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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】測定促進装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230808BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/00 L
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019056052
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020160506
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】出野 徹
(72)【発明者】
【氏名】木村 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆伸
(72)【発明者】
【氏名】山田 真幸
(72)【発明者】
【氏名】古田 みずき
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-038839(JP,A)
【文献】特開2015-228971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00ー80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの外的な環境に関する環境データを取得する第1取得部と、
前記環境データが、前記ユーザの生体データが変化を受けやすいことを示す予め記憶した条件であって前記ユーザの前記生体データに基づいて設定された環境に関する条件を満たすかどうかを判定する第1判定部と、
前記環境データが前記条件を満たすと判定された場合に、前記生体データを測定するように指示する指示部と、を備える、
測定促進装置。
【請求項2】
測定済み環境データと、測定済み生体データとの相関に基づいて前記条件を算出する算出部をさらに備える、
請求項1に記載の測定促進装置。
【請求項3】
前記算出部は、
前記測定済み環境データの変動量と、前記測定済み環境データの変動量に同期して変動する前記測定済み生体データの変動量とを関連付ける関連付部と、
関連付けられた前記測定済み環境データの変動量が、前記第1取得部が取得した前記環境データの変動量とある範囲内で一致することを、前記条件を満たすと設定する設定部と、を備える、
請求項2に記載の測定促進装置。
【請求項4】
前記ユーザが自覚した体調の変化の内容を受け付ける受付部をさらに備え、
前記関連付部は、前記体調の変化の内容及び測定済み生体データの変動量に基づいて、測定済み環境データの変動量と前記体調の変化の内容と測定済み生体データの変動量とを関連付ける、
請求項3に記載の測定促進装置。
【請求項5】
生体データの種類と、測定済み環境データと測定済み生体データとの相関に基づいて前記条件を満たす測定済み環境データとの対応を示すテーブルを取得する第3取得部をさらに備え、
前記第1判定部は、前記テーブルを参照することによって、前記第1取得部が取得した環境データが前記条件を満たすかどうかを判定する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の測定促進装置。
【請求項6】
前記テーブルは、測定済みの環境データごとに、測定済みの環境データの変動量と、測定済みの生体データの変動量とに基づいてユーザごとに決定される、
請求項5に記載の測定促進装置。
【請求項7】
前記ユーザが屋内に居るかどうかを判定する第2判定部をさらに備え、
前記第1取得部は、前記ユーザが屋外または屋内に居るかによって取得する環境データを変更する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定促進装置。
【請求項8】
前記第1判定部は、前記ユーザが屋内に居ると判定されると、前記環境データは近距離無線通信に基づいて屋内に設置されているセンサから環境データを取得し、屋外の環境データより屋内の環境データを優先して採用し、前記ユーザの生体データが環境の変化を受けやすいかどうかを判定する、
請求項7に記載の測定促進装置。
【請求項9】
前記指示部は、前記第1取得部が取得した環境データが前記条件を満たすと判定された場合に、前記生体データが変化しやすい環境であるとして、該当ユーザにアラートを通知する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の測定促進装置。
【請求項10】
測定促進装置の第1取得部が、ユーザの外的な環境に関する環境データを取得し、
前記測定促進装置の第1判定部が、前記環境データが、前記ユーザの生体データが変化を受けやすいことを示す予め記憶した条件であって前記ユーザの前記生体データに基づいて設定された環境に関する条件を満たすかどうかを判定し、
前記測定促進装置の指示部が、前記環境データが前記条件を満たすと判定された場合に、前記生体データを測定するように指示すること、を備える、
測定促進方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の測定促進装置が備える各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、測定促進装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、家庭用の医療測定機器の性能が向上して、ユーザの様々な生体データを精度良く測定し、測定された生体データをスマートフォン等により取得してユーザが容易に参照することが可能になっている。この医療測定機器として例えば、心電計、血圧計、及び心拍計は、小型化されていて携帯して持ち運べるものが多数販売されていて、ユーザはこれらの機器を容易に入手でき、日常生活を送っている際の自分の生体データを取得して参照することが可能になってきている。
【0003】
これらの機器を利用するユーザは、自身の健康を良い状態に保つために、生体データの種類ごとに生体データの値が医師等の専門家から推奨されている適切な範囲になるように、日常生活を見直すことに役立てることがある。
【0004】
また、日常生活において、環境が変化する際に生体データが変動してユーザの体調が悪くなることがある。例えば、トイレまたはお風呂場の脱衣場の室温が他の部屋の室温よりも著しく低く、特に冬期は、暖かい部屋からトイレまたは脱衣場に行った場合に、気温差によってユーザの血圧が急激に上昇することがある。
【0005】
例えば、特許文献1には、気象予報に基づいて疾患毎の症状レベルを予測し、症状レベルの悪化が予測される会員に健康注意報を送信されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-50212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、気象予報に応じて症状レベルを予想するだけなので、気象予報以外の環境に関するデータは参照していない。したがって、例えば、屋内での環境変化による生体データの影響を考慮することができない。気象予報だけでなく、ユーザの生体データが影響を受ける環境を判定して、環境条件の変化に応じた値と、血圧等の生体データとを利用してユーザの健康維持に役立てることはなされていない。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、一側面では、ユーザの環境が変化した際に、この環境データの変動に応じて対応する生体データを測定することを促す、測定促進装置、方法及びプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0010】
すなわち、本開示の第1の側面に係る測定促進装置は、ユーザの外的な環境に関する環境データを取得する第1取得部と、前記環境データが、前記ユーザの生体データが変化を受けやすいことを示す予め記憶した条件を満たすかどうかを判定する第1判定部と、前記環境データが前記条件を満たすと判定された場合に、前記生体データを測定するように指示する指示部と、を備える。
【0011】
上記の構成では、測定促進装置は、ユーザの外的な環境(すなわち、ユーザを取り巻く周囲の環境)に関する環境データを取得する。環境データとしては、外的な環境に関する物理量であれば何でもよく、例えば、温度、湿度、気圧、風速、明るさ、周囲の音量、及び空気の綺麗さがある。第1判定部は、前記ユーザの生体データが環境データの変化の影響を受けやすいかどうかを何らかの手法によって判定する。生体データは、生体に関するデータであれば何でもよく、血圧データ、心電データ、心拍データがある。第1判定部は、ユーザごとに環境データの変化がユーザに影響を及ぼすかどうかを判定する。判定する手法は多くの手法があり、以下の側面についての説明においていくつかの例が示される。そして、指示部は、第1判定部が前記生体データが変化を受けやすいことを示す予め記憶された条件を満たすと判定した場合に、この生体データを測定するように指示する。指示部は例えば、表示画面等に血圧を測定して下さい、等を表示して、血圧測定の指示を行う。
【0012】
具体的には、測定促進装置は、例えば、現在のユーザの周囲の気温が急激に(例えば、10度程度)低下したことを示す気温データを第1取得部が取得し、この温度データに基づいて、ユーザの血圧データがこの温度の変化の影響を受けやすい予め記憶された条件を満たすと第1判定部が判定したとする。この場合、指示部は、血圧データを測定するように指示し、この指示を受けてユーザが血圧計で測定を開始したり、この指示を受けて腕時計式の血圧計が自動的に測定を開始する。
【0013】
このように、本開示の第1の側面に係る測定促進装置によれば、ユーザが影響を受けやすい環境の変化が生じた際に、環境の変化に対応する生体データを測定することをユーザに促すことができるので、ユーザ自身の健康管理に役立てることができる。また、この測定促進装置によれば、ユーザごとにどのような環境変化がどの生体データに影響を及ぼすかを特定することができる。したがって、ユーザは自身の生体データに影響を及ぼす環境の変化が発生した際に迅速にこの生体データを測定することができるので、実際の自身の生体データに裏付けられた環境データと生体データとの関係を得ることができる。
【0014】
さらに、本開示の第1の側面に係る測定促進装置は、ユーザの外的な環境に関する環境データを取得して、環境データが、前記ユーザの生体データが変化を受けやすいことを示す予め記憶した条件を満たすかどうかを判定し、生体データが変化を受けやすいことを示す条件を満たすと判定された場合に、前記生体データを測定するように指示するためのプログラムを実行することができる装置であればよく、例えば、ウェアラブル機器(例えば、スマートフォン、腕時計型ウェアラブル端末)、活動量計、据置型の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)でもよい。また、測定促進装置は、例えば、ユーザが装着していてもしていなくてもよく、環境データを取得することができればよい。例えば、環境データを測定または取得することができる測定装置をユーザが装着し、測定促進装置はこの装置から環境データ(または、環境データの1つである気温等)を取得して上記のプログラムを実行してもよい。
【0015】
本開示の第2の側面に係る測定促進装置では、測定済み環境データと、測定済み生体データとの相関に基づいて前記条件を算出する算出部をさらに備える。
【0016】
上記の構成では、測定促進装置は、予め測定された測定済みの環境データ及び測定済みの生体データの相関に基づいて、前記条件を算出するので、ユーザごとに測定済みのデータの相関から条件を予め設定しておくことができる。したがって、この構成によれば、ユーザごとの実際に測定されたデータを使用して条件を算出するので、ユーザごとにその特徴を汲み取った条件を算出することが可能になる。
【0017】
本開示の第3の側面に係る測定促進装置では、前記算出部は、前記測定済み環境データの変動量と、前記測定済み環境データの変動量に同期して変動する前記測定済み生体データの変動量とを関連付ける関連付部と、関連付けられた前記測定済み環境データの変動量が、前記第1取得部が取得した前記環境データの変動量とある範囲内で一致することを、前記条件を満たすと設定する設定部と、を備える。
【0018】
上記の構成では、前記算出部に含まれる関連付部は、過去に測定された測定済み環境データの変動量と、この測定済みの環境データの変動量が測定された期間に同期変動する測定された測定済みの生体データの変動量とを関連付ける。これらの測定済みの環境データの変動量及び測定済みの生体データの変動量のデータは、例えば、測定済みの生体データの変動量(変化量とも称す)が生体データの種類ごとにしきい値が設定されいて、このしきい値以上に変化した生体データに対応する環境データのみに注目し、この環境データが生体データに連動してしきい値以上の変動量で変化している場合には、同期して変動していると判定し、これらの測定済みの環境データの変動量と、測定済みの生体データの変動量とを関連付ける。そして、関連付部によって関連付けられた測定済みの環境データの変動量が、前記第1取得部が取得した環境データの変動量とある範囲内で一致することを、前記条件を満たすと設定することができる。この結果、これらの同期して変動するとして関連付けられた測定済み環境データの変動量及び測定済み生体データの変動量のデータを参照して、測定済み環境データの変動量と同様な変動量を有する環境データが第1取得部で取得された場合に、第1判定部は、環境データは前記条件を満たすと判定し、この環境データに対応する生体データは環境の変化を受けやすいと判定することになる。
【0019】
したがって、本開示の第3の側面に係る測定促進装置によれば、設定部は、過去に測定した環境データと生体データとのうち、変動量が一定値(しきい値)以上の環境データに基づいて、過去の測定データから、現在の環境データによって現在のユーザの生体データが変化しやすいかどうかを判定する条件を設定することができる。
【0020】
本開示の第4の側面に係る測定促進装置では、前記ユーザが自覚した体調の変化の内容を受け付ける受付部をさらに備え、前記関連付部は、前記体調の変化の内容及び測定済み生体データの変動量に基づいて、測定済み環境データの変動量と前記体調の変化の内容と測定済み生体データの変動量とを関連付ける。
【0021】
上記の構成では、ユーザが体調の変化を自覚した場合にはその内容を受付部を介して測定促進装置が取得して、関連付部が体調の変化の内容と測定済み生体データの変動量と測定済み環境データの変動量とを関連づけることによって、ユーザの体調を含めた環境のユーザへの影響を関連づけることができる。このため、ユーザの主観的な体調の自覚と、測定済みの客観的な生体データとを環境データと関連づけることができるので、より多角的に環境データの変動によるユーザへの影響を判定することが可能になる。
【0022】
本開示の第5の側面に係る測定促進装置では、生体データの種類と、測定済み環境データと測定済み生体データとの相関に基づいて前記条件を満たす測定済み環境データとの対応を示すテーブルを取得する第3取得部をさらに備え、前記第1判定部は、前記テーブルを参照することによって、前記第1取得部が取得した環境データが前記条件を満たすかどうかを判定する。
【0023】
上記の構成では、予め何らかの手法によって作成された、生体データの種類と、ユーザの生体データが影響を受ける(すなわち、前記条件を満たす)測定済みの環境データとの対応を示すテーブルを取得して、第1判定部は、テーブルを参照して、テーブルに記載のある測定済みの環境データでは、対応する生体データが影響を受ける、すなわち、取得した環境データが前記条件を満たすと判定する。このため、第1判定部は、テーブルを参照することによって、第1取得部が取得した環境データによる環境の変化によって、ユーザの生体データが影響を受けるかどうかを判定することができる。
【0024】
したがって、本開示の第5の側面に係る測定促進装置によれば、テーブルに該当する測定済み環境データがあった場合に、対応する生体データがこの環境の影響による変化を受けやすいと判定することができる。このようにテーブルを参照するだけで生体データが対応する環境の変化を受けやすいかを容易に判定することができる。テーブルに対応する環境データがあるかどうかを判定するだけなので、CPUの演算リソースは少なくてすむと期待される。
【0025】
本開示の第6の側面に係る測定促進装置では、前記テーブルは、測定済みの環境データごとに、測定済みの環境データの変動量と、測定済みの生体データの変動量とに基づいてユーザごとに決定される。
【0026】
上記の構成では、ユーザごとに例えば、測定済みの環境データの変動量と、測定済みの生体データの変動量とが同期して変動し関連している場合には、この環境データの変動がこの生体データの変動に影響しているとしてテーブルに含めることを決定する。すなわち、環境データの変動量がある一定以上の場合に、環境データの変化に対応して生体データの変動量が一定(しきい値)以上であった場合には、この環境データの変化によって生体データが変化したと判定して、この測定済みの環境データと測定済みの生体データとを関連づけてテーブルに含める。また、環境データの変動量はその数値(例えば、変動前の数値)に依存する可能性もあるので、変動量だけでなくその数値も含めてテーブルに含めて判定してもよい。さらに、生体データはその数値によって変動量は変化する可能性があるので、変動量のしきい値は数値によって変化させてもよい。
【0027】
したがって、本開示の第6の側面に係る測定促進装置によれば、ユーザごとに、実際の測定済みの環境データと測定済みの生体データとの変動量に基づいてテーブルを設定することができる。ユーザごとに実際のデータに基づいてテーブルを設定するので、ユーザにあったテーブルを作成することができる。
【0028】
本開示の第7の側面に係る測定促進装置では、前記ユーザが屋内に居るかどうかを判定する第2判定部をさらに備え、前記第1取得部は、前記ユーザが屋外または屋内に居るかによって取得する環境データを変更する。
【0029】
上記の構成では、第2判定部がユーザが屋外か屋内にいるかを判定し、屋外と屋内とではユーザに影響する環境データは異なるので、第1取得部はユーザが屋外にいるか屋内にいるかによって取得する環境データを変更する。例えば、第1取得部は、ユーザの位置情報を取得してユーザが屋外にいることを示している場合には、外気温、外湿度等の屋外のデータをインターネット等を介して取得し、ユーザの位置情報が屋内にいることを示している場合には、屋内に設置されている気温センサ、湿度センサ等が測定した屋内のデータを近距離無線通信等を介して取得してもよい。また、第1取得部は屋外及び屋内のどちらの環境データを取得していて、第1判定部ユーザが屋外または屋内にいるかによって使用する環境データを変更してもよい。
【0030】
本開示の第8の側面に係る測定促進装置では、前記第1判定部は、前記ユーザが屋内に居ると判定されると、前記環境データは近距離無線通信に基づいて屋内に設置されているセンサから環境データを取得し、屋外の環境データより屋内の環境データを優先して採用し、前記ユーザの生体データが環境の変化を受けやすいかどうかを判定する。
【0031】
上記の構成では、第1判定部は、ユーザが屋内にいると判定されると、屋内に設定されているセンサ等によって取得された環境データを使用して判定する。このため、第1判定部は、ユーザのいる場所によって採用する環境データを変更することができ、ユーザの外的な環境を正確に反映する環境データの変動を把握することができる。
【0032】
本開示の第9の側面に係る測定促進装置では、前記指示部は、前記第1取得部が取得した環境データが前記条件を満たすと判定された場合に、前記生体データが変化しやすい環境であるとして、該当ユーザにアラートを通知する。
【0033】
上記の構成では、指示部は、前記第1取得部が取得した環境データが前記条件を満たす(ユーザの生体データが環境の変化を受けやすい)と判定された場合には、その旨をユーザにアラートして注意を促す。このため、ユーザは自身の生体データを測定することができ、環境の変化に応じた生体データを記録することができる。
【0034】
本開示のさらに別の側面に係る測定促進装置では、前記受付部は、前記自覚した内容を受け付けるための前記ユーザが実行させるためのインタフェースを表示する。
【0035】
上記の構成では、測定促進装置の受付部は、ユーザが自覚した体調の変化の内容を受け付けるためのインタフェースを表示し、ユーザはこのインタフェースを使用して測定促進装置に体調の変化の内容を入力することができる。インタフェースは、ユーザがデータを入力することができれば何でもよいが、例えば、GUI(Graphical User Interface)のボタンであり、例えば、ユーザがGUIの複数のボタンから1つ以上のボタンを選択して測定促進装置へ入力する。
【発明の効果】
【0036】
本発明の測定促進装置、方法及びプログラムによれば、一側面では、ユーザが影響を受けやすい環境の変化が生じた際に、環境の変化に対応する生体データを測定することをユーザに促し、環境変化によるユーザの生体への影響を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】実施の形態に係る測定促進装置、腕時計型ウェアラブル端末、及びネットワーク経由で接続するサーバを含むシステムの概要を示す図。
図2】実施の形態に係る測定促進装置のハードウェア構成の一例を模式的に例示する図。
図3】実施の形態に係る測定促進装置のソフトウェア構成の一部の一例を例示する図。
図4】実施の形態に係る測定促進装置に関する処理手順の一例を模式的に例示するフローチャート。
図5】実施の形態に係る測定促進装置に関するテーブル作成の処理手順の一例を模式的に例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
【0039】
[概要]
まず、図1を用いて、本発明の測定促進装置の概要について説明する。
図1は、概要の一例に係る測定促進装置100、腕時計型ウェアラブル端末120、サーバ130、ネットワーク140、GPS衛星150、及びセンサ160を模式的に例示している。
【0040】
測定促進装置100は、環境データを、屋外及び/または屋内に設置されているセンサ160から直接受信したり、環境データを取得して格納しているサーバ130からネットワーク140を介して取得する。そして、測定促進装置100は、環境データが変化した場合に、この環境データの変動に応じてユーザの生体データが変動する可能性があるかどうかを判定する。ユーザの生体データが変動する可能性があると判定した場合には、測定促進装置100は対応する生体データを測定するようにユーザに指示する。例えば、測定促進装置100は、取得した環境データが、ユーザの生体データが環境の変化を受けやすいことを示す予め記憶した条件を満たすかどうかを判定し、取得した環境データがこの条件を満たすと判定された場合に、ユーザの生体データが変動する可能性があると判定して、測定促進装置100は、環境データに対応する生体データを測定するようにユーザに指示する。
【0041】
測定促進装置100は、何らかの手法で自身の位置データを取得して、位置データに基づいて屋外または屋内のどちらの環境データを取得するかを判定して、ユーザが位置している屋内または屋外の所望の環境データを取得する。例えば、測定促進装置100は、複数のGPS衛星150からの信号を受信して測定促進装置100の位置を算出する。ユーザの位置情報は、測定促進装置100がGPS衛星150からの信号を受信して算出されるだけでなく、測定促進装置100が基地局及び/または無線LANアクセスポイントから位置に関するデータを受信しこのデータに応じて位置情報を補正してもよい。
【0042】
測定促進装置100は、生体データが変動すると判定した場合には生体データを測定するように指示を出力する。例えば、ユーザはこの指示を受け取った場合に、腕時計型ウェアラブル端末120を使用して、対応する生体データを測定するようにボタン等を押して測定を開始し、計測した生体データは測定促進装置100が受け取り、環境データに対応づけて生体データを記憶してもよい。また、この環境データと対応づけられた生体データは、ネットワーク140を介してサーバ130に記憶されてもよい。
【0043】
腕時計型ウェアラブル端末120は、ユーザが身に付け(または所持して)ユーザが操作することによってユーザの生体データを計測し、測定促進装置100へ生体データを送信する。生体データは生体に関するデータであればどんなものでもよく、例えば、心電データ、血圧データ、心拍データがある。生体データは、ユーザの操作だけでなく、あるイベントに基づいて測定されるように設定されていてもよい。
【0044】
サーバ130は、ネットワーク140を介して測定促進装置100と接続してデータをやり取りする。サーバ130は、測定促進装置100からある種類の環境データの要求を受け付け、対応する環境データを測定促進装置100にネットワーク140を介して送信する。サーバ130は、様々な場所に設定されている気象センサ等のセンサや、環境データを扱っている企業等から、多様な環境データを取得して記憶している。
【0045】
サーバ130が記憶している環境データは、環境に関するデータであればどんなものでも記憶してもよいが、例えば、気温、気圧、湿度、風力、明るさ、音量(スマホ、スマートウォッチで取得可能)、空気の綺麗さ(大気質指数(PM2.5、NO2、O3、SO2、PM10、CO等の単位体積当たりの質量)がある。気温、気圧、湿度、及び風力のデータは、気象サイト、気象関連事業者等から取得することができる。明るさのデータは、スマートフォンの明るさを計測することができるセンサによって取得することができる。音量は、ユーザの周辺の騒音等であり、例えば、スマートフォン及び/またはスマートウォッチ等のマイクロフォンを利用して計測することができる。また、特に都市部では騒音は自治体等で測定されているので、そこから音量データ(騒音データ)を取得してもよい。空気の綺麗さは、大気質の指数を対応させることができる。大気質指数は、例えば、PM2.5、NO2、O3、SO2、PM10、COの単位体積当たりの質量があり、これらの値が小さいほど空気が綺麗であると判定することができる。
【0046】
なお、腕時計型ウェアラブル端末120が測定する生体データを、測定促進装置100が単独で測定することができる場合には、測定促進装置100が測定する生体データを使用してもよい。この場合には測定促進装置100は、腕時計型ウェアラブル端末120の生体データを算出する装置部分を備えることになる。例えば、測定促進装置100は、ウェアラブル端末装置(例えば、スマートフォン)である場合には、撮影装置(カメラ等)及びライティング装置を備えていることは通常であり、心拍数を測定することが可能であるので、心拍データを算出することが可能になる。
【0047】
以上の通り、本実施形態の測定促進装置によれば、腕時計型ウェアラブル端末120がユーザの環境データを取得し、様々な環境データが変動している場合に、ユーザの生体データが変動するかどうかを判定し、この生体データが変動すると判定した場合には、測定促進装置100が生体データを測定するように指示する。この結果、ユーザにとって環境が変化した場合に、その環境変化によってどの生体データにどのような変化が生じるかを測定することが可能になる。このため、ユーザごとにどのような環境変化が生じると、どの生体データに変化が現れるかのデータを取得することができるので、ユーザごとにどの環境変化に対処すべきかがわかり、健康を維持するために役立てることができる。
【0048】
[構成例]
(ハードウェア構成)
<測定促進装置>
次に、図2を用いて、本実施形態に係る測定促進装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
図2に示される通り、本実施形態に係る測定促進装置100は、通信インタフェース201、記憶部202、入力装置203、出力装置204、計時装置205、電源部206、外部インタフェース207、GPS受信部208、及び制御部210が電気的に接続されたコンピュータを備えている。本実施形態に係る測定促進装置100は、本発明の「測定促進装置」に相当する。なお、図2では、通信インタフェース及び外部インタフェースをそれぞれ、「通信I/F」及び「外部I/F」と記載している。
【0049】
通信インタフェース201は、ネットワークを介した有線または無線通信を行うためのインタフェースであり、例えば、近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))モジュール、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等である。通信インタフェース201は、測定促進装置100を外部装置(例えば、コンピュータ、ネットワーク上の通信機器;図1の例では腕時計型ウェアラブル端末120、サーバ130、センサ160)に接続するためのインタフェースである。通信インタフェース201は、制御部210によって制御され、例えば、センサ160から環境データを受け取ったり、腕時計型ウェアラブル端末120から生体データを受け取るためのものである。他に、通信インタフェース201は、ネットワーク140を介してサーバ130から環境データをダウンロードする。なお、近距離無線通信方式は、特別の方式に限定されず任意の通信方式でよく、例えば、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)がある。
【0050】
このネットワークを介した通信は、通常は無線であるが有線であってもよい。なお、ネットワークは、インターネットを含むインターネットワークでもよいし、病院内LANのような他の種類のネットワークであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)ケーブルなどを用いた1対1の通信であってもよい。通信インタフェース201は、マイクロUSBコネクタを含んでいてもよい。
【0051】
記憶部202は、コンピュータその他の装置、及び機械等が、記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的または化学的作用によって蓄積する媒体である。記憶部202は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であってもよい。記憶部202は、サーバ130及び/またはセンサ160から取得した環境データ(屋内で取得したかどうかも含めてもよい)と、腕時計型ウェアラブル端末120から取得した生体データとを記憶する。また、記憶部202は、ユーザが入力装置203によって入力したユーザの体調データも記憶する。また、記憶部202は、環境データが、ユーザの生体データが変化を受けやすいことを示す予め記憶した条件を記憶している。この条件は、例えば、測定済み環境データの変動量に同期して変動する前記測定済み生体データの変動量が環境データの変動量に関連付けられ、測定済み環境データの変動量が、取得した環境データの変動量とある範囲内で一致することである。
【0052】
さらに、記憶部202は、環境データがユーザの生体データに影響を及ぼすと判定されたかどうかを示す判定データも記憶してもよい。そして、記憶部202に記憶される実際の生体データと環境データと判定データとをユーザごとに判定して、判定精度が上がるように制御部210での判定の際のしきい値を調整してもよいし、これらのデータに基づいて学習してもよい。
【0053】
またさらに、記憶部202から生体データ、環境データ、及び判定データを送信し、サーバ130はユーザごとにこれらのデータを格納して、さらにユーザの個人データ(属性データとも称する:年齢、身体情報(身長、体重等)、病歴、通院歴等がある)を別途取得して、非常に膨大な数のデータを収集し、このデータに基づいてユーザごとのデータの特徴の取得、判定のための高精度なしきい値の算出、環境データと生体データとの関係を発見することに使用してもよい。
【0054】
また、記憶部202は、制御部210で実行される、取得された環境データに基づいてユーザの生体データが影響を受けやすいかどうかを判定し、ユーザの生体データが環境の影響を受けやすいと判定された場合には生体データを測定するように指示するための実行プログラムを記憶している。
【0055】
さらに、記憶部202は、サーバ130及び/またはセンサ160から取得した環境データ、及びこの環境データに対応する、腕時計型ウェアラブル端末120が取得した生体データは、所定の期間の全てのデータを記憶していてもよい。所定の期間は、例えば、過去の一定の期間でもよいし、過去から現在を含む未来のある日時まででもよい。また、記憶部202は、制御部210で判定される以前の過去の環境データ及び対応する生体データを含んでいる場合には、これらのデータに基づいて測定促進装置100は、測定された環境データがユーザの生体データに変化をもたらすものかどうかを判定することができる。他に、記憶部202は、入力装置203が受け付けたユーザの体調に関する体調データを、その日時データと共に、生体データ及び環境データと関連付けて記憶する。
【0056】
入力装置203は、入力を受け付ける装置であり、例えば、タッチパネル、物理ボタン、マウス、キーボード等である。入力装置203は例えば、ユーザの体調データを受け付ける。出力装置204は、出力を行う装置であり、表示、音声、紙媒体、光、振動等で情報を出力し、例えば、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ等である。タッチパネルは、表示パネルに指及びペン等でタッチすることによって情報を入力でき、また、タッチするボタンやその他の情報が表示されるので、入力装置203と出力装置204との両方に対応する。出力装置204は、例えば、制御部210からの指示内容を表示したり、音声または光、振動等でユーザに伝える。
【0057】
計時装置205は、時間を計測する装置であり、日時を計測できる。例えば、計時装置205はカレンダーを含む時計であってもよく、現在の年月及び/または日時の情報を制御部210へ渡す。記憶部202は、この計時装置205の日時によってタイムスタンプがデータに付与されて記憶することができる。
【0058】
電源部206は、電力を供給可能なものであれば何でもよく、例えば、充電可能な2次電池または通常のコンセントから取得可能な交流電源である。電源部206は、測定促進装置100本体に搭載されている各要素へ電力を供給する。電源部206は、例えば、通信インタフェース201、記憶部202、入力装置203、出力装置204、計時装置205、外部インタフェース207、GPS受信部208、及び制御部210へ電力を供給する。
【0059】
外部インタフェース207は、測定促進装置100の本体と外部との媒介をするためのものであり、例えば、USBポートであり、外部装置(例えば、メモリ、通信機器、生体データ測定装置)と接続するためのインタフェースである。外部インタフェース207は、例えば、心電計、血圧計、歩数計、活動量計、及び/または加速度センサ等の外部装置と接続するためのインタフェースである。
【0060】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。取得された環境データの変動に基づいてユーザの生体データが変動するかどうかを判定する実行プログラムは記憶部202に記憶されていて、制御部210は記憶部202から実行プログラムを呼び出して処理を実行する。制御部210の詳細は、図3を参照して説明する。
【0061】
(ソフトウェア構成)
<測定促進装置100>
次に、図3を用いて、本実施形態に係る測定促進装置100のソフトウェア構成の一例を説明する。図3は、測定促進装置100の制御部210で実行される、環境データを取得して環境データの変動にともなってユーザの生体データが変動するかどうかを判定し、環境データの変動に伴って生体データが変動すると判定された場合には生体データを測定するように指示するためのプログラムを実行するためのソフトウェア構成を示す。
【0062】
測定促進装置100の制御部210は、必要なプログラムを実行する際に、記憶部202に記憶された、取得された環境データが変動することに基づいて生体データが変動するかどうかを判定し生体データが変動すると判定された場合には生体データを測定するように指示する実行プログラム(換言すれば、ユーザの生体データが変化を受けやすいことを示す条件を、取得した環境データが満たすかどうかを判定する実行プログラム)をRAMに展開する。そして、制御部210は、RAMに展開された、この実行プログラムをCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。このように、図3に示される通り、本実施形態に係る測定促進装置100は、環境データ取得部301、生体データ取得部302、ユーザ影響判定部303、指示部304、体調受付部305、関連付け部306、及びテーブル作成部307を備える。
【0063】
環境データ取得部301は、通信インタフェース201を経由してセンサ160及び/またはサーバ130等から、屋内及び/または屋外の環境データを取得する。環境データ取得部301は、複数のGPS衛星150から信号を受け取り位置データを生成するGPS受信部208から測定促進装置100の位置データを受け取り、測定促進装置100を所持するユーザが屋内にいるかどうかを判定し、屋内にいる場合には屋内の環境データをセンサ160等から取得し、屋外にいる場合には屋外の環境データをネットワーク140を経由してサーバ130から取得する。また、環境データ取得部301は、測定済みの環境データを、生体データ取得部302が取得する測定済みの生体データと共に記憶部202に記憶させていてもよい。
【0064】
なお、環境データを検出するセンサは、例えば、屋内や屋外に設置されているセンサ160があるが、測定促進装置100がこれらのセンサを搭載していて、これらから環境データ取得部301が環境データを取得してもよい。
【0065】
生体データ取得部302は、腕時計型ウェアラブル端末120等で測定したユーザの生体データを、通信インタフェース201を介して取得する。本実施形態では、測定促進装置100が取得した環境データが条件を満たすと判定された場合に測定促進装置100がユーザの生体データを測定するように指示し、この指示に基づいて測定された生体データを生体データ取得部302が取得する。条件は、環境データが、ユーザの生体データが変化を受けやすいと判定される予め記憶した条件である。例えば、測定済み環境データと測定済み生体データとが相関して、これらのデータの変動量が同期して変動している場合に、測定済み環境データの変動量が、取得した環境データの変動量とある範囲内で一致する場合がこの条件を満たすことに対応する。

例えば、生体データが心電データである場合には、生体データ取得部302は、腕時計型ウェアラブル端末120での信号処理回路から時系列データの形態で出力される、2つの電極間の電位差を示す電位差信号を心電データとして通信インタフェース201を経由して取得する。ここで心電データは、心臓の電気的活動を表す波形信号である。生体データが血圧データである場合には、生体データ取得部302は、腕時計型ウェアラブル端末120が計測した血圧データ(収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)とを含む時系列データ)を通信インタフェース201を経由して取得する。
【0066】
生体データ取得部302が取得した生体データは、記憶部202に記憶される。生体データ取得部302は、測定済みの環境データと共に測定済み生体データを全て記憶部202に記憶させておいてもよい。
【0067】
なお、外部の生体データを検出するセンサは、例えば、腕時計型ウェアラブル端末120に搭載されるが、測定促進装置100がこれらの装置を備えていて、これらから生体データ取得部302が生体データを取得してもよい。
【0068】
例えば、生体データが心電データの場合には、心電データは心臓の電気的興奮とその興奮がさめる時間的な変化を示すデータであり、心臓の電気的興奮によって体表面に発生する変動する電場により電位が変化するものである。生体データが血圧データの場合には、収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)とを含む時系列データを生体データ取得部302が取得する。
【0069】
ユーザ影響判定部303は、環境データ取得部301から環境データを受け取り、この環境データが、ユーザの生体データが環境の変化を受けやすいことを示す条件を満たすかどうかを判定する。例えば、ユーザ影響判定部303は、環境データに時間に対して変動がある(以下、時間変動、または単に、変動、とも称する)かどうかを判定し、環境データに変動がある場合には、ユーザの生体データに影響が生じる可能性が高いかどうか(生体データが環境の変化を受けやすいかどうか、とも称す)を判定する。生体データに影響が生じるとは、典型的にはユーザの生体データが悪化することであり、例えば、適正範囲からしきい値以上に生体データのある値が離れることである。この適正範囲は、予めユーザ影響判定部303が記憶していてもよいし、ユーザごとに設定されて記憶部202に記憶されていてもよい。また、この適正範囲は、生体データの種類ごとにテーブル作成部307によって提供されてもよい。ユーザ影響判定部303は、GPS受信部208からユーザが屋内に居るかどうかを判定し、屋内に居るかどうかで適正範囲から離れる度合いを示すしきい値を変更してもよい。
【0070】
ユーザ影響判定部303は、この環境データが、ユーザの生体データが環境の変化を受けやすいことを示す条件を満たすと判定した場合には、生体データを測定するように指示部304へ指示する。例えば、ユーザ影響判定部303は、環境データの時間変動によってユーザの生体データに変動がしきい値以上に生じている可能性が高いかどうかを判定して、生体データが変動が生じる可能性が高いと判定した場合には、指示部304へ対応する生体データを測定するように指示する生体データを指示部304へ渡す。この条件は、例えば、テーブル作成部307が生成するテーブルに含まれていてもよいし、記憶部202に記憶されていてもよい。ユーザ影響判定部303は、テーブル及び/または記憶部202を参照して条件を満たすかどうかを判定する。
【0071】
指示部304は、ユーザ影響判定部303からのある生体データを測定する指示データを受け、出力装置204へ指示データを渡し、所望の形式で指示データを出力する。ユーザはこの出力された指示データを受け取り、ユーザは対応する生体データを測定するように動作する。このユーザによる測定結果は、例えば、腕時計型ウェアラブル端末120において測定され、測定されたデータは、通信インタフェース201を介して測定促進装置100が受け取る。
【0072】
体調受付部305は、入力装置203を介してユーザが体調の不調を感じた場合に入力したデータを受け付け、記憶部202に生体データと環境データとに関連付けて記憶させる。この入力は、例えば、入力装置203にインタフェースが表示され、その表示をユーザが例えば、選択肢のいずれかをタッチすること等によって体調を示す体調データを入力装置203を介して体調受付部305が受け付ける。例えば、ユーザは、入力装置203と体調受付部305によって、息苦しい、めまいがある、咳が出る、等の内容を入力する。これらの内容は、タッチパネル等でユーザが選択可能なように入力装置203が表示してもよい。
【0073】
関連付け部306は、記憶部202に記憶されている、測定済み環境データと測定済み生体データとが相関していて、測定済みの環境データの変動量と、測定済みの環境データの変動量に同期して変動する測定済みの生体データの変動量とを関連付ける。また、関連付け部306はさらに、記憶部202に記憶されている測定済みの環境データ、測定済みの生体データ、及び体調データのうち、体調データの内容と対応する測定済みの生体データの変動量(変化量とも称す)に基づいて、この生体データと相関のある測定済みの環境データ、測定済みの生体データ、及び体調データを関連付けてもよい。例えば、関連付け部306は、体調データの内容が対応する測定済みの生体データの変動量と関連があると判定できる場合には、これらのデータを測定済みの環境データとを関連付ける。一例としては、体調データが示すユーザの体調と測定済みの生体データの種類とが関連していて、さらに測定済みの生体データの変動量が一定値以上であり、測定済みの生体データの変動した時刻とユーザが体調の不調を体調受付部305が受け付けた時刻とが所定時間内である場合に、測定済みの環境データ、測定済みの生体データ、及び体調データを関連付ける。関連付け部306において、体調データが示すユーザの体調と生体データの種類とが関連するかどうかについては、例えば、生体データの種類によってその生体データの変動によって生じる体調または病状は、既知であることがあるので、既知であるものに体調または病状が対応するかどうかで関連するかどうかを判定する。なお、ユーザが体調の不調を感じた時刻は、ユーザから体調受付部305が受け付けた時刻ではなく、ユーザによって入力装置203を介して後ほど設定できてもよい。また、ユーザが不調を感じた内容についても後ほど入力装置203を介して設定できてもよい。
【0074】
テーブル作成部307は、関連付け部306によって関連付けられた測定済み環境データの変動量が、取得した環境データの変動量とある範囲内で一致することを、条件を満たすと設定し、この条件を満たす、測定済みの環境データと、測定済みの生体データとの対応を示すテーブルを作成する。さらに、テーブル作成部307は、ユーザが自覚した体調の変化の内容を、測定済み環境データの変動量と測定済み生体データの変動量とに関連付けれて、テーブルに含まれてもよい。記憶部202に格納されている測定済みの環境データ、測定済みの生体データ、体調データに基づいて、測定済みの生体データの種類ごとに、ユーザが影響を受ける測定済みの環境データとの対応を示すテーブルを作成する。テーブル作成部307は、例えば、記憶部202に格納されている測定済みの環境データ、測定済みの生体データ、体調データに基づいて、測定済みの環境データの変動によって測定済みの生体データ及び/または体調データに悪影響を及ぼしている測定済み環境データを判定して選択し、これら選択したデータを対応づけたテーブルを作成してもよい。ユーザの健康状態に悪影響を及ぼしているかどうかは、例えば、データ項目ごとにしきい値または範囲を設定してそのしきい値及び/または範囲を超えた場合に悪影響を及ぼしていると判定する。テーブル作成部307が作成したテーブルは、記憶部202に記憶させて、ユーザ影響判定部303は記憶部202を参照してもよい。
【0075】
また、このテーブルは予め記憶部202に記憶されていて、テーブル作成部307が記憶部202からテーブルを取得してもよい。この場合には、テーブルは事前の生体データ及び環境データに関する情報に基づいて決定されている。
【0076】
テーブル作成部307は、作成したまたは取得したテーブルをユーザ影響判定部303に提供して、環境データ取得部301が取得した環境データがユーザの健康に影響を及ぼすかどうかを判定する。
【0077】
<その他>
測定促進装置100の動作に関しては後述する動作例で詳細に説明する。なお、本実施形態では、測定促進装置100の制御部210は汎用のCPUによって実現されてもよい。しかしながら、以上の動作(または機能)の一部または全部が、1または複数の専用のプロセッサにより実現されてもよい。また、測定促進装置100の構成に関して、実施形態に応じて、適宜、省略、置換及び追加が行われてもよい。
【0078】
[動作例:全体]
次に、図4を用いて、測定促進装置100の動作の概略を説明する。
【0079】
図4は、測定促進装置100の処理手順の一例を例示するフローチャートである。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0080】
(起動)
まず、ユーザは測定促進装置100を、入力装置203を介して起動し、さらに設定等の入力を受け付ける。測定促進装置100の制御部210は、以下の処理手順にしたがって、処理を進める。
【0081】
(ステップS401)
ステップS401では、制御部210は、環境データ取得部301として動作し、GPS受信部208から測定促進装置100の位置データを取得して、測定促進装置100の位置(すなわち、ユーザの位置)は屋内であるか屋外であるかを判定する。そして、ユーザが屋内に居ると判定された場合には、ステップS402へ進み、ユーザが屋内に居ないと判定された場合には、ユーザは屋外に居ると判定されてステップS403へ進む。
【0082】
ここでは、ユーザは測定促進装置100を身に付けて(または所有している)としているが、例えば、ユーザが身に付けている腕時計型ウェアラブル端末120等の位置データを環境データ取得部301が取得してこの位置データを使用してもよい。この場合には、測定促進装置100は、通信インタフェース201を介して腕時計型ウェアラブル端末120から位置データを取得して環境データ取得部301がユーザが屋内に居るかどうかを判定する。
【0083】
位置データは、ユーザが居る場所が望ましいので、腕時計型ウェアラブル端末120のようにユーザが身に付けている場合には、測定促進装置100よりも腕時計型ウェアラブル端末120が望ましい。しかし、測定促進装置100をほぼ所持している場合や、鞄等で常に持ち運んでいる場合には、測定促進装置100の位置データがユーザの位置データと一致しているとしても問題はない。例えば、GPS受信部の精度がより良いものであるかどうかにも依存するので、腕時計型ウェアラブル端末120よりも測定促進装置100の精度がより良く、ユーザとほとんど同一の屋内または屋外にいる場合には、測定促進装置100によって位置データを測定することが望ましい。
【0084】
(ステップS402)
ステップS402では、制御部210は、環境データ取得部301として動作し、屋内センサから通信インタフェース201を介してBluetoothによって屋内の環境データを取得する。なお、通信インタフェース201は、Bluetooth以外の他の通信方式によって受信しても構わなく、他の近距離無線通信方式でもよい。
【0085】
(ステップS403)
ステップS403では、制御部210は、環境データ取得部301として動作し、屋外センサまたはネットワーク140を介してサーバ130等から屋外の環境データを取得する。
(ステップS404)
ステップS404では、制御部210は、ユーザ影響判定部303として動作し、環境データ取得部301で取得した環境データがユーザの生体データに悪影響を与えるかどうかを判定する。ユーザ影響判定部303が、生体データに悪影響を与えないと判定した場合にはステップS401へ戻り、生体データに悪影響を与えると判定した場合にはステップS405へ進む。ユーザ影響判定部303は、環境データ取得部301が取得した環境データが、ユーザの生体データが変化を受けやすいことを示す予め記憶された条件を満たすかどうかを判定する。この条件は、上述した通りである。
【0086】
(ステップS405)
ステップS405では、制御部210は、指示部304として動作し、出力装置204を介してユーザにユーザ影響判定部303が悪影響を与えると判定した生体データを測定するように指示する。
【0087】
[動作例:テーブル作成]
次に、図5を用いて、測定促進装置100の動作の概略を説明する。
【0088】
図5は、測定促進装置100に関するテーブル作成の処理手順の一例を例示するフローチャートである。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0089】
(起動)
まず、ユーザは測定促進装置100を、入力装置203を介して起動し、さらに設定等の入力を受け付ける。測定促進装置100の制御部210は、以下の処理手順にしたがって、処理を進める。
【0090】
(ステップS501)
ステップS501では、制御部210は、体調受付部305として動作し、入力装置203を介してユーザの体調に関する内容(例えば、ユーザの自覚症状)を取得する。
【0091】
(ステップS502)
ステップS502では、制御部210は、体調受付部305として動作し、ステップS501で取得したユーザの体調に関する内容である自覚症状が軽いかどうかを判定する。例えば、ユーザへの質問及び対応する回答によって自覚症状を選別し、例えば、医者への診察が必要かどうかを判定し、医者への診察が必要でないと判定した場合には自覚症状が軽い、と判定し、そうでない場合には自覚症状が軽くないと判定する。自覚症状が軽いかどうかの判定は、特にこの例には拘らず、ユーザに判断してもらってもよく、多くの変形が可能である。体調受付部305において体調データが軽くないと判定された場合には、体調受付部305は記憶部202に体調データを記憶させてもよい。
【0092】
ステップS502において、自覚症状が軽いと判定された場合にはステップS501へ進み、自覚症状が軽くないと判定された場合にはステップS503へ進む。
【0093】
(ステップS503)
ステップS503では、制御部210は、環境データ取得部301及び生体データ取得部302として動作し、ユーザが自覚症状を訴えた期間と連動して、環境データ及び生体データを取得して、記憶部202に記憶される。
【0094】
(ステップS504)
ステップS504では、制御部210は、関連付け部306として動作し、測定済み環境データの変動量と、測定済み環境データの変動量に同期して変動する測定済み生体データの変動量と、を関連付け、ユーザの自覚症状に対応する測定済みの環境データ及び測定済みの生体データの変動量がしきい値(THとも略す)以上であるかどうかを判定する。また、しきい値と比較して判定するのではなく、ある適正範囲内であるかどうかを比較することによって判定してもよく、測定済みの環境データ及び/または測定済みの生体データの種類及び性質によって判定基準は決定されてよい。例えば、測定済みの生体データが血圧データである場合に血圧値は範囲によって最適血圧、高血圧、低血圧が判定できるので、範囲で判定することが望ましい。他に測定済みの生体データが心電データである場合には、心電データの形状によって判定する場合があり、この場合にはその形状がどの程度現れているかが例えば判定基準になるので、しきい値によって判定されることが望ましい。
【0095】
関連付け部306は、関連付けられた測定済み環境データの変動量が、環境データ取得部301が取得した環境データの変動量とある範囲内で一致することを、条件を満たすと設定する。
【0096】
ステップS504では、測定済みの環境データ及び測定済みの生体データのそれぞれの変動量がしきい値よりも大きい場合にはステップS505へ進み、大きくない場合にはステップS501へ戻る。
【0097】
(ステップS505)
ステップS505では、制御部210は、関連付け部306として動作し、ユーザの自覚症状に対応する測定済みの環境データと測定済みの生体データとを自覚症状に関連付ける。これらの測定済みの環境データと測定済みの生体データとは、それぞれの変動量を含んで自覚症状に関連付けれる。自覚症状は、その症状に応じてランク付けされていてもよく、例えば、強い症状、弱い症状と分類されてもよい。
【0098】
(ステップS506)
ステップS506では、制御部210は、テーブル作成部307として動作し、ステップS505で関連付けたデータを含むテーブルを作成する。このテーブルは、テーブル作成部307が記憶しておいてもよいし、記憶部202の所定の領域に記憶させておき、テーブル作成部307がアクセスしてテーブルをユーザ影響判定部303に提供してもよい。
【0099】
テーブル作成部307は、生体データの種類と、測定済み環境データと測定済み生体データとの相関に基づいて上記の条件を満たすユーザの生体データが影響を受ける測定済み環境データと、の対応を示すテーブルを作成する。例えば、テーブルに含まれている測定済みの環境データと同様な環境データを環境データ取得部301が取得した場合には、ユーザ影響判定部303はこの取得した環境データは条件を満たすと判定して、テーブルによって示される対応する生体データを測定するように指示部304が指示することになる。
【0100】
[作用と効果]
以上のように、本実施形態の測定促進装置100は、ステップS401でユーザが屋内に居るかどうかで屋内センサまたは屋外センサ(及び/または屋外データを格納しているサーバ)から、適する環境データを取得することができる。そして、ステップS404において環境データの変動量がユーザに悪影響を与えるかどうかを判定して、悪影響を与えると判定した場合にはユーザに測定するように指示することによって、環境データに応じた生体データを測定することが可能になる。このため、環境データ及び生体データを参照することによって、ユーザは自身の健康管理に役立てることができる。また、実施形態の測定促進装置100によって、ユーザは自身がどのような環境変化に気をつけるべきかを予め認識することができる。さらに、環境変化に応じてユーザにユーザの生体データが影響を受けやすいことを通知し、どの環境を変えるべきかをユーザに示していることになる。
【0101】
悪影響を与える環境データの変動量であるかどうかを判定し、必要な生体データのみを測定することができるので、ユーザが入力及び測定のために使用する時間を最小限に抑えることができ、環境データ及び生体データは有用なデータを測定することが多くなると期待され、無駄なデータが少なくなり記憶部202のリソースを有効に使用することができる。また、悪影響を与える環境データの変動量であるかどうかを判定してから該当する場合に生体データを測定するので、無駄な測定がなくなり、腕時計型ウェアラブル端末120の生体データの測定回数を減らすことができ、腕時計型ウェアラブル端末120の故障、電源の低下、カフ及び電極の消耗を低減することができる。
【0102】
さらに、図5に示した手順によって、ユーザ影響判定部303が判定する際に有用なテーブルを作成することができ、ユーザ影響判定部303が環境データの変動量からユーザの生体データの変動に異常があるかどうかを適切に判定することができるようになる。また、記憶部202またはテーブル作成部307に有用なデータが蓄積されて学習されると、このテーブルの内容はより洗練されてユーザ影響判定部303の判定の精度はより上昇していくことが可能になる。
【0103】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。また、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合せ可能である。
【0104】
<1>
図5の処理手順の一例では、体調受付部305が体調の内容を受け付けた場合についての処理であるが、記憶部202に体調データがない場合でも、関連付け部306によって環境データと対応する生体データとを関連付けてテーブル作成部307において、環境データと生体データとを対応づけるテーブルを作成してもよい。例えば、過去の測定済みの環境データ及び生体データに基づいてテーブルを作成する。また、指示部304からの生体データを測定する指示が適切であるかどうかをユーザが判定して、入力装置203を介してユーザが入力したデータを記憶部202が記憶してこのデータに基づいて環境データ及び生体データの対応付けの信頼性を記憶させ、この信頼性に基づいてテーブル作成部307がテーブルを作成してもよい。また、信頼性の高い環境データ及び生体データが対応付けられたテーブルのみをユーザ影響判定部303に参照させてもよい。信頼性が高いかどうかは、例えば、信頼性あり、とのユーザから回答の割合が所定値以上である場合に信頼性が高いと判定する。他に、ユーザのその後の病歴等をフィードバックして、生体データと病状の関連性から信頼性を定めてもよい(変動して悪化した生体データと病状が関連していた場合には信頼性が高いと決定)。
【0105】
<2>
図示はしていないが、腕時計型ウェアラブル端末120、及び/または測定促進装置100は、加速度センサ、圧力センサ、ジャイロセンサ、及び/または地磁気センサを備えていてもよい。
【0106】
なお、加速度センサは、加速度を検出するセンサであり、例えば3軸加速度センサであり、センサの加速度を線型独立な3軸(例えば、互いに直交した3軸)に関して検出する。そして、加速度センサは、3方向の加速度を表す加速度信号を制御部210へ出力する。加速度センサは、静止時の加速度の値から、ロール角とピッチ角とを得ることができる。
【0107】
圧力センサは、圧力を検出する一般的なものであり、例えば、圧力センサによれば、気圧を測定することでユーザの標高を検出することができる。
【0108】
ジャイロセンサは、センサの角速度を検出可能な一般的なものであり、例えば、3軸ジャイロセンサでありセンサの角速度を線型独立な3軸に関して検出する。ジャイロセンサは、3方向の角速度を表す角速度信号を制御部210へ出力する。
【0109】
地磁気センサは、一般的なものであり、ユーザの姿勢を判定するために使用する。地磁気センサは、例えば、3軸地磁気センサであり、センサ周辺の地磁気の強度を方向と強さ(大きさ)を含めて3軸に関して検出する。
【0110】
制御部210は、加速度センサと地磁気センサの情報から、ジャイロセンサから得られる角速度にドリフトによる誤差を補正する手法を使用して、ユーザの初期の姿勢情報から角速度を積分することによって角度を得て、初期時刻からの所望の経過時間でのセンサごとの姿勢角を得てもよい。初期姿勢は、加速度センサによって、ロール角とピッチ角とを得ることができる。ヨー角については、地磁気センサを使用して求めることができる。
【0111】
制御部210は、地磁気センサによって得られる磁場の3次元成分と、先に求めたロール角とピッチ角とから、傾斜誤差を補正した磁場の3次元成分を算出する。この傾斜誤差を補正した磁場の3次元成分のうちのx成分とy成分とからヨー角を算出することができる。例えば、初期姿勢からユーザが動いた場合には、角速度を時間積分して角度を得て、初期姿勢と経過時間によって任意の時刻でのセンサごとの姿勢角を得ることができる。
【0112】
<3>
本発明の装置は、コンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体(または記憶媒体)に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
また、以上の各装置及びそれらの装置部分は、それぞれハードウェア構成、またはハードウェア資源とソフトウェアとの組み合せ構成のいずれでも実施可能となっている。組み合せ構成のソフトウェアとしては、予めネットワークまたはコンピュータ読み取り可能な記録媒体(または記憶媒体)からコンピュータにインストールされ、当該コンピュータのプロセッサに実行されることにより、各装置の動作(または機能)を当該コンピュータに実現させるためのプログラムが用いられる。
【0113】
<4>
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0114】
<5>
また、「及び/または」とは、「及び/または」でつながれて列記される事項のうちの任意の1つ以上の事項という意味である。具体例を挙げると、「x及び/またはy」とは、3要素からなる集合{(x),(y),(x,y)}のうちのいずれかの要素という意味である。もう1つの具体例を挙げると、「x,y,及び/またはz」とは、7要素からなる集合{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちのいずれかの要素という意味である。
【0115】
(付記1)
ユーザの外的な環境に関する環境データを取得する第1取得部(301)と、
前記環境データが、前記ユーザの生体データが変化を受けやすいことを示す予め記憶した条件を満たすかどうかを判定する第1判定部(303、302、305、306、307)と、
前記環境データが前記条件を満たすと判定された場合に、前記生体データを測定するように指示する指示部(304)と、を備える、
測定促進装置(100)。
【符号の説明】
【0116】
100…測定促進装置
120…腕時計型ウェアラブル端末
130…サーバ
140…ネットワーク
150…GPS衛星
160…センサ
201…通信インタフェース
202…記憶部
203…入力装置
204…出力装置
205…計時装置
206…電源部
207…外部インタフェース
208…GPS受信部
210…制御部
301…環境データ取得部
302…生体データ取得部
303…ユーザ影響判定部
304…指示部
305…体調受付部
306…関連付け部
307…テーブル作成部
図1
図2
図3
図4
図5