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特許7326685データ処理方法および装置、コンピュータ読み取り可能な媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】データ処理方法および装置、コンピュータ読み取り可能な媒体
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3225 20160101AFI20230808BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 611H
G09G3/20 632G
G09G3/20 641P
G09G3/20 642A
G09G3/20 670N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019548318
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2019072156
(87)【国際公開番号】W WO2019237739
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】201810620900.4
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512282165
【氏名又は名称】合肥▲シン▼晟光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI XINSHENG OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Xinzhan Industrial Park,Hefei,Anhui,230012,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】韋 暁龍
(72)【発明者】
【氏名】鮑 文超
(72)【発明者】
【氏名】何 敏
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0193922(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0117974(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107731156(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
M×Nアレイ配列の画素を含むOLED表示パネルに応用されるデータ処理方法において、
表示中の第i行、第j(n-1<j≦N)-n(≦n≦N)+1列、……、第j-1列、第j列を含む隣接するn列の画素に対応する電圧データであって、各画素に対応する駆動トランジスタの閾値電圧を算出するための電圧データを取得することと、
記憶されている第i(m-1<i≦M)行の前のm(1<m<M)-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することと、
第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であれば、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行うことと
を含み
フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧と実閾値電圧との差第1閾値差以下であり、
記憶されている第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することは、
第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データと第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、特徴値を算出することと、
第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値に基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することと
を含み、
前記特徴値は、
平均値または加重平均値であり、
前記特徴値が加重平均値である場合、
第i行第j列の画素に近い画素ほど、それに対応する重みが大きくなり、
第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値に基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することは、
第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値の差が第2閾値差より大きくなるかを判断し、第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値の差が第2閾値差より大きくなると、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であると特定することを含み、
第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行うことは、
第i行第j列の画素に対応する電圧データを前記特徴値に修正することを含む、データ処理方法。
【請求項2】
前記第i行第j列の画素に対応する電圧データは、
第i行第j列の画素に対応する駆動トランジスタのソース電圧を含む、請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項3】
前記第2閾値差は、
特徴値のK(0.1≦K≦0.2)倍である、請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項4】
第i+1行の画素が表示される場合、第i+1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを記憶することをさらに含む、請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項5】
第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常でなければ、修正後の第i行第j列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素の輝度を補償することをさらに含む、請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項6】
M×Nアレイ配列の画素を含むOLED表示パネルに応用されるデータ処理装置において、
表示中の第i行、第j(n-1<j≦N)-n(≦n≦N)+1列、……、第j-1列、第j列を含む隣接するn列の画素に対応する電圧データであって、各画素に対応する駆動トランジスタの閾値電圧を算出するための電圧データを取得する取得回路と、
記憶されている第i(m-1<i≦M)行の前のm(1<m<M)-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断する判断回路と、
第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であれば、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行うフィルタリング回路と
を含み
フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧と実閾値電圧との差第1閾値差以下であり、
m-1個の記憶回路をさらに含み、
ここで、第k(1≦k≦m-1)個の記憶回路は、
第i-m+k行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを記憶し、
前記判断回路は、
第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データと第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、特徴値を算出し、
第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値の差が第2閾値差より大きくなるかを判断し、第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値の差が第2閾値差より大きくなると、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であると特定し、
前記特徴値は、
平均値または加重平均値であり、
前記特徴値が加重平均値である場合、
第i行第j列の画素に近い画素ほど、それに対応する重みが大きくなり、
前記フィルタリング回路は、
第i行第j列の画素に対応する電圧データを前記特徴値に修正する、データ処理装置。
【請求項7】
第i+1行の画素が表示される場合、第i+1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを、第m-1個の記憶回路に記憶し、
第k個の記憶回路に記憶されているデータは、ストリーム形式で第k-1個の記憶回路に入力され、第k-1個の記憶回路に記憶されているデータを置換する、
請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行されると、請求項1~のいずれか一項に記載のデータ処理方法が実現される、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年6月15日に中国特許庁に提出された中国特許出願第201810620900.4号の優先権を主張し、その全ての内容が援用によりここに合併される。
【0002】
本願の実施例は、表示技術分野に係り、具体的にデータ処理方法および装置、コンピュータ読み取り可能な媒体に係る。
【背景技術】
【0003】
OLED(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイは、現在のフラットプレートディスプレイ研究分野の注目点の一つであり、LCD(Liquid Crystal Display)に比べ、消費電力が低く、生産コストが低く、自己発光であり、視野角が広く、応答速度が速いなどの利点を有し、携帯電話、タブレットパソコン、デジタルカメラなどの表示分野で従来のLCDを代替しつつある。
【0004】
安定な電圧で輝度を制御するLCDとは異なり、OLEDは、電流で駆動され、発光制御には安定な電流が必要される。通常、OLEDディスプレイは、各画素の画素駆動回路における駆動トランジスタでOLEDに電流を出力してOLEDの発光を駆動する。OLEDディスプレイで駆動トランジスタの電気学特性が一致しないため、画素ユニットの間に輝度が異なる。駆動トランジスタの電気学特性の不一致による輝度が一致しないという技術問題を解決するために、従来技術として、各画素ユニットに対応する駆動トランジスタのソース電圧を検出して校正後の駆動電圧を生成することによって、OLEDディスプレイに表示される内容の一致性を保証する外部補償方式が提案されている。
【発明の概要】
【0005】
第1方面として、本願の実施例は、M×Nアレイ配列の画素を含む表示パネルに応用されるデータ処理方法を提供する。前記データ処理方法において、表示中の第i行、第j(n-1<j≦N)-n(1≦n≦N)+1列、……、第j-1列、第j列を含む隣接するn列の画素に対応する電圧データであって、各画素に対応する駆動トランジスタの閾値電圧を算出するための電圧データを取得することと、記憶されている第i(m-1<i≦M)行の前のm(1<m<M)-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することと、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であれば、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧と実閾値電圧との差を第1閾値差以下にすることとを含む。
【0006】
本願の実施例において、前記第i行第j列の画素に対応する電圧データは、第i行第j列の画素に対応する駆動トランジスタのソース電圧を含む。
【0007】
本願の実施例において、記憶されている第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することは、第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データと第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、特徴値を算出することと、第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値に基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することとを含む。
【0008】
本願の実施例において、前記特徴値は、平均値または加重平均値であり、前記特徴値が加重平均値である場合、第i行第j列の画素に近い画素ほど、それに対応する重みが大きくなる。
【0009】
本願の実施例において、第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値に基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することは、第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値の差が第2閾値差より大きくなるかを判断し、第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値の差が第2閾値差より大きくなると、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であると特定することを含む。
【0010】
本願の実施例において、前記第2閾値差は、特徴値のK(0.1≦K≦0.2)倍である。
【0011】
本願の実施例において、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行うことは、第i行第j列の画素に対応する電圧データを前記特徴値に修正することを含む。
【0012】
本願の実施例の前記データ処理方法において、第i+1行の画素が表示される場合、第i+1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを記憶することをさらに含む。
【0013】
本願の実施例の前記データ処理方法において、修正後の第i行第j列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素を補償することをさらに含む。
【0014】
第2方面として、本願の実施例は、M×Nアレイ配列の画素を含む表示パネルに応用されるデータ処理装置を提供する。前記データ処理装置は、表示中の第i行、第j(n-1<j≦N)-n(1≦n≦N)+1列、……、第j-1列、第j列を含む隣接するn列の画素に対応する電圧データであって、各画素に対応する駆動トランジスタの閾値電圧を算出するための電圧データを取得する取得回路と、記憶されている第i(m-1<i≦M)行の前のm(1<m<M)-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断する判断回路と、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であれば、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧と実閾値電圧との差を第1閾値差以下にするフィルタリング回路とを含む。
【0015】
本願の実施例において、前記データ処理装置は、m-1個の記憶回路をさらに含み、ここで、第k(1≦k≦m-1)個の記憶回路は、第i-m+k行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを記憶する。
【0016】
本願の実施例において、前記判断回路は、第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データと第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、特徴値を算出し、第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値の差が第2閾値差より大きくなるかを判断し、第i行第j列の画素に対応する電圧データと前記特徴値の差が第2閾値差より大きくなると、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であると特定する。
【0017】
本願の実施例において、前記フィルタリング回路は、第i行第j列の画素に対応する電圧データを前記特徴値に修正する。
【0018】
本願の実施例において、第i+1行の画素が表示される場合、第i+1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを、第m-1個の記憶回路に記憶し、第k個の記憶回路に記憶されているデータは、ストリーム形式で第k-1個の記憶回路に入力され、第k-1個の記憶回路に記憶されているデータを置換する。
【0019】
第3方面として、本願の実施例は、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な媒体をさらに提供する。前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行されると、上記のデータ処理方法が実現される。
【0020】
本願の実施例は、データ処理方法および装置、コンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。M×Nアレイ配列の画素を含む表示パネルに応用されるデータ処理方法において、表示中の第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを取得することと、記憶されている第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することと、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であれば、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧と実閾値電圧との差を第1閾値差以下にすることとを含む。
【0021】
本願のほかの特徴および利点は、後記の明細書で記載され、その一部が明細書から明らかになり、一部が本願の実施によって知られる。本願の目的およびほかの利点は、明細書、特許請求の範囲および添付図面で特に指摘される構造によって実現されて取得される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
添付図面は、本願の技術手段をさらに理解するためのものであり、明細書の一部を構成し、本願の実施例とともに本願の技術手段の解釈に用いられ、本願の技術手段に対する限定を構成しない。
【0023】
図1】従来の画素に接続される画素駆動回路の等価回路図である。
図2】従来の画素の構造図である。
図3】本願の実施例におけるデータ処理方法のフローチャートである。
図4】本願の実施例におけるデータ処理装置の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下、添付図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。なお、矛盾しない限り、本願の実施例および実施例における特徴は、任意に組み合わせ可能である。
【0025】
添付図面のフローチャートに示されているステップは、コンピュータ実行可能な指令を実行するコンピュータシステムで実行される。フローチャートで論理的な順番が示されているが、一部の場合において、ここの順番とは異なる順番で、示されていたり記載されたりしているステップを実行してもよい。
【0026】
別途に定義することを除き、本願の実施例に使用される技術用語や科学用語は、本発明の所属する分野の一般技能を持つ者に理解される通常の意味である。本願の実施例に使用される「第1」、「第2」及び類似用語は、単に異なる構成部分を区別するためのものであり、順番、数量又は重要度をいっさい表さない。「含む」や「含有」およびその他の類似用語は、当該用語の前に現れる素子や部品が、当該用語の後に列挙される素子や部品およびその等価物を、ほかの素子や部品を除外することなくカバーすることを意味する。「接続」や「連結」およびその他の類似用語は、物理や機械的接続に限定するのではなく、直接か間接かを関係なしに電気的接続も含む。
【0027】
OLED外部補償技術は、各画素に接続される画素駆動回路の駆動トランジスタDTFTの特性パラメータに基づいて、校正後の駆動電圧を生成することによって、TFTの電気特性の不一致による輝度の不一致性を解決する。ここで、駆動トランジスタDTFTの閾値電圧Vthは、OLED外部補償技術における非常に重要な電気学パラメータである。
【0028】
出願人の研究では、OLEDディスプレイに短絡が生じたのであれば、それに対する外部補償の後に光点が生じてしまい、OLEDディスプレイの表示効果に影響を及ぼすことを発見した。
【0029】
図1は、従来の画像に接続される画素駆動回路の等価回路図である。図1に示すように、駆動トランジスタDTFTのゲートに印加される駆動電圧は、Vgであり、駆動トランジスタDTFTを初期化するソース電圧は、Vsである。スキャン信号側Scan(スキャン)とセンス信号側Sense(センス)にオン信号を入力し、VgとVsの差が駆動トランジスタDTFTの閾値電圧より大きくなると、駆動トランジスタDTFTがオンになり、電流が駆動トランジスタDTFTを流れてコンデンサCsense(Cセンス)に充電し、ノードSの電圧がそれに応じて高められる。充電時間の増加に伴い、ノードSの電圧がこれ以上高められないと、駆動トランジスタDTFTがオフ状態になる。現段階で閾値電圧Vthの抽出方法として、駆動トランジスタDTFTのソース電圧を検出し、式Vth=Vg-Vsにより、駆動トランジスタDTFTの閾値電圧を取得する。
【0030】
図2は、従来の画素の構造図であり、各画素に3つまたは4つのサブ画素を含む。図2は、各画素にRサブ画素、Gサブ画素、Bサブ画素およびWサブ画素の4つのサブ画素を含むことを例として説明する。図1図2によれば、4つのサブ画素は、すべてセンス信号側Senseに接続する。RGBWのいずれか1つ(Rサブ画素とする)のノードSがローレベル電源側ELVSSに短絡すると、表示パネルに対する外部補償の前に当該サブ画素が暗い点であり、Gサブ画素、Bサブ画素、Wサブ画素が正常に表示される。Rサブ画素のノードSがローレベル電源側ELVSSに短絡するため、コンデンサCsenseは、正常に充電できない。この場合、算出された駆動トランジスタDTFTの閾値電圧Vth(=Vg-0)は、実の駆動トランジスタDTFTの閾値電圧より大きい。表示パネルに対する外部補償の終了後、表示の際に当該画素のGサブ画素、Bサブ画素およびWサブ画素の輝度が周辺画素の輝度より高い明るい点であり、表示パネルの表示効果に影響を与える。
【0031】
上記の技術課題を解決するために、本願の実施例は、データ処理方法および装置、コンピュータ読み取り可能な媒体を提供し、OLEDディスプレイに対する外部補償の後に光点が生じてしまうことを避け、OLEDディスプレイの表示効果を向上させる。
【0032】
本願の実施例の技術手段として、表示中の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断し、異常である場合に該画素のフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧が実閾値電圧に近いことを保証し、表示パネルに対する補償後に増えた光点を除去し、表示パネルの表示効果を向上させる。
【0033】
図3は、本願の実施例におけるデータ処理方法のフローチャートである。図3に示すように、本願の実施例におけるデータ処理方法は、M×Nアレイ配列の画素を含む表示パネルに応用される。本願の実施例におけるデータ処理方法は、以下のステップを含む。
【0034】
ステップ100において、表示中の第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを取得する。
【0035】
本願の実施例において、電圧データは、各画素に対応する駆動トランジスタの閾値電圧を算出するために用いられる。たとえば、電圧データは、画素に対応する駆動トランジスタのソース電圧を含む。
【0036】
たとえば、隣接するn列は、第j-n+1列、……、第j-1列、第j列を含み、n-1<j≦N、1≦n≦N。なお、nの値は、実際の需要に応じて特定されるが、これについて、本願の実施例において一切限定しない。
【0037】
たとえば、表示中の第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データは、表示パネルの駆動ICから出力されるサンプリングデータである。
【0038】
ステップ200において、記憶されている第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断する。
【0039】
本願の実施例において、第i行の前のm-1行は、第i-1行、第i-2行、……、第i-m+1行を指す。
【0040】
たとえば、m-1<i≦M、1<m<M。なお、nの値は、実際の需要に応じて特定されるが、これについて、本願の実施例において一切限定しない。
【0041】
たとえば、記憶されている第i行の前のm-1行、隣接するn列のうち、隣接するn列は、第j-n+1列、……、第j-1列、第j列を含み、取得された第i行、隣接するn列の列数とは同じである。
【0042】
ステップ300において、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であれば、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧と実閾値電圧との差を第1閾値差以下にする。
【0043】
たとえば、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常でなければ、第i行第j列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素を補償する。
【0044】
ここで、第1閾値差の値は、実際の需要に応じて特定されるが、これについて、本願の実施例において一切限定しない。
【0045】
本願の実施例のデータ処理方法は、M×Nアレイ配列の画素を含む表示パネルに応用される。当該データ処理方法において、表示中の第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを取得することと、記憶されている第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することと、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であれば、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧と実閾値電圧との差を第1閾値差以下にすることとを含む。本願の実施例における技術手段として、表示中の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断し、異常である場合に該画素のフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧が実閾値電圧に近いことを保証し、表示パネルに対する補償後に増えた光点を除去し、表示パネルの表示効果を向上させる。
【0046】
本願の実施例において、ステップ200は、第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データと第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、特徴値を算出することと、第i行第j列の画素に対応する電圧データと特徴値に基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することとを含む。
【0047】
本願の実施例において、特徴値は、平均値または加重平均値である。
【0048】
なお、表示中の画素の行数の変化に伴い、特徴値は、リアルタイムに更新されるデータである。特徴値が加重平均値である場合、第i行第j列の画素に近い画素ほど、それに対応する重みが大きくなる。すなわち、第i行第j列の画素に対応する重みは、第i行第j-1列の画素に対応する重みより大きく、第i行第j-1列の画素に対応する重みは、第i行第j-2列の画素に対応する重みより大きく、順に類推すると、第i-m+1行第j-n+1列の画素に対応する重みは、最も小さい。
【0049】
本願の実施例において、表示パネルの画素の電圧データのリアルタイム性を考慮し、フィルタリングに近い電圧データの重みがほかのデータの重みより大きくなるように設定することによって、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧をなるべく実閾値電圧に近づかせることができ、表示パネルの補償後に増えた光点を最大限に除去することができる。
【0050】
本願の実施例において、第i行第j列の画素に対応する電圧データと特徴値に基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断することは、第i行第j列の画素に対応する電圧データと特徴値の差が第2閾値差より大きくなるかを判断し、第i行第j列の画素に対応する電圧データと特徴値の差が第2閾値差より大きくなると、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であると特定することを含む。
【0051】
たとえば、第2閾値差は、特徴値のK(0.1≦K≦0.2)倍である。
【0052】
なお、Kの値は、サンプリングデータの離散性に応じて特定され、データが離散するほど、Kの値が大きくなる。たとえば、Kの大きさは、実際の必要に応じて調整され、これについて、本願の実施例において一切限定しない。
【0053】
なお、表示中の画素の行数の更新に伴い、特徴値も更新され、対応する第2閾値差も同時に更新される。置換後の閾値電圧に基づいて、当該画素に対し正常な補償プロセスを行う。
【0054】
本願の実施例において、第2閾値差をリアルタイムに更新されるデータとして設定し、表示パネルの駆動トランジスタの相違性を考慮しており、画素駆動回路のコンデンサの範囲が比較的に大きい。第2閾値差を小さく設定すると、電圧データのフィルタリングの誤処理が生じてしまい、正常の電圧データもろ過される。大きく設定すると、すべての異常の電圧データをろ過することが保証できない。
【0055】
本願の実施例において、ステップ300は、第i行第j列の画素に対応する電圧データを特徴値に修正することを含む。
【0056】
本願の実施例におけるデータ処理方法において、ステップ300の後に、修正後の第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを記憶することをさらに含む。
【0057】
本願の実施例におけるデータ処理方法において、ステップ300の後に、修正後の第i行第j列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素を補償することをさらに含む。
【0058】
本願の実施例において、取得された表示中の第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データおよび記憶されている第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データは、実際にm×nのローカルフィルタリングウィンドウを構成することに相当する。ここで、ローカルフィルタリングウィンドウの第m行のデータは、駆動ICが表示中の第i行、隣接するn列の画素をサンプリングして出力する電圧データである。
【0059】
m=3、n=3を例としてデータ処理方法の動作プロセスを説明する。表示パネルで第1行が表示されるとき、第1行、たとえば第1列、第2列、第3列の隣接する3列の画素に対応する電圧データを取得して記憶する。第2行が表示されるとき、第2行、第1列、第2列、第3列の画素に対応する電圧データを取得して記憶する。第3行が表示されるとき、第3行、第1列、第2列、第3列の画素に対応する電圧データを取得する。記憶されている第1行、隣接する3列、第2行、隣接する3列および第3行、隣接する3列の画素に対応する電圧データの平均値または加重平均値を算出して特徴値とする。第3行第3列の画素に対応する電圧データと特徴値の差が第2閾値差より大きくなると、第3行第3列の画素に対応する電圧データが異常であると特定し、第3行第3列の画素に対応する電圧データを特徴値に置換する。第4行が表示されるとき、第4行、第1列、第2列、第3列の画素に対応する電圧データを取得し、記憶されている第2行、隣接する3列、第3行、隣接する3列および第4行、隣接する3列の画素に対応する電圧データの平均値または加重平均値を算出し、第4行第3列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断する。異常であれば、第4行第3列の画素に対応する電圧データを特徴値に置換する。すべての画素行のスキャンが終了するまで、上記のように類推する。
【0060】
上記実施例の思想に基づき、本願の実施例は、M×Nアレイ配列の画素を含む表示パネルに応用されるデータ処理装置をさらに提供する。図4は、本願の実施例におけるデータ処理装置の構造図である。図4に示すように、本願の実施例におけるデータ処理装置は、取得回路11と、判断回路12と、フィルタリング回路13を含む。
【0061】
本願の実施例において、取得回路11は、表示中の第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを取得する。
【0062】
ここで、電圧データは、各画素に対応する駆動トランジスタの閾値電圧を算出するために用いられる。たとえば、電圧データは、画素に対応する駆動トランジスタのソース電圧を含む。
【0063】
たとえば、隣接するn列は、第j-n+1列、……、第j-1列、第j列を含み、n-1<j≦N、1≦n≦N。なお、nの値は、実際の需要に応じて特定されるが、これについて、本願の実施例において一切限定しない。
【0064】
判断回路12は、記憶されている第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断する。
【0065】
本実施例において、第i行の前のm-1行は、第i-1行、第i-2行、……、第i-m+1行を指す。
【0066】
ここで、m-1<i≦M、1<m<M。なお、nの値は、実際の需要に応じて特定されるが、これについて、本願の実施例において一切限定しない。
【0067】
たとえば、判断回路12は、第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データと第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、特徴値を算出し、第i行第j列の画素に対応する電圧データと特徴値の差が第2閾値差より大きくなるかを判断し、第i行第j列の画素に対応する電圧データと特徴値の差が第2閾値差より大きくなると、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であると特定する。
【0068】
フィルタリング回路13は、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であれば、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧と実閾値電圧との差を第1閾値差以下にする。
【0069】
たとえば、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常でなければ、第i行第j列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素を補償する。
【0070】
ここで、第1閾値差の値は、実際の需要に応じて特定されるが、これについて、本願の実施例において一切限定しない。
【0071】
たとえば、フィルタリング回路は、第i行第j列の画素に対応する電圧データを特徴値に修正する。
【0072】
本願の実施例のデータ処理装置は、M×Nアレイ配列の画素を含む表示パネルに応用される。当該データ処理装置は、表示中の第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを取得する取得回路と、記憶されている第i行の前のm-1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データに基づいて、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断する判断回路と、第i行第j列の画素に対応する電圧データが異常であれば、第i行第j列の画素に対応する電圧データのフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧と実閾値電圧との差を第1閾値差以下にするフィルタリング回路とを含む。本願の実施例における技術手段として、表示中の画素に対応する電圧データが異常であるかを判断し、異常である場合に該画素のフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後の電圧データから算出された閾値電圧が実閾値電圧に近いことを保証し、表示パネルに対する補償後に増えた光点を除去し、表示パネルの表示効果を向上させる。
【0073】
本願の実施例におけるデータ処理装置は、m-1個の記憶回路をさらに含み、ここで、第k(1≦k≦m-1)個の記憶回路は、第i-m+k行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを記憶する。
【0074】
本願の実施例において、記憶回路は、行バッファを含む。
【0075】
本願の実施例において、第i+1行の画素が表示される場合、すなわち表示パネルで次の行の画素が表示される場合、第i+1行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを、第m-1個の記憶回路に記憶し、第k個の記憶回路に記憶されているデータは、ストリーム形式で第k-1個の記憶回路に入力され、第k-1個の記憶回路に記憶されているデータを置換する。
【0076】
たとえば、第i行の画素が表示中であれば、m-1個の記憶回路のデータおよび駆動ICによって現在サンプリングされて出力される第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データを取得し、フィルタリングの後に、第2個の記憶回路の中のデータをストリーム形式で第1個の記憶回路に入力し、第3個の記憶回路の中のデータをストリーム形式で第2個の記憶回路に入力し、駆動ICによって現在サンプリングされて出力される第i行、隣接するn列の画素に対応する電圧データをストリーム形式で第m-1個の記憶回路に入力する。
【0077】
上記実施例の思想に基づき、本願の実施例は、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な媒体をさらに提供する。コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、本願の実施例におけるデータ処理方法が実現される。
【0078】
以上に記載の方法のすべてまたは一部のステップ、システム、装置の中の機能的モジュール/ユニットが、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアおよび適切な組み合わせで実施されうることは、当業者が理解可能である。ハードウェアの実施形態において、以上の記載に言及された機能的モジュール/ユニットの区分は、必ずしも物理的構成要素の区分に対応するというわけではない。たとえば、1つの物理的構成要素が複数の機能を有してもよく、または1つの機能やステップは、複数の物理的な構成要素によって共同で実行される。一部の構成要素またはすべての構成要素は、デジタル信号プロセッサやマイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして実施され、または、ハードウェアとして実施され、または、専用集成回路などの集成回路として実施される。このようなソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能な媒体に分布可能である。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ記憶媒体(または非一時的な媒体)と通信媒体(または一時的な媒体)を含む。当業者に周知されるように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(たとえばコンピュータ読み取り可能なコマンド、データ構造、プログラムモジュールまたはほかのデータ)を記憶するためのあらゆる方法や技術で実施される揮発性/非揮発性、取り外し可能な/取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたはほかの記憶装置技術、CD-ROM、DVDまたはほかの光ディスク記憶媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクまたはほかの磁気記憶装置、所望情報の記憶に用いられかつコンピュータからアクセス可能なほかの媒体を含むが、それらに限られない。また、当業者に周知されるように、通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能なコマンド、データ構造、プログラムモジュールまたは搬送波やほかの伝送機構の変調データ信号のうちのほかのデータを含み、あらゆる情報伝達媒体を含む。
【0079】
本願の実施例の添付図面は、本願の実施例に係る構造のみに係り、ほかの構造は、通常の設計を参照されたい。
【0080】
矛盾しない限り、本願の実施例および実施例における特徴は、互いに組み合わせて新規の実施例を得ることができる。
【0081】
以上、本願の実施形態を開示したが、記載の内容は、単に本願を容易に理解するための実施形態であり、本願を限定するためのものではない。当業者は、本願に開示された精神や範囲を逸脱せずに、実施の形式や細部においてあらゆる修正や変更を行うことができる。ただし、本願の特許保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって決められた範囲を基準としなければならない。
図1
図2
図3
図4