(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/02 20060101AFI20230808BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230808BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230808BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G03G15/02 102
G03G21/00 318
G03G15/00 303
G03G21/14
(21)【出願番号】P 2018180694
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】溝口 聡
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-041068(JP,A)
【文献】特開2009-058543(JP,A)
【文献】特開2009-175461(JP,A)
【文献】特開2008-203366(JP,A)
【文献】特開2001-109332(JP,A)
【文献】特開平11-174785(JP,A)
【文献】特開2004-347750(JP,A)
【文献】特開2002-156806(JP,A)
【文献】特開2008-185989(JP,A)
【文献】特開2014-021261(JP,A)
【文献】特開2015-049425(JP,A)
【文献】特開2002-196569(JP,A)
【文献】特開2003-140526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
G03G 21/00
G03G 15/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を保持して回転する潜像保持手段と、
前記潜像保持手段を接触帯電部材に直流の帯電電圧を供給して帯電させる帯電手段と、
前記潜像保持手段に付着する現像剤を接触清掃部材で除去して清掃する清掃手段と、
前記帯電手段の接触帯電部材に対して直流の帯電電圧を供給
し、特定の時期に交流を重畳した直流の電圧を
前記直流の帯電電圧から切り替えて供給する給電手段と、
を備え、
前記特定の時期は
、予め定める高濃度の画像を形成する回数が予め定める数値に達した時期であ
り、
前記高濃度の画像は、画像面積率が90%以上の箇所が前記潜像保持手段の回転方向に沿う方向に50mm以上連続する画像である画像形成装置。
【請求項2】
潜像を保持して回転する潜像保持手段と、
前記潜像保持手段を接触帯電部材に直流の帯電電圧を供給して帯電させる帯電手段と、
前記潜像保持手段に付着する現像剤を接触清掃部材で除去して清掃する清掃手段と、
前記帯電手段の接触帯電部材に対して直流の帯電電圧を供給し、特定の時期に交流を重畳した直流の電圧を前記直流の帯電電圧から切り替えて供給する給電手段と、
を備え、
前記特定の時期は、現像剤により現像されて前記接触清掃部材の前記潜像保持手段と接触する先端部に現像剤を供給して滞留させることができる特殊な像を形成する動作が実行されるときの時期であり、
前記特殊な像は、前記接触清掃部材の前記潜像保持手段に接触する幅とほぼ同じ幅でかつ前記潜像保持手段の回転方向に対して所要の長さからなる帯状の像であり、
前記給電手段は、前記特殊な像を形成するときの判断条件の閾値に達する時期よりも所
定の時間だけ前に到達する閾値に達した時期に前記交流を重畳した直流の電圧を供給し始めるよう構成されており、
前記判断条件は、前記現像剤がトナーとキャリアからなる二成分現像剤である場合、画像が形成される用紙1枚当たりのトナー濃度が2%以下である低濃度の画像が250枚以上連続して形成される条件であり、
前記所定の時間だけ前に到達する閾値は、前記低濃度の画像が100枚以上連続して形成される条件である画像形成装置。
【請求項3】
前記給電手段は、前記交流を重畳した直流の電圧の供給を、当該供給を開始してからの前記潜像保持手段の回転数又は経過時間が予め定める当該回転数又は経過時間に達した時点で終了する請求項
1又は2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体等の潜像保持手段の表面に付着した現像剤等を接触清掃部材で除去する画像形成装置としては、例えば、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、像担持体と、像担持体の表面を帯電せしめる帯電手段と、像担持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、像担持体の表面に接触して設けられて当該表面に付着した付着物を除去するブレード部材を有するクリーニング手段と、像担持体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段とを備えた画像形成装置が記載されている。
この特許文献1には、上記画像形成装置が、非作像動作時に付着物除去モードを実行し、かつ、その後に潤滑剤塗布モードを実行するとき、帯電手段は、像担持体表面に対向して設けられた帯電部材にAC電圧とDC電圧とを重畳した帯電AC電圧を印加して帯電せしめるものであり、前記付着物除去モード時は通常の作像動作時の帯電電流値よりも高い帯電電流値となる帯電AC電圧を帯電部材に印加し、前記付着物除去モード時は帯電部材へ帯電AC電圧の印加を行わないことを特徴とするものであることが記載されている。
また特許文献1には、付着物除去モード時に印加する帯電AC電圧が、直前の作像動作時に像担持体を帯電した電流値の1.2倍から1.4倍の電流値を像担持体に与える電圧値であることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、直流の帯電電圧による接触帯電が行われる潜像保持手段に付着した現像剤を接触清掃部材で除去して清掃するとき、接触帯電部材に交流を重畳した直流の電圧を供給しない場合に比べて、現像剤の一部が接触清掃部材をすり抜けることを抑制することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(A1)の画像形成装置は、潜像を保持して回転する潜像保持手段と、
前記潜像保持手段を接触帯電部材に直流の帯電電圧を供給して帯電させる帯電手段と、
前記潜像保持手段に付着する現像剤を接触清掃部材で除去して清掃する清掃手段と、
前記帯電手段の接触帯電部材に対して直流の帯電電圧を供給し、特定の時期に交流を重畳した直流の電圧を前記直流の帯電電圧から切り替えて供給する給電手段と、
を備え、
前記特定の時期は、予め定める高濃度の画像を形成する回数が予め定める数値に達した時期であり、
前記高濃度の画像は、画像面積率が90%以上の箇所が前記潜像保持手段の回転方向に沿う方向に50mm以上連続する画像であるものである。
また、この発明(A2)の画像形成装置は、潜像を保持して回転する潜像保持手段と、
前記潜像保持手段を接触帯電部材に直流の帯電電圧を供給して帯電させる帯電手段と、
前記潜像保持手段に付着する現像剤を接触清掃部材で除去して清掃する清掃手段と、
前記帯電手段の接触帯電部材に対して直流の帯電電圧を供給し、特定の時期に交流を重畳した直流の電圧を前記直流の帯電電圧から切り替えて供給する給電手段と、
を備え、
前記特定の時期は、現像剤により現像されて前記接触清掃部材の前記潜像保持手段と接触する先端部に現像剤を供給して滞留させることができる特殊な像を形成する動作が実行されるときの時期であり、
前記特殊な像は、前記接触清掃部材の前記潜像保持手段に接触する幅とほぼ同じ幅でかつ前記潜像保持手段の回転方向に対して所要の長さからなる帯状の像であり、
前記給電手段は、前記特殊な像を形成するときの判断条件の閾値に達する時期よりも所定の時間だけ前に到達する閾値に達した時期に前記交流を重畳した直流の電圧を供給し始めるよう構成されており、
前記判断条件は、前記現像剤がトナーとキャリアからなる二成分現像剤である場合、画像が形成される用紙1枚当たりのトナー濃度が2%以下である低濃度の画像が250枚以上連続して形成される条件であり、
前記所定の時間だけ前に到達する閾値は、前記低濃度の画像が100枚以上連続して形成される条件であるものである。
【0007】
この発明(A3)の画像形成装置は、上記発明A1又はA2の画像形成装置において、前記給電手段は、前記交流を重畳した直流の電圧の供給を、当該供給を開始してからの前記潜像保持手段の回転数又は経過時間が予め定める当該回転数又は経過時間に達した時点で終了するものである。
【発明の効果】
【0008】
上記発明A1の画像形成装置によれば、直流の帯電電圧による接触帯電が行われる潜像保持手段に付着した現像剤を接触清掃部材で除去して清掃するとき、接触帯電部材に交流を重畳した直流の電圧を供給しない場合に比べて、現像剤の一部が接触清掃部材をすり抜けることを抑制することができる。
しかも、上記発明A1の画像形成装置によれば、給電手段における特定の時期が予め定める高濃度の画像を形成する回数が予め定める数値に達した時期でない場合に比べて、通常の画像形成動作時の清掃手段による清掃工程において現像剤の一部が接触清掃部材をすり抜けることを適切に抑制することができる。
また、上記発明A2の画像形成装置によれば、直流の帯電電圧による接触帯電が行われる潜像保持手段に付着した現像剤を接触清掃部材で除去して清掃するとき、接触帯電部材に交流を重畳した直流の電圧を供給しない場合に比べて、現像剤の一部が接触清掃部材をすり抜けることを抑制することができる。
しかも、上記発明A2の画像形成装置によれば、給電手段が特殊な像を形成するときの判断条件の閾値に達する時期よりも所定の時間だけ前に到達する閾値に達した時期に交流を重畳した直流の電圧を供給し始めない場合に比べて、特殊な像を形成したときの現像剤の一部が接触清掃部材をすり抜けることをより確実に抑制することができる。
【0009】
上記発明A3の画像形成装置によれば、給電手段が交流を重畳した直流の電圧の供給を予め定める上記条件に達した時点で終了しない場合に比べて、交流を重畳した直流の電圧が供給される接触帯電部材による潜像保持手段の表面の過度な劣化又は変化の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る画像形成装置の全体を示す概要図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の一部(像形成部)を示す概要図である。
【
図3】
図1の画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図4】(A)はトナーバンドを形成した状態を示す概略側面図、(B)は(A)の状態を示す別の概略側面図である。
【
図5】特殊電圧(交流を重畳した直流の電圧)の供給動作に関する制御動作を示すフローチャートである。
【
図6】特殊電圧の供給動作とトナーバンドの形成動作との関係を示す概念図である。
【
図7】実施の形態2に係る画像形成装置における特殊電圧の供給動作に関する制御動作を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態3に係る画像形成装置における特殊電圧の供給動作に関する制御動作を示すフローチャートである。
【
図9】特殊電圧の供給動作と通常の画像の形成動作との関係を示す概念図である。
【
図10】トナーバンドを形成する他の判断条件を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
[実施の形態1]
図1は実施の形態1に係る画像形成装置の構成を示し、
図2はその画像形成装置における像形成部を示している。
図面中に符号X,Y,Zで示す矢印は、各図面において想定した幅、高さおよび奥行の各方向を示す。また
図1、
図2等においてX,Yの方向の矢印が交わる部分の丸印は、Zの方向が図面の垂直下方に向いていることを示している。
【0013】
画像形成装置1は、例えば、外部の接続機器等から入力される画像情報に基づく画像を用紙9に形成するプリンタとして構成されている。
この画像形成装置1は、
図1に示されるように、筐体10の内部空間に、画像情報に基づく未定着像を形成して用紙9に転写する像形成部2と、像形成部2に供給する用紙9を収容する給紙部4と、像形成部2で転写された未定着像を用紙9に定着させる定着部5と、画像形成装置1の各動作を総括的に制御する中央制御部15等を備えている。
【0014】
ここで、画像情報は、例えば、文字、図形、写真、模様などの画像に関係する情報である。筐体10は、各種の支持部材、外装材等で所要の形状に形成された構造物である。この筐体10は、その上面部の一部に、画像が形成された後に排出される用紙9を重ねた状態で収容する排出収容部12とその排出収容部12にむけて用紙9が排出される排紙口13が形成されている。
図1等における一点鎖線は、筐体10内で用紙9が搬送されるときの主な搬送経路を示している。
【0015】
像形成部2は、
図1や
図2に示されるように、矢印Aで示す方向に回転する潜像保持手段の一例である感光ドラム21を有し、その感光ドラム21の周囲に帯電手段の一例である帯電装置22、露光装置23、現像装置24、転写装置25、清掃手段の一例である清掃装置26等を配置して構成される部分である。
【0016】
感光ドラム21は、円筒又は円柱の形状からなる導電性のドラム本体の外周面に、少なくとも無機感光材、有機感光材等からなる感光層を設けて構成されている。実施の形態1における感光ドラム21は、その最表層に表面保護層を設けていないが、表面保護層を設けたものであってもよい。また、この感光ドラム21は、回転可能に支持されているとともに、図示しない回転駆動装置から動力を受けて矢印Aで示す方向に所要の速度で回転するよう駆動されるようになっている。
帯電装置22は、感光ドラム21の外周面(像形成面)を直流の帯電電圧の供給により帯電させる装置である。この帯電装置22は、
図2に示されるように、感光ドラム21の外周面に接触するとともに給電手段の一例である電源装置28から直流の帯電電圧が供給される接触帯電部材221を有している。接触帯電部材221としては、例えば、ロール形態からなる帯電ロールが適用される。この接触帯電部材221としての帯電ロールは、導電性のロール本体の外周面に、半導電性の弾性層等を設けて構成されている。
【0017】
露光装置23は、感光ドラム21の外周面に画像情報に基づく光(Bh)を照射して静電潜像を形成する装置である。この露光装置23としては、例えば、LEDアレイ、光学素子等で構成されるLED印字ヘッドが適用される。
現像装置24は、感光ドラム21の外周面に形成された静電潜像を現像剤(トナー)により現像して顕像化する装置である。この現像装置24としては、例えば、摩擦帯電される非磁性のトナーと磁性キャリアから構成される二成分現像剤を用いる二成分現像装置が適用される。また、この現像装置24は、
図2に示されるように、現像剤8が収容される装置本体241内に、現像剤8を撹拌して搬送する攪拌搬送部材242と、現像剤8を保持して感光ドラム21と対向する現像領域まで回転して搬送する現像ロール243と、現像ロール243に保持される現像剤8の量(層厚)を規制する規制部材244等を配置して構成されている。現像ロール243には、図示しない電源装置から現像電圧が供給される。
【0018】
転写装置25は、感光ドラム21の外周面に形成された未定着の像(トナー像)を用紙9に転写させる装置である。この転写装置25は、感光ドラム21の外周面に接触するとともに図示しない電源装置からトナーの帯電極性と逆極の転写電圧が供給される接触転写部材251を有している。接触転写部材251としては、例えば、ロール形態からなる転写ロールが適用される。像形成部2では、転写装置25が感光ドラム21の外周面に接触する位置を転写位置TPとしている。
清掃装置26は、感光ドラム21の外周面に付着するトナー、紙粉等の不要物を除去して清掃する装置である。この清掃装置26は、感光ドラム21の外周面にその回転軸の方向に沿って接触する接触清掃部材261、接触清掃部材261で除去された不要物を回収する回収室を有する本体262等で構成されている。接触清掃部材261としては、例えば、長方形からなる板状の弾性部材(弾性ブレード)が適用される。
【0019】
給紙部4は、例えば、用紙を収容する収容体41、収容体41に収容された用紙9を1枚ずつ送り出して供給する供給装置43等を配置して構成される部分である。この給紙部4は、筐体10の内部で像形成部2よりも下方側の位置に設けられている。
このうち収容体41は、所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙9を所要の向きで積載して収容する積載板42を有し、筐体10の外部に引き出し操作が可能になるよう取り付けられた構造物である。また、供給装置43は、収容体41の積載板42上に積載されている用紙9を、複数のロール等の供給部材により積載した最上の用紙から1枚ずつ送り出す装置である。
【0020】
定着部5は、
図1に示されるように、用紙9の導入口や排出口が設けられた筐体50の内部空間に加熱用回転体51と加圧用回転体52等の機器を配置して構成される部分である。この定着部5は、筐体10の内部で像形成部2の転写位置TPよりも上方側の位置に設けられている。
このうち加熱用回転体51は、矢印で示す方向に回転するロール形態、ベルト-ニップ形態等からなる定着部材であり、例えば、その内部に配置された加熱源53にて加熱されるとともに温度検出器により所要の温度に保たれるよう制御されている。また、加圧用回転体52は、加熱用回転体51に所要の加圧下で接触して従動回転するロール形態等からなる定着部材である。
この定着部5では、加熱用回転体51と加圧用回転体52が接触する部位を、未定着像のトナー像が転写された用紙9を定着処理(加熱、加圧等)するための定着ニップ部FNとしている。
【0021】
中央制御部15は、中央演算処理装置、記憶部、入出力部等を備えた部分として構成されており、記録部に格納する制御プログラムや制御データ等に基づいて所要の制御処理を実行する部分である。
【0022】
この中央制御部15は、
図3に示されるように、像形成部2の主な動作を制御する像形成制御部152や、給紙部4の主な動作を制御する給紙制御部154や、定着部5の主な動作を制御する定着制御部155等と接続されており、その像形成制御部152、給紙制御部154、定着制御部155等に必要な制御信号等を出力している。像形成制御部152、給紙制御部154および定着制御部155についても、中央制御部15のように構成されており、各対象部分の専用の制御プログラムや制御データ等に基づいて所要の制御処理を実行する。
また、この中央制御部15は、外部機器やネットワークとの通信を行う通信部16や、入力される画像情報に対して必要な画像処理等を行う画像処理部17や、画像形成装置1の動作や操作等に関する必要な情報を入力および表示する操作表示部18や、制御動作に必要な情報を検出する検出部19等と接続されており、その通信部16、画像処理部17、操作表示部18、検出部19等から情報を取得するとともに必要な情報を出力している。
【0023】
また、画像形成装置1においては、
図1に示されるように、筐体10内に給紙搬送路Rt1、排出搬送路Rt2等の用紙搬送路が設けられている。
給紙搬送路Rt1は、給紙部4と像形成部2の間において給紙部4にある用紙9を像形成部2の転写位置TPまで供給するよう搬送する搬送路である。この給紙搬送路Rt1は、用紙9を挟持して搬送する一対の搬送ロール44,45や、用紙9の搬送空間を確保して用紙9の搬送を案内する図示しない案内部材等を配置して構成されている。
排出搬送路Rt2は、定着部5と排紙口13の間において定着終了後の用紙9を排紙口13から排出収容部12にむけて排出するよう搬送する搬送路である。この排出搬送路Rt2は、排紙口13の手前において用紙9を挟持して搬送する一対の排出ロール46や、用紙9の搬送空間を確保して用紙9の搬送を案内する図示しない案内部材等を配置して構成されている。
【0024】
<特殊な像を形成する動作に関する構成>
また、この画像形成装置1は、
図4に示されるように、予め定めた判断条件の閾値に達したときに、像形成部2において感光ドラム21に特殊な像の一例であるトナーバンドSTを形成する動作を実行するよう構成されている。
【0025】
トナーバンドSTは、清掃装置26における接触清掃部材261のうち感光ドラム21の外周面に接触する先端部261aに現像剤8におけるトナーTを滞留させた状態であるトナー溜りTaを形成するためのものである。また、このトナー溜りTaを形成することにより、トナー溜りTaの一部のトナーやその添加材が潤滑剤のような役割を発揮するようになり、その結果、接触清掃部材261の先端部261aと感光ドラム21の外周面との間の摩擦抵抗が向上して不要な異音(鳴き等)が発生することを抑制することや、感光ドラム21の外周面に対する接触清掃部材261の先端部261aの安定した接触を確保して清掃性能の安定化を図ることが可能になる。
このため、トナーバンドSTは、
図4(B)に示されるように、接触清掃部材261の感光ドラム21の外周面に接触する幅とほぼ同じ幅で、感光ドラム21の回転方向Aに対して所要の長さLからなる帯状の像として形成される。また、トナーバンドSTは、高濃度(例えば印字する用紙1枚の当たりのトナー濃度が50%以上になる濃度)の帯状のトナー像として形成される。
【0026】
そして、トナーバンドSTを形成する判断条件の閾値は、例えば、像形成部2で行われる通常の画像の形成動作において当該画像の濃度が低濃度(例えば画像を形成する用紙1枚の当たりのトナー濃度が2%以下になる濃度)であって所要の枚数(例えば250枚)以上の画像形成動作が連続して行われたときが設定される。この明細書では、この低濃度の画像が所要の枚数以上連続して形成されるときの判断条件の閾値を「判断条件の閾値S1」と称する。また、通常の画像とは、用紙9に転写して形成する画像をいう。
つまり、この判断条件の閾値S1に達した時期は、像形成部2で低濃度である通常の画像が連続して形成されるため、転写位置TPで用紙9に転写しないで感光ドラム21の外周面に残る転写残りトナーが少なくなり、この結果、清掃装置26の接触清掃部材261に運ばれる転写残りトナーの量が減ってトナー溜りTaを形成するトナーの量も減少した状態になる時期に相当する。
また、このトナーバンドSTを形成する判断条件の閾値S1は、例えば、中央制御部15(又は像形成制御部152)において画像形成動作で形成される画像の濃度と形成枚数(累積の枚数)に関する情報を画像処理部17から入手して検出するよう構成されている。
【0027】
また、トナーバンドSTの形成は、例えば、通常の画像形成動作の場合とほぼ同様に、感光ドラム21を帯電装置22で帯電させた後に露光装置23によりトナーバンドST用の静電潜像を形成した後、その静電潜像を現像装置24により現像することで行われる。
ただし、トナーバンドSTを形成するときの転写装置25は、トナーバンドSTのトナー像が転写位置TPを通過するタイミングに合わせて、接触転写部材251に転写電圧と逆極性の電圧が供給されるか、あるいは、接触転写部材251を感光ドラム21の外周面から離間させるように変位させられるように構成される。これにより、トナーバンドSTのトナーが転写装置25の接触転写部材251に転移して付着することで汚れてしまうことを防ぐようにしている。
【0028】
<特殊電圧の供給に関する構成>
さらに、この画像形成装置1は、
図3および
図5に示されるように、給電手段の一例である電源装置28から帯電装置22の接触帯電部材221に対して直流の帯電電圧を供給するとともに、特定の時期に交流を重畳した直流の電圧(この重畳した電圧を特殊電圧と称することもある。)を切り替えて供給するように構成されている。
【0029】
つまり、この画像形成装置1においては、通常の画像形成動作のときには電源装置28から接触帯電部材221に直流の帯電電圧を供給し、これにより感光ドラム21の外周面が直流の電圧により帯電される。また、特定の時期になると、電源装置28から接触帯電部材221に交流を重畳した直流の特殊電圧を供給し、これにより感光ドラム21の外周面がその特殊電圧により帯電される。
【0030】
ここで、特定の時期としては、例えば、上記トナーバンドSTを形成する動作が実行されるときの時期を含む時期が設定される。
また、この特定の時期は、感光ドラム21の外周面にトナーバンドSTが実際に形成される前に特殊電圧が既に供給されているような時期に設定されていることが好ましい。
このため、実施の形態1における特定の時期は、トナーバンドSTを形成するときの判断条件の閾値よりも小さい閾値に達した時期に設定している。この明細書では、このときの小さい閾値に達した時期を「特定の時期J1」と称する。
具体的には、例えば、画像形成動作において形成対象の画像の濃度が低濃度(例えば上記した用紙1枚の当たりのトナー濃度が2%以下になる濃度)であって所要の枚数(例えば100~150枚)以上の画像形成動作が連続して行われたときを、特定の時期J1(又はこの時期J1の到来を判断する判断条件の閾値)として設定している。
【0031】
この接触帯電部材221に特殊電圧を供給する特定の時期J1は、例えば、中央制御部15(又は像形成制御部152)において通常の画像形成動作で形成される通常の画像の濃度とその形成枚数に関する情報を画像処理部17や検出部19から入手して検出するよう構成されている。
【0032】
また、特殊電圧Vsは、その直流電圧として帯電電圧の直流電圧Vdcよりも低い直流電圧を適用し、その交流電圧として所要の電圧および周波数からなる交流電圧を適用したものが使用される。
具体的には、帯電電圧Vcの直流電圧Vdcとして-600Vを適用する場合は、特殊電圧Vsとして、直流電圧Vが-600V、交流電圧(ピーク間電圧)が4kVであるものを適用する。
この場合、特殊電圧Vsにおける直流電圧(ピーク間電圧)の周波数については、特殊電圧Vsを供給した後の感光ドラム21で形成されるトナー像の干渉縞の発生を防ぐ等の観点からすると、プロセス速度(感光ドラム21の回転速度)に応じて設定することが好ましい。例えば、プロセス速度が220mm/秒である場合、特殊電圧Vsにおける直流電圧の周波数は1600Hz程度に設定される。
【0033】
さらに、特殊電圧は、
図2に示されるように電源装置28として直流(DC)電源281と、交流(AC)電源282と、直流電源281と交流電源282から出力条件に応じた電圧を切り替えて出力する出力切替部283等を備えた電源装置を適用し、その電源装置28から直流の帯電電圧を出力することに加えて交流を重畳した直流の特殊電圧を切り替えて出力することにより行われる。
この電源装置28の動作については、
図3に示されるように、像形成制御部152における帯電制御部1522を通して制御するよう構成されている。つまり、電源装置28は、帯電制御部1522の制御により出力切替部283における帯電電圧を出力するときと特殊電圧を出力するときの切り替えが行われることになる。
【0034】
また、特殊電圧の供給は、
図5に示されるように、予め定める終了の時期が到来すると、終了されるように構成されている。
このときの終了の時期としては、例えば、特殊電圧の供給を開始(st1:
図6)してからの感光ドラム21の回転数が予め定める閾値としての回転数に達した時点が設定される。この明細書では、このときの終了の時期を「終了の時期K1」と称する。この終了の時期K1については、例えば、中央制御部15(又は像形成制御部152)において感光ドラム21の回転数を検出するエンコーダ等の検出部19から情報を入出して検出するよう構成される。
【0035】
<画像形成動作>
そして、この画像形成装置1では、以下の通常の画像形成動作が行われる。
【0036】
まず、画像形成装置1は、中央制御部15が外部の接続機器や操作表示部18等から画像形成動作を要求する指令を受けると、中央制御部15が像形成制御部152、給紙制御部154、定着制御部155等を通して制御し、これにより像形成部2、給紙部4、定着部5等における所要の部分が所定のタイミングで始動する。
【0037】
像形成部2では、
図1に示されるように、感光ドラム21が矢印Aで示す方向に回転始動し、帯電装置22がその感光ドラム21の外周面を接触帯電部材221を通して直流の帯電電圧により所要の極性および電位に接触帯電させた後、露光装置23が画像処理された画像信号に対応した光(Bh)を感光ドラム21の帯電後の外周面に照射して静電潜像を形成する。しかる後、現像装置24が、その静電潜像を所要の色(例えば黒色)からなる現像剤8としてのトナーを現像ロール243から供給して静電作用により付着させることにより現像する。これにより、感光ドラム21の外周面には、静電潜像に対応した所要の色(例えば黒色)のトナー像が形成される。
【0038】
一方、給紙部4では、像形成部2における像形成の動作タイミングに合わせて、収容体41に収容されている用紙9を供給装置43により像形成部2における転写位置TPにむけて供給する。この際、給紙部4では、供給装置43により収容体41から供給される用紙9が、給紙搬送路Rt1における搬送ロール44を経てレジロールでもある搬送ロール45まで送られた後、その搬送ロール45により所要のタイミングで転写位置TPに送られる。
【0039】
そして、像形成部2では、転写装置25が感光ドラム21に形成されたトナー像を転写位置TPで接触転写部材251により用紙9に静電作用等にて転写させる。また、像形成部2では、清掃装置26が感光ドラム21の転写後等における外周面に付着する不要物を接触清掃部材261により除去して清掃する。
【0040】
続いて、像形成部2でトナー像が転写された用紙9が、その転写位置TPから排出されて定着部5へ送られる。定着部5では、そのトナー像を保持する用紙9が定着ニップ部FNに導入されて通過させられる。これにより、用紙9上のトナー像は、定着ニップ部FNにおいて加圧下で加熱されて溶融した後、用紙9に定着される。
【0041】
最後に、定着終了後の用紙9は、定着部5から排出された後、排出搬送路Rt2を経由して搬送されて排出収容部12に収容される。この際、定着が終了して定着部5から排出される用紙9は、排出搬送路Rt2を通して排出ロール46まで送られた後、その排出ロール46により排紙口13を通して筐体10の外部に送り出されることで排出収容部12に収容される。
【0042】
画像形成装置1では、以上の一連の動作が行われることにより、1枚の用紙9の片面に対して所要の色からなる通常の画像が形成され、通常の画像形成動作が終了する。
また画像形成装置1では、複数枚の用紙9に対する画像形成動作を要求する指令が出された場合、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返される。
【0043】
<トナーバンドの形成動作>
また、画像形成装置1では、
図6に示されるように、中央制御部15又は像形成制御部152においてトナーバンドSTを形成するときの判断条件の閾値に達したことが検出されると、トナーバンドSTを形成する動作が実行される。
図6中の符号dt2は、中央制御部15又は像形成制御部152がトナーバンドSTを形成するときの判断条件の閾値に達したことを検出した時点を示す。
【0044】
つまり、前述したような低濃度の画像が所要の枚数だけ連続して形成されて判断条件の閾値S1に達したことが検出されると、像形成部2においては、
図4に示されるように、前述した形成方法により感光ドラム21の外周面にトナーバンドSTが形成される。このときのトナーバンドSTの形成動作は、通常の画像の形成動作とは独立して行われ、判断条件の閾値S1の到来時期によっては通常の画像の形成動作を一旦中断して行われることもある。
【0045】
そして、トナーバンドSTは、感光ドラム21の回転により転写位置TPを通過して清掃装置26まで運ばれた後、清掃装置26の接触清掃部材261によりトナーバンドSTを構成するキャリアとトナーTの多くが除去されて回収される一方で、その一部のトナーTが接触清掃部材261の先端部261aにせき止められて滞留した状態のトナー溜りTaを形成する。
この結果、清掃装置26においては、このトナー溜りTaが形成されることにより、前述したように接触清掃部材261の感光ドラム21の外周面との接触による不要な異音の発生が抑制され、また、感光ドラム21の外周面に対する接触清掃部材261の安定した接触が確保されて清掃性能の安定化が図れる。
【0046】
<特殊電圧の供給動作>
さらに、この画像形成装置1では、
図5に示されるように特殊電圧の供給動作が実行される時期がある。
【0047】
画像形成装置1では、通
常の画像形成動作等の時期になると、像形成制御部152における帯電制御部1552の制御により、
図5に示されるように、像形成部2において電源装置28の出力切替部283を通して帯電装置22における接触帯電部材221に直流の帯電電圧が供給される(ステップ10:以後、このような表示をS10と略称することがある。)が、このとき中央制御部15又は像形成制御部152においては特殊電圧を供給するための上記特定の時期J1が到来したか否かの判断が行われる(S11)。
【0048】
この際、ステップ11において特定の時期J1が到来していないと判断された場合は、直流の帯電電圧を供給する動作が継続される。
一方、ステップ11において特定の時期J1が到来したと判断された場合は、中央制御部15又は像形成制御部152が帯電制御部1552を通して電源装置28における出力切替部283を制御することにより、その出力切替部283において帯電電圧の出力(供給)状態から特殊電圧の出力(供給)状態への切り替えが行われる(S12)。
この場合は、像形成部2において電源装置28から出力切替部283を通して帯電装置22における接触帯電部材221に対して、交流を重畳した直流の特殊電圧が供給され始める(S13)。
【0049】
これにより、像形成部2においては、感光ドラム21の外周面が接触帯電部材221を通して交流を重畳した直流の特殊電圧で接触帯電され、その帯電された外周面が清掃装置26を通過するようになる。
この結果、像形成部2では、
図4(A)に例示されるように、感光ドラム21の外周面を特殊電圧で帯電せずに直流の帯電電圧のみで帯電し続ける場合に比べて、清掃装置26における接触清掃部材261の先端部261aにおいてトナーの一部Tbがすり抜けてしまうことが抑制される。
【0050】
このトナーTbのすり抜けは、特に現像剤8として微小径(例えば平均粒径が5μm以下)のトナーTを含むものを使用した場合に発生しやすい傾向にある。
また、このトナーTbのすり抜けが抑制されるのは、感光ドラム21の外周面が交流を重畳した直流の特殊電圧で帯電されることで、その交流成分による帯電(放電)によりごく微細であるが物理的に少し粗い状態(粗面の状態)になり、接触清掃部材261の先端部261aによるトナーのかき取り作用が発揮されやすくなることによるものと推測される。
【0051】
そして、この画像形成装置1では、トナーバンドSTの形成動作にほぼ合わせて特殊電圧の供給動作が実行されるので、比較的大量のトナーで構成されるトナーバンドSTが清掃装置26に運ばれる場合であっても、そのトナーバンドSTを構成するトナーの一部Tbが接触清掃部材261の先端部261aをすり抜けてしまうことが抑制されて、トナーバンドSTを構成するトナー等が清掃装置26において良好に除去される。
その一方で、清掃装置26では、接触清掃部材261の先端部261aにおけるトナー溜りTaのトナーが減少していた状況がトナーバンドSTの供給により復旧され、十分なトナーからなるトナー溜りTaが再度形成される。
以上により、画像形成装置1では、通常の画像の形成を行う際、清掃装置26ですり抜けたトナーや清掃不良に起因した画質の低下が発生することも抑制される。
【0052】
また、この画像形成装置1では、特殊電圧の供給を行うの特定の時期J1が、前述したように低濃度の画像が所要の枚数だけ連続して形成された判断条件の閾値に達した時期であって、トナーバンドSTを形成するための判断条件の閾値S1に達する前の時期でもある。
これにより、像形成部2においては、
図6に示されるようにトナーバンドSTの形成動作が開始される前に特殊電圧の供給動作が開始されるようになる。また、像形成部2では、
図5に二点鎖線で括弧って示すように、特殊電圧の供給が開始された後にトナーバンドSTの形成動作が実行される関係になっている。つまり、これは、特殊電圧を供給する特定の時期J1は、トナーバンドSTを形成する時期を含む時期になっているともいえる。
図6における符号dt1は、中央制御部15又は像形成制御部152が特殊電圧を供給する特定の時期J1の判断条件の閾値に達したことを検出した時点を示す。この特定の時期J1の到来を検出した時点dt1は、トナーバンドSTを形成するときの判断条件の閾値を検出した時点dt2よりも所
定の時間(Δt1)だけ早くなる。また、
図6に示されるように、特殊電圧の供給動作が開始される時点st1は、トナーバンドSTの形成動作が開始される時点st2よりも所定の時間(Δt2)だけ早くなる。
【0053】
この結果、像形成部2においては、特殊電圧で帯電された感光ドラム21の外周面にトナーバンドSTが形成されるとともに、そのトナーバンドSTが清掃装置26に運ばれるようになる。
したがって、この画像形成装置1においては、トナーバンドSTのような特殊な像を形成する動作の実行時やその実行後の時期に特殊電圧を供給し始める場合に比べると、トナーバンドSTを構成するトナーの一部(Tb)が接触清掃部材261をすり抜けることが確実に抑制されるようになる。
【0054】
続いて、特殊電圧の供給動作が実行されている際には、
図5に示されるように、中央制御部15又は像形成部152において特殊電圧の供給動作の終了の時期K1が到来したか否かの判断が行われる(S14)。
具体的には、特殊電圧の供給を開始(st1:
図6)してからの感光ドラム21の回転数が、予め定める閾値としての回転数(例えば500回転数)に達したか否かが判断される。
【0055】
この際、ステップS14において終了の時期K1が到来していないと判断された場合は、特殊電圧の供給動作が続行される。
その一方で、ステップS14において終了の時期K1が到来したと判断された場合は、像形成制御部152における帯電制御部1522の制御により、電源装置28からの特殊電圧の供給が終了され(S15)、しかる後、電源装置28の出力切替部283において特殊電圧の出力(供給)状態から帯電電圧の出力(供給)状態への切り替えが行われる(S16)。
【0056】
以上により、特殊電圧の供給動作が終了する。
【0057】
この画像形成装置1では、特殊電圧の供給動作が予め定めた終了の時期K1に達した時点で終了するよう構成されているので、その特殊電圧の供給を予め定める終了の時期に達した時点で終了しない構成に場合に比べると、特殊電圧が供給される接触帯電部材221による感光ドラム21の外周面の過度な劣化又は変化の発生が抑制又は防止される。
これにより、画像形成装置1においては、特殊電圧の供給をした後に通常の画像を形成する際、その特殊電圧の供給により感光ドラム21の外周面の過度な劣化又は変化に起因した画質の低下が発生することが抑制される。
【0058】
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2に係る画像形成装置の一部(一部の動作の流れ)を示している。
実施の形態2に係る画像形成装置は、特殊電圧の供給動作を行う特定の時期を変更した以外は実施の形態1に係る画像形成装置1と同じ構成からなるものである。
【0059】
実施の形態2に係る画像形成装置では、特殊電圧の供給動作を行う特定の時期について、トナーバンドSTの形成動作とは無関係に、予め定める定期的な時期を含む時期に設定している。このような定期的な時期を含む特定の時期は、例えば、通常の画像を形成する累積回数が予め定める数値に達した時期に設定するとよい。この明細書では、このときの数値に達した時期を「特定の時期J2」と称する。
この特定の時期J2(又はこの時期J2の到来を判断する判断条件の閾値)としては、具体的に、通常の画像を形成するときの感光ドラム21の回転数が所要の累積回数(例えば累積で1万回転)以上になったときを設定している。
【0060】
<特殊電圧の供給動作>
実施の形態2に係る画像形成装置では、
図7に示されるように特殊電圧の供給動作が実行される時期がある。
【0061】
この画像形成装置では、通常の画像形成動作等の時期になると、実施の形態1に係る画像形成装置1の場合と同様に、像形成部2において電源装置28の出力切替部283を通して帯電装置22における接触帯電部材221に直流の帯電電圧が供給される(S20)が、このとき中央制御部15又は像形成制御部152においては特殊電圧を供給するための上記特定の時期J2が到来したか否かの判断が行われる(S21)。
【0062】
この際、ステップ21において特定の時期J2が到来していないと判断された場合は、直流の帯電電圧を供給する動作が継続される。一方、ステップ21において感光ドラム21の回転数が所要の累積回数に達して特定の時期J2が到来したと判断された場合は、中央制御部15又は像形成制御部152が帯電制御部1552を通して電源装置28における出力切替部283を制御することにより、その出力切替部283において帯電電圧の出力状態から特殊電圧の出力状態への切り替えが行われる(S22)。
後者の場合には、実施の形態1に係る画像形成装置1の場合と同様に、像形成部2において電源装置28から出力切替部283を通して帯電装置22における接触帯電部材221に対して、交流を重畳した直流の特殊電圧が供給され始める(S23)。
【0063】
このときの特殊電圧は、実施の形態1における特殊電圧と同じものであるが、異なる内容の特殊電圧であってもよい。
また、このときの特殊電圧の供給動作は、実行中の通常の画像の形成動作がすべて終了した後に行われるが、判断条件の閾値S1の到来時期によっては通常の画像の形成動作を一旦中断して行われることもある。
【0064】
これにより、像形成部2においては、感光ドラム21の外周面が接触帯電部材221を通して交流を重畳した直流の特殊電圧で接触帯電され、その帯電された外周面が清掃装置26を通過するようになる。
この結果、像形成部2では、通常の画像の形成動作を行っている場合であっても、感光ドラム21の外周面を特殊電圧で帯電せずに直流の帯電電圧のみで帯電し続ける場合に比べて、清掃装置26における接触清掃部材261の先端部261aにおいてトナーの一部(Tb:
図4)がすり抜けてしまうことが抑制される。
このときのトナーのすり抜けも、実施の形態1におけるトナーTbのすり抜けの場合と同様に、特に現像剤8として微小径(例えば平均粒径が5μm以下)のトナーTを含むものを使用した場合に発生しやすい傾向にある。
【0065】
そして、この画像形成装置では、通常の画像の形成動作が繰り返されて感光ドラム21の累積回転数が予め定める数値に達した定期的な時期に特殊電圧の供給動作が実行されるので、感光ドラム21の外周面の状態がほぼ定期的に粗い状態に変更されて清掃装置26の接触清掃部材261による清掃性能が良好に発揮されるようになる。この結果、画像形成装置では、清掃装置26に運ばれる転写残りトナーが接触清掃部材261の先端部261aをすり抜けてしまうことが抑制されて、その転写残りトナー等が清掃装置26において良好に除去される。
以上により、この画像形成装置では、通常の画像の形成を行う際でも、清掃装置26による清掃工程で接触清掃部材261をすり抜けたトナーに起因した画質の低下が発生することも抑制される。
【0066】
続いて、この特殊電圧の供給動作が実行されている際には、
図7に示されるように、中央制御部15又は像形成部152において、実施の形態1に係る画像形成装置1の場合と同様に、特殊電圧の供給動作の終了の時期K1が到来したか否かの判断が行われる(S24)。
【0067】
この際、ステップS24において終了の時期K1が到来していないと判断された場合は、特殊電圧の供給動作が続行される。その一方で、ステップS24において特殊電圧の供給の開始からの感光ドラム21の回転数が予め定める回転数に達して終了の時期K1が到来したと判断された場合は、像形成制御部152における帯電制御部1522の制御により、電源装置28からの特殊電圧の供給が終了され(S25)、しかる後、電源装置28の出力切替部283において特殊電圧の出力状態から帯電電圧の出力状態への切り替えが行われる(S26)。
【0068】
以上により、特殊電圧の供給動作が終了する。
【0069】
[実施の形態3]
図8は、実施の形態3に係る画像形成装置の一部(一部の動作の流れ)を示している。
実施の形態3に係る画像形成装置は、特殊電圧の供給動作を行う特定の時期とその終了の時期を変更した以外は実施の形態2に係る画像形成装置と同じ構成からなるものである。
【0070】
実施の形態3に係る画像形成装置では、特殊電圧の供給動作を行う特定の時期について、トナーバンドSTの形成動作とは無関係に、予め定める濃度である通常の画像を形成した不定期の時期を含む時期に設定している。このような不定期の時期を含む特定の時期は、例えば、予め定める濃度の通常の画像を連続して形成する回数が予め定める数値に達した時期に設定するとよい。この明細書では、このときの数値に達した時期を「特定の時期J3」と称する。
この特定の時期J3(又はこの時期J3の到来を判断する判断条件の閾値)としては、具体的に、予め定める高濃度の通常の画像(例えば画像を形成する対象の用紙9において画像面積率:Cinが90%以上の箇所が用紙9の搬送方向に50mm以上連続するような画像)を形成するときの枚数が所要の枚数(例えば1000枚)以上になったときを設定している。
【0071】
この特殊電圧を供給する特定の時期J3は、例えば、中央制御部15(又は像形成制御部152)において通常の画像形成動作で形成される通常の画像の濃度とその形成枚数に関する情報を画像処理部17や検出部19から入手して検出するよう構成されている。
【0072】
また、この画像形成装置では、特殊電圧の供給動作の終了の時期としては、実施の形態1における終了の時期K1と同じ時点に設定するか、又は、特殊電圧の供給を開始(st1:
図6)してからの経過時間が予め定める経過時間に達した時点が設定される。
実施の形態3では、上記経過時間が予め定める経過時間に達した時点を終了の時期として設定し、このときの終了の時期を「終了の時期K2」と称することにする。また、予め定める経過時間としては、例えば2分に設定する。この2分の経過時間は、400mm/秒の回転速度で回転する感光ドラム21が500回転するときに要する時間にほぼ相当する。
【0073】
この終了の時期K2については、例えば、中央制御部15(又は像形成制御部152)において経過時間を計測するタイマー等の検出部19から情報を入手して検出するよう構成される。
【0074】
<特殊電圧の供給動作>
実施の形態3に係る画像形成装置では、
図8に示されるように特殊電圧の供給動作が実行される時期がある。
【0075】
この画像形成装置では、通常の画像形成動作等の時期になると、
図8に示されるように、前述した実施の形態2に係る画像形成装置の場合とほぼ同様の動作(
図7参照)が行われるが、以下では、動作内容が少し異なるステップ21および24を中心にして説明する。
【0076】
図8に示すステップ21では、中央制御部15又は像形成制御部152においては特殊電圧を供給するための上記特定の時期J3が到来したか否かの判断が行われる(S21)。具体的には、特定の時期J3は、予め定める高濃度の通常の画像を形成する枚数が上記所要の枚数以上になった否かで判断される。
【0077】
このステップ21において特定の時期J3が到来したと判断された場合は、電源装置28における出力切替部283を通して清掃装置26の接触清掃部材261に、交流を重畳した直流の特殊電圧が供給され始める(S22~S23)。
また、このときの特殊電圧の供給動作は、実行中の高濃度である通常の画像の形成動作がすべて終了した後に行われるが、判断条件の閾値S1の到来時期によっては高濃度である通常の画像の形成動作を一旦中断して行われることもある。
【0078】
ステップ23における特殊電圧の供給開始により、像形成部2においては、感光ドラム21の外周面が接触帯電部材221を通して交流を重畳した直流の特殊電圧で接触帯電され、その帯電された外周面が清掃装置26を通過するようになる。
この結果、像形成部2では、高濃度である通常の画像の形成動作が所定の枚数以上行われた場合に高濃度でない通常の画像形成時に比べて相対的に多い転写残りトナーが清掃装置26に運ばれることがあっても、感光ドラム21の外周面を特殊電圧で帯電せずに直流の帯電電圧のみで帯電し続ける場合に比べて、清掃装置26における接触清掃部材261の先端部261aにおいてトナーの一部(Tb:
図4)がすり抜けてしまうことが抑制される。
【0079】
そして、この画像形成装置では、
図9に示されるように、高濃度である通常の画像の形成動作が所定の枚数以上行われた不定期の時期を含む時期に特殊電圧の供給動作が実行される。このため、感光ドラム21の外周面の状態が不定期な時期になるものの転写残りトナーが増える時期にほぼ対応して粗い状態に変更されるので、清掃装置26の接触清掃部材261による清掃性能が良好に発揮されるようになる。
この結果、画像形成装置では、高濃度である通常の画像の形成動作において発生して清掃装置26に運ばれる転写残りトナーが接触清掃部材261の先端部261aをすり抜けてしまうことが抑制され、その転写残りトナー等が清掃装置26において良好に除去される。
以上により、この画像形成装置では、通常の画像の形成を行う際でも、清掃装置26による清掃工程で接触清掃部材261をすり抜けたトナーに起因した画質の低下が発生することも抑制される。
【0080】
図9において符号dt5は、中央制御部15又は像形成制御部152が特殊電圧を供給する特定の時期J3の判断条件の閾値に達したことを検出した時点を示す。この検出した時点dt5は、
図9に示されるように高濃度である通常の画像の形成動作が所定の枚数以上になった時点et3よりも後になる。また、このときの特殊電圧の供給動作は、検出した時点dt5より少し後で開始される。
【0081】
また、この画像形成装置においても、
図8に示すステップ24のように、特殊電圧の供給動作が実行されている際にも、中央制御部15又は像形成部152において特殊電圧の供給動作の終了の時期K2が到来したか否かの判断が行われる。具体的には、特殊電圧の供給を開始してからの経過時間が予め定める閾値としての経過時間に達したか否かが判断される。
【0082】
このステップS24において終了の時期K2が到来していないと判断された場合は、特殊電圧の供給動作が続行される。その一方で、ステップS24において終了の時期K2が到来したと判断された場合は、
図8や
図9に示されるように、実施の形態2に係る画像形成装置の場合(S25,S26)と同様に、電源装置28からの特殊電圧の供給が終了され(S25)、しかる後、電源装置28の出力切替部283において特殊電圧の出力状態から帯電電圧の出力状態への切り替えが行われる(S26)。
【0083】
以上により、特殊電圧の供給動作が終了する。
図9において符号dt6は、中央制御部15又は像形成制御部152が特殊電圧の供給動作を終了させる時期K2の判断条件の閾値に達したことを検出した時点を示す。このときの特殊電圧の供給動作が終了した時点et6の後においては、
図9に示されるように、後続の通常の画像(高濃度である通常の画像を含む)の形成動作が所要の時間st4から開始されることもある。
【0084】
[変形例]
この発明は、上記実施の形態1-3で例示した内容に何ら限定されるものではなく、例えば、以下に挙げるような変形例も含むものである。
【0085】
実施の形態2に係る画像形成装置では、特殊電圧を供給する特定の時期として、上記特定の時期J2(定期的な時期を含む時期)に実施の形態3における特定の時期J3(不定期の時期を含む時期)を加え、その特定の時期J2,J3のときに特殊電圧の供給動作をそれぞれ実行するよう構成してもよい。
【0086】
また、実施の形態2、3に係る画像形成装置では、実施の形態1に係る画像形成装置1の場合と同様にトナーバンドSTの形成動作を実行するように構成してもよい。この場合は、更に特殊電圧を供給する特定の時期として、実施の形態1における特定の時期J1を加え、その特定の時期J1のときにも特殊電圧の供給動作をそれぞれ実行するよう構成するとよい。
【0087】
さらに、実施の形態2に係る画像形成装置では、特殊電圧の供給動作の終了の時期として、上記終了の時期K1に代えて、実施の形態3における終了の時期K2を適用するよう構成してもよい。また、実施の形態3に係る画像形成装置では、特殊電圧の供給動作の終了の時期として、上記終了の時期K2に代えて、実施の形態2における終了の時期K1を適用するよう構成してもよい。
【0088】
また、実施の形態1では、トナーバンドSTを形成する判断条件の閾値として、低濃度である通常の画像を連続して所要の枚数以上の形成する「判断条件の閾値S1」を例示した。しかし、このトナーバンドSTを形成する判断条件の閾値については、これに限定されず、他の閾値を採用することも可能である。
【0089】
トナーバンドSTを形成する判断条件の他の閾値としては、例えば、
図10に示すように画像形成装置1で使用可能な最大幅w1である用紙9Bよりも幅が狭い幅w2(<w1)からなる用紙9Bが所定の累積枚数以上に画像形成動作で使用された時点が挙げられる。
ちなみに、画像形成装置1では、この判断条件の閾値S2になるときには、
図10に例示するように像形成部2の感光ドラム21において狭い幅w2の用紙9Bが通過しない非通紙領域(Δwで示す幅の領域)が発生し、この非通紙領域には転写残りトナーが運ばれず、トナー溜りTbが狭い幅w2の用紙9Bが通過する通紙領域に比べて減少してしまう。このため、この判断条件の閾値S2になるときには、トナーバンドSTを形成して特に非通紙領域におけるトナー溜りTaを復旧させて再度形成する必要がある。
【0090】
このことから、実施の形態では、上記他の判断条件の閾値を、新たな判断条件の閾値S2として変更して適用してもよい。
また、実施の形態1では、トナーバンドSTを形成する判断条件の閾値として、上記判断条件の閾値S1と、上記他の判断条件の閾値S2とを併用するように構成してもよい。
そして、画像形成装置1では、トナーバンドSTを形成する判断条件の閾値として、上記閾値S2を採用する場合や上記閾値S1,S2の双方を採用する場合でも、その各トナーバンドSTの形成動作に併せて特殊電圧の供給動作を実行するように構成される。
【0091】
さらに、実施の形態1-3では、特殊な像としてトナーバンドSTを例示した。しかし、その特殊な像は、これに限定されず、接触清掃部材261の感光ドラム21の外周面と接触する先端部261aに現像剤8であるトナーを供給して滞留させることができる像であればよい。その他の特殊な像としては、例えば、感光ドラム21の外周面に形成される制御検出用のトナー像であってもよい。
【0092】
この他、実施の形態1-3では、画像形成装置1として現像剤から構成される単色画像を形成する像形成部2を備えた画像形成装置を例示したが、この発明は多色(カラー)画像を形成する像形成部2を備えた画像形成装置にも適用することができる。
つまり、多色画像を形成する像形成部2が複数の感光ドラム21を有する場合は、その各感光ドラム21をそれぞれ帯電する各帯電装置22の接触帯電部材221に、直流の帯電電圧を供給することに加えて、特定の時期に交流を重畳した直流の特殊電圧を供給するよう構成すればよい。
【0093】
また、実施の形態1-3では、帯電装置22の接触帯電部材221として、ロール形態のものを例示したが、その接触帯電部材221としては、それ以外の形態からなる接触帯電部材を適用しても構わない。その他の接触帯電部材221としては、例えば、ブラシ形態の部材や、回転しないシート又はフィルム等が挙げられる。
【符号の説明】
【0094】
1 …画像形成装置
8 …現像剤
21…感光ドラム(潜像保持手段の一例)
22…帯電装置(帯電手段の一例)
26…清掃装置(清掃手段の一例)
28…電源装置(給電手段の一例)
221…接触帯電部材
261…接触清掃部材
ST…トナーバンド(特殊な像の一例)
Vc…帯電電圧
Vs…特殊電圧(交流を重畳した直流の電圧の一例)