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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20230808BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20230808BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/21
B41J2/01 307
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019031924
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020131668
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸大
(72)【発明者】
【氏名】池田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】三澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】駒沢 寿夫
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-88413(JP,A)
【文献】特開2011-131442(JP,A)
【文献】特開平2-1327(JP,A)
【文献】特開2011-62887(JP,A)
【文献】特開2020-131633(JP,A)
【文献】特開2015-89640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材の第1面にインクを吐出する第1吐出部および第2吐出部が少なくとも設けられている複数の吐出部を有し、当該記録材に画像を形成する吐出手段と、
前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部ごとに印刷の前に吐出部がインクを吐出する予備吐出の実行が必要であるか否かを判定し、必要であると判定された個々の吐出部ごとに予備吐出を実行させる制御手段と、
を備え
前記吐出手段は、前記第1吐出部および前記第2吐出部を移動させることが可能であり、
前記制御手段は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部の位置に基づいて前記予備吐出の実行を制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記制御手段は、印刷に先立つ当該印刷の指示から、前記予備吐出の実行を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1吐出部は、黒色インクを吐出し、
前記第2吐出部は、前記黒色インクとは異なる色インクを吐出し、
前記制御手段は、前記記録材の前記第1面について白黒印刷を施す旨の指示が前記指示に含まれる場合、前記第1吐出部に前記予備吐出を予め定められた回数実行させ、前記第2吐出部に当該予備吐出を当該予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないことを特徴とする請求項2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記複数の吐出部には、前記記録材の第2面に前記黒色インクを吐出する第3吐出部と、当該第2面に白黒印刷に用いられずカラー印刷に用いられる色の色インクを吐出する第4吐出部とが含まれ、
前記制御手段は、前記記録材の前記第2面についてカラー印刷を施す旨の指示が前記指示に含まれる場合、前記第3吐出部および前記第4吐出部に前記予備吐出を前記予め定められた回数実行させることを特徴とする請求項3記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第1吐出部は、第1色インクを吐出し、
前記第2吐出部は、第2色インクを吐出し、
前記制御手段は、前記記録材の前記第1面について前記第1色インクを用い前記第2色インクを用いないカラー印刷を施す旨の指示が前記指示に含まれる場合、前記第1吐出部に前記予備吐出を予め定められた回数実行させ、前記第2吐出部に当該予備吐出を当該予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないことを特徴とする請求項2記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御手段は、予め定められた位置に前記第1吐出部が位置し、当該予め定められた位置とは異なる位置に前記第2吐出部が位置する場合、当該第1吐出部に前記予備吐出を実行させず、当該第2吐出部に当該予備吐出を実行させることを特徴とする請求項記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記予め定められた位置は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部からインクが吐出した場合に当該インクが前記記録材に付着する当該吐出部の位置であることを特徴とする請求項記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部の状態に基づいて前記予備吐出の実行を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項9】
記録材の第1面にインクを吐出する第1吐出部および第2吐出部が少なくとも設けられている複数の吐出部を有し、当該記録材に画像を形成する吐出手段と、
前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部ごとに、印刷の前に吐出部がインクを吐出する予備吐出の実行を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部の状態に基づいて前記予備吐出の実行を制御し、
前記吐出手段は、印刷の指示を受けていない場合に、前記複数の吐出部を保管する保管位置に前記第1吐出部および前記第2吐出部を移動させることが可能であり、
前記制御手段は、前記第1吐出部が前記保管位置に位置していない時間が予め定められた時間に到達し、前記第2吐出部が当該保管位置に位置していない時間が当該予め定められた時間に到達していない場合、当該第1吐出部に前記予備吐出を予め定められた回数実行させ、当該第2吐出部に当該予備吐出を当該予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
前記制御手段は、直近の印刷に関する画像の形成により前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部から吐出されたインクの量に基づいて、前記予備吐出の実行を制御することを特徴とする請求項記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記直近の印刷において、前記第1吐出部から吐出されたインクの量が予め定められた量に到達せず、前記第2吐出部から吐出されたインクの量が当該予め定められた量に到達した場合、当該第1吐出部に前記予備吐出を予め定められた回数実行させ、当該第2吐出部に当該予備吐出を当該予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないことを特徴とする請求項10記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記制御手段は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部ごとに前記予備吐出の実行回数を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吐出検査クリーニングモードにおいて、吐出ヘッドの吐出検査を行った後、当該吐出検査によって吐出不良と判定された場合において、クリーニング処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-224013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクを吐出する吐出部を有する画像形成システムでは、印刷の前に吐出部がインクを吐出する予備吐出を行うことがある。
ここで、例えば、画像形成システムに複数の吐出部が設けられている場合にこの複数の吐出部を一括して予備吐出の実行を制御することがあるが、この場合、個々の吐出部に応じて予備吐出を実行することができなかった。
本発明は、個々の吐出部に応じた予備吐出の実行を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、記録材の第1面にインクを吐出する第1吐出部および第2吐出部が少なくとも設けられている複数の吐出部を有し、当該記録材に画像を形成する吐出手段と、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部ごとに、印刷の前に吐出部がインクを吐出する予備吐出の実行が必要であるか否かを判定し、必要であると判定された個々の吐出部ごとに予備吐出を実行させる制御手段と、を備え、前記吐出手段は、前記第1吐出部および前記第2吐出部を移動させることが可能であり、前記制御手段は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部の位置に基づいて前記予備吐出の実行を制御することを特徴とする画像形成システムである。
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、印刷に先立つ当該印刷の指示から、前記予備吐出の実行を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成システムである。
請求項3に記載の発明は、前記第1吐出部は、黒色インクを吐出し、前記第2吐出部は、前記黒色インクとは異なる色インクを吐出し、前記制御手段は、前記記録材の前記第1面について白黒印刷を施す旨の指示が前記指示に含まれる場合、前記第1吐出部に前記予備吐出を予め定められた回数実行させ、前記第2吐出部に当該予備吐出を当該予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないことを特徴とする請求項2記載の画像形成システムである。
請求項4に記載の発明は、前記複数の吐出部には、前記記録材の第2面に前記黒色インクを吐出する第3吐出部と、当該第2面に白黒印刷に用いられずカラー印刷に用いられる色の色インクを吐出する第4吐出部とが含まれ、前記制御手段は、前記記録材の前記第2面についてカラー印刷を施す旨の指示が前記指示に含まれる場合、前記第3吐出部および前記第4吐出部に前記予備吐出を前記予め定められた回数実行させることを特徴とする請求項3記載の画像形成システムである。
請求項5に記載の発明は、前記第1吐出部は、第1色インクを吐出し、前記第2吐出部は、第2色インクを吐出し、前記制御手段は、前記記録材の前記第1面について前記第1色インクを用い前記第2色インクを用いないカラー印刷を施す旨の指示が前記指示に含まれる場合、前記第1吐出部に前記予備吐出を予め定められた回数実行させ、前記第2吐出部に当該予備吐出を当該予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないことを特徴とする請求項2記載の画像形成システムである。
請求項に記載の発明は、前記制御手段は、予め定められた位置に前記第1吐出部が位置し、当該予め定められた位置とは異なる位置に前記第2吐出部が位置する場合、当該第1吐出部に前記予備吐出を実行させず、当該第2吐出部に当該予備吐出を実行させることを特徴とする請求項6記載の画像形成システムである。
請求項に記載の発明は、前記予め定められた位置は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部からインクが吐出した場合に当該インクが前記記録材に付着する当該吐出部の位置であることを特徴とする請求項記載の画像形成システムである。
請求項に記載の発明は、前記制御手段は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部の状態に基づいて前記予備吐出の実行を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成システムである。
請求項に記載の発明は、記録材の第1面にインクを吐出する第1吐出部および第2吐出部が少なくとも設けられている複数の吐出部を有し、当該記録材に画像を形成する吐出手段と、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部ごとに、印刷の前に吐出部がインクを吐出する予備吐出の実行を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部の状態に基づいて前記予備吐出の実行を制御し、前記吐出手段は、印刷の指示を受けていない場合に、前記複数の吐出部を保管する保管位置に前記第1吐出部および前記第2吐出部を移動させることが可能であり、前記制御手段は、前記第1吐出部が前記保管位置に位置していない時間が予め定められた時間に到達し、前記第2吐出部が当該保管位置に位置していない時間が当該予め定められた時間に到達していない場合、当該第1吐出部に前記予備吐出を予め定められた回数実行させ、当該第2吐出部に当該予備吐出を当該予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないことを特徴とする画像形成システムである。
請求項10に記載の発明は、前記制御手段は、直近の印刷に関する画像の形成により前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部から吐出されたインクの量に基づいて、前記予備吐出の実行を制御することを特徴とする請求項記載の画像形成システムである。
請求項11に記載の発明は、前記制御手段は、前記直近の印刷において、前記第1吐出部から吐出されたインクの量が予め定められた量に到達せず、前記第2吐出部から吐出されたインクの量が当該予め定められた量に到達した場合、当該第1吐出部に前記予備吐出を予め定められた回数実行させ、当該第2吐出部に当該予備吐出を当該予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないことを特徴とする請求項10記載の画像形成システムである。
請求項12に記載の発明は、前記制御手段は、前記第1吐出部と前記第2吐出部との個々の吐出部ごとに前記予備吐出の実行回数を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、個々の吐出部に応じた予備吐出の実行を実現することができる。
請求項2の発明によれば、印刷の指示の内容に応じて、制御手段に予備吐出の実行を制御させることができる。
請求項3の発明によれば、印刷の指示の内容に関わらず第1吐出部および第2吐出部が予備吐出を予め定められた回数実行する場合に比べて、印刷に用いられない第2吐出部から予備吐出により吐出されるインクの量を減少させることができる。
請求項4の発明によれば、記録材の第1面と第2面とで印刷に用いられるインクの色が異なる場合であっても、印刷に用いられるインクの色に応じて、制御手段に予備吐出の実行を制御させることができる。
請求項5の発明によれば、カラー印刷が行われる場合において全ての吐出部に予備吐出を予め定められた回数実行させる場合に比べて、カラー印刷に用いられない第2吐出部から予備吐出により吐出されるインクの量を減少させることができる。
請求項の発明によれば、第1吐出部および第2吐出部に予備吐出を実行させない位置を設定することができる。
請求項の発明によれば、第1吐出部の位置および第2吐出部の位置に関わらず第1吐出部および第2吐出部が予備吐出を実行する場合に比べて、第1吐出部および第2吐出部が予備吐出を実行することにより吐出するインクが記録材に付着することを抑制できる。
請求項の発明によれば、個々の吐出部の状態に応じて、制御手段に予備吐出の実行を制御させることができる。
請求項の発明によれば、第1吐出部の位置および第2吐出部の位置に関わらず第1吐出部および第2吐出部が予備吐出を予め定められた回数実行する場合に比べて、保管位置に位置していない時間が予め定められた時間に到達していない第2吐出部から予備吐出により吐出されるインクの量を減少させることができる。
請求項10の発明によれば、直近の印刷に関する画像の形成により個々の吐出部から吐出されたインクの量に応じて、制御手段に予備吐出の実行を制御させることができる。
請求項11の発明によれば、第1吐出部から吐出されるインクの量および第2吐出部から吐出されるインクの量に関わらず第1吐出部および第2吐出部に予備吐出を予め定められた回数実行させる場合に比べて、直近の印刷において予め定められた量のインクが吐出されていない第2吐出部から予備吐出により吐出されるインクの量を減少させることができる。
請求項12の発明によれば、第1吐出部と第2吐出部の個々の吐出部における予備吐出の必要性に応じて、制御手段に予備吐出の実行回数を制御させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態による画像形成システムの全体構成例を示す図である。
図2】画像形成装置の構成を示す図である。
図3】サーバ装置の機能構成例を示したブロック図である。
図4】予備吐出制御処理の流れを示したフローチャートである。
図5】変形例1における予備吐出制御処理の流れを示したフローチャートである。
図6】変形例2における予備吐出制御処理の流れを示したフローチャートである。
図7】変形例3における予備吐出制御処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像形成システムの構成>
図1は、本実施形態による画像形成システム1の全体構成例を示す図である。本実施形態の画像形成システム1は、サーバ装置10と、画像形成装置20と、端末装置30とを備える。サーバ装置10と、画像形成装置20および端末装置30とは、ネットワークを介して接続されている。
【0009】
サーバ装置10は、ネットワークを介して、画像形成装置20および端末装置30との間でデータを送受信するサーバである。サーバ装置10は、例えば、コンピュータにより実現される。サーバ装置10は、単一のコンピュータにより構成しても良いし、複数のコンピュータによる分散処理により実現しても良い。
【0010】
本実施形態の画像形成装置20は、各ページが用紙搬送方向に対して連続して形成される連続用紙Pに対してインクを吐出して画像を形成するインクジェットプリンタである。連続用紙Pとしては、例えば、ロール紙や連続帳票等が挙げられる。また、連続用紙Pは、記録材の一例である。
【0011】
端末装置30は、ユーザが印刷の指示を行う際に操作するコンピュータ装置である。端末装置30は、ネットワークを介して、サーバ装置10に印刷等の指示を行う。端末装置30は、例えば、コンピュータ、タブレット型情報端末、その他の情報処理装置により実現される。
【0012】
<画像形成装置の構成>
図2は、画像形成装置20の構成を示す図である。
画像形成装置20は、第1画像形成部201と、第2画像形成部204と、供給部207と、巻取部208と、バッファ装置209と、制御部210とを有する。
【0013】
第1画像形成部201は、連続用紙Pの表面に画像を形成する。第1画像形成部201は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のインクにそれぞれ対応するイエロー(Y)の第1インクジェットヘッド203Y、マゼンタ(M)の第1インクジェットヘッド203M、シアン(C)の第1インクジェットヘッド203C、および黒(K)の第1インクジェットヘッド203Kの4つの第1インクジェットヘッドを備える。また、第1画像形成部201は、第1インクジェットヘッドを駆動する第1駆動部202を備える。ここで、連続用紙Pの表面は、記録材の第1面として捉えられる。
なお、以下の説明において、各第1インクジェットヘッドを区別しないで説明する場合には、第1インクジェットヘッド203と称する。また、イエロー(Y)の第1インクジェットヘッド203Y、マゼンタ(M)の第1インクジェットヘッド203M、およびシアン(C)の第1インクジェットヘッド203Cをまとめて説明する場合には、カラーの第1インクジェットヘッド203と称する。
【0014】
第2画像形成部204は、連続用紙Pの裏面に画像を形成する。第2画像形成部204は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のインクにそれぞれ対応するイエロー(Y)の第2インクジェットヘッド206Y、マゼンタ(M)の第2インクジェットヘッド206M、シアン(C)の第2インクジェットヘッド206C、および黒(K)の第2インクジェットヘッド206Kの4つの第2インクジェットヘッドを備える。また、第2画像形成部204は、第2インクジェットヘッドを駆動する第2駆動部205を備える。ここで、連続用紙Pの裏面は、記録材の第2面として捉えられる。
【0015】
なお、以下の説明において、各第2インクジェットヘッドを区別しないで説明する場合には、第2インクジェットヘッド206と称する。また、イエロー(Y)の第2インクジェットヘッド206Y、マゼンタ(M)の第2インクジェットヘッド206M、およびシアン(C)の第2インクジェットヘッド206Cをまとめて説明する場合には、カラーの第2インクジェットヘッド206と称する。また、第1インクジェットヘッド203と第2インクジェットヘッド206とを区別しないで説明する場合には、単にインクジェットヘッドと称する。また、カラーの第1インクジェットヘッド203とカラーの第2インクジェットヘッド206とを区別しないで説明する場合には、単にカラーのインクジェットヘッドと称する。さらに、第1駆動部202と第2駆動部205とを区別しないで説明する場合には、単に駆動部と称する。
【0016】
吐出部の一例としてのインクジェットヘッドは、インクの液滴を、サーマル方式や圧電方式等の公知の手段により吐出することで、連続用紙Pに対して画像を形成する。インクジェットヘッドは、連続用紙Pに対して画像が形成される領域以上の幅に対応する長さを有する。また、インクジェットヘッドには、連続用紙Pに対して画像が形成される領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが設けられている。
【0017】
駆動部は、インクジェットヘッドを、少なくとも、印刷位置と、保管位置と、メンテナンス位置とに移動させられる。
印刷位置とは、インクジェットヘッドからインクが吐出した場合にこのインクが連続用紙Pに付着するインクジェットヘッドの位置である。
保管位置とは、画像形成システム1が印刷の指示を受けていない場合にインクジェットヘッドが保管される位置である。保管位置に位置しているインクジェットヘッドは、水が入っているキャップを被せられ、インクジェットヘッドのノズルが乾くことの抑制が図られている。
メンテナンス位置とは、ユーザの手が届く範囲のインクジェットヘッドの位置である。インクジェットヘッドがメンテナンス位置に位置した状態において、ユーザは、インクジェットヘッドのメンテナンス等を行う。
なお、第1画像形成部201および第2画像形成部204は、連続用紙Pに画像を形成する吐出手段として捉えられる。
【0018】
供給部207は、連続用紙Pを収容する。また、供給部207は、用紙搬送方向の下流側へ連続用紙Pを供給する。
巻取部208は、第1画像形成部201や第2画像形成部204によって画像が形成された連続用紙Pを巻き取る。
バッファ装置209は、連続用紙Pの表面と裏面とを反転させる反転機構を有する。
【0019】
制御部210は、サーバ装置10から印刷の指示を受けると、この印刷の指示に基づいて第1画像形成部201や第2画像形成部204の動作を制御する。また、制御部210は、インクジェットヘッドの位置を管理する。そして、このインクジェットヘッドの位置に関する位置情報を、サーバ装置10に送信する。この位置情報には、画像形成装置20に設けられている個々のインクジェットヘッドが、印刷位置、保管位置、メンテナンス位置、およびその他の位置のうちの何れに位置しているかを示す情報が含まれる。
【0020】
<予備吐出>
ここで、インクジェットヘッドが行う予備吐出について説明する。
インクジェットヘッドのノズルは、インクの吐出後に、インクが残存した状態となる。そのため、低温環境下や長期間インクの吐出を行わない場合には、ノズルがインクを吐出する動作を再開する際に、残存インクに起因して、インクの吐出が不安定になることやノズルからインクが吐出されないこと等、インクの吐出不良が生じることがある。
【0021】
このようなインクの吐出不良を抑制するために、インクジェットヘッドは、予備吐出を行うことがある。予備吐出とは、印刷の前にインクジェットヘッドのノズルがインクを吐出することである。予備吐出としては、例えば、ダミージェットやウォームアップ等が挙げられる。ダミージェットとは、インクジェットヘッドが、印刷の前に、連続用紙Pに画像を形成する以外の目的でインクを吐出することである。また、ウォームアップとは、インクジェットヘッドが印刷の準備として連続用紙Pに対してインクを吐出することである。
インクジェットヘッドは、予備吐出を行い新鮮なインクをノズル内に供給することで、気泡や塵埃あるいは溶媒の蒸発で増粘して画像形成に適さなくなったインク等の吐出不良を引き起こす原因を除去し、画像形成に適した状態を維持する。
【0022】
<サーバ装置の機能構成>
次に、サーバ装置10の機能構成について説明する。図3は、サーバ装置10の機能構成例を示したブロック図である。
サーバ装置10は、指示受付部11と、ヘッド情報取得部12と、算出部13と、設定情報取得部14と、ヘッド制御部15とを備える。
【0023】
指示受付部11は、印刷の指示を受け付ける。指示受付部11は、例えば、端末装置30がユーザに操作されることにより行われた印刷の指示を受け付ける。また、このとき、指示受付部11は、端末装置30から、印刷の指示に関する指示情報を取得する。この指示情報には、指示受付部11が受け付けた印刷の印刷設定を示す情報が含まれる。印刷設定としては、例えば、片面印刷および両面印刷の何れかの設定、白黒印刷およびカラー印刷の何れかの設定、および、何れの色の画像を連続用紙Pの何れの位置に形成するかの設定等が挙げられる。指示受付部11は、取得した指示情報を、算出部13およびヘッド制御部15へ送信する。
【0024】
ヘッド情報取得部12は、例えば1秒ごとに、画像形成装置20の制御部210から上述した位置情報を取得する。そして、制御部210から取得したこの位置情報を、ヘッド制御部15に送信する。
【0025】
算出部13は、画像形成装置20に設けられている個々のインクジェットヘッドから吐出されるインクの量を算出する。具体的には、算出部13は、指示受付部11から指示情報を取得すると、この指示情報に含まれる印刷設定、および指示情報に係る印刷の対象となる画像データに基づいて、個々のインクジェットヘッドごとに印刷により吐出されるインクの量を算出する。算出部13は、個々のインクジェットヘッドごとに算出したインクの量を示すインク量情報を、ヘッド制御部15へ送信する。
【0026】
設定情報取得部14は、印刷設定に関する情報を取得する。設定情報取得部14は、例えば、端末装置30がユーザに操作されることにより行われた印刷設定に関する情報を取得する。この印刷設定は、印刷の指示とともに行われる印刷設定とは別に行われる設定である。設定情報取得部14は、取得した印刷設定に関する情報を、ヘッド制御部15へ送信する。
ヘッド制御部15は、指示受付部11、ヘッド情報取得部12、算出部13、および設定情報取得部14から取得した情報に基づいて、インクジェットヘッドによる予備吐出の実行を制御する。
【0027】
<予備吐出制御処理>
次に、予備吐出制御処理について説明する。ここで、予備吐出制御処理とは、ヘッド制御部15が、インクジェットヘッドの予備吐出の実行を制御する処理である。予備吐出制御処理は、ヘッド制御部15が、インクジェットヘッドによる予備吐出の実行を画像形成装置20の制御部210に指示することにより実現する。
図4は、予備吐出制御処理の流れを示したフローチャートである。
【0028】
まず、ヘッド制御部15は、印刷の指示が行われたか否かを判定する(S101)。具体的には、ヘッド制御部15は、指示受付部11から指示情報を取得したか否かにより、印刷の指示が行われたか否かを判定する。否定結果が継続している間、ヘッド制御部15は、ステップ101の判定動作を繰り返す。
【0029】
一方、ヘッド制御部15が指示情報を取得した場合、肯定結果を得てステップ102へ進む。
ヘッド制御部15は、指示情報に含まれる印刷設定に関する情報を参照する。そして、指示のあった印刷が、カラー印刷であるか否かを判定する(S102)。
指示のあった印刷がカラー印刷である場合(S102にてYES)、ヘッド制御部15は、指示のあった印刷が、両面印刷であるか否かを判定する(S103)。
【0030】
指示のあった印刷が両面印刷である場合(S103にてYES)、ヘッド制御部15は、指示のあった印刷に先立って、全ての第1インクジェットヘッド203および全ての第2インクジェットヘッド206に予備吐出を実行させる(S104)。
一方、指示のあった印刷が両面印刷でない場合(S103にてNO)、ヘッド制御部15は、指示のあった印刷が片面印刷であると判定する。この場合、ヘッド制御部15は、印刷に先立って、全ての第1インクジェットヘッド203に予備吐出を実行させる(S105)。一方、ヘッド制御部15は、全ての第2インクジェットヘッド206に予備吐出を実行させない。
【0031】
また、ステップ102にて否定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、指示のあった印刷が白黒印刷であると判定する。この場合、ヘッド制御部15は、指示のあった印刷が両面印刷であるか否かを判定する(S106)。
指示のあった印刷が両面印刷である場合(S106にてYES)、ヘッド制御部15は、指示のあった印刷に先立って、黒の第1インクジェットヘッド203Kおよび黒の第2インクジェットヘッド206Kに予備吐出を実行させる(S107)。その一方で、ヘッド制御部15は、カラーの第1インクジェットヘッド203およびカラーの第2インクジェットヘッド206に予備吐出を実行させない。
また、指示のあった印刷が両面印刷でない場合(S106にてNO)、ヘッド制御部15は、指示のあった印刷が片面印刷であると判定する。この場合、ヘッド制御部15は、指示のあった印刷に先立って、黒の第1インクジェットヘッド203Kに予備吐出を実行させる(S108)。一方、ヘッド制御部15は、カラーの第1インクジェットヘッド203および全ての第2インクジェットヘッド206に予備吐出を実行させない。
【0032】
以上のように、本実施形態では、ヘッド制御部15は、画像形成装置20に設けられている個々のインクジェットヘッドごとに、予備吐出の実行を制御する。
特に、本実施形態では、ヘッド制御部15は、印刷に先立つ印刷の指示から、予備吐出の実行を制御する。より具体的には、印刷に用いられるインクジェットヘッドには予備吐出を実行させる一方で、印刷に用いられないインクジェットヘッドには予備吐出を実行させない。
【0033】
上述の通り、予備吐出は、画像形成に適した状態を維持するために行われる。そのため、印刷に用いられないインクジェットヘッドにおいては、印刷に用いられるインクジェットヘッドよりも予備吐出の必要性が低い。そこで、本実施形態では、インクジェットヘッドが印刷に用いられるか否かを、予備吐出の実行条件としている。
【0034】
なお、図4に示す例では、印刷に用いられないインクジェットヘッドには予備吐出を実行させないようにしているが、これに限定されない。ヘッド制御部15は、印刷に用いられないインクジェットヘッドには、印刷に用いられるインクジェットヘッドよりも、少ない回数の予備吐出を実行させてもよい。この回数とは、例えば、ダミージェットにおいてインクジェットヘッドがインクを吐出する回数である。また、この回数は、ウォームアップにおいてインクジェットヘッドが予め定められた第1ページ枚数の連続用紙Pに画像を形成することを1回と計数する場合の回数であってもよい。第1ページ枚数は、例えば、1枚である。
【0035】
例えば、ヘッド制御部15は、連続用紙Pの表面について白黒印刷を施す旨の指示が印刷の指示に含まれる場合、黒の第1インクジェットヘッド203Kに予備吐出を予め定められた回数実行させ、イエローの第1インクジェットヘッド203Yに予備吐出を予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないようにしてもよい。さらに、ヘッド制御部15は、連続用紙Pの裏面についてカラー印刷を施す旨の指示が印刷の指示に含まれる場合、黒の第2インクジェットヘッド206Kおよびイエローの第2インクジェットヘッド206Yに予備吐出を予め定められた回数実行させてもよい。ここで、黒の第1インクジェットヘッド203Kは、黒色インクを吐出する第1吐出部として捉えられる。また、イエローの第1インクジェットヘッド203Yは、黒色インクとは異なる色インクを吐出する第2吐出部として捉えられる。また、黒の第2インクジェットヘッド206Kは、連続用紙Pの裏面に黒色インクを吐出する第3吐出部として捉えられる。また、イエローの第2インクジェットヘッド206Yは、連続用紙Pの裏面に白黒印刷に用いられずカラー印刷に用いられる色の色インクを吐出する第4吐出部として捉えられる。また、予め定められた回数は、例えば2回である。
【0036】
また、図4に示す例では、カラー印刷が行われる場合には、印刷に何れの色のインクジェットヘッドが用いられるかに関わらず、連続用紙Pのうち画像が形成される面に対応する全てのインクジェットヘッドに予備吐出を実行させるようにしたが、これに限定されない。ヘッド制御部15は、カラー印刷が行われる場合であっても、このカラー印刷に用いられないインクジェットヘッドの予備吐出を実行させないようにしてもよい。
【0037】
例えば、ヘッド制御部15は、連続用紙Pの表面についてイエローのインクを用いマゼンタのインクを用いないカラー印刷を施す旨の指示が印刷の指示に含まれる場合、イエローの第1インクジェットヘッド203Yに予備吐出を予め定められた回数実行させ、マゼンタの第1インクジェットヘッド203Mに予備吐出を予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないようにしてもよい。ここで、イエローの第1インクジェットヘッド203Yは、第1色インクを吐出する第1吐出部として捉えられる。また、マゼンタの第1インクジェットヘッド203Mは、第2色インクを吐出する第2吐出部として捉えられる。
【0038】
<予備吐出制御処理の変形例1>
次に、予備吐出制御処理の変形例1について説明する。
ヘッド制御部15は、指示受付部11から指示情報を取得すると、ヘッド情報取得部12に対して、最新の位置情報をヘッド制御部15に送信することを指示する。そして、ヘッド情報取得部12から位置情報を取得すると、この位置情報に基づいて、個々のインクジェットヘッドごとに予備吐出の実行を制御する。
【0039】
図5は、変形例1における予備吐出制御処理の流れを示したフローチャートである。
まず、ヘッド制御部15は、印刷の指示が行われたか否かを判定する(S201)。否定結果が継続している間、ヘッド制御部15は、ステップ201の判定動作を繰り返す。
【0040】
ステップ201にて肯定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、画像形成装置20に設けられている個々のインクジェットヘッドが保管位置に位置しているか否かを判定する(S202)。具体的には、ヘッド制御部15は、ヘッド情報取得部12に対して最新の位置情報のヘッド制御部15への送信を指示し、ヘッド情報取得部12から位置情報を取得する。そして、取得した位置情報から、個々のインクジェットヘッドが保管位置に位置しているか否かを判定する。
【0041】
画像形成装置20に設けられている全てのインクジェットヘッドのうちの少なくとも一つが保管位置に位置している場合(ステップ202にてYES)、ヘッド制御部15は、保管位置に位置しているインクジェットヘッドに予備吐出を実行させる(S203)。具体的には、ヘッド制御部15は、全てのインクジェットヘッドのうちの保管位置に位置しているインクジェットヘッドの各々に対して、キャップを外させてから予備吐出を実行させる。一方、保管位置に位置していないインクジェットヘッドには予備吐出を実行させない。
また、何れのインクジェットヘッドも保管位置に位置していない場合(ステップ202にてNO)、ヘッド制御部15は、何れのインクジェットヘッドにも予備吐出を実行させない。
【0042】
このように、変形例1では、ヘッド制御部15は、個々のインクジェットヘッドの位置に基づいて予備吐出の実行を制御する。
特に、変形例1では、ヘッド制御部15は、予め定められた位置に一のインクジェットヘッドが位置し、予め定められた位置とは異なる位置に他の一のインクジェットヘッドが位置する場合、一のインクジェットヘッドに予備吐出を実行させず、他の一のインクジェットヘッドに予備吐出を実行させる。ここで、一のインクジェットヘッドは、第1吐出部として捉えられる。また、他の一のインクジェットヘッドは、第2吐出部として捉えられる。
さらに、予め定められた位置は、印刷位置である。
【0043】
<予備吐出制御処理の変形例2>
次に、予備吐出制御処理の変形例2について説明する。
ヘッド情報取得部12は、画像形成装置20の制御部210から継続的に送信される位置情報に基づいて、画像形成装置20に設けられている個々のインクジェットヘッドごとに、インクジェットヘッドが保管位置に位置していない時間を算出する。そして、個々のインクジェットヘッドごとの保管位置に位置していない時間を示す時間情報を、ヘッド制御部15に送信する。
【0044】
設定情報取得部14は、端末装置30から、ウォームアップにより画像が形成される連続用紙Pのページ枚数を示すページ枚数情報を取得する。具体的には、設定情報取得部14は、端末装置30がユーザに操作されウォームアップにより画像が形成される連続用紙Pのページ枚数が設定されることにより、この端末装置30からページ枚数情報を取得する。そして、取得したページ枚数情報をヘッド制御部15へ送信する。
【0045】
ヘッド制御部15は、指示受付部11から指示情報を取得すると、ヘッド情報取得部12に対して、最新の時間情報をヘッド制御部15に送信することを指示する。また、算出部13に対して、直近の印刷に係るインク量情報をヘッド制御部15に送信することを指示する。ここで、直近の印刷とは、最後にあった印刷の指示により行われた印刷である。さらに、設定情報取得部14に対して、直近の印刷が行われたときの印刷設定に係るページ枚数情報を送信することを指示する。そして、ヘッド制御部15は、時間情報、インク量情報およびページ枚数情報を取得すると、取得したこれらの情報に基づいて、個々のインクジェットヘッドごとに予備吐出の実行を制御する。
【0046】
図6は、変形例2における予備吐出制御処理の流れを示したフローチャートである。
まず、ヘッド制御部15は、印刷の指示が行われたか否かを判定する(S301)。否定結果が継続している間、ヘッド制御部15は、ステップ301の判定動作を繰り返す。
【0047】
ステップ301にて肯定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、直近の印刷に係るウォームアップにより画像が形成された連続用紙Pのページ枚数が、予め定められた第2ページ枚数以下であるか否かを判定する(S302)。具体的には、ヘッド制御部15は、設定情報取得部14からページ枚数情報を取得する。そして、取得したページ枚数情報から、直近の印刷に係るウォームアップにより画像が形成された連続用紙Pのページ枚数が予め定められた第2ページ枚数以下であるか否かを判定する。この予め定められた第2ページ枚数は、直近の印刷に係るウォームアップによりインクジェットヘッドから吐出されるインクの量に基づいて予備吐出が必要であるか否かを判定するための閾値である。予め定められた第2ページ枚数は、例えば、1枚である。
ウォームアップによりインクジェットヘッドから吐出されるインクの量が多いと、その分だけ、インクジェットヘッドのノズルには新たなインクが供給される。この新たなインクは、ノズルに溜まり続けることで上述の通り増粘して画像形成に適さなくなったインクよりも、吐出不良の原因になりにくい。そのため、新たなインクで満たされているインクジェットヘッドにおいては、画像形成に適さないインクが含まれているインクジェットヘッドよりも、予備吐出の必要性が低い。そこで、本実施形態では、ウォームアップによりインクジェットヘッドから吐出されるインクの量を、予備吐出の実行条件としている。
【0048】
ステップ302にて肯定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、インクジェットヘッドに対して、キャップを外させてから予備吐出を実行させる(S305)。
なお、ステップ302以降の処理は、個々のインクジェットヘッドごとに行われる。
【0049】
一方、ステップ302にて否定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、直近の印刷によりインクジェットヘッドから吐出されたインクの量が予め定められた量未満であるか否かを判定する(S303)。具体的には、ヘッド制御部15は、算出部13から直近の印刷に係るインク量情報を取得する。そして、取得したインク量情報から、直近の印刷により判定の対象となるインクジェットヘッドから吐出されたインクの量が予め定められた量未満であるか否かを判定する。この予め定められた量は、直近の印刷によりインクジェットヘッドから吐出されたインクの量に基づいて予備吐出が必要であるか否かを判定するための閾値である。予め定められた量は、例えば、10mlである。
印刷によりインクジェットヘッドから吐出されるインクの量が多いと、その分だけインクジェットヘッドのノズルに新たなインクが供給されるため、インクの吐出不良が起こりにくくなる。そこで、本実施形態では、印刷によりインクジェットヘッドから吐出されるインクの量を、予備吐出の実行条件としている。
ステップ303にて肯定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、インクジェットヘッドに対して、キャップを外させてから予備吐出を実行させる(S305)。
【0050】
一方、ステップ303にて否定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、インクジェットヘッドが保管位置に位置していない時間が予め定められた時間以上であるか否かを判定する(S304)。具体的には、ヘッド制御部15は、ヘッド情報取得部12から最新の時間情報を取得する。そして、取得した時間情報から、インクジェットヘッドが保管位置に位置していない時間が予め定められた時間以上であるか否かを判定する。予め定められた時間は、インクジェットヘッドがキャップを被っていない時間に基づいて予備吐出が必要であるか否かを判定するための閾値である。予め定められた時間は、例えば、1時間である。
保管位置に位置しキャップが被されているインクジェットヘッド内のインクは、キャップが被されていないインクジェットヘッド内のインクよりも乾きにくい分だけ、吐出不良の原因になりにくい。そこで、本実施形態では、インクジェットヘッドがキャップを被っていない時間を、予備吐出の実行条件としている。
【0051】
ステップ304にて肯定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、インクジェットヘッドに対して、キャップを外させてから予備吐出を実行させる(S305)。
一方、ステップ303にて否定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、判定の対象となるインクジェットヘッドに予備吐出を実行させない。
【0052】
このように、変形例2では、ヘッド制御部15は、個々のインクジェットヘッドの状態に基づいて予備吐出の実行を制御する。例えば、ヘッド制御部15は、直近の印刷に関する画像の形成により一のインクジェットヘッドと他の一のインクジェットヘッドとの個々のインクジェットヘッドから吐出されたインクの量に基づいて、予備吐出の実行を制御する。ここで、一のインクジェットヘッドは、第1吐出部として捉えられる。また、他の一のインクジェットヘッドは、第2吐出部として捉えられる。
【0053】
なお、図6に示す例では、インクジェットヘッドの状態に関して予め定められた条件を満たさないインクジェットヘッドには予備吐出を実行させないようにしているが、これに限定されない。ヘッド制御部15は、予め定められた条件を満たさないインクジェットヘッドには、予め定められた条件を満たすインクジェットヘッドよりも少ない回数の予備吐出を実行させてもよい。
【0054】
例えば、ヘッド制御部15は、一のインクジェットヘッドが保管位置に位置していない時間が予め定められた時間に到達し、他の一のインクジェットヘッドが保管位置に位置していない時間が予め定められた時間に到達していない場合、一のインクジェットヘッドに予備吐出を予め定められた回数実行させ、他の一のインクジェットヘッドに予備吐出を予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないようにしてもよい。
【0055】
また、例えば、直近の印刷において、一のインクジェットヘッドから吐出されたインクの量が予め定められた量に到達せず、他の一のインクジェットヘッドから吐出されたインクの量が予め定められた量に到達した場合、一のインクジェットヘッドに予備吐出を予め定められた回数実行させ、他の一のインクジェットヘッドに予備吐出を予め定められた回数よりも少ない回数実行させ又は実行させないようにしてもよい。
【0056】
なお、上記で説明した、「予め定められた第2ページ枚数」、「予め定められた量」、および「予め定められた時間」は、それぞれ、個々のインクジェットヘッドごとに異なる値が定められてもよい。
また、「予め定められた第2ページ枚数」は、画素の形成ごとにインクジェットヘッドから吐出される量に応じて、設定される値が異なってもよい。
また、「予め定められた量」は、直近の印刷によりインクジェットヘッドから吐出されたインクの量と、この直近の印刷に係るウォームアップによりインクジェットヘッドから吐出されたインクの量との積算値に対して設定されてもよい。すなわち、「直近の印刷に関する画像の形成」には、直近の印刷による画像の形成のみならず、直近の印刷に係るウォームアップによる画像の形成も含まれる。
【0057】
なお、ヘッド制御部15は、直近の印刷が完了してからインクジェットヘッドが保管位置に位置していない時間が予め定められた時間以上である場合、このインクジェットヘッドに予備吐出を実行させてもよい。すなわち、「インクジェットヘッドが保管位置に位置していない時間」には、直近の印刷が完了してからインクジェットヘッドが保管位置に位置していない時間も含まれる。
【0058】
<予備吐出制御処理の変形例3>
次に予備吐出制御処理の変形例3について説明する。
設定情報取得部14は、端末装置30から、個々のインクジェットヘッドごとの予備吐出の実行を示す実行情報を取得する。具体的には、設定情報取得部14は、端末装置30がユーザに操作され予備吐出を実行させるインクジェットヘッドが設定されることにより、この端末装置30から実行情報を取得する。この実行情報には、予備吐出の実行回数を示す情報が含まれる。この実行回数は、端末装置30がユーザに操作されることにより、個々のインクジェットヘッドごとに設定される。設定情報取得部14は、取得した実行情報をヘッド制御部15へ送信する。
【0059】
図7は、変形例3における予備吐出制御処理の流れを示したフローチャートである。
まず、ヘッド制御部15は、印刷の指示が行われたか否かを判定する(S401)。否定結果が継続している間、ヘッド制御部15は、ステップ401の判定動作を繰り返す。
【0060】
ステップ401にて肯定結果が得られた場合、ヘッド制御部15は、インクジェットヘッドに予備吐出を実行させることが設定されているか否かを判定する(S402)。具体的には、ヘッド制御部15は、設定情報取得部14から実行情報を取得する。そして、取得した実行情報から、画像形成装置20に設けられている個々のインクジェットヘッドごとに、予備吐出を実行させることが設定されているか否かを判定する。
【0061】
予備吐出を実行させることが設定されているインクジェットヘッドが少なくとも一つ存在する場合(ステップ402にてYES)、ヘッド制御部15は、インクジェットヘッドに対して、キャップを外させてから、予備吐出を実行させる(S403)。具体的には、ヘッド制御部15は、画像形成装置20に設けられている全てのインクジェットヘッドのうちの、予備吐出を実行させることが設定されているインクジェットヘッドの各々に、この各々について設定されている実行回数の予備吐出を実行させる。
一方、何れのインクジェットヘッドにも予備吐出を実行させることが設定されていない場合(ステップ402にてNO)、ヘッド制御部15は、何れのインクジェットヘッドにも予備吐出を実行させない。
このように、変形例3では、ヘッド制御部15は、個々のインクジェットヘッドごとに予備吐出の実行回数を制御する。
【0062】
なお、変形例3では、設定情報取得部14は、印刷の指示とは別に実行情報を取得しているが、これに限定されない。
例えば、指示情報に実行情報が含まれていてもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0064】
本実施形態では、画像形成装置20に設けられている個々のインクジェットヘッドごとに予備吐出の実行を制御しているが、これに限定されない。例えば、少なくとも、第1画像形成部201に設けられている第1インクジェットヘッド203のうちの二つの第1インクジェットヘッド203ごとに予備吐出の実行を制御するものであってもよい。
【0065】
また、例えば、図4に示した予備吐出制御処理と図5に示した予備吐出制御処理とを組み合わせてもよい。具体的には、ヘッド制御部15は、図5に示すステップ202の処理により予備吐出を実行させるインクジェットヘッドを抽出した後、抽出したインクジェットヘッドのうちの、保管位置に位置しているインクジェットヘッドに予備吐出を実行させるようにしてもよい。そして、抽出したインクジェットヘッドのうちの、保管位置に位置していないインクジェットヘッドには予備吐出を実行させないようにしてもよい。すなわち、ヘッド制御部15は、印刷の指示が行われた場合に、この印刷に用いられるインクジェットヘッドであっても、このインクジェットヘッドが保管位置に位置していない場合には、このインクジェットヘッドに予備吐出を実行させないようにしてもよい。
【0066】
また、例えば、図5に示した予備吐出制御処理と図6に示した予備吐出制御処理とを組み合わせてもよい。具体的には、ヘッド制御部15は、図6のステップ302~ステップ304の処理により予備吐出を実行させるインクジェットヘッドを抽出した後、抽出したインクジェットヘッドのうちの、保管位置に位置しているインクジェットヘッドに予備吐出を実行させるようにしてもよい。そして、抽出したインクジェットヘッドのうちの、保管位置に位置していないインクジェットヘッドには予備吐出を実行させないようにしてもよい。すなわち、ヘッド制御部15は、インクジェットヘッドの状態に基づいて予備吐出の対象となったインクジェットヘッドであっても、このインクジェットヘッドが保管位置に位置していない場合には、このインクジェットヘッドに予備吐出を実行させないようにしてもよい。
【0067】
また、画像形成装置20には、上述したインクジェットヘッドとは異なるインクジェットヘッドが設けられていてもよい。例えば、金属色のインクを吐出するインクジェットヘッドが画像形成装置20に設けられていてもよい。そして、この金属色のインクを吐出するインクジェットヘッドを含めた個々のインクジェットヘッドごとに、予備吐出の実行を制御してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、連続用紙Pに対して画像を形成するインクジェットプリンタが用いられる例を説明したが、これに限定されない。
例えば、カット紙に対して画像を形成するインクジェットプリンタが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…画像形成システム、10…サーバ装置、11…指示受付部、12…ヘッド情報取得部、13…算出部、14…設定情報取得部、15…ヘッド制御部、20…画像形成装置、201…第1画像形成部、202…第1駆動部、203…第1インクジェットヘッド、204…第2画像形成部、205…第2駆動部、206…第2インクジェットヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7