても良く、間欠要素DEの大きさに対して1.5倍~10倍の大きさに設定する。例えば、間欠要素DEの大きさが2mmの場合、間欠要素DEの間隔は3mm~20mm程度である。
【0026】
なお、間欠像DLを構成する間欠要素DEの大きさや間隔は、投影像PIの大きさ、投影像PIの複雑さ、輪郭像OLの密度、投影領域の大きさ、被投影体OBの大きさなどに応じて設定しても良い。もちろん、ユーザの意志で自由に設定できるようにしても良い。
【0027】
図6には、描画用アプリAPPで第2の投影モードMD2に変換するプログラムのフローチャートの一例が示されている。描画用アプリAPPのプログラムは、中央処理装置U12で実行される。中央処理装置U12は、必要に応じてメモリU13との間で画像データを送受信することで、描画用アプリAPPのプログラムを実行する。
【0028】
開始処理ST11では、プログラムのフローが開始される。第1処理P11では、絵の画像データを入力または受信して、画像変換を行う画像データを認識する。第2処理P12では、画像データを輪郭画像と内部画像とに分離して、輪郭画像は第3処理P13に、内部画像は第4処理P14に移行させる。なお、輪郭画像と内部画像を分離することとは、必ずしも物理的に分離する必要はなく、それぞれの画像を変換しやすいように区別できれば良い。また、絵の輪郭を、絵の境界線を中心に間欠像DLを構成する間欠要素DEの大きさ程度抽出して、輪郭画像としても良い。
【0029】
第3処理P13では、輪郭画像を間欠的に表示された間欠画像に変換する。例えば、間欠画像として、ドットや破線等の間欠要素DEで構成された画像に変換する。その後、第5処理P15に移行させる。なお、第3処理P13において、間欠画像が調光されていても良い。一方、第4処理P14では、被投影体OBに投影した際に内部画像が調光されるように内部画像を変換する。例えば、内部画像は、内部画像の光量を低下させた画像や、内部画像を黒色に変換した画像などに変換される。その後、第5処理P15に移行させる。なお、第3処理P13において、輪郭画像が調光される場合には、第4処理P14では、内部画像を変換しなくても良い。すなわち、第4処理P14を省略しても良い。
【0030】
第5処理P15では、間欠画像と内部画像とを合わせた第2の投影モードMD2を制作する。なお、第5処理P15では、間欠画像と内部画像とを物理的に合わせる必要はなく、被投影体OBに投影した際に合っていればよい。第6処理P16では、制作された第2の投影モードMD2を出力または送信する。例えば、中央処理装置U12によりメモリU13に保存される。そして、終了処理ED11で、プログラムのフローが終了される。以上により、第2の投影モードMD2で投影される画像データが制作される。この描画用アプリAPPを「絵師トレ」と呼ぶ。
【0031】
これによって、輪郭像OLまたは内部像ILが調光されているので、ユーザは絵の輪郭をきれいに書くことができる。また、被投影体OBから反射される光が抑制されて、ユーザが輪郭を書きやすくなる。さらに、内部像ILによる光のちらつきを抑制して、ユーザは輪郭を書くことができる。
【0032】
また、絵の輪郭を書こうとすると、ユーザは投影像PIと被投影体OBとの間をなぞるため、光の明るい部分と暗い部分を行き交うことになり、絵の輪郭をユーザが明確に識別して書くことが難しい。さらに、投影像PIと被投影体OBの境界は線状に形成されるため、輪郭を書くときに、境界線からはみ出てしまい、うまく輪郭を書くことができない。
【0033】
これに対して、第2の投影モードMD2で投影することによって、輪郭が点状に形成されるため、ユーザは点と点をつなぐことできれいな輪郭を書くことができる。また、点と点を繋げば輪郭を書けるので、線からはみ出ることがなく、きれいに輪郭を書くことができる。
【0034】
これにより、ユーザは、きれいな絵を描くことができる。
【0035】
なお、描画用アプリAPPで第2の投影モードMD2に変換するプログラムの他の実施例として、次のフローでも実施することができる。初めに、絵の画像データを入力または受信して、画像変換を行う画像データを認識する。次に、絵の画像データの輪郭抽出処理を行い、輪郭画像を抽出する。例えば、輪郭抽出処理とは、輪郭のトレースにより輪郭を強調し、色調補正によって白黒に補正して、輪郭像OLとしての輪郭線を抽出する方法や、グレースケール化の後に、白黒の2値化処理によって輪郭抽出を行う方法などがある。そして、輪郭線を点線や破線などに置換することによって、第2の投影モードMD2の画像データを制作する。これによって、第2処理P12の画像分離を実行することなく、間欠像OLを形成することができる。
【0036】
図7には、実際に、生徒が描画支援装置DS1を使って、第1の投影モードMD1で被投影体OBに絵を投影したときの上面図が示されている。絵には様々な色が付いており、その投影像PIにも、それぞれ対応した色で投影されている。例えば、
図7に示されているウサギの絵の投影像PIには、うさぎのボディに白色CL1、人参の果肉部(根部)に赤色CL2、人参の葉っぱ(茎部)に緑色CL3、うさぎの頬にピンク色CL4が付けられている。なお、背景BGを黒色で投影している。
【0037】
図8には、実際に、生徒が描画支援装置DS1を使って、第2の投影モードMD2で被投影体OBに絵を投影したときの上面図が示されている。被投影体OBには、背景BGおよび内部像ILが黒色で、間欠像DLが白色で投影されている。これによって、ユーザが投影像PIを見ながら絵を描くときに、被投影体OBから反射される投影光PLによる眩しさが抑制され、ユーザが輪郭を書きやすくなる。すなわち、絵の内部像ILから反射された投影光PLがユーザの目に入って眩しく、内部像ILがチラチラと目に入ってくる影響を抑制することができる。
【0038】
以上により、ユーザは、輪郭を書くことに集中することができる。また、ユーザは、白色のドットをなぞるだけで、きれいに絵の輪郭を書くことができる。
【0039】
なお、描画支援装置DS1は、投影像PIと間欠像DLとを重ねて投影しても良い。これによって、ユーザは投影像PIで絵の全体像をイメージしながら、輪郭を書くことができる。また、描画支援装置DS1は、撮像素子を備え、ユーザが描きたい絵や物体の画像データを取得しても良い。これによって、ユーザが画像データを準備していなくてもその場で画像データを取得することができる。
【0040】
図9には、生徒が描画支援装置DS1を使用している様子が示されている。描画支援装置DS1は、コンパクトでスタイリッシュな装置であり、学校の机の上に設置して使用することができる。
図10には、描画支援装置DS1を使って、ノートに文字やイラストなどを投影し、生徒がその投影像PIをなぞっている様子が示されている。生徒は、描画支援装置DS1によって模範的な絵や文字が投影されているので、きれいな絵を描いたり、きれいな字を書いたりすることができる。すなわち、投影像をなぞるだけで、絵や文字をきれいに書くことができる。
【0041】
現在の高校生は、生まれながらにしてインターネットが普及している世代(いわゆるZ世代)であり、直筆で絵や文字を書く機会が少なく、きれいに文絵や文字を書くことができない。しかしながら、一般社会では、現代においても直筆で絵や文字を書くことが求められることがある。そこで、本発明の描画支援装置DS1を用いれば、誰でも簡単に、いつでもどこでも自由に、絵や文字をきれいに書くことができる。また、絵や文字を書く練習に使用することができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施例の描画支援装置DS2について述べる。なお、第1実施例と同様の構成については説明を省略する。描画支援装置DS2は、投影部PJ2とは異なる情報端末ITで描画用アプリAPPを実行させて、画像変換された画像データを投影部PJ2の中央処理装置U22に転送して投光部U21から投影させている。
【0043】
図11には、描画支援装置DS2の投影部PJ2のブロック図が示されている。投影部PJ2は、投影光PLを照射する投光部U21と、投影光PLの投影条件や絵の画像データなどを処理する中央処理装置U22と、情報端末ITとの間で無線通信可能な通信アダプターU23と、電力を供給するモバイルバッテリ-U24と、を備える。
図11の各ユニット間に設けられる矢印は、各ユニット間の電力や情報のやり取りを示すものの一例である。なお、破線の矢印は、無線での情報のやり取りを示す。
【0044】
情報端末ITは、絵の画像データが記憶されたメモリMEMOと、プログラムを実行する中央処理装置ICPUと、無線通信部WiFiとを備える。また、描画用アプリAPPがインストールされており、
図6に示されるフローチャートに沿って、絵の画像データが描画用の第2の投影モードMD2に変換される。例えば、情報端末ITとしては、スマートフォン、パソコン、タブレット型パソコン、リモコン端末、キーボード端末などである。
【0045】
投影部PJ2の中央処理装置U22は、通信アダプターU23と無線通信部WiFiとを介して、情報端末ITで制作された描画用の第2の投影モードMD2を受信する。また、中央処理装置U22は、投影部U21から投影光PLを射出して、第2の投影モードMD2で被投影体OBを投影する。すなわち、
図5に示されるように、絵の内部像ILと輪郭像OLの少なくとも一方が調光され、輪郭像OLの部分には、輪郭像OLが間欠的に形成された間欠像DLが投影されている。これによって、ユーザは、輪郭をきれいに書くことができ、きれいな絵を描くことができる。
【0046】
描画支援装置DS2は、投影部PJ2を小型化することができるので、シンプルで使いやすくなる。また、情報端末ITをインターネットに接続することにより、描きたい絵をインターネットで検索してメモリMEMOに保存できるので、すぐに描画用アプリAPPで画像変換して、投影部PJ2から投影することができる。これによって、描ける絵のバリエーションが増える。
【0047】
本発明の第3実施例の描画支援装置DS3について述べる。なお、第1実施例及び第2実施例と同様の構成については説明を省略する。描画支援装置DS3は、日常生活で使用しているスマートフォンなどの情報端末ITを活用して絵を投影させている。
【0048】
図12には、描画支援装置DS3の投影部PJ3のブロック図が示されている。投影部PJ3は、投影光PLを照射する投光部U31と、情報端末ITを保持する保持部U32とを備える。保持部U32に情報端末ITを設置して使用する。
図12の各ユニット間に設けられる矢印は、各ユニット間の電力や情報のやり取りを示すものの一例である。
【0049】
情報端末ITは、絵の画像データが記憶されたメモリMEMOと、プログラムを実行する中央処理装置ICPUとを備える。また、描画用アプリAPPがインストールされており、
図6に示されるフローチャートに沿って、絵の画像データが第2の投影モードMD2に変換される。
【0050】
情報端末ITの中央処理装置ICPUは、投影部PJ3の投光部U31と電気的又は電磁的に接続されており、投影部U31から投影光PLを射出して、第2の投影モードMD2で被投影体OBが投影される。すなわち、
図5に示されるように、絵の内部像ILと輪郭像OLの少なくとも一方が調光され、輪郭像OLの部分には、輪郭像OLが間欠的に形成された間欠像DLが投影されている。これによって、ユーザは、きれいに輪郭を書くことができ、絵をきれいに描くことができる。また、日常使用するスマートフォンなどの情報端末ITを設置して使用することができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0051】
次に、本発明の第4実施例の描画支援装置DS4について述べる。なお、第1実施例から第3実施例までと同様の構成については説明を省略する。描画支援装置DS4は、第1の投影モードMD1と、第2の投影モードMD2とを時間の経過に伴って切り替えて投影させている。
【0052】
図13には、第1の投影モードMD1と第2の投影モードMD2とを時間の経過に伴って投影したときの投影像PIの流れが示されている。初めに、時刻T1では、描画支援装置DS4は、第1の投影モードMD1で投影像PIを被投影体OBに投影する。これによって、ユーザは、これから描く絵の全体像を認識することができる。一例として、時刻T1は投影開始から1秒後であり、描画支援装置DS4は、第1の投影モードMD1を5秒間継続する。
【0053】
次に、時刻T2では、描画支援装置DS4は、第2の投影モードMD2で間欠像DLを被投影体OBに投影する。これによって、ユーザは、間欠像DLをたどるだけで、絵の輪郭をきれいに描くことができる。一例として、時刻T2は投影開始から6秒後や10秒後であり、描画支援装置DS4は、第2の投影モードMD2を15秒間継続する。
【0054】
時刻T3では、描画支援装置DS4は、ユーザが輪郭を描いている途中に、第1の投影モードMD1で投影像PIを短時間だけ被投影体OBに投影する。これによって、ユーザは、これから描こうとしている絵のイメージを再現することができる。一例として、時刻T3は投影開始から20秒後であり、描画支援装置DS4は、第1の投影モードMD1を1秒間継続する。
【0055】
時刻T4では、描画支援装置DS4は、第2の投影モードMD2で間欠像DLを被投影体OBに投影する。これによって、ユーザは、間欠像DLをたどるだけで、絵の輪郭をきれいに描くことができる。一例として、時刻T4は投影開始から25秒後であり、描画支援装置DS4は、第2の投影モードMD2を15秒間継続する。
【0056】
このように、第1の投影モードMD2と第2の投影モードMD2とを切り替えて投影することで、ユーザは絵の輪郭をきれいに書くことができる。また、輪郭を書いた後、色を付ける行程でも同様に、第1の投影モードMD2と第2の投影モードMD2とを切り替えて投影することで、ユーザは絵の色付けをすることができる。
【0057】
また、第1の投影モードMD2と第2の投影モードMD2とを切り替える間に、絵の投影像を投影しない行程を設ける。これによって、ユーザは被投影体OBに描かれている直筆の絵を把握することができる。また、現時点でどこまで描き進められているかを確認することができる。一例として、絵の投影像を投影しない投影行程を5秒間実行する。
【0058】
本発明の第5実施例の描画支援装置DS5について述べる。なお、第1実施例から第4実施例までと同様の構成については説明を省略する。描画支援装置DS5は、間欠像OLに色を付けて投影させている。
【0059】
図14には、第5実施例の描画支援装置DS5を用いて、第1の投影モードMD1で投影した投影像PI1と、第2の投影モードMD2で投影した投影像PI2と、第3の投影モードMD3で投影した投影像PI3とが示されている。
【0060】
投影像PI1には、笑顔のマークに、舌を出した部分A1が含まれる。この投影像PI1を、第2の投影モードMD2で間欠像DL2に変換して投影すると、部分A1が“舌”であるのか“開いた口”であるのかをユーザは認識することができない。
【0061】
そこで、第3の投影モードMD3では、部分A1の舌に対応する部分B1をカラーの間欠像DL3で投影する。これによって、部分B1が“開いた口”ではなく、“舌”であることをユーザが認識して、絵の輪郭を描くことができる。例えば、間欠像DL3のカラーは、舌の色に対応した赤色やピンク色等である。すなわち、絵の間欠像DLをカラーで表示させた第3の投影モードMD3を用いることで、複雑で煩雑な領域の輪郭をなぞり書きする場合であっても、各領域の輪郭を認識して書くことができ、絵をきれいに描くことができます。
【0062】
図15には、うさぎの絵の手元部分を拡大した間欠像DLが示されている。
図15(a)には、第2の投影モードMD2で投影した間欠像DL2、
図15(b)には、第3の投影モードMD3で投影した間欠像DL3が示されている。
図15(a)に示されるように、第2の投影モードMD2では、うさぎの手と人参の輪郭が同じ色で投影されているので、手と人参を区別して輪郭を書くことが難しい。手と人参の輪郭を繋げて書いてしまう。
【0063】
一方、
図15(b)に示されるように、第3の投影モードMD3では、うさぎの手を構成する第1の間欠要素群DG1を白色CL1で投影し、人参を構成する第2の間欠要素群DG2を赤色CL2で投影し、人参の葉っぱを構成する第3の間欠要素群DG3を緑色CL3で投影している。すなわち、間欠像DLを構成する複数の間欠要素群DG1~DG3に互いに異なる色が付けられている。言い換えると、第3の投影モードMD3では、間欠像DLに少なくとも2種類以上の色が付けられている。これによって、うさぎの手と、人参と、人参の葉っぱとを区別して把握することができ、絵の輪郭をきれいに書くことができる。なお、第3の投影モードMD3の間欠像DL3の色は、輪郭で囲まれる領域の色、すなわち、輪郭像OLの内部の色を付けることにより、絵の特徴を反映させることができる。また、第3の投影モードMD3の間欠像DL3の色は、特に限定されず、様々な色が付けられても良い。
【0064】
図16には、実際に、描画支援装置DS5を使って、第3の投影モードMD3で被投影体OBに絵を投影したときの上面図が示されている。被投影体OBに投影される際の眩しさを抑制するために、背景BGを黒色で投影している。また、絵の投影像PIには様々な色が付いているので、第3の投影モードMD3で投影された間欠像DL3にも、白を含む様々な色が付いている。例えば、
図16に示されているウサギの絵の間欠像PI3には、ボディの輪郭に白色CL1、うさぎが持っている人参に赤色CL2、人参の葉っぱに緑色CL3、うさぎの頬にピンク色CL4が付いている。これによって、ユーザは、うさぎの輪郭を書いているのか、人参の輪郭を書いているのかを区別して、絵の輪郭をきれいに書くことができる。これによって、きれいな絵を描くことができる。
【0065】
本発明の第6実施例の描画支援装置DS6について述べる。なお、第1実施例から第5実施例までと同様の構成については説明を省略する。描画支援装置DS6は、間欠像OLに数字を付けて投影させている。
【0066】
図17には、描画支援装置DS6を用いて、第4の投影モードMD4で被投影体OBに投影した間欠像DLが示されている。描画支援装置DS6は、描画用アプリAPPにより、絵の画像データを受信すると、第4の投影モードMD4の画像データに変換する。第4の投影モードMD4では、間欠像DLに数字が付与された丸数字ENで輪郭が投影されている。これによって、ユーザは、丸数字ENの順番に沿って、輪郭を書くことができる。例えば、複雑な絵を描くときや、脳や手のリハビリに励むユーザにとっては、間欠像DLに数字は付与されていることによって、順を追って絵の輪郭を書くことができ、集中することができる。
【0067】
なお、
図17の部分A2の丸数字ENをカラーの間欠像DL3で投影することで、部分A2が“開いた口”ではなく、“舌”であることをユーザが認識して、絵の輪郭を描くことができる。例えば、間欠像DL3のカラーCLは、赤色やピンク色等である。すなわち、絵の間欠像DL3をカラーで表示させた第3の投影モードMD3を合わせて用いることで、複雑で煩雑な領域の輪郭をなぞり書きする場合であっても、各領域の輪郭を認識して書くことができ、絵をきれいに描くことができる。また、間欠像DLを構成する間欠要素DEの内部に数字が付けられる構成に限定されず、間欠要素DEの外部で、各間欠要素DEの近傍に数字が付けられても良い。
【0068】
以上により、きれいな絵を描くことができる。
【0069】
本発明の第7実施例の描画支援装置DS7について述べる。なお、第1実施例から第6実施例までと同様の構成については説明を省略する。描画支援装置DS7は、間欠像OLに沿って、スポットライトSLを移動させて投影させている。
【0070】
図18には、描画支援装置DS7を用いて、第5の投影モードMD5で被投影体OBに投影した間欠像DLが示されている。描画支援装置DS7は、描画用アプリAPPにより、絵の画像データを受信すると、第5の投影モードMD5の画像データに変換する。第5の投影モードMD5では、間欠像DLに重ねて、スポットライトSLを、輪郭に沿って移動させる。例えば、スポットライトSLは、黄色の点であり、間欠像DLよりも大きな点であり、間欠像DLの間欠要素DEの2~5倍等の大きさである。ユーザは、スポットライトSLの移動を目で追いながら、輪郭を書くことができる。これによって、ユーザは、絵の輪郭を書くことに集中することができる。
【0071】
なお、スポットライトSLは、間欠像DLと同じ色で大きな点でも良いし、赤やオレンジなど様々な色の点でも良い。また、スポットライトSLの移動がわかれば、間欠像DLを構成する間欠要素DEと同程度の大きさまたは間欠要素DEよりも小さくても良い。スポットライドSLの色は、白色、赤色、オレンジ色など様々な色を用いて投影して良い。スポットライドSLの形は、ドット、三角形、四角形などの様々な形状を用いて投影しても良い。スポットライトSLの速さも自由に設定しても良い。すなわち、ユーザの意志や目的に応じて自由に変更される。
【0072】
以上により、きれいな絵を描くことができる。
【0073】
次に、本発明の第8実施例における描画支援方法DS8について説明する。なお、第1実施例から第7実施例までと同様の構成については説明を省略する。本発明の描画支援方法DS8は、被描画対象の投影像PIを被投影体OBに投影して、ユーザがその投影像PIをなぞり書きするだけで、きれいな絵を描けるように支援する方法である。例えば、児童生徒などに絵を教える描画学習支援サービスや、障がい者や高齢者などに絵を描きながら脳トレやリハビリを行う医療福祉支援サービスに活用することができる。
【0074】
図19には、本発明の描画支援方法DS8の流れ図が示されている。初めに、開始フローST21で、描画支援のフローを開始する。
【0075】
第1フローP21では、被描画対象を準備する。第1フローP21では、支援者またはユーザが、中央処理装置CPUや情報端末ITのメモリMEMOに準備した絵の画像データを保存させる。例えば、支援者は、ユーザの目的やユーザに与える効果に応じて絵を準備する。準備する絵は、イラスト、人物画、漫画、風景画、写真、御経、詩集などである。
【0076】
第2フローP22では、被投影体OBを準備する。第2フローP22では、支援者またはユーザが、被投影体OBを投影光PLが照射される位置に設置させる。例えば、被投影体OBは、ノート、画用紙、イラスト紙などである。
【0077】
第3フローP23では、絵の間欠像DLを準備する。間欠像DLとは、絵の輪郭をドット状に形成した画像である。支援者またはユーザは、描画用アプリAPPを使って、絵の内部像ILと輪郭像OLとのうち、少なくとも一方が調光され、輪郭像OLの部分には、輪郭像OLが間欠的に形成された間欠像DLが投影される間欠像DLの画像を準備する。具体的には、支援者は、マイコンボード、スマートフォン、パソコンなどの中央処理装置CPUで描画用アプリAPPを実行することで、第1フローP21で準備した絵の画像データを第1の投影モードMD1、第2の投影モードMD2、第3の投影モードMD3等の描画に適した画像に変換する。また、支援者は、中央処理装置12または描画用APPの少なくとも一方により、投影モードMD1~MD3を含む投影モードMDを投影する時間、間隔、順番、光量等を調整することを含む。
【0078】
第4フローP24では、間欠像DLを被投影体OBに投影する。被投影体OBに間欠像DLが形成されることによって、ユーザは、絵の輪郭を視認することができる。また、内部像ILが減光されているので、ユーザは、反射光によるまぶしさが抑制され、絵の輪郭を見やすくなる。支援者またはユーザは、被投影体OBに形成された間欠像DLを確認して、中央処置装置CPUや情報端末ITを操作して、間欠像DLを調整しても良い。例えば、フォーカス、サイズ、光量、色彩等を調整する。
【0079】
第5フローP25では、ユーザに間欠像DLをなぞらせて、被投影体OBに絵の輪郭を書かせる。ユーザがきれいに間欠像DLをなぞり書きできるように、支援者は、ユーザのなぞり書きを見ながら、輪郭のなぞり方をアドバイスしても良い。ユーザは、被投影体OBに間欠像DLが投影されているので、きれいに絵の輪郭を書くことができる。
【0080】
第6フローP26では、被投影体OBに色付けをする。攴援者は、ユーザに対して、被投影体OBに色付けをさせる。第6フローP26では、適宜、絵の投影像PIを被投影体OBに投影する。投影像PIが被投影体OBに形成されることによって、ユーザは、絵の内部像ILの色を確認して、被投影体OBに色を付けることができる。また、支援者は、ユーザの描く様子を見ながら、絵の間欠像DLと投影像PIとを切り替えて用いることにより、ユーザが絵の輪郭の内部に色を付けやすくしても良い。また、被投影体OBに光を投影させずに、ユーザに被投影体OBの色付けをさせても良い。これによって、ユーザは、絵の輪郭の内部に色を付けることができる。なお、絵の内部像ILに有彩色がない場合や別の場所で色付けする場合などでは、第6フローP26を省略しても良い。
【0081】
最後に、終了フローED21で、描画支援のフローを終了する。なお、フローの順番は、ユーザの要望やプログラムの設計上、適宜変更しても良い。
【0082】
描画支援方法8は、手や腕などの体の一部に投影して、お化粧やボディーペイントなどに利用することができるので、インバウンド事業として海外からの観光客にも楽しんでもらったり、エンターテイメント・スポーツ事業として国内の方たちにも音楽ライブやスポーツ観戦などで活用してもらったりすることもできる。すなわち、描画支援方法8を活用したビジネスを実施して、人々の生活を豊かにし、喜んで使ってもらえるようなサービスに活用される。
【0083】
以上により、ユーザは、絵の輪郭を描くときに、投影像PIのまぶしさが抑制され、絵の輪郭をきれいに書くことができる。これによって、ユーザは、絵をきれいに描くことができる。
【0084】
次に、本発明の第9実施例における描画物製造方法DS9について説明する。なお、第1実施例から第8実施例までと同様の構成については説明を省略する。本発明の描画物製造方法DS9は、被描画対象の投影像PIを被投影体OBとしての物体に投影して、ユーザがその投影像をなぞり書きするだけで、絵が描かれた物体としての描画物を製造する方法である。
【0085】
描画物製造方法DS9の製造フローは、第8実施例の描画支援方法DS8と同様のフローで進められるため、
図19を用いて説明する。初めに、
図19に示されるように、開始工程ST21で描画物を製造するフローが開始される。
【0086】
第1工程P21では、物体に描く絵を準備する。第1工程P21では、製造業者またはユーザが、中央処理装置CPUや情報端末ITのメモリMEMOに準備した絵の画像データを保存させる。準備する絵は、製造業者またはユーザが持っている画像データ、情報端末ITでインターネット検索して保存した画像データ、カメラ等でその場で撮影した画像データ等である。例えば、絵としては、キャラクター、家紋、伝統的模様、人物画、漫画、風景画、記念写真などである。
【0087】
第2工程P22では、絵を描く物体を準備する。第2工程P22では、製造業者またはユーザが、物体を投影光PLが照射される位置に設置させる。例えば、物体として、コップやグラス、皿などの陶磁器、和紙、タオル、バッチ、伝統工芸品などである。第2工程P22では、物体をユーザが準備してもよいし、製造業者が準備しても良い。
【0088】
第3工程P23では、物体に描く絵の間欠像DLを準備する。製造業者またはユーザは、描画用アプリAPPを使って、絵の内部像ILと輪郭像OLとのうち、少なくとも一方が調光され、輪郭像OLの部分には、輪郭像OLが間欠的に形成された間欠像DLが投影される間欠像DLの画像を準備する。製造業者は、マイコンボード、スマートフォン、パソコンなどの中央処理装置CPUで描画用アプリAPPを実行することで、第1行程P21で準備した絵の画像データを第1の投影モードMD1、第2の投影モードMD2、第3の投影モードMD3等の描画に適した画像に変換する。また、製造業者は、中央処理装置12または描画用アプリAPPの少なくとも一方により、投影モードMD1~MD3を含む投影モードMDを投影する時間、間隔、順番、光量等を調整する。
【0089】
第4工程P24では、絵の間欠像DLを物体に投影する。物体に間欠像DLが形成されることによって、ユーザは、絵の輪郭を視認することができる。また、内部像ILが減光されているので、ユーザは、反射光によるまぶしさが抑制され、絵の輪郭を見やすくなる。製造業者またはユーザは、被投影体OBに形成された間欠像DLを確認して、中央処理装置CPUや情報端末ITを操作して、間欠像DLを調整しても良い。例えば、フォーカス、サイズ、光量、色彩等を調整する。
【0090】
第5工程P25では、ユーザに間欠像DLをなぞらせて、物体に絵の輪郭を書かせる。ユーザがきれいに間欠像DLをなぞり書きできるように、製造業者は、ユーザのなぞり書きを見ながら、輪郭のなぞり方をアドバイスしても良い。ユーザは、物体に間欠像DLが投影されているので、きれいに絵の輪郭を書くことができる。
【0091】
第6工程P26では、物体に色付けをする。製造業者は、ユーザに対して、物体に色付けをさせる。第6工程P26では、適宜、絵の投影像PIを物体に投影する。投影像PIが物体に形成されることによって、ユーザは、絵の内部像ILの色を確認して、物体に色を付けることができる。また、製造業者は、ユーザの描く様子を見ながら、絵の間欠像DLと投影像PIとを切り替えて用いることにより、ユーザが絵の輪郭の内部に色を付けやすくしても良い。また、物体に光を投影させずに、ユーザに物体の色付けをさせても良い。これによって、ユーザは、絵の輪郭の内部に色を付けることができる。なお、絵の内部像ILに有彩色がない場合や別の場所で色付けする場合などでは、第6工程P26を省略しても良い。
【0092】
終了工程ED21で、ユーザが物体に絵を描いた描画物を製造するフローが終了される。なお、フローの順番は、ユーザの要望やプログラムの設計上、適宜変更しても良い。
【0093】
以上により、ユーザが絵の輪郭を描くときに、投影像PIのまぶしさが抑制され、ユーザは絵の輪郭をきれいに書くことができる。観光で絵付け体験をした人や未熟な職人であっても、物体にきれいに絵を描くことができる。
【0094】
図20には、本発明の描画物製造方法DS9を用いて、製造した描画物の一例が示されている。
図20(a)には、ウサギの絵が描かれたマグカップ、(b)には、ウサギの絵が描かれたはがき、(c)には、ウサギの絵が描かれたスマホケース、(d)には、ウサギの絵が描かれたTシャツが示されている。例えば、ユーザとして個人や観光客などであり、観光業者が観光の思い出にオリジナルのお土産を作るための絵付け体験などで、描画物を製造することに活用される。
【0095】
また、描画物として伝統工芸品を製造する方法にも本発明の描画物製造方法DS9が用いられる。例えば、ユーザとして絵付け職人や作業員などであり、伝統的な模様やマークを付けるためのフローおよび成果物として製造することができる。
【0096】
本発明の第10実施例における描画物製造方法DS10は、物体に絵を描く工程を備え、絵を描く工程において、描画支援装置DS1~DS7のいずれか1つの装置を用いて絵を描く。絵を描く工程には、物体に絵の輪郭を書く工程が含まれる。これによって、描画支援装置DS1~DS7の活用分野が広がる。
【0097】
本発明の他の実施例として、情報端末ITがプロジェクター機能を備えていれば、情報端末ITに描画用アプリAPPをダウンロードして本発明を実施することができる。すなわち、描きたい絵を描画用アプリAPPで変換し、プロジェクター機能を使って被投影体OBに間欠像DLを投影すれば、ユーザはなぞり書きして絵の輪郭を書くことができる。例えば、情報端末ITをスタンドに設置して使用したり、片手で情報端末ITを持ちながら使用したりすることができる。これによって、情報端末ITだけで本発明を実施することができる。
【0098】
上述では、本発明の描画支援装置DSを被描画対象として絵を描く場合については説明したが、これに限定されず、被描画対象として文字を紙に書いたり、被描画対象として化粧を顔に施したり、被描画対象としてキャラクターを手に描いたりするために使用される。これによって、被描画対象をきれいに描くことができる。また、本発明の描画支援装置DSを医療機器として使用し、患者の幹部に手術や診断を行うための施術マークを投影させることにも使用される。これによって、被描画対象を丁寧に施術することができる。
【0099】
また、本発明は、幼児、小学生、中学生、高校生、大人、高齢者など様々な年齢のユーザが使用することができる。例えば、幼児や小学生が絵を描く練習をするための教育用描画支援、大人や高齢者の脳トレや機能回復に使用するリハビリ用描画支援、観光客がお土産やプレゼント用に絵を書き入れる絵入れ用描画支援、お化粧やタトゥーとして体の一部に絵を描くためのウェルビーイング用描画支援などに、本発明の描画支援装置、描画支援方法、描画物製造方法が活用できる。
【0100】
本発明の描画支援装置DSは、投影光PLを黒板に投影させて板書させたり、壁に投影させて絵を描いたりする場合にも用いることができる。その他にも、様々な用紙や物体に投影させて、絵を描いたり文字を書いたりする場合にも、投影光PLのまぶしさが抑制されて、ユーザは描画に集中でき、きれいに絵を描いたり文字を書いたりすることができるので、活用方法や将来性は計り知れない。
【0101】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施例で記載した範囲に限定されない。各実施例において、実施製品、実施場所、実施環境、実施種目、実施対象等によって、様々な改良や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。これらの変更または改良を加えた実施例も本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0102】
DS、DS1、DS2、DS3、DS4、DS5、DS6、DS7 描画支援装置
DS8 描画支援方法
DS9 DS10 描画物製造方法
PJ、PJ1 PJ2 PJ3 投影部
APP 描画用アプリ
SS 支持部
OB 被投影体
PL 投影光
PI、PI1、PI2、PI3 投影像
IL 内部像
OL 輪郭像
DL、DL2、DL3 間欠像
DE 間欠要素
DG 間欠要素群
EN 丸数字
SL スポットライト
BG 背景
IT 情報端末
MD、MD1 MD2 MD3 MD4 MD5 投影モード
【要約】
【課題】きれいな絵が描けない。
【解決手段】 被描画対象の投影像を被投影体に投影する投影部を備え、被投影体に被描画対象を描く支援をする描画支援装置において、投影部は、投影像の輪郭を形成する輪郭像と、輪郭とは異なり、投影像の内部を形成する内部像とのうち、少なくとも一方を調光し、輪郭像を間欠的に形成した間欠像を被投影体に投影することにより、被描画対象をきれいに描くことができる。
【選択図】
図8