(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】防水構造付き筐体
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20230808BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H05K5/03 B
(21)【出願番号】P 2019165771
(22)【出願日】2019-09-11
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000164483
【氏名又は名称】株式会社キューヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】林 秀美
(72)【発明者】
【氏名】福島 浩
(72)【発明者】
【氏名】野田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】百武 宏記
(72)【発明者】
【氏名】梶原 幸治
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-67054(JP,U)
【文献】実公昭53-43455(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側に開口する開口部を有する筐体本体の前記開口部を観音開き構造で塞ぐように前記筐体本体に第1及び第2の回転連結機構を介して取り付けられた第1の扉部材及び第2の扉部材と、
前記開口部の少なくとも上辺部と一対の側辺部に沿って一体に設けられて雨水を流す本体側樋部と、
前記本体側樋部の前記第1の扉部材及び前記第2の扉部材と対向する外側壁部上に取り付けられた本体側パッキンと、
前記第1の扉部材の前記第1の回転連結機構が設けられる辺とは反対側に位置する辺に設けられて上下方向に延びる第1の重合部と、
前記第2の扉部材の前記第2の回転連結機構が設けられる辺とは反対側に位置する辺に設けられて上下方向に延び且つ前記第1の重合部と第1のパッキンを介して重合される第2の重合部とを備えた防水構造付き筐体であって、
前記本体側パッキンは、前記外側壁部の上辺部に取り付けられた上辺パッキンと、下辺部に取り付けられた下辺パッキンと、前記第1の扉部材と対向する側方部に取り付けられた第1の側方パッキンと、前記第2の扉部材と対向する側方部に取り付けられた第2の側方パッキンとからなり、
前記第1の扉部材は、前記開口部を塞いでいる状態で、前記第1の重合部が前記上辺パッキンと前記下辺パッキンの間に位置し、且つ前記上辺パッキン、前記下辺パッキン及び前記第1の側方パッキンに直接押しつけられるように構成され、
前記第2の扉部材は、前記開口部を塞いでいる状態で、前記第2の重合部が前記上辺パッキンと前記
下辺パッキンの間に位置し、前記上辺パッキンに第2のパッキンを介して押し付けられ、前記下辺パッキンに直接、または下辺対向パッキンを介して押し付けられ、且つ、前記第2の側方パッキンに直接押し付けられるように構成され、
前記第1の扉部材の前記第1の重合部は、前記開口部を塞いでいる状態で、前記正面側に向かって開口し上下方向に延びる扉側樋部と、該扉側樋部の前記第1の回転連結機構とは反対に位置する縁部から前記第1の回転連結機構から離れる方向に延び且つ上下方向に延びる第1のフランジ部を備えており、
前記第2の扉部材の前記第2の重合部は、前記開口部を塞いでいる状態で、前記扉側樋部内に入り、前記正面と対向する背面側に向かって延び且つ上下方向に延びる直立壁部及び該直立壁部の前記背面側の端部から前記第2の回転連結機構が位置する側に延び且つ上下方向に延びる第2のフランジ部を備えており、
前記第1の扉部材及び第2の扉部材が前記開口部を塞いでいる状態で、前記第2のフランジ部は前記第1のパッキンを介して前記扉側樋部の底部に押しつけられており、前記第1のフランジ部は第3のパッキンを介して前記第2の扉部材の背面に押しつけられていることを特徴とする防水構造付き筐体。
【請求項2】
前記第1のパッキンは、前記扉側樋部の前記底部に固定されている請求項1に記載の防水構造付き筐体。
【請求項3】
前記第3のパッキンは、前記第2の扉部材の前記背面に固定されている請求項1または2に記載の防水構造付き筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水構造付き筐体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外に電気機器を設置する際、雨水等から保護するため、防水構造付きの筐体内に構成部品を収納することが行われている。防水構造付き筐体は、正面側に開口部を有し、開口部に開閉扉を有する直方体形状であることが一般的である。開閉扉として、2枚の扉部材で構成された両開き構造の一形態である、いわゆる観音開き構造を採用する場合、防水構造を構成するために、開口部の中央付近に2枚の扉部材と接触するピラー(柱・pillar)を有することが多い。しかしながら、電気機器は柱上に設置されることもあり、設置スペースが狭いため、扉の開閉スペースや、内部に収納した機器のメンテナンス性を考慮して、ピラーを有さないピラーレス構造の開発が求められている。
【0003】
例えば、実公平6-36624号公報(特許文献1)に開示されている筐体は、ピラーを有さないピラーレス構造である。筐体本体と、第1の扉部材及び第2の扉部材の重なり合う部分(重合部分)を防水構造にするため、横方向に延びる筐体本体上部(及び下部)のパッキン(11)と、上下方向に延びる扉のパッキン(14)が中央部分(符号4の位置)で交差している。この構造にするため、筐体本体の壁部に凹部が設けられており、横方向に延びるパッキンも、この凹部に沿って凹んで取り付けられている。また、第1の扉部材の重合部と第2の扉部材の重合部は、パッキン(14)を介して互いに押し付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の筐体の場合、筐体本体の壁部に凹部が設けられ、パッキンもこれに沿うように取り付けられていることから、パッキンの取り付け作業の難易度が高い。また、取り付けられても、経年によって、パッキンが外れやすい。
【0006】
また、特許文献1に記載の構造の場合、第1の扉部材及び第2の扉部材の重合部分に加わる力は、ドアノブによる締め付けによる力のみである。パッキン(14)のみでは、パッキン(14)を乗り越えて筐体内に雨水が浸入することがある。
【0007】
本発明の目的は、筐体本体の壁部に凹部を設ける必要のない防水構造付き筐体を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、扉部材の重合部から筐体内に雨水が浸入しない防水構造付き筐体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、正面側に開口する開口部を有する筐体本体の開口部を観音開き構造で塞ぐように筐体本体に第1及び第2の回転連結機構を介して取り付けられた第1の扉部材及び第2の扉部材と、開口部の少なくとも上辺部と一対の側辺部に沿って一体に設けられて雨水を流す本体側樋部と、本体側樋部の第1の扉部材及び第2の扉部材と対向する外側壁部上に取り付けられた本体側パッキンと、第1の扉部材の第1の回転連結機構が設けられる辺とは反対側に位置する辺に設けられて上下方向に延びる第1の重合部と、第2の扉部材の第2の回転連結機構が設けられる辺とは反対側に位置する辺に設けられて上下方向に延び且つ第1の重合部と第1のパッキンを介して重合される第2の重合部とを備えた防水構造付き筐体を対象にしている。
【0010】
本発明の防水構造付き筐体の本体側パッキンは、外側壁部の上辺部に取り付けられた上辺パッキンと、下辺部に取り付けられた下辺パッキンと、第1の扉部材と対向する側方部に取り付けられた第1の側方パッキンと、第2の扉部材と対向する側方部に取り付けられた第2の側方パッキンとからなる。
【0011】
そして、第1の扉部材は、開口部を塞いでいる状態で、第1の重合部が上辺パッキンと下辺パッキンの間に位置し、且つ上辺パッキン、下辺パッキン及び第1の側方パッキンに直接押しつけられるように構成され、第2の扉部材は、開口部を塞いでいる状態で、第2の重合部が上辺パッキンと下辺パッキンの間に位置し、上辺パッキンに第2のパッキンを介して押し付けられ、下辺パッキンに直接、または下辺対向パッキンを介して押し付けられ、且つ、第2の側方パッキンに直接押し付けられるように構成されている。このように構成されていることで、筐体本体の壁部に凹部を設ける必要がない。
【0012】
さらに、本発明では、第1の扉部材の第1の重合部は、開口部を塞いでいる状態で、正面側に向かって開口し上下方向に延びる扉側樋部と、該扉側樋部の第1の回転連結機構とは反対に位置する縁部から第1の回転連結機構から離れる方向に延び且つ上下方向に延びる第1のフランジ部を備えており、第2の扉部材の第2の重合部は、開口部を塞いでいる状態で、扉側樋部内に入り、正面と対向する背面側に向かって延び且つ上下方向に延びる直立壁部及び該直立壁部の背面側の端部から第2の回転連結機構が位置する側に延び且つ上下方向に延びる第2のフランジ部を備えている。
【0013】
そして第1の扉部材及び第2の扉部材が開口部を塞いでいる状態で、第2のフランジ部は第1のパッキンを介して扉側樋部の底部に押しつけられており、第1のフランジ部は第3のパッキンを介して第2の扉部材の背面に押しつけられている。
【0014】
このように構成されているため、開口部中央付近にピラー(柱)が無くても、第1の扉部材と第2の扉部材により、第2のフランジ部と第1のパッキンによる1つ目の防水構造と、第1のフランジ部と第3のパッキンによる2つ目の防水構造の二重の防水構造が構成されているため、筐体内に雨水が浸入することがない。
【0015】
第1のパッキンは、扉側樋部の底部に固定されていることが好ましい。また、第3のパッキンは、第2の扉部材の背面に固定されていることが好ましい。このようにすれば、パッキンを固定しやすく、また、扉部材を閉める際に、フランジ部をパッキンに押し付けやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)は、本実施の形態の一例である防水構造付き筐体の正面図であり、(B)は、平面図である。
【
図2】防水構造付き筐体の第1の扉部材と第2の扉部材を開いた状態を示す概略正面図である。
【
図3】防水構造付き筐体の第1の扉部材を閉じ、且つ、第2の扉部材を開いた状態を示す概略正面図である。
【
図4】第1の扉部材と第2の扉部材を閉める際の
図1に示したIV-IV線断面図である。
【
図5】第1の扉部材と第2の扉部材を閉める際の
図1に示したV-V線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の防水構造付き筐体の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1(A)は、本実施の形態の一例である防水構造付き筐体の正面図であり、(B)は、平面図である。
図2は、防水構造付き筐体の第1の扉部材と第2の扉部材を開いた状態を示す概略正面図であり、
図3は、防水構造付き筐体の第1の扉部材を閉じ、且つ、第2の扉部材を開いた状態を示す概略正面図である。
図4は、第1の扉部材と第2の扉部材を閉める際の
図1に示したIV-IV線断面図であり、
図5は、第1の扉部材と第2の扉部材を閉める際の
図1に示したV-V線断面図である。
【0019】
本実施の形態の防水構造付き筐体1は、
図1(A)及び(B)に示した筐体であり、電気機器を構成する機器を収納するものである。本実施の形態では、具体的には、系統の無効電力を補償することで系統電圧を安定させる電気機器である無効電力補償装置を構成する部品を収納している。本実施の形態では、
図2に破線で示すように、筐体内に無効電力補償装置を構成するインバータINVと、インバータINVを制御する制御部CTRとが収納される。
【0020】
防水構造付き筐体1は、筐体本体3と、第1の扉部材5と、第2の扉部材7とから構成されている。筐体本体3、第1の扉部材5、及び、第2の扉部材7は、剛性を有する金属製である。まず第1の扉部材5を閉じ、その後、第2の扉部材7を閉じることで筐体本体3の開口部を塞ぎ、この状態で締め付けハンドル8Aを操作することで第2の扉部材7を第1の扉部材5に対して締め付け係止することができる。
【0021】
〈筐体本体〉
図2に示すように、筐体本体3は、正面側に開口部9を有している。開口部9は、上辺部9Aと、一対の側辺部9B,9Cと、下辺部9Dを有している。側辺部9Bには、3つの第1の回転連結機構11を介して第1の扉部材5が取り付けられており、側辺部9Cには、3つの第2の回転連結機構13を介して第2の扉部材7が取り付けられている。第1の扉部材5及び第2の扉部材7は、開口部9を観音開き構造で塞ぐようになっている。筐体本体3の上壁部3Aには、筐体1を吊り下げて移動させる際に利用する吊り金具Hが取り付けられている。筐体本体3の底壁部3Bには、支持部Sが取り付けられている。
【0022】
開口部9の上辺部9Aと一対の側辺部9B,9Cには、雨水を流す本体側樋部15(15A,15B,15C)が、それぞれの辺部に沿って、一体に設けられている。本体側樋部15の第1の扉部材5及び第2の扉部材7と対向する外側壁部15a,15b,15c上、及び、下辺部9Dの下側壁部15dには、板状の合成ゴム製の本体側パッキン17が取り付けられている。
【0023】
本体側パッキン17は、外側壁部15aに取り付けられた上辺パッキン17Aと、第1の扉部材5と対向する外側壁部15bに取り付けられた第1の側方パッキン17Bと、第2の扉部材7と対向する外側壁部15cに取り付けられた第2の側方パッキン17Cと、下側壁部15dに取り付けられた下辺パッキン17Dからなり、開口部9を囲っている。本体側パッキン17は1つのパッキン部材によって一体に成形されていてもよいし、複数のパッキン部材によって構成されていてもよい。
【0024】
開口部9の上辺部9A及び下辺部9Dの中央付近には、後述の第2の扉部材7のロッドが係止されるロッド係止部10A及び10Bが形成されている。
【0025】
〈第1の扉部材〉
第1の扉部材5は、第1の回転連結機構11が設けられる辺とは反対側に位置する辺に設けられて上下方向に延びる第1の重合部19を備えている。第1の扉部材5は、開口部9を塞いでいる状態で、第1の重合部19が上辺パッキン17Aと下辺パッキン17Dの間に位置し、且つ、第1の扉部材5の背面が上辺パッキン17A、下辺パッキン17D、及び、第1の側方パッキン17Bに直接押しつけられるように構成されている。第1の重合部19は、第1の扉部材5が開口部9を塞いでいる状態で、正面側に向かって開口し上下方向に延びる扉側樋部19Aと、該扉側樋部19Aの第1の回転連結機構11とは反対に位置する縁部から第1の回転連結機構11から離れる方向に延び且つ上下方向に延びる第1のフランジ部19Bを備えている。
図3に示すように、扉側樋部19Aの底部には、上下方向に連続して延びる板状の合成ゴム製の第1のパッキン21が取り付けられている。
【0026】
なお、図示していないが、第1の扉部材5と筐体本体3にボルトを通すボルト孔が形成してあれば、第1の扉部材5を閉じた状態で筐体本体3にボルト留めすることで、より防水性能を高めることができる。
【0027】
第1の扉部材5の背面には、ハンドル8Aによって操作される留め金具8Bが係合する被係合部6が配置されている。
【0028】
〈第2の扉部材〉
第2の扉部材7は、第2の回転連結機構13が設けられる辺とは反対側に位置する辺に設けられて上下方向に延び且つ第1の重合部19と第1のパッキン21を介して重合される第2の重合部23を備えている。
図2及び
図3に示すように、第2の扉部材7の背面には、開口部9を塞いでいる状態で、上辺パッキン17Aと対向する板状の合成ゴム製の第2のパッキン25と、第1のフランジ部19Bと対向する板状の合成ゴム製の第3のパッキン27が取り付けられている。第2の扉部材7は、開口部9を塞いでいる状態で、第2の重合部23が上辺パッキン17Aと
下辺パッキン17Dの間に位置し、上辺パッキン17Aに第2のパッキン25を介して押し付けられ、下辺パッキン17Dに直接押しつけられ、且つ、第2の扉部材
7の背面が第2の側方パッキン17Cに直接押し付けられるように構成されている。第2の重合部23は、開口部9を塞いでいる状態で、扉側樋部19A内に入り、正面と対向する背面側に向かって延び且つ上下方向に延びる直立壁部23A及び該直立壁部23Aの背面側の端部から第2の回転連結機構13が位置する側に延び且つ上下方向に延びる第2のフランジ部23Bを備えている。
【0029】
第2の扉部材7は、正面側に締め付けハンドル8Aと、背面側に締め付けハンドル8Aと共に回転する留め金具8Bと、留め金具8Bに回転可能に固定されて上下方向にそれぞれ延びるロッド8C,8Dと、ロッド8C,8Dが貫通し、ロッド8C,8Dが上下方向にスライドする動きをガイドするロッドガイド8E,8Fを有している。留め金具8Bは、一端に締め付けハンドル8Aの回転軸8Gが固定されており、回転軸8Gを中心として180度離れた位置に一端が回動可能に固定されたロッド8C,8Dが固定されている。止め金具8Bの他端には、第1の扉部材5と係合する係合部8Baが形成されている。留め金具8Bの回転運動がロッド8C,8Dの直線運動に変換される構造になっている。
【0030】
〈扉部材による閉塞〉
図4及び
図5は、第1の扉部材5と第2の扉部材7を閉める様子を示した図である。開口部9を塞ぐ際には、まず第1の扉部材5を閉じる。これにより、第1の扉部材5の背面が、上辺パッキン17A、下辺パッキン17D、及び、第1の側方パッキン17Bに直接押しつけられる。
【0031】
その後、第2の扉部材7を閉じる。これにより、第2の扉部材7の背面が、上辺パッキン17Aに第2のパッキン25を介して押し付けられ、下辺パッキン17Dに直接押しつけられ、且つ、第2の側方パッキン17Cに直接押し付けられる。この際に、併せて、第2の扉部材7の第2のフランジ部23Bが第1のパッキン21を介して扉側樋部19Aの底部に押し付けられる。また、同時に、第1の扉部材5の第1のフランジ部19Bが第3のパッキン27を介して第2の扉部材7の背面に押し付けられる。この状態で締め付けハンドル8Aを操作することで、留め金具8Bが回転し、ロッド8Cが上方に、且つ、ロッド8Dが下方にスライドし、ロッド8C及びロッド8Dの先端がロッド係止部10A,10Bに係止される。同時に、留め金具8Bの係合部8Baが第1の扉部材5の背面の被係合部6と係合する。これにより、第2の扉部材7が第1の扉部材5にパッキンを介して押し付けられることにより、筐体1内の防水が実現される。発明者らが試験したところによれば、本実施の形態の防水構造付き筐体1は、電気機械器具の外郭による保護等級(JIS C 0920)において、IPX5(防水5級・あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない(防噴流形))相当の防水性能を発揮した。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で変更が可能であるのは勿論である。例えば、第1のパッキン21は、第2の扉部材7の第2のフランジ部23Bに取り付けられていてもよく、また、第3のパッキン27は、第1の扉部材5の第1のフランジ部19Bに取り付けられていてもよい。また、第2の扉部材7は、下辺パッキン17Dに直接押し付けられずに、第2の扉部材7の背面に取り付けられた下辺対向パッキンを介して押し付けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、筐体本体の壁部に凹部を設ける必要のない防水構造付き筐体を提供することができる。また、本発明によれば、扉部材の重合部から筐体内に雨水が浸入しない防水構造付き筐体を提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 防水構造付き筐体
3 筐体本体
5 第1の扉部材
7 第2の扉部材
9 開口部
9A 上辺部
9B,9C 側辺部
9D 下辺部
11 第1の回転連結機構
13 第2の回転連結機構
15(15A,15B,15C) 本体側樋部
17 本体側パッキン
17A 上辺パッキン
17B 第1の側方パッキン
17C 第2の側方パッキン
17D 下辺パッキン
19 第1の重合部
19A 扉側樋部
19B 第1のフランジ部
21 第1のパッキン
23 第2の重合部
23A 直立壁部
23B 第2のフランジ部
25 第2のパッキン
27 第3のパッキン