(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】ヒンジ
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
A63F7/02 326E
(21)【出願番号】P 2019144274
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】502411610
【氏名又は名称】株式会社 日東
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】名畑 陽一
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-10899(JP,A)
【文献】特開2009-125164(JP,A)
【文献】特許第4512799(JP,B2)
【文献】特許第4010953(JP,B2)
【文献】特許第4341944(JP,B2)
【文献】特許第4384405(JP,B2)
【文献】特開2003-181086(JP,A)
【文献】特許第4060056(JP,B2)
【文献】特許第5283125(JP,B2)
【文献】特許第3933987(JP,B2)
【文献】特許第5070640(JP,B2)
【文献】特許第6506561(JP,B2)
【文献】特開2002-336503(JP,A)
【文献】特許第5772431(JP,B2)
【文献】特許第6002170(JP,B2)
【文献】特許第6185861(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の側面下部に配設され、外枠に外枠固定部を介して固定される外枠ヒンジ金具と、前記外枠の前面を覆う本体部材を前記外枠に対して開閉可能にヒンジ接続する本体ヒンジ金具と、前記本体部材の前面を覆う前面枠を前記外枠に対して開閉可能にヒンジ接続する前面枠ヒンジ金具と、を有するヒンジであって、
前記外枠ヒンジ金具は、前記外枠固定部の上面に固定される外枠側基部と、前記外枠側基部の一端側から延伸し、斜め上方向に傾斜する傾斜面と、前記傾斜面の前記外枠側基部とは反対側から前記外枠側基部と水平な方向に延伸する外枠側延伸部と、からな
り、
前記外枠ヒンジ金具は、前記遊技機に取り付けられる際に前面側となる側面が上方に折り曲げられており、かつ、前記遊技機に取り付けられた際に側面側となる側面のうちの一つが下方に折り曲げられていることを特徴とする、
ヒンジ。
【請求項2】
前記外枠ヒンジ金具は、金属製であって、前記傾斜面に貫通孔を有し、
前記外枠固定部は、前記貫通孔を貫通可能な凸部を有し、
前記外枠ヒンジ金具が前記外枠固定部の上面に固定された際、前記貫通孔を前記凸部の一部が貫通し、前記凸部の頂面が、前記外枠側延伸部の表面よりも前記外枠側基部に近い位置に位置することを特徴とする、
請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記外枠ヒンジ金具は、前記外枠側基部と前記外枠側延伸部との間に表面方向に突出する補強部を有することを特徴とする、
請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記外枠側延伸部には、複数の貫通孔を有していることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載のヒンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機のデザイン性を損なうことなく、装飾カバー上面部分への遊技球の滞留を防止することができる遊技機が知られている。例えば、特許文献1には、外枠の幅方向一側端側に設けられ、外枠に対して中枠を開閉自在に軸支する下部ヒンジ機構の固定端側の側面を固定端側側面カバー部で被覆され、固定端側側面カバー部の上縁には遊技機正面側に向って下り傾斜する傾斜面が設けられ、この傾斜面は第1傾斜面、第2傾斜面からなり、第1傾斜面の傾斜角度が第2傾斜面の傾斜角度よりも大きくなるように構成されているヒンジ機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のヒンジ機構では、遊戯球の位置によっては、装飾カバー上面部分から遊技球が落下しない場合があるという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、本体部又はガラス枠を開閉する際、遊戯球がヒンジの上面に滞留する可能性を低減することができるヒンジを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のヒンジは、
遊技機の側面下部に配設され、外枠に外枠固定部を介して固定される外枠ヒンジ金具と、前記外枠の前面を覆う本体部材を前記外枠に対して開閉可能にヒンジ接続する本体ヒンジ金具と、前記本体部材の前面を覆う前面枠を前記外枠に対して開閉可能にヒンジ接続する前面枠ヒンジ金具と、を有するヒンジであって、
前記外枠ヒンジ金具は、前記外枠固定部の上面に固定される外枠側基部と、前記外枠側基部の一端側から延伸し、斜め上方向に傾斜する傾斜面と、前記傾斜面の前記外枠側基部とは反対側から前記外枠側基部と水平な方向に延伸する外枠側延伸部と、からなることを特徴とする、
ものである。
【0008】
本発明のヒンジは、遊技機の側面下部に配設され、外枠に外枠固定部を介して固定される外枠ヒンジ金具と、外枠の前面を覆う本体部材を外枠に対して開閉可能にヒンジ接続する本体ヒンジ金具と、本体部材の前面を覆う前面枠を外枠に対して開閉可能にヒンジ接続する前面枠ヒンジ金具と、を有することで、外枠に本体部材及び前面枠を開閉可能に固定する。このとき、外枠ヒンジ金具は、外枠固定部の上面に固定される外枠側基部と、外枠側基部の一端側から延伸し、斜め上方向に傾斜する傾斜面と、傾斜面の外枠側基部とは反対側から外枠側基部と水平な方向に延伸する外枠側延伸部と、からなるため、本体部材又は前面枠の少なくとも一方を開放した際、何らかの理由で外枠ヒンジ金具の上部に遊戯球が落下した場合であっても、傾斜面を通って遊戯球が落下し、外枠ヒンジ金具の上部に遊戯球が滞留する可能性を低減することができる。こうすることにより、外枠に本体部材又はガラス枠を閉める際、遊戯球を噛みこむ可能性を未然に低減することができる。
【0009】
本発明のヒンジにおいて、前記外枠ヒンジ金具は、金属製であって、前記傾斜面に貫通孔を有し、前記外枠固定部は、樹脂製であって、前記貫通孔を貫通可能な凸部を有し、前記外枠ヒンジ金具が前記外枠固定部の上面に固定された際、前記貫通孔を前記凸部の一部が貫通し、前記凸部の頂面が、前記外枠側延伸部の表面よりも前記外枠側基部に近い位置に位置することを特徴としてもよい。こうすることにより、本体部材又はガラス枠の少なくとも一方を閉める際、本体部材又はガラス枠の自重によって本体ヒンジ金具又はガラスヒンジ金具の一方が下方向にたわみが生じた場合であっても、ヒンジを閉じるに伴って凸部によって上方向に移動し、本体ヒンジ金具と外枠ヒンジ金具とが当接し、破損したり損傷したりする可能性を未然に低減することができる。
【0010】
本発明のヒンジにおいて、前記外枠ヒンジ金具は、前記外枠側基部と前記外枠側延伸部との間に表面方向に突出する補強部を有することを特徴としてもよい。こうすることにより、傾斜面の強度を上げることができると共に、補強部を有しない場合と比較して、より外枠ヒンジ金具の上面に遊戯球が滞留する可能性を低減することができる。
【0011】
本発明のヒンジにおいて、前記外枠ヒンジ金具は、前記遊技機に取り付けられる際に前面側となる側面が上方に折り曲げられており、かつ、前記遊技機に取り付けられた際に側面側となる側面のうちの一つが下方に折り曲げられていることを特徴としてもよい。こうすることにより、折り曲げられていない場合と比較して、外枠ヒンジ金具の強度を高めることができる。
【0012】
本発明のヒンジにおいて、前記外枠側延伸部には、複数の貫通孔を有していることを特徴としてもよい。こうすることにより、貫通孔を有しない場合と比較して、軽量にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、ヒンジ20の構成の概略を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、外枠固定部30の構成の概略を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、外枠ヒンジ金具40の構成の概略を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、外枠ヒンジ金具40を外枠固定部30に固定した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本体ヒンジ金具50の構成の概略を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、前面枠ヒンジ金具60の構成の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態の一例であるヒンジ20の構成について詳しく説明する。このヒンジ20は、遊技機の外枠の側面下部に配設され、外枠に本体枠及び前面枠を開閉可能に軸止するヒンジである。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。また、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。
【0015】
ヒンジ20は、
図1に示すように、図示しない外枠に固定された外枠固定部30を介して図示しない外枠の上面側に固定される外枠ヒンジ金具40と、図示しない本体枠の下面側に固定される本体ヒンジ金具50と、図示しない前面枠の下面側に固定される前面枠ヒンジ金具60と、を備えており、遊技機の側面下部に配設されることで、側面上部に配設される図示しないヒンジと共に、外枠に本体枠及び前面枠を開閉可能にヒンジ接合するヒンジである。
【0016】
外枠固定部30は、
図2に示すように、厚く形成された基部32と薄く形成された延伸部34とが、傾斜部36を挟んで一体に形成されている。また、傾斜部36の表面には湾曲した頂面を有する凸部38が、基部32には複数の貫通孔39が、それぞれ設けられている。このように、湾曲した頂面を有する凸部38を有しているため、遊技機の本体枠又は前面枠を閉じる際、図示しない本体枠又は図示しない前面枠が自重によって外枠ヒンジ金具40の方向にたわみが生じた場合であっても、閉じるに伴って湾曲した頂面に外枠ヒンジ金具40が下方から支えられ、たわみが生じていない状態の位置まで上方に導かれることになる。また、基部32には複数の貫通孔39が設けられているため、貫通孔39を有しない場合と比較して、軽量化に資する。
【0017】
外枠ヒンジ金具40は、
図3に示すように、図示しない外枠の上面側に固定される外枠側基部42と、外枠側基部42の一端側から斜め下方向に延伸して傾斜面を形成する傾斜部44と、傾斜部44の外枠基部42側と対抗する側面から外枠側基部42と略平行となる方向に延伸する外枠側延伸部46と、からなる金属製の部材である。この外枠ヒンジ金具40の外枠側基部42には、上面に上方向に突出する軸部43が設けられており、本体ヒンジ金具50の下面側に設けられた軸受部52(
図5参照)と嵌合することにより、図示しない本体枠が図示しない外枠に回転自在にヒンジ接合される。また、外枠ヒンジ金具40には、図示しない外枠に固定された際、側面側に位置する側面が外枠固定部30の方向に折れ曲がることで側面48aを形成し、前面側に位置する側面の一部が外枠固定部30とは反対方向に折れ曲がることで側面48bを形成している。このように、互いに対抗する方向に側面を折り曲げることで、外枠ヒンジ金具40が湾曲したり、歪んだりする可能性を未然に低減することができる。
【0018】
また、傾斜部44には、
図4に示すように、外枠固定部30に設けられた凸部38の一部が貫通する凸部貫通孔45が設けられている。このため、外枠固定部30と外枠ヒンジ金具40とが固定された際、凸部38の一部が外枠ヒンジ金具40を貫通し、本体ヒンジ金具50の下部を支えることができる。加えて、傾斜部44と外枠側延伸部46との間の位置には、補強部49が設けられている。外枠ヒンジ金具40は、傾斜面からなる傾斜部44を有していることから、傾斜部44を有していない場合と比較して、傾斜部44と外枠側延伸部46との間の位置で折れ曲がる可能性が相対的に高まる可能性があるが、補強部49を設けることにより、折れ曲がる可能性を低減することができる。
【0019】
更に、外枠側延伸部46には、外枠固定部30に設けられた貫通孔39と連通する位置に貫通孔47が設けられている。こうすることにより、貫通孔47を有しない場合と比較して軽量化に資する。
【0020】
本体ヒンジ金具50は、
図5に示すように、下面側に外枠ヒンジ金具40の軸部43と嵌合する軸受部52と、上面側に前面枠ヒンジ金具60の軸受部62(
図6参照)と嵌合する軸部53と、を有し、一方側面が略垂直に立設する立設部54が設けられている。この本体ヒンジ金具50は、立設部54に図示しない本体枠を固定した状態で軸受部52と軸部43とを嵌合させることで図示しない外枠ヒンジ金具40に固定された図示しない外枠に本体ヒンジ金具50に固定された本体枠を開閉可能にヒンジ接合する。
【0021】
前面枠ヒンジ金具60は、
図6に示すように、下面側に本体ヒンジ金具50の軸部53と嵌合する軸受部62を有し、一方側面が略直角に立設する立設部64が設けられている。この前面枠ヒンジ金具60は、立設部64に図示しない前面枠を固定した状態で軸受部62と軸部53とを嵌合させることで、本体ヒンジ金具50を介して、外枠ヒンジ金具40に固定された図示しない外枠に前面枠ヒンジ金具60に固定された図示しない前面枠を開閉可能にヒンジ接合する。こうすることにより、外枠に本体枠及び前面枠を開閉可能にヒンジ接合することができる。
【0022】
以上詳述した実施の形態のヒンジ20によれば、外枠ヒンジ金具40には、外枠側基部42の一端側から斜め下方向に延伸して傾斜面を形成する傾斜部44が備えられているため、何らかの理由で外枠ヒンジ金具40の上部に遊技球が落下した場合であっても、傾斜面に沿って遊技球が外枠ヒンジ金具40から落下する。このため、ヒンジ20を閉める際、外枠ヒンジ金具40の上の遊技球が挟み込まれ、ヒンジ20が閉まることを妨げる可能性を未然に低減することができる。
【0023】
また、外枠ヒンジ金具40が外枠固定部30の上面に固定された際、外枠ヒンジ金具40に設けられた貫通孔47を凸部38が貫通し、凸部38の頂面が外枠側基部42の表面と外枠側基部42の表面との間に位置するため、ヒンジ20を閉じる際、図示しない本体枠又は図示しない前面枠の自重により本体ヒンジ金具50又は前面枠ヒンジ金具60が下方向にたわんだ場合であっても、本体ヒンジ金具50又は前面枠ヒンジ金具60の下面が凸部38の頂面に沿って上方向に導かれ、外枠ヒンジ金具40と当接し、破損したり損傷したりする可能性を未然に低減することができる。
【0024】
更に、外枠ヒンジ金具40は、外枠側基部42と外枠側延伸部46との間に位置する傾斜部44に補強部49が設けられているため、補強部49を有しない場合と比較して、傾斜部44の強度を高めることができる。
【0025】
更にまた、外枠ヒンジ金具40は、側面48a及び側面48bが外枠固定部30の方向及び反対方向に折り曲げて形成されているため、外枠ヒンジ金具40の強度を高めることができる。
【0026】
そして、外枠固定部30には、複数の貫通孔39が設けられているため、外枠固定部30を軽量に形成することができる。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上述した実施の形態で示すように、ヒンジ分野、特に遊技機用のヒンジとして利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
20…ヒンジ、30…外枠固定部、32…基部、34…延伸部、36…傾斜部、38…凸部、39…貫通孔、40…外枠ヒンジ金具、42…外枠側基部、43…軸部、44…傾斜部、45…凸部貫通孔、46…外枠側延伸部、47…貫通孔、48a…側面、48b…側面、49…補強部、50…本体ヒンジ金具、52…軸受部、53…軸部、54…立設部、60…前面枠ヒンジ金具、62…軸受部、64…立設部。