(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】超音波プローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2019051862
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衣川 雄規
【審査官】佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508410(JP,A)
【文献】特開2017-153584(JP,A)
【文献】特開2014-150936(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0016726(US,A1)
【文献】特開2003-033350(JP,A)
【文献】特表2018-509251(JP,A)
【文献】特開2018-011766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0043205(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014111066(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信する超音波センサ部と、
前記超音波センサ部において受信した信号を処理して携帯端末に送信する信号処理部と、
前記超音波センサ部が下端に位置するように、前記超音波センサ部及び前記信号処理部を収容すると共に、前記携帯端末を着脱可能に保持する保持部を有する筐体とを備え、
前記携帯端末を前記保持部に保持した状態で、プローブカバー内に収容可能であり、
前記保持部は、
前記筐体側の筐体側部分と、前記携帯端末に装着される端末側部分とを有し、
前記端末側部分は、内挿又は外挿されることにより前記筐体側部分に分離可能に取り付けられ、
前記携帯端末が取り付けられた前記端末側部分を前記筐体側部分に取り付けることにより、前記携帯端末の一部が前記筐体の上端面の上側に位置し、前記上端面よりも下側に位置する部分が、前記筐体の前面の前に位置し、前記筐体の上下軸に対して傾斜するように前記携帯端末を保持する、超音波プローブ。
【請求項2】
前記保持部は、前記携帯端末の少なくとも一部が皮膚に傾斜するように保持し、
前記携帯端末の少なくとも一部は、画面を含む、請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記保持部に保持された状態で、前記携帯端末の端面の方向と前記筐体の幅方向とが一致している、請求項1又は2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記筐体側部分は、前記筐体の上端面に設けられ、前記携帯端末の裏面に取り付けられた
前記端末側部分である係合用プラグ又は係合用ソケットを受け入れる係合用ソケット又は係合用プラグであり、前記携帯端末を前記筐体の上下方向の軸に対して傾斜させて保持する、請求項1~3のいずれか1項に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
超音波を送受信する超音波センサ部と、
前記超音波センサ部において受信した信号を処理して携帯端末に送信する信号処理部と、
前記超音波センサ部が下端に位置するように、前記超音波センサ部及び前記信号処理部を収容すると共に、前記携帯端末を着脱可能に保持する保持部を有する筐体とを備え、
前記携帯端末を前記保持部に保持した状態で、プローブカバー内に収容可能であり、
前記保持部は、前記筐体の上端面から突出し、
突出する部分の一方の端部に設けられ、前記筐体に取り付けられる部分と、他方の端部に設けられ、前記携帯端末
に装着される部分と、中間部
に設けられた回動部
とを有し、前記携帯端末の一部を前記上端面の上側に位置させ、前記上端面よりも下側に位置する部分を前記筐体の前面の前に位置させ且つ短辺の方向を前記筐体の幅方向と一致させて、前記携帯端末を前記筐体の上下軸に対して傾斜可能に保持する、超音波プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波プローブに関し、特に携帯端末に画像を表示する超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置を用いた体内の観察は、比較的容易に行うことができるので、医療分野における利用が広がっている。
【0003】
超音波診断装置は、超音波プローブと超音波プローブにより生成された画像を表示するモニタとを有している。超音波プローブに設けられた超音波センサ部は、被検体に向けて超音波を送信し、被検体からのエコーを受信する。超音波センサ部により受信された受信信号は、信号処理回路において処理されて超音波画像が生成され、モニタに表示される。
【0004】
超音波プローブと小型のモニタとを一体とすることにより、操作性を確保しつつ、手元で画像を確認することが可能な、携帯型超音波診断装置が実現できる。しかし、超音波プローブとモニタとを一体として1つの筐体内に収容する場合は、回路や配置を専用に設計しなければならないため、製造コストが上昇する。このため、スマートフォン等の汎用の携帯端末を超音波プローブに取り付けてモニタとして利用することが検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。例えば、特許文献1には携帯端末を側壁前面側に固定し、側壁後面側に取手状の把持部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の超音波診断装置は、超音波装置や携帯端末が外部に出ており、穿刺針の穿刺やカテーテルの挿入等の処置といった用途における穿刺部位への汚染可能性について考慮されていない。
【0007】
本開示の課題は、超音波装置や携帯端末を介した汚染を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の超音波プローブの第1の態様は、超音波を送受信する超音波センサ部と、超音波センサ部において受信した信号を処理して携帯端末に送信する信号処理部と、超音波センサ部が下端に位置するように、超音波センサ部及び信号処理部を収容すると共に、携帯端末を保持する保持部を有する筐体とを備え、携帯端末を保持部に保持した状態で、プローブカバー内に収容可能であり、携帯端末の少なくとも一部が筐体の上端面の上に位置するように携帯端末を保持する。
【0009】
超音波プローブの第1の態様によれば、プローブカバーにより携帯端末への汚染が防止される。また、携帯端末の少なくとも一部が筐体の上端面の上に位置するように携帯端末を保持することで、超音波プローブがプローブカバー内に収容された状態での携帯端末下部と音響レンズの間の前後方向のずれ幅を小さくすることができる。このため、プローブカバーの前後方向の幅を小さくすることができ、音響レンズとプローブカバーとの間にしわ等が介在してしまう事態を低減できる。
【0010】
超音波プローブの第1の態様においては、保持部は、携帯端末の少なくとも一部が皮膚に対して傾斜するように保持し、携帯端末の少なくとも一部は画面を含むようにできる。
【0011】
超音波プローブの第1の態様によれば、使用者が画面を見やすさと、カバーの前後方向の小型化の両立が図られる。また、カバーの前後方向の小型化により、弛みなくプローブカバーを超音波プローブに固定することができ、超音波センサ部とプローブカバーとの間にしわ等が介在してしまう事態を防止できる。
【0012】
超音波プローブの第1の態様においては、保持部に保持された状態で、携帯端末の短辺の方向と筐体の幅方向とが一致するようにできる。
【0013】
超音波プローブの第1の態様によれば、携帯端末を超音波プローブに保持させた超音波診断装置の幅を小さくすることができるので、超音波診断装置を、プローブカバー内に容易に収容することができる。
【0014】
超音波プローブの第1の態様において、保持部は、筐体の上端面に設けられ、携帯端末の裏面に取り付けられた係合用プラグ又は係合用ソケットを受け入れる係合用ソケット又は係合用プラグであり、携帯端末を筐体の上下方向の軸に対して傾斜させて保持するようにできる。このような構成とすることにより、保持部の構成を簡略化しつつ、プローブカバー内に収容しやすい状態で携帯端末を保持することができる。
【0015】
超音波プローブの第1の態様において、保持部は、筐体の上端面に設けられ、携帯端末の下端部が挿入される端末挿入用凹部とすることができる。このような構成とすることにより、携帯端末を超音波プローブに保持させた超音波診断装置の幅をさらに小さくできる。
【0016】
超音波プローブの第1の態様において、保持部は、筐体の上端面から斜め上方に延びる裁置台であり、携帯端末の下端部は、筐体の上端面の上に位置していてもよい。このような構成とすることにより、携帯端末をより安定して保持することができる。
【0017】
本開示の超音波プローブの第2の態様は、超音波を送受信する超音波センサ部と、超音波センサ部において受信した信号を処理して携帯端末に送信する信号処理部と、超音波センサ部が下端に位置するように、超音波センサ部及び信号処理部を収容すると共に、携帯端末を保持する保持部を有する筐体とを備え、携帯端末を保持部に保持した状態で、プローブカバー内に収容可能であり、保持部は、筐体の上端面から突出し、端部に携帯端末を固定する部材を有し、中間部に回動部を有する取付部材であり、携帯端末の短辺の方向を筐体の幅方向と一致させて保持する。
【0018】
超音波プローブの第2の態様によれば、携帯端末を超音波プローブに保持させた超音波診断装置の幅を小さくしつつ、携帯端末の角度が変えられるため、操作性を向上させることができる。
【0019】
本開示の超音波プローブの第3の態様は、超音波を送受信する超音波センサ部と、超音波センサ部において受信した信号を処理して携帯端末に送信する信号処理部と、超音波センサ部が下端に位置するように、超音波センサ部及び信号処理部を収容すると共に、携帯端末を保持する保持部を有する筐体とを備え、保持部は、筐体を第1のプローブカバー内に収容した状態で、第2のプローブカバー内に収容した携帯端末を、携帯端末の少なくとも一部が筐体の上端面の上に位置するように保持する。
【0020】
超音波プローブの第3の態様によれば、超音波プローブ及び携帯端末のいずれもがプローブカバー内に収容された状態で、携帯端末の着脱を容易に行うことができるので、操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の超音波プローブによれば、超音波プローブ及び携帯端末のいずれもがプローブカバー内に収容された状態としやすく、また、プローブカバーの前後方向の幅を小さくすることができ、音響レンズとプローブカバーとの間にしわ等が介在してしまう事態を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態に係る超音波診断装置を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る超音波診断装置を示す側面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る超音波診断装置を示す正面図である。
【
図4】第1変形例に係る超音波診断装置を示す側面図である。
【
図5】第2変形例に係る超音波診断装置を示す斜視図である。
【
図6】第3変形例に係る超音波診断装置を示す斜視図である。
【
図7】第4変形例に係る超音波診断装置を示す側面図である。
【
図8】第5変形例に係る超音波診断装置を示す斜視図である。
【
図9】第6変形例に係る超音波診断装置を示す側面図である。
【
図10】第7変形例に係る超音波診断装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図3に第1の実施形態に係る超音波診断装置100を示す。超音波診断装置100は、超音波画像を生成する超音波プローブ101と、超音波プローブ101において生成した超音波画像を表示する携帯端末102とを含む。超音波プローブ101に携帯端末102を保持させた超音波診断装置100は、袋状のプローブカバー200内に収容して使用することができる。
【0024】
超音波プローブ101に保持させる携帯端末102は、データの無線通信機能と画像の表示機能を有していれば特に限定されず、ディスプレイ(画面)121の大きさが4インチ~6インチ程度の市販の携帯電話端末(スマートフォン)、携帯情報端末及びタブレット端末等を用いることができる。
【0025】
超音波プローブ101は、筐体112と、筐体112内に収容された超音波センサ部113及び信号処理部114を有している。超音波センサ部113は、超音波を送信する振動子及び超音波を受信するセンサを含み、超音波を送受信する。具体的には、振動子とセンサとを有する超音波トランスデューサが筐体112の幅方向に沿って複数配置された1次元センサアレイ又は筐体112の幅方向及び厚さ方向に沿って配置された2次元センサアレイとすることができる。また、超音波センサ部113は、セクタ型、リニア型及びコンベックス型のいずれであってもよい。超音波センサ部113のレンズ面は、筐体112の下端面に露出しており、被検体の表面に接触させた状態で、超音波照射及び超音波エコーの受信を行うことができる。
【0026】
信号処理部114は、超音波センサ部113の駆動、受信信号のデジタル変換、画像への変換及び携帯端末との通信等を行う機能を有している。これらの機能の一部は、携帯端末102が担うようにすることも可能である。
【0027】
筐体112は、携帯端末102を保持するための保持部を有している。保持部は、携帯端末102の少なくとも一部が筐体112の上端面の上に位置するように保持する。本実施形態において保持部は、筐体112の上端面に設けられ、携帯端末102の裏面に設けられた係合用プラグ132と受け入れることができる係合用ソケット131である。本実施形態において係合用プラグ132は、携帯端末102の裏面に対して傾斜して突出している。このため、係合用プラグ132を係合用ソケット131に差し込むことにより、携帯端末102を筐体112の上下軸に対して傾斜させて保持することができる。
【0028】
本実施形態において保持部は、携帯端末102の短辺の方向を筐体112の幅方向と一致させて保持することができる。携帯端末102の短辺の方向を筐体112の幅方向と一致させることにより、携帯端末102を保持させた超音波診断装置100の幅w1を、携帯端末102の長辺の方向を筐体112の幅方向と一致させた場合と比べて小さくすることができる。また、携帯端末102の少なくとも一部が筐体112の上端面の上に位置するため、携帯端末102を保持させた超音波診断装置の前後方向の厚さt1を、筐体112の前面の上に位置している場合よりも小さくすることができる。
【0029】
携帯端末102を保持させた超音波診断装置100の外面が局所的に前後方向や幅方向に大きい場合には、プローブカバー内に収容する際に邪魔になりやすいだけでなく、超音波診断装置を収容するプローブカバーに弛みやしわが形成されやすくなる。超音波センサ部と皮膚との間のプローブカバーに生じたしわは、ノイズの原因となる。このため、携帯端末102を保持させた超音波診断装置100の局所的な前後方向や幅方向の凹凸を少なくすることでプローブカバーに収容して超音波診断装置を使用する際に、ノイズが発生しにくくすることができる。但し、保持部に保持された状態において、携帯端末102の短辺の方向と筐体112の幅方向とが一致していなくてもよい。
【0030】
本実施形態のような保持部の場合、携帯端末102を筐体112の上下軸に対して傾斜させて保持することができる。これにより、携帯端末102の少なくとも一部を、患者の皮膚における診断対象となる部分に対して傾斜させることができる。携帯端末102の患者の皮膚に対して傾斜する部分にディスプレイ121が配置されているようにすれば、操作者は操作しながら容易にディスプレイ121を見ることが可能となる。
【0031】
携帯端末102と筐体112の上下軸とのなす角は、画面の視認性を向上させる観点からは好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上である。また、超音波プローブ101と携帯端末102とを合わせた超音波診断装置100全体の厚さを小さく抑える観点から、好ましくは45°以下、より好ましくは30°以下である。
【0032】
筐体112の幅w2は、超音波センサ部113の幅によって限定される。超音波センサ部113のレンズ面の幅は、撮像領域を確保する観点から好ましくは15mm以上、より好ましくは20mm以上である。幅は広い方が撮像領域を広くできるが、操作性の観点から好ましくは70mm以下、より好ましくは60mm以下である。筐体112の幅w2は、超音波センサ部113を収容できる長さであればよく、超音波センサ部113のレンズ面の幅に対して好ましくは105%以上、より好ましくは110%以上であり、小型化の観点からは好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下である。具体的には、筐体112の幅w2は、好ましくは40mm以上、より好ましくは50mm以上、好ましくは120mm以下、より好ましくは100mm以下である。
【0033】
保持部に保持する携帯端末102の短辺の長さは、筐体112の幅w2以下であることが好ましい。このような携帯端末102を短辺を筐体112の幅方向と一致させて、保持部に保持させると、超音波診断装置100の幅方向への突出長を抑えることができるため、縦長のプローブカバー200内に容易に収容することができる。また、幅方向への突出長を抑えることにより、超音波診断装置100とプローブカバー200とのクリアランスを小さくすることもでき、プローブカバー200にしわが生じにくくすることができる。
【0034】
また、携帯端末102の傾斜角度が同じであれば、携帯端末102の少なくとも一部が筐体112の上端面の上に位置していることにより、超音波プローブ101と携帯端末102とを合わせた超音波診断装置100全体の厚さを、携帯端末102が筐体112の上端面と重なっていない場合よりも小さくすることができる。このため、超音波診断装置100をプローブカバー200内に収容する際に、超音波診断装置100とプローブカバー200とのクリアランスを小さくすることができ、超音波診断装置100を収容したプローブカバー200にしわが生じにくくすることができる。
【0035】
本実施形態においては、係合用プラグ132は2つのロッドが直角に交わる逆L字状であり、第1のロッドの端部が、筐体112の上端面に設けられた凹部である係合用ソケット131に挿入され、第2のロッドの端部に携帯端末102が第1のロッドに対して傾斜して固定されている。係合用プラグ132を逆L字状とすることにより、携帯端末102を筐体112の上下軸に対して傾斜させて保持することが容易となる。但し、第1のロッドと第2のロッドとが交わる角度は90°に限らない。また、係合用プラグ132を直線状のロッドとすることもできる。
【0036】
ロッドの係合用ソケット131に挿入される部分は、例えば角がない円柱状とすることができるが、四角柱状又は六角柱状等の角のある形状とすることもできる。また、挿入しやすくするために、テーパを設けることもできる。係合用ソケット131は、係合用ソケット131の挿入される部分の形状に合わせて、それを受け入れられる形状とすればよい。なお、係合用プラグ132と係合用ソケット131とは1組ではなく複数組設けることもできる。
【0037】
係合用ソケット131は、係合用プラグ132をある程度遊びをもって挿入できるような凹部とすることができる。このようにすれば、携帯端末102の超音波プローブ101への着脱を容易に行うことができる。係合用ソケット131が筐体112の上端面に設けられており、係合用プラグ132が重力の方向に保持されているため、係合用ソケット131と係合用プラグ132とが遊びがある状態であっても、携帯端末102を保持することができる。係合用ソケット131及び係合用プラグ132のサイズ及び数にもよるが、係合用プラグ132の好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上が係合用ソケット131内に挿入されるようにすれば、超音波診断装置100を多少傾けても携帯端末102が脱落しないようにできる。
【0038】
係合用ソケット131及び係合用プラグ132の少なくとも一方に磁石を配置し、他方に磁石又は磁性体を配置して、係合用ソケット131に係合用プラグ132を挿入した際に磁力により相互に結合するような構成とすることもできる。
【0039】
係合用ソケット131に係合用プラグ132が嵌合するようにしてもよい。例えば、係合用ソケット131の内面と係合用プラグ132の外面とに相補的なテーパを設け、テーパ嵌合するようにすることができる。このようにすれば、携帯端末102をより脱落しにくくすることができる。
【0040】
また、係合用ソケット131の内壁の少なくとも一部を移動可能な可動壁として、可動壁により挿入された係合用プラグ132を押圧することによりがたつきを抑える構成とすることもできる。可動壁による押圧は、ねじ等を用いた機構を用いたり、ばね等により付勢する機構を用いたりすることができる。
【0041】
係合用プラグ132は、携帯端末102の裏面に接着剤又は粘着テープ等を用いて固定することができる。また、携帯端末102を挟み込んで固定するケース等の部材を用い、ケース等の裏面に凸部を固定したり、ケースと一体に凸部を形成したりすることもできる。
【0042】
また、保持部を筐体112に設けられた係合用プラグとし、携帯端末102の裏面に、端面に係合用ソケットを有する突出部を設けることもできる。
【0043】
図4に示す第1変形例のように、筐体112の上端部に、携帯端末102の傾斜角度に合わせた傾斜面141を設けてもよい。このようにすれば、携帯端末102の裏面が傾斜面141に当接するため、携帯端末102をより安定して保持することができる。
【0044】
プローブカバー200は、樹脂製の袋とすることができる。携帯端末102を保持させた超音波プローブ101をプローブカバー200に挿入した後、プローブカバー200上方を折り返して、折り返し部分を介して超音波プローブをプローブカバーに押しつける。折り返し部分と当接する携帯端末上部に与えられる押し込み力は保持部を介して音響レンズとプローブカバーに伝わり、音響レンズとプローブカバーとの間に気泡やしわ等が介在しないように密着させる。次に、密着状態を維持するように、シール等でプローブカバー200を折り返し状態に固定する。なお、超音波プローブをプローブカバーに押しつけた状態で、プローブカバー200の上からブラケット151をはめ込むことにより、プローブカバー200をずれないように固定することもできる。ブラケット151は、例えば筐体112の側面に設けられた突起142を用いて筐体112に固定することができる。また、他の方法により筐体112に固定することもできる。ブラケット151はプローブカバー200と一体にしてもよく、ブラケット151に音響レンズ113の部分を覆うゲルシートを装着できるようにすることもできる。また、ブラケット151に穿刺ガイドを取り付けられるようにすることもできる。
【0045】
保持部を、携帯端末102に設けられた係合用プラグが挿入される係合用ソケットとする例を示したが、
図5に示す第2変形例のように、保持部として携帯端末102自体が挿入されるような端末挿入用凹部137を設けることもできる。端末挿入用凹部137の壁面の一部をねじ等により可動できるようにしたり、バネにより壁の一部を付勢したりすることにより、種々の大きさの携帯端末102が挿入可能となる。また、携帯端末102の大きさに合わせてアダプタを用いることもできる。
【0046】
挿入された携帯端末102が筐体112の上下方向の軸に対して傾斜するように端末挿入用凹部137を傾けて設けることができる。但し、携帯端末102の軸が筐体の軸と一致する容易してもよい。また、端末挿入用凹部137の前面側に切り欠きを設けたり、透明窓を設けたりすれば、携帯端末102のディスプレイの部分まで端末挿入用凹部137に挿入しても、ディスプレイの全面を使用することが可能となる。
【0047】
図6に示す第3変形例のように、保持部を筐体112の上端面から斜め上方に延びる裁置台138とすることもできる。第4変形例においては、携帯端末102を面で保持することができるため、より安定して保持することができる。
図6には裁置台138の長さが携帯端末の長辺の長さとほぼ同じである例を示しているが、裁置台138の長さは携帯端末の長辺の長さの1/3程度よりも長ければよく、1/2程度よりも長ければより安定して保持することができる。また、携帯端末の長辺の長さよりも長くてもよい。
【0048】
携帯端末102を裁置台138に固定するために種々の方法を用いることができる。例えば、裁置台138の両側に押圧部139を設け、携帯端末102を挟み込むようにすることができる。押圧部139をバネ等により付勢する構成とすれば、携帯端末102の着脱を容易にすることができる。また、裁置台138の表面に粘着ゲルシート等を設け、携帯端末102の裏面と密着させて固定することもできる。
【0049】
図6には、押圧部139が携帯端末102の側壁のほぼ全体を押圧するような押圧壁である例を示したが、携帯端末102の両側壁のそれぞれ1箇所又は複数箇所を点で抑えるような構成とすることもできる。
【0050】
図6において、携帯端末102の下端部が筐体112の上端面で支えられている。このようにすれば、携帯端末102をより安定して保持することができる。筐体112の上端面に携帯端末102の下端部に対応した窪みを設けたり、下端部を挿入できるような凹部を設けたりすることもできる。但し、携帯端末102の下端部を筐体112の上端面で支える必要はなく、筐体112の前面の適当な位置に突出部等を設け、突出部等により携帯端末102の下端部を支える構成とすることもできる。また、裁置台138の側に携帯端末102の下端部を支える突出部等を設けることもできる。
【0051】
図6においては、携帯端末102の全体が、筐体112の上端面よりも上側に位置しているが、一部だけが上端面よりも上側に位置するようにしてもよい。例えば、裁置台138の裏面が筐体112の上端部と接続されているにようにしてもよい。この場合、筐体112の上端部に傾斜面を設け、裁置台138の裏面が傾斜面と当接するようにすることもできる。
【0052】
裁置台138は、筐体112と一体に成形することができる。また、筐体112に後から取り付けるようにすることもできる。裁置台138を後付けとする場合には、使用する携帯端末102の大きさに合わせて、裁置台138を交換できるようにしてもよい。さらに、裁置台138の筐体112の上下軸に対する傾斜角度を変更できるようにしてもよい。
【0053】
図7に示す第4変形例のように、2本のロッドが中間部に設けられた回動部であるジョイント162によって接続されている係合用プラグ161を用いることにより、携帯端末102の角度を自在に変更することが可能となる。ジョイント162はヒンジジョイントのような1軸のみに回動するものとすることができる。この場合には、携帯端末102の傾斜角度のみを変更することが可能となる。また、ボールジョイントのように、多方向に回動するものであってもよい。この場合には、携帯端末102の傾斜角度だけでなく、向きの調整も可能となる。上下軸を中心に回転可能なジョイントを設け、少なくとも上部において筐体112の横断面を円形状とすれば、保持部に保持された携帯端末102が、筐体112の廻りを360°回転するようにできる。
【0054】
ジョイント162をマグネットボールジョイント等の容易に分離可能なジョイントとすれば、超音波プローブ101と携帯端末102とをジョイント部分で着脱することが可能となる。例えば、マグネットボールジョイントの基部を筐体112の上端面に取り付け、携帯端末102の側にボール部を取り付ければ、マグネットボールジョイント自体を保持部とすることができる。
【0055】
また、係合用プラグをリング部が角度調整が可能なジョイントを介して取り付けられている市販のバンカーリングとし、筐体112に係合用ソケットとしてバンカーリングのリング部分を受け入れるスリット状の凹部を設けることができる。さらに、
図8に示す第5変形例のように、保持部を、筐体112に設けられた係合用凸部164とし、係合用凸部164をバンカーリングのリング部165挿入して保持するようにしてもよい。汎用品のバンカーリングを用いることによりコストを大幅に削減できる。
【0056】
第4及び5変形例においては、ロッドの長さ及びジョイント162の角度によっては、携帯端末102が筐体112の軸と平行になり、携帯端末102が筐体112の上端面の上に位置しない場合がある。しかし、筐体112の上端面に保持部が設けられているため、筐体112の前面に保持部が設けられている場合よりも、超音波プローブ101に携帯端末102を保持させた超音波診断装置100全体の厚さを薄くすることができる。例えば、携帯端末102が筐体112の上下軸と平行になる位置において、携帯端末102の裏面が筐体112の前面と接するようにすれば、超音波診断装置100の厚さを最小にすることができる。超音波プローブ101に携帯端末102を保持させた超音波診断装置100全体の厚さが小さくなるほど、超音波診断装置100全体とプローブカバーとのクリアランスを小さくすることができ、クリアランスが小さい程、超音波診断装置100とプローブカバーとが固定された状態において、プローブカバーにしわが生じにくくすることができる。
【0057】
図9に示す第6変形例のように、係合用プラグが挿入される係合用ソケットを保持部とするのではなく、筐体112を挟み込むコ字状のクランプ部168を有する取付部材167を保持部として、携帯端末102を超音波プローブ101に保持させてもよい。
図9には、取付部材167がジョイント162を有している例を示しているが、ジョイント162は設けず、携帯端末102の傾斜角度を固定としてもよい。また、クランプ部168が筐体112の前後面を挟み込んでいる例を示したが、両側面を挟み込む等の他の構成としてもよい。
【0058】
取付部材167の端部に携帯端末102を固定する方法は、種々の方法を用いることができる。例えば、取付部材167の端部を携帯端末102の裏面に直接又はケースを介在させて接着することができる。また、取付部材167の端部に凹部を設け、携帯端末102の裏面に直接又はケース等を介在させて凸部を取り付け、凹部と凸部とを係合させる構成とすることができる。この場合、凸部と凹部とは入れ替えることもできる。また、凹部と凸部とにねじ山を設けることもできる。
【0059】
超音波診断装置100を使用する際に、超音波プローブ101と携帯端末102とを分離した状態で使用したい場合もある。本実施形態及び各変形例の超音波プローブ101の保持部は、携帯端末102を容易に着脱することができるので、このような使用方法にも対応することができる。
【0060】
超音波プローブ101と携帯端末102とを分離して使用することがあらかじめ決まっている場合は、
図10に示す第7変形例のように、超音波プローブ101を第1のプローブカバー201に収容し、携帯端末102を第2のプローブカバー202に収容した状態で、携帯端末102を保持部に保持させることもできる。
【0061】
係合用プラグ132を係合用ソケット131に挿入する構成の保持部の場合、係合用プラグ132と係合用ソケット131とに遊びを設けておけば、携帯端末102を保持させる際に、第1のプローブカバー201及び第2のプローブカバー202が破れることを防ぐことができる。この場合、係合用プラグ132の係合用ソケット131への挿入が終わった後、係合用プラグ132を締め付けるような機構を設けたりすることができる。まず携帯端末102を重力の方向に支えた後、横方向の移動を制限するように何らかの部材で締め付ける2ステップの保持機構であれば、プローブカバーの破れを生じにくくすることができる。また、磁力による保持を補助的に用いて係合用ソケット131内で係合用プラグ132ががたつかないようにすることもできる。
【0062】
携帯端末102を端末挿入用凹部137に挿入する場合も、プローブカバーが破れないように遊びを設ければよい。裁置台138を用いる場合には、例えばまず携帯端末102の下端面を支えた後、押圧部139が携帯端末102の側面のできるだけ広い範囲を押圧するようにすれば、プローブカバーが破れにくくなると共に、プローブカバーごと携帯端末102が滑り落ちたりしにくくすることができる。
【0063】
筐体112の表面には、把持のための窪みを設けることができる。窪みの位置や大きさは筐体112の大きさ及び把持する方向等によって適宜決定することができる。例えば、筐体112の裏面側から側面を把持する場合、筐体112の側面に窪みを設けることができる。また、筐体112の側方から指で挟み込むように把持する場合、筐体112の表面側に親指に対応する窪みを設け、裏面側に他の指に対応する窪みを設けることができる。この場合、携帯端末102の画面が親指で操作しやすくなるという利点がある。この他、筐体112に把持用のハンドル又はグリップ等を設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示の超音波プローブは、超音波プローブ及び携帯端末のいずれもがプローブカバー内に収容された状態で容易に操作可能であり、携帯型超音波診断装置等として有用である。
【符号の説明】
【0065】
100 超音波診断装置
101 超音波プローブ
102 携帯端末
112 筐体
113 超音波センサ部
114 信号処理部
121 ディスプレイ
131 係合用ソケット
132 係合用プラグ
133 凸部
134 リング部
137 端末挿入用凹部
138 裁置台
139 押圧部
141 傾斜面
142 突起
151 ブラケット
161 係合用プラグ
162 ジョイント
164 係合用凸部
165 リング部
167 取付部材
168 クランプ部
200 プローブカバー
201 第1のプローブカバー
202 第2のプローブカバー